説明

電子装置の製造方法

【課題】 ICチップとICチップに電気的に接続された電気回路を備えた電子装置において、その製造コストを低減できる電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 ICチップ2と電気回路3とを備えた電子装置1の製造方法であって、導電性材料を含むシートを打ち抜き加工して、電気回路3を形成する工程と、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分とが接するように、ICチップ2を電気回路3上に配置する工程と、ICチップ2が配置された電気回路3を絶縁シートで覆い、真空ラミネート処理で密封して、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分を圧接し、ICチップ2と電気回路3を絶縁保護する工程と、を含む電子装置の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップとICチップに電気的に接続された電気回路とを備えた電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型のICチップと、このICチップに電気的に接続された電気回路とを備えた電子装置が、流通、情報通信分野を始めとする様々な分野で普及している。この電子装置の中には、無線通信により、データの書込/読取が可能な非接触型の電子装置や、所定の検出機器との接触により、データの書込/読取が可能な接触型の電子装置や、接触、非接触の両方の手段で書込/読取が可能な併用型の電子装置がある。
【0003】
そのうち、非接触式の電子装置の代表例として、ICチップとICチップに電気的に接続されたアンテナ回路とを有するICタグが知られている。このICタグでは、各拠点に設置された書込/読取装置から非接触の伝送によって電力を受け、また、この書込/読取装置との間の無線通信によって、データの書込/読取が可能である。従って、このICタグは、バッテリを搭載する必要がないので、小型、軽量化が容易であり、また、バーコードに比べて非常に多量の情報を蓄積することが可能であり、今後、ますます普及が広まると考えられる。
【0004】
このICチップと電気回路とを備えた電子装置の一般的な製造法は、銅箔を張った基板から、フォトリソグラフィによって電気回路を形成し、端子部分に金や半田のバンプを形成したICチップをこの電気回路の端子部分に圧着し、その後、全体を絶縁材料でコーティングすることによって、電子装置を製造するものである。この場合、特に、フォトリソグラフィによる処理や、バンプの形成処理や、絶縁材料のコーティング処理は多くの工数がかかり、電子装置の製造コストは、バーコード等の製造コストに比べればかなり高くなる。従って、ICタグを含むこれらの電子装置を更に広く普及させるためには、製造コストを低減させることが重要である。
【0005】
製造コストの低減については、共振タグのようなICチップを備えない電子装置においては、例えば、アンテナの機能を有する電気回路を、フォトリソグラフィの代わりに金属箔の打ち抜き加工で形成することが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2001−84463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ICチップと電気回路とを備えた電子装置においては、ICチップの端子部分と電子装置の端子部分との位置合わせをする必要がある。従って、特許文献1に示された金属箔の打ち抜き加工による電気回路を、そのままICチップを備えた電子装置に適用しようとすると、ICチップの端子の数や位置によっては、電気回路の端子部分の位置や寸法が、要求寸法精度内に入らない恐れがある。
また、ICチップを備えた電子装置においては、電気回路とICチップを安定した状態で電気的に接続する必要がある。従って、ICチップと電気回路とを電気的に接続するためには、バンプを設けたり半田付けを行ったりする必要があり、この工程で大きな製造コストが生じる恐れがある。
【0007】
また、これらの電子装置は、外部に絶縁材がコーティングされており、廃棄をする場合に、ICチップや電気回路等を分離して処理することが困難であり、ICチップに残されたデータの遺漏の恐れもある。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記の問題を解決して、ICチップとICチップに電気的に接続された電気回路を備えた電子装置において、その製造コストを低減でき、更に、製造された電子装置の廃棄時に、ICチップや電気回路を容易に分離できる電子装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の電子装置の製造方法の第1の実施態様は、ICチップと電気回路とを備えた電子装置の製造方法であって、導電性材料を含むシートを打ち抜き加工して、前記電気回路を形成する工程と、前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分とが接するように、前記ICチップを前記電気回路上に配置する工程と、前記ICチップが配置された前記電気回路を絶縁シートで覆い、真空ラミネート処理で密封して、前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分を圧接し、前記ICチップと前記電気回路を絶縁保護する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本実施態様の製造方法で製造される電子装置は、ICチップとICチップに電気的に接続された電気回路とを備えた電子装置であれば、接触式、非接触式、それら併用型等の形式を問わず、全ての電子装置が含まれる。
