車載制御装置
【課題】走行中も助手席の乗員は通常の操作ができ、かつ運転者も所望の画面を見ることが可能な車載制御装置を提供する。
【解決手段】 運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、車両の走行中に入力操作が運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、車両の走行中に入力操作が運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として提供可能である。
【解決手段】 運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、車両の走行中に入力操作が運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、車両の走行中に入力操作が運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両の現在位置を電子地図上に表示するとともに、車両を目的地まで経路誘導する車載制御装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
車両の走行に伴ってＧＰＳ（Global Positioning System：全地球測位システム）等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【０００３】
この車両用ナビゲーション装置の表示器は、運転者が操作し易く、かつ観察し易いように、一般的に運転者と助手席者との間のインストルメントパネル等に設置されている。また安全運転を期すため、前記道路地図を拡大する等のナビゲーションに必要最小限の入力操作を除き、走行中は目的地を設定する等の所定の入力が自動的に禁止されるようになっている。
【０００４】
しかし、車両の運転に直接関与しない助手席者がスイッチ操作を行った場合においても、目的地を設定する等の所定の入力が受けつけられず、したがってこのような入力を行なう場合には、その都度車両を一時停止させて入力しなければならないという問題があった。
【０００５】
そこで、走行中、運転者のスイッチ操作による所定入力の禁止が確保される一方、助手席者のスイッチ操作によっては全ての入力を行うことができ、車両の走行案内を確実、かつ円滑に行なうことができると共に、安全運転を確保することができる車載用ナビゲーション装置が提案されている（特許文献１参照）。
【０００６】
また、近年、運転者には地図情報が、助手席からはＤＶＤ等の再生画面が見られるような、見る方向によって全く別の映像が全画面表示される２画面表示ディスプレイが提案されている（非特許文献１参照）。
【０００７】
【特許文献１】特開平０９−２９２２６１号公報
【非特許文献１】ASCII24 ニュース／トピックス，2005年4月20日「『Display 2005レポート Vol.3』運転席と助手席で異なる映像を全画面表示!! ２画面表示ディスプレイを参考出展」平成17年4月24日検索インターネット＜URL：http://ascii24.com/news/i/topi/article/2005/04/20/655512-000.html?geta＞
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
特許文献１の例は、助手席側から操作する場合、当然ながら運転席からも同じ画面が見えることになる。たとえば、経路案内中に助手席乗員によってテレビ画面に切り換えられた場合、運転者は案内経路画面を見ることができないという問題がある。
【０００９】
また、非特許文献１の２画面表示ディスプレイを用いても、従来技術では助手席乗員の入力も禁止されるので、２画面表示ディスプレイの特徴を十分に生かすことができない。
【００１０】
上記問題を背景として、本発明の課題は、走行中も助手席の乗員は通常の操作ができ、かつ運転者も所望の画面を見ることが可能な車載制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【００１１】
本発明は、上記課題を解決するための車載制御装置を提供するものである。即ち、請求項１によれば、運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、車両の走行中に入力操作が運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、車両の走行中に入力操作が運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として構成される。
【００１２】
本発明は、例えば左右独立して画面表示可能な表示器を有する車載制御装置において、従来技術では走行中は特定の入力操作以外は無効となっていたものを、走行中でも運転者が車載制御装置を操作できない状態にあることを検出することで操作を判定し、走行中でも助手席側の乗員が操作した場合に通常の操作ができるようにするものである。上記構成では、助手席側から見える画面のみ操作でき、車両用ナビゲーション装置，テレビ，ＤＶＤ再生等の操作ができるため、快適にドライブを楽しむことができる。一方、運転席から見える表示画面は助手席乗員の操作によらず例えば経路案内画面を表示し続けるため、運転に集中することができる。
【００１３】
請求項２によれば、本発明の車載制御装置における操作判別手段は、運転者が車両の操舵ハンドルを両手で握っている状態であることを検出する検出手段を含み、運転者が操舵ハンドルを両手で握っていることを検出した場合の入力操作を、運転者以外により行なわれたものであると判別する構成をとることができる。
【００１４】
運転者がハンドルを両手で握っている状態は運転者が車載制御装置を操作できないということである。上記構成によって、車載制御装置の操作が助手席乗員のような運転者以外により行なわれたものであると判別することが可能となる。
【００１５】
請求項３によれば、本発明の車載制御装置における検出手段は操舵ハンドルに配設された２個のセンサを含み、２個のセンサが同時に作動している場合を、操舵ハンドルを両手で握っている状態であるものとする構成をとることができる。
【００１６】
運転者が操舵ハンドルを両手で握る場合、操舵ハンドルの所謂「十時十分」の位置を握ると、正しい運転姿勢を維持でき運転時の疲労も少ないといわれている。よって、その「十時十分」の位置にセンサを配設すれば、最小個数のセンサで検出手段を構成できコスト上昇を抑制するとともに、運転者が操舵ハンドルを両手で握っている状態を適確に検出できる。
【００１７】
また、例えば助手席乗員が表示画面を変更したい場合は、運転者が操舵ハンドルの「十時十分」の位置を握っていないと入力操作が無効になってしまうので、運転者に「十時十分」の位置を握るように促すことになる。その結果、運転者は否応なく「十時十分」の位置を握らなければならなくなるが、正しい運転姿勢を維持できるため運転時の疲労も少なくなる。また、乗員も自由に表示画面を変更できることで車内の雰囲気も和やかなものとなり、運転者は運転に専念することができる。
【００１８】
請求項４によれば、本発明の車載制御装置における走行判定手段は車両の速度を検出する車速検出手段を含み、その検出された速度が所定の値を上回る場合に車両が走行中であると判定する構成をとることができる。
