説明

3次元測量装置及び電子的記憶媒体

[課題] 本発明は、測量装置と撮像装置とにより3次元座標データを演算するための3次元測量装置等に係わり、特に、測量装置により対応点の位置を決定し、ステレオ表示が可能な3次元測量装置を提供することを目的とする。
[解決手段] 本発明は、測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と撮像装置による画像とから、撮像装置の傾き等を算出し、測量装置により計測された視準点の位置から、撮像装置の傾き等を算出し、視準点を対応点として撮像装置の画像のマッチングを行い、測量装置が測定した視準点の位置と、マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき測定対象物の3次元座標データを演算することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量装置と撮像装置とにより3次元座標データを演算するための3次元測量装置等に係わり、特に、測量現場にて測量装置により対応点の位置を決定し、ステレオ表示が可能なデータを生成する3次元測量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データから3次元座標を得る場合には、例えばデジタルカメラ等の撮像手段と、大きさが既知の基準構造物が使用される。測定目標となる物体の近傍に基準構造物が載置され、この基準構造物を、カメラで2方向或いは複数の方向から撮影する。このカメラには、画像の前後左右の傾きを測定するための傾斜計が設けられている。基準構造物は大きさが既知であり、例えば三角形の構造物が使用される。カメラで撮影する位置及び基準構造物が載置される位置は、測定物体と予め相対的に位置関係がわかっている測量した位置とされる。
【0003】
この撮影位置から、測定目標となる物体と基準構造物とが同時に撮影される構図で撮影する。基準構造物と撮影位置と撮影画像上の位置とから、絶対標定によりその関係を求め、測定目標となる物体の3次元座標が算出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の絶対標定を行うには、予め大きさが既知の基準構造物等を設置しなければならない。また、基準構造物を設置する位置、撮影するカメラの位置も測量しなければならない。基準構造物を置くと共に、カメラを設置し、更に測量も実施することは非常に面倒であり、ましてや建物等の場合には、サイズも巨大であり非常に困難を伴うという問題点があった。更に、傾きを検出するための傾斜計をカメラに設けなければ撮影姿勢を計測することができず、この様な特殊なカメラは極めて高価となるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題に鑑み案出されたもので、距離と角度とから視準目標の位置を測定するための測量装置と、異なる複数の方向から前記視準目標を含む測定対象物の画像を取得するための撮像装置とを備え、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算するための演算処理手段とを備えている。
【0006】
また本発明は、既知点に置かれた測量装置が、少なくとも3つの視準点の位置を測定し、演算処理手段が、該撮像装置の傾き、倍率等を補正し、該視準点の位置と前記撮像装置の画像とから該撮像装置の位置を求め、前記撮像装置の取得した測定対象物の3次元座標データを演算する構成にすることもできる。
【0007】
更に本発明は、既知点に置かれた測量装置が、少なくとも3つの視準点の位置を測定し、演算処理手段が、該撮像装置の傾き、倍率等を補正し、該視準点の位置と前記撮像装置の画像とから、基準点座標を求め、この基準点座標を地上座標系の座標に変換することにより、測定対象物の3次元座標データを演算する構成にすることもできる。
【0008】
そして本発明は、視準点であるパスポイントを手動又は自動で発生させる構成にすることもできる。
【0009】
また本発明の3次元測量方法は、測量装置による距離データと角度データとから視準目標の位置を測定する第1工程と、複数の撮像装置により前記視準目標を含む画像を異なる方向から取得する第2工程と、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出する第3工程と、前記第1工程で計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出する第4工程と、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行う第5工程と、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付ける第6工程と、前記第6工程で得られたその関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算する構成となっている。
【0010】
更に本発明は、距離と角度から視準目標の位置を測定すると共に視準目標を含む画像を取得するための測量装置と、異なる複数の方向から前記視準目標を含む測定対象物の画像を取得するための撮像装置とを備え、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算するための演算処理手段とから構成されている。
【0011】
