説明

電子部品の樹脂封止成形方法及び装置

【課題】樹脂成形型5・8のキャビティ10内に供給セットした樹脂封止前基板上の電子部品を樹脂封止成形する際に、キャビティ10内の樹脂材料未充填状態や樹脂パッケージ内外部のボイド形成を防止すると共に、キャビティ10内と外部とを連通させたエアベント溝部13からの樹指漏れを防止する。
【解決手段】樹脂成形型の型開閉方向の位置となり且つ成形品突出機構17と重ね合せた位置にエアベントピン28を装着したエアベントピン取付プレート29を連続して配設すると共に、エアベントピン28をエアベント溝部13の部位に配設する。このエアベントピン28を介してエアベント溝部13を開放した状態に設定し且つこの開放状態でキャビティ10内への樹脂材料注入工程とキャビティ10内の減圧工程を行うと共に、エアベントピン28を介して樹脂材料注入工程の終了時期に合わせてエアベント溝部13を閉鎖した状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型の電子部品、例えば、半導体リードフレームや半導体基板上の半導体チップを樹脂材料にて封止成形するための電子部品の樹脂封止成形方法とこの方法を実施するための電子部品の樹脂封止成形装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に装着した電子部品を樹脂材料にて封止成形する場合、例えば、次のような成形方法が知られている。
まず、上下位置に対向して配置した樹脂成形用の上型と下型との間の所定位置に電子部品を装着した基板を供給すると共に、下型に設けた成形キャビティ内に樹脂材料を供給し且つ加熱して溶融化する。
次に、基板上の電子部品を成形キャビティ内に嵌装セットした状態で上型と下型との接合面を接合させる上下両型の型締めを行う。
次に、下型に嵌合した圧縮型或はプランジャを上昇させて成形キャビティ内の樹脂材料を加圧することにより、成形キャビティの形状に対応して成形した樹脂パッケージ内に電子部品を封止成形する。
また、電子部品の樹脂封止成形工程が終了した後に、上型と下型とを分離させて樹脂封止成形後の基板(成形品)を上下両型間から取り出すようにしている。
【0003】
また、電子部品の樹脂封止成形工程上の一般的な技術的問題として、電子部品の樹脂封止成形体(モールドパッケージ)に内部ボイド(気泡)を形成し、或は、その表面部に欠損部を形成することがある。これは、上下両型の型面に構成した成形用キャビティ内部に空気・水分等が残留した状態で溶融樹脂材料が加圧注入されることが大きな要因となっている。そこで、樹脂封止成形工程時におけるこのようなキャビティ内の樹脂未充填状態の発生を防止するため、キャビティ内部の残留空気等を型外へ排出するエアベント機構(型内減圧機構)を併設することが知られている。
【0004】
また、電子部品の封止に用いられる樹脂材料中には樹脂の機能を高めるために充填するフィラー(微粒子)を含んでいるが、成形条件によっては超微粒子化したフィラーを含む高流動性(低粘度)の樹脂材料を用いることがある。
例えば、基板とチップとを突起状の端子(バンプ)を介して電気的に接続するフリップチップ実装においては、バンプ接続されたチップと基板との隙間に液状封止材料(アンダフィル材)を充填することが通例である。しかし、近年、組立コストの低減等を目的として、トランスファ成形によるモールドアンダフィルの技術開発が進められている。
このモールドアンダフィルを行う場合においては、チップと基板との隙間に液状封止材料(溶融樹脂材料)を効率良く且つ確実に充填させるため、超微粒子化したフィラーを含む高流動性の樹脂材料を用いることが必要となる。
【0005】
ところで、樹脂成形に際して、高流動性の樹脂材料を用いると共に、内部ボイド等の形成を防止するために型内減圧工程を同時に行うような場合においては、次のような技術的な問題がある。
キャビティ内部等の型内減圧工程は、少なくとも上下両型の型締時においてキャビティと型外とを連通させたエアベント溝を通して行うため、この残留空気等の型外吸引排出工程時に、キャビティ内に注入した高流動性の溶融樹脂材料の一部をもエアベント溝を通して型外へ流出させてしまうと云った不具合が発生する。
これは、樹脂材料の高流動性が大きな要因であるため、エアベント溝の深さを更に浅くなるように設定することも考えられるが、この場合は、残留空気等の型外吸引排出工程を効率良く行うことができないため、樹脂封止成形体に内部ボイド等が形成されると云った弊害を確実に防止することができない。
【0006】
そこで、エアベント溝部にエアベント開閉用のエアベントピンを配設し、上下両型を型締めする際に、エアベントピンと該エアベントピンの取付部とを相対的に移動させるように構成する。また、上下両型の中間型締時にはエアベントピンがエアベント溝を完全に閉止(閉鎖)せずにエアベント機能を可能とする。また、上下両型の型締工程完了の直前において、エアベントピンがエアベント溝を閉止してエアベント機能を不可とし、樹脂材料がエアベント溝から外部に漏れるのを防止するように構成した樹脂封止成形装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従って、この構成によれば、樹脂注入操作の初期から中期の段階ではエアベント溝を大きく開放して残留空気等の型外吸引排出を容易にし、また、樹脂注入操作の終期にはエアベント溝を閉止してエアベント溝からの樹脂漏れを防止することが期待できる。
