説明

道路交通混雑の管理を支援するナビゲーション装置

ナビゲーション装置は、混雑を示す、高速道路の一筋についての遅い交通フロー又は遅い平均速度に関するリアルタイム情報を受信するGPRS受信器を有する。装置は、混雑エリア内の現在の平均速度により重み付けされた周辺道路についての履歴が記録された速度に基づいて、混雑を回避するために新たな旅程を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモバイル電子ナビゲーション装置、本装置の機能を実装するソフトウェア、及びこのような装置のユーザにサービスを提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テクノロジーにおける進歩と混雑した道路環境の増加している圧力とにより、パーソナル・ナビゲーション装置(PND)の発展及び採用が促進されてきた。PNDという略語は「パーソナル・ナビゲーション装置」を言及するために時々用いられるが、本明細書では、(例えば吸引取り付け具を用いて自動車のフロントガラスに固定され得る)携帯型、又は(自動車に取り外せないように固定される)組み込み型である任意の種類のパーソナル・ナビゲーション装置に範囲が及ぶ、より拡張的な定義が与えられる。PNDは専用ナビゲーション装置(例えば主機能がナビゲーションである装置)であってもよいし、複数の他のアプリケーション(例えば、メディア・プレーヤ)を有していてもよいし、またはナビゲーション以外の主機能(例えば、モバイル電話)を有していてもよい。PNDは大部分が乗用車又はその他の車両において用いられるが、これに限定されない。PNDは道路情報と関心のある地点とを含む地理的地図データベースを内蔵する。PNDは一般に、ユーザが目的地を入力して、ユーザに一つ以上の経路を提供することを可能とするソフトウェアを含む。選択された目的地までの経路に沿って運転者を案内するために運転指示が出される。PNDは自動車のフロントガラスへ装着可能な取り付け具を含んでもよい。
【0003】
運転者に案内する経路の選択は非常に高機能でありえ、道路選択を判定する要因として、選択された経路は既存の及び予測された交通及び道路状況、道路速度に関する履歴情報、及び運転者自身の嗜好を考慮に入れてもよい。さらに、装置は道路及び交通状況を絶えず監視して、行路の残りが作り直される経路変更を、変更された状況に起因して提示又は選択してもよい。
【0004】
道路走行は、企業のため、その他の機関のため、及び私人のための日常生活の主要な部分である。交通遅延のコストは非常に大きくなり得る。純粋な経済的コストは英国だけで10億ポンドであると推定されている。これらのコストの観点では、例えば最適経路を選択することによって、及び混雑遅延を回避することによって、運転者が自身の走行を最適化するのを支援できるシステムが重大な価値を持つ。実際に、運転者情報システムの多様な配列が育ってきている。確立された最長のものは、出来事及び遅延に関する主観的な助言を提供するために、警察、空中偵察装置、そして最近では交通渋滞につかまった運転者からのモバイル電話通話のような複数の情報源からのデータを集約したブロードキャスト無線交通レポートである。ラジオ・データ・システム(RDS)のラジオは、通常のラジオ番組から交通レポートを自動的に切り出すことによってこれらのシステムをいっそう効率的にする。静的経路計画システムは、英国におけるオートモービル・アソシエーション(AA)及びRACのような主要な自動車機関のウェブサイトで提供される。これらは、運転者が行路の地点を入力して、経路及びこの経路のための運転指示が与えられることを可能とする。
【0005】
ここしばらくでは、車両搭載型パーソナル・ナビゲーション装置が全地球測位システム(GPS)テクノロジーに基づいて導入されてきた。これらの例はPNDであるTomTomGO(登録商標)シリーズである。パーソナル・ナビゲーション装置は、道路ネットワーク上の車両の正確な位置を発見するため及びスクリーン上の道路地図に車両の位置をプロットするためにGPSシステムを用いる。PNDは道路ネットワーク上の2地点以上の間の最良の又は良好な経路を算出する仕組みを含み、経路上の自身の位置を継続的に監視しつつ、選択された経路に沿って運転者に道を教えることができる。パーソナル・ナビゲーション装置はこれらのサービスに交通情報を組み込みだしてきており、いくつかでは、交通情報は経路選択処理に統合されている。PNDは混雑した道路を避けて経路決めするだろう。PNDによって交通情報が提供される場合に、ユーザは選択された経路に影響を与える遅延を観察することができ、ユーザが必要だと考える場合に、道路の遅延した区間を回避する経路を再計画するように装置を導く。様々なテクノロジー(例えばモバイル電話通話、固定カメラ、GPS運行管理)に基づいて、交通遅延を識別して情報を通知システムに供給するためにリアルタイム交通監視システムが用いられている。
【0006】
上述のように、道路交通は以下のようにモバイル電話通話に基づいてリアルタイムで監視され得る。モバイル電話システムでは、加入者はハンドセットを持ち運ぶ。加入者が通話若しくはテキスト・メッセージ又はデータのセッションを開始又は受信する場合に、無線通信がハンドセットと近代的な展望上の良く知られた柱(mast)である基地送受信局(BTS)との間で行われる。発呼者と被呼者との間を渡されるメッセージの符号を送信するだけでなく、確実且つ効率的に通信をサポートするために、ヘッドセット及びBTSはこれらの間で大量の制御信号を送信する。例えば、加入者が動き回るにつれて、システムは通話を別のBTSにいつ渡すかを選択しなければならない。モバイル通信向けグローバル・システム(GSM)システム又はユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)における制御情報は、隣接BTSの信号強度に関する情報、タイムスロットに適合させるためにBTSからヘッドセットに早く送信するように指示するタイミング先行情報、送信エラー・レート、及びさらに多くのものを含む。符号分割多元接続(CDMA)のような他のテクノロジーが、確実且つ効率的な通信という同じ目的を達成するために様々な情報を用いる。集合的に、これらのパラメータはモバイル電話制御パラメータと参照される。位置パラメータ・データベース(LPDB)はモバイル電話制御パラメータをヘッドセットの地理的位置に相関させる。LPDBはいくつかの手段の一つによって構築され維持されてもよく、制御パラメータのいくつかの有用な部分集合の一つを地理的位置にマッピングしてもよい。
【0007】
このようなPND及び上記のサービスに関するより多くの背景情報について、例えばトムトム インターナショナルBVによりすべてが所有され、本明細書に参照して組み込まれる特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4を参照されたい。
【0008】
道路用車両に搭載されたモバイル通信装置の使用の監視を通じた道路交通の監視に関するより多くの背景情報について、例えば本明細書に参照して組み込まれる特許文献5(「交通監視システム」)及び特許文献6(「所与の時間におけるモバイル電話の物理的位置を見つける方法」)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0225902号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0185648号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0118281号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0117572号明細書
