車載用ナビゲーション装置
【課題】POI検索において、過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することができる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】キーワードを入力する入力手段と、キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。
【解決手段】キーワードを入力する入力手段と、キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
ユーザの利便性向上のために目的地を検索する方法も改良が施され、例えば、検索した住所の履歴を行政区画毎に記憶し、同一画面で行政区画毎に住所を入力する入力画面を表示し、該入力画面の行政区画の入力項目に過去に検索された行政区画名称を表示する地図表示装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、目的地の施設情報とその施設情報を設定した時刻とを記憶しておき、ユーザが過去に設定した目的地の履歴から目的地を選択する際、施設のジャンルと設定した時刻をキーワードとして、設定したい目的地を検索することで所望の目的地の選択を容易に行うことができるナビゲーション装置及び履歴情報表示方法が考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−184563号公報
【特許文献2】特開2005−156290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の例では、ユーザが希望とする目的地の住所の少なくとも一部を記憶していない場合、目的地を探し出すのに時間を要するという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の例では、ユーザが希望とする目的地を設定した時刻を記憶していない場合、履歴から目的地を探し出すのに時間を要するという問題点がある。また、ユーザが過去に目的地として設定したかどうかを記憶していない場合、全履歴を参照しなければならない等、効率よく目的地を探し出すことができないという問題点もある。
【0008】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ユーザが通常行う検索方法であるPOI(Point Of Interest:地点情報)検索において、過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することが可能となる車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、キーワードを入力する入力手段と、キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によって、過去に目的地として設定された地点およびキーワードを履歴情報として記憶するため、通常の地図データ等に含まれる検索対象データを用いて目的値を検索する方法に比べて検索に要する時間も短縮され、キーワードの文字を入力するたびに目的地候補が絞り込まれてその数が数字で表示されるため、ユーザがどのレベルまで絞り込めばよいかを数字を見ながら判断することが可能となる。そして、過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することが可能となる。
【0011】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における履歴情報には、当該地点が履歴情報記憶手段に記憶された経緯を含むように構成することができる。
【0012】
例えば、検索対象データに含まれない地点を目的地に設定するために、その地点の最寄りの地点を検索対象データから検索して、最寄りの地点を検索した際のキーワードと設定された目的地とを履歴情報に記憶する場合、そのキーワードと目的地の名称とが一致していなかったり、その目的地を容易に連想することができるキーワードではない場合がある。上記構成によって、その目的地がどのように検索されて目的地として設定されたかを記憶するので、そのキーワードと目的地の関係を把握することが可能となる。
【0013】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、抽出された目的地候補をリスト表示する目的地候補表示手段と、リスト表示された目的地候補の中から目的地を選択する選択手段と、を備えるように構成することができる。
【0014】
上記構成によって、目的地候補が絞り込まれてその数が数字で表示された場合に、ユーザは絞り込まれた目的地候補の内容をリスト表示により確認することが可能となる。
【0015】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、電子地図データを記憶する地図データ記憶手段を備え、目的地候補表示手段は抽出された目的地候補に対応する地図を表示するように構成することができる。
【0016】
上記構成によって、目的地候補が地図とともにリスト表示されるため、目的地候補がどのような地点であるかを確認でき、表示された目的地候補から所望の目的地を選択することを容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点のキーワードの次の文字を読み出す先読み手段と、先読みされた文字を表示する文字表示手段と、を備えるように構成することができる。
【0018】
上記構成によって、ユーザが先に入力したキーワードの次の文字を探して入力するための時間を短縮することが可能となり、操作負荷の増大を抑制することが可能となる。
【0019】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、目的地候補表示手段は抽出された目的地候補をリスト表示するとともに、その目的地候補である地点が履歴情報記憶手段に記憶された経緯を表示するように構成することができる。
【0020】
