説明

配線構造並びにその形成方法及び装置

【課題】 凹部への埋め込み性が良好で、長期に亘り安定した良好な電気的特性を得ることができ、さらに作製工程を可及的に低減し得る配線構造を提供する。
【解決手段】 Cu板と基板3との温度及び温度差を所定通りに制御しつつ、原料ガスであるCl2 ガスのプラズマによりCu板をエッチングすることによりCu成分とCl2 ガスとの前駆体であるCuClを形成し、この前駆体が基板3に吸着され、その後Cu成分を析出させることによりCuの薄膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成されたCu膜をCl2 ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部3aにその底部から順にCu膜を積層してこの凹部3aにCuを埋め込んだ。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は配線構造並びにその形成方法及び装置に関し、特にハロゲンを含有する原料ガスプラズマで高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を所定条件の下でエッチングすることによりこの金属膜を材料とする配線構造を形成する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】高速半導体デバイスでは、スイッチング速度や、伝送損失の低減、高密度化等により、その配線材料として従来のアルミニュウム合金に代わり銅が用いられるようになってきている。この場合、配線用の溝及びホール(ビァホール)等の凹部を表面に有する絶縁性の基板(例えばSiO2 )に対し、気相成長法やメッキ法等により、凹部を含む前記基板の表面に銅を付着させることにより所定の配線構造を形成している。
【0003】ここで、気相成長法により銅の薄膜を形成する場合には、、例えば、銅・ヘキサフロロアセチルアセトナト・トリメチルビニルシラン等の液体の有機金属錯体を原料として用い、固体状の原料を溶媒に溶かし、熱的な反応を利用して気化することにより基板に対する成膜を実施している。
【0004】また、基板の凹部に銅を埋め込んで所定の銅配線構造を形成する場合、ダマシン法が多用されている。このダマシン法とは、絶縁膜に溝加工を施し、このようにして形成した溝に配線材料となる銅を、前記気相成長法及びメッキ法等を利用して埋め込み、溝外部の余分な銅薄膜をCMP(化学機械研磨)によって除去することにより所定の配線構造を得る技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如き従来技術により得る配線構造は、基板の表面に銅薄膜膜を付着させることより形成しているので、銅の埋め込み性が悪くなるという問題を生起する。配線の幅は、近年益々微細化の傾向にあり、これに伴いホールの細径化も図る必要があり、結果としてホールの径に対する深さの比であるアスペクト比の極小化に対応するためにも埋め込み性を改善することは急務である。
【0006】また、上述の如き従来技術により得る配線構造は、これを構成する各銅結晶粒が比較的小さく、各結晶粒間にはその分多くの粒界が存在する。この結果、エレクトロマイグレーションにより粒界や欠陥部分に局所的な高抵抗部分が発生し易く、最悪の場合には、この部分がジュール熱により破断するという問題を生起する。同時に、凹部に対する銅膜の埋め込み時の残留応力に起因するストレスマイグレーションによっても物理的な破断に至る場合がある。
【0007】さらに、上述の如き気相成長法では、熱的反応を利用した成膜のため、成膜速度の向上を図ることが困難であるばかりでなく、原料となる金属錯体が高価であるという問題も有する。しかも、銅に付随しているヘキサフロロアセチルアセトナト及びトリメチルビニルシランは銅の薄膜中に不純物として残留するため、膜質の向上を図ることも困難である。
【0008】また、ダマシン法により配線を形成する場合、必ずCMP工程が必要となる等、配線構造の形成に要する時間が長いという問題も有している。これは、近年増加の傾向が顕著になってきた多層配線構造においては、特に大きな欠点となる。単層の配線構造の場合には、シングルダマシン法よりこれを形成することができるが、2層配線構造の場合には、同様の作業を2度行うダブルダマシン法によらなければならない等、層数の増加に応じてCMP工程等も比例して増加するからである。
【0009】本発明は、上記従来技術に鑑み、成膜速度が速く、安価な原料を用いることができ、膜中の不純物を可及的に低減し得るとともに、凹部への埋め込み性も良好で、長期に亘り安定した良好な電気的特性を得ることができ、さらに金属膜による配線構造の作製時等の工程を可及的に低減し得る配線構造並びにその形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は次の知見を得た。すなわち、基板を収容する真空のチャンバ内にCl2 ガスを供給し、このCl2 ガスをプラズマ発生手段によりプラズマ化する一方、前記チャンバに配設した銅板からなる被エッチング部材を、Cl2 ガスプラズマでエッチグした場合、銅板と基板との温度の関係を適切に制御することにより、エッチングされたCuを基板に析出させてCuの薄膜を形成することができる、すなわちエッチング部材である銅板を高温(例えば300°C〜400°C)に、また基板を低温(200°C程度)にした場合、基板に銅薄膜を形成することができるというものである。
