説明

車載ナビゲーション装置

【課題】現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行うことができること。
【解決手段】車載ナビゲーション装置100は、目的行為を行い得る施設を検索するための目的行為を設定することができる。例えば、ユーザによって目的行為が設定された場合、当該目的行為を行い得る施設が検索されるとともに、車両の現在位置と施設位置とに基づいて、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設データが検索される。そして、この検索された施設データに対応する施設を目的地として、当該目的地までの経路案内が行なわれる。これにより、現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在地周辺の施設を検索する車載ナビゲーション装置が提案されている。この車載ナビゲーション装置によれば、例えば、目的地を設定するための目的地設定メニューが表示部に表示される。この目的地設定メニューには、「名称で探す」、「ジャンルで探す」、「周辺施設を探す」などがある。この目的地設定メニューから「周辺施設を探す」が選択されると、施設種類のリストが表示される。例えば、この施設種類のリストから「カフェ」が選択されると、現在地周辺にある、施設種別「カフェ」と一致する施設種別データを付している施設データを検索する。そして、検索された施設種別「カフェ」に該当する施設のリストが表示される。この施設のリストから所望の「カフェ」が選択されると、選択された「カフェ」を中心とする道路地図が表示される。ユーザは、この道路地図から当該「カフェ」の位置を確認し、「OK」項目を選択することによって、当該「カフェ」が目的地として設定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の装置を利用して、ユーザは、目的とする行為「コーヒーを飲む」を行うために、当該目的行為を行い得る施設は「カフェ」というイメージを抱いているため、現在地周辺の「カフェ」のみを検索したことが考えられる。しかしながら、目的とする行為「コーヒーを飲む」を行い得る施設は「カフェ」に限られるものではない。例えば、「ファミレス」や「ファーストフード」などの施設であっても、目的とする行為「コーヒーを飲む」を行い得る。
【0004】
また、従来の装置において、ユーザは、上述した所望の施設のリストから、現在地から最も近い施設を選択し、この選択した施設を目的地として設定することが考えられる。
【0005】
このような理由により、例えば、現在地に最も近く、かつ目的とする行為「コーヒーを飲む」を行い得る「ファミレス」があるにも関わらず、ユーザは、それよりも遠方の「カフェ」を目的地として設定するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行うことが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置は、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
少なくとも施設位置を有する施設データを含む地図データを記憶する記憶手段と、
目的行為を設定する設定手段と、
目的行為を行い得る施設を検索するとともに、車両の現在位置と施設位置とに基づいて、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設を検索する検索手段と、
検索手段によって検索された1つの施設を目的地として、目的地まで経路案内を行う経路案内手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
上述したように、請求項1に記載の車載ナビゲーション装置では、目的行為を行い得る施設を検索するための目的行為を設定することができる。目的行為が設定された場合、当該目的行為を行い得る施設が検索されるとともに、車両の現在位置と施設位置とに基づいて、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設が検索される。そして、この検索された施設を目的地として、当該目的地までの経路案内が行なわれる。これにより、現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載したように、検索手段は、車両の現在位置から施設位置までの直線距離が最も短い施設を、車両の現在位置に最も近い1つの施設として推測することが好ましい。これにより、目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置から施設位置までの直線距離が最も短い施設を検索することができる。
【0010】
請求項3に記載したように、検索手段は、車両の現在位置から目的行為がなし得る施設へ達する経路を探索し、経路が最短である施設を、車両の現在位置に最も近い1つの施設として推測することもできる。このようにすることにより、目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置からの経路が最短である施設を検索することができる。
【0011】
請求項4に記載したように、施設データは施設種類を含み、検索手段は、設定される目的行為毎に、目的行為に対して検索すべき施設種類を示す対応テーブルを有し、対応テーブルを参照して、目的行為を行い得る施設を検索することが好ましい。このように、目的行為毎に、目的行為を対して検索すべき施設種類を対応させることによって、目的行為を行い得る施設を検索することができる。