上記構成によって、表示されたキーワードと地点の名称とが一致していなかったり、その目的地を容易に連想できるキーワードではない場合でも、ユーザはどの地点を基に目的地として設定されたかが分かるので、リスト表示された目的地候補から所望の地点を目的地として設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することができる車載用ナビゲーション装置を提供する目的を、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶し、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報の中から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出し、抽出された目的地候補の数を表示する構成により実現した。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0023】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0024】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0025】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31は、本発明の選択手段に相当し、種々の指示を入力することが可能である。
【0026】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0027】
また、ETC車載器16と通信することにより、ETC車載器16が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0028】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の候補抽出手段,先読み手段に相当する。
【0029】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0030】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0031】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の地図データ記憶手段に相当する。
【0032】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。図2にデータベース21dの構成例を示す。データベース21dには検索対象データ記憶領域21d1(図3参照)およびPOI目的地候補記憶領域21d2(図9参照)が含まれる。なお、このPOI目的地候補記憶領域21d2が本発明の履歴情報記憶手段に相当する。
【0033】
図3に検索対象データ記憶領域21d1の記憶内容の一例を示す。検索対象データ記憶領域21d1は目的地検索時のキーワード,地点の名称,位置,地点の属性を含んで構成される。
【0034】
図1に戻り、ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0035】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0036】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の目的地候補数表示手段,目的地候補表示手段,文字表示手段に相当する。
【0037】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0038】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0039】
通信ユニット25は周知の無線通信機として構成され、インターネット等の外部ネットワークとの通信を行う。
【0040】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行ってもよい。
【0041】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図5参照)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0042】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0043】
図4のフロー図と、図5から図9とを用いて、POI目的地設定履歴記憶処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10の表示画面上に図5のような目的地検索メニュー画面を表示させ、「POI検索」ボタンを押下して図6のようなPOI検索画面を表示させる。ここで、五十音キー35を操作してキーワード入力欄34にキーワードを入力する。
【0044】
図6の例では、キーワードとして「ふたば」が入力されている。そして入力されたキーワードに対して検索対象データ記憶領域21d1が検索され、検索された目的地候補の数が候補リスト数表示欄36に表示される。ここで、「候補リスト」ボタンを押下すると、図7のように目的地の候補リストが表示される。
【0045】
図7の表示画面において、例えば「双葉消防署」を選択して「表示」ボタンを押下すると、図8のように双葉消防署を中心とする地図が表示される(S1)。ここで、表示画面上のカーソルポインタPを操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12に含まれるカーソルキー等により双葉幼稚園上に移動させて「設定」ボタンを押下すると、検索対象データ記憶領域21d1に含まれない双葉幼稚園が目的地として設定される。表示器10にタッチパネル22を含む場合には、表示画面上の双葉幼稚園の表示領域を押下して目的地を設定する構成としてもよい。
【0046】
双葉幼稚園を目的地として設定した場合、最初に選択された双葉消防署から変更されているので(S2:Yes)、入力されたキーワード「ふたば」,地点名「双葉幼稚園」,およびその地点の位置(二次元座標)を含む履歴情報をPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶する(S3)。図9にPOI目的地候補記憶領域21d2の記憶内容の一例を示す。図9のように、履歴情報に記憶日時やどの地点を基にして設定されたかの備考情報(履歴情報記憶手段に記憶された経緯)を含めてもよい。双葉幼稚園の場合は、上述のように双葉消防署を基に設定されている。
【0047】
