説明

面形状測定方法、面形状測定装置、投影光学系の製造方法、投影光学系、及び投影露光装置

【課題】本発明は、被検面で反射した被検光束の光路を折り曲げる反射面の面精度誤差に依らずに、その被検面の形状を高精度に測定することのできるPDIの原理を利用した面形状測定方法、及び面形状測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の面形状測定方法は、点光源(3a)から射出した理想的球面波の一部で被検面(5a)を照明すると共に、その被検面(5a)で反射した被検光束(LW)の光路を反射面(3)で折り曲げて前記理想的球面波の他の一部と干渉させ、それによって生じる干渉縞のデータを前記被検面の形状データとして取得する測定系を用いた面形状測定方法において、前記理想的球面波による前記被検面の照明領域を、マスクMで部分領域に制限してその部分領域の形状データを取得することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EUVL(EUVL:Extreme UltraViolet Lithography)などの投影露光に用いられる投影露光装置、それに搭載される投影光学系、及びその投影光学系の製造方法に関する。
また、本発明は、投影光学系のミラーやレンズなどの光学面の形状を測定する面形状測定方法、及びそれに適用される面形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズやミラーなどの光学面の形状測定には、フィゾー型干渉計やトワイマン・グリーン型干渉計が用いられてきた。これらの干渉計は何れも基準面を必要とするので、その干渉計によって取得される形状データは、被検面と基準面との比較を表しているに過ぎない。したがって、その測定精度は基準面の面精度を超えることはできない。
そこで提案されたのが、基準面を必要としないPDI(Point-Diffraction-Interferometer)である(特許文献1,2など)。PDIは、ピンホールミラーや光ファイバなどの光学部材で点光源を生成し、その点光源から射出する理想的球面波を基準として被検面の形状を測定する。
【0003】
例えば、特許文献2に記載のPDIにおいては、ピンホールミラーによって理想的球面波を生成し、この理想的球面波の一部で被検面を照明する。その被検面で反射した光束(被検光束)は、ピンホールミラーのピンホールの近傍に集光した後に、そのピンホールミラーの表面で反射して光路を折り曲げる。その被検光束は、理想的球面波の他の一部と干渉して干渉縞を形成する。この干渉縞のデータが、形状データとしてCCD撮像素子によって取得される。このように、PDIで取得される形状データは、被検面と理想的球面波の波面との比較を表すので、高精度である。
【特許文献1】特開平2−228505号公報
【特許文献2】特開平6−17447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被検面の面精度誤差が大きいときや、被検面の設計形状が非球面であるときには、このPDIによっても高精度な測定が困難である。特に、被検面の微細な形状成分の測定が困難である。
なぜなら、被検面の非球面量が大きいと、その被検面で反射した被検光束は、ピンホールミラーのピンホールの近傍に完全には集光せずに、大きめのスポットを形成する。このとき、被検光束は、ピンホールミラーの面精度誤差に応じて回折反射する。このため、CCD上には、必要な光束(=ピンホールミラーで正反射した被検光束と理想的球面波)だけでなく、ノイズ光束(=ピンホールミラーで回折反射した被検光束)が入射してしまう。
【0005】
そこで本発明は、被検面で反射した被検光束の光路を折り曲げるための反射面の面精度誤差に依らずに、その被検面の形状を高精度に測定することのできるPDIの原理を利用した面形状測定方法、及び面形状測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、高性能な投影光学系を製造することのできる投影光学系の製造方法、高性能な投影光学系、及び高性能な投影露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の面形状測定方法は、点光源から射出した理想的球面波の一部で被検面を照明すると共に、その被検面で反射した被検光束の光路を反射面で折り曲げて前記理想的球面波の他の一部と干渉させ、それによって生じる干渉縞のデータを前記被検面の形状データとして取得する測定系を用いた面形状測定方法において、前記理想的球面波による前記被検面の照明領域を部分領域に制限してその部分領域の形状データを取得することを特徴とする。
【0007】
本発明の面形状測定方法においては、前記測定系には、前記点光源を生成する手段と前記反射面とを兼ねるピンホールミラーが備えられていてもよい。
また、本発明の面形状測定方法においては、前記部分領域の位置を前記被検面上で移動させ、前記被検面上の互いに異なる複数の部分領域の形状データを取得し、それらを繋ぎ合わせて前記被検面の全域の形状データを作成してもよい。
【0008】
また、本発明の面形状測定方法においては、前記繋ぎ合わせに当たり、前記測定系の環境変化(時間に応じて変動する誤差の要因であり、例えば、測定系のドリフト(光量変動など)、測定系における被検面の姿勢変動である。)に起因して前記複数の部分領域の形状データに生じた誤差を補正してもよい。
また、本発明の面形状測定方法においては、前記被検面の全域を一括照明して取得された前記被検面の全域の形状データと、前記複数の部分領域の形状データとを比較して前記誤差を求めてもよい。
