説明

通気を行うための手段を備える電磁制動機

【課題】制動機の寸法を小さくし、ノイズを低減させる。
【解決手段】 本発明は、基本的には、ステータ(170)またはロータ(101)を囲むハウジング(102)と、空気流を発生するための手段(140)〜(142)と、前記空気流を進入させることができるようにする少なくとも1つの入口(120)と、前記空気流を排出するのに使用される少なくとも1つの出口(120)とを備える制動機(100)である。ハウジングまたは制動機のステータによって支持された冷却チャンバ(111)〜(112)の間に、またはこれら冷却チャンバを貫通するように、出口(121)〜(123)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気を行うための手段を備える電磁制動機に関する。本発明の目的の1つは、かかる制動機の冷却、特にそのコイルの冷却を促進することにある。本発明の別の目的は、制動機の作動によって生じるノイズを低減させることにある。本発明は、大重量タイプの車両、特に、ローリーまたはバスの運動を制動するために特に有利であるが、本発明の用途は、これだけに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
一般的な条件では、電磁制動機は、車両をより安全にし、より耐久性のあるものとするために、車両の制動を支援するものである。電磁制動機は、少なくとも1つのステータと、少なくとも1つのロータとを備えている。ステータは、ギアボックスケーシングまたは車両の伝動シャフトのケーシングに接続されている。この場合、伝動シャフトは、制動機を取り付けるためにカットされない。伝動シャフトがカットされないとき、この伝動シャフトは、「フォーカル(FOCAL)」(登録商標)制動機と称される。変形例では、ステータが車両のシャーシに固定され、伝動シャフトはカットされる。
【0003】
ロータの一部は、伝動シャフトのユニバーサルジョイントのフランジに結合されたプレートに接続される。このプレートは、車両軸の入力シャフトまたはギアボックスの出力シャフト、もしくは接続シャフトに結合される。この接続シャフトは、伝動シャフトがカットされるとき、別のプレートに接続できる。一例では、ロータは、2つの部品から成り、ステータの各側に位置し、ステータの軸線を中心として回転する。
【0004】
フランス国公開特許第FR-A-2577357号に記載されている例では、電磁制動機のステータは、コイルのリングを支持し、磁界を発生する。より詳細に説明すれば、各コイルは、ステータに固定された磁性材料から製造されたコアに取り付けられる。ステータがコイルを支持するとき、ステータは誘導性となる。フランス国公開特許第FR-A-2577357号では、ロータは磁性材料から製造され、誘導性となっており、このロータは制動機の通気を行うファンを有する形状となっている。
【0005】
ヨーロッパ公開特許第EP-A-0331559号に記載の別の例では、ロータはコイルのリングとコアとを支持している。この例では、ロータは磁界を誘導し、ステータは誘導性である。ステータは、チャンバも支持しており、このチャンバ内では、冷却のための流体が流れる。かかる制動機は、水冷式制動機または「ヒドラル(Hydral)」(登録商標)制動機と称される。
【0006】
電磁制動機によって生じるブレーキトルクの発生は、渦電流の原理に基づく。内部で誘導ロータが回転している被誘導ステータが、磁界を受けるからである。この磁界は、ロータに取り付けられたコイルによって発生し、コイルは、ペアで機能することが好ましく、各コイルは、ロータに属す突出したコイルのまわりに巻かれている。各コイルのペアは、1つの磁界を形成し、この磁界は、コイルの1つのコアからステータおよびロータを通過し、別のコアまで延びて閉じる。
【0007】
従って、ロータが回転し始めると、被誘導ステータ内で渦電流として知られる電流が生じる。この電流は、ロータの運動に抗する性質を有するブレーキトルクを発生する。ロータが駆動シャフトと共に回転するにつれ、ブレーキトルクは、車両の駆動シャフトの運動に抗する。従って、このトルクは、車両の減速または停止に寄与する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
誘導ロータを含む制動機に対し、渦電流は、ステータとロータの加熱を生じさせる。導電性材料から製造されるコイルおよびステータを通過する電流は、ステータの壁、およびロータ全体を加熱する性質がある。この加熱現象は、ジュール効果と称され、一般に導電体を電流が流れるときに生じる。従って、電磁制動機のパワーは、ステータおよびコイルから熱を放出できる容量によって制限される。
【0009】
従って、一例では制動機のステータは300kWのパワーを散逸させ、制動機のコイルは、8kWの大きくないとは言えないパワーを散逸する。性能の低下を防止し、制動機の誤作動を防止するために、このパワーに関連した熱を排出する必要がある。
【0010】
この熱を排出するための種々のシステムは、公知となっている。例えばヨーロッパ公開特許第EP-A-031559号に記載されているように、ロータと一体的なファンを使用することが可能である。この空気流発生器は、ロータによって散逸された熱を排出するために空気流を発生するようになっている。
【0011】
このヨーロッパ公開特許第EP-A-031559号は、ステータの壁が冷却流体の循環を可能にする冷却チャンバを支持する解決案も開示している。冷却チャンバの低温液とステータの高温壁との間で、熱交換が発生する。従って、ステータの壁からの熱を、冷却液に排出できる。
【0012】
しかし、この冷却チャンバシステムおよび通気システムには限界がある。冷却チャンバによってステータを効率的に冷却できるが、コイルからチャンバが離間するにつれ、所望する通りに効果的に、チャンバはコイルを冷却できなくなるからである。
【0013】
ファンは、ドライバーに極めて不快な可聴ノイズを発生するおそれがある。更にファンは、極めてかさばり、制動機の重量も増す。かさばりと大重量のために、ファンは、所定のギアボックスまたはギア車軸に対し、制動機の適合性を低下させる。ファンは、シャフトまたはロータと一体的であるが、ロータが発生する空気流路は、ランダムであって、乱れがあり、かつ最適化されない。
【0014】
更にファンは、大量のエネルギーを消費する。
【0015】
制動機がエネルギーを過剰に消費することは、所定の環境内における流体圧力の変動によって、この環境内で粒子の循環が生じるということによって説明できる。従って、圧力の所定の変動に対し、流体のいくつかの可能な流量が存在する。この流量は、流路および流体が環境内を循環する際に受ける困難度によって決定される。
【0016】
従って、本発明の目的は、制動機を通過する空気の循環、外部ファンのサイズ、およびこのファンが発生する可聴ノイズの問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、空気の流れの通過を容易にするように、輪郭部上に多数の孔または開口部を備えた電磁制動機を使用するものである。より詳細には、本発明に係わる制動機は、空気の流れの循環を容易にするように、制動機の壁に形成された入口開口部および排出開口部を備えている。実際に空気の流れは、制動機のラジアル壁に一般に形成されるか、またはロータシャフトに対して傾斜した入口開口部に進入し、ラジアル壁または傾斜した壁、もしくは制動機の軸線と平行な壁のいずれかに形成された排出開口部を通って、制動機から離間する。当然ながら、制動機は、強力な空気の流れを進入させ、かつ排出するように、数個の入口開口部と数個の出口開口部とを有している。
【0018】
本発明により、新規な可能性が提供される。従って、熱交換表面を小さくし、よって性能を維持しながら、制動機のかさおよびサイズを小さくすることが可能である。変形例では、制動機のサイズを維持し、かつその性能を増すことができる。この制動機は、より高い温度の環境内で機能できる。特に自動車のエンジン、またはその他の任意の熱源に隣接する利用可能な空間内において、制動機のロータのシャフトに作用する速度倍増器により制動機を設置することが可能である。この制動機は軽量化できる。本発明に係わる解決案により、空気流の循環によって生じるノイズを低減できる。
【0019】
一般に、制動機を冷却するための空気流の循環は、単独では使用されず、冷却チャンバから成る冷却液による冷却手段と共に組み合わせて使用される。このような組み合わせの目的は、ステータのコアとコイルのコアの双方において、冷却機の冷却を最大値まで最適にすることにある。このような混合冷却により、所望する性能を得ながら、制動機のサイズおよび重量を更に低減することが可能となる。
【0020】
変形例では、制動機の性能を増す。冷却液が充填された2つの独立した冷却チャンバの間に、排出開口部が形成される。スロットルスロートにより互いに離間した2つの水チャンバを貫通する排出開口部を形成することもできる。一実施例では、排出開口部は、同一のチャンバに属す。変形例として、入口開口部と排出開口部とを、冷却チャンバに対してオフセットされることもできる。
【0021】
空気の流れを形成するために、制動機は、制動機の回転要素に取り付けられた、すなわち回転要素と一体的な1つ以上のブレードを備えている。一実施例におけるこのブレードは、回転要素に取り付けられたファンに属する。ブレードは、例えば溶接、リベット締めまたはネジ止めにより、関係する回転要素に取り付けられたプレート、またはプロファイルベースに固定されている。
【0022】
変形例では、ブレードは、回転要素に別々に取り付けられるか、またはこれらから突出している。
【0023】
従って、制動機のロータ、または発電機のロータ、または制動機のシャフト自身のいずれかにブレードを取り付けること、すなわち、固定することが可能である。ブレードの回転は、回転運動のときに作動する制動機の要素によって生じるので、ブレードは、空気の撹拌に関連するエネルギー以外のエネルギーは消費しない。その理由は、ブレードは、制動機の回転部品の回転によって利益を得ているからである。従って、ブレードは、小径、すなわち制動機のケーシングの外部のファンよりも小さい径を有する内部ファンに属する。
【0024】
一例では、ブレードは、直径が大きく、従って機械的な損失が大きい、制動機が供給する大量の電気エネルギーを消費するような、ケーシングの外部に設けられているファンのブレードよりも、エネルギー消費量が少ない。
【0025】
更に、制動機のロータまたは発電機のロータに取り付けられているブレードは、外部ファンを使用する場合と比較して、ノイズが極めて小さい。実際に外部ファンは、極めてノイズが大きく、大量のパワーを消費する。その理由は、外部ファンは、直径が大きいので、圧力低下が大きい状態で、制動機を空気流が通過できるようにしなければならないという制限を満たさなければならないからである。
【0026】
空気の流れを形成するために、種々のタイプのブレードを使用できる。各タイプのブレードは、空気の流れに特定の流路を生じさせる。まず、ロータのシャフトの軸線と平行な空気流の吸引、およびシャフトの軸線と直角な空気流の排出を生じさせる遠心タイプのブレードを使用することができる。シャフトの軸線と平行な空気流の吸引、およびこの軸線に対して傾斜した流路に沿って空気流を排出させる螺旋ー遠心タイプのブレードを使用することもできる。
【0027】
最後に、シャフトに平行な空気流の吸引、およびシャフトに平行な排出を生じさせる軸流タイプのブレードを使用することもできる。
【0028】
実際に、制動機は、いくつかのタイプのブレードの組み合わせを含むことができる。本発明に係わる制動機は、1つの同じタイプのいくつかのブレードを含むことができ、使用するブレードおよび空気流路に従って、入口開口部および出口開口部が形成される。このブレードの目的は、コイルを冷却するように、空気流をコイルに接触させることにある。従って、螺旋ー遠心タイプのブレードは、所定の制動機に対し、コイルのアクセス可能な部分、例えばそのヘッドのできるだけ近くを流れる空気流を形成できる。
【0029】
更に空気の所定の流れを形成するために、異なる所定の機能を有するブレードを使用することを考え付くことができる。例えば、第1ブレードが、外部環境から空気を取り込む吸引ブレードの役割を満たすことができ、これら第1ブレードは、この空気を第2ブレードへ送り、第2ブレードは、この空気を外部へ排出する。このようなブレードの組み合わせによって、制動機内部の空気の流れを多くし、かつ調節することが可能となる。
【0030】
