説明

GLYT1阻害剤としてのアゼチジン誘導体

本発明は、神経及び精神障害を治療するためのGIyT1阻害剤としての式(I):


を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
統合失調症は、ネガティブ症状(鈍麻な感情、引きこもり、無快感)、ポジティブ症状(偏執、幻覚、妄想)及び著しい認知欠陥の組合せを特徴とする衰弱する精神障害である。統合失調症の病因は現在未知であるが、この病気は生物学的、環境的及び遺伝的要因の複雑な相互作用により発症するようである。40年以上前に、フェンシクリジン(PCP)は統合失調症患者で観察されるものに非常に似た精神病的状態をヒトにおいて引き起こすことが判明した。PCPの作用の主たるモードは向イオン性グルタメート受容体のN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)サブタイプの非競合的アンタゴニストの作用であるとの所見から一連の研究が刺激され、統合失調症のNMDA受容体機能不全モデルが開発された(Jentsch JD and Roth RH,1999,Neuropsychopharmacology,20:201)。
【0002】
哺乳動物中枢神経系における迅速グルタミン酸作動性伝達は主に向イオン性グルタメート受容体(iGluR)に作用する興奮性アミノ酸グルタメートにより媒介される。iGluRは3つの主要サブクラスから構成され、これらのサブクラスにはα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)、カイネート及びNMDA受容体サブタイプが含まれる(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.,17:31)。これらの3つのサブクラスは、グルタメート結合に応答して開いて脱分極性興奮性シナプス後電流を誘導するマルチマーのリガンドゲートカチオンチャネルである。分子クローニングから、NMDA受容体ファミリーは2つの主要サブユニット、すなわちNR1及びNR2から構成されていることが判明した。加えて、NR3と称される発生的に調節される新規な抑制サブユニットが最近発見された。高度の分子多様度がサブユニットの各組内に存在する。今までに、1つのNR1サブユニット遺伝子しかクローン化されていなかった。しかしながら、NR1遺伝子の選択的スプライシングにより8つの異なるサブユニットが生じ得る。対照的に、NR2サブユニットに対して4つの遺伝子(NR2A、NR2B、NR2C及びNR2D)がクローン化され、そのうちの幾つかは選択的スプライシングを示す(Hollmann M and Heinemann S,1994,Annu.Rev.Neurosci.,17:31)。これらの複数サブユニットがヘテロマーのグルタメートゲートイオンチャネルを形成する。天然に存在する受容体の正確なサブユニット化学量論は未知のままであるが、NR1及びNR2の両サブユニットが哺乳動物発現系において機能的に活性な受容体−チャネル複合体を発現させるために必要である。NMDA受容体の活性化にはグルタメート及びグリシンの両方の結合が必要である(Johnson JW and Ascher P,1987,Nature,325:529)。興味深いことに、部位特異的突然変異誘発研究から分かるように(Laube B,Hirai H,Sturgess M,Betz H and Kuhse J,1997, Neuron,18:493)、これらの2つのコアゴニストに対する結合部位は別のサブユニット上に存在する。NR2A及びNR2Bサブユニット上に、受容体のN末端と細胞外ループ間の相互作用によりグルタメートのための結合ポケットが形成される。類似実験で、NR1サブユニットの相同領域中にグリシン結合部位が突き止められた(Kuryatov A, Laube B, Betz H and Kuhse J,1994,Neuron,12:1291)。実際のサブユニット組成に応じて、グルタメート及びグリシンは高ナノモル〜低マイクロモル範囲のEC50値でNNDA受容体を活性化する。加えて、NMDA受容体の孔はマグネシウムを透過させない。正常な休息状態では、細胞外マグネシウムは孔内の部位に結合し、チャネルのマグネシウムブロックを生じ得る。このマグネシウムブロックはチャネルに対する強い電圧依存性を付与し、NMDA受容体は電流を通す前にグルタメート、グリシン結合及びシナプス後脱分極の発生を必要とするコインシデンスデテクタとして作用する。精神異常発現薬MK−801、PCP及びケタミンはすべてマグネシウム結合部位と重複する部位に結合することによりNMDA受容体−チャネルのオープンチャネルブロッカーとして作用するという所見は特に興味深い。NMDA受容体サブユニット及び調節部位の多様性が大きいと生理学的及び薬理学的に異なるヘテロマー受容体が複雑に組み合わされ、NMDA受容体は新規な治療用化合物を設計するための理想的標的となる。
【0003】
NMDA受容体は各種神経生理学的現象において重要な役割を発揮し、前記現象にはシナプス可撓性、認知、注意及び記憶が含まれるが、これらに限定されない(Bliss T and Collingridge W,1993,Nature,361:31;Morris RGMら,1986,Nature,319:774)。精神異常発現薬は、精神運動刺激薬(コカイン、アンフェタミン)、幻覚薬(LSD)及びNMDA受容体アンタゴニスト(PCP、ケタミン)を含めた広範囲の薬物からなる。これらの中で、NMDA受容体アンタゴニストのみが統合失調症のポジティブ、ネガティブ及び認知症状のロバストな誘導を引き出すようである。ヒト被験者におけるケタミン誘導精神病のコントロール研究及び気晴らし薬としてPCPを乱用している患者の症状の観察から、NMDA受容体アンタゴニスト誘導の精神病と統合失調症の間の類似性に説得あるリストが得られた(Jentsch JD and Roth RH,1999,Neuropsychopharmacology,20:201)。NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を臨床上2つを区別することが困難な程度にかなり真似ている。加えて、NMDA受容体アンタゴニストは統合失調症の症状を増悪させる恐れがあり、安定している患者において症状の再発をトリガーする恐れもある。最後に、グリシン、D−シクロセリン及びD−セリンのようなNMDA受容体コアゴニストが統合失調症患者において効果を示すという所見から、この障害におけるNMDA受容体の機能不全が暗示され、NMDA受容体活性化を高めると治療効果を与え得ることが示されている(Leiderman Eら,1996,Biol.Psychiatry,39:213;Javitt DCら,1994,Am.J.Psychiatry,151:1234;Heresco−Levy U,2000,Int.J.Neuropsychopharmacol.3:243;Tsai Gら,1998,Biol.Psychiatry,44.1081)。動物モデルを用いた多数の研究から、統合失調症におけるNMDA機能不全の仮説が裏付けられた。NMDA NR1サブユニットの正常レベルの5%しか発現しない突然変異マウスの最近の発生から、機能的NMDA受容体が減少すると統合失調症の他の動物モデルで観察された状態に非常に類似している状態が誘発されることが判明した(Mohn ARら,1999,Cell,98:427)。グルタミン酸作動性経路の機能低下は、統合失調症の他にヒト中枢神経系(CNS)における多数の病的状態に関与していた。これらの状態には認知欠陥、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病及び双極性障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0004】
NMDA受容体機能は、コアゴニストのグリシンのアベイラビリティーを変化させることによりモジュレートされ得る。このアプローチは、グリシンのシナプス濃度を増加させてもグルタメートの非存在下ではNMDA受容体が活性化されないのでNMDA受容体の活性依存活性化を維持するという重要な作用効果を有する。シナプスグルタメートレベルは高アフィニティー輸送機構によりしっかり維持されるので、グリシン部位の活性化を高めると活性化シナプスのNMDA成分が強化されるだけである。標準神経遮断治療に対する追加治療として高用量のグリシンを経口投与した臨床トライアルから、統合失調症患者の症状を改善させることが判明した(Javittら,Int.J.Neuropsychopharmacol,(2001),4:385−391)。外因性グリシンを投与することなくシナプスグリシンレベルを上昇させるための1つの方法はシナプスからのグリシンの除去を抑制することである。このアプローチが統合失調症の治療に有用であろうという証拠は、統合失調症を患っているが抗精神病薬に対して余り応答しなかった患者にサルコシンを投与した二重盲検のプラセボコントロール研究から引き出される。有利な効果はポジティブ、ネガティブ及び認知症状で観察され、これからグリシンの再取り込みの抑制が統合失調症の治療に対する合理的なアプローチであることが示される。
【0005】
2つの特異的グリシン輸送体のGlyT1及びGlyT2が同定され、タウリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、プロリン、モノアミン及びオーファン輸送体を含めた神経伝達物質輸送体のNa/Cl依存性ファミリーに属することが判明した(Smith KEら,1992,Neuron,8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron,10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.,268:22802;Kim KMら,1994,Mol.Pharmacol.,45:608;Morrow JAら,1998,FEBS Lett.,439:334;Nelson N,1998,J.Neurochem.,71:1785)。GlyT1及びGlyT2は異なる種から単離され、アミノ酸レベルでの同一性はたった50%であることが判明した。これらは哺乳動物中枢神経系において異なる発現パターンを有し、GlyT2は脊髄、脳幹及び小脳で発現し、GlyT1はこれらの領域の他皮質、海馬、隔壁や視床のような前脳領域中に存在する(Smith KEら,1992,Neuron,8:927;Borowsky Bら,1993,Neuron,10:851;Liu QRら,1993,J.Biol.Chem.,268:22802)。細胞レベルで、GlyT2はラット脊髄中のグリシン作動性神経終末により発現されると報告されており、GlyT1はグリア細胞により優先的に発現されるようである(Zafra Fら,1995,J.Neurosci.,15:3952)。これらの発現研究から、GlyT2は主にグリシン作動性シナプスでのグリシン取込みに関与し、GlyT1はNMDA受容体発現シナプスの近傍におけるグリシン濃度のモニタリングに関与するとの結論が得られた。最近のラットを用いた機能研究から、ラットにおいてGlyT1を強力な阻害剤(N−[3−(4’−フルオロフェニル)−3−(4’−フェニルフェノキシ)プロピル])サルコシン(NFPS)で阻止するとNMDA受容体活性及びNMDA受容体依存性長期間増強が増強されることが判明した(Bergeron Rら,1998,PNAS USA,95:15730;Kinney Gら,2003,J.Neurosci.,23:7586)。更に、NFPSはマウスにおいて統合失調症患者では不足していることが知られている知覚ゲーティングの尺度であるプレパルス抑制を強化することが報告された(Kinney Gら,2003,J.Neurosci.,23:7586)。前脳領域におけるGlyT1の生理学的影響と共に統合失調症患者における症状の改善の点でのGlyT1阻害剤サルコシンの有利な効果を示している臨床報告(Tsai and CoyleのWO 99/52519)から、選択的GlyT1取込み阻害剤が新規なクラスの抗精神病薬であることが分かる。
【0006】
特許出願WO 03/063797は、特定のシクロアルキル誘導体が不整脈やIKur関連障害のような障害を治療するためのカリウムチャネル機能の抑制剤として有用であることを開示している。多数の置換N−[4−(N−置換−N’−スルフェニルウレイド)−1−フェニルシクロヘキシルメチル]−ベンズアミドが開示されているが、対応するシクロブチル化合物の例はない。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、グリシン輸送体G1yT1を阻害し、グルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う神経及び精神障害及びグリシン輸送体G1yT1が関与する疾患の治療において有用な化合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、式I:
【0009】
【化6】

[式中、
は−(CH−R1a{ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC1−6アルキルまたはC1−6アルケニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(3)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(4)未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(5)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−O−C1−6アルキル、
(6)−CO(ここで、Rは独立して(a)水素、(b)未置換であるかまたは1〜6個のフルオロで置換されている−C1−6アルキル、(c)ベンジル及び(d)フェニルから選択される)、
(7)−NR1011(ここで、R10及びR11は独立して(a)水素、(b)未置換であるかまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213(ここで、R12及びR13は独立して水素及び−C1−6アルキルから選択される)で置換されている−C1−6アルキル、(c)未置換であるかまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213で置換されている−C3−6シクロアルキル、(d)ベンジル、(e)フェニルから選択される)、及び
(8)−CONR1011
からなる群から選択される}
であり;

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(3)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルまたはヘテロ環,(ここで、フェニルまたはヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている)で置換されているC1−8アルキル、
(4)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、及び
(5)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cは独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)未置換であるかまたは(a)1〜6個のハロゲン、(b)フェニル、(c)C3−6シクロアルキルまたは(d)−NR1011で置換されているC1−6アルキル、
(4)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲンで置換されている−O−C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−SCF
(7)−SCHF
(8)−SCH
(9)−CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、及び
(15)−NO
からなる群から選択され;

(1)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、またはR2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環で置換されているC1−6アルキル、
(2)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C3−6シクロアルキル、
(3)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
(4)−NR1011、及び
(5)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環
からなる群から選択され;
及びRは各々独立して
(1)水素、及び
(2)未置換であるかまたはハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択され;
Aは
(1)−O−、及び
(2)−NR10
からなる群から選択され;
mは0または1であり;
Bは
(1)−CR−、及び
(2)−NR
(ここで、R、R及びRは各々独立して水素及びC1−6アルキルから選択される)
からなる群から選択され、BがNRのときにはR及びRは各々独立して水素及びC1−4アルキルから選択され、BがCRのときには各々独立して水素、フッ素、塩素及びC1−4アルキルから選択される]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに関する。
【0010】
1つの実施態様において、本発明は、Rが(CH1a(ここで、R1aは未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキルである)からなる群から選択される化合物を含む。1つの実施態様において、適当にはnは1であり、Rは未置換C3−6シクロアルキル、好ましくはシクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0011】
本発明の更なる実施態様は、RがR2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環である化合物を含む。好ましくは、ヘテロ環は不飽和ヘテロ環式部分、例えばピリジルのような窒素含有不飽和ヘテロ環であり、R2a及びR2bは水素であり、R2cは水素またはフッ素である;飽和ヘテロ環式部分、例えば未置換であるかまたはR2a及びR2b(ここで、R2a及びR2bは独立してC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011からなる群から選択される)で置換されており、R2cは水素であるピペリジニルまたはピロリジニルのような窒素含有飽和ヘテロ環;未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピラニル;未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているピロリル;または未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−O−C1−6アルキルまたは−NR1011で置換されているアゾビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである。
【0012】
本発明の実施態様は、RがC1−3アルキルまたは水素である化合物を含む。
【0013】
この実施態様の範囲内で、本発明はRが水素である化合物も含まれる。
【0014】
本発明の更なる実施態様は、RがC1−3アルキルまたは水素である化合物を含む。
【0015】
本発明の1つの実施態様は、mが0である化合物を含む。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、R及びRが各々水素である化合物を含む。
【0017】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Ia:
【0018】
【化7】

