説明

車載用ナビゲーション装置、及び、走行状況の比較表示方法

【課題】過去の走行履歴を用いて、現在の走行状態を評価するのに役立つ情報を提供する技術を提供する。
【解決手段】本発明の車載用ナビゲーション装置は、地図上の現在位置を検出する機能を備えている。ルート登録部108は、過去に走行した経路について、経路上の車両位置とその通過時刻とを対応させた走行履歴情報を記憶する。比較位置算出部109は、過去に走行した経路上に、現在位置と比較表示するための比較位置を求め、表示処理部103に、現在位置とともに、求めた比較位置を地図上に表示させる。このとき、比較位置算出部109は、過去に走行した経路上で且つ現在位置が検出されたことのある地点を基準点に設定し、走行履歴情報を用いて、過去に走行した経路上の車両位置であって、その基準点からの所要時間が、現在位置の基準点の通過時刻から現在時刻までの経過時間に対応する、車両位置を比較位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に車載用ナビゲーション装置における車両の走行位置を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行軌跡を記憶し、これを地図上に表示する機能を有する車載用ナビゲーション装置がある。ナビゲーション装置に走行軌跡を表示させることで、ユーザは過去に走行した軌跡を確認することができる。このようなナビゲーション装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−201081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のナビゲーション装置では、過去の走行経路を表示するだけなので、ユーザに対して、現在の走行状態(所要時間や、経路など)を評価するのに十分な情報を提供しているとは言えない。例えば、会社と自宅との往復や、取引先との往復のように、同じ目的地に向かって繰り返し走行することがある。かかる場合に、例えば、現在地までの所要時間に対応する過去の走行位置が表示されれば、ユーザは今回の旅行が早いがどうかや、過去と比較した場合の交通状態や、選択した経路が妥当か否かなどを評価することができる。上記の従来の技術では、このニーズに応えられない。
【0005】
本発明は、車載用ナビゲーション装置において、過去の走行履歴を用いて、現在の走行状態を評価するのに役立つ情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本願発明の車載用ナビゲーション装置は、地図上の現在位置を検出する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、過去に走行した経路について、当該経路上の車両位置とその通過時刻とを対応させた走行履歴情報を記憶する記憶手段と、前記過去に走行した経路上に、前記現在位置と比較表示するための比較位置を求める比較位置算出手段と、前記現在位置とともに前記比較位置算出手段が求めた比較位置を地図上に表示する表示手段と、を備え、前記比較位置算出手段は、前記過去に走行した経路上で且つ前記現在位置が検出されたことのある地点を基準点に設定し、前記走行履歴情報を用いて、前記過去に走行した経路上の車両位置であって、前記基準点からの所要時間が、前記現在位置の前記基準点の通過時刻から現在時刻までの経過時間に対応する、車両位置を求め、前記比較位置とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車載用ナビゲーション装置によれば、過去の走行履歴を用いて、現在の走行状態を評価するのに役立つ情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、FM多重放送受信装置9と、ビーコン受信装置10と、を備えている。
【0010】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、各種センサ6、7やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0011】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0012】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、地図データ310が記憶されている。
【0013】
地図データ310の概略データ構造を図2に示す。地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0014】
リンクデータ320は、リンクID321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)326、各リンク周辺に位置する施設情報を示す周辺施設情報327、各リンク周辺の住所情報328、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、リンク旅行時間325は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。さらに、地図データ310には、交差点の位置情報が含まれており、交差点に対応するノードのノードIDも含まれている。
【0015】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。また、ユーザが発した声を認識し演算処理部1にその内容を転送する処理を行う。
【0016】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、電源ボタン、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0017】
車速センサ6、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置、進行速度を測定する。
【0018】
FM多重放送受信装置9は、FM多重放送信号としてFM多重放送局から送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA(サービスステーション/パーキング)情報、駐車場情報、天気情報などを受信する。
【0019】
ビーコン受信装置10は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0020】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、設定処理部104と、現在位置算出部105と、受信情報処理部106と、経路誘導部107と、ルート登録部108と、比較位置算出部109と、を有する。
【0021】
