説明

車車間通信システム

【課題】自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両から挙動変化に関する挙動変化情報を取得し、取得した挙動変化情報に基づいて走行を案内することにより、分岐点を走行する後続車両に対して有益な情報を選別して付与することを可能にした車車間通信システムを提供する。
【解決手段】高速道路等の本線に合流する為の加速レーンに進入した際に、加速レーンから本線への合流を行う分岐点を自車と同一方向に進む先行車両を検出し(S23)、先行車両から取得した交通情報や挙動変化情報に基づいて後続車両の分岐点における走行を補助する案内を作成し(S29)、作成した案内を液晶ディスプレイ10やスピーカ11により出力する(S30)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上を走行する複数の車両間において情報の通信を行う車車間通信システムに関し、特に、自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両から挙動変化に関する挙動変化情報を取得し、取得した挙動変化情報に基づいて走行を案内することにより、分岐点を走行する後続車両に対して有益な情報を選別して付与することを可能にした車車間通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両を運転する運転者が、自己の五感等により得られる情報はかなり限られている。特に道路が渋滞して自車の前後に近接して他の車両が走行又は停車している場合や、見通しの悪い道路を走行する場合には、前方や後方の視界が遮られることとなる。そして、このような限られた情報の中で運転を行わなければならない状況下において運転者が適切な運転を行うことは非常に困難な作業となっていた。
そこで、従来より車両間で無線通信により情報を交換する車車間通信システムについて提案されている。例えば、特開2004−145672号公報には、先行する車両の中から交差点で同じ方向に進む車両を検出し、検出した車両に搭載されたカメラで撮像した画像を無線で受信するとともに、その画像をディスプレイに表示することによって、後続車両の走行を支援することが可能な車車間通信システムについて記載されている。
上記システムによれば、複数の車両間で情報の共有を行うことができるので、自車両からでは認識できない情報を他車両から提供された情報に基づいて運転者が把握することが可能となり、より適切に走行を行うことが可能となる。
【特許文献1】特開2004−145672号公報(第9頁〜第15頁、図2〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、前記した特許文献1に記載された車車間通信システムにように、カメラで撮像したカメラ画像を用いて車両間で情報の提供を行うことは、先行車両の周辺の具体的な情報を後続車両に対して提供できるという利点があるが、後続車両にとって有益な情報をカメラ画像のみから読み取るのは困難であった。即ち、撮像した画像からは先行車両の周辺に位置する他車両や障害物の情報を得ることは可能であるが、分岐点を走行する後続車両にとっては、そのような周辺環境の情報よりも分岐点での走行をスムーズに行う為の情報が有益である。例えば、分岐点において先行車両がどのような挙動により合流を行ったに関する情報を得ることができれば、後続車両はより安全で適切な走行を行うことが可能になると考えられる。
更に、走行中の車両によって撮像され、且つ無線によって送信されたカメラ画像にはノイズが多く含まれることとなり、そのような画像を参照するのみでは運転者は適切な走行を行うことが困難となっていた。
【0004】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、先行車両から車両の挙動変化に係る挙動変化情報を後続車両に対して送信することによって、先行車両から分岐点を走行する後続車両に対して有益な情報を選別して付与することを可能にした車車間通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車車間通信システム(1)は、道路上を走行する複数の車両(2)間において情報の通信を行う車車間通信システムにおいて、自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両を検出する先行車両検出手段(7)と、前記先行車両検出手段によって検出された先行車両から当該先行車両の挙動変化に関する挙動変化情報を取得する情報取得手段(3)と、前記情報取得手段により取得した挙動変化情報に基づいて走行を案内する走行案内手段(10、11)と、を有することを特徴とする。
尚、「分岐点」とは、交差点の他に高速道路、有料道路、国道等の本線と本線に合流する為の加速レーンとの合流点も含む。
【0006】
また、請求項2に係る車車間通信システム(1)は、請求項1に記載の車車間通信システムにおいて、加速レーン(62)を走行しているか否かを判定するレーン判定手段(7)を有し、前記先行車両検出手段(7)は前記レーン判定手段によって加速レーンを走行していると判定された場合に加速レーンから本線(61)への合流を行う分岐点を同一方向に進む先行車両の検出を行うことを特徴とする。
尚、「加速レーン」とは、高速道路、有料道路、国道等の本線に合流する為のレーンを示す。
【0007】