【００１９】
車速検出手段は、ＡＢＳ（Anti Lock Brake System：アンチロック・ブレーキ・システム），横滑り防止装置，エンジン制御装置等の制御に必要であるため、ほぼ全ての車両に取り付けられている。よって、コスト上昇を伴うことなく、車両が走行中かの判定を適確に行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
走行中も助手席の乗員は通常の操作ができ、かつ運転者も所望の画面を見ることが可能な車載制御装置を提供するという目的を、運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示器を備え、走行中にも第２の画面の表示を変更可能とする構成により実現した。
【実施例】
【００２１】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図１は本発明の車載制御装置を車両用ナビゲーション装置に適用したときの全体構成を示すブロック図である。なお、本発明の適用範囲を車両用ナビゲーション装置に限定するものではなく、車載オーディオ装置等にも適用可能である。
【００２２】
車両用ナビゲーション装置（以下、ナビゲーション装置と略称する）１００は、位置検出器１，地図データ入力器６，操作スイッチ群７，リモートコントロール（以下リモコンと称する）センサ１１，音声案内などを行なう音声合成回路２４およびスピーカ１５，不揮発メモリ９，表示装置１０，ハードディスク装置（ＨＤＤ）２１，これらの接続された制御回路８，リモコン端末１２を備えている。
【００２３】
位置検出器１は、周知の地磁気センサ２，ジャイロスコープ３，距離センサ４，および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するＧＰＳのためのＧＰＳ受信機５を有している。これらのセンサ等２，３，４，５は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサすなわち車速センサ２３等を用いてもよい。
【００２４】
操作スイッチ群７は、例えば表示装置１０と一体になったタッチパネル２２もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル２２は、表示装置１０の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してＸ軸方向、Ｙ軸方向に電気回路が配線され、フィルム上を使用者がタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、縦横に微細に配置された赤外線センサ、赤外線センサが検出した指等の接触を電気信号に変えるパネル部分、電気信号を外部機器へ送るための信号処理回路、および、これらを制御するコントローラを含んで構成され、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出される方式を用いてもよい。あるいは、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【００２５】
メカニカルスイッチ，タッチパネルの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク３１および音声認識ユニット３０を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット３０に接続されるマイク３１から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット３０は、マイク３１から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をＡ／Ｄ変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置（ＤＳＰ：Digital Signal Processor）、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、ＤＳＰにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路８に送られる。これら本発明の操作手段である操作スイッチ群７、リモコン端末１２、マイク３１によって、種々の指示を入力することが可能である。
【００２６】
送受信機１３は、例えばＶＩＣＳ（Vehicle Information and Communication System：道路交通情報通信システム）センタ１４から道路交通情報を受信するための装置である。
【００２７】
また、ＥＴＣ（自動料金収受システム，ＥＴＣ：Electronic Toll Collection）車載器１６と通信することにより、ＥＴＣ車載器１６がＥＴＣ路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置１００に取り込むことができる。また、ＥＴＣ車載器１６によって外部ネットワークと接続し、ＶＩＣＳセンタ１４との通信を行なう構成をとってもよい。
【００２８】
本発明の走行判定手段，操作判別手段，操作無効制御手段である制御回路８は通常のコンピュータとして構成されており、周知のＣＰＵ８１，ＲＯＭ８２，ＲＡＭ８３，入出力回路であるＩ／Ｏ８４およびこれらの構成を接続するバスライン８５が備えられている。ＣＰＵ８１は、ＨＤＤ２１に記憶されたナビプログラム２１ｐおよびデータにより制御を行なう。また、ＨＤＤ２１へのデータの読み書きの制御はＣＰＵ８１によって行なわれる。Ａ／Ｄ変換部８６は周知のＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換回路を含み、例えば位置検出器１などから制御回路８に入力されるアナログデータをＣＰＵ８１で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【００２９】
ＨＤＤ２１には、ナビプログラム２１ｐの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ２１ｍが記憶される。地図データ２１ｍは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点（分岐路）等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【００３０】
また、ＨＤＤ２１には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他に使用者が独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ２１ｕとして記憶される。これらのユーザデータ２１ｕは、操作スイッチ群７，タッチパネル２２およびリモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。
【００３１】
また、地図データ２１ｍおよびユーザデータ２１ｕは、地図データ入力器６を介して記憶媒体２０からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体２０は、そのデータ量からＣＤ−ＲＯＭやＤＶＤを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【００３２】