(式中、B、R、R、R及びRは上に定義されている通りである)
を有する化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩、またはその個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーを含む。
【0019】
更に、この実施態様の範囲内で、本発明は、

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環(例えば、ピリジル、ピリミジニルまたはチエニル)、
(3)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、フェニル(このフェニルはR2a、R2b及びR2cで置換されている)または−NR1011で置換されているC1−8アルキル、
(4)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cが独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C1−6アルキル、
(4)−O−C1−6アルキル、
(5)−CF
(6)−OCF
(7)−OCHF
(8)−SCF
(9)−SCHF、及び
(10)−NH
からなる群から選択される化合物を含む。
【0020】
更に、この実施態様の範囲内で、本発明は、RがR2a、R2b及びR2c(これらのR2a、R2b及びR2cは上に定義されている通りであり、R2a、R2b及びR2cの多くとも1つのみが水素である)で置換されているフェニル、ピリミジルまたはピリジルである化合物も含む。
【0021】
この実施態様の範囲内で、本発明は、式Ib:
【0022】
【化8】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、B、R、R及びRは本明細書中に定義されている通りであり、BはCHRまたはNRであり、R2a、R2b及びR2cは水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、CH、OCH、CF、OCF及びNHから選択される)
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。本発明の1つの実施態様において、BはCHである。本発明の更なる態様では、BはNHまたはNCHである。好ましくは、Rが不飽和ヘテロ環ならば、これはピリジルまたはピリミジルである。
【0023】
本発明の1つの実施態様は、Rが基R3aであり、R3aがR2a、R2b及びR2cで置換されている本明細書中に定義されているヘテロ環である化合物を含む。好ましいヘテロ環式基R3aには不飽和ヘテロ環が含まれる。好ましくは、不飽和ヘテロ環は1個以上の窒素原子を含有する6員環(例えば、ピリジン)またはイオウ原子または1〜3個の窒素原子、好ましくは2〜3個の窒素原子を含有する5員環(例えば、ピラゾール)である。
【0024】
3aは1〜3個の窒素原子、更に場合によりヘテロ環の炭素原子の1つを介してスルホニル基に連結している酸素または硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員不飽和ヘテロ環が最も適当である。
【0025】
不飽和ヘテロ環は未置換であっても、1〜2個のハロゲン原子、或いはC1−6アルキルまたはC1−6ハロアルキル基で置換されていてもよい。好ましくは、不飽和ヘテロ環は未置換であるかまたは1〜2個のメチルまたはエチル基で置換されている。
【0026】
別の実施態様において、RはR3b基であり、R3bは場合によりハロゲン(例えば、1〜2個のフッ素原子)またはC3−6シクロアルキル基で置換されているC1−4アルキル基であり、またはR3bは基NR1415(ここで、R14は水素またはC1−4アルキ基であり、R15はC1−6アルキル基であり、或いはR14及びR15はこれらが結合している窒素原子と一緒に4〜6員ヘテロ環式環を形成する)である。
【0027】
1つの実施態様において、R3bは基NR1415(ここで、R14は水素またはC1−6アルキル基であり、R15はC1−6アルキル基であり、或いはR14及びR15はこれらが結合している窒素原子と一緒に4〜6員ヘテロ環式環を形成する)である。
【0028】
1つの実施態様において、BはCHまたはNH基である。
【0029】
式(I)を有する化合物の好ましい群は、式Ic:
【0030】
【化9】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、n、B、R1a、R2a、R2b及びR2cは上に定義されている通りであり、R3bは場合によりC3−6シクロアルキル基で置換されているC1−4アルキル基である)
を有する化合物である。
【0031】
nは好ましくは0または1である。
【0032】
1aの好ましい値は上に定義されている通りである。
【0033】
2a、R2b、R2cは好ましくは水素、OCH、CH、CFまたはハロゲン、適当には塩素またはフッ素である。R2a、R2b、R2cの1つのみが水素であることが好ましい。
【0034】
式(I)を有する化合物の更に好ましい群は、式Id:
【0035】
【化10】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、n、R、R2a、R2b、R2c及びR3bは上に定義されている通りである)
を有する化合物である。
【0036】
3bが場合によりシクロプロピル基で置換されているC1−4アルキル基、例えばプロピルまたはシクロプロピルメチルであることが好ましい。
【0037】
1つの実施態様において、BがNHのとき、Rは基−NR1011でなく、R3bはNR1415基(例えば、モノC1−4アルキルアミノ基)でない。
【0038】
本発明の具体的実施態様は、本明細書中の実施例の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0039】
本発明化合物は1個以上のキラル中心を含み得、よってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。分子上の各種置換基の種類に応じて追加の不斉中心が存在することがある。各不斉中心が独立して2つの光学異性体を生じ、混合物の形態及び純粋もしくは部分的に精製された化合物としての考えられる光学異性体及びジアステレオマーのすべてが本発明の範囲に含まれると考えられる。本発明はこれらの化合物の異性体すべてを包含すると意味する。式Iは好ましい立体化学を示すことなく化合物類の構造を示す。
【0040】
ジアステレオマーの独立合成またはそのクロマトグラフ分離は本明細書中に開示されている方法を適当に修飾することにより当業界で公知のように実施され得る。絶対立体化学は結晶性生成物または所要により公知の絶対配置を有する不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化した結晶性中間体のX線結晶学により調べられ得る。
【0041】
所望により、化合物のラセミ混合物は、各エナンチオマーが単離されるように分離され得る。この分離は当業界で公知の方法により実施され得、例えば化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成した後、標準的方法(例えば、分別結晶またはクロマトグラフィー)により各ジアステレオマーに分離し得る。カップリング反応はしばしばエナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。その後、ジアステレオマー誘導体は付加されたキラル残基を切断することにより純粋なエナンチオマーに変換され得る。また、化合物のラセミ混合物はキラル固定相を用いるクロマトグラフ方法によっても直接分離され得、この方法は当業界で公知の方法である。
【0042】
或いは、化合物のエナンチオマーは、当業界で公知の方法により公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いて立体選択的合成により得られ得る。
【0043】
当業者には自明のように、本明細書中で使用されているハロまたはハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含むと意図される。同様に、C1−6アルキルの場合のようなC1−6は基を直鎖状または分岐状に1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するものと同定すると定義され、C1−8アルキルは具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルを含む。独立して置換基で置換されているとする基は独立して複数個の置換基で置換されていてもよい。本明細書中で使用されている用語「ヘテロ環」は不飽和及び飽和ヘテロ環式部分の両方を含み、不飽和ヘテロ環式部分(すなわち、ヘテロアリール)にはベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、並びにそのN−オキシドが含まれ、飽和ヘテロ環式部分にはアゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニル、並びにそのN−オキシドが含まれる。ヘテロ環がC1−3アルキレン基により架橋されて、例えばアザビシクロアルカニル基(例えば、アゾビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基)を形成してもよい。
【0044】
用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機または有機塩基及び無機または有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性塩基または酸から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第1鉄、第2鉄、リチウム、マグネシウム、第1マンガン、第2マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2つ以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態でも存在し得る。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩には第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が含まれる。本発明化合物が塩基性の場合、塩は無機及び有機酸を含めた医薬的に許容され得る非毒性酸から製造され得る。前記酸には酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸が特に好ましい。本明細書中で使用する場合、本発明化合物の言及は医薬的に許容され得る塩をも含むことを意味すると理解される。
【0045】
本発明の具体化は実施例及び本明細書中に開示されている化合物の使用である。本発明内の具体的化合物には下記実施例に開示されている化合物からなる群から選択される化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のジアステレオマーが含まれる。
【0046】
本発明化合物は、有効量の化合物を投与することを含むグリシン輸送体GlyT1活性の阻害を要する患者(例えば、哺乳動物)における前記活性の阻害方法において有用である。本発明は、本明細書中に開示されている化合物のグリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤としての使用に関する。霊長類、特にヒトに加えて、他の各種哺乳動物が本発明の方法に従って治療され得る。
【0047】
本発明は、更に本発明化合物を医薬用担体または希釈剤と組み合わせることを含むヒト及び動物においてグリシン輸送体GlyT1活性を阻害するための薬剤の製造方法に関する。
【0048】
本発明の方法において治療される被験者は通常グリシン輸送体GlyT1活性を阻害したい哺乳動物、好ましくは男性または女性のヒトである。用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す本発明化合物の量を意味する。当業者は有効量の本発明化合物を用いて現在神経及び精神障害に罹患している患者を治療するかまたは前記障害に罹患している患者を予防的に治療することにより前記障害に影響を及ぼし得る得ることを認識している。本明細書中で使用されている用語「治療」及び「治療する」は、本明細書中に記載されている神経及び精神障害の進行を遅らす、中断する、停滞させる、コントロールするまたは停止させることができるが、必ずしもすべての病的症状の完全緩解を示さないすべてのプロセス、並びに上記状態、特にその疾患または障害に罹りやすい患者において上記状態の進行を遅らしたり、上記状態のリスクを減らすための予防的治療を指す。
【0049】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、特定成分を特定量含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合により、1つ以上の成分の解離、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用により直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物を医薬的に許容され得る担体と混合することにより製造される組成物を包含する。「医薬的に許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と相容性でなければならず、そのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。
【0050】
用語「化合物の投与」及び「化合物を投与する」は、本発明化合物または本発明化合物のプロドラッグを治療を要する個人に対して与えることを意味すると理解されるべきである。
【0051】
本発明化合物のグリシン輸送体活性、特にGlyT1活性の阻害剤としての有用性は当業界で公知の方法により立証され得る。GlyT1を内因発現するヒト胎盤絨毛癌細胞(JAR細胞(ATCC番号HTB−144))を96ウェルCytostarシンチレーションマイクロプレート(Amersham Biosciences)を用い、10% ウシ胎児血清を含有するRPMI 1640培地中でペニシリン(100μg/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)の存在下で培養した。アッセイ前、細胞を37℃、5% COの湿潤雰囲気中で40〜48時間増殖させた。培地をCytostarプレートから除去し、JAR細胞を本発明化合物の存在下または非存在下で30μlのTB1A緩衝液(120mM NaCl、2mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES、5mM L−アラニン,pHをトリス塩基を用いて7.5に調節)と1分間インキュベートした。その後、TB1Aで希釈した[14C]−グリシン(30μl)を各ウェルに添加して10マイクロモルの最終濃度とした。室温で3時間インキュベートした後、Cytostarシンチレーティングマイクロプレートを密封し、Top Countシンチレーションカウンター(Packard)を用いて計数した。[14C]−グリシンの非特異的取込みを10mM 非標識グリシンの存在下で測定した。[14C]タウリン取込み実験は非特異的取込みを測定するために10mM 非標識タウリンを使用した以外は同一のプロトコルに従って実施した。力価を測定するために、異なる濃度の本発明化合物を細胞に添加した後、一定濃度の[14C]グリシンを添加した。[14C]グリシンの特異的取込みを半分阻害した本発明化合物の濃度(IC50値)を非線形カーブフィッティングによりアッセイデータから求めた。
【0052】
特に、下記実施例の化合物は上記アッセイにおいて[14C]グリシンの特異的取込みを阻害する活性を有し、通常IC50値は約10マイクロモル未満であった。本発明の範囲内の好ましい化合物は上記アッセイにおいて約1マイクロモル未満のIC50値で[14C]グリシンの特異的取込みを阻害する活性を有していた。これらの化合物は(JAR細胞におけるタウリン輸送体TauTによる)[14C]タウリン取込みに比して(JAR細胞におけるGlyT1による)[14C]グリシン取込みに対して選択的であった。この結果は、GlyT1輸送体活性の阻害剤としての使用における化合物の固有活性を示している。
【0053】
NMDA受容体は広範囲のCNSプロセスの中心であり、ヒトまたは他の種における各種疾患において役割を発揮する。GlyT1輸送体の作用により、NMDA受容体の周りのグリシンの局所濃度が影響される。選択的GlyT1阻害剤はシナプスからのグリシンの除去を遅らせ、シナプスグリシンのレベルが上昇する。これにより、NMDA受容体上のグリシン結合部位の占有率が高まり、シナプス前終末からグルタメートが放出した後NMDA受容体の活性化が高まる。NMDA受容体を効率的に機能させるためにある量のグリシンが必要であるので、局所濃度への変化はNMDA媒介神経伝達に影響を及ぼす恐れがある。NMDA媒介神経伝達の変化は特定の神経精神障害、例えば認知症、うつ病及び精神病(例えば、統合失調症);学習及び記憶障害、例えば注意欠陥障害及び自閉症に関与している。
【0054】
本発明化合物は、グルタミン酸作動性神経伝達機能不全を伴う各種神経及び精神障害の治療において有用であり、前記障害には以下の状態または疾患の1つ以上が含まれる:
統合失調症または精神病、例えば(妄想性、解体型、緊張型または未分化型)統合失調症、分裂病様障害、分裂情動性障害、妄想障害、短期精神障害、共同精神障害、一般的医学状態による精神障害、物質誘因または薬物(フェニシクリジン、ケタミン及び他の解離麻酔薬、アンフェタミン、他の精神刺激薬及びコカイン)誘因精神障害、情動障害を伴う精神病、短期反応性精神病、分裂情動性精神病、“精神分裂病−スペクトル”障害、例えば分裂病質または分裂性人格障害、または統合失調症及び他の精神病のポジティブ及びネガティブ症状を含めた精神病(例えば、主要うつ病、躁うつ性(双極性)障害、アルツハイマー病及び外傷後ストレス症候群)に関連する病気;認知障害、例えば(アルツハイマー病、虚血、多梗塞性認知症、外傷、脈管の問題または卒中、HIV病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、周産期低酸素症、他の一般的医学状態または物質乱用に関連する)認知症;せん妄、健忘障害または年齢関連認知低下;不安障害、例えば急性ストレス障害、広場恐怖症、全身性不安障害、強迫障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、特殊恐怖症、物質誘因不安障害、及び一般的医学的状態による不安障害及び不安症;物質関連障害及び耽溺挙動(例えば、物質誘因せん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;物質(例えば、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入薬、ニコチン、オピオイド、フェンシクラジン、鎮痛剤、催眠薬または不安寛解剤)の耐性、依存性または退薬;肥満、神経性過食症及び強迫性摂食障害;双極性障害、抑うつ性障害を含めた気分障害;単極型うつ病、季節性うつ病や分娩後うつ病を含めたうつ病、月経前症候群(PMS)及び月経前不快障害(PDD)、全身医学状態による気分障害、及び物質起因の気分障害;学習障害、自閉障害を含めた広汎性発達障害、認知欠陥−多動障害(ADHD)を含めた認知障害、及び行為障害;NMDA受容体関連障害、例えば自閉症、うつ病、良性健忘症、小児学習障害及び非開放頭部外傷;運動障害、例えば無動及び無動−硬直症候群(例えば、パーキンソン病、薬物誘因パーキンソン症、脳炎後パーキンソン症、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、皮質基底変性、パーキンソン症−ALS認知症複合症候群及び基底核石灰化)、薬剤誘因パーキンソン症(例えば、神経遮断薬誘因パーキンソン症、神経遮断薬悪性症候群、神経遮断薬誘因急性ジストニー、神経遮断薬誘因急性アカシジア、神経遮断薬誘因晩発性ジスキネジー及び薬剤誘因姿勢時振せん)、ジル・デ・ラ・トゥレット症候群、てんかん、筋痙攣、及び振せんのような筋痙直または衰弱を伴う障害;[振せん(例えば、静止時振せん、姿勢時振せん及び企画振せん)、舞踏病(例えば、シデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球増加症、症候性舞踏病、薬物誘因舞踏病及び片側バリスム)、ミオクローヌス症(例えば、全身性ミオクローヌス症及び限局性ミオクローヌス症)、チック(例えば、単純チック、複合チック及び症候性チック)、及びジストニー(例えば、特発性ジストニー、薬物誘因ジストニー、症候性ジストニーや発作性ジストニーのような全身性ジストニー、及び眼瞼痙攣、口下顎ジストニー、痙攣性発生困難、痙攣傾斜痙、軸性ジストニー、ジストニー性書痙及び片麻痺性ジストニーのような限局性ジストニー)を含めた]ジスキネジー;尿失禁;眼損傷、網膜症または眼の黄斑変性を含めたニューロン損傷、耳鳴り、聴覚障害及び損失、及び脳浮腫;嘔吐;及び不眠症やナルコレプシーを含めた睡眠障害。
【0055】
上記疾患の中で、統合失調症、双極型障害、単極型うつ病、季節性うつ病や分娩後うつ病を含めたうつ病、月経前症候群(PMS)及び月経前不快障害(PDD)、学習障害、自閉障害を含めた広汎性発達障害、注意欠陥/多動障害を含めた注意障害、自閉症、トゥレット病を含めたチック障害、恐怖症や外傷後ストレス障害を含めた不安障害、認知症に関連する認知障害、AIDS認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙直、ミオクローヌス、筋痙攣、耳鳴り、聴覚障害及び損失の治療が特に重要である。
【0056】
具体的実施態様で、本発明は、認知障害の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む認知障害の治療方法を提供する。特定の認知障害は認知症、せん妄、健忘障害及び老人性認知低下である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が認知症、せん妄、健忘障害及び老人性認知低下を含めた認知障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「認知障害」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「認知障害」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0057】