【0011】したがって、相対的な高温雰囲気を形成するCl2 ガスプラズマに臨んで銅板を配設する一方、このプラズマ雰囲気を挟んで銅板に対向する相対的な低温雰囲気に基板を配設するとともに、両者の温度を適切に制御することにより容易にCu薄膜の作製装置を提供することができる。ここで、被エッチング部材としては、Cuの他に、例えば、Ta、Ti、W等、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属であれば一般に用いることができ、また原料ガスとしてはCl2 の他に、ハロゲンガスであれば一般に用いることができる。
【0012】上述のCu薄膜の作製装置においては、次の様な反応が起こっていると考えられる。
■プラズマの解離反応;Cl2 →2Cl*■エッチング反応;Cu+Cl* →CuCl(g)
■基板への吸着反応;CuCl(g)→CuCl(ad)
■成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 ↑ ・・・(1)
ここで、Cl* はClのラジカルであることを、(g)はガス状態であることを、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
【0013】ただ、上式(1)に示す成膜反応の際には、この成膜反応だけでなく析出したCu膜に対するCl* によるエッチング反応も同時に起こっている。すなわち、CuCl(ad)に適量のCl* が作用すれば、上式(1)に示す成膜反応によりCu膜が析出するが、高密度でCl* が存在する雰囲気では、析出したCu膜のCl* によるエッチング反応が優勢になりCu膜を成長させることはできない。このことは、Cl* の量を制御することにより、成膜反応又はエッチング反応の何れかを選択し得ることを意味する。したがって、成膜反応の速度がエッチング反応の速度よりも若干大きくなるような雰囲気を作ることができれば、成膜反応によるCu膜の析出と同時に、このCu膜の表面をエッチングしつつ膜厚を徐徐に厚くする成膜法が考えられる。すなわち、基板の凹部が、例えば極く細径のビァホールであったとしても、その底部から順にCuを積層してCu膜を形成することができる。このとき、積層されるCu膜の表面はCl* でエッチングされるため、常にCu膜の真性面が露出した状態で、また結晶方向が単一に揃えられた状態でCu膜の積層が進行する。したがって、かかる成膜反応とエッチング反応との共存状態の下での成膜により基板の凹部に形成されるCu膜は、膜自体としての密着性が良好で、且つ単結晶乃至等価的に単結晶と見做せるような大粒の結晶粒が結合した結晶(以下、両結晶を合わせて単結晶様結晶と称する。)となる。かかる単結晶様結晶であれは、結晶粒界が存在しないか、又は存在しても数個であるので、エレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの影響を受けることなく長期に亘り安定した電気的特性を期待し得る。
【0014】上述の如き知見に基づく本願発明に係る配線構造は、次の点を特徴とする。
【0015】1) 基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して形成したこと。
【0016】2) 多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した多層配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して一体的に形成したこと。
【0017】3) 上記2)に記載する多層配線構造において、基板の凹部の表面には、バリアメタル層が形成されていること。
【0018】4) 上記1)乃至3)の何れか一つに記載する配線構造において、金属膜の形成は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成したこと。
【0019】上述の如き知見に基づく本願発明に係る配線構造の形成方法は、次の点を特徴とする。
【0020】5) 基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線を形成すること。
【0021】6) 多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する多層配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して多層の配線構造を一体的に形成すること。