【0011】
電気回路とは、1または2以上のICチップと電気的に接続されて電子回路を構成する回路であればあらゆる回路が含まれ、その一例として、アンテナとしても機能するアンテナ回路も含まれる。この電気回路にはICチップだけでなく、その他の電子機器や電気部材が接続されることも考えられる。
【0012】
導電性材料を含むシートには、例えば、アルミ箔、銅箔、銀箔を始めとする金属箔や、金属箔が台紙に張られたシートも含まれる。また、所定のシート材に導電性材料をコーティングしたものも含まれ、導電性材料を含むシートであれば、あらゆるシートが適用可能である。
絶縁シートは、絶縁性を有する材料であればあらゆる材料が適用可能であり、例えば、ペットをはじめとする合成樹脂類が含まれる。
【0013】
打ち抜き加工は、導電性材料を含むシートに対して、圧下装置を用いて電気回路の形状に合わせた型を圧下して、このシート打ち抜き、不要な材料部分を除去して、所定の形状の回路を形成するものである。型は、押し付け力に適した強度を有するものであればあらゆる材料を用いることが可能であり、例えば金型、木型、樹脂製の型が含まれる。
【0014】
真空ラミネート処理は、物品をシートで覆い、覆った内部に真空が生成されるように吸引を行いながら、シートの周囲を接合して、物品を密封する処理をいう。物品を覆うシートについては、例えば、2枚のシートで物品を挟み込むことも考えられるし、1枚のシートを折りたたんで用いることも考えられるし、袋状に成形されたシートに物品を入れることも考えられ、その他の様々な方法をとることができる。
また、シートの周囲を接合する方法も、あらゆる方法をとることが可能であり、例えば、圧着することも可能であるし、更に加熱しながら圧着することも可能であるし、接着剤を用いることも可能である。
【0015】
本実施態様によれば、電気回路を打ち抜き加工で形成するので、フォトリソグラフィ等で形成する場合に比べて、製造コストを低減できる。また、真空ラミネート処理によって、ICチップの端子部分と電気回路の端子部分を圧接して電気的に接続するので、バンプを設けたり、半田付けを行ったりする必要もなく、製造コストを低減できる。また、電子装置の絶縁保護についても、絶縁物のコーティングを行う必要がないので製造コストを低減できる。
【0016】
また、本実施態様において製造された電子装置は、使用が終わって廃棄をする場合においても、絶縁シートの一部を切断することによって、容易に、内部のICチップや電気回路を取り出すことができるので、廃棄も容易であり、ICチップに残されたデータの遺漏の問題も解決でき、また、リサイクルにも適している。
【0017】
本発明の電子装置の製造方法の他の実施態様は、前記打ち抜き加工により前記電気回路を形成した後、必要寸法精度に応じて、前記電気回路の端子部分に、再度、打ち抜き加工を行うことを特徴とする。
【0018】
導電性材料を含むシートを打ち抜いて電気回路全体を形成したときには、シートに生じたしわ等によるひずみにより、ICチップの端子の数や位置によっては、必要寸法精度を得られない場合も考えられる。この場合には、本実施態様のように、所定の寸法精度を必要とする端子部分について、部分的に再度打ち抜き加工を行うことによって、適切な寸法精度を有する電気回路を形成することができる。2度目の打ち抜き加工は、部分的に行うだけなので、工数はさほどかからず、フォトリソグラフィ等を用いる場合に比べて、製造コストは低減される。
【0019】
本発明の電子装置の製造方法の他の実施態様は、前記ICチップの端子部分にバンプを設ける工程を、更に含むことを特徴とする。
本実施態様では、用途に応じて、ICチップ側にバンプを設けている。ここで、バンプの材料としては、導電性を有する物質であれば、あらゆる材料が適用でき、例えば、金や半田も含まれる。
【0020】
本発明の電子装置の製造方法の他の実施態様は、前記電気回路の端子部分に金属鍍金を施す工程を、更に含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の電子装置の製造方法の他の実施態様は、前記ICチップが2端子ICチップであることを特徴とする。
【0022】
本発明の電子装置の製造方法の他の実施態様は、前記ICチップを前記電気回路上に配置する工程において、前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分との間に、導電性を有する接着剤を加えて固定することを特徴とする。
