説明

車両の駆動源停止制御装置

【課題】駆動指令に対する電気モータの駆動状態に基づいて、適切にエンジン自動停止制御の実行の可否を決定する。
【解決手段】ポンプ用電子制御ユニット11は、油温センサ34により検出される作動油の油温Taに基づいて、電動式ポンプモータ33に供給すべき指示電流と、電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数M、上限値NHおよび下限値NLとを決定する。電流計112および位置検出回路113により、電動式ポンプモータ33の実電流値Ibおよび実モータ回転数Nが検出される。判定手段102は、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数Nが上限値NHを超え、あるいは下限値NLを下回る場合には、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給可能ではないと判定し、自動停止制御決定手段103は、エンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式オイルポンプと電動式オイルポンプとを備える車両において、所定の条件下でエンジン等の駆動源を停止するとともに、さらに所定の条件が成立するとエンジン等を再始動させる車両の駆動源停止制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が停止した際に、エンジンを停止させる制御(エンジン自動停止制御、あるいはアイドリングストップ制御)を行うことにより、車両の燃料経済性を向上させることができる車両のエンジン停止制御装置が知られている。このような装置では、エンジンとともに駆動する機械式のオイルポンプに加えて、エンジンの停止時に自動変速機などの変速機構に作動油を供給するための電動式のオイルポンプが設けられている。
【0003】
このような車両の駆動源停止制御装置としては、電動式オイルポンプのフェール状態を検出し、フェール状態になっている場合には、エンジンの自動停止制御を禁止するもの(例えば、特許文献1参照)や、電動式オイルポンプが劣化状態のとき、エンジンの自動停止制御を禁止するもの(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−45807号公報
【特許文献2】特開2000−230442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される装置では、バッテリの蓄電状態および電動式オイルポンプのフェール状態により、エンジン自動停止制御の実行を許可するか、禁止するかを決定している。しかしながら、バッテリの蓄電状態に問題がなく、電動式オイルポンプが正常に動作していても、その他要因、例えば、変速機構への油路経路の異常(つまりやリーク等)や油圧回路の各バルブの異常(固着等)により、エンジン自動停止時に必要な油圧を変速機構に正常に供給することができない場合がある。このような場合、特許文献1に開示される装置では、変速機構に必要な油圧を供給することができていないにも関わらず、正常であると判断してしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示される装置では、電動式オイルポンプの累積駆動時間や累積回転数などにより算出される累積負荷に基づいて電動式オイルポンプの劣化状態を判定し、電動式オイルポンプが劣化状態と判定された場合には、エンジン自動停止制御を禁止している。しかしながら、特許文献2に開示される装置では、ポンプ用のモータの劣化等については判断されておらず、また、特許文献1と同様に、変速機構への油路経路の異常(つまりやリーク等)や油圧回路の各バルブの異常(固着等)などの要因についても検討されていない。さらに、電動式オイルポンプの作動状態は、ユーザ(運転者)の運転状況によっても相当異なることも考えられる。そのため、電動式オイルポンプの累積負荷のみでエンジン自動停止制御の実行の可否を判断したとしても、電動式オイルポンプから変速機構に必要な油圧を供給することができない状態も起こり得るという問題もある。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動指令に対する電気モータの駆動状態に基づいて、駆動源の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプから変速機構に供給可能であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて駆動源自動停止制御の実行の可否を適切に決定することができる車両の駆動源停止制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の車両の駆動源停止制御装置は、車両を走行させる駆動源(1)と、駆動源(1)により駆動される機械式オイルポンプ(31)と、バッテリ(22)により駆動される電気モータ(33)と、電気モータ(33)により駆動される電動式オイルポンプ(32)と、機械式オイルポンプ(31)および電動式オイルポンプ(32)から供給される作動油により変速段を設定して、駆動源(1)の回転駆動力を変速して駆動輪(6)に伝達する変速機構(4)と、電気モータ(33)を制御して作動させるモータ制御部(11)と、駆動源(1)および変速機構(4)を制御する駆動源・変速機構制御部(10)とを備え、所定の条件が成立している場合には、車両が停止したときに駆動源(1)を停止させる駆動源自動停止制御を行う車両の駆動源停止制御装置において、駆動源・変速機構制御部(10)からの駆動指令に応じて、電気モータ(33)の駆動状態を検出する駆動状態検出手段(112、113)と、駆動状態検出手段(112、113)により検出される電気モータ(33)の駆動状態に基づいて、駆動源(1)の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ(32)から変速機構(4、30)に供給可能であるか否かを判定する判定手段(102)と、判定手段(102)の判定結果に基づいて、駆動源自動停止制御の実行を許可するか否かを決定する自動停止制御決定手段(103)とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の車両の駆動源停止制御装置によれば、モータ制御部(または駆動源・変速機構制御部)からの駆動指令に対する電気モータの駆動状態に基づいて、駆動源の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプから変速機構に供給可能であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて適切に駆動源自動停止制御の実行の可否を決定することができる。これにより、例えば、電気モータや電動式オイルポンプの劣化や累積負荷等の要因以外の要因(例えば、油路経路のつまりやリーク、変速機構を作動させる油圧制御回路内のバルブの固着等)による変速機構への油圧の供給不良を検出した場合に、所定の条件が成立したとしても駆動源自動停止制御の実行を適切に禁止することができる。
【0010】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、判定手段(102)が必要な油圧を変速機構(4、30)に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段(103)は駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定し、駆動源・変速機構制御部(10)は、駆動源自動停止制御の禁止の決定に基づいて、駆動源(1)が停止されている場合には駆動源(1)を再始動させればよい。これにより、一旦駆動源自動停止制御の実行を開始したとしても、油圧の供給不良によりこの駆動源自動停止制御を適切に中止させ、機械式オイルポンプを介して変速機構に必要な油圧を供給することができる。
