説明

非接触式のジョイント量測定装置

【課題】連続シートに傷を付けることなく、2枚のシート片が重なり合うジョイント部の長さ寸法を高速でかつ正確に測定する非接触式のジョイント量測定装置を提供する。
【解決手段】シート片の端部同士を順次重ね合わせた連続シートにおけるジョイント部の長さ寸法を測定する非接触式のジョイント量測定装置であって、搬送される連続シートに接触して従動されるフリーローラに接続されたロータリーエンコーダと、連続シートに対して垂直方向をなす同一光軸上に、連続シートと非接触に挟んで設けられる一対の光学式変位センサと、一対の光学式変位センサにより連続シートの厚みを検出して、シート片2枚分の厚みが検出される期間におけるロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントしてジョイント量を算出する演算制御手段とを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式のジョイント量測定装置に関するもので、詳しくは、シート片の端部同士を順次重ね合わせた連続シートにおいて、前記2枚のシート片が重なり合うジョイント部の長さ寸法を非接触で正確に測定することができるものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、タイヤを構成するシート素材は、成形されたシート片の端部同士を順次重ね合わせた連続シートとし、該連続シートをコイル等として保管している。
具体的には、タイヤの構成部材であるカーカスやベルト層などには、有機繊維コードやスチールコード等のタイヤコードが配列されたタイヤ用プライが用いられている。
前記タイヤ用プライ1は、図6(A)に示されるような、幅方向に引き揃えられたタイヤコード2をトッピングゴム3で被覆した長尺なゴム引きシート4を用い、該ゴム引きシート4を所定の角度θ、寸法dで裁断して複数のシート片4aを形成すると共に、これら複数のシート片4aの端部(非裁断部)同士を順次重ね合わせて接合していくことにより、図6(B)に示されるような連続シートとしたものである。形成されたタイヤ用プライ1はコイル巻きされ、生タイヤ形成の際にタイヤサイズに応じて引き出して使用される。
【0003】
連続シートであるタイヤ用プライ1において、2枚のシート片4aが重なり合うジョイント部5の長さ寸法Lは所定の寸法とすることが重要である。ジョイント部5の長さ寸法Lが小さすぎると、接合強度が不十分となり接合部に開口を発生させるおそれがある一方、ジョイント部5の長さ寸法Lが大きすぎると、タイヤコード同士が厚み方向に重なってタイヤのユニフォーミティを低下させる場合もあり、いずれにしてもタイヤの信頼性を損ねてしまうおそれがあるためである。
本出願人は、例えば、特開平8−127083号公報(特許文献1)において、タイヤコードの重なりを招くことなく、かつ必要な強度を有してシート片を確実に接続することができるジョイント部の寸法範囲を規定している。
【0004】
したがって、連続シートであるタイヤ用プライ1が形成された場合には、2枚のシート片4aが重なり合うジョイント部5の長さ寸法Lを検出し、検出された長さ寸法Lが予め設定された寸法の許容交差内にあるかどうか合否判定する工程が必要である。
【0005】
この種の長さ寸法を測定する手段として、従来、図7に示されるように、搬送される連続シート1に接触して従動するフリーローラ6と、該フリーローラ6に接続されたロータリーエンコーダ7を設けると共に、接触式変位センサ8の接触部8aを連続シート1に当接させた測定装置が用いられている。
前記測定装置では、連続シート1の厚みがシート片1枚分から2枚分に変化したときの変位および連続シート1の厚みがシート片2枚分から1枚分に戻ったときの変位を前記接触部8aが検出し、その期間にロータリーエンコーダ7から出力されるパルス数からジョイント部5の長さ寸法Lを決定し、ジョイント部5の合否判断をしている。
【0006】
しかし、接触式変位センサ8の接触部8aを連続シート1に当接させると、接触部8aが連続シート1に傷を付けたり、シート片4aの端部同士のジョイントを分離させてしまったりするという問題がある。
また、連続シート1の搬送速度は、通常、20m/分程度であるが、接触式変位センサ8によるジョイント部5の検出時には、搬送速度を落とさなければ接触部8aが跳ねてしまい正確にジョイント部5の長さ寸法Lを検出することができない。したがって、接触式変位センサ8によるジョイント部5の検出時には搬送速度を2〜6m/分程度にまで落とす必要があり、ジョイント部5の長さ寸法Lの検出およびその合否判断に時間と手間がかかると共に、ジョイント部5が接触部8aに接近したことを検出するための設備も必要になるという問題がある。
