説明

アザデカリン糖質コルチコイド受容体モジュレーター

本発明は、アザデカリン化合物の新規クラス、及び糖質コルチコイド受容体のモジュレーターとしてのその化合物の使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年1月9日に出願された米国特許仮出願第60/535,460号の恩恵を請求するものであり、この出願はその全体が全ての目的のために本明細書に参照として組入れられている。
【0002】
発明の背景
ヒトを含むほとんどの種において、生理的糖質コルチコイドは、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)である。糖質コルチコイドは、ACTH(コルチコトロピン)に反応して分泌され、これは概日リズムの変動並びにストレス及び食物への反応の上昇の両方を示す。コルチゾールレベルは、外傷、手術、運動、不安及び抑鬱を含む、多くの生理的及び精神的ストレスに数分以内に反応する。コルチゾールは、ステロイドであり、細胞内糖質コルチコイド受容体(GR)への結合により作用する。ヒトにおいて、糖質コルチコイド受容体は、ふたつの型で存在する:777個のアミノ酸のリガンド-結合GR-α;及び、最後の15個のアミノ酸のみが異なるGR-βイソ型。これら2種のGRは、それらの特異的リガンドに高親和性を有し、同じ伝達経路を介して機能すると考えられる。
【0003】
高コルチゾール血症により引き起こされるものを含むコルチゾールの生物学的作用は、アゴニスト、部分アゴニスト及びアンタゴニストのような受容体モジュレーターを使用し、GRレベルで調節され得る。いくつかの異なるクラスの物質が、GR-アゴニスト結合の生理的作用をブロックすることができる。これらのアンタゴニストは、GRへ結合することにより、アゴニストのGRを効果的に結合及び/又は活性化する能力をブロックする組成物を含む。GRアンタゴニストとして公知のもののひとつであるミフェプリストンは、ヒト用の有効な抗-糖質コルチコイド剤であることがわかっている(Bertagna, J. Clin. Endocrinol. Metab., 59:25 (1984))。ミフェプリストンは、GRへ高親和性で結合し、解離定数(Kd)は10-9Mである(Cadepond, Annu. Rev. Med., 48:129 (1997))。
【0004】
精神医学疾患のいくつかの形を伴う患者は、上昇したレベルのコルチゾールを有することがわかっている(Krishnan, Prog. Neuro-Psychophannacol. & Biol. Psychiat., 16:913-920 (1992))。例えば一部の抑鬱された個人は、GRアンタゴニストの投与のような、コルチゾールの作用をブロックする治療に反応することができる(Van Look, Human Reproduction Update, 1:19-34 (1995))。ひとつの研究において、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)に随伴する鬱病の患者は、最高1400mg/日と高用量のGRアンタゴニストミフェプリストンに反応した(Nieman, J. Clin Endocrinol. Metab., 61:536 (1985))。クッシング症候群の治療のためにミフェプリストンを使用する別の研究は、精神的状態を含む患者の症状が改善されたことを認めた(Chrousos, pp273-284, Baulieu編集, 「The Antiprogestin Steroid RU 486 and Human Fertility Control」, Plenum Press, New York (1989);Sartor, Clin. Obstetrics and Gynecol., 39:506-510 (1996))。
【0005】
精神病も、クッシング症候群に関連している(Gerson, Can.J. Psychiatry, 30:223-224 (1985);Saad, Am. J. Med., 76:759-766 (1984))。ミフェプリストンは、クッシング症候群に随伴する急性精神障害を治療するために使用されている。ある研究は、比較的高用量のミフェプリストン(400〜800mg/日)が、副腎癌及び肺癌由来のACTH異所性分泌に起因した、重症のクッシング症候群患者の急性精神病の迅速な逆行に有用であることを示した(Van der Lely, Ann. Intern. Med., 114:143 (1991);Van der Lely, Pharmacy World & Science, 15:89-90 (1993);Sartor, (1996) 前掲)。
【0006】
精神病性主要鬱病などの精神病又は疾患の精神病性の要素の治療が、最近発見された(Schatzberg et al., 米国特許出願第6,150,349号)。この治療は、糖質コルチコイド受容体アンタゴニストの精神病の改善に有効な量の投与を含む。この精神病は、精神病性主要鬱病、分裂情動障害、アルツハイマー病及びコカイン中毒にも関連することがある。
【0007】
従って、精神病性主要鬱病を含む糖質コルチコイド受容体に関連した疾患及び症状のより有効かつ安全な治療の大きい必要性が存在する。本発明は、これら及び他の必要性を満たすものである。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
第一の局面において、本発明は、下記式の化合物を提供する。
【0009】
【化1】

