運転支援装置
【課題】よりドライバーに違和感を与えずに運転支援を行なうことが可能な運転支援装置を提供する。
【解決手段】信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する通信装置104と、通信装置104が取得した信号機情報に基づいた最初のサービスを実行可能であり、最初のサービスの実行後に、信号機情報に基づいた後続のサービスを実行可能なインフラ協調ECU110とを備えた運転支援装置100において、インフラ協調ECU110は、第最初のサービス及び後続のサービスの内のいずれか一方を実行しないときは、もう一方のサービスも実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【解決手段】信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する通信装置104と、通信装置104が取得した信号機情報に基づいた最初のサービスを実行可能であり、最初のサービスの実行後に、信号機情報に基づいた後続のサービスを実行可能なインフラ協調ECU110とを備えた運転支援装置100において、インフラ協調ECU110は、第最初のサービス及び後続のサービスの内のいずれか一方を実行しないときは、もう一方のサービスも実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関し、特には、信号機の点灯状態に関する信号機情報に基づいた運転支援を行なう運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報によって、運転支援を行う装置が提案されている。例えば、特許文献1には、信号機に信号機情報を発信するDSRC送信機を設け、車両には車載機を搭載したシステムが開示されている。このシステムでは、車載機のDSRC受信機により信号機情報を受信し、受信した情報から信号機の点灯状態と変化タイミングとを求めて、この信号機の点灯状態と変化タイミングとを車載機の表示装置に表示させることにより、運転者が、信号機の点灯状態が変わるまでの時間を認識した上で走行することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−171459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記技術のように信号機情報を用いた運転支援装置では、不要な情報提供や過度の情報提供を防止するため、所定の条件を満たす場合には、信号機情報に基づく情報提供を行わない場合がある。しかしながら、上記技術では、連続して複数の種類の情報提供が通常は行われる装置において、一部の種類の情報提供しかなされないと、ドライバーが装置の異常と誤解し、違和感を覚える可能性がある。
【0005】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、よりドライバーに違和感を与えずに運転支援を行なうことが可能な運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、第1の運転支援の実行後に、信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットとを備え、運転支援実行ユニットは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のもう一方も実行しない運転支援装置である。
【0007】
この構成によれば、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、第1の運転支援の実行後に、信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットとを備えた運転支援装置において、運転支援実行ユニットは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のもう一方も実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【0008】
この場合、運転支援実行ユニットは、第2の運転支援を実行しないときは、第1の運転支援も実行しないことが好適である。
【0009】
この構成によれば、後の第2の運転支援を実行しないときは、最初の第1の運転支援も実行しないため、最初の第1の運転支援が実行されたにもかかわらず、後の第2の運転支援が行なわれないといったドライバーに違和感を与える事態をより効果的に防止できる。
【0010】
この場合、第1の運転支援は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、第2の運転支援は、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であることが好適である。
【0011】
この構成によれば、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知及び信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、信号待ち時間通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0012】
また、第1の運転支援は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、第2の運転支援は、信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告であることが好適である。
【0013】
この構成によれば、赤信号通知及び信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、赤信号警告が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0014】
また、第1の運転支援は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内であり、第2の運転支援は、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストであることが好適である。
【0015】
この構成によれば、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内及び自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストのどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、一時停止案内が実施されたにもかかわらず、ブレーキアシストが実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0016】
また、第1の運転支援は、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であり、第2の運転支援は、信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知であることが好適である。
【0017】
この構成によれば、信号待ち時間通知及び信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、信号待ち時間通知が実施されたにもかかわらず、発進通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0018】
また、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満であるときは、運転支援実行ユニットは信号待ち時間通知を実行しないことが好適である。
【0019】
この構成によれば、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満と短く、信号待ち時間通知の必要性が低いときに、運転支援実行ユニットは信号待ち時間通知を実行しないため、過度の情報提供によりドライバーに煩わしさを与えることを防止できる。
【0020】
また、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯する場合にのみ、運転支援実行ユニットは、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないことが好適である。
【0021】
この構成によれば、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯し、赤信号通知が実施された場合のように、ドライバーが信号待ち時間通知が実行されることを期待しがちな場合においてのみ、運転支援実行ユニットは、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0022】
さらに、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長い場合にのみ、運転支援実行ユニットは、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないことが好適である。
【0023】
赤信号警告は高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号が点灯される時間が長い場合でも、必ずしも赤信号警告の実施が可能ではないことがある。そこで、この構成によれば、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長く、ドライバーが赤信号警告が必ず実施されることを期待しがちな場合においてのみ、運転支援実行ユニットは、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の運転支援装置によれば、よりドライバーに違和感を与えずに運転支援を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転支援装置の赤信号通知時の動作を示すフロー図である。
