説明

車両の開閉ルーフ装置

【課題】ルーフ開放時において降雨区域手前の適切な停車地点を自動案内することができ、降雨区域手前で安全に停車してルーフを閉じることができる車両の開閉ルーフ装置の提供を目的とする。
【解決手段】自車両Xの進行路を設定する進行路設定手段20または24と降雨情報を取得する降雨情報取得手段31,20とにより、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段とを備え、ルーフの開閉状態を検知する検知手段13によってルーフの開放状態が検出された時、降雨判定手段で降雨状態と判定されると、自車両Xの進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の案内を行なう案内手段16または34を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式のルーフを備えたオープンカーのような車両の開閉ルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者(ドライバ)が必要とする運転者支援情報(気象情報や駐車場情報など)を運転者に提供する運転者支援情報提供システムが既に発明されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の運転者支援情報提供システムにおいては、乗員が気象情報の要求を選択すると、気象情報が提供され、また乗員が駐車場情報の要求を選択すると、駐車場情報が提供されるので、利便性の向上を図ることができる利点がある。
【0004】
この従来システムをオープンカーに採用し、開閉式のルーフを開放した車両の走行時において、降雨に対応して車両を停車させようとする場合には、乗員が自らの要求入力操作により気象情報を取得すると共に、駐車場情報を取得して、適切な停車地点を乗員が自ら判断する必要があり、オープンカーのルーフ開放時において降雨区域手前の適切な停車地点を自動案内することができない問題点があった。
【特許文献1】特開2004−5493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、開閉式ルーフの開閉を検知するルーフ開閉検知手段によりルーフの開放状態が検出された時、自車両の進行路上が降雨状態であると判定された場合に、自車両の進行路上の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点を案内すべく構成し、ルーフ開放時において降雨区域手前の適切な停車地点を自動案内することができ、降雨区域手前で安全に停車してルーフを閉じることができる車両の開閉ルーフ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による車両の開閉ルーフ装置は、車室上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式のルーフを備えた車両において、上記ルーフの開閉状態を検知するルーフ開閉検知手段と、自車両の進行路を設定する進行路設定手段と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段と、上記進行路設定手段と降雨情報取得手段とにより、自車両の進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段とを備え、上記ルーフ開閉検知手段によってルーフの開放状態が検出された時、上記降雨判定手段で降雨状態と判定されると、自車両の進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の案内を行なう案内手段を備えたものである。
【0007】
上述の開閉式のルーフは、幌(いわゆるソフトトップ)であってもよく、ハードトップ(ディタッチャブル・ハードトップいわゆるDHT)であってもよい。
【0008】
上記構成によれば、上述のルーフ開閉検知手段はルーフの開閉状態を検知し、進行路設定手段は自車両の進行路を設定し、降雨情報取得手段は降雨情報を取得し、降雨判定手段は進行路設定手段と降雨情報取得手段との両手段により、自車両の進行路上が降雨状態か否かを判定するが、上述のルーフ開閉検知手段によってルーフの開放状態が検出された時、降雨判定手段で降雨状態であると判定された場合に、上記案内手段は、自車両の進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の自動案内を実行する。
【0009】
このように、ルーフ開放時において降雨区域の手前の適切な停車地点を自動案内することができ、この結果、乗員は降雨区域手前で安全に停車してルーフを閉じることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記進行路設定手段は、所定の目的地までの経路を案内するナビゲーションユニットの経路設定手段によって構成されるものである。
【0011】
上記構成によれば、経路設定手段で設定された目的地までの経路誘導路上の全行程の降雨を判定することができる。
この発明の一実施態様においては、上記案内手段は、自車両が停車可能な停車地点を音声で案内する音声発生手段で構成されるものである。
上述の音声発生手段は、スピーカで構成してもよい。
上記構成によれば、停車地点が音声案内されるので、乗員(ドライバ)は運転に集中することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記案内手段は、車室内に設けられたディスプレイに自車両が停車可能な停車地点を画像で表示する画像表示手段で構成されるものである。
上述のディスプレイは、ヘッドアップディスプレイ(いわゆるHUD)が望ましい。ヘッドアップディスプレイは、フロントウインドの一部をハーフミラーと成し、このハーフミラーに表示画像を投影するもので、前方視界の確保と表示内容視認との両立を図ることができる。
【0013】
上記構成によれば、ディスプレイに画像表示された停車地点を視覚的に分かりやすく案内することができる。
この発明の一実施態様においては、自車両が自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段を備え、上記案内手段は、該走行路判定手段により自車両が自動車専用道路を走行中であると判定した時に案内を実行するものである。
【0014】
上記構成によれば、路側に停車できない自動車専用道路において、降雨区域手前での停車可能な停車地点(サービスエリアやパーキングエリアなど)が案内されるので、当該停車地点で停車して安全にルーフを閉じることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記案内手段による案内を要求する案内要求手段と、上記案内要求手段による乗員の案内要求の有無を判定する要求可否判定手段とを備え、案内要求があった時に上記停車地点の案内を実行するものである。
