説明

CaSRアンタゴニスト

カルシウム感知受容体拮抗作用を有する化合物、それら化合物を含有してなる医薬組成物、特にカルシウム受容体拮抗薬並びに骨粗鬆症治療薬を提供する。下記式(1)で示される化合物、その薬学的に許容される塩またはその光学活性体:


(式中、各記号は明細書の記載と同義である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、カルシウム感知受容体(calcium−sensing receptor:CaSR、以下、単にカルシウム受容体という。)拮抗作用を有する化合物、それら化合物を含有してなる医薬組成物、特にカルシウム受容体拮抗薬並びに骨粗鬆症治療薬に関する。
【背景技術】
カルシウム受容体は細胞外のCa2+濃度を感知して細胞内のCa2+を上昇させ、それによってCa2+代謝調節及び骨代謝調節に係る副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の産生を抑制する働きをする。
正常な哺乳動物の血清カルシウム濃度は、厳格に約9〜10mg/100ml(約2.5mM)に維持されており、これを生体のカルシウムホメオスタシス(calcium homeostasis)と呼ぶ。この値が50%以下に低下すると、テタニー(強直)を起こし、逆に50%上昇すると意識の混濁を起こし、いずれの場合も生命を脅かす状態となる。このカルシウムホメオスタシスの維持には、十二指腸がCa2+の取込み器官として、骨がCa2+の貯蔵器官として、また腎臓がCa2+の排泄器官としてそれぞれ役割を担っている。さらに、そのようなCa2+動態の制御は、「カルシウム調節ホルモン」と総称される種々のホルモンにより行われている。代表的ホルモンには、活性型ビタミンD[1α,25(OH)]、PTH、カルシトニン、副甲状腺ホルモン関連蛋白(Parathyroid Hormone−Related Protein:PTH−related Protein:PTHrP)などが挙げられる。
骨は、生体の支持組織として、及び運動器官としての役割のみならず、その構成成分であるCa2+の貯蔵器官としての重要な役割を担っている。そのような機能を果たすために、骨組織は、一生涯の間、その形成(骨形成)と吸収(骨吸収)を繰り返している。骨形成は、間葉系細胞由来の骨芽細胞が主な役割を担っており、また骨吸収は、造血系細胞由来の破骨細胞が主な役割を担っている。骨形成のメカニズムは、骨形成表面に存在する骨芽細胞が産生する骨有機質(I型コラーゲンなどの骨基質蛋白)による類骨の形成とそれに引き続く石灰化を経るメカニズムである。一方、骨吸収のメカニズムは、破骨細胞が骨表面に付着し、プロテアーゼ酸分泌及びイオン輸送を介して細胞内にCa2+を吸収し、吸収したCa2+を骨髄側に排出することにより、血中にCa2+を送り出すメカニズムである。破骨細胞により吸収された骨の欠損部は、骨芽細胞による骨形成により修復される。このような一連の現象は、骨のリモデリングと呼ばれ、リモデリングにより、古い骨が新しい骨に置換され、骨全体の強度が維持されるとともに、カルシウムホメオスタシスが維持されている。
PTHは、カルシウムホメオスタシスの維持に中心的な役割を果たすホルモンである。血中Ca2+濃度が低下すると副甲状腺からPTHの分泌が直ちに促進され、骨においては骨芽細胞に作用して(骨芽細胞による破骨細胞の活性化、骨有機質分解酵素の産生など)破骨細胞性骨吸収を促進し、骨から血中へCa2+を動員する。また、PTHは、腎臓においては、遠位尿細管でのCa2+の再吸収を促進するとともに、近位尿細管では25(OH)ビタミンDの1α位を水酸化することで、腸管からのCa2+吸収を促進する機能を有する活性型ビタミンD[1α,25(OH)]の産生を促す。またリンの腎臓での再吸収を抑制する。以上のように、PTHは直接又は間接的に血中Ca2+濃度を上昇させる働きを有する。
一方、血中Ca2+濃度が上昇すると、カルシウム受容体がそれを感知し、副甲状腺からのPTHの分泌を直ちに抑制して、血中へ供給されるCa2+量を減少させる(ブラウン E.M.(Brown,E.M.)著、「ホメオスタティックメカニズムズ レギュレイティング エクストラセルラー アンド イントラセルラー カルシウム メタボリズム イン ザ パラサイロイズ(Homeostaticmechanisms regulating extracellular and intracellular calcium metabolism in the papathyroids)」、(米国)、ラヴェン・プレス(Raven press)、1994年、p.19参照)。PTHの分泌はまた、活性型ビタミンD[1α,25(OH)]によっても抑制される。
PTHはCa2+代謝調節及び骨代謝調節で重要な役割を担うホルモンであることから、骨粗鬆症治療に応用する試みが検討されている。1982年にTamらは甲状腺/副甲状腺摘出ラットにウシPTH(1−84)を持続投与すると大腿骨の海綿骨の骨形成と骨吸収がともに亢進し正味の骨量が減少するが、皮下に間歇投与すると骨吸収の亢進は見られず骨形成のみが亢進し、骨量が増加することを見出した(「エンドクリノロジー(Endocrinology)」、第110号、1982年、p.506−512参照)。更に、UzawaらはPTHの持続投与と間歇投与の作用を若齢ラット長管骨骨端部と骨幹端部海綿骨で比較した。その結果、PTHを持続投与すると軟骨内骨化の影響の大きい骨幹端部海綿骨で骨端板軟骨の肥厚や線維性骨炎などの異常所見を認めながらも骨量は顕著に増加したが、その影響の小さな骨端部海綿骨では骨吸収が著しく亢進し、また皮質骨の粗鬆化を伴って骨量が減少することを明らかにした(「ボーン(Bone)」、第16号、1995年、p.477−484参照)。また、PTHを間歇投与した場合には、骨端部と骨幹端部海綿骨いずれにおいても破骨細胞の増加や皮質骨の減少を伴わずに骨量及び骨梁幅が有意に増加していた旨の報告もなされている。
さらに、Scuttらは、ニワトリ頭蓋冠由来骨芽細胞では、PTHの短時間(10〜20分)処理は長時間(18時間)処理に比較して細胞増殖が促進することを報告している(「カルシファイド ティシュー インターナショナル(Calcified Tissue International)」、第55号、1994年、p.208−215参照)。このことからしても、PTHの骨芽細胞に対する作用のいくつかは一過性であり、かつ、それらの作用が極めて短時間の処理で発現するという現象は、in vivoにおけるPTHの持続投与と間歇投与とでは骨組織に対する作用が異なることと関連している可能性があると考えられる。
また、石津谷らはin vitroの実験系を用いて骨芽細胞の分化に対するPTHの作用を検討した結果、PTHの作用は処理時間に依存して異なることを明らかにしている。彼らは、まず培養したラット頭蓋冠由来骨芽細胞にPTHを持続的に作用させると、骨芽細胞の分化は強力に抑制され、in vitroの骨形成もほぼ完全に抑制されたが、48時間を1サイクルとして最初の6時間だけPTHを作用させることを繰り返すと、骨芽細胞の分化は有意に促進され、in vitroの骨形成が促進されたことを報告している。
また、PTHは骨粗鬆症モデルの骨量減少を予防するだけではなく、骨量減少が既に顕著に起こった動物に対しても骨量の回復効果を有すると考えられている。Wronskiらは、卵巣摘出後4週間で海綿骨が明らかに減少する90日齢のSDラットを用いて、卵巣摘出後4週目から15週間、ヒトPTH(1−34)を間歇投与した。その結果、投与開始後5週目から10週目まで骨形成の亢進と骨吸収の抑制が認められ、骨量が疑似手術群の約2倍まで増加することを示した(「エンドクリノロジー(Endocrinology)、第132号、1993年、p.823−831参照」。また、彼らは、この実験でエストロゲンやビスホスホネートは卵巣摘出による骨量減少を防止したが、PTHのような骨量増加は認められないことを報告している。また彼らは、この実験系の皮質骨を詳細に解析し、ヒトPTH(1−34)間歇投与により骨膜側及び骨内膜側に骨形成促進像と骨量増加が認められたことから、PTHによる海綿骨の増加は皮質骨の減少を伴ったものではないことも明らかにした(「ボーン(Bone)」、第15号、1994年、p.51−58参照)。
さらに、Mosekildeらは、ヒトPTH(1−34)又はヒトPTH(1−84)の間歇投与により、ラット椎体骨の海綿骨(「エンドクリノロジー(Endocrinology)」、第129号、1991年、p.421−428参照)や皮質骨(「ジャーナル オブ ボーン アンド ミネラル リサーチ(Journal of Bone and Mineral Research)」、第8号、1993年、p.1097−1101参照)では骨量の増加だけでなく、骨質の指標となる圧縮強度や曲げ強度も用量依存的に増加することを報告している。このようにPTHは実験動物では明らかな骨量増加作用を示すが、実際に臨床応用する際に想定される制約条件についても種々の検討が行われている。溝口は、骨粗鬆症の成因の一つと考えられている血中PTHが有意に上昇している状態でもPTH間歇投与による薬理作用が見られるか否かを検討し、通常通り骨量増加が起こることを認めている(「日骨形態誌」、第5巻、1995年、p.33−39参照)。また、高尾らは、PTHの投与間隔について検討し、正常ラットにおいて12週間、週1回の投与でも骨吸収の亢進を殆ど伴わず、用量依存的に骨量が増加することを報告し(「日骨代謝誌」、第12巻(Suppl.)、1994年、p.S343参照)、臨床的に有用な低頻回投与が有効である可能性を示唆した。以上の成績は、PTHは閉経後骨粗鬆症あるいは卵巣摘出後骨粗鬆症の治療に対し、骨量増加とともに骨折率も低下させ得る、強力かつ有望な治療薬となる可能性を示唆している。
これらの結果から、PTHを間歇投与することによって骨粗鬆症の治療が可能であることは明らかである。しかし、PTHの場合は投与手段として注射を採用しなければならず、多くの患者にとっては苦痛を伴うという問題も残っている。一方、血中のPTH濃度を間歇的に上昇させ得る経口投与可能な薬剤は、上記PTHや、従来のカルシトニンとは異なる新たな作用機序による骨粗鬆症治療薬として大いに期待される。
ところで、カルシウム受容体はPTH分泌調節に必須の分子としてクローニングされた、細胞膜を7回貫通するG蛋白質共役型受容体である。ヒトカルシウム受容体は1078個のアミノ酸からなり、ウシカルシウム受容体と93%のアミノ酸相同性を示している。ヒトカルシウム受容体は612個のアミノ酸からなる大きなN端細胞外領域と、250個のアミノ酸からなる細胞膜貫通領域、及び216個のアミノ酸からなるC端細胞内領域から構成されている。
カルシウム受容体は副甲状腺に加え、腎臓、甲状腺C細胞、脳などにも発現が認められ、骨においても骨髄細胞での発現が確認されている。
カルシウム受容体はCa2+などのリガンドと結合すると、G蛋白と共役してホスホリパーゼCを活性化し、イノシトール3リン酸の産生、細胞内Ca2+濃度の上昇をもたらし、その結果、PTHの分泌が抑制される(「ネイチャー(Nature)」、第366号、1993年、p.575−580参照)。
上記の通り、カルシウム受容体の活性化を阻害する薬剤、即ちカルシウム受容体に拮抗する薬剤は副甲状腺細胞におけるPTH分泌の抑制を解除し、PTH分泌を促進させる。また、この時拮抗作用がPTHの血中濃度を非持続的、間歇的に上昇させ得るものであるならば、その拮抗剤にはPTHを間歇投与した場合と同じ効果が期待でき、骨粗鬆症の治療に極めて有効な薬剤が得られるものと考えられる。
一方、シトクロム(cytochrome P450、以下、P450)はプロトヘムを含有する分子量5万前後のタンパク質であり、その生理機能は多岐にわたる。例えば、薬物代謝において様々な反応を触媒する酵素としての機能を有する。P450(CYP)のファミリーに属するCYP2D6は、ヒト薬物代謝酵素で重要なものであり、多くの化合物の代謝に関わっている。CYP2D6の代謝機能を阻害するような薬物を投与した場合、その薬物は体内に蓄積されることとなり、薬物の影響が強く出てしまうことがある。従って、薬物としては、CYP2D6の代謝機能阻害活性の弱い化合物が望ましい。
CaSR拮抗薬として有用な化合物は、これまでにも種々報告されている。
具体的には、例えば、下記一般式