不揮発メモリ９はＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable ＆ Programmable Read Only Memory：電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ）やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ９は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態（即ち、ナビゲーション装置１００がオフ状態）になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【００３３】
また、不揮発メモリ９の代わりにナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータをＨＤＤ２１に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ９とＨＤＤ２１に分けて記憶してもよい。この場合、ＨＤＤ２１よりも不揮発メモリ９へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを不揮発メモリ９に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをＨＤＤ２１に記憶するとよい。不揮発メモリ９に記憶された内容をＨＤＤ２１にバックアップ保存するようにしてもよい。
【００３４】
本発明の表示手段である表示装置１０は、例えばＡ方向，Ｂ方向など異なる２方向からは全く別の映像が全画面表示される２画面表示ディスプレイである。また、表示装置１０は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスＬＣＤ（Liquid Crystal Display）およびＬＣＤ表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路８から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機ＥＬ（ElectroLuminescence：電界発光）表示器，プラズマ表示器を用いてもよい。
【００３５】
また、表示装置１０は、図２のように、表示画面の周囲に配された操作スイッチ群７のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。また、２２ａ，２２ｂはタッチパネル２２上に配置されたタッチスイッチである。
【００３６】
スピーカ１５は制御回路８のＩ／Ｏ３４に接続される周知の音声合成回路２４に接続され、ナビプログラム２１ｐの指令によって不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路２４においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式、音声波形を分析してパラメータに変換された形で蓄積し、それを繋ぎ合せて音声合成回路を駆動し音声を作り出すパラメータ編集方式、文字列あるいは音素記号列から、音声学的・言語学的規則に基づいて、音声を作り出す規則合成方式などがある。
【００３７】
本発明の車速検出手段である車速センサ２３は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路８に送るものである。制御回路８では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【００３８】
外部機器接続装置２６は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路，コネクタを含むものである。以下の機能の一つあるいは少なくとも二つ以上を実現可能な構成となっている。
（１）不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続
（２）他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内ＬＡＮ（Local Area Network）の通信インターフェース回路
（３）携帯電話機１７を介しての外部ネットワーク接続
（４）ＤＶＤ再生装置，テレビ等の音響映像装置
【００３９】
また、外部機器接続装置２６を介して車速センサ２３からのデータ取り込み、あるいはＥＴＣ車載器１６との接続を行なってもよい。
【００４０】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置１００は、制御回路８のＣＰＵ８１によりナビプログラム２１ｐが起動されると、ユーザが操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示装置１０上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置１０に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【００４１】
即ち、使用者が地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、使用者が設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、ＧＰＳ受信機５から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示装置１０上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置１０およびスピーカ１５の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【００４２】
ダイクストラ法では、リンク情報，ノード情報，リンク間接続情報を用いて、現在地から各ノードに至るまでの経路評価値（経路計算コスト）を算出し、目的地までの全ての経路評価値の計算が終了した段階で、総評価値が最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。この場合の評価値は、道路長・道路種別・道路幅員・車線数・交差点での右左折・信号機の有無などに応じて設定されている。例えば、道路幅員が広いほど評価値が低く、車線数が多いほど評価値が低い。
【００４３】
各リンクでの経路計算コストの計算は、例えば次式を用いて行われる。経路計算コスト＝リンク長×道路幅員係数×道路種別係数×渋滞度。ここで、道路幅員係数とは道路幅に応じて設定される係数であり、道路種別係数とは有料道路等の道路種別に応じて設定される係数である。そして、渋滞度とは、その道路の渋滞度合に応じて設定される係数である。
【００４４】
最適な案内経路が求められると、制御回路８は案内経路の右左折する交差点あるいは案内の目印となる建物等の案内対象点を設定する。そして、設定された案内対象点に対し、車両がある一定距離まで近づいたときに音声により案内すべきポイントとして、案内実施点を決定する。案内実施点は、例えば、案内対象点が交差点の場合、一般道では７００ｍ手前，３００ｍ手前，１００ｍ手前、高速道路では２ｋｍ手前，１ｋｍ手前，５００ｍ手前といったように複数設定することができる。