【0016】
上記構成によれば、乗員の案内要求(いわゆるニーズ)に応じて停車地点の案内が実行されるので、乗員が停車地点の案内を要求しない場合の煩わしさを解消することができる。
この発明の一実施態様においては、進行路の降雨区域より先のルーフ開放のために自車両が停車可能な停車地点を案内するルーフ開放地点案内手段を備えたものである。
【0017】
上記構成によれば、ルーフ開放地点案内手段は、進行路の降雨区域より先の自車両が停車可能な停車地点を案内するので、乗員はこの地点で停車して安全にルーフを開放することができ、乗員の本来の要求(ルーフ開放要求)を満たすことができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフ開放地点案内手段は、ルーフの閉鎖時またはルーフの閉鎖後に案内を実行するものである。
上記構成によれば、乗員が降雨に対応してルーフを閉鎖した場合に、進行路の降雨区域より先のルーフ開放のために自車両が停車可能な停車地点が案内されるので、案内の適正化を図ることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、自車両と通信可能なキーレス携帯機を備え、上記ルーフ開閉検知手段でルーフの開放状態が検出され、かつ、降雨判定手段により降雨状態と判定された時、車外のキーレス携帯機に降雨接近を報知する報知手段を備えたものである。
【0020】
上記構成によれば、乗員が自車両から離れて降雨の接近を認識することができない場合、報知手段がキーレス携帯機に降雨接近を報知するので、利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、開閉式ルーフの開閉を検知するルーフ閉鎖検知手段によりルーフの開放状態が検出された時、自車両の進行路上が降雨状態であると判定された場合に、自車両の進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点を案内すべく構成したので、ルーフ開放時において降雨区域手前の適切な停車地点を自動案内することができ、降雨区域手前で安全に停車してルーフを閉じることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
降雨区域の手前で車両を停車して、ルーフを閉じるという目的を、車室上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式のルーフを備えた車両において、ルーフの開閉状態を検知するルーフ開閉検知手段と、自車両の進行路を設定する進行路設定手段と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段と、進行路設定手段と降雨情報取得手段との両手段により、自車両の進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段とを備え、ルーフ開閉検知手段でルーフの開放状態が検出された時、上記降雨判定手段にて降雨状態と判定された場合に、自車両の進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の案内を行なう案内手段を備えるという構成にて実現した。
【実施例】
【0023】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の開閉ルーフ装置を示し、図1において、この車両1(自車両としてのオープンカー)は、フロアパネル2上に、シートクッション3とシートバック4とを備えたシート5(運転席シートと助手席シートとを備えているが、図面では一方の運転席シートのみを示す)を配設する一方、車室6の上部を開放状態(図1の実線状態)と閉鎖状態(図1の仮想線状態)とに選択できる開閉式のルーフを備えている。
【0024】
この実施例では開閉式のルーフとして幌7を示している。この幌7は(いわゆるソフトトップ)は、複数のリンク部材から成る骨組としてのリンクアッセンブリ8と、トップクロス9とを有し、手動操作または自動によりルーフの開放時(幌7の折畳み格納時)には図1に実線で示すように、シートバック4後方のボディ10に形成された幌格納室11に上述の幌7が折畳まれた状態で格納される。
【0025】
ルーフの閉鎖時(幌7の展開時)には手動操作または自動により図1に仮想線で示すように、リンクアッセンブリ8の移動によりトップクロス9が展開され、この幌7にて車室6の上部を覆うと共に、幌7側に設けられたストライカ(図示せず)がフロントヘッダ側のフック12で係止される。
このフック12の近傍には、ルーフとしての幌7の開放状態を検知するルーフ開閉センサ13(ルーフ開閉検知手段)が設けられている。
【0026】
一方、フロントウインド14は、その一部がハーフミラー15にて形成され、このハーフミラー15に表示画像を投影するヘッドアップディスプレイ16が構成されている。このヘッドアップディスプレイ16(いわゆるHUD)は前方視界の確保と表示内容の視認との両立を図ることができるディスプレイ(画像表示手段)である。
なお、図1において、17はインストルメントパネル、18はステアリングホイール、19はメータフードである。
【0027】
図2は各種機器のレイアウトを車室内側から目視した状態で示す図面であって、インストルメントパネル17にはナビゲーションユニット20とオーディオユニット21とが配設され、メータフード19で覆われた部分にはLCDディスプレイ等により形成されたメータ部23が配設され、ステアリングホイール18にはマイク24が内蔵されている。
【0028】
またセンタコンソール部25には、方向キー26、実行キー27、キャンセルキー28を備えたコントローラ29と、アンテナ30を備えた携帯電話31(通信機)とが配設されると共に、シフトレバー32が配設されており、一方、運転席側のフロントピラー33にはスピーカ34が内蔵されている。
【0029】
ここで、上述のナビゲーションユニット20は、コントローラ29の方向キー26、実行キー27、キャンセルキー28を用いて、または、マイク24からの音声指令を用いて目的地を設定すると共に、この所定の目的地までの経路(経路誘導路)を、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて案内する装置である。つまり、上述のコントローラ29またはマイク24はナビゲーションユニット20の経路設定手段を兼ねるものである。
【0030】
メータ部23は、車速や空調設定その他の車両の状態を表示すると共に、表示内容に応じたタッチ操作が可能な入力部を備えるものである。
携帯電話31は、アダプタ35および接続ライン36を介してナビゲーションユニット20と接続され、そのアンテナ30を介して、図3に示す他車両Yまたは気象情報センタ37から降雨情報を取得すべく構成されている。