【0022】7) 上記6)に記載する多層配線構造の形成方法において、導電性の金属膜の形成に先立ち、基板の凹部の表面に、バリアメタル層を形成すること。
【0023】8) 上記5)乃至7)の何れか一つに記載する配線構造の形成方法において、金属膜は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成すること。
【0024】上述の如き知見に基づく本願発明に係る配線構造の形成装置は、次の点を特徴とする。
【0025】9) 溝又はホール等の凹部を形成した基板を内部に収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて成膜を行うことにより前記凹部に所定の配線構造を形成する配線構造の形成装置であって、前記金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線構造を形成するよう制御する制御手段を有すること。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の実施の形態に係る配線構造形成装置の概略側面図である。同図に示すように、円筒状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1(絶縁材料製)の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置されている。ここで、基板3には、溝及びホール等からなる凹部3aが形成してある。この凹部にCu膜を積層して所定の配線構造を形成するためである。
【0028】前記支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度に制御される。
【0029】チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は金属製の被エッチング部材としての銅板部材7によって塞がれている。銅板部材7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の真空圧に維持される。
【0030】チャンバ1の筒部の銅板部材7側の周囲には、チャンバ1の軸方向に亘り巻回したコイル状の成膜用プラズマアンテナ9が配設してあり、この成膜用プラズマアンテナ9には整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。成膜用プラズマアンテナ9、整合器10及び電源11で成膜用プラズマ発生手段を構成している。
【0031】支持台2の上方におけるチャンバ1の内部には、塩素を含有する原料ガス(Heで塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)を供給するノズル12が配設してある。ノズル12は銅板部材7に向けて開口している。また、このノズル12には流量制御器13を介して原料ガスが送給される。原料ガスは、成膜時に、チャンバ1内で壁面側に沿って基板3側から銅板部材7側に送られる。ここで、チャンバ1内に供給するCl2 ガスの量は、前記流量制御器13で制御する。
【0032】かかる配線構造形成装置における成膜時の態様は次の通りである。
【0033】先ず、チャンバ1の内部にノズル12から原料ガスを供給しつつ、成膜用プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスをイオン化してCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を発生させる。このCl2 ガスプラズマ14は、チャンバ1内の成膜用プラズマアンテナ9に隣接する空間、すなわちチャンバ1の銅板部材7側(上部)の空間に形成される。このときCl* も発生する。
【0034】Cl2 ガスプラズマ14により、銅板部材7にエッチング反応が生じ、前駆体(CuxCly)15が生成される。このとき、銅板部材7はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0035】チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、銅板部材7よりも低い温度に制御された基板3に搬送される。基板3に搬送されてこれに吸着された前駆体(CuxCly)15は、成膜反応を表す前式(1)の反応により基板3上にCuを析出させる。かくして、基板3の表面にCu薄膜(図示せず。)が形成される。基板3の表面形成されるCu薄膜は、同時にCl* によりエッチングされる。そして、このエッチング反応はCl* の密度によりその強弱の程度が決まる。そこで、本形態では、Cl* の量を適切に制御することにより、成膜反応の速度がエッチング反応の速度よりも若干大きくなるような雰囲気を作ることで、成膜反応によるCu膜の析出と同時に、このCu膜の表面をエッチングしつつ膜厚を徐徐に厚くして凹部3aにCu膜を埋め込んでいる。ここで、Cl* の密度の制御は、流量制御器13を制御し、ノズル12を介してチャンバ1内に供給するCl2ガスの量を制御することにより容易に実現し得る。