【0007】
また、特許文献1には、この技術的課題を解決するための具体的手段として、次のような構成が開示されている。
即ち、エアベントピンの取付部(クランパー)の下面に固定したボルトをスプリングにて弾性支受させる構造と、エアベントピンの下面を閉止スプリングにて弾性支受させると共に、該閉止スプリングの弾性に抗してエアベントピンの上端面がエアベント溝を開放する位置にまで押し下げるためのリターンスプリングとを装着する。
更に、該閉止スプリングの弾性とリターンスプリングの弾性とは、エアベントピンの上端面がエアベント溝を開放する位置で静止することができるように関係付けている。
そして、上下両型の型締動作に連動させて閉止スプリングの弾性が強められることになる結果、エアベントピンの上端面が強い押圧力でエアベント溝側に突出してエアベント溝を完全に閉止し、これにより、キャビティを完全に密閉するように構成している。
【0008】
しかしながら、特許文献1の具体的手段においては、閉止スプリングの弾性とリターンスプリングの弾性との関係を、エアベントピンの上端面がエアベント溝を開放する位置で静止することができるように設定する必要がある。このため、必然的に、型構造が複雑化されると共に、スプリング弾性の調整・設定が面倒であり、更に、樹脂封止成形装置等を製造するためのコストアップを招来する等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−36515号公報(図1、図4、図5等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高流動性の樹脂材料を用いることが必要となる電子部品の樹脂封止成形において、キャビティ内部の残留空気等を型外へ効率良く吸引排出することにより樹脂封止成形体の内部ボイド等の形成を防止すると共に、キャビティ内に注入した高流動性の溶融樹脂材料がエアベント溝を通して型外へ流出するのを効率良く防止することができる電子部品の樹脂封止成形方法とこの方法を実施することができる樹脂封止成形装置を提供することを目的としている。
また、本発明は上記した目的のみならず、特に、簡易な型構造と該型構造に基づく簡易な方法とを採用することによって、樹脂封止成形装置等を製造するためのコストダウンを図ると共に、成形装置の保守点検作業を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、少なくとも一対の樹脂成形用の成形型(上型5及び下型8)と、前記成形型の型開閉機構9と、前記成形型の少なくとも一方(上型5)に設けた樹脂成形用のキャビティ10内に樹脂材料Rを注入してこの樹脂材料Rを加圧する樹脂加圧機構(プランジャ37)と、前記成形型にて成形した樹脂封止済基板38aを前記成形型外へ取り出す成形品突出機構17と、前記成形型の型締時に前記キャビティ10と前記成形型外とを連通させるエアベント溝部13を通して前記キャビティ10内部を減圧するキャビティ内部減圧機構16と、前記成形品突出機構17と重ね合せ、且つ、前記成形型の型開閉方向となる位置に連続して配設したエアベントピン取付プレート29と、前記成形型の型開閉機構9による型開閉作用と連動して前記エアベントピン取付プレート29に取り付けたエアベントピン28を前記エアベント溝部13に対して進退させることにより前記エアベント溝部13を開閉操作するエアベントピン進退機構27とを備えた樹脂封止成形装置を用意する工程と、
電子部品を装着した樹脂封止前基板38を前記キャビティ10部に供給セットする工程と、
樹脂材料Rを前記成形型に設けた樹脂供給部(ポット)36に供給する工程と、
前記樹脂封止前基板38の供給セット工程と前記樹脂材料Rの供給工程とを経た後に、前記成形型の型面を閉じ合わせる型締工程と、
前記樹脂供給部(ポット)36内に供給した樹脂材料Rを加熱して溶融化する樹脂加熱溶融化工程と、
前記溶融樹脂材料Rをキャビティ10内に供給する樹脂供給工程と、
前記キャビティ10部に供給した樹脂材料Rを所定の樹脂圧まで加圧することにより、前記樹脂封止前基板38上の電子部品を前記樹脂材料Rにて封止成形する樹脂加圧工程と、
前記樹脂加圧工程を経た後に樹脂封止済基板38aを前記成形型外へ取り出す成形品取出工程とを含む電子部品の樹脂封止成形方法であって、
前記成形型の型開閉機構9を介して第一次型締工程及び第二次型締工程を連続して行い且つ前記型締工程と連動させることにより、
前記第一次型締工程においては、前記エアベントピン進退機構27を介して前記エアベントピン28を前記エアベント溝部13から後退させて前記エアベント溝部13を開くエアベント溝部13の開放状態を維持し、
前記第二次型締工程においては、前記エアベントピン進退機構27を介して前記エアベントピン28を前記エアベント溝部13へ前進させて前記エアベント溝部13を閉じるエアベント溝部13の閉鎖状態を維持し、
更に、前記エアベント溝部13の開放状態は、少なくとも前記樹脂加熱溶融化工程から前記樹脂供給工程の終了時までの間において継続して行い、
前記エアベント溝部13の閉鎖状態は、少なくとも前記樹脂供給工程の終了時から前記樹脂加圧工程の終了時までの間において継続して行い、
また、前記キャビティ内部減圧機構を介して、少なくとも前記エアベント溝部13の前記開放状態時に前記キャビティ10内部の減圧工程を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、少なくとも一対の樹脂成形用の成形型(上型5及び下型8)と、前記成形型の型開閉機構9と、前記成形型の少なくとも一方(上型5)に設けた樹脂成形用のキャビティ10内に樹脂材料Rを注入してこの樹脂材料Rを加圧する樹脂加圧機構(プランジャ37)と、前記成形型にて成形した樹脂封止済基板38aを前記成形型外へ取り出す成形品突出機構17と、前記成形型の型締時に前記キャビティ10と前記成形型外とを連通させるエアベント溝部13を通して前記キャビティ10内部を減圧するキャビティ内部減圧機構16とを備えた電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記成形型5・8の型開閉方向の位置となり且つ前記成形品突出機構17と重ね合せた位置にエアベントピン取付プレート29を連続して配設すると共に、前記エアベントピン取付プレート29に取り付けたエアベントピン28を前記エアベント溝部13に対して進退させるエアベントピン進退機構27を配設し、
前記エアベントピン進退機構27は、前記成形型の型開閉機構9による第一次型締及び第二次型締と連動させて、前記第一次型締時には前記エアベントピン28を前記エアベント溝部13から後退させて前記エアベント溝部13を開放状態に設定するように構成し、また、前記第二次型締時には前記エアベントピン28を前記エアベント溝部13へ前進させて前記エアベント溝部13を閉鎖状態に設定するように構成したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記エアベントピン28(128)を、前記エアベントピン28(128)が突出する方向へ弾性押圧状に支持させて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、成形型5・8の型開閉方向の位置となり且つ成形品突出機構17と重ね合せた位置にエアベントピン取付プレート29を連続して配設すると共に、エアベントピン進退機構27を介してエアベントピン取付プレート29に取り付けたエアベントピン28をエアベント溝部13に対して進退させるように構成したので、全体的な装置構造を簡略化することができる。
また、エアベントピン進退機構27によるエアベントピン28の進退操作を成形型の型開閉機構9による型開閉操作と連動させて行うことにより、エアベントピン28の進退操作を簡易に且つ確実に行うことができる。
従って、型開閉操作と連動させてエアベントピン28によるエアベント溝部13の開放状態又は閉鎖状態を簡単に且つ確実に設定することができる。
このため、高流動性の樹脂材料Rを用いる樹脂封止成形においても、キャビティ10内部の残留空気等を型外へ効率良く吸引排出することにより樹脂封止成形体の内部ボイド等の形成を確実に防止することができる。
また、高流動性の樹脂材料を効率良く用いることが可能となるため、フリップチップ実装におけるチップと基板との隙間に液状封止材料(溶融樹脂材料)を効率良く且つ確実に充填させることができる。従って、トランスファ成形によるモールドアンダフィルを実現することが可能となる。
また、キャビティ10内に注入した高流動性の溶融樹脂材料Rがエアベント溝を通して型外へ流出するのを効率良く防止することができる。
更に、簡易な型構造と該型構造に基づく簡易な方法を採用することができるので、樹脂封止成形装置等を製造するためのコストダウンを図ることができると共に、成形装置の保守点検作業を簡略化することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、エアベントピン28(128)を進退方向へ弾性支持させることにより、エアベントピン28(128)によるエアベント溝部13(113)の開閉度合いを調整することが可能となる。
従って、この構成を、例えば、基板やパッケージ厚みの変更時や基板厚み等に対応して型構造を変更させるような成形装置に採用した場合においても、エアベントピン28(128)によるエアベント溝部13(113)の開閉を効率良く且つ適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1はトランスファ成形手段を採用した本発明に係る樹脂封止成形装置で、図1(1)はその上型と下型との型開状態を示す概略正面図、図1(2)は上型の要部拡大縦断面図である。
【図2】図2は図1に対応する樹脂封止成形装置で、図2(1)は上型と下型との要部を示す縦断面図、図2(2)はその部分拡大縦断面図であり、上型側のリターンピンと下型側との接合状態を示している。
【図3】図3は図2に対応する樹脂封止成形装置で、図3(1)は上型と下型との第一次型締め状態を示す縦断面図、図3(2)はその部分拡大縦断面図であり、上型キャビティ内への樹脂注入状態を示している。
【図4】図4は図3に対応する樹脂封止成形装置で、図4(1)は上型と下型との第二次型締め状態を示す縦断面図、図4(2)はその部分拡大縦断面図であり、エアベントピンにてエアベント溝部を閉鎖した状態で樹脂成形を行った状態を示している。
【図5】図5は圧縮成形手段を採用した本発明に係る樹脂封止成形装置の要部を示しており、図5(1)は上型と下型との第一次型締め状態を示す縦断面図、図5(2)は上型と下型との第二次型締め状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1乃至図4に示す本発明の第一実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1(1)は、所謂、トランスファ成形手段を採用した本発明に係る樹脂封止成形装置の全体構成を概略的に示しており、図1(2)は上型側の要部を拡大して示している。
また、この成形装置は、次のような一般的な構造を備えている。
即ち、装置の基盤1と、該基盤上に立設したタイバー2と、該タイバーの上端部に装設した固定板3と、該固定板の下部に装着した上型プレート4と、該上型プレートの下部に装設した樹脂成形用の上型5と、該上型の下方位置においてタイバー2に嵌装した可動板6と、該可動板の上部に装着した下型プレート7と、該下型プレートの上部に装設した樹脂成形用の下型8と、可動板6を上下方向へ移動させることにより上下両型5・8の対向型面を接合し或はこれを離反させることができるように設けたサーボモータ等による型開閉機構9等を備えている。
【0019】
上型5の型面(下面)には、図1(2)や図2等に示すように、樹脂成形用のキャビティ10を形成すると共に、このキャビティ10には樹脂材料(若しくは、溶融樹脂材料)Rの移送通路11を接続させている。
また、キャビティ10に接続した移送通路11との連通口となるゲート12の位置とは反対側となり、且つ、ゲート12からキャビティ10内に流入した溶融樹脂材料(R)が最終時期に到達することになる位置にエアベント溝部13を接続させている。
更に、エアベント溝部13と上型5の外部とを吸気口14にて接続させると共に、この吸気口14と真空モータ(図示なし)とを適宜な吸気経路15を介して接続させている。
従って、後述する成形型(上型5及び下型8)の型締時に真空モータを作動させることにより、吸気経路15と吸気口14及びエアベント溝部13を通して、キャビティ10内部を減圧することができるため、この構造はキャビティ10内部の減圧機構16を構成している。
【0020】
また、後述する成形型の型開閉方向(上下方向)となる上型5の背部(上部)位置に、キャビティ10内にて成形した成形品(樹脂封止済基板38a)を成形型の外部(下方)に取り出すための成形品突出機構17を配設している。
この成形品突出機構17は、キャビティ10部に進退移動させる成形品突出ピン18を装着した成形品突出プレート19と、この成形品突出プレート19を下型8側(下方向)へ弾性押動させる弾性押動部材20と、成形品突出プレート19を所定の高さ位置に移動させるリターンピン21等を備えている。
更に、成形品突出プレート19は、上型5の背部に立設した型開閉方向のサポートピン22に嵌装させている。
また、成形品突出ピン18及びリターンピン21は、上型5に設けた型開閉方向の貫通孔23・24に夫々嵌装させている。
また、弾性押動部材20は、図2(1)等に示すように、上型プレート4側に内装した圧縮スプリング20aと、上型プレート4及び後述するエアベントピン取付プレート29に設けた型開閉方向の貫通孔25・26に嵌装させた頭部(径大部)20bを有するピン部材20cとから構成している。従って、このピン部材20cは型開閉方向への移動が可能であると共に、圧縮スプリング20aの弾性押圧力により下型8側へ移動するように設けている。
このため、成形品突出プレート19と成形品突出ピン18及びリターンピン21は型開閉方向への移動が可能となる。そして、図1(1)に示す成形型の型開時には弾性押動部材20の弾性押圧力を受けて下型8側(下方向)へ移動することになると共に、このとき、成形品突出ピン18の先端部(下端部)はキャビティ10の内部に突出して成形品をキャビティ10の外部へ突き出すことができるように設定し、更に、そのリターンピン21の先端部(下端部)は上型5の型面から下型8側へ突出するように設定している(図1(2)参照)。
【0021】
なお、弾性押動部材20における圧縮スプリング20aとピン部材20cとは、次のように関係付けている。
即ち、図2(1)等に示すように、上型プレート4及びエアベントピン取付プレート29に設けた型開閉方向の貫通孔25・26に嵌装したピン部材20cは型開閉方向への移動が可能である。そして、このピン部材20cの頭部(径大部)20bに圧縮スプリング20aの弾性を加えることにより、ピン部材20cを、常時、下型8側へ押動している。しかしながら、ピン部材の頭部20bが上型プレート4側に係止して停止すると、その位置で下型8側への移動を停止させるように設定している。
また、ピン部材20cの下端部を成形品突出プレート19に止着しているためピン部材20cは成形品突出プレート19の型開閉方向への移動に伴ってこれと同時に移動するように設けている。
従って、ピン部材20cは圧縮スプリング20aの弾性押圧力を受けて下型8側へ移動するが、成形品突出プレート19が下型8とは反対側となる方向(上方向)へ移動すると、圧縮スプリング20aの弾性に抗して、成形品突出プレート19と同時に移動(上動)することができるように設定している。
【0022】
また、成形品突出機構17の背部(上部)となる上型プレート4に、エアベント溝部13を開閉操作するためのエアベントピン進退機構27を固着している。
このエアベントピン進退機構27は、エアベントピン28と、このエアベントピン28を装着したエアベントピン取付プレート29等を備えている。
また、このエアベントピン取付プレート29と上型5との両者は、成形品突出機構17に設けた貫通孔30を通して装着したボルト31にて連結させている。そして、該ボルト31におけるエアベントピン取付プレート29と上型5との間に圧縮スプリング32を巻装している。
また、エアベントピン28の頭部はエアベントピン取付プレート29に止着させると共に、その軸端部(下端部)は成形品突出プレート19及び上型5に設けた型開閉方向の貫通孔33・34を貫通してエアベント溝部13の部位に達するように設けている。
また、この圧縮スプリング32の弾性は、上型5を下型8側(下方向)へ移動させるように作用している。
なお、上型5は圧縮スプリング32の弾性によって下型8側へ移動するが、所定の高さ位置に設けたストッパー35に係止するとその位置にて上型5の移動は停止するように設定している。
【0023】
上型5に対設した下型8は、次のような構成を備えている。
上型5の型面に設けた移送通路11と対向する下型8の部位には樹脂材料Rを供給するための樹脂供給部(樹脂材料供給用ポット)36を配設し、この樹脂供給部36には樹脂加圧用のプランジャ(樹脂加圧機構)37を嵌装している。
また、上型5の型面に設けたキャビティ10と対向する下型8の型面には樹脂封止前の基板38を供給セットするための基板供給部39を配設している。
そして、成形型(上下両型5・8)を型締めしたとき、下型8の樹脂供給部36と、上型5の移送通路11、キャビティ10、エアベント溝部13及び吸気口14とは通気可能な型内空間部を構成する(図3及び図4参照)。
【0024】
上述したように、上型5と成形品突出機構17及びエアベントピン進退機構27は、成形型の型開閉方向へ連続して重ね合わせるように配設している。
これにより、エアベントピン進退機構27は、成形型の型開閉機構9による型開閉作用と連動して、エアベントピン取付プレート29に装着したエアベントピン28をエアベント溝部13に対して進退移動させることができる。
【0025】
次に、図1(1)に示す成形型(上下両型5・8)の型開時における上型5と成形品突出機構17及びエアベントピン進退機構27の位置関係について詳述する。
型開閉機構9を介して下型8を下動させることにより、図1(1)に示すように、成形型(上下両型5・8)を型開きすることができる。
この型開時においては、上下両型5・8が離れているので、図1(2)に示すように、上型5は圧縮スプリング32の弾性によって下型8側へ下動すると共に、ストッパー35に係止する所定の高さ位置にて停止する。
また、図2(1)に示すように、成形品突出機構17の成形品突出プレート19は、弾性押動部材20の圧縮スプリング20aの弾性によってピン部材20cを下型8側へ下動すると共に、ピン部材20cの頭部20bが上型プレート4側に係止した位置にて停止する。
このとき、ピン部材20cに止着した成形品突出プレート19と、成形品突出プレート19に止着した成形品突出ピン18及びリターンピン21もピン部材20cと同時に下動する。更に、成形品突出ピン18の下端部はキャビティ10の内部に突出しており、また、リターンピン21の下端部は上型5の型面から下方へ突出している(図1(2)参照)。
また、エアベントピン28はエアベントピン進退機構27のエアベントピン取付プレート29を介して上型プレート4に固着しているので、エアベントピン28自体は下動しないが、上型5が下型8側へ下動することになる結果、エアベントピン28が相対的に上方へ移動することになる。なお、このとき、エアベントピン28はその下端部がエアベント溝部13を開く位置(エアベント溝部13の底部)まで移動する(図1(2)参照)。
【0026】
以下、上記成形装置を用いて電子部品を樹脂封止成形する場合について説明する。
図1(1)に示す成形型の型開時において、まず、適宜な搬入ローダー40を介して、上下両型5・8間に電子部品を装着した樹脂封止前基板38を搬入し且つ下型8の基板供給部39に供給すると共に、樹脂材料Rを下型8の樹脂供給部36内に供給する(図2(1)参照)。
そして、この樹脂封止前基板38及び樹脂材料Rの供給工程を行った後に、型開閉機構9を介して、下型プレート7及び下型8を上動させる型締工程を行う。
【0027】
下型8が上動すると、まず、下型8の型面(上面)と上型5側のリターンピン21とが接合する(図2参照)。
なお、この下型8とリターンピン21との接合時においては、型開時と実質的に同様の位置関係を維持しており、また、この時点では上下両型5・8は接合していないため、上下両型の型締めは行われていない。
【0028】
次に、型開閉機構9を介して、下型8を更に上動させて上下両型5・8を接合させる第一次型締工程を行う。
第一次型締工程においては、図3に示すように、下型8の型面が圧縮スプリング20aの弾性に抗してリターンピン21及び成形品突出プレート19を上動させると共に、成形品突出ピン18の下端部をキャビティ10の底部付近まで上動させる。
なお、この第一次型締工程においては、樹脂供給部36内に供給した樹脂材料Rを加熱して溶融化する樹脂加熱溶融化工程を並行して同時に行うことが可能である。
また、このとき、エアベントピン28はその下端部がエアベント溝部13の底部に位置しているためエアベント溝部13を開放状態に維持している。
従って、この状態で、減圧機構16の真空モータ(図示なし)を作動させると、吸気経路15を通して型内空間部(樹脂供給部36、移送通路11、キャビティ10、エアベント溝部13、吸気口14)を減圧することができる。
このように、少なくともエアベント溝部13の開放状態時に型内空間部の減圧工程を行うことができるので、この型内空間部内に残留したエアや水分、或は、樹脂材料の加熱溶融化工程時に発生する燃焼ガス等を型内空間部外へ効率良く排出することができる。
【0029】
次に、樹脂供給部36で溶融化した樹脂材料Rをキャビティ10内に供給する樹脂供給工程(トランスファモールド工程)を行う。
なお、樹脂供給部36に供給した樹脂材料Rが固形状の樹脂タブレットである場合は、該樹脂タブレットをプランジャ37にて加熱且つ加圧することによってその加熱溶融化を促進させることができる。
加熱溶融化状態の樹脂材料Rはプランジャ37の加圧力を受けることにより、移送通路11からゲート12を通してキャビティ10内に注入充填されると共に、該溶融樹脂材料(R)が最終時期に到達することになるエアベント溝部13に流入しようとする。
前述したように、フリップチップ実装時にモールドアンダフィルを行う場合は、超微粒子化したフィラーを含む高流動性の樹脂材料を用いることが必要となるが、その場合は、エアベント溝部13を通して溶融樹脂材料Rの一部が型外へ流出すると云った不具合が発生する。また、この不具合は、上記した型内空間部の減圧工程を並行して行う場合に更に顕著となる。
このような不具合の発生を防止するため、上記した第一次型締工程におけるエアベント溝部13の開放状態は、少なくとも樹脂加熱溶融化工程から樹脂供給工程の終了時までの間において継続して行う。更に、上記したキャビティ10内部の減圧工程は、少なくともエアベント溝部13の開放状態時に継続して行う。
【0030】
次に、上記した第一次型締工程に連続して第二次型締工程を行うことにより、高流動性の溶融樹脂材料(R)を使用する場合であっても、エアベント溝部13を通して型外へ流出するのを防止することができる。
第二次型締工程においては、エアベントピン進退機構27を介して、エアベントピン28をエアベント溝部13へ前進させてエアベント溝部13を閉鎖すると共に、このエアベント溝部13の閉鎖状態を維持する。
また、第二次型締工程においては、図4に示すように、下型8の型面が圧縮スプリング20aの弾性に抗してリターンピン21及び成形品突出プレート19を更に上動させると共に、成形品突出ピン18の下端部をキャビティ10の底部位置まで上動させる。
なお、この第二次型締工程においては、エアベントピン28の下端部がエアベント溝部13へ相対的に前進(下動)してエアベント溝部13を閉鎖すると共に、このエアベント溝部13の閉鎖状態を維持する。このエアベント溝部13の閉鎖状態は、少なくとも上記した樹脂供給工程の終了時から樹脂加圧工程の終了時までの間において継続して行う。
【0031】
なお、キャビティ10と移送通路11内で固化成形した樹脂封止済基板(成形品)38aは、図3の第一次型締め状態に対応する第一次型開きを行い、次に、図2の第一次型締め直前の状態に対応する第二次型開きを行い、次に、図1に示す元の型開き状態に復帰する。
即ち、図3に示す第一次型開き状態では、エアベントピン28の下端部がエアベント溝部13から相対的に後退(上動)してエアベント溝部13を開放する。
次に、図2に示す第二次型開き状態では、成形品突出ピン18が下動して樹脂封止済基板38a(樹脂封止前基板38と、該基板上の電子部品の樹脂封止成形体と、移送通路11内の固化樹脂)を下方へ突出す。
次に、図1に示す元の型開き状態にまで復帰する。
なお、この型開き状態において、搬出ローダー(図示なし)を介して、樹脂封止済基板38a(製品)を装置外へ搬出することができる。
【0032】
第一実施例によれば、成形品突出機構17と重ね合せ且つ成形型の型開閉方向となる位置に連続して配設したエアベントピン取付プレート29と、成形型の型開閉機構9による型開閉作用と連動してエアベントピン取付プレート29に取り付けたエアベントピン28をエアベント溝部13に対して進退させることによってエアベント溝部13を開閉操作するエアベントピン進退機構27とを備えている。更に、キャビティ内部減圧機構16を介して、少なくともエアベント溝部13の開放状態時にキャビティ10内部の減圧を行うことができる。
従って、高流動性の樹脂材料を用いる電子部品の樹脂封止成形においても、キャビティ10内部の残留空気等を型外へ効率良く吸引排出することが可能となるため、樹脂封止済基板38aと一体に成形される樹脂封止成形体の内部ボイド等の形成を効率良く防止できると共に、キャビティ10内に注入した高流動性の溶融樹脂材料がエアベント溝部13を通して型外へ流出するのを効率良く防止することができる。
また、特に、簡易な型構造と該型構造に基づく簡易な方法とを採用することが可能であるため、樹脂封止成形装置等を製造するためのコストダウンを図ることができると共に、成形装置の保守点検作業を簡略化することができる等の優れた実用的な効果を奏する。
【0033】
なお、エアベントピン28は、その頭部をエアベントピン取付プレート29に止着する構成を示しているが、例えば、エアベントピン取付プレート29に圧縮スプリングを内装すると共に(図示なし)、該圧縮スプリングの弾性によって、エアベントピン28の下端部が下方へ弾性突出するように構成してもよい。
また、第一実施例図に示した上型5及び下型8から成る型構造に替えて、上型と下型とを上下逆に配設して構成する装置構造を採用するようにしても差し支えない。
また、第一実施例図に示した上型5及び下型8から成る型構造に替えて、上型と下型とを左右位置に配設して構成する装置構造を採用するようにしても差し支えない。
【0034】
次に、図5に示す本発明の第二実施例について説明する。
図5は、圧縮成形手段を採用した本発明に係る樹脂封止成形装置の要部を示している。
この圧縮成形装置は、図5に示すように、上下位置に対向して配置した少なくとも一対の上型105と下型108とを含む圧縮成形用の成形型と、この成形型における下型108に嵌装した樹脂材料圧縮用の圧縮型141とを備えている。
更に、この上型105と下型108及び圧縮型141との型面間に樹脂成形用キャビティ110を構成すると共に、この圧縮型141はキャビティ110に対して上下動可能となるように設けている。
また、圧縮型141は、上型105と下型108との型締時において、この、圧縮型141を上方向へ移動させることにより、キャビティ110内に供給した樹脂材料Rを加熱且つ加圧して溶融化することができる。
また、この溶融樹脂材料Rを更に加圧して圧縮することにより、キャビティ110内の所定位置に供給セットした樹脂封止前基板138上の電子部品を樹脂材料Rにて封止成形することができるように構成している。
また、キャビティ110にはエアベント溝部113を接続させている。
更に、このエアベント溝部113と成形型の外部とを吸気口にて接続させると共に、この吸気口と真空モータとを適宜な吸気経路を介して接続させたキャビティ内部の減圧機構を配設している(図示なし)。
【0035】
なお、この圧縮成形装置における基本的な構成は、上記した圧縮成形装置に特有の構成を除いて、第一実施例図に示したトランスファ樹脂封止成形装置の構成と同じである。
即ち、第一実施例図に示したものと同様に、成形型(上下両型105・108)の型開閉方向(上下方向)の位置となり、且つ、成形品突出機構(図示なし)と重ね合せた位置にエアベントピン取付プレート129を連続して配設している。そして、このエアベントピン取付プレート129に取り付けたエアベントピン128をエアベント溝部113に対して進退させるエアベントピン進退機構127を配設している。
また、エアベントピン進退機構127は、成形型の型開閉機構(図示なし)による第一次型締及び第二次型締と連動させている。そして、第一次型締時にはエアベントピン128をエアベント溝部113から後退(下動)させてエアベント溝部113を開放状態(図5(1)参照)に設定するように構成し、また、第二次型締時にはエアベントピン128をエアベント溝部113へ前進(上動)させてエアベント溝部113を閉鎖状態(図5(2)参照)に設定するように構成している。
【0036】
また、エアベントピン128は、その下部をエアベントピン取付プレート129に上下動可能に嵌装すると共に、その上部を下型108に設けた上下方向の貫通孔133を貫通してエアベント溝部113の部位に達するように設けている。
更に、エアベントピン128の下部を嵌装するエアベントピン取付プレート129に、圧縮スプリング142を内装すると共に、該圧縮スプリング142の弾性によってエアベントピン128の上部を上方へ突出させるように押圧状に支受させている。
なお、図中の符号138aは樹脂封止済基板、同符号143はエアベントピン取付プレート129の上下動作用を補助するためのガイド部材である。
【0037】
なお、図5に示す圧縮成形装置を用いて電子部品を樹脂封止成形する作用については、圧縮成形装置に特有の作用を除いて、第一実施例図に示したトランスファ樹脂封止成形装置の作用と同様であり、説明の重複を避けるため詳細な説明は省略する。
また、第二実施例においては、圧縮スプリング142の弾性にてエアベントピン128の上部を上方へ突出させるように押圧状に支受させているため、エアベント溝部113の開閉度合いを調整することが可能となる。
従って、例えば、基板やパッケージ厚みの変更時や基板厚み等に対応して型構造を変更させるような成形装置に採用した場合においても、エアベントピン128によるエアベント溝部113の開閉を効率良く且つ適正に行うことができると云った実用的な効果を奏する。
【符号の説明】
【0038】
1 基 盤
2 タイバー
3 固定板
4 上型プレート
5 上 型
6 可動板
7 下型プレート
8 下 型
9 型開閉機構
10 キャビティ
11 移送通路
12 ゲート
13 エアベント溝部
14 吸気口
15 吸気経路
16 減圧機構
17 成形品突出機構
18 成形品突出ピン
19 成形品突出プレート
20 弾性押動部材
20a 圧縮スプリング
20b 頭部(径大部)
20c ピン部材
21 リターンピン
22 サポートピン
23 貫通孔
24 貫通孔
25 貫通孔
26 貫通孔
27 エアベントピン進退機構
28 エアベントピン
29 エアベントピン取付プレート
30 貫通孔
31 ボルト
32 圧縮スプリング
33 貫通孔
34 貫通孔
35 ストッパー
36 樹脂供給部(ポット)
37 プランジャ(樹脂加圧機構)
38 樹脂封止前基板
38a 樹脂封止済基板
39 基板供給部
40 搬入ローダー
105 上 型
108 下 型
110 キャビティ
113 エアベント溝部
127 エアベントピン進退機構
128 エアベントピン
129 エアベントピン取付プレート
133 貫通孔
138 樹脂封止前基板
138a 樹脂封止済基板
141 圧縮型
142 圧縮スプリング
143 ガイド部材
R 樹脂材料(溶融樹脂材料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の樹脂成形用の成形型と、前記成形型の型開閉機構と、前記成形型の少なくとも一方に設けた樹脂成形用のキャビティ内に樹脂材料を注入してこの樹脂材料を加圧する樹脂加圧機構と、前記成形型にて成形した樹脂封止済基板を前記成形型外へ取り出す成形品突出機構と、前記成形型の型締時に前記キャビティと前記成形型外とを連通させるエアベント溝部を通して前記キャビティ内部を減圧するキャビティ内部減圧機構と、前記成形品突出機構と重ね合せ且つ前記成形型の型開閉方向となる位置に連続して配設したエアベントピン取付プレートと、前記成形型の型開閉機構による型開閉作用と連動して前記エアベントピン取付プレートに取り付けたエアベントピンを前記エアベント溝部に対して進退させることにより前記エアベント溝部を開閉操作するエアベントピン進退機構とを備えた樹脂封止成形装置を用意する工程と、
電子部品を装着した樹脂封止前基板を前記キャビティ部に供給セットする工程と、
樹脂材料を前記成形型に設けた樹脂供給部に供給する工程と、
前記樹脂封止前基板の供給セット工程と前記樹脂材料の供給工程とを経た後に、前記成形型の型面を閉じ合わせる型締工程と、
前記樹脂供給部内に供給した樹脂材料を加熱して溶融化する樹脂加熱溶融化工程と、
前記溶融樹脂材料をキャビティ内に供給する樹脂供給工程と、
前記キャビティ部に供給した樹脂材料を所定の樹脂圧まで加圧することにより、前記樹脂封止前基板上の電子部品を前記樹脂材料にて封止成形する樹脂加圧工程と、
前記樹脂加圧工程を経た後に樹脂封止済基板を前記成形型外へ取り出す成形品取出工程とを含む電子部品の樹脂封止成形方法であって、
前記成形型の型開閉機構を介して第一次型締工程及び第二次型締工程を連続して行い、且つ、前記型締工程と連動させることにより、
前記第一次型締工程においては、前記エアベントピン進退機構を介して前記エアベントピンを前記エアベント溝部から後退させて前記エアベント溝部を開くエアベント溝部の開放状態を維持し、
前記第二次型締工程においては、前記エアベントピン進退機構を介して前記エアベントピンを前記エアベント溝部へ前進させて前記エアベント溝部を閉じるエアベント溝部の閉鎖状態を維持し、
更に、前記エアベント溝部の開放状態は、少なくとも前記樹脂加熱溶融化工程から前記樹脂供給工程の終了時までの間において継続して行い、
前記エアベント溝部の閉鎖状態は、少なくとも前記樹脂供給工程の終了時から前記樹脂加圧工程の終了時までの間において継続して行い、
また、前記キャビティ内部減圧機構を介して、少なくとも前記エアベント溝部の前記開放状態時に前記キャビティ内部の減圧工程を行うことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項2】
少なくとも一対の樹脂成形用の成形型と、前記成形型の型開閉機構と、前記成形型の少なくとも一方に設けた樹脂成形用のキャビティ内に樹脂材料を注入してこの樹脂材料を加圧する樹脂加圧機構と、前記成形型にて成形した樹脂封止済基板を前記成形型外へ取り出す成形品突出機構と、前記成形型の型締時に前記キャビティと前記成形型外とを連通させるエアベント溝部を通して前記キャビティ内部を減圧するキャビティ内部減圧機構とを備えた電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記成形型の型開閉方向の位置となり且つ前記成形品突出機構と重ね合せた位置にエアベントピン取付プレートを連続して配設すると共に、前記エアベントピン取付プレートに取り付けたエアベントピンを前記エアベント溝部に対して進退させるエアベントピン進退機構を配設し、
前記エアベントピン進退機構は、前記成形型の型開閉機構による第一次型締及び第二次型締と連動させて、前記第一次型締時には前記エアベントピンを前記エアベント溝部から後退させて前記エアベント溝部を開放状態に設定するように構成し、また、前記第二次型締時には前記エアベントピンを前記エアベント溝部へ前進させて前記エアベント溝部を閉鎖状態に設定するように構成したことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項3】
前記エアベントピンを、前記エアベントピンが突出する方向へ弾性押圧状に支受させて構成したことを特徴とする請求項2に記載の電子部品の樹脂封止成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−49253(P2013−49253A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189918(P2011−189918)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】