また、上述のマイク24は、乗員(ドライバ)の音声による指示を音声認識インタフェース(図示せず)を介してナビゲーションユニット20に入力するものである。
上述のスピーカ34は、ナビゲーションユニット20からの音声情報が音声出力インタフェース(図示せず)を介して出力される音声発生手段である。
【0031】
図3は制御回路ブロック図を示し、自車両Xにおけるナビゲーションユニット20のCPU40は、測位センサ38からの自車両Xの現在位置情報、CD−ROM等で形成される地図メモリ39からの道路地図情報、コントローラ29からの指令信号、ルーフ開閉センサ13からのルーフ開閉信号、パーキングセンサ41からの駐車信号、データベース(記憶手段)42からの情報、マイク24からの音声指令信号、車速センサ43からの車速信号、通信機としての携帯電話31からの降雨情報、キーレス通信機44からの指令信号などの各種入力信号に基づいて、ヘッドアップディスプレイ16、スピーカ34、携帯電話31、キーレス通信機44を駆動制御する。上述の測位センサ38は、自立推測航法と、GPS衛星からの電波を受信して、自車両Xの絶対位置を測位するGPSセンサとを併用してもよい。
【0032】
上述の携帯電話31は無線通信により気象情報センタ37との間で送受信を行なって、降雨情報を取得すると共に、携帯電話基地局45を介して他車両Yとの間で送受信を行なって降雨情報を取得する。
【0033】
一方、キーレス通信機44は乗員が携帯するキーレス携帯機46との間で無線通信にて送受信を行なって、ドアロックアクチュエータ(図示せず)を介して、車両のドアのロック、アンロックを行なう。
【0034】
上述の気象情報センタ37は、CPU47と、データベース48と、雨雲レーダのサイトとしてのレーダサイト49と、通信機50とを備え、上述のデータベース48は降雨情報および降雨予報データなどを蓄積し、通信機50を介して自車両Xに降雨に関する情報を提供すると共に、他車両Yからのワイパ駆動信号や雨滴センサ信号および現在位置情報の入力に基づいてデータベース48にさらに詳細な降雨データを蓄積する。
【0035】
上述の自車両XのCPU40は、自車両Xの進行路を設定する進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24参照)と、降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20参照)とにより、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段(図4に示すフローチャートのステップS5参照)を兼ねるもので、ルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13参照)によって幌7の開放状態が検出された時、上述の降雨判定手段(ステップS5参照)で降雨状態と判定されると、音声発生手段としてのスピーカ34または/および画像表示手段としてのヘッドアップディスプレイ16を駆動して、自車両Xの進行路の降雨区域Z(図7、図8参照)の手前で自車両Xが停車可能な停車地点の案内を行なうように構成している。
【0036】
また、上述のCPU40は自車両Xが高速道路などの自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段(図4に示すフローチャートのステップS13参照)を兼ねるもので、案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34参照)は、該走行路判定手段(ステップS13参照)により自車両Xが自動車用道路を走行中であると判定した時に、自車両Xが停車可能な停車地点の案内を行なうように構成している。
【0037】
さらに、上述のCPU40は、ルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13参照)で幌7の開放状態が検出され、かつ、降雨判定手段(ステップS5参照)により降雨状態と判定された時で、さらに乗員が自車両Xから離れた場合に、車外のキーレス携帯機46に降雨接近を報知する報知手段(図4に示すフローチャートのステップS11参照)を兼ねる。
【0038】
加え、上述のCPU40は、進行路の降雨区域Zより先の幌7開放のために自車両Xが停車可能な停車地点を案内するルーフ開放地点案内手段(図5、図6に示すサブルーチンのステップS22、S34参照)を兼ねるものである。
【0039】
このように構成した車両の開閉ルーフ装置の作用を、図4に示すメインルーチン、図5、図6に示すサブルーチンを参照して、以下に詳述する。
図4に示すメインルーチンのステップS1で、CPU40はルーフ開閉センサ13からの入力に基づいて、幌7が開放されているか否かを判定し、幌7が閉鎖されている時(NO判定時)には次のステップS2に移行し、幌7が開放されている時(YES判定時)には別のステップS3に移行する。
【0040】
上述のステップS2で、CPU40はマイク24またはコントローラ29からの入力の有無により、乗員が案内を要求しているか否かを判定し、NO判定時(乗員が案内を要求していない時)にはリターンする一方、YES判定時(乗員が案内を要求している時)にはステップS3に移行する。
【0041】
このステップS3で、CPU40は携帯電話31を駆動して、気象情報センタ37または他車両Yとの間で通信を行ない、降雨情報を取得する。取得した降雨情報はデータベース42に読出し可能に蓄積することができる。
【0042】
次のステップS4で、CPU40はコントローラ29またはマイク24からの入力により進行路を設定および取得する。
この進行路の設定は、上述のコントローラ29またはマイク24を用いて所定の目的地P(図7参照)までの誘導経路を設定するもので、この目的地Pが設定されると、CPU40はヘッドアップディスプレイ16に図7に示すように、自車両Xの現在位置xと、目的地Pまでの誘導経路とを道路地図上に可視表示する。また上述のナビゲーションユニット20は自車両Xの進行にともなって目的地Pまでの経路をヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて誘導案内する。
【0043】
次にステップS5で、CPU40は自車両Xの現在位置xと目的地Pまでの進行路上の全行程に降雨区域Zが存在するか否かを判定し、NO判定時(進行路上に降雨区域Zが存在しない場合)には、ステップS6に移行し、YES判定時(進行路上に降雨区域Zが存在する場合)には、別のステップS9に移行する。
【0044】
