説明

電気自動車との情報通信システム及び車体診断システム

【課題】車体に取り付けられたセンサから車体状態情報を収集しインターネットを介して電気自動車メーカの車体状態診断システムに接続するシステムを提供する。電気自動車に搭載されたカーオーディオの音楽データ及びカーナビゲーションシステムの地図データを記憶媒体を介さずに取り込む技術を提供する。
【解決手段】電気自動車車体400には、カーオーディオシステム制御装置100、カーナビゲーションシステム制御装置200、ドライブレコーダシステム制御装置300が搭載されている。電気自動車車体400には、家庭用サーバ600と電源制御装置700が設置されている。ケーブル500を介して電気自動車車体400に充電するとともに、同じケーブル500を介して通信も行う。サービスセンタ1200にはサーバ1000、車体の状態を診断する車体状態診断装置1100が設定され、インターネット回線900を介して家庭用サーバ600と通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力線を利用してデータ伝送を行う電力線搬送通信装置を用いて、各家庭に既にある電力線をネットワーク伝送路として利用することで家庭内通信網を構築できることが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−124895号公報。
【0004】
【特許文献2】特開2003−218831号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
定期的な電気自動車の車体検査を行い整備することで、利用者の安全を確保することが可能である。しかしながら、現在行われている車体検査は数年に一度の定期的な検査であり、車体の異変を即時発見することは難しい。本開発の目的は車の各部センサから集めた状態情報を電気自動車の充電時に接続するコンセントを介し、住居のサーバに転送し、インターネットを介してサービスセンタのサーバに転送し車体診断サービスを受けることで短い周期で車の状態を検査できるシステムを提供することにある。
【0006】
記憶装置内蔵型のカーオーディオシステムにおいて、記憶媒体を用いずに音楽情報を記録することで利用者への利便性を高める事が可能である。しかしながら従来の技術は、記憶媒体を車内に持ち込み内蔵記憶装置に音楽情報をコピーするものであり、持ち運び出来る記憶媒体が必要となる。本開発の目的は電気自動車の充電時に接続するコンセントから音楽情報をカーオーディオの内蔵記憶装置に転送することで、記憶媒体を介さないシステムを提供することにある。
【0007】
記憶装置内蔵型のカーナビゲーションシステムを利用することで、利用者への利便性を高める事が可能である。しかしながら、従来の記述は、カーナビゲーションシステムの地図情報を更新する際は内蔵記憶装置を取り外す等の操作が必要であり地図情報を容易に更新できるわけではない。本開発の目的は電気自動車の充電時に接続するコンセントから地図情報をカーナビゲーションシステムの内蔵記憶装置に転送することで、地図情報を容易に更新できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、家庭用コンセントからケーブルを介して充電を行う電気自動車車体と、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して車体状態データ管理を行う家庭用サーバと、インターネット回線を介して前記家庭用サーバに記憶された車体状態データを収集し車体状態の診断を行うサービスセンタ、を有する電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムであって、前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置に車体各部に備えられた各種センサから車体状態データの取得を行うドライブレコーダシステム制御装置を備え、前記ドライブレコーダシステム制御装置は、車載センサ制御部からの車体状態データを前記ケーブルを介して前記家庭用サーバに送信を行うドライブレコーダシステム制御部と、データの記憶を行う記憶部と、車体各部に備えられた各種センサから車体状態データの収集を行う車載センサ制御部と、各種データの測定を行う車載センサを備え、前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介する車体状態データの通信と車体状態データのサービスセンタとの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備え、前記サービスセンタは、インターネット回線を介して家庭用サーバと車体状態データ及び車体状態の診断結果の通信を行うサーバ制御部と、収集した車体状態データから車体状態の診断を行う車体状態診断システム制御部と、前記家庭用サーバから収集した車体状態データ及び車体状態の診断結果の記憶を行う記憶部を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置に音楽データの記憶を行うカーオーディオシステム制御装置を備え、前記カーオーディオシステム制御装置は、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して前記家庭用サーバと音楽データの通信を行い記憶部に記憶し、記憶された音楽データの再生を行うカーオーディオ制御部と、データを記憶する記憶部を備え、前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介して音楽データの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置にカーナビゲーション用地図データの記憶を行うカーナビゲーションシステム制御装置を備え、前記カーナビゲーションシステム制御装置は、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して前記家庭用サーバとカーナビゲーション用地図データの通信を行い記憶部に記憶し、記憶されたカーナビゲーション用地図データを使用してナビゲーションを行うカーナビゲーション制御部と、データを記憶する記憶部を備え、前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介してカーナビゲーション用地図データの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備えるようにしてもよい。