別の具体的実施態様で、本発明は、不安障害の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む不安障害の治療方法を提供する。具体的不安障害は全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作の不安障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「不安障害」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「不安障害」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0058】
別の具体的実施態様で、本発明は、統合失調症または精神病の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む統合失調症または精神病の治療方法を提供する。具体的統合失調症または精神病は妄想性、解体型、緊張型または未分化型統合失調症及び物質誘因精神障害である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)が妄想性、解体型、緊張型または未分化型統合失調症及び物質誘因精神障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「統合失調症または精神病」はDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を含む。当業者は、精神障害には別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムが医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「統合失調症または精神病」は他の診断ソースに記載されている類似障害を含むと意図される。
【0059】
別の具体的実施態様で、本発明は、物質関連障害及び嗜癖行動の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む物質関連障害及び嗜癖行動の治療方法を提供する。具体的な物質関連障害及び嗜癖行動は、物質乱用に起因する持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;及び乱用物質の耐性、依存性または退薬である。現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)は、物質乱用に起因する持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;及び乱用物質の耐性、依存性または退薬を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「物質関連障害及び嗜癖行動」にはDSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療が含まれる。当業者は、精神障害に関して別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムは医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「物質関連障害及び嗜癖行動」は他の診断ソースに記載されている類似障害も含まれると意図される。
【0060】
別の具体的実施態様で、本発明は、疼痛の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む疼痛の治療方法を提供する。疼痛の具体例は骨及び関節痛(変形性関節症)、反復運動痛、歯痛、癌痛、筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛)、周術期疼痛(一般外科、婦人科)、慢性疼痛及び神経障害痛である。
【0061】
別の具体的実施態様で、本発明は、過剰飲食に関連する肥満または摂食障害及びそれに関連する合併症の治療を要する患者に対して有効量の本発明化合物を投与することを含む過剰飲食に関連する肥満または摂食障害及びそれに関連する合併症の治療方法を提供する。現在、肥満は、世界保健機構(1992年)出版のInternational Classification of Diseases and Related Health Problemsの第10版(ICD−10)に全身医学的状態として挙げられている。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000年,ワシントンDCに所在の米国精神医学会)は、医学的状態に影響を及ぼす心理学的因子が存在する肥満を含む診断ツールを提供している。本明細書中で使用されている用語「過剰飲食に関連する肥満または摂食障害」にはICD−10及びDSM−IV−TRに記載されている医学的状態及び障害の治療が含まれる。当業者は、全身医学的状態に関して別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること及びこれらのシステムは医学及び科学の進歩とともに進化することを認識している。よって、用語「過剰飲食に関連する肥満または摂食障害」は他の診断ソースに記載されている類似の状態及び障害も含まれると意図される。
【0062】
更に、本発明化合物は本明細書中に挙げられている疾患、障害及び状態の予防、治療、コントロール、改善、またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0063】
更に、本発明化合物はグリシン輸送体GlyT1活性の阻害剤を含めた他の物質と組み合わせた上記した疾患、障害及び状態の予防、治療、コントロール、改善、またはそのリスクの軽減方法において有用である。
【0064】
本発明化合物は、本発明化合物または他の薬物が有用であり得る疾患または状態の治療、予防、コントロール、改善、またはそのリスクの軽減において1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用され得、薬物の組合せはいずれかの薬物単独の場合に比してより安全であるかまたはより有効である。前記した他の薬物は通常使用されているルート及び量で本発明化合物と同時または順次投与され得る。本発明化合物を1つ以上の他の薬物と同時に投与する場合、他の薬物及び本発明化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用治療には本発明化合物及び1つ以上の他の薬物を異なる重複スケジーュールで投与する治療も含まれ得る。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明化合物及び他の活性成分は各々を単独で使用したときよりも少ない用量で使用され得ると考えられる。従って、本発明の医薬組成物には本発明化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0065】
上記した組合せには本発明化合物と1つの他の活性化合物の組合せ及び本発明化合物と2つ以上の他の活性化合物の組合せが含まれる。また、本発明化合物を、本発明化合物が有用である疾患または状態の予防、治療、コントロール、改善、またはそのリスクの軽減において使用される他の薬物と組み合わせて使用してもよい。前記した他の薬物は通常使用されているルート及び量で本発明化合物と同時または順次投与され得る。本発明化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、本発明化合物に加えて他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には本発明化合物に加えて1つ以上の他の活性成分をも含有するものが含まれる。
【0066】
本発明化合物:第2活性成分の重量比は変更可能であり、各成分の有効用量に依存する。通常、各成分の有効用量が使用される。よって、例えば、本発明化合物を他の物質と組み合わせるとき、本発明化合物:他の物質の重量比は通常約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。本発明化合物と他の活性成分の組合せも通常上記範囲内であるが、いずれの場合も各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【0067】
上記組合せにおいて、本発明化合物と他の活性物質を別々に投与しても、一緒に投与してもよい。また、1つの成分を他の物質の投与前、投与と同時または投与後に投与してもよい。
【0068】
従って、本発明化合物は単独で使用しても、前記適応症において有効であることが公知の他の物質、或いは本発明化合物の有効性、安全性または便利さを高めるかまたは本発明化合物の望ましくない副作用または毒性を低下させる受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物と組み合わせて使用してもよい。本発明化合物及び他の物質は併用治療または固定組合せで同時投与され得る。
【0069】
1つの実施態様で、本発明化合物は抗アルツハイマー病剤、β−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含めたNSAID、ビタミンE及び抗アミロイド抗体と組み合わせて使用され得る。
【0070】
別の実施態様では、本発明化合物は鎮静剤、催眠薬、不安除去剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニンアゴニスト及びアンタゴニスト、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT−2アンダコニスト等、例えばアジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピラゾール、ベンタゼパン、ベンゾクタミリン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクローラル、クロラールベタイン、クロラール水和物、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロロジアゼポキシド、クロレテート、クロロプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキクラモル、ジアゼパム、ジクロロアルフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドクセピン、エスタゾラム、エスクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロクアロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポホール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム及びその塩、並びにその組合せ等と一緒に使用され得る。または、本発明化合物を物理的方法、例えば光治療または電気刺激と併用して投与してもよい。
【0071】
別の実施態様では、本発明化合物はレボドーパ(場合により、カルビドーパまたはベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と一緒に);ビペリデン(場合により、その塩酸塩または乳酸塩として)及びトリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩のような抗コリン作動薬;エンタカポンのようなCOMT阻害剤;MOA−B阻害剤;酸化防止剤;A2aアデノシン受容体アンタゴニスト;コリン作動性アゴニスト;NMDA受容体アンタゴニスト;セロトニン受容体アンタゴニスト;アレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールのようなドーパミン受容体アゴニストと一緒に使用され得る。ドーパミンアゴニストは医薬的に許容され得る塩、例えばアレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、フェノルドパムメシル酸塩、ナキサゴリド塩酸塩及びペルゴリドメシル酸塩の形態をとり得る。リスリド及びプラミペキソールは通常遊離形態で使用される。
【0072】
別の実施態様では、本発明化合物は神経遮断薬のフェノチアジン、チオキサンテン、ヘテロ環式ジベンザゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンクラスの化合物と一緒に使用され得る。フェノチアジンの適当な例にはクロロプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが含まれる。チオキサンテンの適当な例はクロロプロチキセン及びチオチキセンである。ジベンザゼピンの例はクロザピンである。ブチロフェノンの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例はピモジドである。インドロンの例はモリンドロンである。他の神経遮断薬にはロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが含まれる。本発明化合物と併用したとき、神経遮断薬は医薬的に許容され得る塩、例えばクロプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシル酸塩、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジンエナント酸塩、フルフェナジンデカン酸塩、トリフルオロペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカン酸塩、ロキサピンコハク酸塩及びモリンドン塩酸塩の形態をとり得ると認められる。ペルフェナジン、クロロプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは通常遊離形態で使用される。よって、本発明化合物はアセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド、ベンゾヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロロプロマジン、クロロプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドーパ、レボドーパ+ベンセラジド、レボドーパ+カルビドーパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシルフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジンまたはジプラシドンと併用され得る。
【0073】
別の実施態様では、本発明化合物は抗うつ剤または抗不安薬と併用され得、この抗うつ剤または抗不安薬にはノルエピネフリン再取り込み阻害剤(第3級アミン三環式化合物及び第2級アミン三環式化合物が含まれる)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン1受容体アンタゴニスト、異型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1部分アゴニスト、及びコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストが含まれる。具体的には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレギリン;モクロベミド;ベンラファキシン;ジュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン;アルプラゾラム、クロロジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパテ、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン、及びその医薬的に許容され得る塩が挙げられる。
【0074】
本発明化合物は経口により、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射またはインプラント)により、吸入スプレー、経鼻、経膣、直腸内、舌下または局所投与ルートにより投与され得、単独でまたは組み合わせて各投与ルートに適した慣用の非毒性で医薬的に許容され得る担体、佐剤及びビヒクルを含む適当な投与単位製剤に製剤化され得る。温血動物(例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等)の治療に加えて、本発明化合物はヒトに使用するのに効果的である。
【0075】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、所定の量または比率で特定成分を含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。医薬組成物に関連してこの用語は1つ以上の活性成分及び不活性成分からなる任意の担体を含む製品;及び2つ以上の成分の組合せ、複合体化または集合により、1つ以上の成分の解離により、または1つ以上の成分の他のタイプの反応または相互作用により直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。通常、医薬組成物は、活性成分を液体担体及び/または微細固体担体と均一且つ均密に混合し、その後所要により生成物を所望製剤に成形することにより製造される。活性成分は疾患のプロセスまたは状態に対して所望効果を得るのに十分な量で医薬組成物中に含まれる。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される組成物を包含する。
【0076】
経口用に意図された医薬組成物は医薬組成物の製造のための当業界で公知の方法に従って製造され得、前記組成物は医薬として上品で口に合う製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠剤は、活性成分を錠剤を製造するのに適した非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含む。錠剤はコーティングされていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長時間にわたり持続作用を発揮するように公知技術によりコーティングされていてもよい。経口用組成物は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、分散性散剤または顆粒剤、水中油型エマルジョン剤及び滅菌の注射用水性または油性懸濁液剤は当業界で公知の標準方法に従って製造され得る。
【0077】
グリシン輸送体GlyT1活性の阻害を必要とする状態の治療において適当な1日用量レベルは、通常患者の体重1kgあたり約0.01〜500mgであり、この量を1回または複数回に分けて投与され得る。1日用量レベルは、好ましくは約0.1〜約250mg/kg、より好ましくは約0.5〜約100mg/kgである。適当な1日用量レベルは約0.01〜250mg/kg、約0.05〜100mg/kg、または約0.1〜50mg/kgであり得る。この範囲で、1日用量は0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kgであり得る。経口投与の場合、組成物を1.0〜1000mgの活性成分、特に治療対象の患者に対する用量を症状にてらして調節するために1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900及び10000mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供することが好ましい。本発明化合物は1日1〜4回、好ましくは1日1〜2回のレジメンで投与され得る。この投与レジメンは最適の治療応答を与えるように調節され得る。しかしながら、特定患者に対する具体的用量レベル及び投与頻度は使用する特定化合物の活性、前記化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード及び投与時間、排泄率、併用薬物、特定状態の重症度及び治療を受ける宿主を含めた各種要因に依存することを理解されたい。
【0078】
以下の化学及び実施例の説明において使用した略号は以下の通りである:
CHCl ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
PS−DIEA ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン
PS−DMAP ポリスチレン4−N,N−ジメエチルアミノピリジン
DCC ポリスチレンジシクロヘキシルカルボジイミド
Ra−Ni ラネーニッケル
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
MeOH メタノール
LAH 水素化アルミニウムリチウム
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
MsCl メタンスルホニルクロリド
PMBCl p−メトキシベンジルクロリド
CAN 硝酸アンモニウムセリウム
Py ピリジン
TMSI ヨウ化トリメチルシリル
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
本発明化合物を製造するための幾つかの方法を以下のスキーム及び実施例で例示する。出発物質及び必要な中間体は場合により市販されており、または文献記載の方法に従ってまたは本明細書中に例示されているように製造され得る。
【0079】
本発明化合物は類似化合物を製造するために当業者に公知の方法を用いて、例えば下記スキームに示す反応に加えて文献から公知であるかまたは実験手順に例示されている他の標準操作を用いて製造され得る。スキームに示す置換基のナンバリングは請求の範囲で使用されているものと必ずしも相関せず、明確とするために複数の置換基が上記した定義で許容される場合でも化合物に結合して1つの置換基しか示されていないことが多い。本明細書中のスキーム及び実施例に示すような反応に加えて文献から公知であるか実験手順に例示されているような他の標準操作(例えば、エステル加水分解、保護基の開裂等)を用いることにより本発明化合物を製造するために使用される反応を用いて製造される。
【0080】
場合により、最終生成物は、例えば置換基を操作して更に修飾され得る。これらの操作には当業者に通常公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が含まれるが、これらに限定されない。場合により、反応を促進させたり望ましくない反応生成物を避けるために上記反応スキームの実施順序を変更してもよい。本発明を更に深く理解するために下記実施例を提示する。これらの実施例は単なる例示であって、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0081】
式(I)を有する化合物は、式(II):
【0082】
【化11】