【0009】
また、本発明の面形状測定方法においては、前記被検面の全域の形状データに含まれる低周波数の形状成分と、前記複数の部分領域の形状データに含まれる低周波数の形状成分との差異に基づき、前記誤差を求めてもよい。
また、本発明の面形状測定方法においては、前記被検面の設計形状は、非球面であってもよい。
【0010】
また、本発明の面形状測定装置は、点光源から射出した理想的球面波の一部で被検面を照明すると共に、その被検面で反射した被検光束の光路を反射面で折り曲げて前記理想的球面波の他の一部と干渉させ、それによって生じる干渉縞のデータを前記被検面の形状データとして取得する測定系を備えた面形状測定装置において、前記被検面の入射側に配置可能であり、かつ前記理想的球面波による前記被検面の照明領域を部分領域に制限するマスクを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の面形状測定装置においては、前記測定系には、前記点光源を生成する手段と前記反射面とを兼ねるピンホールミラーが備えられていてもよい。
また、本発明の面形状測定装置においては、前記部分領域の位置を前記被検面上で移動させる機構を備えてもよい。
また、本発明の面形状測定装置においては、前記被検面上の互いに異なる複数の部分領域の形状データを繋ぎ合わせ、前記被検面の全域の形状データを作成する演算手段を備えてもよい。
【0012】
また、本発明の面形状測定装置においては、前記演算手段は、前記繋ぎ合わせに当たり、前記測定系の環境変化に起因して前記複数の部分領域の形状データに生じた誤差を補正してもよい。
また、本発明の面形状測定装置においては、前記演算手段は、前記被検面の全域を一括照明して取得された前記被検面の全域の形状データと、前記複数の部分領域の形状データとを比較して前記誤差を求めてもよい。
【0013】
また、本発明の面形状測定装置においては、前記演算手段は、前記被検面の全域の形状データに含まれる低周波数の形状成分と、前記複数の部分領域の形状データに含まれる低周波数の形状成分との差異に基づき、前記誤差を求めてもよい。
また、本発明の面形状測定装置においては、前記反射面の面精度誤差のうち、少なくとも前記形状データへの影響を排除すべきうねり成分のピッチをPとし、前記被検面の近似球面の曲率半径をRとし、前記測定系の光源波長をλとするとき、前記マスクの開口部のサイズdは、d<R・λ/Pの式を満たすとよい。
【0014】
また、本発明の面形状測定装置においては、前記マスクは、開口部の位置を変更することの可能なマスクであってもよい。
また、本発明の面形状測定装置においては、前記マスクは、開口部のサイズ及び/又は形状を変更することの可能なマスクであってもよい。
また、本発明の投影光学系の製造方法は、投影光学系の少なくとも1つの光学面を本発明の何れか一項に記載の面形状測定方法により測定する手順と、前記測定の結果に応じて前記光学面を加工する手順とを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の投影光学系は、本発明の投影光学系の製造方法により製造されたことを特徴とする。
また、本発明の投影露光装置は、本発明の投影光学系を搭載したことを特徴とする。
また、本発明の投影露光装置においては、露光光は、波長50nm以下のEUV光であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被検面で反射した被検光束の光路を折り曲げるための反射面の面精度誤差に依らずに、その被検面の形状を高精度に測定することのできるPDIの原理を利用した面形状測定方法、及び面形状測定装置が実現する。
また、本発明によれば、高性能な投影光学系を製造することのできる投影光学系の製造方法、高性能な投影光学系、及び高性能な投影露光装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、面形状測定装置とそれを用いた面形状測定方法の実施形態である。
図1は、本測定装置の構成図である。図1に示すように、本測定装置には、レーザ光源1、レンズ2、ピンホールミラー3、レンズ6、CCD撮像素子7、マスクM、移動機構8,9、制御回路21、コンピュータ22などが備えられる。図1において、符号5で示すのが、非球面ミラーなどの被検物5である。被検物5の被検面5aは、その設計形状が非球面なので、以下、「被検非球面5a」と称す。
【0018】
図1に示すように、本測定装置では、この被検物5とレーザ光源1との間に、ピンホールミラー3が配置される(ピンホールミラー3の詳細は後述)。
レーザ光源1から射出した光束はレンズ2によって集光され、ピンホールミラー3に設けられたピンホール3cを照射する。ピンホール3cの回折作用により、ピンホールミラー3の射出側には、理想的球面波SWが生起する。
【0019】
理想的球面波SWの一部は、被検非球面5aを照明する。被検非球面5aで生じた反射光は、被検非球面5aの形状に応じて変形した波面WWを持つ被検光束LWである。被検光束LWは、ピンホールミラー3へ向かい、ピンホール3cの近傍で反射してその光路を折り曲げてレンズ6の方向へ向かう。レンズ6に入射した被検光束LWは、略平行光束となってCCD撮像素子7の撮像面7aに到達する。
【0020】
なお、レンズ6は、被検非球面5aの像を撮像面7a上に結像する役割を担っており、そのディストーションは十分に小さく抑えられている。よって、撮像面7a上の各位置は、被検非球面5a上の各位置に1対1で対応しているとみなせる。
