説明

車載地図表示装置

【課題】要約地図領域を地図上に適切に示すことができる車両用の地図表示装置を提供する。
【解決手段】推奨経路に従って自車両が走行しているときに、画面を二分割して、要約地図20と地図25とを表示する。このとき、地図25において要約地図20が対応する要約地図領域の形状を求め、求められた形状に応じて、要約地図領域マーク26を地図25上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周囲の地図画面を表示するナビゲーション装置において、車両が誘導経路上の案内交差点に近づくと、その案内交差点の拡大図を表示し、さらに、表示した交差点拡大図が誘導経路のどの部分を拡大しているかを示す指示マークを地図上に表示するものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、案内交差点付近の拡大地図として、道路形状を簡略化することで作成された要約地図を表示する車載情報端末が知られている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−208293号公報
【特許文献2】特開2005−70485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示される車載情報端末において、要約地図が作成される地図領域の形状は、通常の交差点拡大図の場合のように一定ではない。したがって、特許文献1に開示されるような指示マークを用いて要約地図領域を地図上に示そうとしても、その形状を適切に定めることができない。このように、従来の方法では要約地図領域を地図上に適切に示すことができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、地図を簡略化した要約地図を表示モニタに表示する要約地図表示制御手段と、地図において要約地図が対応する要約地図領域の形状を求める形状算出手段と、形状算出手段によりその形状が求められた要約地図領域を地図上に示す要約地図領域提示手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車載地図表示装置において、要約対象道路を設定する要約対象道路設定手段と、要約対象道路設定手段により設定された要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図を作成する要約地図作成手段とをさらに備える。この車載地図表示装置において、形状算出手段は、地図における要約対象道路の各端点の位置に基づいて、要約地図領域の形状を求めるものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の車載地図表示装置において、形状算出手段は、要約対象道路の各端点を第一の端点群と第二の端点群とに分類し、第一の端点群に分類された各端点を通って所定の第一の方向にそれぞれ延びる第一の線分と、第二の端点群に分類された各端点を通って所定の第二の方向にそれぞれ延びる第二の線分とを組み合わせて、要約地図領域の形状を求めるものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の車載地図表示装置において、上記の第一の方向は、自車両の進行方向と略平行な方向であり、上記の第二の方向は、自車両の進行方向と略直交する方向であることとしたものである。
請求項5の発明は、請求項3または4に記載の車載地図表示装置において、上記の第一の方向は、表示モニタの画面の縦方向と略一致する方向であり、上記の第二の方向は、表示モニタの画面の横方向と略一致する方向であることとしたものである。
請求項6の発明は、請求項3〜5いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、形状算出手段は、第一の端点群に分類された隣接する二端点の略中間に位置する点を通って第二の方向に延びる第三の線分と、第二の端点群に分類された隣接する二端点の略中間に位置する点を通って第一の方向に延びる第四の線分とをさらに組み合わせて、要約地図領域の形状を求めるものである。
請求項7の発明は、請求項3〜6いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、車両が進むべき推奨経路を設定する推奨経路設定手段と、推奨経路設定手段により設定された推奨経路において車両が次に曲がるべき誘導交差点を特定する誘導交差点特定手段とをさらに備える。この車載地図表示装置において、要約対象道路設定手段は、推奨経路を構成する道路のうち、誘導交差点を含む所定範囲内の道路を要約対象道路に設定する。また、形状算出手段は、要約対象道路のうち誘導交差点よりも手前側にある道路の端点を第二の端点群に分類し、要約対象道路のうち誘導交差点よりも向こう側にある道路の端点を第一の端点群に分類するものである。