【図3】経路案内時の表示画面の一例を示す図である。
【図4】赤信号通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図5】信号待ち時間通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図6】赤信号警告サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図7】発進通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図8】実施形態に係る運転支援装置の一時停止案内時の動作を示すフロー図である。
【図9】(A)は矢灯器を点灯しない信号サイクルを示す図であり、(B)は矢灯器を点灯する信号サイクルを示す図である。
【図10】矢灯器の点灯の有無による赤信号通知及び赤信号待ち時間通知の実施及び不実施を示す表である。
【図11】赤信号の点灯時間による赤信号通知及び赤信号警告の実施及び不実施を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る運転支援装置100は、インフラ協調ECU110に、GPS101、前方カメラ102、ミリ波レーダ103、通信装置104、車速センサ105、ディスプレイ106、ACCスイッチ107、PCSスイッチ108、ドライバー認証ユニット109、記憶装置(HDD)120、ブレーキアクチュエータ131、アクセルアクチュエータ132及びスピーカ140を備えている。本実施形態の運転支援装置100は、通信装置104が光ビーコン等の路側施設から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101及び記憶装置120によるナビゲーションの情報とを協調させて、信号機情報に基づいた様々な運転支援を行なうための装置である。
【0028】
GPS(Global Positioning System)101は、複数のGPS衛生からの信号をGPS受信機で受信し、各々の信号の相違から自車両の位置を測位するためのものである。
【0029】
前方カメラ102は、信号機、停止線及び自車両前方の先行車両を撮像することにより、信号機の点灯状態、信号機及び停止線の位置、先行車両の速度(相対速度を含む)、減速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。
【0030】
ミリ波レーダ103は、自車両前方の先行車両の速度(相対速度を含む)、加速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。レーダ103は、前方にミリ波を照射し、物体に反射して戻ってくる反射波を受信し、先行車両の車速、減速度、車間距離及び車間時間を検出するセンサである。
【0031】
通信装置104は、具体的には光ビーコン受信機や車車間通信機であり、路側施設の光ビーコン送信機や他車両から送信された信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や信号機の位置や停止線の位置に関する情報を取得するためのものである。信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報には、信号機の表示する信号の変遷に関する情報である信号サイクルや、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等が含まれる。車速センサ105は、車軸の回転数から自車両の車速を検出するセンサである。
【0032】
ディスプレイ106は、画面表示により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報や、赤信号で交差点に侵入する旨の警告である赤信号警告等を運転者に表示するためのものである。
【0033】
ACCスイッチ107は、所望の設定車速で自車両を先行車両に対して追従走行させるACC(Adaptive Cruise Control)を実行するためのスイッチである。PCSスイッチ108は、自車両が障害物に接触することを防止し、自車両が障害物に接触したときの被害を軽減するPCS(Pri-Crush Safety)を実行するためのスイッチである。
【0034】
ドライバー認証ユニット109は、IDカードの挿入、暗証番号及びパスワードの入力及び指紋又は虹彩等の生体認証等により、自車両を運転するドライバーそれぞれの認証を行うためのものである。
【0035】
ブレーキ量センサ150は、ブレーキペダルの踏み込み量や、ホイールシリンダの油圧を検出するためのセンサである。
【0036】
記憶装置(HDD:hard disk drive)120は、地図情報が記録された地図情報DB121を有しており、インフラ協調ECU110及びナビECU130が、GPS101によって得られた自車両の測位情報と併せて自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報を取得するためのものである。あるいは、記憶装置120には、各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報が記録される。また、記憶装置120は、走行履歴DB122を有している。走行履歴DB122には、自車両を運転したドライバーごとの走行履歴が記録される。
【0037】
インフラ協調ECU110は、通信装置104が光ビーコン送信機から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101の測位情報及び地図情報DB121から得られた自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報と、車速センサ105によって取得した自車両の車速と、ミリ波103及びカメラ102によって取得した前方車両及び信号機に関する情報と、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報とに基づいて、ディスプレイ106及びスピーカ107により、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等を運転者に提供したり、ブレーキアクチュエータ131やアクセルアクチュエータ132を駆動して、自車両の走行を自動的に制御するためのものである。
【0038】
ブレーキアクチュエータ131は、ホイールシリンダの油圧を制御するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ131は、インフラ協調ECU110からの制御信号に応じてアクチュエータを作動させてホイールシリンダに所定の油圧を発生させる。
【0039】
アクセルアクチュエータ132は、スロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。アクセルアクチュエータ132は、インフラ協調ECU110からの目標スロットル開度信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
【0040】
スピーカ140は、音声により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等や赤信号警告等を運転者に報知するためのものである。なお、本実施形態において、前方カメラ102、ミリ波レーダ103及び通信装置104及びナビECU130は、必ずしも全て装備されていなくとも良い。
【0041】
以下、本実施形態の運転支援装置100の動作について説明する。図2に示すように、インフラ協調ECU110は、通信装置104によって、路側インフラクチャーの光ビーコン送信機や車車間通信機からの信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や、道路形状に関する情報を受信しているか、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や道路形状に関する情報を取得しているものとする。
【0042】
インフラ協調ECU110は、前提として、取得した信号機情報により、信号機情報を利用したサービス(運転支援)が可能であるか否かを判断する(S11)。取得できた信号機情報により判明する信号の点灯時間が短い場合、信号の点灯時間が特定できない場合、信号機情報が不明である場合、あるいは自車両から信号機の停止線までの距離が短い場合は、インフラ協調ECU110は、信号待ち時間を通知するサービスを実行しない。
【0043】
現在の信号機の灯色が赤信号である場合(S12)、インフラ協調ECU110は、自車両が信号機の交差点に到達した時も、赤信号が点灯しているか否かを判定する(S13)。自車両の交差点到達時に赤信号が点灯しているか否かは、赤信号の残り点灯時間、自車両と停止線までの残りの距離、自車両の車速、加速度、ブレーキの作動状態及びアクセルの作動状態等により判定される。
【0044】
自車両の交差点到達時に赤信号が点灯している場合(S13)、インフラ協調ECU110は、停止時に、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知が実施可能か否かを判定する(S14)。信号待ち時間通知が可能か否かは、交差点到達時にも十分な赤信号の残り時間があるか否かや、ドライバーにより予め信号待ち時間通知を行なうための設定がなされているか否かで判定される。交差点到達時にも十分な赤信号の残り時間があるか否かは、例えば、現在の車速V[km/h]、停止線までの残りの距離D[m]、赤信号の残りの点灯時間t[秒]とした場合に、t−{D/(V/3.6)}≧T[秒]が成立するか否かで判定することができる。Tは閾値であり、例えば1〜5[秒]とすることができる。すなわち、現在の車速Vで走行した場合に、停止線での赤信号の残り点灯時間tがT[秒]以上と長い場合に、信号待ち時間通知が可能であると判定される。
