電動機の固定子及び電動機及び送風機及びポンプ及び空気調和機及び電動機の製造方法
【課題】加工を簡素化して加工コストを低減でき、かつ部品コストを低減できると共に、中性点端子の価格を低減できる電動機の固定子を提供すること。
【解決手段】この発明に係る電動機の固定子は、巻線の全ての渡り線2a,2b,2cを、絶縁部の結線側に配置し、渡り線2aが固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子5において折り返し、切断することなく巻線し、絶縁部の結線側に挿入される三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子4及び中性点端子5とを角線を折り曲げて形成し、固定子鉄心を帯状に配置して、ティースに集中巻線方式の巻線を施し、巻線の渡り線2a,2b,2cを、絶縁部にからげないことを特徴とする。
【解決手段】この発明に係る電動機の固定子は、巻線の全ての渡り線2a,2b,2cを、絶縁部の結線側に配置し、渡り線2aが固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子5において折り返し、切断することなく巻線し、絶縁部の結線側に挿入される三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子4及び中性点端子5とを角線を折り曲げて形成し、固定子鉄心を帯状に配置して、ティースに集中巻線方式の巻線を施し、巻線の渡り線2a,2b,2cを、絶縁部にからげないことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状に打ち抜かれて積層された固定子鉄心に絶縁部を形成し、帯状の固定子鉄心に巻線する電動機の固定子及び電動機及び送風機及びポンプ及び空気調和機及び電動機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隣合うコイルが異相となる電動機の固定子のコイルの端末処理、渡り線の処理の全てを結線側絶縁部にて行うことにより、生産性、品質の向上を図るために、ティースが平行に配され、コアバックが薄肉で連結されて打ち抜かれる固定子鉄心に絶縁部が施され、ティースに施された絶縁部にマグネットワイヤーが巻回されることによりコイルが形成され、同相コイルの間に異相のコイルが形成される電動機の固定子において、コイル間の渡り線が、端子が設けられる固定子鉄心外径側の絶縁部で、固定子鉄心端面より軸方向外側の絶縁部である結線側絶縁部の外周を引き回され、各相の渡り線の結線側絶縁部の外周への入口と出口の高さがほぼ同一で、各相の渡り線が接触することなく軸方向に配列された電動機の固定子が提案されている。尚、同電動機の固定子は、帯状に打ち抜かれて形成される電動機固定子鉄心を所定とは逆方向に曲げて巻線が施される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−96838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の電動機の固定子のように、帯状に打ち抜かれて積層された固定子鉄心に絶縁部を形成し、所定とは逆方向に折り曲げて巻線する電動機の固定子は、巻線工程に時間が掛かり加工コストが高く、かつ、端子の使用量が多く部品コストが高いという課題がある。
【0004】
また、中性点端子は銅板を打抜いて製作するため、材料ロスが発生することでコストが高いという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加工を簡素化して加工コストを低減でき、かつ部品コストを低減できると共に、中性点端子の価格を低減できる電動機の固定子及び電動機及び送風機及びポンプ及び空気調和機及び電動機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電動機の固定子は、電磁鋼板を帯状に打ち抜き積層され、複数のティースを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心のティースに施される絶縁部と、この絶縁部が施されたティースに直接集中巻線方式により施される三相のシングルY結線の巻線とを備えた電動機の固定子において、
巻線の全ての渡り線を、絶縁部の結線側に配置し、渡り線が固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子において折り返し、切断することなく巻線し、
絶縁部の結線側に挿入される三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子及び中性点端子とを角線を折り曲げて形成し、
固定子鉄心を帯状に配置して、ティースに集中巻線方式の巻線を施し、巻線の渡り線を、絶縁部にからげないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る電動機の固定子は、巻線の渡り線を、絶縁部にからげないことにより、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は電動機の固定子100を巻線した状態を示す斜視図、図2は電動機の固定子100を巻線した状態を外周側から見た斜視図、図3は端子4の斜視図、図4は中性点端子5の斜視図、図5は変形例の中性点端子5の斜視図、図6は電動機の固定子100の巻線手順を示す図((a)は1相目(U相)の巻線手順、(b)は2相目(V相)の巻線手順、(c)は3相目(W相)の巻線手順)、図7は電動機の固定子100の斜視図、図8は中性点端子5付近の部分拡大図、図9は電動機200を示す図、図10は電動機200の製造工程を示す図である。
【0009】
図1、図2において、電動機の固定子100は、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された固定子鉄心1を備える。
【0010】
固定子鉄心1は、ここでは、6個のティース1aを有する。各ティース1aには、絶縁部3が施される。絶縁部3は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形される。
【0011】
但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。その場合は、絶縁部3は結線側と反結線側とに分割され、それぞれをティース1aの軸方向両端部から挿入して絶縁部3を構成する。絶縁部3は、ティース1a毎に設けられる。従って、ここでは、6個の絶縁部3を備える。
【0012】
巻線は追って説明するが、三相のシングルY結線である。そのため、絶縁部3の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル2が接続される端子4(電源が供給される端子である)、及び中性点端子5が組付けられる。端子4は3個、中性点端子5は1個である。
【0013】
図1に示すように、隣接するティース1a間に、コイル2をティース1aに巻回すやすい十分な距離がある場合は、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回することができる。ティース1aにコイル2を巻回しやすくするために、ティース1aが外側になるように帯状の固定子鉄心1を逆方向に曲げる必要がない場合である。
【0014】
絶縁部3が施された各ティース1aに、コイル2が巻回される。即ち、コイル2がティース1aに直接巻回される集中巻線方式である。そして、巻線は、三相のシングルY結線である。
【0015】
図3に示す端子4は平角線を折り曲げて形成される。平角線は、材質は銅であり、例えば錫銅合金の溶融めっきが施される。平角線は、一例では、厚さが0.5mm、幅が1.0mmである。
【0016】
端子4は、平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に端子4を挿入する挿入部4bに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて折り返し部4aを形成し、さらに、絶縁部3に挿入される挿入部4bに対してほぼ逆に伸びるように略90°曲げることにより形成される。
【0017】
図4に示す中性点端子5も端子4と同じ平角線を使用する。平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に中性点端子5を挿入する挿入部5dに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて第一の折り返し部5aを形成する。さらに、絶縁部3への挿入部5dに対し略対称となる位置で、挿入部5d側に略180°曲げて第二の折り返し部5bを形成する。第二の折り返し部5bの先端部5b−1と絶縁部3への挿入部5dとの間に開口部5cを備える。
【0018】
尚、端子4、中性点端子5に平角線を用いる例を説明したが、平角線でなくてもよく角線であればよい。
【0019】
また、中性点端子5は、幅Wの制約がない場合は、図4に示すように、第一の折り返し部5aと、第二の折り返し部5bとを逆方向に曲げてもよい。
【0020】
中性点端子5が組付けられる絶縁部3の結線側に、中性点端子5の引き回し用突起7が設けられる。
【0021】
さらに、絶縁部3は結線側に、各相の渡り線を、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持する突起8(図2、図7参照)を備える。
【0022】
図6により、6スロットの三相のシングルY結線を施す手順を説明する。