制動機において、同じ吸引方向を含む空気の流れを、ブレードによって生じさせることができる。従って、特定の実施例では、制動機は、空気の流れが制動機の一端を通過するようにさせ、更に別の端部を通して、空気の流れを排出させるブレードを備えている。従って、空気の流れは、制動機の全長方向に制動機を通過させ、制動機を冷却する。
【0031】
変形例として、ブレードが、制動機の一端を通過するように空気を吸引し、中心部でこの空気を排出するようにできる。
【0032】
変形例として、互いに吸引方向が異なる空気の流れを形成するブレードを形成することが可能である。この変形例では、空気の流れは、シャフトの2つの端部を通過するように、制動機の内部に進入する。この次の空気の流れが、ほぼ制動機の中心で排出されると、制動機のロータのすべてが冷却される。この変形例では、制動機内部の空気の流量は、2つの空気の流れが合流するゾーン内の制動機の中心に位置するロータのまわりで、極めて大きくなる。
【0033】
極めて高温に加熱される傾向がある、制動機の中心にあるコイルおよびロータは、このように流量が極めて大きいことにより、冷却される。
【0034】
特定の実施例では、一部のブレード、および一部のロータは、その内部に孔、チャンネルまたは開口部を有する。これらの開口部は、1つのロータから別のロータに空気を通過できるようにすると共に、制動機の均一な冷却を保証するようになっている。更にこれらの開口部によって、ロータおよびそのコイルの冷却が熱伝達によって可能となっている。その理由は、空気が開口部内において、ロータと接触するからである。
【0035】
ロータは、導電性材料から製造されているので、この空気は、ロータのベースを冷却し、次にその中心を冷却し、次にコイルを冷却する性質を有する。変形例では、これら開口部またはチャンネルは、発電機のロータ内または制動機のロータ内に孔開けされている。
【0036】
本発明の一実施例における制動機は、車両の少なくとも1つの車輪に運動を伝達するシャフトよりも高速で回転するシャフトおよびロータを有するように構成されており、この伝動シャフトは、例えば後軸とギアボックスとの間で作用するシャフトとなっている。速度の増加は、例えば速度倍増器によって達成できる。従って、本発明によれば、必要な性能を得るとともに、制動機のサイズおよび重量を低減することができる。
【0037】
本発明は、コイルおよび本体を備え、この本体が取り付けられているロータと、
軸線を有し、前記ロータを共に回転するように駆動するシャフトと、
前記ロータを囲むか、または収納するステータまたはケーシングと、
空気流を発生するための手段と、
前記制動機のロータのコイルに給電するための発電機とを備える電磁制動機において、
前記空気流が進入できるようにする少なくとも1つの入口アパーチャー、および前記空気流が出るようにする少なくとも1つの排出アパーチャーとを有し、前記少なくとも1つの排出アパーチャーは、前記制動機のケーシングまたはステータによって支持された2つの冷却チャンバの間に、または1つ以上の冷却チャンバを貫通するように形成されていることを特徴とする電磁制動機である。
【0038】
以下の詳細な説明および添付図面を読めば、本発明について更に良好に理解できると思う。図面は、単に説明のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
各図面にわたって、共通する部品には、同一の符号をつけてある。
【0040】
図1は、本発明の制動機100の軸方向半断面図である。電磁タイプの制動機100は、ステータ170を支持するケーシング102と、シャフト110と、シャフト110に固定されたロータ101と、本体を含むロータ101によって支持された電気コイル(符号なし)と、シャフト110に回転自在に固定されたブレード140〜142と、コイルに給電するための発電機(本明細書では軸方向に細長い形状となっている)とを備えている。
【0041】
ケーシング102は、アパーチャーすなわち開口部120〜123を有し、これらの開口部は、ブレード140〜142と共に、コイルにおける熱の良好な排出を可能にする。開口部120〜123およびブレード140〜142は、通気装置に属する。中空のケーシング102は、弾性的に自動車の固定部分に取り付けられるようになっている。シャフト110は、ロータ101の軸線である対称軸線を有する。
【0042】
ステータ170は、磁性材料から製造されたケーシング102と一体化されている。変形例では、ステータは、ケーシング102と別個であり、このケーシングに取り付けられている。ステータ170は、ロータ101を囲んでおり、ロータの本体は、軸方向に細長い形状のラジアルコア(符号なし)をその外周部に有する。コアと本体105とは、磁性材料から製造されている。
【0043】
各コイルは、コアのまわりに巻かれた電気ワイヤーを備えている。コイルは、コアと共に誘導極のリングを構成しており、これらの極を、電流が通過すると、極性が交互に異なるようになっている。コイルは、要求される制動に従い、ペアで機能する。
【0044】
コイルには、公知の態様で、発電機によって給電がなされる。発電機は、この目的のためにシャフト110に固定された被誘導ロータ130を囲む誘導ステータ131を有する。発電機は、ロータ101に対して軸方向にずれているので、ロータ130と101とは、軸方向にずれている。
【0045】
ロータ130は、ロータ101の径よりも小径であり、ロータのコイルは、このロータ101の本体105の各側において、軸方向に突出して延びるヘッド103、104を有する。従って、これらヘッド103、104は、マスクされておらず、アクセス可能である。
【0046】
円筒形をしたケーシング102には、誘導ステータ131が固定されている。ケーシング102は、その外周部に軸方向を向く環状周辺壁を有し、この周辺壁の内部には、ステータ131が取り付けられている。
【0047】
ロータ101のコアの外周部とケーシングの周辺壁の内周部との間には、また、誘導ステータ131の内周部とロータ130の外周部の間には、ラジアル空気ギャップが存在する。
【0048】
ヨーロッパ公開特許第EP-A-0331559号に記載されているように、被誘導ロータ130内で誘導される、交流を発生する多数の極を有する誘導ステータ131のための励磁電流を、必要に応じて調節するためのマニュアル制御部材を備えた調節回路が設けられている。
【0049】
誘導ステータ131とロータ130とは、このヨーロッパ公開特許第EP-A-0331559号の図2から分かるように、コイルを支持する本体を有する。このヨーロッパ公開特許は、ロータ130とロータ101のコイルとの間で作動するブリッジ整流器をも示している。例えばMOSFETタイプのトランジスタまたはダイオードを有するこのブリッジは、ロータ130からの出力において、交流をDC電流に整流し、ロータ101に固定されたコイルにDC電流を給電するようになっている。
【0050】
これらのコイルは、上記の態様で、本体105のコアのまわりに巻かれている。より詳細に説明すると、各コイルは、電気絶縁性材料から製造された支持体に取り付けられており、関連する支持体のコアにスリップ嵌合されている。説明を簡潔にするために、コイルは、本例ではそれら支持体によって本体105に取り付けられているものとする。
【0051】
一実施例では、シャフト110は、自動車の少なくとも1つの車輪に運動を伝達するようになっており、このシャフトは、ギアボックスと自動車の後車軸との間で作動する。
【0052】
一実施例におけるケーシング102は、ヨーロッパ公開特許第EP-A-0331559号(図3)に記載されているように、ギアボックスのケーシングに固定されている。変形例では、ケーシング102は、後軸のケーシングまたは自動車のシャーシに固定されている。別の変形例では、シャフト110は、この伝動シャフトと別個のものであり、シャフトに対してオフセットしている。例えばロータ101のシャフト110と、この伝動シャフトまたはこれに固定されたプレートとの間で、速度倍増器が作動する。
【0053】
変形例では、この速度倍増器は、シャフト110とギアボックスとの間で作動し、例えばタービンホイールとインペラホイールとを有するハイドロダイナミックタイプの制動機を取り付けるようになっている。
【0054】
速度倍増器は、例えば少なくとも2つの歯付きホイールを備えるギアトレインの形態で製造されている。このホイールは、シャフト110が伝動シャフトに平行となるか、または直角となることができるように、円錐タイプのものとすることがある。
【0055】
変形例では、速度倍増器は、ベルトまたはチェーンタイプとなっている。この速度倍増器によって、制動機のサイズおよび重量を小さくすることが可能となっている。従って、制動機の熱交換表面は小さくなっているが、電磁制動機を冷却し、制動機の良好な性能を維持しなければならない。一般的な条件では、コイルに給電がなされると、コイルは加熱されるので、コイルを効果的に冷却しなければならない。
【0056】
この冷却は、ブレード140〜142およびアパーチャー120〜123により、後述するようにして行われ、ステータ170とロータ101との間の空気ギャップを、正確に維持することができるようになっている。
【0057】
ブレード140〜142とアパーチャー120〜123とは、上記のように、ステータ131およびロータ130が有するコイルのヘッド103〜104を良好に冷却するための通気装置に属する。より正確には、ロータ130は、板金製のパケットの形態の本体を有し、この本体は、コイルを取り付け、三相タイプまたは変形例では六相タイプのアーマチュアを形成するための溝(本例では半閉鎖タイプである)を有する。
【0058】
ロータ130のコイルは、ロータ130の本体の各側で延びるヘッド108、109を有する。ステータ131は、板金製のパケットの形態をした本体に対して、径方向に突出するアームを有する。絶縁サポートを介在させた状態で、ステータ131のアームのまわりには、ステータのコイルが巻かれている。従って、ステータ131のコイルは、アームの各側で軸方向に延びるヘッド106、107を有する。
【0059】
通気装置140〜142、120〜213によって、上記のように、コイルのヘッド103、104、106〜109を良好に冷却することができる。ブレード140〜142は、後述するようにファンに属している。
【0060】
ヘッド103および104を有するコイルは、シャフト110の軸線に対して径方向を向く軸線を有する。従って、本体105に取り付けられたコイルは、軸線に対して主に径方向を向く磁界を発生する。更にこの磁界は、一対のコイルを通過するように、ループバックする。
【0061】
磁界は、第1コイルのコアを通過するように進み、次に、空気ギャップを通過した後、ロータ101に進入するように形成される。次に磁界は、ロータ108内を伝搬し、第2コイルのコアに再び進入し、空気ギャップを通過する。最後に、磁界は、再び第1コイルのコアに進入することにより、そのループを終了する。この磁界は、ステータ170を貫通することにより、ステータ170を加熱する性質がある渦電流を形成する。
【0062】
ステータ170は、ロータ101を囲み、かつ、その外周部に、軸方向を向く環状壁を備えている。この環状壁は、冷却チャンバ111および112により中空とされている。
【0063】
冷却チャンバ111および112は、少なくとも1つの大きい伸長部と、1つの小さい伸長部とを有する。大きい伸長部は、シャフトに対して平行に開口している。チャンバ111および112は、本例では、制動機のステータ170内で中空とされ、環状となっている。
【0064】
変形例では、これらのチャンバは、X、YまたはZの形状をしており、ステータ内で一部が中空となっている。チャンバ111および112は、ステータ170から独立した内側カバーを備えることがある。このカバーは、一部が中空にされたステータの壁を、ハーメチックに閉じている。
【0065】
冷却チャンバ111および112の目的は、高温の壁と、チャンバ111および112内を循環する低温の冷却液との間で熱交換を行わせることにより、ステータ170の冷却を行うことである。制動機の中空となっていない壁に、チャンバ111および112を追加することができる。
【0066】
チャンバ111と112とは、ステータ131とロータ112の径方向外側にそれぞれ位置している。冷却液は、例えば自動車の冷却液とされている。チャンバ111および112は、冷却液と循環させるための入口および出口を有する。
【0067】
ブレード140〜142の目的は、吸引空気流179および排出空気流180〜182を発生させることである。これらの空気流179〜182は、ケーシング102の内部を循環し、コイルのヘッド103、104、106〜109を冷却する。