〔Aはアリール等、DはC又はN、X及びXは水素、シアノ等、X、X及びXは水素、ハロゲン、C1−4アルキル等である。〕
で表される化合物(国際公開第02/38106号パンフレット参照)。
また、下記一般式

〔Aはアリール等、DはC又はN、X及びXは水素、シアノ等、Xは水素等、X及びXは水素、C1−4アルキル等である。〕
で表される化合物(国際公開第02/34204号パンフレット参照)、
また、下記一般式

〔AはC又はN、DはC又はN、Xはシアノ、ニトロ等、Yは塩素、フッ素等、Arはフェニル、ナフチル等である。〕
で表される化合物(国際公開第02/07673号パンフレット参照)、
また、下記一般式

〔Xはシアノ、ニトロ等、Yは塩素、フッ素等、Arはフェニル、ナフチル等である。〕
で表される化合物(特表2002−536330号公報、国際公開第00/45816号パンフレット、ヨーロッパ出願公開1148876号および米国特許6417215号参照)、
また、下記一般式

〔X、X、X、XおよびXは、H、ハロゲンなど、Yは、共有結合、無置換など、Yは、無置換、C1−4アルキルなど、Yは、共有結合、Oなど、RおよびRは、独立にメチル、エチルなど、Rは、アリール、縮合アリールなど、Rは、H、OHなど、Rは、H、C1−4アルキルなど、AおよびBは、独立に結合、CHなど、Gは、共有結合、CHR(Rは、Hなど)などである。〕
で表される化合物(特表2002−510671号公報、国際公開第99/51569号パンフレット、ヨーロッパ出願公開1070048号および米国特許6395919号参照)が記載されている。
また、CaSR拮抗薬として、下記一般式

〔Xは、下式

(式中、X、X、X及びXは独立に、CN、NOなど、WはR、SOなど、RはH、C1−4アルキルなど)など、Yは、共有結合、無置換など、Yは、無置換、C1−4アルキルなど、Yは、共有結合、Oなど、RおよびRは、独立にメチル、エチルなど、Rは、ヘテロアリール、縮合ヘテロアリールなど、Rは、H、OHなど、Rは、H、C1−4アルキルなど、AおよびBは、独立に結合、CHなど、Gは、共有結合、CHR(Rは、Hなど)などである。〕
で表される化合物(特表2002−510636号公報、国際公開第99/51241号パンフレット、ヨーロッパ出願公開1069901号および米国出願公開2002052509号参照)、
また、CaSR拮抗薬として下記一般式

〔式中、Yは共有結合、無置換など、Yは無置換、C1−4アルキルなど、Zは共有結合、Oなど、R及びRは独立に、メチル又はエチルなど、Rはフェニル、ナフチルなど、Gは共有結合又はC−R(ここでRはH、OHなど)、RはH、OHなど、RはH又はC1−4アルキルなど、A−B部位はCHCH、共有結合など
Xは下式

(式中、WはR、SO(ここでRは水素、C1−4アルキルなど)など、X、X、X及びXは独立に、CN、NOなど、Rは水素、C1−4アルキルなど)などである〕で表される化合物(特表2001−523223号公報、国際公開第98/45255号パンフレット、ヨーロッパ出願公開973730号および米国特許6294531号参照)、
また、CaSR拮抗薬として下記一般式

〔Rはアリール等、Rは水酸基等、R及びRは低級アルキル等、Rは置換ナフチル、置換フェニル等、Yはアルキレン等、Yはアルキレン、Yはアルキレン、Zは酸素等である。〕
で表される化合物(特表2001−501584号公報、国際公開第97/37967号パンフレット、ヨーロッパ出願公開901459号および米国特許6022894号参照)、
また、下記一般式

〔Xはニトロ等、Yは水素等、QはC1−4アルキル等、Arはフェニル、ナフチル等、mは0〜2、nは1〜3である。〕
で表される化合物(特表2002−522499号公報、国際公開第00/09132号パンフレットおよびヨーロッパ出願公開1112073号参照)、
また、下記一般式

〔Xはシアノ等、Yは塩素等、Qは水素等、Wは酸素等、Dは水素等、nは2〜4である。〕
で表される化合物(特表2002−522532号公報、国際公開第00/09491号パンフレットおよびヨーロッパ出願公開1104411号参照)が記載されている。
Maxine Gowenらは、CaSR拮抗作用を有するNPS−2143と呼ばれる化合物

をOVXラットに経口投与して、その血中濃度や骨密度を測定することによって、該NPS−2143の骨形成に対する影響を試験し、その結果を報告している(「ザ ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲイション(The Journal of Clinical Investigation)」、第105号、2000年、p.1595−1604参照)。
それによれば、NPS−2143はPTHの放出を有意に促進するものの、in vitroでは骨芽細胞と破骨細胞に対して何ら直接的な効果を有しておらず、結果的には骨減少もなければ骨増加もなかったとのことである。その原因の一つとして、NPS−2143の血中半減期が長すぎることが指摘されている。即ち、OVXラットにラットPTH(1−34)を5μg/kgの用量で投与した場合は、血中PTH濃度は30分後には約175pg/mlのピークとなり、2時間後には再び元の状態に戻るのに対して、NPS−2143を100μmol/kgの用量で投与した場合は、血中PTH濃度は30分後に約115pg/mlとなった後にもさらにPTH濃度は上昇し続け、4時間後においてさえその濃度は約140pg/mlであった(「ザ ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲイション(The Journal of Clinical Investigation)」、第105号、2000年、p.1595−1604、第1598頁、第3図参照)。
またこの時、NPS−2143自体の血中濃度は、投与8時間後でも100ng/ml以上に上昇したままであって、10ng/ml以下となって検出できなくなるのは24時間後であった。
上記Maxine Gowenらの文献は、血中半減期があまりに長いカルシウム受容体拮抗剤は、あたかもPTHを持続的に投与した場合と同様の結果をもたらし、決して骨量増加を期待できないことを示すものである。このように従来の大半のカルシウム受容体拮抗剤はいずれも持続的に血中PTH濃度を上昇させるものであって、十分な骨形成促進作用を期待することができない。従来のカルシウム受容体拮抗剤中、優れたカルシウム受容体拮抗作用を有し、且つ経口、間歇投与可能であり、しかも血中PTH濃度を非持続的に、間歇的に上昇させることが可能である、下記一般式[I]

〔Rは置換されてもよいアリール基等、RはC1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基等、Rは水酸基等、Rは水素原子等、R及びRはC1−6アルキル基等、Rは置換されてもよいアリール基等、Xは単結合、C1−6アルキレン等、Xは置換されてもよいC1−6アルキレン、Xは単結合又は置換されてもよいC1−6アルキレン、X及びXは一緒になって単結合、メチレン等である。〕
で表される化合物が開示されている(国際公開第02/14259号パンフレット参照)。当該公報に開示されている範囲の化合物と、本発明化合物との活性を比較したところ、驚くべきことに本発明化合物がより高い活性を有し、かつ、代謝酵素CYP2D6の阻害作用が低い化合物であることが分かった。
しかしながら、このような有効な化合物の報告は少なく、さらなる研究が望まれている。
本発明は、優れたカルシウム受容体拮抗作用を有し、且つ経口投与可能であり、しかも血中PTH濃度を非持続的に、間歇的に上昇させることが可能な化合物を提供することを目的とする。また本発明は、該化合物を含有してなる、カルシウムホメオスタシスの異常を伴う疾患、即ち骨粗鬆症、上皮小体機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折、変形性関節症、慢性関節リウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症、常染色体優性低カルシウム血症等の治療薬、特に骨粗鬆症治療薬として有効な、経口投与及び間歇投与可能な医薬組成物を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)または(1’)で表される化合物が優れたカルシウム受容体拮抗作用を有し、且つ経口投与可能なことを見出して、本発明を完成した。下記一般式(1)または(1’)で表される化合物は驚くべきことに血中PTH濃度を非持続的に、間歇的に上昇させることが可能であり、優れた骨粗鬆症治療薬としての実用化が大いに期待できるものである。
後述の試験例からも明らかな通り、本発明化合物は、優れたカルシウム受容体拮抗作用を有するばかりか、非持続的で、一過性のPTH分泌促進作用を有するものである。従って、本発明化合物を投与することによって、PTHを間歇投与した場合と同様の効果が得られ、骨粗鬆症の治療に極めて有効であると考えられる。しかも、本発明化合物は後記の試験例に示す通り、CYP2D6の代謝機能阻害活性が弱く、医薬品として望ましいといえる。本発明のPTH分泌促進作用は、従来知られている化合物に比べ低用量から認められる。また、本発明化合物は、経口吸収性や溶解性が改善されており、副作用が弱いことも明らかである。
本発明は、下記一般式(1)または(1’)で示される化合物、該化合物を有効成分とするカルシウム受容体拮抗薬並びに骨粗鬆症治療薬に関する。より詳しくは、下記[1]乃至[12]に示す通りである。
[1] 下記式(1)で示される化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:

環Aは、C3−6シクロアルキル基、

を示し、
は、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)O−C1−6アルキレン−(ここで、RはC1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を表す。)を表し、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、

(ここで、mは0乃至6の整数を表す。)または

を表し、nは0または1を表す。]を示し、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、ニトロ基、アミノ基、オキサロ基、C1−6アルキル基でエステル化されていてもよいリン酸基、RO−C(=O)−(Rは前記と同様の意味を表す。)または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を有する5乃至6員のヘテロ環残基(該ヘテロ環残基はオキソ基で置換されていてもよい)を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基またはハロC1−アルコキシ基を示し、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を示し、
は、水素原子またはR(ここで、Rはカルボキシル基で置換されてもよいC1−7アシル基を表す。)を示す、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基を示すか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成し、
但し、(1)環Aが式(a)の基であり、かつRがC1−6アルキル基であるとき、RはRであり、
(2)環Aが式(b)の基であり、かつRがカルボキシル基またはC1−6アルコキシ−カルボニル基であるとき、RはC2−4アルケニル基であり、
(3)環Aが式(b)の基であり、かつRがヒドロキシカルバモイル基であるとき、Rは水素原子であり、あるいは
(4)環Aが式(a)の基であり、RがRO−C(=O)−X−(O)n−であり、かつXが

のとき、nは0である。
[2] 環Aが、

であり、
が、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rが水素原子であり、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、