本実施態様によれば、真空ラミネート処理等の工程において、ICチップを電気回路上の所定位置に固定しておくことが可能なので、一連の作業を容易にして、コスト削減にも寄与する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子装置の製造方法によれば、打ち抜き加工により電気回路を形成し、絶縁シートの真空ラミネート処理により、ICチップと電気回路を電気的に接続し、かつ電子装置全体を絶縁保護することができるので、フォトリソグラフィ等を用いた従来の電子装置の製造方法に比べて、製造コストを低減することができる。
【0024】
また、所定の寸法精度を必要とする端子部分について、部分的に、再度打ち抜き加工を行うことによって、適切な寸法精度を有する電気回路を形成することができ、あらゆるICチップに対応した寸法精度を確保しながら、従来に比べて製造コストを低減することができる。
また、本発明の製造法により製造された電子装置は、絶縁シートの一部を切断することによって、容易に、内部のICチップや電気回路を取り出すことが可能であり、廃棄も容易であり、ICチップに残されたデータの漏洩の問題も解決でき、また、リサイクルにも適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の電子装置の製造応方法の実施形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
(本発明に係る電子装置の説明)
図1は、本発明の電子装置の製造方法で製造された電子装置の1つの実施形態を示す図であり、具体的には、ICタグの概要を示す図である。図1(a)はICタグの断面側面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Aから見たICタグの平面図である。
【0026】
まず、図1(a)を用いて、このICタグの構造を説明すると、ICタグ1は、ICチップ2と、アルミ箔部分3aと台紙3bと接着剤層3cとからなる電気回路3と、第1シート4aと第2シート4bとからなる絶縁シートと、から構成されている。
ICチップ2は、この実施形態では2端子ICである。電気回路3は、接着剤層3cによって台紙3bにアルミ箔3aが貼り付けられたシートを打ち抜いて形成されている。
【0027】
また、絶縁シート4は、ペット製の第1絶縁シート4aとペット製の第2絶縁シート4bとからなり、矢印Cで示す周辺部で、この2枚のシートが接合され、真空ラミネート処理によって、内部のICチップ2と電気回路3を密封している。この第1絶縁シート4aと第2絶縁シート4bとの接合は、本実施形態では、加熱圧着により行われている。
【0028】
電気回路3のアルミ箔3aの面に設けられた電気回路3の端子部分と、ICチップ2に設けられたICチップの端子部分とが矢印Bで示す位置で接しており、真空ラミネート処理された絶縁シート4によって圧接されて、電気的に接続している。
【0029】
図1(b)は、図1(a)の矢印Aから見たICタグ1の平面図であり、本実施形態では、絶縁シート4は透明なペット材料からできており、内部のICカード2と電気回路3が透けて見えている状態を示している。矢印Cで示す周辺部(斜線で示した部分)において、第1絶縁シート4aと第2絶縁シート4bが、加熱圧着により接合されている。
【0030】
また、電気回路3は、打ち抜き加工により、図1(b)に示す形状のアルミ箔部分3aを有する回路を形成し、回路の周囲の台紙3bは、電気回路3の補強部材として打ち抜かれずに残されている。
このICタグ1の電気回路3はアンテナ回路として機能し、例えば、このICタグを商品に貼り付けることによって、流通の各拠点に設置された書込/読取装置から非接触の伝送によって電力を受け、また、この書込/読取装置との間の無線通信によって、流通過程におけるデータの書込/読取が可能である。
【0031】
また、このICタグを廃棄する場合には、図1(b)に示す絶縁シート4の矢印Cに示す周辺部(斜線の部分)をはさみ等で切断することによって密封を解除し、容易に、内部のICチップ2や電気回路3を取り出すことができるので、廃棄も容易であり、ICチップに残されたデータの遺漏の問題も解決でき、リサイクルも容易に行える。
【0032】
(本発明の電子装置の製造方法の説明)
次に、図2を用いて図1に示したICタグ1の製造方法の実施形態を説明する。図2(a)は、打ち抜きを行う前の、接着剤によって台紙にアルミ箔が貼り付けられたシートを示す。ここで、斜線がアルミ箔部分であることを示している。
次に、プレス機械によって、電気回路の形状に成形された金型を、アルミ箔側からシートを圧下して、打ち抜き加工を行い、図2(b)に示すような形状の電気回路3を得る。本実施形態の打ち抜き加工では、アルミ箔部分のみを打ち抜いて、不要部分を除去することによって、所定の形状の電気回路を得ている。ただし、台紙部分も含めて打ち抜いて除去することも可能である。
【0033】
また、本実施形態では、打ち抜き加工を2回行っている。1回目の打ち抜き加工で電気回路全体を形成し、電気回路の端子部分の位置と寸法について、更に寸法精度を高めるために、2回目の打ち抜き加工を行っている。これは、電気回路全体を1つの金型で打ち抜く場合、打ち抜き時に発生するシートのしわによるひずみにより、ICチップの端子数や端子の配置によっては、必要寸法精度が得られない場合が生じる。従って、限定された領域において、2回目の打ち抜き加工を行って、所定の寸法精度を確保するものである。
【0034】