上述のステップS6で、CPU40は、進行路上に降雨区域Zが存在しないことに対応して、ヘッドアップディスプレイ16に「雨接近なし」の旨を可視表示する。次のステップS7で、CPU40はマイク24またはコントローラ29からの入力の有無により、乗員が音声案内を要求しているか否かを判定し、NO判定時(乗員が音声案内を要求していない時)にはリターンする一方、YES判定時(乗員が音声案内を要求している時)には次のステップS8に移行し、このステップS8で、CPU40は音声発生手段としてのスピーカ34を駆動して、「雨接近なし」の旨を音声案内した後に、リターンする。
【0045】
一方、上述のステップS9で、CPU40は進行路上に降雨区域Zが存在することに対応して、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34により「降雨接近」の旨を乗員に報知する。
次のステップS10で、CPU40はキーレス携帯機46が車室6内にあるか否か、換言すれば、乗員が車室6内にいるか否かを判定し、NO判定時(乗員が自車両Xから離れた場合)にはステップS11に移行し、YES判定時(乗員が自車両X内にいる場合)には別のステップS12に移行する。
【0046】
上述のステップS11で、CPU40はキーレス通信機44を駆動して、車外のキーレス携帯機46に対して「雨接近」の旨を報知した後に、リターンする。
【0047】
一方、上述のステップS12で、CPU40は測位センサ38からの自車両Xの現在位置Xと地図メモリ39の道路地図とを比較照合して、自車両Xの走行路を検索、つまり、自車両Xが一般道を走行しているか、或は自動車専用道路を走行しているかを検索する。
【0048】
次のステップS13で、CPU40は上記ステップS12の検索により、自車両Xが自動車専用道路を走行しているか否かを判定し、NO判定時(自車両Xが一般道を走行している時)にはステップS14に移行し、YES判定時(自車両Xが自動車専用道路を走行している時)には別のステップS16に移行する。
【0049】
上述のステップS14で、CPU40は一般道(路肩や駐車場のあるコンビニエンスストア等に随時、車両の停車が可能な一般道)走行時に対応して、ヘッドアップディスプレイ16を駆動して、該ディスプレイ16に図7に示すように停止警告および降雨区域Zの表示を実行する。例えば、同図に示すように、「雨雲が近付いています。地点Aに停車して幌を閉めて下さい。」とのメッセージを文字表示する。次のステップS15で、CPU40はスピーカ34を駆動して「雨雲が近付いています。地点Aに停車して幌を閉めて下さい。」とのメッセージを音声にて案内した後に、リターンする。なお、図7で示す地点Aは降雨区域Zの手前において自車両Xの停車が可能であると案内される停車地点61であり、地点Bは降雨区域Z内または降雨区域Zに近接するか或は進行路以外の地点であり、地点Cは降雨区域Zよりも先において幌7を開放するために、自車両の停車が可能であると案内される停車地点62である。
【0050】
一方、上述のステップS16でCPU40は自動車専用道路(車両の停車地点がサービスエリアやパーキングエリア等に制限される自動車専用道路)走行時に対応して、停止地点の案内を実行するが、このステップS16の停止地点案内は図5に示すサブルーチンまたは図6に示すサブルーチンの何れか一方の処理により実行される。
【0051】
まず、図5に示すサブルーチンの処理内容について説明すると、ステップS21で、CPU40は自車両Xの現在位置xと目的地Pまでの間の進行路上において車両停車が可能な地点で、かつ降雨区域Z以外の地点をサーチする。この場合、自車両Xは自動車専用道路を走行中であるから停車地点はサービスエリアやパーキングエリア等の場所に特定することができる。
【0052】
次にステップS22で、CPU40はステップS21でのサーチ結果に基づいて、自車両Xが停車可能な降雨区域Z手前の停車地点と、降雨区域Zよりも先の停車地点との双方を、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて案内する。
【0053】
上述のヘッドアップディスプレイ16による表示内容は、例えば図8に示すような簡易表示であってもよく、図7で示した一般道走行時の表示と同様の表示内容であってもよい。
【0054】
図8で例示した簡易表示は、降雨区域Zが△△南ICであり、降雨区域Z手前の停車地点61がAサービスエリアであり、降雨区域Zよりも先の停車地点62がCパーキングエリアであることを例示しており、乗員に案内するメッセージ内容は「雨雲が近付いています。Aサービスエリアで停車し、幌を閉めて下さい。その先、Cパーキングエリアで停車し、幌を開けることが出来ます。」としている。
【0055】
このため、乗員は、Aサービスエリア(停車地点61)で降雨に対応して自車両Xを停車させて、幌7を閉めることができると共に、降雨区域Zよりも先のCパーキングエリア(停車地点62)にて自車両Xを停車させ、乗員本来の要求に対応して、幌7を開けることができる。
【0056】
次に、図6に示すサブルーチンの処理内容について説明すると、ステップS31で、CPU40は自車両Xの現在位置xと目的地Pまでの間の進行路上において車両停車が可能な地点(サービスエリアやパーキングエリアなど)で、かつ降雨区域Z以外の地点をサーチする。
【0057】
次にステップS32で、CPU40はステップS31でのサーチ結果に基づいて、自車両Xが停車可能な降雨区域Z手前の停車地点61(図8のAサービスエリア参照)を、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて案内する。
【0058】
次にステップS33で、CPU40は降雨接近に対応して幌7が閉鎖されたか否かを、ルーフ開閉センサ13から信号により判定し、NO判定時(幌7が閉じられていない場合)にはリターンする一方、YES判定時(降雨接近に対応して幌7が閉じられた場合)には次のステップS34に移行し、このステップS34で、CPU40は自車両Xが停車可能な降雨区域Zよりも先の停車地点62(図8のCパーキングエリア参照)を、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて案内する。
【0059】
この降雨区域Zよりも先の停車地点62の案内は、幌7が閉鎖されたことに加えて、車速センサ43からの信号により自車両Xの車速が所定値以上になった、つまり自車両Xが走り出した時点において案内を実行するように構成してもよい。
【0060】