【0036】この結果、本形態に係る装置により形成した配線構造は、基板3の凹部3aが、例えば極く細径のビァホールであったとしても、その底部から順にCuを積層してCu膜を形成することができる。このとき、積層されるCu膜の表面はCl* でエッチングされるため、常にCu膜の真性面が露出した状態で、また結晶方向が単一に揃えられた状態でCu膜の積層が進行する。
【0037】したがって、かかる成膜反応とエッチング反応との共存状態の下での成膜により、凹部3aに埋め込まれるCu膜は、膜自体としての密着性が良好で、且つ単結晶様結晶となる。かかる単結晶様結晶であれば、結晶粒界が存在しないか、又は存在しても数個であるので、エレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの影響を受けることなく長期に亘り安定した電気的特性を維持し得る。
【0038】すなわち、図2(a)乃至図2(c)にその形成過程の横断面図として示すように、図2(a)に示す初期状態から、順に凹部3aの底部から開口部(上方)に向けてCu膜16が徐々に積層されて単結晶様結晶のCu膜16からなる配線構造が形成される。なお、図2(d)は従来技術により得る配線構造を模式的に示す横断面図である。同図に示すように、このCu膜16’は各結晶粒が小さいので、多くの粒界16’aが存在する。
【0039】このときの成膜条件は、例えば次の通りである。基板3の温度;160°C〜200°C、これは160°C以下ではCu膜を析出できないし、200°C以上では、エッチング反応が優勢になりCu膜が付着しないからである。成膜用プラズマアンテナ9に供給する電力密度;22(W/cm2 ),Cl2 ガスの供給流量;50〜120(sccm)で、凹部3の深さ等を考慮して成膜反応速度>エッチング反応速度となるように制御する。
【0040】上述の如く成膜反応の速度がエッチング反応の速度よりも若干大きくなるような雰囲気を作ることは、図1に示す装置で発生している次の様な現象を利用することにより容易に実現し得る。
【0041】図3は図1に示す装置における基板3の凹部3aの深さ方向に対するCl* の一般的な密度特性(図に実線で示す曲線)を、基板3の凹部3aとの深さ位置関係において示す特性図である。同図に示すように、Cl* の密度は凹部3aの底部に行く程小さくなる。凹部3aに侵入したCl* は、その底部に至る迄の間に凹部3aの表面に衝突して消滅してしまうからである。すなわち、凹部3aの底部に行けば行く程、Cl* +Cl* →Cl2 で表される反応が起こる確率が高く、その分Cl* が消滅して密度が小さくなる。これに対し、前駆体(CuxCly)15は簡単に凹部3aの底部に到達できる。したがって、一般的に凹部3aの底部に行けば行く程、成膜反応が優勢であるといい得る。すなわち、Cl2 ガスの濃度等の成膜条件を適切に制御すれば、成膜反応領域とエッチング反応領域との境界が徐徐に凹部3aの開口部に向けて上昇し、常に真性面を露出した状態でCu膜16を積層することができることになる。
【0042】図4は図1の装置により上述の如く成膜速度とエッチング速度とを制御して形成した多層(本例は2層)の配線構造を示す横断面図である。同図に示すように、当該多層配線構造は、同図(a)に示すように、例えばビァホールである凹部23aを形成した絶縁体(例えはSiO2 )の基板23に、他の基板24を積層するとともに、この基板24に配線用の溝である凹部24aを形成した基板Iである。またこの基板Iの表面には、配線材料(Cu)との密着性を良好に確保するため、一般的に採用されるバリアメタル層25が形成されている。このバリアメタル層25の材料は、例えばTaNである。
【0043】図1に示す装置に上記基板Iを収納して上述の条件で装置を駆動すると、成膜反応速度>エッチング反応速度の条件下で図4に示す凹部23aの底部から徐徐にCu膜26が積層され、凹部24aに至る配線構造が一体的に形成される。すなわち、図4(b)に示すような一体的な配線構造を形成することができる。そして、かかる配線構造を形成するCuは、凹部23aから凹部24aに至る単結晶様結晶となる。
【0044】ここで、凹部24aにCu膜26が完全に埋め込まれた時点で、Cl2 ガスの供給量を増加させてエッチング反応を優勢にしてやれば、従来技術に係るダマシン法におけるCMP工程を省略することができる。エッチング反応が優勢になれば、基板24の表面(正確にはバリアメタル層25の表面)にはCu膜26が形成されないからである。
【0045】かかる多層配線構造は、従来方法に較べ飛躍的にその作製工程を削減して、極めて短時間で所望の多層配線構造を形成することができる。比較のため、従来技術に係るダブルダマシン法で、図4(b)に示す多層配線構造を形成する場合の工程を説明しておく。