【００４５】
図３は検出手段の取り付け例である。検出手段３５ａ，３５ｂは車両の操舵ハンドル３６の、通常走行時に握られる例えば所謂「十時十分」の位置のような所定の位置に配設されている。検出手段３５ａ，３５ｂは以下のようなセンサで構成されている。また、異なる種類のセンサを組み合わせて用いてもよい。
（１）温度センサ：温度を電圧に変換する周知のサーミスタで構成され、握られた箇所の温度を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された温度すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（２）発汗センサ：湿度を電圧に変換する周知の高分子膜，セラミック，あるいはサーミスタ等で構成され、握られた箇所の湿度すなわち発汗の度合いを測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された湿度すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（３）圧力センサ：圧力を電圧に変換する周知の圧電素子で構成され、握られた箇所の圧力を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された圧力すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（４）接触センサ：微弱電流を流して抵抗値を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された抵抗値すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。また、上記タッチパネル２２における接触検出方法を用いてもよい。
【００４６】
上記のセンサを操舵ハンドル３６の全周に配設して、測定された値が所定の値を上回る位置が２箇所ある場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定してもよい。この場合、センサ部には該センサが操舵ハンドル３６のどの位置にあるかを判別可能なセンサＩＤが記憶され、測定値とともにセンサＩＤも制御回路８へ送られる。
【００４７】
図４を用いて、操作無効制御処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム２１ｐに含まれ、ナビプログラム２１ｐの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、車速センサ２３から取得した車速データを基に、車両が走行中であるかを判定する。車速が例えば５ｋｍ／ｈを上回る場合は車両が走行中であると判定する。車両が走行中でない場合（Ｓ１：Ｎｏ）は、操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力による全ての入力操作を有効とする（Ｓ６）。
【００４８】
車両が走行中である場合（Ｓ１：Ｙｅｓ）は、操作スイッチ群７，タッチパネル２２上のタッチスイッチ２２ａ，２２ｂ、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力による入力操作があるかどうかを検出する。入力操作がある場合（Ｓ２：Ｙｅｓ）、その入力操作が助手席乗員のような運転者以外の入力操作であるかを調べる。上述のように、検出手段３５ａ，３５ｂで測定された状態が、運転者が両手で操舵ハンドル３６を握っている状態であるときの入力操作を運転者以外の入力操作と判定する。
【００４９】
運転者が両手で操舵ハンドル３６を握っている状態でも、運転者は音声入力を行なうことが可能である。この場合、車両が走行中はマイク３１からの音声入力による操作を無効とする方法や、予め、運転者とそれ以外の乗員の音声を音声認識ユニット３０等に登録し、音声認識ユニット３０で操作コマンド認識とともに周知の話者認識を行なう方法により、運転者の音声であるかを判定し、運転者の音声である場合には入力操作を無効とする方法を用いてもよい。また、走行中は運転者による音声入力を可能としてもよい。
【００５０】
例えば助手席乗員の操作のような運転者以外の入力操作であると判定された場合（Ｓ３：Ｙｅｓ）は、その入力操作に応じた処理を行ない、Ｂ方向から見ることができる画面の表示内容を変更する（Ｓ４）。一方、運転者以外の入力操作ではないと判定された場合（Ｓ３：Ｎｏ）は、その入力操作を無効とする（Ｓ５）。
【００５１】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図２】表示装置の構成を示すブロック図。
【図３】検出手段の取り付け位置の一例を示す図。
【図４】操作無効制御処理を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【００５３】
１ 位置検出器
７ 操作スイッチ群（操作手段）
８ 制御回路（走行判定手段，操作判別手段，操作無効制御手段）
９ 不揮発メモリ
１０ 表示装置（表示手段，第１の画面，第２の画面）
１２ リモコン端末（操作手段）
２０ 記憶媒体
２１ ハードディスク装置
２２ タッチパネル（操作手段）
２３ 車速センサ（車速検出手段）
３１ マイク（操作手段）
３５ａ，３５ｂ 検出手段（センサ）
３６ 操舵ハンドル
１００ 車両用ナビゲーション装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両の現在位置を電子地図上に表示するとともに、車両を目的地まで経路誘導する車載制御装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
車両の走行に伴ってＧＰＳ（Global Positioning System：全地球測位システム）等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【０００３】
この車両用ナビゲーション装置の表示器は、運転者が操作し易く、かつ観察し易いように、一般的に運転者と助手席者との間のインストルメントパネル等に設置されている。また安全運転を期すため、前記道路地図を拡大する等のナビゲーションに必要最小限の入力操作を除き、走行中は目的地を設定する等の所定の入力が自動的に禁止されるようになっている。
【０００４】
しかし、車両の運転に直接関与しない助手席者がスイッチ操作を行った場合においても、目的地を設定する等の所定の入力が受けつけられず、したがってこのような入力を行なう場合には、その都度車両を一時停止させて入力しなければならないという問題があった。
【０００５】
そこで、走行中、運転者のスイッチ操作による所定入力の禁止が確保される一方、助手席者のスイッチ操作によっては全ての入力を行うことができ、車両の走行案内を確実、かつ円滑に行なうことができると共に、安全運転を確保することができる車載用ナビゲーション装置が提案されている（特許文献１参照）。
【０００６】
また、近年、運転者には地図情報が、助手席からはＤＶＤ等の再生画面が見られるような、見る方向によって全く別の映像が全画面表示される２画面表示ディスプレイが提案されている（非特許文献１参照）。