理想的球面波SWの他の一部は、参照光束LRとして被検光束LWと共にレンズ6へ向かい、平行光束となってCCD撮像素子7の撮像面7aに到達する。
【0021】
よって、撮像面7a上には、被検光束LWと参照光束LRとによる干渉縞が生起する。この干渉縞の位相分布は、被検光束LWの波面WWと参照光束LRの波面(理想的球面)との差異、つまり被検非球面5aの形状を表す。
CCD撮像素子7は、この干渉縞を撮像して干渉縞の輝度分布データを取得する。この輝度分布データは、制御回路21を介してコンピュータ22に送出される。コンピュータ22は、干渉縞の輝度分布データを公知の解析方法により解析し、被検非球面5aの形状データに変換する。コンピュータ22には、この解析のためのプログラムが予めインストールされている。
【0022】
なお、以上の本測定装置には、周知の位相シフト干渉法を適用することができる。位相シフト干渉法では、ピエゾ素子などの移動機構9によって被検物5を光軸方向に微少量ずつ移動させながら輝度分布データを繰り返し取得する。このときの移動機構9による被検物5の移動量と、CCD撮像素子7による干渉縞の撮像タイミングとは、制御回路21によって制御される。コンピュータ22は、このようにして取得した輝度分布データ群を所定の演算式に代入することで、被検非球面5aの形状データを取得する。このような位相シフト法によって取得された形状データは、被検非球面5aの形状を高精度に表す(位相シフト法は公知なので、詳細は省略する。)。
【0023】
また、本測定装置において、マスクMは、ステージなどの移動機構8によって支持されており、被検非球面5aの直前の光路に対し挿脱可能である。また、移動機構8は、マスクMを光軸と垂直な方向にスライドさせて、被検非球面5a上のマスクMの開口部Hの位置を変化させることもできる。この移動機構8によるマスクMのスライド量は、制御回路21によって制御される(マスクMの詳細は後述)。
【0024】
図2は、マスクMが光路から離脱しているときのピンホールミラー3の周辺の拡大図である。
図2に示すように、ピンホールミラー3は、平行平板状のガラス基板3aの表面にクロムなどからなる金属膜3bを形成してなる。金属膜3bの略中央には、ピンホール3cとなるべき開口部がエッチングなどによって設けられている。
【0025】
このピンホールミラー3は、ガラス基板3aの側をレーザ光源1側に向けている。
被検非球面5aからの被検光束LWは、金属膜3bにおけるピンホール3cの近傍に、比較的大きいサイズのスポットを形成する。集光スポットのサイズが大きくなるのは、被検光束LWの波面WWの形状が非球面だからである。
このとき、被検光束LWは、金属膜3bの面精度誤差に応じて回折反射する。つまり、金属膜3bで反射して光路を折り曲げた被検光束LWには、0次回折成分(正反射した0次回折光からなる成分)LW0と、+1次回折成分(回折反射した+1次光からなる成分)LW+1と、−1次回折成分(回折反射した−1次回折光からなる成分)LW-1とが含まれる。
【0026】
図3は、このときの撮像面7a近傍の様子を説明する図である。
図3に示すように、ピンホールミラー3から射出した0次回折成分LW0、+1次回折成分LW+1、−1次回折成分LW-1は、撮像面7a上の互いにずれた領域に入射する。
撮像面7aにおいて、+1次回折成分LW+1の波面WW+1と−1次回折成分LW-1の波面WW-1とは、0次回折成分LW0の波面WW0に対し横ずれして重畳する。したがって、被検非球面5aの形状情報を含む輝度分布データ(波面WW0によって形成される干渉縞の輝度分布データ)に誤差が生じる。
【0027】
図4は、マスクMを説明する図である。
図4(a)に示すとおり、マスクMの略中央には、正方形状の開口部Hが設けられており、それ以外の領域は遮光部となっている。
このマスクMを光路に挿入すると、図4(b)に示すとおり、本測定装置による照明領域を、被検非球面5aの全測定領域Eよりも小さい正方形状の部分領域Eiのみに制限することができる。
【0028】
ここでは、マスクMの開口部Hのサイズを、図4(b)に示すとおり、全測定領域Eの全体が内接する正方形を9等分してできる個々の部分領域Ei(i=1,2,・・・,9)よりも若干大きい程度とする。
このマスクMを移動させて被検非球面5a上における開口部Hの位置をスライドさせれば、本測定装置による照明領域を、9個の部分領域E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9の間で切り替えることができる。
【0029】
図5は、マスクMが光路に挿入されているときの撮像面7a近傍の様子を説明する図である。
図5に示すように、マスクMが光路に挿入されていても、被検光束LWの0次回折成分LW0,+1次回折成分LW+1,−1次回折成分LW-1は、撮像面7a上の互いにずれた領域に入射する。しかし、被検非球面5aにおける照明領域が部分領域に制限されているので、それらの波面WW+1,WW-1,WW0の各々のサイズは小さい。
【0030】
したがって、照明領域が十分に小さく制限されていれば、撮像面7a上の波面WW+1と、波面WW-1と、波面WW0とが完全に分離する。このように分離されれば、部分領域の形状情報を含む輝度分布データ(波面WW0によって形成される干渉縞の輝度分布データ)に誤差が生じない。
このために、本測定装置のマスクMの開口部Hのサイズは、波面WW+1,WW-1の形成領域と波面WW0の形成領域とが撮像面7a上で完全に分離されるよう、十分に小さなサイズに設定される。