【特許文献5】国際公開第2002/045046号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2007/017691号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】G.B.ウィッタム、「線形波及び非線形波」、3.1章「交通フロー」、ウィリー−インタサイエンス、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は道路車両の個別のユーザへのナビゲーション案内を改良することを目指す。本発明者はさらに交通混雑を回避又は低減するように交通管理を改良することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、とりわけ、モバイル電子ナビゲーション装置であって、前記装置の地理的位置と、旅程を経由して道路ネットワーク上のモバイル・ユーザを事前に決定された目的地へ案内するようにプログラムされていることとによって、前記モバイル・ユーザにナビゲーション情報を提供するように構成されているモバイル電子ナビゲーション装置に関する。本装置は、前記道路ネットワークのセグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況(例えば、平均速度又は平均交通フロー)を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報、例えば道路地図情報を記憶する記憶装置と、前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況(例えば、現在の平均速度又は現在の交通フロー)を示すデータを受信する無線受信器と、前記受信器に結合されたデータ・プロセッサとを備える。プロセッサはさらに、以下のタスクを実行するように動作する。プロセッサは、走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定する。前記一筋が含まれないとプロセッサが判定した場合に、前記旅程はナビゲーション案内を決定するために使用される。前記一筋が含まれるとプロセッサが判定した場合に、プロセッサは、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程を決定するために前記履歴データを使用する。前記比較の結果に応じて、プロセッサは、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始める。
【0013】
これにかえて、本発明のナビゲーション装置は、代替の旅程がより短い予定走行時間を有することを示してもよい、当初の旅程の近づきつつある行程内の道路の一筋についての現在の交通進行状況に関するリアルタイム情報を受信すると、代替の旅程に従ってナビゲーション案内が提供される。受信器を介して受信されたデータは、外出の近づきつつある行程における新たに発生した又は既存の交通渋滞を示してもよい。その後に本発明の装置は走行される予定の部分について当初の旅程への代替を探す。代替の旅程によってユーザが案内されるべき前に交通渋滞が消滅している場合に、受信器は一筋について改善した交通進行状況(例えば、増加した交通フロー又は増加した平均速度)を示すデータを受信して、装置は同様の方法で当初の旅程が案内の基礎として採用されることを決定する。
【0014】
本発明の装置の実施形態では、前記第2の予定走行時間は、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況(現在の平均速度又は現在の交通フロー)を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況(例えば、平均速度又は平均交通フロー)を乗算することに基づいて算出される。乗算は一つの道路における混雑は接続する道路により多い交通を導くであろうということにその起源を見出す。すなわち、混雑は周辺における交通フロー及び平均速度に影響を与える。乗算を通じてこの現象を考慮に入れることによって、目的地への最短全体走行時間により適切に近似する代替経路が算出される。
【0015】
現在の交通進行状況に加えて、現在の又は予想される気象情報が走行時間に影響を与えるかもしれず、より一般的に、旅程にも影響を与えるかもしれない。従って、気象状況に関するリアルタイム情報も好適には、現在の旅程への修正を算出する際に考慮に入れられる。本発明の目的のために、霧、雨、積雪、薄氷などのような気象状況が(仮想)交通進行状況を表す量に翻訳される。悪天候のせいで危険な道路状況の場合には、気象により影響される旅程の一筋をカバーするための予定走行時間は比例拡大される。乗算係数(scaling factor)は、例えば履歴データ(以下のGPSトレースから抽出された履歴データを参照)に基づいて決定されてもよく、若しくは実験によって決定され又は大まかに推定されてもよい。この走行時間の比例拡大は、交通混雑に由来しても、危険な道路状況に由来しても、起源にかかわらず本発明のデータ処理において検討される量である。従って、「現在の交通進行状況」という概念はまた、本明細書では、本発明の目的のために、「現在の又は予想される気象状況」をカバーするものとして理解される。
【0016】
本発明の別の実施形態は、モバイル・ナビゲーション装置のソフトウェアであって、前記装置は、前記装置の地理的位置と、旅程を経由して道路ネットワーク上のモバイル・ユーザを事前に決定された目的地へ案内するようにプログラムされていることとによって、前記モバイル・ユーザにナビゲーション情報を提供するように構成されているソフトウェアに関する。装置は、前記道路ネットワークのセグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報を記憶する記憶装置と、前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況を示すデータを受信する無線受信器と、前記受信器に結合されたデータ・プロセッサとを備える。前記ソフトウェアは、走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定し、前記一筋が含まれない場合に、前記旅程を使用し続け、前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程を決定するために前記履歴データを使用し、前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始めるように前記プロセッサを制御する命令を備える。好適には、ソフトウェアは、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて、前記第2の予定走行時間を算出するための前記プロセッサに対する命令をさらに備える。
【0017】
従って、ソフトウェアは、出荷後のアドオンとして、又は無線受信器を有する電子ナビゲーション装置のインストールされたベースへのアップグレードとして提供され得る。上記で特定されたリアルタイム交通状況を表す供給データによって可能なサービスを利用するために、別個の無線送受信器がオプションとして従来の電子ナビゲーション装置に搭載され得る。
【0018】
上記で導入された無線受信器は、例えば汎用パケット無線サービス(GPRS)受信器を含む。既知のように、GPRSはGSMモバイル電話機のユーザに利用可能なパケット指向のモバイル・データ・サービスである。「パケット指向」という表現は、データ・パケットが多重化される方法を言及する。GPRSデータ通信は単方向又は双方向であり得る。これにかえて、無線送受信器はラジオ・データ・システム(RDS)受信器を備える。RDSテクノロジーは、データを送信するために、従来のFMラジオ・ブロードキャストを用いる。RDSは一般的に、運転者に交通情報を伝えるための交通メッセージ・チャネル(TMC)を実装するために用いられる。無線受信器のその他の実装は、例えば、ディジタル・オーディオ・ブロードキャスティング(DAB)テクノロジー又は衛星無線に基づく。後者は地上波テクノロジーを用いる通信よりも広域な地理的エリアをカバーする通信衛星を用いる。
【0019】
GPRSテクノロジーは双方向データ通信を可能とする。これは、PNDがGPRS受信器とGPRS送信器とを有し、事前に決定された目的地への旅程の算出及び再算出の少なくとも何れかをサーバに委譲するシン・クライアントとしてPNDが構成される本発明の実施形態で用いられ得る。
【0020】
従って、本発明者はさらに、旅程を経由してモバイル・ナビゲーション装置のユーザを事前に決定された目的地へ案内するために、前記装置の地理的位置によって、前記ユーザにナビゲーション情報を提供する方法を提案する。方法は以下のステップを備える。前記地理的位置を表す、前記装置からのデータが受信される。前記旅程に関連する道路ネットワークのセグメントが決定される。前記セグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報が決定される。前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況が決定される。走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかが判定される。前記一筋が含まれない場合に、前記旅程が使用される。前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程(722)を決定(720)するために前記履歴データが使用される。前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報が提供され始める。