このように図1〜図8で示した実施例の車両の開閉ルーフ装置は、車室6の上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式のルーフ(幌7参照)を備えた車両(オープンカー)において、上記ルーフ(幌7)の開閉状態を検知するルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13参照)と、自車両Xの進行路を設定する進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24参照)と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20参照)と、上記進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)と降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)とにより、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段(ステップS5)とを備え、上記ルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13)によってルーフ(幌7)の開放状態が検出された時、上記降雨判定手段(ステップS5)で降雨状態と判定されると、自車両Xの進行路の降雨区域Zの手前で自車両が停車可能な停車地点61の案内を行なう案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34参照)を備えたものである。
【0061】
この構成によれば、上述のルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13)はルーフ(幌7)の開閉状態を検知し、進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)は自車両Xの進行路を設定し、降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)は降雨情報を取得し、降雨判定手段(ステップS5)は進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)と降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)との両手段により、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定するが、上述のルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13)によってルーフ(幌7)の開放状態が検出された時、降雨判定手段(ステップS5)で降雨状態であると判定された場合に、上記案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34)は、自車両Xの進行路の降雨区域Zの手前で自車両Xが停車可能な停車地点61の自動案内を実行する。
【0062】
このように、ルーフ開放時において降雨区域Zの手前の適切な停車地点61を自動案内することができ、この結果、乗員は降雨区域Zの手前で安全に停車してルーフ(幌7)を閉じることができる。
【0063】
また、上記進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)は、所定の目的地Pまでの経路を案内するナビゲーションユニット20の経路設定手段(コントローラ29またはマイク24)によって構成されるものである。
【0064】
この構成によれば、経路設定手段(コントローラ29またはマイク24)で設定された目的地Pまでの経路誘導路上の全行程の降雨を判定することができる。
【0065】
さらに、上記案内手段は、自車両Xが停車可能な停車地点61を音声で案内する音声発生手段(スピーカ34参照)で構成されるものである。
【0066】
この構成によれば、停車地点61が音声案内されるので、乗員(ドライバ)は運転に集中することができる。
【0067】
加えて、上記案内手段は、車室6内に設けられたディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ16参照)に自車両Xが停車可能な停車地点61を画像で表示する画像表示手段で構成されるものである。
【0068】
この構成によれば、ディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ16)に画像表示された停車地点61を視覚的に分かりやすく案内することができる。
【0069】
また、自車両Xが自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段(ステップS13参照)を備え、上記案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34)は、該走行路判定手段(ステップS13参照)により自車両Xが自動車専用道路を走行中であると判定した時に案内を実行するものである。
【0070】
この構成によれば、路側に停車できない自動車専用道路において、降雨区域Zの手前での停車可能な停車地点61(サービスエリアやパーキングエリアなど)が案内されるので、当該停車地点61で停車して安全にルーフ(幌7)を閉じることができる。
【0071】
さらに、進行路の降雨区域Zより先のルーフ開放(幌7の開放)のために自車両Xが停車可能な停車地点62を案内するルーフ開放地点案内手段(各ステップS16,S22,S34参照)を備えたものである。
【0072】
この構成によれば、ルーフ開放地点案内手段(ステップS16,S22,S34)は、進行路の降雨区域Zより先の自車両Xが停車可能な停車地点62を案内するので、乗員はこの地点62で停車して安全にルーフ(幌7)を開放することができ、乗員の本来の要求(ルーフ開放要求)を満たすことができる。
【0073】
また、上記ルーフ開放地点案内手段(ステップS34)は、ルーフ(幌7)の閉鎖時またはルーフ(幌7)の閉鎖後に案内を実行するものである。
【0074】
この構成によれば、乗員が降雨に対応してルーフを閉鎖した場合(ステップS33のYES判定参照)に、進行路の降雨区域Zより先のルーフ開放(幌7の開放)のために自車両Xが停車可能な停車地点62が案内されるので、案内の適正化を図ることができる。
【0075】
さらに、自車両Xと通信可能なキーレス携帯機46を備え、上記ルーフ開閉検知手段(ルーフ開閉センサ13)でルーフ(幌7)の開放状態が検出され、かつ、降雨判定手段(ステップS5)により降雨状態と判定された時、車外のキーレス携帯機46に降雨接近を報知する報知手段(ステップS11参照)を備えたものである。
【0076】
この構成によれば、乗員が自車両Xから離れて降雨の接近を認識することができない場合、報知手段(ステップS11)がキーレス携帯機46に降雨接近を報知するので、利便性の向上を図ることができる。
【0077】
図9は車両の開閉ルーフ装置の他の実施例を示すフローチャート(メインルーチン)であって、図9に示すこの実施例においても図1〜図3で示した回路装置を用いる。
【0078】