【0031】
但し、波面WW0,WW+1,WW-1のずれ量は、ピンホールミラー3の面精度誤差(金属膜3bの面精度誤差)のうねり成分のピッチPに依存し、うねり成分が微細であるほど(つまりうねり成分のピッチPが小さいほど)大きくなる。一方、ピンホールミラー3の面精度誤差には、ピッチの異なる各種のうねり成分が含まれていると考えられる。
このため、本測定装置の製造者がマスクMの開口部Hのサイズを設定する際には、測定結果への影響を除去すべきうねり成分のうち、最も粗いうねり成分のピッチPを考慮する必要がある。つまり、最も粗いうねり成分に起因して生じた波面WW0,WW+1,WW-1が撮像面7a上で完全に分離されるように、マスクMの開口部Hのサイズが設定される必要がある。以下、具体的に説明する。
【0032】
図6は、ピンホールミラー3に生じているピッチPのうねり成分の影響を説明する図である。
先ず、図6中に実線で示したように、被検非球面5a上の座標y(光軸OAを基準とした座標)から射出した或る被検光に着目する。図6中に点線で示すのは、±1次回折成分の一方であり、一点鎖線で示すのは、各光学素子の光軸である。
【0033】
この被検光が被検非球面5aの光軸OAと成す角度θは、次式(1)を満たす。
y=R・sinθ ・・・(1)
但し、Rは、被検非球面5aの近似球面の曲率半径である。
また、この被検光がピンホールミラー3で回折反射し、それによって生じた±1次回折成分がレンズ6の光軸OAと成す角度θ’は、ピンホールミラー3の面精度誤差のうねり成分のピッチPと共に次式(2)を満たす。
【0034】
sin(φ+θ)±λ/P=sin(φ+θ’) ・・・(2)
但し、φは、被検非球面5a及びレンズ6の光軸OAがピンホールミラー3の法線と成す共通の角度であり、λは、本測定装置の光源波長である。
また、角度θ’で進行する±1次回折成分がレンズ6を経由した後に入射する撮像面7a上の座標y’(光軸OAを基準とした座標)は、次式(3)を満たす。
【0035】
y’=f・sinθ’ ・・・(3)
但し、fはレンズ6の焦点距離である。
よって、ピッチPよりも微細なうねり成分の影響を排除するためには、マスクMの開口部Hのエッジに入射する光線の角度θa,θbが、以下の条件式(4)を満たしていればよい。
【0036】
sin(φ+θa)+λ/P>sin(φ+θb) ・・・(4)
ここで、実際の測定装置を考えると、ピンホールミラー3から射出する理想的球面波SWの広がりはさほど大きくないので、角度φは小さい値に設定される。仮に、被検非球面5aのNAを0.2とすれば、φ=15deg程度に設定される。よって、ここでは、φを小さいとみなし、条件式(4)を条件式(5)のとおり近似する。
【0037】
θb−θa<λ/P ・・・(5)
一方、マスクMの開口部Hのサイズdは、開口部Hのエッジに入射する光線の角度θa,θbと被検非球面5aの近似球面の曲率半径Rとによって、式(6)で表される。
d=R・(θb−θa) ・・・(6)
したがって、式(5),式(6)より、ピッチPよりも微細なうねり成分の影響を排除するマスクMの開口部Hのサイズdは、以下の条件式(7)を満たせばよい。
【0038】
d<R・λ/P ・・・(7)
例えば、光源波長λ=633nm,被検非球面5aの近似球面の曲率半径R=400mmであるときにピッチP=8μmよりも微細なうねり成分の影響を排除するためには、マスクMの開口部Hのサイズdは、d<400・0.633/8=32mmの式を満たせばよい。
【0039】
図7は、以上の本測定装置を用いた面形状測定方法の手順を示すフローチャートである。
ステップS1では、マスクMを光路から離脱し、本測定装置による照明領域を被検非球面5aの全測定領域Eに設定する。本測定装置は、この状態で全測定領域Eの輝度分布データT0を一括して取得する。コンピュータ22は、この全測定領域Eの輝度分布データT0を形状データA0に変換する。なお、このステップS1には位相シフト干渉法が適用されてもよい。
【0040】
ステップS2では、コンピュータ22は、形状データA0をツェルニケ多項式に展開し、低次項の係数値(低周波数の形状成分)B0を抽出する。この形状成分B0は、全測定領域Eの大まかな形状を表す。
ステップS3では、マスクMを光路に挿入し、本測定装置による照明領域を被検非球面5aの各部分領域E1,E2,E3,・・・,E9に順次設定する。本測定装置は、照明領域が各部分領域E1,E2,E3,・・・,E9に設定された各状態で、部分領域E1,E2,E3,・・・,E9の輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9を個別に取得する。
【0041】
なお、輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9それぞれは、部分領域E1,E2,E3,・・・,E9のそれぞれよりも若干広い領域の輝度分布データである。よって、輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9は、若干ずつオーバーラップしている。
そして、コンピュータ22は、これらの輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9をそれぞれ形状データA1,A2,A3,・・・,A9に変換する。なお、このステップS3には位相シフト干渉法が適用されてもよい。
【0042】