を有する対応化合物をアシル化することにより製造され得る。このアシル化を式(II)を有する化合物を非極性溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、弱塩基(例えば、トリエチルアミンのようなトリアルキルアミン)の存在下で化合物R(A)COOHの反応性誘導体、例えば式RCOhalの酸ハライド(好ましくは、適切な酸クロリド)と極端でない温度(例えば−20〜100℃、有利には0〜50℃)で反応させることにより実施することが有利である。
【0083】
式(II)(式中、BはNRである)を有する化合物は、Rがシクロプロピルメチルである化合物について例示されている反応スキームIにより製造され得る。
【0084】
【化12】

【0085】
式(II)(式中、BはCRである)を有する化合物は、Rがシクロプロピルメチルである化合物について例示されているスキーム(II)、(III)及び(IV)により製造され得る。
【0086】
【化13】


【0087】
式(I)を有する化合物は、対応のスルファニル化合物を酸化することによっても製造され得る。この酸化を適当な溶媒(例えば、アセトンのようなケトンまたはTFA)中、“オキソン”と極端でない温度(例えば−20〜150℃、有利には20〜100℃)で反応させることにより実施することが有利であり得る。窒素含有ヘテロ環が存在する場合、環窒素原子を例えばBOCで保護し、次いで酸化した後保護基を除去することが必要なことがある。
【0088】
スルファニル化合物は、Rがそれぞれシクロプロピル及びピペリジンとして示されている反応スキームV及びVIに記載されている方法により製造され得る。
【0089】
【化14】

【0090】
式(I)(式中、BはNHである)を有する化合物は、式(III):
【0091】
【化15】

を有する対応のアミノ化合物を適切に置換されているスルホニル化合物を用いてアシル化することによっても製造され得る。スルホニル化合物がスルホン酸の反応性誘導体(例えば、スルホニルクロリドのようなスルホニルハライド)であることが有利である。
【0092】
この反応を非極性溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、弱塩基(例えば、トリアルキルアミノ)の存在下で実施することが有利であり得る。
【0093】
式(III)を有する化合物の製造は反応スキーム(VII)及び(VIII)に示されている。
【0094】
【化16】

【0095】
下記実施例は本発明化合物の製造を説明するのに役立つ。
【実施例1】
【0096】
トランス2,4−ジクロロ−N−[3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物1)
【0097】
【化17】

【0098】
トランス3−ヒドロキシ−1−ピリジン−2−イル−シクロブタンカルボニトリル:
ピリジンアセトニトリル(4.6mL,41ミリモル)をTHF(100mL)中に含む溶液を−78℃で撹拌し、ここにメチルリチウムの溶液(ジエチルエーテル中1.6M)(25.6mL,41ミリモル)を1滴ずつ添加した。1.5時間撹拌した後、エピブロモヒドリン(3.4mL,40ミリモル)をTHF(50mL)中に含む溶液を0.5時間かけて1滴ずつ添加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した後、臭化メチルマグネシウムの溶液(ジエチルエーテル中3M)(13.7mL,41ミリモル)を1滴ずつ添加した。反応物を12時間かけて周囲温度までゆっくり加温した後、酢酸エチル(500mL)で希釈し、ブライン(4×)で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、粗な油状物が生じた。30〜50% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)にかけて、油状物(2.8g,39%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.60(1H,d,J 4.6),7.86−7.84(1H,m),7.58(1H,d,J 7.9),7.35(1H,dd,J 4.9,6.9),4.63−4.57(1H,m),3.06−3.00(2H,m),2.76−2.70(2H,m)。
【0099】
シス3−アミノメチル−3−ピリジン−2−イル−シクロブタノール:
トランス3−ヒドロキシ−1−ピリジン−2−イル−シクロブタンカルボニトリル(225mg,1.29ミリモル)をTHF(5mL)中に含む溶液に周囲温度で水素化アルミニウムリチウムの溶液(THF中1.0M)(1.42mL,1.42ミリモル)を添加した。溶液を4時間還流加熱した後、周囲温度まで冷却した。氷をゆっくり添加することにより反応混合物をクエンチした後、セライトを介して濾過した。セライトをTHFで洗浄した。濾液を蒸発乾固し、残渣をトルエン(3×)と共沸させると、油状物が残り、これを更に精製することなく次ステップで使用した。MS(m/e)=179。
【0100】
シス2,4−ジクロロ−N−(3−ヒドロキシ−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド:
シス3−アミノメチル−3−ピリジン−2−イル−シクロブタノール(1.29ミリモル)をTHF(7mL)中に含む溶液に周囲温度でトリエチルアミン(0.9mL)次いで2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.9mL,6.4ミリモル)を順次添加した。反応混合物を周囲温度で48時間撹拌した後、揮発性成分を蒸発させた。酢酸エチル及びブラインを添加し、有機相を分離した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、クリーム色固体が残り、これを更に精製することなく使用した。
【0101】
このクリーム色固体をTHF(4mL)及び水(2mL)中に溶解した。溶液に水酸化リチウム(86mg)を添加した。溶液を70℃で12時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、水酸化リチウム(270mg)を添加し、反応混合物を70℃で更に3時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム溶液及び酢酸エチルを添加した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、粗な油状物が残った。1〜6% メタノール−塩化メチレンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)にかけて、ガラス状物(194mg,43%(3ステップ))を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.47(1H,d,J 4.9),7.80−7.76(1H,m),7.49(1H,d,J 1.8),7.37−7.30(3H,m),7.23(1H,dd,J 5.0,7.4),4.51−4.45(1H,m),3.76(2H,s),2.84−2.80(2H,m),2.31−2.25(2H,m);MS(m/e)=351。
【0102】
トランスN−(3−アジド−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド:
シス2,4−ジクロロ−N−(3−ヒドロキシ−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド(87mg,0.248ミリモル)をピリジン(0.2mL)及び塩化メチレン(1mL)中に含む溶液に周囲温度でメタンスルホニルクロリド(0.058mL,0.75ミリモル)を添加した。溶液を4時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈した。溶液をブライン(2×)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(124mg)が残った。これを更に精製することなく使用した。この油状物をDMF(1mL)中に溶解した。アジ化ナトリウム(33mg,0.51ミリモル)を添加し、反応混合物を撹拌しながら120℃で5時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、ブライン(3×)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を2% メタノール−ジクロロメタンで溶離させる分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、クリーム色固体(55mg,59%(2ステップ))を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.55(1H,d,J 4.1),7.83−7.79(1H,m),7.55(1H,d,J 8.0),7.50(1H,d,J 1.8),7.39−7.33(2H,m),7.27(1H,dd,J 5.8,7.4),3.89−3.83(1H,m),3.73(2H,s),2.94−2.90(2H,m),2.51−2.47(2H,m);MS(m/e)=376。
【0103】
トランスN−(3−アミノ−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド:
トランスN−(3−アジド−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド(53mg,0.141ミリモル)をTHF(2mL)中に含む溶液に水(0.040mL)及びトリフェニルホスフィン(111mg,0.423ミリモル)を順次添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、水を添加した。反応混合物を酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させて、油状物(45mg,91%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.54(1H,d,J 3.8),7.82−7.78(1H,m),7.57(1H,t,J 8.3),7.49(1H,d,J 1.9),7.36(1H,dd,J 1.9,8.2),7.31−7.24(2H,m),3.74(2H,s),3.26−3.20(1H,m),2.93−2.87(2H,m),2.21−2.17(2H,m);MS(m/e)=350。
【0104】
トランス2,4−ジクロロ−N−[3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル]−ベンズアミド:
トランスN−(3−アミノ−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド(24mg,0.070ミリモル)及びトリエチルアミン(0.029mL,0.21ミリモル)をジクロロメタン(1mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、撹拌し、ここにプロピルスルホニルクロリド(0.016mL,0.14ミリモル)を1滴ずつ添加した。氷浴を外し、反応混合物を周囲温度で5時間撹拌した。ジクロロメタン及び水を添加し、有機相を分離した。水性相をジクロロメタンで再抽出した。合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物をまず3% メタノール−ジクロロメタン、次いで5% メタノール−ジクロロメタンで2回溶離させる分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、ガラス状物(8mg,25%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ 8.56(1H,d,J 4.0),7.82(1H,t,J 7.6),7.60(1H,d,J 7.9),7.48(1H,s),7.36(1H,d,J 8.2),7.29(2H,dd,J 8.4,15.6),3.75(2H,s),3.67(1H,quin,J 8.2),2.99−2.92(4H,m),2.39(2H,t,J 10.5),1.80−1.73(2H,m),1.04(3H,t,J 7.4)。COSY分析及びNOESYスペクトルはトランス位置化学を示した。MS(m/e)=456。
【実施例2】
【0105】
トランスN−[3−(アゼチジン−1−スルホニルアミノ)−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル]− 2,4−ジクロロ−ベンズアミド(化合物2)
【0106】
【化18】

【0107】
トランスN−(3−アミノ−1−ピリジン−2−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド(22mg,0.062ミリモル)をジクロロメタン(0.5mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、ここにジイソプロピルエチルアミン(0.043mL,0.249ミリモル)及びアゼチジンスルファモイルクロリド(19.4mg,0.125ミリモル)を順次添加した。反応混合物を周囲温度まで加温し、6時間撹拌した。更にジイソプロピルエチルアミン(0.043mL,0.249ミリモル)及びアゼチジンスルファモイルクロリド(19.4mg,0.125ミリモル)を添加し、反応混合物を12時間撹拌した。反応混合物を直接ジクロロメタン−エタノール−アンモニア(80:8:1)で溶離させる分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、ガラス状物(6.5mg,22%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 8.54(1H,d,J 3.9),7.73−7.65(1H,m),7.56(1H,d,J 8.3),7.48−7.44(1H,m),7.38(1H,d,J 1.9),7.30(1H,m),7.19(1H,dd,J 5.7,7.5),7.13(1H,m),5.10(1H,d,J 7.3),3.97−3.83(7H,m),2.98−2.94(2H,m),2.40−2.36(2H,m),2.21−2.15(2H,m); MS(m/e)=456。
【実施例3】
【0108】
シス2,4−ジクロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物3)
【0109】
【化19】