一方、図8の表示画面において、「設定」ボタンを押下すると、双葉消防署が目的地として設定される(S4)。このときも、入力されたキーワード「ふたば」,地点名「双葉消防署」,およびその地点の位置(二次元座標)を含む履歴情報をPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶してもよい。
【0048】
次に、図10のフロー図と、図11から図16とを用いて、本発明のPOI目的地検索処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10の表示画面上に図5のような目的地検索メニュー画面を表示させ、「POI検索」ボタンを押下して図11のようなPOI検索画面を表示させる(S11)。
【0049】
次に、図11の画面に表示された五十音キー35を用いて検索したい地点のキーワードを入力する。図11の例では、まず「ふ」が入力される。この状態で検索対象データ記憶領域21d1およびPOI目的地候補記憶領域21d2において、キーワードが「ふ」で含まれる地点が検索され(S12)、検索対象データ記憶領域21d1で検索された地点の数が候補リスト数表示欄36に、POI目的地候補記憶領域21d2で検索された地点の数が過去リスト数表示欄37に表示される(S13)。
【0050】
図9のPOI目的地候補記憶領域21d2を用いて検索する場合、「ふ」で始まる地点が、例えば双葉幼稚園(キーワード:ふたば),双葉神社(キーワード:ふたば),深津亭(キーワード:ふかつ),および布施商店(キーワード:ふせ)の4箇所と仮定すれば、過去リスト数表示欄37には04と表示される。
【0051】
また、このとき、検索された4つの地点のキーワードの先読みを行い、「ふ」の次に続く文字を検索し、五十音キー35において該当する文字「か」,「せ」,「た」の表示色を他の文字と異なる色で表示させたり点滅させる等、表示意匠を他の文字と異なるようにしてもよい。また、上記の該当する文字を「過去リスト」ボタンの下方のように五十音キー35とは別の位置に表示するようにしてもよい。
【0052】
次いで、五十音キー35の「た」が押下された場合、検索対象データ記憶領域21d1およびPOI目的地候補記憶領域21d2において、キーワードが「ふた」で始まる地点が検索され、図12のようにその検索された地点の数が、それぞれ候補リスト数表示欄36および過去リスト数表示欄37に表示される。
【0053】
図9のPOI目的地候補記憶領域21d2を用いて検索する場合、「ふた」で始まる地点が、例えば双葉幼稚園(キーワード:ふたば)および双葉神社(キーワード:ふたば)と仮定すれば、過去リスト数表示欄37には02と表示される。また、上記と同様にキーワードの先読みを行い、「ふた」の次に続く文字を検索し、五十音キー35において該当する文字「は」,「゛」の表示色を他の文字と異なる色で表示させたり点滅させる等、表示意匠を他の文字と異なるようにしたり、「ば」を五十音キー35とは別の位置に表示してもよい。
【0054】
この後、五十音キー35により「ば」を入力しキーワードを「ふたば」として目的地候補の絞込みを行い「過去リスト」ボタンを押下すると、図13のように絞込みの結果がリスト表示される。図13の例では目的地候補が2つに絞込まれたので2箇所の表示となっている。また、目的地候補が複数あって一画面では表示できない場合には、操作スイッチ群7等の操作でスクロール表示を行うことで、全ての目的地候補を表示器10に表示させることができる。
【0055】
また、図13のように、リスト表示される目的地候補に対応した地図を、その候補の地点と周辺が把握可能な縮尺で表示してもよい。
【0056】
図13の画面上で「1」,「表示」の順にボタンを押下すると、図14のように双葉幼稚園を中心とする地図が表示される。ここで、「設定」ボタンを押下すると(S14:Yes)、双葉幼稚園が目的地として設定される(S15)。
【0057】
また、上述のようにカーソルポインタPを双葉墓地の上に移動して「設定」ボタンを押下すれば(図15参照)、キーワード「ふたば」で双葉霊園が履歴情報としてPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶される(図16参照)。なお、双葉霊園に関する履歴情報が既にPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶されている場合、上書き保存するかの確認メッセージを表示してもよい。
【0058】
なお、図16の例では、キーワード「ふたば」で双葉幼稚園,双葉神社と双葉霊園が記憶されているので、以降のPOI目的地検索においては、キーワード「ふたば」に対応する「過去リスト」にはこれら3つの地点が候補として表示される。これを避ける方法として、POI目的地候補記憶領域21d2に記憶される履歴情報のキーワードを編集可能な構成としてもよい。編集方法は例えば以下の方法が挙げられる。
(1)履歴情報記憶時に、同じキーワードがあるのでキーワードを編集するかどうか確認するメッセージを表示させ、「編集する」が選択された場合にはキーワードを編集する。
(2)メニュー画面(図示せず)から各種設定を行う画面(図示せず)を表示させ、その中から履歴情報記憶時のキーワード編集に関する画面(図示せず)を表示させて、地点を選択してキーワードを編集する。例えば、1つのキーワードに対し1つの地点となるように不要なものを消去し必要なもの(重要度の高いもの)を残す。
【0059】
また、図6において、キーワード「ふた」で検索対象データ記憶領域21d1を検索し、その検索結果が図7のように表示され、双葉小学校を選択して目的地に設定した場合、双葉小学校がキーワード「ふた」でPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶される。こうすることで、短いキーワード入力で目的地を検索して設定することが可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】データベースの構成の一例を示す図。
【図3】検索対象データ記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【図4】POI目的地設定履歴記憶処理を説明するフロー図。
【図5】目的地検索時の画面表示例を示す図。
【図6】POI検索時の画面表示例を示す図。
【図7】候補リスト表示時の画面表示例を示す図。
【図8】候補リスト選択時の画面表示例を示す図。
