説明

通報システム

【課題】 顔認証を基にして作動する応用システムとして、PHS等へ文字メッセージ送信等で、担当者や管理者にその状態を迅速に通報することができない。
【解決手段】 メッセージ表示機能を有する複数のPHS11と、カメラ51A〜Cと、該カメラ51A〜Cが撮影した映像データを取得して人物を特定し、特定情報を送出する顔認証管理装置50と、該特定情報に基づき所定メッセージを作成すると共に、該所定メッセージを上記複数のPHS11の少なくとも一つに通報する通報サーバ16とを備えて、顔認証に基づきPHS11へ所定の文字メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護施設や病院やマンション等の所定施設内に配置される通報システムに係り、電話通信装置と顔認証装置とを用いて自動通報する通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔認証を用いた応用システムとしては、特許文献1乃至3のように、顔認証を基にして防犯システムとして用いたり、若しくは、施錠管理システムとして用いる技術が存在している。
【0003】
このような特許文献1によれば、顔認証により悪質な訪問販売や万引きなどに対応できる防犯システムを提供することができる。また、特許文献2及び3によれば、顔認証によりドアの施錠制御が可能な防犯システムを提供することができる。
【特許文献1】特開2005−32051号公報
【特許文献2】特開2005−36523号公報
【特許文献3】特開2004−211538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1乃至3によれば、顔認証を基にして防犯システムとして機能させることができるが、PHS端末等へメッセージ(文字メッセージ等)を送信することができず、担当者や管理者にその状態を迅速に通報することができない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、顔認証装置により人物を特定し、その人物や特定した場所等の情報に基づき、所定の担当者・管理者に所定メッセージを送出して素早く状態を通報できるようにした通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の通報システムは、メッセージ表示機能を有する複数の通信端末と、カメラと、該カメラが撮影した映像データを取得して人物を特定し、特定情報を送出する認証装置と、該認証装置から受信した特定情報に基づき所定メッセージを作成すると共に、該所定メッセージを上記複数の通信端末の少なくとも一つに通報する通報装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本発明の通報システムによれば、老人施設の徘徊者保護の通報、病院、企業等の来客通報、その他の人物認証に基づく人物の状態通報を目的として、人物の認証に基づき人物の状態を把握して、素早く担当者や管理者にメッセージにて通報することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を示す接点情報管理システムについて説明する。図1は本実施の形態を示す接点情報管理システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【0009】
図1に示す通報システム1は、介護施設や病院やマンション等の所定施設内にて業務を行う作業担当者に付与した、ブラウジング表示機能、文字メッセージを受信する機能及びこの文字メッセージを表示する機能を備えたPHS端末等の携帯電話端末(以下、単にPHSと称する)11と、これらPHS11を無線収容接続する基地局(以下、単にBSと称する)12と、任意ドアに備えられるカギの施錠/解錠制御(カギの開閉制御)を行う施錠制御部13A〜Nと、例えば保守集中管理室に配置され、作業担当者のサービス作業を指示し管理するパソコン等の操作端末14と、通報システム1に関わる様々な情報を記憶管理し、PHS11に通報メッセージを送信すると共に、情報を基にしたブラウジング画面を提供するメッセージゲートウェイ(以下、単にMGWと称する)15と、この所定施設を管理し、PHS11に対する通報サービスを提供する通報サーバ16と、人物を顔認証により特定する顔認証管理装置50と、所定施設内の所定箇所に設置された複数のカメラ51A,B,Cとを有し、施錠制御部13A〜N、操作端末14、MGW15、通報サーバ16、顔認証装置50及びカメラ51A,B,CはLAN17に接続しているものとする。
【0010】
さらに、通報システム1は、LAN17と接続するためのターミナルアダプタ(以下、単にTAPと称する)18、MGW15及びBS12を収容接続する構内交換機(以下、単にPBXと称する)19を有し、PBX19は、BS12とのインタフェースを司る基地局インタフェース(以下、単にDRIFと称する)21と、TAP18とのインタフェースを司るLANインタフェース(以下、単にIBLCEと称する)23と、MGW15とのインタフェースを司るIBLCE24と、これらDRIF21、IBLCE23及びIBLCE24間を通信接続する通話路スイッチ(以下、単にTSWと称する)25と、様々な情報プログラム等を記憶したメモリ(以下、単にMMと称する)26と、このPBX19全体を制御する中央制御装置(以下、単にCCと称する)27とを有している。
