説明

通信装置

【課題】 深夜に緊急地震速報の報知が行われ近所迷惑になることを回避する。
【解決手段】
緊急地震速報を受信すると、受信した時刻が予め設定した時間帯(例えば、23:00〜6:00)であるか否か判定し(S131ステップ)、予め設定した時間帯であれば、次に予測震度が震度3以上であるか否かを判定し(S132ステップ)、震度3未満であれば、地震に関する報知を禁止する(S133ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NTT等の通信業者が提供する電話回線に接続される通信装置に関するものであり、特に気象庁が配信する緊急地震速報を検知した際に照明器具として使用可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラの発達により、通信に関する様々な付加サービスが普及するようになってきた。特に電話装置においては、一般電話回線以外に、IP電話網やインターネット等の広域通信網に接続して、様々なサービスを受けることが可能な電話装置が普及している。
【0003】
このような電話装置が備える機能の一つとして、地震発生時に気象庁が配信する緊急地震速報の受信機能を備えた電話装置が存在する。緊急地震速報とは、西暦2007年10月1日より実施が開始される情報配信サービスである。ユーザは緊急地震速報に対応する電話装置を購入し、且つ緊急地震速報の配信サービス会社と契約することにより、このサービスを利用することができる。
【0004】
契約ユーザは、電話装置をインターネット等の広域通信網に接続しておくことにより、地震発生時に通信網を通じて地震に関する各種情報を受信することができる。地震発生通知を受けた電話装置は、電話装置に予め記録されている地域情報等を用いて、電話装置が設置されている地域における予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに通知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでに、机の下に隠れる等の地震対応を図ることができる。
【0005】
又、緊急警報放送を受信すると、例えば「ピロピロピロ」という音をスピーカから出力することにより、緊急放送があることをユーザに報知する技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開昭63−18730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように、緊急放送を受信すると必ずスピーカから音を送出する構成であれば、例えば、深夜に大音量で音が送出されると近所迷惑になるといった問題が発生する。又、例えば、震度1や2のような微弱な震度であるにもかかわらず緊急放送がなされるシステムであれば、微弱な地震が在るたびにスピーカから音が送出され、ユーザにとって耳障りであるといった問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急地震速報を受信した時間帯に応じて、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする。
請求項2に記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急地震速報を受信し、受信した緊急地震速報から地震の震度を予測し、予測した震度が予め設定した震度未満又は震度以下であれば、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急震速報を受信し、受信した緊急地震速報から地震の震度を予測し、前記緊急地震速報を受信した時刻が予め設定した時間帯であり且つ予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であれば、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段が前記緊急地震速報を受信した時刻が予め設定した時間帯であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段による前記緊急地震速報の受信に応じて震度を予測する震度予測手段と、当該震度予測手段の予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項6に記載の通信装置は、地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段による前記緊急地震速報の受信に応じて震度を予測する震度予測手段と、前記受信手段が前記緊急地震速報を受信した時刻が予め定められた時間帯であると判定し且つ当該震度予測手段の予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、緊急地震速報を受信した時刻が予め設定した時間帯であれば、地震に関する報知を禁止することが可能である為、深夜に大音量の地震に関する報知が行われて近所迷惑になるといった問題を回避することが可能である。
【0012】
又、緊急地震速報を受信し、予測した震度が予め設定した震度以下又は未満であれば、地震に関する報知を禁止することが可能である為、震度1や2といった微弱な地震であるにもかかわらず、ユーザが一々地震に関する報知を聞き不快に感じるといった問題を回避することが可能である。
【0013】
更に、緊急地震速報を受信した時刻や予想震度に応じて、地震に関する報知を禁止する為、震度の大きい地震が発生した場合を発生時刻を問わず必ず地震に関する情報を報知し、震度の小さい地震が発生した場合には報知をしないようにすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明のコードレス電話装置(=通信装置)を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0015】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。
【0016】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0017】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0018】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0019】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0020】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0021】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0022】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0023】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
