説明

GSK−3阻害薬としてのピラゾロ[3,4−B]ピリジン−6−オン類

本発明は、式(I)の化合物、その立体異性体およびプロドラッグ、ならびに前記化合物、立体異性体およびプロドラッグの薬学的に許容できる塩(式中、R、RおよびRは本明細書に定義されている)、その医薬組成物、および特に糖尿病、認知症、アルツハイマー病、卒中、統合失調症、うつ病、脱毛および癌などの状態、疾患および症状の治療における使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクリン依存性プロテインキナーゼ−2(cdk−2)、サイクリン依存性プロテインキナーゼ−5(cdk−5)およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)の阻害薬である置換ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン類に関する。それらはとりわけ糖尿病、認知症、アルツハイマー病、卒中、統合失調症、うつ病、脱毛および癌などの状態、疾患および症状の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
セリン/トレオニンキナーゼcdk−2は、正常な細胞周期において不可欠であり、かつ多くの癌性障害に共通した特徴である異常な細胞周期より引き起こされる障害において重要な役割を果たす。したがってcdk−2阻害薬は多様なタイプの癌、および細胞発育異常に関する他の疾患または状態の治療に有用である。例えば、Meijerら、Pharmacol.
and Therapeutics, 82 (2-3), 279-284(1999)、Sausvilleら、Pharmacol. Therapeutics,
82 (2-3), 285-292(1999)などを参照されたい。セリン/トレオニンキナーゼcdk−5は、その補因子p25,またはより長鎖の補因子p35とともに神経変性疾患と関連付けられているため、cdk−5阻害薬はアルツハイマー病、パーキンソン病、卒中およびハンチントン病などの障害の治療に有用である。cdk−5阻害薬を用いたこのような神経変性障害の治療は、cdk−5がτタンパク質のリン酸化およびトレオニン75においてドパミンおよびサイクリックAMPにより調節されるホスホプロテイン(DARPP−32)に関与するために、ドパミン作動性伝達において役割を果たすことが示されるという知見によって裏付けられている。
【0003】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は2つの異性体GSK−3αおよびGSK−3βが同定されているプロリン指向性のセリン/トレオニンキナーゼであり、グリコーゲン合成の律速酵素であるグリコーゲンシンターゼ(GS)をリン酸化する。例えば、Embiら、Eur.
J. Biochem., 107, 519-527(1980)などを参照されたい。GSK−3αおよびGSK−3βはいずれも体内で高度に発現している。例えば、Woodgettら、EMBO,
9, 2431-2438(1990)およびLoyら、J. Peptide Res., 54, 85-91(1999)を参照されたい。GSの他にも、多くの代謝、シグナルおよび構造タンパク質を含むGSK−3基質が数多く同定されている。GSK−3によって調節される多数のシグナルタンパク質の中でも注目すべきものは、活性化タンパク質−1,サイクリックAMP応答要素結合タンパク質(CREB)、活性化T細胞の核因子(NF)、熱ショック因子−1、β−カテニン、c−Jun,c−Myc、c−MybおよびNF−KBなどの多くの転写因子である。例えば、C.
A. Grimesら、 Prog. Neurobiol., 65, 391-426 (2001), H. Eldar-Finkelman, Trends in
Molecular Medicine, 8, 126-132 (2002)およびP. Cohenら、 Nature, 2, 1-8, (2001)などを参照されたい。したがって、GSK−3活性にターゲティングすることは、例えばアルツハイマー病(A.
Castroら、Exp. Opin. Ther. Pat., 10, 1519-1527(2000))、喘息(P. J. Barnes,
Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 42, 81-98(2002))、癌(Bealsら、Science,
275, 1930-1933(1997), L. Kimら、Curr. Opin. Genet. Dev., 10, 508-514(2000)およびQ. Eastmanら、Curr. Opin.
Cell Biol., 11, 233(1999))、糖尿病および例えばX症候群および肥満などのその関連する続発症(S. E. Nikoulinaら、Diabetes, 51, 2190-2198(2002)、Orenaら、JBC,
15765-15772(2000)およびSummersら、J. Biol. Chem., 274, 17934-17940(1999))、脱毛(S. E. Millarら、Dev. Biol.,
207, 133-149(1999)およびE. Fuchsら、Dev. Cell, 1, 13-25(2001))、炎症(P.Cohen, Eur.
J. Biochem., 268, 5001-5010(2001))、うつ病などの気分障害(A. Adnanら、Chem. Rev., 101, 2527-2540(2001)およびR. S.
B. Williamsら、Trends Phamacol. Sci., 21, 61-64(2000))、神経細胞死および卒中(D. A. E. Crossら、J. Neurochem., 77, 94-102(2001)およびC. Sasakiら、Neurol.
Res., 23, 588-592(2001))、双極性障害(Kleinら、PNAS, 93, 8455-8459(1996))、骨格筋萎縮(G. J. Brunnら、Science,
277, 99-101(1997), R. E. Rhoads, J. Biol. Chem., 274, 30337-30340(1999)、V. R.
Dharmeshら、Am. J. Physiol. Cell Physiol. 283, C545-551(2002)およびK. Baarら、A. J.
Physiol., 276, C120-C127 (1999))、精子運動能減退(Vijayaraghavanら、Biol.
Reproduction, 54, 709-718(1996))、および心保護(C. Badorffら、 J. Clin.
