説明

NR2B受容体拮抗物質としての二環系化合物

本発明は、式(I)の化合物で、式中RおよびRが独立して水素原子その他を表し、Xが共有結合その他を表し、Aが8つから12この環員原子を有する、二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基その他を表し、Bがフェニル基または5つから6つの環員原子を有するヘテロアリール基を表す。これらの化合物は、ほ乳類において、疼痛などNMDA/NR2B受容体の亢進が原因である疾患状態を治療するのに有用である。また、本発明は、上記化合物を含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の二環系アミド化合物に関する。これらの化合物は、NMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)NR2B受容体の拮抗物質として有益であり、それゆえに、ほ乳類、特にヒトにおける疼痛、脳卒中、外傷性脳損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、うつ病、不安症、偏頭痛やその類の治療に有益である。本発明は、また、上記化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸塩には、中枢神経系(CNS)において必須アミノ酸および主要な興奮性神経伝達物質としての二重の役割がある。受容体には、イオンチャンネル型と代謝型の2つの主要なクラスがある。イオンチャンネル型受容体は、主要な3種類のサブクラスに分類され、N−メチル−アスパラギン酸(NMDA)系、2−アミノ−3−(メチル−3−ヒドロキシイソオキサゾール−4−イル)プロピオン酸(AMPA)系、カイニン酸系がある。末梢組織や神経の損傷後に起こる痛覚過敏や異痛症は、損傷部位における一次求心性侵害受容器の反応性の増大によるのみでなく、NMDA受容体を介する中枢神経系のシナプス興奮性の変化にも依存していることを示す前臨床的証拠が多く存在する。ヒトの場合には、NMDA受容体拮抗物質は、疼痛知覚および感作の両方を低下することが知られている。また、NMDA受容体の機能亢進は、急性および慢性の神経変性を示す病理的状態下で神経細胞死を引き起こす鍵を握るイベントである。しかし、NMDA受容体の阻害は、疼痛や神経変性疾患の治療に際して治療上の効用があるものの、現在入手できる多くのNMDA受容体拮抗物質には、潜在的な重篤な副作用を生じる傾向がある。NMDAサブユニットは、CNSにおける分布が差別化されている。特に、NR2Bは、前脳並びに後角第I層および第II層にのみに局在すると考えられている。CNSにおいてNR2Bサブユニットがより離散的に分布していることによって、この部位に作用する薬剤の副作用のプロフィールが低下することを裏づけていると考えられる。
【0003】
例えば、NMDA/NR2Bの選択的拮抗物質は、ヒトの神経障害性症状その他の疼痛状態を治療するに当たり、既存のNMDA拮抗物質と比較して、副作用が低く、臨床上の有用性が高い可能性がある(S. Boyceら, Neuropharmacology, 38, pp.
611-623 (1999))。
【0004】
国際公開番号WO02/080928号は、NR2B拮抗物質としてN−置換非アリール複素環式アミジル(amidyl)化合物を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二環系アミド化合物は、全身性投与により鎮痛作用のあるNMDA/NR2B選択的拮抗物質であることが判明している。本発明の化合物は、毒性が少なく、吸収・分布が良く、溶解性が高く、タンパク結合性が低く、薬物間相互作用が低く、HERGチャンネルにおける阻害作用が低く、代謝安定性がよい可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の式(I)の化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容できるエステル、またはその薬学的に許容できる塩を提供するものであって、
【化1】

式中、
およびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基を表し;
Xは、共有結合、1つから3つの炭素原子を有するアルキレン基、ヒドロキシ基またはオキソ基によって置換した1つから3つの炭素原子を有するアルキレン基、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、メチレンオキシメチレン基、オキシメチレン基、エチレンオキシ基、オキシ、イミノ、イミノメチレン、イミノエチレン、メチレンイミノまたはエチレンイミノを表し、該イミノ基は置換されていない、または1つから6つの炭素原子を有するアルキル基によって置換されたイミノ基であり;
Aは、8つから12の環員原子を有する、二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基を表し;該複素環基は、1つから4つの窒素原子、もしくは、1つまたは2つの窒素原子および/または1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み、かつ該複素環または炭素環基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;
Bは、フェニル基または5つから6つの環員原子を有するヘテロアリール基を表し;該フェニル基および5つから6つの環員原子を有する該ヘテロアリール基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;
該置換基αは、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基、オキソ基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基からなる群から選ばれる。
【0007】
本発明の二環系アミド化合物は、NMDA/NR2B受容体サブタイプに対して選択的に拮抗作用を有し、それゆえに治療に有用であり、ほ乳類、特にヒトにおける脳卒中または脳損傷、慢性神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病あるいは筋萎縮性側索硬化症[ALS])、てんかん、痙攣性障害、疼痛、不安症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連性ニューロン損傷、偏頭痛、うつ病、統合失調症、腫瘍、麻酔後認知低下(post−anesthesia cognitive decline[PACD])、緑内障、耳鳴り、遅発性ジスキネジア、アレルギー性脳脊髄炎、オピオイド耐性、薬物乱用、アルコール中毒、過敏性腸症候群(IBS)およびその類の治療に有用である。
【0008】
本発明の化合物は、疼痛、特に神経障害性疼痛の全般的な治療に有用である。生理学的疼痛は、重要な防御機能であって、外部環境由来の有害となる恐れのある刺激による危険を警告するものである。このシステムは、特定の一次知覚ニューロンの組合せにより機能し、末梢伝達機能を介して、侵害刺激により排他的な活性化を受ける(統合的な総説については、Millan
1999 Prog. Neurobio. 57:1-164を参照されたい)。これらの知覚神経繊維は、侵害受容器として知られ、軸索の直径が細く、伝導速度が遅いのが特徴である。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続時間および質をエンコードし、その脊髄に対して位置的に構成する投射によって、刺激の位置をもエンコードする。侵害受容器は、侵害神経繊維に見られ、主にA−δ繊維(有髄)とC繊維(無髄)の二種類がある。侵害受容器の入力により発生する刺激は、後角における複雑な処理を経た後、視床腹側基底核に、直接あるいは脳幹中継核を経由して伝達された後に、皮質に伝わり、痛みの感覚が生じる。
【0009】
激しい急性疼痛および慢性疼痛には、病態生理学的なプロセスによって同じ経路が関与する場合があり、それによって保護的機能を提供することを止め、その代わりに広範囲の疾患状態と関連した徴候を弱らせる働きをすることがある。疼痛は、多くの外傷や疾患状態の特徴である。疾患や外傷により、体組織に対する実質的な傷害が生じる場合、侵害受容器の活性化に関する特質が変化する。局所的には傷害の周囲に、また中枢系では侵害受容器の終末がある部位において、感作が生じる。このため、傷害部位やその近傍の正常な組織では、知覚過敏が起こる。急性疼痛の場合には、このような機能は有用であり、修復反応が起こるのを誘導する。ひとたび傷害が治癒すれば、知覚過敏は正常の状態に戻る。しかしながら、多くの慢性疼痛の状態においては、知覚過敏は治癒プロセスが終了した後も持続するが、それは神経系が傷害を受けていることに起因する場合が通常である。この傷害は、求心性繊維の不適合に発展することが多い(Woolf
& Salter 2000 Science 288:1765-1768)。患者の状態中に不快感や異常な感覚が特徴として生じる場合に、臨床上の疼痛が見られる。患者には、極めて多くの異なった要素があるので、種々の疼痛症状を訴えることがある。疼痛のサブタイプとして、通常以下のものがある:1)重い感じ、焼けるような感じ、刺すような感じがする自然痛;2)侵害刺激に対する疼痛反応は過敏が悪化する(痛覚過敏);3)侵害刺激により通常生じる疼痛(異痛症)(Meyerら,
1994 Textbook of Pain 13-44)。背痛、関節炎痛、CNS外傷または神経障害性疼痛のある患者も同じような症状を示すことがあるが、その原因となる機能は異なっており、それゆえに異なる治療方法が必要となる。よって、疼痛は、異なる病態生理が関与しているために、多くの種類に分類することが可能であるが、その中には、侵害性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛などがある。いくつかの疼痛の種類には、多くの原因があり、それゆえに複数の種類に分類されることに留意しなければならない。例えば、背痛もガン疼痛も共に侵害受容器性および神経障害性の性質を有する。
【0010】
侵害性疼痛は、組織の損傷や損傷を起こすおそれのある激しい刺激によって誘発される。疼痛の求心路は、障害部位の侵害受容器により刺激が伝達されることによって活性化が起こり、終末端において脊髄の感作が起こる。これは、次に脊髄路を通って脳に中継され、脳で疼痛の知覚が生じる(Meyerら、1994
Textbook of Pain 13-44)。侵害受容器の活性化により、2種類の求心性神経繊維が活性化する。有鞘A−δ繊維の伝達速度は速く、鋭く刺すような疼痛感覚を受け持っているが、無鞘C繊維は伝達速度が遅く、鈍痛やうずくような痛みに関与する。中等度から重度の急性の侵害性疼痛には、挫傷/捻挫による疼痛、術後疼痛(あらゆる種類の外科手術後に生じる疼痛)、外傷後疼痛、火傷、心筋梗塞、急性膵臓炎および腎疝痛を特徴とするものがあるが、これに限定されるものではない。また、化学療法による毒性、免疫療法、ホルモン療法や放射線療法などの治療的相互作用に通常起因するガン関連性の急性疼痛症候群も含まれる。中等度から重度の急性の侵害性疼痛には、ガン性疼痛[腫瘍関連性疼痛(例えば、骨疼痛、頭重、顔面疼痛、内臓疼痛)やガン療法に関連したもの(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、放射線療法後症候群)]、背痛(椎間板のヘルニア化や破裂または腰椎切子面関節、後縦靱帯の異状による)があるが、これに限定されない。
【0011】
神経障害性疼痛は、神経系における原発性病変または機能障害により生じる、またはそれが原因となる疼痛として定義される(IASPによる定義)。神経損傷は、外傷や疾患が原因で起こりうるものであるので、「神経障害性疼痛」という用語は、種々の病因による多くの疾患を含む。このような疼痛には、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、背痛、ガンによる神経障害、HIVによる神経障害、幻肢痛、手根管症候群、慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症やビタミン欠乏症があるが、これに限定されない。神経障害性疼痛には、保護的な作用がないので、病理的である。本来の原因が消失した後も存在し、何年間も持続するのが一般的であり、患者のクオリティー・オブ・ライフが大きく低下する(WoolfおよびMannion
1999 Lancet 353:1959-1964)。神経障害性疼痛の症状は、同じ疾患の患者であっても異なる場合が多いため治療が難しい(Woolf & Decosterd
1999 Pain Supp.6: S141-S147 ; Woolfおよび Mannion 1999 Lancet 353:1959-1964)。神経障害性疼痛には、自然痛(連続的なもの)の他、痛覚過敏(侵害刺激に対する感受性の増加)や異痛症(通常の侵害刺激に対する感受性)のような、発作的で異常な誘発性疼痛が含まれる。
【0012】
炎症反応は、組織損傷あるいは生体異物に対する反応として活性化する生物化学的で、細胞性イベントが複雑につながりあったものであり、腫張と疼痛が生じる(LevineとTaiwo 1994:Textbook of Pain
45-56)。関節痛は、炎症性疼痛を患う人の大部分を占めている。リューマチ様疾患は、先進国において最も一般的に見られる慢性炎症症状の1つであり、リューマチ様関節炎は、障害の主要な原因である。リューマチ様関節炎の正確な原因は不明であるが、現在の仮説によれば、遺伝的因子と微生物学的因子の両方が重要であるとされている(Grennan
& Jayson 1994 Textbook of Pain 397-407)。推定では、ほぼ1600万人のアメリカ人に骨関節炎(OA)あるいは変形性関節疾患の症状があり、そのほとんどは年齢が60歳以上であって、人口の高齢化に伴い4000万人にまで増加すると考えられており、非常に大きな公衆保健上の問題である(Houge
& Mersfelder 2002 Ann Pharmacother.36:679-686; McCarthyら,1994
Textbook of Pain 387-395)。OA患者のほとんどは、疼痛ゆえに病院に駆けつける。関節炎は、心理社会的および身体的機能に重大な影響を及ぼし、人生後半における障害の主要な原因であることが判明している。その他の種類の炎症性疼痛には、炎症性腸疾患(IBD)が含まれるが、これに限定されない。
【0013】
その他の種類の疼痛には、以下が含まれるがこれに限定されない:
−筋骨格系障害(筋肉痛、線維筋痛、脊椎炎、血清反応陰性(非リューマチ様)関節症、非関節リューマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎、化膿性筋炎を含むが、これに限定されない)。
−中枢性疼痛すなわち「視床痛」は神経系の病変や機能不全が原因で生じる疼痛であって、中枢性脳卒中後疼痛、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病およびてんかんを含むがこれに限定されない疼痛により定義される。
−心臓および血管系疼痛は狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症、骨格筋虚血を含むが、これに限定されない。
−内臓疼痛および消化管系障害。内臓には、腹腔内の臓器が含まれる。これらの臓器には、生殖器、脾臓および消化管系の一部が含まれる。内臓に関係する疼痛は、消化管系内臓疼痛と非消化管系内臓疼痛に区分される。一般的に見られる消化管(GI)障害には、機能性消化管障害(FBD)や炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。このようなGI障害には、現在のところ十分に管理ができない、広範囲の疾患状態が含まれ、その中には、FBD、逆流性食道炎、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹部疼痛症候群(FAPS)が含まれ、FBDにはクローン病、回腸炎や潰瘍性大腸炎があり、通常これらは全て内臓疼痛を生じる。その他の種類の内臓疼痛には、月経困難症、骨盤疼痛、膀胱炎や膵臓炎と関連した疼痛が含まれる。
−頭部疼痛には片頭痛、前兆のある片頭痛、前兆のない片頭痛、群発性頭痛、緊張型頭痛が含まれるが、これに限定されない。
−口腔顔面痛には歯痛、側頭下顎部筋膜痛が含まれるが、これに限定されない)。
【0014】
本発明は、ほ乳類被験体においてNMDA/NR2B受容体の亢進が原因である疾患状態の治療に用いる医薬組成物を提供するが、それには、該被験体に対して式(I)の化合物の治療的有効量を投与することを含む。
【0015】
更に、本発明は、式(I)の二環系アミド化合物あるいはその薬学的に許容できる塩の治療的有効量に加えて薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。そのうち、該組成物は、上記で定義した疾患の治療に用いられるものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、式(I)の化合物またはそのような化合物の薬学的に許容できるエステルあるいはその薬学的に許容できる塩を医薬品の使用を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記において定義した疾患状態の治療法を提供し、それには、該被験体に対して式(I)の化合物の治療的有効量を投与することを含む。
【0018】
更に、本発明は、ほ乳類、好ましくはヒトにおける上記で定義した疾患状態の治療法を提供し、それには、該被験体に対して式(I)の化合物の治療的有効量を投与することを含む。
【0019】
また更に、本発明は、上記において定義した疾患状態の治療に用いる医薬品の製造における式(I)の化合物の治療的有効量の使用を提供する。
【0020】
本明細書において使用する「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味し、好ましくは、フッ素または塩素である。
【0021】
本明細書において使用する「アルキル」という用語は、直鎖または分岐飽和炭素鎖基を意味し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、第二級ブチル、第三級ブチルを含むが、これに限定されない。
【0022】
本明細書において使用する「アルコキシ」という用語は、アルキル−O−を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、第二級ブトキシ、第三級ブトキシを含むが、これに限定されない。
【0023】
本明細書において使用する「イミノ」という用語は、−NH−を意味する。
【0024】
本明細書において使用する「アルカノイル」という用語は、R’−C(O)−のようなカルボニルを含む基を意味し、式中R’は、H、C1−5アルキル、フェニルあるいはC3−6シクロアルキルであり、ホルミル、アセチル、エチル−C(O)−、n−プロピル−C(O)−、イソプロピル−C(O)−、n−ブチル−C(O)−、iso−ブチル−C(O)−、第二級ブチル−C(O)−、第三級ブチル−C(O)−、シクロプロピル−C(O)−、シクロブチル−C(O)−、シクロペンチル−C(O)−、シクロヘキシル−C(O)−およびその類を含むが、これに限定されない。
【0025】
本明細書において使用する「アリール」という用語は、5つから10の炭素原子を含む単環系芳香族炭素環を意味し、フェニルまたはナフチルを含むが、これに限定されない。
【0026】
「ヘテロアリール」という用語は、5または6員の芳香族ヘテロ単環系環で、硫黄原子、酸素原子、窒素原子からなる群から独立して選ばれる1つから4つのヘテロ原子からなる環を意味し、ピラゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チオフェニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、フラザニルおよびその類を含むが、これに限定されない。
【0027】
本明細書において使用する「アルキレン」という用語は、飽和炭化水素(直鎖または分岐)であって、両端のそれぞれの炭素から水素原子を除いたものを意味し、例えば、メチレン、エチレン、メチルエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンおよびその類がある。
【0028】
本明細書において使用する「二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の複素環系基」とは、8つから12の環員原子を有する二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の環であって、1つから4つの窒素原子、もしくは、1つまたは2つの窒素原子および/または1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み、かつ末端炭素から水素原子を除いた基を意味する。そのような基の例としては、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、デカヒドロキノリン、オクタヒドロイソキノリン、ベンゾイミダゾール、インドール、イソインドール、インドリン、イソインドリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドリジン、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、クロマン、イソクロマン、キノリン、イソキノリン、キノキサリンあるいはキナゾリンがあるが、これに限定されない。
【0029】
本明細書において使用する「二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の炭素環系基」とは、8から12員の二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の環であって、末端炭素から水素原子を除いた基を意味する。そのような基の例としては、ナフタレン、インダン、インデン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[3.3.0]オクチレン、ビシクロ[3.2.1]オクチレンまたはビシクロ[3.3.1]ノニレンを含むが、これに限定されない。
【0030】
本明細書において使用する「ハロアルキル」という用語は、先に定義したハロゲン原子で置換したアルキル基を意味し、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ヨードメチルおよびブロモメチルおよびその類の基を含むが、これに限定されない。
【0031】
本明細書において使用する「ハロアルコキシ」という用語は、ハロアルキル−O−を意味し、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、3−フルオロプロポキシ、4−フルオロブトキシ、クロロメトキシ、トリクロロメトキシ、ヨードメトキシおよびブロモメトキシおよびその類の基を含むが、これに限定されない。
【0032】
式(I)の化合物がヒドロキシ基を含む場合には、エステルを形成してもよい。そのようなエステルの例には、ヒドロキシ基によるエステルやカルボキシ基によるエステルを含む。エステル残基は、通常の保護基であってもよいし、またはインビボで加水分解のような生物学的方法により開裂することができる保護基であってもよい。
【0033】
「通常の保護基」という用語は、水素化分解、加水分解、電気分解あるいは光分解などの化学的方法により開裂することができる保護基を意味する。
【0034】
「エステル」という用語は、インビボにおいて加水分解などの生物学的方法により開裂して、遊離酸あるいはその塩を形成することができる保護基を意味する。化合物がそのような誘導体であるか否かは、ラットやマウスのような実験動物に対してその化合物の静脈内投与を行った後に、その動物の体液を分析して、その化合物あるいはその薬学的に許容できる塩が検出できるかどうかを調べることによって、判明する。
【0035】
ヒドロキシ基のエステルを形成する基の好ましい例としては、以下を含む:低級脂肪族アルカノイル基、例えば:アルカノイル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノニル基、ノナノイル基、デカノイル基、3−メチルノナノイル基、8−メチルノナノイル基、3−エチルオクタノイル基、3,7−ジメチルオクタノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、1−メチルペンタデカノイル基、14−メチルペンタデカノイル基、13,13−ジメチルテトラデカノイル基、ヘプタデカノイル基、15−メチルヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、1−メチルヘプタデカノイル基、ノナデカノイル基、イコサノイル基およびヘニコサノイル基)
ハロゲン化アルキルカルボニル基(例えば、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基およびトリフルオロアセチル基);
アルコキシアルキルカルボニル基(例えば、メトキシアセチル基);
および不飽和アルキルカルボニル基(例えば、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基および(E)−2−メチル−2−ブテノイル基);
より好ましくは、1つから6つの炭素原子を有する低級脂肪族アルカノイル基;
芳香族アルカノイル基、例えば:アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、α−ナフトイル基およびβ−ナフトイル基);
ハロゲン化アリールカルボニル基(例えば、2−ブロモベンゾイル基および4−クロロベンゾイル基);
低級アルキル化アリールカルボニル基(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル基および4−トルオイル基);低級アルコキシル化アリールカルボニル基(例えば、4−アニソイル基);
ニトロ化アリールカルボニル基(例えば、4−ニトロベンゾイル基および2−ニトロベンゾイル基);
低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基(例えば、2−(メトキシカルボニル)ベンゾイル基);
およびアリール化アリールカルボニル基(例えば、4−フェニルベンゾイル基);
アルコキシカルボニル基、例えば:低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基およびイソブトキシカルボニル基);
およびハロゲン−あるいはトリ(低級アルキル)シリル−置換低級アルコキシカルボニル基(例えば、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基および2−トリメチルシリルエトキシカルボニル基);
テトラヒドロピラニル基あるいはテトラヒドロチオピラニル基、例えば:テトラヒドロピラン−2−イル基、3−ブロモテトラヒドロピラン−2−イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル基、テトラヒドロチオピラン−2−イル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラン−4−イル基;
テトラヒドロフラニル基あるいはテトラヒドロチオフラニル基、例えば:テトラヒドロフラン−2−イル基およびテトラヒドロチオフラン−2−イル基;
シリル基、例えば:トリ(低級アルキル)シリル基、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチル−ジ−t−ブチルシリル基およびトリイソプロピルシリル基;
および1つまたは2つのアリール基で置換したトリ(低級アルキル)シリル基(例えば、ジフェニルメチルシリル基、ジフェニルブチルシリル基、ジフェニルイソプロピルシリル基およびフェニルジイソプロピルシリル基);
アルコキシメチル基、例えば:低級アルコキシメチル基(例えば、メトキシメチル基、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基およびt−ブトキシメチル基);
低級アルコキシル化低級アルコキシメチル基(例えば、2−メトキシエトキシメチル基);
およびハロ(低級アルコキシ)メチル基(例えば、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基およびビス(2−クロロエトキシ)メチル基);
置換エチル基、例えば:低級アルコキシル化エチル基(例えば、1−エトキシエチル基および1−(イソプロポキシ)エチル基;およびハロゲン化エチル基(例えば、2,2,2−トリクロロエチル基);
アラルキル基、例えば:1つから3つのアリール基で置換した低級アルキル基(例えば、ベンジル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、α−ナフチルジフェニルメチル基および9−アントリルメチル基);
および1つから3つの置換アリール基で置換した低級アルキル基で、一つ以上のアリール基が1つ以上の低級アルキル置換基、低級アルコキシ置換基、ニトロ置換基、ハロゲン置換基あるいはシアノ置換基で置換した低級アルキル基(例えば、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,4,5−トリメチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−メトキシフェニルジフェニルメチル基、2−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジル基および4−シアノベンジル基);
アルケニルオキシカルボニル基:(例えば、ビニルオキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基);
およびアラルキルオキシカルボニル基であって、アリール環が1つまたは2つの低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されてもよい基;(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基および4−ニトロベンジルオキシカルボニル基)。
【0036】
本明細書において使用する「治療する」という用語は、このような用語が適用される障害や状態、あるいはそのような障害や状態の1つ以上の徴候を予防したり、その進行を逆向、軽減、抑制することを言う。本明細書において使用する「治療」という用語は、直前において定義した「治療する」行為を指す。
【0037】
式(I)において、ヒドロキシフェニル基は、好ましくはパラ−ヒドロキシフェニル基である。
【0038】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、式中RおよびRが水素原子、ハロゲン原子あるいは1つから6つの炭素原子を有するアルキル基を、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子あるいは1つから3つの炭素原子を有するアルキル基を、独立して表す化合物である。最も好ましくは、RおよびRは、独立して水素原子またはフッ素原子を表す。
【0039】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、式中Xが1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、ヒドロキシ基またはオキソ基によって置換した1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、メチレンオキシ基、オキシメチレン基、イミノメチレン基あるいはメチレンイミノ基を表す化合物であり、該イミノ基は置換されていない、または1つから6つの炭素原子を有するアルキル基によって置換されたイミノ基である。より好ましくは、Xは、1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、ヒドロキシ基、オキシメチレン基あるいはイミノメチレン基で置換した1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基を表す。最も好ましくは、Xは、1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、オキシメチレン基またはイミノメチレン基を表す。
【0040】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、式中Aが置換されてもよい、8つから12の環員原子を有する二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の複素環系基を表し、該複素環系基は1つから3つの窒素原子、もしくは、1つの窒素原子および/または1つの酸素原子あるいは硫黄原子を含む。好ましくは、Aは、8つから10の環員原子を有する二環式複素環芳香族基を表し、該複素環基は1つから3つの窒素原子、もしくは、1つの窒素原子および/または1つの酸素原子を含む。より好ましくは、Aは、ベンゾイミダゾール基、ベンゾイソオキサゾール基、インドール基、インダゾール基、キナゾリン基、オキソ−1H−ベンゾイミダゾール基、イミダゾピリジン基、テトラヒドロイミダゾピリジン基、キノリン基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基またはキノキサリン基を表す。最も好ましくは、Aは、ベンゾイミダゾール基、ベンゾイソオキサゾール基、インドール基、インダゾール基、キナゾリン基、オキソ−1H−ベンゾイミダゾール基、イミダゾピリジン基、テトラヒドロイミダゾピリジン基またはキノリン基を表す。Aが置換されている場合には、Aは、例えばメチルなど1つから6つの炭素を有するアルキル基によって適切に置換される。
【0041】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、式中Bが置換されてもよいフェニル基を表し、より好ましくは置換されていないフェニル基またはフルオロフェニル基を表す。
【0042】
本発明の特に好ましい化合物には、式(I)の各可変部分が各可変部分について好ましい基から選ばれる化合物が含まれる。本発明の更に好ましい化合物には、式(I)の各可変部分が各可変部分について更に好ましいあるいは最も好ましい基から選ばれる式が含まれる。
【0043】
本発明の好ましい個々の化合物は、以下から選ばれる化合物またはその薬学的に許容できる塩である:
N−[(2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[(4−ベンジルアミノ)キナゾリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−メチル−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[(3−ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−{[2−(2−フルオロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミド;および
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド。
【0044】
本発明の更に好ましい個々の化合物は、以下から選ばれる化合物またはその薬学的に許容できる塩である:
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−メチル−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミド;および
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド。
【0045】
(一般的合成法)
本発明の化合物は、この種の化合物の製造法として公知である種々の反応により製造することができ、例えば、以下のスキームに示すものがある。特段の指示がない限り、スキームおよびそれに続く考察中のR、R、A、BおよびXは、上記で定義したとおりである。以下で使用する「保護基」という用語は、T.
W. Greeneら編Protective Groups in Organic Synthesis (John Wiley & Sons, 1991)に記載されている一般的なヒドロキシまたはアミノ保護基から選ばれるヒドロキシまたはアミノ保護基を意味する。
【0046】
以下のスキームには、式(I)の化合物の製造法を示す。
(スキーム1)式(I)の化合物の製造法を示す。
スキーム1
【化2】