【0007】
また、接触部8aの形状によってもジョイント部5の検出幅が異なると共に、接触部8aの当接する連続シート1の姿勢や位置、連続シート1表面の凹凸状態などによってもジョイント部5の検出幅が異なったり、ジョイント部でない部分をジョイント部と誤って検出されたりするという問題もある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−127083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、連続シートに非接触として傷を付けることなく、2枚のシート片が重なり合うジョイント部の長さ寸法を高速且つ正確に測定することが可能な非接触式のジョイント量測定装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、シート片の端部同士を順次重ね合わせて連続させた連続シートにおいて、前記2枚のシート片が重なり合うジョイント部の長さ寸法を測定する非接触式のジョイント量測定装置であって、
搬送される前記連続シートに接触して従動されるフリーローラに接続されたロータリーエンコーダと、
搬送される前記連続シートに対して垂直方向をなす同一光軸上に、前記連続シートと非接触状態で、該連続シートを挟んで設けられる一対の光学式変位センサと、
前記一対の光学式変位センサにより前記搬送される連続シートの厚みを検出して、前記シート片2枚分の厚みが検出される期間における前記ロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントして前記ジョイント部の長さ寸法を算出する演算制御手段と、
を設けていることを特徴とする非接触式のジョイント量測定装置を提供している。
【0011】
前記のように、一対の光学式変位センサの照射光の光軸を一致させると共に、該光軸が搬送される連続シートに垂直方向をなすように、一対の光学式変位センサを連続シートを挟んで設ける構成としている。よって、前記一対の各光学式変位センサから、該光学式変位センサ間をこれらセンサと非接触で通過していく連続シートの表裏各面までの距離を検出でき、これらの値から前記連続シートの厚みを逐次検出していくことができる。したがって、前記連続シートの厚みとして、シート片2枚分の厚みが検出されているときをジョイント部と判断することができるため、連続シートの位置や姿勢、表面の凹凸状態などに左右されることなく、正確にジョイント部を検出することができる。
【0012】
また、本発明のジョイント量測定装置は非接触式であるので、従来の接触式変位センサを用いた場合のように、連続シートを傷つけることもなく、搬送速度を落とす必要もないため、高速でジョイント量を測定していくことが可能である。
【0013】
具体的には、一対の光学式変位センサとロータリーエンコーダとに接続している前記演算制御手段は、制御部とシーケンサと判定部を備え、前記一対の光学式変位センサは制御部に検出信号を出力し、これら検出信号から得られるシート厚さが、該制御部に予め記録している2枚分の厚さに相当するとシーケンサにON信号を出力する一方、一枚分の厚さに達するとOFF信号を出力している。
前記シート片2枚分の厚みが検出される期間、即ち、前記制御部がON信号を出力している期間、前記シーケンサはロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントして前記ジョイント部の長さ寸法(以下、ジョイント量という。)を演算し、該演算したジョイント量を判定部に出力し、該判定部に予め記録させているジョイント量と比較し、合否判定を行うようにしている。
【0014】
前記のように、演算制御手段を用いると、2枚のシートがジョイントされている部分の搬送長さ(ジョイント量)を、ロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントし、そのカウント数に定数(1パルスあたりの距離)を乗じる演算を行うだけで、前記ジョイント量を正確かつ簡単に取得することができる。
【0015】
ジョイント量の合否判定を行う前記判定部には、ジョイント量の許容交差の上限値と下限値を記録しておき、ジョイント量が上限値と下限値の範囲内であれば合格、上限値を超えていれば上限不良、下限値に達していなければ下限不良の不合格の判定を行うようにしている。