【０００７】
【特許文献１】特開平０９−２９２２６１号公報
【非特許文献１】ASCII24 ニュース／トピックス，2005年4月20日「『Display 2005レポート Vol.3』運転席と助手席で異なる映像を全画面表示!! ２画面表示ディスプレイを参考出展」平成17年4月24日検索インターネット＜URL：http://ascii24.com/news/i/topi/article/2005/04/20/655512-000.html?geta＞
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
特許文献１の例は、助手席側から操作する場合、当然ながら運転席からも同じ画面が見えることになる。たとえば、経路案内中に助手席乗員によってテレビ画面に切り換えられた場合、運転者は案内経路画面を見ることができないという問題がある。
【０００９】
また、非特許文献１の２画面表示ディスプレイを用いても、従来技術では助手席乗員の入力も禁止されるので、２画面表示ディスプレイの特徴を十分に生かすことができない。
【００１０】
上記問題を背景として、本発明の課題は、走行中も助手席の乗員は通常の操作ができ、かつ運転者も所望の画面を見ることが可能な車載制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【００１１】
本発明は、上記課題を解決するための車載制御装置を提供するものである。即ち、請求項１によれば、運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、車両の走行中に入力操作が運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、車両の走行中に入力操作が運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、を有することを特徴とする車載制御装置として構成される。
【００１２】
本発明は、例えば左右独立して画面表示可能な表示器を有する車載制御装置において、従来技術では走行中は特定の入力操作以外は無効となっていたものを、走行中でも運転者が車載制御装置を操作できない状態にあることを検出することで操作を判定し、走行中でも助手席側の乗員が操作した場合に通常の操作ができるようにするものである。上記構成では、助手席側から見える画面のみ操作でき、車両用ナビゲーション装置，テレビ，ＤＶＤ再生等の操作ができるため、快適にドライブを楽しむことができる。一方、運転席から見える表示画面は助手席乗員の操作によらず例えば経路案内画面を表示し続けるため、運転に集中することができる。
【００１３】
請求項２によれば、本発明の車載制御装置における操作判別手段は、運転者が車両の操舵ハンドルを両手で握っている状態であることを検出する検出手段を含み、運転者が操舵ハンドルを両手で握っていることを検出した場合の入力操作を、運転者以外により行なわれたものであると判別する構成をとることができる。
【００１４】
運転者がハンドルを両手で握っている状態は運転者が車載制御装置を操作できないということである。上記構成によって、車載制御装置の操作が助手席乗員のような運転者以外により行なわれたものであると判別することが可能となる。
【００１５】
請求項３によれば、本発明の車載制御装置における検出手段は操舵ハンドルに配設された２個のセンサを含み、２個のセンサが同時に作動している場合を、操舵ハンドルを両手で握っている状態であるものとする構成をとることができる。
【００１６】
運転者が操舵ハンドルを両手で握る場合、操舵ハンドルの所謂「十時十分」の位置を握ると、正しい運転姿勢を維持でき運転時の疲労も少ないといわれている。よって、その「十時十分」の位置にセンサを配設すれば、最小個数のセンサで検出手段を構成できコスト上昇を抑制するとともに、運転者が操舵ハンドルを両手で握っている状態を適確に検出できる。
【００１７】
また、例えば助手席乗員が表示画面を変更したい場合は、運転者が操舵ハンドルの「十時十分」の位置を握っていないと入力操作が無効になってしまうので、運転者に「十時十分」の位置を握るように促すことになる。その結果、運転者は否応なく「十時十分」の位置を握らなければならなくなるが、正しい運転姿勢を維持できるため運転時の疲労も少なくなる。また、乗員も自由に表示画面を変更できることで車内の雰囲気も和やかなものとなり、運転者は運転に専念することができる。
【００１８】
請求項４によれば、本発明の車載制御装置における走行判定手段は車両の速度を検出する車速検出手段を含み、その検出された速度が所定の値を上回る場合に車両が走行中であると判定する構成をとることができる。
【００１９】
車速検出手段は、ＡＢＳ（Anti Lock Brake System：アンチロック・ブレーキ・システム），横滑り防止装置，エンジン制御装置等の制御に必要であるため、ほぼ全ての車両に取り付けられている。よって、コスト上昇を伴うことなく、車両が走行中かの判定を適確に行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
走行中も助手席の乗員は通常の操作ができ、かつ運転者も所望の画面を見ることが可能な車載制御装置を提供するという目的を、運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示器を備え、走行中にも第２の画面の表示を変更可能とする構成により実現した。
【実施例】
【００２１】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図１は本発明の車載制御装置を車両用ナビゲーション装置に適用したときの全体構成を示すブロック図である。なお、本発明の適用範囲を車両用ナビゲーション装置に限定するものではなく、車載オーディオ装置等にも適用可能である。
【００２２】
車両用ナビゲーション装置（以下、ナビゲーション装置と略称する）１００は、位置検出器１，地図データ入力器６，操作スイッチ群７，リモートコントロール（以下リモコンと称する）センサ１１，音声案内などを行なう音声合成回路２４およびスピーカ１５，不揮発メモリ９，表示装置１０，ハードディスク装置（ＨＤＤ）２１，これらの接続された制御回路８，リモコン端末１２を備えている。
【００２３】
位置検出器１は、周知の地磁気センサ２，ジャイロスコープ３，距離センサ４，および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するＧＰＳのためのＧＰＳ受信機５を有している。これらのセンサ等２，３，４，５は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサすなわち車速センサ２３等を用いてもよい。
【００２４】