【図9】POI目的地候補記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【図10】POI目的地検索処理を説明するフロー図。
【図11】POI検索時の画面表示例を示す図。
【図12】図11に続くキーワード入力時の画面表示例を示す図。
【図13】過去リスト表示時の画面表示例を示す図。
【図14】過去リスト選択時の画面表示例を示す図。
【図15】目的地変更時の画面表示例を示す図。
【図16】履歴情報追加時のPOI目的地候補記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
7 操作スイッチ群(選択手段)
8 制御回路(候補抽出手段,先読み手段)
10 表示器(目的地候補数表示手段,目的地候補表示手段,文字表示手段)
12 リモコン端末(選択手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(履歴情報記憶手段)
21m 地図データ(地図データ記憶手段)
22 タッチパネル(選択手段)
31 マイク(選択手段)
100 車載用ナビゲーション装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
ユーザの利便性向上のために目的地を検索する方法も改良が施され、例えば、検索した住所の履歴を行政区画毎に記憶し、同一画面で行政区画毎に住所を入力する入力画面を表示し、該入力画面の行政区画の入力項目に過去に検索された行政区画名称を表示する地図表示装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、目的地の施設情報とその施設情報を設定した時刻とを記憶しておき、ユーザが過去に設定した目的地の履歴から目的地を選択する際、施設のジャンルと設定した時刻をキーワードとして、設定したい目的地を検索することで所望の目的地の選択を容易に行うことができるナビゲーション装置及び履歴情報表示方法が考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−184563号公報
【特許文献2】特開2005−156290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の例では、ユーザが希望とする目的地の住所の少なくとも一部を記憶していない場合、目的地を探し出すのに時間を要するという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の例では、ユーザが希望とする目的地を設定した時刻を記憶していない場合、履歴から目的地を探し出すのに時間を要するという問題点がある。また、ユーザが過去に目的地として設定したかどうかを記憶していない場合、全履歴を参照しなければならない等、効率よく目的地を探し出すことができないという問題点もある。
【0008】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ユーザが通常行う検索方法であるPOI(Point Of Interest:地点情報)検索において、過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することが可能となる車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、キーワードを入力する入力手段と、キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によって、過去に目的地として設定された地点およびキーワードを履歴情報として記憶するため、通常の地図データ等に含まれる検索対象データを用いて目的値を検索する方法に比べて検索に要する時間も短縮され、キーワードの文字を入力するたびに目的地候補が絞り込まれてその数が数字で表示されるため、ユーザがどのレベルまで絞り込めばよいかを数字を見ながら判断することが可能となる。そして、過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することが可能となる。
【0011】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における履歴情報には、当該地点が履歴情報記憶手段に記憶された経緯を含むように構成することができる。
【0012】
例えば、検索対象データに含まれない地点を目的地に設定するために、その地点の最寄りの地点を検索対象データから検索して、最寄りの地点を検索した際のキーワードと設定された目的地とを履歴情報に記憶する場合、そのキーワードと目的地の名称とが一致していなかったり、その目的地を容易に連想することができるキーワードではない場合がある。上記構成によって、その目的地がどのように検索されて目的地として設定されたかを記憶するので、そのキーワードと目的地の関係を把握することが可能となる。
【0013】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、抽出された目的地候補をリスト表示する目的地候補表示手段と、リスト表示された目的地候補の中から目的地を選択する選択手段と、を備えるように構成することができる。
【0014】
上記構成によって、目的地候補が絞り込まれてその数が数字で表示された場合に、ユーザは絞り込まれた目的地候補の内容をリスト表示により確認することが可能となる。
【0015】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、電子地図データを記憶する地図データ記憶手段を備え、目的地候補表示手段は抽出された目的地候補に対応する地図を表示するように構成することができる。
【0016】
上記構成によって、目的地候補が地図とともにリスト表示されるため、目的地候補がどのような地点であるかを確認でき、表示された目的地候補から所望の目的地を選択することを容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点のキーワードの次の文字を読み出す先読み手段と、先読みされた文字を表示する文字表示手段と、を備えるように構成することができる。
【0018】
上記構成によって、ユーザが先に入力したキーワードの次の文字を探して入力するための時間を短縮することが可能となり、操作負荷の増大を抑制することが可能となる。