ステップS4では、コンピュータ22は、形状データA1,A2,A3,・・・,A9をそれぞれツェルニケ多項式に展開し、低次項の係数値(低周波数の形状成分)B1,B2,B3,・・・,B9をそれぞれ抽出する。これらの形状成分B1,B2,B3,・・・,B9は、各部分領域E1,E2,E3,・・・,E9の大まかな形状を表していると共に、被検物5の姿勢変動に起因する誤差(姿勢誤差、チルト成分及びシフト成分からなる。)を含んでいる。この姿勢変動は、請求項における「環境変化」の1種である。
【0043】
ステップS5では、コンピュータ22は、各部分領域E1,E2,E3,・・・,E9の大まかな形状を表す形状成分B1,B2,B3,・・・,B9を、全測定領域Eの大まかな形状を表す形状成分B0の各部と比較し、両者の差異から姿勢誤差のチルト成分やシフト成分を求める。そして、コンピュータ22は、そのチルト成分やシフト成分が無くなるように形状データA1,A2,A3,・・・,A9を補正して形状データC1,C2,C3,・・・,C9を得る。
【0044】
ステップS6では、コンピュータ22は、補正後の形状データC1,c2,C3,・・・,C9を繋ぎ合わせ、被検非球面5aの全測定領域Eの形状データDを作成する。
但し、形状データC1,c2,C3,・・・,C9には、本測定装置の光量変動などに起因する誤差が含まれている。よって、形状データC1,c2,C3,・・・,C9を単純に繋ぎ合わせると、繋ぎ合わせ部分に段差が生じてしまう。この光量変動は、請求項における「環境変化」の1種である。
【0045】
そこで、ステップS6におけるコンピュータ22は、繋ぎ合わせ部分を滑らかにするために、形状データC1,C2,C3,・・・,C9のうち互いにオーバーラップしたデータ同士を重み付け平均する。
図7の符号S61は、形状データC1,C2を重み付け平均して繋ぎ合わせて形状データC12を得るステップを表している。
【0046】
ステップS61の重み付け平均で形状データC1に乗算すべきウェイト関数W1の値は、図7中に実線で示すように、オーバーラップ領域から外れた形状データC1側の領域では1であり、オーバーラップ領域では、形状データC1側から形状データC2側にかけて1〜0の間の連続的な値をとり、オーバーラップ領域から外れた形状データC2側の領域では0となる。
【0047】
また、このステップS61の重み付け平均で形状データC2に乗算すべきウェイト関数W2の値は、図7中に点線で示すように、オーバーラップ領域から外れた形状データC2側の領域では1であり、オーバーラップ領域では、形状データC2側から形状データC1側にかけて1〜0の間の連続的な値となり、オーバーラップ領域から外れた形状データC1側の領域では0となる。
【0048】
このようなウェイト関数W1,W2を用いれば、形状データC1,C2を段差無く滑らかに繋ぎ合わせることができる。
図7の符号S62は、形状データC12,C3を重み付け平均して繋ぎ合わせて形状データC123を得るステップを表している。
ステップS62の重み付け平均で形状データC12に乗算すべきウェイト関数W12の値は、図7中に実線で示すように、オーバーラップ領域から外れた形状データC12側の領域では1であり、オーバーラップ領域では、形状データC12側から形状データC2側にかけて1〜0の間の連続的な値をとり、オーバーラップ領域から外れた形状データC3側の領域では0となる。
【0049】
また、このステップS62の重み付け平均で形状データC3に乗算すべきウェイト関数W3の値は、図7中に点線で示すように、オーバーラップ領域から外れた形状データC3側の領域では1であり、オーバーラップ領域では、形状データC3側から形状データC12側にかけて1〜0の間の連続的な値となり、オーバーラップ領域から外れた形状データC12側の領域では0となる。
【0050】
このようなウェイト関数W12,W3を用いれば、形状データC12,C3を段差無く滑らかに繋ぎ合わせることができる。
同様に、コンピュータ22は、他の形状データC4,C5,・・・,C9を繋ぎ合わせ、被検非球面5aの全測定領域Eの形状データDを完成させる(ステップS7)。
なお、ステップS6では、所定方向(X方向)の繋ぎ合わせを行い、その後に、それに直交する方向(Y方向)の繋ぎ合わせを行うことが望ましい。例えば、(1),(2),(3),(4)の順である。
【0051】
(1)形状データC1、C2,C3を繋ぎ合わせて形状データC123を得る。
(2)形状データC4,C5,C6を繋ぎ合わせて形状データC456を得る。
(3)形状データC7,C8,C9を繋ぎ合わせて形状データC789を得る。
(4)形状データC123,C456,C789を繋ぎ合わせて形状データDを得る。
以上、本測定装置によれば、マスクMを用いて被検非球面5aの照明領域を部分領域E1,E2,E3,・・・,E9に制限し、それら部分領域E1,E2,E3,・・・,E9毎に輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9を取得することができる。個別に取得したそれらの輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9の各々は、ピンホールミラー3の面精度誤差の影響を受けない。
【0052】
また、本測定方法では、各部分領域E1,E2,E3,・・・,E9の形状データA1,T2,T3,・・・,T9を繋ぎ合わせるに当たり、被検物5の姿勢変化に起因する誤差を補正し(図7ステップS1〜S5)、本測定装置の光量変動に起因する誤差の影響を抑える(図7ステップS6)。したがって、被検非球面5aの全測定領域Eの形状データDを高精度に得ることができる。