Invest., 109, 373-381(2002)、S. Haqら、J. Cell Biol., 151, 117-129(2000)、およびH. Tongら、Circulation Res., 90, 377-379(2002))などの多くの異なる病態および状態の治療において顕著な治療的可能性を有する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)の化合物、
【化1】

その立体異性体およびプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体およびプロドラッグの薬学的に許容できる塩(式中、R、RおよびRは本明細書中に定義されている)、その医薬組成物、および特に糖尿病、認知症、アルツハイマー病、卒中、統合失調症、うつ病、脱毛および癌などの状態、疾患および症状の治療における使用を提供する。
(発明を実施するための最良の形態)
【0005】
本発明は、式(I)の化合物、
【化2】

その立体異性体およびプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体およびプロドラッグの薬学的に許容できる塩に関する
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRは独立に水素;1個から3個のハロゲンにより置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
但し、Rが水素の場合(1)Rは水素でなくかつRは水素またはメチルでなく;(2)RおよびRの両者がメチルではなく;または(3)Rは水素またはフェニルでなく、かつRはトリフルオロメチルでない]。
【0006】
一般的に好ましい式(I)の化合物のサブグループは式中:
が−(C−C)アルキルまたは−(C−C)シクロアルキル;
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRがそれぞれ独立に、1〜6個の(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F),1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよい化合物を含む。
【0007】
一般的に好ましい(I)の化合物の他のサブグループは式中:
が−(C−C)アルキルまたは−(C−C)シクロアルキルであり;
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素であり;
式中、RおよびRはそれぞれ独立に、1〜6個の(A)ClまたはF;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(E)−CN;(F)-CF;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよい化合物を含む。
【0008】
本発明の化合物および中間体はIUPAC(国際純正および応用化学連合)またはCAS(ケミカルアブストラクトサービス、オハイオ州コロンバス)の命名体系にしたがって命名してよい。
【0009】
各種炭化水素含有部分の炭素原子含有量は、部分中の最小および最大炭素原子数を表す接頭辞によって表示されることがあり、すなわち接頭辞(C−C)アルキルは整数「a」から「b」個(aおよびbを含む)の炭素数を示す。
【0010】
用語「アルコキシ」は、1個の酸素原子と結合した炭素原子の直鎖または分岐一価飽和脂肪族鎖であって、アルコキシ基が1個またはそれ以上の二重または三重結合、または二重結合と三重結合の組合せを組み入れてもよい脂肪族鎖を指す。アルコキシ基の例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどを含む。
【0011】
用語「アルキル」は、直鎖または分岐一価炭素原子鎖であって、アルキル基が1個またはそれ以上の二重または三重結合、または二重結合と三重結合の組合せを組み入れてもよい炭素原子鎖を指す。アルキル基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ビニル、アリル、2−メチルプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、エチニル、プロパルギル、2−ブチニルなどを含む。
【0012】
用語「アリール」は環状、芳香炭化水素を示す。アリールの例はアントラセニル、フルオレニル、フェナントレニル、フェニル、ナフチルなどを含む。
【0013】
用語「シクロアルキル」は、1個のアリール基と縮合していてもよい飽和単環式または多環式シクロアルキル基であって、シクロアルキル基が1個またはそれ以上の二重または三重結合、または二重結合と三重結合の組合せを組み入れてもよいが、芳香族ではないシクロアルキル基を示す。シクロアルキル基の例は、アダマンタニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカヒドロナフタリニル、ノルボルナニルなどを含む。
【0014】
用語「ハロゲン」は塩素、フッ素、臭素およびヨウ素を表す。
【0015】
用語「ヘテロアリール」は単環式または多環式芳香族炭化水素基であって、1個またはそれ以上の炭素原子が窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子により置換されている炭化水素基を示す。ヘテロアリール基が2個以上のヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は同一のこともあれば異なっていることもある。ヘテロアリール基の例はベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、クロメニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサジニル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリド[3,4−b]インドリル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キノリジニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアトリアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、キサンテニルなどを含む。
【0016】
用語「ヘテロシクロアルキル」は芳香族炭化水素または芳香族複素環炭化水素基と縮合してもよい飽和単環式または多環式シクロアルキル基であって、少なくとも1つの炭素原子が窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子により置換されているシクロアルキル基を示す。ヘテロシクロアルキル基が2個以上のヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は同一のこともあれば異なっていることもある。このようなヘテロシクロアルキル基の例は、アザビシクロヘプタニル、アゼチジニル、ベンザゼピニル、1,3−ジヒドロイソインドリル、ジオキサニル、カルバゾリル、ジオキソラニル、ジチアニル、インドリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、キヌクリジニル、フェノキサジニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピラゾリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ−2H−1,4−チアジニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、チオキサンテニル、チオキサニル、トリチアニルなどを含む。
【0017】
用語「チオアルコキシ」は本明細書の前項で定義するアルコキシ基であって、酸素原子が硫黄原子に置換されているものを示す。
【0018】
環状基は2つ以上の箇所で他の基と結合していてもよい。具体的な結合位置が明示されない場合、全ての可能な位置が意図される。例えば、用語「ピリジル」は2−,3−または4−ピリジル、また用語「チエニル」は2−または3−チエニルを含む。
【0019】
語句「薬学的に許容できる」は、指定された担体、賦形剤、希釈剤、添加剤および/または塩が、製剤を含む他の成分と化学的および/または物理的に適合し、かつその受容者と生理学的に適合しなければならないことを示す。
【0020】
用語「プロドラッグ」は、投与後に化学的または生理学的プロセスを経て(例:生理学的pHに達したとき、または酵素活性により)in vivoで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す。プロドラッグの調製および使用についての議論は、ACS
Symposium Series中のT. HiguchiおよびW. Stella、Prodrugs as Novel Delivery Systems,
Vol. 14、およびBioreverible Carriers in Drug Design, Edward B. Roche編、American
Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987により提供されている。
【0021】
用語「ラジカル」は化学反応において単独原子として振る舞う原子団を示し、例えば有機ラジカルは、一連の反応または転移の間にそれを含む化合物に対して特徴的性質を付与する、または変化しない原子団である。
【0022】
用語「塩」は式(I)の化合物またはその立体異性体またはプロドラッグの有機または無機塩を指す。これらの塩は、化合物の最終分離および精製時にその場で、または式(I)の化合物またはその立体異性体またはプロドラッグを適切な有機または無機酸または塩基と別個に反応させ、これにより形成された塩を分離することにより調製することができる。代表的な塩は臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩などを含むが、これに限定されない。また、これらはナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属を基とするカチオンの他、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなど含むがこれに限定されないアミンカチオンを含んでもよい。追加的な例としては、例えばBergeら、J.
Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)などを参照されたい。
【0023】
用語「置換された」は、分子上の水素原子が異なる原子または分子によって置き換えられていることを意味する。水素原子を置き換える原子または分子は「置換基」と呼ばれる。
【0024】
記号「−」は共有結合を表す。
【0025】