主制御部101は、演算処理部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0022】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求内容を解析する。入力受付部102は、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、入力装置5から電源を供給する要求、或いは、電源を切断する要求を受け付け、主制御部101に通知する。また、入力受付部102は、車載用ナビゲーション装置100が有する各種機能に関する設定を受け付け、主制御部101に通知する。
【0023】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させるための描画コマンドを生成して通知する。なお、表示処理部103は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、車載用ナビゲーション装置100の現在位置付近の領域)にある地図データ310を記憶装置3から抽出し、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、自車両の現在位置を示すマークや、現在地まで走行してきた軌跡や、過去に走行したルート上の走行位置を示すマーク等を表示させる。
【0024】
設定処理部104は、車載用ナビゲーション装置100が有する各種機能に関する各種設定内容を、記憶装置3に記憶する処理を行う。例えば、設定処理部104は、目的地の設定や、後述する「走行位置比較モード」への切り替え設定を行う。具体的には、設定処理部104は、目的地の設定を行う際には、各種検索方法(例えば、名称から検索、住所から検索、地図から検索、等)により目的地を検索する。そして、検索した目的地から1つの目的地を選択する指示を入力受付部102を介して受け付け、その指示に対応する目的地を示す目的地情報を記憶装置3に記憶する。また、設定処理部104は、「走行位置比較モード」へ切り替える指示を、入力受付部102を介して受け付けたときに、走行位置比較モード時の処理を行うためのプログラムを、記憶装置3からロードする。ここで、「走行位置比較モード」とは、現在位置を示すマークをディスプレイ2に表示するとともに、現在走行中のルートに類似した過去の走行ルート上における過去の走行位置(マーク)を表示するモードである。
【0025】
現在位置算出部105は、車速センサ6で計測される距離パルスデータ(S5)およびジャイロセンサ7で計測される角加速度データ(S6)を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から自車走行後の位置である現在地(X’,Y’)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に現在位置を合わせ込む。また、定期的にGPS受信装置8の出力(S7)を用いて現在位置を修正する。
【0026】
受信情報処理部106は、FM多重放送受信装置9やビーコン受信装置10が受信した渋滞情報や規制情報(S8、S9)を、記憶装置3に記憶する。
【0027】
経路誘導部107は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、距離や旅行時間)が最小となる経路を探索し、探索した経路を用いて経路誘導を行う。例えば、経路誘導107は、経路の情報と、現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折するべきかを、ディスプレイ2に表示させる(ターンバイターン表示)とともに、音声入出力装置4を用いて音声でユーザに知らせる。また、経路誘導部107は、ディスプレイ2に表示された地図上に推奨経路を表示する。
【0028】
ルート登録部108は、車両が現在地まで走行してきた軌跡を登録する処理を行う。具体的には、ルート登録部108は、走行中に、自車両が通過した道路(リンク)及び各リンクの開始ノード(終了ノード)の通過時刻を、記憶装置3に仮登録しておく。そして、現在地までの走行軌跡を表示させる指示を、入力受付部102を介して受け付けたときに、ディスプレイ2に表示されている地図上に、仮登録されている情報に基づいた走行軌跡を表示させるとともに、その走行軌跡を登録するための決定ボタン等のアイコンを表示させる。このとき、さらに、その決定ボタンを押下する指示を入力受付部102から受け付けたとき、ルート登録部108は、ディスプレイ2に表示させた走行軌跡に対応するルートデータを、記憶装置3に登録する(具体的には、削除せずに記憶装置3に残しておく、或いは、RAMからHDDへコピーする)。一方、決定ボタンを押下する指示を受け付けなかった場合には、ルート登録部108は、記憶装置3に仮登録されたルートデータを削除する。
【0029】
ここで、ルート登録部108が記憶装置3に記憶するルートデータには、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)の出発地及び目的地を特定するためのデータ、そのルートを構成する全てのリンクを特定するデータ(リンクID321)及び各リンクの開始ノード、終了ノードを通過した時刻、が含まれる。
【0030】
例えば、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)の出発地及び目的地を特定するデータは、図4に示すような、目的地登録テーブル500に格納される。図示するように、目的地登録テーブル500は、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)ごとのレコード540からなる。各レコード540には、ルートID510と、出発地520と、目的地530と、が対応付けて格納される。ルートID510は、過去を走行したルート(走行してきたルートを含む)を識別するためのコードであり、例えば、「1」、「2」といった数字列である。出発地520は、ルートの出発地(例えば、設定処理部104が目的地の設定を行ったときの車両位置や、車載用ナビゲーション装置100の電源投入時の車両位置)を特定するデータであり、例えば、「(80,33)」といった座標値や、「会社」、「自宅」といった文字列である。目的地530は、ルートの目的地(例えば、設定処理部104が設定した目的地)を特定するデータであり、例えば、「(120,552)」といった座標値や、「自宅」、「会社」といった文字列である。
【0031】