【0068】
吸引空気流179は、ブレード140〜142に到達し、制動機100の内部に進入する吸引空気流に対応している。一方、排出される気流180〜182は、ブレード140〜142を離間し、制動機100から再び出る排出空気流に対応している。ブレード140〜142は、シャフト110が回転し始めるときに、空気を移動させるよう、一致して作動する。
【0069】
制動機のロータ111には、ブレード140が取り付けられている。シャフト110には、ブレード141が取り付けられており、発電機のロータ130には、ブレード142は取り付けられている。より詳細に説明すれば、ロータ101の本体105およびシャフト110には、ブレード140および141がそれぞれ取り付けられている。その理由は、ブレード140がコイルのヘッド103および104、特にコイルのヘッド103の近くに位置しているからである。
【0070】
ブレード140は、このヘッド103と制動機10のシャフト110との間に位置している。ブレード140は、本体105から離間してもよいし、この本体104と一体的でもよい。ブレード141は、支持体150によってシャフト110に取り付けられている。このブレード141は、シャフト110と一体的でもよいし、またはシャフトに取り付け、これに固定してもよい。ブレード142は、ブレード140と同じように、発電機のロータ130の本体に取り付けられている。
【0071】
変形例として、ブレード140〜142は、ロータ101上の異なる位置において、シャフト110に取り付けてもよいし、また直接コイルのヘッド103または104のうちの1つに取り付けてもよい。
【0072】
より詳細に述べると、ブレード140〜142は、ファンに属する。図1から分かるように、ブレード142は、シャフト110およびその内周部に固定されている。変形例では、ロータ101から最も遠いロータ130の軸方向端部に固定されたフランジに固定されている。このようなロータ130へのフランジの固定は、例えばスポット溶接によって行われるか、または変形例として、リベット締め、ネジ止めまたはその他の固定方法によって行われる。このフランジは、例えば金属であるので、フランジをシャリング加工し、曲げ加工することによってブレードを形成することができる。
【0073】
変形例では、これらフランジ上にブレード142を鋳製する。ブレード142は、ヘッド108の径方向内側に位置しており、ヘッドを適性に冷却するようになっている。
【0074】
ロータ130のコイルは、磁性材料、例えば銅から製造された電気ワイヤーをコアのまわりに巻くことによって形成されている。
【0075】
変形例では、制動機のパワーを増すために、コイルは、ヘアピン状をした導線のネットワークと置換されている。おおまかに言って、U字形をしたこのヘアピンは、ロータ130の本体から外側に延びるヘッドと、ロータ130の本体の外側に延びる脚を有する。この脚は、位相コイルを形成するように交互に溶接されている。ロータ130の本体内のノッチを、ヘアピンのパーツが貫通している。
【0076】
更に情報を得たい場合には、国際公開特許第WO-02/069472号を参照できる。この場合、ヘアピンのヘッドは、ヘッド108に属し、脚は、ヘッド109に属する。このようにして、ブレード142により、ヘッド108は良好に冷却される。これらの脚は、レーザータイプの溶接によって固定することが好ましい。
【0077】
ブレード141は、ブレード141を支持するファンのフランジを構成する支持体150に固定されている。ブレード141は、フランジ150をシャリング加工し、曲げ加工することによって得られるか、または変形例では、前記フランジ上に鋳製される。このフランジは、例えばフランジの内周部にあるビードをシャフト110に溶接することによって固定される。
【0078】
ブレード141は、ヘッド104を適性に冷却するよう、ロータ101のコイルのヘッド104よりも径方向内側に位置している。ブレード140は、鋳製によって得ることが好ましいファンに属する。ブレード140は、例えば溶接により、シャフト110に固定されるか、または変形例では、本体105に固定された異形ベースに固定されている。ブレード140は、ヘッド103よりも径方向内側に位置している。
【0079】
変形例では、ブレード140および142は、これらのブレードのフランジと共に鋳製される。
【0080】
ブレードは、変形例では、フランジ、シャフト110、ベースまたはロータ101、130上に別々に分散させることもできる。変形例におけるこれらのブレードは、ロータのうちの1つから、またはシャフトから突出している。いずれのケースにおいても、ケーシングの内部には少なくとも1つの内側ファンが設けられ、これらのファンは、フレームを構成している。
【0081】
更に、制動機100の内部での空気の通過を保証するために、アパーチャー120〜123は、異なる機能を有する。図1において、単一アパーチャー120および単一アパーチャー121、122および123を見ることができる。現実には異なる機能を有するこれらのアパーチャー120〜123のうちの1つだけに対して、好ましくは規則的に分散することが好ましい複数のアパーチャー120〜123が存在する。
【0082】
その理由は、アパーチャー120は、ブレード140〜143によって生じる吸引空気流179の進入を可能にする入口アパーチャーであるからである。この空気流179は、シャフト110の軸線と平行に進入する。アパーチャー120〜123は、排出空気流180〜182の離間を可能にする排出アパーチャーである。排出空気流180〜182は、シャフト110の軸線に対して平行に、または図1に示すように、シャフト110の軸線に対して、直角または傾斜した状態のいずれかで、制動機100を離れる。
【0083】
シャフト110の軸線と平行な吸引空気流179の進入を保証するために、シャフト110の軸線に対して径方向を向くケーシング102の壁の一部に、入口アパーチャー120が形成されている。シャフト110の軸線に対して、直角または傾斜した状態の排出空気流180〜182の排出を保証するために、シャフト110の軸線と平行なステータ170の壁の一部、すなわち、ステータ170を構成するケーシング102の中心壁の一部に、排出アパーチャー121〜123が形成されている。
【0084】
排出アパーチャー121〜123は、さらに、冷却チャンバ間のステータ170の壁内にも形成されている。これらのアパーチャー121〜123は、2つの冷却チャンバ111と112との間に形成されている。排出アパーチャー121〜123は、単一冷却チャンバ111に単に並置された状態となっていてもよい。また排出アパーチャーは、冷却チャンバに対してオフセットしていてもよい。
【0085】
変形例では、冷却チャンバを含まない制動機の部分に、これらアパーチャー121〜123が形成されている。従って、この変形例では、アパーチャーは冷却チャンバの外部に位置する。
【0086】
別の変形例では、シャフト110の軸線と平行な空気流179の排出を保証するために、シャフト110の軸線に対して径方向を向くケーシング102の壁の部分、すなわち、ラジアルリム内に、入口アパーチャー120と同じように排出アパーチャー121〜123を形成することができる。この場合、この部分は、入口アパーチャー120を形成した部分と反対の端部に位置する。
【0087】
上記アパーチャー120〜123が設けられている状態で、アパーチャー121〜123を通って離間する排出空気流180〜182は、それぞれロータ101のコイルのヘッド103および104と接触できる。ヘッド103および104との接触が生じると、この空気と、ヘッド103および104の間で熱交換が行われる。従って、空気流は、コイルから熱を取り込み、熱を制動機100外部の環境へ排出できる。
【0088】
空気流180および182とステータ131のコイルのヘッド106〜109、および発電機のロータ130のヘッドとの間でも、熱交換が生じる。更に、入口アパーチャーおよび排出アパーチャーを有しない従来の制動機とは異なり、アパーチャー120〜123を有する本発明に係わる制動機により、制動機100の冷却を最適にする大きい流量を有する空気流180〜182を形成することが可能となっている。これらの空気流は、低減され、向きが定められた圧力を低下させる。
【0089】
空気流180〜182の流量の他に、これらの空気流180〜182の流路も、制動機100のコイルの冷却の効率に影響する。その理由は、コイルのヘッド103および104に接近する流路を有する空気流が多くなればなるほど、空気流は多くの熱を排出させるからである。
【0090】
従って、空気流を所定の方向へ向けるために、異なる形状を有する種々のタイプのブレードを使用することが可能である。図1の実施例では、ブレード140および142は、遠心ブレードとも称される遠心タイプのブレードであり、ブレード140は、螺旋ー遠心タイプのものである。これらのブレード141および142は、水平方向に延び、ロータ130およびそのベース150、もしくはフランジから突出している。
【0091】
これら遠心ブレード141および142は、シャフト110の軸線と平行な吸引空気流179、およびシャフト110の軸線と直角な排出空気流181および182を生じさせる。
【0092】
ブレード140は、シャフト110の軸線と平行な吸引空気流179を形成すると共に、シャフト110の軸線と直角な直線に対して、0度でない角度を形成する斜めの吸引空気流180を形成する。従って、この斜めの空気流180は、排出アパーチャー122を通って離間する前にコイルを冷却するよう、できるだけ近くで、コイルのヘッド103および107の上を流れることができる。
【0093】
実際、螺旋−遠心ブレード140を使用する場合、アパーチャー122は、コイルヘッドの上を突出できる。この図1の破線で示されるアパーチャー122のこのような突出によって、制動機の外部の空気流180の分流を考慮し、制動機のギア部の空気流180の大部分を排出することが可能となる。
【0094】
更に、図4および図5で示す軸方向ブレードとも称される軸方向タイプのブレードを使用することもできる。この軸方向ブレードは、シャフト110の軸線と平行な吸引空気流を形成すると共に、このシャフトと平行な排出空気流も形成する。当然ながら、制動機100で使用されるブレードを互いに反転し、ロータ101の内部に、ブレードを追加することも可能である。更に、このロータ101の本体105の上、またはそのシャフト110の上に、ブレードを追加することも可能である。
【0095】
従って、本発明による制動機100は、ケーシング102の内部または外部の遠心ブレードと、螺旋−遠心ブレードと軸方向ブレードとの組み合わせも含むものである。
【0096】
制動機100のロータ101、およびこの制動機100の発電機のロータ130は、シャフト110とコイルヘッドとの間に、開口部161および162を有することがある。ロータ101および130は、ベース内の開口部、すなわちシャフト110に隣接する内周部に開口部を有する。従って、ロータ101およびロータ102により、空気流170はこれら開口部を通過させられる。
【0097】
次に空気流は、制動機のロータのすべてに到達し、ロータを冷却できる。制動機100のロータのすべてに到達することにより、空気流179は、すべての制動機、および特にすべてのコイルの均一な冷却を行う。
【0098】
更に空気流179は、ロータ101および130の内側壁に接触する。従って、ロータ101および130のベース内の開口部161および162により、熱伝達により、ロータ101のコイルを冷却することが可能となる。その理由は、まず空気流179がロータ101のベースを冷却し、次に、このベースが、ロータ101の本体105を冷却し、次に、ヘッド103および140を支持するこのロータ101の端部を冷却するからである。
【0099】
ロータ101および130と同じように、ブレードは、空気流179が制動機の別の部分まで移動できるようにするために、それらのベースに開口部を有することもある。従って、これらのベース140および142は、それらのフランジに、開口部162および164を有し、ブレード140を支持する有形ベースが、例えば溶接によってシャフト150に固定されるようになっているフランジにより内側に延びている。
【0100】
ブレード140および142、並びにロータ101および130から材料を除くことにより、これらを製造した後に、これらに開口部161〜164を設けることができる。一実施例では、これらの開口部161〜164は、ブレードを機械加工したときに形成される。