【0110】
1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブタンカルボニトリル:
氷浴において冷却されているTHF(50mL)中のジイソプロピルアミン(6.77mL,0.048モル)にn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)(19.3mL,0.048モル)を1滴ずつ添加した。0.5時間撹拌した後、溶液を−78℃まで冷却し、3−メチレンシクロブタンカルボニトリル(3.0g,0.032モル)をTHF(50mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加した。橙色溶液を−78℃で1時間撹拌した後、臭化シクロプロピルメチル(4.66mL,0.048モル)を1滴ずつ添加した。溶液を3時間かけて周囲温度まで加温した。反応混合物を水でクエンチした後、ジクロロメタン(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を30% ジクロロメタン−ヘキサンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、不純な油状物(1.33g,28%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 4.94(2H,d,J 2.2),3.26(2H,d,J 16.4),2.82(2H,d,J 16.4),1.71(2H,d,J 6.8),0.87−0.81(1H,m),0.61−0.55(2H,m),0.26−0.19(2H,m)。
【0111】
C−(1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブチル)−メチルアミン:
1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブタンカルボニトリル(1.20g,8.15ミリモル)をジエチルエーテル(20mL)中に含む溶液を−78℃に冷却し、ここに水素化アルミニウムリチウム溶液(ジエチルエーテル中1.0M)(16.3mL,16.3ミリモル)を1滴ずつ添加した。次いで、反応混合物を3時間かけて周囲温度までゆっくり加温した後、周囲温度で2時間撹拌した。生じた白色懸濁液を氷浴において冷却し、水(1mL)、15% 水酸化ナトリウム溶液(1mL)及び水(1mL)を順次添加した。周囲温度で0.25時間撹拌した後、白色顆粒状沈澱を濾過した。白色固体をジエチルエーテル(3×)で洗浄した。濾液を蒸発させると、無色油状物(1.13g,92%)が残った。H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.80−4.78(2H,m),2.80(2H,s),2.47−2.35(4H,m),1.43(2H,d,J 6.5),0.70−0.56(1H,m),0.47−0.37(2H,m),0.09−0.00(2H,m)。
【0112】
2,4−ジクロロ−N−(1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブチルメチル)ベンズアミド:
C−(1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブチル)−メチルアミン(1.13g,7.47ミリモル)をジクロロメタン(5mL)及びTHF(5mL)中に含む溶液を周囲温度で撹拌し、ここにトリエチルアミン(1.25mL,8.97ミリモル)及び2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(1.26mL,8.99ミリモル)を順次添加した。白色沈澱を周囲温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を蒸発させた後、酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を5〜10% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、白色固体(1.29g,53%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.66(1H,d,J 8.4),7.43(1H,d,J 2.0),7.32(1H,dd,J 2.0,8.4),6.27(1H,s,N−H),4.86−4.84(2H,m),3.68(2H,d,J 5.8),2.57(4H,t,J 2.4),1.51(2H,d,J 6.9),0.74−0.64(1H,m),0.51−0.47(2H,m),0.08(2H,q,J 5.0)。
【0113】
2,4−ジクロロ−N−(1−シクロプロピルメチル−3−オキソ−シクロブチルメチル)−ベンズアミド:
2,4−ジクロロ−N−(1−シクロプロピルメチル−3−メチレン−シクロブチルメチル)−ベンズアミド(1.29g,3.98ミリモル)をジクロロメタン(40mL)及びメタノール(30mL)中に含む溶液に−78℃で青色が持続するまでオゾンを通気した。溶液に酸素をパージした後、硫化ジメチル(2.4mL)を注意深く添加した。反応混合物を12時間かけて周囲温度まで加温した。反応混合物を蒸発させた後、残渣を酢酸エチル中に溶解した。溶液を水で2回、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、白色固体(1.22g,94%)が残った。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.63(1H,d,J 10.1),7.44(1H,d,J 1.9),7.34−7.30(1H,m),6.40(1H,s,N−H),3.83(2H,d,J 6.2),3.10−2.91(4H,m),1.66(2H,d,J 7.0),0.78−0.68(1H,m),0.59−0.53(2H,m),0.16−0.12(2H,m);MS(m/e)=326。
【0114】
3−(シクロプロピルメチル)−3−[((2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ)メチル]シクロブチルメタンスルホネート:
2,4−ジクロロ−N−(1−シクロプロピルメチル−3−オキソ−シクロブチルメチル)−ベンズアミド(600mg,1.84ミリモル)をジクロロメタン(15mL)及びメタノール(15mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、ここにホウ水素化ナトリウム(77mg,2.04ミリモル)を添加した。1時間撹拌した後、反応混合物を水でクエンチした後、ジクロロメタンを添加した。有機相を分離し、水性相をジクロロメタンで再抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(0.76g)が残った。これを更に精製することなく使用した。この油状物をジクロロメタン(10mL)中に溶解し、ピリジン(2mL)を添加した。次いで、メタンスルホニルクロリド(0.427mL,5.52ミリモル)を添加し、溶液を12時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、溶液を水、10% 水性硫酸銅溶液で2回、水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を30〜40% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色油状物(0.70g,94%)を得た。H(400MHz,CDCl):δ 7.66(1H,d,J 8.3),7.44(1H,t,J 1.6),7.34(1H,dd,J 2.0,8.4),6.33(1H,s,N−H),5.14−5.04(1H,m),3.63(2H,dd,J 3.6,6.1),2.98(3H,d,J 5.7),2.57−2.43(2H,m),2.34−2.20(2H,m),1.52−1.45(2H,m),0.70−0.66(1H,m),0.57−0.51(2H,m),0.13−0.07(2H,m);MS(m/e)=406。
【0115】
シス−及びトランス−N−(3−アジド−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミド:
3−(シクロプロピルメチル)−3−[((2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ)メチル]シクロブチルメタンスルホネート(350mg,0.861ミリモル)をDMF(3.5mL)中に含む溶液を窒素雰囲気下、周囲温度で撹拌し、ここにアジ化ナトリウム(112mg,1.72ミリモル)を添加した。反応混合物を100℃で5時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、DMFを蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を10〜20% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、2つのフラクションを無色油状物として得た。速く流れるフラクションのシス異性体(0.130g)H(400MHz,CDCl):δ 7.67(1H,d,J 8.4),7.43(1H,d,J 2.0),7.32(1H,dd,J 2.0,8.4),6.29(1H,s,N−H),4.00−3.92(1H,m),3.59(2H,d,J 6.1),2.31−2.27(2H,m),2.06−2.02(2H,m),1.47(2H,d,J 6.6),0.72−0.64(1H,m),0.54−0.48(2H,m),0.12−0.06(2H,m);MS(m/e)=353。遅く流れるフラクションのトランス異性体(0.200g)H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.67(1H,d,J 8.3),7.44(1H,d,J 2.0),7.33(1H,dd,J 2.0,8.3),6.31(1H,s,N−H),4.03−3.95(1H,m),3.65(2H,d,J 6.1),2.36−2.32(2H,m),2.05−2.01(2H,m),1.46(2H,d,J 6.8),0.71−0.63(1H,m),0.54−0.50(2H,m),0.08(2H,q,J 5.0);MS(m/e)=353。シス及びトランス位置化学を化合物3及び4のNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【0116】
シス−N−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミド:
シス−N−(3−アジド−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミド(130mg,0.368ミリモル)をTHF(5mL)中に含む溶液に水(0.100mL)及びトリフェニルホスフィン(291mg,1.11ミリモル)を順次添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した。水を添加し、反応混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を5〜7% メタノール中2M アンモニア−ジクロロメタンで溶離させるBiotageクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色油状物(107mg,9%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.95(1H,s,N−H),7.60(1H,d,J 8.3),7.42(1H,d,J 1.8),7.30(1H,dd,J 1.9,8.3),3.57−3.51(3H,m),2.32−2.23(2H,m),1.72−1.65(2H,m),1.46(2H,d,J 6.4),0.69−0.63(1H,m),0.51−0.47(2H,m),0.09(2H,q,J 4.8);MS(m/e)=327。
【0117】
シス2,4−ジクロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物3):
シス−N−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミド(36mg,0.110ミリモル)及びトリエチルアミン(0.046mL,0.33ミリモル)をジクロロメタン(1mL)中に含む溶液を撹拌し、ここにプロピルスルホニルクロリド(0.025mL,0.22ミリモル)を1滴ずつ添加した。溶液を48時間撹拌した後、揮発性成分を蒸発させると、油状物が残った。この油状物を3% メタノール−ジクロロメタンで溶離させる分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、白色固体(36mg,76%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.63(1H,d,J 8.3),7.43(1H,d,J 1.9),7.33(1H,dd,J 2.0,8.3),6.38(1H,s,N−H),4.75(1H,d,J 8.8),3.99−3.91(1H,m),3.59(2H,d,J 6.2),2.93−2.89(2H,m),2.40−2.34(2H,m),1.98−1.94(2H,m),1.83−1.76(2H,m),1.48(2H,d,J 6.6),1.04(3H,t,J 7.4),0.70−0.63(1H,m),0.55−0.51(2H,m),0.11(2H,q,J 4.9);MS(m/e)=433。シス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例4】
【0118】
トランス2,4−ジクロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物4)
【0119】
【化20】

【0120】
トランス−N−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミド:
トランス−N−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミドを、トランス−N−(3−アジド−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミドから実施例3について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.66(1H,d,J 8.4),7.43(1H,d,J 2.0),7.32(1H,dd,J 2.0,8.3),6.26(1H,s,N−H),3.63(2H,d,J 5.8),3.58−3.48(1H,m),2.34−2.28(2H,m),1.64−1.57(2H,m),1.42(2H,d,J 6.7),0.72−0.62(1H,m),0.50−0.46(2H,m),0.06(2H,q,J 4.9);MS(m/e)=327。
【0121】
トランス2,4−ジクロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物4):
トランス2,4−ジクロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルアミノ)−シクロブチルメチル−ベンズアミド(化合物4)を、トランス−N−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミドから実施例3について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.64(1H,d,J 8.4),7.42(1H,d,J 2.0),7.32(1H,dd,J 2.0,8.3),6.30(1H,s,N−H),4.47(1H,d,J 8.6),4.04−3.94(1H,m),3.64(2H,d,J 6.0),2.95−2.91(2H,m),2.45−2.41(2H,m),1.90−1.76(4H,m),1.41(2H,d,J 6.7),1.04(3H,t,J 7.2),0.68−0.60(1H,m),0.51−0.47(2H,m),0.083−0.026(2H,m);MS(m/e)=433。トランス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【0122】
以下の化合物を適切なスルホニルまたはスルファモイルクロリド及びシスまたはトランスN−(3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロベンズアミドを用い、実施例1〜4に概説した方法により製造した。
【0123】
【表1】

【実施例5】
【0124】
トランス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[メチル−(プロパン−1−スルホニル)−アミノ]−シクロブチルメチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物5)
【0125】
【化21】

【0126】
3−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−シクロブタンカルボニトリル:
3−メチレンシクロブタンカルボニトリル(2.00g,0.0215モル)をメタノール(150mL)及びジクロロメタン(150mL)中に含む溶液に−78℃で、青色が持続するまでオゾンを通気した。溶液中に酸素、次いで窒素を通気した後、ホウ水素化ナトリウム(4.1g,0.108モル)を添加し、反応混合物を12時間かけて周囲温度まで加温した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで2回再抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、溶媒を蒸発させると、淡黄色液体(1.53g,73%)が残った。これを更に精製することなり次ステップで使用した。
【0127】
水素化ナトリウム(油中60%分散物)(1.26g,0.0315モル)をDMF(50mL)中に含む懸濁液を氷浴において冷却し、ここに3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボニトリルをDM中に含む溶液(150mL)を1滴ずつ添加した。添加が完了したら、氷浴を外し、反応混合物を周囲温度で0.5時間撹拌した。p−メトキシベンジルクロリド(425mL,0.0315モル)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(2.91g,0.0079モル)をDMF(50mL)中に含む溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、ジエチルエーテル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、淡黄色液体が残った。この液体を0〜50% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色液体(2.95g,86%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.22(2H,d,J 8.4),6.88(2H,d,J 8.4),4.35(2H,s),4.00−3.91(1H,m),3.81(3H,s),2.67−2.55(3H,m),2.42−2.30(2H,m)。
【0128】
1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−シクロブタンカルボニトリル:
3−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−シクロブタンカルボニトリル(1.20g,5.52ミリモル)及び臭化シクロプロピルメチル(0.642mL,6.62ミリモル)をTHF(20mL)中に含む溶液を−78℃で撹拌し、ここにカリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(トルエン中0.5M)(13.2mL,6.6ミリモル)を1滴ずつゆっくり添加した。黄色溶液を12時間かけて周囲温度までゆっくり加温した後、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、無色油状物が残った。この油状物を0〜40% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色油状物(1.14 g,76%)をシス及びトランス異性体の1:1混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.27−7.21(2H,m),6.88(2H,d,J 7.7),4.36(1H,s),4.35(1H,s),4.26(0.5H,quin,J 7.3),4.06(0.5H,quin,J 7.3),3.81(3H,s),2.79−2.75(1H,m),2.55−2.45(2H,m),2.10−2.04(1H,m),1.64(1H,d,J 7.4),1.59(1H,d,J 7.0),0.84−0.76(1H,m),0.57−0.50(2H,m),0.22−0.16(2H,m)。
【0129】
1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボニトリル:
1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−シクロブタンカルボニトリル(350mg,1.29ミリモル)をアセトニトリル(25mL)及び水(1mL)中に含む溶液を撹拌し、氷冷しながら、ここに硝酸アンモニウムセリウム(3.54g,6.46ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した後、周囲温度で1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、反応混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を0〜40% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色油状物(145mg,74%)をシス及びトランス異性体の混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 4.62−4.56(0.5H,m),4.41−4.34(0.5H,m),2.89−2.85(1H,m),2.63−2.59(1H,m),2.52−2.48(1H,m),2.09−2.05(1H,m),1.97(0.5H,s,O−H),1.93(0.5H,s,O−H),1.67(1H,d,J 7.2),1.61(1H,d,J 6.8),0.86−0.78(1H,m),0.63−0.53(2H,m),0.24−0.18(2H,m)。
【0130】
3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブタンカルボニトリル:
1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボニトリル(145mg,0.96ミリモル)をジクロロメタン(5mL)及びピリジン(1mL)中に含む溶液にメタンスルホニルクロリド(0.223mL,2.9ミリモル)を添加した。溶液を48時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、溶液を水、10% 水性硫酸銅溶液で2回、水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(197mg)が残った。この油状物をDMF(3mL)中に溶解し、アジ化ナトリウム(112mg,1.72ミリモル)を添加した。反応混合物を50℃で6時間加熱した後、80℃で12時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(129mg)が残った。この油状物をTHF(10mL)中に溶解し、水(0.200mL)及びトリフェニルホスフィン(574mg,2.19ミリモル)を順次添加した。反応混合物を周囲温度で48時間撹拌した。THFを蒸発させた。残渣をメタノール(4×40mL)、次いでメタノール中2M アンモニア(4×40mL)で溶離させるSCXカートリッジ(20g)により精製して、無色油状物(80mg,55%)をシス及びトランス異性体の3:2混合物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.80−3.72(0.4H,m),3.56−3.48(0.6H,m),2.85−2.81(0.8H,m),2.58−2.54(1.2H,m),2.26−2.22(1.2H,m),1.82−1.78(0.8H,m),1.65−1.60(2H,m),0.86−0.74(1H,m),0.59−0.51(2H,m),0.24−0.16(2H,m);MS(m/e)=151。
【0131】
(3−アミノメチル−3−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチル−アミドプロパン−1−スルホン酸のシス及びトランス異性体:
3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−シクロブタンカルボニトリル(80mg,0.53ミリモル)及びトリエチルアミン(0.222mL,1.59ミリモル)をジクロロメタン(2.5mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、撹拌し、ここにプロピルスルホニルクロリド(0.119mL,1.06ミリモル)を1滴ずつ添加した。氷浴を外し、反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した。ジクロロメタン及び水を添加し、有機相を分離した。水性相をジクロロメタンで再抽出した。合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(120mg)が残った。この油状物をTHF(5mL)中に溶解し、水素化ナトリウム(油中10%分散物)(47mg,1.18ミリモル)を1度に添加した。0.5時間撹拌した後、ヨウ化メチル(0.073mL,1.17ミリモル)を添加し、反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した。水を添加し、反応混合物をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(114mg)が残った。この油状物をジエチルエーテル(2mL)中に溶解し、−78℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウムをジエチルエーテル中に含む溶液(1.0M)(0.84mL,0.84ミリモル)を1滴ずつ添加した後、反応混合物を12時間かけて周囲温度まで加温した。次いで、飽和硫酸ナトリウム溶液を添加し、反応混合物を0.5時間撹拌した。固体硫酸ナトリウムを添加し、混合物を濾過し、濾液を蒸発させると、淡黄色液体が残った。この液体を0〜10% メタノール−ジクロロメタンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、
トランス異性体(16mg)H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.35−4.27(1H,m),2.86−2.82(7H,m),2.12−2.02(4H,m),1.85−1.75(2H,m),1.37(2H,d,J 6.7),1.04(3H,t,J 7.5),0.66−0.56(1H,m),0.50−0.46(2H,m),0.09−0.05(2H,m)、及びシス異性体(30mg)H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.41−4.33(1H,m),2.85−2.81(5H,m),2.75(2H,s),2.10−2.00(4H,m),1.84−1.74(2H,m),1.46(2H,d,J 6.6),1.03(3H,t,J 7.4),0.66−0.58(1H,m),0.51−0.45(2H,m),0.12−0.07(2H,m)
を得た。
【0132】
トランス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[メチル−(プロパン−1−スルホニル)−アミノ]−シクロブチルメチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物5):
塩化チオニル(1.5mL)中の2−クロロ−4−トリフルオロメチル安息香酸(36.9mg,0.164ミリモル)を1時間還流加熱した。塩化チオニルを蒸発させ、残渣をトルエン(3×)と共沸させ、次いで2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドと共沸させた後、真空下で乾燥した。ベンゾイルクロリドをジクロロメタン(2mL)中に溶解し、トランス(3−アミノメチル−3−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチル−アミドプロパン−1−スルホン酸(15mg,0.0547ミリモル)及びトリエチルアミン(0.038mL,0.273ミリモル)をジクロロメタン(1mL)中に含む撹拌溶液に添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、揮発性成分を蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を0〜80% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色油状物(23mg)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.80(1H,d,J 8.0),7.70(1H,s),7.61(1H,d,J 8.0),6.22(1H,s),4.40−4.33(1H,m),3.71(2H,d,J 6.0),2.88−2.82(5H,m),2.20(4H,d,J 8.7),1.85−1.77(2H,m),1.45(2H,d,J 6.7),1.05(3H,t,J 7.4),0.71−0.65(1H,m),0.56−0.50(2H,m),0.13−0.07(2H,m);MS(m/e)=481。トランス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例6】
【0133】
シス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[メチル−(プロパン−1−スルホニル)−アミノ]−シクロブチルメチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物6)
【0134】
【化22】