語句「反応−不活性溶媒」または「不活性溶媒」は、原料、試薬、中間体または生成物との間で、その所望の性質に好ましくない影響を示すような相互作用をしない溶媒または溶媒混合物を指す。
【0026】
本明細書中で用いられる用語「治療する」「治療される」または「治療」は、防止的(例:予防的)、緩和的、あるいは治癒的使用または結果を含む。
【0027】
式(I)の化合物は非対称またはキラル中心を有する場合があり、異なる立体異性体の形態で存在することもある。特に明記しない限り、式(I)の化合物の全ての立体異性体だけでなく、ラセミ混合物などのその混合物も本発明の一部を形成することが意図されている。さらに、本発明はすべての幾何および位置異性体を包含する。例えば、式(I)の化合物が二重結合を含む場合、cis−およびtrans−型の両者ならびにその混合物は本発明の範囲に包含される。
【0028】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィおよび/または分別結晶化などの当業者に周知の方法によって、その物理化学的相違に基づきそのおのおののジアステレオマーに分離される。鏡像異性体は、鏡像異性体混合物を適切な光学活性化合物(例:アルコール)と反応させることによりジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、各ジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換(例:加水分解)することにより分離することができる。また、式(I)の一部の化合物はアトロプ異性体(例:置換ビアリール)であることもあり、かつそれらも本発明の一部と見なされる。
【0029】
式(I)の化合物は、非溶媒和形態、ならびに、水、エタノールなどの薬学的に許容できる溶媒と溶媒和形態で存在することがあり、本発明は溶媒和形態および非溶媒和形態のいずれをも包含することが意図されている。
【0030】
式(I)の化合物は、下記に示すように式(I)および(Ia)によって表される平衡状態で互変異性体混合物として存在することもある。例示の簡便性のために、本発明の化合物は式(I)の互変異性体を含むと図示されているものの、互変異性型(I)および(Ia)はいずれも本発明の本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【化3】

【0031】
本発明は、1個またはそれ以上の原子が自然界で通常認められる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されていること以外は、本明細書中に列挙されているものと同一である同位体標識された式(I)の化合物も包含する。式(I)の化合物に組み入れることのできる同位体の例は、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体などを含む。前述の同位体および/または他の原子の同位体を含む式(I)の化合物、その立体異性体およびプロドラッグ、ならびに前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内にあることを意図されている。
【0032】
例えばHおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれている化合物などの、特定の同位体標識された式(I)の化合物は、化合物および/または基質の組織分布分析において有用である。トリチウムすなわちHおよび炭素−14すなわち14C同位体は、調製が比較的容易であり、検出しやすいため特に好ましい。さらに、重水素すなわちHなどのより重い同位体による置換により、例えばin vivo半減期の延長などの代謝安定性の向上、または必要用量の減少による一定の治療上の利点が得られることがあるため、ある状況では好ましいことがある。一般的に、同位体標識された式(I)の化合物は、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置換することにより、本明細書中で後述するスキームおよび/または実施例に開示されたものと類似の手順を遂行することによって、調製することができる。
【0033】
他の態様においては、本発明は、そのような治療が必要である哺乳類におけるグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を介した状態、疾患または症状の治療方法であって、そのような治療が必要である哺乳類に治療的に有効な量の式(I)の化合物、そのプロドラッグ、前記化合物あるいはプロドラッグの薬学的に許容できる塩;式(I)の化合物、そのプロドラッグ、あるいは前記化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物;または一定量の式(I)の化合物、そのプロドラッグ、あるいは前記化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩、および1つまたはそれ以上の一定量の(i)抗血管新生薬、(ii)シグナル伝達阻害薬、(iii)抗増殖薬、(iv)NK−1受容体拮抗薬、(v)5HT1D受容体拮抗薬、(vi)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、(vii)抗精神病薬、(viii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、(ix)神経保護薬、(x)組織プラスミノーゲン活性化薬(TPA)、(xi)好中球阻害因子(NIF)および(xii)カリウムチャネル調節薬との組合わせ;または前述の組合せを含む医薬組成物を投与することを含むこのような治療の方法を提供する。
【0034】
この方法に従って治療できる好ましい状態、疾患および症状は、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化症、不安、双極性障害、癌、糖尿病、認知症、うつ病、虚弱、脱毛、心不全、本態性高血圧、高血糖症、高脂血症、低血糖症、炎症、虚血、気分障害、神経細胞死、肥満、強迫性障害、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、卒中、X症候群および外傷性脳損傷からなる群から選択される。
【0035】
虚弱は、転倒、疾患からの回復困難、入院期間の延長および日常生活の介助を要する長期的障害の高いリスクをもたらす進行性かつ絶え間のない骨格筋量の減少により特徴付けられる。筋量および身体強度の低下は、通常クオリティ・オブ・ライフの低下、自律性の喪失および死をもたらす。虚弱は通常加齢に付随するが、疾患誘発性悪液質、不動化または薬物誘発性筋量低下など他の因子による筋量低下および強度低下が発生した場合も起こることがある。虚弱を示すのに用いられているもう1つの用語は筋量低下であり、骨格筋の筋量または質の低下についての一般的用語である。その全般的な質に寄与する骨格筋特性の例は、収縮性、線維のサイズおよび種類、易疲労性、ホルモン反応性、グルコース取り込み/代謝、および毛細血管密度などを含む。
【0036】
一般的に好ましい抗血管新生薬は、例えば基質メタロプロテイナーゼ−2(MMP−2)阻害薬、基質メタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)阻害薬およびシクロオキシゲナーゼ−II(COX−II)阻害薬などを含んでよい。有用なMMP−2およびMMP−9阻害薬の例は、例えばPCT国際公開番号WO98/34915およびWO98/34918号、および米国特許第5,240,958号、第5,310,763号、第5,455,258号、第5,506,242号、第5,530,161号、第5,552,419号、第5,672,615号、第5,861,510号、第5,863,949号、第5,932,595号、第5,994,351号、第6,077,864号、第6,087,392号、第6,090,852号、第6,110,964号、第6,147,061号、第6,147,074号、第6,303,636号、第6,380,219号および第6,387,931号などに開示されている。この組合せおよび方法において有用なCOX−II阻害薬の例は、セレブレックス(登録商標)(セレコキシブ、米国特許第5,466,823号),バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号)およびロフェコキシブ(米国特許第5,474,995号)を含む。一般的に好ましいMMP−2およびMMP−9阻害薬はMMP−1阻害活性をほとんどまたは全く示さないものである。特に好ましいMMP−2およびMMP−9阻害薬は、他のMMP阻害薬、すなわちMMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12およびMMP−13に対して選択的にMMP−2および/またはMMP−9を阻害する薬である。本発明の組合せおよび方法において有用なMMP阻害薬の具体例は、AG−3340、RO32−3555、RS13−0830および以下の化合物:
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロペンチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−exo−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
4−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロブチル)−アミノ]−プロピオン酸;
4−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(R)−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
(2R,3R)1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−1−メチル−エチル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−ヒドロキシカルバモイル−テトラヒドロピラン−4−イル)−アミノ]−プロピオン酸;
3−exo−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;
3−endo−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;および
(R)−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル−アミノ]−テトラヒドロ−フラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;および薬学的に許容できるその塩および溶媒和物を含む。
【0037】