なお、走行してきたルートの出発地及び目的地を特定するデータは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されるように定められ、過去に走行したルートと区別される。そして、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されているデータは、仮登録されたデータ(走行してきたルート)であり、その他のレコード540に格納されているデータは、登録されたデータ(過去に走行したルート)とする。ただし、仮登録されたデータ(走行してきたルート)と、登録されたデータ(過去に走行したルート)は、異なるテーブルにそれぞれ格納して区別するようにしてもよい。
【0032】
また、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)を構成する全てのリンクを特定するデータ及び各リンクの開始ノード、終了ノードを通過した時刻は、図5に示すような、ルート登録テーブル600に格納される。ルート登録テーブル600は、目的地登録テーブル500に格納されているルート(レコード540)ごとに、それぞれ、対応するテーブルが用意される。例えば、各ルート登録テーブル600には、図示するように、目的地登録テーブル500のルートID510に対応するルートID610が付される。また、図示するように、ルート登録テーブル600は、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)を構成するリンクごとのレコード650からなる。各レコード650には、リンクID620と、開始ノード通過時刻630と、終了ノード通過時刻と、が対応付けて格納される。リンクID620は、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)を構成するリンクを特定するデータであり、例えば、地図データ310のリンクデータ320に含まれているリンクID321を示すデータである。開始ノード通過時刻630は、リンクの開始ノード(リンクデータ320の座標情報322で特定できる位置)を自車両が通過した時刻を特定するデータであり、例えば、「2009/1/7 12:15:36」といった時刻データである。終了ノード通過時刻640は、リンクの終了ノード(リンクデータ320の座標情報322で特定できる位置)を自車両が通過した時刻を特定するデータであり、例えば、「2009/1/7 12:15:36」といった時刻データである。従って、ルート登録テーブル600を参照することで、主制御部101は、過去に走行したルート(走行してきたルートを含む)を構成する各リンクを自車両が通過した時刻を特定することができる。
【0033】
図3に戻り説明する。比較位置算出部109は、現在走行中のルートに類似した過去の走行ルート上における過去の走行位置を算出する処理を行う。具体的には、比較位置算出部109は、まず、過去の走行位置をディスプレイ2に表示するタイミングがきたとき(このタイミングについては後述する)に、目的地登録テーブル500及びルート登録テーブル600に仮登録されているルートデータを参照して、現在走行中のルートの出発地(基準点)から現在位置までの走行経過時間を算出する。そして、比較位置算出部109は、現在走行中のルートの目的地と同一又は近傍(例えば、300m以内)の目的地に設定されている過去の走行ルートにおいて、先に算出した走行経過時間に対応する時間経過した地点のリンクを特定する。さらに、比較位置算出部109は、表示処理部103を介して、特定したリンクの位置に、過去の走行位置を示すマークを表示させる。
【0034】
以上のような機能を有する演算処理部1は、例えば、図6に示すようなハードウェア構成で実現される。
【0035】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス712で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)701と、記憶装置3から読み出した地図データ310、演算データなどを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)702と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)703と、メモリ間及びメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)704と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ705と、グラフィックイメージデータを蓄積するVRAM(Video Random Access Memory)706と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット707と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器708と、シリアル信号をバス712に同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)709と、パラレル信号をバスに同期させてバス712にのせるPIO(Parallel Input/Output)710と、パルス信号を積分するカウンタ711と、を有する。
【0036】
次に、上記構成からなる車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。図7は、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う走行位置比較モード切替処理を示すフローチャートである。
【0037】
演算処理部1の主制御部101は、車載用ナビゲーション装置100の電源が投入されたときに、走行位置比較モード切替処理を開始する。電源の投入は、入力装置5に備わる電源ボタンがユーザにより操作されることで行われる。
【0038】
演算処理部1の設定処理部104は、目的地を設定する処理を行う(ステップS101)。具体的には、設定処理部104は、目的地の検索方法をユーザに選択させるための画面を生成して、表示処理部103に表示させる。例えば、表示させる画面は、「名称から目的地を検索」、「住所から目的地を検索」、「地図から目的地を検索」といった項目の一覧画面でよい。このとき、ユーザからいずれかの項目を選択する指示を入力受付部102を介して受け付け、受け付けた指示に応じた検索画面を表示処理部103に表示させる。「名称から目的地を検索」が選択された場合、設定処理部104は、名称の入力欄を含む画面を表示処理部103に表示させ、入力された名称に対応する目的地(或いは複数の候補)を地図データ310の周辺施設情報327から検索する。設定処理部104は、該当する目的地(或いは複数の候補)を示すデータ(例えば、施設名称)を、表示処理部103に表示させて、ユーザに決定(選択)指示を求める。設定処理部104は、入力受付部102を介して決定(選択)の指示を受け付けたとき、該当する周辺施設情報327に対応付けられている座標情報322に含まれる座標を、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に目的地530として格納(仮登録)する。なお、「住所から目的地を検索」、「地図から目的地を検索」が選択されたときにも、設定処理部104は、同様に地図データ310からユーザの入力に応じた目的地を検索して、該当する座標情報322に含まれる座標を、目的地登録テーブル500に格納(仮登録)する。また、このとき、設定処理部104は、格納(仮登録)した目的地530に、ルートID510を対応付けて格納する。