【0135】
シス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[メチル−(プロパン−1−スルホニル)−アミノ]−シクロブチルメチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物6)を、シス(3−アミノメチル−3−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチル−アミドプロパン−1−スルホン酸及び2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドから実施例5について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.77(1H,d,J 8.0),7.68(1H,s),7.59(1H,d,J 8.0),6.26(1H,s),4.37−4.30(1H,m),3.61(2H,d,J 6.1),2.85−2.79(5H,m),2.23−2.16(2H,m),2.15−2.11(2H,m),1.80−1.73(2H,m),1.52(2H,d,J 6.3),1.02(3H,t,J 7.4),0.72−0.65(1H,m),0.55−0.51(2H,m),0.11(2H,q,J 5.0)。MS(m/e)=481。シス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例7】
【0136】
トランス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)− シクロブチルメチル]−]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物7)
【0137】
【化23】

【0138】
3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル:
3−メチレンシクロブタンカルボニトリル(18.6g,0.20モル)をTHF(800mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、撹拌し、ここに9−BBNをTHF中に含む溶液(0.5M)(480mL,0.24モル)を1時間かけて添加した。反応混合物を0.25時間撹拌した後、氷浴を外し、撹拌を更に4時間続けた。過ホウ酸ナトリウム(92.3g)を水(1000mL)中に含む懸濁液を始めゆっくり添加した後、12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、固体をジエチルエーテル(3×)で洗浄した。濾液をジエチルエーテル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発すると、油状物が残った。この油状物を20〜100% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色油状物(14.9g,67%)を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 3.67−3.61(2H,m),3.15−3.07(0.3H,m),3.06−2.96(0.7H,m),2.77−2.69(0.3H,m),2.62−2.51(0.7H,m),2.51−2.41(2H,m),2.60−2.36(1H,m),2.31−2.19(2H,m)。
【0139】
3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル:
水素化ナトリウム(油中60%分散物)(1.16g,0.0290モル)をDMF(50mL)中に含む懸濁液を氷浴において冷却し、ここに3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル(1.64g,14.5ミリモル)をDMF(50mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加した。添加が完了したら、氷浴を外し、反応混合物を周囲温度で0.5時間撹拌した。p−メトキシベンジルクロリド(3.92mL,0.0290モル)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(2.68g,0.0073モル)をDMF(50mL)中に含む溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、ジエチルエーテル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、淡黄色液体が残った。この液体を5〜100% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるフラッシュクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色液体(2.95g,88%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.24(2H,d,J 8.4),6.90−6.88(2H,m),4.44(2H,d,J 3.8),3.81(3H,s),3.42(0.8H,d,J 5.7),3.40(1.2H,d,J 6.1),3.14−3.05(0.4H,m),3.02−2.92(0.6H,m),2.81−2.71(0.4H,m),2.65−2.54(0.6H,m),2.48−2.40(2H,m),2.29−2.17(2H,m)。
【0140】
1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル:
3−(メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル(1.23g,5.32ミリモル)及び臭化シクロプロピルメチル(0.62ml,6.39ミリモル)をTHF(20ml)中に含む溶液を−78℃で撹拌し、ここにカリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液(トルエン中0.5M)(12.8ml,6.4ミリモル)をゆっくり1滴ずつ添加した。黄色溶液を12時間かけて周囲温度までゆっくり加温した後、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、無色油状物が残った。この油状物を5〜50% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、トランス異性体(0.16g)H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.23(2H,d,J 8.5),6.88(2H,d,J 8.5),4.43(2H,s),3.81(3H,s),3.36(2H,d,J 5.5),2.90−2.82(1H,m),2.56−2.50(2H,m),2.02−1.96(2H,m),1.58(2H,d,J 6.9),0.81−0.73(1H,m),0.51(2H,q,J 6.1),0.15(2H,q,J 5.1)、シスとトランス異性体の混合物(0.37g)H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.23(2H,d,J 9.7),6.88(2H,dd,J 1.9,8.6),4.45(1H,s),4.43(1H,s),3.81(3H,s),3.48(1H,d,J 6.5),3.36(1H,d,J 5.5),2.90−2.82(0.5H,m),2.67−2.59(0.5H,m),2.56−2.50(1H,m),2.38−2.32(1H,m),2.28−2.22(1H,m),2.04−1.97(1H,m),1.68(1H,d,J 6.8),1.58(1H,d,J 7.0),0.86−0.72(1H,m),0.57−0.49(2H,m),0.22−0.14(2H,m)、及びシス異性体(0.46g)H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.25(2H,d,J 8.7),6.88(2H,d,J 8.5),4.45(2H,s),3.81(3H,s),3.48(2H,d,J 6.5),2.66−2.51(1H,m),2.36−2.32(2H,m),2.27−2.21(2H,m),1.68(2H,d,J 6.7),0.85−0.77(1H,m),0.55(2H,q,J 6.1),0.21(2H,q,J 5.1)
を得た。
【0141】
1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル:
シス及びトランス1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリルの混合物(936mg,3.28ミリモル)をアセトニトリル(50mL)及び水(5mL)中に含む溶液を撹拌し、氷冷しながら、ここに硝酸アンモニウムセリウム(9.00g,16.4ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した後、周囲温度で16時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、反応混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を20〜100% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるフラッシュクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色油状物(479mg,88%)をシス及びトランス異性体の混合物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.70(1.2H,d,J 6.4),3.58(0.8H,d,J 5.5),2.91−2.73(0.4H,m),2.65−2.51(1.4H,m),2.39−2.35(1.2H,m),2.32−2.22(1.2H,dd,J 2.3,4.4),2.04−1.98(0.8H,m),1.71(1.2H,d,J 6.8),1.61(0.8H,d,J 6.9),0.95−0.75(1H,m),0.62−0.50(2H,m),0.27−0.15(2H,m)。
【0142】
1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニル:
1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル(342mg,2.07ミリモル)をピリジン(7mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、ここにメタンスルホニルクロリド(0.176mL,2.27ミリモル)を添加した。氷浴を外し、溶液を2時間撹拌した。ピリジンを除去するために反応混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物をDMF(7mL)中に溶解し、ナトリウムプロパンチオレート(1.02g,10.4ミリモル)を添加した。反応混合物を60℃で16時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物をジエチルエーテルと水に分配した。有機相を分離し、水性相をジエチルエーテルで2回再抽出した。合わせた有機相を水(3×)、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を10〜100% ジクロロメタン−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色液体(0.381g,82%)をシスとトランス異性体の混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 2.87−2.75(0.4H,m),2.67−2.60(2H,m),2.54−2.44(3.4H,m),2.35−2.25(2.4H,m),1.87−1.81(0.8H,m),1.66(1.2H,d,J 6.8),1.61−1.54(2.8H,m),0.96(3H,t,J 7.3),0.84−0.73(1H,m),0.56−0.49(2H,m),0.22−0.14(2H,m)。
【0143】
1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブタンカルボニトリル:
1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル(381mg,1.71ミリモル)をアセトン(12mL)及び水(4mL)中に含む溶液にオキソン(3.15g,5.12ミリモル)を添加した。反応混合物を1.5時間還流加熱した。周囲温度まで冷却した後、応混合物を2N 炭酸ナトリウム溶液で中和し、ジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物(415mg,95%)が残った。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.21−3.17(1.6H,m),3.08−3.00(1.4H,m),2.95−2.90(2H,m),2.85−2.79(0.8H,m),2.57−2.45(2.4H,m),2.10−2.04(0.8H,m),1.94−1.84(2H,m),1.74(1.2H,d,J 6.8),1.63(0.8H,d,J 6.9),1.11(3H,t,J 7.4),0.88−0.76(1H,m),0.61−0.53(2H,m),0.27−0.17(2H,m)。
【0144】
シス及びトランス1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル−シクロブチル)−メチルアミン:
1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブタンカルボニトリル(415mg,1.62ミリモル)をジエチルエーテル(8mL)中に溶解し、−78℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウムをジエチルエーテル中に含む溶液(1.0M)(3.25mL,3.25ミリモル)を1滴ずつ添加した後、反応混合物を12時間かけて周囲温度まで加温した。次いで、飽和硫酸ナトリウム溶液を添加し、反応混合物を0.5時間撹拌した。固体硫酸ナトリウムを添加し、混合物を濾過し、濾液を蒸発させると、淡黄色液体が残った。この液体を7〜10% メタノール中2M アンモニア−ジクロロメタンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、トランス異性体(109mg)H NMR(500MHz,CDCl):δ 3.07(2H,d,J 7.1),2.89−2.79(5H,m),2.15−2.11(2H,m),1.91−1.83(2H,m),1.77−1.69(2H,m),1.34(2H,d,J 6.6),1.08(3H,t,J 7.4),0.62−0.54(1H,m),0.49−0.43(2H,m),0.09−0.02(2H,m)、及びシス異性体(129mg)H NMR(500MHz,CDCl):δ 3.09(2H,d,J 7.0),2.90−2.84(3H,m),2.71(2H,s),2.16−2.10(2H,m),1.90−1.83(2H,m),1.76−1.70(2H,m),1.48(2H,d,J 6.8),1.08(3H,t,J 7.4),0.67−0.59(1H,m),0.51−0.45(2H,m),0.10−0.03(2H,m)を得た。シス及びトランス位置化学を化合物7及び8のNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【0145】
トランス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物7):
塩化チオニル(5mL)中の2−クロロ−4−トリフルオロメチル−安息香酸(118mg,0.525ミリモル)を1時間還流加熱した。塩化チオニルを蒸発させ、残渣をトルエン(3×)と共沸させた後、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドを真空下で乾燥した。ベンゾイルクロリドをジクロロメタン(2mL)中に溶解し、トランス1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル−シクロブチル)−メチルアミン(68mg,0.262ミリモル)及びトリエチルアミン(0.11mL,0.79ミリモル)をジクロロメタン(6mL)中に含む撹拌溶液に添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、揮発性成分を蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を10〜90% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、油状物(88mg)を得た。H NMR(500MHz,DMSO):δ 8.54(1H,t,J 5.7,N−H),7.92(1H,s),7.76(1H,d,J 7.8),7.60(1H,d,J 7.9),3.48(2H,d,J 5.9),3.17(2H,d,J 13.5),2.97−2.92(2H,m),2.74−2.67(1H,m),2.15(2H,t,J 10.6),1.76−1.62(4H,m),1.35(2H,d,J 6.5),0.97(3H,t,J 7.4),0.71−0.63(1H,m),0.41−0.36(2H,m),0.06−0.01(2H,m)。トランス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例8】
【0146】
シス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物8)
【0147】
【化24】