【0011】
なお、MGW15は、PHS11からのログイン操作に応じて、BS12,DRIF21、TSW25、IBLCE23、TAP18及びLAN17を通じてPHS11にブラウジング画面を提供すると共に、操作端末14からのログイン操作に応じて、LAN17、TAP18、IBLCE23、TSW25、DRIF21及びBS12を通じて操作端末14にブラウジング画面を提供するブラウジング画面提供機能と、IBLCE24、TSW25、DRIF21及びBS12を通じてPHS11に対して通報サーバ16からの文字メッセージを通報する文字メッセージ通報機能と、通報システム1の各種情報を記憶管理するデータベース機能とを有している。
【0012】
図2は顔認証管理装置50内部の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
顔認証管理装置50は、LAN17とのインタフェースを行うLANインタフェース部501と、カメラ51A〜Cから受信した映像データを受け付ける映像データ入力部502と、人物を特定する顔の映像データと該人物名(又はID)とを対応付けする映像比較データを記憶している顔認証マスタデータ部503と、映像データ入力部502で受け付けた映像データに顔を示す映像データが含まれている際に、顔認証マスタデータ部503内の映像比較データとデータ照合し、顔認証を行うデータ照合部504と、データ照合部504が出力した照合情報(映像データ受付日時を示す日時情報・データ照合部504が特定した人物を示す人物名・原映像データ・原映像データを送出したカメラを示す送出カメラ番号)を、LANインタフェース部501を介してLANに送出する照合結果出力部505と、を有している。
【0014】
図3乃至5は、通報サーバ16内に設定されている設定情報である。
【0015】
図3は、顔認証マスタデータ部503の映像比較データに登録されている人物名(又はID)と施設に設置されているカメラ番号とに対応させて、通報先のPHS11を決定する通報先PHS決定情報である。例えば、顔認証管理装置50から受信した上記照合情報が、人物名は人物Bであり、原映像データ送出がカメラ番号Bであることを示す情報が含まれていた場合は、PHS(2)とPHS(6)が通報先PHSとして選択されることを示している。なお、人物Dに対しては、PHSが設定されていないことから、人物名が人物Dであるときには通報先PHSは無しと認識できる。
【0016】
図4は、カメラの設置場所と、その設置場所付近に設置されているドアとを対応付けしたロケーション情報である。例えば、カメラ番号Aは施設内の場所Laに設置されており、この場所La付近にはドア1及びドア2が存在していることを示している。
【0017】
図5は、顔認証マスタデータ部503の映像比較データに登録されている人物名(ID)と施設に設置されているカメラ番号とに対応させて、ドアの施錠制御(施錠(閉じる)又は解錠(開ける))を決定する施錠制御決定情報である。例えば、顔認証管理装置50から受信した上記照合情報が、人物名は人物Cであり、原映像データ送出がカメラ番号Aであることを示す情報が含まれていた場合は、ドア1とドア2とに対応する施錠制御部(13A乃至Nのいずれか)が選択され、該選択されたドアを施錠する(閉める)ことを示している。なお、人物Dに対しては、ドアが設定されていないことから、人物名が人物Dであるときにはドア施錠制御は無しと認識できる。
【0018】
図6は、通報サーバ16内で管理・記憶されるロギングデータである。
【0019】
図6において、ロギングデータは、顔認証管理装置50から受信した照合情報(映像データ受付日時を示す日時情報・データ照合部504が特定した人物を示す人物名・原映像データ・原映像データを送出したカメラを示す送出カメラ番号)と、この照合情報を得たときに作動させた(作動させる)制御データ、すなわち、図3〜図5に示す設定情報に基づいて、通報サーバが適宜処理した情報とを順次記憶している。例えば、項番3においては、原映像データの取得日時が「2005/5/11 15:13:27」であり、認証された人物名が「人物A」であり、該原映像データ(データフィアル)が「Data3」であり、原映像データを送出すたカメラが「カメラ番号C」であり、通報したPHS11は、PHS(7)であり、その現象を起こした場所(カメラの設置場所)は「場所Lc」であり、更に、ドアの施錠制御は「ドア5(閉じる:施錠する)」であることを示している。
【0020】
次に、本実施の形態を示す通報システム1の動作について説明する。
【0021】
図7は、本実施の形態を示す通報システム1の動作を示すフローチャート図である。図7において、カメラA〜カメラCは、受像している映像データを送出している。顔認証管理装置50は、まず、カメラAからの映像データについて処理するものとし、カメラAからの映像データを受信する(S101)。すると、LANインタフェース部501及び映像データ入力部502を介して、その映像データがデータ照合部504に入力される。