【0046】1) 凹部33aとともにバリアメタル層35を形成した基板33を用意する(図5(a)参照。)。
2) 気相成長法乃至メッキ法等により凹部33aを含め基板33の表面にCu膜36を形成する(図5(b)参照。)。
3) 凹部33a以外のCu膜36をCMPにより取り除く(図5(c)参照。)。
4) 他の絶縁層である基板34を形成するとともに、これを加工して配線溝等の凹部34aを形成する(図5(d)参照。)。
5) 凹部34aを含め基板34の表面にバリアメタル層37を形成する(図5(e)参照。)。
6) 気相成長法乃至メッキ法等により凹部34aを含め基板34の表面にCu膜38を形成する(図5(e)参照。)。
7) その後、凹部34a以外のCu膜38をCMPにより取り除く。
【0047】従来技術によれば、上記1)乃至7)の多数の工程が必要なのに対し、上記実施の形態では、図4(a)に示す、バリアメタル層25を形成した多層構造の基板Iを形成した後は、一工程で、所望の多層配線構造を形成することができる。この点だけでも、飛躍的に作製時間を低減し得る。
【0048】なお、シングルダマシン法により単層の配線構造を形成する場合、従来技術においては、上記工程のうち1)乃至3)の工程が必要である。すなわち、一回はCMP工程が必要である。これに対し、上記本形態によれば、単層の配線構造を形成する場合でも、前述の如くCMP工程を省略してその作製時間の短縮を図ることができる。
【0049】さらに、本形態に係る上記多層配線構造では、凹部23aに埋め込んだCu膜26と凹部24aに埋め込んだCu膜26との間がバリアメタル層25で仕切られることはない。これに対し、図5に示す従来技術に係る多層構造では図5(e)に示す工程で凹部33aに埋め込まれたCu膜36の上面にバリアメタル層37が形成され、これを別途取り除かない限り、凹部34aに埋め込まれたCu膜38との間にバリアメタル層37が存在することとなる。このバリアメタル層37は、Cuに較べ抵抗率が二桁程度大きいTaN等の高抵抗体で通常形成される。したがって、従来構造では、低抵抗のCu膜26、38を高抵抗のバリアメタル層37で接続した構造となってしまい、当該多層配線構造の電気的な性能を低下させてしまういう問題を孕んでいたが、本形態に係る多層配線構造によれば、かかる問題点も同時に解消し得る。
【0050】なお、本発明に係る配線構造を形成し、またその配線構造を形成する方法に使用する配線構造形成装置は、図1に示す実施の形態に係る配線構造形成装置に限るものでは、勿論ない。銅板等で形成した被エッチング部材と基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、チャンバ内の原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて成膜を行うようにした装置であれば良い。成膜反応速度>エッチング反応速度の条件下で基板の凹部に、その底部から金属膜を積層し得るからである。したがって、チャンバ内に原料ガスを供給してチャンバ内でそのプラズマを形成する装置ばかりでなく、別途形成した原料ガスプラズマをチャンバ内に供給するようにした装置であっても良い。
【0051】なお、上記各実施の形態においては、原料ガスとして、Heで希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、銅製の被エッチング部材のエッチングにより生成される前駆体はCuxClyである。したがって、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。さらに、一般的には塩素に限らず、ハロゲンガスであれば、本発明の原料ガスとして利用することができる。
【0052】また、被エッチング部材は銅に限らず、Ta,Ti,W等の高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属であれば同様に用いることができる。この場合、前駆体はTa,Ti,W等の塩化物(ハロゲン化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はTa,Ti,W等となる。
【0053】
【発明の効果】以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して形成したので、成膜反応による金属膜の析出と同時に、この金属膜の表面をエッチングしつつ膜厚を徐徐に厚くして当該配線構造が形成される。すなわち、基板の凹部が、例えば極く細径のビァホールであったとしても、その底部から順に金属を積層して当該金属膜を形成することができる。このとき、積層される金属膜の表面は原料ガスプラズマでエッチングされるため、常に金属膜の真性面が露出した状態で、また結晶方向が単一に揃えられた状態で金属膜の積層が進行する。したがって、従来技術に係る気相成長法及びメッキ法等により形成した配線構造に較べ格段に優れた埋め込み性が得られる。さらに、膜自体としての密着性も良好で、且つ単結晶乃至等価的に単結晶と見做せるような大粒の結晶粒が結合した単結晶様結晶となる。したがって、かかる単結晶様結晶には、結晶粒界が存在しないか、又は存在しても数個であるので、エレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションの影響を受けることなく長期に亘り安定した電気的特性を維持し得る。