請求項8の発明は、請求項7に記載の車載地図表示装置において、要約対象道路設定手段は、推奨経路と接続する所定範囲内の道路をさらに要約対象道路に設定する。また、形状算出手段は、要約対象道路のうち誘導交差点の手前側で推奨経路と接続する道路の端点を第一の端点群に分類し、要約対象道路のうち誘導交差点の向こう側で推奨経路と接続する道路の端点を第二の端点群に分類するものである。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の車載地図表示装置において、要約対象道路設定手段は、推奨経路と接続する所定範囲内の道路をさらに要約対象道路に設定する。また、形状算出手段は、要約対象道路のうち、誘導交差点で推奨経路と接続しており、誘導交差点への車両の進入方向と略一致する方向に延びる道路の端点を第二の端点群に分類し、誘導交差点で推奨経路と接続しており、誘導交差点からの車両の脱出方向と略反対の方向に延びる道路の端点を第一の端点群に分類するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、要約地図領域を地図上に適切に示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置について説明する。本実施形態のナビゲーション装置は、車両に搭載されて使用されるものである。このナビゲーション装置に対してユーザが目的地を設定すると、ナビゲーション装置は、その目的地までの推奨経路を探索し、探索された推奨経路にしたがって自車両を当該目的地へと案内する。そして、自車両が次に曲がるべき誘導交差点から離れていても、自車両からその誘導交差点までの道路の形状を簡略化した要約地図を地図と共に表示する。このとき、表示した要約地図の領域を地図上に示すことにより、ユーザにとって分かりやすい地図情報を提供するものである。
【0009】
本実施形態のナビゲーション装置の構成を、図1のブロック図に示す。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS受信部14、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部15、表示モニタ16、スピーカ17および入力装置18を備えている。
【0010】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10が行う処理により、ユーザの操作に応じて目的地が設定され、その目的地までの推奨経路が探索される。さらに、自車位置から次の誘導交差点までの要約地図が作成されて地図と共に表示される。このときの具体的な処理内容については、後で図3のフローチャートにより詳しく説明する。
【0011】
振動ジャイロ11は、自車両の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、自車両の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて自車両の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、自車両の位置移動量が求められ、それによって自車両の現在位置が検出される。
【0012】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0013】
なお、HDD13に記録された地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。なお、地図データにおいて各道路を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクによって構成されている。
【0014】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0015】
VICS情報受信部15は、VICSセンターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。VICS情報受信部15により受信されたVICS情報は制御部10に出力され、制御部10において推奨経路を探索するときに利用されると共に、その内容が表示モニタ16において表示される。
【0016】
なお、VICSセンターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0017】
表示モニタ16は、様々な画像や映像を表示するための装置であり、液晶ディスプレイ等が用いられる。この表示モニタ16により、自車位置周辺の地図や、次の誘導交差点までの要約地図などが表示される。なお、表示モニタ16は、たとえば自車両のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、運転席から見やすい位置に設置されている。スピーカ17は、制御部10の制御により、経路案内用の音声などが出力される。