〈2.親機の内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、入力部14、通信制御部15(=第一通信手段)、アンテナ装置16(=無線通信部)、音声信号処理部17、スピーカ18、及びマイク19を含むように構成されている。
【0024】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、速報受信部11a(=速報受信手段)、及び地震検知送信部11b(=地震検知送信手段)を備えている。
【0025】
速報受信部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信することにより、地震発生を検知したと判断する。地震発生を検知した場合、次の地震検知送信部11bに対して、地震検知通知を与える。また、緊急地震速報に含まれるデータと、メモリ12に記録されている地域情報に基づき、親機1が設置されている地域における予測震度及び主要動到達予測時刻等を算出する。
【0026】
地震検知送信部11bは、速報受信部11aから与えられた検知通知を、通信制御部15を用いて子機2へ送信する。なお地震検知送信部11bは、速報受信部11aにより検知通知が与えられるたびに、子機2への検知通知送信を行う。
【0027】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。また、地域ごとの予測震度や主要動到達予測時刻を算出するための地域情報を記録する役割を持つ。
【0028】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。
【0029】
入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数のボタンから構成されている。
【0030】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0031】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0032】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
〈3.子機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22、表示部23、入力部24、通信制御部25(=第二通信手段)、アンテナ装置26(=無線通信部)、音声信号処理部27、スピーカ28、マイク29、発光部30(=発光手段)、バッテリ31、及び照明部80を含むように構成されている。
【0033】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震検知受信部21a、及び発光量調整部21b(=発光量調整手段)を備えている。
【0034】
地震検知受信部21aは、親機1から受信する各種情報の中に、緊急地震速報の検知通知が含まれているかどうかの判定を行う。そして検知通知が含まれていると判定された場合に、地震検知を示す電文を発光量調整部21bに与える。
【0035】
発光量調整部21bは、地震検知受信部21aから地震検知を示す電文を与えられた際に、発光部30に対して、発光部30が備える一部又は全部の発光部材(不図示)を、予め定められた所定の発光量、例えば最大発光量で点灯させるように指示する。併せて、照明部80に対しても点灯を指示する。なお点灯を指示する発光部材としては、例えば入力部24が備える操作ボタン群の背後に設置されたボタン照明(不図示)や、表示部23が備える液晶パネルバックライト(不図示)等を用いる。
【0036】
また発光量調整部21bは、地震検知を示す電文を与えられて以降は、発光部30及び照明部80に対して、点灯処理を除く全ての発光制御処理を禁止する形態でも構わない。例えば、着信時における着信ランプの点滅や、液晶パネルバックライトの発光量調整処理等を実施しない状態にする。これにより、発光部材を用いた点灯処理のみを優先的に実施することができる。なお、上記状態の解除は、例えば子機のバッテリを取り外したり、所定のコマンドを外部から入力したりすることにより行う。
【0037】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0038】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。液晶パネルの背後にはバックライトが設置されており、暗い場所ででも表示内容を確認できるようになっている。
【0039】
入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数のボタンから構成されている。なお、各ボタンの背後にはLED等の発光部材が備えられており、後述する発光部30による制御により各ボタンを背後から照らすことが可能である。
【0040】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線LAN42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0041】
アンテナ装置26〜マイク29ついては、親機1のアンテナ装置16〜マイク19と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0042】
発光部30は、LED等の発光部材を含む照明装置である。発光部30は例えば、入力部24が含む操作ボタンのボタン照明や、着信時に点灯する着信ランプ、或いは液晶パネルのバックライト等の発光部材の発光制御を行う。また発光部30は、発光量調整部21bからの指示により、所定の発光量による発光部材の点灯を行う。
【0043】
バッテリ31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
【0044】
照明部80は、子機2の表面上端に設置された照明装置である。照明部80は通常運用時は点灯しない。或いは、着信通知ランプ等として用いる形態でもよい。照明部80は、地震検知受信部21aにより緊急地震速報の検知通知が受信された際に、発光量調整部21bからの指示により所定の発光量で点灯する。なお照明部80の詳細については後述する。
〈4.子機の外部構成について〉
図6は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の外観を示す外観図である。図6(a)は子機2を横方向から見た外観図、図6(b)は子機2を正面方向から見た外観図、図6(c)は子機2を下方向から見た外観図である。
【0045】