【0021】
好適には、前記第2の予定走行時間は、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて算出される。
【0022】
シン・クライアントのアプローチすなわち処理をサーバに委譲することの利点は、ユーザが前進しているエリアを含む複数の地理的エリアに関する利用可能な交通情報及び気象情報をサーバが有するという事実に存在する。これは、単一の地理的エリア内で局所的な場合よりも大規模に旅程を動的に最適化することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のシステムのブロック図である。
【図2】、
【図3】本発明の側面を説明する公式を与える。
【図4】本発明のナビゲーション装置の第1の例のブロック図である。
【図5】、
【図6】本発明のナビゲーション装置のさらなる例のブロック図である。
【図7】図5及び図6の装置のユーザにナビゲーション案内を提供する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、一例として及び添付の図面を参照して、より詳細に説明される。図面を通じて、類似又は対応する機能は同じ参照符号で示される。
【0025】
いくつかの研究によれば、特定の道路又は幹線道路で監視される交通の約25%は、長距離であり地域間経路を運転する車両で構成される。これは、特定の道路又は幹線道路への代替を極めて容易に採用することができるだろう重要なグループである。問題はどのように代替を通知するかである。当局(Authority)は、アムステルダム市の北の地域で運転しているすべての運転者に、フリーボランド又はその先に行くつもりであるつもりなら、本日はエンクハイゼン‐レリスタッド堤防道路を用いる方が良いと通知することができるだろう。アムステルフェーン/スキポール地域から来る運転者はユトレヒト市を経由して運転することを助言される。しかしながら、これらの運転者に通知することはきわめて難しく、助言を受け入れることを運転者に納得させることはさらに難しい。代替経路を受け入れ可能とするためには、運転者はより詳細な情報を必要とする。
【0026】
本発明のシステムは、運転者の車両に搭載されたモバイル・ナビゲーション装置を介して運転者に代替経路を提案する。代替経路はこれらの代替経路を採用することにより期待される効果の説明と併せて提案される。従って、ある地理的地域で交通が混雑した場合に、本発明のシステムは、この地域内で又はこの地域に向かって移動する運転者に向けて、混雑を自動的に回避するためにモバイル・ナビゲーション装置を介して現在与えられている指示に従って進むように助言する。よって、本発明のシステムは運転者がより早く自身の目的地に到達することを助ける。さらに、本システムは、混雑した地域の周辺における道路ネットワークの残り部分に交通を拡散することによって、混雑したエリアを通る交通量を低減することにも貢献する。
【0027】
交通渋滞内の車の大半は短距離で地域内の外出であることがわかる。地域内の外出の運転者の例は、隣接するアムステルダム市で買い物をするつもりのアルメール町に住んでいる人々である。本発明のシステムは、外出を開始する前に、予定移動時間について運転者に通知することを可能とする。交通混雑に起因する遅延が予想されると、これらの人々は自分の外出を再考したがるかもしれない。彼らは代わりに近所での買い物をすること、別の町又は市へ運転すること、又は提案された代替経路を採用すること、又は公共輸送を用いることを決めるかもしれない。やはり、混雑したエリアを通る交通量は低減するだろう。
【0028】
混雑しているのにも関わらず、混雑したエリアに入ることを決める運転者のグループが常に残存する。この状況において、混雑を回避するために、かわりに小さな村や都市の中心を通って運転することは受け入れ可能な解決策であるというのは一般的な誤解である。研究でこのような運転は完全に非効率的であることが確認された。この理由は、とりわけ、最大許容道路スピードが低く、信号機及び非効率的な経路のせいで、達成できる平均スピードはせいぜい時速15km〜25kmであるためである。大半の場合に、単に交通渋滞にとどまり地域内の道路を用いることによって、運転者の目的地にはるかに早く到達する。現在の譲受人(Assignee)であるトムトムからの全ての装置は非効率的な経路を介した案内を避けるために、これらの最小時間経路の設定をデフォルトで用いる。しかしながら、確実で最新の走行時間情報が欠けているため、人々は自身で経路をみつけるが、これは非効率である。本発明のシステムはこれらの人々に自身の利益としてナビゲーション情報を受け入れることを納得させることを目指す。
【0029】
従って、本発明のシステムは移動中の人々へのより確実で効率的な案内指示を提供する。優れた走行時間の推定に基づいて、人々は代替経路を検討して、より容易に代替経路を受け入れることができる。本発明のシステムは主道路ネットワークの利用を改良し、交通混雑の低減に貢献する。地域間の外出の運転者は混雑したエリアを迂回するためにリルートされる。地域内の運転者は地域内の代替を用いるか、又は混雑により生じた遅延を単に受け入れるように助言されるだろう。
【0030】
本発明のシステムは道路ネットワーク全体についての高品質の交通情報を生成する。本システムは混雑したエリアの周りの利用可能な道路ネットワークをよりよく活用する代替経路を提案できる。本システムは複数情報源ストラテジーを用いる。本システムは、既存の情報源、例えば道路当局及びその他の公共サービスから供給される交通情報と、モバイル電話のネットワーク事業者により供給されるデータに基づいて生成される交通情報及びGPS機能搭載モバイル・ナビゲーション装置のユーザにより供給される交通情報とを組み合わせる。結果として、混雑のボトルネックの詳細な全体像が生成される。この詳細な全体像はその後に代替経路に関するナビゲーション情報を生成するために用いられ得る。
【0031】
図1は本発明のシステム100のブロック図である。システム100は、すべてが本明細書では「当局」104として参照される輸送部門、道路事業者又は道路当局、地方自治体などからのデータ、モバイル電話のネットワーク事業者(群)106からのデータ、及びGPS機能搭載モバイル・ナビゲーション装置108からのデータを受信するデータ収集・取得サブシステム102を備える。
【0032】
当局104から受信されたデータは例えば道脇の交通監視機器を介して取得された従来の交通情報を表す。このような機器は例えば実況カメラや道路表面に統合された誘導磁界のようなその他の道路センサを含む。当局104から受信する他のデータは道路工事報告を含んでもよい。当局104から受信するさらに他のデータは例えば気象予報又はリアルタイム気象レーダ・データを含む。リアルタイム気象レーダ・データは、豪雨、霧又は霧雨の結果として生じる視界低下、若しくは遅い交通の主な原因となる強い突風などを伴う地域内の道路についての予定走行時間を増やすことを可能とする。
【0033】
上記並びに上述の特許文献5及び特許文献6で説明したように、事業者106から受信されたデータはモバイル電話通話に基づいてリアルタイムで監視された道路交通を表す。
【0034】
GPS機能搭載モバイル装置108のユーザから受信されたデータは以下に基づく。装置108はGPSトレースを記録するように構成される。装置108が動作中である場合に、デバイス108は繰り返し自身の地理的位置とタイムスタンプとをファイルに記録する。ファイル内の記録はこの特定の装置により行われた外出を再構築することを可能とする。このような装置108の例は譲受人により作成された。装置108はユーザのホームPC又はノートPCにインストールされたソフトウェア・プログラム(「TomTom Home」)と連携する。ソフトウェア・プログラムにより、ユーザは装置108を更新し、パーソナライズし、及びその他に管理することが可能となる。例えば、ユーザが新たな地図、カスタムの関心地点データベースをインストールすること又は装置108に別の音声での指示を与えさせることを望む場合に、ユーザが単にこれら及びその他のコンポーネントをサーバからインターネットを介してダウンロードして装置108にこれらをインストールすることができる。プログラムにより、ある人の外出を事前に家から計画することも可能となる。サーバに接続された場合に、サーバは記録のファイルを更新するだろう。記録はすべての装置108から収集され、サブシステム102に記憶される。