【0010】
式(I)において、L2及びL4は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、及び置換又は未置換のヘテロアルキレンから独立して選択される。L3は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のヘテロアルキレン、-C(O)-、-C(O)NH-、及び-S(O)u-から選択される一員であり;記号uは、0、1、又は2を表す。点線a及びbは、場合により単結合である。
【0011】
R1は、存在しないか、もしくは水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。
【0012】
R2は、=O、=N-OR2A、=CR2BR2C、水素、-OR2D、-C(O)R2D、-C(O)NR2ER2F、-NR2ER2F、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R2A、R2B、R2C及びR2Dは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である。R2E及びR2Fは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、-S(O)mR2E1及び-S(O)mR2E2R2E3から独立して選択される。記号mは、0、1、又は2を表す。R2E及びR2Fは、一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成してもよい。R2E1、R2E2、及びR2E3は、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。一部の態様において、R2E2及びR2E3は一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成してもよい。一部の態様において、R2E2及びR2E3、並びにR2E及びR2Fにより形成された置換又は未置換の環は、窒素又は酸素などの、追加のヘテロ原子を含んでよい(以下の定義の項の「場合により一緒になって環を形成する」を参照)。加えて、R2及びR1は、場合により一緒になって、置換又は未置換の環を形成してもよい。
【0013】
R3は、置換又は未置換の高級アルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-OR3A、及び-NR3BR3Cから選択される。R3Aは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R3B及びR3Cは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R3B及びR3Cは、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成してもよい。しかしR3は、低級アルキルではない。
【0014】
R4は、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-S(O)tR4A、-S(O)tNR4BR4C、-C(O)R4A、-C(O)OR4A、-C(O)NR4BR4Cから選択される。記号tは、整数0、1又は2を表す。R4A、R4B、R4C、R4D、R4E、及びR4Fは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R4B及びR4Cは、一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成してもよい。
【0015】
別の局面において、本発明は、先に説明した技術を使用し、糖質コルチコイド受容体活性を調節する方法を提供する。例証的態様において、この方法は、GRを、式(I)の化合物のような本発明の化合物と接触すること、並びにGR活性の変化を検出することを含む。
別の局面において、本発明は、医薬として許容される賦形剤、及び先に記された式(I)の化合物のような、本発明の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
更に別の局面において、本発明は、糖質コルチコイド受容体の調節により、障害又は症状を治療する方法を提供する。この方法において、そのような治療を必要とする対象には、先に記された式のひとつを有する化合物の有効量が投与される。
【0016】
発明の詳細な説明
略号及び定義
本明細書において使用される略号は、化学及び生物学の技術分野において一般的な意味を有する。
置換基が、左から右へ記載された通常の化学式により特定される場合には、これらは、右から左への構造の記載から生じる化学的に同一の置換基を同等に包含し、例えば-CH2O-は、-OCH2-と同等である。
【0017】
用語「アルキル」はそれ自身又は他の置換基の一部として、別に言及しない限りは、直鎖(すなわち分枝していない)もしくは分枝鎖、もしくは環式の炭化水素ラジカル、又はそれらの組合せを意味し、これらは、完全に飽和、一不飽和又は多不飽和であり、並びに二価及び多価のラジカルを含み、示された数の炭素原子を有する(すなわち、C1-C10は、1〜10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、そのホモログ及び異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの基を含むが、これらに限定されるものではない。不飽和のアルキル基は、1個又は複数の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及び高級ホモログ及び異性体を含むが、これらに限定されるものではない。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称される。
【0018】
用語「アルキレン」はそれ自身又は他の置換基の一部として、アルカン由来の二価のラジカルを意味し、例として-CH2CH2CH2CH2-があるが、これに限定されるものではない。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、10個又はそれよりも少ない炭素原子を有するこれらの基が、本発明において好ましい。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、それらの一般的意味において使用され、かつ各々、酸素原子、アミノ基、又はイオウ原子を介して分子の残余に結合したこれらのアルキル基を意味する。
【0019】
用語「ヘテロアルキル」は、それ自身又は他の用語と組合せて、別に言及しない限りは、言及された数の炭素原子並びにO、N、P、Si及びSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分枝鎖の、もしくは環式の炭化水素ラジカル、又はそれらの組合せを意味し、ここで窒素及びイオウ原子は、場合により酸化され、及び窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数)O、N、P及びS及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、又はアルキル基がその分子の残余に結合されている位置に配置することができる。例は、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3、及び-CNを含むが、これらに限定されるものではない。最大2個のヘテロ原子は、例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3のように連続してもよい。同様に用語「ヘテロアルキレン」は、それ自身又は他の置換基の一部として、ヘテロアルキル由来の二価のラジカルを意味し、例として-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-があるが、これらに限定されるものではない。ヘテロアルキレン基に関して、ヘテロ原子は、鎖末端のいずれか又は両方も占拠し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。尚更にアルキレン及びヘテロアルキレン連結基に関して、連結基の方向は、連結基の式が記載された方向により暗示されない。例えば、式-C(O)2R'は、-C(O)2R'及び-R'C(O)2-の両方を意味する。先に説明されたように、本明細書において使用されるヘテロアルキル基は、ヘテロ原子を介して分子の残余に結合されたそのような基、例えば-C(O)R'、-C(O)NR'、-NR'R"、-OR'、-S R'及び/又は-SO2R'などを含む。「ヘテロアルキル」が列挙される場合、-NR'R”などの具体的ヘテロアルキル基の列挙に従い、用語ヘテロアルキル及び-NR'R"は、重複又は互いに排他的でないことは理解されるであろう。むしろこの具体的ヘテロアルキル基は、明確さを追加するために列挙される。従って用語「ヘテロアルキル」は、本明細書において、-NR'R”などの具体的ヘテロアルキル基を排除するものとして理解されるべきではない。
【0020】
用語「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」は、それら自身又は他の用語と組合せて、別に言及しない限りは、各々、「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環式型を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルに関して、ヘテロ原子は、ヘテロ環がその分子の残余に結合された位置を占拠することができる。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。ヘテロシクロアルキルの例は、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエニ-2-イル、テトラヒドロチエニ-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、それら自身又は他の置換基の一部として、別に言及しない限りは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。加えて「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば用語「ハロ(C1-C4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0022】
用語「アリール」は、"別に言及しない限りは、単独環又は互いに融合もしくは共有的に連結された複数環(好ましくは1〜3個の環)であることができる、多不飽和の、芳香族炭化水素置換基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、アリール基(又は環)を意味し、ここで窒素及びイオウ原子は場合により酸化され、並びに窒素原子(複数)は場合により四級化される。ヘテロアリール基は、その分子の残余に炭素又はヘテロ原子を介して結合することができる。アリール及びヘテロアリール基の非限定的例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルを含む。前記アリール及びヘテロアリール環システムの各々の置換基は、以下に説明した許容できる置換基からなる群より選択される。
【0023】
簡潔に述べると、用語「アリール」は、他の用語と組合せて使用される場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、先に定義されたアリール環及びヘテロアリール環の両方を含む。従って用語「アリールアルキル」は、アリール基が、炭素原子(例えばメチレン基)が、例えば酸素原子により置換されているようなアルキル基(例えばフェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むアルキル基に結合されている(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)それらのラジカルを含むことを意味する。
【0024】
本明細書において使用される用語「オキソ」は、炭素原子に二重結合された酸素を意味する。
前記用語の各々(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの置換及び未置換の両方の型を含むことを意味する。ラジカルの各型の好ましい置換基は、以下に提示される。
【0025】
アルキル及びヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと称されることが多いそれらの基を含む)のための置換基は、以下から選択される1種又は複数の様々な基であるが、これらに限定されるものではない:-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R"、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R"R"'、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-C(O)NR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR'-C(O)NR"R"'、-NR"C(O)OR'、-NR'-C(NR'R"R'")=NR"R"、-NR-C(NR'R")=NR'"、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R"、-NRS(O)2R'、-CN及び-NO2で、数が0〜(2m'+1)の範囲であり、ここでm'は、そのようなラジカル中の炭素原子の総数である。R'、R"、R"'及びR""は各々好ましくは独立して、水素、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のアリール、例えば1-3個のハロゲンで置換されたアリール、置換又は未置換のアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を意味する。本発明の化合物が1個よりも多いR基を含む場合、例えば各R基は、これらの基が1個よりも多く存在する場合に各々R'、R"、R"'及びR""基であるように独立して選択される。R'及びR"が同じ窒素原子に結合する場合、これらはその窒素原子と一緒に、4-、5-、6-又は7-員環を形成する。例えば-NR'R"は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味するが、これらに限定されるものではない。置換基の先の考察から、当業者は、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、-CF3及び-CH2CF3)並びにアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)のような、水素基以外の基へ結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解するであろう。