【0039】
また、ルート登録部108は、目的地登録テーブル500に目的地530が格納(仮登録)されたときに、新たにブランクのルート登録テーブル600を生成する。このとき、ルート登録部108は、仮登録された目的地530に対応付けて格納されているルートID510を、ルート登録テーブル600に付加する(ルートID610)。
【0040】
続いて、設定処理部104は、「走行位置比較モード」に切り替える指示が入力されたか否かを判別する(ステップS102)。具体的には、設定処理部104は、表示処理部103に「走行位置比較モード」を指示するためのアイコンを、所定時間(例えば、2分)表示させる。
【0041】
このとき、設定処理部104は、「走行位置比較モード」を指示する入力を、入力受付部102を介して受け付けた場合(ステップS102;Yes)、走行位置比較時の処理を行うためのプログラムをロードして、処理をステップS103に移行する。
【0042】
一方、設定処理部104は、ステップS102において、アイコンを表示させて所定時間が経過しても、「走行位置比較モード」を指示する入力を受け付けなかった場合(ステップS102;No)、処理をステップS109に移行する。
【0043】
ステップS103では、設定処理部104は、現在位置算出部105に現在地を算出させる(ステップS103)。具体的には、設定処理部104は、現在位置算出部105に現在位置算出の指示を通知して、現在地位算出部105が算出した現在位置を示す座標を取得する。なお、走行位置比較モード切替処理を開始して初めてステップS103の処理を行う場合には、設定処理部104は、ステップS101で目的地登録テーブル500に目的地530を格納(仮登録)した同一レコード540に、現在位置算出部105から取得した座標を出発地520として格納(仮登録)する。
【0044】
続いて、表示処理部102は、図8(A)に示すような、現在の走行位置を示すマーク(現在の走行位置200)と現在の走行位置周辺の地図とを重ね合わせた画像を生成して、ディスプレイ2に表示させる(ステップS104)。また、経路誘導部104は、走行位置比較モード切替処理を開始して初めてステップS104の処理を行うとき、或いは、推奨ルートのリルートを行うときに、ステップS101で設定された目的地と、ステップS103で取得した最新の現在位置と、を結ぶ経路のコストが最小となる経路を探索し、探索した経路を用いて経路誘導を開始する。
【0045】
車両の走行中、ルート登録部108は、車両が現在地まで走行してきたルート(軌跡)を仮登録する処理を行う(ステップS105)。具体的には、ルート登録部108は、地図データ310のリンクID321で特定できるリンクの開始ノードを車両が通過する毎に、そのリンク(リンクID321)を示すリンクID620を、順次、ルート登録テーブル600に格納していく。このとき、ルート登録部108は、GPS受信装置8から開始ノード通過時刻630を取得して、開始ノードリンクID620と同一のレコード650に格納(仮登録)する。また、ルート登録部108は、走行してきたリンクの終了ノードを車両が通過する毎に、GPS受信装置8から終了ノード通過時刻640を取得して、順次、そのリンクに対応するリンクID620と同一のレコード650に格納(仮登録)していく。ただし、ステップS104の処理後、リンクの開始ノード(終了ノード)を車両が通過することなく、所定時間(例えば、2分)経過した場合には、ルート登録部108は、ステップS105の処理を行わずに、処理をステップS106に移行する。
【0046】
続いて、比較位置算出部109は、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置をディスプレイ2に表示するタイミングか否かを判別する(ステップS106)。ここで、過去の走行位置を表示するタイミングは、現在の走行状況及び初期設定によって異なる。
【0047】
(ケース1):例えば、走行中において過去の走行位置を常に表示させるように設定されている場合に(図8(A)参照)、比較位置算出部109は、現在の走行状況によらず、比較対象の過去の走行ルート上の過去の走行位置を表示するタイミングであると判定する。ここで、比較対象の過去の走行ルートとは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されている出発地520及び目的地520と、同一又は近傍(例えば、距離が300m以内)の出発地520及び目的地530を有するレコード540に格納されているルートID510で特定されるルートである。すなわち、少なくとも現在地と目的地が現在の走行ルートと同一又は近傍である過去の走行ルートを、比較対象の過去の走行ルートとする。
【0048】
(ケース2):また、比較対象の過去の走行ルートから現在の走行ルートが逸れたときに過去の走行位置を表示させるように設定されている場合に(図8(B))、比較位置算出部109は、現在の走行ルートが比較対象の過去の走行ルートと異なれば、表示するタイミングであると判定する。より具体的には、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600に、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600と同順に格納されていないリンクID620がある場合に、表示するタイミングと判定する。ここで、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600とは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されているルートID510で特定されるルート登録テーブル600である。また、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600とは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されている出発地520及び目的地530と、同一又は近傍(例えば、距離が300m以内)の出発地520及び目的地530を有するレコード540に格納されているルートID510で特定されるルート登録テーブル600である。すなわち、出発地と目的地が現在の走行ルートと同一又は近傍である過去の走行ルートを、比較対象の過去の走行ルートとする。