【0035】
従って、システム100はモバイル電話のネットワーク事業者106を通じて利用可能なリアルタイム・データとGPSトレースのダウンロードを通じて利用可能な履歴データとを有する。これらのデータはここで、記憶装置114に記憶される交通情報を生成するためにデータ処理サブシステム110で処理される。
【0036】
本発明の目的のために、事業者106からのリアルタイム・データによってカバーされない又は適切にはカバーされない道路の平均速度を含む交通情報を生成するために、データ処理サブシステム100は(例えば装置108からのGPSトレースにより表される)履歴データを処理する。本処理を説明するために、以下のシナリオを検討する。
【0037】
都市環境を迂回する幹線経路における状況を検討する。この都市環境は小さな町であり、主要都市の周囲を進む若しくは郊外又は都市中心を横切る国道又は頻繁に使用される都市主要道路により迂回され得る。幹線経路が混雑していない場合に、事業者106から受信されたGSMベースのデータ及び装置108から受信されたGPSベースのデータは主要道路について通常の通行時間を示す。しかし、ラッシュ時間の間、通行時間は急激に増加するかもしれない。事業者106及び装置108から受信されたデータはラッシュ時間の間のこの通行時間の増加を示す。通行時間の増加は平均道路速度の減少に相当する。例えば、通常は時速100kmと時速120kmとの間に平均速度はあるものの、ラッシュ時間の間の平均速度は時速30km前後である。ラッシュ時間の間、周辺道路の都市ネットワークについての平均速度も同様に、例えば時速35km前後から時速15km前後に減少する。事業者106から受信したリアルタイム・データは、低い交通量のせいで都市の小さな道路についてのリアルタイム走行時間を確実に測定することはできない。都市幹線について測定された走行時間だけがとりわけ多い交通量のおかげで使用できる。従って、これらの変動する周辺道路についての平均道路速度を検討しなければ、ユーザのモバイル・ナビゲーション装置は、ラッシュ時間の間の平均速度時速15kmに関連付けられるのではなく、混雑した幹線経路上の現在の平均速度時速30kmよりもなおも早い静的な平均速度時速35kmに間違って関連付けられた周辺道路の混雑した又はゆっくりと動く交通にユーザを導くかもしれない。
【0038】
従って、運転者へのナビゲーション案内を改良するために、発明者は、以下のさらに詳細に説明されるように、周辺道路についての平均速度又は走行時間の推定を提供するために、GSMベースのリアルタイム・データとGPSベースの履歴データとの両方を用いることを提案する。
【0039】
ここで、以下のシナリオを検討する。システム100は例えば事業者106からのデータを介して、特定の高速道路のある一筋(stretch)が混雑していることを判定する。すなわち、この一筋についての平均速度が通常の交通フローの間よりも劇的に低い。高速道路の混雑した一筋へ接続する又はこの一筋から出る周辺道路についての平均速度へもこの混雑が影響を与えると想定することはもっともである。生成されて記憶装置112にデータとして記憶される交通情報は、混雑した一筋についての平均速度と現在の環境の下でこの一筋をカバーするための予定走行時間との少なくとも何れかに関連する。サーバ114を介して、このデータは関連地理的エリア内の電子ナビゲーション装置のユーザにデータ・ネットワーク106を介して送信される。データ・ネットワーク106はGPRS基盤を含む。GPRSは、GSMモバイル電話のユーザに利用可能なモバイル・データ・サービスを介してデータ・パケットを受信可能にする既知のテクノロジーである。上述のように、GPRS以外の無線データ通信テクノロジーがサーバ114から装置118へのデータの通信に用いられ得る。本明細書ではGPRSが実例として説明される。検討される道路についての現在の平均速度に関する交通情報に加えて、サーバ114はまた、関連地理的エリアの現在の又は予想される気象状況を表すデータを装置118と通信してもよいことにも留意されたい。本データは例えば強い突風、霧、薄氷などを言及し得るだろう。装置118は好適には、自身の表示モニタとスピーカとの少なくとも何れかを介して装置118のユーザに伝える情報を生成するためにこのデータを処理するように構成される。
【0040】
ナビゲーション装置118は以下のようにこのデータを処理するように構成され、これは以下により詳細に説明される。混雑は、目的地と、装置118により最初に計算された当初の旅程とを前提として、1人以上の装置のユーザの走行時間に影響を与えるかもしれない。ここで、装置118は、混雑した高速道路の一筋についての速度を前提として、混雑してエリア内の周辺道路についての予測速度又は走行時間を考慮に入れて旅程を再算出する。このために、装置118は例えば自身のローカル記憶装置から、必要な情報を利用可能である。よって、装置118は、前方の交通混雑の存在において例えば走行時間を最適化するために、どの経路を迂回路に取り込むかに関する根拠に基づく推定を行い得る。
【0041】
採用されるアプローチの詳細は以下である。本発明者は仮想リアルタイム速度(VRS)の概念を導入する。本発明の実施形態では、VRSは関連道路についてリアルタイム・データが利用可能でない状況においてPND内で計算される。VRSはこの道路についての履歴平均速度情報に基づいて計算される。VRSはこのエリア内の主要高速道路又は主要幹線経路の混雑によって影響を受ける交通を有する、所定の地理的エリア内の周辺道路区間について計算される。VRSは主要高速道路のリアルタイム交通の速度によって判定される。周辺道路についてのVRSは、いくつかの環境のもとで、隣接する主要高速道路のリアルタイム速度に依存すると想定される。ここで、本発明は装置118の個別のユーザへのナビゲーション案内の精度を向上するためにこの依存関係を活用する。
【0042】
VRSを判定するためにいくつかのアプローチが採用され得る。以下に詳細に説明されるように、ライン・ベースのアプローチ及びエリア・ベースのアプローチがある。好適にはエリア・ベースのVRSが用いられる。しかしながら、エリア・ベースのVRSが計算できない場合に、ライン・ベースのアプローチが用いられる。
【0043】
ライン・ベースのアプローチについて、以下のように処理される。GSMベースのデータから決定される関連高速道路の区間についてのリアルタイム速度は値Vreal-motを有する。GPSトレースから決定されるこの区間の履歴平均速度は値Vhist-motを有する。ここで、高速道路の本区間を取り囲む道路ネットワーク内の道路セグメントを検討する。「i」とラベル付けされるこのセグメントについて、図2の式(202)に従って、セグメントの履歴平均速度Vi,hist-segを関数Flineで乗算(scale)することによって、VRSは値Vi,VRS-segが割り当てられる。セグメントの履歴平均速度Vi,hist-segは上述のGPSトレースに基づいて決定される。乗算関数Flineは図2の式(204)に従って、第1の量Vreal-mot-line及び第2の量Vhist-mot-lineに依存する。第1の量Vreal-mot-lineは、式(206)に従って、関連高速道路のN個のセグメントについての、GSMベースのデータから測定されたリアルタイム速度の平均として定義される。本セグメント群は例えば既知の交通メッセージ・チャネル(TMC)コードに基づいて特定される。第2の量Vhist-mot-lineは、式(208)に従って、関連高速道路のN個のセグメントについての、GPSトレースからの記録された履歴速度の平均として定義される。利用可能な乗算係数Fの例は図2の式(210)で与えられるが、他の依存関係も同様に取り得る。式(210)は式(202)について、Vreal-mot-lineに対するVi,VRS-segの比の値はVhist-mot-lineに対するVi,hist-segの比の値に等しいと想定されることを暗に示す。このことは大まかに言って、高速道路のN個のセグメントに現在存在する車両数に対する周辺道路のセグメント「i」に現在存在すると想定される車両数の比の値は、検討される時間枠における高速道路のN個のセグメントの過去に存在した車両数に対する同じ時間枠におけるGPSトレースに従うセグメント「i」に過去に存在した車両数の比の値に等しいと解釈される。つまり、周辺道路について交通は主要高速道路についての交通に比例する。