また、請求項3に係る車車間通信システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の車車間通信システムにおいて、前記先行車両検出手段(7)は加速レーン(62)を走行する先行車両及び加速レーンの出口から所定範囲を走行する先行車両を検出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る車車間通信システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車車間通信システムにおいて、前記情報取得手段(3)によって取得された挙動変化情報に基づいて加速レーン(62)から本線(61)への合流が困難であるか否かを判定する合流判定手段(7)を有し、前記走行案内手段(10、11)は前記合流判定手段によって合流が困難であると判定された場合に走行を案内することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項5に係る車車間通信システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車車間通信システムにおいて、前記情報取得手段(3)は先行車両の車速に関する情報を取得し、前記情報取得手段により取得した先行車両の車速に基づいて渋滞状況を判定する渋滞判定手段(7)を有し、前記走行案内手段(10、11)は前記渋滞判定手段によって判定された渋滞状況を案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1の車車間通信システムでは、自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両を検出するとともに、検出された先行車両から当該先行車両の挙動変化に関する挙動変化情報を取得し、取得した挙動変化情報に基づいて走行の案内を行うので、先行車両が取得した情報の内、分岐点を走行する後続車両に対して有益な情報を選別して付与することが可能となる。従って、後続車両は案内に基づいて分岐点でのスムーズな走行を行うことが可能となる。
また、カメラ撮像した画像を送信する場合と比較して、送信する情報量が小さくなるので情報通信に係る通信時間の短縮や処理負荷の軽減が可能となる。更に、通信時において画像中にノイズ等が生じることにより、正確な情報が送信できなくなる虞もない。
【0011】
また、請求項2の車車間通信システムでは、加速レーンを走行していると判定された場合に加速レーンから本線への合流を行う分岐点を同一方向に進む先行車両の検出を行うので、加速レーンから本線への合流を行う後続車両に対して有益な情報を選別して付与することが可能となる。従って、後続車両は案内に基づいて分岐点での本線への合流をスムーズに行うことが可能となる。
【0012】
また、請求項3の車車間通信システムでは、加速レーンを走行する先行車両及び加速レーンの出口から所定範囲を走行する先行車両を検出して情報の取得を行うので、加速レーンから本線への合流を行う後続車両に対して、加速レーンを走行中の先行車両や本線へと合流した後の先行車両において取得された様々な状況下での情報を付与することが可能となる。従って、後続車両は案内に基づいて分岐点での本線への合流をスムーズに行うことが可能となる。
【0013】
また、請求項4の車車間通信システムでは、加速レーンから本線への合流が困難であるか否かを判定するとともに、合流が困難であると判定された場合に走行の案内を行うので、利用者が必要とするタイミングで必要となる情報のみを案内することが可能となる。従って、利用者は不要な案内によって運転に対する集中力が失うことなく、且つ、案内の必要な状況下では案内に基づいて分岐点でのスムーズな走行を行うことが可能となる。
【0014】
更に、請求項5の車車間通信システムでは、先行車両の車速に関する情報を取得するとともに、取得した先行車両の車速に基づいて判定した渋滞状況を案内するので、利用者は案内された道路の渋滞状況に基づいて分岐点でのスムーズな走行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る車車間通信システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る車車間通信システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車車間通信システム1の概略構成図である。図2は本実施形態に係る車車間通信システム1の特に車両2を示す概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車車間通信システム1は、道路上を走行する複数の車両2によって構成され、各車両2に設けられた通信装置(情報取得手段)3によって車両2の間で相互に情報通信が可能となっている。
【0017】
ここで、通信装置3は、例えばミリ波帯の電波による無線方式で情報を通信する通信装置である。そして、自車両位置に対して予め定められた無線通信可能範囲(例えば、自車両位置を中心とした半径2kmまでの範囲)に位置する他車両(後続車両、前方車両、対向車両等)との間で、無線による情報の通信を行うことが可能となっている。
また、通信装置3によって車両間で送受信される情報としては、後述するように車両2に設置された各種センサで検出した車両の挙動変化に関する挙動変化情報や、車両2に備え付けられた後方カメラ5で撮像した車両2の後方環境の画像から抽出された周辺環境に関する交通情報や、レーダ装置6で検出した前方を走行する車両の位置及び速度に関する交通情報等がある。ここで、各種センサによって検出される車両の挙動変化情報としては、車両の車速、舵角、旋回角、アクセルの開度、ブレーキの踏み量、シフト位置等に関する情報がある。
【0018】
尚、車車間通信システム1における車両2の間の通信では、直接に車両2の間で情報を送受信することの他に、図1に示すように通信センタ4などの通信施設を介して情報を送受信することも可能である。
【0019】