【0101】
変形例では、これらブレードを形成するモールドを使って、ブレードを鋳製する際に、これらの開口部が設けられる。
【0102】
図2は、2つの冷却チャンバ111および112を貫通するように、排出アパーチャー122を形成できることを示している。図1におけるチャンバ111および112は別々であり、各チャンバは、自らの冷却液供給部を有する。
【0103】
他方、図2では、チャンバ111と112とは、直列に接続されており、1つの冷却液供給部を共用している。チャンバ111と112とは、冷却液、例えば自動車エンジンの冷却液を通過できるようにするスロットルスロート203によっても接続されている。直列に接続された冷却チャンバ111および112のある構造では、これらチャンバの各側に、アパーチャー201および202が位置している。
【0104】
変形例では、直列になっている3つ以上の冷却チャンバ111と112との間に、排出アパーチャー201および202が設けられる。この変形例では、3つ以上のチャンバは、いくつかのスロットルスロート203によって、共に接続されている。制動機100の冷却チャンバ111および112も、並列に接続することができる。これらのチャンバは、単一供給部から出る冷却液が、チャンバに通過するように働く。
【0105】
図3aおよび図3bは、ある制動機から、別の制動機への吸引方向が異なる空気流179、201および302を示す。これらの図は、入口アパーチャー120および出口アパーチャー122の特定の形態も示している。
【0106】
図3aは、吸引方向が同じ吸引空気流179を形成するブレードを備える制動機100を示す。図3aは、内部において、吸引空気流179が、この制動機の1つの同じ側面に進入する図1の制動機100を略示している。この空気流179は、同じ方向に制動機100の全長を通過する。排出アパーチャー122を通って軸線に対して傾斜した方向または径方向にすべての排出空気流が排出される。
【0107】
一実施例では、制動機の端部に、閉じた中実面を有するファンが位置している。このファンは、ファンを空気が通過するのを防止すると共に、制動機の一端を通して空気流179を排出する。
【0108】
図3aとは異なり、図3bは、互いに方向が逆の吸引空気流301、および302を形成するブレードを備える電磁制動機101を示す。このように、空気流301の方向と302の方向が逆になっていることにより、制動機101の中心に位置するゾーン内の空気流量を増すことが可能となっている。その理由は、ほとんど通気されないこれら通気ゾーンでは、部品を冷却することが困難であり、従って、これらの部品は、かなり加熱される傾向があるからである。
【0109】
中心ゾーンでは、制動機101の2つの端部から来る2つの空気流301と302が、互いに合流し、互いに協動して、熱を効果的に排出する。
【0110】
ブレードを備える内部ファンを、制動機101内の1つの側面、または他方の側面に向けることができる。従って、制動機101内の空気流の方向を、ファンの配向によって変更できる。このファンは、遠心タイプでもよいし、螺旋−遠心タイプのものでもよいし、または軸流タイプのものでもよい。従って、点線で示す矢印は、螺旋−遠心ブレードを含むファンによって生じた排出空気流の向きを示す。この空気流は、シャフト110の軸線と直交する直線に対して若干傾斜している。
【0111】
変形例として、求心ファンまたは螺旋−求心ファンを使用することが可能である。この求心ファンは、シャフト110の軸線に対して数度の範囲内で、ほぼ直角な吸引空気流を形成すること、およびこの軸線と平行な排出空気流を検出することを確実にする。螺旋−求心ファンは、シャフトの軸線と直交する直線に対して、0でない角度を形成する斜めの吸引空気流、およびこの軸線に対して平行な排出空気流を生成する。
【0112】
ステータ170またはケーシング102が、固定部品と開部品とを交互に配置させるよう、制動機100または101の壁には、出口開口部122が分布されている。中実部品と開部品とを交換することにより、制動機100は、頑丈な機械的構造を維持できる。出口アパーチャー122は、全体として四角形をした形状とすることができ、その側面は、ケーシング102の曲率に従う。
【0113】
ファンの外周部を構成するリング上で、すべての出口アパーチャー122をグループにまとめることができる。ステータ170またはケーシング102は、出口アパーチャーを有しない中実リングと、出口アパーチャー122を備えるリングとが、交互になった構造となっている。
【0114】
図3cは、軸線と平行な吸引空気流および排出空気流を形成するブレードを備える制動機102を示す。これらの空気流は、同一方向に進む。制動機102では、入口アパーチャー120と出口アパーチャー333とは、ケーシングまたはステータのシャフト110に対して径方向となっているか、または傾斜した壁に設けられている。
【0115】
制動機100の側面図である、図3dは、ケーシングまたはステータに設けられた入口アパーチャー120を示す。このアパーチャー120は、中心が制動機100の一端の中心で合流する円に位置している。入口アパーチャー120およびアパーチャー330は、円弧状の側面を有するほぼ台形となっている。
【0116】
変形例では、このアパーチャー120は、別の形状となっており、円の上には配置されていない。上記のようにして、シャフト110を支持するベアリングを収容するためのハウジング330が設けられている。
【0117】
入口アパーチャー120および出口アパーチャー122を、制動機100のステータ170に設けてもよい。実際には、これらのアパーチャー120および122は、水回路を備えるステータ170と別個にできる制動機のケーシング内に、製造または孔開けされる。アパーチャー120および122は、制動機100を閉じるか、または保護する役割を有する他の取り付け部品に設けてもよい。
【0118】
図4は、本発明に係わる制動機100の変形実施例である制動機400の略図である。制動機400は、ロータ101と、発電機のステータ131、および発電機のロータ130とを備えた発電機を有する。しかし、図1とは異なり、制動機400は、互いに吸引方向が反対となっている空気流410および411の形成を保証する遠心ブレード、または螺旋−遠心ブレード405〜407を備えるファン構造となっている。
【0119】
更に、ロータ101およびその本体に固定されたブレード407には、2つの端部に設置されたコイルのヘッド103および104を冷却するための孔が、内側周辺部に設けられている。ロータ130の内周部(そのベース)の開口部は不要である。フレーム420〜422、すなわちブレードアームは、ロータ101または310と一体的でもよいし、またはこのロータ101または130の外側で、かつ別個でもよい。
【0120】
ブレード406は、例えば溶接により、シャフト110に固定されたフレーム421を構成するフランジに固定されている。フランジ421は、ロータ101から離間しており、空気流のチャンネルを形成するように中実となっている。ブレード407は、フランジ421と同じように、シャフト110に固定されたフレーム420を構成するフランジに固定されている。このフレーム420の内周部には、空気流を通過させるための開口部が設けられている。
【0121】
ブレード405は、図1のブレード140と同じ形状となっているので、その内周部が、シャフト110に固定されるためのフランジとして延びる異形ベースに固定されている。この固定は、フレーム420、421、ベース、および本例では中実のフレーム422を構成するブレード405のフランジと同じように行われる。
【0122】
図1と比し、ファンの位置とブレードの方向は逆になっている。その理由は、図1では、ブレード114および142は、アパーチャー120の方向に軸方向を向いているが、図4ではブレード406および407は、アパーチャー120に対して反対方向の軸方向に向いているからである。一実施例では、ブレード406の自由端は、例えば接着によりロータ101に固定されている。
【0123】
制動機400は、この制動機400のケーシング102によって形成されたハウジングの外側の軸方向ブレード430をも有する。このブレード430は、ほぼ切頭三角形をしたプロフィルを有し、シャフト110の軸線と平行な吸引空気流を形成する。ブレード430のプロフィルは、台形に極めて類似している。このブレードは、シャフト110に固定されている。
【0124】
図5は、制動機100の別の変形例である本発明に係わる制動機500を略示している。この制動機500のロータ101と、ステータ170と、発電機のロータ130および発電機のステータ131を備える発電機を有する。図4と同じように、吸引空気流の方向は互いに逆となっている。しかし、この実施例では、ロータ101は、ベースに開口部を有しておらず、発電機のロータ130は、そのベースに開口部を有する。ブレード501のベースも開口部を有する。
【0125】
更にブレード501〜506は、制動機500内の吸引空気流510、および511の最適な進入および排出空気流521〜523を最適に排出させるための異なる機能を果たす。このような空気流を、最適に進入および排出させるために、制動機500の進入部および出口にある2つの連続するロータの間に、2つのブレードの組み合わせが設けられている。これらブレードのこのような組み合わせを、図2に示すように、ロータ101と発電機のロータ130との間に設けてもよい。
【0126】
これら組み合わせでは、ブレード501〜506は吸引の役割と排出の役割とを分離するための、良好に所要の役割を果たす。従って、実際には、軸方向の分離する501〜503は、空気流510または511の吸引を行う一方、遠心または螺旋−遠心ブレード504〜506は、空気流を排出する。このようなブレード501〜506の組み合わせと、役割の分配とによって、制動機500の通気および冷却効果を、10倍に増すことが可能となっている。
【0127】
上記のようにして、ブレードはフランジに固定され、フランジまたはブレード501のフレームには、空気流をチャンネル化するための開口部が設けられている。
【0128】
図6aおよび図6bは、ロータ101と、発電機のロータ130と、2つのファン601および604から構成されたアセンブリを、分解して示す。図6aは、ある角度でのこのアセンブリの正面図である。図6bは、図6aのアセンブリを、反対の角度から見た背面図である。
【0129】
ヘッド130を備えたコイルを有するロータ101は、そのシャフト110に固定されている。ロータ101の各側において、シャフト110には、2つのファン601および602も取り付けられている。発電機のロータ130およびベアリング603は、ブレード601と同じ側で、シャフト110上に取り付けられている。
【0130】
シャフト110には、各要素が、異なる高さでシャフト110に取り付けられるようにするショルダーが設けられている。更に、シャフト110は三角形の支持体630も備え、この支持体には、本例ではラグの形態をしているベース620により、ロータ101の本体105が固定されている。ラグは、軸線110に対して径方向に突出している。
【0131】
各ベース620は、孔を有し、これらの孔は、組み立て時に、整合した孔、ベースおよび支持体630により、シャフト110の支持体630の3つの頂部に形成された孔641と整合するようになっている。ネジまたはボルトのような固定要素が、ロータ101の本体105とシャフト110との間を固定している。シャフト110の支持体630に、本体105を特別に固定することにより、空気流が三角形の支持体630の側面とロータ101の本体105の内周部との間に、進入することが可能となっている。
【0132】
発電機のロータ130は、中心の一部が3つのアームを有する星形となっている。各アームは、これらアームと発電機のロータ130の内周部との間を、最適に空気が通過できるようにする放物形状をしている。
【0133】
これらアームの外周部は、モータのコイルを支持するロータ130の本体を構成するリングの内周部に接続されている。各アームは、シャフト110によって支持された相補的突起物611と協動し、ロータ130をシャフト110に回転自在にロックするためのノッチ(符号なし)が設けられた中心開口部を有する。
【0134】