【0044】
式(202)、(204)、(210)における乗算係数の上記の例は比較的単純なモデルを生み出す。それにもかかわらず、このモデルは本発明の目的のために実際の交通フローのモデリングに有用である。乗算係数は、高速道路の混雑が道路ネットワークの隣接部内の接続する周辺道路についての遅い速度を導くという現象を意味する。一般に、速度の交通フローとの間の関係は複雑なものであり、交通フローをモデリングするために、速度に加えて、例えば応答時間、個々の車両の加速度及び減速度、速度と交通量との少なくとも何れかの時間微分、速度と交通量との少なくとも何れかの位置微分などのようなその他の多くの量を考慮に入れてもよい。悪名高い交通渋滞又は玉突き衝突を結果として生じる交通フローを衝撃波が形成してもよい。非特許文献1を参照されたい。
【0045】
式(202)を用いる代わりに、例えば量Vi,VRS-segに対する値の集合、(対応する主要高速道路が混雑していない場合に)一つの事前設定された値が通常の速度を表し、主要高速道路が混雑している場合にその他の事前設定された値がフローを表す二つの値の集合を用いることができるだろう。後者の値は、混雑した高速道路の接続された一筋におけるリアルタイム速度を表す係数により通常の速度を乗算することによって決定され得るだろう。近接する道路の混雑の影響を考慮に入れつつ、経路の平均速度と交通量との少なくとも何れかに関する履歴データを前提として、ある経路に沿った予定走行時間を表す値を決定するためにその他の依存関係が検討され得る。
【0046】
式(210)の乗算係数は速度の比の値を用いる。これにかえて、乗算係数Mlineが式(202)で用いられ得る。この乗算係数は式(212)で与えられる第1の量TFreal-mot-lineの第2の量TFhist-mot-lineに対する比の値を含む。第1の量TFreal-mot-lineは、例えば関連高速道路の一つ以上の区間の道路表面におけるループ・センサを通じて測定されるリアルタイム交通フローの平均(すなわち、単位時間当たりに、ある位置を通過する車両数)として定義される。第2の量TFhist-mot-lineは、関連高速道路の一つ以上の区間における履歴交通フローの平均として定義される。
【0047】
これらの計算において考慮される履歴データは好適には現在の瞬間に対応する時間帯群内にタイムスタンプを有することに留意されたい。例えば、ある水曜日の17:00GMTの瞬間に計算されたVRSは同日同時刻に生成されたGPSトレースからのデータ及び過去の水曜日に関するデータを考慮に入れるべきである。
【0048】
ライン・ベースのアプローチはエリア・ベースのアプローチよりも正確でないことがわかった。従って、好適には、エリア・ベースのアプローチが適切なVRSを生成しない場合にのみライン・ベースのアプローチが用いられる。エリア・ベースのアプローチが以下に詳細に説明され、その後にライン・ベースのアプローチが好適には用いられるべきであるシナリオが説明される。
【0049】
エリア・ベースのアプローチについて、以下のように進む。高速道路の区間のリアルタイム速度はVreal-motとして参照され、GSMデータに基づいて決定される。この区間についての履歴平均速度はVhist-motとして参照され、GPSトレースに基づいて決定される。高速道路のリアルタイム速度Vreal-motが(高速道路の深刻であり普通ではない閉塞を示す)所定の閾値レベルVreal-mot-thresholdより低くなる場合に、エリア・ベースの仮想リアルタイム速度が計算される。
【0050】
閾値速度Vreal-mot-thresholdは閾値係数Gthresholdを用いて履歴速度データから導き出せうる。履歴速度データは記憶装置102内の特定の高速道路区間の速度プロファイル内に記憶されていて、閾値係数Gthresholdは実験的に決定されなければならない。ライン・ベースのアプローチにおける上述のタイムスタンプに関する検討はエリア・ベースのアプローチにも同様に当てはまる。図3の式(302)はGthresholdの意味を伝える。Vreal-motが閾値速度Gthresholdより低くなる場合に、高速道路区間の周りのエリア内の周辺道路についてのVRSが用いられる必要がある。
【0051】
このVRSの計算はライン・ベースのアプローチのもとで上記に説明されたものと同様である。しかしながら、乗算係数Hareaはここで、エリア内の道路について十分なリアルタイム・データが利用可能であると想定して、ラインの代わりにエリアについて計算される。高速道路の区間ごとの乗算係数Hareaは関連エリア内の道路の平均リアルタイム速度を、リアルタイム速度が測定されるこれらの道路の平均履歴速度で割ることによって計算される。事業者106により供給されたGSMベースのデータから抽出されたリアルタイム速度の測定値は、道路の一つの方向に進む交通と同じ道路の別の方向に進む交通とで区別される。上述の特許文献5及び特許文献6を参照されたい。
【0052】
好適には、ナビゲーション装置118がこのリアルタイム・データを受信すると、装置118はこれらの方向にあり且つ事前に決定された目的地へのユーザの現在位置からの経由交通ルート(routing corridor)に存在する道路における交通フローに関連するこれらの測定値を検討するだけである。ここで、経由交通ルートは回避されるべき混雑したエリアの周りの道路ネットワークの一部であり、代替の旅程に含まれる候補である経路を備える。この意味における経路は有向グラフである。経由交通ルートを考慮に入れることによって、とりわけ、迂回路を決定する際に、装置118のユーザの走行方向に反対側の方向であり同じ経路上を流れる交通が考慮に入れられることを防ぐ。従って、一般に乗算係数Hareaは事前に決定された目的地に依存する。
【0053】
別の違いは、高速道路の一筋について測定されたリアルタイム速度の集合の代わりに周辺道路ネットワークについて測定されたリアルタイム速度の集合について乗算されることである。上記は以下にさらに説明される。
【0054】
式(304)は図2の式(202)に対応し、乗算係数が異なる。毛九台縮小係数Hareaは、第1の量Vreal-areaと第2の量Vhist-areaとに依存して、図3の式(306)で特定される。第1の量Vreal-areaは、主要道路又は高速道路の一筋の混雑の周りの道路ネットワークのセグメントにおける周辺道路j=1,…,Mについて測定されたすべてのリアルタイム速度の平均として式(308)で定義される。第2の量Vhist-areaは、主要道路又は高速道路の一筋の混雑の周りの道路ネットワークのセグメントにおける周辺道路j=1,…,Mについて測定されたすべての履歴速度の平均として式(310)で定義される。好適には、上述のように、経由交通ルートに属するこれらのリアルタイム速度及び履歴速度だけが検討される。乗算係数Hareaの単純な例が量Vhist-areaに対する量Vreal-areaの比の値として式(312)で与えられる。ライン・ベースのアプローチの下で上述したように、エリア・ベースのアプローチでも同様にその他の依存関係が考慮されてもよい。同様に、測定された(リアルタイム及び履歴)速度に乗算係数Hareaが基づく代わりに、乗算係数Hareaを決定するためにリアルタイム交通フロー及び履歴交通フローを採用し得るだろう。
【0055】
上記の旅程の算出及び再算出は、装置118のユーザが道路上にいてGPRSを介して前方の交通状況に関する更新を受信するシナリオで説明されてきた。同様のシナリオは、まだ家にいて出発の直前に自身の外出を計画しているユーザに適用できる。ここで、自身のモバイル・ナビゲーション装置118に旅程をダウンロードするために、ユーザは図1の自身のPC124上の専用ソフトウェア120を用いる。同様に、現在の交通状況及び予測された交通状況が所定の旅程を生み、この旅程は装置118にダウンロードされ、ユーザが運転している間に再び劇的に変更されてもよい。さらに、交通状況に応答できるようにするために、サーバ114により提供される関連データが当局124に供給されてもよい。当局124は、当局104の下で導入されたものを含んでもよいが、救急車、消防車、緊急道路輸送事業者、鉄道事業者、バス事業者などの人員をも含んでもよい。