【0026】
アルキルラジカルについて説明された置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基に関する置換基は変動し、例えば以下から選択される:ハロゲン、-OR'、-NR'R"、-SR'、-ハロゲン、-SiRR"R"'、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R"、-OC(O)NR'R"、-NR"C(O)R'、-NR'-C(O)NR"R"'、- NR"-C(O)OR’、-NR-C(NR'R" R"')=NR""、-NR-C(NR'R")=NR"'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R"、-NRS(O)2R'、-CN及び-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、並びにフルオロ(C1-C4)アルキル、数はゼロから芳香族環システム上のオープン結合価(open valence)の総数まで変動し;並びに、ここでR'、R"、R'"及びR""は好ましくは独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が、1個よりも多いR基を含む場合、例えば各R基は、これらの基が1個よりも多く存在する場合に各R'、R"、R"'及びR""基として独立して選択される。
【0027】
アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、場合により式-T-C(O)-(CRR')q-U-の環を形成してもよい(式中、T及びUは独立して-NR-、-0-、-CRR'-又は単結合であり、及びqは0〜3の整数である。)。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、場合により式-A-(CH2)r-B-の置換基と交換されてもよい(式中、A及びBは独立して-CRR'-、-0-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-又は単結合であり、及びrは1〜4の整数である。)。そのように形成された新たな環の単結合のひとつは、場合により二重結合と交換される。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、場合により式-(CRR')s-X'-(C"R"')d-の置換基と交換される(式中、s及びdは独立して、0〜3の整数であり、及びX'は-0-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR'-である。)。置換基R、R'、R"及びR"'は好ましくは独立して、水素もしくは置換又は未置換の(C1-C6)アルキルから選択される。
本明細書において使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0028】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書に説明された化合物上に認められる具体的な置換基に応じて、比較的無毒の酸又は塩基により調製された、活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が、比較的酸性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性型を充分量の所望の塩基と、無希釈で又は適当な不活性溶媒中のいずれかで接触することにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬として許容される塩基付加塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウムの塩、又は同様の塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性型を充分量の所望の酸と、無希釈で又は適当な不活性溶媒中のいずれかで接触することにより、酸付加塩を得ることができる。医薬として許容される酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などに由来するものに加え、比較的無毒の有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルイルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などに由来するものを含む。同じくアミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩など、及び有機酸の塩、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸なども含む(例えば、Bergeらの「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19参照)。本発明のある具体的化合物は、化合物を塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに転換することができるような塩基性及び酸性の両官能基を含む。
【0029】
これらの化合物の中性型は好ましくは、塩を塩基又は酸と接触し、及び常法により親化合物を単離することにより作製される。化合物の親型は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理的特性において様々な塩型とは異なる。
本発明は、塩型に加えて、プロドラッグ型である化合物を提供する。本明細書において説明された化合物のプロドラッグは、生理的条件下で化学変化を容易にうけ、本発明の化合物を提供するようなそれらの化合物である。加えてプロドラッグは、ex vivo環境において化学的又は生化学的方法により、本発明の化合物へ転換することができる。例えばプロドラッグは、適当な酵素又は化学試薬と共に経皮的貼付剤貯蔵庫内に配置された場合、本発明の化合物へ緩徐に転換することができる。
【0030】
本発明のある化合物は、非溶媒和型に加え、水和型を含む、溶媒和型で存在することができる。一般に、溶媒和型は、非溶媒和型と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明のある化合物は、多晶質型又は非晶質型で存在してもよい。一般に全ての物理的型は、本発明により企図される用途に関して等価であり、及び本発明の範囲内であることが意図される。
本発明のある化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体及び個々の異性体は、本発明の範囲に包含される。
【0031】
本発明の化合物は、そのような化合物を構成している1種又は複数の原子で、天然に存在しない比率の同位体原子も含むことができる。例えば化合物は、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)のような放射性同位体により放射標識することができる。本発明の化合物の全ての同位体変動は、放射性であるかどうかに関わらず、本発明の範囲内に包含される。
【0032】
ふたつの置換基が「場合により一緒になって環を形成する」場合、これらふたつの置換基は、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、置換又は未置換のシクロアルキル、もしくは置換又は未置換のヘテロシクロアルキル環を形成するために、これらふたつの置換基が連結した1個又は複数の原子と共に、共有結合される。
【0033】
基が、R置換基のような置換基と置換されたとして説明される場合(「R-置換された」)、この基は、1個よりも多い置換基を含むことができ、ここで各置換基は場合により異なる。例えば(C1-C10)アルキルがR3D7-置換された場合、(C1-C10)アルキルは、1個又は複数のR3D7置換基により置換されてよく、ここで各R3D7置換基は場合により異なる。従って用語「ひとつの(a、an、又はa(n))」は、本明細書において置換基の基に関して使用される場合、1個又は複数を意味する。
【0034】
本発明の化合物の説明は、当業者に公知の化学結合の原則により制限される。従って基が、多くの置換基の1個又は複数により置換される場合、このような置換は、化学結合の原則に従い、かつ本来不安定でなく及び/又は水性の、中性で、生理的条件などの周囲条件下で恐らく不安定であるとして当業者に公知であるような化合物を生じるように選択される。
本発明のある化合物は、互変異性体型で存在することができ、このような化合物の互変異性体型は全て本発明の範囲内であることは、当業者に明らかであろう。
【0035】
用語「コルチゾール」は、ヒドロコルチゾンとも称される組成物のファミリー、及びそれらの合成又は天然のアナログを意味する。
用語「糖質コルチコイド受容体」(「GR」)は、コルチゾール受容体とも称される細胞内受容体ファミリーを意味し、これはコルチゾール及び/又はコルチゾールアナログ(例えば、デキサメタゾン)に特異的に結合する。この用語は、GRのイソ型、組換えGR及び変異されたGRを含む。
【0036】
用語「糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」は、GRに対する合成もしくは天然の、コルチゾール、又はコルチゾールアナログなどの糖質コルチコイド受容体(GR)アゴニストの結合を部分的に又は完全に阻害する(拮抗する)任意の組成物又は化合物を意味する。「特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」は、GRのアゴニストに対する結合に関連した任意の生物学的反応を阻害する任意の組成物又は化合物を意味する。本発明者らは、「特異的」は、鉱質コルチコイド受容体(MR)よりもむしろGRに優先的に結合する薬物を意図する。
【0037】
「特に糖質コルチコイド受容体モジュレーターによる治療を必要としない」患者は、糖質コルチコイド受容体モジュレーターにより効果的に治療可能であることが当該技術分野において公知である症状に罹患していない患者である。糖質コルチコイド受容体モジュレーターにより効果的に治療可能であることが当該技術分野において公知である症状は、糖尿病、クッシング病、薬物禁断症状、精神病、痴呆、ストレス障害、精神病性主要鬱病、更には以下に詳細に説明されるものを含む。
本明細書において使用される「アザデカリン」は、以下に説明した式(I)の一般構造を有する化合物を意味する。
【0038】
用語「治療する」は、軽減などの客観的又は主観的パラメータを含む、損傷、病理又は症状の治療又は改善;寛解;症状の消失、又は患者にとってより忍容性のある損傷、病理もしくは症状の形成;変性又は衰弱の速度の遅延;消耗の少ない変性の最終点の形成;患者の精神的もしくは心情的健康の改善の指標(indicia)を意味する。症状の治療又は改善は、以下の客観的又は主観的パラメータを基にすることができ:精神的試験、神経精神病的試験、及び/又は精神病評価の結果を含む。例えば、本発明の方法は、意識又は認知の混乱の発生を減少することにより、患者の幻覚症状をうまく治療する。
【0039】
「追加の環ヘテロ原子」は、アザデカリン中心に対する環の結合点ではない置換又は未置換の環(例えば、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール)の一部を形成するヘテロ原子を意味する。アザデカリン中心は、式(I)の化合物の融合環の一部である。
用語「高級アルキル」は、少なくとも6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。用語「低級アルキル」は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0040】
態様の説明
I. 糖質コルチコイド受容体モジュレーター
現在、アザデカリン化合物は、糖質コルチコイド受容体("GR")の強力なモジュレーターであることが発見されている。GRモジュレーターは典型的には、GRのアゴニスト、部分的アゴニスト又はアンタゴニストとして作用し、これにより、細胞機能、生理的機能及び病態の広範なアレイに作用する。
コルチゾールは、細胞内糖質コルチコイド受容体への結合により作用する。ヒトにおいて、糖質コルチコイド受容体は、ふたつの型で存在する:777個のアミノ酸のリガンド-結合GR-α;及び、最後の15個のアミノ酸のみが異なるGR-βイソ型。これらふたつの型のGRは、それらの特異的リガンドに対し高親和性を有し、かつ同じ伝達経路を介して機能すると考えられる。
【0041】
GRモジュレーターは典型的には、炭水化物、タンパク質及び脂質代謝;電界質及び水の平衡;並びに、心臓血管系、腎臓、中枢神経系、免疫系、骨格筋システム並びに他の臓器及び組織システムの機能のような、重要な細胞機能及び生理的機能に影響を及ぼすのに有効な物質である。GRモジュレーターは、肥満、糖尿病、心臓血管系疾患、高血圧、X症候群、鬱病、不安、緑内障、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)又は後天性免疫不全症(AIDS)、神経変性(例えば、アルツハイマー病及びパーキンソン病)、認知増強、クッシング病、アジソン病、骨粗鬆症、虚弱、炎症疾患(例えば、骨関節炎、関節リウマチ、喘息及び鼻炎)、副腎機能に関連した病気、ウイルス感染症、免疫不全症、免疫調節症、自己免疫疾患、アレルギー、創傷治癒、強迫行動、多剤耐性、耽溺、精神病、食欲不振、カテクシス、外傷後ストレス症候群、術後骨折、医薬異化作用、及び筋虚弱などの、多種多様な病態に影響することもできる。
【0042】
第一の局面において、本発明は、下記式を有するアザデカリンGRモジュレーターを提供する。
【0043】
【化2】