次に、車車間通信システム1を構成する一の車両2の構成について特に図2を用いて説明する。図2に示すように、車両2には前記した通信装置3に加え、後方カメラ5と、レーダ装置6と、通信処理ECU(先行車両検出手段、レーン判定手段、合流判定手段、渋滞判定手段)7と、現在地検出部8と、情報DB9と、液晶ディスプレイ(走行案内手段)10と、スピーカ(走行案内手段)11と、車速センサ15と、ステアリングセンサ16と、ジャイロセンサ17と、アクセルセンサ18と、ブレーキセンサ19と、シフト位置検出センサ20と、CVT(Continuously Variable Transmission)制御装置21と、CVT22等が設けられている。
【0020】
後方カメラ5は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたものであり、車両2の後方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられ、視線方向を水平より45度下方に向けて設置される。そして、駐車時に車両2の進行方向となる車両後方を撮像し、その撮像した画像(以下、BGM(バック・ガイド・モニタ)画像とする)が液晶ディスプレイ10に表示される。一方、通常走行中においては、撮像された画像を通信処理ECU7によって所定の処理を施すことにより車両2の周囲の交通情報が抽出され、後述するように抽出された交通情報は加速レーンを走行する後続車両に対して送信される。
【0021】
また、レーダ装置6は、車両2の前方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられており、電波送信部と電波受信部とから基本的に構成されている。そして、電波送信部から車両2の前方に対してビーム電波を放射するとともに前方の対象物(具体的には他車両)によって反射された反射電波を電波受信部で受信する。その結果、受信した反射電波の強度や波長に基づいて車両2の前方を走行する車両までの距離や相対速度を検出することが可能となる。
【0022】
通信処理ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)7は、後方カメラ5やレーダ装置6により取得した交通情報や各種センサ15〜20で検出した車両の挙動変化情報を、加速レーンを走行する後続車両へと送信するとともに、先行車両から送信された交通情報や挙動変化情報に基づいて利用者に対する案内を作成し、液晶ディスプレイ10やスピーカ11に対して出力する電子制御ユニットである。尚、通信処理ECU7の詳細な構成については後述する。
【0023】
また、現在地検出部8は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における車両2の現在地と現在時刻を検出するGPS31と、地磁気を測定することによって車両2の絶対方位を検出する地磁気センサ32と、地図データが格納された地図DB33を備えたものであり(図3参照)、車両2の現在地と進行方向を地図上で特定することが可能となる。尚、現在地検出部8としてはナビゲーション装置を用いることも可能である。
【0024】
ここで、地図DB33には、自車が走行する道路を特定する為の地図データが記録されており、地図データは、例えば道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ等から構成されている。
【0025】
ここで、特にリンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、自動車専用道路、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。更に、本実施形態に係る地図DB33には、特に各高速道路、有料道路、国道等の本線に合流する為の加速レーンについて、加速レーンの長さ、加速レーンの形状、加速レーンの勾配、加速レーンから本線が見えるか否かについても記憶されている。
また、ノードデータとしては、道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
また、これら地図DB33の内容は、DVDや外部に接続したメモリーカード等の記録媒体から情報を転送すること、又は特定の情報センタ等から通信装置3を介して情報をダウンロードすること等によって更新される。
【0026】
また、情報DB9は、後方カメラ5やレーダ装置6により取得した交通情報や各種センサ15〜20により検出した車両の挙動変化情報を格納する記憶手段である。尚、本実施形態においては、情報DB9の記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、磁気ディスク、メモリカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0027】
液晶ディスプレイ10は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、先行車両から送信された情報に基づいて作成された案内等を表示する。例えば、加速レーンを走行中においては、本線の状況を示す「本線渋滞中」や「合流注意」の文字を液晶ディスプレイ10に対して表示する。尚、液晶ディスプレイ10は、ナビゲーション装置に使用するものと兼用してもよい。
【0028】
スピーカ11は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、先行車両から送信された情報に基づいて作成された案内や警告音等を出力する。例えば、加速レーンを走行中において本線が渋滞している場合には、「本線渋滞中です。車速は10km/hです。」との音声を出力する。
【0029】
また、車速センサ15は、車両2の車輪に取り付けられたアクティブ車輪速センサからなり、車輪の回転速度を検出して通信処理ECU7に速度信号を出力する。