【0056】
上述のように、記憶装置102に集められた情報はまた、例えば気象レーダから推測された現在又は予測の気象状況に関する情報を含んでもよい。危険をもたらす気象は交通フローの観点から交通混雑について道路状況に同様に影響を与えるかもしれないことに留意されたい。すなわち、霧、豪雨の中、吹雪の間、又は薄氷の存在する中で到達できる平均速度は、より好ましい気象状況のもとよりも低いだろう。本発明の実施形態では、危険をもたらす気象状況は、上述の旅程を計算するために等価な交通フローを表す量にマッピングされ得る。すなわち、GPRSデータは装置118によって、交通フロー状況又は平均速度を表すとして解釈されるが、データは気象状況から直接に由来する。
【0057】
システム100において生成される交通情報の使用を説明するために、モバイル・ナビゲーション装置118を詳細に検討する。ここで、図4が参照される。
【0058】
ナビゲーション装置118は、GPS受信器402、無線受信器404、地図情報を記憶するデータベース406、ユーザが装置120を制御することを可能とするためのユーザ制御412、レンダリング・サブシステム408、トレース記憶装置410、及びソフトウェア416の制御の下で実行するデータ・プロセッサ414を備える。プロセッサ414は、ナビゲーション・サービスを装置118のユーザに供給するために、データの処理と装置118のその他の要素の制御とを担当する。無線受信器404は例えばGPRSモデムを含む。
【0059】
GPS受信器402は装置118の現在の地理的位置を決定するように構成される。現在位置に関する情報は、現在位置が与えられた装置118のユーザに関連する道路地図及びその他の位置依存の情報をデータベース406において決定するために、プロセッサ404により用いられる。行路の目的地及び地図からの道路情報を前提として、ソフトウェア414はナビゲーション案内を生成して、レンダリング・サブシステム408を介してそれを展開させることを可能にする。従来のモバイル・ナビゲーション装置のように、ユーザは目的地及びその他の制御情報(例えば、ユーザ制御412を介した案内情報の展開に関する嗜好、高速道路を回避するための嗜好など)を入力する。ユーザ制御は、例えば機械式ボタンと制御オプションの人間工学的メニューと連携してタッチスクリーンに実装されるソフト・キーとの少なくとも何れか、音声入力、及びユーザが装置118と相互作用することを可能とするその他の任意の適切な手段の少なくとも何れかを含む。
【0060】
サブシステム408は好適には表示モニタ(不図示)及びスピーカ(不図示)を含む。表示モニタはグラフィカル情報及びテキスト情報として案内を提供し、スピーカは事前に記憶された音声又は合成音声の形式で案内を供給する。明らかなように、レンダリング・サブシステム408は部分的に又は完全に装置118の外部として実装され得る。この場合に、装置118はサブシステム408と通信するために適切なインタフェースを備える。例えば、レンダリング・サブシステム408は、自動車のフロントガラス(又はオートバイのライダーに装着されるヘルメットのバイザー)に関連情報を投影するためのヘッド・アップ・ディスプレイ用投影システムを備える。自動車の投影システムは通常はダッシュボードに物理的に統合されている。オートバイのライダー用の投影システムはヘルメットに統合され、バッテリ又はヘルメットをオートバイの電源供給装置に接続するコードを通じて電源供給される。そして、関連データは例えばBluetoothインタフェースを介して無線的に、又は有線で通信される。別の例では、レンダリング・サブシステム408は、自動車組み込み音響システムの要素であるスピーカを備え、オートバイのライダーの場合にはライダーのヘルメットに組み込まれるスピーカを備える。
【0061】
外出の間、GPS情報に基づく地理的位置は、タイムスタンプとともにトレース記憶装置410に記憶される。例えば道路地図への更新又はソフトウェア416への更新をインターネットを介してサービス・プロバイダから受信するために、装置118がユーザのホームPCに接続された場合に、記憶装置410に記憶されたデータはサービス・プロバイダに送信される。サービス・プロバイダでは、匿名で、すなわち装置118の個別のユーザに関連付けられることなく送信されたデータが処理される。
【0062】
GPRSは既知のテクノロジーである。GPRSモデム404により、GSMモバイル電話のユーザに利用可能なモバイル・データ・サービスを介して装置118はデータ・パケットを受信できる。データ・レートは56kbpsから114kbpsのオーダである。一般に、GPRSを介して提供されるデータ・サービスはポイント・ツー・ポイント・サービス(すなわち2人のユーザ間のデータ通信)及びポイント・ツー・マルチポイント(又はマルチキャスト、すなわち1人のユーザから多くのユーザへのデータ通信)であり得る。マルチキャストGPRSサービスに関して、データ・パケットは所定の地理的エリア内にブロードキャストされ得る。ブロードキャストにおける識別子はデータ・パケットが地理的エリア内のすべてのユーザを宛先としているか特定のユーザ・グループ向けかを示す。本発明の文脈では、このタイプのサービスにより、所定の地理的エリア内の装置118のユーザに関連する交通情報に関する更新を送信できる。
【0063】
上記の実施形態では、旅程の(再)算出は装置118自身によって実行され、この目的のために装置118はプロセッサ414、データベース406、及びソフトウェア416を収容できる。装置118はGPRSモデム404を介してリアルタイム交通の更新をサーバ114から単に受信して、これらを処理して旅程を修正し、修正された旅程と搭載されたGPS受信器による自身の現在位置とに基づいてナビゲーション案内を生成する。
【0064】
図5は装置118の代替の例としての本発明のPND502の図である。装置502はサーバ114と連携するシン・クライアントとして実装される。ここで、装置502はまた、サーバ114とデータを通信するための無線送信器504を備える。例えば、送信器504はサーバ114と、ユーザ制御412を通じて入力された行路の目的地に関する情報を、好適にはユーザの嗜好(例えば、男性又は女性の声のようなナビゲーション案内の供給の様式、高速道路の回避、料金所の回避、など)とともに通信する。嗜好は個別の移動ごとにユーザごとに選択されてもよいし、動作のデフォルト・モードとして事前設定されていてもよい。送信器504はさらに、GPS受信器402を介して決定された装置502の地理的位置を表すデータをサーバ114と通信する。
【0065】
サーバ114は上述と同様に、装置502の現在位置とGSM事業者106及びGPSトレース108から集められたリアルタイム交通情報とに基づいて旅程を(再)算出する。シン・クライアント502として構成されたPNDを十分に多くの車両が用いている場合に、サーバ114は、同様に交通情報112を生成するためにシステム100において考慮に入れられ得るこれらの車両の地理的位置に関するリアルタイム情報を有する。また、この理由から、装置502の地理的位置はリアルタイムにサーバ114と通信されているため、装置502はトレース記憶装置410を有する必要がない。
【0066】
この実装に利点は、装置502が無駄のないデータ処理装置として実装され得る点である。別の利点は、サーバ114が装置502のユーザへのナビゲーション案内を幅広い文脈で表現し得る点である。このことは以下に説明される。サーバ114は、装置502のユーザが現在存在する地理的エリアに関連する交通情報及び気象情報だけでなく、他の地理的エリアに関連する交通情報及び気象情報も有する。このことが意味するのは、出発地から目的地への現在の行路の領域全体に関して最適化されるために、装置502のユーザへのナビゲーション案内が算出され得るということである。すなわち、全体最適化が可能である。対照的に、装置118は局所的な交通状況に関する交通情報のみを受信し、旅程への修正は局所最適化を表すことに留意されたい。例えば、特定のエリアにおける局所的で中程度の混雑の周りの装置118のユーザを案内するために、大規模な玉突き事故の結果として生じた大混雑が大規模な交通事故の結果として生じていた隣接エリアにユーザを図らずも連れて行く迂回路の案内を装置118が提供するシナリオを検討する。中程度の混雑を乗り切るためにユーザが当初の旅程に留まっていたならば、ユーザは迂回路の大渋滞に直面していなかっただろう。しかしながら、エリア内の道路の密集度にもよるが、このような不運は偶発的であり稀であるだろう。