【0148】
シス2−クロロ−N−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物8)をシス1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル−シクロブチル)−メチルアミン及び2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドから実施例7について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,DMSO):δ 8.52(1H,t,J 5.9,N−H),7.93(1H,s),7.77(1H,d,J 7.7),7.61(1H,d,J 7.9),3.34−3.31(2H,m),3.16(2H,d,J 7.3),2.95(2H,t,J 7.8),2.72−2.65(1H,m),2.01−1.95(2H,m),1.84(2H,t,J 10.6),1.69−1.62(2H,m),1.51−1.45(2H,m),0.96(3H,t,J 7.4),0.76−0.68(1H,m),0.44−0.38(2H,m),0.12−0.08(2H,m)。シス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例9】
【0149】
シス及びトランスN−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−]−2−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物9)
【0150】
【化25】

【0151】
3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル:
3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル(7.50g,0.0675モル)をピリジン(100mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、ここにメタンスルホニルクロリド(5.8mL,0.075モル)を添加した。氷浴を外し、溶液を2時間撹拌した。ピリジンを除去するために反応混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物をDMF(100mL)中に溶解し、ナトリウムプロパンチオレート(33.1g,0.337モル)を添加した。反応混合物を60℃で16時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物をジエチルエーテルと水に分配した。有機相を分離し、水性相をジエチルエーテル(4×)で再抽出した。合わせた有機相を水(5×)、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を12〜100% ジクロロメタン−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色液体(9.1g,80%)をシスとトランス異性体の混合物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.10−2.74(1H,m),2.61−2.43(7H,m),2.20−2.06(2H,m),1,63−1.55(2H,m),0.97(3H,t,J 7.3)。
【0152】
1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル:
3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル(9.1g,0.0538モル)及びシクロプロピルメチルブロミド(6.35mL,0.0645モル)をTHF(200mL)中に含む溶液を−78℃で撹拌し、ここにカリウムゾス(トリメチルシリル)アミド溶液(トルエン中0.5M)(129mL,0.0645モル)を1滴ずつゆっくり添加した。黄色溶液を12時間かけて周囲温度までゆっくり加温した後、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、無色油状物が残った。この油状物を7〜50% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、無色油状物(8.8g,73%)をシスとトランス異性体の混合物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.82−2.26(8.5H,m),1.88−1.84(0.5H,m),1.69−1.52(4H,d,J 6.8),0.98(3H,t,J 7.3),0.87−0.75(1H,m),0.59−0.51(2H,m),0.24−0.16(2H,m)。
【0153】
1−シクロプロピルメチル−(3−プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブタンカルボニトリル:
1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブタンカルボニトリルを1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリルから実施例7について上に概説した手順を用いて合成した。
【0154】
シス及びトランスC−1−[シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチル]−メチルアミン:
1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブタンカルボニトリル(2.0g,7.83ミリモル)をTHF(80mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、撹拌し、ここにボラン−THF複合体(47mL,47ミリモル)を1滴ずつ添加した。添加が完了したら、反応混合物を周囲温度まで加温し、12時間撹拌した。反応混合物を氷浴において冷却されているメタノールにカニューレを介して1滴ずつ添加した。添加が完了したら、濃塩酸(3.5mL)を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をSCXカートリッジを用いてメタノール(3×)、メタノール中2M アンモニア(4×)で溶離させて精製して、無色油状物(1.70g,84%)をシス及びトランス異性体の2:1混合物として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.09−3.07(2H,m),2.89−2.69(5H,m),2.16−2.10(2H,m),1.91−1.83(2H,m),1.76−1.68(2H,m),1.48(1.4H,d,J 6.5),1.34(0.6H,d,J 6.7),1.08(3H,t,J 7.4),0.68−0.54(1H,m),0.50−0.44(2H,m),0.10−0.02(2H,m)。
【0155】
シス及びトランスN−[1−シクロプロピルメチル−3−[(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−]−2−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物9):
C−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチル]−メチルアミン(250mg,0.964ミリモル)及びトリエチルアミン(0.161mL,1.16ミリモル)をジクロロメタン(20mL)中に含む溶液に2−メチル−6−トリフルオロメチルニコチノイルクロリド(259mg,1.16ミリモル)をジクロロメタン(4mL)中に含む溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。揮発性成分を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を50% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、
トランス異性体(15mg)H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.80(1H,d,J 7.9),7.55(1H,d,J 7.8),5.96(1H,s,N−H),3.72(2H,d,J 6.1),3.07(2H,d,J 7.4),2.98−2.86(3H,m),2.72(3H,s),2.26−2.22(2H,m),1.91−1.81(4H,m),1.39(2H,d,J 6.7),1.09(3H,t,J 7.4),0.71−0.61(1H,m),0.54−0.48(2H,m),0.09−0.04(2H,m);MS(m/e)=447、及び3:2 シス:トランス異性体混合物(225mg)及びシス異性体(107mg)H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.80(1H,d,J 7.9),7.57(1H,d,J 7.5),5.92(1H,s,N−H),3.59(2H,d,J 6.1),3.10(2H,d,J 7.3),2.98−2.86(3H,m),2.72(3H,s),2.26−2.18(2H,m),1.94−1.82(4H,m),1.55−1.53(2H,m),1.08(3H,t,J 7.4),0.72−0.66(1H,m),0.56−0.52(2H,m),0.14−0.08(2H,m);MS(m/e)=447
を得た。シス及びトランス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【0156】
以下の化合物を適切な酸クロリドを用い、実施例7〜9に概説した方法により製造した。
【0157】
【表2】




【実施例10】
【0158】
シス2−クロロ−N−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物10)
【0159】
【化26】

【0160】
シス1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル:
シス1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル(合成について実施例7参照)(638mg,2.24ミリモル)をアセトニトリル(40mL)及び水(4mL)中に含む溶液を撹拌し、氷冷しながら硝酸アンモニウムセリウム(3.68g,6.72ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌した後、周囲温度で1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、反応混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を5〜65% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色油状物(346mg,94%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.74(2H,d,J 6.4),2.65−2.55(1H,m),2.42−2.38(2H,m),2.31−2.27(2H,m),1.73(2H,d,J 6.8),0.91−0.81(1H,m),0.61−0.57(2H,m),0.26(2H,q,J 5.1)。
【0161】
シス1−シクロプロピルメチル−3−シクロプロピルメチルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル:
シス1−シクロプロピルメチル−3−ヒドロキシメチル−シクロブタンカルボニトリル(150mg,0.91ミリモル)をピリジン(3mL)中に含む溶液を氷浴において冷却し、ここにメタンスルホニルクロリド(0.077mL,0.99ミリモル)を添加した。氷浴を外し、溶液を2時間撹拌した。ピリジンを除去するために反応混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を10% 水性硫酸銅溶液で2回、ブラインで2回洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、メシレートが油状物として残った。
水素化ナトリウム(油中60%分散物)(200mg,5.0ミリモル)をTHF(5mL)中に含む懸濁液を氷浴において冷却し、ここにチオ酢酸(0.325mL,4.55ミリモル)を添加した。氷浴を外し、反応混合物を周囲温度で0.25時間撹拌した後、氷浴において再冷却した。メシレートをTHF中に含む溶液(5mL)を添加し、反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、ジエチルエーテルと水に分配した。有機相を分離し、水性相をジエチルエーテルで2回再抽出した。合わせた有機相をブラインで2回洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、橙色油状物(257mg)が残った。この油状物をメタノール(2mL)及び水(0.2mL)中に溶解した。シクロプロピルメチルブロミド(0.354mL,3.6ミリモル)及び水酸化リチウム(88mg,3.6ミリモル)を順次添加し、反応混合物を12時間撹拌した後、水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を5〜45% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、無色油状物(95mg,45%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.76(2H,d,J 7.6),2.59−2.49(1H,m),2.44(2H,d,J 7.4),2.38−2.28(4H,m),1.68(2H,d,J 6.8),1.01−0.90(1H,m),0.89−0.77(1H,m),0.60−0.52(4H,m),0.24−0.16(4H,m)。
【0162】
シス3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブタンカルボニトリル:
シス3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブタンカルボニトリルを、シス1−シクロプロピルメチル−3−シクロプロピルメチルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリルから実施例7について上に概説した手順を用いてオキソンで酸化することにより合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.23(2H,d,J 7.4),3.10−3.02(1H,m),2.89(2H,d,J 7,2),2.57−2.47(4H,m),1.73(2H,d,J 6.8),1.22−1.12(1H,m),0.95−0.75(3H,m),0.60−0.54(2H,m),0.40(2H,q,J 5.3),0.24(2H,q,J 5.1)。
【0163】
シスC(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチルアミン:
シスC−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチルアミンを、シス3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブタンカルボニトリルから実施例7について上に概説した手順を用いて水素化アルミニウムリチウムで還元することにより合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.21(2H,d,J 7.4),2.94−2.84(7H,m),2.23−2.13(2H,m),1.84(2H,t,J 10.9),1.52(2H,d,J 6.5),1.19−1.13(1H,m),0.77−0.71(2H,m),0.69−0.55(1H,m),0.51−0.45(2H,m),0.39(2H,q,J 5.3),0.11(2H,q,J 4.9);MS(m/e)=272。
【0164】
シス2−クロロ−N−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物10):
シス2−クロロ−N−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物10)を、シスC−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチル)−メチルアミン及び2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドから実施例7について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.76(1H,d,J 7.8),7.69(1H,s),7.60(1H,d,J 8.0),6.27(1H,s,N−H),3.59(2H,d,J 6.1),3.16(2H,d,J 7.3),2.98−2.90(1H,m),2.84(2H,d,J 7.1),2.29−2.21(2H,m),1.94−1.84(2H,m),1.56(2H,d,J 6.5),1.21−1.11(1H,m),0.78−0.66(3H,m),0.54−0.47(2H,m),0.41−0.37(2H,m),0.12(2H,q,J 4.9);MS(m/e)=478。シス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例11】
【0165】
トランス2−クロロ−N−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物11)
【0166】
【化27】

【0167】
トランス2−クロロ−N−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(化合物11)を、トランス1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル(合成について実施例7参照)から実施例10について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.79(1H,d,J 8.0),7.69(1H,s),7.60(1H,d,J 8.0),6.22(1H,s,N−H),3.75(2H,d,J 5.9),3.14(2H,d,J 7.4),2.99−2.92(1H,m),2.86(2H,d,J 7.1),2.27(2H,t,J 10.7),1.91−1.84(2H,m),1.42(2H,d,J 6.6),1.20−1.12(1H,m),0.76(2H,q,J 6.3),0.71−0.61(1H,m),0.54−0.48(2H,m),0.40(2H,q,J 5.2),0.07(2H,q,J 4.9)。トランス位置化学をNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例12】
【0168】
トランスN−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物12)
【0169】
【化28】

【0170】
トランスN−(3−シクロプロピルメタンスルホニルメチル−1−シクロプロピルメチル−シクロブチルメチル)−2−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物12)を、トランス1−シクロプロピルメチル−3−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−シクロブタンカルボニトリル(合成について実施例7参照)から実施例10について上に概説した手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.81(1H,d,J 7.8),7.56(1H,d,J 7.8),5.92(1H,s,N−H),3.73(2H,d,J 6.0),3.15(2H,d,J 7.8),3.01−2.91(1H,m),2.85(2H,d,J 7.3),2.72(3H,s),2.27−2.23(2H,m),1.94−1.86(2H,m),1.40(2H,d,J 6.7),1.20−1.12(1H,m),0.77(2H,q,J 6.4),0.70−0.63(1H,m),0.54−0.48(2H,m),0.40(2H,q,J 5.2),0.07(2H,q,J 4.9);MS(m/e)=459。トランス位置化学を化合物11のNOSEYスペクトルに基づいて帰属させた。
【実施例13】
【0171】
N−{1−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチル]−エチル}−2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物13)
【0172】
【化29】

【0173】
1−(1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチル)−エチルアミン:
1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブタンカルボニトリル(合成について実施例9参照)(5.15g,23.05ミリモル)をトルエン(30mL)中に溶解し、臭化メチルマグネシウム溶液(トルエン/THF中1.4M)(24.7mL,34.6ミリモル)を添加した。反応物を4時間還流加熱した。氷浴において冷却した後、メタノール(30mL)を添加し、反応混合物を0.25時間撹拌した。ホウ水素化ナトリウム(0.92g,24.4ミリモル)を添加し、氷浴を外した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した後、1N 塩酸(69mL,69ミリモル)で注意深くクエンチし、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物をメタノール中0〜20% 2M アンモニア−ジクロロメタンで溶離させるHorizonクロマトグラフィー(シリカカラム)により精製して、異性体の3:1混合物(3.89g)を得た。H NMR(500MHz,DMSO):δ 3.22(0.25H,q,J 6.6),3.10(0.75H,q,J 6.6),2.55(2H,d,J 7.6),2.43(2H,t,J 7.2),2.40−2.34(0.75H,m),2.31−2.23(0.25H,m),2.13−2.03(0.5H,m),1.98−1.88(1.5H,m),1.69−1.61(2H,m),1.55−1.43(3H,m),1.34−1.18(1H,m),1.06(0.75H,d,J 6.6),0.96(2.25H,d,J 6.6),0.92(3H,t,J 7.3),0.81−0.65(1H,m),0.50−0.44(2H,m),0.13−0.05(2H,m)。
【0174】
N−[1−(1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチル)−エチル]−2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド:
塩化チオニル(3mL)中の2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチン酸(289mg,1.23ミリモル)を1時間還流加熱した。塩化チオニルを蒸発させ、残渣をトルエン(3×)と共沸させた後、2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチノイルクロリドを真空下で乾燥した。ニコチノイルクロリドをジクロロメタン(4mL)中に溶解し、1−(1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチル)−エチルアミン(100mg,0.41ミリモル)及びトリエチルアミン(0.29mL,2.1ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中に含む撹拌溶液に添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、揮発性成分を蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水に分配した。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を0〜60% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、油状物(138mg,73%)を異性体の3:1混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.14(1H,s),6.18−6.12(1H,m,N−H),4.58−4.35(1H,m),3.98(2.25H,s),3.97(0.75H,s),2.63−2.57(2H,m),2.50−2.42(6H,m),2.24−1.98(2H,m),1.75−1.65(2H,m),1.60−1.53(3H,m),1.49−1.31(1H,m),1.20(0.75H,d,J 6.3),1.11(2.25H,d,J 6.7),1.00−0.94(3H,m),0.81−0.69(1H,m),0.58−0.40(2H,m),0.19−0.09(2H,m)。
【0175】
N−{1−[1−シクロプロピルメチル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチル]−エチル}−2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(化合物13):
N−[1−(1−シクロプロピルメチル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチル)−エチル]−2−メトキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−ニコチンアミド(138mg,0.30ミリモル)をアセトン(3mL)及び水(1mL)中に含む溶液にオキソン(555mg,0.90ミリモル)を添加した。反応混合物を1.5時間還流加熱した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を2N 炭酸ナトリウム溶液で中和し、ジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が残った。この油状物を5〜60% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるHorizonクロマトグラフィーシステム(シリカカラム)を用いて精製して、油状物(100mg,68%)を異性体の3:1混合物として得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ 7.15(1H,s),6.11(1H,d,J 9.3,N−H),4.64−4.58(0.25H,m),4.45−4.39(0.75H,m),4.00−3.97(3H,m),3.10−3.08(2H,m),2.94−2.86(3H,m),2.45−2.42(3H,m),2.30−2.18(2H,m),1.97−1.83(4H,m),1.69−1.62(0.75H,m),1.49−1.31(1.25H,m),1.23−1.19(0.75H,m),1.12−1.06(5.25H,m),0.81−0.69(1H,m),0.61−0.53(1H,m),0.49−0.45(1H,m),0.20−0.10(2H,m);MS(m/e)=491。
【0176】
以下の化合物を適切な酸クロリドを用い、実施例13に概説した方法により製造した。
【0177】
【表3】