【0018】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置18を表示モニタ16と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0019】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、自車両の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、出発地から目的地までのルート探索を行う。このルート探索により求められた経路が、目的地までの推奨経路として設定される。こうして推奨経路が設定されると、他の道路とは異なる色を使用するなどの方法により、他の道路とは区別して推奨経路が地図上に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示される地図画面において、推奨経路を容易に認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このようにして、目的地までのルート案内が行われる。
【0020】
また、上記のようにして推奨経路が求められた後に、自車位置からその推奨経路における次の誘導交差点までの要約地図が作成され、表示モニタ16に表示される。そして、その要約地図の上に、自車両が曲がるべき方向を示すための矢印が重ね合わされて表示される。以上説明したようにして、自車両が目的地まで誘導される。なお、要約地図の具体的な作成方法については後で説明する。
【0021】
本実施形態のナビゲーション装置1において表示される画面の一例を図2に示す。この例では、画面を左右に二分割して、左側の画面には要約地図20を表示し、右側の画面には地図25を表示している。
【0022】
左側の画面に表示された要約地図20では、各道路が直線状に簡略化されて表されている。誘導交差点21の手前には、自車位置マーク22が表示されており、自車両が誘導交差点21に向かっていることが分かる。また、誘導矢印23により、誘導交差点21において自車両が右折すべきことが示されている。すなわち、自車位置マーク22から誘導交差点21までの道路と、誘導交差点21を右折した方向の道路とは、いずれも推奨経路を構成している道路である。
【0023】
一方、右側の画面に表示された地図25上には、要約地図20の領域を示す要約地図領域マーク26が表示されている。これにより、要約地図20が地図25上でどの範囲を表しているかが分かる。地図25において、前述のように推奨経路は他の道路とは区別して表示されている。
【0024】
なお、図2の画面例において、左右の画面を入れ替えてもよい。または、地図25の中に要約地図20を小さく表示したり、反対に要約地図20の中に地図25を小さく表示したりすることとしてもよい。あるいは、要約地図20と地図25とを所定の時間間隔ごとに切り替えて表示してもよい。これ以外にも、様々な表示方法を用いることができる。さらに、要約地図領域マーク26を図2の画面例とは違う表示形態により地図25上に示してもよい。たとえば、色彩を変化させたり、点滅させたり、立体的に表示したりすることができる。
【0025】
以上説明したような画面を表示するときの処理のフローチャートを図3に示す。このフローチャートは、制御部10によって実行される。ステップS10では、推奨経路の設定を行う。ここでは、ユーザの操作に応じて目的地が設定されることにより、その目的地までに自車両が進むべき推奨経路が設定される。
【0026】
ステップS20では、HDD13に記録された地図データに基づいて、自車位置周辺の地図を表示モニタ16に表示する。このとき、ステップS10で設定した推奨経路が地図上に示される。これにより、図2に示すように、地図25が表示モニタ16において画面の右側に表示される。なお、ここで表示される地図は、所定のタイミングごとに更新される。したがって、自車両が走行して自車位置が変化すると、それに応じて表示される地図の範囲が適宜変更される。
【0027】
ステップS30では、推奨経路上にある次の誘導交差点を特定する。ここでは、ステップS10で設定された推奨経路において自車両が次に曲がるべき誘導交差点を、HDD13に記録された地図データに基づいて特定する。
【0028】
ステップS40では、要約対象道路を設定する。ここでは、ステップS10で設定した推奨経路を構成する道路のうち、自車位置とステップS30で特定した誘導交差点とを含む所定範囲内の道路を要約対象道路に設定する。さらに、推奨経路と接続する所定範囲内の道路も要約対象道路に設定する。
【0029】
具体的には、地図データにおいて所定の条件を満たすリンクを要約対象道路として選択することにより、要約対象道路の設定を行う。たとえば、自車位置から見て誘導交差点の手前側にある推奨経路については、自車位置に対応するリンクと、その一つ後ろのリンクと、これらのリンクから誘導交差点までの間に存在するリンクとを、要約対象道路として選択する。また、自車位置から見て誘導交差点の向こう側にある推奨経路については、誘導交差点から所定距離以内に存在するリンクを要約対象道路として選択する。さらに、推奨経路と接続する道路については、要約対象道路に設定された上記の推奨経路の各リンクに直接つながっているリンクを要約対象道路として選択する。このようにして要約対象道路の設定を行うことができる。
【0030】