(ここで、mは0乃至6の整数である。)または

であり、nは0である。]であり、
が、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基であり、
は、水素原子であり、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基であるか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成する、上記[1]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[3] 環Aが、

であり、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基またはアミノ基であり、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基またはハロC1−アルコキシ基であり、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基であり、
は、水素原子であり、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基であるか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成する、上記[1]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[4] 以下の構造式からなる群から選択される、上記[1]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:







[5] 下記式(1’)で示される化合物、その薬学的に許容される塩またはその光学活性体:

環Aは、C3−6シクロアルキル基、

を示し、
は、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)O−C1−6アルキレン−(ここで、RはC1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を表す。)を表し、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、または

(ここで、mは0乃至6の整数を表す。)を表し、nは0または1を表す。]を示し、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、ニトロ基、アミノ基、C1−6アルキル基でエステル化されていてもよいリン酸残基、RO−C(=O)−(Rは前記と同様の意味を表す。)または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を有する5乃至6員のヘテロ環残基(該ヘテロ環残基はオキソ基で置換されていてもよい)を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を示し、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を示し、
は、水素原子またはR(ここで、Rはカルボキシル基で置換されてもよいC1−7アシル基を表す。)を示す、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基を示すか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成し、
但し、(1)環Aが式(a)の基であり、かつRがC1−6アルキル基であるとき、RはRであり、
(2)環Aが式(b)の基であり、かつRがカルボキシル基またはC1−6アルコキシ−カルボニル基を表すとき、RはC2−4アルケニル基であり、
(3)環Aが式(b)の基であり、かつRがヒドロキシカルバモイル基であるとき、Rは水素原子であり、あるいは
(4)環Aが式(a)の基であり、RがRO−C(=O)−X−(O)n−であり、かつXが

のとき、nは0である。
[6] 上記[1]乃至[5]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物。
[7] 薬学的に許容される担体と、有効成分として上記[1]乃至[5]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物。
[8] 薬学的に許容される担体と、有効成分として上記[1]乃至[5]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる骨粗鬆症治療薬。
[9] 他の骨粗鬆症治療薬との併用のための上記[8]記載の骨粗鬆症治療薬。
[10] 他の骨粗鬆症治療薬がカルシウム剤、ビタミンD製剤、ビタミンK製剤、女性ホルモン製剤、エストロゲンアンタゴニスト製剤、蛋白同化ステロイド製剤、副甲状腺ホルモン製剤、カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤およびイプリフラボン製剤からなる群より選ばれる、上記[9]記載の骨粗鬆症治療薬。
[11] 骨粗鬆症患者に有効量の上記[1]乃至[5]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを特徴とする骨粗鬆症の治療方法。
[12] 薬学的に許容される担体と、有効成分として上記[1]乃至[5]記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなるカルシウム受容体拮抗薬。
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書において使用する用語の定義は次の通りである。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、特に好ましくは塩素原子である。
「C1−6アルキル基」とは、炭素数1乃至6個、好ましくは1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基及びtert−ブチル基から選ばれるC1−4アルキル基である。Rとしては、メチル基が好ましい。R、Rとしてはメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Rとしては、メチル基が好ましい。R、R、Rとしてはメチル基が好ましい。Rとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
「ハロC1−6アルキル基」とは、前記「C1−6アルキル基」に1又はそれ以上のハロゲン原子が置換したハロアルキル基を表し、その置換位置は化学的に許容されるならば、特に限定されるものではない。「ハロC1−6アルキル基」としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−ブロモエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、3−クロロプロピル基又は4−クロロブチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基又は2,2,2−トリクロロエチル基のハロC1−2アルキル基であり、特に好ましくはトリフルオロメチル基である。
「ヒドロキシ−C1−6アルキル基」とは、前記「C1−6アルキル基」に水酸基が置換したヒドロキシアルキル基を表し、その置換位置は化学的に許容されるならば、特に限定されるものではない。「ヒドロキシ−C1−6アルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル基、5−ヒドロキシペンチル基又は6−ヒドロキシヘキシル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基及び4−ヒドロキシブチル基から選ばれるヒドロキシ−C1−4アルキル基である。
「C1−6アルコキシ基」とは、炭素数1乃至6個、好ましくは1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を表し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基又はtert−ブトキシ基から選ばれるC1−4アルコキシ基である。
「ハロC1−6アルコキシ基」とは、前記「C1−6アルコキシ基」に1又はそれ以上のハロゲン原子が置換したハロアルコキシ基を表し、その置換位置は化学的に許容されるならば、特に限定されるものではない。「ハロC1−6アルコキシ基」としては、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ジブロモメトキシ基、トリブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジヨードメトキシ基、トリヨードメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、3−クロロプロポキシ基又は4−クロロブトキシ基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリクロロエトキシ基のハロC1−2アルコキシ基であり、特に好ましくはトリフルオロメトキシ基である。
「C1−6アルコキシ−カルボニル基」とは、C1−6アルコキシ部が前記「C1−6アルコキシ基」であるアルコキシ−カルボニル基を表す。例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基又はtert−ブトキシカルボニル基である。
「C1−7アシル基」とは、炭素数1乃至7個のアルカノイル基、アルケノイル基又はアロイル基を表し、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、エテノイル基、プロペノイル基、ブテノイル基又はベンゾイル基等が挙げられる。好ましくはホルミル基、アセチル基、ピバロイル基又はベンゾイル基である。当該アシル基はカルボキシル基で置換されていてもよく、例えばカルボキシアセチル基、3−カルボキシプロピオニル基、4−カルボキシブチリル基、3−カルボキシプロペノイル基等が挙げられる。
「C3−6シクロアルキル基」とは、炭素数3乃至6個の環状アルキル基を表し、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基等が挙げられ、好ましくはシクロプロピル基、シクロブチル基又はシクロペンチル基等のC3−5シクロアルキル基であり、より好ましくはシクロプロピル基又はシクロブチル基であり、特に好ましくはシクロプロピル基である。
「C2−4アルケニル基」とは、炭素数2乃至4個のアルケニル基を表し、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。
「C1−6アルキレン基」とは、炭素数1乃至6個、好ましくは1乃至4の、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表し、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、