【実施例14】
【0178】
2,4−ジクロロ−N−[1−ピペリジン−1−イル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド(化合物14)
【0179】
【化30】

【0180】
3−[(ベンジルオキシ)メチル]−2,2−ジクロロシクロブタノン:
アリルベンジルエーテル(10.4mL,67.5ミリモル)及び亜鉛−銅対(17.6g,270ミリモル)を無水エーテル(150mL)中に含む懸濁液を激しく撹拌し、ここにトリクロロアセチルクロリド(15.1mL,135ミリモル)を1,2−ジメトキシエタン(14.0mL,135ミリモル)及びエーテル(100mL)中に含む溶液を0.5時間かけて添加した。次いで、混合物を12時間還流加熱した。固体を濾過により集め、エーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発させた。残渣をヘキサン(300mL)中に排出し、(亜鉛塩を除去するために)濾過した。濾液を飽和NaHCO溶液で2回、ブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させて、橙色油状物(15g,57.9ミリモル)を得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。
【0181】
3−[(ベンジルオキシ)]メチルシクロブタノン:
3−[(ベンジルオキシ)メチル]−2,2−ジクロロシクロブタノン(15g,57.9ミリモル)をメタノール(150mL,NHClで飽和)中に溶解した。亜鉛(7.57g,116ミリモル)を0.5時間かけて少しずつ添加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。固体を濾過により集め、エーテルで洗浄し、濾液を蒸発させた。残渣を水(100mL)とエーテル(250mL)に分配した。エーテル層をブラインで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、黄色液体が生じた。この粗な液体を10% 酢酸エチル−ヘキサンで溶離させるクロマトグラフィー(シリカカラム)にかけて、無色液体(4.0g)を得た。これを更に精製することなく次ステップで使用した。
【0182】
3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−ピペリジン−1−イルシクロブタンカルボニトリル:
ピペリジン(0.99ml,9.99ミリモル)を1N HCl(10mL)中に含む溶液を0℃で撹拌し、ここにシアン化ナトリウム(0.49g,9.99ミリモル)を添加した。3−[(ベンジルオキシ)メチル]シクロブタノン(1.9g,9.99ミリモル)をメタノール(20mL)中に含む溶液を0.5時間かけて1滴ずつ添加した。添加が完了したら、混合物を周囲温度まで加温し、18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(50mL)に注ぎ、混合物を炭酸ナトリウム溶液(2N)で注意深く中和した。水性相を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、無色液体(2.8g)が生じた。これを更に精製することなく次ステップで使用した。
【0183】
1−{3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−ピペリジン−1−イルシクロブチル}メタンアミン:
水素化アルミニウムリチウムの懸濁液(エーテル中1.0M溶液)(20mL,20ミリモル)を−78℃で撹拌し、ここに3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−ピペリジン−1−イルシクロブタンカルボニトリル(2.8g,9.85ミリモル)をエーテル(20mL)中に含む溶液を20分間かけて添加し、混合物を−78℃で1時間撹拌した後、周囲温度まで加温し、3時間撹拌した。生じた混合物を氷浴を用いて冷却し、水(1ml)、次に15% 水酸化ナトリウム溶液(2mL)、最後に水(1.0mL)を添加した。生じた白色顆粒状沈澱を濾過し、固体をジエチルエーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発させて、無色油状物(2.8g)を得た。MS(m/e)=289。
【0184】
N−(3−ベンジルオキシメチル−1−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド:
1−{3−[(ベンジルオキシ)メチル]−1−ピペリジン−1−イルシクロブチル}メタンアミン(1.5g,5.20ミリモル)及びN−エチルイソプロピルアミン(1.08mL,6.24ミリモル)をジクロロメタン(10mL)中に含む0℃溶液に2,4−ジクロロベンゾイルクロリド(0.8mL,5.72ミリモル)を1滴ずつ添加し、溶液を撹拌しながら3時間で周囲温度まで加温した。水(4mL)を添加し、反応物を10分間撹拌した後、PTFEフリットに通した。有機相を集め、蒸発させて、淡橙色油状物(2.2g)を得た。MS(m/e)=361:363(3:2)。
【0185】
2,4−ジクロロ−N−(3−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド:
N−(3−ベンジルオキシメチル−1−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチル)−2,4−ジクロロ−ベンズアミド(2.2g,4.77ミリモル)をジクロロメタン(10mL)中に含む溶液に0℃でヨウ化トリメチルシリル(3.39mL,23.8ミリモル)を添加し、溶液を撹拌しながら1時間かけて周囲温度まで加温した後、60℃で16時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(60mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)に分配した。有機相を分離し、中性まで飽和炭酸水素ナトリウム溶液で少しずつ洗浄した。次いで、有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、油状物が生じた。この油状物をジクロロメタン、次いで5% メタノール−ジクロロメタンで溶離させるクロマトグラフィー(アルミナカラム)にかけて、淡橙色油状物(1.5g)を得た。MS(m/e)=371:373(3:2)。
【0186】
チオ酢酸3−[(2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−メチル]−3−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチルエステル:
トリフェニルホスフィン(0.71g,2.69ミリモル)をTHF(20mL)中に含む溶液に0℃でアゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.53mL,2.69ミリモル)を添加し、混合物を1時間撹拌した。2,4−ジクロロ−N−(3−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド(0.5g,1.35ミリモル)及びチオール酢酸(0.19mL,2.69ミリモル)をTHF(10mL)中に含む溶液を1滴ずつ添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した後、周囲温度まで加温した。反応物を酢酸エチル(50mL)と水(25mL)に分配し、有機相を分離し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させると、黄色油状物が生じた。この粗な生成物をジクロロメタン、次いで5% メタノール−ジクロロメタンで溶離させるクロマトグラフィー(アルミナ)にかけて、生成物を淡黄色油状物(0.480g)として得た。MS(m/e)=429:431(3:2)。
【0187】
2,4−ジクロロ−N−(1−ピペリジン−1−イル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド:
チオ酢酸3−[(2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−メチル]−3−ピペリジン−1−イル−シクロブチルメチルエステル(0.48g,1.12ミリモル)をイソプロピルアルコール(10mL)及び1−ブロモプロパン(0.20mL,2.24ミリモル)中に含む溶液に水酸化リチウム(0.11g,4.47ミリモル)を水(2.0mL)中に含む溶液を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(30mL)と水(15mL)に分配し、有機相を分離し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、蒸発させて、無色油状物(170mg)を得た。MS(m/e)=429:431(3:2)。
【0188】
2,4−ジクロロ−N−[1−ピペリジン−1−イル−3−(プロパン−1−スルホニルメチル)−シクロブチルメチル]−ベンズアミド:
2,4−ジクロロ−N−(1−ピペリジン−1−イル−3−プロピルスルファニルメチル−シクロブチルメチル)−ベンズアミド(0.17g,0.40ミリモル)をアセトン(6mL)中に含む溶液にトリフルオロ酢酸(0.030mL,0.40ミリモル)を添加した後、オキソン(0.73g,1.19ミリモル)を水(2mL)中に含む溶液を添加し、溶液を2時間還流加熱した。反応物をSCXカートリッジに注ぎ、メタノール、次いでメタノール中2M アンモニアで溶離させると、油状物が生じた。この油状物を5% メタノール−ジクロロメタンで溶離させる分取TLC(シリカ)により、トランス異性体を白色固体として得た。H NMR δ(ppm)500MHz(CDCl):7.67(1H,d,J 8.3),7.43(1H,d,J 1.9),7.33(1H,dd,J 1.9,8.3),6.82(1H,s,N−H),3.59(2H,s),3.15(2H,d,J 7.4),2.91−2.85(3H,m),2.61(2H,m),2.57(4H,m),1.91−1.83(2H,m),1.78(2H,m),1.58(4H,m),1.46(2H,m),1.08(3H,t,J 7.4);MS(m/e)=461:463(3:2);NOE実験からメチルスルホン及びピペリジンはトランスである。シス異性体を白色固体として得た。H NMR δ(ppm) 400MHz(CDCl):7.68(1H,d,J 8.4),7.43(1H,d,J 2.0),7.33(1H,dd,J 2.0,8.3),6.92(1H,s,N−H),3.67(2H,d,J 4.4),3.08(2H,m),2.92−2.88(2H,m),2.66(1H,m),2.45(4H,m),2.10(4H,m),1.92−1.82(2H,m),1.54(4H,m),1.43(2H,m),1.09(3H,t,J 7.4);MS(m/e)=461:463(3:2);NOE実験からメチルスルホン及びピペリジンはシスである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は−(CH−R1a{ここで、nは独立して0〜6であり、R1a
(1)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC1−6アルキルまたはC1−6アルケニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(3)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(4)未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、
(5)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−O−C1−6アルキル、
(6)−CO(ここで、Rは独立して(a)水素、(b)未置換であるかまたは1〜6個のフルオロで置換されている−C1−6アルキル、(c)ベンジル及び(d)フェニルから選択される)、
(7)−NR1011(ここで、R10及びR11は独立して(a)水素、(b)未置換であるかまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213(ここで、R12及びR13は独立して水素及び−C1−6アルキルから選択される)で置換されている−C1−6アルキル、(c)未置換であるかまたはヒドロキシ、1〜6個のフルオロまたは−NR1213で置換されている−C3−6シクロアルキル、(d)ベンジル、(e)フェニルから選択される)、及び
(8)−CONR1011
からなる群から選択される}
であり;

(1)R2a、R2b及びR2cで置換されているフェニル、
(2)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環、
(3)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、フェニルまたはヘテロ環(ここで、フェニルまたはヘテロ環はR2a、R2b及びR2cで置換されている)で置換されているC1−8アルキル、
(4)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキル、及び
(5)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)
からなる群から選択され;
2a、R2b及びR2cは独立して
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)未置換であるかまたは(a)1〜6個のハロゲン、(b)フェニル、(c)C3−6シクロアルキルまたは(d)−NR1011で置換されているC1−6アルキル、
(4)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲンで置換されている−O−C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−SCF
(7)−SCHF
(8)−SCH
(9)−CO
(10)−CN、
(11)−SO
(12)−SO−NR1011
(13)−NR1011
(14)−CONR1011、及び
(15)−NO
からなる群から選択され;

(1)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシ、−NR1011、またはR2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環で置換されているC1−6アルキル、
(2)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C3−6シクロアルキル、
(3)未置換であるかまたは1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されている−C1−6アルキル−(C3−6シクロアルキル)、
(4)−NR1011、及び
(5)R2a、R2b及びR2cで置換されているヘテロ環
からなる群から選択され;
及びRは各々独立して
(1)水素、及び
(2)未置換であるかまたはハロゲンまたはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル
からなる群から選択され;
Aは
(1)−O−、及び
(2)−NR10
からなる群から選択され;
mは0または1であり;
Bは
(1)−CR−、及び
(2)−NR
(ここで、R、R及びRは各々独立して水素及びC1−6アルキルから選択される)
からなる群から選択され、BがNRのときにはR及びRは各々独立して水素及びC1−4アルキルから選択され、BがCRのときには各々独立して水素、フッ素、塩素及びC1−4アルキルから選択される]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

(式中、B、R、R、R及びRは請求項1に定義されている通りである)
を有する請求項1に記載の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項3】
式Ib:
【化3】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、B、R、R及びRは請求項1に定義されている通りであり、BはCHRまたはNRであり、R2a、R2b及びR2cは水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、CH、OCH、CF、OCF及びNHから選択される)
を有する請求項1または2に記載の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項4】
式Ic:
【化4】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、n、B、R1a、R2a、R2b及びR2cは請求項1または3に定義されている通りであり、R3bは場合によりC3−6シクロアルキル基で置換されているC1−4アルキル基である)
を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項5】
式Id:
【化5】

(式中、RはR2a、R2b及びR2cで置換されているフェニルまたは不飽和ヘテロ環であり、n、R1a、R2a、R2b、R2c及びR3bは請求項1、3または4に定義されている通りである)
を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びその個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項6】
1aは未置換であるかまたはC1−6アルキル、1〜6個のハロゲン、ヒドロキシまたは−NR1011で置換されているC3−6シクロアルキルである請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩、その個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー及び医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
治療によるヒト身体の治療方法で使用するための請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩、その個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー。
【請求項9】
神経または精神障害の治療用薬剤を製造するための請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩、その個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーの使用。
【請求項10】
神経または精神障害を患っている被験者に対して治療有効量の請求項1に記載の化合物、或いはその医薬的に許容され得る塩、その個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーを投与することを含む前記被験者の治療方法。

【公表番号】特表2009−519231(P2009−519231A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541833(P2008−541833)
【出願日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050411
【国際公開番号】WO2007/060484
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】