【0012】
請求項5に記載したように、設定手段は、車両ユーザによって操作される入力手段を備え、目的行為として、予め複数の目的行為が用意されており、車両ユーザが入力手段を用いて選択した目的行為を、所望の目的行為として設定することが好ましい。これにより、車両ユーザによって目的行為を設定させることができる。
【0013】
請求項6に記載したように、設定手段は、所定の行為を実行すべき実行時期が到来したか否かを判断する判断手段を含み、判断手段によって実行時期が到来したと判定された所定の行為を目的行為として設定することが好ましい。例えば、「オイル交換」を実行すべき実行時期が到来した場合、ユーザが「オイル交換」という目的行為をもっているとみなし、「オイル交換」を目的行為として設定する。
【0014】
請求項7に記載したように、設定手段は、所定の行為を目的行為として設定するか否かを、車両ユーザに確認することが好ましい。例えば、ユーザによって目的行為として「コーヒーを飲む」が設定され、「コーヒーを飲む」を行い得る施設を目的地として設定し、当該目的地まで経路案内が行なわれている場合に、「バッテリー交換」を実行すべき実行時期が到来することが考えられる。この場合、当該装置が、ユーザが「バッテリー交換」という新たな目的行為をもっているとみなし、「バッテリー交換」を新たな目的行為として設定することを防止するために、ユーザに所定の行為を目的行為として設定するか否かを確認する。
【0015】
請求項8に記載したように、検索手段は、経路案内手段によって経路案内が行なわれている経路を現在位置が逸脱した場合、目的行為を行い得る施設を再検索するとともに、車両の現在位置と施設位置とに基づいて、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設を再検索することが好ましい。これにより、経路案内が行なわれている経路を車両が逸脱した場合であっても、設定した目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設を再検索し、再検索された施設まで経路案内が行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。以下、本実施形態による車載ナビゲーション装置について詳細に説明する。
【0017】
ナビゲーション装置100は、位置検出器10、デジタル道路地図データベース20、コンピュータ30、表示部40、操作スイッチ群50、音声出力部60、音声入力部70、第1の記憶装置80、第2の記憶装置81、及びVICS受信機90を備えている。
【0018】
コンピュータ30は、内部には周知のCPU、ROM、RAM、EEPROM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインを備えている。ROMには、コンピュータ30が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。また、EEPROMには、後述する車速センサ14によって検出された走行距離を積算した、車両の総走行距離が記憶されている。
【0019】
位置検出器10は、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機11、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのステアリングセンサ13を有している。さらに、位置検出器10は、車両の走行速度から走行距離を検出するために車速センサ14を備えている。
【0020】
このように、位置検出器10は、電波航法による車両位置測定のためにGPS受信機11を有するとともに、自立航法による車両位置推定のために地磁気センサ12、ステアリングセンサ13及び車速センサ14を有している。また、電波航法としては、GPSに限らず、例えばVICSの光ビーコンを利用しても良い。また、自立航法における車両の相対方位を検出するために、ステアリングセンサ13に代えて、ジャイロセンサや車両の左右輪に設けられた車輪速センサを用いても良い。
【0021】
デジタル道路地図データベース20は、道路データ、背景データ、文字データ及び施設データなどを含むデジタル地図データをコンピュータ30に入力するための装置である。デジタル道路地図データベース20は、デジタル地図データを記憶する情報記憶媒体21を有し、情報記憶媒体21としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等を用いてもよい。
【0022】
ここで、道路データの構成について説明する。道路データは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンク座標データ、ノード座標データ、高速道路や国道等の道路種別を示す道路種別データ、道路幅員データ等の各データから構成されている。道路データにおけるリンクとは、地図上の各道路を、交差点、分岐点などを示すノードにより複数に分割し、そして2つのノード間をリンクとして規定したものである。そして、リンク座標データには、このリンクの始端と終端の座標が記述される。なお、リンクの途中にノードが含まれる場合には、ノード座標データにノード座標が記述される。この道路データは、地図を表示する以外に、マップマッチング処理を行なう際の道路の形状を与えるために用いられたり、目的地までの案内経路を検索する際に用いられる。
【0023】