本実施形態では、端子部分及び周辺の領域については、1回目の打ち抜き加工では、アルミ箔部分が目標寸法よりも若干大きく残るように金型が設計されており、2回目の打ち抜き加工における調整代(打ち抜き代)を確保するようになっている。
【0035】
次に、図2(c)示す工程に移り、第1絶縁シート4aの上に、上述した打ち抜き加工で形成された電気回路3を載せ、更に、この電気回路3の上に、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分との位置が一致するように、ICチップ2を配置する。
【0036】
この場合、必要に応じて、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分の間に、導電性材料を含んで導電性を有する接着剤を加えて、位置を固定することができる。これにより、以下の工程において、ICチップ2の位置を安定して維持することができる。また、この場合の作業手順としては、まず、ICチップ2と電気回路3とを接着剤で固定し、次に、ICチップ2が固定された電気回路3を、第1絶縁シート4aに載せる手順がとれる。
【0037】
その後、図2(d)に示すように、ICチップ2を配置した電気回路3を載せた第1絶縁シート4a上に、第2絶縁シート4bをかぶせる。そして、第1絶縁シート4aと第2絶縁シート4bの周辺部を加熱圧着しながら、内部に真空が生成されるように吸引を行い、真空ラミネート処理を行う。この真空ラミネート処理に用いる装置は、加熱圧装置も吸引装置も含め、従来の装置をそのまま用いることができる。
【0038】
内部の吸引を行いながら、第1絶縁シート4aと第2絶縁シート4bの周辺部の加熱圧着を全周に渡って行って、ICチップ2と電気回路3を密封し、図2(e)に示すような電子装置1を製造することができる。真空ラミネート処理により、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分が圧接されて電気的に接続された状態になり、ICタグ1の全体がペット製の絶縁シートによって絶縁保護される。
【0039】
(その他の実施形態の説明)
<バンプの設置>
図3には、端子部分にバンプを設けたICチップ2の製造方法の1つの実施形態を示す。本発明の電子装置の製造方法においては、ICチップの端子部分や電気回路の端子部分に、特別にバンプを設けなくとも、電気的に接続可能であるが、例えば、ICタグが、高温にさらされる等の特別な状況に置かれる場合には、端子部分にバンプを設けることも可能である。
【0040】
図3(a)は、シリコンウエハに2端子ICチップ2を形成したところを示す。また、図3(b)は、形成したICチップ2を拡大した図であり、このICチップ2の全面に金鍍金を施したところを示す。鍍金の方法は、従来の鍍金方法をそのまま利用することができる。次に、図3(c)に示すように、ICチップ2の全面に施した金鍍金について、2端子間で切れ目を入れて、この金鍍金を分断する。
【0041】
上述の工程によって、金バンプを有する2端子ICチップを低い製造コストで製造することが可能であり、図3(d)は、この金バンプを有する2端子ICチップ2を、電気回路3の端子部分に設置した場合における、ICチップ2の端子部分と電気回路3の端子部分との位置関係を示す図である。
以上のように、本実施形態によれば、低い製造コストで金バンプを備えたICチップ2が製造可能であり、ICチップ2の金バンプと、電気回路3の端子部分と圧接することによって、様々な状況下でも適用可能なICタグを提供することができる。本実施例では、金バンプを用いたが、半田を始めとするあらゆる導電材料を用いたバンプを適用することができる。
【0042】
また、ICチップ2にバンプを設けるのと同様に、電気回路3の端子部分にバンプを設けることも可能である。例えば、電気回路3の端子部分に金鍍金を施すことによって、金バンプを形成することができる。鍍金の方法は、上述と同様に、従来の鍍金方法をそのまま利用することができる。また、導電性材料であればあらゆる種類の材料を鍍金してバンプを形成することができる。
【0043】
以上のように、ICタグが使用される状況に応じて、ICタグにのみバンプを設けることも可能であるし、電気回路のみにバンプを設けることも可能であるし、両方にバンプを設けることも可能である。
【0044】
<その他の電気回路の実施形態>
図4には、接着剤で台紙にアルミ箔が張られたシートから、電気回路3を形成するその他の実施形態を示す。図4では、連続するシートに複数の電気回路3が形成されているところを示しており、連続するシートの位置をずらしながら、連続的に打ち抜き加工を行うことによって、短時間に大量の電気回路の製造を行うことができる。
【0045】
この実施形態では、電気回路3のアルミの回路の内側(矢印Dで示す領域)は、アルミ箔と台紙とを両方打ち抜いており、アルミの回路の外側は、アルミ箔部分のみを打ち抜いて不要部分を剥ぎ取り、台紙は残存させている。これによって、電気回路3に十分な強度を与え、製造時の破損等を防ぐこともできる。
【0046】
ICチップの端子と正確な位置合わせを行う必要があるので、図4において、電気回路3の2つの端子部分の間の寸法Eは、他の部分よりも高い寸法精度を要する。従って、ICチップの種類によっては、必要により、2度目の打ち抜き加工を行うことも考えられる。また、本実施形態では、打ち抜きの精度を出すために、台紙まで打ち抜いた基準穴を、等間隔で打ち抜いている。