【0023】
先ず、1相目、2相目、3相目を次のように定義する。1相目は固定子鉄心1の端面に最も近い高さの位置を渡り線が引回されて接続されたU相のコイルを指す。2相目は1相目の次の2段目を渡り線が引回されて接続されたV相のコイルを指す。3相目は2相目の次の3段目を渡り線が引回されて接続されたW相のコイルを指す。
【0024】
図6(a)を用いて、1相目のU相の巻線手順について説明する。1相目の最初に形成されるコイルは、図6(a)で示す通り、固定子鉄心1の一方の端部(図6(a)では左端)から3番目のティース1aの絶縁部3に、マグネットワイヤーが巻付けられて形成される。
【0025】
先ず、絶縁部3の外径側に備える1相目巻始めからげピン10にマグネットワイヤーの端末が引き回される。その後、絶縁部3に備える角穴に挿入された端子4の折り返し部4aに1相目の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。そして、ティース1aに形成された絶縁部3に左巻きに所定の回数巻付けられて、1相目の第1のコイルU−1が形成される。
【0026】
コイルU−1が形成された後に、渡り線2aが絶縁部3の1相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外径側に引出される。
【0027】
1相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外径側に引出された渡り線2aは、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(a)では、左側から6番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた1相目渡り線入口14より左側から6番目のティース1aまで引回される。
【0028】
固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2aが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2aを左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。
【0029】
ティース1aにコイル2を巻回しやすくするために、ティース1aが外側になるように帯状の固定子鉄心1を逆方向に曲げてティース1aにコイル2を巻回する場合は、左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで渡り線2aを引回わす間に、渡り線2aを少なくとも一回は絶縁部3にからげる必要がある。
【0030】
本実施の形態では、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで渡り線2aを引回わす間に、渡り線2aを絶縁部3にからげる必要がなく、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0031】
左側から6番目のティース1aの絶縁部3に設けられた1相目渡り線入口14より左側から6番目のティース1aまで引回され、最初のコイルU−1と同様にティース1aに所定の回数左巻きに巻付けられて1相目の第2のコイルU−2が形成される。
【0032】
このとき渡り線2aは、絶縁部3の外側に設けられる突起8(図2、図7参照)により相毎に固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持されるが、1相目の渡り線2aは最も固定子鉄心1に近い1段目を引回される。
【0033】
1相目の最後となる第2のコイルU−2が形成された後のマグネットワイヤーは、第2のコイルU−2が形成されるティース1aの絶縁部3に設けられた1相目巻終り引出し部15より引出される。1相目の渡り線2aが引回された方向とは逆方向(図6(a)では左方向)に引出され、隣のティース1aに設けられた絶縁部3まで引回されて1相目巻終りとなる。
【0034】
このとき、1相目巻終り引出し部15の高さを中性点端子5の第一の折り返し部5a、及び第二の折り返し部5bの高さより高い位置とすることで、中性点端子5へのマグネットワイヤーの引き回しが容易となり、生産性の向上、かつ製造上の品質向上が図れる。
【0035】
以下、2相目(V相)の巻線手順について図6(b)により説明する。1相目巻終りは、隣の2相目の最初の第2のコイルV−2が形成されるティース1a(図6(a)では、左側から5番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた1相目巻終りからげピン16に1回以上からげられる。
【0036】
第2のコイルV−2が形成されるティース1aの絶縁部3に設けられた中性点端子5の引き回し用突起7を利用して、組付けられた略T字状の中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられた後、ティース1aまで引回されて、2相目巻始め18となる。
【0037】
中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
【0038】
ここで、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けるということは、以下のような意味合いである。図8を参照しながら説明する。即ち、1相目巻終りを1相目巻終りからげピン16にからげ、ここを支点にしてノズルで2相目巻始め18のマグネットワイヤーを先ずティース1a側に引っ張る。マグネットワイヤーが引き回し用突起7を過ぎたら、次いで、2相目巻始め18のマグネットワイヤーを反ティース1a側(電動機の固定子100の外周側)に引っ張る。引き回し用突起7は、中性点端子5より軸方向の外側に突出しているので、この状態で、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てることができる。次に、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てた状態を維持しながらノズルを第二の折り返し部5bより下げつつ、第二の折り返し部5bの左横を通り、固定子鉄心1の内側(図8では下方)に移動する。すると、マグネットワイヤーは、中性点端子5の開口部5cから中性点端子5の中に入る。そして、ノズルを第一の折り返し部5a側に移動すれば、マグネットワイヤーは中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられる。
【0039】
2相目の最初の第2のコイルV−2は、中性点端子5の第一の折り返し部5aに引掛けられ、マグネットワイヤーを切断することなく連続してティース1aに、1相目のコイルとは逆の方向(右巻き)に所定の回数巻付け形成される。
【0040】
2相目の最初の第2のコイルV−2が形成された後に、2相目の渡り線2bが2相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
【0041】
渡り線2bは、1相目の渡り線2aが引回される方向とは逆の方向(図6(b)では左方向)に渡り、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(a)では、左側から2番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた2相目渡り線入口21より左側から2番目のティース1aまで引回される。
【0042】
2相目渡り線入口21よりティース1aまで引回され、最初の第2のコイルV−2と同様に、ティース1aに所定の回数右巻きに巻付けられて2相目の第1のコイルV−1が形成される。
【0043】
1相目(U相)と同様、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2bが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2bを左側から5番目のティース1aから左側から2番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0044】
また、2相目の渡り線2bは、固定子鉄心1の端面から2段目の高さ位置を引回される(突起8により、分けられる)。
【0045】
2相目の最後となる第1のコイルV−1が形成された後のマグネットワイヤーは、第1のコイルV−1が施される絶縁部3に組付けられた端子4の折り返し部4aに収められる。
【0046】
2相目巻終り23が2相目巻終りからげピン24に巻付けられて、2相目巻終り23が形成され切断される。
【0047】
このように2相目の最初に形成される第2のコイルV−2(図6(b)で、左側から5番目のティース1aに巻回される)は、1相目の最後に形成される第2のコイルU−2(図6(a)で、左側から6番目のティース1aに巻回される)の隣となることから、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0048】
さらに、1相目と2相目とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
【0049】
以下、3相目(W相)の巻線手順について図6(c)により説明する。3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、2相目の最後となる第1のコイルV−1が形成されるティース1a(左から2番目)の隣のティース1a(左端)である。
【0050】