ステップS50では、HDD13に記録された地図データに基づいて、ステップS40で設定した要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図の作成を行う。具体的には、ステップS40で要約対象道路として選択した各リンクをその長さに応じて直線化し、さらに各リンクの交差角度を所定の角度単位、たとえば45°単位で量子化することにより、要約地図を作成する。なお、ここで述べた要約地図の作成方法は一例であるため、他の方法を用いてもよい。すなわち、要約対象道路の形状を簡略化することができれば、どのような要約地図の作成方法であってもよい。
【0031】
ステップS60では、ステップS50で作成した要約地図を表示モニタ16に表示する。これにより、図2に示すように、要約地図20が表示モニタ16において画面の左側に表示される。
【0032】
ステップS70では、ステップS60で表示した要約地図に対して要約地図領域の形状を求める。この要約地図領域は、ステップS20で表示した地図において要約地図が対応する領域を示すものである。ここでは、地図における要約対象道路の各端点の位置に基づいて、要約地図領域の形状を求める。このときの具体的な方法については、後で図4により詳しく説明する。
【0033】
ステップS80では、ステップS70でその形状が求められた要約地図領域を、ステップS20で表示した地図上に示す。これにより、図2に示すように、地図25上に要約地図領域マーク26が表示される。
【0034】
ステップS90では、ステップS60で表示した要約地図上に、ステップS30で特定した誘導交差点における自車両の進行方向を示すための誘導矢印を表示する。これにより、図2の要約地図20上に誘導矢印23が表示される。
【0035】
ステップS100では、ステップS30で特定した誘導交差点を自車両が通過したか否かを判定する。誘導交差点を自車両が通過するまではステップS100に留まる。誘導交差点を通過したらステップS30へ戻り、次の誘導交差点をステップS30において特定した後、上記のような処理を繰り返す。このようにして、自車両が誘導交差点を通過する度に、次の誘導交差点までの要約地図を作成して表示すると共に、表示した要約地図の領域を地図上に示す。
【0036】
次に、ステップS70において要約地図領域の形状を求める具体的な方法について、図4により説明する。図4は、図2の要約地図20に対して要約地図領域の形状を求めるときの様子を示している。
【0037】
ステップS40で要約対象道路を設定すると、推奨経路を構成するリンクのうち、自車位置マーク22が表示されているリンクl2と、そのリンクl2の一つ後ろにあるリンクl1と、これらのリンクl1およびl2から誘導交差点21までの間にあるリンクl3、l4およびl5とが、要約対象道路に設定される。また、誘導交差点21の向こう側にある推奨経路のリンクl6およびl7も、要約対象道路に設定される。さらに、推奨経路と接続する道路のうち、要約対象道路に設定された上記の推奨経路の各リンクに直接つながっているリンクl8、l9、l10、l11、l12、l13、l14、l15、l16およびl17も、要約対象道路に設定される。
【0038】
要約対象道路に設定された上記のリンクl1〜l17の両端点には、図4に示すようにノードn1〜n18がそれぞれ設定されている。なお、ノードn6は誘導交差点21に対応する。ステップS70では、先ずこのノードn1〜n18のうち、推奨経路の途中にあるノードn2〜n7を除いた各ノード、すなわちノードn1およびn8〜n18を抽出する。こうして抽出されたノードn1およびn8〜n18は、いずれも要約対象道路の外縁部に位置している。すなわち、要約対象道路の端点をそれぞれ表している。
【0039】
次に、抽出したノードn1およびn8〜n18を、次のように二つのグループに分類する。第一のグループには、要約対象道路に設定された推奨経路のリンクのうちで誘導交差点21よりも向こう側にあるリンクのノードと、誘導交差点21の手前側で推奨経路と接続するリンクのノードと、誘導交差点21からの自車両の脱出方向と略反対の方向に延びるリンクのノードとを分類する。すなわち、ノードn8と、ノードn11〜n17と、ノードn10とを、第一のグループに分類する。
【0040】
第二のグループには、要約対象道路に設定された推奨経路のリンクのうちで誘導交差点21よりも手前側にあるリンクのノードと、誘導交差点21の向こう側で推奨経路と接続するリンクのノードと、誘導交差点21への自車両の進入方向と略一致する方向に延びるリンクのノードとを分類する。すなわち、ノードn1と、ノードn18と、ノードn9とを、第二のグループに分類する。
【0041】
上記のようにしてノードn1およびn8〜n18を二つのグループに分類したら、次に各ノードを通って所定の方向に延びる線分をそれぞれ求める。このとき、第一のグループに分類された各ノードに対しては、その各ノードを通って自車両の進行方向と略平行な方向に延びる線分をそれぞれ求める。これにより、たとえばノードn8に対して線分k2が求められる。同様に、ノードn11〜n17に対して線分k5〜k11がそれぞれ求められ、ノードn10に対して線分k4が求められる。
【0042】