ちなみに、本実施形態では、台紙の厚さが0.1mmで、アルミ箔部分の厚さが0.08mmのシートを用いて製造しているが、用途に応じて、任意の寸法のシートを用いることができる。
【0047】
<その他>
上述の実施形態では、電子装置としてICタグを用いて説明したが、本発明に係る電子装置は、ICチップと電気回路を備えた電子装置であれば、ICタグには限らず、接触式、非接触式、併用型を含め、あらゆる電子装置が本発明に含まれる。
電子装置に用いられるICチップは、上述の2端子ICチップには限られず、任意の数の端子を有するICチップが適用可能であり、ICチップ以外の電子部品にも、同様に、本発明を適用することができる。
【0048】
また、電気回路の母材の導電性材料を有するシートは、上述のアルミを含むものだけでなく、銅、銀を始めとするあらゆる金属を含むものが適用可能である。また、台紙に張られたシートだけでなく、金属箔単体も適用可能である。
また、真空ラミネート処理を行う絶縁シートは、ペットだけでなく、あらゆる種類の樹脂類が適用可能である。
【0049】
また、打ち抜き加工や真空ラミネート処理は、同様の機能を有する処理であれば、本実施形態に示される方法に限られず、あらゆる方法が適用可能である。
本発明の電子装置の製造方法は、上述の実施形態に限られることなく、その他のあらゆる実施形態や実施例が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の電子装置の製造法により製造された電子装置の1つの実施形態を示す図であり、(a)は断面側面図を示し、(b)は平面図を示す。
【図2】本発明の電子装置の製造法の1つの実施形態を示す概要図であり、(a)は電気回路の母材となるシートを示し、(b)は打ち抜き処理で形成された電気回路3を示し、(c)はICチップ2を電気回路3に配置するところを示し、(d)は真空ラミネート処理を示し、(e)は製造された電子装置を示す。
【図3】ICチップ2にバンプを形成するところを示す概要図であり、(a)はシリコンウエアにICチップ2を形成したことを示し、(b)はICチップ2の拡大図であり、(c)はICチップ2に施された鍍金部分を分断したところを示し、(d)は電気回路の端子部分との位置関係を示す。
【図4】アルミ箔の貼られた連続シートから、電気回路を形成するところを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ICタグ
2 ICチップ
3 電気回路
3a アルミ箔部分
3b 台紙
3c 接着剤部分
4 絶縁シート
4a 第1絶縁シート
4b 第2絶縁シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップと電気回路とを備えた電子装置の製造方法であって、
導電性材料を含むシートを打ち抜き加工して、前記電気回路を形成する工程と、
前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分とが接するように、前記ICチップを前記電気回路上に配置する工程と、
前記ICチップが配置された前記電気回路を絶縁シートで覆い、真空ラミネート処理で密封して、前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分を圧接し、前記ICチップと前記電気回路を絶縁保護する工程と、
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記打ち抜き加工により前記電気回路を形成した後、必要寸法精度に応じて、前記電気回路の端子部分に、再度、打ち抜き加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記ICチップの端子部分にバンプを設ける工程を、更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記電気回路の端子部分に金属鍍金を施す工程を、更に含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記ICチップが2端子ICチップであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記ICチップを前記電気回路上に配置する工程において、前記ICチップの端子部分と前記電気回路の端子部分との間に、導電性を有する接着剤を加えて固定することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−43969(P2006−43969A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226325(P2004−226325)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(501466938)株式会社目白プレシジョン (31)
【出願人】(391026357)シャープタカヤ電子工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】