【0044】
式(I)において、L2及びL4は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、及び置換又は未置換のヘテロアルキレンから独立して選択される。L3は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のヘテロアルキレン、-C(O)-、-C(O)NH-、及び-S(O)u-から選択される一員である。記号uは、0、1、又は2を表す。
【0045】
点線a及びbは、場合により単結合である。当業者は、通常の原子価則を、式(I)の原子に適用することを直ぐに認めるであろう。従ってaが単結合である場合、R1は、存在せず、かつL2が単結合である場合、R2はアザデカリン中心へ直接結合される。例えばL2が単結合であり及びR2が=Oである場合、R1は存在せず、及び点線aは、下記式に示されたように、R2をアザデカリン中心へ連結する単結合であることが理解される。
【0046】
【化3】

【0047】
式(I)において、R1は存在しないか、もしくは水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。
【0048】
R2は、=O、=N-OR2A、=CR2BR2C、水素、-OR2D、-C(O)2D、-C(O)NR2ER2F、-NR2ER2F、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員である。R2A、R2B、R2C及びR2Dは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である。R2E及びR2Fは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、-S(O)mR2E1及び-S(O)mR2E2R2E3から独立して選択される。記号mは、整数0、1、又は2を表す。R2E及びR2Fは、一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成してもよい。R2E1、R2E2、及びR2E3は、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。一部の態様において、R2E2及びR2E3は一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成することができる。一部の態様において、R2E2及びR2E3、並びにR2E及びR2Fにより形成された置換又は未置換の環は、窒素又は酸素などの、追加のヘテロ原子を含んでもよい(先の項の定義の「場合により一緒になって環を形成する」を参照)。加えて、R2及びR1は、場合により一緒になって、置換又は未置換の環を形成してもよい。
【0049】
R3は、置換又は未置換の高級アルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-OR3A、及び-NR3BR3Cから選択される。R3Aは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R3B及びR3Cは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R3B及びR3Cは、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成してもよい。しかしR3は、低級アルキルではない。
【0050】
R4は、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-S(O)tR4A、-S(O)tNR4BR4C、-C(O)R4A、-C(O)OR4A、-C(O)NR4BR4Cから選択される。記号tは、整数0、1又は2を表す。R4A、R4B、R4C、R4D、R4E、及びR4Fは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R4B及びR4Cは、一緒に、それらが結合する窒素と共に置換又は未置換の環を形成してもよい。
【0051】
一部の態様において、R4A、R4B、R4C、R4D、R4E、及びR4Fは、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。
【0052】
別の態様において、L2、L3及びL4は、単結合、置換又は未置換の(C1-C5)アルキレン、及び置換又は未置換の2-5員のヘテロアルキレンから独立して選択される一員である。関連した態様において、L2、L3及びL4は、単結合及び-C(O)-から独立して選択される一員である。別の関連した態様において、L2、L3及びL4は、単結合及び未置換の(C1-C5)アルキレンから独立して選択される一員である。
【0053】
R1は、存在しないか、又は水素及び置換又は未置換のアルキルから選択される。別の例証的態様において、R1は、存在しないか、又は水素、メチル、及び-C≡C-CH3から選択される一員である。関連のある態様において、R1は存在しない。
態様の代わりの群において、R2は、=O、=N-OR2A、-OR2D、-NR2ER2F、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R2A及びR2Dは、水素及び置換又は未置換の(C1-C10)アルキルから独立して選択される。R2E及びR2Fは、水素及び置換又は未置換の(C1-C10)アルキルから独立して選択される一員である。
【0054】
R2は、=O、=N-OR2Aから選択される一員であってもよい。R2A及びR2Dは、水素及び未置換の(C1-C5)アルキルから選択される一員である。別の関連した態様において、R2は=Oであり、及び点線bが単結合である。
【0055】
例証的態様において、R3は、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。関連した態様において、R3は、置換又は未置換のベンジルである。
【0056】
別の態様の群において、R3は、下記式であることができる。
【0057】
【化4】

【0058】
式(III)において、qは、1〜5から選択される整数である。R3Dは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から独立して選択される。
【0059】
R3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、及びR3D6は、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である。R3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成する。R3D4及びR3D5も、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成してもよい。
【0060】
関連した態様において、qは、1〜3から選択される整数であり、及び、R3Dは、水素、置換されたアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換されたシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換されたアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。
【0061】
ある態様において、R3Dは、水素、R3D7-置換された(C1-C10)アルキル、R3D7-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D7-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換又は未置換のアリール、R3D8-置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から独立して選択される。
【0062】
R3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、及びR3D6は、水素、R3D7-置換又は未置換のアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換のシクロアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換又は未置換のアリール、及びR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、又はR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成する。R3D4及びR3D5は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、又はR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成する。
【0063】
R3D7は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R3D9-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R3D9-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D9-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D9-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D10-置換又は未置換のアリール、及びR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R3D8は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R3D9-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R3D9-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D9-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D9-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D10-置換又は未置換のアリール、及びR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。
【0064】
R3D9は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される。R3D10は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される。
【0065】
一部の態様において、R3Dは、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び環窒素を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R3D1及びR3D2は、水素、R3D7-置換されたアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、及びR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であってよい。R3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒に、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成してよい。一部の態様において、この環は場合により、追加の環ヘテロ原子を含む。
【0066】
ある態様において、R3D3、R3D4及びR3D5は、水素;窒素ヘテロ原子を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル;環窒素を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル;環窒素を含むR3D8-置換又は未置換のヘテロアリール;及び、窒素ヘテロ原子を含むR3D9-置換又は未置換のヘテロアルキル、環窒素を含むR3D9-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくは環窒素を含むR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールで弛緩されたアルキルから独立して選択される。R3D4及びR3D5は場合によりそれらが結合する窒素と一緒に、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成してもよい。一部の態様において、この環は場合によりヘテロ原子を含む。
【0067】
別の態様において、R3D1及びR3D2、並びにR3D4及びR3D5は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒に、追加のヘテロ原子を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくは追加のヘテロ原子を含むR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成する。R3D1及びR3D2、並びにR3D4及びR3D5も、場合によりそれらが結合する窒素と一緒に、R3D8-置換又は未置換のオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、プリニル、ピラジジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はキノキサリニルを形成してもよい。
【0068】
R3は、下記式を有してもよい。
【0069】
【化5】