【0047】
上記式において、Yは、水素原子または保護基を表す。
【0048】
(ステップ1A)
この反応では、式1−2のアミン化合物は、既知の水素化反応条件下で、金属触媒(例えば、ラネー・ニッケル触媒、パラジウム触媒やプラチナ触媒、好ましくはラネー・ニッケル触媒)の存在下、不活性溶媒(例えば、酢酸、メタノールやエタノールのようなアルコール;酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびN,N’−ジメチルホルムアミド)中で、式1−1のシアノ化合物を還元することにより製造することができる。所望する場合には、この反応は、水酸化アンモニウムのような添加剤を加えて、あるいは加えずに行ってもよい。
【0049】
(ステップ1A’)
この反応では、式1−2のアミン化合物は、式1−1’のアルデヒド化合物からも製造することができる。
【0050】
式1−1’のアルデヒド化合物は、先ずヒドロキシルアミン塩酸塩のようなヒドロキシルアミン酸性塩により適切な溶媒(例えば、メタノールやエタノールのようなアルコール)中で処理してオキシム生成を起こさせるが、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物あるいは炭酸塩)の存在下で行ってもよく、その後に、反応に不活性な溶媒中で適切な還元剤(例えば、LiAlH、LiBH、Fe、SnやZn)の存在下、適切な溶媒(例えば、酢酸のような酸)中で還元して、対応する式1−2のアミン化合物としてもよい。
【0051】
(ステップ1B)
この反応では、式(I’)のアミド化合物は、カップリング試薬(例えば、ジイミド類[例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、水溶性カルボジイミド(WSC)]、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、アゾジカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィン、シアノリン酸ジエチル、ジエチルホスホリルアジド、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピジリジニウムまたはクロロギ酸エチル])を加えてあるいは加えずに、カプリング反応により式1−2のアミン化合物を式1−3の酸化合物と不活性な溶媒(例えば、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフランやジオキサンのようなエーテル)中で反応させて製造する。所望する場合には、この反応は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールや1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾールのような添加剤を加えて、あるいはN−メチルモルホリンのような塩基を加えて行ってもよい。
【0052】
(ステップ1C)
Yが水素原子ではない場合には、この反応において、式(I)の化合物は、式(I’)の化合物の脱保護により製造することができ、その方法はT. W. Greeneら編Protective Groups in
Organic Synthesis (John Wiley & Sons, 1991)に記載しているような既知の方法による。
【0053】
(スキーム2)
式1−2の中間体化合物の製造の別法を示す。
スキーム2
【化3】

【0054】
上記式において、R10は、水素原子または1つから6つの炭素原子を有するアルキル基を表す。Lは、脱離基を表す。適切な脱離基の例には、塩素、臭素やヨウ素のようなハロゲン原子;TfO(トリフラート)、MsO(メシラート)、TsO(トシラート)のような硫酸エステル;およびその類が含まれる。
【0055】
(ステップ2A)
この反応では、式2−1の化合物を還元反応にかけて、式2−2のアルコール化合物を得てもよい。この還元反応は、適切な還元剤(例えば、LiAlH、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)やLiBH)の存在下、例えば、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよび石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼンおよびキシレン);エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライムやジオキサン)のような反応に不活性な溶媒中、好ましくはエーテル中で行っても良い。
【0056】
(ステップ2B)
この反応において、反応2Aで記載したように製造した式2−2のアルコール化合物は、当業者には既知の条件下で脱離基Lを有する式2−3の化合物に変換してもよい。
【0057】
例えば、化学式2−2の化合物のヒドロキシ基は、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化パラトルエンスルホニル、塩化メタンスルホニル、塩化水素、三塩化リン、五塩化リン、N−クロロサクシンイミド(NCS)、オキシ塩化リン、塩化トリメチルシリル、或いは四塩化炭素、塩素、NCSのようなハロゲン源の存在下でトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンやトリフェニルホスファイトのようなリン試薬;臭化水素、N−ブロモサクシンイミド(NBS)、三臭化リン、臭化トリメチルシリル、或いは四臭化炭素、臭素やNBSのようなハロゲン源の存在下でトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンやトリフェニルホスファイトのようなリン試薬のような臭化試薬;及びヨウ化水素酸、三ヨウ化リン或いはヨウ素のようなハロゲン源の存在下でトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンやトリフェニルホスファイトのようなリン試薬のようなヨウ化試薬などのハロゲン化剤を用いて、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンや石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジンやキシレン);ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素や1,2−ジクロロエタン);及びエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサン)のような反応に不活性な溶媒、好ましくは、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素やエーテルを用い或いは用いないで、ハロゲン原子に変換してもよい。
【0058】
あるいは、式1−2aの化合物のヒドロキシ基は、例えば塩化p−トルエンスルホニル、p−トルエンスルホン酸無水物、塩化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のようなスルホン化試薬を用い、例えばアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、ハロゲン化物や水素化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム)、またはアミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたはジメチルアミノピリジン)などの塩基を加えてあるいは加えずに、例えば脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよび石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジンおよびキシレン);ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素および1,2−ジクロロエタン);およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン);N,N’−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスホキシドのような反応に不活性な溶媒中を加えあるいは加えずに、スルホン酸基に変換してもよい。
【0059】
(ステップ2C)
この反応では、式2−4のアジド化合物は、上記で得られた式2−3の化合物に対して、水;芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジンおよびキシレン);エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン)、N,N’−ジメチルホルムアミドおよびジメトキシエタンなどの不活性な溶媒中でアジ化剤(例えば、アジ化ナトリウムまたはアジ化リチウム)による求核置換反応を行うことにより製造することができる。これらの溶媒の中では、水およびN,N’−ジメチルホルムアミドが好ましい。この反応は、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロペンタデカン(15−クラウン−5)または1,4,7,10−テトラオキサシクロドデカン(12−クラウン−4)などの適切な添加剤を加えて行ってもよい。
【0060】
(ステップ2D)
この反応では、式1−2のアミン化合物は、ステップ2Cで記載したように製造した式2−4のアジドの還元反応によって製造してもよい。
【0061】
この還元反応は、既知の水素化反応条件下で、リンドラー触媒、ラネー・ニッケル触媒、パラジウム触媒またはプラチナ触媒のような金属触媒(好ましくは、リンドラー触媒、パラジウム触媒またはプラチナ触媒)の存在下で行ってもよい。この反応は、水素雰囲気下で、例えば酢酸、メタノールやエタノールのようなアルコール;酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびN,N’−ジメチルホルムアミドなどの反応に不活性な溶媒、好ましくはアルコール中で行ってもよい。
【0062】
(スキーム3)
式3−5の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式1−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはアゾール部を含む。
【0063】
スキーム3
【化4】

上記の式において、Aは、5つから9つの環員原子を有する、単環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基を表し;該複素環基は、1つから2つの窒素原子、もしくは、1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み;該複素環または炭素環基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;該置換基αは、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基、オキソ基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基からなる群から選ばれる。
【0064】
該複素環系または炭素環系基の例には、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、フェニル、シクロヘプタン、シクロヘプテン、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンを含むがこれに限定されず、Lは塩素、臭素やヨウ素のようなハロゲン原子を表す。ZはO、NHまたはSを表す。
【0065】
(ステップ3A)
このステップでは、式3−3のアミド化合物は、酸ハライド、酸無水物あるいはオルトギ酸トリアルキルのようなアシル化剤で、ベンゼン、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンのようなエーテル;およびピリジンのような不活性な溶媒中で式3−1のアミン化合物をアシル化することにより製造してもよい。この反応は、ピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンおよびN−メチルピペリジンなどの塩基を加えて、あるいは加えずに行ってもよい。
【0066】
(ステップ3B)
このステップでは、式3−4のジアミノ化合物は、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、THFやその混合物などの不活性な溶媒中で還元剤により、ステップ3Aで記載したように製造した式3−3のニトロ化合物の還元反応によって製造してもよい。この還元反応は、既知の水素化反応条件下で、例えばラネー・ニッケルのようなニッケル触媒、Pd−Cのようなパラジウム触媒、PtOのようなプラチナ触媒、RuCl(PhP)のようなルテニウム触媒などの金属触媒の存在下、水素雰囲気下であるいはヒドラジンやギ酸のような水素源の存在下で行ってもよい。所望する場合には、この反応を塩酸や酢酸の存在下などの酸性条件下で行う。この還元反応は、例えばLiAlH、LiBH、Fe、SnやZnなどの適切な還元剤の存在下、メタノール、エタノール、ジグライム、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはその混合物などの反応に不活性な溶媒中で行っても、あるいは、溶媒を用いずに行ってもよい。所望する場合には、還元試薬がFe、SnまたはZnであれば、この反応は、水の存在下酸性条件で行う。
【0067】
(ステップ3C)
このステップでは、式3−5のアゾール化合物は、ステップ3Bで記載したように製造した式3−4のジアミノ化合物の環化反応を、当業者には既知である条件下で行うことにより製造してもよい。式3−4の化合物は、当業者には既知である構造関連化合物に適用されるいかなる合成法により、環化反応を起こして、アゾール環を形成してもよい(例えば、Milata
Liktorら, Heterocycles, 2001, 55 (5), 905-924を参照されたい)。例えば、この反応は、p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、酢酸やトリフルオロ酢酸のような触媒を加え、あるいは加えずに、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)やその混合物などの反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。
【0068】
(ステップ3D)
このステップでは、式3−4のジアミノ化合物は、式3−6の化合物のアシル化反応により製造してもよい。この反応は、スキーム3のステップ3Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0069】
(ステップ3E)
このステップでは、式3−5のアゾール化合物は、式3−7のアルデヒド化合物を用い、式3−4のジアミノ化合物の環化反応により製造してもよい。この反応は、ベンゼン、トルエン、キシレンやニトロベンゼンのような芳香族炭化水素;メタノールやエタノールのようなアルコールなどの溶媒の存在下で行うのが、通例であり、好ましい。
【0070】
(スキーム4)
式4−4および4−7の中間体化合物の製造法を示す。
スキーム4
【化5】