また、ステアリングセンサ16は、ステアリング装置の内部に取り付けられており、ステアリングコラムシャフトの回転量を光学センサ等で検出する。そして、ステアリングホイールを転舵した場合の舵角を検出して操舵角信号を通信処理ECU7に出力する。
また、ジャイロセンサ17は車両2の旋回角を検出して、通信処理ECU7に旋回角信号を出力する。尚、ジャイロセンサ17としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。
また、アクセルセンサ18は、車両2のアクセルの開度を検出し、ブレーキセンサ19はブレーキの踏み量を検出する。そして、検出されたアクセルの開度やブレーキの踏み量の信号を通信処理ECU7に出力する。
また、シフト位置検出センサ20は、シフトレバーに内蔵され、シフト位置が「P(パーキング)」、「N(ニュートラル)」、「R(リバース)」、「D(ドライブ)」、「2(2速)」、「L(ロー)」のいずれの位置となっているかを検出する。
【0030】
また、CVT制御装置21は、CVT22を制御する制御装置であり、全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPUの他に、記憶手段であるRAMやROMを備えている。そして、通信処理ECU7からの指示に基づいてCVT22の変速比を変化させる。それによって、車両2に対してエンジンブレーキを生じさせ、車両2の速度を所定速度まで減速させることが可能となる。
【0031】
一方、CVT22は、一般に 無段変速機と呼ばれる連続可変トランスミッションであり、歯車を用いず、摩擦に依って変速比を連続的に変化させる動力伝達機構を有する。そして、車両2はCVT22を用いることによって連続的変速が可能であるので、高速走路の本線が渋滞している場合や、加速道路がカーブしている場合にCVT制御装置21によって最適な減速比を設定できる。
【0032】
次に、本実施形態に係る車車間通信システム1を構成する車両2の制御系に係る構成について図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る車車間通信システム1を構成する車両2の制御系を模式的に示すブロック図である。
図3において、車両2の制御系は、通信処理ECU7の制御手段を基本にして構成され、各制御手段に対して前記した各周辺機器が接続されている。
【0033】
ここで、通信処理ECU7は、CPU41を核として構成されており、CPU41には記憶手段であるROM42及びRAM43が接続されている。そして、ROM42には後方カメラ5やレーダ装置6によって取得した交通情報、各種センサ15〜20で検出した車両の挙動変化情報を情報DB9に格納する情報記憶処理プログラム(図7参照)、情報DB9に格納された情報を後続の車両に対して送信する情報送信処理プログラム(図8参照)、加速レーンを走行する際に先行車両から送信された挙動変化情報や交通情報に基づいて案内を作成し、液晶ディスプレイ10やスピーカ11に対して出力を行う走行案内処理プログラム(図9参照)、先行車両から送信された交通情報や挙動変化情報に基づいて加速レーンを走行する車両の案内を作成する為の第1案内作成テーブル42A(図4)、地図DB33に基づいて加速レーンを走行する車両の案内を作成する為の第2案内作成テーブル42B(図6)、その他、液晶ディスプレイ10等の制御上必要な各種のプログラム等が格納されている。また、RAM43はCPU41で演算された各種データを一時的に記憶しておくメモリである。
【0034】
次に、ROM42に格納される第1案内作成テーブル42Aについて図4を用いて説明する。図4は本実施形態に係る第1案内作成テーブル42Aについて示した図である。
図4に示すように第1案内作成テーブル42Aは、先行車両から受信する情報の内、特に加速レーンを走行中に車速センサ15、ステアリングセンサ16、ブレーキセンサ19によって検出された先行車両の挙動変化に関する挙動変化情報に対応して作成及び出力される後続車両の案内及び制御の内容を設定したテーブルである。
【0035】
ここで、第1案内作成テーブル42Aに用いられる先行車両の挙動変化に関する挙動変化情報について、図5を用いて説明する。図5は高速道路の本線51に対して合流する為の加速レーン52を走行する先行車両53を示した模式図である。尚、加速レーンとしては高速道路の本線に合流するレーン以外にも、有料道路や国道に合流するレーンであっても良い。
例えば、図4に示すパターン1の挙動変化情報について説明すると、パターン1の挙動変化情報は、先行車両53が図5に示す加速レーン52の入口を走行するAの地点において車速50km/hで直進方向へとブレーキを踏まずに走行を行い、図5に示す加速レーン52の途中を走行するBの地点において車速30km/hで直進方向にブレーキを踏んで走行を行い、図5に示す加速レーン52の出口を走行するCの地点において車速10km/hでブレーキを踏んで車線変更を行い、更に図5に示す本線51に合流した後の400m先を走行するDの地点において車速10km/hで走行していることが検出されたパターンである。
そして、上記パターン1の挙動変化情報を先行車両から後続車両が受信した場合には、後続車両の通信処理ECU7は本線51が渋滞していると判定し、「本線渋滞中です。車速は10km/hです。」との音声を出力する。また、液晶ディスプレイ10には「本線渋滞中」の文字を表示する。更に、CVT制御装置21によりCVT22の変速比を変更して減速制御を行う。
【0036】
次に、図4に示すパターン2の挙動変化情報について説明すると、パターン2の挙動変化情報は、先行車両53が図5に示す加速レーン52の入口を走行するAの地点において車速50km/hで直進方向へとブレーキを踏まずに走行を行い、図5に示す加速レーン52の途中を走行するBの地点において車速70km/hで直進方向へとブレーキを踏まずに走行を行い、図5に示す加速レーン52の出口を走行するCの地点において車速80km/hで合流開始地点からの距離Lが20mまでにブレーキを踏まずに車線変更を行い、更に図5に示す本線51に合流した後の400m先を走行するDの地点において車速90km/hで走行していることが検出されたパターンである。