これらの突起は、ロックする130の中心部分を軸方向に固定するよう、従って、ロックする130を、シャフト110に軸方向に固定するように働くショルダー(符号なし)に接続されている。シャフト110には、ベアリング603が取り付けられており、このベアリングは、シャフト110のショルダー610によって軸方向に固定されている。ロータ130に隣接するファン601は、ロータ101を取り付けるために使用される部分よりも直径が大きいシャフト110の一部に取り付けられている。
【0135】
ファン601は、これをシャフト10の上記部分に取り付けるための中心リング641を有する。この部分は、ファン601を軸方向に取り付けるために使用されるショルダー612により境界が定められている。
【0136】
ロータ101の反対側に配置されているファン601も、シャフト110の一部に係合し、ショルダー(図示せず)によりその部分に固定された中心リング651を有する。ファン602に隣接するシャフト110の端部には、このファンを歯付きホイールに属す相補的なフルート溝内に取り付けるためのフルート溝が設けられている。この歯付きホイールは、上記のように、シャフト110と伝動シャフトまたはギアボックスの二次的シャフトとの間で作動する速度倍増器に属している。
【0137】
2つのファン601および602は、吸引空気流および排出空気流を生じさせる。ファン601は軸流タイプのものであり、このファンは、環状外側輪郭部640と内側リング641とを有し、内側リングは、上記のように、シャフト110と協動するようになっている。
【0138】
ファンの内側リング641と外側輪郭部640との間には、傾斜したブレード642が、円周方向に不規則に分散されている。ブレード642は、シャフト110の対称軸線を通過する平面に対して、0度でない角度で傾斜している。ブレード642が回転して、シャフト110の軸線に平行な吸引空気流を生じさせると、ブレード642によって、空気は移動させられる。この空気流は、ロータ130およびブレード601の上を通過し、全長に沿ってロータ101が内部に取り付けられている制動機に進入し、この制動機を通過する。
【0139】
ファン602は、同じタイプの多数のブレードを有する遠心ファンである。ファン602は、内側リング651を備えているが、このファンは、ブレード601とは異なり、環状の外側輪郭部を有していない。ブレード652は、外側リング651および環状体をした支持体653に接続されており、支持体653は、シャフト110の軸線に対して径方向を向いている。支持体653自身は、内側リング651に固定されている。
【0140】
ブレード652は、シャフト110の軸線に対して、径方向に空気が排出されるよう、同じ方向にカーブされている。支持体653とリング651とは、ブレードが固定されたファン602のベースを構成している。
【0141】
内側リング641および651は、シャフト110と協動するように平滑とされ、一方、シャフトは、このシャフト110にリング641、651を強制的に取り付けるためのルーレットが設けられた関連する部分を有する。
【0142】
リング641、651およびシャフト110から成る要素のうちのいずれかに設けた溝に突入するようにして、シャフト110およびリング641、631から成る要素のうちの1つに設けた突起により、別の解決案を得ることも可能である。
【0143】
図6bは、環状をしたファン602の支持体653は中実であることを示している。従って、空気は、ファン602を通過できず、放射状に駆動される。そのため、空気流は、まずロータ101の本体105の内部を長手方向に通過し、次いでブレード652により、コイルヘッドの方向に排出される。
【0144】
発電機のロータ130の周辺部には、規則的に分散されたコイルまたはリードアウトワイヤーのヘッドが設けられている。発電機のステータは、励磁されて、磁界を発生し、この磁界内部でロータが回転する。この磁界による誘導効果により、交流が生じる。この交流は、ロータのターミナルで集められ、ブリッジ回路で整流される。次にこの電流は、制動機のロータへ送られる。
【0145】
コイルが、シャフト110に対して横方向を向き、2つのヘッドを通過する軸線を有するようにして、ネジ609によりコイルおよびそのヘッド103が固定されている。従って、コイルによって発生する磁界は、シャフト110に対して、主として横方向または径方向に向いている。より詳細には、コイルが巻かれているコア(図には示さず)に対し、ネジにより固定された係止バー655は、各コイルと関連づけられている。
【0146】
図7aおよび図7bは、ロータ101と、発電機のロータ130と、ファン601および602とのアセンブリを示す。このアセンブリには、組み立てられた種々の部品を貫く多くのスペースが存在している。従って、図7aでは、シャフト110および本体105のコイルを、発電機のロータ130を通して見ることができる。
【0147】
このような特徴あるアセンブリによって、空気流は、制動機の内部を完全に通過し、制動機を効果的に冷却する。また、スペースを有するこのアセンブリによって、制動機内部の部品に、容易にアクセスすることが可能となっている。また、このアセンブリでは、部品間の空間を通して内部を見ることにより、制動機内で発生した障害を、短時間で識別することも可能となっている。
【0148】
当然ながら、ロータの本体105の壁に、上記したよりも多いスペースまたは開口部を設けることも可能である。一例として、本体に固定されたコイルヘッド105の間に、スペースを設けることが可能である。これらのスペースによって、ロータ101内部の空気の通過量が、更に増加することになる。
【0149】
図7bは、ロータ101とロータ130と部品601および602との間のアセンブリの背部に、開口部が設けられていないものを示す。その理由は、ファン602がアセンブリを閉じるからである。この例では、ファン602は、ロータ101のシャフト110の一端に固定されており、ある態様で空気排出プラグの役割を果たしている。
【0150】
変形例として、ファン652におけるブレードの間に、スペースを有するオープン支持体を設けてもいい。ファンは、この場合、軸流タイプのものとなっている。
【0151】
図8a、図8b、図8cは、制動機のケーシングを示す。これらの図は、異なる角度でのケーシング800を示している。ケーシング800には、前に説明したロータ101と、発電機と、ブレードとから構成されたアセンブリが納められている。このケーシング800は、図1で170で示すステータを包囲し、ステータの独立した部品とすることができる。
【0152】
当然ながら、ケーシング800は、内部を水回路が貫通するステータでもよい。この水回路については、図示していないが、ステータの外側輪郭部上で、ステータ内に一体的とすることができる。ケーシング800は、管状となっている。
【0153】
図8aは、ケーシング800の側面図である。このケーシング800は、円筒形をした中心部分801を有する。上記周辺壁を構成するこの中心部分801は、2つのラジアル端部802および803(図8aおよび図8b)内で終端している。これらの端部は、ラジアルリムを備えている。ロータを導入するために、これら端部のうちの少なくとも1つが追加されている。
【0154】
一実施例では、中心部分801は、ステータを含むか、またはステータを囲んでいる。中心部分801に対して、端部802および803が取り付けられている。この端部802および803には、シャフト110がケーシング800を貫通できるようにする孔805および813があけられている。
【0155】
図8aは、入口アパーチャー808を備える端部802の形状を示している。これらのアパーチャー808は、ケーシング800の軸線820と平行な方向に、吸引空気を通過させる。入口アパーチャー808は、数が4個のアーム809によって、互いに分離されている。上記のように、アパーチャー808は、端部802の輪郭に従う若干カーブした側面を有する、ほぼ台形となっている。
【0156】
アパーチャー808が台形となっているのは、空気流が、ケーシング800の機械構造を弱体化させることなく、制動機の内部を好適に通過できるようにするためである。アパーチャー808を台形にするために、アパーチャーの境界を定めるアーム809は、四角形または台形となっている。図におけるケーシング800の例では、四角形のアーム809と台形をしたアーム809とが、交互に配置されている。
【0157】
吸引空気流を生じさせるために、ラジアル端部802のいずれか一方の側に、軸流ファンを取り付けることができる。
【0158】
上記端部802は、ケーシング800の中心部分801と共に鋳製されている。しかし、この端部802を、中心部分801にねじ込むか、またはそれに嵌合する取り付け部品としてもよい。
【0159】
図8bは、図8aに示されている角度と反対の角度のケーシング800を示す。図8bは、外周部に排出アパーチャー810を有する他の端部803を示しているからである。この端部803は、遠心ファンまたは螺旋−遠心ファンのまわりに位置し、排出アパーチャー810は、このファンによって生じた空気流の排出を可能にしている。
【0160】
2つの排出アパーチャー810の間で、端部803には、傾斜したフィン811が設けられている。フィン811は、アパーチャー810の輪郭を形成しているので、アパーチャー810も傾斜している。
【0161】
図8cは、フィン811の一部の拡大図である。このフィン811によって、ケーシング800の機械構造を保持することが可能となり、他方、空気流を最適状態で排出することも可能となっている。その理由は、特定の実施例において、フィン811のプロフィルにテーパが付けられており、上部を通過する空気流に対して、極めて限られた障害にしかならないからである。
【0162】
フィン811は、フィンが向いているファンの回転方向にも傾斜している。より詳細に説明すれば、フィン811は、ケーシング800内部において、流体本例では空気の供給角度に対応する角度に傾斜している。更にフィン811は、特定の態様で配向されている他に、空気流に対して与えられる障害を制限するように、極めて細くなっている。
【0163】
フィン811がこのように向き、かつ細くなっているので、フィンに対する空気の入射角度は、ほとんど0である。換言すれば、所定の空気流に対し、フィン811から成る障害物に対する入射角は存在しない。従って、フィンの特定のプロフィルによって、空気内の伴流が大幅に低減している。空気内のこのような伴流を低減する特定の傾斜により、ファンノイズは低減し、空気の分子の圧力低下が生じている。
【0164】
変形例では、これらのフィン811は、例えば航空機の翼のプロフィルのように、完全に空気力学的なプロフィルを有している。しかし、空気力学的効果が小さくても、フィンを、専ら径方向だけに配向することも可能である。
【0165】
端部802と同じように、端部803を、部品801と一体鋳製できる。この端部803は、ケーシング800にネジ止め、または溶接、もしくは嵌合される取り付け部品として構成することもできる。
【0166】
2つの端部に位置する軸方向ブレードを備えた制動機を使用する別の実施例では、ケーシング800は、2つの端部802を有する(図8d参照)。次に、ロータのシャフト軸線に対して横方向を向いたケーシングの壁の部分に、排出アパーチャーを設ける。一例では、冷却チャンバとシャフトとの間に、排出アパーチャーが設けられる。空気は、軸線と平行な方向に横断する空気流と共に、制動機を通過し、これを冷却する。
【0167】
別の実施例では、本発明にかかわる制動機は、遠心ファンまたは螺旋−遠心ファンを備えている。このケーシング800は、ファンが発生した排出空気流を排出するためのいくつかのアパーチャー810の列を備えている。
【0168】
図9a、図9b、図9cおよび図9dは、ケーシング800の端部803の別々の図である。この端部803は、遠心ファン、または螺旋−遠心ファンを囲んでいる。孔930〜935を貫通するネジにより、ケーシング800の中心部分801に、この端部803はネジ止めされている。
【0169】
変形例では、この端部803は、孔930〜935を有しておらず、中心部品801の輪郭部に溶接されている。
【0170】
図9aは、空気流の方向、すなわちファンのブレードの回転方向に、フィン811が傾斜していることを明瞭に示している。フィン811は、対称軸線820を貫通するラジアル平面に対して、ある角度をなしている。内側リング905と外側リング906との間には、これらのフィン811がある。これらフィン811は、ペアとしてほぼ平行になっている。
【0171】
フィン811は、2つのリング905および906によって構成される環状体上には位置していない。その理由は、この環状体は、自動車の制動機の特別な取り付け具上に、地面に向く中実部品を備えているからである。この中実部品は、濡れている道路または凹凸のある道路上を自動車が移動するときの水の跳ね返り、または砂利から、制動機を保護している。