一般的に、好ましいシグナル伝達阻害薬は、例えば上皮成長因子受容体(EGFR)抗体、EGF抗体、およびEGFR阻害薬である分子などのEGFR反応阻害薬、血管内皮成長因子(VEGF)阻害薬、および例えばハーセプチン(登録商標)(ジェネンテック社;カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)などのerbB2受容体と結合する分子または抗体などのerbB2受容体阻害薬を含んでよい。EGFR阻害薬は、例えばPCT国際公開番号WO98/14451号および米国特許第5,679,683号、第5,747,498号および第6,391,874号などに記載されている。EGFR阻害薬は、例えばモノクローナル抗体C225および抗−EGFR 22Mab(インクローン・システムズ社)、ZD−1839,BIBX−1382、MDX−103、VRCTC−310およびEGF融合毒素(セラジェン社(Seragen Inc.);マサチューセッツ州ホプキントン)などを含んでよい。VEGF阻害薬は、例えばPCT国際公開番号WO99/24440号および米国特許第5,792,783号、第5,834,504号、第5,851,999号、第5,883,113号、第5,886,020号、第6,051,593号、第6,114,371号、第6,133,305号、第6,162,804号、第6,174,889号、第6,207,669号、第6,235,741号、第6,291,455号、第6,294,532号、第6,310,238号、第6,380,203号および第6,395,734号などに開示されている。具体的なVEGF阻害薬は、例えばSu−5416、IM862、抗−VEGFモノクローナル抗体(サイトラン社(Cytran Inc.);ワシントン州カークランド)およびアンジオザイム(リボザイム社;コロラド州ボールダー)を含んでよい。ErbB2受容体阻害薬は、例えばPCT国際公開番号WO97/13760号、WO99/35132号およびWO99/35146号、および米国特許第5,679,683号、第5,587,458号、第5,877,305号、第6,207,669号、および第6,391,874号などに開示されている。具体的なerbB2受容体阻害薬は、例えばGW−282974(グラクソウェルカム社)、およびモノクローナル抗体AR−209(アロネックス・ファーマシューティカルズ社;テキサス州ザ・ウッドランズ)などを含んでよい。
【0038】
一般的に好ましい抗増殖薬は、例えば細胞毒性リンパ球抗原4(CTLA4)抗体およびCTLA4を遮断することのできる他の薬剤、およびファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬などを含んでよい。
【0039】
NK−1受容体拮抗薬の例は、例えば米国特許第5,122,525号、第5,162,339号、第5,232,929号、第5,332,817号、第5,703,240号、第5,716,965号、第5,719,147号、第5,744,480号、第5,763,699号、第5,773,450号、第5,807,867号、第5,843,966号、第5,852,038号、第5,886,009号および第5,939,433号などに開示されている。
【0040】
この組合せおよび方法において有用な5HT1D受容体拮抗薬の例は、例えばPCT国際公開番号WO94/21619号、および米国特許第5,358,948号、第5,510,350号、第6,380,186号、第6,403,592号、第6,423,708号および第6,462,048号に開示されている。
【0041】
この組合せおよび方法において有用なSSRIの例は、例えばフルオキセチン(米国特許第4,314,081号)、パロキセチン(米国特許第4,007,196号)、セルトラリン(米国特許第4,536,518号)、フルボキサミン(米国特許第4,085,225号)、塩酸ベンラファキシン(エフェクソール(登録商標)、米国特許第4,535,186号)、塩酸ネファゾドン(セルゾン(登録商標)、米国特許第4,338,317号)、および塩酸ブプロピオン(ウェルブトリン(登録商標)、米国特許第3,819,706号および第3,885,046号)を含むこともある。
【0042】
この組合せおよび方法において有用な一般的に好ましい抗精神病薬は、例えばジプラジドン(ジオドン(登録商標)、米国特許第5,312,925号)、オランザピン(米国特許第5,229,382号)、リスペリドン(米国特許第4,804,663号),L−745,870、ソネピプラゾール、RP−62203(ファナンセリン)、NGD−941、バラペリドン、フレジノキサン(米国特許第4,833,142号)、およびゲピロン(米国特許第4,423,049号)などを含んでよい。
【0043】
この組合せおよび他の方法において有用な一般的に好ましいアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、例えばドネペジル(アリセプト(登録商標)、米国特許第4,895,841号)、リバスチグミン(エクセロン(登録商標)、米国特許第4,948,807号)、メトリフォネート(米国特許第2,701,225号)、ガランタミン、フィゾスチグミン、タクリン、ヒューペルジンおよびイコペジル(米国特許第5,538,984号)などを含んでよい。
【0044】
この組合せおよび方法において一般的に好ましい神経保護薬は、例えばNMDA受容体拮抗薬などを含んでよい。具体的なNMDA受容体拮抗薬は、例えば(1S,2S)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン−1−イル)−1−プロパノール(米国特許第5,272,160号)、エリプロジル(eliprodil)(米国特許第4,690,931号)およびガベステネル(gavestenel)(米国特許第5,373,018号)などを含んでよい。追加的なNMDA拮抗薬の例は、例えば米国特許第4,690,931号、第5,185,343号、第5,272,160号、第5,356,905号、第5,373,018号、第5,744,483号、第5,962,472号、第6,046,213号、第6,124,317号、第6,124,323号、第6,130,234号、第6,218,404号、第6,333,036号および第6,448,270号およびPCT国際公開番号WO97/23202号およびWO98/18793号などに開示されている。
【0045】
一般的に好ましいカリウムチャネル調節薬は、例えばBMS−204352(フリンドカリナー、米国特許第5,602,169号)などを含んでよい。
【0046】
上述の全ての米国特許の開示は、その全文が本出願に参照文献として組み入れられている。
【0047】
他の態様においては、本発明は、そのような阻害が必要である哺乳類においてグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害する方法であってグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3阻害量の式(I)の化合物、そのプロドラッグ、あるいは前記化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩;または式(I)の化合物、そのプロドラッグ、あるいは前記化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を投与することを含むこのような阻害のための方法を提供する。
【0048】
式(I)の化合物、そのプロドラッグ、ならびに前記化合物およびプロドラッグの薬学的に許容できる塩は、1日あたり約0.0001mgから約1,000mgの範囲の用量レベルで哺乳類に投与することができる。体重約70kgの正常な成人に対しては、通常体重1kgあたり約0.01mgから約500mgの範囲の用量で充分である。しかし、治療される被験者の年齢および体重、意図する投与経路、投与される具体的な化合物などに応じて、全般的な用量範囲のある程度の変動が必要とされることもある。具体的な哺乳類対象についての用量範囲および至適用量の決定は、本開示の利益を有する当業者の技量の範囲内である。
【0049】
本発明の方法に従い、式(I)の化合物、そのプロドラッグ、ならびに前記化合物およびプロドラッグの薬学的に許容できる塩、または前述のこれと1つまたはそれ以上の(i)抗血管新生薬、(ii)シグナル伝達阻害薬、(iii)抗増殖薬、(iv)NK−1受容体拮抗薬、(v)5HT1D受容体拮抗薬、(vi)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、(vii)抗精神病薬、(viii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、(ix)神経保護薬、(x)組織プラスミノーゲン活性化薬(TPA)、(xi)好中球阻害因子(NIF)および(xii)カリウムチャネル調節薬の量との組合せは、好ましくは薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物の形態で投与される。したがって、式(I)の化合物、そのプロドラッグ、あるいは前記化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩、または前述の組合せは、被験者に対して個別にまたは併用して、従来の経口、直腸、経皮、非経口(例:静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(例:粉末、軟膏、または点眼)、または口腔内、または鼻腔内投与の従来の形態のいずれで投与してもよい。
【0050】
非経口注射に適した医薬組成物は、薬学的に許容できる無菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および無菌注射用溶液または分散液に用時溶解するための無菌粉末を含んでもよい。適切な水性および非水性担体、賦形剤または希釈剤の例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。適切な流動率は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散する場合の必要な粒子径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0051】
本発明の医薬組成物はさらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの佐剤を含んでもよい。本組成物の細菌汚染の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの多様な抗菌および抗真菌剤によって遂行することができる。また、例えば糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが所望されることもある。注射用医薬組成物の持続的吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延することのできる物質の使用により実施してもよい。
【0052】