【0053】
なお、本測定装置において、被検非球面5aで反射した被検光束LWのうち、特に、被検非球面5aの微細な形状成分(高周波数の形状成分)に起因して生じた光線は、他の光線と比較してピンホールミラー3における集光度が低い(集光スポットが大きくなる)ので、ピンホールミラー2の面精度誤差の影響を大きく受ける。このため、従来は、被検非球面5aの形状のうち、特に微細な形状成分を高精度に測定することが困難であった。しかし、本測定装置及び本測定装置においては、ピンホールミラー2の面精度誤差の影響が輝度分布データT1,T2,T3,・・・,T9から排除されるので、微細な形状成分まで高精度に測定することができる。
【0054】
また、本測定装置では、開口部サイズや開口部位置の固定されたマスクMを用いると共に、そのマスクMの全体を移動させたが、開口部サイズや開口部位置が可変のマスクを用いてもよい。例えば、図8に示すように、1対のL字ブラインドB1,B2を組み合わせてなるマスクは、ブラインドB1,B2を駆動するだけで開口部Hのサイズや位置を自在に変更することができる。なお、このようなマスクとしては、特開平6−324474号公報などに開示されたものを適用できる。
【0055】
その場合には、開口部位置に応じて開口部サイズを変更するような測定方法を適用することもできる。
また、本測定装置では、マスクMの開口部Hの形状を正方形状としたが、長方形、円形など、他の形状にしてもよい。
また、本測定装置では、被検光束LWの光路を折り曲げるための反射面として、ピンホールミラー3の金属膜3bの表面を用いたが、その金属膜3bの表面に被検光束LWの反射率を向上するための反射膜が形成されていてもよい。
【0056】
また、本測定装置では、ピンホールミラー3に代えて同じ作用をする別の光学部材を用いてもよい。例えば、特開平6−173337号公報には、ピンホールミラー3の代わりに光ファイバーや光導波路を用いた干渉測定装置が開示されている。その場合も、本発明によれば、光ファイバーの射出端面の面精度誤差や、光導波路の射出端面の面精度誤差に依らずに被検面の形状を高精度に測定することが可能になる。
【0057】
[第2実施形態]
以下、図9、図10を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態は、投影光学系の製造方法の実施形態である。本実施形態で製造する投影光学系は、例えば、図9に示すようなEUVL用の投影露光装置に搭載される投影光学系PLである。
【0058】
図9に示すように、EUVL用の投影露光装置には、照明光学系101、反射型のレチクルR、投影光学系PL、ウエハWが配置される。レチクルRは、レチクルステージ102によって支持され、ウエハWはウエハステージ106によって支持される。レチクルステージ102及びウエハステージ106は、駆動回路102c,106cによって駆動される。また、駆動回路102c,106cなどは、制御部109によって制御される。
【0059】
照明光学系101の光源は、波長50nm以下のEUV光(極端紫外光)、例えば13.5nmのEUV光を出射する。投影光学系PLは、光源から射出するEUV光を反射することのできる複数のミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6を順に配置した反射型の投影光学系である。
なお、照明光学系101の内部の光学面やレチクルRにも、光源から射出するEUV光を反射することのできる特性が付与されている。
【0060】
図10は、投影光学系PLの製造方法の手順を示すフローチャートである。
ステップS101では、投影光学系PLの光学設計をする。このステップS101において、投影光学系PL内のミラーミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の各面形状が決定される。
次のステップS102では、各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6を加工する。
【0061】
次のステップS103では、加工された各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の面形状を測定する。
次のステップS104では、ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の面精度誤差が許容範囲にあるか否かが判断され、許容範囲でない場合には、ステップS102に戻り、再加工が施される。
【0062】
以上のステップS102,S103,S104は、ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の面精度誤差が許容範囲に収まるまで繰り返される。
ここで、ステップS104において、各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の面精度誤差が或る程度小さくなったと判断されると、続くステップS103では、フレアの原因となり得る微細な形状成分まで測定する。この測定に、第1実施形態の測定装置及び測定方法が適用される。
【0063】
続くステップS104では、その測定結果に基づき、各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6に、フレアの原因となるような微細な形状成分が残存しているか否かを判断する。