【0067】
サーバ114において利用可能な帯域幅とサーバ114から受信器404への無線通信において利用可能な帯域幅に依存して、前述の実施形態で装置118において実行されていたすべてのデータ処理動作をサーバ114が実行するように構成され得る。すなわち、すべてのデータ処理がサーバ114に委譲される。そして、装置502のプロセッサ414はここで主にナビゲーション案内情報をレンダリングするためのレンダリング・サブシステム408の制御を担当する。ナビゲーション案内情報は、サブシステム408の表示モニタ上にレンダリングされるために必要ベースでサーバ114から受信された地図データと、サブシステム408内のスピーカを介する音声と表示モニタを介するグラフィカル・アイコンとの少なくとも何れかとしてレンダリングされるサーバ114から受信された指示と、を含む。この場合に、すべてのものが装置502と通信されているため、装置502自身は道路地図データ及びその他の地理的関連データを記憶するデータベース記憶装置406を必要としない。
【0068】
しかしながら、例えば表示モニタ上に詳細な道路地図をレンダリングするために詳細なナビゲーション案内についてサーバ114からデータを受信するために、受信器404及びサーバ114は十分に広い帯域幅を有する必要があることに留意されたい。GPRSテクノロジーは実際にはサーバ114から装置502へのデータのダウンロードを実装するのに不十分となり得る。専用テレビジョン・チャネルを含むテレビジョン・テクノロジーが実際にはサーバ114から装置502へのダウンロードに用いられ得る。
【0069】
図6は本発明のPNDの実施形態のブロック図であり、この構成は装置118の構成と装置502の構成との中間に位置すると考えられ得る。装置502と同様に、装置602はサーバ114と通信するために、無線双方向データ通信テクノロジー、例えば受信器404と送信器504との両方においてGPRSテクノロジーを用いる。装置118と同様に、装置602は、道路地図データ及びその他の関連地理的情報をデータベース406に記憶する。しかしながら、データベース406は個別の道路セグメントごとに記録された履歴平均速度を表すデータを記憶する必要はない。送信器504は断続的に(例えば定期的に又は例えば走行の方向の変化に応じて選択的に)サーバ114にGPSデータを更新する。その結果として、サーバ114は装置602の現在の地理的位置について通知され続ける。サーバ114は受信器404を介してナビゲーション案内データを装置602にダウンロードする。このデータはユーザの目的地及びユーザの現在の地理的位置並びに記憶装置112に生成された履歴交通情報、リアルタイム交通情報、及び気象情報に基づいて算出される。生成過程は例えば図2及び図3を参照して上述されてきた。実施形態502に関して、ユーザが運転又は乗車しているエリアを含む複数の地理的エリアに関する利用可能な交通情報及び気象情報をサーバ112が有するという事実に利点が存在する。このことは、単一の地理的エリア内で局所な場合よりも大きな規模で旅程を最適化することを可能とする。プロセッサ414は、装置602のユーザに適した案内情報を生成するために、ソフトウェア604の制御の下、サーバ114から受信したナビゲーション案内データを処理する。例えば、プロセッサ414はレンダリング・サブシステム408で視覚的と聴覚的との少なくとも何れかの指示を生成して、データベース406から読み出した関連道路地図データと案内情報を結合する。
【0070】
装置118、502、又は602のような本発明のPNDのユーザ・インタフェースの側面について、以下の機能が動作中の装置の認知される操作性のよさに寄与してもよい。
【0071】
第1の機能は上述した交通状況又は気象状況に基づく最新の旅程への現在の更新をユーザに通知するように構成又はプログラムされた装置118、502、又は602に関する。ユーザは例えばサブシステム408のスピーカを介した合成音声とサブシステム408の表示モニタ上のグラフィカル指示を介した合成音声との少なくとも何れかを通じて通知される。
【0072】
第2の機能は装置118、502、又は602のサブシステム408の表示モニタ上のナビゲーション案内のグラフィカル表現に関する。例えば、現在の関連道路地図の一部は表示モニタ上にレンダリングされ、現在用いられている旅程の対応する部分が表示された地図部分に投影される。その後にユーザは旅程のこの部分とそのグラフィカル環境とのイメージを形成する。所与の瞬間において、上述のように、現在の旅程の近づきつつある一行程における望まない交通状況と気象状況との少なくとも何れかの結果として、現在の旅程が修正される。その後に、修正された旅程に対応するために、ユーザは自身のイメージを再調整しなければならない。ここで、装置118、502、又は602は直前の旅程の関連位置と修正された旅程の現在の有効な関連位置との両方をグラフィカルに示す。例えば、直前の位置は赤色で示され、現在の有効な位置は緑色で示される。これにかえて、直前の位置と現在の有効な位置とは例えば相異なる破線形式でグラフィカルに示される。直前の部分はマイナス記号の列(「−−−−−」)で示され、現在の有効な部分はプラス記号の列(「+++++++」)として示される。後者のオプションはユーザが色覚異常の場合に好ましい。ユーザ制御412を通じてアクセス可能な構成メニューは装置118、502、又は602の動作中に直前及び現在の有効な位置を示す好ましい方法を選択することをユーザができるようにする。
【0073】
第3のオプションは、旅程の現在の修正についての理由に関して装置118、502、又は602のユーザに情報を提供することに関する。例えば、サーバ114から受信されたデータは、サブシステム408でレンダリングされる事前に規定された複数のアイコン又はテキストの一つを選択するための、プロセッサ414によって処理される識別子を含む。アイコン及びテキストは理由を表す。例えば、理由が交通事故による大混雑である場合に、その側面に位置する自動車を示すアイコンが選択される。別の例では、従来より滑りやすい道路を示すのに用いられる交通標識に対応するアイコンが、旅程の理由となる荒れ模様の気象状況を示すのに用いられ得る。さらに別の例では、アイコンは、ラッシュ時間交通、跳ね橋などを示すために選択され得る。
【0074】
第4のオプションは、自身の外出で通常は不可避の交通混雑に遭遇するだろうことを知っている運転者、例えば通勤者へのナビゲーション案内に関する。装置118、502、又は602のこれらのユーザは迂回路を案内される必要もないし、通常の混雑について通知される必要もない。そして、通勤者は装置118、502、又は602をオフにし、又は案内を無視し得る。そして、より使い勝手のよいオプションは、普通でない深刻な混雑(すなわち、日常の大渋滞と比べて普通でないもの)だけが旅程の修正を引き起こすモードで案内を動作させることである。サーバ114はリアルタイム平均速度又は交通量に関する情報を有し、及び/又はサーバ114は履歴平均速度又は交通量に関する情報を有する。そして、旅程を選択的に修正できるようにするために、通常の混雑と通常でない混雑との間を装置118又はサーバ114が区別するような動作モードが選択され得る。
【0075】