経口投与用固形剤型はカプセル剤、錠剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固形剤型においては、有効成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つ従来の不活性医薬用添加剤(または担体)、または(a)例えばデンプン、乳糖、ショ糖、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、(b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアラビアゴムなどの結合剤、および、(c)例えばグリセロールなどのような保湿剤、(d)例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(e)例えばパラフィンなどのような溶解遅延剤、(f)四級アンモニウム化合物などのような吸収促進剤、(g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどのような湿潤剤、(h)例えばカオリンおよびベントナイトなどのような吸着剤、および/または(i)例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはその混合物などのような滑沢剤と混合される。カプセル剤や錠剤の場合、剤型はさらに緩衝剤を含んでよい。
【0053】
同様の種類の固形組成物は、ラクトース、即ち乳糖などの添加剤および高分子量ポリエチレングリコールなどの添加剤を用いて、軟または硬充填ゼラチンカプセルの充填剤として使用してもよい。
【0054】
錠剤、糖剤、カプセル剤および顆粒剤などの固形剤型は、腸溶コーティングおよび当業者に周知である他のもののようなコーティングおよび殻と共に調製することができる。乳白剤を含んでもよく、遅延、持続または調節された仕方で有効成分を放出するような組成物とすることもできる。使用することのできる埋め込み組成物の例は、重合物質およびロウである。有効成分は、適切であれば上述の添加剤を1つまたそれ以上含むマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0055】
経口投与用液状剤型は薬学的に許容できるエマルジョン、溶液、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。液状剤型は、有効成分の他に水または他の溶媒などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルなどのような可溶化剤および乳化剤、またはこれらの物質の混合物などを含んでよい。
【0056】
このような不活性希釈液の他、医薬組成物は湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、着香料および香料などの佐剤を含むこともできる。
【0057】
懸濁剤は、有効成分の他に例えばエトキシル化イソステアリールアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガントまたはこれらの物質の混合物などのような懸濁化剤をさらに含むこともある。
【0058】
直腸または膣投与用組成物は、好ましくは有効成分と、通常の室温で固形であるが体温で液状であるために、直腸内または膣内で融解して有効成分を放出するカカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ロウなどの、適切な非刺激性賦形剤または担体を混合することにより調製できる坐剤を含む。
【0059】
局所投与用剤型は軟膏剤、散剤、スプレー剤および吸入剤を含んでもよい。有効成分は、無菌条件下で薬学的に許容できる担体、溶媒または希釈剤といずれかの防腐剤、緩衝剤または必要と思われる噴射剤と混合される。
【0060】
式(I)の化合物は以下のスキームIに開示された例示的経路の他、当業者に周知である他の従来の有機製造法に従って調製することができる。スキーム1に開示されている方法は本発明を例示する目的のために意図されており、いかなる形であれその限定と解釈すべきではない。
【0061】
【化4】

スキーム1では、適切に置換されたメチルエステル(1)を、n−ブチルリチウムなどの強塩基の存在下でアセトニトリルと反応させてα−シアノケトン(2)を得る。通常、反応はテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で環境温度未満、好ましくは約−78℃で実施する。生成したα−シアノケトン(2)はtert−ブチルヒドラジンと環状縮合して保護されたアミノピラゾール(3)を得る。通常、環状縮合はエタノールなどの極性プロトン溶媒中で高温、好ましくは使用する溶媒の還流温度において実施する。次にアミノピラゾール(3)を適切に置換されたケトエステルと縮合してジヒドロピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン誘導体(4)を提供する。通常、縮合は氷酢酸などの極性プロトン性溶媒中で高温、好ましくは約70〜100℃で実施する。好ましくはジクロロエタンなどの非極性溶媒中または原液のトリフルオロ酢酸によりtert−ブチル保護基を除去し、化合物(I)を得る。
【0062】
(調製実験)
特に記載しない限り、使用されている試薬は全て市販品である。特に記載しない限り、以下の実験略語は指示された意味を有する:
AcOH−酢酸
APCI−大気圧化学イオン化
n−BuLi−n−ブチルリチウム
EtOAc−酢酸エチル
EtOH−エタノール
HPLC−高速液体クロマトグラフィ
hr−時間
LRMS−低分解能質量分析
MeOH−メタノール
min−分
mL−ミリリットル
mmole−ミリモル
MPLC−中圧液体クロマトグラフィ
MS−質量分析
NMR−核磁気共鳴
TFA−トリフルオロ酢酸
THF−テトラヒドロフラン
TLC−薄層クロマトグラフィ
【実施例】
【0063】
(調製例1)
3−オキソ−3−フェニル−プロピオニトリル
−78℃のTHF50mLにn−BuLi(58.8mL,147.0mmol,2.5Mヘキサン溶液)を加えた。反応温度が平衡した後(〜15分)、アセトニトリル溶液(7.7mL、THF100mL中147.0mmol)を20分かけて滴下漏斗より一滴ずつ加えた。生成した乳白色のスラリーを1時間撹拌した後、安息香酸メチル(10.0g、THF20mL中73.5mmol)を15分かけてフラスコの内壁に沿って底の方へ加えた。1時間後、反応物を−45℃に加温し(アセトニトリル/CO)、2時間撹拌した。低温で反応物に2N HClを一滴ずつ加えてクエンチングした後(pH=7)、EtOAcで希釈した。層を分離し、水層をCHClで抽出した。有機層を合わせてMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、無色の固形物として標題化合物(定量的収率)を得、これをさらに精製することなく使用した。LRMS m/z(APCI)144(M−1);500MHz H NMR(CDCl)δ7.92(dd,J=8.4,1.2Hz,2H),7.66−7.64(m,1H),7.55−7.50(m,2H),4.09(s,2H).
【0064】
(調製例2)
2−tert−ブチル−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イルアミン
塩酸tert−ブチルヒドラジン(12.8g,102.9mmol)の350mL EtOHスラリーに水酸化ナトリウム(3.5g,88.2mmol)を加えた。1時間撹拌した後、3−オキソ−3−フェニル−プロピオニトリル(10.6g、EtOH50mL中73.5mmol)を加え、生成したスラリーを加熱して還流した。12時間後、反応物を室温に冷却し、濾過し、減圧下で濃縮した。生成した固形物をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥し、黄色固形物として標題化合物(13.1g、収率83%)を得、これをさらに精製することなく使用した。LRMS m/z(APCI)216(M+1);500MHz H NMR(CDOD)δ7.67(d,J=7.5Hz,2H),7.35−7.29(m,2H),7.25−7.20(m,1H),5.86(s,1H),1.65(S,9H).
【0065】
(調製例3)
1−tert−ブチル−3,4−ジフェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(4.0g,18.6mmol)の撹拌AcOH(25mL)溶液にベンゾイル酢酸エチル(6.6mL,37.2mmol)を加えた。次に、反応物を110℃まで48時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液でクエンチングした。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。この物質の精製は、ISCOカラム(ISCO社;ネブラスカ州リンカーン)を用いたフラッシュクロマトグラフィにより、15%EtOAc/ヘキサンで溶離して実施した。生成物を含んだ分画を捕集し、減圧下で濃縮し、黄褐色の固形物として標題化合物(1.0g、収率16%)を得た。LRMS m/z(APCI)344(M+1).
【0066】
(実施例1)
3,4−ジフェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3,4−ジフェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(1.0g,3.1mmol)にTFA原液(15mL)を加え、得られた溶液を70℃に加熱した。18時間後、反応物を減圧化で濃縮し、TFAを除去した。生成した黄褐色固形物をEtOAcで希釈し、NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。この物質の精製はMeOHからの再結晶により行い、無色の固形物として標題化合物(0.17g、収率20%)を得た。LRMS m/z(APCI)288(M+1);500MHz H NMR(DMSO−D6)δ7.29−6.92(m,10H),5.90(bs,1H).
【0067】
(調製例4)
3−シクロブチル−3−オキソ−プロピオニトリル
−78℃のTHF390mLにn−BuLi(312mL,780mmol,2.5Mヘキサン溶液)を加えた。反応温度が平衡した後(〜15分)、アセトニトリル溶液(40.7mL、THF200mL中780.0mmol)を20分かけて滴下漏斗より一滴ずつ加えた。生成した乳白色のスラリーを1時間撹拌した後、シクロブタンカルボン酸エチルカルボキシレート(50.0g、THF100mL中390.1mmol)を15分かけてフラスコの内部に添加した。1時間後、反応物を−45℃に加温し(アセトニトリル/CO)、2時間撹拌した。低温で反応物に2N HClを一滴ずつ加えてクエンチングした後(pH=7)、EtOAcで希釈した。層を分離し、水層をCHClで抽出した。有機層を合わせてMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、無色の油状物質として標題化合物(定量的収率)を得、これをさらに精製することなく使用した。LRMS m/z(APCI)121(M−1).