背景データは、道路地図を表示部40に表示する際に、道路以外の表示対象となる施設形状、自然地形等を表示するためのデータである。文字データは、地名、施設名、道路名等を道路地図上に表示するためのものであり、表示位置に対応する地図上の座標を関連付けたデータとして構成している。
【0024】
施設データは、施設を検索するためのものであり、施設種類データ、施設名称データ、緯度・経度の座標データ等の各データから構成されている。
【0025】
表示部40は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示部40の画面には車両の現在位置に対応する自車位置マーク、及び、デジタル道路地図データベース20より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、目的行為に基づいて、目的地が設定された場合、道路地図上には、現在位置から目的地までの案内経路が重ねて表示される。
【0026】
操作スイッチ群50は、例えば、表示部40と一体になったタッチパネルスイッチもしくは表示部40の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、各種入力に使用される。
【0027】
音声出力部60はスピーカ等からなり、経路案内が行なわれている場合に、案内音声を出力したり、音声認識時に、入力音声に関するガイダンスを出力したりするものである。また、音声入力部70は、マイク等からなり、ユーザによって発せられた音声を取り込んで、コンピュータ30に入力する。コンピュータ30は、入力された音声の認識処理を行い、その認識結果に基づいて、各種の制御を実行する。
【0028】
第1の記憶装置80には、目的行為、及び当該目的行為に対応する施設種類が記憶されている。例えば、第1の記憶装置80は、図3の例に示すように、目的行為毎に、当該目的行為に対して検索すべき施設種類が対応するテーブルを記憶する。
【0029】
第2の記憶装置81には、車両のメンテナンス項目、及び当該車両のメンテナンス項目に対応するメンテナンス時期が記憶されている。例えば、第2の記憶装置81は、図4の例に示すように、車両のメンテナンス項目毎に、当該車両のメンテナンス項目に対して実行すべきメンテナンス時期が対応するように記憶している。
【0030】
VICS受信機90は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じて車両側から外部へ情報を送信したりする装置である。受信した情報は、コンピュータ30で処理され、例えば、渋滞情報や制限速度情報等は表示部40に表示される道路地図上に重ねて表示される。
【0031】
また、本実施形態の車載ナビゲーション装置100は、目的行為が設定された場合、当該目的行為を行い得るとともに、現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索する。そして、当該装置は、この検索された施設データに対応する施設を目的地として設定し、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能を備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、周知のダイクストラ法等の手法が知られている。
【0032】
なお、本実施形態における目的行為の設定方法は2通りある。1つ目は、ユーザによって目的行為を設定させる方法である。ユーザによって目的行為を設定させる方法は、後に詳しく説明する。2つ目は、第2の記憶装置81に記憶されているメンテナンス項目を実行すべきメンテナンス時期が到来した場合、メンテナンス時期が到来したメンテナンス項目を目的行為として設定する方法である。なお、メンテナンス項目を実行すべきメンテナンス時期が到来した場合、図5の例に示すような、メンテナンス時期が到来したことを示すアラーム警告画面300が表示部40に表示される。これにより、ユーザは、メンテナンス時期が到来したメンテナンス項目が目的行為として設定されたことを把握することができる。
【0033】
次に、本実施形態における経路探索処理について、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図2は、経路探索処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0034】
まず、図2のステップS10では、車両の現在位置を検出する。このとき、GPS受信機11による位置データは、上述の道路データの座標データ(緯度と経度)と同じ形態で取得される。また、地磁気センサ12、ステアリングセンサ13、車速センサ14によって自車両の進行方向及び走行距離に関するデータが取得され、過去に算出、もしくは確定された車両位置を基準として、現在位置の座標データの算出を行なう(自立航法による座標データの算出)。なお、現在位置は、基本的には、自立航法により算出された座標データに基づいて求められる。ただし、GPS受信機11による位置データが取得されている場合には、両者を比較し、その差が所定距離以上である場合には、現在位置として、GPS受信機11による位置データを採用する。ステップS20では、車両の現在位置を含む、周辺地図の地図データがデジタル道路地図データベース20から読み込まれ、表示部40に表示される。
【0035】