【0049】
(ケース3):さらに、比較対象の過去の走行ルートと現在の走行ルートが同一ルートとなった(合流した)ときに過去の走行位置を表示させるように設定されている場合に(図9(A))、比較位置算出部109は、現在走行中のリンク(道路)が比較対象の過去の走行ルートに含まれていれば、表示するタイミングであると判定する。ここで、比較対象の過去の走行ルートとは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されている目的地530と同一又は近傍(例えば、距離が300m以内)の目的地530と、最終行のレコード540に格納されている出発地520と近傍ではない出発地520と、を有するレコード540に格納されているルートID510で特定されるルートである。すなわち、目的地は現在の走行ルートと同一又は近傍であるが、出発地は現在の走行ルートと異なる過去の走行ルートを、比較対象の走行ルートとする。
【0050】
なお、上記のいずれのケースにおいても、比較対象の過去のルート(過去の走行位置)となる候補が複数ある場合には、全ての候補を比較対象の過去のルート(過去の走行位置)としてもよいし、直近の過去のルート(における走行位置)を比較対象の過去のルート(過去の走行位置)としてもよい。また、最短時間で目的地に到達した過去のルートを比較対象の過去のルートとしてもよい。例えば、最短時間であるか否かは、候補のルートに対応するルート登録テーブル600に格納されている最初の(最上行の)レコード650に格納されている開始ノード通過時刻630(或いは終了ノード通過時刻640)から、最後の(最終行の)レコード650に格納されている終了ノード(或いは開始ノード通過時刻630)までの経過時間を求めることで判定できる。さらに、複数の候補のルートを表示処理部103に表示させて、ユーザに比較対象の過去のルートを選択させるようにしてもよい。
【0051】
ステップS106において、過去の走行位置を表示するタイミングであると判定した場合(ステップS106;Yes)、比較位置算出部109は、処理をステップS107に移行する。一方、過去の走行位置を表示するタイミングではないと判定した場合(ステップS106;No)、比較位置算出部109は、処理をステップS103に戻す。
【0052】
ステップS107では、比較位置算出部109は、出発地から現在位置までの経過時間に応じて、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置を表示処理部103に表示させる(ステップS107)。ステップS107における処理を、以下では、「過去の走行位置表示処理」とよび、具体的な処理については、図10を参照して後述する。
【0053】
続いて、経路誘導部107は、車両が目的地に到達したか否かを判別する(ステップS108)。具体的には、経路誘導部107は、ステップS103で現在位置算出部105から取得した最新の現在位置が、目的地登録テーブル500の目的地530(最終行のレコード540に格納されている目的地530)の近傍(例えば、距離が200m以内)である場合に、目的地に到達したと判定する。
【0054】
ステップS108において、目的地に到達したと判別した場合(ステップS108;Yes)、経路誘導部107は、処理をステップS113に移行する。一方、目的地に到達していないと判別した場合(ステップS108;No)、処理をステップS103に戻す。以上のステップS103からステップS107までの処理を、車両が目的地に到達するまで繰り返すことにより、車載用ナビゲーション装置100は、車両の走行位置を表示させる一般的な経路誘導を行うとともに、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置を表示することができる。
【0055】
ところで、ステップS109からステップS112までの処理は、ステップS102で「走行位置比較モード」を指示する入力を受け付けなかった場合の処理である。すなわち、ステップS109からステップS112までの処理は、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置を表示す車両の走行位置を表示させずに、一般的な経路誘導を行う場合の処理である。
【0056】
ステップS109からステップS111までの処理は、上述したステップS103からステップS105までの処理と同様の処理である。
【0057】
ステップS112では、経路誘導部107は、ステップS108での処理と同様に、車両が目的地に到達したか否かを判別する(ステップS112)。経路誘導部107は、目的地に到達したと判別した場合(ステップS112;Yes)、処理をステップS113に移行する。一方、目的地に到達していないと判別した場合(ステップS112;No)、処理をステップS109に戻す。
【0058】
ステップS113において、ルート登録部108は、目的地まで走行してきたルート(奇跡)を登録する指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS113)。具体的には、ルート登録部108は、現在地までの走行軌跡を表示させる指示を、入力受付部102を介して受け付けたときに、仮登録されている走行軌跡を表示処理部103に表示させるとともに、その走行軌跡を登録するための決定ボタン等のアイコンを表示させる。このとき、さらに、その決定ボタンを押下する指示を入力受付部102から受け付けたとき、ルート登録部108は、ルートを登録する指示を受け付けたと判定する。一方、所定時間(例えば、2分)経過しても、その決定ボタンを押下する指示を受け付けなかったときには、ルートを登録する指示を受け付けなかったと判定する。
【0059】
ここで、ルート登録部108は、ルートを登録する指示を受け付けたと判別した場合(ステップS113;Yes)、処理をステップS114に移行する。一方、ルートを登録する指示を受け付けていないと判別した場合(ステップS113;No)、処理をステップS115に移行する。
【0060】
ステップS114では、ルート登録部108は、現在位置まで走行してきたルートの登録を行う(ステップS114)。具体的には、ルート登録部108は、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540を削除せずにそのまま保存し、そのレコード540が有するルートID510に対応するルート登録テーブル600も削除せずにそのまま保存しておく。
【0061】