【0071】
上記の式において、Aは、スキーム3に定義されている。QはO、NHまたはSをあらわす。Q’はNを表す。Gは、保護基を表す。
【0072】
(ステップ4A)
このステップでは、式4−1のアゾール化合物は、ギ酸を用いた式3−6のジアミノ化合物の環化反応によって製造してもよい。この反応は、ギ酸それ自体、HO、あるいはベンゼン、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素などの溶媒を用いてまたは用いずに、行ってもよい。
【0073】
(ステップ4B)
このステップでは、Q’がNである式4−2の被保護化合物は、式4−1の化合物のNH基を被保護N基に変換することにより製造してもよい。この反応は、例えば、式4−1の化合物、適切なオルトギ酸トリエチル、ハロゲン化シリル、ハロゲン化アラルキル、酸ハライド、酸無水物や酸(例えば、塩化ベンジル、塩化t−ブチルジメチルシリル(TBS)、塩化t−ブチルジフェニルシリル、Z−クロリドやt−BocClあるいはBocO)を用いて、T.W.Greenら編Protective
Groups in Organic Synthesis (John Wiley & Sons, 1991)に記述されている方法を用いて行ってもよい。これらの試薬中、オルトギ酸トリエチルが好ましい。この反応は、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素やジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素およびジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンのようなエーテル;およびDMFおよびDMSOなどの溶媒を用いてまたは用いずに、行ってもよい。この反応は、p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸や酢酸などの触媒を加えてあるいは加えずに行ってもよい。
【0074】
(ステップ4C)
このステップでは、Q’がNである式4−3の2−置換アゾール化合物は、Q’がNである式4−2の化合物に対して、アルデヒド化合物による反応を、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンや石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンやキシレン);およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサン)のような不活性な溶媒中で行うことで製造してもよい。この反応は、リチウム、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム)、フェニルリチウムのようなアリールリチウムなどの塩基の存在下で行ってもよい。
【0075】
(ステップ4C’)
このステップでは、Q’がOまたはSである式4−4の2−置換アゾール化合物は、式4−1の化合物に対して、アルデヒド化合物による反応を、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンや石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンおよびキシレン);およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン)のような不活性な溶媒中で行うことにより製造してもよい。この反応は、例えばリチウム、アルキルリチウム(例えば、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム)、フェニルリチウムのようなアリールリチウムなどの塩基の存在下で行ってもよい。
【0076】
(ステップ4D)
このステップでは、QがNHである式4−4の2−置換アゾール化合物は、ステップ4Cで記載したように製造した、Q’がNである式4−3の化合物の脱保護により、T. W. Greeneら編Protective Groups in Organic
Synthesis (John Wiley & Sons, 1991)に記述されているような既知の方法によって製造してもよい。通常のアミノ保護基には、(CO)CH−基、ベンジル基(Bnとして表示)、ベンジルオキシカルボニル基(CbzまたはZとして表示)およびt−But−O−C(=O)−基(t−BocまたはBocと表示)を含む。(CO)CH−あるいはBocによる保護の場合、このアミノ保護基の脱離は、例えば、既知の酸加水分解の条件により、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジオキサンまたはその混合物などの反応に不活性な溶媒中で、あるいは溶媒なしに行ってもよい。所望する場合には、この反応は、例えば塩酸やトリフルオロ酢酸の存在下などの酸性条件下で、ベンゼン、チオフェノール、アニソール、チオアニソール、チオクレソール、クレソールまたはジメチルスルヒドなどの反応に不活性な、t−ブチルカチオン捕捉剤を用いて行う。BnあるいはZによる保護の場合、このアミノ保護基の脱離は、例えば、既知の水素化分解反応の条件下で、例えばPd−Cのようなパラジウム触媒などの金属触媒の存在下、水素雰囲気下であるいはギ酸やギ酸アンモニウムのような水素源の存在下で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、THFやその混合物などの反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。所望する場合には、この反応を塩酸や酢酸の存在下などの酸性条件下で行う。
【0077】
(ステップ4E)
このステップでは、式4−6の目的化合物は、ステップ4Dに記載のように製造した式4−4のアルコール化合物から、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンまたは石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンおよびキシレン);およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン)のような不活性な溶媒、好ましくはエーテル中で製造してもよい。
【0078】
(ステップ4F)
このステップでは、式4−7の目的化合物は、ステップ4Eに記載のように製造した式4−6の化合物から、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよび石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンおよびキシレン);およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサン)のような不活性な溶媒中で製造してもよい。この反応は、例えば水素化トリブチルスズまたは水素化トリフェニルスズなどの適切な還元剤の存在下で行ってもよい。この反応は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)または(tBuO)2などの適切なフリーラジカル開始剤を加えて、あるいは加えずに行ってもよい。
【0079】
(スキーム5)
式5−5の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式1−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはアゾール部を含む。
スキーム5
【化6】

【0080】
上記の式において、Lは、塩素、臭素あるいはヨウ素などのハロゲン原子を表し、Aは、スキーム3において定義してある。
【0081】
(ステップ5A)
このステップでは、式5−3のアミノ化合物は、不活性な溶媒中、式5−2の化合物を用いる、式5−1のニトロ化合物のアミノ化反応によって製造してもよい。このアミノ化反応は、塩基を加えてあるいは加えずに行ってもよく、例えば、反応に不活性な溶媒中で行っても、溶媒を用いなくともよい。好ましい塩基は、例えば、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩や水素化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム)、またはアミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジン、ピリジンまたはジメチルアミノピリジン)から選ばれ、アルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびプロパノール);ベンゼン、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、ジメチルスホキシド(DMSO)またはその混合物などの反応に不活性な溶媒を用いてもあるいは用いなくてもよい。
【0082】
(ステップ5B)
このステップでは、式5−4のジアミン化合物は、式5−3の化合物の還元反応により製造してもよい。この反応は、スキーム3のステップ3Bと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0083】
(ステップ5C)
このステップでは、式5−5の目的イミダゾール化合物は、ギ酸により式5−4のジアミン化合物の環化反応を行うことによって製造してもよい。この反応は、スキーム4のステップ4Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0084】
(ステップ5D)
このステップでは、式5−4は、式3−6のジアミン化合物に、式5−6のハライド化合物を、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンのようなエーテル;およびピリジンのような不活性溶媒中で反応させることにより、製造してもよい。
【0085】
(ステップ5E)
このステップでは、式5−5の目的イミダゾール化合物は、式5−6のハライド化合物と式4−1のN−非置換イミダゾール化合物とのカップリング反応を、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよび石油エーテル);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびニトロベンゼン);ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびジクロロエタン);エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン);アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール);およびジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)またはアセトニトリルのような不活性な溶媒中で行うことにより製造してもよい。この反応は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩または水素化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム)、またはアミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたはジメチルアミノピリジン)などの塩基の存在下で行ってもよい。この反応は、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、銅(0)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、1,10−フェナントロリン、ジベンゾアントラセン(DBA)あるいはトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)などの適切な添加剤の存在下で行ってもよい。
【0086】
(スキーム6)
式6−4の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式2−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分はイミダゾール部を含む。
【0087】
スキーム6
【化7】

上記の式において、R10およびAは、スキーム2および3にそれぞれ定義してある。
【0088】
(ステップ6A)
このステップでは、式6−2のアミン化合物は、式6−1の化合物のアミノ化反応により製造してもよい。この反応は、スキーム5の反応5Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0089】
(ステップ6B)
このステップでは、式6−3のジアミン化合物は、式6−2の化合物の還元反応により製造してもよい。この反応は、スキーム3のステップ3Bと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0090】
(ステップ6C)
このステップでは、式6−4の目的イミダゾール化合物は、ギ酸により式6−4のジアミン化合物の環化反応を行うことによって製造してもよい。
【0091】
この反応は、スキーム4のステップ4Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0092】
(スキーム7)
式(Ia)(式中、XはC=Oを表す)および式(Ib)(式中、XはCH−OHを表す)の化合物の製造法を示す。
スキーム7
【化8】

【0093】
(ステップ7A)
酸化は、Cr試薬(例えば、塩化クロム酸ピリジウム、酸化クロミウム、二クロム酸ピリジウム);Ru試薬(例えば、テトラプロピルアンモニウムペルルテナート、四酸化ルテニウム);塩化オキサリル、DCC、三酸化硫黄・ピリジンのような活性化剤を用いるジメチルスルホキシド;および塩素やN−クロロサクシンイミドのような活性化剤を用いるジメチルスルヒドなどの酸化剤の存在下で、水溶性または非水溶性有機溶媒(例えば、酢酸、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルやジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素)などの反応に不活性な溶媒中で行うことができる。
【0094】
(ステップ7B)
このステップでは、式7−2のアセタール化合物は、式7−1のケトン化合物を、p−トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸などの触媒を加えて、あるいは加えずに、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素;テトラヒドロフランやジオキサンのようなエーテル;アセトン;ジメチルホルムアミド;ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素などの反応に不活性な溶媒中で保護することにより、製造することができる。この反応は、例えば、式7−1の化合物、適切なエチレングリコールまたはプロピレングリコールを用いて、T.W.Greeneら編Protective Groups in
Organic Synthesis(John Wiley & Sons, 1991)に記述されている方法を用いて行ってもよい。
【0095】
(ステップ7C)
このステップでは、式7−3のアミン化合物は、式7−2の化合物の還元により製造してもよい。この反応は、スキーム1のステップ1Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0096】
(ステップ7D)
このステップでは、式7−4のアミド化合物は、不活性な溶媒中、カップリング剤を用いてあるいは用いずに、式1−3の酸化合物を用いて式7−3のアミン化合物のカップリング反応によって製造することができる。この反応は、スキーム1のステップ1Bと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0097】
(ステップ7E)
このステップでは、式(Ia)のケトン化合物は、式7−4のケタール化合物に対して、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素、臭化水素);スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸);アンモニウム塩(例えば、p−トルエンスルホン酸ピリジウムおよび塩化アンモニウム);およびカルボン酸(例えば、酢酸およびトリフルオロ酢酸)などの触媒を加えて、あるいは加えずに、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール);エーテル(例えば、テトラヒドロフランやジオキサン);アセトン;ジメチルホルムアミド;ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルム);酸(例えば、酢酸、塩化水素、臭化水素および硫酸)などの反応に不活性な溶媒中で加水分解反応を行うことにより製造することができる。
【0098】
(ステップ7F)
この反応によって、式(Ib)のアルコール化合物は、メタノール、エタノール、ジグライムまたはその混合物などの不活性な溶媒中で、NaBH、LiAlH、LiBHやZnBHなどの還元剤により、式(Ia)のケトン化合物の還元によって製造することができる。
【0099】
(スキーム8)
式8−3の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式2−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはオキサゾール部を含む。
スキーム8
【化9】

【0100】
上記の式において、Aは、5つから9つの環員原子を有する、単環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基を表し;該複素環基は、1つから3つの窒素原子、もしくは、1つの窒素原子および/または1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み;かつ該複素環または炭素環基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;該置換基αは、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基、オキソ基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基からなる群から選ばれる。該複素環系または炭素環系基の例には、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、フェニル、シクロヘプタン、シクロヘプテン、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンを含むがこれに限定されない。R10はスキーム2に定義してある。Lはスキーム3に定義してある。
【0101】
(ステップ8A)
この反応では、式8−2のエステル化合物は、式8−1の酸化合物エステル化反応によって製造することができる。
【0102】
このエステル化反応は、当業者には公知であるいくつかの標準的な方法(例えば、T.W.GreenおよびP.G.M.Wuts編Protective Groups in
Organic Synthesis, Third edition, (Wiley-Interscience) pp 373-377)により行うことができる。 通常のエステル化反応は、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸およびベンゼンスルホン酸などの酸触媒の存在下、メタノールまたはエタノールなどの反応に不活性である適切な溶媒中で行うことができる。通常のエステル化反応は、適切なC1−6アルキルハライドやベンジルハライドを用いて、KCO、CsCO、NaHCOおよびDBUのような塩基の存在下、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテルのようなエーテル、DMF、DMSO、R’OHおよび1,4−ジオキサンなどの反応に不活性である適切な溶媒中で行うことができる。このエステル化反応は、メタノール、ベンゼンおよびトルエンなどの反応に不活性な適切な溶媒中で、トリメチルシリルジアゾメタンを用いて行ってもよい。このエステル化反応は、ジエチルエーテルなどの反応に不活性な適切な溶媒中で、ジアゾメタンを用いて行ってもよい。あるいは、このエステル化反応は、R’OHを用いて、例えばDCC、WSC、シアノホスホン酸ジイソプロピル(DIPC)、BOPClおよび2,4,6−トリクロロ安息香酸クロリドや三級アミン(例えば、i−PrNetまたはEtN)などのカップリング剤の存在下、適切な溶媒(例えば、DMF、THF、ジエチルエーテル、DME、ジクロロメタンおよびDCE)中で、行ってもよい。
【0103】
(ステップ8B)
このステップでは、式8−2のオキサゾール化合物は、当業者には既知の条件下で、式8−2のアミノ化合物の環化反応により製造してもよい。この反応は、スキーム3のステップ3Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0104】
(スキーム9)
式9−3の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式1−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはインダゾール部を含む。
スキーム9
【化10】

上記の式にあるAおよびLは、スキーム3に定義してある。
【0105】
(ステップ9A)
このステップでは、式9−2のシアノ化合物は、式9−1のアミノ化合物からサンドマイヤ反応により、当業者には既知の条件下で製造することができる。式9−1のアミノ化合物は、先ずアミノ部分のジアゾ化を行い、次にシアン化を行って対応する式9−2のシアノ化合物を得る。このジアゾ化反応は、HO、HCl水溶液あるいはHSO水溶液などの溶媒中で、亜硝酸ナトリウムを用いて行ってもよい。このジアゾ化反応は、例えば塩酸や酢酸のような酸の存在下で行ってもよい。このシアン化反応は、例えばシアン化銅(I)またはシアン化ナトリウムのようなシアン化物の存在下で行ってもよい。このシアン化反応は、HO、HCl水溶液あるいはHSO水溶液などの溶媒中で行われるのが通例であり、好ましい。
【0106】
(ステップ9B)
このステップでは、式9−3の目的インダゾール化合物は、不活性な溶媒中で、式9−2のN−未置換インダゾール化合物と式5−6のハライド化合物のカップリング反応によって製造してもよい。この反応は、スキーム5のステップ5Eと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0107】
(スキーム10)
式10−3および10−4の中間体化合物の製造法を示す。これらの化合物は、式2−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはインダゾール部を含む。
スキーム10
【化11】

上記の式中のR10は、スキーム2において、AおよびLは、スキーム3において定義してある。
【0108】
(ステップ10A)
この反応では、式10−2のインダゾール化合物は、式10−1のアミノ化合物から、当業者には既知の条件下で反応を行うことにより製造することができる(D.
B. Battら, J. Med. Chem. 2000, 46, 41-58)。式9−1のアミノ化合物に対して、先ずアミン部分のジアゾ化を行い、次に環化反応を行うことによって、対応する式10−2のインダゾール化合物を得る。このジアゾ化反応は、スキーム9のステップ9Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。この反応段階において、この反応は、テトラフルオロホウ酸アンモニウムの存在下で行うことができる。この環化反応は、酢酸カリウムなどの塩基の存在下で行ってもよい。この環化反応は、18−クラウン−6や15−クラウン−5などの触媒の存在下で行ってもよい。この環化反応は、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルム)、酸(例えば、酢酸、HSO水溶液、HCl水溶液)、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)などの溶媒の存在下で行うのが通例であり、好ましい。
【0109】
(ステップ10B)
このステップでは、式10−3および10−4の目的インダゾール化合物は、不活性な溶媒中で、式10−2のN−未置換インダゾール化合物と式5−6のハライド化合物のカップリング反応によって製造してもよい。この反応は、スキーム5のステップ5Eと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0110】
(スキーム11)
式(Ic)の中間体化合物の製造法を示す。この化合物は、式2−1の中間体化合物に対応しており、式中の環状A部分にはオキサゾール部を含む。
【0111】
式(Ic)(式中、XはCHを表し、環状A部分にはピリジン部を含む)および式(Ib)(式中、Xは(CHを表し、環状A部分にはピリジン部を含む)の化合物の製造法を示す。
スキーム11
【化12】

【0112】
上記の式において、Aは、5つから9つの環員原子を有する、単環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基を表し;該複素環基は、1つから3つの窒素原子、もしくは、1つの窒素原子および/または1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み;該複素環または炭素環基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;該置換基αは、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基、オキソ基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基からなる群から選ばれる。該複素環系または炭素環系基には、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、フェニル、シクロヘプタン、シクロヘプテン、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンを含むがこれに限定されない。
【0113】
(ステップ11A)
このステップでは、式(Ic)の縮合ピリジン化合物は、式11−2のエノン化合物を用い、式11−1のアミノ化合物の環化反応を行うことにより製造してもよい。この反応は、メタノール、エタノールやプロパノールのようなアルコール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素などの溶媒を用いて、あるいは用いずに行ってもよい。この反応は、ニトロベンゼンスルホン酸、塩酸や酢酸または硫酸などの酸を加えて、あるいは加えずに行ってもよい。この反応は、例えば塩化亜鉛や酸化アルミニウムなどの触媒を加えて、あるいは加えずに行ってもよい。
【0114】
(ステップ11B)
このステップでは、式(Id)の縮合ピリジン化合物は、式11−3のエノン化合物を用い、式11−2のアミノ化合物の環化反応により製造してもよい。この反応は、スキーム11のステップ11Aと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0115】
(スキーム12)
式11−1の中間体化合物の製造法を示す。
スキーム12
【化13】

【0116】
上記の式にあるAは、スキーム11に定義してある。
【0117】
(ステップ12A)
このステップでは、式12−2のアミド化合物は、式1−3の酸化合物と式12−1のアミノ化合物とのカップリングを行うことによって、製造してもよい。この反応は、スキーム1のステップ1Bと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0118】
(ステップ12B)
このステップでは、式11−1のアミン化合物は、式12−2のニトロ化合物の還元反応により製造してもよい。この反応は、スキーム3のステップ3Bと本質的に同じであるので、同じ試薬と反応条件を用いた同じ方法により行ってもよい。
【0119】
前記の一般的合成法で用いる出発物質は、市販のものでもよいし、また当業者に既知である一般的な方法により合成してもよい。
【0120】
上記スキーム1から12までにおいて使用する適切な溶媒の例には、それぞれの反応において述べた溶媒のうちいずれの2つ以上の混合物を含む。
【0121】
式(I)の化合物および上述の製造方法による中間体および、再結晶やクロマトグラフィーによる精製法などの一般的な方法により分離し精製することができる。
【0122】
本発明の光学的に活性な化合物は、いくつかの方法によって製造できる。例えば、本発明の光学的に活性な化合物は、最終化合物のクロマトグラフィーによる分離、酵素分割や分別結晶により得ることができる。
【0123】
(生物学的活性測定法)
(NR2B結合アッセイ)
本発明による二環系アミド化合物のNR2B拮抗物質としての活性は、放射性リガンドを用いて、NR2Bサブユニットがその受容体部位に結合するのを阻害する能力として測定することができる。
【0124】
二環系アミド化合物のNR2B拮抗活性は、例えばJ. Pharmacol.,
331, pp 117-126, 1997に記載している標準的なアッセイ方法により測定する。この方法は、放射標識したNR2Bリガンドがその受容体部位に結合することを50%低下するのに必要な個々の化合物の濃度を測定することを中心とするものであり、それにより各被験化合物に特性的なIC50値を得ることができる。より具体的には、このアッセイは、以下のように行う。
【0125】
体重170−190gのオスのCDラットの前脳を、0.32Mショ糖中4℃でガラス・テフロン(登録商標)製ホモジナイザを用いてホモジネートして、膜を調製した。粗製の核ペレットを1000×gで10分間遠心分離を行い除去し、上澄み液を17000×gで25分間遠心分離にかけた。得られたペレットを5mMトリス酢酸(pH7.4)に4℃で10分間再懸濁して細胞粒子を溶解し、再度17000×gで遠心分離にかけた。得られたペレット(P2膜分画)をトリス酢酸で2回洗い、5.5mgタンパク質/mlで再懸濁し、使用まで−20℃で保存した。操作は全て氷上で行い、貯蔵液および器具は常に氷上に保った。
【0126】
飽和アッセイ用に、[H]−1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オールおよび50μgのP2膜タンパクを、最終量が100μlのインキュベーション・緩衝液(50mMトリスHCl、pH7.4)中で室温にて60分間インキュベートして、受容体飽和量を測定した。全体の結合量と非特異的総結合量を(10μMの標識化していない1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オールの存在下で)、[H]−1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オールの濃度が0.625nMから60nMの範囲で測定した。[H]−1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オールは、以下の構造である。
【化14】