操作スイッチ群７は、例えば表示装置１０と一体になったタッチパネル２２もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル２２は、表示装置１０の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してＸ軸方向、Ｙ軸方向に電気回路が配線され、フィルム上を使用者がタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、縦横に微細に配置された赤外線センサ、赤外線センサが検出した指等の接触を電気信号に変えるパネル部分、電気信号を外部機器へ送るための信号処理回路、および、これらを制御するコントローラを含んで構成され、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出される方式を用いてもよい。あるいは、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【００２５】
メカニカルスイッチ，タッチパネルの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク３１および音声認識ユニット３０を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット３０に接続されるマイク３１から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット３０は、マイク３１から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をＡ／Ｄ変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置（ＤＳＰ：Digital Signal Processor）、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、ＤＳＰにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路８に送られる。これら本発明の操作手段である操作スイッチ群７、リモコン端末１２、マイク３１によって、種々の指示を入力することが可能である。
【００２６】
送受信機１３は、例えばＶＩＣＳ（Vehicle Information and Communication System：道路交通情報通信システム）センタ１４から道路交通情報を受信するための装置である。
【００２７】
また、ＥＴＣ（自動料金収受システム，ＥＴＣ：Electronic Toll Collection）車載器１６と通信することにより、ＥＴＣ車載器１６がＥＴＣ路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置１００に取り込むことができる。また、ＥＴＣ車載器１６によって外部ネットワークと接続し、ＶＩＣＳセンタ１４との通信を行なう構成をとってもよい。
【００２８】
本発明の走行判定手段，操作判別手段，操作無効制御手段である制御回路８は通常のコンピュータとして構成されており、周知のＣＰＵ８１，ＲＯＭ８２，ＲＡＭ８３，入出力回路であるＩ／Ｏ８４およびこれらの構成を接続するバスライン８５が備えられている。ＣＰＵ８１は、ＨＤＤ２１に記憶されたナビプログラム２１ｐおよびデータにより制御を行なう。また、ＨＤＤ２１へのデータの読み書きの制御はＣＰＵ８１によって行なわれる。Ａ／Ｄ変換部８６は周知のＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換回路を含み、例えば位置検出器１などから制御回路８に入力されるアナログデータをＣＰＵ８１で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【００２９】
ＨＤＤ２１には、ナビプログラム２１ｐの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ２１ｍが記憶される。地図データ２１ｍは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点（分岐路）等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【００３０】
また、ＨＤＤ２１には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他に使用者が独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ２１ｕとして記憶される。これらのユーザデータ２１ｕは、操作スイッチ群７，タッチパネル２２およびリモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。
【００３１】
また、地図データ２１ｍおよびユーザデータ２１ｕは、地図データ入力器６を介して記憶媒体２０からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体２０は、そのデータ量からＣＤ−ＲＯＭやＤＶＤを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【００３２】
不揮発メモリ９はＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable ＆ Programmable Read Only Memory：電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ）やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ９は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態（即ち、ナビゲーション装置１００がオフ状態）になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【００３３】
また、不揮発メモリ９の代わりにナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータをＨＤＤ２１に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ９とＨＤＤ２１に分けて記憶してもよい。この場合、ＨＤＤ２１よりも不揮発メモリ９へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを不揮発メモリ９に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをＨＤＤ２１に記憶するとよい。不揮発メモリ９に記憶された内容をＨＤＤ２１にバックアップ保存するようにしてもよい。
【００３４】
本発明の表示手段である表示装置１０は、例えばＡ方向，Ｂ方向など異なる２方向からは全く別の映像が全画面表示される２画面表示ディスプレイである。また、表示装置１０は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスＬＣＤ（Liquid Crystal Display）およびＬＣＤ表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路８から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機ＥＬ（ElectroLuminescence：電界発光）表示器，プラズマ表示器を用いてもよい。
【００３５】