【0070】
式(IV)において、R3Dは、水素、R3D7-置換された(C1-C5)アルキル、R3D7-置換又は未置換の2-5員のヘテロアルキル、R3D7-置換された(C5-C7)シクロアルキル、R3D7-置換又は未置換の5-7員のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換されたアリール、R3D8-置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から選択される。R3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、及びR3D6は、先に式(III)に定義されている。関連のある態様において、R3Dは、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び環窒素を含む置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。別の関連のある態様において、R3D1及びR3D2は、水素、置換されたアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。
【0071】
ひとつの態様の群において、R4は、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員である。
【0072】
R4は、下記式を有することができる。
【0073】
【化6】

【0074】
式(V)において、R4Gは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である。Aは、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される、置換又は未置換の環である。Xは、結合、-S(O)V、及び-S(O)VNR4I-から選択される。R4Iは、水素、置換又は未置換のアルキル、及び置換又は未置換のヘテロアルキルから選択される。記号vは、整数0、1、又は2である。記号wは、1〜5の整数である。ひとつの態様において、Xは-SO2-である。
【0075】
関連した態様の群において、R4Gは、水素、置換された(C1-C5)アルキル、置換又は未置換の2-5員のヘテロアルキル、置換された(C5-C7)シクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換されたアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。Aは、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される置換又は未置換の環である。R4Iは水素である。あるいは、関連した態様において、R4Gは、分枝した又は分枝していない(C1-C10)アルキルであってもよい。
【0076】
一部の態様において、R4Gは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4GI-置換又は未置換のアルキル、R4GI-置換又は未置換のヘテロアルキル、R4GI-置換又は未置換のシクロアルキル、R4GI-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、R4G2-置換又は未置換のアリール、及びR4G2-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R4GIは、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4G3-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R4G3-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R4G3-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R4G3-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R4G4-置換又は未置換のアリール、及びR4G4-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。R4G2は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4G3-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R4G3-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R4G3-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R4G3-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R4G4-置換又は未置換のアリール、及びR4G4-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。
【0077】
R4G3は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される。R4G4は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される。
【0078】
ある態様において、Aは、フェニル、ピラゾリル、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、ピリダジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チエニル、トリアジニル、チアジアゾリル、ジオキソラニル、ジオキサニル、トリオキサニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、モルホリノ、ピペリジニル、及びピペラジニルから選択される。
【0079】
先に説明した態様の任意かの組合せも、本発明の範囲内である。例えば一部の態様において、点線bは単結合であり、R2は=Oであり、R3は置換又は未置換のベンジルであり、及びR4は下記式を有する。
【0080】
【化7】

【0081】
式(VI)において、R4G、A及びXは、式(V)について先に説明したものである。関連した態様において、Xは-SO2-であり、L3は単結合であり、及びL4は単結合である。
【0082】
別の例において、化合物は下記式を有する:
【0083】
【化8】

【0084】
式(VII)において、点線b、L3、R3、L4、及びR4は、式(I)の様々な態様の説明において先に説明したものである。
先に説明された態様の具体的組合せの更なる例は、以下を含む。
【0085】
【化9】

【0086】
式(VIII)において、L3、R3、L4、及びR4は、式(I)の様々な態様の説明として先に説明されたものである。式(IX)において、L4及びR4は、式(I)の様々な態様の説明として先に説明されたものである。式(X)において、X、A、及びR4Gは、式(V)の様々な態様の説明として先に説明されたものである。
【0087】
当業者は、本発明の化合物は、いずれか適当な立体化学配置であることを直ぐに理解するであろう。例証的態様において、式(I)の化合物は、以下に示す立体化学配置を有する:
【0088】
【化10】

【0089】
代わりの態様において、式(I)の化合物は、以下に示した立体化学配置を有する:
【0090】
【化11】

【0091】
式(XI)及び(XII)のR1、R2、R3、R4、L2、L3、L4、a及びbは、式(I)の様々な態様の考察において先に定義されたものである。加えて式(VII)、(VIII)、(IX)、及び(X)の化合物は、式(XI)及び(XII)により例示された立体化学配置を有してもよい。
【0092】
II. 合成例
本発明の化合物は、一般に周知の合成法の適当な組合せにより合成される。本発明の化合物の合成において有用な技術は、関連技術分野の業者には、容易に明らかでありかつ利用可能であろう。以下の考察は、本発明の化合物の集成において使用するために利用可能なある多様な方法を例証するために提示されている。しかしこの考察は、本発明の化合物の調製において有用である反応の範囲又は反応の順番を規定することを意図するものではない。スキームI-XIIIの一部の化合物は、相対的立体化学を示しているが、これらの化合物は、ラセミ混合物又はいずれかのエナンチオマーとして存在してもよい。アザデカリン中心内に二重結合を含む化合物は、シリーズAと称される。環-飽和化合物は、シリーズBと称される。
【0093】
【化12】