3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、1相目と同様に3相目巻始めからげピン60にマグネットワイヤーの端末が引き回された後、3相目巻始め25が端子4の折り返し部4aを介してティース1aに施された絶縁部3へ引回され、左巻きにティース1aに所定の回数巻付けられて、第1のコイルW−1が形成される。
【0051】
渡り線2cに関しては、3相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
【0052】
3相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外径側に引出された渡り線2cは、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(c)では、左側から4番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた3相目渡り線入口28より左側から4番目のティース1aまで引回される。
【0053】
1相目(U相)と同様、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2cが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2cを左端の1番目のティース1aから左側から4番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0054】
3相目渡り線入口28より左側から4番目のティース1aまで引回され、最初の第1のコイルW−1と同様にティース1aに所定の回数左巻きに巻付けられて3相目の第2のコイルW−2が形成される。
【0055】
このとき3相目の渡り線2cは、固定子鉄心1の端面より最も離れた高さ位置を渡る。3相目渡り線引出し部26と、3相目渡り線入口28とは、固定子鉄心1の端面からの高さがほぼ同じとなっている。
【0056】
3相目の最後となる第2のコイルW−2が形成された後に、マグネットワイヤーは3相目渡り線引出し部26(図6(c)の右から3番目のティース1aに形成される)より引出される。
【0057】
さらに、中性点端子5を備える絶縁部3の3相目巻終りからげピン29まで引回される。3相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度3相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、3相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて3相目の巻終りとなり、マグネットワイヤーの端末を切断して巻線工程を終了する(図8も参照)。
【0058】
このように3相目の最初に形成される第1のコイルW−1(図6(c)で、左端のティース1aに巻回される)は、2相目の最後に形成される第1のコイルV−1(図6(b)で、左から2番目のティース1aに巻回される)の隣(右隣)となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0059】
巻線工程が終了後に、固定子鉄心1は所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となり、固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部を溶接して、溶接部で固定する。
【0060】
このとき、各相の渡り線2a,2b,2cは、絶縁部3の外周側に備える突起8(図6では見えていない、図7参照)により所定の位置に保持され、各相の渡り線2a,2b,2c同士が接触することがなくなるので、品質の向上が図れる。
【0061】
さらに端子4、中性点端子5をヒュージングすることで、マグネットワイヤーと端子4及び中性点端子5とを電気的に、かつ、機械的に接合することで電動機の固定子100となる。
【0062】
一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つ。これに対し、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0063】
ここで、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
【0064】
図9は電動機200を示す。電動機200は、回転子38、ブラケット39、電動機の固定子100をモールド成形したモールド固定子40、結線部品41(基板)等を備える。
【0065】
図9に示すように、本実施の形態の電動機の固定子100に外部と接続される結線部品41を組付け、機械的に、かつ、電気的にも接合した後にモールドを施す。その後、回転子38、ブラケット39等の部品を組付けて電動機200となる。
【0066】
前述の品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100を使用することで、品質の良い、低コストの電動機200を得ることができる。
【0067】
図10は電動機200の製造工程を示す。
(1)ステップ1:電磁鋼板を打ち抜き、積層して帯状の固定子鉄心1を製作する。
(2)ステップ2:絶縁部3を、熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形する。但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。並行して、平角線を折り曲げて端子4、中性点端子5を製作する。
(3)ステップ3:端子4(3本)、中性点端子5(1本)を絶縁部3の結線側に挿入する。
(4)ステップ4:三相のシングルY結線の中の、1相目と2相目とをマグネットワイヤーを切らずに連続して巻線する。
(5)ステップ5:3相目を、1相目と同様の方法で巻線する。
(6)ステップ6:帯状の固定子鉄心1を、所定の正曲げにする。
(7)ステップ7:固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接する。
(8)ステップ8:端子4、中性点端子5のヒュージングを行う。並行して、結線部品41を製作する。
(9)ステップ9:電動機の固定子100に結線部品41を組付け、接合する。
(10)ステップ10:電動機の固定子100をモールド成形する。並行して、回転子38、ブラケット39等の他の部品を製作する。
(11)ステップ11:電動機200を組立てる。
【0068】
以上の図10に示す製造工程で、電動機200を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機200を製作することができる。
【0069】
以上のように、この実施の形態によれば、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
【0070】
また、2相目の最初に形成される第2のコイルV−2は1相目の最後に形成される第2のコイルU−2の隣となることから、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0071】
また、1相目と2相目とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
【0072】
また、3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、2相目の最後に形成される第1のコイルV−1の隣(右隣)となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0073】
また、一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つが、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0074】
また、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
【0075】
また、品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100を使用することで、品質の良い、低コストの電動機200を得ることができる。
【0076】
また、図10に示す製造工程で電動機200を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機200を製作することができる。
【0077】
さらに、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2a,2b,2cが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2a,2b,2cを引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0078】
実施の形態2.
図11は実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成を示す図である。図11に示すように、空気調和機300は、室内機42と、室内機42に接続される室外機43とを備える。室外機43は送風機44を備える。室内機42も送風機(図示せず)を備える。
【0079】
室内機42及び室外機43に、実施の形態1の品質のよい電動機200を、空気調和機300の主要部品である送風機用電動機として用いることで、空気調和機300の品質の向上が図れる。
【0080】
実施の形態3.