【0019】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、目的地候補表示手段は抽出された目的地候補をリスト表示するとともに、その目的地候補である地点が履歴情報記憶手段に記憶された経緯を表示するように構成することができる。
【0020】
上記構成によって、表示されたキーワードと地点の名称とが一致していなかったり、その目的地を容易に連想できるキーワードではない場合でも、ユーザはどの地点を基に目的地として設定されたかが分かるので、リスト表示された目的地候補から所望の地点を目的地として設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
過去に目的地設定したことがある場所を容易に目的地として設定することができる車載用ナビゲーション装置を提供する目的を、目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶し、キーワードの文字が入力されるたびに、履歴情報の中から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出し、抽出された目的地候補の数を表示する構成により実現した。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0023】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。
【0024】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0025】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31は、本発明の選択手段に相当し、種々の指示を入力することが可能である。
【0026】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0027】
また、ETC車載器16と通信することにより、ETC車載器16が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0028】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の候補抽出手段,先読み手段に相当する。
【0029】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0030】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0031】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の地図データ記憶手段に相当する。
【0032】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。図2にデータベース21dの構成例を示す。データベース21dには検索対象データ記憶領域21d1(図3参照)およびPOI目的地候補記憶領域21d2(図9参照)が含まれる。なお、このPOI目的地候補記憶領域21d2が本発明の履歴情報記憶手段に相当する。
【0033】
図3に検索対象データ記憶領域21d1の記憶内容の一例を示す。検索対象データ記憶領域21d1は目的地検索時のキーワード,地点の名称,位置,地点の属性を含んで構成される。
【0034】
図1に戻り、ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0035】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0036】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の目的地候補数表示手段,目的地候補表示手段,文字表示手段に相当する。
【0037】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0038】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0039】
通信ユニット25は周知の無線通信機として構成され、インターネット等の外部ネットワークとの通信を行う。
【0040】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行ってもよい。
【0041】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図5参照)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0042】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0043】
図4のフロー図と、図5から図9とを用いて、POI目的地設定履歴記憶処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10の表示画面上に図5のような目的地検索メニュー画面を表示させ、「POI検索」ボタンを押下して図6のようなPOI検索画面を表示させる。ここで、五十音キー35を操作してキーワード入力欄34にキーワードを入力する。
【0044】
図6の例では、キーワードとして「ふたば」が入力されている。そして入力されたキーワードに対して検索対象データ記憶領域21d1が検索され、検索された目的地候補の数が候補リスト数表示欄36に表示される。ここで、「候補リスト」ボタンを押下すると、図7のように目的地の候補リストが表示される。
【0045】
図7の表示画面において、例えば「双葉消防署」を選択して「表示」ボタンを押下すると、図8のように双葉消防署を中心とする地図が表示される(S1)。ここで、表示画面上のカーソルポインタPを操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12に含まれるカーソルキー等により双葉幼稚園上に移動させて「設定」ボタンを押下すると、検索対象データ記憶領域21d1に含まれない双葉幼稚園が目的地として設定される。表示器10にタッチパネル22を含む場合には、表示画面上の双葉幼稚園の表示領域を押下して目的地を設定する構成としてもよい。
【0046】