そして本発明の電子的記憶媒体は、測量装置が測定した視準目標の距離データと角度データとを読み取り、複数の撮像装置が、異なる方向から撮像した前記視準目標を含む画像データを読み取り、計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算する手順を示すプログラムが記憶されているFD、CD、DVD、RAM、ROM、メモリカード等である。
【効果】
【0012】
以上の様に構成された本発明は、距離と角度とから視準目標の位置を測定するための測量装置と、異なる複数の方向から前記視準目標を含む測定対象物の画像を取得するための撮像装置とを備え、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算するための演算処理手段とを備えているので、3次元座標データを簡便正確に得ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良な形態】
【0013】
本発明は、ステレオ撮影するためのデジタルカメラと、ステレオ画像の対応点(パスポイント)の座標を決定するための距離測定機能を有する測量機(トータルステーション)とから構成され、ディスプレイ等の画面に3次元表示をするためのデータを演算する3次元測定装置である。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1及び図2に基づいて、パスポイントにターゲットマークを用いない第1の実施例を説明する。本第1実施例は、測量機1000に撮像装置100を装備している。
【0016】
測量機1000として視準方向を画像として取り込みが可能な撮像装置100を備えている。測量機1000の距離測定機能としては、自然物からの直接の反射を捕らえ反射プリズムを必要としないノンプリズム機能を備える測量機を使用する。
【0017】
図1及び図2に示す様に測量機1000は、測定対象物の任意の部分を視準し、距離を測定すると共に、同様に水平角・高低角を測定する。そして撮像装置100が、測量地点の画像を取得する。視準点は光軸の中心であることから、画像の中心と一致している。測量地点はパスポイントとなるため少なくとも3点の位置の測量値と画像を取得する。
【0018】
測量後、デジタルカメラ3000を使用して、少なくとも2方向からの画像を取得する。
【0019】
次に、デジタルカメラ3000の画像データを測量機1000に取り込み、デジタルカメラ3000のステレオ画像と、測量機1000で取得した3点の画像のマッチングを行う。3点の位置座標に基づいてステレオ画像の倍率、輝度、回転を補正する単写真標定を行う。これに基づいて、パスポイントを決定する。
【0020】
複数のパスポイントの決定後、データは例えば事務所に設置したパーソナルコンピュータに移され、左右の画像を撮影したデジタルカメラ3000の相対関係を求める相互評定を行い、測定対象物10000を構成する点の相対的位置関係を求める。相互標定に基づくデータで絶対標定を行い、地上座標系に変換する。また相互標定で求めた位置関係により、オルソ画像として画面に表示することもできる。
【0021】
なお撮像装置100は、画像装置データをデジタルデータに変換するためのものであり、例えば、CCD等の固体撮像素子である。この撮像装置100は、CCD等から構成された撮像素子110と、撮像素子110の出力信号から画像信号を形成するための画像回路120とから構成されている。
【0022】
「第1の実施例」
第1実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
【0023】
図1及び図2に基づいて、パスポイントにターゲットマークを用いない第1の実施例を説明する。本第1実施例は、測量機1000に撮像装置100を装備している。
【0024】
測量機1000として視準方向を画像として取り込みが可能な撮像装置100を備えている。測量機1000の距離測定機能としては、自然物からの直接の反射を捕らえ反射プリズムを必要としないノンプリズム機能を備える測量機を使用する。
【0025】
測量機1000は、測定対象物の任意の部分を視準し、距離を測定すると共に、同様に水平角・高低角を測定する。そして撮像装置100が、測量地点の画像を取得する。視準点は光軸の中心であることから、画像の中心と一致している。測量地点はパスポイントとなるため少なくとも3位置の測量値と画像を取得する。
【0026】
図8に基づいて本実施例を詳細に説明する。まずステップ1(以下、S1と略する)では、図1に示す様に、既知点であるA地点に画像撮像装置付きの測量機1000を設置する。この画像撮像装置は、本実施例では測量機1000に内蔵された撮像装置100が採用されている。
【0027】
次にS2では、測量機1000により基準点を測量する。この基準点は、本実施例では図1に示す様に、a1、a2、a3の3箇所となっている。そして測量機1000で、基準点a1、a2、a3の3ヶ所を測量すると共に、撮像装置100により基準点を含む画像を撮像する。
【0028】
更にS3では、図1及び図2とに示す様に、デジタルカメラ3000をB地点及びC地点に移動させ、基準点を含む画像を撮像する。即ち、B地点及びC地点にデジタルカメラ3000を設置して、測定対象物10000と共に基準点a1、a2、a3を含む画像をステレオ撮影する。図2に示す様に、少なくとも左右の2方向から、デジタルカメラ3000でステレオ画像を撮像する。なお本実施例では、デジタルカメラ3000を移動させてステレオ画像を撮像しているが、別途ステレオカメラを用意してもよい。