【0054】〔請求項2〕に記載する発明は、多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した多層配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して一体的に形成したので、多層の配線構造を一体的に連続した金属の単結晶様結晶として形成することができ、〔請求項1〕に記載する作用・効果は、従来技術に較べさらに顕著なものとなる。
【0055】〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載する多層配線構造において、基板の凹部の表面には、バリアメタル層が形成されているので、多層の配線構造を一体的に連続した金属の単結晶様結晶として形成することができ、従来技術においては必然的に形成されていた、各層の配線構造間のバリアメタル層を除去することができる。この結果、各層間の配線構造を形成する金属がバリアメタル層で分断されることはなく、この部分での抵抗率の上昇を除去し得る。したがって、その分配線構造の電気的特性が向上する。
【0056】〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項1〕乃至〔請求項3〕の何れか一つに記載する配線構造において、金属膜の形成は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成したので、〔請求項1〕乃至〔請求項3〕に記載する配線構造を容易且つ確実に形成することができる。
【0057】〔請求項5〕に記載する発明は、基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線を形成するので、〔請求項1〕に記載する配線構造を容易且つ確実に形成することができる。この際、成膜速度とエッチング速度との関係を制御することにより、従来技術に係るダマシン法において必須の工程とされていたCMP工程を除去することができ、この場合には製造コスト及び時間の飛躍的な低減を図ることができる。
【0058】〔請求項6〕に記載する発明は、多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する多層配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して多層の配線構造を一体的に形成するので、〔請求項5〕に記載する効果を、さらに顕著なものとすることができる。多層の基板に形成された相互に連続する凹部に一度に金属膜を積層することにより埋め込んで所望の配線構造を形成することができるからである。また、多層になればその層数に応じてCMP工程も増加するが、かかる工程を全て除去することができるからである。
【0059】〔請求項7〕に記載する発明は、〔請求項6〕に記載する多層配線構造の形成方法において、導電性の金属膜の形成に先立ち、基板の凹部の表面に、バリアメタル層を形成するので、〔請求項6〕に記載する発明の効果に加え、多層の配線構造を一体的に連続した金属の単結晶様結晶として形成することができ、従来技術においては必然的に形成されていた、各層の配線構造間のバリアメタル層を除去することができる。この結果、各層間の配線構造を形成する金属がバリアメタル層で分断されることはなく、この部分での抵抗率の上昇を除去し得る。したがって、その分配線構造の電気的特性が向上する。また、従来技術においては、各層毎に個別に形成していたバリアメタル層を一度に形成することができ、この点でも当該多層配線構造の総合的な作業工程の削減を図ることができる。
【0060】〔請求項8〕に記載する発明は、〔請求項5〕乃至〔請求項7〕の何れか一つに記載する配線構造の形成方法において、金属膜は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成するので、〔請求項1〕乃至〔請求項4〕に記載する配線構造を、チャンバ内の原料プラズマの量を制御することで良好に形成することができる。
【0061】〔請求項9〕に記載する発明は、溝又はホール等の凹部を形成した基板を内部に収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて成膜を行うことにより前記凹部に所定の配線構造を形成する配線構造の形成装置であって、前記金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線構造を形成するよう制御する制御手段を有するので、〔請求項1〕乃至〔請求項4〕に記載する配線構造を、チャンバ内の原料プラズマの量を制御することで良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る配線構造形成装置の概略側面図である。