また、この実施例においては、ナビゲーションユニットCPU40(図3参照)は、案内要求手段(マイク24またはコントローラ29参照)による乗員の案内要求(降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の案内を実行するという要求)の有無を判定する要求可否判定手段(図9に示すフローチャートのステップQ2参照)を兼ねるもので、案内要求があった時に前述の停車地点61(図7、図8参照)の案内を実行すべく構成している。
【0079】
さらに、この実施例においても、上述のCPU40が、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段(ステップQ5参照)と、自車両Xが高速道路などの自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段(ステップQ14参照)と、降雨判定手段(ステップQ5参照)により降雨状態と判定された時、車外のキーレス携帯機46に降雨接近を報知する報知手段(ステップQ11参照)とを兼ねる。
【0080】
加えて、この実施例においても、ステップQ17の処理内容としては先の実施例同様に図5または図6のサブルーチンを用いるので、上述のCPU40は、進行路の降雨区域Zより先の幌7開放のために自車両Xが停車可能な停車地点62(図7、図8参照)を案内するルーフ開放地点案内手段(図5、図6のステップS22、S34参照)を兼ねる。
【0081】
このように構成した車両の開閉ルーフ装置の作用を、図9に示すフローチャートを参照して、以下に詳述する。
図9に示すフローチャートのステップQ1で、CPU40はルーフ開閉センサ13からの入力に基づいて、幌7が開放されているか否かを判定し、幌7が閉鎖されている時(NO判定時)にはリターンする一方、幌7が開放されている時(YES判定時)には次のステップQ2に移行する。
【0082】
ステップQ2で、CPU40はマイク24またはコントローラ29からの入力の有無により、乗員が案内を要求しているか否かを判定し、NO判定時(乗員が案内を要求していない時)にはリターンする一方、YES判定時(乗員が案内を要求している時)には次のステップQ3に移行する。
【0083】
このステップQ3で、CPU40は携帯電話31を駆動して、気象情報センタ37または他車両Yとの間で通信を行ない、降雨情報を取得する。取得した降雨情報はデータベース42に読出し可能に蓄積することができる。
【0084】
次のステップQ4で、CPU40はコントローラ29またはマイク24からの入力により進行路を設定および取得する。この進行路の設定は、上述のコントローラ29またはマイク24を用いて所定の目的地P(図7参照)までの誘導経路を設定するもので、この目的地Pが設定されると、CPU40はヘッドアップディスプレイ16に図7に示すように、自車両Xの現在位置xと目的地Pまでの誘導経路とを道路地図上に可視表示する。また上述のナビゲーションユニット20は自車両Xの進行にともなって目的地Pまでの経路をヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34にて誘導案内する。
【0085】
次にステップQ5で、CPU40は自車両Xの現在位置xと目的地Pまでの進行路上に降雨区域Zが存在するか否かを判定し、NO判定時(進行路上に降雨区域Zが存在しない場合)には、ステップQ6に移行し、YES判定時(進行路上に降雨区域Zが存在する場合)には、別のステップQ9に移行する。
【0086】
上述のステップQ6で、CPU40は、進行路上に降雨区域Zが存在しないことに対応して、ヘッドアップディスプレイ16に「雨接近なし」の旨を可視表示する。次のステップQ7で、CPU40はマイク24またはコントローラ29からの入力の有無により、乗員が音声案内を要求しているか否かを判定し、NO判定時(乗員が音声案内を要求していない時)にはリターンする一方、YES判定時(乗員が音声案内を要求している時)には次のステップQ8に移行し、このステップQ8で、CPU40はスピーカ34を駆動して、「雨接近なし」の旨を音声案内した後に、リターンする。
【0087】
一方、上述のステップQ9で、CPU40は進行路上に降雨区域Zが存在することに対応して、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34により「降雨接近」の旨を乗員に報知する。
【0088】
次のステップQ10で、CPU40はキーレス携帯機46が車室6内にあるか否か、換言すれば、乗員が車室6内にいるか否かを判定し、NO判定時(乗員が自車両Xから離れた場合)にはステップQ11に移行し、YES判定時(乗員が自車両X内にいる場合)には別のステップQ13に移行する。
【0089】
上述のステップQ11で、CPU40はキーレス通信機44を駆動して、車外のキーレス携帯機46に対して「雨接近」の旨を報知する。
次に、ステップQ12で、キーレス携帯機46に設けられたルーフ閉鎖スイッチ(図示せず)を乗員がON操作すると、この信号がキーレス通信機44に送信され、CPU40は自動開閉構造の幌7を自動的に閉鎖した後にリターンする。なお、幌7が手動開閉構造の場合には、このステップQ12を省略する。
【0090】
一方、上述のステップQ13で、CPU40は測位センサ38からの自車両Xの現在位置xと地図メモリ39の道路地図とを照合して、自車両Xの走行路、つまり、自車両Xが一般道を走行しているか、或は自動車専用道路を走行しているかを検索する。
【0091】
次のステップQ14で、CPU40は上記ステップQ13の検索により、自車両Xが自動車専用道路を走行しているか否かを判定し、NO判定時(自車両Xが一般道を走行している時)にはステップQ15に移行し、YES判定時(自車両Xが自動車専用道路を走行している時)には別のステップQ17に移行する。
【0092】
上述のステップQ15で、CPU40は一般道走行時に対応して、ヘッドアップディスプレイ16を駆動して、該ディスプレイ16に図7で示したように停止警告および降雨区域Zの表示を実行する。例えば、同図に示すように、「雨雲が近付いています。地点Aに停車して幌を閉めて下さい。」とのメッセージを文字表示する。次のステップQ16で、CPU40はスピーカ34を駆動して「雨雲が近付いています。地点Aに停車して幌を閉めて下さい。」とのメッセージを音声にて案内した後に、リターンする。
なお、図7で示す地点Aは降雨区域Zの手前において自車両Xの停車が可能であると案内される停車地点61であり、地点Bは降雨区域Z内または降雨区域Zに近接するか或は進行路以外の地点であり、地点Cは降雨区域Zよりも先において幌7の開放を目的として自車両Xの停車が可能であると案内される停車地点62であることは、先の実施例と同様である。
【0093】
一方、上述のステップQ17で、CPU40は自動車専用道路走行時に対応して、停止地点の案内を実行するが、このステップQ17の停止地点案内は図5に示すサブルーチンまたは図6に示すサブルーチンの何れか一方の処理により先の実施例と同様に実行されるので、その詳しい説明を省略する。