【0011】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、駆動源・変速機構制御部(10)からの駆動指令に基づいて、電気モータ(33)に供給すべき電流値(Ia)を決定する電流値決定手段(101)と、作動油の油温(Ta)を検出する油温センサ(34)と、油温センサ(34)により検出される作動油の油温(Ta)に基づいて、電気モータ(33)の回転数の目標値(M)、上限値(NH)および下限値(NL)を決定する回転数決定手段(101)とをさらに備え、駆動状態検出手段は、電気モータ(33)に供給される電流値(Ib)を検出する電流値検出手段(112)と、電気モータ(33)の回転数(N)を検出する回転数検出手段(113)とを含み、判定手段(102)は、回転数検出手段(113)により検出される電気モータ(33)の回転数(N)が上限値(NH)を超え、あるいは下限値(NL)を下回る場合には、駆動源(1)の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプから変速機構(4、30)に供給可能ではないと判定し、自動停止制御決定手段(103)は、駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定すればよい。これにより、電気モータの実回転数が上限値を超えるような異常状態(例えば、電動式オイルポンプの吐出側の油路経路内におけるリークや各バルブの開放状態での固着、電動式オイルポンプの吸入側の油路経路内におけるリークやつまり等)や電気モータの実回転数が下限値を下回るような異常状態(例えば、電動式オイルポンプの吐出側の油路経路内におけるつまりや各バルブの閉止状態での固着、電気モータの劣化(メカ損失)や磁性体の劣化(減磁)等)が発生した場合に、所定の条件が成立したとしても駆動源自動停止制御の実行を適切に禁止することができる。
【0012】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、自動停止制御決定手段(103)が駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定した後、車両のイグニッションキー(23)がオフされたときに、モータ制御部(11)の制御により電気モータ(33)を制御して作動させ、駆動状態検出手段(112、113)は、このときの電気モータ(33)の駆動状態を検出し、判定手段(102)は、電気モータ(33)の駆動状態に基づいて、駆動源(1)の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ(32)から変速機構(4、30)に供給可能であるか否かを再度判定すればよい。これにより、車両のイグニッションキーがオフされて、駆動源・変速機構制御部やモータ制御部がスリープ状態になる前に、自動停止制御決定手段により駆動源自動停止制御の実行が禁止されているときには、判定手段が再度の判定を行い、この判定結果によりその禁止を解除可能であれば、次回イグニッションキーのオン時には所定の条件の成立により駆動源自動停止制御の実行を許可することができる。例えば、機械式オイルポンプの駆動によって、バルブの固着等によるリークやつまりが解消される場合には、次のDC(ドライブサイクル)から駆動源自動停止制御を実行することができ、これにより、車両の燃料経済性を向上させることができるとともに、車両の整備等の手間を低減させることができる。
【0013】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、判定手段(102)が再度の判定において必要な油圧を電動式オイルポンプ(32)から変速機構(4、30)に供給可能であると判定した場合には、自動停止制御決定手段(103)は、次回イグニッションキー(23)がオンされたとき、駆動源自動停止制御の実行を許可するものと決定し、判定手段(102)が再度の判定においても必要な油圧を電動式オイルポンプ(32)から変速機構(4、30)に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段(103)は、次回イグニッションキー(23)がオンされたときも、駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定すればよい。これにより、再度の判定で異常状態が解消した場合には、次のDC(ドライブサイクル)において駆動源自動停止制御の実行を許可することができ、再度の判定においても異常状態が解消されていない場合には、その後のDC(ドライブサイクル)においても駆動源自動停止制御の実行を禁止することができる。なお、異常状態が解消されない場合には、車両の整備等が必要であるので、ユーザ(運転者)に対してその旨を報知(警告)するようにしてもよい。
【0014】
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態における対応する構成要素を参考のために例示するものである。また、上記で括弧内に示した電流値、回転数、油温に対応する参照符号は、後述する実施形態における対応する値に付した符号を参考のために例示するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駆動指令に対する電気モータの駆動状態に基づいて、駆動源の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプから変速機構に供給可能であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて適切に駆動源自動停止制御の実行の可否を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両の駆動源停止制御装置が適用されるハイブリッド車両の走行駆動系の構成を示すブロック図である。
【図2】電子制御ユニットおよびポンプ用電子制御ユニットの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】機械式オイルポンプおよび電動式オイルポンプと油圧制御回路との油路接続を示す概略的なブロック図である。
【図4】作動油の油温Taと電動式ポンプモータの推定モータ回転数Mとの関係を示すグラフである。
【図5】トルク指令値NA、指示電流Iaおよび電動式ポンプモータの実モータ回転数Nの関係を示すグラフである。
【図6】電子制御ユニットで実行されるエンジン自動停止可否判定処理を示すフローチャートである。
【図7】電子制御ユニットで実行されるエンジン自動停止可否判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の車両の駆動源停止制御装置(エンジン停止制御装置)の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明の駆動源停止制御装置は、エンジンとモータジェネレータとを駆動源とするいわゆるハイブリッド車両に好適に適用される。しかしながら、本発明の駆動源停止制御装置は、ハイブリッド車両に限らず、ガソリンや軽油等の燃料エンジン(内燃機関)のみを搭載した車両に適用されてもよい。
【0018】
まず、本発明が適用されるハイブリッド車両の構成を説明する。図1は、本発明の車両の駆動源停止制御装置が適用されるハイブリッド車両の走行駆動系の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のハイブリッド車両は、駆動源として直列に連結して配設されたエンジン1およびモータジェネレータ2を備える。また、ハイブリッド車両は、エンジン1およびモータジェネレータ2の出力軸に連結して配設されるトルクコンバータ3と、自動変速機(変速機構)4と、自動変速機4の出力軸に連結されたディファレンシャル機構(DF)5と、モータジェネレータ2に供給する電力を制御するパワードライブユニット(PDU)21と、トルクコンバータ3、自動変速機4およびディファレンシャル機構5を制御するための油圧制御回路30と、エンジン1、パワードライブユニット21および油圧制御回路30を含む車両全体を制御する電子制御ユニット(「ECU:Electronic Control Unit」)10とを備えている。また、ハイブリッド車両は、少なくとも後述する電動式ポンプモータ33の駆動を制御するポンプ用電子制御ユニット11を備えている。
【0019】