図6は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の外部構造を示す外観図である。図6(a)は子機2を横方向から見た外観図、図6(b)は子機2を正面方向から見た外観図、図6(c)は子機2を下方向から見た外観図である。
【0046】
図6に示すように子機2は、その正面に表示部23、入力部24、アンテナ装置26、スピーカ28、マイク29、及び照明部80を備えている。また底面部に充電可能なバッテリ31を備えている。表示部23及び入力部24の背後には、発光部30が備える発光部材(不図示)が備えられており、必要に応じて点灯を行う事が可能である。
〈5.照明部の構成について〉
図7は、照明部80の内部構造の一例を示した斜視図である。照明部80は少なくとも、高輝度LED81、反射部材82、及び透明部材83を含むように構成されている。高輝度LED81は、LEDライト等に用いられる発光部材である。高輝度LED81の詳細な仕様、及び発光色は特に限定されないが、照明用であるため白色光のLEDを用いることが望ましい。
【0047】
反射部材82は、アルミ箔やガラス等を素材とした、光線を反射するための部材である。反射部材82は、高輝度LED81から出射される光線のうち、子機2の本体方向(図7に示す例では下方向)へ出射される光線を子機2の外部へ反射するのに用いられる。
【0048】
透明部材83は、高輝度LED81及び反射部材82を覆うことにより、両部材が子機2の外部に露出するのを防ぐ保護部材である。透明部材83は例えば、ある程度の強度を備えているプラスチック等の物質を素材として形成されている。なお、反射部材82及び透明部材83を形成する素材は上記に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
〈6.地震対応処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2の、緊急地震速報受信時における地震対応処理について、図1〜図3のブロック図と、図4及び図5のフロー図とを用いながら説明する。
【0049】
図4は、地震発生に備えた親機1の処理フローである。図4に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、速報検知部11aはステップS110において、通信制御部15がインターネット62及び有線LAN41を介して、緊急地震速報を受信したかどうかの判定を行う。
【0050】
緊急地震速報が受信されていないと判定された場合、再びステップS110に移行し、緊急地震速報が検知されるまで繰り返し検知処理を行う。緊急地震速報の受信を検知した場合、速報検知部11aはステップS120において、緊急地震速報に含まれる電文の解析処理を行う。これにより、電文に含まれる各種パラメータから、予測震度や主要動の到達予測時刻等が算出される。
【0051】
次にステップS130において、音声や画像による報知が行われる。S130ステップの具体的な動作は、図5に示している。
【0052】
図5のS131ステップでは、制御部21は、現在時刻が予め指定した時間帯であるか否かを判定する。具体的には、制御部21は、図示しないタイマから現在時刻のデータを読取り、読取った現在時刻のデータがメモリ22に予め格納されている時間帯(例えば、23:00〜6:00)であると判定すると、S132ステップへ処理を進め、そうでなければS136ステップへ処理を進める。
【0053】
S132ステップでは、制御部21は、受信した緊急地震速報のデータから予想震度が3以上であると判定するとS135ステップへ処理を進め、そうでなければ、S133ステップへ処理を進める。
【0054】
S133ステップでは、制御部21は、緊急地震速報が到来したことを報知する処理を禁止し、S134ステップで待機状態となる。
【0055】
S135ステップでは、制御部21は、メモリ12等に予め記録されている避難指示用の音声データ(例えば、ピピピピという警告音や、音声メッセージ、音楽等)及び画像データを読み出す。そして読み出したデータに基づき、表示部13及びスピーカ18を用いて、避難指示用の音声及び画像を出力する。なお避難指示に用いる音声及び画像の内容は特に限定されないが、例えば予測震度や主要動の到達予測時刻等を示す音声及び画像を出力する。又、音声データをスピーカ18から出力する際には、予め設定された音量(例えば、最大の音量)で出力され、図4のS140ステップへ処理を進める)。
【0056】
S136ステップでは、制御部21は、前記S132ステップと同様に、予測震度が3以上であると判定すると、S137ステップへ処理を進め、そうでなければS138ステップへ処理を進める。
【0057】
S137ステップでは、制御部21は、前記S135ステップと同様に音声データと画像データの出力を行い、図4のS140ステップへ処理を進める。
【0058】
S138ステップでは、制御部21は、前記S135ステップと同様に音声データと画像データの出力を行うが、音声データの音量は前記S137ステップで出力した音量に比べて低い値(例えば、最小から最大の中間の値)にする。
【0059】
このように、緊急地震速報を受信した時間帯が夜であり且つ震度が3未満であれば、地震発生の報知を行わないようにしたので、夜中に揺れの小さい地震であるにもかかわらず大音量で報知が起こり、近所迷惑になるといったことを回避することが可能である。尚、本実施例では、時間帯が夜であり且つ震度が3未満であれば地震の報知を行わない構成としたが、時間帯が夜であれば報知を行わない構成としても良いし、震度が所定の震度以下であれば報知を行わない構成としても良い。
【0060】
次に地震検知送信部11bは図4のステップS140において、緊急地震速報が検知されたことを示す検知通知を、通信制御部15及びアンテナ装置16を用いて、一又は複数の子機2へ送信する。
【0061】
次に、子機2における処理フローを、図5のフロー図を用いながら説明する。図5に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、地震検知受信部21aはステップS210において、アンテナ装置26により親機1より緊急地震速報の検知通知を受信したかどうかの判定を行う。
【0062】
検知通知が受信されていないと判定された場合、再びステップS210に移行し、検知通知が受信されるまで監視を継続して行う。検知通知が受信され場合、地震検知受信部21aは発光量調整部21bに対して、検知通知を受信したことを示す電文を与える。
【0063】
次に制御部21はステップS220において、メモリ22等に予め記録されている避難指示用の音声データ及び画像データを読み出す。そして読み出したデータに基づき、表示部23及びスピーカ28を用いて、避難指示用の音声及び画像を出力する。
【0064】