ステップS30では、第2の記憶装置81に記憶されているメンテナンス項目を実行すべきメンテナンス時期が到来したか否かを判定する。具体的には、図4の例に示すように、第2の記憶装置81に記憶されているメンテナンス項目に対して実行すべきメンテナンス時期が走行距離にて示されている場合、コンピュータ30は、第2の記憶装置81に記憶されているメンテナンス時期に、コンピュータ30のEEPROMに記憶されている総走行距離が達したか否かを判定する。メンテナンス時期に総走行距離が達しなかったと判定された場合、ステップS40に進む。
【0036】
ステップS40では、目的行為が設定されるか否かを判定する。具体的には、例えば、メニュー画面が表示部40に表示され、このメニュー画面の「目的行為設定メニュー」項目が選択されたか否かを判定する。「目的行為設定メニュー」項目が選択されなかったと判定された場合、ステップS10に戻る。一方、「目的行為設定メニュー」項目が選択されたと判定された場合、ステップS50に進む。
【0037】
ステップS50では、目的行為が設定される。具体的には、例えば、図6に示すような、目的行為設定メニュー画面310が表示部40に表示される。この目的行為設定メニュー画面310には、「雑誌を買う」、「弁当を買う」、「ジュースを買う」などがある。ユーザは、この目的行為設定メニュー画面310中のいずれかの項目を選択し、「OK」項目を選択することによって、選択した目的行為が設定される。例として、目的行為設定メニュー画面310中から「雑誌を買う」項目が選択され、「OK」項目が選択された場合、目的行為として「雑誌を買う」が設定される。これにより、ユーザによって目的行為を設定させることができる。
【0038】
ステップS60では、ステップS50にて設定された目的行為を行い得るとともに、ステップS10にて検出された現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データが検索される。これにより、目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置から施設位置までの直線距離が最も短い施設を検索することができる。
【0039】
ここで、具体的な施設データ検索の例として、目的行為「雑誌を買う」が設定され、かつ第1の記憶装置80の構成が図3に示すような場合を想定して説明を進める。まず、コンピュータ30は、第1の記憶装置80から、目的行為「雑誌を買う」に対して検索すべき施設種類「コンビニ」、「ブックストア」を抽出する。次に、コンピュータ30は、この抽出された施設種類「コンビニ」、「ブックストア」のいずれかに対応する施設種類データを付しており、かつ現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索する。このように、目的行為毎に、目的行為を対して検索すべき施設種類を対応させることによって、目的行為を行い得る施設を検索することができる。
【0040】
ステップS30において、メンテナンス時期に総走行距離が達したと判定された場合、ステップS55に進む。ステップS55では、メンテナンス項目に基づく目的行為が設定される。具体的には、例えば、メンテナンス時期が到来したメンテナンス項目が「オイル交換」である場合、目的行為として「オイル交換」が設定される。このように、「オイル交換」を実行すべきメンテナンス時期が到来した場合、コンピュータ30は、ユーザが「オイル交換」という目的行為をもっているとみなし、「オイル交換」を目的行為として設定する。この場合、ステップS60に進み、コンピュータ30は、目的行為「オイル交換」を行い得るとともに、ステップS10にて検出された現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索する。
【0041】
ステップS70では、ステップS60にて検索された施設データに対応する施設が目的地として設定される。ステップS80では、特に指示がない限り、ステップS10にて検出された現在位置を出発地とし、ステップS70にて設定された目的地までの経路をダイクストラ法等の手法で探索する。
【0042】
ステップS90では、ステップS80にて探索された経路を表示する。具体的には、表示制御部(図示せず)が、探索された経路を道路データに重ねて強調表示し、表示部40へ表示する。ステップS100では、ステップS80にて探索された経路に基づいて、経路案内が行われる。
【0043】
ステップS110では、経路案内中に、第2の記憶装置81に記憶されているメンテナンス項目を実行すべきメンテナンス時期が到来したか否かを判定する。すなわち、経路案内中に、メンテナンス時期に総走行距離が達したか否かを判定する。経路案内中に、メンテナンス時期に総走行距離が達したと判定された場合、ステップS120に進む。
【0044】
ステップS120では、例えば、図7に示すような目的地変更選択画面320が表示部40に表示される。図7の例では、目的地変更選択画面320には、「バッテリー交換の時期です。バッテリー交換可能な施設に目的地を変更しますか?」という質問文が表示されている。この質問文に対する回答として、「はい」または「いいえ」項目が選択される。例えば、ユーザによって目的行為として「雑誌を買う」が設定され、目的行為「雑誌を買う」を行い得る施設を目的地として設定し、当該目的地まで経路案内が行なわれている場合に、「バッテリー交換」を実行すべきメンテナンス時期が到来することが考えられる。この場合、コンピュータ30が、ユーザが「バッテリー交換」という新たな目的行為をもっているとみなし、「バッテリー交換」を新たな目的行為として設定することを防止するために、ユーザに「バッテリー交換」を目的行為として設定するか否かを確認する。
【0045】