エンジン1およびモータジェネレータ2の駆動回転は、択一的にあるいは一緒にトルクコンバータ3を介して自動変速機4に伝達される。トルクコンバータ3は流体(作動油)を介して駆動トルクの伝達を行うものであり、公知のように、図示しないロックアップクラッチやポンプ翼車、タービン翼車、ステータ等を備えている。なお、ロックアップ制御が行われているときには、エンジン1およびモータジェネレータ2の駆動回転は、トルクコンバータ3を介すことなく、自動変速機4に伝達される。自動変速機4は、本実施形態では、複数の変速ギヤ列からなる有段変速機構であり、複数の摩擦係合要素(クラッチ)を有する公知の自動変速機(AT:Automatic Transmission、AMT:Automated Manual Transmission)である。しかしながら、自動変速機4はいわゆる無段変速機(CVT)であってもよい。
【0020】
電子制御ユニット10の制御により、油圧制御回路30内の図示しないバルブ群(図3参照)がオンオフ制御等されることによって、トルクコンバータ3内のロックアップクラッチのロックアップ制御や自動変速機4内の所望の摩擦係合要素(クラッチ)の係合(締結)等の制御が行われる。すなわち、自動変速機4では、電子制御ユニット10の制御により運転状態に応じた変速段への自動変速制御が行われる。
【0021】
モータジェネレータ2は、エンジン1とモータジェネレータ2との協働走行やモータジェネレータ2のみのEV走行の際には、高圧バッテリ20の電気エネルギーを利用してハイブリッド車両を走行させるための駆動力を発生するモータとして機能する。また、モータジェネレータ2は、ハイブリッド車両の減速時にはモータジェネレータ2の回生により電力を発電するジェネレータとして機能する。このモータジェネレータ2の回生時には、高圧バッテリ20は、モータジェネレータ2により発電された電力(回生エネルギー)により充電される。
【0022】
本実施形態のハイブリッド車両は、モータジェネレータ2用の高圧バッテリ20とは別に、従来の車両に搭載される低圧バッテリ22を備える。低圧バッテリ22は、ハイブリッド車両のユーザ(運転者)によるイグニッションキー23のオン/オフによりハイブリッド車両のアクセサリ機器(電子制御ユニット10やポンプ用電子制御ユニット11を含む)に例えば12Vの電力を供給するものである。なお、低圧バッテリ22から電子制御ユニット10およびポンプ用電子制御ユニット11への配線には、それぞれリレー回路24、25が設けられる。
【0023】
電子制御ユニット10とポンプ用電子制御ユニット11とは通信ラインにより接続され、電子制御ユニット10からポンプ用電子制御ユニット11にトルク指令値等の指示(指令)が出力されるとともに、ポンプ用電子制御ユニット11から電子制御ユニット10に後述する検出された電流値やモータ回転数等のデータが出力される。なお、本実施形態では、電子制御ユニット10からの指示(指令)はトルク指令値として出力されるが、本発明はこれに限らず、例えば、電子制御ユニット10から電流指令値(指示電流)を後述する電動式ポンプモータ33に直接供給するような構成であってもよい。この場合、ポンプ用電子制御ユニット11を設けることなく、電動式ポンプモータ33の状態を検出する手段(後述する駆動状態検出手段)が電子制御ユニット10内に設けられればよい。
【0024】
本実施形態のハイブリッド車両は、油圧制御回路30に作動油を供給するための機械式オイルポンプ(MOP)31と、電動式オイルポンプ(EOP)32とを有する。機械式オイルポンプ31は、例えばトルクコンバータ3内の図示しないポンプ駆動歯車を介してエンジン1およびモータジェネレータ2により駆動される。なお、図1では、図示を容易にするために、機械式オイルポンプ31をエンジン1の図において左側に示しているが、実際には、トルクコンバータ3近傍に設けられている。
【0025】
電動式オイルポンプ32は、電子制御ユニット10により制御されるポンプ用電子制御ユニット(OP−ECU)11および電動式オイルポンプ32用の電動式ポンプモータ(電気モータ)33を介して駆動される。ポンプ用電子制御ユニット11は、電動式ポンプモータ33を駆動制御するためのモータドライバ12を備えている。なお、自動変速機4では、電子制御ユニット10による各バルブ(図示せず)のオン/オフ制御により機械式オイルポンプ31または電動式オイルポンプ32からの作動油(油圧)を油圧制御回路30に供給することにより所望の変速段が設定され、エンジン1およびモータジェネレータ2の回転駆動力を変速して駆動輪6に伝達する。
【0026】
本実施形態のハイブリッド車両では、電子制御ユニット10は、所定の条件が成立している場合には、ハイブリッド車両が停止したときにエンジン1を停止させるエンジン(駆動源)自動停止制御(アイドル停止制御)を行うものである。電子制御ユニット10によりエンジン自動停止制御が行われてエンジン1が停止することにより、機械式オイルポンプ31から油圧制御回路30への作動油(油圧)の供給が停止する。このとき、電子制御ユニット10の指令により、ポンプ用電子制御ユニット11のモータドライバ12を介して電動式ポンプモータ33が駆動され、電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30へ作動油が供給される。この電動式ポンプモータ33としては、例えば、低圧バッテリ22により駆動される三相ブラシレスDCモータが用いられる。
【0027】
なお、詳細な説明を省略するが、本実施形態のハイブリッド車両では、電子制御ユニット10は、エンジン1の自動停止制御(アイドル停止制御)を実施しているときに、さらに所定の条件が成立することにより、停止していたエンジン1を再始動するとともに、電動式ポンプモータ33の駆動を停止するものである。このように、ハイブリッド車両の一時停止時に(イグニッションキー23がオフされず、一時的に車両が停止している状態において)、エンジン1を停止しているので、車両の燃料経済性を向上させることができる。
【0028】
次に、本実施形態における電子制御ユニット10およびポンプ用電子制御ユニット11の構成を説明する。図2は、電子制御ユニット10およびポンプ用電子制御ユニット11の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の電子制御ユニット10は、制御部101と、判定手段102と、自動停止制御決定手段103と、メモリ104とを備える。また、本実施形態のポンプ用電子制御ユニット11は、モータドライバ12の他に、制御部111と、電流計(電流値検出手段)112と、位置検出回路(回転数検出手段)113とを備える。
【0029】
電子制御ユニット10の制御部101は、内部バスを介して、判定手段102、自動停止制御決定手段103およびメモリ104に接続され、特に後述するエンジン自動停止可否判定処理(図6および図7参照)を実行する際に各部を制御する。上述のように、この制御部101は、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に通信ラインを介して接続される。
【0030】
メモリ104は、例えば不揮発性メモリから構成され、後述する作動油の油温Taと、電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数Mおよびそのときのモータ回転数の上限値NH、下限値NLとの関係を示すマップデータ(図4参照)を格納する。また、メモリ104には、後述するエンジン自動停止可否判定処理におけるエンジン自動停止制御の許可または禁止に対応するフラグが一時的に記憶される。
【0031】
制御部101は、イグニッションキー23のオン状態において所定の条件が成立すると、エンジン1を停止させる。ここで、所定の条件としては、例えば、ハイブリッド車両が停止した状態(すなわち、車速が0の状態)において、シフトポジションがD(前進)ポジションからN(中立)ポジションまたはP(駐車)ポジションに移行され、かつ、エアコンのスイッチがオフの場合である。
【0032】
このとき、制御部101は、電動式ポンプモータ33を駆動させるために、電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給すべき作動油の油圧に応じて、トルク指令値(トルク指示)NAを制御部111に出力する。なお、制御部101は、トルク指令値NAに基づいて、電動式ポンプモータ33に供給すべき電流値、すなわち指示電流Iaを決定する電流値決定手段として機能する。ここで、指示電流Iaは、トルク指令値NAをトルク定数で除算することにより算出される。
【0033】
ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111は、受け取ったトルク指令値NAおよび指示電流Iaに基づいて、電動式ポンプモータ33に供給すべき指示電流Iaを出力するように、モータドライバ12を駆動制御する。ここで、電動式ポンプモータ33は、モータドライバ12から入力されるパルス電圧に基づいてその回転が制御される。すなわち、本実施形態では、パルス電圧の制御は、指示電流Iaに対応する実モータ回転数Nで電動式ポンプモータ33が回転するようにパルス幅を制御するパルス幅変調(PWM)方式によるものである。
【0034】
このとき、電流計112により電動式ポンプモータ33に供給される実電流値Ibが検出され、検出された実電流値Ibが制御部111に出力される。制御部111は、入力される電流値Ibと指示電流Iaとに基づいて、電動式ポンプモータ33に供給する電流が一定値の指示電流Iaとなるようにフィードバック制御を行う。
【0035】
また、位置検出回路113は、例えば複数のホール素子から構成され、電動式ポンプモータ33内のロータ(回転子)の回転数(実モータ回転数N)を検出する回転数検出手段として機能する。そして、電流計112および位置検出回路113は、エンジン自動停止制御中における電動式ポンプモータ33の駆動状態を検出する駆動状態検出手段を構成する。なお、電流計112により検出された実電流値(実質的には、フィードバック制御を行うため、指示電流Ia)(A)および位置検出回路113により検出されたロータの位置に基づく電動式ポンプモータ33の実モータ回転数N(rpm)は、制御部111を介して電子制御ユニット10の制御部101に出力される。また、ポンプ用電子制御ユニット11により駆動される実トルクNBは、最終的に電子制御ユニット10から出力されるトルク指令値NAと同等(一定値)となる。
【0036】
ここで、油圧制御回路30の近傍には、作動油の油温Taを検出する油温センサ34が設けられる。油温センサ34により検出される作動油の油温Taは電子制御ユニット10に出力される。電子制御ユニット10の制御部101は、図4に示すように、油温センサ34により検出される作動油の油温Taに基づいて、電動式ポンプモータ33のモータ回転数の目標値(推定モータ回転数)Mと、その上限値NH(rpm)および下限値NL(rpm)とを決定する(すなわち、制御部101が回転数決定手段として機能する)。
【0037】
図4は、作動油の油温Taと電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数Mとの関係を示すグラフである。作動油の油温Taと電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数Mとの間には、電動式ポンプモータ33の使用領域において概ね線形の関係(作動油による特性マップ)がある。そのため、作動油の油温Taが取得されると、電動式ポンプモータ33の推定されるモータ回転数Mが求められる。その推定モータ回転数Mに対応して、上限値NHおよび下限値NLは、上限値NH(rpm)=推定モータ回転数M+高閾値H、下限値NL(rpm)=推定モータ回転数M−低域値Lの式によりそれぞれ求められる。なお、高閾値Hおよび低域値Lは、同一の電動式ポンプモータ33を用いたテスト結果およびモータ温度、モータ進角分の回転変動に基づいて予め設定されればよい。
【0038】
図5に示すように、電動式ポンプモータ33は、トルク指令値NAに対して進角制御を行ってもよい。この場合、進角に応じてポンプ特性直線が図の矢印方向(図5で右方向)にずれ、トルク指令値NAおよび指示電流Iaが同じにも関わらず、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数がN(rpm)からN'(rpm)に増大する。なお、進角制御の場合、実モータ回転数N'の増加に応じて、電動式ポンプモータ33のモータ回転数の上限値NH(rpm)および下限値NL(rpm)も高域側にシフトされればよい。図5は、トルク指令値NA、指示電流Iaおよび電動式ポンプモータ33の実モータ回転数Nの関係を示すグラフである。図5に示す状態では、モータの実電流値Ibと指示電流Iaが近似であり、トルク指令値(指示トルク)NAと実トルクNBが近似であるため、電子制御ユニット10は、電動式ポンプモータ33が電子制御ユニット10の指令通りに駆動している状態であると判断し、後述する実モータ回転数Nの判定を行う。なお、図5に示す回転数制限値は、電動式ポンプモータ33の設計上、それ以上モータ回転数を高めることができない制限値である。
【0039】
判定手段102は、駆動状態検出手段により検出される電動式ポンプモータ33の駆動状態、すなわち、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数N(rpm)と、上述の作動油の油温Taに対応する推定モータ回転数M(rpm)の上限値NH(rpm)および下限値NLとに基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32により油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であるか否かを判定するものである。また、自動停止制御決定手段103は、判定手段102の判定結果に基づいて、所定の条件下においてエンジン1の自動停止制御の実行を許可するか否かを決定するものである。
【0040】
具体的には、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111は、位置検出回路113により検出されるロータ(回転子)の位置に基づいて、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数Nを算出(演算)し、判定手段102は、制御部111から取得した(受け付けた)実モータ回転数Nが下限値NL以上かつ上限値NH以下である場合には、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であると判定する。一方、判定手段102は、この実モータ回転数Nが上限値NHを超え、あるいは下限値NLを下回る場合には、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能ではないと判定する。
【0041】
判定手段102がエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であると判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、エンジン自動停止制御の実行を許可するものと決定し、その旨を示すフラグをメモリ104に記憶する。一方、判定手段102がエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、エンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定し、その旨を示すフラグをメモリ104に記憶する。ここで、本実施形態では、エンジン1を停止後に自動停止制御決定手段103がエンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定した場合には、電子制御ユニット10は、エンジン1を再始動させて、機械式オイルポンプ31を運転し、この機械式オイルポンプ31を介して油圧制御回路30に必要な油圧の作動油を供給することとなる。
【0042】
次に、本実施形態における機械式オイルポンプ31、電動式オイルポンプ32および油圧制御回路30を含む油圧制御装置の接続構成を説明する。図3は、機械式オイルポンプ31および電動式オイルポンプ32と油圧制御回路30との油路接続を示す概略的なブロック図である。
【0043】
エンジン1(またはモータジェネレータ2)が駆動している場合には、エンジン1の駆動力により、機械式オイルポンプ31が回転駆動される。機械式オイルポンプ31は、オイルタンク46から油路51を介して作動油を汲み上げて、油路52を介して油圧制御回路30内のレギュレータバルブ41に圧送する。レギュレータバルブ41は、機械式オイルポンプ31から圧送された作動油を調圧して、例えば油路53にライン圧PLを生成する。ライン圧PLの作動油は、複数のシフトバルブ、オンオフソレノイドバルブあるいはリニアソレノイドバルブなどを含むバルブ群42および油路54を介して、複数のクラッチ43内の所望のクラッチに供給され、そのクラッチを係合させる。各クラッチ43や各バルブ群42からドレインされる作動油や軸受け等に供給される潤滑油は、油路55およびストレーナ45を介してオイルタンク46に戻される。