等が挙げられる。好ましくはメチレン基、プロピレン基又はブチレン基である。
に含まれる「C1−6アルキレン基」としては、

が好ましく、特に

が好ましい。
「C2−4アルケニレン基」とは、炭素数2乃至4個、好ましくは2乃至3個のアルケニレン基を表し、例えばビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、3−ブテニレン基等が挙げられる。好ましくはビニレン基、1−プロペニレン、2−プロペニレン基であり、特にビニレン基が好ましい。
「C2−4アルキニレン基」とは、炭素数2乃至4個、好ましくは2乃至3個のアルキニレン基を表し、例えばエチニレン、1−プロピニレン、2−プロピニレン、1−ブチニレン、2−ブチニレン、3−ブチニレン、1−ペンチニレン、2−ペンチニレン、3−ペンチニレン、4−ペンチニレン、1−ヘキシニレン、2−ヘキシニレン、3−ヘキシニレン、4−ヘキシニレン又は5−ヘキシニレン等が挙げられる。好ましくはエチニレン、1−プロピニレン、2−プロピニレンである。
「C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基」とは、前記「C1−7アシルアミノ基」が前記「C1−6アルキル基」に置換した基であり、例えば、ホルミルアミノメチル基、アセチルアミノメチル基、プロピオニルアミノメチル基、ブチリルアミノメチル基、ピバロイルアミノメチル基、ホルミルアミノエチル基、アセチルアミノエチル基、プロピオニルアミノエチル基、ブチリルアミノエチル基、ピバロイルアミノエチル基、ホルミルアミノプロピル基、アセチルアミノプロピル基、プロピオニルアミノプロピル基、ブチリルアミノプロピル基、ピバロイルアミノプロピル基、ホルミルアミノブチル基、アセチルアミノブチル基、プロピオニルアミノブチル基、ブチリルアミノブチル基、ピバロイルアミノブチル基、ホルミルアミノペンチル基、アセチルアミノペンチル基、プロピオニルアミノペンチル基、ブチリルアミノペンチル基、ピバロイルアミノペンチル基、ホルミルアミノヘキシル基、アセチルアミノヘキシル基、プロピオニルアミノヘキシル基、ブチリルアミノヘキシル基、ピバロイルアミノヘキシル基等のアルカノイルアミノ−C1−6アルキル基;ベンゾイルアミノメチル基、ベンゾイルアミノエチル基、ベンゾイルアミノプロピル基、ベンゾイルアミノブチル基、ベンゾイルアミノペンチル基、ベンゾイルアミノヘキシル基等のアロイルアミノ−C1−6アルキル基が挙げられ、中でもアセチルアミノメチル基又はアセチルアミノエチル基が好ましい。
「カルボキシ−C1−6アルキル基」とは、前記「C1−6アルキル基」にカルボキシル基が置換した基であり、例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基などが挙げられる。中でも、カルボキシメチル基が好ましい。
「C1−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基」とは、前記「C1−6アルコキシ−カルボニル基」が前記「C1−6アルキル基」に置換した基であり、例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、ペンチルオキシカルボニルメチル基、ヘキシルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。好ましくはメトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基などが挙げられ、特に好ましくはエトキシカルボニルメチル基である。
「カルバモイル−C1−6アルキル基」とは、カルバモイル基が前記「C1−6アルキル基」に置換した基であり、例えば、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基、カルバモイルプロピル基、カルバモイルブチル基、カルバモイルペンチル基、カルバモイルヘキシル基などが挙げられる。好ましくはカルバモイルメチル基である。
「C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基」とは、メチルスルホニルカルバモイル基、エチルスルホニルカルバモイル基、プロピルスルホニルカルバモイル基、ブチルスルホニルカルバモイル基、ペンチルスルホニルカルバモイル基、ヘキシルスルホニルカルバモイル基などが挙げられる。好ましくはメチルスルホニルカルバモイル基である。
「C1−6アルキル基でエステル化されていてもよいリン酸残基」とは、前記「C1−6アルキル基」がリン酸基(−PO)に置換してもよい基を表し、例えば、ホスホノ基、ヒドロキシメトキシホスホリル基、エトキシヒドロキシホスホリル基、ヒドロキシプロポキシホスホリル基、ブトキシヒドロキシホスホリル基、ヒドロキシペンチルオキシホスホリル基、ヘキシルオキシヒドロキシホスホリル基、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、ジプロポキシホスホリル基、ジブトキシホスホリル基、エトキシメトキシホスホリル基、メトキシプロポキシホスホリル基、ブトキシメトキシホスホリル基などが挙げられる。中でもホスホノ基、ヒドロキシメトキシホスホリル基、エトキシヒドロキシホスホリル基が好ましく、特にホスホノ基、エトキシヒドロキシホスホリル基が好ましい。
「窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を有する5乃至6員のヘテロ環残基」とは、例えば、チエニル基、ジヒドロチエニル基、フリル基、ジヒドロリル基、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、チアゾリル基、チアゾリニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾリニル基、オキサゾリル基、オキサゾリニル基、イソオキサゾリル基、イソオキサゾリニル基、トリアゾリル基、トリアゾリニル基、チアジアゾリル基、チアジアゾリニル基、オキサジアゾリル基、オキサジアゾリニル基、ジチアゾリル基、ジチアゾリニル基、ジオキサゾリル基、ジオキサゾリニル基、テトラゾリル基等の不飽和5員環;ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラニル基等の不飽和6員環;ピロリジニル基、オキソラニル基、ジオキソラニル基、チオラニル基、ジチオラニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基等の飽和5員環;ピペリジニル基、オキサニル基、チアニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ジオキサニル基、ジチアニル基などが挙げられる。好ましくはオキサジアゾリル基、チアジアゾリル基又はテトラゾリル基である。該ヘテロ環残基はオキソ基で置換されていてもよい。
本発明化合物の「塩」としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は硝酸塩等の無機酸付加塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はアスコルビン酸塩等の有機酸付加塩;アスパラギン酸塩又はグルタミン酸塩等のアミノ酸付加塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛等との無機塩基塩;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グアニジン、メグルミン又は2−アミノエタノール等との有機塩基塩;アスパラギン、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン又はリジン等のアミノ酸との塩基塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい塩は塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩であり、特に塩酸塩又はナトリウム塩が好ましい。
本発明化合物は、溶媒和物を含むものであり、ここで化合物の「溶媒和物」とは、結晶やアモルファス等の固体状態又は溶液中において、本発明化合物が水、アルコール等の溶媒分子とファンデルワールス力や、静電的相互作用、水素結合、電荷移動結合、配位結合等の比較的弱い結合で結合したものを意味する。また、場合によっては、含水物や含アルコール物等の固体状態中に溶媒が取り込まれているものであってもよい。好ましい溶媒和物は水和物である。
化合物の「プロドラッグ」とは、化学的又は代謝的に分解し得る基を有し、加水分解や加溶媒分解によって、又は生理的条件下で分解することによって医薬的に活性を示す本発明化合物の誘導体である。本発明に係る一般式(1)または(1’)におけるRで表される置換基、及びRで表される置換基は、プロドラッグを指向した置換基であり、−COR及び/又は−ORは生体内で−COH及び/又は−OHに変換される置換基である。
本発明に係る一般式(1)または(1’)で表される化合物は、種々の異性体、例えば光学異性体、立体異性体、幾何異性体、互変異性体等が存在し得る。本発明の範囲にはこれら全ての異性体及びそれらの混合物が包含される。
本発明化合物を医薬品として用いる場合の形態としては、化合物それ自体(遊離体)、化合物の塩、化合物の溶媒和物又は化合物のプロドラッグ体があるが、好ましい形態は、遊離体、化合物の塩又は化合物の溶媒和物であり、特に好ましくは化合物の塩である。
本発明化合物を有効成分として含有する骨粗鬆症治療薬は、他の骨粗鬆症治療薬と併用することができる。他の骨粗鬆症治療薬としては、例えば、カルシウム剤(乳酸カルシウム(Calcium Lactate)、グルコン酸カルシウム(Calcium Gluconate)、L−アスパラギン酸カルシウム(Calcium Aspartate)、塩化カルシウム(Calcium Chloride)、リン酸水素カルシウム(Calcium Hydrogen Phosphate)等が挙げられる。)、ビタミンD製剤(アルファカルシドール(Alfacalcidol)、カルシトリオール(Calcitriol)、マキサカルシトール(Maxacalcitol)、ファレカルシトリオール(Falecalcitriol)等が挙げられる。)、ビタミンK製剤(メナテトレノン(Menatetrenone)等が挙げられる。)、女性ホルモン製剤(エストラジオール(Estradiol)、エストリオール(Estriol)等が挙げられる。)、エストロゲンアンタゴニスト製剤(ラロキシフェン(Raloxifen)等が挙げられる。)、蛋白同化ステロイド製剤、副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド(Teriparatide)、PTH(1−84)等が挙げられる。)、カルシトニン製剤(エルカトニン(Elcatonin)、サケカルシトニン(Calcitonin salmon)等が挙げられる。)、ビスホスホネート製剤(アレンドロン酸ナトリウム水和物(Alendronate sodium hydrate)、リセドロン酸ナトリウム水和物(Sodium risedronate hydrate)、エチドロン酸二ナトリウム(Etidronate disodium)、パミドロン酸二ナトリウム(Pamidronate disodium)、インカドロン酸二ナトリウム(Incadronate didodium)等が挙げられる。)、イプリフラボン製剤(イプリフラボン(Ipriflavone))、その他骨粗鬆症治療剤、例えばラネル酸ストロンチウム(Strontium Ranelate)、WNT阻害剤、PPARγアゴニスト、オステオポンチン(Osteopontin)、スタチン製剤(Statin preparation)、RANK/RANKL阻害剤、Src阻害剤、Pyk2阻害剤、オステオプロテジェリン(Osteoprotegerin)などが挙げられる。本発明化合物および他の骨粗鬆症治療薬を含有する骨粗鬆症治療薬は、骨粗鬆症患者に有効量投与することができる。
次に、本発明に係る一般式(1)または(1’)で示される化合物の製造方法を具体的に説明する。しかしながら本発明はこれらの製造方法に限定されるものでないことは勿論である。本発明化合物を構築するに際し、構築順序は適宜行い易い部位から行えばよい。また、各工程において、反応性官能基がある場合は適宜保護、脱保護を行えばよく、反応の進行を促進するために、例示した試薬以外の試薬を適宜用いることができる。
各工程で得られる化合物は全て常法で単離および精製することができるが、場合によっては、単離精製せず次の工程に進むことができる。
以下、Rが水素原子である場合について説明する。
<環Aがヘテロ環残基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法1>

(式中、Lはハロゲン原子(前記と同義)を表し、Lは脱離基、例えばハロゲン原子(前記と同義)又は3−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基若しくはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基を表し、その他の各記号はそれぞれ前記と同義である。)
第1A工程
イソプロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、メタノール、エタノールなどあるいはこれらの混合溶媒中、化合物(1A)を、−10℃乃至室温で、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等の還元剤により還元することによって、化合物(2A)が得られる。また、化合物(1A)を、(+)−B−クロロジイソピノカンフェイルボラン、(S)−5,5−ジフェニル−2−メチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン−ボラン−ジメチルスルフィド錯塩等の不斉還元剤を用いた還元反応や、ジクロロ[(S)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル][(S)−1,1’−ビス(p−メトキシフェニル)−2−イソプロピルエタン−1,2−ジアミン]ルテニウム(II)等のルテニウム錯体及びカリウム−tert−ブトキシドを用いた不斉水素化反応に付すことにより、立体選択的に反応が進行し、化合物(2A)のR体が得られる。
第2A工程
第1A工程で得られる化合物(2A)を、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、水等あるいはこれらの混合溶媒中、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基存在下、0℃乃至室温で化合物(3A1)又は化合物(3A2)と反応させることにより、化合物(4A)が得られる。この場合、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等の硫酸水素アルキルアンモニウムを加えることができる。
用いる試薬や脱離基の選択により、立体選択的な反応が行える。
例えば、化合物(2A)を、N,N−ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムの存在下、(R)−グリシジルノシレートと反応させることにより、化合物(4A)が得られる。
第3A工程
第2A工程で得られる化合物(4A)を、トルエン、エタノール、ベンゼン、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、水等あるいはこれらの混合溶媒中、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)などのパラジウム触媒と、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム(KPO)、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の塩基を用いて、化合物(5A)と反応させることにより、化合物(6A)が得られる(鈴木カップリング反応)。
第4A工程
第3A工程で得られる化合物(6A)と化合物(7A)を、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、トルエン等あるいはこれらの混合溶媒中、室温乃至還流温度で反応させることにより、化合物(8A)が得られる。この場合、過塩素酸リチウム等の過塩素酸アルカリを加えることが好ましい。
第5A工程
N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、水等あるいはこれらの混合溶媒中、第4A工程で得られる化合物(8A)を塩化アンモニウムおよびアジ化ナトリウムと室温乃至還流温度で反応させることにより、化合物(9A)が得られる。
<環Aがヘテロ環残基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法2>

(式中、Pは水酸基の保護基であり、その他の各記号は前記と同義である。)
第1B工程
化合物(8A)の水酸基を常法にて保護することにより、化合物(1B)が得られる。例えば、水酸基をtert−ブチルジメチルシリル基(TBS)で保護する場合、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、イミダゾールなどの塩基の存在下、tert−ブチルジメチルシリルクロライドと反応させることにより、化合物(1B)が得られる。その他の保護基での保護を所望の場合は、当該保護基を導入するために通常行われる方法を用いればよい。
第2B工程
第1B工程で得られる化合物(1B)と化合物(2B)をジメチルスルホキシド、エタノール、水等あるいはこれらの混合溶媒中、室温乃至還流温度で反応させることにより、化合物(3B)が得られる。
第3B工程
第2B工程で得られる化合物(3B)を、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等あるいはこれらの混合溶媒中、1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(TCDI)と反応させた後、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等あるいはこれらの混合溶媒中、三フッ化ホウ素エーテル錯塩で処理することにより、化合物(4B)が得られる。
第4B工程
第3B工程で得られる化合物(4B)の水酸基の保護基を常法にて脱保護することにより、化合物(5B)が得られる。例えば、t−ブチルジメチルシリル基(TBS)で保護されている場合、テトラヒドロフラン、水等あるいはこれらの混合溶媒中、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)と反応させることにより、化合物(5B)が得られる。その他の保護基で保護されている場合は、当該保護基を除去するために通常行われる方法を用いればよい。
<環Aがヘテロ環残基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法3>

(式中、各記号は前記と同義である。)
第1C工程
第2B工程で得られる化合物(3B)を、クロロホルム、塩化メチレンなどの溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、などの塩基の存在下、クロロ炭酸エチル等のクロロ炭酸アルキルと反応させ、次いでキシレン、トルエン等の溶媒中、室温乃至還流温度で環化することにより、化合物(1C)が得られる。
第2C工程
第1C工程で得られる化合物(1C)を第4B工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2C)が得られる。
環Aが、ここに例示したヘテロ環以外のヘテロ環で置換されたビフェニルである化合物を所望の場合は、所望のヘテロ環を構築するために通常行われる方法を行うことによって、環Aが当該ヘテロ環で置換されたビフェニルである化合物が得られる。
<環Aが−O−X−COHで置換されたフェニルである化合物の製造方法>