【0172】
図9bは、リング906とリング905とが、互いにオフセットした2つの平行な平面に位置していることを示す。端部803は、切頭円錐の表面を有する。リング905と906とのオフセットは、1つのリングに平行な平面に対して、フィンをオフセットすることと関連している。フィン811は、それらの2つの端部により、リング905および906に接続されているからである。
【0173】
従って、フィン811は、空気流の方向に傾斜しているだけではなく、ケーシング800の内部に進入しているシャフトの軸線に対しても傾斜している。従って、2つのフィンの間のスペースによって構成された出口アパーチャーも、制動機のシャフトの軸線に対して傾斜している。
【0174】
図9cは、端部803の平面図で、端部803内の機械加工された領域920を示している。この機械加工された領域920は、フィン811の一端に位置している。この機械加工された領域920は、平坦であり、リング906内に位置している。この領域920により、可能な最大の表面積にわたって、端部803の側面をケーシング800に押圧するように、フィン811の端部を延長することが可能となっている。したがって、この領域920は、ケーシング800の端部803と、中心部分801との間の調節を最適にする。
【0175】
更にこの領域920は、フィン811のサイズを変えるように、サイン波状となっている。その理由は、フィン811は、空気流の十分で、かつ効果的な流れを保証すように、円形運動の方向に幅が減少しているからである。
【0176】
端部903は、固定の孔930〜935を有する。これらの孔930〜935は、端部803の外周部、すなわち外側リング906上に位置している。他方の2つの孔932および933は、端部803の内周部、すなわち内側リング905上に位置している。
【0177】
フィン911の配向に従う部品内に、孔930および931が設けられている。孔932および933は、孔930および931と対向する端部903の部分に設けられている。孔934および935は、端部803の内側リングにおける固定孔932および933に、それらのベースによって接続されている。
【0178】
図9dは、リング905に取り付けられたベース内において、端部の底部に孔935および936が設けられていることを示す。これら円形をしたベースは、端部803の対称軸線に対し、ラジアル突起として延びている。
【0179】
図10〜図14は、ヘッドを軸が貫通しているコイルを支持するロータ101が、シャフト110の軸線と平行に向いている、本発明の制動機の変形例を示す。コイルによって生じた磁界は、基本的には、シャフト110の軸線と平行に進む。かかる制動機は、軸方向制動機と称されることが多い。
【0180】
この制動機に対して、冷却チャンバ122は横方向を向いている。その理由は、この冷却チャンバは、少なくとも1つの大きい延長部と、1つの小さい延長部を有するからである。大きい延長部は、シャフト110に対して横方向を向き、冷却チャンバ122は、ステータ内が中空とされており、環状となっている。
【0181】
変形例では、チャンバ122を、ステータ内で部分的に中空とし、別の形状、例えばY状またはZ状、もしくはX状とすることができる。この中空チャンバ122は、ステータ170に追加できる。
【0182】
図10a〜図10cは、ロータ101に取り付けられたブレードを備える、本発明に係る制動機を示す。ブレードは、空気流がヘッドの上を流れ、容易に排出できるように、コイルヘッドおよび排出アパーチャーの近くに位置している。ブレードは、ロータ101の本体105に取り付けられている。
【0183】
より詳細には、図10において、ステータ101の本体105は、フランス国公開特許第FR-A-2577357号に記載されているように、軸方向を向く複数のコアを有し、これら各コアのまわりには、絶縁材料から製造されたコイル支持体を介在させた状態で、コイルが取り付けられている。これらのコアは、コアの軸方向端部に取り付けられた極拡大部を構成する2つのフランジによって、共に接続されている。
【0184】
熱交換を良好にするために、フランジには、コアおよびコイルと同じ高さのフィンが設けられている。これらのフィンには、図1のロータのコイルのヘッドを同じ符号が付けられている。これらのフィンは、ヘッド103、104に等しく、ヘッドの変形例をなしているので、インデックスが付けられている。
【0185】
図10aにおいて、ブレード940は、制動機に進入する吸引空気流179およびアパーチャー960を通って、制動機を離れる排出空気流941を形成する。図10aにおけるブレード940は、四角形となっている。これらのブレード940は、シャフト110に垂直な方向に空気を排出する。これらのブレードは、遠心タイプのものである。
【0186】
図10bおよび図10cは、図10aの変形例である制動機を示す。ロータ101のシャフトに取り付けられたブレード942および943は、常にほぼシャフト110に対して径方向に空気を排出する。それにもかかわらず、ブレード942は、螺旋−遠心ブレードとなっている。このブレード942は、特別な平行四辺形をしたプロフィルを有する。
【0187】
この平行四辺形は、シャフト110の軸線に対する径方向に対して傾斜した、ほとんど平行な2つの辺を有する。ブレード942は、螺旋−遠心タイプのものであり、これらブレードが生成する排出空気流は、シャフト110に対して傾斜している。
【0188】
図10cでは、ブレード943は補助翼形となっている。その理由は、これらのブレード943は、空気流の吸引を改善するように、直線状の側面と、凹状または凸状にカーブした側面を有しているからである。これらのブレード943は、ほぼ三角形となっており、その三角形の1つの底辺は、ロータ、より正確にはロータ101の本体に固定されている。
【0189】
図10dおよび図10eは、本発明に係わる制動機のシャフト110に取り付けられたブレードすなわちファンを示す。その理由は、図10dは、ロータ101の各側面に取り付けられた軸流タイプのブレード1001および1002を備える制動機を示しているからである。制動機を通る空気流1004の通過を促進するために、このロータの内部には、開口部1003が形成されている。
【0190】
変形例では、ロータ110の1つの側のみにおいて、シャフト110に、ブレード1001のみが取り付けられている。別の変形例では、ロータ110の反対側において、シャフト110にブレード1002のみが取り付けられている。これらのブレード1001および1002は、例えばシャフト110に固定された中心リングに固定されている。
【0191】
図10eは、軸流タイプのブレード1001と、遠心タイプまたは螺旋−遠心タイプのブレード1005との組み合わせを示している。ブレード1001は、空気流に対してブレード1005の上流側に取り付けられている。これらのブレードの組み合わせによって、シャフト110の軸線と平行な吸引空気流、および垂直方向に対して傾斜した排出空気流を発生することが可能となっている。制動機のロータ101もまた、開口部1003を有する。
【0192】
図10dおよび図10eでは、1つの開口部1003しか示されていないが、実際には、数個の開口部1003、更に数個のブレード1001、1002、および1005が、円周方向に分散配置されている。
【0193】
図10fは、空気流の通過を可能にする開口部1003を備えるロータ101の断面図である。このロータ101は、シャフト110の通過を可能にする孔も備えている。一般に、これらの開口部1003は、図3dに見ることができる入口アパーチャーの形状と極めて類似した形状となっている。その理由は、これらの開口部1003が、円の曲率でカーブした側面を有するほぼ台形となっているからである。
【0194】
変形例では、ロータ内に設けられたこれらの開口部1003は、任意の形状、例えばほぼ四角形、円形、楕円形または多角形でもよい。
【0195】
図11a、図11bおよび図11cは、シャフト110の軸線に対して径方向を向く冷却チャンバ122を備える、本発明に係わる制動機を示す。各制動機は、ロータ101を包囲し、かつこのロータのコイルを好適に冷却する2つのシリーズのブレードを備えている。
【0196】
シャフト110の軸線に対して径方向に進む排出空気流は、シャフト110とほぼ平行な壁内に形成された排出孔960を通って排出される。シャフト110と平行に進むこの吸引空気流は、シャフト110の軸線に向かう径方向の排出アパーチャーを通って排出される。
【0197】
図11aにおいて、ブレード940は、ロータの本体の一側に取り付けられ、ブレード945は、ロータの他側に取り付けられている。これらのブレード940とブレード945は、吸引空気流179を生成する。ブレード945は、シャフト110に固定された中心リングに接続されている。下記するブレード968、969にも、同じことが当てはまる。
【0198】
ブレード945は、軸方向ブレードであるので、このブレードによって生じた排出空気流は、シャフト110と平行な方向に進む。ブレード940は、前の図面のと同じように、シャフト110と直角な方向に進む排出空気流を生じさせる。ロータ110には、多数の孔が開けられているか、またはベースに開口部949が設けられ、排出アパーチャーに向けて空気流947を通過させるようになっている。
【0199】
図11bにおいて、ロータ901の各側には、軸方向に並ぶ2つのブレード940と950とが位置している。これら2つのブレード940および945は、シャフトと直角な方向に、排出空気流952および953を生じさせる。これらのブレード940および950は、遠心タイプまたは螺旋−遠心タイプのものである。
【0200】
ブレード950は、ロータ101のシャフト110に取り付けられており、このブレード950は、四角形の形状を有し、シャフト110には、ブレードを接続するベース954が設けられている。ブレード950のベース954は、支持体653と同じように中実であり、シャフトに沿う空気流を防止するようになっている。ブレード950は遠心タイプのものである。
【0201】
図11cは、図11bに示された制動機の変形例を示す。ブレード950の代わりに、螺旋−遠心タイプのブレード962が設けられている。このブレード962は、丸く湾曲する辺を有するほぼ台形となっている。ブレード962によって生じた排出空気流は、シャフト110に対して傾斜している。
【0202】
図12aおよび図12bは、冷却チャンバ122の各側に位置するブレードを備える本発明に係わる制動機を示す。これら2つの実施例では、制動機の入口に、軸方向ブレード968および969が取り付けられており、吸引空気流179を生成するようになっている。ブレード968および969は、例えばシャフト110に固定された中心リングに、固定されている。ブレード942および943は、ロータの本体に取り付けられている。この本体は、制動機の本体でもよいし、またはこの制動機の発電機の本体でもよい。これら2つのブレードは、異なる態様で空気流を排出する。
【0203】
図12aにおいて、図10bのブレードと同じ形状のブレード942は、螺旋−遠心ブレードである。このブレード942は、垂直線に対して若干傾斜した方向に、またはシャフト110に対して径方向に空気流を排出する。
【0204】
図12bにおいて、図10cで見ることがきるブレード943は、シャフト110と直角な方向に空気流を排出する。
【0205】
従って、ブレード968と942の組み合わせ、またはブレード969と943との組み合わせを使用することにより、制動機の内部を進む空気流の流量を増すことができなる。
【0206】
図13は、冷却チャンバ122の各側に取り付けられた2つのシリーズのブレード970および971を備える制動機を示す。このような取り付けの特殊性は、ブレード970と971とが、互いに背中合わせに取り付けられていることによるものである。従って、これらのブレード970と971とによって、2つの独立した反対の空気流が生成され、ロータのコイルを冷却することができる。これらブレード970および971は、排出アパーチャーに向けて空気流をガイドするように、中実となっている。
【0207】
ここで使用されている2つのシリーズのブレード970および971は、遠心ブレードであるが、変形例では、螺旋−遠心ブレードを使用することも可能である。この図では、2つのロータ101が設けられている。
【0208】