【0068】
(調製例5)
2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン
1L EtOH中の塩酸tert−ブチルヒドラジン(68g,546mmol)のスラリーに水酸化ナトリウム(18.7g,468.1mmol)を加えた。1時間撹拌した後、粗3−クロロブチル−3−オキソ−プロピオニトリル(EtOH100mL中390.1mmol)を加え、生成したスラリーを加熱して還流した。12時間後、反応物を室温に冷却し、濾過し、減圧下で濃縮した。スラリーをEtOAcで希釈し、飽和NaHCO溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。25%EtOAc/ヘキサンで摩砕することにより生成物を分離した。数回摩砕を繰り返した後、無色の固形物として標題化合物(60g、収率80%)を捕集し、これをさらに精製することなく使用した。LRMS m/z(APCI)194(M+1).
【0069】
(調製例6)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4−メチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(1.0g,5.2mmol)の撹拌AcOH(10mL)溶液にメチルアセト酢酸(1.1mL,10.4mmol)を加えた。次に、反応物を105℃で24時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、減圧濃縮してAcOHを除去し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液でクエンチングした。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。生成した物質の精製はヘキサンを用いた摩砕により遂行した。生成物を捕集し、減圧下で乾燥し、黄褐色の固形物として標題化合物(0.7g、収率52%)を得た。LRMS m/z(APCI)259.3(M+1);500MHz H NMR(CDOD)δ6.09(1,1H),3.83(dddd,J=8.7,8.7,8.7,8.7Hz,1H),2.49−2.28(m,4H),2.42(d,J=0.8Hz,3H),2.11−2.01(m,1H),1.94−1.86(m,1H),1.71(s,9H).
【0070】
(実施例2)
塩酸3−シクロブチル−4−メチル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4−メチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(1.0g,3.8mmol)にTFA原液(6mL)を加え、生成した溶液を65℃に加熱した。5時間後、反応物を減圧下で濃縮してTFAを除去した。得られた生成物をEtOAcで希釈し、HCl溶液(9mL,1M EtO溶液)を加えた。生成物した固形物を捕集し、減圧下で乾燥し、無色の固形物として標題の塩酸塩(0.79g、収率87%)を得た。LRMS m/z(APCI)204(M+1);500MHz H NMR(CDOD)δ6.48(s,1H),4.14(dddd,J=8.7,8.7,8.7,8.7Hz,1H),2.67(s,3H),2.55−2.37(m,4H),2.26−2.16(m,1H),2.03−1.95(m,1H);125MHz 13C NMR(CDOD)d163.5,156.1,146.9,145.9,107.9,107.0,32.0,28.2,19.4,18.0.
【0071】
(調製例7)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−5−フェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール3−イルアミン(1.0g,5.2mmol)の撹拌AcOH(5mL)溶液に、3−オキソ−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(1.0g,5.2mmol)を加えた。次に、反応物を110℃で18時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮してHOAcを除去し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液でクエンチングした。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。生成した物質の精製はバイオタージ(登録商標)35Lカラム(エー・ダイナックス社(A Dynax Corp.)、バージニア州シャーロッツヴィル)を用いたフラッシュクロマトグラフィにより、5%、10%、20%EtOAc/ヘキサンでの勾配で溶離して実施した。生成物を捕集し、減圧下で濃縮し、標題化合物(15mg、収率9%)を得た。LRMS m/z(APCI)322(M+1).
【0072】
(実施例3)
塩酸3−シクロブチル−5−フェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−5−フェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(15mg,0.047mmol)にTFA原液(1.0mL)を加え、反応物を70℃に加熱した。18時間後、反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOAcに溶解し、HCl溶液(47uL,1M EtO溶液)を加えた。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、黄褐色の固形物として標題の塩酸塩(11mg、収率77%)を得た。LRMS m/z(APCI)266(M+1);500MHz H NMR(CDOD)δ7.91(s,1H),7.57(d,J=7.0Hz,2H),7.41−7.30(m,3H),3.92(dddd,J=9.1,9.1,9.1,9.1Hz,1H),2.52−2.38(m,4H),2.23−2.11(m,1H),2.04−1.97(m,1H).
【0073】
(調製例8)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(2.0g,10.4mmol)の撹拌AcOH(10mL)溶液に4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−酪酸メチルエステル(3.5g,20.7mmol)を加えた。次に、反応物を110℃で18時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液でクエンチングした。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物を得た(3.2g、定量的収率)。この物質はさらに精製することなく使用した。LRMS m/z(APCI)314(M+1);500MHz H NMR(CDCl)δ6.66(s,1H),3.78(dddd,J=8.3,8.3,8.3,8.3Hz,1H),2.49−2.39(m,2H),2.34−2.26(m,2H),2.06−1.85(m,2H),1.75(s,9H).
【0074】
(実施例4)
3−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(200mg,0.64mmol)にTFA原液(2.0mL)を加え、反応物を70℃に加熱した。18時間後、反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOAcに溶解し、HCl溶液(320uL,2M EtO溶液)、続いてイソプロピルエーテルを加えた。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、無色の固形物として標題の塩酸塩(138mg,収率74%)を得た。LRMS m/z(APCI)258(M+1);500MHz H NMR(CDOD)δ6.53(s,1H),3.90(dddd,J=8.7,8.7,8.7,8.7Hz,1H),2.41−2.30(m,4H),2.16−2.04(m,1H),1.98−1.91(m,1H).
【0075】
(調製例9)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4フェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(4.0g,20.7mmol)の撹拌AcOH(20mL)溶液に、3−オキソ−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(3.5g,20.7mmol)を加えた。次に、反応物を110℃で14時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。生成した物質の精製は75gショートバイオタージ(登録商標)カラムを用いたフラッシュクロマトグラフィにより、5%、10%EtOAc/ヘキサンで勾配溶離して実施した。生成物を含んだ分画を捕集し、減圧下で濃縮し、無色の固形物として標題化合物(1.0g、収率15%)を得た。R=0.31(20%EtOAc/ヘキサン);LRMS m/z(APCI)322(M+1);500MHz H NMR(CDCl)δ7.46−7.44(m,3H),7.38−7.36(m,2H),6.17(s,1H),3.16(dddd,J=7.9,7.9,7.9,7.9Hz,1H),2.17−2.11(m,2H),1.76(s,9H),1.71−1.67(m,4H);125MHz 13C NMR(CDCl)δ163.1,151.0,147.5,141.8,138.5,128.9,128.4,128.2,112.5,110.6,105.7,59.7,34.2,29.2,27.6,18.4.
【0076】
(実施例5)
塩酸3−シクロブチル−4−フェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−4−フェニル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(210mg,0.64mmol)にTFA原液(4.0mL)を加え、反応物を69℃に加熱した。24時間後、反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOAcに溶解し、HCl溶液(700uL,2M EtO溶液)、続いてイソプロピルエーテルを加えた。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、淡黄色の固形物として標題の塩酸塩(175mg,収率61%)を得た。LRMS m/z(APCI)266(M+1);500MHz H NMR(DMSO−D6)δ7.46(bs,3H),7.39(bs,2H),5.86(s,1H),3.18(dddd,J=8.3,8.3,8.3,8.3Hz,1H),2.05−2.00(m,2H),1.78−1.58(m,4H).