【図2】図1に示す装置で形成する配線構造の形成過程を示す横断面図((a)乃至(c))及び従来技術により形成した配線構造を示す横断面図である。
【図3】図1に示す装置における基板3の凹部3aの深さ方向に対するCl* の一般的な密度特性を、基板3の凹部3aとの深さ位置関係において示す特性図である。
【図4】図1の装置により形成した多層(本例は2層)の配線構造を示す横断面図である。
【図5】従来技術に係るダブルダマシン法により多層配線構造を形成する場合の各工程における配線構造を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバ
2 支持台
3 基板
3a 凹部
6 温度制御手段
7 銅板部材
9 成膜用プラズマアンテナ
12 ノズル
14 Cl2 ガスプラズマ
15 前駆体
16 Cu膜
23 基板
23a 凹部
24 基板
24a 凹部
25 バリアメタル層
26 Cu膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して形成したことを特徴とする配線構造。
【請求項2】 多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで形成した多層配線構造であって、金属成分と原料ガスとの前駆体が基板に吸着され、その後金属成分が析出することにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して一体的に形成したことを特徴とする多層配線構造。
【請求項3】 〔請求項2〕に記載する多層配線構造において、基板の凹部の表面には、バリアメタル層が形成されていることを特徴とする多層配線構造。
【請求項4】 〔請求項1〕乃至〔請求項3〕の何れか一つに記載する配線構造において、金属膜の形成は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成したことを特徴とする配線構造。
【請求項5】 基板に形成した溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線を形成することを特徴とする配線構造の形成方法。
【請求項6】 多層の配線構造を形成する基板に形成した多層の溝及びホール等の凹部に金属膜を埋め込んで配線を形成する多層配線構造の形成方法であって、金属成分と原料ガスとの前駆体を基板に吸着させ、その後金属成分を析出させることにより当該金属の金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して多層の配線構造を一体的に形成することを特徴とする多層配線構造の形成方法。
【請求項7】 〔請求項6〕に記載する多層配線構造の形成方法において、導電性の金属膜の形成に先立ち、基板の凹部の表面に、バリアメタル層を形成することを特徴とする多層配線構造の形成方法。
【請求項8】 〔請求項5〕乃至〔請求項7〕の何れか一つに記載する配線構造の形成方法において、金属膜は、内部に基板を収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて所定の成膜を行う金属膜作製装置により形成することを特徴とする配線構造の形成方法。
【請求項9】 溝又はホール等の凹部を形成した基板を内部に収容するチャンバに高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属で形成した被エッチング部材を配設する一方、この被エッチング部材と前記基板の温度とを所定の温度及び温度差に制御することにより、前記チャンバ内のハロゲンを含有する原料ガスプラズマで前記被エッチング部材をエッチングして金属成分と原料ガスとの前駆体を形成し、この前駆体の金属成分を基板に析出させて成膜を行うことにより前記凹部に所定の配線構造を形成する配線構造の形成装置であって、前記金属膜を形成する成膜反応と、この成膜反応により形成された金属膜を原料ガスのプラズマでエッチングするエッチング反応とを共存させるとともに、前記成膜反応の速度が前記エッチング反応の速度よりも大きくなるように制御することにより前記凹部にその底部から順に金属膜を積層して所定の配線構造を形成するよう制御する制御手段を有することを特徴とする配線構造の形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−264158(P2003−264158A)
【公開日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−63064(P2002−63064)
【出願日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】