図14では、軸方向を向くコイルを備え、このコイルには、図1で見られるのと極めて類似したところに位置するブレード972および973が設けられている、本発明の制動機を示す。ロータ130の本体、およびロータ105の本体に、それぞれ遠心タイプまたは螺旋−遠心タイプのブレード972および973が設けられている。発電機のロータ130は、そのベースに開口部を有し、空気流がロータ105まで通過するのを可能にしている。しかし、図1と異なり、ロータ105のベースに開口部は設けられていない。
【0209】
図11a〜図14において、コイルによって発生される磁界を、軸方向タイプまたはラジアルタイプとすることができる。説明を簡潔にするために、電流発生器は、示されておらず、図10a〜図10eでも、同じことが当てはまる。
【0210】
この電流発生器は、例えばロータ101の左に電流発生器が設置されている図1の実施例と異なり、ロータの右側に、この電流発生器が設置されている。図10a〜図13においては、ケーシング102の外側に発電機が設置されており、そのステータは、ケーシングによって支持されている。
【0211】
図15は、ロータ101とステータ102とを備える、本発明に係わる制動機を示す。ロータ101は、非磁性材料からなる環状フランジ980により、シャフト110に接続されている。このフランジ980は、図6aおよび図6bに示されているように、例えばネジにより、シャフト110の三角形の支持体に固定されている。フランジは、誘導ロータ130を支持する非磁性材料から製造されたスリーブを支持している。フランジ980の各側には、ロータ101と130が位置している。
【0212】
図1における制動機のように、ヘッド103および104を有するコイルは、シャフト110およびチャンバの軸線に対して、径方向を向いている。図1における制動機と比較した構造の違いは、ロータ101のヘッド103および104を有するコイルが、フランジ980に対して軸方向に突出するように延びていること、およびロータ105を収容するように、ロータ105の本体の各側に、冷却チャンバ102が位置していることである。
【0213】
ステータは、同時に機械的に作動する2つの部品を備えている。これら2つの部品により、ステータの冷却が促進される。したがって、ロータの本体105は、同時に作動するステータの2つの部品によって境界が定められた環状キャビティに進入し、シャフト110の運動をスローダウン、すなわち制動する。
【0214】
この制動機では、ステータの2つの部品と、2つの冷却チャンバ122とを、共に接続する制動機の壁の部分に、入口ア978が形成されている。制動機の壁のこの部分は、ロータ101のシャフトに対して横方向を向いている。これらのチャンバは、径方向を向く底部によって接続され、軸方向を向いている。
【0215】
より詳細には、チャンバは、ラジアル底部によって接続された内外の同心壁の内部を中空にできる。この底部は、2つのチャンバを共に接続するチャンバを支持できる。入口アパーチャーおよび排出アパーチャーが、この底部を貫通できるようになっている。
【0216】
この図では、ブレード985は、コイル103のヘッドに取り付けられるか、それに接近している。このブレード985によって、入口アパーチャー978を通って進入し、発電機のロータ132とステータ131との間に存在するスペースを通って離間する空気流179および180を形成することが可能となっている。従って、これらの空気流は、ステータ102の2つの部分の間のスペースを通過し、ロータ101に位置するコイル103および104のヘッドに接触する。ブレード985は、軸方向タイプであるので、空気流は、ロータ101の軸線に平行に進む。フランジ982には、開口部が設けられている。
【0217】
図16a〜図16fは、ロータ101を固定するリング987への軸方向ブレード985の固定の例を示す。このリングは、ヘッド103を含むコイルを固定するようになっている。このリング987は、冷却チャンバ122によって囲まれている。ブレード985は、本例では、例えば各コイルの前方または各コイルの間において、リング987に直接取り付けられている。
【0218】
図面の紙面と垂直な方向に空気が循環し、この空気は、ブレード985からリング987に進む方向に移動する。変形例では、ブレード985はコイルのヘッド103に取り付けられている。
【0219】
図16bおよび図16cは、単一部品として製造されたリング987を示す。図16bは、2つのエルボー状のアーム988を有するほぼ四角形のブレード989を示す。これらアーム988は、リング987を閉じ、このリングに固定されている。
【0220】
図16cは、ある長さと幅を有するほぼ四角形のブレード990を示す。図16cは、リング987の全長に沿って設けられたブレード990を示す。ブレード990は、リング987に溶接されているが、ブレードを、リング987に嵌合またはネジ止めすることもできる。
【0221】
リング987は、図16bおよび図16cのように、単一部品として製造できるし、2部品、例えば互いに異なる2つのリングからも製造できる。
【0222】
図16dおよび図16eは、2つの別個の環状体を有するリング991に設けられたブレードも示している。これら2つの環状体は、ブレード985の幅とほぼ等しい距離だけ、互いに離間している。
【0223】
図16dは、2つのアーム988を有するブレード989を示し、各アームは、リング987の環状体に位置している。
【0224】
図16eは、全長に沿って2つの環状体に接触する四角形のブレード990を示す。リング987には、ロータまたは制動機の内部の空気の通過を最適にするための開口部または多数の孔が設けられることがある。
【0225】
図16fは、リング987またはコイルに取り付けられたブレード985の平面図である。ブレード985は、コイルヘッド103および104を支持するロータ105の本体の1つの側面に対して、角度αをなす方向に全体が傾斜している。ブレード985は、コイルおよびその支持体を貫通する矢印Aの方向に、空気流178を生成する。更にこのブレードにより、ブレードの傾斜に従って、空気流の流量を変え、所望する冷却量に従って、空気流の方向を変えることが可能となっている。
【0226】
より詳細に述べると、ロータ101のコア200は、図15では互いに分離されており、フランジ980に取り付けられている。各コア200は、その軸方向端部の各々に、ヘッド103および104を取り付けるためのシューを有する。ヘッド103に関連するシューは、ブレード985が固定されているリング987により、共に接続されている。
【0227】
図15におけるリングは、図16bおよび図16cに示されているタイプのものである。変形例では、リング987は、各シューに位置する2つの環状体991と置換されている。環状体991またはリングは、ブレードを固定すると共に、コア200を共に接続し、遠心力によって生じる作用に抗して、このコアを保持するようになっている。
【0228】
図17は、吸引空気流994および排出空気流995を形成する遠心ブレード、または螺旋−遠心ブレード993を示す。この排出空気流は、シャフト110に対して平行であるか、またはシャフト110に対して径方向にある角度をなしている。このような特定の方向に、空気流は、発電機のコイルヘッド上を流れることができる。その理由は、ブレード993によって、発電機のロータおよびステータのコイルのヘッドを冷却することが可能となるからである。
【0229】
ブレード993は、ほぼ自転車のサドルの形状をしたプロフィルを有する。ブレード993の2つの側面は、90度の角度をなし、他の2つの側面は、カーブした形状となっている。そのうちの1つの側面は凹状であり、他方は凸状である。ブレード993は、発電機130のコイルのヘッドに向くように位置し、可能な場合には、シャフトに取り付けられるように、凸状部は、アーム996によってロータに取り付けられている。
【0230】
図18は、吸引方向が図15における空気流の方向と逆になっている図15の変形例を示す。発電機のステータとロータとの間のスペースに空気が進入し、ステータ101の壁内に形成されたアパーチャーを通過して出る。
【0231】
支持体980には、空気流の通過を可能にするオリフィスを設けることがある。ほぼ四角形の形状をした軸流ブレード997が、この空気流を形成する。より詳細には、ブレード997は、シャフト110と平行な吸引空気流および排出空気流を形成する。シャフト998により、シャフト110にブレード997を取り付けることができる。ブレード997を、アーム999によって、ロータに直接取り付けることもできる。
【0232】
図19aは、ロータのヘッドに直接取り付けられた遠心または螺旋−遠心ブレード993を示す。ブレードは、コンマ形状をしたプロフィルを有する。ブレードは同じ曲率を有し、特に、実質的に45度と等しくすることができる角度を形成する2つの側面によって、共に接続された円弧の2つの側面を有している。
【0233】
図19bは、コイルを固定するリング987に取り付けられ、カーブした形状となっている遠心ブレード992、または螺旋−遠心ブレード994の取り付けを、正面図で示している。ブレード993は、コイルヘッド193と交互に円形となるように、リングに直接取り付けられている。変形例では、これらのブレードは、コイルに直接取り付けられる。
【0234】
当然ながら、例えばロータの各側面において、例えばロータとステータ発電機のコイルで、ブレードを一体化することにより、軸方向ブレードとラジアルブレードとを組み合わせることができる。
【0235】
本例において、制動機のアパーチャーは、制動機のステータの壁において、中空とされている。変形例では、これらアパーチャーは、ケーシングまたは制動機内部で使用されるファンから構成された通気回路を囲むその他の密閉体内で、中空とされている。
【0236】
本発明のすべての実施例では、所定タイプのブレードを、求心または螺旋−求心ブレードに置換し、吸引空気流が、ラジアル方向または制動機のシャフトの軸線に対して傾斜した方向に進入するようにすることが可能である。
【0237】
本発明で使用されているブレードを含むファンは、一般に回転要素、例えば制動機のロータまたはシャフトに取り付けられる。第1の変形例では、このファンの係合を外すことが可能となっている。かかるファンでは、一般に電気信号である制御信号により、ブレードを回転駆動することが要求される。
【0238】
第2の変形例では、このファンは、制動機の回転要素から独立している。この第2変形例では、ファンのブレードは、制動機の回転要素には接続されておらず、独立したこのファンは、自己の駆動手段、例えばDC電動モータを有する。独立したファンのブレードの回転速度は、制動機の回転要素の回転速度から独立している。
【0239】
当然ながら、上記のすべての組み合わせが可能である。従って、図1では、ファンのフランジは、変形例としてその内周部がシャフト110の一部に固定されるようになっているコアに固定されている。
【0240】
図6aおよび図7bにおけるバー655は、図1に示したロータ101を備えている。図10a〜図10bにおいて、中心フランジにコアを取り付けることができ、軸方向コアのまわりにコイルが巻かれ、コイルは、シャフト110に取り付けられた中心フランジに固定された、図4に示すブレードと同じタイプのブレードにより冷却される。
【0241】
図13において、ロータの数を増し、従って、チャンバ122の数を増すことが可能である。このチャンバは、ケーシングのラジアル壁または壁、またはケーシングの軸方向を向いた周辺壁に設けることができる。
【0242】
いずれのケースにおいても、図6aにおいて、符号603が付けられ、シャフト110とケーシング102との間で作動するベアリングは、良好に冷却される。図1において、ロータの両端に、フランジに接続された軸方向コアを設けることができる。コイルのヘッドは、フィン、またはフランジによって支持されているその他の突起によって形成される。
【0243】
すべての図面において、シャフト110は、ロータおよび制動機の軸線である軸を有する。
【0244】
数個のチャンバがある場合、このチャンバに、異なる流量で冷却液を供給し、ステータ内の温度を均一にすることが可能である。冷却液は、自動車の冷却液のタイプと異なるタイプのものとすることができる。
【0245】
従って、図14では、中心中心122の流量は、横方向の端部チャンバの流量よりも大きい。図15では、シャフト110の軸線から径方向に最も離間している頂部チャンバ内の冷却液の流量は、底部チャンバ内の冷却液の流量よりも大きくなっている。
【0246】