図12は実施の形態3を示す図で、ポンプ400の断面図である。
【0081】
図12に示すポンプ400は、以下に示す構成である。即ち、ポンプ400は、
(a)実施の形態1の電動機の固定子100に結線部品41(基板)が組み付けられ、さらにポンプ400内の水と固定子とを仕切る樹脂成形品のシールボックス140とをモールド一体成形して製作されるポンプ用電動機の固定子170と、
(b)SUSやセラミックなどを材料として製作され、シールボックス140に設けられる軸支持部に一端が挿入され、他端が樹脂成形品のケーシング90の軸支持部にて支持されるシャフト96と、
(c)リング状の耐熱水性樹脂製のマグネット150aと、マグネット150aの内側で、シャフト96の外周に配設される円筒形のスリーブ150bとがPPE(ポリフェニレンエーテル)等の熱可塑性樹脂で一体に成形される回転子150と、
(d)回転子150に超音波溶着などにより接合され、シャフト96を中心に回転自在に設置される樹脂成形品の羽根車160と、
(e)スリーブ150bの両端面に、所定の隙間をもって設置されるSUSやセラミックなどを材料として製作されるスラストベアリング95と、
を備え、シールボックス140にOリング97を設置した後、ケーシング90と、ポンプ用電動機の固定子170と、足板93とをタッピングネジ91等により共締めして組み立てられる。
【0082】
以上のように、実施の形態1の電動機の固定子100をポンプ400に使用することで、ポンプ400の低価格化及び品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100を巻線した状態を示す斜視図。
【図2】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100を巻線した状態を外周側から見た斜視図。
【図3】実施の形態1を示す図で、端子4の斜視図。
【図4】実施の形態1を示す図で、中性点端子5の斜視図。
【図5】実施の形態1を示す図で、変形例の端子4の斜視図。
【図6】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100の巻線手順を示す図((a)は1相目(U相)の巻線手順、(b)は2相目(V相)の巻線手順、(c)は3相目(W相)の巻線手順)。
【図7】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100の斜視図。
【図8】実施の形態1を示す図で、中性点端子5付近の部分拡大図。
【図9】実施の形態1を示す図で、電動機200を示す図。
【図10】実施の形態1を示す図で、電動機200の製造工程を示す図。
【図11】実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成を示す図。
【図12】実施の形態3を示す図で、ポンプ400の断面図。
【符号の説明】
【0084】
1 固定子鉄心、2 コイル、2a 渡り線、2b 渡り線、2c 渡り線、3 絶縁部、4 端子、4a 折り返し部、4b 挿入部、5 中性点端子、5a 第一の折り返し部、5b 第二の折り返し部、5b−1 先端部、5c 開口部、5d 挿入部、7 引き回し用突起、8 突起、9 1相目巻始め、10 1相目巻始めからげピン、11 1相目渡り線引出し部、12 1相目渡りからげピン、13 からげ部、14 1相目渡り線入口、15 1相目巻終り引出し部、16 1相目巻終りからげピン、18 2相目巻始め、19 2相目渡り線引出し部、20 2相目渡りからげピン、21 2相目渡り線入口、22 2相目巻終り引掛け部、23 2相目巻終り、24 2相目巻終りからげピン、25 3相目巻始め、26 3相目渡り線引出し部、27 3相目渡りからげピン、28 3相目渡り線入口、29 3相目巻終りからげピン、38 回転子、39 ブラケット、40 モールド固定子、41 結線部品、42 室内機、43 室外機、44 送風機、50 切り欠き、51 からげ部、52 切り欠き、53 からげ部、60 3相目巻始めからげピン、90 ケーシング、91 タッピングネジ、93 足板、95 スラストベアリング、96 シャフト、97 Oリング、100 電動機の固定子、140 シールボックス、150 回転子、150a マグネット、150b スリーブ、160 羽根車、170 ポンプ用電動機の固定子、200 電動機、300 空気調和機、400 ポンプ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状に打ち抜かれて積層された固定子鉄心に絶縁部を形成し、帯状の固定子鉄心に巻線する電動機の固定子及び電動機及び送風機及びポンプ及び空気調和機及び電動機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隣合うコイルが異相となる電動機の固定子のコイルの端末処理、渡り線の処理の全てを結線側絶縁部にて行うことにより、生産性、品質の向上を図るために、ティースが平行に配され、コアバックが薄肉で連結されて打ち抜かれる固定子鉄心に絶縁部が施され、ティースに施された絶縁部にマグネットワイヤーが巻回されることによりコイルが形成され、同相コイルの間に異相のコイルが形成される電動機の固定子において、コイル間の渡り線が、端子が設けられる固定子鉄心外径側の絶縁部で、固定子鉄心端面より軸方向外側の絶縁部である結線側絶縁部の外周を引き回され、各相の渡り線の結線側絶縁部の外周への入口と出口の高さがほぼ同一で、各相の渡り線が接触することなく軸方向に配列された電動機の固定子が提案されている。尚、同電動機の固定子は、帯状に打ち抜かれて形成される電動機固定子鉄心を所定とは逆方向に曲げて巻線が施される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−96838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の電動機の固定子のように、帯状に打ち抜かれて積層された固定子鉄心に絶縁部を形成し、所定とは逆方向に折り曲げて巻線する電動機の固定子は、巻線工程に時間が掛かり加工コストが高く、かつ、端子の使用量が多く部品コストが高いという課題がある。
【0004】
また、中性点端子は銅板を打抜いて製作するため、材料ロスが発生することでコストが高いという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加工を簡素化して加工コストを低減でき、かつ部品コストを低減できると共に、中性点端子の価格を低減できる電動機の固定子及び電動機及び送風機及びポンプ及び空気調和機及び電動機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電動機の固定子は、電磁鋼板を帯状に打ち抜き積層され、複数のティースを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心のティースに施される絶縁部と、この絶縁部が施されたティースに直接集中巻線方式により施される三相のシングルY結線の巻線とを備えた電動機の固定子において、
巻線の全ての渡り線を、絶縁部の結線側に配置し、渡り線が固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子において折り返し、切断することなく巻線し、
絶縁部の結線側に挿入される三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子及び中性点端子とを角線を折り曲げて形成し、
固定子鉄心を帯状に配置して、ティースに集中巻線方式の巻線を施し、巻線の渡り線を、絶縁部にからげないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る電動機の固定子は、巻線の渡り線を、絶縁部にからげないことにより、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は電動機の固定子100を巻線した状態を示す斜視図、図2は電動機の固定子100を巻線した状態を外周側から見た斜視図、図3は端子4の斜視図、図4は中性点端子5の斜視図、図5は変形例の中性点端子5の斜視図、図6は電動機の固定子100の巻線手順を示す図((a)は1相目(U相)の巻線手順、(b)は2相目(V相)の巻線手順、(c)は3相目(W相)の巻線手順)、図7は電動機の固定子100の斜視図、図8は中性点端子5付近の部分拡大図、図9は電動機200を示す図、図10は電動機200の製造工程を示す図である。