【0127】
競合アッセイ用に、2組の被験化合物を5nMの[H]−1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オールおよび50μgのP2膜タンパクとともに、50mMのトリスHCl緩衝液(pH7.4)の最終量100μl中で、室温にて60分間インキュベートした。非特異的結合量は、標識化していない10μMの1−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−4−フェニルピペリジン−4−オール(25μl)により測定した。飽和アッセイで得たK値をKi値の計算の際には、常に用いた。
【0128】
インキュベーションは、全て0.2%ポリエチレンイミンに浸したWhatman GF/Bグラスファイバ濾紙により、SKATRONセル・ハーベスタを用いた急速真空濾過を行った後に、氷冷した濾過緩衝液(5mMトリスHCl、pH7.4)で3回洗浄して終了した。受容体結合放射能は、Packard LSカウンタにより、液体シンチレーション測定を行い計測した。競合分析は、Wallac GF/BフィルタをBetaplateシンチレーション・カウンタ(Wallac)上で計測して行った。
【0129】
下記に記載する実施例8で調製した化合物は、この方法により試験を行い、NR2B受容体に対する結合親和性は、Ki値が2nMであった。この試験では、本発明の化合物は、NR2B受容体に対する優れた結合能を示した。
(ヒトNR2B細胞機能アッセイ)
【0130】
ヒトNR1b/2B受容体を安定して発現するHEK293細胞を用いて、細胞機能アッセイを行った。細胞は、75cmの培養フラスコ中で、10%ウシ胎児血清、52μg/mlゼオシン、530μg/mlジェネティシン、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補ったDulbecco変法イーグル培地(DMEM、高濃度グルコース)を用いて培養した。細胞は、5%COの加湿雰囲気中37℃で保持し、50−60%コンフルエントな細胞を0.53mMのEDTAを含む0.05%トリプシンで収集した。実験前日に、NR1b/2B受容体の発現を、興奮毒性を防ぐために加えた400μMのケタミンを含むDMEM(40ml)中の5μMポナステロンAで誘発した。この誘発は、50−60%コンフルエントな細胞を用いて、19−24時間行った。
【0131】
細胞は、Ca2+を含まず、400μMケタミンを含む10mlKreb−Ringer Hepes緩衝液(KRH)で洗い、5μMのフラ−2/アセトキシメチルエステルを、400μMケタミンの存在下でCa2+を含まないKRH(10ml)中、室温で2時間かけて取り込ませた。続いて、ピペット操作により細胞を50ml試験管に移して、850rpmで2分間遠心分離をかけた。上澄み液を除去し、細胞を10mlのCa2+を含まないKRH緩衝液で洗い、再び遠心分離を行った。この操作を4回繰り返して、ケタミン、グルタミン酸塩およびグリシンを除去した。細胞をCa2+を含まないKRH緩衝液に再懸濁し、細胞懸濁液を50μl取り、各96−ウェル・プレートに細胞が100,000個/ウェルの密度で加えた後に、50μlのCa2+を含まないKRH緩衝液に溶解した被験物質を加えた。30分間プレインキュベーションを行った後、9mMのCa2+(最終濃度1.8mM)を含む25μlのKRHに溶解した拮抗物質(グルタミン酸およびグリシンの最終濃度は、それぞれ100μMおよび10μM)を加えた。フラ−2の蛍光(励起波長:340nmおよび380nm;発光波長:510−520nm)を蛍光画像装置FDSS6000で測定した。Δ蛍光比F340/F380(すなわち、拮抗物質を投与した直後の蛍光比の基底蛍光比に対する比、AUCとして計算する)は、細胞内Ca2+の拮抗物質誘発性変化に対する薬物効果を評価するために用いた。基底蛍光比は、10μMのMK−801の存在下で測定した。
【0132】
(ハロペリドール誘発ラット・カタレプシーアッセイ)
絶食したオスのCDラット(7−8週齢)を用いた。被験物質または担体を皮下投与した後に、0.5mg/kgのハロペリドールを皮下投与した。ハロペリドール注射から60分後に、ラットの前肢を高いバーの上にのせて、バーから両足を外す時間を測定して、カタレプシーの持続時間を定量化した。カットオフ潜在値は、60秒であった。実験者は、実験中の処置について、盲検化されていた。
【0133】
(ヒト・ドフェチリド結合アッセイ)
ヒトHERG導入HEK293S細胞を調製し、施設内で培養した。収集した細胞を50mMトリス−HCl(4℃でpH7.4)に懸濁し、手持ち式Polytron社製PT1200ホモジナイザを用いて氷上で20秒間、最大出力でホモジナイズした。ホモジネートを4℃で48,000×gにて20分間遠心分離を行った。その後、ペレットを再懸濁し、ホモジナイズし、同じように再度遠心分離を行った。最終ペレットを適切な量の50mMトリスHCl、10mMのKCl、1mMのMgCl(4℃でpH7.4)に再懸濁し、ホモジナイズし、アリコートに分けて、使用まで−80℃で保存した。膜分画のアリコートを、BCAタンパク分析キット(PIERCE)およびARVOsxプレート・リーダ(Wallac)によるタンパク濃度測定に用いた。
【0134】
結合アッセイは、96ウェル・プレートで総量200μlを用いて行った。被験物質20μlを、20μlの[H]−ドフェチリド(Amersham、最終濃度が5nM)および160μlの膜ホモジネート(25μgのタンパク質)とともに室温で60分間インキュベートした。非特異的結合量は、最終濃度10μMのドフェチリドで測定した。インキュベーションは、0.5%ポリエチレンイミンにあらかじめ浸したGF/Bベータ・フィルタにより、50mMのトリスHCl、10mMのKCl、1mMのMgCl(4℃でpH7.4)で、Skatronセル・ハーベスタを用いた急速真空濾過により終了した。フィルタは、乾燥し、サンプル・バッグに入れ、Betaplate Scintで満たした。フィルタに結合した放射能は、Wallac Betaplateカウンタにより計測した。
【0135】
(IHERGアッセイ)
HERGカリウム・チャンネルを安定して発現するHEK293細胞を用いて、電気生理学的試験を行った。このチャンネルをHEK細胞に安定して導入する方法は、文献(Z.
Zhouら, 1998, Biophysical journal, 74, pp230-241)にある。実験日の前に、細胞を培養フラスコから収集し、10%FCSを含む標準MEM培養液中のカバーガラス上に播種した。播種細胞を、95%O/5%COの雰囲気下で保ったインキュベータ中に37℃で貯蔵した。細胞は、収集から15−28時間後に試験した。
【0136】
HERG電流は、ホール・セルモードのパッチ・クランプ法により調べた。実験中細胞は、以下の組成(mM)の標準外部溶液により灌流した:NaCl,130;KCl,4;CaCl,2;MgCl,1;グルコース,10;HEPES,5;NaOHでpHを7.4とした。ホール・セル測定記録は、パッチ・クランプ用増幅器および、以下の組成(mM)の標準内部培養液を充填した場合の抵抗が1−3Mオームであるパッチ・ピペットを用いて行った(mM):KCl,130;MgATP,5;MgCl,1.0;HEPES,10;EGTA,5;KOHによりpHを7.2とした。アクセス(access)抵抗が15MΩ未満であり、シール抵抗が>1GΩである細胞のみを、これ以降の実験に用いた。シリーズ抵抗の補償は、最大で80%まで行った。リーク・サブトラクションは行わなかった。しかし、許容できるアクセス抵抗は、記録を行う電流の大きさや安全に用いることができるシリーズ抵抗補償のレベルに依存した。ホール・セル・コンフィギュレーションを確立し、ピペット溶液での細胞透析が十分に行われた(>5分)後、標準電圧プロトコールにより細胞に膜電流を発生させた。電圧プロトコールは、以下のとおりである。保持電位を1000msの間−80mVから+20mVにして膜を脱分極化させた。その後電位をもとの保持電位まで徐々に下げた(低下率:0.5mV/ミリ秒)。この電位プロトコールを実験中4秒毎に(0.25Hz)、連続して細胞に与えた。電位を下げる間に−40mVあたりで発生したピーク電流の振幅を測定した。外部溶液において安定な電流反応がひとたび得られたならば、担体(外部標準溶液に0.5%DMSOを加えたもの)を、蠕動ポンプにより10−20分間投与した。担体による対照条件下で発生する電流反応の振幅に変化がほとんど見られなくなったときに、被験化合物を10分間、0.3、1、3、10μM投与した。この10分間には、供給した溶液が貯蔵器からポンプを経由して記録チャンバまでチューブをとおって通過する時間も含まれている。細胞が化合物溶液にばく露する時間は、チャンバ内の薬物濃度が設定濃度に到達してから5分以上あった。可逆性があった。最後に、細胞を高濃度の特異的IKrブロッカであるドフェチリド(5μM)にばく露させ、無反応内因性電流(insensitive endogenous current)を測定した。
【0137】
実験は全て、室温で(23±1℃)行った。誘発膜電流は、500−1KHz(ベッセル −3dB)でフィルタし、1−2KHzでサンプリングして、パッチ・クランプ増幅器と特別なデータ分析ソフトウエアを用いてコンピュータによりオン・ラインで記録した。−40mVあたりで発生したピーク電流の振幅は、オフ・ラインでコンピュータに記録した。
【0138】
対照条件下および薬物を投与して測定した10の電流振幅測定値について算術平均を計算した。各実験におけるIの百分率減少値を、次式を用いて標準化した電流値から求めた:I=(1−I/I)×100(式中、Iは薬物を投与した際の平均電流値であり、Iは対照条件における平均電流値である)各薬物濃度や時間でマッチングした対照について実験を個別に行い、各実験における算術平均を本実験の結果とした。
【0139】
(マウスPSL法)
Seltzerら(Pain 43,1990, 205-218)の方法に従い、一部座骨神経結紮術(PSL)を施した。フォン・フレー毛試験(Von Fray hair test )を、施術した後ろ脚の足裏に対して、毛が曲がるまでゆっくりと行った。毛は、圧力の小さい方から順番に、足裏の異なる場所に対して、1から2秒の間隔を空けて試験を行い、それぞれ10回試験を行った。屈曲(withdrawal)反応が得られた場合には、足裏に対して同じ毛により再試験を行った。応答反応を起こすのに必要な最低の力をグラム単位で測定して、足屈曲閾値として記録した。
【0140】
(血清タンパク結合アッセイ)
NR2Bトピック化合物(1μM)のヒトおよびddYマウス血清タンパクに対する結合を、96−ウェル・プレート型装置を用いた平衡透析法により測定した。Spectra−Por(登録商標)再生セルロース膜(分子量カット・オフ値:12,000−14,000、12mm×120mm)を一晩蒸留水に浸した後に30%エタノールに20分間浸し、最後に15分間透析緩衝液(0.10MのPBS:リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)に浸した。新鮮なヒトおよびddYマウスの血清(各20ml)を調製した。膜に穴を空けたり破損することがないように細心の注意を払いながら、透析用装置を組み立て、150μlの血清を各ウェルの片側に、150μlの透析緩衝液を各ウェルの反対側に加えた。60rpmにより37℃で4時間インキュベートした後、血清および緩衝液のサンプルを取り去り、採取した血清および緩衝液のサンプルからアリコートを緩衝液と血清に対して以下の比率で混合した:
1)40μlの血清サンプルを120μlの緩衝液と混合、
2)120μlの緩衝液・サンプルを40μlの血清サンプルと混合。
その後、混合したサンプルを、(2R,3R)−2−(ジフェニルメチル)−N−(2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミンを含む600μlのアセトニトリルにより、25ng/mlの速度(HPLC−MS−MSの内部標準による)で抽出し、LC/MS/MS分析装置で測定した。
【0141】
(計算式)
結合していない基質の割合は、f=1−{([血漿]eq−[緩衝液]eq)/([血漿]eq)}で表され、式中[血漿]eqおよび[緩衝液]eqは、それぞれ血漿および緩衝液中の基質濃度である。
【0142】
(水溶性)
溶媒(a)−(c)の水溶性は、方法(1)または(2)により測定した。 (1)化合物を約1mgおよび各溶媒を1mL入れたバイアルを、室温にて24時間振とうした。不溶物質を10,000rpm、10分間の遠心分離を2回行い、除去した。上澄み液をHPLCでアッセイした。(2)化合物を0.5mg以上および各培地を0.5mL入れたWhatman Mini−UniPrepチャンバ(クリフトン、ニュージャージー州、米国)を、室温にて一晩(8時間以上)振とうした。サンプルは、全て分析前に0.45μmPVDF膜で濾過し、WhatmanMini−UniPrepのプランジャに通した。濾液をHPLCで測定した。
【0143】
<培地>
(a)酵素を含まないpH1.2の人工胃液(SGN):2.0gのNaClを10NのHCl、7.0mLに溶解し、適量の水を加えて1000mLとする。
(b)pH6.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS):6.35gのKHPO、2.84gのNaHPOおよび5.50gのNaClを十分な量の水に溶解して1000mLとし、pHを6.5に調節する。
(c)注射用水(WFI)。
【0144】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加物や塩基性塩(二塩基性塩を含む)を含む。
【0145】
適切な酸付加物は、無毒性塩を形成する酸により形成する。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、硫酸水素塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イセチオン酸塩、D−およびL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、パルモ酸塩、リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−およびL−酒石酸塩、並びにトシル酸塩類を含む。適切な塩基性塩は、無毒性塩を形成する塩基により形成する。例には、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リジン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を含む。
【0146】
適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuth, Handbook of
Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use, Wiley-VCH, Weinheim,
Germany (2002)を参照されたい。
【0147】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、式(I)の化合物の溶液と目的とする酸または塩基を適切に混合することによって、容易に製造することができる。この塩は、溶液から沈殿するため、濾過により回収することもあるし、あるいは溶媒の留去により回収することもある。
【0148】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、水和物や溶媒和物を含み、結晶化溶媒は、DO、d−アセトン、d−DMSOなど同位体により置換されたものであってもよい。
【0149】
また、本発明の範囲内には、包接物や薬物−ホスト包接錯体があり、上述した溶媒和とは対照的に薬物とホストとが非化学量論的な量含まれているものである。これらの錯体に関する総説については、J
Pharm Sci, 64 (8), 1269-1288 Haleblian (1975年8月)を参照されたい。
【0150】
以下、式(I)の化合物に関する言及は、全てその塩の他、式(I)の化合物の溶媒和物および包接物並びにその塩に対する言及を含む。
【0151】
本発明には、本明細書中で先に定義した式(I)の化合物のあらゆる多形を含む。
【0152】
また、本発明の範囲には、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」を含む。従って、式(I)の化合物の一定の誘導体は、それ自体には薬学的活性はほとんどあるいは全くないものの、体内にあるいは体表に投与した場合に代謝を受けて、目的の活性を有する式(I)の化合物を生じる場合がある。このような誘導体を「プロドラッグ」と言う。
【0153】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物の適切な官能基を当業者には、例えばH
Bundgaard 著“Design of Prodrugs”(Elsevier, 1985)に記述があるように、「pro−moiety」として知られる一定の部分によって置換することによって製造することができる。
【0154】
最後に、式(I)の一定の化合物は、それ自体が式(I)で表される他の化合物のプロドラッグとなる場合がある。
【0155】
1つ以上の不斉炭素原子を有する式(I)の化合物には、2つ以上の光学異性体が存在する。式(I)の化合物がアルケニル基やアルケニレン基を含む場合には、シス/トランス(あるいはZ/E)の幾何異性体が考えられ、また、化合物に例えばケト基またはオキシム基が含まれる場合には、互変異性(tautomerism)が起こりうる。それゆえ、単一化合物であっても、1つ以上の異性体がある場合がある。
【0156】
本発明の範囲内には、式(I)の化合物のあらゆる光学異性体、幾何異性体および互変異性体があり、その中には1種類以上の異性体がある化合物およびその1つ以上の混合物が含まれる。
【0157】
シス/トランス異性体は、当業者には公知の通常の方法により分離することができ、それには、例えば分別結晶やクロマトグラフィーがある。
【0158】
個々の立体異性体を分離/単離する一般的な方法としては、光学的に純粋な前駆物質を変換する方法、キラルHPLCなどを用いてラセミ体(あるいはその塩または誘導体のラセミ体)を分割する方法、またはラセミ体と適切な光学活性のある酸または塩(例えば、酒石酸)とを反応させることによって得られるジアステレオ異性体の塩に対して分別結晶を行う方法が含まれる。
【0159】
本発明はまた、式(I)の化合物を同位元素によって置換した薬学的に許容できる化合物を含む。同位元素によって置換した化合物とは、原子番号は同じであるが、自然界に通常見られる原子量と異なる原子量を有する原子によって少なくとも1つの原子が置換された化合物として定義される。
【0160】
本発明の化合物に含むことが適切な同位元素の例には、HおよびHなど水素の同位元素、13Cおよび14Cなど炭素の同位元素、15Nなど窒素の同位元素、17Oや18Oなど酸素の同位元素、32Pなど硫黄の同位元素、35Sなど硫黄の同位元素、18Fなどフッ素の同位元素、36Clなど塩素の同位元素が含まれる。
【0161】
本発明の化合物を重水素、すなわちHなどの同位元素で置換することによって、例えば、インビボ半減期が長くなることまたは、投与量が低下する等代謝安定性が高くなることから生じる治療的メリットが得られる場合があり、それゆえに一定の状況においては好ましい場合がある。
【0162】
式(I)の化合物を同位元素で置換した一定の化合物、例えば放射性同位元素を含むものは、薬物および/または基質の組織における分布を研究する際に有用である。放射性同位元素のトリチウム、すなわちHおよび炭素14すなわち14Cは、取り込むのが容易で検出法が備わっていることにより、この目的には特に有用である。
【0163】
式(I)の化合物を同位元素で置換した化合物は、当業者には既知の一般的な方法はたは、本明細書中の実施例や合成例に記載した方法に類似した方法により、適切な試薬を同位元素によって置換した適切な化合物を用いて、製造することができる。
【0164】
式(I)の化合物は、凍結乾燥、噴霧乾燥や蒸発乾燥によって、結晶性あるいはアモルファス物質の固体プラグ、粉体あるいはフィルムとすることができる。マイクロ波やラジオ波による乾燥も、この目的のために用いてもよい。
【0165】
本発明の化合物は、単体でもあるいは他の薬物との併用でも投与することができ、薬学的に許容できる1つ以上の賦形剤を加えた製剤として投与するのが一般的である。本明細書において使用する「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外のいかなる成分をも表す。賦形剤は、大部分が投与の具体的な形態によって選択する。
【0166】
本発明の化合物は、1つ以上の薬学的に活性を有する物質とともに、組み合わせて、別個に、同時にあるいは順番に投与してもよい。疼痛の治療に特に適した物質としては、以下を含む:
(i)オピオイド鎮痛物質、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニール、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンおよびペンタゾシン;
(ii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナール、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ネブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ゾメピラックおよびこれらの薬学的に許容できる塩;
(iii)バルビツール系鎮静物質、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール、チオペンタールおよびこれらの薬学的に許容できる塩;
(iv)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン類、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラムおよびこれらの薬学的に許容できる塩;
(v)鎮静作用を有するH拮抗物質、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジンおよびこれらの薬学的に許容できる塩;
(vi)グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、ジクロルアルフェナゾンおよびこれらの薬学的に許容できる塩など、その他の鎮静物質;
(vii)骨格系筋弛緩物質、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、オルフレナジンおよびこれらの薬学的に許容できる塩;
(viii)α2δリガンド、例えば、ガバペンチンおよびプレガバリン;
(ix)αアドレナリン作動性の活性物質、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジンおよび4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
(x)三環系抗うつ物質、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンおよびノルトリプチリン;
(xi)抗痙攣物質、例えば、カルバマゼピンおよびバルプロエート;
(xii)セロトニン再取り込み抑制物質、例えば、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラムおよびセルトラリン;
(xiii)セロトニンノルアドレナリン再取り込み抑制物質、例えば、ミルナシプラン、ベンラファキシンおよびデュロキセチン;
(xiv)ノルアドレナリン再取り込み抑制物質、例えば、レボキセチン;
(xv)タキキニン(NK)拮抗物質、特にNK−3、NK−2およびNK−1拮抗物質、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント、ダピタント、および、3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S);
(xvi)ムスカリン拮抗物質、例えば、オキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウムおよびダリフェナシン;
(xvii)COX−2阻害物質、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデコキシブ;
(xviii)非選択的COX阻害物質(望ましくは、消化管系を保護するもの)、例えば、ニトロフルルビプロフェン(HCT−1026);
(xix)コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール;
(xx)神経弛緩薬、例えば、ドロペリドール;
(xxi)バニロイド受容体アゴニスト、例えば、レジンフェラトキシン;
(xxii)β−アドレナリン作動性化合物、例えば、プロプラノロール;
(xxiii)局所麻酔物質、例えば、メキシレチン;
(xxiv)副腎皮質ステロイド、例えば、デキサメタゾン;
(xxv)セロトニン受容体アゴニストおよび拮抗物質;
(xxvi)コリン作動性(ニコチン作動性)鎮痛性物質;および
(xxvii)その他の鎮痛性物質、例えば、トラマドール(Tramadol)(登録商標)。
【0167】
従って、本発明は、本発明化合物、その薬学的に許容できる塩、溶媒和またはプロドラッグと、上記(i)から(xxvii)の群から選ばれる化合物または化合物のクラスとの組み合せを更に提供する。また、このような組み合わせに対して、特にα2δリガンドが関与する疾患の治療のために、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を加えた医薬組成物を提供する。
【0168】
本発明の化合物と他の治療用薬剤との組み合わせは、別個に、順番にまたは同時に投与してもよい。このように、本発明は、本発明の化合物、上記に挙げたような他の1つ以上の治療用薬剤、および適切な容器を含むキットにも及ぶ。
【0169】
本発明の化合物は、公知の担体や賦形剤を用い、通常の手段によって調製してもよい。従って、本発明は、本発明の化合物あるいはその薬学的に許容できるエステルあるいはその薬学的に許容できる塩に加えて、薬学的に許容できる担体を1つ以上含む医薬組成物をも提供する。
【0170】
(経口投与)
本発明の化合物は、経口投与してもよい。経口投与には、本化合物を消化管に入れる燕下を含み、または口内投与および舌下投与を用いることもでき、これにより本化合物は口内から直接血流に入る。
【0171】
経口投与に適した剤型には、錠剤のような固形製剤、粒子、液体あるいは粉体が入ったカプセル剤、トローチ剤(液体を内含するものを含む)、チュアブル剤、多粒子系薬剤やナノ粒子系薬剤、ゲル剤、フィルム(粘膜付着性のものを含む)、胚珠(ovule)
、噴霧剤および液剤を含む。
【0172】
液剤には、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシル剤を含む。これらの剤型は、軟あるいは硬カプセルの充填剤として用いてもよく、通常は水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロースあるいは適切な油のような担体を含み、1つ以上の乳化剤および/または懸濁剤を含む。液剤は、サシェ剤など、固体から再構成してもよい。
【0173】
本発明の化合物は、LiangおよびChen、Expert Opinion in
Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986 (2001)に記載されているような、速溶型速崩壊型剤型に用いてもよい。
【0174】
本発明による通常の錠剤の組成は、以下を含んでもよい:
【表1】