【0029】
なおデジタルカメラ3000は、レンズ特性による画像の歪が予め判っているものが望ましい。
【0030】
そしてS4で、デジタルカメラ3000で撮像された画像データを測量機1000に取り込む。
【0031】
次にS5では、単写真標定を行う。
【0032】
単写真標定とは、1枚の写真の中に写された基準点に成り立つ共線条件を用いて写真を撮影したデジタルカメラ3000の位置(X、Y、Z)及びデジタルカメラ3000の傾き(ω、φ、κ;ロール、ピッチ、ヨー角)を求め、写真座標(x、y)と地上座標(X、Y、Z)の関係を求めるものである。
【0033】
デジタルカメラ3000の位置(X、Y、Z)とデジタルカメラ3000の傾き(ω、φ、κ;ロール、ピッチ、ヨー角)とを外部標定要素と呼んでいる。これにより基準点から、デジタルカメラ3000の傾きと倍率等を算出することができる。
【0034】
次にS6では測量機1000により、測定対象物10000へパスポイントを発生させるための視準を行う。即ち、既知点であるA地点に画像撮像装置付きの測量機1000を設置して所望の地点の視準を行う。図3及び図4に示す様に、本実施例では、測定対象物10000の角部等をパスポイントとなる様に、視準点b1、b2、b3を視準する。
【0035】
そしてS7では、視準点をパスポイントとして、個々のデジタルカメラ3000の画像上に発生させる。即ちS7では、相互標定を行うためのパスポイントを形成する。3点の位置座標に基づいて、ステレオ画像上に形成するためのものである。ステレオ画像計測を行うためには、平面であれば6点以上、建物等では必要に応じて多数の点を必要とする。
【0036】
次にS81では、S7で得られた視準点(パスポイント)を使用して相互評定を行う。S81ではパスポイントから、デジタルカメラ3000のステレオ画像の傾きと倍率等の関係を算出することができる。
【0037】
そしてS82では、ステレオ画像のパスポイントを対応付けるための偏位修正画像の作成を行う。S82の偏位修正画像の作成は、斜影変換により行われる。斜影変換とは、デジタルカメラ3000の受光素子上のある点の写真座標が、他の平面に投影される様な変換をいう。ここでは、一方の画像から特徴点を抽出し、もう一方の画像の同一水平線上を探索し、対応点を検索する。
【0038】
従って、デジタルカメラ3000を水平方向に平行移動して投影した画像に変換する必要がある。即ち使用する画像を、デジタルカメラ3000を水平移動して撮影したかの様な画像に変換する必要がある。この様な変換により、デジタルカメラ3000を自然に移動した画像でも対応点の探索を行うことができる。更にS83では、手動又は自動により、パスポイントを発生させる。
【0039】
そしてS84では、ステレオマッチングを行う。このステレオマッチングとは、撮影された2枚の画像の対応点を自動で探索する手法である。
【0040】
次にS85では、S84で探索された対応点を利用して、左右の画像を撮影したデジタルカメラ3000の相対関係を求めることができる。これにより、左カメラの光軸を中心とした3次元の座標系が定義できる。
【0041】
これにより、一方のデジタルカメラ3000の光軸を中心とした3次元の座標系が定義できる。
【0042】
次にS86では、相互評定で得られたモデル座標系に、測量機1000で測量して得たパスポイントの座標位置を与え、地上の座標系に変換する絶対評定を行う。
【0043】
ここで絶対評定とは、相互評定で得られたモデル座標系を地上の座標系に変換する作業であり、画像上のポイントに、地上で計測された3次元座標値を与えることにより変換することができる。
【0044】
次にS87では、地上座標系の3次元データに変換する。例えば、このデータに基づいて地上に展開するオルソ画像を表示できる。
【0045】
ここでオルソ画像を説明する。カメラで撮影した写真が中心投影写真であるのに対し、中心投影写真を正斜投影したものをオルソフォトと呼んでいる。中心投影写真はレンズを通して撮影されているため、地図のように写真全体の縮尺が均一ではない。これに対してオルソフォトは正斜投影化されているため縮尺が均一であり、地図と同様の取扱いができる。
【0046】
デジタルカメラ3000の画像は小さなピクセル単位のデータから構成され、相互評定、絶対評定により、その一個一個に座標が与えられる。ディスプレイ等の2次元表示では3次元座標に応じて陰影が付けられる。座標変換ではピクセル単位の座標が新たに計算され回転等の動作として表示される。
【0047】
以上の様に本第1実施例は、測量機1000とデジタルカメラ3000とにより3次元座標データを演算し、ステレオ表示が可能な3次元測量装置に関するものである。
【0048】
図4と図5に示す様に測量機1000は、トータルステーションであり、角度(鉛直角及び水平角)を検出する電子セオドライトと、光波距離計を内蔵するものである。
【0049】
なお本実施例では、測量機1000とデジタルカメラ3000は、別体に構成されている。
【0050】
次に図6に基づいて、本実施例の測量機1000の電気的構成を説明する。
【0051】
測量機1000は、測距部1100と、角度測定部1400と、記憶部4200、表示部4300と、制御演算部4000と、操作・入力部5000とから構成されている。ここで、記憶部4200はデータ、プログラム等を記憶するためのものである。表示部4300と操作・入力部5000とにより、使用者が、測量機1000を操作等することができる。