【0009】
図1、図2において、電動機の固定子100は、厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された固定子鉄心1を備える。
【0010】
固定子鉄心1は、ここでは、6個のティース1aを有する。各ティース1aには、絶縁部3が施される。絶縁部3は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形される。
【0011】
但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。その場合は、絶縁部3は結線側と反結線側とに分割され、それぞれをティース1aの軸方向両端部から挿入して絶縁部3を構成する。絶縁部3は、ティース1a毎に設けられる。従って、ここでは、6個の絶縁部3を備える。
【0012】
巻線は追って説明するが、三相のシングルY結線である。そのため、絶縁部3の結線側には、各相(U相、V相、W相)のコイル2が接続される端子4(電源が供給される端子である)、及び中性点端子5が組付けられる。端子4は3個、中性点端子5は1個である。
【0013】
図1に示すように、隣接するティース1a間に、コイル2をティース1aに巻回すやすい十分な距離がある場合は、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回することができる。ティース1aにコイル2を巻回しやすくするために、ティース1aが外側になるように帯状の固定子鉄心1を逆方向に曲げる必要がない場合である。
【0014】
絶縁部3が施された各ティース1aに、コイル2が巻回される。即ち、コイル2がティース1aに直接巻回される集中巻線方式である。そして、巻線は、三相のシングルY結線である。
【0015】
図3に示す端子4は平角線を折り曲げて形成される。平角線は、材質は銅であり、例えば錫銅合金の溶融めっきが施される。平角線は、一例では、厚さが0.5mm、幅が1.0mmである。
【0016】
端子4は、平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に端子4を挿入する挿入部4bに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて折り返し部4aを形成し、さらに、絶縁部3に挿入される挿入部4bに対してほぼ逆に伸びるように略90°曲げることにより形成される。
【0017】
図4に示す中性点端子5も端子4と同じ平角線を使用する。平角線を絶縁部3に備える角穴(図示せず)に中性点端子5を挿入する挿入部5dに対し略90°曲げる。所定の位置で略180°曲げて第一の折り返し部5aを形成する。さらに、絶縁部3への挿入部5dに対し略対称となる位置で、挿入部5d側に略180°曲げて第二の折り返し部5bを形成する。第二の折り返し部5bの先端部5b−1と絶縁部3への挿入部5dとの間に開口部5cを備える。
【0018】
尚、端子4、中性点端子5に平角線を用いる例を説明したが、平角線でなくてもよく角線であればよい。
【0019】
また、中性点端子5は、幅Wの制約がない場合は、図4に示すように、第一の折り返し部5aと、第二の折り返し部5bとを逆方向に曲げてもよい。
【0020】
中性点端子5が組付けられる絶縁部3の結線側に、中性点端子5の引き回し用突起7が設けられる。
【0021】
さらに、絶縁部3は結線側に、各相の渡り線を、固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持する突起8(図2、図7参照)を備える。
【0022】
図6により、6スロットの三相のシングルY結線を施す手順を説明する。
【0023】
先ず、1相目、2相目、3相目を次のように定義する。1相目は固定子鉄心1の端面に最も近い高さの位置を渡り線が引回されて接続されたU相のコイルを指す。2相目は1相目の次の2段目を渡り線が引回されて接続されたV相のコイルを指す。3相目は2相目の次の3段目を渡り線が引回されて接続されたW相のコイルを指す。
【0024】
図6(a)を用いて、1相目のU相の巻線手順について説明する。1相目の最初に形成されるコイルは、図6(a)で示す通り、固定子鉄心1の一方の端部(図6(a)では左端)から3番目のティース1aの絶縁部3に、マグネットワイヤーが巻付けられて形成される。
【0025】
先ず、絶縁部3の外径側に備える1相目巻始めからげピン10にマグネットワイヤーの端末が引き回される。その後、絶縁部3に備える角穴に挿入された端子4の折り返し部4aに1相目の巻始めとなるマグネットワイヤーが引掛けられる。そして、ティース1aに形成された絶縁部3に左巻きに所定の回数巻付けられて、1相目の第1のコイルU−1が形成される。
【0026】
コイルU−1が形成された後に、渡り線2aが絶縁部3の1相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外径側に引出される。
【0027】
1相目渡り線引出し部11より固定子鉄心1の外径側に引出された渡り線2aは、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(a)では、左側から6番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた1相目渡り線入口14より左側から6番目のティース1aまで引回される。
【0028】
固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2aが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2aを左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。
【0029】
ティース1aにコイル2を巻回しやすくするために、ティース1aが外側になるように帯状の固定子鉄心1を逆方向に曲げてティース1aにコイル2を巻回する場合は、左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで渡り線2aを引回わす間に、渡り線2aを少なくとも一回は絶縁部3にからげる必要がある。
【0030】
本実施の形態では、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、左側から3番目のティース1aから左側から6番目のティース1aまで渡り線2aを引回わす間に、渡り線2aを絶縁部3にからげる必要がなく、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0031】
左側から6番目のティース1aの絶縁部3に設けられた1相目渡り線入口14より左側から6番目のティース1aまで引回され、最初のコイルU−1と同様にティース1aに所定の回数左巻きに巻付けられて1相目の第2のコイルU−2が形成される。
【0032】
このとき渡り線2aは、絶縁部3の外側に設けられる突起8(図2、図7参照)により相毎に固定子鉄心1の軸方向端面からの高さを所定の位置に保持されるが、1相目の渡り線2aは最も固定子鉄心1に近い1段目を引回される。
【0033】
1相目の最後となる第2のコイルU−2が形成された後のマグネットワイヤーは、第2のコイルU−2が形成されるティース1aの絶縁部3に設けられた1相目巻終り引出し部15より引出される。1相目の渡り線2aが引回された方向とは逆方向(図6(a)では左方向)に引出され、隣のティース1aに設けられた絶縁部3まで引回されて1相目巻終りとなる。
【0034】