【0175】
通常の錠剤は、製剤化学者には既知の標準的な方法を用いて製造してもよく、その方法には、直接打錠法、造粒法(乾式法、湿式法あるいは溶融法)、溶融凝固法や押出造粒法がある。錠剤は、1つ以上の層を含んでもよく、コーティングを施しても、施さなくともよい。
【0176】
経口投与に適切な賦形剤の例には、担体(例えば、セルロース、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、マンニトールやクエン酸ナトリウム)、造粒用結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびゼラチン)、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムやケイ酸塩)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、保存料、抗酸化剤、香味料および着色剤を含む。
【0177】
経口投与用の固形製剤は、即放性および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル(controlled dual)型、標的化型およびプログラム化型が含まれる。高エネルギー分散や、浸透粒子、コーティング粒子などの適切な放出調節製剤技術の詳細は、Vermaら,
Pharmaceutical Technology On-line, 25 (2), 1-14 (2001)にある。その他の放出調節製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。
【0178】
(非経口投与)
本発明の化合物は、血流、筋肉あるいは内部臓器に直接投与してもよい。非経口投与の適切な手段には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、クモ膜下投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与および皮下投与が含まれる。非経口投与の適切な装置には、注射針(極微針を含む)、注射器、無針注射器および注入技術が含まれる。
【0179】
非経口投与用製剤は、通常水溶液であり、塩、炭水化物や緩衝剤(pHを3から9とするものが好ましい)などの賦形剤を含んでもよいが、場合によっては、滅菌非水性溶液あるいは乾燥製剤として調製し、発熱物質を含まない滅菌水などの適切な溶媒と共に使用するものとして製剤することが適当であることもある。
【0180】
凍結乾燥のような無菌条件下における非経口投与用製剤の製造は、当業者には公知の標準的な製薬技術を用いて容易に行うことができる。
【0181】
非経口投与用溶液の製造において使用する式(I)の化合物の溶解性は、適切な加工により高めることができ、例えば、高エネルギ噴霧乾燥分散法(国際公開番号WO01/47495を参照されたい)および/または適切な製剤技術、例えば溶解促進剤を使用するなどの方法がある。
【0182】
非経口投与用製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル型、標的化型およびプログラム化型が含まれる。
【0183】
(局所投与)
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に対して、皮膚投与あるいは経皮投与として、局所的に投与してもよい。この目的用の製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、ドレッシング剤、泡、フィルム、スキン・パッチ、ウェファ、インプラント、スポンジ、ファイバ、絆創膏およびマイクロエマルジョンが通常含まれる。リポソームを使用してもよい。通常の担体には、アルコール、水、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリンおよびプロピレングリコールを含む。吸収促進剤を加えてもよく、例えばFinninおよびMorgan,J
Pharm Sci, 88 (10), 955-958(1999年10月)を参照されたい。
【0184】
局所投与のその他の手段には、イオン導入法、エレクトロポレーション、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスや無針注射や微針注射によって送達する方法がある。
【0185】
局所投与用製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル型、標的化型およびプログラム化型が含まれる。従って、本発明の化合物は、より固形な投与形状により、活性化合物を長期間にわたって放出する埋め込み型の製剤として調製してもよい。
【0186】
(吸入投与/鼻腔内投与)
本発明の化合物は、鼻腔内投与または吸入投与を行うことができ、通常はドライ・パウダー・インヘラによる乾燥粉体(単体で、あるいは乳糖を加えた乾燥ブレンドのような混合物、あるいはリン脂質などと混合した混合成分粒子)、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ(好ましくは、電気流体力学的に微細なミストを発生するアトマイザ)またはネブライザによるエアロゾル・スプレーの形態により送達するが、適切なプロペラントを用いる場合も用いない場合もあり、そのプロペラントには、例えばジクロロフルオロメタンがある。
【0187】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザまたはネブライザには、活性化合物の溶液または懸濁液が入っており、この溶液または懸濁液は、例えば、活性化合物の分散性、溶解性、放出性を高めるために加えるエタノール(エタノール水溶液であってもよい)あるいはその適切な代用物質、溶媒としてのプロペラントおよび任意にトリオレイン酸ソルビタンやオリゴ乳酸のような表面活性剤を含む。
【0188】
乾燥粉体あるいは懸濁液製剤に使用する前に、薬物製品は、吸入による送達に適した大きさに微粉化する(通常は5ミクロン未満)。これは、任意の適切な粉砕手段によっても行うことができ、例えば、スパイラル・ジェット・ミルや流動床式ジェット・ミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体加工法、高圧ホモジナイゼーションや噴霧乾燥がある。
【0189】
微細なミストを発生するために、電気流体力学を利用するアトマイザに使用する適切な液体製剤は、1回の操作当たり本発明の化合物を1μgから10mg含んでよく、操作当たりの量は1μlから100μlの範囲であってもよい。通常の製剤には、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含んでもよい。プロピレングリコールの代用として用いることができる他の溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0190】
インヘラや散布器で使用するカプセル剤、ブリスタおよびカートリッジ(例えばゼラチンやHPMCにより作る)は、本発明の化合物、乳糖やデンプンのような適切なパウダ・ベースおよびl−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムのような性能調節物質(performance modifier)の粉体混合物を含むように製造してもよい。
【0191】
ドライ・パウダ・インヘラやエアロゾルの場合には、投与単位は、計量した分量を送達するバルブにより決定する。本発明に従った投与単位は、計量した用量あるいは一回分の量(「puff」)を投与するように調製するのが一般的である。
【0192】
吸入投与/鼻腔内投与用製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル型、標的化型およびプログラム化型が含まれる。
【0193】
(直腸投与/膣内投与)
本発明の化合物は、坐薬、ペッサリや浣腸剤の形態により、直腸投与または膣内投与を行ってもよい。カカオ脂は、伝統的な坐薬の基剤であるが、種々の代替物を必要に応じて用いることができる。
【0194】
直腸投与/膣内投与用製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル型、標的化型およびプログラム化型が含まれる。
【0195】
(眼投与/点耳投与)
本発明の化合物は、眼または耳に直接投与してもよく、pH調整した等浸透圧滅菌食塩水を用いた微粉化した懸濁液または溶液の液滴の形態によって行うのが通例である。眼投与あるいは点耳投与に適した他の製剤には、軟膏、生体分解性のあるインプラント(例えば、吸収ゲル・スポンジやコラーゲン)、生体分解性のないインプラント(例えば、シリコン)、ウエファ、レンズおよびニオソームやリポソームのような粒子系または小胞系システムが含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸のようなポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロースのようなセルロース系ポリマー、またはゲラン・ガムのようなヘテロポリサッカライド系ポリマーは、塩化ベンザルコニウムのような保存料とともに含んでもよい。このような製剤は、イオン泳動により送達してもよい。
【0196】
眼投与/点耳投与用製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤として製剤してもよい。放出調節製剤には、放出遅延型、持続放出型、パルス型、コントロールドデュアル型、標的化型またはプログラム化型が含まれる。
【0197】
(有効性を高める技術)
本発明の化合物は、溶解性、溶出速度、味のマスキング、バイオアベイラビリティおよび/または安定性を高めるために、シクロデキストリンやポリエチレングリコールを含有する水溶性高分子体とともに用いることができる。
【0198】
例えば、薬物・シクロデキストリン錯体は、一般的に、ほとんどの投与剤型や投与経路に関して有用であることが知られている。包接錯体および非包接錯体はいずれも用いることができる。薬物と直接錯体を形成する代わりに、シクロデキストリンは、補助賦形剤として、すなわち担体、希釈剤あるいは可溶化剤として用いてもよい。ほとんどの場合、このような目的に使用されるものとしては、α−、β−およびγ−シクロデキストリンであり、そのような例は、国際特許出願番号WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148に見ることができる。
【0199】
(投与量)
本発明の化合物は、経口、非経口あるいは局所経路により、ほ乳類に投与することができる。一般的には、これらの化合物は、ヒトに対しては0.1mgから3000mg、好ましくは1mgから500mgの範囲で投与ことが望ましく、1回の投与により行ってもよいし、あるいは1日を通して数回に分割した投与によってもよいが、治療を行う被験体の体重や状態、治療対象疾患の状態や選択した投与経路によって、変動が必然的に生じる。
【0200】
これらの投与量は、体重が約65から70kgである平均的なヒト被験体に基づいている。医師は、小児や高齢者など体重がこの範囲外である被験体に対する投与量を容易に決定することができる。
【0201】
例えば、体重1kg当たり1日0.01mgから10mgの範囲にある投与量は、炎症に関連した疼痛の治療に用いるのに最も望ましい。
【実施例】
【0202】
本発明について、以下の非限定的な実施例により説明するが、実施例中特段の指示がない限り、操作は全て、室温または常温、すなわち18−25℃の範囲で行われ、
溶媒留去は、ロータリ・エバポレータを用いて減圧下60℃までの浴温で行い、
反応の進行は薄層クロマトグラフィー(tlc)によりモニタリングし、反応時間は参考のためのみの目的で示しており、融点(m.p.)は未補正であり(多型により融点が異なる場合がある)、単離した化合物の構造および純度は、以下の方法のうち1つ以上によって確認を行った:tlc(メルク製シリカ・ゲル60F254プレコートTLCプレートまたはメルク製NH254sプレコートHPTLCプレート)、質量分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)または微量分析。収率は、例示的な目的のためにのみ示した。フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーは、メルク製シリカゲル60(ASTM規格230−400メッシュ)または富士シリシア化学(株)製クロマトレックス(登録商標)DU3050(アミノ基型、30−50μm)を用いて行った。低分解能質量分析(EI)データは、Automass120(JEOL)質量分析装置により測定した。低分解能質量分析(ESI)データは、QuattroII(Micromass)質量分析装置により測定した。NMRデータは、270MHz(JEOL製JNM−LA270質量分析装置)あるいは300MHz(JEOL製JNM−LA300)で、特段の指示がない限り重クロロホルム(99.8%D)あるいは重ジメチルスルホキシド(99.9%D)を溶媒として用い、内部基準とたテトラメチルシラン(TMS)と比較して百万分の1の単位で表した(ppm)。用いた通例の表記法は以下のとおりである:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br.=ブロードシグナル、等。IRスペクトルは、島津製作所製赤外線吸収スペクトル装置(IR−470)により測定した。旋光度は、JASCO・DIP−370ディジタル旋光計(日本分光株式会社)により測定した。
【0203】
略号は、通常の意味である;b.p.(沸点)、m.p.(融点)、l(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0204】
(実施例1)
N−[(2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
A. N−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−2−フェニルアセトアミド
4−アミノ−3−ニトロベンゾニトリル(2g、12.2mmol)と塩化フェニルアセチル(1.6ml、12.2mmol)の混合物をトルエン(130ml)中で一晩還流した。この混合物に2NのNaOH水溶液(100ml)を加え、全体を酢酸エチル(200ml×2回)で抽出した。合わせた有機層を2NのHCl水溶液(100ml)およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を黄色固体として得た(2.5g、73%)。
【0205】
H−NMR(CDCl)δ:10.47(br.s,1H),9.04(d,J=9.0Hz,1H),8.48(d,J=2.0Hz,1H),7.94(dd,J=2.0,9.0Hz,1H),7.26−7.48(m,5H),3.86(s,2H)ppm。
【0206】
B. N−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−2−フェニルアセトアミド
N−(4−シアノ−2−ニトロフェニル)−2−フェニルアセトアミド(2.52g、8.95mmol)と10%Pd/C(100mg)の混合物をメタノール(200ml)中、H雰囲気下(およそ1気圧)で室温にて6時間撹拌した。反応混合物をセライト・パッドで濾過し、セライト・パッド上に残るPd/Cをメタノールで洗った。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:8の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、黄色固体の表題化合物を得た(2.19g、97%)。
【0207】
H−NMR(CDCl)δ:7.34−7.44(m,6H),7.12(br.s,1H),7.00−7.09(m,2H),3.80(s,2H),3.68(br.s,2H)ppm。
【0208】
C. 2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
N−(2−アミノ−4−シアノフェニル)−2−フェニルアセトアミド(2.19g、8.71mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(1.49g、8.7mmol)の混合物をトルエン(250ml)中で5時間還流した。混合物に2NのNaOH(200mL)水溶液を加えた。この混合物を酢酸エチル(200ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:2の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(981mg,48%)。
【0209】
H−NMR(CDCl)δ:7.26−7.49(m,8H),4.30(s,2H)ppm。
MS(ESI)234.09(M+H),232.05(M−H)
【0210】
D. (2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチルアミン
2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(881mg、3.77mmol)、25%アンモニア水溶液(4ml)およびラネー・ニッケルの混合物をメタノール(40ml)中、H雰囲気下(およそ1気圧)で5時間撹拌した。反応混合物をセライト・パッドで濾過し、セライト・パッド上に残るPd/Cをメタノールで洗った。濾液を減圧濃縮し、表題化合物を黄色アモルファスとして得た(903mg,99%)。
【0211】
H−NMR(CDCl)δ:7.09−7.43(m,9H),4.21(s,2H),3.86(s,2H)ppm。
【0212】
E. N−[(2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
(2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチルアミン(903mg、3.77mmol)、WSC(864mg、4.5mmol)、HOBt(560mg,4.1mmol)および4−ヒドロキシ安息香酸(624mg,4.5mmol)の混合物をジクロロメタン(200ml)中、室温にて一晩撹拌した。この混合物に水を加え、その混合液をジクロロメタン(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ジクロロメタン/メタノール=20:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(409mg,29%)。
【0213】
H−NMR(CDOD)δ:7.12−7.14(m,2H),7.43−7.47(m,2H),7.19−7.30(m,6H),6.81(d,J=8.9Hz,2H9),4.63(s,2H),4.59(s,1H),4.20(s,2H)ppm。
IR(KBr)Vmax:3330,2491,1585,1421,1359,1244,1193,1145,1083,846cm−1
MS(ESI)358.0(M+H),356.0(M−H)
【0214】
(実施例2)
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
A. 4−ニトロ−3−[(2−フェニルエチル)アミノ]ベンゾニトリル
3−クロロ−4−ニトロベンゾニトリル(3g、16.4mmol、Chem.Pharm Bull.,1992,2399-2404)、2−フェニルエタンアミン(2.5ml、19.7mmol)と炭酸カリウム(3.4g、24.6mmol)の混合物をエタノール(200ml)中で5時間還流した。この混合物に2NのNaOH水溶液(100ml)を加え、全体を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:8の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、黄色固体の表題化合物を得た(936mg、21%)。
【0215】
H−NMR(CDCl)δ:8.49(d,J=2.0Hz,1H),8.43(br.s,1H),7.57(dd,J=2.2,8.8Hz,1H),7.24−7.39(m,5H),6.89(d,J=9.0Hz,1H),3.58−3.65(m,2H),3.04(d,J=7.1Hz,2H)ppm。
【0216】
B. 4−アミノ−3−[(2−フェニルエチル)アミノ]ベンゾニトリル
この化合物は、4−ニトロ−3−[(2−フェニルエチル)アミノ]ベンゾニトリル(936mg、3.50mmol)から、実施例1−Bと類似の方法により、茶色固体として得た(506mg,61%)。
【0217】
H−NMR(CDCl)δ:7.22−7.42(m,5H),6.99−7.02(m,1H),6.86(s,1H),6.62−6.66(m,1H),3.71(br.s,2H),3.36(t,J=7.0Hz,2H),3.25(br.s,1H),2.97(t,J=7.0Hz,2H)ppm。
【0218】
C. 1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボニトリル
4−アミノ−3−[(2−フェニルエチル)アミノ]ベンゾニトリル(506mg、2.1mmol)とギ酸(50ml)の混合物を1時間還流した。混合物に2NのNaOH水溶液(100mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、表題化合物を白色固体(332mg、63%)として得た。
【0219】
MS(ESI)248.10(M+H)
【0220】
D. [1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチルアミン
この化合物は、1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボニトリル(332mg、1.63mmol)から、実施例1−Dと類似の方法により、白色固体として得た(330mg、99%)。
【0221】
MS(ESI)252.11(M+H)
【0222】
E. 4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチルアミン(330mg、1.31mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(98mg、19%)。
【0223】
H−NMR(DMSO−d)δ:(s,1H),7.98(s,1H),7.78(t,J=3.05Hz,2H),7.54−7.56(m,2H),7.14−7.24(m,7H),6.79−6.81(m,2H),4.57(d,J=3.05Hz,2H),4.44(t,J=3.7Hz,2H),3.09(t,J=3.7Hz,2H)ppm。
IR(KBr)Vmax:1604,1544,1282,1253,1224,1176,1029,852cm−1
MS(ESI)372.10(M+H),369.95(M−H)
【0224】
(実施例3)
4−ヒドロキシ−N−({2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル−メチル)ベンズアミド
A. 2−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(実施例1−C、326mg、1.39mmol)およびCrO(1.4g、13.9mmol)の混合物を酢酸(50ml)中、室温で1日撹拌した。この混合物に水(50ml)および2NのNaOH水溶液を加えた。この混合物を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(165g,48%)。
【0225】
H−NMR(CDCl)δ:10.66(br.s,1H),8.69−8.73(m,2H),8.34(s,1H),7.97−8.07(m,4H),7.57−7.74(m,5H)ppm。
【0226】
B. 2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
2−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(165mg、0.66mmol)、エチレングリコール(0.1ml、1.33mmol)およびp−トルエンスルホン酸(114mg、0.66mmol)の混合物をトルエン(60ml)中で5時間還流した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:2の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(162mg,83%)。
【0227】
H−NMR(CDCl)δ:8.10(s,1H),7.65−7.68(m,2H),7.49−7.52(m,2H),7.37−7.47(m,3H),4.19−4.24(m,4H)ppm。
【0228】
C. [2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチルアミン
この化合物は、2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(162mg、0.556mmol)から、実施例1−Dと類似の方法により、白色アモルファスとして得た(164mg、99%)。
【0229】
H−NMR(CDCl)δ:7.64−7.75(m,2H),7.28−7.40(m,4H),7.16−7.23(m,2H),4.19(s,4H),3.94(s,2H)ppm。
【0230】
D. 4−ヒドロキシ−N−{[2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、[2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチルアミン(164mg、0.55mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(76mg、33%)。
【0231】
MS(ESI)415.9(M+H),413.9(M−H)
【0232】
E. N−[(2−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
4−ヒドロキシ−N−{[2−(2−フェニル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド(76mg、0.18mmol)の混合物を37%塩酸(20ml)中、50℃で12日間撹拌した。この混合物に飽和NaHCO水溶液を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ジクロロメタン/メタノール=30:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(42mg,63%)。
【0233】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.88(br.s,1H),8.56(d,J=8.7Hz,2H),7.58−7.80(m,6H),7.35(d,J=8.9Hz,lh),6.80(d,J=8.8Hz,2H),4.59(d,J=5.9Hz,2H)ppm。
【0234】
F. 4−ヒドロキシ−N−({2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}メチル)ベンズアミド
N−[(2−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド(23mg、0.06mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(5mg、0.12mmol)の混合物をメタノール(15ml)中、室温にて20分間撹拌した。この混合液に水(10ml)を加え、この混合液を酢酸エチル(30ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタンで洗浄し、表題化合物を白色固体として得た(6mg,26%)。
【0235】
H−NMR(DMSO−d)δ:12.28(br.s,1H),9.96(s,1H),8.78(br.s,1H),7.74(d,J=8.6Hz,2H),7.32−7.34(m,3H),7.24−7.29(m,4H),7.09(br.s,1H),6.79(d,J=8.8Hz,2H),6.49(d,J=4.3Hz,1H),5.88(d,J=3.8Hz,1H),4.49(d,J=5.7Hz,2H)ppm。
MS(ESI)374.0(M+H),372.0(M−H)
【0236】
(実施例4)
N−[(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
A. 2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボン酸メチル
3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸メチル(2g、11.9mmol)と塩化フェニルアセチル(1.6ml、11.9mmol)の混合物をキシレン(200ml)中で2日間還流した。この混合物に水(100ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(200ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(3.06g,95%)。
【0237】
H−NMR(CDCl)δ:8.38(d,J=1.7Hz,1H),8.05(dd,J=1.7Hz,8.7Hz,1H),7.26−7.50(m,6H),4.26(2H,s),3.94(s,3H)。
【0238】
B. (2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メタノール
2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボン酸メチル(1.06g、3.96mmol)のテトラヒドロフラン溶液(40ml)に、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.01Mのトルエン溶液、5.9ml、5.9mmol)を窒素雰囲気下0℃で加えた。この混合物を0℃で2時間撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥して、表題化合物を薄黄色固体(950mg、99%)として得た。
【0239】
H−NMR(CDCl)δ:7.65(s,1H),7.25−7.43(m,7H),4.75(s,2H),4.26(s,2H),3.93(s,1H)ppm。
【0240】
C. メタンスルホン酸(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチル
(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メタノール(950mg、3.96mmol)、塩化メタンスルホニル(0.3ml,4.3mmol)およびトリエチルアミン(1.1ml、7.9mmol)の混合物をジクロロメタン(40ml)中、窒素雰囲気下室温にて1時間撹拌した。この混合物に2NのNaOH水溶液を加え、その混合液をジクロロメタン(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、表題化合物を黄色油状物質(1.02g、81%)として得た。
【0241】
MS(ESI)318.0(M+H),316.0(M−H)
【0242】
D. 5−(アジドメチル)−2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール
メタンスルホン酸(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチル(1.02g、3.21mmol)およびアジ化ナトリウム(521mg,8.02mmol)の混合物をN,N−ジメチルホルムアミド(40ml)中、130℃で2.5時間撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=8:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色油状物質(412mg、48%)として得た。
【0243】
H−NMR(CDCl)δ:7.64(s,1H),7.24−7.50(m,7H),4.42(s,2H),4.27(s,2H)ppm。
【0244】
E. (2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチルアミン
5−(アジドメチル)−2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール(412mg、1.56mmol)と10%Pd/C(100mg)の混合物をメタノール(30ml)中、H雰囲気下(およそ1気圧)で室温にて3.5時間撹拌した。反応混合物をセライト・パッドで濾過し、セライト・パッド上に残るPd/Cをメタノールで洗った。濾液を減圧濃縮し、表題化合物を茶色アモルファスとして得た(282mg,75%)。