【0052】
測距部1100は、光波距離計が使用されている。測距部1100は、反射光の位相差、時間差等から測距目標までの距離を測定するためのものである。測距部1100は、発光部1110と受光部1120とを備えており、発光部1110から発光した測距光が、測定対象物の方向へ射出する。測定対象物からの反射光が受光部1120に入射する様に構成されており、測定対象物までの距離を測定することができる。
【0053】
即ち、測量機1000から測定対象物までの距離は、発光部1110がパルス発光してから、受光部1120で受光されるまでの時間差により算出される。なお、この演算は制御演算部4000で実行される。
【0054】
角度測定部1400は、水平角、高低角を算出するためのものであり、鉛直角測角部1410と水平角測角部1420とから構成されている。
【0055】
鉛直角測角部1410は、例えば高低角エンコーダを使用して、水平又は天頂として高低回転量を検出することができる。水平角測角部1420は、例えば、水平角エンコーダが、基準方向からの水平回転量として検出することができる。これらのエンコーダは例えば、回動部に取り付けられたロータと、固定部の形成されたステータとから構成されている。
【0056】
鉛直角測角部1410と水平角測角部1420とからなる角度測定部1400が、検出された水平回転量及び高低回転量に基づいて、水平角及び高低角を算出する様に構成されている。
【0057】
測量機1000には、撮像素子110と画像回路120とからなる撮像装置100が装備されている。この撮像装置100は、測量機1000に内蔵させる構成であってもよく、別体を接続させる構成であってもよい。
【0058】
なお図7に示す様に撮像装置100は、広角用撮像素子111と望遠用撮像素子112とに切り替え可能に構成することもできる。広角用撮像素子111は、広い範囲を撮影可能なセンサーであり、望遠用撮像素子112は、ファインダー画像を撮影可能なセンサーである。
【0059】
制御演算部4000は、CPU等を含み、各種演算等を実行するものである。
【0060】
なお、測量機1000の演算部1300が演算する手順を記憶したプログラムを、FD、CD、DVD、RAM、ROM、メモリカード等の電子的記憶媒体に格納することができる。
【0061】
測量機1000は図4に示す様に、望遠鏡部4と、望遠鏡部4を上下回転できるように支持する托架部3と、托架部3を水平回転できるように支える基盤部2とから構成されている。基盤部2は、整準台1を介して三脚等に取付可能となっている。
【0062】
測量機1000には、操作・入力部5000に一部である操作パネルが形成され、表示部4300の一部となるディスプレイが取り付けられている。更に、望遠鏡部4には、対物レンズが露出している。
【0063】
なお画像上に既知点がある場合には、基準点が6つ必要であるが、図7に示す様な処理も可能である。即ちS91で基準点の測量を行い、S92で基準点を含む画像を取得した後、S81に進む様にすることもできる。
【0064】
「第2の実施例」
【0065】
第2の実施例は、パスポイントとなる少なくとも3点の基準点にターゲットマークを用いる3次元測定装置である。
【0066】
測量機1000としては、基準点に置いた反射プリズムまでの距離を測定することのできるトータルステーションを使用する。また、反射プリズムの代わりに、反射シートにマークを描いたターゲットマークを使用することもできる。
【0067】
なお、測量機1000の計測データとデジタルカメラ3000の画像との関係の1例を説明する。
【0068】
「数1」

【0069】
ここで、fは、デジタルカメラ3000の焦点距離であり、aは、デジタルカメラ3000の傾き(3軸の回転角)である(ω、φ、κ;ロール、ピッチ、ヨー角)であり、(X、Y、Z)は、測量機1000が計測した3次元データであり、(Xc、Yc、Zc)は、測量機1000に対するデジタルカメラ3000の位置座標である。
【0070】
ターゲットマークのベースは再帰反射シートで構成されている。シート上には視準点を表す十字線と、同じく視準を容易にする十字線を中心とした円が描かれている。円の上方には画像に変換した時に読み取りが容易となる様にバーコードが描かれている。円の下方には、測定者がターゲットマークを識別するための数字が描かれている。
【0071】
このターゲットマークの裏には接着剤が貼付され、任意の対象物に貼り付け可能となっている。また接着剤以外の他の取り付け手段と組み合わせてもよく、例えばシート上の磁石に貼り付ける構成にすることもできる。
【0072】
なおターゲットマークは、視準目標に対応するものであり、十字線を中心とした円は、視準を容易にするマークに該当するものである。
【0073】
その他の第2実施例の構成、作用等は、基準点の測定にプリズムを使用した以外は、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
【0074】
なお、画像座標を写真座標に変換することもできる。この写真座標を射影変換式により地上座標を演算する。この地上座標を射影変換の逆変換式により、探索画像の写真座標を求める。この探索画像の写真座標を画像座標に変換し、適宜のマッチング法を利用して対応点の探索を行うこともできる。
【0075】