さらに、前記判定部では、各シート片の搬送方向の長さ+αに相当するパルス数を予め設定しておき、設定した前記パルス数をカウントしても前記制御部からのON信号が入ってこなければ、シート片同士がつき合わせた状態(バッドジョイント)であると判断して、バッドジョイントの不合格として判定できるようにしている。
【0016】
前記演算制御手段の判定部に接続し、前記ジョイント部が前記不合格である場合には不合格表示を行う合否判定表示手段を備えていることが好ましい。
該表示手段は、不合格時に点灯する表示灯でもよいし、合格・不合格を文字表示する表示手段でもよい。
【0017】
前記一対の光学的変位センサはレーザー光を用いていることが好ましい。レーザー式変位センサは、レーザー光を測定対象物に照射し、該測定対象物からの反射光を受光することにより、前記レーザー式変位センサから測定対象物(反射面)までの距離を測定するものであり、レーザー光はスポットが小さいため分解能が高く、高精度の距離検出が可能となる。よって、測定対象物である連続シートの厚み、ひいては、ジョイント量の測定精度も高めることができる。
【0018】
本発明の非接触式のジョイント量測定装置は、特に、タイヤ用のゴムシートからなる連続シートの端部同士を順次重ね合わせ部のジョイント量の測定に好適に用いられる。
該ジョイント量測定装置を用いて、前記タイヤ用のゴムシート片の端部同士を重ね合わせたタイヤ用プライのジョイント量の測定ならびに合否判定を行うことにより、ユニフォーミティに優れ、かつ十分な強度を有した信頼性の高いタイヤを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
前述したように、本発明によれば、一対の光学式変位センサの照射光の光軸を一致させると共に、該光軸が搬送される連続シートに垂直方向をなすと共に、これら一対の光学式変位センサを連続シートと所要間隔隔て隔てて、連続シートを挟んで配置しているため、前記一対の各光学式変位センサから、該光学式変位センサ間を通過していく連続シートの表裏各面までの距離を検出でき、これらの値から前記連続シートの厚みを逐次検出していくことができる。したがって、前記連続シートの厚みとして、シート片2枚分の厚みが検出されているときをジョイント部と判断することができるため、連続シートの位置や姿勢、表面の凹凸状態などに左右されることなく、正確にジョイント部を検出することができる。
【0020】
また、前記のように、シート片2枚分の厚みが検出される期間におけるロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントしてジョイント量を算出する演算制御手段を設けているので、パルス信号のカウント数に定数(1パルスあたりの距離)を乗じる演算だけで容易かつ正確にジョイント量を算出することができる。
さらに、前記のように、本発明のジョイント量測定装置は非接触式であるので、連続シートを傷つけることもなく、また、搬送速度を落とす必要もないため、高速でジョイント量を測定していくことが可能となる。
【0021】
また、前記のように、一対の光学的変位センサがレーザー光を用いることにより、高精度の距離検出が可能となる。よって、測定対象物である連続シートの厚み、ひいては、ジョイント量の測定精度も高めることができる。
【0022】
さらに、前記のように、演算制御手段で算出したジョイント量が、予め設定した所定の範囲内にあるか否かを判定して、前記ジョイント量が前記範囲外である場合には不合格表示を行う合否判定表示手段を備えることにより、ジョイント量の合否判定が自動的になされると共に、不合格の場合には作業者はその表示に基づいて簡単に不良部分の手直しを行うことができる。
【0023】
また、前記のように、前記シート片をタイヤ用のゴムシート片とし、本発明の非接触式のジョイント量測定装置を用いて、前記タイヤ用のゴムシート片の端部同士を重ね合わせたタイヤ用プライのジョイント量の測定ならびに合否判定を行うことにより、ユニフォーミティに優れ、かつ十分な強度を有した信頼性の高いタイヤを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る非接触式のジョイント量測定装置の測定対象となるゴムシートからなる連続シート10を示す。
【0025】
本実施形態の前記連続シート10は、幅方向に等しいピッチで平行に引き揃えられたタイヤコード11をトッピングゴム12で被覆したタイヤ用プライからなるものである。