また、ステップS115では、ルート登録部108は、現在位置まで走行してきたルートに関するデータを削除する(ステップS115)。具体的には、ルート登録部108は、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納(仮登録)されているルートID510に対応するルート登録テーブル600を削除する。さらに、ルート登録部108は、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540も削除する。
【0062】
ルート登録部108は、ステップS114、ステップS115における処理を終了した後、走行位置比較モード切替処理を終了する。
【0063】
図10は、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う過去の走行位置表示処理を示すフローチャートである。
【0064】
比較位置算出部109は、過去の走行位置表示処理を開始して、まず、出発地から現在位置までの経過時間を算出する処理を行う(ステップS201)。具体的には、比較位置算出部109は、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600に格納されている最初の(最上行の)レコード650に格納されている開始ノード通過時刻630(或いは終了ノード通過時刻640)から、最後の(最終行の)レコード650に格納されている終了ノード(或いは開始ノード通過時刻630)までの経過時間を求める。なお、ここで、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600とは、目的地登録テーブル500の最終行のレコード540に格納されているルートID510で特定されるルート登録テーブル600である。
【0065】
続いて、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートにおいて、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)を特定する(ステップS202)。ここで、経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)を特定する方法は、ステップS106で説明したケース1〜3に応じて異なる。
【0066】
(ケース1):ケース1の場合、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600を参照して、各レコード650の経過時間(終了ノード通過時刻640から開始ノード通過時刻630を差し引いて求まる経過時間)を、車両が走行してきたリンクの順番に加算していく。ここで、リンクの順番は、例えば、図5に示すルート登録テーブル600に格納されている順番(上方から下方へ)とする。このとき、比較位置算出部109は、加算途中の経過時間が、ステップS201で算出した経過時間を初めて超えたときに、最後に加算した経過時間を求めたレコード650のリンクID620を、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)として特定する。
【0067】
すなわち、ケース1の場合、過去の走行ルート上において、出発点(基準点)からの所要時間が、現在走行している車両(現在位置)が出発地(基準点)を通過した時刻から現在時刻までの経過時間に、対応する位置を、過去の走行位置として特定する。
【0068】
(ケース2):ケース2の場合、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートから現在の走行ルートが逸れた地点(例えば、図8(B)に示す交差点A)を、過去の走行時と現在の走行時において同時刻に通過したものとして、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)を特定する。具体的には、まず、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600から、比較対象の過去の走行ルートから現在の走行ルートが逸れた地点のリンクID620を有するレコード650を特定する。これとともに、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600からも、その逸れた地点のリンクID620を有するレコード650を特定する。ここで、比較位置算出部109は、特定した両レコード650が有するそれぞれの終了ノード通過時刻640を比較する。具体的には、比較位置算出部109は、両終了ノード通過時刻640の差分時間を求める。例えば、比較対象の過去の走行ルートから特定した終了ノード通過時刻が「2009/1/7 12:35:07」であり、現在の走行ルートから特定した終了ノード通過時刻が「2009/1/7 12:38:15」であれば、両終了ノード通過時刻640の差分時間は、「00:03:08」となる。
【0069】
次に、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600を参照して、各レコード650の経過時間(終了ノード通過時刻640から開始ノード通過時刻630を差し引いて求まる経過時間)を、車両が走行してきたリンクの順番に加算していく。このとき、比較位置算出部109は、加算途中の経過時間に先の差分時間を加算(減算)した時間が、ステップS201で算出した経過時間を初めて超えたときに、最後に加算した経過時間を求めたレコード650のリンクID620を、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)として特定する。
【0070】
すなわち、ケース2の場合、過去の走行ルートが現在の走行ルートから逸れた分岐点を基準点として、過去の走行ルート上において、基準点からの所要時間が、現在走行している車両(現在地位)が基準点を通過した時刻から現在時刻までの経過時間に、対応する位置を、過去の走行位置として特定する。
【0071】
(ケース3):ケース3の場合、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートと現在の走行ルートが同一ルートとなった(合流した)地点(例えば、図9(A)に示す交差点A)を、過去の走行時と現在の走行時において同時刻に通過したものとして、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)を特定する。具体的には、まず、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600から、比較対象の過去の走行ルートと現在の走行ルートが同一ルートとなった(合流した)地点のリンクID620を有するレコード650を特定する。これとともに、現在の走行ルートに対応するルート登録テーブル600からも、その同一ルートとなった地点のリンクID620を有するレコード650を特定する。ここで、比較位置算出部109は、特定した両レコード650が有するそれぞれの開始ノード通過時刻630を比較する。具体的には、比較位置算出部109は、両開始ノード通過時刻630の差分時間を求める。例えば、比較対象の過去の走行ルートから特定した開始ノード通過時刻が「2009/1/7 12:30:20」であり、現在の走行ルートから特定した終了ノード通過時刻が「2009/1/7 12:34:12」であれば、両開始ノード通過時刻630の差分時間は、「00:03:52」となる。