【0011】
また、前記家庭用コンセントから前記ケーブルを介して前記電気自動車に充電する時に、前記ケーブルを介して前記電気自動車車体に備えられた装置と前記家庭用サーバの通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車体状態情報を車の各部センサから集め住宅のサーバで管理し、インターネットを介してメーカのホストコンピュータに転送し診断を受ける機能を有している。これにより常に車の状態を監視することができて、安全性を高める事が可能となる。
【0013】
また、電気自動車の充電時に、音楽データの転送ならびに地図データを転送できる機能を有している。これにより容易な音楽データ、地図データの転送が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施例の電気自動車との通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、400は電気自動車車体、800は住宅、1200は電気自動車メーカのサービスセンタである。100はカーオーディオシステム制御装置、200はカーナビゲーションシステム制御装置、300はドライブレコーダシステム制御装置で電気自動車車体400に搭載されている。500は充電時に家庭用電源と接続し、また情報通信時にサーバとも接続するケーブルである。すなわち、家庭用コンセント(図示していない)からケーブル500を介して電気自動車車体400に充電するとともに、同じケーブル500を介して通信も行う。家庭用サーバ(ホームサーバ)600と電源制御装置700は住宅800に設置されている。900はインターネット回線で、1000はサービスセンタに設置されたサーバであり、1100は車体の状態を診断する車体状態診断装置であり、これらは電気自動車メーカのサービスセンタ1200に設置されている。本実施例では、1200は電気自動車メーカのサービスセンタであるが、他の事業者のサービスセンタでもよい。
【0017】
図2は、図1に示すカーオーディオシステム制御装置100の概略構成を示すブロック図である。音楽データは、音楽データ配信サイト(図示していない)からインターネットを介して家庭用サーバ600に送信される。家庭用サーバ600が受信した音楽データは例えば充電時にケーブル500を介して家庭用サーバ600から電気自動車車体400に搭載されたカーオーディオシステム制御装置100に送信される。カーオーディオシステム制御装置100は、ケーブル500に接続された接続部110から音楽データ情報を受信しカーオーディオシステム制御部120を介して記憶部121に記憶する。記憶された音楽データはパワーアンプ130を通してスピーカ131から出力される。
【0018】
図3は、カーナビゲーションシステム制御装置200の概略構成を示すブロック図である。カーナビゲーション用地図データは、カーナビゲーション用地図データ配信サイト(図示していない)から家庭用サーバ600に配信される。家庭用サーバ600が受信したカーナビゲーション用地図データは例えば充電時にケーブル500を介して家庭用サーバ600から電気自動車車体400に搭載されたカーナビゲーションシステム制御装置200に送信される。カーナビゲーションシステム制御装置は200は、ケーブル500に接続された接続部210からカーナビゲーション用地図データ情報を受信しカーナビゲーションシステム制御部220を介して記憶部221に記憶する。
【0019】
図4は、ドライブレコーダシステム制御装置300の概略構成を示すブロック図である。ドライブレコーダシステム制御装置300は、車載センサ制御部330に接続された車載センサ331〜399から各種車体情報データを、ドライブレコーダシステム制御部320を介して受信し記憶部321に記憶する。例えば充電時に、記憶された車体情報データを接続部310に接続された通信用ケーブル500から送信する。
【0020】
図5は住宅800に設置されている家庭用サーバ600と電源制御装置700の概略構成を示すブロック図である。電源制御部710は接続部610に家庭用コンセント(図示していない)を介して接続されたケーブル500で電気自動車車体に送電する。サーバ制御部620はケーブル500と接続部610を介して車体から車体状態情報を受信し記憶部621に記憶する。記憶部621に記憶された車体状態情報は接続部630を介してインターネット回線900と接続する。
【0021】
図6は電気自動車メーカのサービスセンタ1200に設置されたサーバ1000と車体状態診断装置1100の概略構成を示すブロック図である。サーバ制御部1020はインターネット回線900に接続された接続部1010を介して車体状態情報を受信し、記憶部1021に記憶する。車体状態診断システム制御部1110は記憶部1021に記憶されている車体状態情報を解析し診断結果を記憶部1111に記憶する。記憶された診断結果はインターネット回線900に接続された接続部1010を介して住居のサーバに送信される。
【0022】
以上のようにして、家庭用コンセントに接続して充電を行う電気自動車の車体センサからの車体状態情報、カーオーディオシステムの音楽情報、カーナビゲーションの地図情報を充電用のケーブルを介して通信することができる。
【0023】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例の電気自動車との通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例のカーオーディオシステム制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例のカーナビゲーションシステム制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例のドライブレコーダシステム制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例の家庭用サーバと電源制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例のサービスセンタに設置されたサーバと車体状態診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