【0094】
スキームIにおいて、R4、R4A、R4B及びR4Cは、式(I)の考察において先に定義されている。Yは、先に定義されたようなR3Dである。R4M、R4J、及びR4Kは、先の定義のように、各々R4A、R4C、及びR4Bである。
【0095】
化合物IA-(1-6)は、スキームIに例示されたように調製される。適宜N-保護したピペリドン-2-カルボン酸エステル1を、極性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、エタノール、tert-ブタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドンなど)中の水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド又はカリウムtert-ブトキシドなどの塩基により、引き続きアルキル化剤により処理し、アルキル化されたケトエステル2を生じる。適当なN-保護基(Z)は、ベンジル及びカルバメート基、例えばtert-ブトキシカルボニル(Boc)などを含む。典型的アルキル化剤は、第一級、第二級又はアリールハロゲン化アルキルであり、及び好ましくは芳香族環がY基(先に定義されたように本明細書においてR3Dとも称される)で置換されたハロゲン化ベンジルである。
【0096】
ケトエステル2は、水性メタノール又はエタノールなどの適当な溶媒中で、強酸(例えば塩酸又は硫酸)の存在下で加熱することにより、加水分解及び脱炭酸され、ケトン3を生じる。この反応は典型的には、溶媒混合物の還流温度で実行される。
【0097】
ケトン3は、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、又はtert-ブタノール)中の3の塩基(例えば例えば、カリウムもしくはナトリウムアルコキシド)による処理、それに続くメチルビニルケトン(MVK)の添加が関連している、ロビンソン環形成反応により、エノン4へ転換される。この反応は典型的には、0〜25℃で実行される。この反応は、還流温度で、非プロトン性溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン又はジオキサン)中のピロリジン、ピペリジン又はモルホリンなどの窒素-含有塩基によっても実行することができ、それに冷却、MVKの添加が続く。
【0098】
窒素-含有塩基が論文(J. Med. Chem., 39:2302 (1996))に説明されたようなα-メチルベンジルアミンの光学異性体である場合、エノン4は、光学活性型で調製される。あるいはロビンソン環形成は、l-プロリンのようなアミノ酸により触媒を伴う不斉様式で実行することができる。
【0099】
化合物4からのN-保護基Zの除去は、Zがベンジルである場合、クロロギ酸による処理、それに続く加水分解などの、標準条件下で実現される。適当なクロロギ酸は、メチルクロロギ酸、エチルクロロギ酸及びα-クロロエチルクロロギ酸を含む。ZがBocなどの基である場合、脱保護は、プロトン性溶媒(例えば、エタノール)中のHCl、トリフルオロ酢酸などの強酸による処理により実現される。
【0100】
化合物IA-1は、5の第一級又は第二級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルのハロゲン化物によるアルキル化により調製される。あるいは、IA-1は、不活性溶媒(例えば1,2-ジクロロエタン)中での水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、必要なアルデヒドによる5の還元的アルキル化により調製することができる。
【0101】
化合物IA-2(式中、R4はアリール又はヘテロアリールである)は、銅又はパラジウム触媒(例えば、酢酸銅(II)、塩化パラジウム(II))及びトリエチルアミンなどの塩基の存在下で、5のアリール、ヘテロアリールのハロゲン化物、又はボロン酸による処理により調製することができる。
化合物IA-3は、適当なプロトン性又は非プロトン性溶媒中、水酸化ナトリウム、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、5の、第一級、第二級又は第三級のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化カルボニルによるアシル化により調製することができる。あるいは、IA-3は、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドのような適当なカップリング剤の存在下での、アミン5の必要なカルボン酸とのカップリングにより調製することができる。
【0102】
化合物IA-4(式中、R4Kは水素である)は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中での、5の第一級、第二級又は第三級のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルイソシアネートによる処理により調製することができる。R4Kが水素以外の基である場合、化合物IA-4は、トリエチルアミンのような塩基の存在下、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中での、5のハロゲン化カルバモイルR4JR4KNC(O)X(式中Xは、Cl、Br、Fである)による処理により調製することができる。
【0103】
化合物IA-5は、トリエチルアミンのような塩基の存在下、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中での、5の第一級、第二級又は第三級のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化スルホニルによる処理により調製される。
化合物IA-6は、トリエチルアミンのような塩基の存在下、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中での、5のハロゲン化スルファモイルR4BR4CNSO2X(式中Xは、Cl、Br、Fである)による処理により調製される。
【0104】
【化13】

【0105】
スキームIIにおいて、R4、R4A、R4B、R4C、Y、R4M、R4J、及びR4Kは、スキームIにおいて先に定義されたものである。
化合物IB-(1-6)は、スキームIにおいて先に説明された反応に従い、飽和ケトン6(スキームII)から同様に調製される。当業者は、化合物6はcis又はtrans異性体として存在することができることを直ぐに認めるであろう。スキームIIは、化合物IBのtrans異性体の調製を例示している。しかしこの反応スキームは、対応するcis異性体の調製に同等に適用可能である。
【0106】
化合物IA-7,8は、アルコール溶媒(例えば、エタノール)中でのIAの還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム)による;又は、不活性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はトルエン)中での水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどによる、処理により調製される。具体的還元剤に応じて、ジアステレオマーアルコールIA-7及びIA-8の様々な比が得られる(スキームIII)。
【0107】
【化14】

【0108】
スキームIIIにおいて、L4、R4、及びR2は、先に式(I)の考察において定義されている。Yは、スキームIにおいて定義されている。
同じ様式を進行し、アルコールIB-7及びIB-8も、IBから得ることができる(スキームIV)。
【0109】
【化15】

【0110】
スキームIVにおいて、L4、R4、及びR2は、先に式(I)の考察において定義されている。Yは、スキームIにおいて定義されている。
IA又はIBのグリニャール試薬又は有機リチウムなどの有機金属試薬による処理は、第四級アルコールIA-9及びIA-10 (スキームIII)又はアルコールIB-9及びIB-10(スキームIV)を生じる。この反応は、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどの不活性溶媒中で実行される。
混合物として生成される場合、異性体IA-7、8及びIA-9、10(スキームIII)並びにIB-7、8及びIB-9、10(スキームIV)は、クロマトグラフィー又は結晶化のような当該技術分野において周知の手段により分離することができる。
【0111】
【化16】

【0112】
スキームVにおいて、L4及びR4は、先に式(I)の考察において定義されている。Yは、スキームIにおいて定義されている。R1G及びR1Jは、先に定義されたようにR2Dと同等である。
アルコールIA-7、8は、スキームVのIA-7からのIA-11の形成により例示されたように、非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えば、水素化ナトリウム)による処理、それに続く、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のアリール、もしくは置換又は未置換のヘテロシクロアルキルハロゲン化物の添加により、置換された誘導体へ転換される。同様に、IA-12のようなアシル誘導体は、1A-7の、塩基(例えばトリエチルアミンなど)の存在下、非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなど)中での、必要なアシルハロゲン化物、無水物、クロロギ酸、イソシアネート又はハロゲン化カルバモイルによる処理により形成することができる。IB-13、14のような環飽和した誘導体は、IB-7から同様に調製される(スキームVI)。
【0113】
【化17】

【0114】
スキームVIにおいて、L4、R4、Y、R1G及びR1Jは、先のスキームVにおいて定義されている。
化合物IB-13、14及びIB-15、16(スキームVII)(ここで、R1G及びR1Jは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリールアルキル、もしくは置換又は未置換のヘテロアリールアルキルである)は、ケトンIBの、アンモニア、第二級アミン、又は第三級アミンによる還元的アミノ化により調製される。この反応は、テトラヒドロフラン、エタノール、1,2-ジクロロエタンなどの溶媒中での、IBの、アミノ成分及び還元剤(例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム)による処理により実行される。具体的な還元剤及び反応条件に応じて、様々な比のジアステレオマーアミンIB-13、14及びIA-15、16が得られる(スキームVII)。混合物として生成される場合、異性体IB-13、14及びIB-15、16は、当該技術分野において周知の手段により分離することができる(例えば、クロマトグラフィー、結晶化、又は酸-塩の形成それに続く選択的結晶化)。
【0115】
【化18】