次に発光量調整部21bはステップS230において、発光部30に対して、発光部30が備える一部又は全部の発光部材を予め定められた発光量により点灯するように指示する。また照明部80に対して、高輝度LED81の点灯を指示する。そして発光量調整部21bはステップS240において、発光部30及び照明部80に対して、点灯処理を除く全ての発光制御処理を禁止するように指示する。これにより両部材は点灯処理のみを行うため、ユーザの誤操作により消灯するのを防ぐことができる。
【0065】
尚、子機側においても親機と同様に、緊急地震速報を受信した時間帯が夜であり且つ震度が3未満であれば、地震発生の報知を行わないようにし、夜中に揺れの小さい地震であるにもかかわらず大音量で報知が起こり、近所迷惑になるといったことを回避するようにしても良い。又、子機側においても、親機と同様に、時間帯が夜であれば報知を行わない構成としても良いし、震度が所定の震度以下であれば報知を行わない構成としても良い。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0066】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0067】
(A)本実施形態では、親機1が緊急地震速報を受信するための通信回線として、通信制御部15により接続される有線LAN41を用いているが、アンテナ装置16により接続される無線LAN42から無線アクセス装置(不図示)を経由して緊急地震速報を受信する形態であってもよい。また、インターネット以外の広域通信網、例えば専用回線やケーブルテレビ回線から緊急地震速報を受信する形態であってもよい。
【0068】
(B)本実施形態では、本発明の緊急地震速報通知機能を備えた通信装置として、親機1及び子機2を含むIP電話装置を例にあげているが、広域通信網に接続して緊急地震速報を受信可能であり、且つ照明部材を備えた持ち運び可能な装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、無線IP電話、無線LAN接続機能付き携帯電話、子機を備えた緊急地震速報受信機、PDAやノートパソコン等の情報処理装置において実施する形態であってもよい。
【0069】
(C)本実施形態では、本発明の発光量調整処理に関わる親機1及び子機2の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0070】
(D)本実施形態では、本発明の発光量調整処理に関わる子機として子機2を例に説明しているが、無線通信機能を持たない有線通信機能のみの子機において、本発明の発光量調整処理を行う形態であってもよい。
【0071】
(E)本実施形態では、発光量調整部21bが緊急地震速報の検知時に点灯を行う発光部材としてボタン照明やバックライトを例として説明しているが、上記以外の発光部材を用いる形態であってもよい。例えば子機2がCCDカメラを備えている場合において、CCDカメラのフラッシュ装置を常時点灯することにより、照明として用いる形態であってもよい。
【0072】
(F)本実施形態では、緊急地震速報の検知時に発光部30及び照明部80が備える全ての発光部材の点灯を行っているが、予め点灯/非点灯の発光部材の指定をユーザより受け付けて設定可能な形態であってもよい。また、照度センサーを設けることにより、緊急地震速報の受信時であっても、子機2の周囲の照度が所定以下に下がらない限りは点灯を行わないように制御する形態であってもよい。これにより、バッテリ31の電力を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】は、本発明の電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の親機側における緊急地震速報受信時の処理フローを示すフロー図である。
【図5】は、図4のフロー図におけるS130ステップの動作を詳細に示したフロー図である。
【図6】は、本発明の子機側における緊急地震速報受信時の処理フローを示すフロー図である。
【図7】は、本発明の子機の外観を示す外観図である。
【図8】は、本発明の子機が備える照明部の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1 親機(主通信装置)
11a 速報受信部(速報受信手段)
11b 地震検知送信部(地震検知送信手段)
15 通信制御部(第一通信手段)
16 アンテナ装置(無線通信部)
2 子機(副通信装置)
21a 地震検知受信部(地震検知受信手段)
21b 発光量調整部(発光量調整手段)
25 通信制御部(第二通信手段)
26 アンテナ装置(無線通信部)
30 発光部(発光手段)
80 照明部
81 高輝度LED
82 反射部材
83 透明部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急地震速報を受信した時間帯に応じて、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急地震速報を受信し、受信した緊急地震速報から地震の震度を予測し、予測した震度が予め設定した震度未満又は震度以下であれば、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急震速報を受信し、受信した緊急地震速報から地震の震度を予測し、前記緊急地震速報を受信した時刻が予め設定した時間帯であり且つ予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であれば、地震発生に関する報知を禁止することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段が前記緊急地震速報を受信した時刻が予め設定した時間帯であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段による前記緊急地震速報の受信に応じて震度を予測する震度予測手段と、当該震度予測手段の予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする通信装置。
【請求項6】
地震発生に関する情報である緊急地震速報を受信可能な通信装置であり、
前記緊急地震速報を受信する受信手段と、地震に関する報知を行う報知手段と、前記受信手段による前記緊急地震速報の受信に応じて震度を予測する震度予測手段と、
前記受信手段が前記緊急地震速報を受信した時刻が予め定められた時間帯であると判定し且つ当該震度予測手段の予測した震度が予め設定した震度未満又は以下であると判定すると、前記報知手段による地震に関する報知を禁止するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−88719(P2009−88719A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252832(P2007−252832)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】