ステップS120では、目的地変更選択画面320中の「はい」項目が選択された否かを判定する。「はい」項目が選択されたと判定された場合、ステップS55に戻る。一方、「はい」項目が選択されなかったと判定された場合、ステップS130に進む。
【0046】
ステップS130では、車両が経路から逸脱したか否かを判定する。例えば、位置検出器10によって算出された位置データと、経路を構成する道路の位置との一致・不一致に基づいて、車両が経路から逸脱したか否かを判定する。
【0047】
また、例えば、車両の走行軌跡を用いることによって、車両が経路から逸脱したか否かを判定しても良い。具体的には、検出された車両の走行軌跡と、ステップS80にて探索された経路とを比較して、両者の類似度を示す相関係数を算出する。この算出された相関係数が所定値以下である場合には、車両が経路から逸脱したと判定する。
【0048】
ステップS130において、車両が経路から逸脱したと判定された場合、ステップS60に戻る。これにより、経路案内が行なわれている経路を車両が逸脱した場合であっても、設定した目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設データを再検索し、再検索された施設データに対応する施設まで経路案内が行なわれる。
【0049】
一方、車両が経路から逸脱していないと判定された場合、ステップS140に進む。ステップS140では、車両が目的地に到達したか否かを判定する。車両が目的地に到達しなかったと判定された場合、ステップS100に戻る。一方、車両が目的地に到達したと判定された場合、処理が終了する。
【0050】
以上、説明したように本実施形態によれば、目的行為を行い得る施設を検索するための目的行為を設定することができるようにした。目的行為が設定された場合、当該目的行為を行い得る施設が検索されるとともに、車両の現在位置と施設位置とに基づいて、車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設が検索される。そして、この検索された施設を目的地として、当該目的地までの経路案内が行なわれる。これにより、現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行うことができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0052】
例えば、上述した実施形態において、ユーザによって目的行為を設定させる例について説明した。しかしながら、さらに、ユーザによって目的行為を実行する実行時期を設定させても良い。
【0053】
具体的には、例えば、上述した目的行為設定メニュー画面310中から「雑誌を買う」項目が選択され、「OK」項目が選択されることによって、図8の例に示すような、実行時期設定メニュー画面330が表示部40に表示される。この実行時期設定メニュー画面330の中央には、目的行為設定メニュー画面310中から選択された目的行為「雑誌を買う」が表示されている。また、実行時期設定メニュー画面330の下側には、「年」、「月」、及び「日」をそれぞれ調整するための調整キーが表示されている。この調整キーを介して、ユーザの所望する実行時期が入力される。ここでは、「2005年03月03日」が入力されている。そして、「OK」項目が選択されることによって、入力された実行時期が設定される。そして、コンピュータ30は、現在の年月日が実行時期に達したか否かを判定する。
【0054】
このように、ユーザの所望する雑誌の発売日が「2005年3月3日」である場合、ユーザによって目的行為「雑誌を買う」、及び実行時期「2005年3月3日」が設定される。そして、現在の年月日が実行時期「2005年3月3日」に達した場合、目的行為「雑誌を買う」を行い得るとともに、現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データが検索され、検索された施設データに対応する施設までの案内経路が探索される。これにより、ユーザの所望の時期に、現在位置から最も近く、目的行為を行い得る施設を目的地として設定し、当該目的地までの案内経路を探索することができる。
【0055】
また、上述した実施形態において、経路案内中でない場合に、メンテナンス時期に総走行距離が達したときには、自動的に、当該メンテナンス項目が目的行為として設定される例について説明した。しかしながら、経路案内中でない場合であっても、メンテナンス時期に総走行距離が達した場合、ユーザにメンテナンス時期が到来したメンテナンス項目を目的行為として設定するか否かを確認しても良い。
【0056】
さらに、上述した実施形態において、メンテナンス時期が走行距離にて示されている場合の例について説明した。しかしながら、例えば、車検のように、メンテナンス時期が年月日にて示されている場合であっても、メンテナンス時期が到来したか否かを判定しも良い。
【0057】
また、上述した実施形態において、目的行為が設定された場合、コンピュータ30は、デジタル道路地図データベース20から、当該目的行為を行い得るとともに、現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索する例について説明した。しかしながら、最新のデジタル道路地図データベースを管理している地図管理センターと車載ナビゲーション装置100とがデータ通信を行うことが可能であり、かつ情報記憶媒体21が書き換え可能なハードディスクなどである場合には、データ通信手段を介して、車載ナビゲーション装置100は、地図管理センターから最新の施設データを含む最新のデジタル地図データを取得する。この取得された最新のデジタル地図データが情報記憶媒体21に上書き記憶される。そして、目的行為が設定された場合、コンピュータ30は、最新の施設データを含むデジタル道路地図データベース20から、当該目的行為を行い得るとともに、現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索しても良い。