(式中、Lはハロゲン原子(前記と同義)を表し、RはC1−6アルキル基(前記と同義)を表し、その他の各記号は前記と同義である)
第1D工程
化合物(1D)を、常法にて水酸基を保護することにより、化合物(2D)が得られる。例えば、水酸基を2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)基で保護する場合、クロロホルム、塩化メチレン等の溶媒中、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルハライド(例えば、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド(SEMCl))と反応させることにより、化合物(2D)が得られる。また、その他の保護基で保護する場合は、当該保護基を導入するために通常行われる方法を用いればよい。
第2D工程
第1D工程で得られる化合物(2D)を第1A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(3D)が得られる。
第3D工程
第2D工程で得られる化合物(3D)を化合物(3A1)又は化合物(3A2)と、第2A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4D)が得られる。
第4D工程
第3D工程で得られる化合物(4D)を化合物(7A)と、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5D)が得られる。
第5D工程
第4D工程で得られる化合物(5D)の水酸基の保護基を、常法にて脱保護することにより、化合物(6D)が得られる。例えば、化合物(5D)の水酸基が2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基で保護されている場合、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン中、テトラブチルアンモニウムハライド(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオライドなど)およびMS4Aの存在下で脱保護することにより、化合物(6D)が得られる。また、その他の保護基で保護されている場合は、当該保護基を除去するために通常行われている方法を行えばよい。
第6D工程
N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル等あるいはこれらの混合溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基の存在下、第5D工程で得られる化合物(6D)を化合物(7D)と反応させることにより、化合物(8D)が得られる。
第7D工程
第6D工程で得られる化合物(8D)を常法にて加水分解することにより、化合物(9D)が得られる。例えば、化合物(8D)を、テトラヒドロフラン−メタノール−水中、水酸化ナトリウム存在下で加水分解することにより、化合物(9D)が得られる。
<環Aが−C2−4アルキニレン−COHで置換されたフェニルである化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1F工程
第2A工程と同様にして得られる化合物(4A’)を、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の溶媒中、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)などのパラジウム触媒、ヨウ化銅などの触媒および炭酸カリウム、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、化合物(1F)と反応させることにより、化合物(2F)が得られる。
第2F工程
第1F工程で得られる化合物(2F)と化合物(7A)を第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(3F)が得られる。
第3F工程
第2F工程で得られる化合物(3F)を第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4F)が得られる。
<環AがC1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1G工程
化合物(4A)と化合物(1G)を、第3A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2G)が得られる。
第2G工程
第1G工程で得られる化合物(2G)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(3G)が得られる。
第3G工程
第2G工程で得られる化合物(3G)を第1B工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4G)が得られる。
第4G工程
第3G工程で得られる化合物(4G)を第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5G)が得られる。
第5G工程
第4G工程で得られる化合物(5G)を、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン等の溶媒中、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどの塩基および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤の存在下、メタンスルホンアミドと反応させることにより、化合物(6G)が得られる。
第6G工程
第5G工程で得られる化合物(6G)を第4B工程と同様な反応に付すことにより、化合物(7G)が得られる。
<環Aがカルバモイル基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1H工程
第4G工程で得られる化合物(5G)を、N,N−ジメチルホルムアミド中、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の添加剤およびトリエチルアミンの存在下、塩化アンモニウムまたはアンモニア水と反応させることにより、化合物(1H)が得られる。
第2H工程
第1工程で得られる化合物(1H)を、第4B工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2H)が得られる。
<環Aがヒドロキシカルバモイル基で置換されたビフェニルである化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である。)
第1I工程
第4G工程で得られる化合物(5G)をN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル等あるいはこれらの混合溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルホスホリルアジド、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)等の縮合剤及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ジメチルアミノピリジン等の添加剤存在下、O−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミンと反応させることにより、化合物(1I)が得られる。
第2I工程
第1I工程で得られる化合物(1I)を、第4B工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2I)が得られる。
<環Aがカルボキシチエニル基で置換されたフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1J工程
化合物(1J)のカルボキシル基を常法にてエステル化することにより化合物(2J)が得られる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン等の溶媒中、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどの塩基および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤存在下、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールと反応させることにより、化合物(2J)が得られる。また、化合物(1J)を、硫酸などの酸触媒存在下、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールと反応させることにより、化合物(2J)が得られる。
第2J工程
第1J工程で得られる化合物(2J)と化合物(3J)を、第3A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4J)が得られる。
第3J工程
第2J工程で得られる化合物(4J)を、第1A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5J)が得られる。
第4J工程
第3J工程で得られる化合物(5J)と化合物(3A1)又は化合物(3A2)を、第2A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(6J)が得られる。
第5J工程
第4J工程で得られる化合物(6J)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(7J)が得られる。
第6J工程
第5J工程で得られる化合物(7J)を、第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(8J)が得られる。
<環Aがニトロビフェニル基及びアミノビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、Yはハロゲン原子(前記と同義)又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、その他の各記号はそれぞれ前記と同義である。)
第1K工程
化合物(1K)を、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン等あるいはこれらの混合溶媒中、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)またはそのジクロロメタン錯体および酢酸カリウム等の塩基を用いて、ビスピナコレートジボロンと反応させることにより、化合物(2K)が得られる。
第2K工程
第1K工程で得られる化合物(2K)を、トルエン、エタノール、ベンゼン、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、水等あるいはこれらの混合溶媒中、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)などのパラジウム触媒と、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム(KPO)、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の塩基を用いて、化合物(4A)と反応させることにより、化合物(3K)が得られる。
第3K工程
第2K工程で得られる化合物(3K)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4K)が得られる。
第4K工程
第3K工程で得られる化合物(4K)を、テトラヒドロフラン、エタノール、水、メタノール等あるいはこれらの混合溶媒中、鉄および塩化アンモニウムを用いて反応させることにより、化合物(5K)が得られる。
<環AがC1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、−CO−R’基はC1−7アシル基(前記と同義)を表し、その他の各記号は前記と同義である)
第1L工程
化合物(1L)をR’−COHで表される化合物またはその反応性誘導体と常法にて反応させることにより、化合物(2L)が得られる。例えば、化合物(1L)を、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル等あるいはこれらの混合溶媒中、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、R’−COHで表される化合物の酸無水物と反応させることにより、化合物(2L)が得られる。
第1L工程で得られる化合物(2L)を、第1K工程〜第3K工程と同様の方法に付すことにより、化合物(3L)が得られる。
<環Aがカルボキシ−C1−6アルキル基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1M工程
化合物(1M)を、第1J工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2M)が得られる。
第2M工程、第3M工程
第1M工程で得られる化合物(2M)を、第1K工程と同様な反応に付し、化合物(3M)を得、これを化合物(4A)と、第2K工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4M)が得られる。
第4M工程
第3M工程で得られる化合物(4M)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5M)が得られる。
第5M工程
第4M工程で得られる化合物(5M)を、第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(6M)が得られる。
<環Aがカルバモイル−C1−6アルキル基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である。)
第6M工程
第5M工程で得られる化合物(6M)を、第1H工程と同様な反応に付すことにより、化合物(7M)が得られる。
<環AがC1−6アルキル基でエステル化されたリン酸残基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1N工程
化合物(1N)を、トルエン等の溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)などの触媒およびトリエチルアミンなどの塩基の存在下、化合物(2N)と室温乃至還流温度で反応させることにより、化合物(3N)が得られる。
第2N工程
第1N工程で得られる化合物(3N)を、第1K工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4N)が得られる。
第3N工程
第2N工程で得られる化合物(4N)と化合物(4A)を、第2K工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5N)が得られる。
第4N工程
第3N工程で得られる化合物(5N)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(6N)が得られる。
第5N工程
第4N工程で得られる化合物(6N)を、ジクロロメタン中、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド(BSTFA)およびトリメチルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルクロライド、トリメチルシリルブロマイド)存在下で反応させることにより、化合物(7N)が得られる。この場合、トリメチルシリルハライドを約2.5当量加えることが好ましい。
<環Aがリン酸残基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第6N工程
第4N工程で得られる化合物(6N)を、第5N工程と同様な反応に付すことにより、化合物(8N)が得られる。この場合、トリメチルシリルハライドを約4当量加えることが好ましい。
化合物(8N)は常法にて塩とすることができる。例えば、水中、水酸化ナトリウムを加えることにより、化合物(8N)のジナトリウム塩が得られる。
<環AがRO−C(=O)O−C1−6アルコキシ−カルボニル基で置換されたビフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、RはRO−C(=O)O−C1−6アルキル基を表し、その他の各記号は前記と同義である)
第1P工程
化合物(3G)を第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(1P)が得られる。
第2P工程
第1P工程で得られる化合物(1P)を、をN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル等あるいはこれらの混合溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基およびヨウ化カリウムの存在下、化合物(2P)と反応させることにより、化合物(3P)が得られる。
<環Aがカルボキシ−C2−6アルキル基で置換されたフェニル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である。)
第1Q工程
テトラヒドロフラン中、化合物(1Q)を9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンと反応させることにより、化合物(2Q)が得られる。
第2Q工程
第2A工程と同様にして得られる化合物(4A’)を、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の溶媒中、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)(またはそのジクロロメタン錯体)およびリン酸三カリウムなどの塩基の存在下、第1Q工程で得られる化合物(2Q)と反応させることにより、化合物(3Q)が得られる。
第3Q工程
第2Q工程で得られる化合物(3Q)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4Q)が得られる。
第4Q工程
第3Q工程で得られる化合物(4Q)を、第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5Q)が得られる。
また、環Aがカルボキシエチル基で置換されたフェニル基である化合物については、以下の方法でも製造することができる。

(式中、各記号は前記と同義である)
第1R工程
化合物(1R)を、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の溶媒中、酢酸パラジウム(II)、トリ−o−トリルホスフィンなどの触媒およびトリエチルアミンなどの塩基の存在下、化合物(4A’)と室温乃至還流温度で反応させることにより、化合物(2R)が得られる。
第2R工程
第1工程で得られる化合物(2R)を、常法にて接触還元することにより化合物(3R)が得られる。例えば、メタノール溶媒中、ロジウム−アルミナなどの触媒存在下で還元することにより、化合物(3R)が得られる。
第3R工程
第2R工程で得られる化合物(3R)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4R)が得られる。
第4R工程
第3R工程で得られる化合物(4R)を、第7D工程と同様な反応に付すことにより、化合物(5R)が得られる。
<環AがC3−6シクロアルキル基である化合物の製造方法>