一方、第二のグループに分類された各ノードに対しては、その各ノードを通って自車両の進行方向と略直交する方向に延びる線分をそれぞれ求める。これにより、たとえばノードn1に対して線分k1が求められる。同様に、ノードn18に対して線分k12が求められ、ノードn9に対して線分k3が求められる。
【0043】
なお、自車両の進行方向が表示モニタ16において画面上向きとなるように設定されている場合、すなわちヘディングアップ表示がナビゲーション装置1において設定されている場合は、自車両の進行方向と略平行な方向と、表示モニタ16の画面の縦方向とが一致する。また、自車両の進行方向と略直交する方向と、表示モニタ16の画面の横方向とが一致する。したがって、上記の第一のグループに属する各ノードに対しては、その各ノードを通って表示モニタ16の画面の縦方向と略一致する方向に延びる線分をそれぞれ求めることにより、線分k2、k5〜k11およびk4が求められる。また、第二のグループに属する各ノードに対しては、その各ノードを通って表示モニタ16の画面の横方向と略一致する方向に延びる線分をそれぞれ求めることにより、線分k1、k12およびk3が求められる。
【0044】
以上説明したようにして求められた線分k1〜k12を組み合わせ、互いを接続し合うことで、要約地図領域の形状を求めることができる。しかし、この線分k1〜k12だけでは、たとえば線分k5とk7の間のように、互いに接続できない部分が生じる。そこで、このように接続できない部分を埋め合わせるために、次のようにして求められる線分をさらに組み合わせて用いることとする。
【0045】
第一のグループに分類された二つのノード同士が隣接する場合は、先ず、その隣接する二つのノードの略中間に位置する点を求める。これにより、たとえばノードn11およびn13に対して中間点m1が求められる。同様に中間点m2〜m7も求められる。次に、求められた中間点m1〜m7を通って、上記の線分k1、k12およびk3と同じ方向、すなわち自車両の進行方向と略直交する方向に延びる線分をそれぞれ求める。これにより、たとえば中間点m1に対して線分k13が求められる。同様に、中間点m2〜m7に対して線分k14〜k19がそれぞれ求められる。
【0046】
一方、第二のグループに分類された二つのノード同士が隣接する場合は、上記の第一のグループの場合と同様に、隣接する二つのノードの略中間に位置する点を最初に求める。これにより、ノードn18およびn9に対して中間点m8が求められる。次に、求められた中間点m8を通って、上記の線分k2、k5〜k11およびk4と同じ方向、すなわち自車両の進行方向と略平行な方向に延びる線分を求める。これにより、中間点m8に対して線分k20が求められる。
【0047】
以上説明したようにして求められた線分k13〜k20と、前述の線分k1〜k12とを組み合わせて互いを接続し合うことで、要約地図領域マーク26に示すような要約地図領域の形状が求められる。ステップS70では、このような方法により要約地図領域の形状を求める。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)地図を表示モニタ16に表示し(ステップS20)、自車位置から次の誘導交差点までの地図を簡略化した要約地図を表示モニタ16に表示する(ステップS60)。このとき、表示した地図において要約地図が対応する要約地図領域の形状を求め(ステップS70)、その形状が求められた要約地図領域を地図上に示す(ステップS80)こととした。このようにしたので、要約地図領域を地図上に適切に示すことができる。
【0049】
(2)要約対象道路を設定し(ステップS40)、設定された要約対象道路の形状を簡略化することにより、要約地図を作成する(ステップS50)。ステップS70では、地図におけるその要約対象道路の各端点の位置に基づいて、要約地図領域の形状を求めることとした。このようにしたので、要約地図領域の形状を正しく求めることができる。
【0050】
(3)ステップS70では、要約対象道路の端点に対応する各ノードを第一のグループと第二のグループとに分類する。そして、第一のグループに分類された各ノードを通って所定の第一の方向にそれぞれ延びる線分k2、k5〜k11およびk4と、第二のグループに分類された各ノードを通って所定の第二の方向にそれぞれ延びる線分k1、k12およびk3とを組み合わせて、要約地図領域の形状を求めることとした。このようにしたので、要約対象道路の各端点の位置に基づいて、要約地図領域の形状を正しく求めることができる。
【0051】
(4)上記の第一の方向を、自車両の進行方向と略平行な方向とし、第二の方向を、自車両の進行方向と略直交する方向とした。このようにしたので、要約地図領域の形状を求めるための線分k1〜k12を適切に定めることができる。
【0052】
(5)また、ヘディングアップ表示がナビゲーション装置1において設定されている場合は、上記の第一の方向を、表示モニタ16の画面の縦方向と略一致する方向とし、第二の方向を、表示モニタ16の画面の横方向と略一致する方向とすることができる。このようにしても、要約地図領域の形状を求めるための線分k1〜k12を適切に定めることができる。