【0022】
データ照合部では、その映像データが人物であるか否かを判別する(S102)。この結果、映像データが人物でないと判別すると、カメラBからの映像データの処理に移行する。一方、映像データが人物であると判別すると、顔認証マスタデータ部503の映像比較データと照合し、受信した映像データ(顔の映像データ)により、該当する人物が登録されているか照合・認証し(S103)、該当者の有無を判別する(S104)。
【0023】
この結果、該当者がいない場合は、カメラBからの映像データの処理に移行し、該当者がいる場合は、照合結果の情報、すなわち、映像データ受付日時を示す日時情報・データ照合部504が特定した人物を示す人物名・原映像データ・原映像データを送出したカメラを示す送出カメラ番号を含む照合情報を通報サーバ16に通報する(S105)。
【0024】
通報サーバ16は、顔認証管理装置50から照合情報を受けると、図6に示すロギングデータにこれを記録・保存し(S106)、図3に示す通報先PHS決定情報により通報先PHSを割り出して通報の要否を判定する(S107)。例えば、図6の項番5に示すロギングデータの処理であれば、人物名が「人物A」、カメラ番号が「カメラB」であるため、図3を参照してPHSの通報先として、「PHS(1)及びPHS(6)」が登録されていることが確認されて通報処理「要」としてステップS108に移行する。なお、図3において、通報先PHSの登録が無しであればステップS110に移行する。
【0025】
次に、ステップS107において、PHS11に対する通報処理が要と判定されると、選定されたPHS(ここではPHS(1)及び(6))に対して送信する文字メッセージを編集作成して送信する。具体的には、図6の項番5に示すロギングデータの処理であれば、日時情報が「2005/5/11 20:25:47」、人物名が「人物A」、カメラ番号が「カメラB」であることが判る。従って、まず図4に示す情報により、場所が場所Laであることを特定し、「管理番号5、2005/5/11 20:25:47、場所Laにて人物Aを発見しました。」というような文字メッセージを作成し、PHS(1)及び(6)に対して、この文字メッセージを送信する(S108)。
【0026】
すなわち、通報サーバ16にて作成された上記の文字メッセージは、図1に示すIBLCE24、TSW25、DRIF21及びBS12を通じてPHS11に対して送出される。
【0027】
この文字メッセージを受信したPHS11内のPHS(1)及び(6)は、PHSに文字メッセージの着信表示(例えば音声による通報)を行い、PHS(1)及び(6)の操作者が所定操作を行うことで、PHS(1)及び(6)に設けられている表示画面に「管理番号5、2005/5/11 20:25:47、場所Laにて人物Aを発見しました。」という管理番号情報(すなわち、ロギングデータの項番)、時間情報、場所情報、人物情報を含む文字メッセージの表示を行う(S109)。
【0028】
次に、通報サーバ16は、顔認証管理装置50から受けた照合情報に基づき、図5に示す施錠制御決定情報により施錠制御の要否を判定する(S110)。例えば、図6の項番5に示すロギングデータの処理であれば、人物名が「人物A」、カメラ番号が「カメラB」であるため、図5を参照して施錠制御のドアとして、「ドア3及びドア4を閉じる(カギを閉める)」が登録されていることが確認されて施錠制御「要」としてステップS111に移行する。なお、図5において、施錠制御のドアの登録が無しであれば、次の処理に移行する。
【0029】
次に、ステップS110において、施錠制御が要と判定されると、選定されたドア(ここではドア3及びドア4)を施錠する(カギを閉める)ための施錠制御信号を作成して、LAN17に送出する。
【0030】
一方、この施錠制御信号を受信したドア3及びドア4に対して施錠制御を行う施錠制御部(施錠制御部13A〜Nのいずれか)は、受信した制御信号がドアを閉じるとなっているので、対象のドア3及びドア4をそれぞれ施錠する(カギを閉める)制御を行う(S112)。なお、施錠制御信号がドアを解錠する(カギを開ける)ことを示していれば、対象のドアのカギを解錠する制御を行うこともできる。
【0031】
以上のとおり、カメラ番号Aから得た映像データに基づき、ステップS102〜ステップS112の処理を行い、必要に応じてPHS11に対して文字メッセージを送信し、また、ドアの施錠制御を行う。
【0032】
そして、次に、カメラ番号Aから得た映像データに対応する処理を同様に、カメラ番号Bから得た映像データ(S113)に対応する処理を行うが、この処理は、前記したステップS102〜ステップS112の処理と同一になものとなる。
【0033】