双葉幼稚園を目的地として設定した場合、最初に選択された双葉消防署から変更されているので(S2:Yes)、入力されたキーワード「ふたば」,地点名「双葉幼稚園」,およびその地点の位置(二次元座標)を含む履歴情報をPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶する(S3)。図9にPOI目的地候補記憶領域21d2の記憶内容の一例を示す。図9のように、履歴情報に記憶日時やどの地点を基にして設定されたかの備考情報(履歴情報記憶手段に記憶された経緯)を含めてもよい。双葉幼稚園の場合は、上述のように双葉消防署を基に設定されている。
【0047】
一方、図8の表示画面において、「設定」ボタンを押下すると、双葉消防署が目的地として設定される(S4)。このときも、入力されたキーワード「ふたば」,地点名「双葉消防署」,およびその地点の位置(二次元座標)を含む履歴情報をPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶してもよい。
【0048】
次に、図10のフロー図と、図11から図16とを用いて、本発明のPOI目的地検索処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに実行される。まず、操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10の表示画面上に図5のような目的地検索メニュー画面を表示させ、「POI検索」ボタンを押下して図11のようなPOI検索画面を表示させる(S11)。
【0049】
次に、図11の画面に表示された五十音キー35を用いて検索したい地点のキーワードを入力する。図11の例では、まず「ふ」が入力される。この状態で検索対象データ記憶領域21d1およびPOI目的地候補記憶領域21d2において、キーワードが「ふ」で含まれる地点が検索され(S12)、検索対象データ記憶領域21d1で検索された地点の数が候補リスト数表示欄36に、POI目的地候補記憶領域21d2で検索された地点の数が過去リスト数表示欄37に表示される(S13)。
【0050】
図9のPOI目的地候補記憶領域21d2を用いて検索する場合、「ふ」で始まる地点が、例えば双葉幼稚園(キーワード:ふたば),双葉神社(キーワード:ふたば),深津亭(キーワード:ふかつ),および布施商店(キーワード:ふせ)の4箇所と仮定すれば、過去リスト数表示欄37には04と表示される。
【0051】
また、このとき、検索された4つの地点のキーワードの先読みを行い、「ふ」の次に続く文字を検索し、五十音キー35において該当する文字「か」,「せ」,「た」の表示色を他の文字と異なる色で表示させたり点滅させる等、表示意匠を他の文字と異なるようにしてもよい。また、上記の該当する文字を「過去リスト」ボタンの下方のように五十音キー35とは別の位置に表示するようにしてもよい。
【0052】
次いで、五十音キー35の「た」が押下された場合、検索対象データ記憶領域21d1およびPOI目的地候補記憶領域21d2において、キーワードが「ふた」で始まる地点が検索され、図12のようにその検索された地点の数が、それぞれ候補リスト数表示欄36および過去リスト数表示欄37に表示される。
【0053】
図9のPOI目的地候補記憶領域21d2を用いて検索する場合、「ふた」で始まる地点が、例えば双葉幼稚園(キーワード:ふたば)および双葉神社(キーワード:ふたば)と仮定すれば、過去リスト数表示欄37には02と表示される。また、上記と同様にキーワードの先読みを行い、「ふた」の次に続く文字を検索し、五十音キー35において該当する文字「は」,「゛」の表示色を他の文字と異なる色で表示させたり点滅させる等、表示意匠を他の文字と異なるようにしたり、「ば」を五十音キー35とは別の位置に表示してもよい。
【0054】
この後、五十音キー35により「ば」を入力しキーワードを「ふたば」として目的地候補の絞込みを行い「過去リスト」ボタンを押下すると、図13のように絞込みの結果がリスト表示される。図13の例では目的地候補が2つに絞込まれたので2箇所の表示となっている。また、目的地候補が複数あって一画面では表示できない場合には、操作スイッチ群7等の操作でスクロール表示を行うことで、全ての目的地候補を表示器10に表示させることができる。
【0055】
また、図13のように、リスト表示される目的地候補に対応した地図を、その候補の地点と周辺が把握可能な縮尺で表示してもよい。
【0056】
図13の画面上で「1」,「表示」の順にボタンを押下すると、図14のように双葉幼稚園を中心とする地図が表示される。ここで、「設定」ボタンを押下すると(S14:Yes)、双葉幼稚園が目的地として設定される(S15)。
【0057】
また、上述のようにカーソルポインタPを双葉墓地の上に移動して「設定」ボタンを押下すれば(図15参照)、キーワード「ふたば」で双葉霊園が履歴情報としてPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶される(図16参照)。なお、双葉霊園に関する履歴情報が既にPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶されている場合、上書き保存するかの確認メッセージを表示してもよい。
【0058】
なお、図16の例では、キーワード「ふたば」で双葉幼稚園,双葉神社と双葉霊園が記憶されているので、以降のPOI目的地検索においては、キーワード「ふたば」に対応する「過去リスト」にはこれら3つの地点が候補として表示される。これを避ける方法として、POI目的地候補記憶領域21d2に記憶される履歴情報のキーワードを編集可能な構成としてもよい。編集方法は例えば以下の方法が挙げられる。
(1)履歴情報記憶時に、同じキーワードがあるのでキーワードを編集するかどうか確認するメッセージを表示させ、「編集する」が選択された場合にはキーワードを編集する。
(2)メニュー画面(図示せず)から各種設定を行う画面(図示せず)を表示させ、その中から履歴情報記憶時のキーワード編集に関する画面(図示せず)を表示させて、地点を選択してキーワードを編集する。例えば、1つのキーワードに対し1つの地点となるように不要なものを消去し必要なもの(重要度の高いもの)を残す。
【0059】
また、図6において、キーワード「ふた」で検索対象データ記憶領域21d1を検索し、その検索結果が図7のように表示され、双葉小学校を選択して目的地に設定した場合、双葉小学校がキーワード「ふた」でPOI目的地候補記憶領域21d2に記憶される。こうすることで、短いキーワード入力で目的地を検索して設定することが可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】データベースの構成の一例を示す図。