各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6のうち、その微細な形状成分が残存していたものに対しては、ステップS102においてそのうねり成分を無くすための高精度な加工が施される。
【0064】
その後、全てのミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6からフレアの原因が取り除かれると、ステップS104において面精度誤差が許容範囲内に収まったと判断され、ステップS105に進み、それらミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6を完成させて投影光学系PLを組み立てる。
その後、投影光学系PLの波面収差を測定しつつ(ステップS106)、各ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の間隔調整や偏心調整などを行い(ステップS108)、波面収差が許容範囲内に収まった時点(ステップS107OK)で、投影光学系PLが完成する。
【0065】
以上、本製造方法では、ミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6の面形状測定に第1実施形態が適用される。第1実施形態によれば、微細な形状成分まで高精度に測定することができるので、フレアの原因が確実に取り除かれた、面精度の高いミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6を製造することができる。よって、これらのミラーPL1,PL2,PL3,PL4,PL5,PL6を組み立ててできる投影光学系PLは、フレアの生じない高性能な投影光学系PLとなる。
【0066】
また、この投影光学系PLを搭載した投影露光装置(図9参照)は、レチクルRのパターンをウエハWに高精度に転写できる高性能な投影露光装置となる。よって、その投影露光装置によれば、高性能なデバイスを製造することができる。
なお、本製造方法は、EUVL用の反射型の投影光学系PLの製造に第1実施形態の測定装置及び測定方法を適用したものであるが、屈折型の投影光学系、反射屈折型の投影光学系、EUVL用以外の投影光学系、投影露光装置以外の光学機器の結像光学系などの製造にも、この測定装置及び測定方法を適用することができる。因みに、第1実施形態は、ミラーの面形状測定だけでなく、レンズの表面の面形状測定にも適用できる。
【実施例1】
【0067】
第1実施形態の実施例を以下に示す。
・レーザ光源1の波長λ=0.633μm,
・全測定領域Eを一括測定するときの照明領域のサイズ(D/R)=0.2
・被検非球面5aの分割数(部分領域Eiの数i)=3×3=9,
・部分領域Eiを測定するときの照明領域のサイズ(D/R)=0.08,
但し、D:被検非球面5a上の径方向の長さ、R:被検非球面5aの曲率半径である。
【0068】
以上の本実施例によると、ピンホールミラー3の面精度誤差のうち、ピッチP=8μmよりも微細なうねり成分に起因する誤差は、排除される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態の測定装置の構成図である。
【図2】マスクMが光路から離脱しているときのピンホールミラー3の周辺の拡大図である。
【図3】マスクMが光路から離脱しているときの撮像面7a近傍の様子を説明する図である。
【図4】マスクMを説明する図である。
【図5】マスクMが光路に挿入されているときの撮像面7a近傍の様子を説明する図である。
【図6】ピンホールミラー3に生じているピッチPのうねり成分の影響を説明する図である。
【図7】第1実施形態の面形状測定方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】マスクMの変形例を示す図である。
【図9】EUVL用の投影露光装置の構成図である。
【図10】第2実施形態の投影光学系PLの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 レーザ光源
2,6 レンズ
3 ピンホールミラー
7 CCD撮像素子
M マスク
8,9 移動機構
21 制御回路
22 コンピュータ
5 被検物
5 被検面(被検非球面)
3a ガラス基板
3b 金属膜
3c ピンホール
LW 被検光束
LR 参照光束
SW 理想的球面波


【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源から射出した理想的球面波の一部で被検面を照明すると共に、その被検面で反射した被検光束の光路を反射面で折り曲げて前記理想的球面波の他の一部と干渉させ、それによって生じる干渉縞のデータを前記被検面の形状データとして取得する測定系を用いた面形状測定方法において、
前記理想的球面波による前記被検面の照明領域を部分領域に制限してその部分領域の形状データを取得する
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の面形状測定方法において、
前記測定系には、
前記点光源を生成する手段と前記反射面とを兼ねるピンホールミラーが備えられている
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の面形状測定方法において、
前記部分領域の位置を前記被検面上で移動させ、前記被検面上の互いに異なる複数の部分領域の形状データを取得し、それらを繋ぎ合わせて前記被検面の全域の形状データを作成する
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の面形状測定方法において、