【0077】
(調製例10)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
AcOH(25mL)中の2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(5.0g,25.9mmol)にジメトキシプロピオン酸メチル(7.4mL,51.8mmol)を加えた後、反応物を110℃に加熱した。24時間後、反応混合物を室温に冷却し、濃縮して粘稠な油状物質とし、これをEtOAcで処理した。有機層をNaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。この物質の精製は、45Lバイオタージ(登録商標)カラムを用いたMPLCにより、20%EtOAc/ヘキサンで溶離して実施した。生成物を含んだ分画を捕集し、減圧下で濃縮し、生成した固形物をヘキサンで洗浄し、乾燥し、無色の固形物として標題化合物(2.0g,収率32%)を得た。R=0.33(10%MeOH/CHCl);500MHz H NMR(CDCl)d7.72(d,J=9.1Hz,1H),6.26(d,J=9.1Hz,1H),3.68(dddd,J=8.7,8.7,8.7,8.7Hz,1H),2.46−2.32(m,4H),2.14−1.89(m,2H),1.71(s,9H);LRMS m/z(APCI)246(M+1).
【0078】
(調製例11)
5−ブロモ−1−tert−ブチル−3−シクロブチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(1.0g,4.1mmol)の撹拌AcOH(10mL)溶液に、臭素(236uL,4.6mmol)を一滴ずつ加えた。15分後に、生成した固形物を捕集し、ヘキサンで洗浄した。溶液をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。生成した物質の精製は、バイオタージ(登録商標)カラムを用いたフラッシュクロマトグラフィにより、10%、20%EtOAc/ヘキサンでグラジエント溶離して実施した。生成物を含んだ分画を捕集し、濃縮し、黄褐色の固形物として標題化合物(220mg、収率16%)を得た。LRMS m/z(APCI)322,324(M−1);500MHz H NMR(CDCl)δ12.5(bs,1H),8.09(s,1H),3.66(dddd,J=8.7,8.7,8.7,8.7Hz,1H),2.45−2.34(m,4H),2.15−1.92(m,2H),1.76(s,9H).
【0079】
(調製例12)
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
5−ブロモ−1−tert−ブチル−3−シクロブチル−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(50.0mg,0.15mmol)の撹拌ジメトキシエタン(1.5mL)溶液に3,5−ジクロロフェニル−ホウ酸(32.6mg,0.17mmol)、続いてフッ化セシウム(51.9mg,0.34mmol)およびPd(PPh(触媒量、0.005mmol)を加えた。反応混合物を加熱して還流した。3時間後に追加量の3,5−ジクロロフェニル−ホウ酸(32.6mg,0.17mmol)、フッ化セシウム(51.9mg,0.34mmol)、およびPd(PPh(触媒量、0.005mmol)を加えた。計18時間後、反応物を室温に冷却し、CHClで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。生成した物質の精製は、バイオタージ(登録商標)カラムを用いたフラッシュクロマトグラフィにより、5%EtOAc/トルエンで溶離して実施した。生成物を含んだ分画を捕集し、濃縮し、標題化合物(7.0mg、収率12%)を得た。LRMS m/z(APCI)390.392(M+1).
【0080】
(実施例6)
塩酸3−シクロブチル−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−3−シクロブチル−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン(7mg,0.02mmol)にアニソール(200uL)およびTFA(2.0mL)を加え、反応物を70℃に加熱した。18時間後、反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOAcに溶解し、HCl溶液(15uL,2M EtO溶液)、続いてイソプロピルエーテルを加えた。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、標題の塩酸塩(5.1mg,収率77%)を得た。LRMS m/z(APCI)322,324(M−1);500MHz H NMR(CDCl)δ8.00(s,1H),7.61(d,J=1.6,1.6Hz,2H),7.40(dd,J=1.6,1.6,1H),3.93(dddd,J=9.1,9.1,9.1,9.1Hz,1H),2.49−2.37(m,4H),2.23−2.11(m,1H),2.03−1.96(m,1H).
【0081】
(調製例13)
1−tert−ブチル−5−シクロブチル−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−1,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
粗2−tert−ブチル−5−シクロブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(0.5g,2.6mmol)の撹拌AcOH(10mL)溶液に3−オキソ−3−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル(1.3g,5.1mmol)を加えた。次に、反応混合物を110℃で14時間加熱し、その後反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。この物質の精製は、35gISCOカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィにより、20%EtOAc/ヘキサンで溶離して遂行した。生成物を含んだ分画を捕集し、濃縮し、標題化合物を得た。LRMS m/z(APCI)376(M+1).
【0082】
(実施例7)
塩酸3−シクロブチル−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
1−tert−ブチル−5−シクロブチル−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−1,7−ジヒドロ−[3,4−b]ピリジン−6−オン(370mg,0.99mmol)にアニソール(500uL)およびTFA原液(2.0mL)を加え、反応物を70℃に加熱した。12時間後、反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOACに溶解し、1N NaOHで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、フリット漏斗で濾過し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をEtOAcに取り込み、HCl溶液(1mL,2M EtO溶液)、続いてイソプロピルエーテルを加えた。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、無色の固形物として標題の塩酸塩(246mg、収率69%)を得た。LRMS m/z(APCI)320(M−1);500MHz H NMR(DMSO−D6)δ7.77−7.66(m,2H),5.96(s,1H),3.08(dddd,J=8.3,8.3,8.3,8.3Hz,1H),2.13−2.07(m,2H),1.80−1.66(m,4H).
【0083】
(生物学的方法論)
GSK−3阻害
式(I)の化合物のGSK−3阻害における特異的活性は、いずれも当該技術分野で報告されている細胞を用いない分析および細胞を用いた分析で測定することができる。例えば、その開示の全文が本出願に参照文献として組み入れられている米国特許第6,417,185号および第6,489,344号などを参照されたい。
【0084】
細胞を用いない分析法は、一般にGSK−3をペプチド基質、放射能標識されたATP(例:いずれもアマーシャム社(イリノイ州アーリントンハイツ)より入手可能であるγ33P−またはγ32P−ATPなど)、マグネシウムイオンおよび分析する化合物とともにインキュベートすることにより実施することができる。混合物をある時間インキュベートし、GSK−3活性によって放射能標識されたリン酸をペプチド基質に組み入れさせる。その後、通常、まず酵素反応混合物の全部または一部を、ペプチド基質と結合可能なリガンドを均一量含むウェルに移した後、反応混合物を洗浄して未反応の放射線標識ATPを除去する。次に、洗浄後に各ウェルに残ったγ33Pまたはγ32Pを定量し、ペプチド基質に組み入れられた放射能標識リン酸の量を算出する。阻害は、対照と比較したペプチド基質への放射能標識リン酸取り込みの減少として観察する。分析に適したGSK−3ペプチド基質の例は、Wangら、Anal.