このとき、1相目巻終り引出し部15の高さを中性点端子5の第一の折り返し部5a、及び第二の折り返し部5bの高さより高い位置とすることで、中性点端子5へのマグネットワイヤーの引き回しが容易となり、生産性の向上、かつ製造上の品質向上が図れる。
【0035】
以下、2相目(V相)の巻線手順について図6(b)により説明する。1相目巻終りは、隣の2相目の最初の第2のコイルV−2が形成されるティース1a(図6(a)では、左側から5番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた1相目巻終りからげピン16に1回以上からげられる。
【0036】
第2のコイルV−2が形成されるティース1aの絶縁部3に設けられた中性点端子5の引き回し用突起7を利用して、組付けられた略T字状の中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられた後、ティース1aまで引回されて、2相目巻始め18となる。
【0037】
中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
【0038】
ここで、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けるということは、以下のような意味合いである。図8を参照しながら説明する。即ち、1相目巻終りを1相目巻終りからげピン16にからげ、ここを支点にしてノズルで2相目巻始め18のマグネットワイヤーを先ずティース1a側に引っ張る。マグネットワイヤーが引き回し用突起7を過ぎたら、次いで、2相目巻始め18のマグネットワイヤーを反ティース1a側(電動機の固定子100の外周側)に引っ張る。引き回し用突起7は、中性点端子5より軸方向の外側に突出しているので、この状態で、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てることができる。次に、マグネットワイヤーを引き回し用突起7に当てた状態を維持しながらノズルを第二の折り返し部5bより下げつつ、第二の折り返し部5bの左横を通り、固定子鉄心1の内側(図8では下方)に移動する。すると、マグネットワイヤーは、中性点端子5の開口部5cから中性点端子5の中に入る。そして、ノズルを第一の折り返し部5a側に移動すれば、マグネットワイヤーは中性点端子5の第一の折り返し部5aに掛けられる。
【0039】
2相目の最初の第2のコイルV−2は、中性点端子5の第一の折り返し部5aに引掛けられ、マグネットワイヤーを切断することなく連続してティース1aに、1相目のコイルとは逆の方向(右巻き)に所定の回数巻付け形成される。
【0040】
2相目の最初の第2のコイルV−2が形成された後に、2相目の渡り線2bが2相目渡り線引出し部19より固定子鉄心1の外周側に引出される。
【0041】
渡り線2bは、1相目の渡り線2aが引回される方向とは逆の方向(図6(b)では左方向)に渡り、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(a)では、左側から2番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた2相目渡り線入口21より左側から2番目のティース1aまで引回される。
【0042】
2相目渡り線入口21よりティース1aまで引回され、最初の第2のコイルV−2と同様に、ティース1aに所定の回数右巻きに巻付けられて2相目の第1のコイルV−1が形成される。
【0043】
1相目(U相)と同様、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2bが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2bを左側から5番目のティース1aから左側から2番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0044】
また、2相目の渡り線2bは、固定子鉄心1の端面から2段目の高さ位置を引回される(突起8により、分けられる)。
【0045】
2相目の最後となる第1のコイルV−1が形成された後のマグネットワイヤーは、第1のコイルV−1が施される絶縁部3に組付けられた端子4の折り返し部4aに収められる。
【0046】
2相目巻終り23が2相目巻終りからげピン24に巻付けられて、2相目巻終り23が形成され切断される。
【0047】
このように2相目の最初に形成される第2のコイルV−2(図6(b)で、左側から5番目のティース1aに巻回される)は、1相目の最後に形成される第2のコイルU−2(図6(a)で、左側から6番目のティース1aに巻回される)の隣となることから、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0048】
さらに、1相目と2相目とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
【0049】
以下、3相目(W相)の巻線手順について図6(c)により説明する。3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、2相目の最後となる第1のコイルV−1が形成されるティース1a(左から2番目)の隣のティース1a(左端)である。
【0050】
3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、1相目と同様に3相目巻始めからげピン60にマグネットワイヤーの端末が引き回された後、3相目巻始め25が端子4の折り返し部4aを介してティース1aに施された絶縁部3へ引回され、左巻きにティース1aに所定の回数巻付けられて、第1のコイルW−1が形成される。
【0051】
渡り線2cに関しては、3相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外周側に引出される。
【0052】
3相目渡り線引出し部26より固定子鉄心1の外径側に引出された渡り線2cは、二つのティース1aを飛ばした先のティース1a(図6(c)では、左側から4番目のティース1a)の絶縁部3に設けられた3相目渡り線入口28より左側から4番目のティース1aまで引回される。
【0053】
1相目(U相)と同様、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2cが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2cを左端の1番目のティース1aから左側から4番目のティース1aまで引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0054】
3相目渡り線入口28より左側から4番目のティース1aまで引回され、最初の第1のコイルW−1と同様にティース1aに所定の回数左巻きに巻付けられて3相目の第2のコイルW−2が形成される。
【0055】
このとき3相目の渡り線2cは、固定子鉄心1の端面より最も離れた高さ位置を渡る。3相目渡り線引出し部26と、3相目渡り線入口28とは、固定子鉄心1の端面からの高さがほぼ同じとなっている。
【0056】
3相目の最後となる第2のコイルW−2が形成された後に、マグネットワイヤーは3相目渡り線引出し部26(図6(c)の右から3番目のティース1aに形成される)より引出される。
【0057】
さらに、中性点端子5を備える絶縁部3の3相目巻終りからげピン29まで引回される。3相目巻終りからげピン29に1回以上からげられた後に、中性点端子5の第二の折り返し部5bに掛けられて、さらにもう一度3相目巻終りからげピン29まで引戻し、かつ、3相目巻終りからげピン29の上部に1回以上巻付けて3相目の巻終りとなり、マグネットワイヤーの端末を切断して巻線工程を終了する(図8も参照)。
【0058】