【0045】
停止時に信号待ち時間通知が可能であると判定された場合(S14)、インフラ協調ECU110は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知を実施する(S15)。図3に示すように、赤信号通知等の信号機情報を利用したサービスが行なわれない場合、ディスプレイ106の画面表示200には、自車両の現在位置を示す2D地図表示210が全面に表示される。一方、図4に示すように、赤信号通知が行なわれる場合、ディスプレイ106の画面表示200には、左半面に自車両の現在位置を示す2D地図表示210が表示され、右半面に現在自車両が通過しようとしている信号機の交差点付近の3Dドライバーズビュー表示220が表示される。
【0046】
赤信号通知等のサービスを実施可能か否かはドライバーからは判りにくいため、ドライバーが理解しやすいように、本実施形態では、画面表示200中に赤信号通知サービスが実施されていることを示すサービス実施表示アイコン230が表示され、サービス内容表示アイコン240内に赤信号が点灯中であることが表示される。あるいは、事前にスピーカ107により、音声で赤信号通知を実施可能か否かが通知されるようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、一部の赤信号の次の信号が不明であるときは、信号サイクル表示バー250に取得ずみの信号機情報と、信号機情報の取得時から赤信号の残り時間を表示可能な時間が、取得済み信号サイクル時間表示251に表示される。
【0048】
自車両が信号機の停止線に到達した時には、図5に示すように、ディスプレイ106の画面表示200には、信号待ち時間通知サービスが実施されていることを示すサービス実施表示アイコン230が表示され、サービス内容表示アイコン240内に赤信号の残り時間が5秒間隔で表示される。あるいは、事前にスピーカ107により、音声で信号待ち時間通知サービスを実施可能か否かが通知されるようにしても良い。
【0049】
一方、停止時に信号待ち時間通知が不可能であると判定された場合(S14)、インフラ協調ECU110は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知も実施しない(S15)。
【0050】
本実施形態においては、ドライバーが同じ分類のサービスであると判断する様々なサービスにおいて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0051】
例えば、図6に示すように、信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告を実施することが不可能な場合は、インフラ協調ECU110は、図4に示すような赤信号通知を最初に実施しないものとできる。赤信号警告を実施することが不可能な場合とは、例えば、交差点に進入するまでの残り時間が所定の閾値未満と短いため、赤信号警告が不必要なサービスとなる場合等が考えられる。このような場合、最初に赤信号通知が実施されず、自車両が交差点に進入するときには赤信号警告も実施されない。
【0052】
また、図7に示すように、信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知を実施することが不可能な場合は、インフラ協調ECU110は、図5に示すような信号待ち時間通知を最初に実施しないものとできる。発進通知を実施することが不可能な場合とは、例えば、渋滞等により、発進通知が不必要なサービスとなる場合等が考えられる。このような場合、最初に信号待ち時間通知が実施されず、信号機が青信号に変わっても発進通知も実施されない。
【0053】
また、本実施形態は信号機だけではなく、一時停止等の交通規則に対するサービスにも適用できる。自車両が、一時停止がある交差点を走行している場合(S21)、インフラ協調ECU110は、自車両が対象となる一時停止の交通規則がある交差点の区域に進入したか否かを判定する(S22)。自車両が一時停止の区域に進入したと判定されるとき(S22)、インフラ協調ECU110は、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシスト(BA)が実施可能であるか否かを判定する(S23)。ブレーキアシストが実施可能か否かは、例えば、自車両に一時停止を行わせるためブレーキアシストが可能な機能が存在する場合であり、ブレーキアシストに必要な地図情報の取得及び自車両の位置の演算が可能な場合であり、且つ、過去にブレーキアシストを実施した場所である場合は、ブレーキアシストが実施可能であると判定されても良い。
【0054】
ブレーキアシストが実施可能であると判定された場合(S23)、インフラ協調ECU110は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内を、ディスプレイ106やスピーカ140により報知する(S24)。次に、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストが実施される。一方、ブレーキアシストが実施不可能であると判定された場合(S23)、インフラ協調ECU110は、一時停止案内も実施しない(S24)。
【0055】
本実施形態においては、各サービスのHMI(Human Machine Interface)に応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0056】
例えば、サービスがドライバーにとって認知しやすいHMIによるサービスの場合に限り、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。ドライバーが認知しやすいHMIの場合、ドライバーが最初のサービスにより後のサービスの稼動状況を判断する可能性が高いからである。例えば、音声で通知するサービスの場合、最初のサービスが実施されたか否かで、ドライバーは後のサービスが実施される否かを判断する傾向がある。そこで、音声によるサービスの場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させる。
【0057】
一方、後続のサービスがドライバーが認知しにくいHMIによるサービスの場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させる必要は必ずしもない。ドライバーがサービスを受けていることを認識できない場合、その前のサービスを実施しても、ドライバーに誤解や違和感を与えず、問題にならないからである。例えば、音声で通知するサービスの後に、ブレーキアシストを実施する場合、ブレーキアシストの実施の可否によらず、音声によるサービスを実施しても良い。なお、ドライバーが認知しやすいHMIによるサービスか否かは、音声の有無や、表示の大きさや、表示位置や、表示時間により決定しても良い。
【0058】
また、本実施形態においては、各サービスの実施頻度に応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。例えば、後続のサービスの実施頻度が少ない(ほとんどのケースにおいて実施されない)場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させないものとできる。ドライバーが後続のサービスが実施されなくても違和感を持たないからである。実施頻度の少ないサービスとは、例えば、障害物に接触時のPCS等が挙げられる。
【0059】
また、最初のサービスと後続のサービスとの実施頻度が大きく異なる場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させないものとできる。ドライバーが2つのサービスが連動(関係)していると誤解する可能性が低いからである。
【0060】
一方、最初のサービスと後続のサービスとの実施する機会及び場面がほぼ同じ場合に限って、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。例えば、赤信号通知と信号待ち時間通知との場合、赤信号で交差点に接近した際に実施されるため、同じ機会に実施されることが多い。そのため、ドライバーが2つのサービスが連動(関係)していると誤解する可能性が高い。そこで、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される信号待ち時間通知の実施の可否に依存させることが好ましい。
【0061】
また、信号機情報を利用した運転支援装置100の場合、信号機の信号サイクルに応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0062】
例えば、図9(A)に示すような、青、黄及び赤と点灯される信号が変遷している信号サイクルと、図9(B)に示すような、青、黄、短赤(短い点灯時間の赤)、赤+矢灯器及び赤と点灯される信号サイクルとがある。信号待ち時間通知は、赤信号の残り点灯時間を通知するため、短赤の次が図9(B)に示すような赤+矢灯器の場合、停止時に短赤あるいは赤+矢灯器の残り点灯時間が短いと、上述したように信号待ち時間通知が不必要なサービスとなる判断されるために実施されないことがある。ところが、最初に赤信号通知が実施され、停止時に赤+矢灯器が点灯している場合、実質的にドライバーの信号待ち時間は長いため、ドライバーは信号待ち時間通知を期待してしまう可能性が高い。
【0063】