(式中、各記号は前記と同義である)
第1S工程
化合物(1S)を、第1A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(2S)が得られる。
第2S工程
第1S工程で得られる化合物(2S)と化合物(3A1)又は化合物(3A2)を、第2A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(3S)が得られる。
第3S工程
第2S工程で得られる化合物(3S)と化合物(7A)を、第4A工程と同様な反応に付すことにより、化合物(4S)が得られる。
がRである本発明化合物は、Rが水素原子である本発明化合物をクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル等あるいはこれらの混合溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、(RO(Rは前記と同義である。)で表される酸無水物またはR−L(各記号は前記と同義である。)で表されるハロゲン化アシル等の化合物と反応させることにより得られる。
一般式(1)または(1’)で表される化合物の塩を所望の場合、公知の方法を用いることができる。例えば、酸付加塩を所望の場合、一般式(1)または(1’)で表される化合物を水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン又はクロロホルム等あるいはこれらの混合溶媒に溶解させ、所望の酸を溶解した上記溶媒を加えて析出する結晶を濾取するか、減圧濃縮すればよい。
また、塩基塩を所望の場合、一般式(1)または(1’)で表される化合物を水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等あるいはこれらの混合溶媒に溶解させ、所望の塩基を当量溶解した上記溶媒を加えて析出する固体を濾取するか、減圧濃縮すればよい。
また、一般式(1)または(1’)で表される化合物の酸付加塩を遊離体にする場合、一般式(1)または(1’)で表される化合物の酸付加塩を炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の塩基の水溶液に加え、水溶液のpHを中性〜弱酸性にした後、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、メチルエチルケトン又はトルエン等の溶媒との2層系で分配することによって、一般式(1)または(1’)で表される化合物の遊離体が得られる。
また、一般式(1)または(1’)で表される化合物の塩基塩を遊離体にする場合、一般式(1)または(1’)で表される化合物の塩基塩の水溶液に塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、クエン酸等の酸の水溶液を加えて析出する固体を濾取するか、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、メチルエチルケトン又はトルエン等の溶媒との2層系で分配することによって、一般式(1)または(1’)で表される化合物の遊離体が得られる。
かくして得られる本発明に係る一般式(1)または(1’)で示される化合物は優れたカルシウム受容体拮抗作用を有する。本発明化合物を骨粗鬆症、上皮小体機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折、変形性関節症、慢性関節リウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症、常染色体優性低カルシウム血症等の治療薬として用いる場合、通常全身的、あるいは局所的に、経口又は非経口で投与される。
投与量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処置時間等により異なるが、通常成人一人当たり0.01mg乃至10gの範囲で、一日一回から数回経口あるいは非経口投与される。
本発明化合物を経口投与のための固体組成物にする場合、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤等の剤形が可能である。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、分散剤又は吸着剤等、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微晶性セルロース、澱粉、ポリビニルヒドリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は無水ケイ酸末等と混合される。また、組成物は常法に従って、希釈剤以外の添加剤を混合させてもよい。
錠剤又は丸剤に調製する場合は、必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシメチルセルロースフタレート等の胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで皮膜してもよいし、二以上の層で皮膜してもよい。さらに、ゼラチン又はエチルセルロースのような物質のカプセルにしてもよい。
経口投与のための液体組成物にする場合は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶解剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等の剤形が可能である。用いる希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油又は乳化剤等がある。また、この組成物は希釈剤以外に浸潤剤、懸濁剤、甘昧剤、風昧剤、芳香剤又は防腐剤等のような補助剤を混合させてもよい。
非経口のための注射剤に調製する場合は、無菌の水性若しくは非水性の溶液剤、可溶化剤、懸濁剤または乳化剤を用いる。水性の溶液剤、可溶化剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水、生理食塩水シクロデキストリン及びその誘導体、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエチルアミン等の有機アミン類あるいは無機アルカリ溶液等がある。
水溶性の溶液剤にする場合、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールあるいはオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類等を用いてもよい。また、可溶化剤として、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、蔗糖脂肪酸エステル等の界面活性剤(混合ミセル形成)、又はレシチンあるいは水添レシチン(リポソーム形成)等も用いられる。また、植物油等非水溶性の溶解剤と、レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等からなるエマルジョン製剤にすることもできる。
非経口投与のためのその他の組成物としては、一つ又はそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法により処方される外用液剤、軟膏のような塗布剤、座剤又はペッサリー等にしてもよい。
本発明化合物を医薬品として用いる場合の形態としては、化合物それ自体(遊離体)、化合物の塩、化合物の溶媒和物又は化合物のプロドラッグ体があるが、好ましい形態は、遊離体、化合物の塩又は化合物の溶媒和物であり、特に好ましくは化合物の塩である。
【実施例】
本発明に係る一般式(1)または(1’)で示される化合物及びその製造方法を、以下の実施例によって具体的に説明する。しかしながら本発明はこれらの実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【実施例1】
3−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピオン酸
工程1
(2R)−2−[[(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン

(R)−1−(2−ブロモフェニル)エタノール(30.0g)及び(R)−グリシジルノシレート(50.3g)をN,N−ジメチルホルムアミド(300ml)に溶解させ、水素化ナトリウム(7.76g、60%油性)を加えて室温で2時間攪拌した。反応混合物に10%クエン酸水溶液(600ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製して、表記化合物(32.9g)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,CDCl)7.53−7.49(2H,m),7.37−7.32(1H,m),7.16−7.10(1H,m),4.89(1H,q,J=6.4Hz),3.62−3.57(1H,m),3.34−3.28(1H,m),3.18−3.12(1H,m),2.79−2.76(1H,m),2.58−2.55(1H,m),1.44(3H,d,J=6.4Hz).
工程2
3−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]アクリル酸 メチルエステル

工程1で得られた(2R)−2−[[(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(1.00g)をアセトニトリル(10ml)に溶解させ、酢酸パラジウム(II)(45mg)、トリ−o−トリルホスフィン(63mg)、トリエチルアミン(0.65ml)、アクリル酸メチル(0.42ml)を加え、3時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、セライトろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、表記化合物(203mg)を得た。
工程3
3−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]プロピオン酸 メチルエステル

工程2で得られた3−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]アクリル酸 メチルエステル(330mg)をメタノール(10ml)に溶解させ、5%ロジウム−アルミナ(43mg)を加え、常圧で終夜水素添加した。反応液をセライトろ過し、減圧濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、表記化合物(291mg)を得た。
工程4
3−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピオン酸 メチルエステル

工程3で得られた3−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]プロピオン酸 メチルエステル(286mg)をアセトニトリル(10ml)に溶解させ、[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(218mg)及び過塩素酸リチウム(157mg)を順次加え、終夜加熱還流した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)にて精製し、表記化合物(539mg)を得た。
工程5
3−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピオン酸

工程4で得られた3−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピオン酸 メチルエステル(539mg)をメタノール(20ml)及びテトラヒドロフラン(20ml)に溶解させ、4N−水酸化ナトリウム水溶液(2.5ml)を加えて、50℃で8時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を水で希釈し、10%クエン酸水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して表記化合物(332mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)7.92−7.86(3H,m),7.75(1H,s),7.54−7.47(2H,m),7.39−7.37(2H,m),7.27−7.20(3H,m),4.78(1H,q,J=6.3Hz),3.96−3.94(1H,m),3.36−3.34(1H,m),3.26−3.10(2H,m),3.10(2H,s),2.92−2.86(3H,m),2.49−2.52(2H,m),1.36(3H,d,J=6.3Hz),1.22(6H,s).
MS(ESI,m/z)450(M+H)
【実施例2】
6−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]ヘキサン酸
工程1
6−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]ヘキサン酸 メチルエステル

5−ヘキセン酸メチルエステル(608mg)に氷冷下、0.5M 9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−テトラヒドロフラン溶液(9.5ml)を加え室温で終夜攪拌した。この反応液をテトラヒドロフラン(10ml)、実施例1の工程1で得られた(2R)−2−[[(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(1.06g)、リン酸三カリウム(1.32g)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(170mg)の懸濁液に滴下し、7時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1)にて精製し、表記化合物(621mg)を得た。
工程2
6−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]ヘキサン酸 メチルエステル

工程1で得られた6−[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]ヘキサン酸 メチルエステル(616mg)及び[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(422mg)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(589mg)を得た。
工程3
6−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]ヘキサン酸

工程2で得られた6−[2−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]ヘキサン酸 メチルエステル(583mg)より、実施例1の工程5と同様にして、表記化合物(483mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)7.89−7.83(3H,m),7.72(1H,s),7.51−7.45(2H,m),7.36−7.34(2H,m),7.22−7.13(3H,m),4.74(1H,q,J=5.7Hz),3.92−3.90(1H,m),3.32−3.30(1H,m),3.22−3.20(1H,m),3.06−3.04(1H,m),3.05(2H,s),2.81−2.79(1H,m),2.59(2H,t,J=7.8Hz),2.19(2H,t,J=7.3Hz),1.57−1.48(4H,m),1.40−1.38(2H,m),1.33(3H,d,J=5.7Hz),1.18(6H,s).
MS(ESI,m/z)492(M+H)
【実施例3】
(2R)−1−ジシクロプロピルメトキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−2−オール
工程1
ジシクロプロピルメタノール

ジシクロプロピルケトン(1.21g)のメタノール(12ml)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(407mg)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して表記化合物(885mg)を得た。
工程2
(2R)−2−[(ジシクロプロピルメトキシ)メチル]オキシラン

工程1で得られたジシクロプロピルメタノール(880mg)及び(R)−グリシジルノシレート(3.05g)をテトラヒドロフラン(7.3ml)に溶解させ、氷冷下で水素化ナトリウム(471mg)、ジメチルスルホキシド(1.5ml)を加え、室温で5時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10)にて精製し、表記化合物(760mg)を得た。
工程3
(2R)−1−ジシクロプロピルメトキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−2−オール

工程2で得られた(2R)−2−[(ジシクロプロピルメトキシ)メチル]オキシラン(420mg)及び[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(498mg)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(548mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,CDCl)7.84−7.79(3H,m),7.70(1H,s),7.49−7.47(2H,m),7.35−7.32(1H,m),4.15−4.05(1H,m),3.70−3.68(2H,d,J=5.5Hz),3.26−3.21(1H,m),3.11−3.02(3H,m),2.06−2.00(1H,t,J=8.1Hz),1.36(3H,s),1.34(3H,s),0.80−0.75(2H,m),0.45−0.43(4H,m),0.23−0.12(4H,m).
MS(ESI,m/z)368(M+H)
【実施例4】
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸
工程1
3−ブロモフェニル酢酸エチル

3−ブロモフェニル酢酸(5.03g)をエタノール(40ml)に溶解させ、濃硫酸(0.5ml)を加えて、室温で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して、表記化合物(5.4g)を得た。
工程2
[2’−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸 エチルエステル

工程1で得られた3−ブロモフェニル酢酸エチル(2.00g)をジメチルスルホキシド(42ml)に溶解させ、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)−ジクロロメタン錯体(202mg)、酢酸カリウム(2.42g)、ビスピナコレートジボロン(2.30g)を加えて80℃で5時間攪拌した。反応液を室温に戻し、水及び酢酸エチルを加えてセライト濾過した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をエタノール(17ml)に溶解させ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(476mg)及び実施例1の工程1で得られた(2R)−2−[[(1R)−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(2.12g)のトルエン(17ml)混合物に加え、さらに2M−炭酸ナトリウム水溶液(8.2ml)を加えて終夜加熱還流した。反応液を室温に戻し、水及び酢酸エチルを加えてセライト濾過した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、表記化合物(1.38g)を得た。
工程3
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸 エチルエステル

工程2で得られた[2’−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸 エチルエステル(340mg)及び[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(199mg)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(410mg)を得た。
工程4
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸

工程3で得られた[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−3−イル]酢酸 エチルエステル(400mg)をメタノール(2ml)及びテトラヒドロフラン(4ml)に溶解させ、1N−水酸化ナトリウム水溶液(1.5ml)を加えて、室温で6時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を水で希釈し、10%クエン酸水溶液を加えて中和した。析出した白色固体を濾取し、減圧乾燥することにより、表記化合物(325mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)7.90−7.82(3H,m),7.73(1H,s),7.53−7.23(9H,m),7.18(1H,dd,J=7.7,1.1Hz),7.11(1H,d,J=7.7Hz),4.50(1H,q,J=6.3Hz),3.87−3.80(1H,m),3.54(1H,d,J=14Hz),3.47(1H,d,J=14Hz),3.20(2H,d,J=5.9Hz),3.02(2H,s),2.90(1H,dd,J=12,2.6Hz),2.67(1H,dd,J=12,8.6Hz),1.19(3H,d,J=6.3Hz),1.14(6H,s).
MS(ESI,m/z)512(M+H)
【実施例5】
N−[[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]メチル]アセトアミド
工程1
N−(4−ヨードベンジル)アセトアミド

4−ヨードベンジルアミン(5.32g)をクロロホルム(50ml)に溶解させ、氷冷下、ピリジン(2.76ml)及び無水酢酸(2.58ml)を加えて4時間攪拌した。反応液を水、1N−塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2〜1:3)にて精製して、表記化合物(5.18g)を得た。
工程2
N−[[2’−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−4−イル]メチル]アセトアミド

工程1で得られたN−(4−ヨードベンジル)アセトアミド(2.00g)及び実施例1の工程1で得られた(2R)−2−[[(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(1.87g)より、実施例4の工程2と同様にして、表記化合物(706mg)を得た。
工程3
N−[[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]メチル]アセトアミド