【0094】
このように、図9で示した実施例の車両の開閉ルーフ装置(但し、回路装置については図1〜図3で示したものを用い、表示内容については図7、図8で示したものを用い、サブルーチンについては図5または図6のフローチャートを用いる)は、車室6の上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式の幌7を備えた車両において、上記幌7の開閉状態を検知するルーフ開閉センサ13と、自車両Xの進行路を設定する進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)と、降雨情報を取得する降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)と、上記進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)と降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)とにより、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段(ステップQ5)とを備え、上記ルーフ開閉センサ13によって幌7の開放状態が検出された時、上記降雨判定手段(ステップQ5)で降雨状態と判定されると、自車両Xの進行路の降雨区域Zの手前で自車両Xが停車可能な停車地点61の案内を行なう案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34)を備えたものである。
【0095】
この構成によれば、上述のルーフ開閉センサ13は幌7の開閉状態を検知し、進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)は自車両Xの進行路を設定し、降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)は降雨情報を取得し、降雨判定手段(ステップQ5)は進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)と降雨情報取得手段(携帯電話31およびナビゲーションユニット20)との両手段により、自車両Xの進行路上が降雨状態か否かを判定するが、上述のルーフ開閉センサ13によって幌7の開放状態が検出された時、降雨判定手段(ステップQ5)で降雨状態であると判定された場合に、上記案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34)は、自車両Xの進行路の降雨区域Zの手前で自車両Xが停車可能な停車地点61の自動案内を実行する。
【0096】
このように、幌7の開放時において降雨区域Zの手前の適切な停車地点61を自動案内することができ、この結果、乗員は降雨区域Zの手前で安全に停車してルーフを閉じることができる。
【0097】
また、上記進行路設定手段(ナビゲーションユニット20またはマイク24)は、所定の目的地Pまでの経路を案内するナビゲーションユニット20の経路設定手段(コントローラ29またはマイク24)によって構成されるものである。
【0098】
この構成によれば、経路設定手段(コントローラ29またはマイク24)で設定された目的地Pまでの経路誘導路上の全行程の降雨を判定することができる。
【0099】
さらに、上記案内手段は、自車両Xが停車可能な停車地点61を音声で案内する音声発生手段(スピーカ34)で構成されるものである。
この構成によれば、停車地点61が音声案内されるので、乗員(ドライバ)は運転に集中することができる。
【0100】
加えて、上記案内手段は、車室6内に設けられたディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ16)に自車両Xが停車可能な停車地点61を画像で表示する画像表示手段で構成されるものである。
【0101】
この構成によれば、ディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ16)に画像表示された停車地点61を視覚的に分かりやすく案内することができる。
【0102】
しかも、自車両Xが自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段(ステップQ14)を備え、上記案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34)は、該走行路判定手段(ステップQ14)により自車両Xが自動車専用道路を走行中であると判定した時に案内を実行するものである。
【0103】
この構成によれば、路側に停車できない自動車専用道路において、降雨区域Zの手前での停車可能な停車地点61(サービスエリアやパーキングエリアなど)が案内されるので、当該停車地点61で停車して安全に幌7を閉じることができる。
【0104】
さらに、上記案内手段(ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ)による案内を要求する案内要求手段(マイク24またはコントローラ29)と、上記案内要求手段(マイク24またはコントローラ29)による乗員の案内要求の有無を判定する要求可否判定手段(ステップQ2)とを備え、案内要求があった時に上記停車地点61の案内を実行するものである。
【0105】
この構成によれば、乗員の案内要求(いわゆるニーズ)に応じて停車地点61の案内が実行されるので、乗員が停車地点61の案内を要求しない場合の煩わしさを解消することができる。
【0106】
また、進行路の降雨区域Zより先の幌7の開放のために自車両Xが停車可能な停車地点62を案内するルーフ開放地点案内手段(ステップQ17,S22,S34)を備えたものである。
【0107】
この構成によれば、ルーフ開放地点案内手段(ステップQ17,S22,S34)は、進行路の降雨区域Zより先の自車両Xが停車可能な停車地点62を案内するので、乗員はこの地点62で停車して安全に幌7を開放することができ、乗員の本来の要求(ルーフ開放要求)を満たすことができる。
【0108】
さらに、上記ルーフ開放地点案内手段(ステップS34)は、幌7の閉鎖時または幌7の閉鎖後に案内を実行するものである。
【0109】
この構成によれば、乗員が降雨に対応して幌7を閉鎖した場合に、進行路の降雨区域Zより先の幌7開放のために自車両Xが停車可能な停車地点62が案内されるので、案内の適正化を図ることができる。
【0110】
加えて、自車両Xと通信可能なキーレス携帯機46を備え、上記ルーフ開閉センサ13で幌7の開放状態が検出され、かつ、降雨判定手段(ステップQ5)により降雨状態と判定された時、車外のキーレス携帯機46に降雨接近を報知する報知手段(ステップQ11)を備えたものである。