また、表示装置１０は、図２のように、表示画面の周囲に配された操作スイッチ群７のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。また、２２ａ，２２ｂはタッチパネル２２上に配置されたタッチスイッチである。
【００３６】
スピーカ１５は制御回路８のＩ／Ｏ３４に接続される周知の音声合成回路２４に接続され、ナビプログラム２１ｐの指令によって不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路２４においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式、音声波形を分析してパラメータに変換された形で蓄積し、それを繋ぎ合せて音声合成回路を駆動し音声を作り出すパラメータ編集方式、文字列あるいは音素記号列から、音声学的・言語学的規則に基づいて、音声を作り出す規則合成方式などがある。
【００３７】
本発明の車速検出手段である車速センサ２３は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路８に送るものである。制御回路８では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【００３８】
外部機器接続装置２６は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路，コネクタを含むものである。以下の機能の一つあるいは少なくとも二つ以上を実現可能な構成となっている。
（１）不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続
（２）他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内ＬＡＮ（Local Area Network）の通信インターフェース回路
（３）携帯電話機１７を介しての外部ネットワーク接続
（４）ＤＶＤ再生装置，テレビ等の音響映像装置
【００３９】
また、外部機器接続装置２６を介して車速センサ２３からのデータ取り込み、あるいはＥＴＣ車載器１６との接続を行なってもよい。
【００４０】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置１００は、制御回路８のＣＰＵ８１によりナビプログラム２１ｐが起動されると、ユーザが操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示装置１０上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置１０に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【００４１】
即ち、使用者が地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、使用者が設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、ＧＰＳ受信機５から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示装置１０上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置１０およびスピーカ１５の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【００４２】
ダイクストラ法では、リンク情報，ノード情報，リンク間接続情報を用いて、現在地から各ノードに至るまでの経路評価値（経路計算コスト）を算出し、目的地までの全ての経路評価値の計算が終了した段階で、総評価値が最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。この場合の評価値は、道路長・道路種別・道路幅員・車線数・交差点での右左折・信号機の有無などに応じて設定されている。例えば、道路幅員が広いほど評価値が低く、車線数が多いほど評価値が低い。
【００４３】
各リンクでの経路計算コストの計算は、例えば次式を用いて行われる。経路計算コスト＝リンク長×道路幅員係数×道路種別係数×渋滞度。ここで、道路幅員係数とは道路幅に応じて設定される係数であり、道路種別係数とは有料道路等の道路種別に応じて設定される係数である。そして、渋滞度とは、その道路の渋滞度合に応じて設定される係数である。
【００４４】
最適な案内経路が求められると、制御回路８は案内経路の右左折する交差点あるいは案内の目印となる建物等の案内対象点を設定する。そして、設定された案内対象点に対し、車両がある一定距離まで近づいたときに音声により案内すべきポイントとして、案内実施点を決定する。案内実施点は、例えば、案内対象点が交差点の場合、一般道では７００ｍ手前，３００ｍ手前，１００ｍ手前、高速道路では２ｋｍ手前，１ｋｍ手前，５００ｍ手前といったように複数設定することができる。
【００４５】
図３は検出手段の取り付け例である。検出手段３５ａ，３５ｂは車両の操舵ハンドル３６の、通常走行時に握られる例えば所謂「十時十分」の位置のような所定の位置に配設されている。検出手段３５ａ，３５ｂは以下のようなセンサで構成されている。また、異なる種類のセンサを組み合わせて用いてもよい。
（１）温度センサ：温度を電圧に変換する周知のサーミスタで構成され、握られた箇所の温度を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された温度すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（２）発汗センサ：湿度を電圧に変換する周知の高分子膜，セラミック，あるいはサーミスタ等で構成され、握られた箇所の湿度すなわち発汗の度合いを測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された湿度すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（３）圧力センサ：圧力を電圧に変換する周知の圧電素子で構成され、握られた箇所の圧力を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された圧力すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。
（４）接触センサ：微弱電流を流して抵抗値を測定し、測定結果を制御回路８へ入力する。制御回路８は、二つのセンサで測定された抵抗値すなわち電圧が所定の値を上回る場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定する。また、上記タッチパネル２２における接触検出方法を用いてもよい。
【００４６】
上記のセンサを操舵ハンドル３６の全周に配設して、測定された値が所定の値を上回る位置が２箇所ある場合に両手で操舵ハンドル３６を握っていると判定してもよい。この場合、センサ部には該センサが操舵ハンドル３６のどの位置にあるかを判別可能なセンサＩＤが記憶され、測定値とともにセンサＩＤも制御回路８へ送られる。
【００４７】