そして、上記パターン2の挙動変化情報を先行車両から後続車両が受信した場合には、後続車両の通信処理ECU7は本線51が渋滞していないと判定し、「スムーズに合流可能です。」との音声を出力する。また、液晶ディスプレイ10には「本線スムーズ」の文字を表示する。一方、CVT22の変速比の変更は特に行わない。
【0037】
次に、図4に示すパターン3の挙動変化情報について説明すると、パターン3の挙動変化情報は、先行車両53が図5に示す加速レーン52の入口を走行するAの地点において車速50km/hで直進方向へとブレーキを踏まずに走行を行い、図5に示す加速レーン52の途中を走行するBの地点において直進方向へと車速70km/hでブレーキを踏まずに走行を行い、図5に示す加速レーン52の出口を走行するCの地点において車速70km/hで車線変更を行い、更に、図5に示す本線51に合流した合流地点から400m先を走行するDの地点において車速70〜90km/hで走行していることが検出されたパターンである。
そして、パターン3の上記挙動変化情報を先行車両から後続車両が受信した場合には、後続車両の通信処理ECU7は本線51が渋滞はしていないが混雑していると判定し、「本線は流れておりますが混雑しています。」との音声を出力する。また、液晶ディスプレイ10には「合流注意」の文字を表示する。一方、CVT22の変速比の変更は特に行わない。
以上より、加速レーンを走行する後続車両に対して先行車両の挙動変化の各パターンに対応して渋滞状況等を特定でき、それに応じた案内及び制御を行うことが可能となる。また、特に挙動変化情報として取得した先行車両の車速に関する情報から渋滞状況を判定することが可能となるので、渋滞状況に応じた案内を行うことによって利用者は案内された道路の渋滞状況に基づいた分岐点でのスムーズな走行が可能となる。
【0038】
次に、ROM42に格納される第2案内作成テーブル42Bについて図6を用いて説明する。図6は本実施形態に係る第2案内作成テーブル42Bについて示した図である。
図6に示すように第2案内作成テーブル42Bは、先行車両から挙動変化情報が得られない場合に、地図DB33に記憶された情報の内、特に加速レーンに関する情報に対応して作成及び出力される後続車両の案内及び制御の内容を設定したテーブルである。
【0039】
図6に示すように例えば、車両が現在走行する加速レーンについて、加速レーンから本線が見え、加速レーンの長さが長く(例えば、300m以上)、形状が直線で、加速レーンの勾配が平坦(例えば、±3度以内)であると判定された場合には、「加速レーンが長いので余裕を持って合流できます。」との音声を出力するとともに同内容の文字を液晶ディスプレイ10に対して表示する。一方、CVT22の変速比の変更は特に行わない。
また、車両が現在走行する加速レーンについて、加速レーンから本線が見えず、加速レーンの長さが短く(例えば、300m未満)、形状がカーブで、加速レーンの勾配が上り(例えば、+3度以上)であると判定された場合には、「本線がしばらく見えません。カーブです。加速レーンが短いので車速を合わせてください。」との音声を出力するとともに同内容の文字を液晶ディスプレイ10に対して表示する。更に、CVT22の変速比の変更は特に行わない。更に、CVT制御装置21によりCVT22の変速比を変更して減速制御を行う。
以上より、先行車両から情報が得られない場合であっても地図DB33に記憶された加速レーンの情報に応じた案内及び制御を行うことが可能となる。
【0040】
続いて、前記構成を有する本実施形態に係る車車間通信システム1の通信処理ECU7が実行する情報記憶処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る車車間通信システム1における情報記憶処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報記憶処理プログラムは、後方カメラ5やレーダ装置6によって取得した交通情報、各種センサ15〜20で検出した車両の挙動変化情報を情報DB9に格納する制御を行うものである。尚、以下の図7乃至図9にフローチャートで示されるプログラムは通信処理ECU7が備えているROM42やRAM43に記憶されており、CPU41により所定間隔毎(例えば4ms毎)に実行される。
【0041】
情報記憶処理プログラムでは、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、現在地検出部8のGPS31によって自車の現在位置を検出するとともに地図DB33により自車の走行するリンクを特定する。
【0042】
次に、S2においてCPU41は、前記S1の検出結果に基づいて自車が高速道路、有料道路、国道等の本線に合流する為の加速レーンに進入したか否かを判定する。そして、加速レーンに進入したと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。
【0043】
S3ではCPU41は、車両2に設置された各種センサ15〜20の検出結果に基づいて車両の挙動変化に関する挙動変化情報を取得する。また、車両2に備え付けられた後方カメラ5で撮像した車両2の後方環境の画像に対して所定の画像処理を行うことにより抽出した周辺環境に関する交通情報や、レーダ装置6で検出した前方を走行する車両の位置及び速度に関する交通情報についても取得する。ここで、各種センサ15〜20によって検出される車両の挙動変化情報としては、車両の車速、舵角、旋回角、アクセルの開度、ブレーキの踏み量、シフト位置等に関する情報がある。