【0072】
次に、比較位置算出部109は、比較対象の過去の走行ルートに対応するルート登録テーブル600を参照して、各レコード650の経過時間(終了ノード通過時刻640から開始ノード通過時刻630を差し引いて求まる経過時間)を、車両が走行してきたリンクの順番に加算していく。このとき、比較位置算出部109は、加算途中の経過時間に先の差分時間を加算(減算)した時間が、ステップS201で算出した経過時間を初めて超えたときに、最後に加算した経過時間を求めたレコード650のリンクID620を、ステップS201で算出した経過時間に対応するリンク(過去の走行位置)として特定する。
【0073】
すなわち、ケース3の場合、過去の走行ルートと現在の走行ルートとが合流した地点を基準点として、過去の走行ルート上において、基準点からの所要時間が、現在走行している車両(現在位置)が基準点を通過した時刻から現在時刻までの経過時間に、対応する位置を、過去の走行位置として特定する。
【0074】
続いて、比較位置算出部109は、ステップS202で特定したリンク内で、過去の走行位置210を表示する位置を調整する(ステップS203)。例えば、比較位置算出部109は、ステップS202で特定したリンク(リンクID620)に対応する地図データ320(リンク長324及びリンク旅行時間325)に基づいて、過去の走行位置210を表示する位置を調整する。
【0075】
比較位置算出部109は、ステップ203で調節した過去の走行位置210を特定するデータを表示処理部103に通知して、過去の走行位置210を地図上に表示させる(ステップS204)。例えば、上記のケース1の場合、図8(A)に示すように、過去の走行位置210を示すマーク(白抜き三角)を、現在の走行ルートを走行中、常に、ディスプレイ2に表示させる。また、上記のケース2の場合、図8(B)に示すように、過去の走行位置210を示すマークを、比較対象の過去の走行ルート(道路A)から現在の走行ルートが逸れたとき(道路Bに逸れたとき)から、ディスプレイ2に表示させる。さらに、上記のケース3の場合、図9(A)に示すように、過去の走行位置210を示すマークを、比較対象の過去の走行ルート(道路B)と現在の走行ルート(道路A)が同一ルートとなったとき(ともに道路Aを走行するようになったとき)から、ディスプレイ2に表示させる。なお、比較対象の過去のルート(過去の走行位置)となる候補が複数あり、全ての候補を比較対象の過去のルートとしている場合には、図9(B)に示すように、複数の過去の走行位置210を示すマークを、同時にディスプレイ2に表示させてもよい。
【0076】
ステップS204の処理を終了後、主制御部101は、処理を図7の走行位置比較モード切替処理に移行して、過去の走行位置表示処理を終了する。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明した。上記実施形態によれば、本発明の車載用ナビゲーション装置100は、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置を表示することができる。これにより、ユーザは過去の旅行(走行)と比較して現在の旅行(走行)が早いかどうかを評価することができる。そして、ユーザは過去と比較した場合の現在の交通状態(渋滞状況など)を評価(推測)することができる。また、ユーザは走行してきた経路が妥当であるか否かを評価することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、走行位置比較モード切替処理のステップS101において、目的地に該当する座標情報322に含まれる座標を、目的地登録テーブル500に格納(仮登録)している。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、図4に示すように、「会社」、「自宅」、「スーパーA」といった、目的地を特定する名称を、目的地登録テーブル500に格納(仮登録)するようにしてもよい。ただし、この場合には、目的地を特定する名称と、目的地の位置を示す座標とを、相互に変換するテーブルを記憶装置3に格納しておく。また、同様に、ステップS103において、出発地の位置を示す座標ではなく、出発地を特定する名称を、目的地登録テーブル500に格納(仮登録)するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、走行位置比較モード切替処理のステップS102において、
設定処理部104は、「走行位置比較モード」への切替指示をするためのアイコンを表示させて所定時間が経過しても、その指示の入力を受け付けなかった場合に、処理をステップS109に移行している。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、「他のモード」を選択する指示を受け付けたときや、他の指示を受け付けたときに、処理をステップS109に移行するようにしてもよい。
【0081】
さらに、上記実施形態では、走行位置比較モード切替処理のステップS114において、ルート登録部108は、車両が目的地に到着した後に、走行してきたルートの登録を行うようにしている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、車載用ナビゲーション装置100の電源投入直後や、車載用ナビゲーション装置100の製造時に行うようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、現在の走行位置に対比させた過去の走行位置をディスプレイ2に表示するタイミングを判別する(走行位置比較モード切替処理のステップS106)ための初期設定は、予め記憶装置3に登録されているものとしている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、ユーザにより設定可能としてもよい。この場合、設定処理部104は、上述したケース1のタイミングで過去の走行位置を表示する初期設定か、上述したケース2のタイミングで過去の走行位置を表示する初期設定か、上述したケース3のタイミングで過去の走行位置を表示する初期設定か、複数の過去の走行位置を同時に表示する初期設定か、をユーザに選択させるための画面を、表示処理部103に表示させるようにしてもよい。この場合、設定処理部104は、入力受付部102を介してその選択を受け付け、記憶装置3に登録するようにする。