図1では、チャンバ112内の冷却液の流量は、チャンバ113の流量よりも大きい。いずれも用途に応じて決まる。
【0247】
以上の説明および図面から、「取り付けられた」なる用語は、固定されていることを意味することが明らかである。
【0248】
図中、発電機は、シャフト110に固定されたロータ、およびケーシング102またはステータ170に固定されたステータを有する。変形例では、コイルに給電するようになっている発電機は、ステータによって支持されたブラシと、シャフト110によって支持された環状トラックとを有する。変形例では、ケーシングまたはステータの少なくとも1つのラジアル壁は、ロータ110の軸線に対して傾斜した壁と置換されている。
【0249】
図15、図17、図18、図19では、発電機の誘導ロータは、フランジ980に固定され、次に、自らがシャフト110に固定されているスリーブによって支持されている。従って、被誘導ロータは、シャフト110に対して回転自在とされている。従って、被誘導ロータは、シャフト110に対して回転自在に固定されている。
【0250】
このことは、他の図面でも当てはまり、冷却チャンバが存在することは、不可欠なことではない。いずれの図においても、ステータは、上記のように、少なくとも1つの冷却チャンバチャンバを支持している。
【0251】
同じシリーズ内のブレードは、ノイズを低減するように、不規則な態様で分散されているのが好ましい。変形例では、ケーシングに制動機のステータが取り付けられ、このステータは、少なくとも1つの冷却チャンバを支持する本体を有する。ケーシングに取り付けられるのは、この本体である。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】冷却チャンバおよびその壁と、入口アパーチャーおよび排出アパーチャーと、ロータおよび発電機に取り付けられたブレードとを備える、本発明に係わる制動機の軸方向部分の断面略図である。
【図2】スロットルスロートにより、互いに分離された2つの冷却チャンバを貫通する排出アパーチャーの平面部分の略図である。
【図3a】内部で空気流が吸引と同じ方向を有する、本発明に係わる制動機の略透視図である。
【図3b】内部で空気流が吸引と反対方向を有する、本発明に係わる制動機の図3aに類似する略図である。
【図3c】内部の空気流が平行に流れる、本発明に係わる制動機の図3aに類似する略図である。
【図3d】制動機のケーシングのラジアル壁に形成されたアパーチャーの図1に類似する略図である。
【図4】図1における制動機で使用される部分の変形例である部分を備える本発明に係わる制動機の、図1に類似する略図である。
【図5】吸引または排出専用の役割を有するブレードを備える、本発明に係わる制動機の図4に類似する略図である。
【図6a】ファンを備えた、本発明に係わる制動機のロータの三次元の分解略図である。
【図6b】ファンを備えた、本発明に係わる制動機のロータの三次元の分解略図である。
【図7a】ファンを備えた、本発明に係わる制動機のロータの三次元の斜視図である。
【図7b】ファンを備えた、本発明に係わる制動機のロータの三次元の斜視図である。
【図8a】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図8b】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図8c】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図9a】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図9b】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図9c】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図9d】種々の配向のうちの1つにおける制動機のケーシングの三次元の略図である。
【図10a】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図10b】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図10c】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図10d】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図10e】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図10f】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図11a】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図11b】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図11c】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図12a】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図12b】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図13】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図14】ロータのシャフトの軸線に対して横方向のチャンバを備えた、本発明に係わる制動機の変形例の軸方向正面部分断面図である。
【図15】本発明に係わる制動機の軸方向部分断面略図である。
【図16a】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図16b】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図16c】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図16d】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図16e】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図16f】リングへの軸方向ブレードの固定を示す部分斜視断面図である。
【図17】本発明に係わる制動機の軸方向部分断面略図である。
【図18】本発明に係わる制動機の軸方向部分断面略図である。
【図19a】本発明に係わる制動機の軸方向部分断面略図である。
【図19b】部分の取り付けを示す正面図である。
【符号の説明】
【0253】
100 制動機
101 ロータ
102 ケーシング
103、104 ヘッド
105 本体
106、107 ヘッド
108、109 ヘッド
110 シャフト
111、112 冷却チャンバ
120 開口部
122 冷却チャンバ
130 ロータ
131 誘導ステータ
140〜142 ブレード
150 フランジ
161〜164 開口部
170 ステータ
179 吸引空気流
180〜182 排出空気流
203 スロート
330 ハウジング
400 制動機
405、406、407 ブレード
420、421 フレーム
500 制動機
501〜506 ブレード
510、511 吸引空気流
521〜523 排出空気流
601、602 ファン
603 ベアリング
609 ネジ
612 ショルダー
620 ベース
630 支持体
641 中心リング
642 傾斜ブレード
651 中心リング
652 ブレード
653 支持体
655 係止バー
800 ケーシング
801 中心部分
802、803 端部
805 孔
808 アパーチャー
809 アーム
810 排出アパーチャー
811 フィン
813 孔
820 軸線
905 内側リング
906 外側リング
930〜935 孔
940 ブレード
945 ブレード
947 空気流
949 開口部
950 ブレード
952、953 排出空気流
954 ベース
960 排出孔
962 プレート
968、969 ブレード
970,971 ブレード
1001 ブレード
1003 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルおよび本体を備え、この本体が取り付けられているロータと、
軸線を有し、前記ロータを共に回転するように駆動するシャフトと、
前記ロータを囲むか、または収容するステータまたはケーシングと、
空気流を発生するための手段と、
前記制動機のロータのコイルに給電するための発電機とを備える電磁制動機において、
前記空気流が進入できるようにする少なくとも1つの入口アパーチャーおよび前記空気流が出るようにする少なくとも1つの排出アパーチャーとを備え、前記少なくとも1つの排出アパーチャーは、前記制動機のケーシングまたはステータによって支持された2つの冷却チャンバの間に、または1つ以上の冷却チャンバを貫通するように形成されていることを特徴とする電磁制動機。
【請求項2】
前記冷却チャンバは、スロットルスロートによって共に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの入口アパーチャーは、前記シャフトの軸線に対して、径方向または傾斜するように配向されたスロットルスロートまたはケーシングの壁の一部に形成されており、シャフトに平行な空気流の進入を可能にするようになっていることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの排出アパーチャーは、前記シャフトの軸線に対して軸方向に配向されたステータまたはケーシングの壁の一部に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項5】
吸引空気流および排出空気流を生じさせる少なくとも1つのブレードを含むことを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項6】
前記ブレードは、そのベースに開口部を備え、この開口部によって空気流が通過できるようになっていることを特徴とする、請求項5記載の電磁制動機。
【請求項7】
前記ブレードは、前記シャフトの軸線に平行な吸引空気流およびこの軸線に平行な排出空気流を形成する軸流ブレードとなっていることを特徴とする、請求項5記載の電磁制動機。
【請求項8】
前記ロータは、前記シャフトと前記コイルの間に少なくとも1つの開口部を備え、この開口部によって空気流が通過できるようになっていることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項9】
前記発電機は、前記シャフトと前記コイルの間に、少なくとも1つの開口部を備え、この開口部によって空気流が通過できるようになっていることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項10】
係合を外すことが可能なファンを備えることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。
【請求項11】
独立したファンを備えることを特徴とする、請求項1記載の電磁制動機。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図10f】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図16d】
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【図16e】
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【図16f】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【公表番号】特表2007−515147(P2007−515147A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544489(P2006−544489)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003199
【国際公開番号】WO2005/062444
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506209673)
【Fターム(参考)】