該連続シート10は、図2に示すように成形されたシート13を、長さ方向に所定間隔dをあけて、タイヤコード11と直交方向に切断し、切断したシート片13aの非切断辺13xを互いに重ね合わせて接合(ジョイント)して、連続シート10としている。
【0026】
連続シート10は、2枚のゴムシート片13aが重なり合うジョイント部14を有し、図3に示される本実施形態に係る非接触式のジョイント量測定装置により、前記ジョイント部14の長さ寸法L(以下、ジョイント量Lという。)を測定し、測定されたジョイント量Lが許容交差内にあるか否かの合否判定を行っている。
【0027】
図3に示すように、連続シート10の搬送経路に、駆動ローラである巻取りローラ15と、従動ローラであるフリーローラ16を設置している。巻取りローラ15は、連続シートである連続シート10を矢印Aの方向に搬送しながら巻き取る一方、フリーローラ16は搬送される連続シート10の下面に接触させて、連続シート10の搬送に連動して従動させている。
また、フリーローラ16の回転軸にはロータリーエンコーダ17を接続しており、ロータリーエンコーダ17は、フリーローラ16の回転に伴ってパルス信号を出力している。
【0028】
また、搬送される連続シート10を挟む上下位置に、一対のレーザー式変位センサ18A、18Bを、連続シート10から所要間隔をあけて非接触で設置している。これら一対のレーザー式変位センサ18A、18Bは、ヘッドの光軸をP1、P2一致させると共に、該光軸P1、P2が搬送される連続シート10に垂直方向をなすような配置としている。
前記レーザー式変位センサ18A、18Bと連続シート10との離間寸法は、これらレーザー式変位センサの測定範囲の寸法としている。本実施形態では前記レーザー式変位センサ18A、18B測定範囲は85±20mmであるため、連続シート10と各センサとの離間寸法は85mm以内としている。
【0029】
前記一対のレーザー式変位センサ18A、18Bと、前記ロータリーエンコーダ17とは演算制御手段20の制御部となるコントローラ21とシーケンサ22を介して接続し、シーケンサ22は判定部23と接続している。
【0030】
前記コントローラ21は、各レーザー式変位センサ18A、18Bで検出される連続シート10の表面および裏面まで距離を検出信号として受信し、受信した検出信号から搬送される連続シート10の厚みを取得し、取得した連続シート10の厚みがゴムシート片2枚分の厚みとなった時に、接続したシーケンサ19にON信号を出力し、2枚分の厚さに達しない場合にはOFF信号を出力する設定としている。前記ゴムシート片2枚分程度の厚みは予めコントローラ21に記録している。
【0031】
なお、本実施形態においては、一対のレーザー式変位センサ18A、18Bを、連続シート10の幅方向(搬送方向に対して直角方向)に3セット並設しており、連続シート10の幅方向における両端部分と中央部分の3箇所のジョイント部14のジョイント量Lを測定している。
【0032】
前記コントローラ21に接続したシーケンサ22はロータリーエンコーダ17と接続し、シーケンサ22はコントローラ21よりON信号が出力されている期間中に、ロータリーエンコーダ17が出力するパルス信号をカウントし、下記式に従ってジョイント量Lを算出している。なお、ロータリーエンコーダ17のパルス数、フリーローラ16の周長はシーケンサ22にあらかじめ記録されている。
【0033】
ジョイント量L=(ON信号出力期間中のパルス信号のカウント数)×(1パルスあたりの距離)
(1パルスあたりの距離=フリーローラの周長/ロータリーエンコーダパルス数)
【0034】
また、シーケンサ22は、算出されたジョイント量Lを接続した判定部23に出力し、該判定部23に予め記録しているジョイント量の許容交差の下限値(本実施形態においては3mm)および上限値(本実施形態においては6mm)の範囲内にあるか否かの合否判定を行っている。
【0035】
前記判定部23には、表示灯24を備えた表示パネル25を接続しており、表示パネル25には、算出されたジョイント量Lの値と共に、合否判定の結果も表示されるようにし、不合格の判定が出た場合には表示灯24も点灯して、作業者に明確に認知させるようにしている。
【0036】
以下、本実施形態に係るジョイント量測定装置を用いて、図4に示される連続シート10のジョイント量Lの測定および合否判定を行う手順について具体的に説明する。