【0053】
(6)ステップS70では、第一のグループに分類された隣接する二つのノードの略中間に位置する点m1〜m7を通って、上記の第二の方向に延びる線分k13〜k19と、第二のグループに分類された隣接する二つのノードの略中間に位置する点m8を通って、上記の第一の方向に延びる線分k20とをさらに組み合わせて、要約地図領域の形状を求めることとした。このようにしたので、線分k1〜k12において互いに接続できない部分があっても、要約地図領域の形状を求めることができる。
【0054】
(7)自車両が進むべき推奨経路を設定し(ステップS10)、設定された推奨経路において自車両が次に曲がるべき誘導交差点21を特定する(ステップS30)。ステップS40では、この推奨経路を構成するリンクのうち、ステップS30で特定された誘導交差点21を含む所定範囲内のリンクl1〜l7を要約対象道路に設定する。そして、ステップS70では、要約対象道路に設定されたリンクl1〜l7のうち誘導交差点21よりも手前側にあるリンクl1の端点であるノードn1を第二のグループに分類し、誘導交差点21よりも向こう側にあるリンクl7の端点であるノードn8を第一のグループに分類することとした。このようにしたので、要約対象道路の端点に対応するノードn1とn8を第一のグループと第二のグループに適切に分類することができる。
【0055】
(8)ステップS40では、推奨経路と接続する所定範囲内のリンクl8〜l17をさらに要約対象道路に設定する。ステップS70では、この要約対象道路に設定されたリンクl8〜l17のうち誘導交差点21の手前側で推奨経路と接続するリンクl10〜l16の端点であるノードn11〜n17を第一のグループに分類し、誘導交差点21よりも向こう側で推奨経路と接続するリンクl17の端点であるノードn18を第二のグループに分類することとした。このようにしたので、要約対象道路の端点に対応するノードn11〜n18を第一のグループと第二のグループに適切に分類することができる。
【0056】
(9)さらにステップS70では、要約対象道路に設定されたリンクl8〜l17のうち、誘導交差点21で推奨経路と接続しており、誘導交差点21への自車両の進入方向と略一致する方向に延びるリンクl8の端点であるノードn9を第二のグループに分類し、誘導交差点21で推奨経路と接続しており、誘導交差点21からの自車両の脱出方向と略反対の方向に延びるリンクl9の端点であるノードn10を第一のグループに分類することとした。このようにしたので、要約対象道路の端点に対応するノードn9とn10を第一のグループと第二のグループに適切に分類することができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態において説明した要約地図領域の形状の求め方は、あくまで一例である。そのため、これ以外の方法により要約地図領域の形状を求めることとしてもよい。たとえば、要約対象道路の端点同士を直線や曲線でそれぞれ接続することにより、要約地図領域の形状を求めることとしてもよい。あるいは、要約対象道路に設定されたリンクの周囲を所定の幅で囲うことにより、要約地図領域の形状を求めることもできる。他にも、様々な方法により要約地図領域の形状を求めることができる。
【0058】
以上説明した実施の形態では、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両に搭載されて地図を表示する車両用の地図表示装置であれば、様々な装置に対して本発明を適用することができる。
【0059】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0060】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、ナビゲーション装置1の制御部10において実行される処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置1の制御部10は、地図表示制御手段、要約地図表示制御手段、形状算出手段、要約地図領域提示手段、要約対象道路設定手段、要約地図作成手段、推奨経路設定手段および誘導交差点特定手段として機能することができる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図と要約地図を表示した画面の一例を示す図である。
【図3】地図と要約地図を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図4】要約地図領域の形状を求める方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1:ナビゲーション装置、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、
13:HDD、14:GPS受信部、15:VICS情報受信部、16:表示モニタ、
17:スピーカ、18:入力装置、20:要約地図、21:誘導交差点、