【0111】
この構成によれば、乗員が自車両Xから離れて降雨の接近を認識することができない場合、報知手段(ステップQ11)がキーレス携帯機46に降雨接近を報知するので、利便性の向上を図ることができる。
【0112】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の開閉式のルーフは、実施例の幌7(いわゆるソフトトップ)に対応し、 以下同様に、
ルーフ開閉検知手段は、ルーフ開閉センサ13に対応し、
進行路設定手段は、ナビゲーションユニット20またはマイク24に対応し、
降雨情報取得手段は、通信機としての携帯電話31およびナビゲーションユニット20に対応し、
降雨判定手段は、ステップS5,Q5に対応し、
案内手段は、ヘッドアップディスプレイ16または/およびスピーカ34に対応し、
経路設定手段は、コントローラ29またはマイク24に対応し、
音声発生手段は、スピーカ34に対応し、
画像表示手段、ディスプレイは、ヘッドアップディスプレイ16に対応し、
走行路判定手段は、ステップS13,Q14に対応し、
ルーフ開放地点案内手段は、ステップS16,S22,S34,Q17に対応し、
報知手段は、ステップS11,Q11に対応し、
案内要求手段は、マイク24またはコントローラ29に対応し、
要求可否判定手段は、ステップQ2に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0113】
例えば、開閉式のルーフとしては幌7に代えて、ハードトップ(ディタッチャブル・ハードトップいわゆるDHT)であってもよく、ディスプレイとしてはヘッドアップディスプレイ16に代えて、LCDディスプレイ等により形式されるメータ部23を用いてもよい。またナビゲーションユニット20による目的地Pの設定には、テンキー(図示せず)を設け、このテンキーにより電話番号を入力することで上記目的地Pを設定すべく構成してもよい。さらに、図4、図5、図6、図9で示したフローチャートの各ステップはそれぞれの処理内容に応じた手段を構成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の車両の開閉ルーフ装置を示す側面図
【図2】各種機器のレイアウトを車室内側から見た状態で示す説明図
【図3】制御回路ブロック図
【図4】停車地点案内処理を示すフローチャート
【図5】停車地点案内処理を示すサブルーチン
【図6】停車地点案内処理の他の実施例を示すサブルーチン
【図7】停車地点案内表示の一例を示す説明図
【図8】停車地点案内の簡易表示の一例を示す説明図
【図9】停車地点案内処理の他の実施例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0115】
6…車室
7…幌(開閉式のルーフ)
13…ルーフ開閉センサ(ルーフ開閉検知手段)
16…ヘッドアップディスプレイ(案内手段、画像表示手段)
20…ナビゲーションユニット(進行路設定手段、降雨情報取得手段)
24…マイク(進行路設定手段、経路設定手段、案内要求手段)
29…コントローラ(経路設定手段、案内要求手段)
31…携帯電話(降雨情報取得手段)
34…スピーカ(案内手段、音声発生手段)
46…キーレス携帯機
S5,Q5…降雨判定手段
S11,Q11…報知手段
S13,Q14…走行路判定手段
S16,S22,S34,Q17…ルーフ開放地点案内手段
Q2…要求可否判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室上部を開放状態と閉鎖状態とに選択できる開閉式のルーフを備えた車両において、
上記ルーフの開閉状態を検知するルーフ開閉検知手段と、
自車両の進行路を設定する進行路設定手段と、
降雨情報を取得する降雨情報取得手段と、
上記進行路設定手段と降雨情報取得手段とにより、自車両の進行路上が降雨状態か否かを判定する降雨判定手段とを備え、
上記ルーフ開閉検知手段によってルーフの開放状態が検出された時、上記降雨判定手段で降雨状態と判定されると、自車両の進行路の降雨区域手前で自車両が停車可能な停車地点の案内を行なう案内手段を備えた
車両の開閉ルーフ装置。
【請求項2】
上記進行路設定手段は、所定の目的地までの経路を案内するナビゲーションユニットの経路設定手段によって構成される
請求項1記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項3】
上記案内手段は、自車両が停車可能な停車地点を音声で案内する音声発生手段で構成される
請求項1または2記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項4】
上記案内手段は、車室内に設けられたディスプレイに自車両が停車可能な停車地点を画像で表示する画像表示手段で構成される
請求項1〜3の何れか1に記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項5】
自車両が自動車専用道路を走行中か否かを判定する走行路判定手段を備え、
上記案内手段は、該走行路判定手段により自車両が自動車専用道路を走行中であると判定した時に案内を実行する
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項6】
上記案内手段による案内を要求する案内要求手段と、
上記案内要求手段による乗員の案内要求の有無を判定する要求可否判定手段とを備え、
案内要求があった時に上記停車地点の案内を実行する
請求項1〜5の何れか1に記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項7】
進行路の降雨区域より先のルーフ開放のために自車両が停車可能な停車地点を案内するルーフ開放地点案内手段を備えた
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項8】
上記ルーフ開放地点案内手段は、ルーフの閉鎖時またはルーフの閉鎖後に案内を実行する
請求項7記載の車両の開閉ルーフ装置。
【請求項9】
自車両と通信可能なキーレス携帯機を備え、
上記ルーフ開閉検知手段でルーフの開放状態が検出され、かつ、降雨判定手段により降雨状態と判定された時、車外のキーレス携帯機に降雨接近を報知する報知手段を備えた
請求項1記載の車両の開閉ルーフ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−276501(P2007−276501A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101311(P2006−101311)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】