【0044】
続いて、S4では前記S3で取得した交通情報や挙動変化情報を情報DB9に対して格納する。一方、自車が加速レーンに進入していないと判定された場合(S2:NO)には、交通情報や挙動変化情報の取得を行うことなく当該情報記憶処理プログラムを終了する。尚、情報DB9に格納された情報はリアルタイムな情報を提供する為に所定時間経過後(例えば10分後)に削除される。
【0045】
そして、S5では自車が加速レーンから本線へと合流し、且つ合流地点から400m走行したか否かを車速センサ15、ステアリングセンサ16の検出結果に基づいて判定する。具体的には、本線への合流を行った否かの判定については、ステアリングセンサ16によってステアリングが右方向に所定範囲以上操作されたか否かに基づいて判定され、その後に400m走行したか否かの判定については、車速センサ15によって計測された車両の走行距離に基づいて判定される。
尚、合流を行ったか否かの判定については上記ステアリングセンサ16の代わりにジャイロセンサ17によって判定しても良い。また、車両の現在位置と道路データとから合流を行ったか否かを判定しても良い。
【0046】
そして、合流地点から400m走行したと判定された場合(S5:YES)には、当該情報記憶処理プログラムを終了する一方、合流地点から400mを走行していないと判定された場合(S5:YES)には、S3へと戻り、継続して交通情報や挙動変化情報の取得を行う。
【0047】
次に、本実施形態に係る車車間通信システム1の通信処理ECU7が実行する情報送信処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る車車間通信システム1における情報送信処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報送信処理プログラムは、前記情報記憶処理プログラム(図7)において情報DB9に格納された情報を後続の車両に対して送信する制御を行うものである。
【0048】
情報送信処理プログラムでは、先ずS11において、CPU41は後続車両から情報を要求する通信のアクセスがあったか否かを判定する。そして、後続車両から通信のアクセスがあると判定された場合(S11:YES)には、後続車両とコネクションを張った後にS12へと移行する。それに対して、後続車両から通信のアクセスがないと判定された場合(S11:NO)には、情報DB9に格納された交通情報や挙動変化情報を送信する対象となる後続車両がないと判定され、当該交通情報送信処理を終了する。
【0049】
次に、S12では後続車両に対して提供する対象となる交通情報や挙動変化情報が情報DB9に格納されているか否かを判定する。その結果、提供する情報が情報DB9に格納されていると判定された場合(S12:YES)には、情報DB9に格納された交通情報や挙動変化情報をアクセスのあった後続車両に対して送信する(S13)。
【0050】
一方、後続車両に対して提供する情報がないと判定された場合(S12:NO)には、当該交通情報送信処理を終了する。
【0051】
次に、本実施形態に係る車車間通信システム1の通信処理ECU7が実行する走行案内処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る車車間通信システム1における走行案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行案内処理プログラムは、加速レーンを走行する際に前記情報送信処理プログラム(図8)において先行車両から送信された挙動変化情報や交通情報に基づいて案内を作成し、液晶ディスプレイ10やスピーカ11に対して出力する制御を行うものである。
【0052】
走行案内処理プログラムでは、先ずS21において、CPU41は、現在地検出部8のGPS31によって自車の現在位置を検出するとともに地図DB33の地図データを用いてマップマッチングを行い、自車の走行するリンクを特定する。
【0053】
次に、S22においてCPU41は、前記S21の検出結果に基づいて自車が高速道路、有料道路、国道等の本線に合流する為の加速レーンに進入したか否かを判定する。そして、加速レーンに進入したと判定された場合(S22:YES)には、S23へと移行する。一方、自車が加速レーンに進入していないと判定された場合(S22:NO)には、案内を行うことなく当該走行案内処理プログラムを終了する。尚、上記S22がレーン判定手段の処理に相当する。
【0054】
続いて、S23では自車両の周囲に位置する各他車両と通信装置3を介して通信を行うことにより、各他車両の位置情報を取得し、更に地図DB33の地図データを用いて自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両を検出する。ここで、本実施形態に係る車車間通信システム1において具体的に自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両として検出されるのは、同一の加速レーンの前方を走行する他車両や、同一の加速レーンを通過して本線に合流した車両の内、加速レーンの出口から400m以内のエリアを走行する他車両である。
【0055】
以下に図10を用いて前記S23の具体的な先行車両の検出方法について説明する。図10は高速道路の本線61に対して合流する為の加速レーン62を走行中の自車両(後続車両)63と、自車両63の周囲を走行する他車両71〜76との所定のタイミングにおける位置関係を示した模式図である。前記S23の処理では、自車両63は他車両71〜76のそれぞれと通信を行うことにより、他車両71〜76の位置情報を取得する。