【0044】
一方、エンジン1の自動停止制御中においては、低圧バッテリ22の電源によりモータドライバ12および電動式ポンプモータ33を介して電動式オイルポンプ32が回転駆動される。電動式オイルポンプ32は、オイルタンク46から油路51を介して作動油を汲み上げて、油路57、逆止弁(チャッキ弁)44および油路58を介して油圧制御回路30内のレギュレータバルブ41に圧送する。レギュレータバルブ41は、電動式オイルポンプ32から圧送された作動油を調圧して、例えば油路53にライン圧PLを生成する。ライン圧PLの作動油は、複数のシフトバルブ、オンオフソレノイドバルブあるいはリニアソレノイドバルブなどを含むバルブ群42および油路54を介して、複数のクラッチ43内の所望のクラッチに供給され、そのクラッチを係合させる。各クラッチ43や各バルブ群42からドレインされる作動油や軸受け等に供給される潤滑油は、油路55およびストレーナ45を介してオイルタンク46に戻される。
【0045】
ここで、機械式オイルポンプ31の出力側の油路52は、レギュレータバルブ41を介して油路58にも繋がっている。このため、例えば逆止弁44内のボールやフロート、スイングなどが内壁に固着等していた場合であっても、機械式オイルポンプ31の吐出圧力によりその固着等が解消される場合もあり得る。そのため、本発明では、上述のように、判定手段102により電動式オイルポンプ32ではエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給することができないと判定した場合であっても、ハイブリッド車両のイグニッションキー23のオフ時に電動式オイルポンプ32を運転して、判定手段102による再度の判定処理を行うこととしている。詳細については、後述する。
【0046】
図2に戻って、電動式オイルポンプ32ではエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給することができないと判定した場合について説明する。まず、実モータ回転数Nが上限値NHを超える場合として考えられるのは、電動式オイルポンプ32が無負荷状態で運転する場合(すなわち、電動式オイルポンプ32とオイルタンク46の間の油路56あるいは油路55およびストレーナ45において油路が閉止している場合)や電動式オイルポンプ32を含む油路経路内にリークが発生している場合などの油圧制御回路30に対して加圧不良である場合である。
【0047】
ここで、リークの発生原因としては、油圧制御回路30内のレギュレータバルブ41やバルブ群42の各バルブの固着によるドレイン等へのリークが考えられる。この場合、機械式オイルポンプ31の運転状態においても同様のリークが発生するため、電子制御ユニット10は、本発明とは別のロジックにより油圧制御回路30のエラーを検出することとなる。
【0048】
また、実モータ回転数Nが下限値NLを下回る場合として考えられるのは、電動式オイルポンプ32の吐出側の油路経路中のつまりや逆止弁44のボールの固着、電動式ポンプモータ33の劣化(メカ損失)やこの電動式ポンプモータ33内の磁性体の劣化(減磁)等が発生するなどの油圧制御回路30に対して加圧不良である場合である。
【0049】
したがって、このような場合には、エンジン1の自動停止制御を継続すると油圧制御回路30および自動変速機4に正常に油圧を供給することができないので、電子制御ユニット10は、自動停止制御中のエンジン1を再始動させ、自動停止制御決定手段103は、今後のエンジン自動停止制御の実行を禁止するものとして、メモリ104にその旨を記憶する。逆に、実モータ回転数N(rpm)が上限値NHと下限値NLの間にある場合には、電子制御ユニット10は、所定条件下でエンジン自動停止制御を継続すればよい。
【0050】
従来の技術では、電気モータのフェールや劣化(駆動できない状態)のみを考慮して、電気モータのフェールや劣化があると判断した場合に、エンジン自動停止制御を禁止したり、中止したりするものであった。しかしながら、本発明では、電動式ポンプモータ33への指示電流Iaと実モータ回転数Nに基づいて、エンジン自動停止制御の可否を判断しているため、さらに、油路経路や各バルブからの作動油のリークや、逆止弁44や各バルブの固着などによる油圧制御回路30のエラーを検出することができ、このようなエラー発生時にはエンジン自動停止制御の実行を適切に禁止することができる。
【0051】
ところで、本実施形態では、上述のように、自動停止制御決定手段103が、判定手段102の判定結果に基づいて、エンジン自動停止制御の実行を禁止した場合には、電子制御ユニット10の制御部101は、その旨(エンジン自動停止制御の禁止情報)をメモリ104に記憶し、1DC(ドライブサイクル)中においては、ポンプ用電子制御ユニット11による電子制御ユニット10との連動制御を禁止するものとしている。すなわち、エンジン自動停止制御の実行が禁止されている場合には、電子制御ユニット10は、エンジン自動停止制御の実行条件が成立したか否かを判断することなく、エンジン1のアイドリング運転を行うこととなる。この場合、電子制御ユニット10は、例えば、低圧バッテリ22からポンプ用電子制御ユニット11へのリレー回路25をオフにすればよい。
【0052】
本実施形態では、このようにエンジン自動停止制御の実行を禁止する旨がメモリ104に記憶されているときに、イグニッションキー23がオフされた場合には、電子制御ユニット10は、スリープ状態となる前に、ポンプ用電子制御ユニット11を制御して電動式ポンプモータ33を駆動させ、判定手段102は、駆動状態検出手段により検出される電動式ポンプモータ33の駆動状態、すなわち、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数N(rpm)と、上述の推定モータ回転数M(rpm)の上限値NH(rpm)および下限値NLとに基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32を介して油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であるか否かを再度判定している。
【0053】
すなわち、自動停止制御決定手段103がエンジン1の自動停止制御の実行を禁止するものと決定した後、ハイブリッド車両のイグニッションキー23がオフされたときに、電子制御ユニット10の制御により電動式ポンプモータ33を制御して作動させる。このとき、位置検出回路113は、電動式ポンプモータ33のロータの位置に基づいて実モータ回転数Nを検出し、制御部101は、油温センサ34から作動油の油温Taを取得する。そして、判定手段102は、この実モータ回転数Nと、作動油の油温Taに対応する推定モータ回転数M(rpm)の上限値NH(rpm)および下限値NLとに基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であるか否かを再度判定するものである。
【0054】
そして、判定手段102が再度の判定においてエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給可能であると判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、次回イグニッションキー23がオンされたとき、エンジン1の自動停止制御の実行を許可するものと決定する。これにより、ポンプ用電子制御ユニット11による電子制御ユニット10との連動制御が許可され、電子制御ユニット10の制御部101は、エンジン1の自動停止制御の実行を許可する旨をメモリ104に記憶するとともに、リレー回路25をオンすればよい。
【0055】
一方、判定手段102が再度の判定においてもエンジン1の自動停止中に必要な油圧を油圧制御回路30(自動変速機4)に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、次回イグニッションキー23がオンされたときも、エンジン1の自動停止制御の実行を禁止するものと決定することになる。これにより、エンジン自動停止制御の実行を禁止する旨(禁止情報)がメモリ104に保持されたままとなり、イグニッションキー23が再度オンされ、エンジン1が始動されても、電子制御ユニット10は、エンジン1の自動停止制御の実行を禁止するとともに、イグニッションキー23のオフ時の再判定を繰り返し実行すればよい。なお、イグニッションキー23のオフ時の再判定で所定回数(例えば2回)連続して、自動停止制御決定手段103によりエンジン1の自動停止制御の実行を禁止するものと決定された場合には、電子制御ユニット10は、ユーザ(運転者)に対してエンジン1の自動停止制御を実行することができないことを例えばフロントパネルの警告ランプを用いて報知(警告)するようにしてもよい。