図4には、連続シート10のうち、6枚のタイヤ用ゴムシート片13a−1〜13a−6を接合して5つのジョイント部14−1〜14−5を形成している部分を示している。この連続シート10をコイルに巻き取る工程で、13a−1〜13a−6の順に、上下に設置された一対のレーザー式変位センサヘッド18A、18B間を通過する。
【0037】
通過の際に、一対のレーザー式変位センサ18A、18Bで、連続シート10の表面(上面)までの距離と、裏面(下面)までの検出し、検出値をコントローラ21に送信し、コントローラ21で、各センサから連続シート10の厚みを逐次検出する。
ジョイント部14−1〜14−4が通過しているときには、連続シート10の厚みとしてシート片2枚分の厚みが検出されるので、図5(A)に示されるように、コントローラ21からON信号が出力され、その他の部位が通過しているときには1枚分の厚さしか検出されないためOFF信号が出力される。なお、ジョイント部14−5は、つき合わせ状態(バッドジョイント)であるので、ON信号は出力されない。
一方、ロータリーエンコーダ17からは、従動するフリーローラ16の回転に伴って、図5(B)に示されるようなパルス信号が常時出力されている。
【0038】
シーケンサ22は、コントローラ21からON信号が出力されている期間における、ロータリーエンコーダ17から出力されるパルス数をカウントし、前記数式1に基づいて各ジョイント部14−1〜14−4のジョイント量Lを算出し、取得したジョイント量Lを判定部23に出力する。
【0039】
判定部23では、ジョイント量Lが、記録している許容交差寸法の下限値(3mm)≦L≦上限値(6mm)を満たしているジョイント部14−1と14−4は規格範囲内で合格であると判定し、図5(C)に示すOK信号を、表示パネル25に出力し、表示パネル25では「合格」の文字表示を行っている。
検出したジョイント量Lが、L>上限値(6mm)であるジョイント部14−2は上限不良であるので、図5(D)に示す上限不良のNG信号を表示パネル25に出力し、表示パネル25では「上限不良」の文字表示している。
また、L<下限値(3mm)であるジョイント部14−3は下限不良であるので、図5(E)に示すような、下限不良のNG信号を表示パネル25に出力し、表示パネル25で「下限不良」の文字表示をしている。
【0040】
また、「各シート片の搬送方向の長さ+α」に相当するパルス数を閾値として判定部23に記録しており、この設定パルスを超えても、コントローラからのON信号の出力がなければバッドジョイントであるとの判定を行うようにしている。
よって、ジョイント部14−5については、前記設定パルスを超えてもON信号が出力されないのでバッドジョイントであると判定し、図5(F)に示されるような、バッドジョイントのNG信号を出力している。
【0041】
また、ゴムシート片同士の合布によるしわや、ピアッシング穴近辺の連続シート10表面の凹凸状態により、コントローラからON信号が出力される場合があるが、この場合のON信号のパルスは極端に短いため、この場合は下限不良として一時停止させずに測定を続行させるようにすることもできる。このような場合、無視するパルス数を判定部23に予め記録しておいてもよい。
【0042】
前記したように、本発明の非接触式のジョイント量測定装置では、一対の光学式変位センサヘッド18A、18Bの照射光の光軸を一致させると共に、該光軸が搬送させる連続シート10に垂直方向をなすように、一対の光学式変位センサ18Aと18Bとで連続シート10を非接触で挟んだ構成としているため、連続シート10の厚みを逐次検出していくことができる。したがって、連続シート10の厚みとして、シート片2枚分の厚みが検出されているときをジョイント部14と判断することができ、連続シート10の位置や姿勢、表面の凹凸状態などに左右されることなく、正確にジョイント部14を検出することができる。
【0043】
また、前記のように、シート片2枚分の厚みが検出される期間、すなわちON信号がコントローラ16から出力される期間における、ロータリーエンコーダ17から出力されるパルス信号をカウントしてジョイント量Lを算出しているため、パルス信号のカウント数に定数(1パルスあたりの距離)を乗じる演算だけで容易かつ正確にジョイント量Lを算出することができる。
さらに、本実施形態のジョイント量測定装置は非接触式であるので、連続シート10を傷つけることもなく、また、搬送速度を落とす必要もないため、高速でジョイント量Lを測定していくことが可能となる。
【0044】
また、前記のように、一対の光学的変位センサヘッド18A、18Bはレーザー光を用いるので、高精度の距離検出が可能となる。よって、連続シート10の厚み、ひいては、ジョイント量Lの測定精度も高めることができる。