図４を用いて、操作無効制御処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム２１ｐに含まれ、ナビプログラム２１ｐの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、車速センサ２３から取得した車速データを基に、車両が走行中であるかを判定する。車速が例えば５ｋｍ／ｈを上回る場合は車両が走行中であると判定する。車両が走行中でない場合（Ｓ１：Ｎｏ）は、操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力による全ての入力操作を有効とする（Ｓ６）。
【００４８】
車両が走行中である場合（Ｓ１：Ｙｅｓ）は、操作スイッチ群７，タッチパネル２２上のタッチスイッチ２２ａ，２２ｂ、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力による入力操作があるかどうかを検出する。入力操作がある場合（Ｓ２：Ｙｅｓ）、その入力操作が助手席乗員のような運転者以外の入力操作であるかを調べる。上述のように、検出手段３５ａ，３５ｂで測定された状態が、運転者が両手で操舵ハンドル３６を握っている状態であるときの入力操作を運転者以外の入力操作と判定する。
【００４９】
運転者が両手で操舵ハンドル３６を握っている状態でも、運転者は音声入力を行なうことが可能である。この場合、車両が走行中はマイク３１からの音声入力による操作を無効とする方法や、予め、運転者とそれ以外の乗員の音声を音声認識ユニット３０等に登録し、音声認識ユニット３０で操作コマンド認識とともに周知の話者認識を行なう方法により、運転者の音声であるかを判定し、運転者の音声である場合には入力操作を無効とする方法を用いてもよい。また、走行中は運転者による音声入力を可能としてもよい。
【００５０】
例えば助手席乗員の操作のような運転者以外の入力操作であると判定された場合（Ｓ３：Ｙｅｓ）は、その入力操作に応じた処理を行ない、Ｂ方向から見ることができる画面の表示内容を変更する（Ｓ４）。一方、運転者以外の入力操作ではないと判定された場合（Ｓ３：Ｎｏ）は、その入力操作を無効とする（Ｓ５）。
【００５１】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図２】表示装置の構成を示すブロック図。
【図３】検出手段の取り付け位置の一例を示す図。
【図４】操作無効制御処理を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【００５３】
１ 位置検出器
７ 操作スイッチ群（操作手段）
８ 制御回路（走行判定手段，操作判別手段，操作無効制御手段）
９ 不揮発メモリ
１０ 表示装置（表示手段，第１の画面，第２の画面）
１２ リモコン端末（操作手段）
２０ 記憶媒体
２１ ハードディスク装置
２２ タッチパネル（操作手段）
２３ 車速センサ（車速検出手段）
３１ マイク（操作手段）
３５ａ，３５ｂ 検出手段（センサ）
３６ 操舵ハンドル
１００ 車両用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、
前記表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、
前記車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、
前記入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、
前記車両の走行中に前記入力操作が前記運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、前記車両の走行中に前記入力操作が前記運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として前記第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、
を有することを特徴とする車載制御装置。
【請求項２】
前記操作判別手段は、前記運転者が前記車両の操舵ハンドルを両手で握っている状態であることを検出する検出手段を含み、前記運転者が前記操舵ハンドルを両手で握っていることを検出した場合の前記入力操作を、前記運転者以外により行なわれたものであると判別する請求項１に記載の車載制御装置。
【請求項３】
前記検出手段は前記操舵ハンドルに配設された２個のセンサを含み、前記２個のセンサが同時に作動している場合を、前記操舵ハンドルを両手で握っている状態であるものとする請求項２に記載の車載制御装置。
【請求項４】
前記走行判定手段は前記車両の速度を検出する車速検出手段を含み、その検出された速度が所定の値を上回る場合に前記車両が走行中であると判定する請求項１ないし３のいずれか１項に記載の車載制御装置。
【請求項１】
運転者が見ることができる第１の画面と、運転者以外が見ることができる第２の画面とを同時に表示する表示手段と、
前記表示手段の表示内容を変更するための入力操作を行なう操作手段と、
前記車両が走行中であるかを判定する走行判定手段と、
前記入力操作が運転者により行なわれたものであるかを判別する操作判別手段と、
前記車両の走行中に前記入力操作が前記運転者により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を無効とし、前記車両の走行中に前記入力操作が前記運転者以外により行なわれたものであると判別された場合には当該入力操作を有効として前記第２の画面の表示内容を変更可能とする操作無効制御手段と、
を有することを特徴とする車載制御装置。
【請求項２】
前記操作判別手段は、前記運転者が前記車両の操舵ハンドルを両手で握っている状態であることを検出する検出手段を含み、前記運転者が前記操舵ハンドルを両手で握っていることを検出した場合の前記入力操作を、前記運転者以外により行なわれたものであると判別する請求項１に記載の車載制御装置。
【請求項３】
前記検出手段は前記操舵ハンドルに配設された２個のセンサを含み、前記２個のセンサが同時に作動している場合を、前記操舵ハンドルを両手で握っている状態であるものとする請求項２に記載の車載制御装置。
【請求項４】
前記走行判定手段は前記車両の速度を検出する車速検出手段を含み、その検出された速度が所定の値を上回る場合に前記車両が走行中であると判定する請求項１ないし３のいずれか１項に記載の車載制御装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００６−３１７４２１（Ｐ２００６−３１７４２１Ａ）
【公開日】平成１８年１１月２４日（２００６．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１６４６６８（Ｐ２００５−１６４６６８）
【出願日】平成１７年６月３日（２００５．６．３）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１１月２４日（２００６．１１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月３日（２００５．６．３）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
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