さらに、カメラ番号Cから得た映像データ(S114)に対応する処理を行うが、この処理も、前記したステップS102〜ステップS112の処理と同一になものとなる。そして、カメラ番号Cの処理が終わるとカメラ番号Aの処理に戻り、これらカメラ番号A、カメラ番号B及びカメラ番号Cに対するステップS102〜ステップS112の処理を繰り返し継続的に行い、必要に応じてPHS11に対して文字メッセージを送信し、また、ドアの施錠制御を行う。
【0034】
また、文字メッセージを受信したPHS11の操作者が、その文字メッセージを送信する起因となった映像データを要求した場合、通報サーバに記憶されている映像データをPHS11で表示させることができる。
【0035】
すなわち、操作者がPHS11からのログイン操作を行うと、MGW15は、PHS11からのログイン操作に応じて、BS12,DRIF21、TSW25、IBLCE23、TAP18及びLAN17を通じてPHS11にブラウジング画面を提供して、通報サーバ16にアクセス可能な状態にする。
【0036】
そして、PHS11から必要なアクセス番号等を入力すると、通報サーバ16に記録・保存されている映像データがPHS11側に転送されて、PHS11で、その文字メッセージを送信する起因となった映像データが表示される。
【0037】
例えば、PHS11内のPHS(1)及びPHS(6)にて、図6のロギングデータの項番5に基づく文字メッセージを受信したとし、PHS(6)の操作者が映像データ送信の要求として項番5の映像データ要求の操作をすると、その要求情報が通報サーバ16に通報される。
【0038】
すると、通報サーバ16では項番5の映像データ要求を認識して、図6のロギングデータを参照し、映像データData5の映像ファイルを抽出し、これを映像データとしてPHS(6)に送信し、PHS(6)は、表示画面に映像データData5の映像を表示する。これにより、操作者は映像によりその状態を確認することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この変形例も容易に実現できる。例えば、図7のステップS103ないしステップS105にて、顔認証マスタデータ部503の映像比較データと照合し、受信した映像データ(顔の映像データ)により、該当する人物が登録されているか照合・認証し(S103)、該当者の有無を判別し(S104)、該当者がいない場合は、次の処理に移行し、該当者がいる場合は照合結果の照合情報を通報サーバ16に通報する(S105)ようにしているが、このステップS104の処理を省いても良い。
【0040】
すなわち、ステップS103にて該当する人物が登録されているか照合・認証した結果、「該当者なし」であれば、「該当者なし」として、照合結果の情報を、映像データ受付日時を示す日時情報・データ照合部504が特定した人物を示す人物名「該当者なし」・原映像データ・原映像データを送出したカメラを示す送出カメラ番号を含む照合情報を通報サーバ16に通報する。
【0041】
そして、通報サーバ16内の図3に示す通報先PHS決定情報や図5に示す施錠制御決定情報に人物名「該当者なし」のときの動作条件を設定・登録しておくことで、通報サーバ16は、照合情報に含まれる人物名「該当者なし」の情報に基づいて、必要に応じてPHS11に対して文字メッセージを送信し、また、ドアの施錠制御を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態を示す通報システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の顔認証管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】通報サーバ内に設定・登録されている通報先PHS決定情報である。
【図4】通報サーバ内に設定・登録されているロケーション情報である。
【図5】通報サーバ内に設定・登録されている施錠制御決定情報である。
【図6】通報サーバ内で管理・記憶されるロギングデータである。
【図7】本実施の形態の動作を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0043】
1 通報システム
11 PHS(端末)
13A〜N 施錠制御部
15 MGW(メッセージ通報装置)
16 通報サーバ
19 PBX(通信装置)
50 顔認証管理装置
51A〜C カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージ表示機能を有する複数の通信端末と、
カメラと、
該カメラが撮影した映像データを取得して人物を特定し、特定情報を送出する認証装置と、
該認証装置から受信した特定情報に基づき所定メッセージを作成すると共に、該所定メッセージを上記複数の通信端末の少なくとも一つに通報する通報装置と、
を備えたことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−323704(P2006−323704A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147417(P2005−147417)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】