【0045】
さらに、前記のように、シーケンサ22で取得したジョイント量Lが、予め設定した許容交差寸法内(下限値≦L≦上限値)にあるか否かを判定して、ジョイント量Lが前記範囲外である場合には下限不良や上限不良といった不合格表示を行う判定部23および表示パネル25を備えることにより、ジョイント量の合否判定が自動的になされると共に、不合格の場合には作業者はその表示に基づいて簡単に不良部分の手直しを行うことができる。
【0046】
また、前記のように、本発明の非接触式のジョイント量測定装置を用いて、タイヤ用のゴムシート片の端部同士を重ね合わせた連続シートのジョイント量の測定ならびに合否判定を行うことにより、ユニフォーミティに優れ、かつ十分な強度を有した信頼性の高いタイヤを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
前記実施形態に記載のようにタイヤ構成用の連続シートのジョイント量測定装置として、本発明は好適に用いられるものであるが、タイヤ構成用の連続シートに限定されず、シートを重ね合わせて連続シートとしている場合には、この重ね合わせたジョイント部のジョイント量を測定する装置として、本発明の測定装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の測定対象である連続シートを示す平面図である。
【図2】連続シートを形成するタイヤ用シート片に裁断する前のゴム引きシートの平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る非接触式のジョイント量測定装置を示す構成図である。
【図4】本発明の実施形態の測定対象である連続シートを示す平面図である。
【図5】演算制御手段の各部で発生する信号を示す図面である。
【図6】従来例を示す図面である。
【図7】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0049】
10 連続シート
11 タイヤコード
12 トッピングゴム
13a ゴムシート片
14、14−1、14−2、14−3、14−4、14−5 ジョイント部
15 巻き取りローラ
16 フリーローラ
17 ロータリーエンコーダ
18A、18B レーザー式変位センサヘッド
20 演算制御手段
21 コントローラ
22 シーケンサ
23 判定部
24 表示灯
25 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート片の端部同士を順次重ね合わせて連続させた連続シートにおいて、前記2枚のシート片が重なり合うジョイント部の長さ寸法を測定する非接触式のジョイント量測定装置であって、
搬送される前記連続シートに接触して従動されるフリーローラに接続されたロータリーエンコーダと、
搬送される前記連続シートに対して垂直方向をなす同一光軸上に、前記連続シートと非接触状態で、該連続シートを挟んで設けられる一対の光学式変位センサと、
前記一対の光学式変位センサにより前記搬送される連続シートの厚みを検出して、前記シート片2枚分の厚みが検出される期間における前記ロータリーエンコーダから出力されるパルス信号をカウントして前記ジョイント部の長さ寸法を算出する演算制御手段と、
を設けていることを特徴とする非接触式のジョイント量測定装置。
【請求項2】
前記一対の光学的変位センサがレーザー光を用いている請求項1に記載の非接触式のジョイント量測定装置。
【請求項3】
前記演算制御手段で算出したジョイント量が、予め設定した所定の範囲内にあるか否かを判定して、前記ジョイント部が前記範囲外である場合には不合格表示を行う合否判定表示手段を備えている請求項1または請求項2に記載の非接触式のジョイント量測定装置。
【請求項4】
前記連続シートがタイヤ用のゴムシートである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の非接触式のジョイント量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−315901(P2007−315901A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145447(P2006−145447)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】