一方、図9(A)に示すような赤信号の次に再度青信号が点灯される信号サイクルでは、赤信号通知後の停止時に、赤信号の残りの点灯時間が短いために信号待ち時間通知がなされなかったとしても、その後、すぐに青となるため、ドライバーに与える違和感は少ない。
【0064】
そこで、本実施形態では、図10に示すように、赤+矢灯器が点灯される場合に限り、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される信号待ち時間通知の実施の可否に依存させることとできる。
【0065】
また、赤信号警告は、高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号の点灯時間が十分にある場合でも、実施できない可能性がある。ところが、赤信号通知が実施され、赤信号が点灯している場合、ドライバーが赤信号警告も実施されると期待してしまう可能性がある。一方、赤信号の点灯時間が短い場合は、赤信号警告が実施されない可能性がもともと高いため、赤信号通知の後に赤信号警告が実施されなくとも、ドライバーに与える違和感は少ない。
【0066】
そこで、本実施形態では、図11に示すように、赤信号の点灯時間が十分に長い場合(例えば、全国的な平均以上の赤信号の点灯時間の場合)に限り、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される赤信号警告の実施の可否に依存させることとできる。
【0067】
さらに、本実施形態では、同じ区域でのサービスが3種以上の場合も同様に、各サービスのHMIや実施頻度に応じて、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される赤信号警告の実施の可否に依存させるか否かを決定することができる。
【0068】
各サービスの実施頻度に応じて決定する場合、例えば、最初の信号機情報取得時に赤信号であれば、赤信号通知が実施されるシステムを想定する。このシステムでは、次に、赤信号をドライバーが認知していないと認められる場合は、ドライバーに注意を喚起する赤信号注意喚起が実施されるものとする。このシステムでは、最後の交差点での停止時に赤信号であれば信号待ち時間通知が実施されるものとする。
【0069】
上記の3つのサービスが行なわれるシステムでは、赤信号通知と信号待ち時間通知との実施頻度及び実施される状況はほぼ同等であるため、赤信号注意喚起の実施可否は考慮に入れず、信号待ち時間通知の実施可否のみを考慮し、赤信号通知の実施可否を決定するものとできる。
【0070】
本実施形態では、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する通信装置104と、通信装置104が取得した信号機情報に基づいた最初のサービスを実行可能であり、最初のサービスの実行後に、信号機情報に基づいた後続のサービスを実行可能なインフラ協調ECU110とを備えた運転支援装置100において、インフラ協調ECU110は、第最初のサービス及び後続のサービスの内のいずれか一方を実行しないときは、もう一方のサービスも実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、後続のサービスを実行されないときは、最初のサービスも実行されないため、最初のサービスが実行されたにもかかわらず、後のサービスが行なわれないといったドライバーに違和感を与える事態をより効果的に防止できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知及び信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、信号待ち時間通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、赤信号通知及び信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、赤信号警告が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内及び自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストのどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、一時停止案内が実施されたにもかかわらず、ブレーキアシストが実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、信号待ち時間通知及び信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、信号待ち時間通知が実施されたにもかかわらず、発進通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満と短く、信号待ち時間通知の必要性が低いときに、インフラ協調ECU110は信号待ち時間通知を実行しないため、過度の情報提供によりドライバーに煩わしさを与えることを防止できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯し、赤信号通知が実施された場合のように、ドライバーが信号待ち時間通知が実行されることを期待しがちな場合においてのみ、インフラ協調ECU110は、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0078】
さらに、赤信号警告は高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号が点灯される時間が長い場合でも、必ずしも赤信号警告の実施が可能ではないことがある。そこで、本実施形態では、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長く、ドライバーが赤信号警告が必ず実施されることを期待しがちな場合においてのみ、インフラ協調ECU110は、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0079】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
100…運転支援装置、101…GPS、102…前方カメラ、103…ミリ波レーダ、104…通信装置、105…車速センサ、106…ディスプレイ、107…ACCスイッチ、108…PCSスイッチ、109…ドライバー認証ユニット、110…インフラ協調ECU、120…記憶装置(HDD)、121…地図情報DB、122…ブレーキECU、131…ブレーキアクチュエータ、132…アクセルアクチュエータ、140…スピーカ、150…ブレーキ量センサ、200…画面表示、210…2D地図表示、220…3Dドライバーズビュー表示、230…サービス実施表示アイコン、240…サービス内容表示アイコン、250…信号サイクル表示バー、251…取得済み信号サイクル時間表示。
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関し、特には、信号機の点灯状態に関する信号機情報に基づいた運転支援を行なう運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報によって、運転支援を行う装置が提案されている。例えば、特許文献1には、信号機に信号機情報を発信するDSRC送信機を設け、車両には車載機を搭載したシステムが開示されている。このシステムでは、車載機のDSRC受信機により信号機情報を受信し、受信した情報から信号機の点灯状態と変化タイミングとを求めて、この信号機の点灯状態と変化タイミングとを車載機の表示装置に表示させることにより、運転者が、信号機の点灯状態が変わるまでの時間を認識した上で走行することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−171459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記技術のように信号機情報を用いた運転支援装置では、不要な情報提供や過度の情報提供を防止するため、所定の条件を満たす場合には、信号機情報に基づく情報提供を行わない場合がある。しかしながら、上記技術では、連続して複数の種類の情報提供が通常は行われる装置において、一部の種類の情報提供しかなされないと、ドライバーが装置の異常と誤解し、違和感を覚える可能性がある。
【0005】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、よりドライバーに違和感を与えずに運転支援を行なうことが可能な運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、第1の運転支援の実行後に、信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットとを備え、運転支援実行ユニットは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のもう一方も実行しない運転支援装置である。
【0007】
この構成によれば、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、信号機情報取得ユニットが取得した信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、第1の運転支援の実行後に、信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットとを備えた運転支援装置において、運転支援実行ユニットは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、第1の運転支援及び第2の運転支援の内のもう一方も実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【0008】