22:自車位置マーク、23:誘導矢印、25:地図、26:要約地図領域マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、
前記地図を簡略化した要約地図を前記表示モニタに表示する要約地図表示制御手段と、
前記地図において前記要約地図が対応する要約地図領域の形状を求める形状算出手段と、
前記形状算出手段によりその形状が求められた前記要約地図領域を前記地図上に示す要約地図領域提示手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載地図表示装置において、
要約対象道路を設定する要約対象道路設定手段と、
前記要約対象道路設定手段により設定された要約対象道路の形状を簡略化することにより、前記要約地図を作成する要約地図作成手段とをさらに備え、
前記形状算出手段は、前記地図における前記要約対象道路の各端点の位置に基づいて、前記要約地図領域の形状を求めることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載地図表示装置において、
前記形状算出手段は、前記要約対象道路の各端点を第一の端点群と第二の端点群とに分類し、前記第一の端点群に分類された各端点を通って所定の第一の方向にそれぞれ延びる第一の線分と、前記第二の端点群に分類された各端点を通って所定の第二の方向にそれぞれ延びる第二の線分とを組み合わせて、前記要約地図領域の形状を求めることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載地図表示装置において、
前記第一の方向は、自車両の進行方向と略平行な方向であり、前記第二の方向は、前記自車両の進行方向と略直交する方向であることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の車載地図表示装置において、
前記第一の方向は、前記表示モニタの画面の縦方向と略一致する方向であり、前記第二の方向は、前記表示モニタの画面の横方向と略一致する方向であることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項3〜5いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記形状算出手段は、前記第一の端点群に分類された隣接する二端点の略中間に位置する点を通って前記第二の方向に延びる第三の線分と、前記第二の端点群に分類された隣接する二端点の略中間に位置する点を通って前記第一の方向に延びる第四の線分とをさらに組み合わせて、前記要約地図領域の形状を求めることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項7】
請求項3〜6いずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
車両が進むべき推奨経路を設定する推奨経路設定手段と、
前記推奨経路設定手段により設定された推奨経路において前記車両が次に曲がるべき誘導交差点を特定する誘導交差点特定手段とをさらに備え、
前記要約対象道路設定手段は、前記推奨経路を構成する道路のうち、前記誘導交差点を含む所定範囲内の道路を前記要約対象道路に設定し、
前記形状算出手段は、前記要約対象道路のうち前記誘導交差点よりも手前側にある道路の端点を前記第二の端点群に分類し、前記要約対象道路のうち前記誘導交差点よりも向こう側にある道路の端点を前記第一の端点群に分類することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載地図表示装置において、
前記要約対象道路設定手段は、前記推奨経路と接続する所定範囲内の道路をさらに前記要約対象道路に設定し、
前記形状算出手段は、前記要約対象道路のうち前記誘導交差点の手前側で前記推奨経路と接続する道路の端点を前記第一の端点群に分類し、前記要約対象道路のうち前記誘導交差点の向こう側で前記推奨経路と接続する道路の端点を前記第二の端点群に分類することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の車載地図表示装置において、
前記要約対象道路設定手段は、前記推奨経路と接続する所定範囲内の道路をさらに前記要約対象道路に設定し、
前記形状算出手段は、前記要約対象道路のうち、前記誘導交差点で前記推奨経路と接続しており、前記誘導交差点への前記車両の進入方向と略一致する方向に延びる道路の端点を前記第二の端点群に分類し、前記誘導交差点で前記推奨経路と接続しており、前記誘導交差点からの前記車両の脱出方向と略反対の方向に延びる道路の端点を前記第一の端点群に分類することを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−232987(P2008−232987A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76262(P2007−76262)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】