図7は、上述した装置502又は602にナビゲーション案内を提供する、サーバ114によって実行される方法の例のフロー図である。本方法はステップ702で開始される。ステップ704で、サーバ114は装置502又は602から自身の出発地及び目的地の位置に関する情報を受信する。出発地の位置は装置502又は装置602から受信したGPSデータからサーバ114により判定され得るか、その他にはユーザ入力又はユーザ制御412を通じた目的地名称の選択の結果としてGPRSを介したテキスト・データとして受信され得る。ステップ706で、サーバ114は、ユーザの嗜好と、記憶装置112において利用可能な交通情報及び気象情報の少なくとも何れかとをオプションとして考慮に入れて、旅程を算出する。ステップ708で、サーバ114はナビゲーション案内を表すデータを装置502又は装置602に送信する。データ送信はGPRSを介して確立される。装置502又は602は、例えばGPSテクノロジー(又は別のテクノロジー)を介して判定された装置の現在の地理的位置を表すデータを例えばGPRSを介して送出する。便宜上、このデータは本明細書ではGPSデータとして参照される。ステップ710で、サーバ114はGPSデータを受信する。ステップ712で、サーバ114は、目的地に到達したかどうかを判定する。目的地に到達していた場合に、本方法の処理はステップ714で終了する。目的地に到達していない場合に、ステップ716で、受信したGPSデータに従って装置502又は602の位置に対応する地理的エリアを判定する。ステップ718で、サーバ114は、まだカバーされていない現在有効な旅程、すなわち現在の地理的位置と目的地との間の旅程の位置に関連する交通情報と気象情報との少なくとも何れかを判定する。この情報に基づいて、ステップ720でサーバ114は、走行時間(又は走行される距離若しくはこれら及びその他の量の重み付け合計)が最適されるかどうかを判定するために、現在有効な旅程についての修正候補を算出する。サーバ114が現在有効な旅程への修正が必要でないと判定した場合に、処理はステップ708に戻る。修正が必要であるとサーバ114が決定した場合に、ステップ722でサーバ114は修正された旅程を生成する。修正された旅程に基づいてナビゲーション案内データを供給するために処理はステップ708に戻る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル・ナビゲーション装置(118)であって、
前記装置の地理的位置と、旅程を経由して道路ネットワーク上のモバイル・ユーザを事前に決定された目的地へ案内するようにプログラムされていることとによって、前記モバイル・ユーザにナビゲーション情報を提供するように構成されており、
前記道路ネットワークのセグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報を記憶する記憶装置(406)と、
前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況を示すデータを受信する無線受信器(404)と、
前記受信器に結合されたデータ・プロセッサ(414)であって、
走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定し、
前記一筋が含まれない場合に、前記旅程を使用し続け、
前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程を決定するために前記履歴データを使用し、
前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始める
ように動作するデータ・プロセッサ(414)と
を備えることを特徴とするモバイル・ナビゲーション装置(118)。
【請求項2】
前記第2の予定走行時間は、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて、前記プロセッサにより算出されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
モバイル・ナビゲーション装置(118)のソフトウェア(416)であって、
前記装置は、
前記装置の地理的位置と、旅程を経由して道路ネットワーク上のモバイル・ユーザを事前に決定された目的地へ案内するようにプログラムされていることとによって、前記モバイル・ユーザにナビゲーション情報を提供するように構成されており、
前記道路ネットワークのセグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報を記憶する記憶装置(406)と、
前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況を示すデータを受信する無線受信器(404)と、
前記受信器に結合されたデータ・プロセッサ(414)と
を備え、
前記ソフトウェアは、
走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定し、
前記一筋が含まれない場合に、前記旅程を使用し続け、
前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程を決定するために前記履歴データを使用し、
前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始める
ように前記プロセッサを制御する命令を備えることを特徴とするソフトウェア(416)。
【請求項4】
前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて、前記第2の予定走行時間を算出するための前記プロセッサに対する命令をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のソフトウェア。
【請求項5】
旅程を経由してモバイル・ナビゲーション装置(118)のユーザを事前に決定された目的地へ案内するために、前記装置の地理的位置によって、前記ユーザにナビゲーション情報を提供する方法であって、
前記道路ネットワークのセグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報を記憶する記憶装置(406)にアクセスする工程と、
前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況を示すデータを無線受信器(404)を介して受信する工程と、
走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定する工程と、
前記一筋が含まれない場合に、前記旅程を使用する工程と、
前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程を決定するために前記履歴データを使用する工程と、
前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始める工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第2の予定走行時間は、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて算出されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
旅程を経由してモバイル・ナビゲーション装置(502,602)のユーザを事前に決定された目的地へ案内するために、前記装置の地理的位置によって、前記ユーザにナビゲーション情報を提供する方法であって、
前記地理的位置を表す、前記装置からのデータを受信する工程(710)と、
前記旅程に関連する道路ネットワークのセグメントを決定する工程(716)と、
前記セグメント内の各道路についての各履歴交通進行状況を表す履歴データを含む、前記セグメントに関する情報を決定する工程(718)と、
前記セグメント内の特定の道路の一筋についての現在の交通進行状況を決定する工程と、
走行される予定の前記旅程の部分に前記一筋が含まれるかどうかを判定する工程と、
前記一筋が含まれない場合に、前記旅程を使用する工程と、
前記一筋が含まれる場合に、前記現在の交通進行状況を前提とした前記旅程に対する第1の予定走行時間と、前記目的地への代替の旅程に対する第2の予定走行時間との比較に基づいて、前記代替の旅程(722)を決定(720)するために前記履歴データを使用する工程と、
前記比較の結果に応じて、前記代替の旅程に関するナビゲーション情報を提供し始める工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第2の予定走行時間は、前記特定の道路についての前記現在の交通進行状況を表す量を用いて、前記代替の旅程内のさらなる道路についての前記履歴交通進行状況を乗算することに基づいて算出されることを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520993(P2010−520993A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552133(P2009−552133)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001880
【国際公開番号】WO2008/110321
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】