工程2で得られたN−[[2’−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−4−イル]メチル]アセトアミド(700mg)及び[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(428mg)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(510mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)8.41(1H,t,J=5.9Hz),7.92−7.86(3H,m),7.74(1H,s),7.56−7.42(4H,m),7.39−7.33(4H,m),7.25(2H,d,J=8.0Hz),7.17(1H,dd,J=7.7,1.1Hz),4.49(1H,q,J=6.2Hz),4.32(2H,d,J=5.9Hz),3.80(1H,brs),3.16−3.06(5H,m),2.85−2.75(1H,m),1.90(3H,s),1.30(3H,d,J=6.2Hz),1.20(6H,s).
MS(ESI,m/z)525(M+H)
【実施例6】
(Z)−ブテン二酸 モノ−[(2R)−1−[(1R)−(シクロプロピル)−(2−メチルフェニル)メトキシ]−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−2−イル]エステル

(2R)−1−[(1R)−(シクロプロピル)−(2−メチルフェニル)メトキシ]−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−2−オール(1.25g)をクロロホルム(10ml)に溶解させ、氷冷下、ピリジン(0.485ml)及び無水マレイン酸(294mg)を加えて4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にジエチルエーテルを加えた。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2〜95:5)にて精製して、表記化合物(1.40g)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)8.00−7.00(11H,m),6.32(1H,d,J=11.7Hz),5.83(1H,d,J=11.7Hz),5.20−5.00(1H,m),4.20−3.90(1H,m),3.60−3.10(6H,m),2.30(3H,s),1.40−1.00(7H,m),0.60−0.05(4H,m).
MS(ESI,m/z)510(M+H)
【実施例7】
(R)−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]−1−[1−[4’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−2−イル]エトキシ]プロパン−2−オール
工程1
2’−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−4−カルボニトリル

(R)−2−[1−(2−ブロモフェニル)エトキシメチル]オキシラン(8.24g)をトルエン(38ml)及びエタノール(150ml)に溶解させ、2M−炭酸ナトリウム水溶液(80ml)、4−シアノフェニルボロン酸(5.65g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(1.85g)を順次加え、終夜加熱還流した。反応液を室温に戻し、減圧濃縮して得られた残渣に水を加え、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表記化合物(2.40g)を得た。
工程2
2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボニトリル

工程1で得られた2’−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]ビフェニル−4−カルボニトリル(2.40g)及び[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(1.71g)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(3.18g)を得た。
工程3
(R)−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]−1−[1−[4’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−2−イル]エトキシ]プロパン−2−オール

工程2で得られた2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボニトリル(500mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(6.0ml)に溶解させ、塩化アンモニウム(535mg)及びアジ化ナトリウム(676mg)を順次加え115℃で終夜攪拌した。反応液に水を加え、析出した固体を濾取した。固体をメタノールに溶解させ、水を加えた後減圧濃縮して析出した固体を濾取し、表記化合物(280mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)8.08(2H,d,J=8.2Hz),7.92−7.78(3H,m),7.74(1H,s),7.60−7.43(4H,m),7.40−7.35(4H,m),7.27−7.19(1H,m),4.57(1H,q,J=6.3Hz),3.88−3.80(1H m),3.24−3.04(5H,m),2.96−2.81(1H,m),1.36−1.33(3H,m),1.22(6H,s).
MS(ESI,m/z)522(H+H)
【実施例8】
2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボン酸 1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルエステル
工程1
1−クロロエチル シクロヘキシル カーボネート

シクロヘキサノール(4.58g)をクロロホルム(75ml)に溶解させ、ピリジン(3.63g)を加えた後、−78℃に冷却して、1−クロロエチル クロロカーボネート(5.0ml)を加えた。反応液を徐々に室温に戻し、1日攪拌した。反応液に水を加えて、有機層を分離し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して表記化合物(8.85g)を得た。
工程2
2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボン酸

実施例7の工程2で得られた2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボニトリル(1.0g)をエチレングリコール(15ml)に溶解させ、水酸化カリウム(2.76g)を加えて160℃で終夜攪拌した。反応液を室温に戻し、水を少量加えた後、10%クエン酸水溶液を加えてpH4〜5に調整した。析出した固体を濾取して、表記化合物(924mg)を得た。
工程3
2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボン酸 1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルエステル

工程1で得られた、1−クロロエチル シクロヘキシル カーボネート(149mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(5.0ml)に溶解させ、工程2で得られた2’−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−カルボン酸(300mg)、炭酸カリウム(99mg)、ヨウ化カリウム(50mg)を順次加えて60℃で1日攪拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水で3回、飽和食塩水で順次洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=15:1)で精製して、表記化合物(381mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)8.05(2H,d,J=8.1Hz),7.87−7.76(3H,m),7.66(1H,s),7.60−7.55(1H,m),7.50−7.33(7H,m),7.21−7.19(1H,m),6.93−6.88(1H,m),4.62−4.53(1H,m),4.44−4.38(1H,m),3.60−3.52(1H,m),3.45−3.29(1H,m),3.13−3.09(2H,m),2.78(2H,brs),2.70−2.45(2H,m),1.88−1.76(2H,m),1.68−1.58(5H,m),1.50−1.12(9H,m),0.99−0.97(6H,m).
MS(ESI,m/z)668(M+H)
【実施例9】
5−[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸
工程1
5−ブロモチオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル

5−ブロモチオフェン−2−カルボン酸(5.40g)をエタノール(50ml)に溶解させ、4−ジメチルアミノピリジン(3.82g)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(6.0g)を順次加え、室温で終夜攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水、10%クエン酸水溶液で2回、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して、表記化合物(5.99g)を得た。
工程2
5−(2−アセチルフェニル)チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル

工程1で得られた5−ブロモチオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(3.06g)、2−アセチルフェニルボロン酸(2.56g)より、実施例7の工程1と同様にして、表記化合物(3.52g)を得た。
工程3
5−[2−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル

工程2で得られた5−(2−アセチルフェニル)チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(3.52g)をエタノール(30ml)に溶解させ、0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウムを加えて0℃〜室温で終夜攪拌した。反応液を0℃に冷却し、10%クエン酸水溶液を滴下した後、エタノールを留去させた。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して、表記化合物(3.30g)を得た。
工程4
5−[2−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル

工程3で得られた5−[2−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(3.30g)、(R)−グリシジルノシレート(4.64g)より、実施例1の工程1と同様にして、表記化合物(1.99g)を得た。
工程5
5−[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル

工程4で得られた5−[2−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(499mg)をトルエンに溶解させ、[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(299mg)及び過塩素酸リチウム(160mg)を順次加えて室温で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=30:1)で精製し、表記化合物(770mg)を得た。
工程6
5−[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸

工程5で得られた5−[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(770mg)より、実施例4の工程4と同様にして、表記化合物(672mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)7.89−7.83(3H,m),7.73(1H,s),7.60−7.55(1H,m),7.49−7.43(4H,m),7.39−7.33(3H,m),7.01(1H,d,J=3.4Hz),4.82−4.74(1H,m),3.92−3.85(1H,m),3.22−3.19(2H,m),3.08−3.00(3H,m),2.89−2.74(1H,m),1.34(3H,d,J=5.2Hz),1.18(6H,s).
MS(ESI,m/z)504(M+H)
【実施例10】
[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピン酸
工程1
(R)−2−[[1−(2−ヨードフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン

2−ヨードアセトフェノン(6.30g)をメタノール(50ml)に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(726mg)を加えて室温で1.5時間攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加えた後、エタノールを留去させ、水を加えて酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して、得られた残渣をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解させた。溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(1.54g、60%油性)、(R)−グリシジルノシレート(9.95g)、ジメチルスルホキシド(10ml)を順次加え、0℃〜室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で2回、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表記化合物(6.36g)を得た。
工程2
[2−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]プロピン酸 メチルエステル

工程1で得られた(R)−2−[[1−(2−ヨードフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(1.50g)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶解させ、プロピン酸 メチルエステル(1.66g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(69.2mg)、ヨウ化銅(37.5mg)、炭酸カリウム(2.72g)を順次加え、65℃で終夜攪拌した。反応液を室温に戻し、水を加えてセライト濾過した後、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表記化合物(43mg)を得た。
工程3
[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピン酸 メチルエステル

工程2で得られた[2−[1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]プロピン酸 メチルエステル(40.0mg)、[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミン(30mg)より、実施例9の工程5と同様にして、表記化合物(20mg)を得た。
工程4
[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピン酸

工程3で得られた[2−[1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]フェニル]プロピン酸 メチルエステル(20mg)より、実施例4の工程4と同様にして、表記化合物(5.8mg)を得た。
H−NMR(300MHz,δppm,DMSO−d)7.92−7.86(3H,m),7.77(1H,s),7.54−7.38(6H,m),7.33−7.28(1H,m),4.97(1H,q,J=6.3Hz),4.15−4.09(1H,m),3.48−3.18(3H,m),3.14(2H,s),3.01−2.94(1H,m),1.42(3H,d,J=6.3Hz),1.25(6H,s).
MS(ESI,m/z)446(M+H)
【実施例11】
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 モノエチルエステル
工程1
(4−ブロモフェニル)ホスホン酸 ジエチルエステル

1,4−ジブロモベンゼン(2.36g)、ジエチルホスファイト(1.52g)及びトリエチルアミン(1.53ml)をトルエンに溶解させ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(578mg)を加えて、80℃で2時間攪拌した。反応液を室温に戻し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、表記化合物(1.16g)を得た。
工程2
[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]ホスホン酸 ジエチルエステル

工程1で得られた(4−ブロモフェニル)ホスホン酸 ジエチルエステル(1.16g)及びビスピナコレートジボロン(1.11g)をジメチルスルホキシド(15ml)に溶解させ、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)(146mg)及び酢酸カリウム(1.17g)、を加えて80℃で14時間攪拌した。次いで、2M−炭酸ナトリウム水溶液(10ml)及びビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(II)(146mg)及び実施例1の工程1で得られた(2R)−2−[[(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エトキシ]メチル]オキシラン(1.02g)を加えて80℃で3時間攪拌した。反応液を室温に戻し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、表記化合物(426mg)を得た。
工程3
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 ジエチルエステル

工程2で得られた[2−[(1R)−1−(((2R)−オキシラニル)メトキシ)エチル]フェニル]ホスホン酸 ジエチルエステル(420mg)より、実施例1の工程4と同様にして、表記化合物(580mg)を得た。
工程4
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 モノエチルエステル

工程3で得られた[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 ジエチルエステル(574mg)をジクロロメタン(10ml)に溶解させ、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(284μl)及びトリメチルシリルブロマイド(300μl)を加えて0℃で1時間攪拌した。反応液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を減圧濃縮して得られた残渣を1N−水酸化ナトリウムに溶解させ、10%クエン酸水溶液を加えて酸性に調整した。析出した固体を濾取して、表記化合物(184mg)を得た。
H−NMR(400MHz,δppm,CDOD)7.90−7.75(6H,m),7.55−7.15(9H,m),4.52(1H,q,J=6.4Hz),3.90−3.80(3H,m),3.35−3.10(5H,m),3.00−2.90(1H,m),1.33(6H,s),1.30(3H,d,J=6.4Hz),1.21(3H,t,J=9.2Hz).
MS(ESI,m/z)562(M+H)
【実施例12】
[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 ジナトリウム