【0056】
次に、本発明の車両の駆動源停止制御装置の動作を説明する。図6および図7は、本実施形態の電子制御ユニット10で実行されるエンジン自動停止可否判定処理を示すフローチャートである。このエンジン自動停止可否判定処理は、イグニッションキー23がオンされているときに例えば所定時間毎に実行されるものである。
【0057】
まず、電子制御ユニット10は、イグニッションキー23がオフになっているか否かを判断する(ステップS101)。イグニッションキー23がオフになっていると判断した場合には、処理フローはステップS119に移行し、判定手段102による再度の判定処理を実行する。一方、イグニッションキー23がオフになっていないと判断した場合には、制御部101は、メモリ104に記憶されているエンジン自動停止制御の可否情報(許可情報または禁止情報のフラグ)を読み出す(ステップS102)。
【0058】
そして、制御部101は、ステップS102においてメモリ104から読み出した情報がエンジン自動停止制御の許可であるか否かを判断する(ステップS103)。エンジン自動停止制御の許可ではない、すなわち、エンジン自動停止制御の実行を禁止するものと判断した場合には、制御部101は、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に対して、イグニッションキー23のスイッチのオン/オフに応じて電子制御ユニット10に連動することを不許可とする指示(指令)を出力し(ステップS105)、このエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0059】
一方、エンジン自動停止制御の許可であると判断した場合には、制御部101は、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に対して、イグニッションキー23のスイッチのオン/オフに応じて電子制御ユニット10に連動することを許可する指令を出力する(ステップS104)。
【0060】
そして、制御部101は、エンジン1の自動停止制御を実行するための条件(所定の条件)が成立したか否かを判断する(ステップS106)。エンジン自動停止制御の実行条件が成立していないと判断した場合には、処理フローはそのままこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。エンジン自動停止制御の実行条件が成立したと判断した場合には、制御部101は、エンジン1を停止させ、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に対してトルク指令値NAを出力する(ステップS107)。
【0061】
ここで、制御部101は、トルク指令値NAに基づいて、電動式ポンプモータ33に供給すべき指示電流Iaを決定し、決定された指示電流Iaも制御部111に出力されてもよい。制御部111は、このトルク指令値NA(指示電流Ia)に基づいて、パルス幅変調方式により電動式ポンプモータ33を駆動制御する。そして、制御部111は、電流計112により検出された実電流値Ibと、位置検出回路113により検出された実モータ回転数Nとを制御部101に出力する。そして、制御部101は、実電流値Ibおよび実モータ回転数Nを受け付ける(ステップS108)。
【0062】
次いで、制御部101は、実電流値Ibおよびトルク定数を用いて実トルクNBを算出し、トルク指令値NAが算出された実トルクNBと実質的に等しいか否かを判断する(ステップS109)。トルク指令値NAと実トルクNBが実質的に等しくないと判断した場合には、処理フローはこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0063】
一方、トルク指令値NAと実トルクNBが実質的に等しいと判断した場合には、制御部101は、続いて、指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しいか否かを判断する(ステップS110)。指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しくないと判断した場合にも、処理フローはこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0064】
指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しいと判断した場合には、制御部101は、油温センサ34により検出された作動油の油温Taを取得し(ステップS111)、この油温Taおよび図4のグラフに基づいて、電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数M、上限値NHおよび下限値NLを決定する(ステップS112)。
【0065】
そして、制御部101は、ステップS108において取得された実モータ回転数Nが上限値NHよりも大きいか否か(ステップS113)、実モータ回転数Nが下限値NLよりも小さいか否か(ステップS114)を順次判断する。実モータ回転数Nが下限値NL以上、上限値NH以下であると判断した場合には、制御部101は、エンジン1の自動停止制御の実行を許可することを決定し(ステップS115)、メモリ104にその旨を記憶して、このエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0066】
一方、実モータ回転数Nが上限値NHよりも大きいか、あるいは下限値NLよりも小さいと判断した場合には、制御部101は、エンジン1の自動停止制御の実行を禁止することを決定し(ステップS116)、メモリ104にその旨を記憶して(ステップS117)、ステップS105の処理と同様に、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に対して、イグニッションキー23のスイッチのオン/オフに応じて電子制御ユニット10に連動することを不許可とする指示(指令)を出力し(ステップS118)、このエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0067】
ステップS101において、イグニッションキー23がオフになっていると判断した場合には、制御部101は、メモリ104に記憶されているフラグを読み出し、現在エンジン自動停止制御の実行が禁止されているか否かを判断する(ステップS119)。エンジン自動停止制御の実行が禁止されていないと判断した場合には、処理フローはこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0068】
一方、エンジン自動停止制御の実行が禁止されていると判断した場合には、制御部101は、ステップS107〜S112までの処理と同様に、ポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に対してトルク指令値NAを出力し(ステップS120)、制御部111から実電流値Ibおよび実モータ回転数Nを受け付ける(ステップS121)。
【0069】
次いで、制御部101は、トルク指令値NAが実トルクNBと実質的に等しいか否かを判断する(ステップS122)。トルク指令値NAと実トルクNBが実質的に等しくないと判断した場合には、処理フローはこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。トルク指令値NAと実トルクNBが実質的に等しいと判断した場合には、制御部101は、続いて、指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しいか否かを判断する(ステップS123)。指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しくないと判断した場合にも、処理フローはこのエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0070】