この場合、運転支援実行ユニットは、第2の運転支援を実行しないときは、第1の運転支援も実行しないことが好適である。
【0009】
この構成によれば、後の第2の運転支援を実行しないときは、最初の第1の運転支援も実行しないため、最初の第1の運転支援が実行されたにもかかわらず、後の第2の運転支援が行なわれないといったドライバーに違和感を与える事態をより効果的に防止できる。
【0010】
この場合、第1の運転支援は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、第2の運転支援は、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であることが好適である。
【0011】
この構成によれば、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知及び信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、信号待ち時間通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0012】
また、第1の運転支援は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、第2の運転支援は、信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告であることが好適である。
【0013】
この構成によれば、赤信号通知及び信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、赤信号警告が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0014】
また、第1の運転支援は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内であり、第2の運転支援は、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストであることが好適である。
【0015】
この構成によれば、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内及び自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストのどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、一時停止案内が実施されたにもかかわらず、ブレーキアシストが実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0016】
また、第1の運転支援は、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であり、第2の運転支援は、信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知であることが好適である。
【0017】
この構成によれば、信号待ち時間通知及び信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、信号待ち時間通知が実施されたにもかかわらず、発進通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0018】
また、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満であるときは、運転支援実行ユニットは信号待ち時間通知を実行しないことが好適である。
【0019】
この構成によれば、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満と短く、信号待ち時間通知の必要性が低いときに、運転支援実行ユニットは信号待ち時間通知を実行しないため、過度の情報提供によりドライバーに煩わしさを与えることを防止できる。
【0020】
また、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯する場合にのみ、運転支援実行ユニットは、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないことが好適である。
【0021】
この構成によれば、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯し、赤信号通知が実施された場合のように、ドライバーが信号待ち時間通知が実行されることを期待しがちな場合においてのみ、運転支援実行ユニットは、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0022】
さらに、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長い場合にのみ、運転支援実行ユニットは、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないことが好適である。
【0023】
赤信号警告は高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号が点灯される時間が長い場合でも、必ずしも赤信号警告の実施が可能ではないことがある。そこで、この構成によれば、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長く、ドライバーが赤信号警告が必ず実施されることを期待しがちな場合においてのみ、運転支援実行ユニットは、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の運転支援装置によれば、よりドライバーに違和感を与えずに運転支援を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る運転支援装置の赤信号通知時の動作を示すフロー図である。
【図3】経路案内時の表示画面の一例を示す図である。
【図4】赤信号通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図5】信号待ち時間通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図6】赤信号警告サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図7】発進通知サービスの実施時における表示画面の一例を示す図である。
【図8】実施形態に係る運転支援装置の一時停止案内時の動作を示すフロー図である。
【図9】(A)は矢灯器を点灯しない信号サイクルを示す図であり、(B)は矢灯器を点灯する信号サイクルを示す図である。
【図10】矢灯器の点灯の有無による赤信号通知及び赤信号待ち時間通知の実施及び不実施を示す表である。
【図11】赤信号の点灯時間による赤信号通知及び赤信号警告の実施及び不実施を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る運転支援装置100は、インフラ協調ECU110に、GPS101、前方カメラ102、ミリ波レーダ103、通信装置104、車速センサ105、ディスプレイ106、ACCスイッチ107、PCSスイッチ108、ドライバー認証ユニット109、記憶装置(HDD)120、ブレーキアクチュエータ131、アクセルアクチュエータ132及びスピーカ140を備えている。本実施形態の運転支援装置100は、通信装置104が光ビーコン等の路側施設から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101及び記憶装置120によるナビゲーションの情報とを協調させて、信号機情報に基づいた様々な運転支援を行なうための装置である。
【0028】
GPS(Global Positioning System)101は、複数のGPS衛生からの信号をGPS受信機で受信し、各々の信号の相違から自車両の位置を測位するためのものである。
【0029】
前方カメラ102は、信号機、停止線及び自車両前方の先行車両を撮像することにより、信号機の点灯状態、信号機及び停止線の位置、先行車両の速度(相対速度を含む)、減速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。
【0030】
ミリ波レーダ103は、自車両前方の先行車両の速度(相対速度を含む)、加速度、自車両との車間距離、及び自車両との車間時間を得るために用いられる。レーダ103は、前方にミリ波を照射し、物体に反射して戻ってくる反射波を受信し、先行車両の車速、減速度、車間距離及び車間時間を検出するセンサである。
【0031】
通信装置104は、具体的には光ビーコン受信機や車車間通信機であり、路側施設の光ビーコン送信機や他車両から送信された信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や信号機の位置や停止線の位置に関する情報を取得するためのものである。信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報には、信号機の表示する信号の変遷に関する情報である信号サイクルや、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等が含まれる。車速センサ105は、車軸の回転数から自車両の車速を検出するセンサである。
【0032】
ディスプレイ106は、画面表示により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報や、赤信号で交差点に侵入する旨の警告である赤信号警告等を運転者に表示するためのものである。