Biochem., 220, 397402 (1994)に報告されているSGSG結合CREBペプチド配列である。分析用精製GSK−3は、例えばStambolicら、Current
Biology, 6, 1664-1668 (1996)などに記載されているように、ヒトGSK−3β発現プラスミドで形質転換した細胞より得ることができる。
【0085】
前に記載したものと類似した他のGSK−3分析の例は以下の通りである:酵素活性は、ビオチニル化ペプチド基質PKTP−KKAKKLへの、33P−ATP(アマーシャム社、イリノイ州アーリントンハイツ、カタログ番号AH−9968)のγ−リン酸由来の33P取り込みとして分析される。反応は50mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM MgCl、0.1mM NaVOおよび1mM DTTを含む緩衝液中で遂行される。ATPの最終濃度は0.5μM(最終比放射能4μCi/nmol)であり、基質の最終濃度は0.75μMである。反応は酵素の添加によって開始され、室温で約60分間遂行される。反応は、2.5mM EDTA、0.05%Triton−X100、100μM ATPおよび1.25mg/mLストレプトアビジンコーティングSPAビーズ(アマーシャム社、イリノイ州アーリントンハイツ、カタログ番号RPNQ0007)を含む(最終濃度)緩衝液0.6容量の添加によって停止される。次に、ビーズと結合した放射能をシンチレーション計測により定量する。
【0086】
前に記載したものと類似した一般的に好まれるGSK−3試験分析法は、以下の通りである:酵素活性は、ビオチニル化ペプチド基質ビオチン−SRHSSPHQpSEDEEE−OH(アナスペック社,カリフォルニア州サンホセ)への、33P−ATP(アマーシャム社、イリノイ州アーリントンハイツ、カタログ番号AH−9968)のγ−リン酸由来の33P取り込みとして分析される。反応は8mM MOPS、10mM Mg(OAc)、0.2mM EDTA(pH7.0)および1mM DTTを含む緩衝液中で遂行される。ATPの最終濃度は2.0μM(最終比放射能4μCi/nmol)であり、基質最終濃度は1.0μMである。反応は酵素の添加によって開始され、室温で約75分間遂行される。反応は、0.05mM EDTA、0.1%Triton−X100、100μM ATPおよび2.5mg/mLストレプトアビジンコーティングSPAビーズを含む(最終濃度)緩衝液0.6容量の添加によって停止される。次に、ビーズと結合した放射能を標準的シンチレーション計測により定量する。
【0087】
IC50として表される、式(I)の化合物のGSK−3に対する阻害活性は、一般に<10,000nMを示す。一般的に好ましい化合物のIC50は<200nMである。例えば、化合物3−シクロブチル−4−フェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オンのIC50は36nMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】

その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、かつ1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRは独立に水素;1個から3個のハロゲンで置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
但し、Rが水素の場合(1)Rは水素でなく、かつRは水素またはメチルでなく;(2)RおよびRの両者がメチルではなく;または(3)Rは水素またはフェニルでなく、かつRはトリフルオロメチルでない]。
【請求項2】
が−(C−C)アルキルまたは−(C−C)シクロアルキルであり;
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素、−(C−C)アルキル、−(C−C)アルコキシ、または−(C−C)シクロアルキルであり、
式中、R、RおよびRがそれぞれ独立に、1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のフッ素原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよい 請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−(C−C)アルキルまたは−(C−C)シクロアルキルであり;
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素であり;
式中、RおよびRがそれぞれ独立に、かつ1〜6個の、(A)ClまたはF;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(E)−CN;(F)−CF;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよい請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3,4−ジフェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン、
3−シクロブチル−4−フェニル−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン、および
3−シクロブチル−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−2,7−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−オン
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物、その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
(a)一定量の式(I)の化合物、
【化2】

その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
は水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、かつ1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRは独立に水素;1個から3個のハロゲンによって置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキル];および
(b)薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤
を含む医薬組成物。
【請求項6】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3を介した状態、疾患または症状を、その必要がある哺乳類において治療する方法であって、
(a)治療的に有効な量の式(I)の化合物、
【化3】

その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
は水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRはそれぞれ独立に水素;1個から3個のハロゲンにより置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキルである];または
(b)前記式(I)の化合物、その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩;および薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物
を投与することを含む方法。
【請求項7】
前記の状態、疾患および症状がアルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化症、不安、双極性障害、癌、糖尿病、認知症、うつ病、虚弱、脱毛、心不全、本態性高血圧、高血糖症、高脂血症、低血糖症、炎症、虚血、男性受精能および精子運動能、気分障害、神経細胞死、肥満、強迫性障害、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、卒中、X症候群または外傷性脳損傷である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害する方法であって、その必要がある哺乳類にグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性阻害量の:式(I)の化合物、
【化4】

その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
が水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、1〜6個の(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRはそれぞれ独立に水素;1個から3個のハロゲンによって置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキルである];または
(b)前記式(I)の化合物、前記のその立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩;および薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物
を投与することを含む方法。
【請求項9】
(a)一定量の式(I)の化合物
【化5】


その立体異性体またはプロドラッグ、あるいは前記化合物、立体異性体またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩
[式中、RおよびRは独立に水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;−(C−C11)シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アリール;またはヘテロアリールであり;および
は水素;−(C−C)アルキル;−(C−C)アルコキシ;または−(C−C11)シクロアルキルであり;
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、1〜6個の、(A)ハロゲン;(B)1〜3個の(i)−OH;(ii)−CN;(iii)ハロゲン;(iv)ヘテロアリール;(v)−CHOR;または(vi)−CHNRによって置換されていてもよいアリール;(C)ヘテロアリール;(D)−NO;(E)−CN;(F)1〜3個のハロゲン原子によって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;(G)−(C−C)チオアルコキシ;(H)−NR;(I)−NRC(=O)R;(J)−NRC(=O)NR;(K)−NR(SO)R;(L)−NR(SO)NR;(M)−OR;(N)−OC(=O)R;(O)−OC(=O)OR;(P)−C(=O)OR;(Q)−C(=O)R;(R)−C(=O)NR;(S)−OC(=O)NR;(T)−OC(=O)SR;(U)−SR;(V)−S(=O)R;(W)−SO;または(X)−SOによって置換されていてもよく;式中:
およびRはそれぞれ独立に水素;1個から3個のハロゲンにより置換されていてもよいアリール;−OH;アリールによって置換されていてもよい−(C−C)アルキル;または−(C−C11)シクロアルキル];
(b)1つまたはそれ以上の一定量の(i)抗血管新生薬、(ii)シグナル伝達阻害薬、(iii)抗増殖薬、(iv)NK−1受容体拮抗薬、(v)5HT1D受容体拮抗薬、(vi)選択的セロトニン再取り込み阻害薬、(vii)抗精神病薬、(viii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、(ix)神経保護薬、(x)組織プラスミノーゲン賦活剤、(xi)好中球阻害因子または(xii)カリウムチャネル調節薬、および
(c)薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
(i)前記抗血管新生薬がセレコキシブ、バルデコキシブ、またはロフェコキシブであり;(ii)前記シグナル伝達阻害薬が上皮成長因子受容体反応阻害薬、血管内皮成長因子阻害薬、またはerbB2受容体阻害薬であり;(iii)前記選択的セロトニン再取り込み阻害薬がフルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミン、ベンラファキシン、ネファゾドンまたはブプロピオンであり;(iv)前記抗精神病薬がジプラジドン、オランザピン、リスペリドン、ソネピプラゾールまたはゲピロンであり;(v)前記アセチルコリンエステラーゼ阻害薬がドネペジル、リバスチグミン、メトリフォネート、フィゾスチグミンまたはタクリンであり;および(vi)前記神経保護薬がNMDA受容体拮抗薬である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を介した状態、疾患または症状をその必要がある哺乳類において治療する方法であって、その方法が前記哺乳類に治療的に有効な量の請求項9の組成物を投与することを含む方法。
【請求項12】
前記の状態、疾患および症状がアルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化症、不安、双極性障害、癌、糖尿病、認知症、うつ病、虚弱、脱毛、心不全、本態性高血圧、高血糖症、高脂血症、低血糖症、炎症、虚血、男性受精能および精子運動能、気分障害、神経細胞死、肥満、強迫性障害、多嚢胞性卵巣症候群、統合失調症、卒中、X症候群または外傷性脳損傷である請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2007−516169(P2007−516169A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516555(P2006−516555)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001989
【国際公開番号】WO2005/000303
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】