指示電流Iaと実電流値Ibとが実質的に等しいと判断した場合には、制御部101は、油温センサ34により検出された作動油の油温Taを取得し(ステップS124)、この油温Taおよび図4のグラフに基づいて、電動式ポンプモータ33の推定モータ回転数M、上限値NHおよび下限値NLを決定する(ステップS125)。
【0071】
そして、制御部101は、ステップS121において取得された実モータ回転数Nが上限値NHよりも大きいか否か(ステップS126)、実モータ回転数Nが下限値NLよりも小さいか否か(ステップS127)を順次判断する(判定手段102による再度の判定を行う)。実モータ回転数Nが下限値NL以上、上限値NH以下であると判断した場合には、制御部101は、再度の判定により油路経路のリークやつまり等が解除されたと考えられるため、エンジン1の自動停止制御の実行を許可することを決定し(ステップS128)、メモリ104にその旨を記憶する。
【0072】
一方、実モータ回転数Nが上限値NHよりも大きいか、あるいは下限値NLよりも小さいと判断した場合には、制御部101は、エンジン1の自動停止制御の実行の禁止をそのまま保持することを決定し(ステップS129)、メモリ104にその旨を記憶する(ステップS130)。そして、制御部101は、再度の判定終了をポンプ用電子制御ユニット11の制御部111に通知する(ステップS131)。制御部111は、モータドライバ12による電動式ポンプモータ33の駆動を停止して、制御部101および制御部111がスリープ状態に移行し(ステップS132)、このエンジン自動停止可否判定処理を終了する。
【0073】
以上のように、本発明の車両の駆動源停止制御装置によれば、ハイブリッド車両またはガソリンや軽油等の燃料車両を走行させるエンジン1(およびモータジェネレータ2)と、エンジン1により駆動される機械式オイルポンプ31と、低圧バッテリ22によりポンプ用電子制御ユニット11内のモータドライバ12を介して駆動される電動式ポンプモータ33と、この電動式ポンプモータ33により駆動される電動式オイルポンプ32と、機械式オイルポンプ31および電動式オイルポンプ32から供給される作動油により変速段(各クラッチ43)を設定して、エンジン1(あるいはモータジェネレータ2)の回転駆動力を変速して駆動輪6に伝達する自動変速機4と、電動式ポンプモータ33を制御して作動させるポンプ用電子制御ユニット11と、エンジン1、自動変速機4、パワードライブユニット21および油圧制御回路30などを制御する電子制御ユニット10とを備え、所定の条件が成立している場合には、ハイブリッド車両が停止したときにエンジン1を停止させるエンジン自動停止制御(駆動源自動停止制御)を行う車両の駆動源停止制御装置において、電子制御ユニット10およびポンプ用電子制御ユニット11からの駆動指令(トルク指令値)に応じて、電動式ポンプモータ33の駆動状態を検出する駆動状態検出手段としての電流計112および位置検出回路113と、電流計112および位置検出回路113により検出される電動式ポンプモータ33の駆動状態(実電流値Ibおよび実モータ回転数N)に基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から自動変速機4および油圧制御回路30に供給可能であるか否かを判定する判定手段102と、この判定手段102の判定結果に基づいて、エンジン自動停止制御の実行を許可するか否かを決定する自動停止制御決定手段103とを備えることとした。本発明の車両の駆動源停止制御装置を上記のように構成することにより、電子制御ユニット10およびポンプ用電子制御ユニット11からの駆動指令(トルク指令値または駆動電流の指示値)に対する電動式ポンプモータ33の駆動状態に基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30および自動変速機4に供給可能であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて適切にエンジン自動停止制御の実行の可否を決定することができる。これにより、例えば、電動式ポンプモータ33や電動式オイルポンプ32の劣化や累積負荷等の要因以外の要因(例えば、油路経路のつまりやリーク、油圧制御回路30内のバルブ群42のいずれかもしくは逆止弁44の固着等)による油圧制御回路30への油圧の供給不良を検出した場合に、所定の条件が成立したとしてもエンジン1の自動停止制御の実行を適切に禁止することができる。
【0074】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、判定手段102がエンジン1の停止時に必要な油圧を油圧制御回路30に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段103はエンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定し、電子制御ユニット10は、エンジン自動停止制御の禁止の決定に基づいて、現在エンジン1が停止されている場合にはエンジン1を再始動させればよい。これにより、電子制御ユニット10の制御により一旦エンジン自動停止制御の実行を開始したとしても、油圧制御回路30への油圧の供給不良によりこのエンジン自動停止制御を適切に中止させ、機械式オイルポンプ31を介して油圧制御回路30に必要な油圧を供給することができる。
【0075】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、作動油の油温Taを検出する油温センサ34をさらに備え、ポンプ用電子制御ユニット11は、電子制御ユニット10からの駆動指令(トルク指令値)に基づいて、電動式ポンプモータ33に供給すべき電流値(指示電流)Iaを決定し、油温センサ34により検出される作動油の油温Taに基づいて、電動式ポンプモータ33の回転数の目標値(推定モータ回転数)M、上限値NHおよび下限値NLを決定し、駆動状態検出手段として、電動式ポンプモータ33に供給される実電流値Ibを検出するための電流計112と、電動式ポンプモータ33の実モータ回転数Nを検出するための位置検出回路113とが設けられ、判定手段102は、位置検出回路113により検出される電動式ポンプモータ33の実モータ回転数Nが上限値NHを超え、あるいは下限値NLを下回る場合には、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給可能ではないと判定し、自動停止制御決定手段103は、エンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定すればよい。これにより、電動式オイルポンプ32の実モータ回転数Nが上限値NHを超えるような異常状態(例えば、電動式オイルポンプ32の吐出側の油路経路内におけるリークや各バルブの開放状態での固着、電動式オイルポンプ32の吸入側の油路経路内におけるリークやつまり等)や電動式オイルポンプ32の実モータ回転数Nが下限値NLを下回るような異常状態(例えば、電動式オイルポンプ32の吐出側の油路経路内におけるつまりや各バルブ(逆止弁44を含む)の閉止状態での固着、電動式オイルポンプ32の劣化(メカ損失)や磁性体の劣化(減磁)等)が発生した場合に、所定の条件が成立したとしてもエンジン自動停止制御の実行を適切に禁止することができる。
【0076】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、自動停止制御決定手段103がエンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定した後、ハイブリッド車両のイグニッションキー23がオフされたときに、ポンプ用電子制御ユニット11の制御により電動式ポンプモータ33を制御して作動させ、電流計112および位置検出回路113は、このときの電動式ポンプモータ33の駆動状態(実電流Ib、実モータ回転数N)を検出し、判定手段102は、電動式ポンプモータ33の駆動状態に基づいて、エンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給可能であるか否かを再度判定すればよい。これにより、車両のイグニッションキー23がオフされて、電子制御ユニット10やポンプ用電子制御ユニット11がスリープ状態になる前に、自動停止制御決定手段103によりエンジン自動停止制御の実行が禁止されているときには、判定手段102が再度の判定を行い、この判定結果によりその禁止を解除可能であれば、次回イグニッションキー23のオン時には所定の条件の成立によりエンジン自動停止制御の実行を許可することができる。例えば、機械式オイルポンプ31の駆動によって、バルブ群42のシフトバルブや逆止弁44の固着等によるリークやつまりが解消される場合には、次のDC(ドライブサイクル)からエンジン自動停止制御を実行することができ、これにより、車両の燃料経済性を向上させることができるとともに、車両の整備等の手間を低減させることができる。