このように3相目の最初に形成される第1のコイルW−1(図6(c)で、左端のティース1aに巻回される)は、2相目の最後に形成される第1のコイルV−1(図6(b)で、左から2番目のティース1aに巻回される)の隣(右隣)となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0059】
巻線工程が終了後に、固定子鉄心1は所定の方向に曲げられて略ドーナツ状となり、固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部を溶接して、溶接部で固定する。
【0060】
このとき、各相の渡り線2a,2b,2cは、絶縁部3の外周側に備える突起8(図6では見えていない、図7参照)により所定の位置に保持され、各相の渡り線2a,2b,2c同士が接触することがなくなるので、品質の向上が図れる。
【0061】
さらに端子4、中性点端子5をヒュージングすることで、マグネットワイヤーと端子4及び中性点端子5とを電気的に、かつ、機械的に接合することで電動機の固定子100となる。
【0062】
一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つ。これに対し、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0063】
ここで、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
【0064】
図9は電動機200を示す。電動機200は、回転子38、ブラケット39、電動機の固定子100をモールド成形したモールド固定子40、結線部品41(基板)等を備える。
【0065】
図9に示すように、本実施の形態の電動機の固定子100に外部と接続される結線部品41を組付け、機械的に、かつ、電気的にも接合した後にモールドを施す。その後、回転子38、ブラケット39等の部品を組付けて電動機200となる。
【0066】
前述の品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100を使用することで、品質の良い、低コストの電動機200を得ることができる。
【0067】
図10は電動機200の製造工程を示す。
(1)ステップ1:電磁鋼板を打ち抜き、積層して帯状の固定子鉄心1を製作する。
(2)ステップ2:絶縁部3を、熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心1と一体に成形する。但し、絶縁部3を成形後、ティース1aに組付けてもよい。並行して、平角線を折り曲げて端子4、中性点端子5を製作する。
(3)ステップ3:端子4(3本)、中性点端子5(1本)を絶縁部3の結線側に挿入する。
(4)ステップ4:三相のシングルY結線の中の、1相目と2相目とをマグネットワイヤーを切らずに連続して巻線する。
(5)ステップ5:3相目を、1相目と同様の方法で巻線する。
(6)ステップ6:帯状の固定子鉄心1を、所定の正曲げにする。
(7)ステップ7:固定子鉄心1の固定子鉄心突合せ部63を溶接する。
(8)ステップ8:端子4、中性点端子5のヒュージングを行う。並行して、結線部品41を製作する。
(9)ステップ9:電動機の固定子100に結線部品41を組付け、接合する。
(10)ステップ10:電動機の固定子100をモールド成形する。並行して、回転子38、ブラケット39等の他の部品を製作する。
(11)ステップ11:電動機200を組立てる。
【0068】
以上の図10に示す製造工程で、電動機200を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機200を製作することができる。
【0069】
以上のように、この実施の形態によれば、中性点端子5の引き回し用突起7にマグネットワイヤーを引掛けることで、中性点端子5の第一の折り返し部5aにマグネットワイヤーを確実に収めることが可能なため、製造上の品質向上が図れる。
【0070】
また、2相目の最初に形成される第2のコイルV−2は1相目の最後に形成される第2のコイルU−2の隣となることから、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となることで、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0071】
また、1相目と2相目とを切断することなく連続して引回すことが可能なことから、マグネットワイヤーを切断する工程が不要となり、さらに加工時間の縮小が可能で、加工コストの低減が図れる。
【0072】
また、3相目の最初に形成される第1のコイルW−1は、2相目の最後に形成される第1のコイルV−1の隣(右隣)となる。従って、巻線設備が所定の位置までの移動距離が最小となる。そのため、加工時間の縮小が可能となり、加工コストの低減が図れる。
【0073】
また、一般的には、中性点端子5を相毎にそれぞれ持つが、本実施の形態では、中性点端子5を1つで賄うことで、部品点数を削減でき、コストの低減が図れる。
【0074】
また、中性点をつくる中性点端子5を電源を供給する端子4と同じ材料(平角線)とすることで、コスト低減が可能となる。
【0075】
また、品質の良い、かつ、コスト低減された電動機の固定子100を使用することで、品質の良い、低コストの電動機200を得ることができる。
【0076】
また、図10に示す製造工程で電動機200を製造することにより、生産性に優れ、効率よく電動機200を製作することができる。
【0077】
さらに、固定子鉄心1が帯状(直線状)の状態でコイル2をティース1aに巻回するので、渡り線2a,2b,2cが自然に固定子鉄心1の外径側に沿うため、渡り線2a,2b,2cを引回わす間に絶縁部3にからげる必要がない。そのため、加工時間が短縮され、製造コストの低減が図れる。
【0078】
実施の形態2.
図11は実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成を示す図である。図11に示すように、空気調和機300は、室内機42と、室内機42に接続される室外機43とを備える。室外機43は送風機44を備える。室内機42も送風機(図示せず)を備える。
【0079】
室内機42及び室外機43に、実施の形態1の品質のよい電動機200を、空気調和機300の主要部品である送風機用電動機として用いることで、空気調和機300の品質の向上が図れる。
【0080】
実施の形態3.
図12は実施の形態3を示す図で、ポンプ400の断面図である。
【0081】
図12に示すポンプ400は、以下に示す構成である。即ち、ポンプ400は、
(a)実施の形態1の電動機の固定子100に結線部品41(基板)が組み付けられ、さらにポンプ400内の水と固定子とを仕切る樹脂成形品のシールボックス140とをモールド一体成形して製作されるポンプ用電動機の固定子170と、
(b)SUSやセラミックなどを材料として製作され、シールボックス140に設けられる軸支持部に一端が挿入され、他端が樹脂成形品のケーシング90の軸支持部にて支持されるシャフト96と、
(c)リング状の耐熱水性樹脂製のマグネット150aと、マグネット150aの内側で、シャフト96の外周に配設される円筒形のスリーブ150bとがPPE(ポリフェニレンエーテル)等の熱可塑性樹脂で一体に成形される回転子150と、
(d)回転子150に超音波溶着などにより接合され、シャフト96を中心に回転自在に設置される樹脂成形品の羽根車160と、
(e)スリーブ150bの両端面に、所定の隙間をもって設置されるSUSやセラミックなどを材料として製作されるスラストベアリング95と、
を備え、シールボックス140にOリング97を設置した後、ケーシング90と、ポンプ用電動機の固定子170と、足板93とをタッピングネジ91等により共締めして組み立てられる。
【0082】
以上のように、実施の形態1の電動機の固定子100をポンプ400に使用することで、ポンプ400の低価格化及び品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100を巻線した状態を示す斜視図。