【0083】
さらに、複数の過去の走行位置210を同時に表示させる場合においては、上述したケース1、ケース2、或いは、ケース3のタイミングで各過去の走行位置210を表示させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】記憶装置に記憶されている地図データの構成例を示す図である。
【図3】演算処理部の機能構成を示す図である。
【図4】記憶装置に記憶されている目的地登録テーブルの構成例を示す図である。
【図5】記憶装置に記憶されている複数のルート登録テーブルの構成例を示す図である。
【図6】演算処理部のハードウェア構成を示す図である。
【図7】走行位置比較モード切替処理のフロー図である。
【図8】(A)走行中において過去の走行位置を常に表示させる場合の画面表示例である。(B)過去の走行ルートから逸れたときに表示させる場合の画面表示例である。
【図9】(A)過去の走行ルートに合流したときに表示させる場合の画面表示例である。(B)複数の過去の位置を表示させる場合の画面表示例である。
【図10】過去の走行位置表示処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、9・・・FM多重放送受信装置、10・・・ビーコン受信装置、100・・・車載用ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・設定処理部、105・・・現在位置算出部、106・・・受信情報処理部、107・・・経路誘導部、108・・・ルート登録部、109・・・比較位置算出部、200・・・現在の走行位置、210・・・過去の走行位置、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、321・・・リンクID、500・・・目的地登録テーブル、510・・・ルートID、520・・・出発地、530・・・目的地、600・・・ルート登録テーブル、630・・・開始ノード通過時刻、640・・・終了ノード通過時刻、701・・・CPU、702・・・RAM、703・・・ROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の現在位置を検出する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、
過去に走行した経路について、当該経路上の車両位置とその通過時刻とを対応させた走行履歴情報を記憶する記憶手段と、
前記過去に走行した経路上に、前記現在位置と比較表示するための比較位置を求める比較位置算出手段と、
前記現在位置とともに前記比較位置算出手段が求めた比較位置を地図上に表示する表示手段と、を備え、
前記比較位置算出手段は、
前記過去に走行した経路上で且つ前記現在位置が検出されたことのある地点を基準点に設定し、
前記走行履歴情報を用いて、前記過去に走行した経路上の車両位置であって、前記基準点からの所要時間が、前記現在位置の前記基準点の通過時刻から現在時刻までの経過時間に対応する、車両位置を求め、前記比較位置とする、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
目的地を設定する目的地設定手段を、備え、
前記記憶手段は、
複数の過去に走行した経路について、走行履歴情報を記憶し、
前記比較位置算出手段は、
前記複数の過去に走行した経路の中から、前記目的地設定手段が設定した目的地と同一又は近傍の地点が目的地である経路を特定し、
特定した経路の走行履歴情報を用いて、車両位置を求める、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記比較位置算出手段は、
前記過去に走行した経路の出発地点を、前記基準点に設定する、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記比較位置算出手段は、
前記現在位置が前記過去に走行した経路上から逸れることとなった分岐点を、前記基準点に設定する、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記比較位置算出手段は、
前記過去に走行した経路への前記現在位置の合流地点を、前記基準点に設定する、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記比較位置算出手段は、前記複数の過去に走行した経路の中から、前記目的地設定手段が設定した目的地と同一又は近傍の地点が目的地である複数の経路を特定し、特定した複数の経路の走行履歴情報を用いて、複数の車両位置を求める、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、複数の前記比較位置を表示する、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
前記基準点で前記現在位置が初めて検出されたときから、前記比較位置を表示する、
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
地図上の現在位置を検出する機能を備えた車載用ナビゲーション装置における走行状況の比較表示方法であって、
前記車載用ナビゲーション装置は、制御部を備え、
前記制御部が、
過去に走行した経路について、当該経路上の車両位置とその通過時刻とを対応させた走行履歴情報を記憶する記憶ステップと、
前記過去に走行した経路上に、前記現在位置と比較表示するための比較位置を求める比較位置算出ステップと、
前記現在位置とともに前記比較位置算出ステップで求めた比較位置を地図上に表示する表示ステップと、を行い、
前記比較位置算出ステップでは、
前記過去に走行した経路上で且つ前記現在位置が検出されたことのある地点を基準点に設定し、
前記走行履歴情報を用いて、前記過去に走行した経路上の車両位置であって、前記基準点からの所要時間が、前記現在位置の前記基準点の通過時刻から現在時刻までの経過時間に対応する、車両位置を求め、前記比較位置とする、
ことを特徴とする走行状況の比較表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−63422(P2009−63422A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231452(P2007−231452)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】