【0116】
スキームVIIにおいて、R2E及びR2Fは、先に式(I)の考察において定義されている。Yは、先のスキームIにおいて定義されている。
化合物IB-13、14(ここでR2Eは、-C(O)R2Kである)は、IBの、先に説明されたようなアンモニアによるアミノ化、それに続く塩基(例えば水酸化ナトリウム、トリエチルアミンなど)の存在下、適当なプロトン性又は非プロトン性溶媒中での、第一級、第二級もしくは第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化カルボニルによるアシル化により調製される。スキームVIIにおいて、R2Kは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される。
【0117】
あるいは、IB-13、14は、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの適当なカップリング剤の存在下、アミン5の、必要なカルボン酸によるカップリングにより調製することができる。化合物IB-15、16(式中、R2Eは、-C(O)R2Kである)は、IB-13、14のアシル化と同様に調製される。
化合物IB-13、14(式中、R2Eは、-C(O)NR2MR2Nである)は、先に説明されたようなアンモニアによるIBのアミノ化、それに続くトルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサンなどの不活性溶媒中の、第一級、第二級又は第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルイソシアネートによる処理により調製される。R2M及びR2Nは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される。R2M及びR2Nは、それらが結合する窒素と一緒に、置換又は未置換の環を形成することができる。
【0118】
R2Mが、水素以外の基である場合、化合物IB-13、14は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中、トリエチルアミンのような塩基の存在下での、IB-13、14(ここでR2Mは水素である)の、ハロゲン化カルバモイルR2MR2NNCOX(X=Cl、Br、F)による処理により調製される。化合物IB-15、16(ここでR2Fは-C(O)NR1AR1Eである)は、IB-13、14から同様に調製される。
【0119】
化合物IB-13、14(ここでR2Eは-SO2R2E1である)は、先に説明されたようなIBのアンモニアによるアミノ化、それに続くトルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサンなどの不活性溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下での、第一級、第二級又は第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化スルホニルによる処理により調製される。化合物IB-15、16(ここでR2Fは、-SO2R2E1である)は、IB-13、14から同様に調製される。R2E1は、先に式(I)において定義されている。
【0120】
化合物IB-13、14(ここでR2Eは、-SO2R2E2R2E3である)は、先に説明されたようなIBのアンモニアによるアミノ化、それに続く不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)の中、トリエチルアミンのような塩基の存在下での、ハロゲン化スルファモイルR4R7ANSO2X(ここでXは、Cl、Br、Fである)による処理により調製される。R2E2及びR2E3は、先の式(I)で定義されたものである。
【0121】
オキシイミノ化合物IA-17及びIB-17(スキームVIII)は、各々、IA及びIBの、各々、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミドなどのプロトン性又は非プロトン性溶媒中のヒドロキシルアミンR2AONH2による処置により調製される。オキシイミノ化合物IA-17及びIB-17は、クロマトグラフィー又は結晶化のような通常の手段により分離される、E及びZ異性体の混合物として形成することができる。
【0122】
【化19】

【0123】
スキームVIIIにおいて、L4、R4及びR2Aは、先の式(I)の考察において定義されたものである。Yは、先のスキーム1において定義されている。
化合物IB-18は、スキームIXに示されたように調製される。ケトンIBは、当該技術分野において周知の様々な手段により、エステル8及び酸9にホモログ化することができる。例えば、n-ブチルリチウムなどのような強塩基の存在下、テトラヒドロフランのような非プロトン性溶媒中での、IBのトリメチルシリルジチアンによる処理は、中間体7を生じる。7のエステル8への加水分解は、メタノールのようなプロトン性溶媒中での、塩化水銀(II)及び過塩素酸などの強酸による処理により実行される。化合物IB-18(ここでR2D1は、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、もしくは置換又は未置換のヘテロアリールである)は、8のグリニャール試薬もしくは有機リチウム試薬のような対応する有機金属試薬による処理により調製される。化合物IB-18(ここでR2D1は、置換又は未置換のアルキルアミノ、置換又は未置換のヘテロシクロアルキルアミノ、置換又は未置換のアリールアミノもしくは置換又は未置換のヘテロアリールアミノである)は、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適当な極性溶媒の存在又は非存在下、8の対応する第一級、第二級又は第三級アミンによる処理により調製される。あるいはこのアミンは、エステル8との反応前の、トリメチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム試薬との反応により活性化される。エステル8は、同じく常法(例えば水性溶媒混合物中の水酸化ナトリウムによる処理)により、酸9へ加水分解され、その後必要なアミンと当該技術分野において周知の手段によりカップリングすることもできる(例えば酸クロリドへの転換、それに続くアミンによる処理、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング剤の使用など)。
【0124】
【化20】

【0125】
スキームIXにおいて、Yは、スキームIにおいて定義されたものである。R2、R2A、R2D、L4及びL5は、先の式(I)の考察において定義されている。
化合物IB-19及びIB-20は、アルコール溶媒(例えばエタノール)中の還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム)による8の処理により;又は、不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン又はトルエン)中の水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどにより、エステル8から、対応するアルコールIB-19aへの還元により調製される。アルコールIB-19aのIB-19及びIB-20への転換は、スキームV及びVIにおけるIA-7からIA-11、12へ及びIB-7のIB-11、12への転換おいて先に説明されたように実行される。
【0126】
化合物IB-21、22は、スキームXと同様に調製される。ケトンIBは、当該技術分野において周知であるウィティヒ又はHorner-Emmons反応により、不飽和エステル10へ転換される。例えばテトラヒドロフラン中での水素化ナトリウムの存在下での、IBのトリエチルホスホノアセテートによる処理は、E及びZ異性体の混合物としての、エステル10を生じる(波線で示す)。11への還元は、酢酸エチル又はエタノールのような溶媒中の酸化白金(II)又は炭素上に担持されたパラジウムなどの触媒を使用する、触媒的水素化により実行される。エステル11は、ジアステレオマーの混合物として得ることができ、その比は、反応条件によって決まる。11のIB-21及びIB-22への転換は、スキームIXに説明された8の9、IB-18、19、20への転換と同様に実行される。
【0127】
【化21】

【0128】
スキームXにおいて、R2A、R2D、L4及びR4は、式(I)の考察において定義されており、及びYはスキームIIにおいて定義されている。
化合物IA及びIBの基Yは、スキームXIに例示されたように、修飾され、引き続きスキームI及びIIに従い化合物が合成される。従って臭素化された誘導体、例えばIA-(1-5)(ここでYは4-Brである)は、(ビス-ピナコラト)ジボロン誘導体への転換、それに続く銅触媒したアミノ化により、アミノ誘導体へ転換することができる。同様にブロモ誘導体は、金属-触媒したエーテル形成により、アリールエーテルへ、又はパラジウム-触媒したカルボニル化/アミド化法により、アミド誘導体へ転換することができる。Yがヘテロアリールである誘導体は、IA-(1-5)(ここでYは4-Brである)の、パラジウム触媒存在下での、ヘテロアリールボロン酸による処理により調製することができる。
【0129】
【化22】

【0130】
スキームXIにおいて、Yはヘテロアリールであり、及びR3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、L4、及びR4は、式(I)の考察において先に定義されている。
【0131】
【化23】