【0033】
ACCスイッチ107は、所望の設定車速で自車両を先行車両に対して追従走行させるACC(Adaptive Cruise Control)を実行するためのスイッチである。PCSスイッチ108は、自車両が障害物に接触することを防止し、自車両が障害物に接触したときの被害を軽減するPCS(Pri-Crush Safety)を実行するためのスイッチである。
【0034】
ドライバー認証ユニット109は、IDカードの挿入、暗証番号及びパスワードの入力及び指紋又は虹彩等の生体認証等により、自車両を運転するドライバーそれぞれの認証を行うためのものである。
【0035】
ブレーキ量センサ150は、ブレーキペダルの踏み込み量や、ホイールシリンダの油圧を検出するためのセンサである。
【0036】
記憶装置(HDD:hard disk drive)120は、地図情報が記録された地図情報DB121を有しており、インフラ協調ECU110及びナビECU130が、GPS101によって得られた自車両の測位情報と併せて自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報を取得するためのものである。あるいは、記憶装置120には、各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報が記録される。また、記憶装置120は、走行履歴DB122を有している。走行履歴DB122には、自車両を運転したドライバーごとの走行履歴が記録される。
【0037】
インフラ協調ECU110は、通信装置104が光ビーコン送信機から受信した信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報と、GPS101の測位情報及び地図情報DB121から得られた自車両が走行している経路、走行距離等に関する情報と、車速センサ105によって取得した自車両の車速と、ミリ波103及びカメラ102によって取得した前方車両及び信号機に関する情報と、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報とに基づいて、ディスプレイ106及びスピーカ107により、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等を運転者に提供したり、ブレーキアクチュエータ131やアクセルアクチュエータ132を駆動して、自車両の走行を自動的に制御するためのものである。
【0038】
ブレーキアクチュエータ131は、ホイールシリンダの油圧を制御するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ131は、インフラ協調ECU110からの制御信号に応じてアクチュエータを作動させてホイールシリンダに所定の油圧を発生させる。
【0039】
アクセルアクチュエータ132は、スロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。アクセルアクチュエータ132は、インフラ協調ECU110からの目標スロットル開度信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
【0040】
スピーカ140は、音声により信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する点灯時間情報等や赤信号警告等を運転者に報知するためのものである。なお、本実施形態において、前方カメラ102、ミリ波レーダ103及び通信装置104及びナビECU130は、必ずしも全て装備されていなくとも良い。
【0041】
以下、本実施形態の運転支援装置100の動作について説明する。図2に示すように、インフラ協調ECU110は、通信装置104によって、路側インフラクチャーの光ビーコン送信機や車車間通信機からの信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や、道路形状に関する情報を受信しているか、記憶装置120に記録された各々の場所における過去の信号機の点灯状態に関する時系列の信号機情報や道路形状に関する情報を取得しているものとする。
【0042】
インフラ協調ECU110は、前提として、取得した信号機情報により、信号機情報を利用したサービス(運転支援)が可能であるか否かを判断する(S11)。取得できた信号機情報により判明する信号の点灯時間が短い場合、信号の点灯時間が特定できない場合、信号機情報が不明である場合、あるいは自車両から信号機の停止線までの距離が短い場合は、インフラ協調ECU110は、信号待ち時間を通知するサービスを実行しない。
【0043】
現在の信号機の灯色が赤信号である場合(S12)、インフラ協調ECU110は、自車両が信号機の交差点に到達した時も、赤信号が点灯しているか否かを判定する(S13)。自車両の交差点到達時に赤信号が点灯しているか否かは、赤信号の残り点灯時間、自車両と停止線までの残りの距離、自車両の車速、加速度、ブレーキの作動状態及びアクセルの作動状態等により判定される。
【0044】
自車両の交差点到達時に赤信号が点灯している場合(S13)、インフラ協調ECU110は、停止時に、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知が実施可能か否かを判定する(S14)。信号待ち時間通知が可能か否かは、交差点到達時にも十分な赤信号の残り時間があるか否かや、ドライバーにより予め信号待ち時間通知を行なうための設定がなされているか否かで判定される。交差点到達時にも十分な赤信号の残り時間があるか否かは、例えば、現在の車速V[km/h]、停止線までの残りの距離D[m]、赤信号の残りの点灯時間t[秒]とした場合に、t−{D/(V/3.6)}≧T[秒]が成立するか否かで判定することができる。Tは閾値であり、例えば1〜5[秒]とすることができる。すなわち、現在の車速Vで走行した場合に、停止線での赤信号の残り点灯時間tがT[秒]以上と長い場合に、信号待ち時間通知が可能であると判定される。
【0045】
停止時に信号待ち時間通知が可能であると判定された場合(S14)、インフラ協調ECU110は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知を実施する(S15)。図3に示すように、赤信号通知等の信号機情報を利用したサービスが行なわれない場合、ディスプレイ106の画面表示200には、自車両の現在位置を示す2D地図表示210が全面に表示される。一方、図4に示すように、赤信号通知が行なわれる場合、ディスプレイ106の画面表示200には、左半面に自車両の現在位置を示す2D地図表示210が表示され、右半面に現在自車両が通過しようとしている信号機の交差点付近の3Dドライバーズビュー表示220が表示される。
【0046】
赤信号通知等のサービスを実施可能か否かはドライバーからは判りにくいため、ドライバーが理解しやすいように、本実施形態では、画面表示200中に赤信号通知サービスが実施されていることを示すサービス実施表示アイコン230が表示され、サービス内容表示アイコン240内に赤信号が点灯中であることが表示される。あるいは、事前にスピーカ107により、音声で赤信号通知を実施可能か否かが通知されるようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、一部の赤信号の次の信号が不明であるときは、信号サイクル表示バー250に取得ずみの信号機情報と、信号機情報の取得時から赤信号の残り時間を表示可能な時間が、取得済み信号サイクル時間表示251に表示される。
【0048】
自車両が信号機の停止線に到達した時には、図5に示すように、ディスプレイ106の画面表示200には、信号待ち時間通知サービスが実施されていることを示すサービス実施表示アイコン230が表示され、サービス内容表示アイコン240内に赤信号の残り時間が5秒間隔で表示される。あるいは、事前にスピーカ107により、音声で信号待ち時間通知サービスを実施可能か否かが通知されるようにしても良い。
【0049】
一方、停止時に信号待ち時間通知が不可能であると判定された場合(S14)、インフラ協調ECU110は、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知も実施しない(S15)。
【0050】
本実施形態においては、ドライバーが同じ分類のサービスであると判断する様々なサービスにおいて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0051】
例えば、図6に示すように、信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告を実施することが不可能な場合は、インフラ協調ECU110は、図4に示すような赤信号通知を最初に実施しないものとできる。赤信号警告を実施することが不可能な場合とは、例えば、交差点に進入するまでの残り時間が所定の閾値未満と短いため、赤信号警告が不必要なサービスとなる場合等が考えられる。このような場合、最初に赤信号通知が実施されず、自車両が交差点に進入するときには赤信号警告も実施されない。
【0052】
また、図7に示すように、信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知を実施することが不可能な場合は、インフラ協調ECU110は、図5に示すような信号待ち時間通知を最初に実施しないものとできる。発進通知を実施することが不可能な場合とは、例えば、渋滞等により、発進通知が不必要なサービスとなる場合等が考えられる。このような場合、最初に信号待ち時間通知が実施されず、信号機が青信号に変わっても発進通知も実施されない。
【0053】