【0245】
H−NMR(CDCl)δ:7.61(s,1H),7.24−7.42(m,7H),4.26(s,2H),3.94(s,2H)ppm。
【0246】
F. N−[(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
この化合物は、(2−ベンジル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル)メチルアミン(282mg、1.18mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色アモルファスとして得た(225mg、53%)。
【0247】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.83(t,J=5.1Hz,1H),7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.58(d,J=7.7Hz,2H),7.27−7.36(m,6H),6.79(d,J=8.5Hz,2H),4.52(d,J=5.8Hz,2H),4.32(s,2H)ppm。
IR(KBr)Vmax:3340,1629,1589,1280,1242cm−1
MS(ESI)359.0(M+H)
【0248】
(実施例5)
N−[(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
A. 2−ベンジル−2H−インダゾール−6−カルボン酸メチル
N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中のNaH(540mg、13.6mmol)混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中の1H−インダゾール−6−カルボン酸メチル(2g、11.3mmol、J.Med.Chem.,2000,41-58)溶液を窒素雰囲気下で室温にて滴下した。得られた混合液を1.5時間還流した。この混合液に臭化ベンジル(2ml、17.0mmol)を加えた混合液を室温で1.5時間撹拌した。この混合液に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=8:1/4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色アモルファスとして得た(1.07g,35%)。
【0249】
H−NMR(CDCl)δ:8.52(s,1H),7.91(s,1H),7.63−7.72(m,2H),7.26−7.40(m,5H),5.63(s,2H),3.95(s,3H)ppm。
【0250】
B. (2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メタノール
LiAlH(230mg、6.0mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)混合物に、2−ベンジル−2H−インダゾール−6−カルボン酸メチル(1.07g、4.0mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を窒素雰囲気下0℃で滴下した。この混合物を0℃で1時間撹拌した。この混合液に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥して、表題化合物を茶色アモルファス(956mg、98%)として得た。
【0251】
H−NMR(CDCl)δ:7.82(s,1H),7.55−7.62(m,2H),7.22−7.35(m,5H),7.06(d,J=7.4Hz,1H),5.54(s,2H),4.70(s,2H)ppm。
【0252】
C. メタンスルホン酸(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチル
この化合物は、(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メタノール(956mg、4.0mmol)から、実施例4−Cと類似の方法により、茶色アモルファスとして得た(1.2g,95%)。
【0253】
H−NMR(CDCl)δ:8.01(s,1H),7.92(s,1H),7.65−7.76(m,4H),7.29−7.38(m,2H),7.10−7.13(m,2H),5.61(s,2H),4.63(s,2H),2.91(s,3H)ppm。
【0254】
D. 6−(アジドメチル)−2−ベンジル−2H−インダゾール
この化合物は、メタンスルホン酸(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチル(1.29g、4.0mmol)から、実施例4−Dと類似の方法により、薄黄色固体として得た(550mg,52%)。
【0255】
H−NMR(CDCl)δ:7.88(s,1H),7.64(d,J=8.1Hz,2H),7.25−7.36(m,5H),7.03(d,J=8.6Hz,1H),5.59(s,2H),4.41(s,2H)ppm。
【0256】
E. (2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミン
この化合物は、6−(アジドメチル)−2−ベンジル−2H−インダゾール(550mg、2.08mmol)から、実施例4−Eと類似の方法により、黄色アモルファスとして得た(483mg,97%)。
【0257】
H−NMR(CDCl)δ:7.85(s,1H),7.59(d,J=8.1Hz,2H),7.26−7.35(m,5H),7.05(d,J=9.9Hz,1H),5.58(s,2H),3.94(s,2H),1.64(br.s,2H)ppm。
【0258】
F. N−[(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
この化合物は、(2−ベンジル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミン(483mg、2.03mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色アモルファスとして得た(189mg、26%)。
【0259】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.79(t,J=5.8Hz,1H),8.42(s,1H),7.77(d,J=8.7Hz,2H),7.64(d,J=8.6Hz,1H),7.43(s,1H),7.25−7.35(m,6H),5.61(s,2H),4.50(d,J=6.3Hz,2H)ppm;
IR(KBr)Vmax:3269,1629,1608,1508,1276,1240cm−1
MS(ESI)358.0(M+H),356.0(M−H)
【0260】
(実施例6)
4−ヒドロキシ−N−{[4−(2−フェニルエチル)キノリン−6−イル]メチル}ベンズアミド
A. 4−ヒドロキシ−N−(4−ニトロベンジル)ベンズアミド
4−ヒドロキシ安息香酸(4.1g、30mmol)、4−ニトロベンジルアミン塩酸塩(5.7g、30mmol)、トリエチルアミン(8.4mL、60mmol)、EDCI(6.9g、36mmol)およびHOBt(0.9g、6.0mmol)のDMF(100mL)混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をAcOEtで希釈し、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗った。有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を2−プロパノールおよびジイソプロピルエーテルによる結晶化で精製し、表題化合物を薄黄色固体(3.8g、14mmol)として得た。
【0261】
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ:10.04(br,1H),8.95(t,J=6.1Hz,1H),8.21(d,J=8.4Hz,2H),7.88(d,J=8.6Hz,2H),7.56(d,J=8.4Hz,2H),6.83(d,J=8.6Hz,2H),4.56(d,J=5.9Hz,2H)ppm。
【0262】
B. N−(4−アミノベンジル−4−ヒドロキシベンズアミド
4−ヒドロキシ−N−(4−ニトロベンジル)ベンズアミド(3.8g、14mmol)と10%Pd−C(0.7g)のエタノール混合物を、水素雰囲気下1気圧で、2時間撹拌した。混合物をセライト・パッドにより濾過した。濾液を減圧濃縮し、表題化合物を白色固体(1.6g,6.6mmol)として得た。
【0263】
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ:10.04(br,1H),8.57(t,J=5.9Hz,1H),7.74(d,J=8.7Hz,2H),6.96(d,J=8.4Hz,2H),6.78(d,J=8.7Hz,2H),6.50(d,J=8.4Hz,2H),4.93(br,2H),4.26(d,J=5.9Hz,2H)ppm。
【0264】
C. 4−ヒドロキシ−N−{[4−(2−フェニルエチル)キノリン−6−イル]メチル}ベンズアミド
N−(4−アミノベンジル)−4−ヒドロキシベンズアミド(82mg、0.34mmol)および5−フェニルペント−1−エン−3−オン(109mg、0.68mmol)(Synlett 1997,1414-1416.) のエタノール(7mL)混合液に、m−ニトロベンゼンスルホン酸(62mg、0.31mmol)、ZnCl(6mg、0.044mmol)および濃塩酸(51μL)を加え、混合物を4時間還流した。混合物を室温にもどし、AcOEtで希釈した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗った。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびメタノールによる結晶化で精製し、表題化合物を白色固体(5mg)として得た。
【0265】
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ:10.02(br,1H),8.98(t,J=5.5Hz,1H)8.73(d,J=4.4Hz,1H),8.08(s,1H),7.99(d,J=8.6Hz,1H),7.83(d,J=8.8Hz,2H),7.72(dd,J=1.7,8.6Hz,1H),7.38(d,J=4.4Hz,1H),7.30−7.15(m,5H),6.82(d,J=8.8Hz,2H),4.70(d,J=6.0Hz,2H),3.32−3.24(m,2H),3.00−2.90(m,2H)ppm;
MS(ESI):383(M+H),381(M−H)
IR(KBr)Vmax3331,1630,1609,1504,1310,1286,1259,1238,1173cm−1
【0266】
(実施例7)
N−{[8−(ベンジルオキシ)キノリン−2−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
8−(ベンジルオキシ)キノリン−2−カルバルデヒド(80mg、0.30mmol)(Tetrahedron 1996,52,4659-4672.)のエタノール・水(1:1、1mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(31mg、0.45mmol)および2NのNaOH水溶液(0.45mL)を0℃で加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物に水を加えて希釈し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。残渣を酢酸(0.9mL)および水(0.6mL)に溶解した。この溶液に亜鉛(98mg、1.5mmol)を0℃で加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。混合液にジクロロメタンを加えて希釈した。この混合物にKCOを加えて、懸濁液を濾過した。濾液を溶媒除去した。残渣をDMFに溶解した。この溶液に、4−(メトキシメトキシ)安息香酸(22mg、0.12mmol)(Tetrahedron
Asymm.1993,
4, 687-694.)、EDCI(23mg、0.12mmol)およびHOBt(18mg、0.12mmol)を加えて、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をAcOEtで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗った。MgSOで乾燥し、溶媒除去した。残渣をHCl−MeOH(1mL)に溶解し、溶液を50℃で3時間撹拌した。混合物にAcOEtを加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗った。MgSOで乾燥し、溶媒除去した。N−{[8−(ベンジルオキシ)キノリン−2−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド(4mg)を分取TLC(ヘキサン−AcOEt 1:2)により、薄茶色固体として得た。
【0267】
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ=10.01(s,1H),8.99(t,J=5.9Hz,1H)8.29(d,J=8.4Hz,1H),7.80(d,J=8.8Hz,2H),7.56−7.26(m,9H),6.81(d,J=8.6Hz,2H),5.34(s,2H),4.72(d,J=6.0Hz,2H)ppm。
MS(ESI):385(M+H),383(M−H)
IR(KBr)Vmax3057,1607,1535,1495,1383,1279,1261,1174,1101cm−1
【0268】
(実施例8)
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
A. (2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチルアミン
この化合物は、(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)カルボニトリル(250mg、1.08mmol、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1996,6,1339-1344.)から、実施例1−Dと類似の方法により、固体として得た(210mg、0.89mmol)。
【0269】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:7.80(br,1H),7.46(s,1H),7.35−10(m,6H),7.07(d,J=8Hz,1H),6.30(s,1H),4.13(s,2H),3.96(br,2H)ppm。
【0270】
B. N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
この化合物は、(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチルアミン(200mg、1.08mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、アモルファスとして得た(210mg、0.59mmol)。
【0271】
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ= 10.91(s,1H),9.97(br,1H),8.69(t,J=6Hz,1H),7.75(d,J=9Hz,2H),7.34−7.16(m,7H),6.98(dd,J=8,2Hz,1H),6.78(d,J=9Hz,2H),6.10(s,1H),4.46(d,2H),4.03(s,2H)ppm。
【0272】
(実施例9)
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
A. 1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−カルボン酸メチル
この化合物は、1H−インダゾール−6−カルボン酸メチル(2g、11.35mmol)から、実施例5−Aと類似の方法により、薄黄色アモルファスとして得た(1.73g、54%)。
【0273】
H−NMR(CDCl)δ:8.05(s,1H),7.97(s,1H),7.71−7.78(m,2H),7.10−7.25(m,5H),4.65(t,J=7.4Hz,2H),3.95(s,3H),3.23(t,J=7.4Hz,2H)ppm。
【0274】
B. [1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メタノール
この化合物は、1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−カルボン酸メチル(1.73g、6.17mmol)から、実施例5−Bと類似の方法により、薄黄色アモルファスとして得た(1.5g、96%)。
【0275】
H−NMR(CDCl)δ:7.90(s,1H),7.65(d,J=8.3Hz,1H),7.14−7.25(m,4H),7.04−7.10(m,3H),4.75(d,J=4.8Hz,2H),4.55(t,J=7.4Hz,2H),3.17(t,J=7.4Hz,2H)ppm。
【0276】
C. メタンスルホン酸[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル
この化合物は、[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メタノール(1.5g、5.94mmol)から、実施例4−Cと類似の方法により、薄黄色油状物質として得た(1.53g、78%)。
【0277】
H−NMR(CDCl)δ:7.99(s,1H),7.67−7.74(m,1H),7.04−7.67(m,7H),4.56−4.70(m,4H),3.23(s,3H),2.87(s,2H)ppm。
【0278】
D. 6−(アジドメチル)−1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール
この化合物は、メタンスルホン酸[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル(1.53g、4.63mmol)から、実施例4−Dと類似の方法により、薄黄色油状物質として得た(1.13g、92%)。
【0279】
H−NMR(CDCl)δ:8.01(s,1H),7.70(d,J=8.3Hz,1H),7.00−7.25(m,7H),4.60(t,J=7.2Hz,2H),4.39(s,2H),3.21(t,J=7.2Hz,2H)ppm。
【0280】
E. {[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}アミン
この化合物は、6−(アジドメチル)−1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール(1.13g、4.29mmol)から、実施例4−Eと類似の方法により、薄黄色油状物質として得た(1.01g、94%)。
【0281】
H−NMR(CDCl)δ:7.97−7.98(m,1H),7.63−7.66(m,1H),7.01−7.26(m,7H),4.56−4.61(m,2H),3.93(s,2H),3.20(t,J=7.3Hz,2H)ppm。
【0282】
F. 4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}アミン(1.01g、4.29mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色アモルファスとして得た(514mg、32%)。
【0283】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.81(s,1H),8.00(s,1H),7.79(d,J=8.7Hz,2H),7.67(d,J=8.2Hz,1H),7.48(s,1H),7.18−7.20(m,5H),7.08(d,J=8.2Hz,1H),6.82(d,J=8.7Hz,2H),4.54−4.60(m,4H),3.12(t,J=7.1Hz,2H)ppm;
IR(KBr)Vmax:3269,1629,1608,1508,1276,1240cm−1
ES:372.13(M+1);
ES:370.11(M−1)。
【0284】
(実施例10)
N−{[4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−カルボニトリル
4−クロロキナゾリン−6−カルボニトリル(0.14g、0.73mmol、WO93/03030)、ベンジルアミン(94mg、0.88mmol)およびトリエチルアミン(0.11mL、0.80mmol)のCHCl混合液を室温で16時間撹拌した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理し、CHClで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(0.12g)を分取TLC(ヘキサン−AcOEt 1:3)により得た。
【0285】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.22−9.13(m,1H),8.93(d,J=1.3Hz,1H)8.57(s,1H),8.09(dd,J=1.8,8.6Hz,2H),7.81(d,J=8.6Hz,2H),4.80(d,J=4.9Hz,2H)ppm。
【0286】
N−{[4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−カルボニトリル(13mg、0.050mmol)、ラネー・ニッケル触媒および25%NH水溶液(50μL)の混合物をMeOH中1気圧で30分間水素化した。混合液をセライト濾過し、濾液を溶媒除去した。粗製のアミン、4−ヒドロキシ安息香酸(7.0mg、0.050mmol)およびHOBt・HO(9.0mg、0.060mmol)のDMF(1.0mL)混合液に、EDCI(12mg、0.060mmol)を加えて、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をAcOEtで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗った。MgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(12mg)を分取TLC(CHCl−MeOH 10:1)により、白色固体として得た。
【0287】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.99(br,1H),8.86(t,J=6.1Hz,2H),8.41(s,1H),7.81−7.64(m,4H),7.38−7.20(m,5H),6.81(d,J=8.8Hz,2H),4.79(d,J=5.7Hz,2H),4.58(d,J=5.9Hz,2H)ppm。
MS(ESI):(M+H),(385)、(M−H)(383);
IR(KBr)Vmax:1506,1296,1246cm−1
【0288】
(実施例11)
4−ヒドロキシ−N−{[2−メチル−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、実施例2に類似の方法により、白色固体として得た。
【0289】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.64(s,1H),8.35(s,1H),7.82(s,1H),7.51(d,J=6.1Hz,1H),7.36(s,1H),7.19−7.22(m,4H),6.94−6.97(m,2H),6.82(d,J=8.7Hz,2H),4.67(d,J=5.5Hz,2H),4.33(t,J=5.6Hz,2H),3.22(t,J=5.6Hz,2H),2.14(s,3H)ppm;
IR(KBr)Vmax:1508,1411,1255,1172,1105,846cm−1
ES:386.18(M+1);
ES:384.15(M−1)。
【0290】
(実施例12)
N−{[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−カルボン酸ベンジル
4−クロロキノリン−6−カルボン酸エチル(0.62g、2.6mmol、J.
Med. Chem. 1994, 37, 2106-2111. )およびベンジルオキシドナトリウム(1.0Mのベンジルアルコール溶液、2.9mL、2.9mmol)の混合液を150℃で16時間撹拌した。混合物は、飽和NHCl水溶液でクエンチングし、CHClで抽出した。抽出液をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(0.38g)をシリカ・ゲルによるカラム・クロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt 1:1)により得た。
【0291】
H−NMR(CDCl)δ:9.10−9.05(m,1H),8.81(d,J=5.3Hz,1H),8.32(dd,J=2.0,8.9Hz,1H),8.07(d,J=8.7Hz,1H),7.53−7.32(m,11H),5.44(s,2H),5.35(s,2H)ppm。
【0292】
[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メタノール
4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−カルボン酸ベンジル(0.37g、1.0mmol)のTHF溶液に、DIBAL−H(0.95Mヘキサン溶液、3.2mL、3.0mmol)を0℃で加え、混合液を0℃で1時間撹拌した。混合液に水を加えてクエンチングし、CHClで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(0.19g)をシリカ・ゲルによるカラム・クロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt 2:3)により得た。
【0293】
H−NMR(CDCl)δ:8.71(d,J=5.3Hz,1H),8.25−8.21(m,1H),8.03(d,J=8.4Hz,1H),7.71(dd,J=2.0,8.6Hz,1H),7.53−7.34(m,5H),6.80(d,J=5.3Hz,1H),5.29(s,2H),4.88(s,2H)ppm。
【0294】
6−(アジドメチル)−4−(ベンジルオキシ)キノリン
[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メタノール(80mg、0.30mmol)およびトリエチルアミン(83μL、0.60mmol)のCHCl混合液に、塩化メタンスルホニル(26μL、0.33mmol)を0℃で加え、混合液を0℃で2時間撹拌した。混合液に水を加えてクエンチングし、CHClで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。粗製の混合物およびNaN(85mg、1.3mmol)のDMF(1.3mL)混合液を50℃で2時間撹拌した。混合物にAcOEtを加えて希釈し、水で洗った。MgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(8.0mg)をシリカ・ゲルによるカラム・クロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt 2:1)により得た。
【0295】
H−NMR(CDCl)δ:8.76(d,J=5.3Hz,1H),8.19(d,J=2.0Hz,1H),8.07(d,J=8.6Hz,1H),7.67(dd,J=2.0,8.6Hz,1H),7.54−7.39(m,5H),6.84(d,J=5.1Hz,1H),5.32(s,2H),4.53(s,2H)ppm。
【0296】
N−{[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
6−(アジドメチル)−4−(ベンジルオキシ)キノリン(8.0mg、28μmol)、トリフェニルホスフィン(11mg、42μmol)および水(28μL)のTHF(0.30mL)混合液を室温で24時間撹拌した。混合物にCHClを加えて希釈し、2NのHCl水溶液で抽出した。この酸性抽出物を2NのNaOH水溶液によりアルカリ性とし、CHClにより抽出した。抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒除去した。粗製の化合物、4−(アセチルオキシ)安息香酸(3.6mg、20μmol)およびHOBt・HO(3.0mg、20μmol)のDMF(0.50mL)混合液に、EDCI(3.8mg、20μmol)を加えて、混合物を室温で16時間撹拌した。この混合物に2NのNaOH(1mL)およびMeOH(1mL)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を2NのHCl水溶液で中性とした。AcOEtにより抽出し、抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗った。MgSOで乾燥し、溶媒除去した。表題化合物(1.6mg)を分取TLC(CHCl−MeOH 10:1)により、白色固体として得た。
【0297】
H−NMR(DMSO−d)δ:10.07(br,1H),8.97−9.90(m,1H),8.70(d,J=5.1Hz,1H),8.10−8.07(m,1H),7.92(d,J=8.8Hz,1H),7.80−7.68(m,3H),7.54−7.48(m,2H),7.43−7.33(m,3H),7.11(d,J=5.3Hz,1H),6.81(d,J=8.6Hz,2H),5.38(s,2H),4.62(d,J=5.9Hz,2H)ppm。
【0298】
(実施例13)
4−ヒドロキシ−N−{[2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド
A. 2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
3−クロロ−4−ニトロベンゾニトリル(620mg、2.4mmol、Chem.Pharm.Bull,(1992)2399-2404)、1,1−カルボニルジイミダゾール(778mg、4.8mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)混合物を、室温で一晩撹拌した。この混合物に水(30ml)を加え、全体を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、白色固体の表題化合物を得た(415mg、65%)。
【0299】
H−NMR(CDCl)δ:10.96(s,1H),7.17−7.30(m,2H),7.05(d,J=8.1Hz,1H),6.89(d,J=1.3Hz,1),4.07(t,J=7.0Hz),3.02(t,J=7.0Hz,2H)ppm。
【0300】
B. 6−(アミノメチル)−1−(2−フェニルエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン
この化合物は、2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(415mg、1.57mmol)から、実施例1−Dと類似の方法により、黄色固体として得た(442mg、99%)。
【0301】
H−NMR(CDCl)δ:7.15−7.28(m,5H),6.96−7.03(m,2H),6.72−6.80(m,1H),4.11(t,J=7.2Hz,2H),3.77−3.83(m,2H),3.05(t,J=7.2Hz,2H)ppm。
【0302】
C. 4−ヒドロキシ−N−{[2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、6−(アミノメチル)−1−(2−フェニルエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン(442mg、1.57mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(98mg、43%)。
【0303】
H−NMR(DMSO−d)δ:10.75(s,1H),9.96(s,1H),8.71(t,J=5.8Hz,1H),7.78(d,J=8.7Hz,2H),7.17−7.27(m,5H),7.06(s,1H),6.87−6.94(m,2H),6.80(d,J=8.8Hz,2H),4.44(d,J=5.8Hz,2H),3.96(t,J=7.1Hz,2H),2.91(t,J=7.1Hz,2H)ppm;
IR(KBr)Vmax:1546,1363,1172,1107,985cm−1
ES:388.23(M+1);
ES:386.21(M−1)。
【0304】
(実施例14)
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド
A. 4−フルオロ−3−(1−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)ベンゾニトリル
4−フルオロ−3−ホルミルベンゾニトリル(688mg、4.6mmol、Tetrahedron Lett., 1992,7499-7502) のテトラヒドロフラン(15ml)溶液に、臭化フェネチルマグネシウム(15ml、0.3Mテトラヒドロフラン溶液)を窒素雰囲気下−78℃で滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=8:1/4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色油状物質(463mg、39%)として得た。
【0305】
H−NMR(CDCl)δ:7.87(dd,J=2.2Hz,6.8Hz,1H),7.53−7.59(m,1H),7.08−7.32(m,6H),5.05(q,J=5.5Hz,1H),2.72−2.84(m,2H),2.02−2.12(m,2H)ppm。
【0306】
B. 4−フルオロ−3−(3−フェニルプロパノイル)ベンゾニトリル
4−フルオロ−3−(1−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)ベンゾニトリル(463mg、1.81mmol)、3−ピリジンスルホン酸(865mg,5.44mmol)およびトリエチルアミン(1.3ml、9mmol)のジメチルスルホキシド(18ml)混合物を、窒素雰囲気下室温にて2時間撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=10:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、白色固体の表題化合物を得た(388mg、85%)。
【0307】
H−NMR(CDCl)δ:8.17−8.20(m,1H),7.77−7.92(m,1H),7.21−7.32(m,6H),3.28−3.47(m,2H),3.06(t,J=7.6Hz,2H)ppm。
【0308】
C. 3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−カルボニトリル
4−フルオロ−3−(3−フェニルプロパノイル)ベンゾニトリル(388mg、1.53mmol)およびヒドラジン(0.2ml、6.12mmol)のジメチルスルホキシド(10ml)混合物を、80℃にて2時間撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、その混合液を酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=4:1/1:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色油状物質(327mg、86%)として得た。
【0309】
H−NMR(CDCl)δ:7.85(s,1H),7.47−7.56(m,2H),7.17−7.33(m,5H),3.32(t,J=7.0Hz,2H),3.13(t,J=7.0Hz,2H)ppm。
【0310】
D. {[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}アミン
この化合物は、3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−カルボニトリル(227mg、0.92mmol)から、実施例1−Dと類似の方法により、黄色油状物質として得た(220mg、95%)。
【0311】
E. 4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}アミン(220mg、0.87mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(85mg、26%)。
【0312】
H−NMR(DMSO−d)δ:12.60(s,1H),8.76(t,J=6.1Hz,1H),7.76(d,J=8.6Hz,2H),7.63(s,1H),7.14−7.42(m,7H),6.80(d,J=8.6Hz,2H),4.52(d,J=6.1Hz,2H),3.01−3.19(m,4H)ppm;
IR(KBr)Vmax:3280,1616,1575,1508,1271,1174,1107cm−1
ES:372.25(M+1);
ES:370.18(M−1)。
【0313】
(実施例15)
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド
A. 6−{[(3−フェニルプロパノイル)アミノ]メチル}ニコチン酸メチル
6−(アミノメチル)ニコチン酸メチル(261mg、1.57mmol、C. Ingrid Cら, J. Med. Chem.,
2002,45, 5005に従って製造)のピリジン(5ml)混合物に塩化3−フェニルプロパノイル(291mg、1.73mmol)を0℃で加え、0.5時間撹拌した。この反応混合物に、飽和NaHCO水溶液(15ml)を加え、ジクロロメタン(20ml×3回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/アセトン=4:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体(227mg、49%)として得た。
【0314】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.00−8.99(m,1H),8.55−8.53(m,1H),8.19−8.16(m,1H),7.32−7.15(m,6H),4.40(d,J=5.9Hz,2H),3.88(s3H),2.89−2.83(m,2H),2.54−2.51(m,2H)ppm。
MS(ESI):299.10(M+H)
【0315】
B. 3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸メチル
6−{[(3−フェニルプロパノイル)アミノ]メチル}ニコチン酸メチル(227mg、0.76mmol)の1,2−ジクロロエタン(30ml)溶液にオキシ塩化リン(0.35ml、3.81mmol)を加えて、1時間還流した。混合物を減圧濃縮し、合わせた混合物のpHを飽和NaHCO水溶液により8.0に調節した。混合物をジクロロメタン(20ml×3回)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=5:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を黄色油状物質(156mg、73%)として得た。
【0316】
H−NMR(CDCl)δ:8.33−8.32(m,1H),7.41−7.11(m,8H),3.91(s,3H),3.35−3.29(m,2H),3.25−3.19(m,2H)ppm。
【0317】
C. [3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メタノール
3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸メチル(156mg、0.56mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に、LiAlH(32mg、0.83mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。この混合物に、飽和NaSO水溶液(0.4ml)を加え、室温で5分間撹拌した。合わせた混合液をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ジクロロメタン/メタノール=20:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を黄色油状物質(105mg、75%)として得た。
【0318】
H−NMR(CDCl)δ:7.45−7.44(m,1H),7.35−7.12(m,7H),6.63−6.59(m,1H),4.54−4.53(m,2H),3.22−3.08(m,4H)ppm;
MS(ESI):253.15(M+H)
【0319】
E. 6−(アジドメチル)−3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン
[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メタノール(31mg、0.12mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1.5ml)に、1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(85μL、0.14mmol)を−78℃で加え、混合物を15分間撹拌した。この反応混合液にTHF(1.5ml)中の塩化メタンスルホニル(16mg、0.14mmol)を加え、混合液を0℃まで3時間かけてゆっくりと温めた。更に、この混合液に、1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(0.17ml、0.27mmol)および塩化メタンスルホニル(31mg、0.27mmol)を−78℃で加え、混合液を0℃まで2時間かけてゆっくりと温めた。この反応混合物に、飽和NaHCO水溶液(10ml)を加えた。混合物をジクロロメタン(15ml×3回)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、56mgの物質を得た。更に精製を行うことなく、DMF(3ml)中のこの粗製物にアジ化ナトリウム(16mg、0.25mmol)を加えて、70℃で1日間撹拌した。この反応混合物に、飽和NaHCO水溶液(5ml)を注ぎ、ジクロロメタン(15ml×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:2の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を黄色油状物質(8.5mg、25%)として得た。
【0320】
H−NMR(CDCl)δ:7.43−7.40(m,3H),7.31−7.18(m,5H),6.59−6.55(m,1H),4.19(s,2H),3.30−3.17(m,4H)ppm;
MS(ESI):278.19(M+H)
【0321】
F. {[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}アミン
6−(アジドメチル)−3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン(17mg、0.06mmol)および10%Pd/C(2.2mg)のメタノール(2ml)混合物を、水素雰囲気下で室温にて15時間撹拌した。反応混合液をセライト濾過し、濾液を溶媒除去して、表題化合物を黄色油状物質(13mg、85%)として得た。
【0322】
H−NMR(CDCl)δ:7.44−7.17(m,8H),6.60−6.57(m,1H),3.71(s,2H),3.30−3.15(m,4H)ppm。[NHの水素は観察できなかった。];
MS(ESI):252.14(M+H)
【0323】
G. 4−(メトキシメトキシ)−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド
{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}アミン(11mg、0.04mmol)、4−(メトキシメトキシ)安息香酸(8.2mg,0.05mmol)およびトリエチルアミン(8.3mg、0.08mmol)のDMF(2ml)混合液に、WSC(12mg、0.06mmol)およびHOBt(10mg、0.06mmol)を室温にて加え、混合液を1日撹拌した。この反応混合物に、飽和NaHCO水溶液(10ml)を注ぎ、ジクロロメタン(15ml×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ジクロロメタン/メタノール=20:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を無色油状物質(5.9mg、34%)として得た。
【0324】
H−NMR(CDCl)δ:7.76−7.73(m,2H),7.41−7.35(m,3H),7.25−7.07(m,7H),6.64−6.61(m,1H),6.25(brs,1H),5.22(s,2H),4.44(d,J=5.9Hz,2H),3.48(s,3H),3.27−3.14(m,4H)ppm;
MS(ESI):416.33(M+H)、414.29(M−H)
【0325】
H. 4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド
10%塩化水素メタノール溶液(1.5ml)に溶解した、4−(メトキシメトキシ)−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド(5.9mg、0.01mmol)を50℃で45分間撹拌した。反応混合液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン(10ml)に溶解し、混合物のpHを飽和NaHCO水溶液により8.0に調節した。混合物をジクロロメタン(15ml×3回)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ジクロロメタン/メタノール=20:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体(4.7mg、93%)として得た。
【0326】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.99(brs,1H),8.71(m,1H),8.04(s,1H),7.76(d,J=8.4Hz,2H),7.47(d,J=9.0Hz,1H),7.28−7.18(m,6H),6.80(d,J=8.6Hz,2H),6.72(d,J=9.9Hz,1H),4.38−4.36(m,2H),3.25−3.03(m,4H)ppm;
MS(ESI):372.26(M+H)、370.23(M−H)
【0327】
(実施例16)
N−{[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
B. 3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−カルボン酸メチル
3−ヒドロキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−カルボン酸メチル(342mg、1.77mmol、Chem. Ber. , 1967,954-960)、ベンジルアルコール(0.25ml,2.12mmol)、トリフェニルホスフィン(557mg、2.12mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(トルエン中に40%、1.15g,2.65mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(200ml)中、室温にて一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を黄色固体として得た(403mg,80%)。
【0328】
H−NMR(CDCl)δ:8.40(s,1H),8.24(dd,J=1.7Hz,8.9Hz,1H),7.41−7.55(m,6H),5.48(s,2H),3.93(s,3H)ppm。
【0329】
B. [3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メタノール
3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−カルボン酸メチル(100mg、0.35mmol)のテトラヒドロフラン(10ml)およびエタノール(10ml)の混合液に、水素化ホウ素ナトリウム(14.6mg、0.38mmol)を加えた。次に、この混合物に、LiCl(16.4mg、0.38mmol)を加えた。この混合物を室温で4日間撹拌した。この混合物に水(50ml)を加え、全体を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカ・ゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1:1の溶出液)によるカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た(20mg,22%)。
【0330】
H−NMR(CDCl)δ:7.64−7.65(m,1H),7.49−7.53(m,3H),7.38−7.45(m,4H),5.45(s,2H),4.76(s,2H)ppm。
【0331】
C. メタンスルホン酸[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル
この化合物は、[3−(2−ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メタノール(230mg、0.90mmol)から、実施例4−Cと類似の方法により、無色油状物質として得た(247mg、82%)。
【0332】
H−NMR(CDCl)δ:7.74(s,1H),7.41−7.62(m,7H),5.47(s,2H),5.32(s,2H),2.95(s,3H)ppm。
【0333】
D. 5−(アジドメチル)−3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール
この化合物は、メタンスルホン酸[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル(247mg、0.74mmol)から、実施例4−Dと類似の方法により、無色油状物質として得た(203mg、97%)。
【0334】
H−NMR(CDCl)δ:7.41−7.62(m,8H),5.47(s,2H),4.43(s,2H)ppm。
【0335】
E. {[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}アミン
この化合物は、5−(アジドメチル)−3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール(100mg、0.36mmol)から、実施例4−Eと類似の方法により、白色固体として得た(33mg、25%)。
【0336】
F. N−{[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
この化合物は、{[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}アミン(33mg、0.09mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(11mg、32%)。
【0337】
H−NMR(CDCl)δ:7.60−7.66(m,3H),7.47−7.53(m,3H),7.36−7.42(m,4H),6.82(d,J=8.7Hz,2H),6.48(s,1H),5.43(s,2H),4.69(d,J=5.9Hz,2H)ppm;
IR(KBr)Vmax:3265,1637,1541,1500,1272,1238cm−1
ES:375.14(M+1);
ES:373.04(M−1)。
【0338】
(実施例17)
N−{[2−(2−フルオロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド
この化合物は、実施例1に類似の方法により、白色固体として得た。
【0339】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.73(s,1H),7.74(d,J=8.5Hz,4H),7.27−7.38(m,4H),7.07−7.21(m,3H),6.70(s,2H),4.50(d,J=5.8Hz,2H),4.18(s,2H)ppm;
ES:376.14(M+1);
ES:374.12(M−1)。
【0340】
(実施例18)
N−[(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
A.(7−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン
ベンジル(2.92g、19.7mmol)のエーテル(20ml)溶液に臭素(1.0ml、19.7mmol)を滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌し、飽和Na水溶液(100ml)でクエンチングした。全体をエーテル(100ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をエタノール(50ml)に溶解し、2−アミノ−4−メチルピリジン(2.14g、19.6mmol)を加えた。得られた混合物を1時間還流温度で撹拌した。濃縮後、残渣をSiOによりヘキサン/酢酸エチル(1:1)の溶出液によって精製して、表題化合物を得た(0.91g,20%)。
【0341】
H−NMR(CDCl)δ:8.34−8.28(m,2H),8.15(s,1H),8.04(d,J=7.0Hz,1H),7.63−7.43(m,4H),6.72(dd,J=7.0Hz,1.7Hz,1H),2.42(s,3H)ppm。
【0342】
B. [3−クロロ−7−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン
(7−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)(フェニル)メタノン(0.79g、3.34mmol)、NCS(0.89g,6.69mmol)およびTFA(0.6ml)の酢酸エチル混合物(20ml)を一晩撹拌し、飽和NaHCO水溶液(30ml)によりクエンチングした。全体を酢酸エチル(30ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をSiOによりヘキサン/酢酸エチル(4:1)の溶出液によって精製して、表題化合物を得た(0.45g、44%)。
【0343】
H−NMR(CDCl)δ:8.34−8.26(m,2H),8.24−8.18(m,1H),7.70−7.43(m,5H),7.12−7.06(m,1H),4.65(s,2H)ppm。
【0344】
C. [7−(アジドメチル)−3−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン
[3−クロロ−7−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン(0.45g、1.47mmol)、アジ化ナトリウム(192mg,2.95mmol)および15−クラウン−5(324mg、1.47mmol)のTHF混合物(12ml)を一晩70℃にて撹拌し、水(20ml)を加えてクエンチングした。全体を酢酸エチル(20ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をSiOによりヘキサン/酢酸エチル(5:1)の溶出液によって精製して、表題化合物を得た(332mg、73%)。
【0345】
H−NMR(CDCl)δ:8.32−8.19(m,3H),7.67−7.48(m,4H),7.00(dd,J=1.7Hz,7.2Hz,1H),4.47(s,2H)ppm。
【0346】
D. N−[(2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
[7−(アジドメチル)−3−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル](フェニル)メタノン(150mg)および10%Pd/C(50mg)のメタノール(10ml)混合液を、水素雰囲気下(1.5kg/cm)で室温にて6時間撹拌した。セライト・パッドによる濾過後、濾液を減圧濃縮した。残渣をDMF(5ml)に溶解した。この混合物に4−メトキシメトキシ安息香酸(0.2g)、WSC(0.3g)およびHOBt(0.2g)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌し、水(15ml)を加えてクエンチングした。全体を酢酸エチル(20ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をSiOによりヘキサン/酢酸エチル(2:1)の溶出液によって精製して、N−[(2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミド(43mg)を得た。N−[(2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−(メトキシメトキシ)ベンズアミド(43mg)および10%HCl/MeOH(3ml)のメタノール(3ml)混合液を、50℃で2時間撹拌し、飽和NaHCO水溶液(10ml)を加えて、クエンチングした。全体を酢酸エチル(10ml×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を分取TLCで精製して、表題化合物を得た(5.2mg)。
【0347】
H−NMR(DMSO−d)δ:10.02(s,1H),8.90(t,J=5.9Hz,1H),8.62−8.53(m,2H),8.33−8.26(m,2H),7.85−7.46(m,6H),7.05−6.96(m,1H),6.83(d,J=8.6Hz,2H),4.50(d,J=5.9Hz,1H)ppm;
ES:372.11(M+1);
ES:370.08(M−1)。
【0348】
E. 4−ヒドロキシ−N−({2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}メチル)ベンズアミド
N−[(2−ベンゾイルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド(4.2mg、mmol)および10%Pd/C(5mg)のメタノール(3ml)混合液を、水素雰囲気下(4kg/cm)室温で6時間撹拌した。セライト・パッドによる濾過後、濾液を減圧濃縮した。残渣を分取TLCで精製して、表題化合物を得た(3.2mg)。
【0349】
H−NMR(DMSO)δ:9.87(s,1H),8.86−8.78(m,1H),8.41(d,J=7.0Hz,1H),7.79−7.67(m,3H),7.43−7.18(m,5H),6.83−6.75(m,3H),5.87−5.72(m,3H),4.43(d,J=5.3Hz,2H)ppm;
ES:374.10(M+1);
ES:372.07(M−1)。
【0350】
F. N−[(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド
4−ヒドロキシ−N−({2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}メチル)ベンズアミド(2.2mg、mmol)およびPd(OH)/C(5mg)のメタノール(3ml)混合液を、水素雰囲気下(4kg/cm)室温で6時間撹拌した。セライト・パッドによる濾過後、濾液を減圧濃縮した。残渣を分取TLCで精製して、表題化合物を得た(1.12mg)。
【0351】
H−NMR(DMSO)δ:9.96(bs,1H),8.36−8.29(m,1H),7.72(d,J=8.6Hz,2H),7.30−7.20(m,5H),6.79(d,J=8.6Hz,2H),6.62(s,1H),4.03−3.90(m,IH),3.80−3.68(m,3H),3.50−3.20(m,2H),2.83−2.73(m,1H),2.42−1.94(m,3H),1.64−1.50(m,1H)ppm;
ES:362.10(M+1);
ES:360.09(M−1)。
【0352】
(実施例19)
4−ヒドロキシ−N−{[2−メチル−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、実施例2に類似の方法により、白色固体として得た。
【0353】
H−NMR(DMSO−d)δ:9.98(s,1H),8.78(s,1H),8.00(s,1H),7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.47−7.57(m,2H),7.05−7.18(m,4H),6.80(d,J=8.8Hz,2H),4.56(d,J=6.0Hz,2H),4.45(t,J=6.7Hz,2H),3.13(t,J=6.7Hz,2H)ppm。
【0354】
(実施例20)
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミドナトリウム塩
この化合物は、実施例8に類似の方法により、アモルファスとして得た。
【0355】
H−NMR(DMSO−d)δ:10.09(br,1H),8.01(br,1H),7.32−7.16(m,11H),6.95(dd,J=8,2Hz,1H),6.10(br,2H),4.40(d,J=6Hz,2H)ppm。
【0356】
(実施例21)
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド
A. 3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル
この化合物は、5,6−ジアミノニコチノニトリル(750mg、5.59mmol、Ger. Offen. 1987,22)から、実施例2−Cと類似の方法により、白色アモルファスとして得た(174mg、21%)。
【0357】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.78(s,1H),8.70(s,1H),8.63(s,1H)ppm。
【0358】
B. 1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル
【0359】
この化合物は、3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル(442mg、1.57mmol)から、実施例5−Aと類似の方法により、白色固体として得た(53mg、18%)。
【0360】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.78(d,J=2.0Hz,1),8.62−8.64(m,2H),7.14−7.24(m,5H),4.59(t,J=7.1Hz,2H),3.14(t,J=7.1Hz,2H)ppm。
【0361】
C. {[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}アミン
この化合物は、1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル(53mg、0.21mmol)から、実施例1−Dと類似の方法により、白色固体として得た(53mg、99%)。
【0362】
H−NMR(CDCl)δ:8.48(d,J=1.8Hz,1H),7.83(s,1H),7.55(d,J=1.8Hz,1H),7.23−7.26(m,5H),6.97−7.01(m,1H),4.42(t,J=6.9Hz,2H),4.01(s,2H),3.13(t,J=6.9Hz,2H)ppm。
【0363】
D. 4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド
この化合物は、{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}アミン(53mg、0.21mmol)から、実施例1−Eと類似の方法により、白色固体として得た(19mg、24%)。
【0364】
H−NMR(DMSO−d)δ:8.82(t,J=5.9Hz,1H),8.38(d,J=1.8Hz,1H),8.25(s,1H),7.94(d,J=1.8Hz,1H),7.77(d,J=8.7Hz,2H),7.11−7.24(m,5H),6.81(d,J=8.7Hz,2H),4.57(d,J=5.6Hz,2H),4.50(t,J=7.2Hz,2H),3.10(t,J=7.2Hz,2H)ppm;
ES:373.13(M+1);
ES:371.13(M−1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容できるエステル、またはその薬学的に許容できる塩であって、
【化1】

式中、
およびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基を表し;
Xは、共有結合、1つから3つの炭素原子を有するアルキレン基、ヒドロキシ基またはオキソ基によって置換された1つから3つの炭素原子を有するアルキレン基、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、メチレンオキシメチレン基、オキシメチレン基、エチレンオキシ基、オキシ、イミノ、イミノメチレン、イミノエチレン、メチレンイミノまたはエチレンイミノを表し、該イミノ基は置換されていない、または1つから6つの炭素原子を有するアルキル基によって置換されたイミノ基であり;
Aは、8つから12の環員原子を有する、二環系、芳香族系、飽和または部分的に不飽和の、複素環系または炭素環系基を表し;該複素環基は、1つから4つの窒素原子か、あるいは、1つまたは2つの窒素原子および/または1つまたは2つの酸素または硫黄原子のどちらかを含み、かつ該複素環または炭素環基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;
Bは、フェニル基または5つから6つの環員原子を有するヘテロアリール基を表し;該フェニル基および5つから6つの環員原子を有する該ヘテロアリール基は、置換されていないか、あるいは、置換基αからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基によって置換されており;
該置換基αは、ハロゲン原子、1つから6つの炭素原子を有するアルキル基、1つから6つの炭素原子を有するアルコキシ基、シアノ基、1つから6つの炭素原子を有するアルカノイル基、1つから6つの炭素原子を有するハロアルキル基、オキソ基または1つから6つの炭素原子を有するハロアルコキシ基からなる群から選ばれる、化合物。
【請求項2】
およびRが独立して水素原子またはフッ素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、ヒドロキシ基またはオキソ基によって置換された1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、メチレンオキシ基、オキシメチレン基、イミノメチレン基あるいはメチレンイミノ基を表す化合物であり、該イミノ基は置換されていない、または1つから6つの炭素原子を有するアルキル基によって置換されたイミノ基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが1つから2つの炭素原子を有するアルキレン基、オキシメチレン基または、イミノメチレン基である、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Aが8つから10の環員原子を有する二環式ヘテロ環芳香族基であって、該複素環式基が1つから3つの窒素原子、もしくは、1つの窒素原子および/または1つの酸素原子を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Aがベンゾイミダゾール基、ベンゾイソオキサゾール基、インドール基、インダゾール基、キナゾリン基、オキソ−1H−ベンゾイミダゾール基、イミダゾピリジン基、テトラヒドロイミダゾピリジン基またはキノリン基を表す、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Bが置換されてもよいフェニル基である、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Bが置換されていないフェニル基またはフルオロフェニル基である、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
以下から選ばれる、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩:
N−[(2−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[4−(ベンジルアミノ)キナゾリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−メチル−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[4−(ベンジルオキシ)キノリン−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[2−オキソ−3−(2−フェニルエチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)−1H−インダゾール−5−イル]メチル}ベンズアミド;
4−ヒドロキシ−N−{[3−(2−フェニルエチル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド;
N−{[3−(ベンジルオキシ)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−{[2−(2−フルオロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−6−イル]メチル}−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)メチル]−4−ヒドロキシベンズアミド;
N−[(2−ベンジル−1H−インドール−5−イル)メチル]−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミド;および
4−ヒドロキシ−N−{[1−(2−フェニルエチル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル]メチル}ベンズアミド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、そのような化合物の薬学的に許容できるエステルまたはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる適切な担体とを含む医薬組成物。
【請求項11】
ほ乳類被験体において、NMDA/NR2B受容体の亢進が原因である疾患状態を治療するために用いる医薬組成物であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、そのような化合物の薬学的に許容できるエステルまたはその薬学的に許容できる塩の治療的有効量と、薬学的に許容できる適切な担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の医薬組成物であって、該疾患状態が脳卒中または脳損傷、慢性神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病あるいは筋萎縮性側索硬化症[ALS])、てんかん、痙攣性疾患、疼痛、不安症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連性ニューロン損傷、偏頭痛、うつ病、統合失調症、腫瘍、麻酔後認知低下(post−anesthesia cognitive decline[PACD])、緑内障、耳鳴り、遅発性ジスキネジア、アレルギー性脳脊髄炎、オピオイド耐性、薬物乱用、アルコール中毒および過敏性腸症候群(IBS)から選ばれる医薬組成物。
【請求項13】
ほ乳類被験体においてNMDA/NR2B受容体の亢進が原因である疾患状態を治療するための方法であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、そのような化合物の薬学的に許容できるエステルまたはその薬学的に許容できる塩の治療的有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、そのような化合物の薬学的に許容できるエステルまたはその薬学的に許容できる塩の医薬品としての使用。
【請求項15】
ほ乳類被験体においてNMDA/NR2B受容体の亢進が原因である疾患状態を治療するために用いる医薬品の製造における、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、そのような化合物の薬学的に許容できるエステルまたはその薬学的に許容できる塩の使用。

【公表番号】特表2006−522794(P2006−522794A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506485(P2006−506485)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001177
【国際公開番号】WO2004/089366
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000204343)ファイザー株式会社 (38)
【Fターム(参考)】