【0132】
化合物IA-(23-28)は、スキームXIIに例示されたように調製される。L3、R3、R4B、及びR4Cは、先に式(I)に定義されたものである。R4K、R4J、及びR4Mは、先のスキームIにおいて定義されている。
ケトン12は、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、又はtert-ブタノール)中の12の、塩基(例えば、カリウムアルコキシド又はナトリウムアルコキシド)による処理、それに続くメチルビニルケトン(MVK)の添加に関連した、ロビンソン環形成反応により、エノン13へ転換される。この反応は典型的には、0〜25℃で実行される。この反応は、非プロトン性溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン又はジオキサン)中で、窒素-含有塩基、例えばピロリジン、ピペリジン又はモルホリンにより還流温度で実行され、その後冷却及びMVKの添加が続くこともできる。
【0133】
エノン13は、12の、メチルビニルケトン及び塩基による処理により、ラセミ体で調製することができる。化合物13(L3=CO、R3=OMe、Z=Boc)は、論文(Org. Lett. 6, 1171 (2004))に説明されたように、光学活性型で調製することができる。化合物13からのN-保護基Zの除去は、Zがベンジルである場合に、クロロギ酸による処理及びその後の加水分解など、標準条件下で実行することができる。適当なクロロギ酸は、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、及びα-クロロエチルクロロギ酸を含む。ZがBocのような基である場合、脱保護は、プロトン性溶媒(例えばエタノール)中のHClなどの強酸によるか、又はトリフルオロ酢酸などによる、処理により実現される。
【0134】
化合物IA-23は、14の、第一級又は第二級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルのハロゲン化物によるアルキル化により調製することができる。あるいはIA-23は、不活性溶媒(例えば、1,2-ジクロロエタン)中、水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下での、14の、必要なアルデヒドによる還元的アルキル化により調製することができる。
化合物IA-24(ここでR4はアリール又はヘテロアリールである)は、銅又はパラジウム触媒(例えば酢酸銅(II)、塩化パラジウム(II))及びトリエチルアミンなどの塩基の存在下での、14の、アリール、ヘテロアリールハロゲン化物、又はボロン酸による処理により調製することができる。
【0135】
化合物IA-25は、水酸化ナトリウム、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、適当なプロトン性又は非プロトン性溶媒中で、14の、第一級、第二級又は第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化カルボニルによるアシル化により調製することができる。あるいはIA-25は、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの適当なカップリング剤の存在下での、アミン14の、必要なカルボン酸とのカップリングにより調製することができる。
【0136】
化合物IA-26(ここでR4Kは水素である)は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中での、14の、第一級、第二級又は第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルイソシアネートによる処理により調製することができる。R4Kが水素以外の基である場合、化合物IA-26は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、14の、ハロゲン化カルバモイルR4JR4KNC(O)X(ここでXは、Cl、Br、Fである)による処理により調製することができる。
【0137】
化合物IA-27は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、14の、第一級、第二級又は第三級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルハロゲン化スルホニルによる処理により調製される。
化合物IA-28は、不活性溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン又はジオキサン)中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、14の、ハロゲン化スルファモイルR4BR4CNSO2X(ここでXは、Cl、Br、Fである)処理により調製される。
これらの化合物IA-(23-28)は更に、スキームXIIIに引用されたように誘導体化することができる。
【0138】
【化24】

【0139】
スキームXIIIにおいて、R3A、R3B、R3C、R4Aは、先の式(I)において定義される。化合物15は、非プロトン性溶媒(例えば、ジメトキシエタノール、ベンゼン、クロロホルム)中、酸(例えば、塩酸又はp-トルエンスルホン酸)の存在下での、IA-27の、エチレングリコールによるル処理により調製される。
16型の化合物は、アルコール溶媒(例えばエタノール)中還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)によるか;又は、不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン又はトルエン)中での、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどによる処理により、対応するアルコールへの還元により、エステル15から調製される。
【0140】
アルコール16は、非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド)中での、塩基(例えば、水素化ナトリウム)による処理、それに続く水素、置換又は未置換のハロゲン化アルキル、置換又は未置換のハロゲン化ヘテロアルキル、置換又は未置換のハロゲン化アリール、もしくは置換又は未置換のハロゲン化ヘテロ環式アルキルの添加により、置換された誘導体17へ転換される。
【0141】
IA-29型化合物は、17から、極性溶媒(例えば、アセトン、水)中の、酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、塩酸又は酢酸)によるか;もしくは、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の、過塩素酸による処理により調製される。
18型化合物は、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での酸化剤(例えば、クロム(VI)試薬、例えばクロロクロム酸ピリジニウム及び重クロム酸ピリジニウム)による処理によるか、又はSwern酸化法(塩化オキサリル及びジメチルスルホキシド、その後のトリエチルアミンなどの有機塩基の添加)を使用し、アルコール16から、対応するアルデヒドへの酸化により調製される。
【0142】
化合物19(スキームXIII)(式中、R3B,Cは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリールアルキル、もしくは置換又は未置換のヘテロアリールアルキルである)は、アルデヒド18の、アンモニア、第二級アミン、又は第三級アミンによる、還元的アミノ化により調製される。この反応は、テトラヒドロフラン、エタノール、1,2-ジクロロエタンなどの溶媒中での、18の、アミノ成分及び還元剤(例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム)による処理により実行される。
【0143】
IA-30型化合物は、極性溶媒(例えば、アセトン、水)中での、酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、塩酸及び酢酸)による;もしくは、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での、過塩素酸による処理により、19から調製される。
【0144】
III. 糖質コルチコイド受容体活性を調節するアッセイ及び方法
本発明の化合物は、それらの抗糖質コルチコイド特性について試験することができる。糖質コルチコイド受容体活性を調節することが可能である化合物をアッセイする方法は、本明細書に提示されている。典型的には、本発明の化合物は、GRへの選択的結合によるか、又はGRリガンドがGRへ結合することを防ぐことにより、糖質コルチコイド受容体活性を調節することが可能である。一部の態様において、これらの化合物は、細胞毒性をほとんど又は全く示さない。従って本明細書に明らかにされたアッセイ例は、化合物の以下の能力を試験することができる:(1)GRに密に結合する能力;(2)GRに選択的に結合する能力;(3)GRリガンドがGRに結合することを防ぐ能力;(4)細胞システム内のGR活性を調節する能力;及び/又は、(5)細胞毒性作用を示す能力。
【0145】
結合アッセイ
一部の態様において、GRモジュレーターは、デキサメタゾンのような、GRリガンドと競合する分子のスクリーニングにより同定される。当業者は、競合的結合アッセイを行う多くの方法があることを認めるであろう。一部の態様において、GRは、標識されたGRリガンドとプレ-インキュベーションされ、その後被験化合物と接触される。この種の競合的結合アッセイは、ここでは結合置換アッセイと称される。GRに結合したリガンド量の変更(例えば減少)は、その分子は、可能性のあるGRモジュレーターであることを示している。あるいは、被験化合物のGRへの結合は、標識された被験化合物により直接測定することができる。この後者の型のアッセイは、直接結合アッセイと称される。
【0146】
直接結合アッセイ及び競合的結合アッセイは両方とも、様々に異なる様式で使用することができる。これらの様式は、イムノアッセイ及び受容体結合アッセイにおいて使用されるものに類似している。競合的結合アッセイ及び直接結合アッセイを含む、結合アッセイの様々な様式の説明については、Basic and Clinical Immunology, 7版(D. Stites及びA. Terr編集) 1991;Enzyme Immunoassay, E.T. Maggio編集, CRC Press, Boca Raton, Florida (1980);及び、「Practice and Theory of Enzyme Immunoassay」, P. Tijssen, Laboratory Technologys in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers B.V. