電気光学装置、電子機器
【課題】トランジスターを備えた高精細な画素を有する電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置の画素Pは、第1方向(X方向)に延在する走査線3aと、走査線3aに交差する第2方向(Y方向)に延在するデータ線6aと、走査線3aおよびデータ線6aに電気的に接続された薄膜トランジスター30と、を備え、薄膜トランジスター30は、走査線3aとデータ線6aとの交差部に平面的に重なるように配置され、X方向に延在するドレイン領域30a5と、Y方向に延在するソース領域30a1と、X方向に延在する第1延在部とY方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域30a3と、を有する半導体層30aと、チャネル領域30a3に対向するゲート電極部30gと、を有する。
【解決手段】電気光学装置の画素Pは、第1方向(X方向)に延在する走査線3aと、走査線3aに交差する第2方向(Y方向)に延在するデータ線6aと、走査線3aおよびデータ線6aに電気的に接続された薄膜トランジスター30と、を備え、薄膜トランジスター30は、走査線3aとデータ線6aとの交差部に平面的に重なるように配置され、X方向に延在するドレイン領域30a5と、Y方向に延在するソース領域30a1と、X方向に延在する第1延在部とY方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域30a3と、を有する半導体層30aと、チャネル領域30a3に対向するゲート電極部30gと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素のスイッチング素子としてトランジスターを備えた電気光学装置、およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、データ線と走査線との交差部においてソース領域およびチャネル領域がデータ線に沿って配置され、ドレイン領域が走査線に沿って折り曲げられた半導体層を有するトランジスターを備えた電気光学装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電気光学装置によれば、データ線あるいは走査線に沿って半導体層を直線的に配置する場合に比べて、半導体層を途中で折り曲げているので、データ線あるいは走査線に沿った方向のトランジスターの大きさを小さくすることができる。これにより、画素の配置ピッチが小さく高精細となってもトランジスターを備えた電気光学装置を実現できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電気光学装置における画素数をさらに増やしたいという要求がある。したがって、画素の配置ピッチがさらに細かい状態でも所定の特性を有するトランジスターを画素ごとに配置したいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の電気光学装置は、第1方向に延在する走査線と、前記走査線に交差する第2方向に延在するデータ線と、前記走査線および前記データ線の交差に対応して設けられ、前記走査線と前記データ線とに電気的に接続されたトランジスターと、を備え、前記トランジスターは、前記第1方向に延在する第1ソース・ドレイン領域と、前記第2方向に延在する第2ソース・ドレイン領域と、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域の間に設けられると共に、前記走査線と前記データ線の交差部に平面的に重なるように設けられ、前記第1方向に延在する第1延在部と前記第2方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域と、を有する半導体層と、前記チャネル領域に対向するゲート電極部と、を有するを備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、チャネル領域以外の第1または第2ソース・ドレイン領域を折り曲げる場合に比べて、第1方向(走査線の延在方向)または第2方向(データ線の延在方向)のチャネル領域の寸法を実質的に短くすることができ、画素の配置ピッチが従来に比べてさらに細かい状態となってもトランジスターを画素ごとに配置することができる。すなわち、トランジスターによってスイッチング制御可能で高精細な画素を有する電気光学装置を提供できる。また、従来ならばチャネル領域の長さを一定とすることで所定の電気特性を確保することが当たり前であった、言い換えれば、従来、チャネル領域を折り曲げる発想はなかった。ところが、画素が高精細になればなるほど、半導体層を小型化する必要があり、小型になればチャネル領域を折り曲げることによる電気特性のばらつきも無視することができる。すなわち、高精細な画素におけるより好適な半導体層の配置を実現できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の電気光学装置において、前記トランジスターに対応して設けられた画素電極を有し、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域のうち、一方が前記画素電極に電気的に接続され、他方が前記データ線に電気的に接続され、前記一方のソース・ドレイン領域に沿って平面的に前記半導体層の両側に設けられ、前記走査線と前記ゲート電極部とを電気的に接続させるコンタクトホール内に前記ゲート電極部から延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備え、前記チャネル領域は、前記第1方向における前記第1延在部の長さおよび前記第2方向における前記第2延在部の長さのうち前記一方のソース・ドレイン領域側の長さが前記他方のソース・ドレイン領域側の長さに比べて短いことが好ましい。
この構成によれば、チャネル領域に接続する第1および第2ソース・ドレイン領域のうち、光リーク電流の発生防止に対して有効な画素電極に電気的に接続される側の一方のソース・ドレイン領域側の長さが他方に比べて短くなっている。したがって、平面的に半導体層の両側に設けられた遮光性の側壁部の半導体層に沿った部分の長さを短くできる。ゆえに、側壁部を設けることに伴う遮光領域の面積の拡大を抑えることができ、トランジスターにおける光リーク電流の発生を防止するために側壁部を設けても開口率の低下を抑えることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の電気光学装置において、前記チャネル領域と前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域との間にはそれぞれLDD領域を有し、前記半導体層の両側に設けられた前記側壁部のうち、少なくとも一方が前記チャネル領域と前記LDD領域とに沿って設けられていることが好ましい。
この構成によれば、チャネル領域とLDD領域とに沿って設けられた側壁部によって遮光されているので、トランジスターにおける光リーク電流の発生をより低減できる。
【0011】
[適用例4]上記適用例の電気光学装置において、前記ゲート電極部を含む遮光領域が前記走査線および前記データ線に対して線対称に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、隣り合う画素の開口部分の形状が走査線およびデータ線に対して対称となるので、光学設計上の視覚特性に偏りが生じていてもその影響を受け難い高精細な画素を有する電気光学装置を提供できる。
【0012】
[適用例5]本適用例の電子機器は、上記適用例の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、高精細な画素を有していても所望の電気光学特性が得られ、見栄えのよい表示が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、(b)は薄膜トランジスターの構成を示す概略平面図、(c)は保持容量の構成を示す概略平面図。
【図4】実施例1の画素の配置を示す概略平面図。
【図5】図3(a)のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図6】図3(a)のC−C’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図7】実施例2の画素の構成を示す概略平面図。
【図8】実施例2の画素の配置を示す概略平面図。
【図9】(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、(b)は実施例3の半導体層の構成を示す概略平面図、(c)は容量線と中継電極および容量電極の配置を示す概略平面図。
【図10】図9のD−D’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図11】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0015】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えた電気光学装置としてのアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0017】
<液晶装置>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置について、図1および図2を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0018】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0019】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0020】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0021】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0022】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
【0023】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。
【0024】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0025】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0026】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0027】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を気相成長法を用いて成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0028】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向(第1方向)であり、データ線6aが延在する方向がY方向(第2方向)である。
【0029】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0030】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0031】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。詳しくは、後述するが、保持容量16は、遮光性の第1電極および第2電極との間に誘電体層を有するものであって、上記第2電極が上記容量線3bを構成している。容量線3bは、固定電位に接続されている。固定電位としては例えばGNDや共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)である。
【0032】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0033】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0034】
液晶装置100は、画素Pの数を増やすことにより高精細な表示が可能となるが、その一方で画素Pの平面的な大きさ(サイズ)が小さくなると、画素回路におけるTFT30の大きさや配置にも制限が加えられることになる。発明者らは画素Pが高精細となっても所望のスイッチング特性などの電気特性が得られるTFT30の構成について開発を行った。以降、実施例を挙げて説明する。
【0035】
(実施例1)
図3(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)は薄膜トランジスターの構成を示す概略平面図、同図(c)は保持容量の構成を示す概略平面図である。図4は実施例1の画素の配置を示す概略平面図、図5は図3(a)のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図、図6は図3(a)のC−C’線で切った画素の構造を示す概略断面図である。
【0036】
図3(a)に示すように、実施例1の画素Pは、走査線3aとデータ線6aの交差に対応してマトリクス状に配置された画素電極15と、走査線3aとデータ線6aの交差部においてL字状に折り曲げられた半導体層30aを有するTFT30とを備えている。
【0037】
図3(a)および(b)に示すように、半導体層30aは、走査線3aと重なると共にX方向に延在する第1ソース・ドレイン領域としてのドレイン領域30a5と、データ線6aと重なると共にY方向に延在する第2ソース・ドレイン領域としてのソース領域30a1と、上記交差部において折り曲げられY方向とX方向とに延在するチャネル領域30a3とを有している。また、ソース領域30a1とチャネル領域30a3との間にはLDD(Lightly Doped Drain)領域30a2を有し、ドレイン領域30a5とチャネル領域30a3との間にはLDD領域30a4を有している。チャネル領域30a3は、X方向に延在する第1延在部とY方向に延在する第2延在部とを含み、第1方向における第1延在部の長さL1がY方向に延在する第2延在部の長さL2よりも短くなっている。なお、第1延在部と第2延在部とは走査線3aとデータ線6aの交差部において平面的に互いに重なり合う部分を有する。
【0038】
本実施例1の半導体層30aは、幅がおよそ0.3μmの多結晶シリコン膜からなるものであり、Y方向におけるチャネル領域30a3の長さつまり上記第2延在部の長さL2はおよそ1.05μm、X方向におけるチャネル領域30a3の長さつまり上記第1延在部の長さL1はおよそ0.75μmである。
LDD領域30a2,30a4の長さはそれぞれおよそ0.5μm〜1.0μmである。
半導体層30aを直線的に配置した場合(折り曲げない場合)、所定の電気特性を確保するためのチャネル領域30a3の長さは設計上およそ1.5μmとなっているが、チャネル領域30a3を折り曲げることによって、チャネル領域30a3のY方向の長さL2を0.45μm短くすることができた。見方を変えれば、折り曲げられたチャネル領域30a3の中心線の長さが設計上の1.5μmとなっている。
ソース領域30a1およびドレイン領域30a5の長さは、適宜設定することが可能であって、ソース領域30a1の長さはデータ線6aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT1との相対的な位置関係によって決められる。同じくドレイン領域30a5の長さは画素電極15や後述する保持容量16との電気的な接続を図るコンタクトホールCNT2との相対的な位置関係によって決められる。
【0039】
TFT30のゲート電極部30gは、折り曲げられたチャネル領域30a3に重なるように設けられると共に、半導体層30aのドレイン領域30a5を挟んだ両側においてX方向に延在する2つの拡張部を有している。
走査線3aはデータ線6aとの交差部付近においてゲート電極部30gと平面的に重なるように同じく拡張部を有しており、相互の拡張部において走査線3aとゲート電極部30gとの電気的な接続を図るコンタクトホール33,34が設けられている。コンタクトホール33,34内には、ゲート電極部30gから延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備えている。該側壁部の構成については後述する。
図3(c)に示すように、画素Pの保持容量16は、Y方向に延在する本線部と、該本線部からX方向に突出し、走査線3aの上記拡張部と重なるように配置された突出部とを含む一方の容量電極16aと、一方の容量電極16aの本線部や突出部と平面的に重なると共に島状に設けられた他方の容量電極16bとを有している。
一方の容量電極16aにおける本線部は、Y方向において複数の画素Pに跨るように配置され、容量線3bの機能を果たしている。
他方の容量電極16bの突出部分は、画素電極15との電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4を平面的に含むようにX方向に延在している。
【0040】
図4に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素Pは、画素Pを光学的に開口させた開口領域と複数の開口領域を取り囲むように略格子状に配置された非開口領域(遮光領域)とを有している。
【0041】
X方向に延在する非開口領域は、少なくとも走査線3aを含んで構成されるものである。走査線3aは、導電性および遮光性を有するものであり、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pdなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。
【0042】
Y方向に延在する非開口領域は、少なくともデータ線6aを含んで構成されるものである。データ線6aは、導電性および遮光性を有する材料、例えば、Al、Ag、Au、Cuなどの低融点金属や、走査線3aと同様なTiなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。
【0043】
前述したように、走査線3aはデータ線6aとの交差部付近においてY方向に拡張された拡張部を有しており、Y方向に隣り合う画素Pの開口領域は、走査線3aに対して線対称となっている。その一方でデータ線6aに対しては非線対称となっている。
実施例1において非開口領域は、上記交差部付近で開口領域側に拡張されているものの、開口領域の平面的な形状は略正方形である。すなわち、開口領域のX方向とY方向の幅はほぼ等しい。
【0044】
図5および図6を参照して、実施例1の画素Pの構造について詳しく述べる。図5に示すように、素子基板10上には、まず走査線3aが形成される。次に、走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜11aが形成され、第1絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは前述したように多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが選択的に注入されて、前述したソース領域30a1、LDD領域30a2、チャネル領域30a3、LDD領域30a4、ドレイン領域30a5を有するLDD構造が形成される。なお、チャネル領域30a3には不純物イオンが注入されていない。
【0045】
半導体層30aを覆うように第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。さらに第2絶縁膜11bを挟んでチャネル領域30a3に対応する位置にゲート電極部30gが形成される。ゲート電極部30gの形成材料としては上述したデータ線6aの形成材料と同じものを採用できる。
【0046】
ゲート電極部30gと第2絶縁膜11bとを覆うようにして第3絶縁膜11cが形成され、半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に第2絶縁膜11bと第3絶縁膜11cとを貫通する2つの孔が形成される。そして、2つの孔を埋めると共に第3絶縁膜11cを覆うように導電膜(前述したデータ線6aを構成する材料の導電膜)を成膜し、これをパターニングすることによって、ソース領域30a1に繋がるコンタクトホールCNT1およびデータ線6a並びにソース電極31が形成される。同時に島状に中継電極6bをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT2およびドレイン電極32が形成される。
【0047】
データ線6a(ソース電極31)とドレイン電極32と第3絶縁膜11cとを覆うように第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば表面研磨処理(Chamical Mechanical Polishing;CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
【0048】
第1層間絶縁膜12上には、走査線3aやデータ線6aと平面的に重なるようにパターニングされたシールド層35が形成されている。シールド層35は、例えばAlなどの低抵抗配線材料からなり、遮光性を有すると共に侵入する電磁波を遮蔽してTFT30を保護している。なお、図3(a)の平面図では、シールド層35は図示省略されているが、平面的には図4に示した非開口領域内に形成されている。
【0049】
シールド層35と第1層間絶縁膜12とを覆うように第2層間絶縁膜13が形成されている。第2層間絶縁膜13も例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、第1層間絶縁膜12と同様に平坦化処理を施してもよい。
【0050】
第1層間絶縁膜12および第2層間絶縁膜13を貫通する孔がドレイン電極32と重なる位置に形成され、この孔を埋めるようにして遮光性を有する導電膜が成膜される。この導電膜をパターニングして容量電極16bが形成される。
上記遮光性の導電膜としては、例えばAl(アルミニウム)、TiN(窒化チタン)などからなる単層膜あるいはこれらが積層された多層膜を用いることができる。
【0051】
次に、容量電極16bと第2層間絶縁膜13とを覆うように例えばシリコンの酸化物からなる保護膜を成膜する。この保護膜のうち誘電体層16cが形成される領域を除くように保護膜をパターニングする。保護膜を部分的に除去してパターニングする方法としては、例えば成膜された保護膜を部分的にドライエッチングする方法や、予め除去したい容量電極16bの表面をレジストなどによってマスキングした状態で保護膜を成膜した後にレジストを除去するリフトオフ法が挙げられる。これにより、容量電極16bの外縁部分を覆うと共に第2層間絶縁膜13の表面を覆う保護層37が形成される。
【0052】
次に、容量電極16bと第2層間絶縁膜13とを覆うように透光性の誘電体膜が成膜され、誘電体膜のうち容量電極16bのコンタクトホールCNT4と重なる部分を除くようにパターニングして誘電体層16cが形成される。透光性の誘電体膜としては、シリコン窒化膜や、酸化ハウニュウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)などの単層膜、またはこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。容量電極16bと保護層37とを覆うように誘電体層16cをパターニング形成する。
そして、誘電体層16cを覆うように導電膜を成膜し、これを容量電極16bと重なると共に前述した本線部および突出部を有するようにパターニングして容量電極16aを形成する。
容量電極16aと容量電極16bとが共に同じ材料で構成されていたとしても、容量電極16aをパターニングする際には、容量電極16bは保護層37と誘電体層16cとによって完全に覆われているので、容量電極16bがエッチングされてしまうなどの不具合が防止されている。
【0053】
実施例1の画素Pにおける保持容量16は、上述したように形成された、容量電極16bと、誘電体層16cと、容量電極16aとによって構成されている。
【0054】
そして、保持容量16と保護層37とを覆うように例えばシリコンの酸化物や窒化物からなる第3層間絶縁膜14を形成する。もちろん、第3層間絶縁膜14に平坦化処理を施してもよい。第3層間絶縁膜14と保護層37とを貫通する孔を容量電極16bと重なる位置に設け、この孔を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより画素電極15とコンタクトホールCNT4とが形成される。
【0055】
保持容量16において、容量電極16bはコンタクトホールCNT3を介してTFT30のドレイン電極32と電気的に接続すると共に、コンタクトホールCNT4を介して画素電極15と電気的に接続している。前述したように容量電極16aの本線部はデータ線6aの延在方向(Y方向)において複数の画素Pに跨るように形成され、等価回路(図2参照)における容量線3bとして機能している。容量線3bには固定電位が与えられる。固定電位は、例えばGNDまたは対向基板20の共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)である。これにより、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を容量電極16aと容量電極16bとの間において保持することができる。
【0056】
図6に示すように、走査線3aの拡張部において半導体層30a(LDD領域30a4)を挟んだ両側に走査線3aとゲート電極部30gとの電気的な接続を図るコンタクトホール33,34が設けられている。コンタクトホール33,34は、ゲート電極部30gを形成する工程において同時に形成され、コンタクトホール33,34内には遮光性の導電膜をパターニングして形成された側壁部33a,34aが設けられている。
【0057】
コンタクトホール33,34および第2絶縁膜11bとを覆うように第3絶縁膜11cが形成される。次に第3絶縁膜11c上には、データ線6a、第1層間絶縁膜12、シールド層35、第2層間絶縁膜13、保持容量16、第3層間絶縁膜14が順に積層形成される。
第3層間絶縁膜14上に透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより画素電極15が形成される。隣り合う画素電極15は、遮光性の走査線3a、データ線6a、シールド層35、保持容量16を含む非開口領域に相互の外縁部が重なるようにパターニングされている。
【0058】
上記実施例1の画素Pの構成によれば、次のような作用・効果を奏する。
(1)走査線3aとデータ線6aとの交差部において電気特性上で所定の長さが必要とされるチャネル領域30a3が折り曲げられている。したがって、チャネル領域30a3以外のソース・ドレイン領域を折り曲げる場合に比べて、半導体層30aの配置における実質的なY方向の長さを短くすることができる。言い換えれば、画素Pが高精細な状態に配置されたとしても画素Pごとに所望の電気特性を有するTFT30を設けることができる。
【0059】
(2)遮光性の側壁部33a,34aを有するコンタクトホール33,34が画素電極15に接続される側のドレイン領域30a5に沿って両側に設けられている。したがって、ドレイン領域30a5の側面から入射する光を遮ることができる。つまり、非開口領域に迷い込んだ迷光によるTFT30の光リーク電流の発生を効果的に低減できる。
【0060】
(3)チャネル領域30a3はソース領域30a1側の長さL2に比べてドレイン領域30a5側の長さL1が短くなるように折り曲げられている。したがって、ソース領域30a1側のチャネル領域30a3の長さL2を短くする場合に比べて、TFT30の迷光による光リーク電流を考慮した遮光性のコンタクトホール33,34を設ける平面的な範囲を狭くすることができる。言い換えれば、非開口領域を小さくしてより広い開口領域を確保することができる。
【0061】
(実施例2)
図7は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、図8は実施例2の画素の配置を示す概略平面図である。実施例2は、実施例1に対して走査線の形状ならびに走査線とゲート電極部との電気的な接続を図るコンタクトホールの配置を変えたものである。なお、実施例1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
図7に示すように、実施例2の画素PBは、実施例1と同様に走査線3aとデータ線6aとの交差部でチャネル領域30a3がL字状に折れ曲がった半導体層30aを有するTFT30Bを備えている。
【0063】
走査線3aは、X方向およびY方向における隣り合う画素PBにはみ出るように拡張された拡張部を有している。ゲート電極部30gbは、平面的にチャネル領域30a3と重なると共に、当該拡張部と重なるように配置されている。走査線3aとゲート電極部30gbとを電気的に接続するコンタクトホール33,34Bが半導体層30aに沿った両側に設けられている。とリわけ、一方のコンタクトホール34Bは、半導体層30aのうちソース領域30a1側のLDD領域30a2から折れ曲がったチャネル領域30a3に沿うと共に、画素電極15に接続される側のLDD領域30a4、ドレイン領域30a5に沿って配置されている。
【0064】
図8に示すように、実施例2の画素PBは、X方向およびY方向において隣り合う画素PBの開口領域が、走査線3aおよびデータ線6aに対して線対称な構成となっている。言い換えれば、隣り合う画素PBの開口領域が走査線3aおよびデータ線6aに対して線対称となるように、上述した走査線3aおよびゲート電極部30gbの形状ならびにコンタクトホール33,34Bの形状が設定されている。
【0065】
上記実施例2の画素PBの構成によれば、上記実施例1の作用・効果(1)〜(3)に加えて、次のような作用・効果を奏する。
(4)実施例2のコンタクトホール34Bは、実施例1のコタクトホール34に比べて、より広い範囲に亘って半導体層30aの側面を遮光している。したがって、実施例1よりも迷光に対して高い遮光性を有し、迷光に対するTFT30Bの光リーク電流の発生をより低減できる。
【0066】
(5)実施例2における画素PBの開口領域は、X方向およびY方向において線対称となっているので、液晶装置100において視角特性に偏りがある場合に、液晶装置100の配置を変えたとしても、配置を変える前に比べて上記視角特性の偏りが強調され難い。とりわけ後述する投射型表示装置において、複数の液晶装置100を液晶ライトバルブとして色光ごとに配置する場合に効果を奏する。
【0067】
(実施例3)
図9(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)は実施例3の半導体層の構成を示す概略平面図、同図(c)は容量線と中継電極および容量電極の配置を示す概略平面図である。図10は図9(a)のD−D’線で切った画素の構造を示す概略断面図である。実施例3は、実施例1や実施例2に対して、半導体層の一部を保持容量の容量電極として機能させている。つまり、画素の構成が実施例1や実施例2に限らない1例を示すものである。なお、実施例1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図9(a)および(b)に示すように、実施例3の画素PCは、走査線3aとデータ線6aとの交差部でチャネル領域30a3が実施例1や実施例2に対して反対側に折れ曲がった半導体層30aを有するTFT30Cを備えている。
走査線3aおよびデータ線6aはそれぞれ一定の幅で設けられている。
TFT30Cは、折り曲げられたチャネル領域30a3に重なると共に、走査線3aおよびデータ線6aに対して平面的に重なるように上記交差部で折り曲げられたL字状のゲート電極部30gcを有している。ゲート電極部30gcは、走査線3aに沿った部分に設けられたコンタクトホールCNT13によって電気的に走査線3aと接続されている。
【0069】
図9(b)に示すように、半導体層30aは、データ線6aに沿って配置されたソース領域30a1およびLDD領域30a2と、ソース領域30a1側が長くなるように折り曲げられたチャネル領域30a3と、走査線3aに沿って配置されたLDD領域30a4およびドレイン領域30a5と、を有している。また、ドレイン領域30a5に接続されデータ線6aに沿って配置されたソース・ドレイン領域の一部である延出部30a6を有している。ドレイン領域30a5およびその延出部30a6は、保持容量16の一方の容量電極16dとして機能している。
【0070】
ソース領域30a1の端部にはソース電極31(コンタクトホールCNT11)が設けられている。また、ドレイン領域30a5の端部にはドレイン電極32(コンタクトホールCNT12)が設けられている。
【0071】
図9(c)に示すように、容量線3bは平面的にデータ線6aと重なると共に、Y方向における複数の画素PCに跨って延在している。また、容量線3bは走査線3aとデータ線6aの交差部において走査線3a側に突出した突出部3cを有する。突出部3cからX方向において離間した位置に島状の中継電極3dが設けられている。
【0072】
保持容量16の他方の容量電極16eは、容量線3bの突出部3cと、中継電極3dとに跨って設けられると共に、一方の容量電極16dと重なるように設けられている。
【0073】
突出部3cには容量線3bと電気的に接続されたコンタクトホールCNT15が設けられている。
中継電極3dには容量電極16eと電気的に接続されたコンタクトホールCNT14が設けられている。また、ドレイン領域30a5と電気的に接続されたコンタクトホールCNT16と、画素電極15に電気的に接続されたコンタクトホールCNT17とが設けられている。
【0074】
図9(a)に示すように、走査線3aと重なると共に、コンタクトホールCNT14とコンタクトホールCNT15に跨った島状の中継電極6bと、コンタクトホールCNT12とコンタクトホールCNT16とに跨った同じく島状の中継電極6cとが設けられている。
【0075】
他方の容量電極16eにおける走査線3aに沿った部分の端部は、コンタクトホールCNT12とコンタクトホールCNT16との間に位置している。
【0076】
次に、図10を参照して実施例3の画素PCの構造について説明する。図10に示すように、素子基板10上にまず走査線3aがパターニング形成され、走査線3aを覆うように第1絶縁膜11aが形成される。次に第1絶縁膜11a上に多結晶シリコン膜からなる半導体層30aがパターニング形成される。不純物イオンの注入が選択的に行われ、ソース電極31、ソース領域30a1、LDD領域30a2、チャネル領域30a3、LDD領域30a4、ドレイン領域30a5が形成される。また同時に図10では図示省略されたがドレイン領域30a5の延出部30a6(図9(b)参照)が形成される。そして、半導体層30aを覆うように第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。
【0077】
次に、第2絶縁膜11b上にゲート電極部30gcと保持容量16の他方の容量電極16eとがパターニング形成される。また、ゲート電極部30gcをパターニング形成する工程において、ゲート電極部30gcと重なる第1絶縁膜11aおよび第2絶縁膜11bを貫通して走査線3aに至る貫通孔を設け、これを埋めるようにゲート電極部30gcの形成材料を成膜してパターニングすることにより、コンタクトホールCNT13が形成される。
【0078】
次に、ゲート電極部30gcと容量電極16eとを覆うように第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12には、ソース電極31、容量電極16eの一部、ドレイン領域30a5の一部に開口する貫通孔がそれぞれ形成される。これらの貫通孔を埋めると共に第1層間絶縁膜12の表面を覆ってデータ線6aの形成材料が成膜され、これをパターニング形成することにより、データ線6a、中継電極6b、中継電極6c(ドレイン電極32を含む)、コンタクトホールCNT11、コンタクトホールCNT12、コンタクトホールCNT14が形成される。
【0079】
次に、データ線6a、中継電極6b、中継電極6cならびに第1層間絶縁膜12を覆って第2層間絶縁膜13が形成される。第2層間絶縁膜13には、中継電極6b,6cのそれぞれに開口する貫通孔が形成される。これらの貫通孔を埋めると共に第2層間絶縁膜13の表面を覆って容量線3bの形成材料が成膜され、これをパターニング形成することにより、突出部3cを含む容量線3b、中継電極3d、コンタクトホールCNT15、コンタクトホールCNT16が形成される。
【0080】
次に、容量線3b、中継電極3dならびに第2層間絶縁膜13を覆って第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14には、中継電極6cに開口する貫通孔が形成される。この貫通孔を埋めると共に第3層間絶縁膜14の表面を覆ってITOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニング形成することにより、画素電極15およびコンタクトホールCNT17が形成される。
なお、第1層間絶縁膜12、第2層間絶縁膜13、第3層間絶縁膜14は、それぞれの表面が平坦となるようにCMP処理などの平坦化処理を施すのが好ましい。
【0081】
上記実施例3の画素PCの構成によれば、実施例1の上記(1)の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を奏する。
【0082】
(6)半導体層30aにおけるドレイン領域30a5およびその延出部30a6を保持容量16の一方の容量電極16dとして機能させているので、実施例1や実施例2に比べて層構造が簡略化された画素PCを実現できる。
【0083】
(7)走査線3aとデータ線6aの交差部付近において開口領域側にはみ出るのは、保持容量16を構成する容量電極16d,16eのX方向とY方向とに延在した部分を接続させる部分だけであるため、実施例1や実施例2に比べて開口領域を大きくし易い。言い換えれば、高い開口率を実現し易い。
【0084】
(第2実施形態)
<電子機器>
図11は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。図11に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0085】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0086】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0087】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0088】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0089】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0090】
このような投射型表示装置1000によれば、画素が高精細であっても安定した動作品質が得られる液晶装置100を備え、高い表示品位が実現されている。
【0091】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0092】
(変形例1)上記第1実施形態の実施例1〜実施例3における半導体層30aの折り曲げ方は、これに限定されない。例えば、画素P(あるいは画素電極15)の形状においてアスペクト比がほぼ1:1の略正方形でなく、長方形であった場合には、走査線3aとデータ線6aとの交差部において折り曲げられるチャネル領域30a3は、画素Pの長手方向に沿った側が長くなるように折り曲げてもよい。これによれば、画素Pが高精細になっても効率的に半導体層30aを配置できる。
【0093】
(変形例2)上記液晶装置100が適用される電子機器は、投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0094】
3a…走査線、6a…データ線、15…画素電極、30…薄膜トランジスター(TFT)、30a…半導体層、30a1…第2ソース・ドレイン領域としてのソース領域、30a5…第1ソース・ドレイン領域としてのドレイン領域、30a3…チャネル領域、30a2,30a4…LDD領域、30g…ゲート電極部、33,34…走査線とゲート電極部とのコンタクトホール、33a,34a…側壁部、100…電気光学装置としての液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素のスイッチング素子としてトランジスターを備えた電気光学装置、およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、データ線と走査線との交差部においてソース領域およびチャネル領域がデータ線に沿って配置され、ドレイン領域が走査線に沿って折り曲げられた半導体層を有するトランジスターを備えた電気光学装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の電気光学装置によれば、データ線あるいは走査線に沿って半導体層を直線的に配置する場合に比べて、半導体層を途中で折り曲げているので、データ線あるいは走査線に沿った方向のトランジスターの大きさを小さくすることができる。これにより、画素の配置ピッチが小さく高精細となってもトランジスターを備えた電気光学装置を実現できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−78840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電気光学装置における画素数をさらに増やしたいという要求がある。したがって、画素の配置ピッチがさらに細かい状態でも所定の特性を有するトランジスターを画素ごとに配置したいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の電気光学装置は、第1方向に延在する走査線と、前記走査線に交差する第2方向に延在するデータ線と、前記走査線および前記データ線の交差に対応して設けられ、前記走査線と前記データ線とに電気的に接続されたトランジスターと、を備え、前記トランジスターは、前記第1方向に延在する第1ソース・ドレイン領域と、前記第2方向に延在する第2ソース・ドレイン領域と、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域の間に設けられると共に、前記走査線と前記データ線の交差部に平面的に重なるように設けられ、前記第1方向に延在する第1延在部と前記第2方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域と、を有する半導体層と、前記チャネル領域に対向するゲート電極部と、を有するを備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、チャネル領域以外の第1または第2ソース・ドレイン領域を折り曲げる場合に比べて、第1方向(走査線の延在方向)または第2方向(データ線の延在方向)のチャネル領域の寸法を実質的に短くすることができ、画素の配置ピッチが従来に比べてさらに細かい状態となってもトランジスターを画素ごとに配置することができる。すなわち、トランジスターによってスイッチング制御可能で高精細な画素を有する電気光学装置を提供できる。また、従来ならばチャネル領域の長さを一定とすることで所定の電気特性を確保することが当たり前であった、言い換えれば、従来、チャネル領域を折り曲げる発想はなかった。ところが、画素が高精細になればなるほど、半導体層を小型化する必要があり、小型になればチャネル領域を折り曲げることによる電気特性のばらつきも無視することができる。すなわち、高精細な画素におけるより好適な半導体層の配置を実現できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の電気光学装置において、前記トランジスターに対応して設けられた画素電極を有し、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域のうち、一方が前記画素電極に電気的に接続され、他方が前記データ線に電気的に接続され、前記一方のソース・ドレイン領域に沿って平面的に前記半導体層の両側に設けられ、前記走査線と前記ゲート電極部とを電気的に接続させるコンタクトホール内に前記ゲート電極部から延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備え、前記チャネル領域は、前記第1方向における前記第1延在部の長さおよび前記第2方向における前記第2延在部の長さのうち前記一方のソース・ドレイン領域側の長さが前記他方のソース・ドレイン領域側の長さに比べて短いことが好ましい。
この構成によれば、チャネル領域に接続する第1および第2ソース・ドレイン領域のうち、光リーク電流の発生防止に対して有効な画素電極に電気的に接続される側の一方のソース・ドレイン領域側の長さが他方に比べて短くなっている。したがって、平面的に半導体層の両側に設けられた遮光性の側壁部の半導体層に沿った部分の長さを短くできる。ゆえに、側壁部を設けることに伴う遮光領域の面積の拡大を抑えることができ、トランジスターにおける光リーク電流の発生を防止するために側壁部を設けても開口率の低下を抑えることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の電気光学装置において、前記チャネル領域と前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域との間にはそれぞれLDD領域を有し、前記半導体層の両側に設けられた前記側壁部のうち、少なくとも一方が前記チャネル領域と前記LDD領域とに沿って設けられていることが好ましい。
この構成によれば、チャネル領域とLDD領域とに沿って設けられた側壁部によって遮光されているので、トランジスターにおける光リーク電流の発生をより低減できる。
【0011】
[適用例4]上記適用例の電気光学装置において、前記ゲート電極部を含む遮光領域が前記走査線および前記データ線に対して線対称に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、隣り合う画素の開口部分の形状が走査線およびデータ線に対して対称となるので、光学設計上の視覚特性に偏りが生じていてもその影響を受け難い高精細な画素を有する電気光学装置を提供できる。
【0012】
[適用例5]本適用例の電子機器は、上記適用例の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、高精細な画素を有していても所望の電気光学特性が得られ、見栄えのよい表示が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、(b)は薄膜トランジスターの構成を示す概略平面図、(c)は保持容量の構成を示す概略平面図。
【図4】実施例1の画素の配置を示す概略平面図。
【図5】図3(a)のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図6】図3(a)のC−C’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図7】実施例2の画素の構成を示す概略平面図。
【図8】実施例2の画素の配置を示す概略平面図。
【図9】(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、(b)は実施例3の半導体層の構成を示す概略平面図、(c)は容量線と中継電極および容量電極の配置を示す概略平面図。
【図10】図9のD−D’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図11】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0015】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えた電気光学装置としてのアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0017】
<液晶装置>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置について、図1および図2を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0018】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0019】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0020】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0021】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0022】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
【0023】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。
【0024】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0025】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0026】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0027】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を気相成長法を用いて成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0028】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向(第1方向)であり、データ線6aが延在する方向がY方向(第2方向)である。
【0029】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0030】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0031】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。詳しくは、後述するが、保持容量16は、遮光性の第1電極および第2電極との間に誘電体層を有するものであって、上記第2電極が上記容量線3bを構成している。容量線3bは、固定電位に接続されている。固定電位としては例えばGNDや共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)である。
【0032】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0033】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0034】
液晶装置100は、画素Pの数を増やすことにより高精細な表示が可能となるが、その一方で画素Pの平面的な大きさ(サイズ)が小さくなると、画素回路におけるTFT30の大きさや配置にも制限が加えられることになる。発明者らは画素Pが高精細となっても所望のスイッチング特性などの電気特性が得られるTFT30の構成について開発を行った。以降、実施例を挙げて説明する。
【0035】
(実施例1)
図3(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)は薄膜トランジスターの構成を示す概略平面図、同図(c)は保持容量の構成を示す概略平面図である。図4は実施例1の画素の配置を示す概略平面図、図5は図3(a)のB−B’線で切った画素の構造を示す概略断面図、図6は図3(a)のC−C’線で切った画素の構造を示す概略断面図である。
【0036】
図3(a)に示すように、実施例1の画素Pは、走査線3aとデータ線6aの交差に対応してマトリクス状に配置された画素電極15と、走査線3aとデータ線6aの交差部においてL字状に折り曲げられた半導体層30aを有するTFT30とを備えている。
【0037】
図3(a)および(b)に示すように、半導体層30aは、走査線3aと重なると共にX方向に延在する第1ソース・ドレイン領域としてのドレイン領域30a5と、データ線6aと重なると共にY方向に延在する第2ソース・ドレイン領域としてのソース領域30a1と、上記交差部において折り曲げられY方向とX方向とに延在するチャネル領域30a3とを有している。また、ソース領域30a1とチャネル領域30a3との間にはLDD(Lightly Doped Drain)領域30a2を有し、ドレイン領域30a5とチャネル領域30a3との間にはLDD領域30a4を有している。チャネル領域30a3は、X方向に延在する第1延在部とY方向に延在する第2延在部とを含み、第1方向における第1延在部の長さL1がY方向に延在する第2延在部の長さL2よりも短くなっている。なお、第1延在部と第2延在部とは走査線3aとデータ線6aの交差部において平面的に互いに重なり合う部分を有する。
【0038】
本実施例1の半導体層30aは、幅がおよそ0.3μmの多結晶シリコン膜からなるものであり、Y方向におけるチャネル領域30a3の長さつまり上記第2延在部の長さL2はおよそ1.05μm、X方向におけるチャネル領域30a3の長さつまり上記第1延在部の長さL1はおよそ0.75μmである。
LDD領域30a2,30a4の長さはそれぞれおよそ0.5μm〜1.0μmである。
半導体層30aを直線的に配置した場合(折り曲げない場合)、所定の電気特性を確保するためのチャネル領域30a3の長さは設計上およそ1.5μmとなっているが、チャネル領域30a3を折り曲げることによって、チャネル領域30a3のY方向の長さL2を0.45μm短くすることができた。見方を変えれば、折り曲げられたチャネル領域30a3の中心線の長さが設計上の1.5μmとなっている。
ソース領域30a1およびドレイン領域30a5の長さは、適宜設定することが可能であって、ソース領域30a1の長さはデータ線6aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT1との相対的な位置関係によって決められる。同じくドレイン領域30a5の長さは画素電極15や後述する保持容量16との電気的な接続を図るコンタクトホールCNT2との相対的な位置関係によって決められる。
【0039】
TFT30のゲート電極部30gは、折り曲げられたチャネル領域30a3に重なるように設けられると共に、半導体層30aのドレイン領域30a5を挟んだ両側においてX方向に延在する2つの拡張部を有している。
走査線3aはデータ線6aとの交差部付近においてゲート電極部30gと平面的に重なるように同じく拡張部を有しており、相互の拡張部において走査線3aとゲート電極部30gとの電気的な接続を図るコンタクトホール33,34が設けられている。コンタクトホール33,34内には、ゲート電極部30gから延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備えている。該側壁部の構成については後述する。
図3(c)に示すように、画素Pの保持容量16は、Y方向に延在する本線部と、該本線部からX方向に突出し、走査線3aの上記拡張部と重なるように配置された突出部とを含む一方の容量電極16aと、一方の容量電極16aの本線部や突出部と平面的に重なると共に島状に設けられた他方の容量電極16bとを有している。
一方の容量電極16aにおける本線部は、Y方向において複数の画素Pに跨るように配置され、容量線3bの機能を果たしている。
他方の容量電極16bの突出部分は、画素電極15との電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4を平面的に含むようにX方向に延在している。
【0040】
図4に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素Pは、画素Pを光学的に開口させた開口領域と複数の開口領域を取り囲むように略格子状に配置された非開口領域(遮光領域)とを有している。
【0041】
X方向に延在する非開口領域は、少なくとも走査線3aを含んで構成されるものである。走査線3aは、導電性および遮光性を有するものであり、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pdなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。
【0042】
Y方向に延在する非開口領域は、少なくともデータ線6aを含んで構成されるものである。データ線6aは、導電性および遮光性を有する材料、例えば、Al、Ag、Au、Cuなどの低融点金属や、走査線3aと同様なTiなどの高融点金属の単体、これらの高融点金属から選ばれる合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものなどを採用することができる。
【0043】
前述したように、走査線3aはデータ線6aとの交差部付近においてY方向に拡張された拡張部を有しており、Y方向に隣り合う画素Pの開口領域は、走査線3aに対して線対称となっている。その一方でデータ線6aに対しては非線対称となっている。
実施例1において非開口領域は、上記交差部付近で開口領域側に拡張されているものの、開口領域の平面的な形状は略正方形である。すなわち、開口領域のX方向とY方向の幅はほぼ等しい。
【0044】
図5および図6を参照して、実施例1の画素Pの構造について詳しく述べる。図5に示すように、素子基板10上には、まず走査線3aが形成される。次に、走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜11aが形成され、第1絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは前述したように多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが選択的に注入されて、前述したソース領域30a1、LDD領域30a2、チャネル領域30a3、LDD領域30a4、ドレイン領域30a5を有するLDD構造が形成される。なお、チャネル領域30a3には不純物イオンが注入されていない。
【0045】
半導体層30aを覆うように第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。さらに第2絶縁膜11bを挟んでチャネル領域30a3に対応する位置にゲート電極部30gが形成される。ゲート電極部30gの形成材料としては上述したデータ線6aの形成材料と同じものを採用できる。
【0046】
ゲート電極部30gと第2絶縁膜11bとを覆うようにして第3絶縁膜11cが形成され、半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に第2絶縁膜11bと第3絶縁膜11cとを貫通する2つの孔が形成される。そして、2つの孔を埋めると共に第3絶縁膜11cを覆うように導電膜(前述したデータ線6aを構成する材料の導電膜)を成膜し、これをパターニングすることによって、ソース領域30a1に繋がるコンタクトホールCNT1およびデータ線6a並びにソース電極31が形成される。同時に島状に中継電極6bをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT2およびドレイン電極32が形成される。
【0047】
データ線6a(ソース電極31)とドレイン電極32と第3絶縁膜11cとを覆うように第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば表面研磨処理(Chamical Mechanical Polishing;CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
【0048】
第1層間絶縁膜12上には、走査線3aやデータ線6aと平面的に重なるようにパターニングされたシールド層35が形成されている。シールド層35は、例えばAlなどの低抵抗配線材料からなり、遮光性を有すると共に侵入する電磁波を遮蔽してTFT30を保護している。なお、図3(a)の平面図では、シールド層35は図示省略されているが、平面的には図4に示した非開口領域内に形成されている。
【0049】
シールド層35と第1層間絶縁膜12とを覆うように第2層間絶縁膜13が形成されている。第2層間絶縁膜13も例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、第1層間絶縁膜12と同様に平坦化処理を施してもよい。
【0050】
第1層間絶縁膜12および第2層間絶縁膜13を貫通する孔がドレイン電極32と重なる位置に形成され、この孔を埋めるようにして遮光性を有する導電膜が成膜される。この導電膜をパターニングして容量電極16bが形成される。
上記遮光性の導電膜としては、例えばAl(アルミニウム)、TiN(窒化チタン)などからなる単層膜あるいはこれらが積層された多層膜を用いることができる。
【0051】
次に、容量電極16bと第2層間絶縁膜13とを覆うように例えばシリコンの酸化物からなる保護膜を成膜する。この保護膜のうち誘電体層16cが形成される領域を除くように保護膜をパターニングする。保護膜を部分的に除去してパターニングする方法としては、例えば成膜された保護膜を部分的にドライエッチングする方法や、予め除去したい容量電極16bの表面をレジストなどによってマスキングした状態で保護膜を成膜した後にレジストを除去するリフトオフ法が挙げられる。これにより、容量電極16bの外縁部分を覆うと共に第2層間絶縁膜13の表面を覆う保護層37が形成される。
【0052】
次に、容量電極16bと第2層間絶縁膜13とを覆うように透光性の誘電体膜が成膜され、誘電体膜のうち容量電極16bのコンタクトホールCNT4と重なる部分を除くようにパターニングして誘電体層16cが形成される。透光性の誘電体膜としては、シリコン窒化膜や、酸化ハウニュウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)などの単層膜、またはこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。容量電極16bと保護層37とを覆うように誘電体層16cをパターニング形成する。
そして、誘電体層16cを覆うように導電膜を成膜し、これを容量電極16bと重なると共に前述した本線部および突出部を有するようにパターニングして容量電極16aを形成する。
容量電極16aと容量電極16bとが共に同じ材料で構成されていたとしても、容量電極16aをパターニングする際には、容量電極16bは保護層37と誘電体層16cとによって完全に覆われているので、容量電極16bがエッチングされてしまうなどの不具合が防止されている。
【0053】
実施例1の画素Pにおける保持容量16は、上述したように形成された、容量電極16bと、誘電体層16cと、容量電極16aとによって構成されている。
【0054】
そして、保持容量16と保護層37とを覆うように例えばシリコンの酸化物や窒化物からなる第3層間絶縁膜14を形成する。もちろん、第3層間絶縁膜14に平坦化処理を施してもよい。第3層間絶縁膜14と保護層37とを貫通する孔を容量電極16bと重なる位置に設け、この孔を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより画素電極15とコンタクトホールCNT4とが形成される。
【0055】
保持容量16において、容量電極16bはコンタクトホールCNT3を介してTFT30のドレイン電極32と電気的に接続すると共に、コンタクトホールCNT4を介して画素電極15と電気的に接続している。前述したように容量電極16aの本線部はデータ線6aの延在方向(Y方向)において複数の画素Pに跨るように形成され、等価回路(図2参照)における容量線3bとして機能している。容量線3bには固定電位が与えられる。固定電位は、例えばGNDまたは対向基板20の共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)である。これにより、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を容量電極16aと容量電極16bとの間において保持することができる。
【0056】
図6に示すように、走査線3aの拡張部において半導体層30a(LDD領域30a4)を挟んだ両側に走査線3aとゲート電極部30gとの電気的な接続を図るコンタクトホール33,34が設けられている。コンタクトホール33,34は、ゲート電極部30gを形成する工程において同時に形成され、コンタクトホール33,34内には遮光性の導電膜をパターニングして形成された側壁部33a,34aが設けられている。
【0057】
コンタクトホール33,34および第2絶縁膜11bとを覆うように第3絶縁膜11cが形成される。次に第3絶縁膜11c上には、データ線6a、第1層間絶縁膜12、シールド層35、第2層間絶縁膜13、保持容量16、第3層間絶縁膜14が順に積層形成される。
第3層間絶縁膜14上に透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより画素電極15が形成される。隣り合う画素電極15は、遮光性の走査線3a、データ線6a、シールド層35、保持容量16を含む非開口領域に相互の外縁部が重なるようにパターニングされている。
【0058】
上記実施例1の画素Pの構成によれば、次のような作用・効果を奏する。
(1)走査線3aとデータ線6aとの交差部において電気特性上で所定の長さが必要とされるチャネル領域30a3が折り曲げられている。したがって、チャネル領域30a3以外のソース・ドレイン領域を折り曲げる場合に比べて、半導体層30aの配置における実質的なY方向の長さを短くすることができる。言い換えれば、画素Pが高精細な状態に配置されたとしても画素Pごとに所望の電気特性を有するTFT30を設けることができる。
【0059】
(2)遮光性の側壁部33a,34aを有するコンタクトホール33,34が画素電極15に接続される側のドレイン領域30a5に沿って両側に設けられている。したがって、ドレイン領域30a5の側面から入射する光を遮ることができる。つまり、非開口領域に迷い込んだ迷光によるTFT30の光リーク電流の発生を効果的に低減できる。
【0060】
(3)チャネル領域30a3はソース領域30a1側の長さL2に比べてドレイン領域30a5側の長さL1が短くなるように折り曲げられている。したがって、ソース領域30a1側のチャネル領域30a3の長さL2を短くする場合に比べて、TFT30の迷光による光リーク電流を考慮した遮光性のコンタクトホール33,34を設ける平面的な範囲を狭くすることができる。言い換えれば、非開口領域を小さくしてより広い開口領域を確保することができる。
【0061】
(実施例2)
図7は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、図8は実施例2の画素の配置を示す概略平面図である。実施例2は、実施例1に対して走査線の形状ならびに走査線とゲート電極部との電気的な接続を図るコンタクトホールの配置を変えたものである。なお、実施例1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
図7に示すように、実施例2の画素PBは、実施例1と同様に走査線3aとデータ線6aとの交差部でチャネル領域30a3がL字状に折れ曲がった半導体層30aを有するTFT30Bを備えている。
【0063】
走査線3aは、X方向およびY方向における隣り合う画素PBにはみ出るように拡張された拡張部を有している。ゲート電極部30gbは、平面的にチャネル領域30a3と重なると共に、当該拡張部と重なるように配置されている。走査線3aとゲート電極部30gbとを電気的に接続するコンタクトホール33,34Bが半導体層30aに沿った両側に設けられている。とリわけ、一方のコンタクトホール34Bは、半導体層30aのうちソース領域30a1側のLDD領域30a2から折れ曲がったチャネル領域30a3に沿うと共に、画素電極15に接続される側のLDD領域30a4、ドレイン領域30a5に沿って配置されている。
【0064】
図8に示すように、実施例2の画素PBは、X方向およびY方向において隣り合う画素PBの開口領域が、走査線3aおよびデータ線6aに対して線対称な構成となっている。言い換えれば、隣り合う画素PBの開口領域が走査線3aおよびデータ線6aに対して線対称となるように、上述した走査線3aおよびゲート電極部30gbの形状ならびにコンタクトホール33,34Bの形状が設定されている。
【0065】
上記実施例2の画素PBの構成によれば、上記実施例1の作用・効果(1)〜(3)に加えて、次のような作用・効果を奏する。
(4)実施例2のコンタクトホール34Bは、実施例1のコタクトホール34に比べて、より広い範囲に亘って半導体層30aの側面を遮光している。したがって、実施例1よりも迷光に対して高い遮光性を有し、迷光に対するTFT30Bの光リーク電流の発生をより低減できる。
【0066】
(5)実施例2における画素PBの開口領域は、X方向およびY方向において線対称となっているので、液晶装置100において視角特性に偏りがある場合に、液晶装置100の配置を変えたとしても、配置を変える前に比べて上記視角特性の偏りが強調され難い。とりわけ後述する投射型表示装置において、複数の液晶装置100を液晶ライトバルブとして色光ごとに配置する場合に効果を奏する。
【0067】
(実施例3)
図9(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)は実施例3の半導体層の構成を示す概略平面図、同図(c)は容量線と中継電極および容量電極の配置を示す概略平面図である。図10は図9(a)のD−D’線で切った画素の構造を示す概略断面図である。実施例3は、実施例1や実施例2に対して、半導体層の一部を保持容量の容量電極として機能させている。つまり、画素の構成が実施例1や実施例2に限らない1例を示すものである。なお、実施例1と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図9(a)および(b)に示すように、実施例3の画素PCは、走査線3aとデータ線6aとの交差部でチャネル領域30a3が実施例1や実施例2に対して反対側に折れ曲がった半導体層30aを有するTFT30Cを備えている。
走査線3aおよびデータ線6aはそれぞれ一定の幅で設けられている。
TFT30Cは、折り曲げられたチャネル領域30a3に重なると共に、走査線3aおよびデータ線6aに対して平面的に重なるように上記交差部で折り曲げられたL字状のゲート電極部30gcを有している。ゲート電極部30gcは、走査線3aに沿った部分に設けられたコンタクトホールCNT13によって電気的に走査線3aと接続されている。
【0069】
図9(b)に示すように、半導体層30aは、データ線6aに沿って配置されたソース領域30a1およびLDD領域30a2と、ソース領域30a1側が長くなるように折り曲げられたチャネル領域30a3と、走査線3aに沿って配置されたLDD領域30a4およびドレイン領域30a5と、を有している。また、ドレイン領域30a5に接続されデータ線6aに沿って配置されたソース・ドレイン領域の一部である延出部30a6を有している。ドレイン領域30a5およびその延出部30a6は、保持容量16の一方の容量電極16dとして機能している。
【0070】
ソース領域30a1の端部にはソース電極31(コンタクトホールCNT11)が設けられている。また、ドレイン領域30a5の端部にはドレイン電極32(コンタクトホールCNT12)が設けられている。
【0071】
図9(c)に示すように、容量線3bは平面的にデータ線6aと重なると共に、Y方向における複数の画素PCに跨って延在している。また、容量線3bは走査線3aとデータ線6aの交差部において走査線3a側に突出した突出部3cを有する。突出部3cからX方向において離間した位置に島状の中継電極3dが設けられている。
【0072】
保持容量16の他方の容量電極16eは、容量線3bの突出部3cと、中継電極3dとに跨って設けられると共に、一方の容量電極16dと重なるように設けられている。
【0073】
突出部3cには容量線3bと電気的に接続されたコンタクトホールCNT15が設けられている。
中継電極3dには容量電極16eと電気的に接続されたコンタクトホールCNT14が設けられている。また、ドレイン領域30a5と電気的に接続されたコンタクトホールCNT16と、画素電極15に電気的に接続されたコンタクトホールCNT17とが設けられている。
【0074】
図9(a)に示すように、走査線3aと重なると共に、コンタクトホールCNT14とコンタクトホールCNT15に跨った島状の中継電極6bと、コンタクトホールCNT12とコンタクトホールCNT16とに跨った同じく島状の中継電極6cとが設けられている。
【0075】
他方の容量電極16eにおける走査線3aに沿った部分の端部は、コンタクトホールCNT12とコンタクトホールCNT16との間に位置している。
【0076】
次に、図10を参照して実施例3の画素PCの構造について説明する。図10に示すように、素子基板10上にまず走査線3aがパターニング形成され、走査線3aを覆うように第1絶縁膜11aが形成される。次に第1絶縁膜11a上に多結晶シリコン膜からなる半導体層30aがパターニング形成される。不純物イオンの注入が選択的に行われ、ソース電極31、ソース領域30a1、LDD領域30a2、チャネル領域30a3、LDD領域30a4、ドレイン領域30a5が形成される。また同時に図10では図示省略されたがドレイン領域30a5の延出部30a6(図9(b)参照)が形成される。そして、半導体層30aを覆うように第2絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。
【0077】
次に、第2絶縁膜11b上にゲート電極部30gcと保持容量16の他方の容量電極16eとがパターニング形成される。また、ゲート電極部30gcをパターニング形成する工程において、ゲート電極部30gcと重なる第1絶縁膜11aおよび第2絶縁膜11bを貫通して走査線3aに至る貫通孔を設け、これを埋めるようにゲート電極部30gcの形成材料を成膜してパターニングすることにより、コンタクトホールCNT13が形成される。
【0078】
次に、ゲート電極部30gcと容量電極16eとを覆うように第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12には、ソース電極31、容量電極16eの一部、ドレイン領域30a5の一部に開口する貫通孔がそれぞれ形成される。これらの貫通孔を埋めると共に第1層間絶縁膜12の表面を覆ってデータ線6aの形成材料が成膜され、これをパターニング形成することにより、データ線6a、中継電極6b、中継電極6c(ドレイン電極32を含む)、コンタクトホールCNT11、コンタクトホールCNT12、コンタクトホールCNT14が形成される。
【0079】
次に、データ線6a、中継電極6b、中継電極6cならびに第1層間絶縁膜12を覆って第2層間絶縁膜13が形成される。第2層間絶縁膜13には、中継電極6b,6cのそれぞれに開口する貫通孔が形成される。これらの貫通孔を埋めると共に第2層間絶縁膜13の表面を覆って容量線3bの形成材料が成膜され、これをパターニング形成することにより、突出部3cを含む容量線3b、中継電極3d、コンタクトホールCNT15、コンタクトホールCNT16が形成される。
【0080】
次に、容量線3b、中継電極3dならびに第2層間絶縁膜13を覆って第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14には、中継電極6cに開口する貫通孔が形成される。この貫通孔を埋めると共に第3層間絶縁膜14の表面を覆ってITOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニング形成することにより、画素電極15およびコンタクトホールCNT17が形成される。
なお、第1層間絶縁膜12、第2層間絶縁膜13、第3層間絶縁膜14は、それぞれの表面が平坦となるようにCMP処理などの平坦化処理を施すのが好ましい。
【0081】
上記実施例3の画素PCの構成によれば、実施例1の上記(1)の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を奏する。
【0082】
(6)半導体層30aにおけるドレイン領域30a5およびその延出部30a6を保持容量16の一方の容量電極16dとして機能させているので、実施例1や実施例2に比べて層構造が簡略化された画素PCを実現できる。
【0083】
(7)走査線3aとデータ線6aの交差部付近において開口領域側にはみ出るのは、保持容量16を構成する容量電極16d,16eのX方向とY方向とに延在した部分を接続させる部分だけであるため、実施例1や実施例2に比べて開口領域を大きくし易い。言い換えれば、高い開口率を実現し易い。
【0084】
(第2実施形態)
<電子機器>
図11は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。図11に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0085】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0086】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0087】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0088】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0089】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0090】
このような投射型表示装置1000によれば、画素が高精細であっても安定した動作品質が得られる液晶装置100を備え、高い表示品位が実現されている。
【0091】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0092】
(変形例1)上記第1実施形態の実施例1〜実施例3における半導体層30aの折り曲げ方は、これに限定されない。例えば、画素P(あるいは画素電極15)の形状においてアスペクト比がほぼ1:1の略正方形でなく、長方形であった場合には、走査線3aとデータ線6aとの交差部において折り曲げられるチャネル領域30a3は、画素Pの長手方向に沿った側が長くなるように折り曲げてもよい。これによれば、画素Pが高精細になっても効率的に半導体層30aを配置できる。
【0093】
(変形例2)上記液晶装置100が適用される電子機器は、投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0094】
3a…走査線、6a…データ線、15…画素電極、30…薄膜トランジスター(TFT)、30a…半導体層、30a1…第2ソース・ドレイン領域としてのソース領域、30a5…第1ソース・ドレイン領域としてのドレイン領域、30a3…チャネル領域、30a2,30a4…LDD領域、30g…ゲート電極部、33,34…走査線とゲート電極部とのコンタクトホール、33a,34a…側壁部、100…電気光学装置としての液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する走査線と、
前記走査線に交差する第2方向に延在するデータ線と、
前記走査線および前記データ線の交差に対応して設けられ、前記走査線と前記データ線とに電気的に接続されたトランジスターと、を備え、
前記トランジスターは、前記第1方向に延在する第1ソース・ドレイン領域と、前記第2方向に延在する第2ソース・ドレイン領域と、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域の間に設けられると共に、前記走査線と前記データ線の交差部に平面的に重なるように設けられ、前記第1方向に延在する第1延在部と前記第2方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域と、を有する半導体層と、
前記チャネル領域に対向するゲート電極部と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記トランジスターに対応して設けられた画素電極を有し、
前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域のうち、一方が前記画素電極に電気的に接続され、他方が前記データ線に電気的に接続され、
前記一方のソース・ドレイン領域に沿って平面的に前記半導体層の両側に設けられ、前記走査線と前記ゲート電極部とを電気的に接続させるコンタクトホール内に前記ゲート電極部から延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備え、
前記チャネル領域は、前記第1方向における前記第1延在部の長さおよび前記第2方向における前記第2延在部の長さのうち前記一方のソース・ドレイン領域側の長さが前記他方のソース・ドレイン領域側の長さに比べて短いことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記チャネル領域と前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域との間にはそれぞれLDD領域を有し、
前記半導体層の両側に設けられた前記側壁部のうち、少なくとも一方が前記チャネル領域と前記LDD領域とに沿って設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記ゲート電極部を含む遮光領域が前記走査線および前記データ線に対して線対称に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1方向に延在する走査線と、
前記走査線に交差する第2方向に延在するデータ線と、
前記走査線および前記データ線の交差に対応して設けられ、前記走査線と前記データ線とに電気的に接続されたトランジスターと、を備え、
前記トランジスターは、前記第1方向に延在する第1ソース・ドレイン領域と、前記第2方向に延在する第2ソース・ドレイン領域と、前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域の間に設けられると共に、前記走査線と前記データ線の交差部に平面的に重なるように設けられ、前記第1方向に延在する第1延在部と前記第2方向に延在する第2延在部とを含むチャネル領域と、を有する半導体層と、
前記チャネル領域に対向するゲート電極部と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記トランジスターに対応して設けられた画素電極を有し、
前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域のうち、一方が前記画素電極に電気的に接続され、他方が前記データ線に電気的に接続され、
前記一方のソース・ドレイン領域に沿って平面的に前記半導体層の両側に設けられ、前記走査線と前記ゲート電極部とを電気的に接続させるコンタクトホール内に前記ゲート電極部から延在して設けられる遮光性の導電膜を有する側壁部を備え、
前記チャネル領域は、前記第1方向における前記第1延在部の長さおよび前記第2方向における前記第2延在部の長さのうち前記一方のソース・ドレイン領域側の長さが前記他方のソース・ドレイン領域側の長さに比べて短いことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記チャネル領域と前記第1および前記第2ソース・ドレイン領域との間にはそれぞれLDD領域を有し、
前記半導体層の両側に設けられた前記側壁部のうち、少なくとも一方が前記チャネル領域と前記LDD領域とに沿って設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記ゲート電極部を含む遮光領域が前記走査線および前記データ線に対して線対称に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−103385(P2012−103385A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250546(P2010−250546)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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