【0058】
さらに、上述した実施形態において、目的行為が設定された場合、コンピュータ30は、当該目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置から施設位置までの直線距離が最も短いと推測される1つの施設データを検索する例について説明した。しかしながら、目的行為が設定された場合、コンピュータ30は、車両の現在位置から目的行為がなし得る施設へ達する経路を探索し、経路が最短であると推測される1つの施設データを検索しても良い。このようにすることにより、目的行為を行い得るとともに、車両の現在位置からの経路が最短である施設を検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、経路探索処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における、第1の記憶装置80の構成を、具体例を用いて説明するための説明図である
【図4】本実施形態における、第2の記憶装置81の構成を、具体例を用いて説明するための説明図である。
【図5】本実施形態における、アラーム警告画面300の表示例を示すイメージ図である。
【図6】本実施形態における、目的行為設定メニュー画面310の表示例を示すイメージ図である。
【図7】本実施形態における、目的地変更選択画面320の表示例を示すイメージ図である。
【図8】本実施形態における、実行時期設定メニュー画面330の表示例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0060】
10…位置検出器
11…GPS受信機
12…地磁気センサ
13…ステアリングセンサ
14…車速センサ
20…デジタル道路地図データベース
21…情報記録媒体
30…コンピュータ
40…表示部
50…操作スイッチ群
60…音声出力部
70…音声入力部
80…第1の記憶装置
81…第2の記憶装置
90…VICS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
少なくとも施設位置を有する施設データを含む地図データを記憶する記憶手段と、
目的行為を設定する設定手段と、
前記目的行為を行い得る施設を検索するとともに、前記車両の現在位置と前記施設位置とに基づいて、前記車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された1つの施設を目的地として、当該目的地まで経路案内を行う経路案内手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記検索手段は、前記車両の現在位置から前記施設位置までの直線距離が最も短い施設を、前記車両の現在位置に最も近い1つの施設として推測することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検索手段は、前記車両の現在位置から前記目的行為がなし得る施設へ達する経路を探索し、当該経路が最短である施設を、前記車両の現在位置に最も近い1つの施設として推測することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記施設データは施設種類を含み、
前記検索手段は、前記設定される目的行為毎に、当該目的行為に対して検索すべき施設種類を示す対応テーブルを有し、当該対応テーブルを参照して、前記目的行為を行い得る施設を検索することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記設定手段は、車両ユーザによって操作される入力手段を備え、
前記目的行為として、予め複数の目的行為が用意されており、前記車両ユーザが前記入力手段を用いて選択した目的行為を、所望の目的行為として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記設定手段は、所定の行為を実行すべき実行時期が到来したか否かを判断する判断手段を含み、当該判断手段によって実行時期が到来したと判定された所定の行為を目的行為として設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記所定の行為を目的行為として設定するか否かを、車両ユーザに確認することを特徴とする請求項6に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記検索手段は、前記経路案内手段によって経路案内が行なわれている経路を前記現在位置が逸脱した場合、前記目的行為を行い得る施設を再検索するとともに、前記車両の現在位置と前記施設位置とに基づいて、前記車両の現在位置に最も近いと推測される1つの施設を再検索することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−250813(P2006−250813A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69679(P2005−69679)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】