【図2】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100を巻線した状態を外周側から見た斜視図。
【図3】実施の形態1を示す図で、端子4の斜視図。
【図4】実施の形態1を示す図で、中性点端子5の斜視図。
【図5】実施の形態1を示す図で、変形例の端子4の斜視図。
【図6】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100の巻線手順を示す図((a)は1相目(U相)の巻線手順、(b)は2相目(V相)の巻線手順、(c)は3相目(W相)の巻線手順)。
【図7】実施の形態1を示す図で、電動機の固定子100の斜視図。
【図8】実施の形態1を示す図で、中性点端子5付近の部分拡大図。
【図9】実施の形態1を示す図で、電動機200を示す図。
【図10】実施の形態1を示す図で、電動機200の製造工程を示す図。
【図11】実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成を示す図。
【図12】実施の形態3を示す図で、ポンプ400の断面図。
【符号の説明】
【0084】
1 固定子鉄心、2 コイル、2a 渡り線、2b 渡り線、2c 渡り線、3 絶縁部、4 端子、4a 折り返し部、4b 挿入部、5 中性点端子、5a 第一の折り返し部、5b 第二の折り返し部、5b−1 先端部、5c 開口部、5d 挿入部、7 引き回し用突起、8 突起、9 1相目巻始め、10 1相目巻始めからげピン、11 1相目渡り線引出し部、12 1相目渡りからげピン、13 からげ部、14 1相目渡り線入口、15 1相目巻終り引出し部、16 1相目巻終りからげピン、18 2相目巻始め、19 2相目渡り線引出し部、20 2相目渡りからげピン、21 2相目渡り線入口、22 2相目巻終り引掛け部、23 2相目巻終り、24 2相目巻終りからげピン、25 3相目巻始め、26 3相目渡り線引出し部、27 3相目渡りからげピン、28 3相目渡り線入口、29 3相目巻終りからげピン、38 回転子、39 ブラケット、40 モールド固定子、41 結線部品、42 室内機、43 室外機、44 送風機、50 切り欠き、51 からげ部、52 切り欠き、53 からげ部、60 3相目巻始めからげピン、90 ケーシング、91 タッピングネジ、93 足板、95 スラストベアリング、96 シャフト、97 Oリング、100 電動機の固定子、140 シールボックス、150 回転子、150a マグネット、150b スリーブ、160 羽根車、170 ポンプ用電動機の固定子、200 電動機、300 空気調和機、400 ポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板を帯状に打ち抜き積層され、複数のティースを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心の前記ティースに施される絶縁部と、この絶縁部が施された前記ティースに直接集中巻線方式により施される三相のシングルY結線の巻線とを備えた電動機の固定子において、
前記巻線の全ての渡り線を、前記絶縁部の結線側に配置し、前記渡り線が前記固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子において折り返し、切断することなく巻線し、
前記絶縁部の結線側に挿入される前記三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子及び前記中性点端子とを角線を折り曲げて形成し、
前記固定子鉄心を帯状に配置して、前記ティースに前記集中巻線方式の巻線を施し、前記巻線の前記渡り線を、前記絶縁部にからげないことを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
請求項1記載の電動機の固定子を用いることを特徴とする電動機。
【請求項3】
請求項2記載の電動機を搭載することを特徴とする送風機。
【請求項4】
請求項2記載の電動機を搭載することを特徴とするポンプ。
【請求項5】
請求項3記載の送風機を搭載することを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
電磁鋼板を打ち抜き、積層して帯状の固定子鉄心を製作する第1の工程と、
絶縁部を前記固定子鉄心に施し、並行して、角線を折り曲げて端子及び中性点端子を製作する第2の工程と、
前記端子及び前記中性点端子を前記絶縁部の結線側に挿入する第3の工程と、
三相のシングルY結線の中の、1相目と2相目とをマグネットワイヤーを切らずに連続して巻線する第4の工程と、
3相目を、1相目と同様の方法で巻線する第5の工程と、
逆曲げした前記固定子鉄心を、所定の正曲げに戻す第6の工程と、
前記固定子鉄心の固定子鉄心突合せ部を溶接する第7の工程と、
前記端子、前記中性点端子のヒュージングを行い、並行して、結線部品を製作する第8の工程と、
電動機の固定子に前記結線部品を組付け、接合する第9の工程と、
前記電動機の固定子をモールド成形し、並行して、回転子、ブラケット等の他の部品を製作する第10の工程と、
電動機を組立てる第11の工程とを備えたことを特徴とする電動機の製造方法。
【請求項1】
電磁鋼板を帯状に打ち抜き積層され、複数のティースを有する固定子鉄心と、この固定子鉄心の前記ティースに施される絶縁部と、この絶縁部が施された前記ティースに直接集中巻線方式により施される三相のシングルY結線の巻線とを備えた電動機の固定子において、
前記巻線の全ての渡り線を、前記絶縁部の結線側に配置し、前記渡り線が前記固定子鉄心の軸方向端面に最も近い1段目に配置される1相目の巻線と、2段目に配置される2相目の巻線とを中性点端子において折り返し、切断することなく巻線し、
前記絶縁部の結線側に挿入される前記三相のシングルY結線の巻線に電源を供給する3個の端子及び前記中性点端子とを角線を折り曲げて形成し、
前記固定子鉄心を帯状に配置して、前記ティースに前記集中巻線方式の巻線を施し、前記巻線の前記渡り線を、前記絶縁部にからげないことを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
請求項1記載の電動機の固定子を用いることを特徴とする電動機。
【請求項3】
請求項2記載の電動機を搭載することを特徴とする送風機。
【請求項4】
請求項2記載の電動機を搭載することを特徴とするポンプ。
【請求項5】
請求項3記載の送風機を搭載することを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
電磁鋼板を打ち抜き、積層して帯状の固定子鉄心を製作する第1の工程と、
絶縁部を前記固定子鉄心に施し、並行して、角線を折り曲げて端子及び中性点端子を製作する第2の工程と、
前記端子及び前記中性点端子を前記絶縁部の結線側に挿入する第3の工程と、
三相のシングルY結線の中の、1相目と2相目とをマグネットワイヤーを切らずに連続して巻線する第4の工程と、
3相目を、1相目と同様の方法で巻線する第5の工程と、
逆曲げした前記固定子鉄心を、所定の正曲げに戻す第6の工程と、
前記固定子鉄心の固定子鉄心突合せ部を溶接する第7の工程と、
前記端子、前記中性点端子のヒュージングを行い、並行して、結線部品を製作する第8の工程と、
電動機の固定子に前記結線部品を組付け、接合する第9の工程と、
前記電動機の固定子をモールド成形し、並行して、回転子、ブラケット等の他の部品を製作する第10の工程と、
電動機を組立てる第11の工程とを備えたことを特徴とする電動機の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−303438(P2009−303438A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157516(P2008−157516)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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