また、ランダムな3次元座標のポイントデータをDEM(DIGITAL ELEVATION MODEL)に変換することもできる。これは、ランダムな3次元座標のポイントデータを不整三角網(TIN)のデータに変換し、このTINデータを正方格子のメッシュのDEM(DIGITAL ELEVATION MODEL)に変換するものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、測量装置と撮像装置とにより3次元座標データを演算するための3次元測量装置等であり、特に、測量装置により対応点の位置を決定し、ステレオ表示が可能な3次元測量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施例を説明する図である。
【図2】本発明の第1実施例を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施例を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施例を説明する図である。
【図5】第1実施例の測量機1000を説明する図である。
【図6】第1実施例の測量機1000の構成を説明する図である。
【図7】第1実施例の測量機1000の構成を説明する図である。
【図8】第1実施例の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0078】
1000 測量機
1100 測距部
1400 角度測定部
4000 制御演算部
100 撮像装置
3000 デジタルカメラ
10000 測定対象物







【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離と角度とから視準目標の位置を測定するための測量装置と、異なる複数の方向から前記視準目標を含む測定対象物の画像を取得するための撮像装置とを備え、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算するための演算処理手段とを備えた3次元測量装置。
【請求項2】
既知点に置かれた測量装置が、少なくとも3つの視準点の位置を測定し、演算処理手段が、該撮像装置の傾き、倍率等を補正し、該視準点の位置と前記撮像装置の画像とから該撮像装置の位置を求め、前記撮像装置の取得した測定対象物の3次元座標データを演算する請求項1記載の3次元測量装置。
【請求項3】
既知点に置かれた測量装置が、少なくとも3つの視準点の位置を測定し、演算処理手段が、該撮像装置の傾き、倍率等を補正し、該視準点の位置と前記撮像装置の画像とから、基準点座標を求め、この基準点座標を地上座標系の座標に変換することにより、測定対象物の3次元座標データを演算する請求項1記載の3次元測量装置。
【請求項4】
視準点であるパスポイントを手動又は自動で発生させる、請求項1記載の3次元測量装置。
【請求項5】
測量装置による距離データと角度データとから視準目標の位置を測定する第1工程と、複数の撮像装置により前記視準目標を含む画像を異なる方向から取得する第2工程と、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出する第3工程と、前記第1工程で計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出する第4工程と、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行う第5工程と、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付ける第6工程と、前記第6工程で得られたその関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算する第7工程とからなる3次元測量方法。
【請求項6】
距離と角度から視準目標の位置を測定すると共に視準目標を含む画像を取得するための測量装置と、異なる複数の方向から前記視準目標を含む測定対象物の画像を取得するための撮像装置とを備え、前記測量装置により計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算するための演算処理手段とを備えた3次元測量装置。
【請求項7】
測量装置が測定した視準目標の距離データと角度データとを読み取り、複数の撮像装置が、異なる方向から撮像した前記視準目標を含む画像データを読み取り、計測された少なくとも3点の基準点の位置と前記撮像装置による画像とから、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記測量装置により計測された視準点の位置から、前記撮像装置の傾き等を算出し、前記視準点を対応点として前記撮像装置の画像のマッチングを行い、前記測量装置が測定した視準点の位置と、前記マッチングを行った画像にある視準点とを関連付け、その関連付けに基づき前記測定対象物の3次元座標データを演算する手順を示すプログラムが記憶されているFD、CD、DVD、RAM、ROM、メモリカード等の電子的記憶媒体。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3132(P2006−3132A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177650(P2004−177650)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】