実施例11の工程3で得られた[2’−[(1R)−1−[(2R)−2−ヒドロキシ−3−[[2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イル]アミノ]プロポキシ]エチル]ビフェニル−4−イル]ホスホン酸 ジエチルエステル(627mg)をジクロロメタン(10ml)に溶解させ、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(311μl)及びトリメチルシリルブロマイド(560μl)を加えて0℃で2時間攪拌した。反応液を1N−水酸化ナトリウム水溶液で2回抽出し、水酸化ナトリウム水溶液層を10%クエン酸水溶液を用いて酸性に調整して、析出したホスホン酸(460mg)を濾取した。得られたホスホン酸(200mg)を2当量の1N−水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、溶液を凍結乾燥させて、表記化合物(217mg)を得た。
H−NMR(400MHz,δppm,CDOD)7.95−7.90(2H,m),7.80−7.70(3H,m),7.65(1H,s),7.50−7.05(9H,m),4.52(1H,q,J=6.0Hz),3.75−3.65(1H,m),3.14−3.12(2H,m),2.90−2.50(4H,m),1.27(3H,d,J=6.0Hz),1.10(3H,s),1.07(3H,s).
MS(ESI,m/z)534(M+3H−2Na)
【実施例13〜33】
実施例1〜12のいずれかの方法に基づいて、実施例13〜33を得た。得られた結果を表1〜5に示す。






[試験例]
次に、本発明化合物の生物活性について試験した。
試験例1
レポーター遺伝子を用いたカルシウム受容体に対する拮抗作用の評価
ラット副腎由来細胞株にルシフェラーゼcDNA及びヒトカルシウム受容体cDNAを導入し形質転換した細胞を用い、培地80μl(0.5%透析ウマ血清及び0.25%透析ウシ胎児血清含有F12培地)中で培養した。被験化合物群には被験化合物0.1〜10000μMを含むジメチルスルホキシド溶液を培地で100倍希釈したものを1ウェル当たり10μlづつ添加した(ジメチルスルホキシド終濃度0.1%)。被験化合物群と同様にコントロール群およびブランク群にはジメチルスルホキシドを培地で100倍希釈したものを加えた。その後、ブランク群を除くすべてのウェルに50mM塩化カルシウム含有培地を1ウェル当たり10μlづつ加えた(終濃度5mM)。ブランク群には培地のみを添加した。4時間培養した後、ルシフェラーゼ基質を添加し、フォトルミノメーターでルシフェラーゼ活性を測定した。得られた測定値より、阻害率(%)を以下の式にて求めた。

これより50%阻害率を示す濃度(IC50)を求めた。結果を表6に示した。

試験例2
PTH分泌促進作用
20時間絶食させた5〜9週齢雄性SDラット(日本チャールス・リバー)に被験化合物を溶媒(0.5%メチルセルロース水溶液)を用いて3mg/5ml/kg又は30mg/5ml/kgの用量で、経口投与した。コントロール群は溶媒のみを5ml/kgの用量で経口投与した。被験化合物を投与15分、30分、60分及び120分後に尾静脈より採血し、血清を採取した。血清中のPTH濃度をラットPTH ELISAキット(アマシャム バイオサイエンス)で測定した。結果を表7に示した。

試験例3
代謝酵素CYP2D6阻害活性
代謝酵素CYP2D6の阻害測定キット(BD バイオサイエンス)を用い、キットの手順書に従い被験化合物の阻害活性を測定した。被験化合物無添加時の酵素活性を100%として、50%阻害率を示す濃度(IC50)を求めた。結果を表8に示した。表中、「>10」は10μM超を示す。

カルシウム受容体の作用を阻害することによってPTHの血中濃度を高めて、骨粗鬆症を治療しようとする場合、それに用いる化合物は少なくとも下記のような特性を有していなければならないと考えられる。
▲1▼それら化合物がカルシウム受容体に対して十分な拮抗作用を有すること。即ち、それら化合物のIC50値が十分に低い値であること。ちなみに、国際公開WO99/51241号明細書には、「一般的に、カルシウム受容体の阻害剤のアッセイにおいて低いIC50値を有する化合物はより優れた化合物である。50μM以上のIC50値を有する化合物は不活性であると考えられる。好ましい化合物は10μM以下のIC50値を有し、より好ましい化合物は1μMのIC50値を有し、もっとも好ましい化合物は0.1μM以下のIC50値を有する。」と記載されている。
▲2▼それら化合物を投与することによって、血中PTH濃度が十分に向上すること。
▲3▼それら化合物を投与した時の経時的な血中濃度が非持続的であること。望ましくは化合物の投与3、4時間後には投与前のPTH濃度に復帰すること。
上記試験結果からすると、本発明化合物は上記の特性を有していることは明らかである。
▲1▼について;表6に示した通り、本願発明化合物のIC50値はいずれも1μM以下であって、カルシウム受容体に対して十分な拮抗作用を有する。本願発明化合物はIC50値の観点からしても、いずれも好ましい化合物といえるだろう。
▲2▼について;表7に示した通り、15分後の血清中PTH濃度がコントロールに比べて1.4〜3.4倍(但し、被験化合物が実施例6の場合のみ30分後で比較)あり、本願発明化合物はいずれも優れたPTH分泌促進作用を有することが確認された。
▲3▼について;表7に示した通り、本願発明化合物のPTH分泌は、投与15分後または30分後にピークに達し、その後急激に減少しておよそ1〜2時間後には投与前の血中PTH濃度に復帰する。本願発明化合物はこの観点からも優れていることが明らかである。一方、文献に示されるNPS−2143について、我々も追試を行ったところ、NPS−2143のPTH分泌促進作用はやはり持続的であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
本発明に係る一般式(1)または(1’)で示される化合物は、上記試験例1からも明らかな通り、優れたカルシウム受容体拮抗作用を有する。従って、カルシウムホメオスタシスの異常を伴う疾患、即ち骨粗鬆症、上皮小体機能低下症、骨肉腫、歯周病、骨折、変形性関節症、慢性関節リウマチ、パジェット病、液性高カルシウム血症、常染色体優性低カルシウム血症等の治療薬としての有用性が期待される。また、試験例2及び3からも明らかな通り、本願発明化合物は一過性のPTH分泌促進作用を有し、試験例4からも明らかな通り、代謝酵素CYP2D6阻害作用が弱い。従って、骨粗鬆症治療薬として特に有用である。
本出願は、日本で出願された特願2003−151610を基礎としておりそれらの内容は本明細書に全て包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:

環Aは、C3−6シクロアルキル基、

を示し、
は、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)O−C1−6アルキレン−(ここで、RはC1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を表す。)を表し、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、

(ここで、mは0乃至6の整数を表す。)または

を表し、nは0または1を表す。]を示し、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、ニトロ基、アミノ基、オキサロ基、C1−6アルキル基でエステル化されていてもよいリン酸基、RO−C(=O)−(Rは前記と同様の意味を表す。)または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を有する5乃至6員のヘテロ環残基(該ヘテロ環残基はオキソ基で置換されていてもよい)を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基またはハロC1−アルコキシ基を示し、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を示し、
は、水素原子またはR(ここで、Rはカルボキシル基で置換されてもよいC1−7アシル基を表す。)を示す、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基を示すか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成し、
但し、(1)環Aが式(a)の基であり、かつRがC1−6アルキル基であるとき、RはRであり、
(2)環Aが式(b)の基であり、かつRがカルボキシル基またはC1−6アルコキシ−カルボニル基であるとき、RはC2−4アルケニル基であり、
(3)環Aが式(b)の基であり、かつRがヒドロキシカルバモイル基であるとき、Rは水素原子であり、あるいは
(4)環Aが式(a)の基であり、RがRO−C(=O)−X−(O)n−であり、かつXが

のとき、nは0である。
【請求項2】
環Aが、

であり、
が、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rが水素原子であり、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、

(ここで、mは0乃至6の整数である。)または

であり、nは0である。]であり、
が、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基であり、
は、水素原子であり、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基であるか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成する、請求項1記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aが、

であり、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基またはアミノ基であり、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルキル基またはハロC1−アルコキシ基であり、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基であり、
は、水素原子であり、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基であるか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成する、請求項1記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
以下の構造式からなる群から選択される、請求項1記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:







【請求項5】
下記式(1’)で示される化合物、その薬学的に許容される塩またはその光学活性体:

環Aは、C3−6シクロアルキル基、

を示し、
は、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)−X−(O)n−[ここで、Rは水素原子、C1−6アルキル基またはRO−C(=O)O−C1−6アルキレン−(ここで、RはC1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を表す。)を表し、XはC1−6アルキレン基、C2−4アルケニレン基、C2−4アルキニレン基、または

(ここで、mは0乃至6の整数を表す。)を表し、nは0または1を表す。]を示し、
は、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ−カルボニル−C1−6アルキル基、カルバモイル−C1−6アルキル基、C1−7アシルアミノ−C1−6アルキル基、カルバモイル基、ヒドロキシカルバモイル基、C1−6アルキルスルホニル−カルバモイル基、ニトロ基、アミノ基、C1−6アルキル基でエステル化されていてもよいリン酸残基、RO−C(=O)−(Rは前記と同様の意味を表す。)または窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を有する5乃至6員のヘテロ環残基(該ヘテロ環残基はオキソ基で置換されていてもよい)を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を示し、
は、C1−6アルキル基またはC3−6シクロアルキル基を示し、
は、水素原子またはR(ここで、Rはカルボキシル基で置換されてもよいC1−7アシル基を表す。)を示す、
、RおよびRは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、C1−6アルキル基、C2−4アルケニル基、ハロゲン原子、ハロC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロC1−6アルコキシ基、またはカルボキシル基を示すか、あるいは隣接するRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成し、
但し、(1)環Aが式(a)の基であり、かつRがC1−6アルキル基であるとき、RはRであり、
(2)環Aが式(b)の基であり、かつRがカルボキシル基またはC1−6アルコキシ−カルボニル基を表すとき、RはC2−4アルケニル基であり、
(3)環Aが式(b)の基であり、かつRがヒドロキシカルバモイル基であるとき、Rは水素原子であり、あるいは
(4)環Aが式(a)の基であり、RがRO−C(=O)−X−(O)n−であり、かつXが

のとき、nは0である。
【請求項6】
請求項1乃至5記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項7】
薬学的に許容される担体と、有効成分として請求項1乃至5記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と、有効成分として請求項1乃至5記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなる骨粗鬆症治療薬。
【請求項9】
他の骨粗鬆症治療薬との併用のための請求項8記載の骨粗鬆症治療薬。
【請求項10】
他の骨粗鬆症治療薬がカルシウム剤、ビタミンD製剤、ビタミンK製剤、女性ホルモン製剤、エストロゲンアンタゴニスト製剤、蛋白同化ステロイド製剤、副甲状腺ホルモン製剤、カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤およびイブリフラボン製剤からなる群より選ばれる、請求項9記載の骨粗鬆症治療薬。
【請求項11】
骨粗鬆症患者に有効量の請求項1乃至5記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを特徴とする骨粗鬆症の治療方法。
【請求項12】
薬学的に許容される担体と、有効成分として請求項1乃至5記載の化合物、その光学活性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含んでなるカルシウム受容体拮抗薬。

【国際公開番号】WO2004/106280
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506573(P2005−506573)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007758
【国際出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】