100 カーオーディオシステム制御装置
110 接続部
120 カーオーディオシステム制御部
121 記憶部
130 パワーアンプ
131 スピーカ
200 カーナビゲーションシステム制御装置
210 接続部
220 カーナビゲーションシステム制御部
221 記憶部
300 ドライブレコーダシステム制御装置
310 接続部
320 ドライブレコーダシステム制御部
321 記憶部
330 車載センサ制御部
331〜399 車載センサ
400 電気自動車車体
500 送電・通信ケーブル
600 家庭用サーバ
610 接続部
620 サーバ制御部
621 記憶部
630 接続部
700 電源制御装置
710 電源制御部
800 住宅
900 インターネット回線
1000 サービスセンタに設置されたサーバ
1010 接続部
1020 サーバ制御部
1021 記憶部
1100 車体状態診断装置
1110 車体状態診断システム制御部
1111 記憶部
1200 電気自動車メーカのサービスセンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用コンセントからケーブルを介して充電を行う電気自動車車体と、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して車体状態データ管理を行う家庭用サーバと、インターネット回線を介して前記家庭用サーバに記憶された車体状態データを収集し車体状態の診断を行うサービスセンタ、を有する電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムであって、
前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置に車体各部に備えられた各種センサから車体状態データの取得を行うドライブレコーダシステム制御装置を備え、
前記ドライブレコーダシステム制御装置は、車載センサ制御部からの車体状態データを前記ケーブルを介して前記家庭用サーバに送信を行うドライブレコーダシステム制御部と、データの記憶を行う記憶部と、車体各部に備えられた各種センサから車体状態データの収集を行う車載センサ制御部と、各種データの測定を行う車載センサを備え、
前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介する車体状態データの通信と車体状態データのサービスセンタとの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備え、
前記サービスセンタは、インターネット回線を介して家庭用サーバと車体状態データ及び車体状態の診断結果の通信を行うサーバ制御部と、収集した車体状態データから車体状態の診断を行う車体状態診断システム制御部と、前記家庭用サーバから収集した車体状態データ及び車体状態の診断結果の記憶を行う記憶部を備える、
ことを特徴とする電気自動車との情報通信システム及び車体診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムであって、
前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置に音楽データの記憶を行うカーオーディオシステム制御装置を備え、
前記カーオーディオシステム制御装置は、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して前記家庭用サーバと音楽データの通信を行い記憶部に記憶し、記憶された音楽データの再生を行うカーオーディオ制御部と、データを記憶する記憶部を備え、
前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介して音楽データの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備える、
ことを特徴とする電気自動車との情報通信システム及び車体診断システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムであって、
前記電気自動車車体は、内蔵記憶装置にカーナビゲーション用地図データの記憶を行うカーナビゲーションシステム制御装置を備え、
前記カーナビゲーションシステム制御装置は、前記家庭用コンセントに接続された前記ケーブルを介して前記家庭用サーバとカーナビゲーション用地図データの通信を行い記憶部に記憶し、記憶されたカーナビゲーション用地図データを使用してナビゲーションを行うカーナビゲーション制御部と、データを記憶する記憶部を備え、
前記家庭用サーバは、前記電気自動車車体に接続した前記ケーブルを介してカーナビゲーション用地図データの通信を行うサーバ制御部と、データの記憶を行う記憶部を備える、
ことを特徴とする電気自動車との情報通信システム及び車体診断システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいづれか1項に記載の電気自動車との情報通信システム及び車体診断システムであって、
前記家庭用コンセントから前記ケーブルを介して前記電気自動車に充電する時に、前記ケーブルを介して前記電気自動車車体に備えられた装置と前記家庭用サーバの通信を行うことを特徴とする電気自動車との情報通信システム及び車体診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−136521(P2010−136521A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309575(P2008−309575)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】