そして、自車両63と同一の加速レーン62の前方を走行する他車両71、72が先行車両として検出される。また、自車両63と同一の加速レーン62を通過して本線に合流した車両の内、加速レーンの出口から400m以内のエリア77を走行する他車両73についても先行車両として検出される。尚、上記S23が先行車両検出手段の処理に相当する。
【0056】
次に、S24でCPU41は先行車両が少なくとも一台以上検出されたか否かを前記S23の検出結果に基づいて判定する。そして、先行車両が検出されたと判定された場合(S24:YES)には、続いて、検出された先行車両が提供すべき交通情報や挙動変化情報を有しているか否かを判定する(S25)。
【0057】
そして、検出された先行車両が提供すべき交通情報や挙動変化情報を有していると判定された場合(S25:YES)には、先行車両から送信された交通情報や挙動変化情報を受信する(S26)。一方、先行車両が一台も検出されないと判定された場合(S24:NO)や検出された先行車両が提供すべき交通情報や挙動変化情報を有していないと判定された場合(S25:NO)には、交通情報や挙動変化情報を受信することなくS27へと移行する。
【0058】
S27では、CPU41は利用者に対する案内が必要か否かが判定される。具体的には予め利用者によって加速レーンでの案内を希望する設定が行われている場合には、利用者に対する案内が必要であると判定される。一方、加速レーンでの案内を希望としない設定が行われている場合には、利用者に対する案内が不要であると判定される。尚、利用者に対する案内が必要か否かは、利用者の個人情報(例えば、年齢や運転暦)に基づいて判定するようにしても良い。
【0059】
そして、利用者に対する案内が不要であると判定された場合(S27:NO)には、続いて加速レーンから本線への合流が困難であるか否かを判定する(S28)。具体的には、先行車両から送信された先行車両の挙動変化情報に基づいて、加速レーンから本線への合流に所定時間(例えば30秒)以上要している場合に加速レーンから本線への合流が困難であると判定される。尚、上記S28が合流判定手段の処理に相当する。
【0060】
その結果、加速レーンから本線への合流が困難でないと判定された場合(S28:NO)には、案内を行うことなく当該走行案内処理プログラムを終了する。
【0061】
一方、利用者に対する案内が必要であると判定された場合(S27:YES)、又は加速レーンから本線への合流が困難であると判定された場合(S28:YES)には、液晶ディスプレイ10及びスピーカ11に対して出力する為の案内を作成する(S29)。
【0062】
具体的に、前記S29の案内の作成処理について以下に説明すると、前記S26で先行車両から交通情報や挙動変化情報を取得している場合には、第1案内作成テーブル42A(図4参照)に基づいて案内が作成される。尚、第1案内作成テーブル42Aに基づいて案内が作成される場合には、先行車両の車速やステアリング操作、ブレーキ操作などに基づいて本線の渋滞状況が判定され、渋滞状況に基づいた案内が作成される。例えば、第1案内作成テーブル42Aのパターン3の挙動変化情報を取得した場合には、後続車両の通信処理ECU7は本線61が渋滞はしていないが混雑していると判定し、「本線は流れておりますが混雑しています。」との案内を作成する。
【0063】
それに対し、先行車両から交通情報や挙動変化情報を取得していない場合には、第2案内作成テーブル42B(図6参照)に基づいて案内が作成される。尚、第2案内作成テーブル42Bに基づいて案内が作成される場合には、地図DB33に記憶された加速レーンに関する情報に基づいた案内が作成される。例えば、車両が現在走行する加速レーンについて、加速レーンから本線が見えず、加速レーンの長さが短く(例えば、300m未満)、形状がカーブで、加速レーンの勾配が上り(例えば、+3度以上)であると判定された場合には、「本線がしばらく見えません。カーブです。加速レーンが短いので車速を合わせてください。」との案内を作成する。尚、上記S29が渋滞判定手段の処理に相当する。
【0064】
そして、S30でCPU41は、前記S29で作成された案内を液晶ディスプレイ10に表示するとともに、スピーカ11から案内の音声を出力する。また、第1案内作成テーブル42Aや第2案内作成テーブル42Bに基づいて、減速制御が必要であると判定された場合には、CVT制御装置21によりCVT22を制御することによって車両2の減速制御を行う。
【0065】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車車間通信システム1では、高速道路等の本線に合流する為の加速レーンに進入した際に、加速レーンから本線への合流を行う分岐点を自車と同一方向に進む先行車両を検出し(S23)、先行車両から取得した交通情報や挙動変化情報に基づいて後続車両の分岐点における走行を補助する案内を作成し(S29)、作成した案内を液晶ディスプレイ10やスピーカ11により出力する(S30)ので、先行車両が取得した情報の内、加速レーンから本線への合流を行う後続車両に対して有益な情報を選別して付与することが可能となる。従って、後続車両は案内に基づいて分岐点での本線への合流をスムーズに行うことが可能となる。
また、加速レーンを走行する先行車両及び加速レーンの出口から所定範囲(本実施形態では400m以内)を走行する先行車両を検出して情報の取得を行う(S26)ので、加速レーンから本線への合流を行う後続車両に対して、加速レーンを走行中の先行車両や本線へと合流した後の先行車両において取得された様々な状況下での情報を付与することが可能となる。
また、加速レーンから本線への合流が困難であると判定された場合(S28:YES)に走行の案内を行うので、利用者が必要とするタイミングで必要となる情報のみを案内することが可能となる。従って、利用者は不要な案内によって運転に対する集中力が失うことなく、且つ、案内の必要な状況下では案内に基づいて分岐点でのスムーズな走行を行うことが可能となる。