前記繋ぎ合わせに当たり、
前記測定系の環境変化に起因して前記複数の部分領域の形状データに生じた誤差を補正する
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の面形状測定方法において、
前記被検面の全域を一括照明して取得された前記被検面の全域の形状データと、前記複数の部分領域の形状データとを比較して前記誤差を求める
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の面形状測定方法において、
前記被検面の全域の形状データに含まれる低周波数の形状成分と、前記複数の部分領域の形状データに含まれる低周波数の形状成分との差異に基づき、前記誤差を求める
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の面形状測定方法において、
前記被検面の設計形状は、非球面である
ことを特徴とする面形状測定方法。
【請求項8】
点光源から射出した理想的球面波の一部で被検面を照明すると共に、その被検面で反射した被検光束の光路を反射面で折り曲げて前記理想的球面波の他の一部と干渉させ、それによって生じる干渉縞のデータを前記被検面の形状データとして取得する測定系を備えた面形状測定装置において、
前記被検面の入射側に配置可能であり、かつ前記理想的球面波による前記被検面の照明領域を部分領域に制限するマスクを備えた
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の面形状測定装置において、
前記測定系には、
前記点光源を生成する手段と前記反射面とを兼ねるピンホールミラーが備えられている
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の面形状測定装置において、
前記部分領域の位置を前記被検面上で移動させる機構を備えた
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の面形状測定装置において、
前記被検面上の互いに異なる複数の部分領域の形状データを繋ぎ合わせ、前記被検面の全域の形状データを作成する演算手段を備えた
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の面形状測定装置において、
前記演算手段は、
前記繋ぎ合わせに当たり、前記測定系の環境変化に起因して前記複数の部分領域の形状データに生じた誤差を補正する
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の面形状測定装置において、
前記演算手段は、
前記被検面の全域を一括照明して取得された前記被検面の全域の形状データと、前記複数の部分領域の形状データとを比較して前記誤差を求める
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の面形状測定装置において、
前記演算手段は、
前記被検面の全域の形状データに含まれる低周波数の形状成分と、前記複数の部分領域の形状データに含まれる低周波数の形状成分との差異に基づき、前記誤差を求める
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項15】
請求項8〜請求項14の何れか一項に記載の面形状測定装置において、
前記反射面の面精度誤差のうち、少なくとも前記形状データへの影響を排除すべきうねり成分のピッチをPとし、前記被検面の近似球面の曲率半径をRとし、前記測定系の光源波長をλとするとき、前記マスクの開口部のサイズdは、
d<R・λ/P
の式を満たすことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項16】
請求項8〜請求項15の何れか一項に記載の面形状測定装置において、
前記マスクは、開口部の位置を変更することの可能なマスクである
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項17】
請求項8〜請求項16の何れか一項に記載の面形状測定装置において、
前記マスクは、開口部のサイズ及び/又は形状を変更することの可能なマスクである
ことを特徴とする面形状測定装置。
【請求項18】
投影光学系の少なくとも1つの光学面を請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の面形状測定方法により測定する手順と、
前記測定の結果に応じて前記光学面を加工する手順と
を含むことを特徴とする投影光学系の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の投影光学系の製造方法により製造された
ことを特徴とする投影光学系。
【請求項20】
請求項19に記載の投影光学系を搭載した
ことを特徴とする投影露光装置。
【請求項21】
請求項20に記載の投影露光装置において、
露光光は、波長50nm以下のEUV光である
ことを特徴とする投影露光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−250859(P2006−250859A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70786(P2005−70786)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】