【図3】検索対象データ記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【図4】POI目的地設定履歴記憶処理を説明するフロー図。
【図5】目的地検索時の画面表示例を示す図。
【図6】POI検索時の画面表示例を示す図。
【図7】候補リスト表示時の画面表示例を示す図。
【図8】候補リスト選択時の画面表示例を示す図。
【図9】POI目的地候補記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【図10】POI目的地検索処理を説明するフロー図。
【図11】POI検索時の画面表示例を示す図。
【図12】図11に続くキーワード入力時の画面表示例を示す図。
【図13】過去リスト表示時の画面表示例を示す図。
【図14】過去リスト選択時の画面表示例を示す図。
【図15】目的地変更時の画面表示例を示す図。
【図16】履歴情報追加時のPOI目的地候補記憶領域の記憶内容の一例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
7 操作スイッチ群(選択手段)
8 制御回路(候補抽出手段,先読み手段)
10 表示器(目的地候補数表示手段,目的地候補表示手段,文字表示手段)
12 リモコン端末(選択手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース(履歴情報記憶手段)
21m 地図データ(地図データ記憶手段)
22 タッチパネル(選択手段)
31 マイク(選択手段)
100 車載用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーワードを入力する入力手段と、
前記キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、
前記検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記キーワードの文字が入力されるたびに、前記履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、
前記抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記履歴情報には、当該地点が前記履歴情報記憶手段に記憶された経緯を含む請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記抽出された目的地候補をリスト表示する目的地候補表示手段と、
前記リスト表示された目的地候補の中から前記目的地を選択する選択手段と、
を備える請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
電子地図データを記憶する地図データ記憶手段を備え、
前記目的地候補表示手段は前記抽出された目的地候補に対応する地図を表示する請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記キーワードの文字が入力されるたびに、前記履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点のキーワードの次の文字を読み出す先読み手段と、
前記先読みされた文字を表示する文字表示手段と、を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記目的地候補表示手段は前記抽出された目的地候補をリスト表示するとともに、その目的地候補である地点が前記履歴情報記憶手段に記憶された経緯を表示する請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項1】
キーワードを入力する入力手段と、
前記キーワードに対応した地点を検索する地点検索手段と、
前記検索された地点の中から目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地に設定された地点および当該地点に対応するキーワードを含む履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記キーワードの文字が入力されるたびに、前記履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点を目的地候補として抽出する候補抽出手段と、
前記抽出された目的地候補の数を表示する目的地候補数表示手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記履歴情報には、当該地点が前記履歴情報記憶手段に記憶された経緯を含む請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記抽出された目的地候補をリスト表示する目的地候補表示手段と、
前記リスト表示された目的地候補の中から前記目的地を選択する選択手段と、
を備える請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
電子地図データを記憶する地図データ記憶手段を備え、
前記目的地候補表示手段は前記抽出された目的地候補に対応する地図を表示する請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記キーワードの文字が入力されるたびに、前記履歴情報記憶手段から当該入力文字に該当する地点のキーワードの次の文字を読み出す先読み手段と、
前記先読みされた文字を表示する文字表示手段と、を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記目的地候補表示手段は前記抽出された目的地候補をリスト表示するとともに、その目的地候補である地点が前記履歴情報記憶手段に記憶された経緯を表示する請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−248365(P2007−248365A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74666(P2006−74666)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]