また、特に挙動変化情報として先行車両の車速に関する情報を取得し、取得した車速に関する情報と第1案内作成テーブル42Aを用いて渋滞状況を判定し、渋滞状況に応じた案内を行うので、利用者は案内された道路の渋滞状況に基づいて分岐点でのスムーズな走行が可能となる。
更に、交通情報や挙動変化情報を送信することはカメラ撮像した画像を送信する場合と比較して、送信する情報量が小さくなるので、情報通信に係る通信時間の短縮や処理負荷の軽減が可能となる。また、通信時において画像中にノイズ等が生じることにより、正確な情報が送信できなくなる虞もない。
【0066】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、高速道路、有料道路、国道等の本線へと合流する加速レーンを走行する際に先行車両から取得した挙動変化情報等を用いて案内を行うように設定されているが、例えば、交差点へと接続されるリンクを走行する際に先行車両から取得した挙動変化情報等を用いて案内を行うようにしても良い。
【0067】
また、本実施形態では、車速センサ15やステアリングセンサ16等の各種センサによって車両の挙動変化を検出することとしているが、GPS31によって車両の走行軌跡を検出し、検出された走行軌跡に基づいて車両の挙動変化を検出することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係る車車間通信システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る車車間通信システムの特に車両を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る車車間通信システムを構成する車両の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る第1案内作成テーブルについて示した図である。
【図5】高速道路の本線に対して合流する為の加速レーンを走行する先行車両を示した模式図である。
【図6】本実施形態に係る第2案内作成テーブルについて示した図である。
【図7】本実施形態に係る車車間通信システムにおける情報記憶処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る車車間通信システムにおける情報送信処理プログラムのフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る車車間通信システムにおける走行案内処理プログラムのフローチャートである。
【図10】高速道路の本線に対して合流する為の加速レーンを走行中の自車両(後続車両)と、自車両の周囲を走行する他車両との所定のタイミングにおける位置関係を示した模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 車車間通信システム
2 車両
3 通信装置
7 通信処理ECU
10 液晶ディスプレイ
11 スピーカ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
61 本線
62 加速レーン
63 後続車両
71〜73 他車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行する複数の車両間において情報の通信を行う車車間通信システムにおいて、
自車両と分岐点を同一方向に進む先行車両を検出する先行車両検出手段と、
前記先行車両検出手段によって検出された先行車両から当該先行車両の挙動変化に関する挙動変化情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した挙動変化情報に基づいて走行を案内する走行案内手段と、を有することを特徴とする車車間通信システム。
【請求項2】
加速レーンを走行しているか否かを判定するレーン判定手段を有し、
前記先行車両検出手段は前記レーン判定手段によって加速レーンを走行していると判定された場合に加速レーンから本線への合流を行う分岐点を同一方向に進む先行車両の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の車車間通信システム。
【請求項3】
前記先行車両検出手段は加速レーンを走行する先行車両及び加速レーンの出口から所定範囲を走行する先行車両を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車車間通信システム。
【請求項4】
前記情報取得手段によって取得された挙動変化情報に基づいて加速レーンから本線への合流が困難であるか否かを判定する合流判定手段を有し、
前記走行案内手段は前記合流判定手段によって合流が困難であると判定された場合に走行を案内することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車車間通信システム。
【請求項5】
前記情報取得手段は先行車両の車速に関する情報を取得し、
前記情報取得手段により取得した先行車両の車速に基づいて渋滞状況を判定する渋滞判定手段を有し、
前記走行案内手段は前記渋滞判定手段によって判定された渋滞状況を案内することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車車間通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−179388(P2007−179388A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378473(P2005−378473)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】