また、本実施形態は信号機だけではなく、一時停止等の交通規則に対するサービスにも適用できる。自車両が、一時停止がある交差点を走行している場合(S21)、インフラ協調ECU110は、自車両が対象となる一時停止の交通規則がある交差点の区域に進入したか否かを判定する(S22)。自車両が一時停止の区域に進入したと判定されるとき(S22)、インフラ協調ECU110は、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシスト(BA)が実施可能であるか否かを判定する(S23)。ブレーキアシストが実施可能か否かは、例えば、自車両に一時停止を行わせるためブレーキアシストが可能な機能が存在する場合であり、ブレーキアシストに必要な地図情報の取得及び自車両の位置の演算が可能な場合であり、且つ、過去にブレーキアシストを実施した場所である場合は、ブレーキアシストが実施可能であると判定されても良い。
【0054】
ブレーキアシストが実施可能であると判定された場合(S23)、インフラ協調ECU110は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内を、ディスプレイ106やスピーカ140により報知する(S24)。次に、自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストが実施される。一方、ブレーキアシストが実施不可能であると判定された場合(S23)、インフラ協調ECU110は、一時停止案内も実施しない(S24)。
【0055】
本実施形態においては、各サービスのHMI(Human Machine Interface)に応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0056】
例えば、サービスがドライバーにとって認知しやすいHMIによるサービスの場合に限り、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。ドライバーが認知しやすいHMIの場合、ドライバーが最初のサービスにより後のサービスの稼動状況を判断する可能性が高いからである。例えば、音声で通知するサービスの場合、最初のサービスが実施されたか否かで、ドライバーは後のサービスが実施される否かを判断する傾向がある。そこで、音声によるサービスの場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させる。
【0057】
一方、後続のサービスがドライバーが認知しにくいHMIによるサービスの場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させる必要は必ずしもない。ドライバーがサービスを受けていることを認識できない場合、その前のサービスを実施しても、ドライバーに誤解や違和感を与えず、問題にならないからである。例えば、音声で通知するサービスの後に、ブレーキアシストを実施する場合、ブレーキアシストの実施の可否によらず、音声によるサービスを実施しても良い。なお、ドライバーが認知しやすいHMIによるサービスか否かは、音声の有無や、表示の大きさや、表示位置や、表示時間により決定しても良い。
【0058】
また、本実施形態においては、各サービスの実施頻度に応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。例えば、後続のサービスの実施頻度が少ない(ほとんどのケースにおいて実施されない)場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させないものとできる。ドライバーが後続のサービスが実施されなくても違和感を持たないからである。実施頻度の少ないサービスとは、例えば、障害物に接触時のPCS等が挙げられる。
【0059】
また、最初のサービスと後続のサービスとの実施頻度が大きく異なる場合、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させないものとできる。ドライバーが2つのサービスが連動(関係)していると誤解する可能性が低いからである。
【0060】
一方、最初のサービスと後続のサービスとの実施する機会及び場面がほぼ同じ場合に限って、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。例えば、赤信号通知と信号待ち時間通知との場合、赤信号で交差点に接近した際に実施されるため、同じ機会に実施されることが多い。そのため、ドライバーが2つのサービスが連動(関係)していると誤解する可能性が高い。そこで、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される信号待ち時間通知の実施の可否に依存させることが好ましい。
【0061】
また、信号機情報を利用した運転支援装置100の場合、信号機の信号サイクルに応じて、最初に実施されるサービスの実施の可否を、後に実施されるサービスの実施の可否に依存させることができる。
【0062】
例えば、図9(A)に示すような、青、黄及び赤と点灯される信号が変遷している信号サイクルと、図9(B)に示すような、青、黄、短赤(短い点灯時間の赤)、赤+矢灯器及び赤と点灯される信号サイクルとがある。信号待ち時間通知は、赤信号の残り点灯時間を通知するため、短赤の次が図9(B)に示すような赤+矢灯器の場合、停止時に短赤あるいは赤+矢灯器の残り点灯時間が短いと、上述したように信号待ち時間通知が不必要なサービスとなる判断されるために実施されないことがある。ところが、最初に赤信号通知が実施され、停止時に赤+矢灯器が点灯している場合、実質的にドライバーの信号待ち時間は長いため、ドライバーは信号待ち時間通知を期待してしまう可能性が高い。
【0063】
一方、図9(A)に示すような赤信号の次に再度青信号が点灯される信号サイクルでは、赤信号通知後の停止時に、赤信号の残りの点灯時間が短いために信号待ち時間通知がなされなかったとしても、その後、すぐに青となるため、ドライバーに与える違和感は少ない。
【0064】
そこで、本実施形態では、図10に示すように、赤+矢灯器が点灯される場合に限り、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される信号待ち時間通知の実施の可否に依存させることとできる。
【0065】
また、赤信号警告は、高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号の点灯時間が十分にある場合でも、実施できない可能性がある。ところが、赤信号通知が実施され、赤信号が点灯している場合、ドライバーが赤信号警告も実施されると期待してしまう可能性がある。一方、赤信号の点灯時間が短い場合は、赤信号警告が実施されない可能性がもともと高いため、赤信号通知の後に赤信号警告が実施されなくとも、ドライバーに与える違和感は少ない。
【0066】
そこで、本実施形態では、図11に示すように、赤信号の点灯時間が十分に長い場合(例えば、全国的な平均以上の赤信号の点灯時間の場合)に限り、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される赤信号警告の実施の可否に依存させることとできる。
【0067】
さらに、本実施形態では、同じ区域でのサービスが3種以上の場合も同様に、各サービスのHMIや実施頻度に応じて、最初に実施される赤信号通知の実施の可否を、後に実施される赤信号警告の実施の可否に依存させるか否かを決定することができる。
【0068】
各サービスの実施頻度に応じて決定する場合、例えば、最初の信号機情報取得時に赤信号であれば、赤信号通知が実施されるシステムを想定する。このシステムでは、次に、赤信号をドライバーが認知していないと認められる場合は、ドライバーに注意を喚起する赤信号注意喚起が実施されるものとする。このシステムでは、最後の交差点での停止時に赤信号であれば信号待ち時間通知が実施されるものとする。
【0069】
上記の3つのサービスが行なわれるシステムでは、赤信号通知と信号待ち時間通知との実施頻度及び実施される状況はほぼ同等であるため、赤信号注意喚起の実施可否は考慮に入れず、信号待ち時間通知の実施可否のみを考慮し、赤信号通知の実施可否を決定するものとできる。
【0070】
本実施形態では、信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する通信装置104と、通信装置104が取得した信号機情報に基づいた最初のサービスを実行可能であり、最初のサービスの実行後に、信号機情報に基づいた後続のサービスを実行可能なインフラ協調ECU110とを備えた運転支援装置100において、インフラ協調ECU110は、第最初のサービス及び後続のサービスの内のいずれか一方を実行しないときは、もう一方のサービスも実行しないため、一部の種類の情報提供しかなされずに、期待していた他の種類の情報提供が行われないといったドライバーに違和感を与える事態を防止できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、後続のサービスを実行されないときは、最初のサービスも実行されないため、最初のサービスが実行されたにもかかわらず、後のサービスが行なわれないといったドライバーに違和感を与える事態をより効果的に防止できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知及び信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、信号待ち時間通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、赤信号通知及び信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、赤信号通知が実施されたにもかかわらず、赤信号警告が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