【0077】
本発明の車両の駆動源停止制御装置では、判定手段102が再度の判定においてエンジン1の自動停止中に必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給可能であると判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、次回イグニッションキー23がオンされたとき、エンジン自動停止制御の実行を許可するものと決定し、判定手段102が再度の判定においても必要な油圧を電動式オイルポンプ32から油圧制御回路30に供給することができないと判定した場合には、自動停止制御決定手段103は、次回イグニッションキー23がオンされたときも、エンジン自動停止制御の実行を禁止するものと決定すればよい。これにより、再度の判定で異常状態が解消した場合には、次のDC(ドライブサイクル)においてエンジン自動停止制御の実行を許可することができ、再度の判定においても異常状態が解消されていない場合には、その後のDC(ドライブサイクル)においてもエンジン自動停止制御の実行を禁止することができる。なお、異常状態が解消されない場合には、車両の整備等が必要であるので、ユーザ(運転者)に対してその旨を報知(警告)するようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明の車両の駆動源停止制御装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は、これらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書および図面に記載のない形状・構造・機能を有するものであっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。すなわち、電子制御ユニット10やポンプ用電子制御ユニット11を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0079】
なお、上述の実施形態では、電動式ポンプモータ33を駆動させるために電子制御ユニット10からトルク指令値を出力し、それに応じてポンプ用電子制御ユニット11によりパルス幅変調制御を行って電動式ポンプモータ33を駆動するものとしていたが、本発明はこのような構成に限らず、電子制御ユニット10が例えば電流指令値を直接出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 エンジン
4 自動変速機
10 電子制御ユニット
101 制御部
102 判定手段
103 自動停止制御決定手段
104 メモリ
11 ポンプ用電子制御ユニット
12 モータドライバ
111 制御部
112 電流計
113 位置検出回路
22 低圧バッテリ
23 イグニッションキー
24、25 リレー回路
30 油圧制御回路
31 機械式オイルポンプ
32 電動式オイルポンプ
33 電動式ポンプモータ
34 油温センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行させる駆動源と、前記駆動源により駆動される機械式オイルポンプと、バッテリにより駆動される電気モータと、前記電気モータにより駆動される電動式オイルポンプと、前記機械式オイルポンプおよび前記電動式オイルポンプから供給される作動油により変速段を設定して、前記駆動源の回転駆動力を変速して駆動輪に伝達する変速機構と、前記電気モータを制御して作動させるモータ制御部と、前記駆動源および前記変速機構を制御する駆動源・変速機構制御部とを備え、所定の条件が成立している場合には、前記車両が停止したときに前記駆動源を停止させる駆動源自動停止制御を行う車両の駆動源停止制御装置において、
前記駆動源・変速機構制御部からの駆動指令に応じて、前記電気モータの駆動状態を検出する駆動状態検出手段と、
前記駆動状態検出手段により検出される前記電気モータの駆動状態に基づいて、前記駆動源の自動停止中に必要な油圧を前記電動オイルポンプから前記変速機構に供給可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記駆動源自動停止制御の実行を許可するか否かを決定する自動停止制御決定手段と
を備えることを特徴とする車両の駆動源停止制御装置。
【請求項2】
前記判定手段が前記必要な油圧を前記変速機構に供給することができないと判定した場合には、前記自動停止制御決定手段は前記駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定し、前記駆動源・変速機構制御部は、前記駆動源自動停止制御の禁止の決定に基づいて、前記駆動源が停止されている場合には前記駆動源を再始動させることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動源停止制御装置。
【請求項3】
前記駆動指令に基づいて、前記電気モータに供給すべき電流値を決定する電流値決定手段と、
前記作動油の油温を検出する油温センサと、
前記油温センサにより検出される前記作動油の油温に基づいて、前記電気モータの回転数の目標値、上限値および下限値を決定する回転数決定手段と
をさらに備え、
前記駆動状態検出手段は、
前記電気モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段と、
前記電気モータの回転数を検出する回転数検出手段とを含み、
前記判定手段は、前記回転数検出手段により検出される前記電気モータの回転数が前記上限値を超え、あるいは前記下限値を下回る場合には、前記必要な油圧を前記変速機構に供給可能ではないものと判定し、前記自動停止制御決定手段は、前記駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の駆動源停止制御装置。
【請求項4】
前記自動停止制御決定手段が前記駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定した後、前記車両のイグニッションキーがオフされたときに、前記モータ制御部の制御により前記電気モータを制御して作動させ、
前記駆動状態検出手段は、このときの前記電気モータの駆動状態を検出し、前記判定手段は、前記電気モータの駆動状態に基づいて、前記必要な油圧を前記変速機構に供給可能であるか否かを再度判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の駆動源停止制御装置。
【請求項5】
前記判定手段が前記再度の判定において前記必要な油圧を前記電動式オイルポンプから前記変速機構に供給可能であると判定した場合には、前記自動停止制御決定手段は、次回前記イグニッションキーがオンされたとき、前記駆動源自動停止制御の実行を許可するものと決定し、
前記判定手段が前記再度の判定においても前記必要な油圧を前記電動式オイルポンプから前記変速機構に供給することができないと判定した場合には、前記自動停止制御決定手段は、次回前記イグニッションキーがオンされたときも、前記駆動源自動停止制御の実行を禁止するものと決定することを特徴とする請求項4に記載の車両の駆動源停止制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−106296(P2011−106296A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259356(P2009−259356)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】