内及び自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストのどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、一時停止案内が実施されたにもかかわらず、ブレーキアシストが実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、信号待ち時間通知及び信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知のどちらか一方が実施されないときは、もう一方も実施されないため、例えば、信号待ち時間通知が実施されたにもかかわらず、発進通知が実施されないといったドライバーに違和感を与える事態を効果的に防止できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、自車両が停止線に到達したときに、信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満と短く、信号待ち時間通知の必要性が低いときに、インフラ協調ECU110は信号待ち時間通知を実行しないため、過度の情報提供によりドライバーに煩わしさを与えることを防止できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯し、赤信号通知が実施された場合のように、ドライバーが信号待ち時間通知が実行されることを期待しがちな場合においてのみ、インフラ協調ECU110は、信号待ち時間通知を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0078】
さらに、赤信号警告は高精度な自車両の位置の判定が必要であるため、赤信号が点灯される時間が長い場合でも、必ずしも赤信号警告の実施が可能ではないことがある。そこで、本実施形態では、信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長く、ドライバーが赤信号警告が必ず実施されることを期待しがちな場合においてのみ、インフラ協調ECU110は、赤信号警告を実行しないときは、赤信号通知も実行しないため、よりドライバーに違和感を与えずに適切に運転支援を行なうことが可能となる。
【0079】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
100…運転支援装置、101…GPS、102…前方カメラ、103…ミリ波レーダ、104…通信装置、105…車速センサ、106…ディスプレイ、107…ACCスイッチ、108…PCSスイッチ、109…ドライバー認証ユニット、110…インフラ協調ECU、120…記憶装置(HDD)、121…地図情報DB、122…ブレーキECU、131…ブレーキアクチュエータ、132…アクセルアクチュエータ、140…スピーカ、150…ブレーキ量センサ、200…画面表示、210…2D地図表示、220…3Dドライバーズビュー表示、230…サービス実施表示アイコン、240…サービス内容表示アイコン、250…信号サイクル表示バー、251…取得済み信号サイクル時間表示。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、
前記信号機情報取得ユニットが取得した前記信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、前記第1の運転支援の実行後に、前記信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットと、
を備え、
前記運転支援実行ユニットは、前記第1の運転支援及び前記第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、前記第1の運転支援及び前記第2の運転支援の内のもう一方も実行しない、運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援実行ユニットは、前記第2の運転支援を実行しないときは、前記第1の運転支援も実行しない、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記第1の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記第1の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が前記信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記第1の運転支援は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内であり、前記第2の運転支援は、前記自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストである、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記第1の運転支援は、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項7】
自車両が停止線に到達したときに、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満であるときは、前記運転支援実行ユニットは前記信号待ち時間通知を実行しない、請求項3又は6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯する場合にのみ、前記運転支援実行ユニットは、前記信号待ち時間通知を実行しないときは、前記赤信号通知も実行しない、請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長い場合にのみ、前記運転支援実行ユニットは、前記赤信号警告を実行しないときは、前記赤信号通知も実行しない、請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項1】
信号機の点灯状態に関する信号機情報を取得する信号機情報取得ユニットと、
前記信号機情報取得ユニットが取得した前記信号機情報に基づいた第1の運転支援を実行可能であり、前記第1の運転支援の実行後に、前記信号機情報に基づいた第2の運転支援を実行可能な運転支援実行ユニットと、
を備え、
前記運転支援実行ユニットは、前記第1の運転支援及び前記第2の運転支援の内のいずれか一方を実行しないときは、前記第1の運転支援及び前記第2の運転支援の内のもう一方も実行しない、運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援実行ユニットは、前記第2の運転支援を実行しないときは、前記第1の運転支援も実行しない、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記第1の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記第1の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯している旨の情報を提供する赤信号通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機が赤信号を点灯しているときに自車両が前記信号機を通過する可能性がある旨の情報を提供する赤信号警告である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記第1の運転支援は、交通規則により自車両が一時停止を要求される場所である旨の情報を提供する一時停止案内であり、前記第2の運転支援は、前記自車両のドライバーのブレーキ操作による制動力に対して補助的な制動力を付与するブレーキアシストである、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記第1の運転支援は、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間に関する情報を提供する信号待ち時間通知であり、前記第2の運転支援は、前記信号機が青信号を点灯しているときに自車両の発進を促す旨の情報を提供する発進通知である、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項7】
自車両が停止線に到達したときに、前記信号機の赤信号が変化するまでの残り時間が所定の閾値未満であるときは、前記運転支援実行ユニットは前記信号待ち時間通知を実行しない、請求項3又は6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記信号機が赤信号を点灯した後に矢灯器を点灯する場合にのみ、前記運転支援実行ユニットは、前記信号待ち時間通知を実行しないときは、前記赤信号通知も実行しない、請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記信号機が赤信号を点灯する時間が所定の閾値よりも長い場合にのみ、前記運転支援実行ユニットは、前記赤信号警告を実行しないときは、前記赤信号通知も実行しない、請求項4に記載の運転支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−282421(P2010−282421A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135199(P2009−135199)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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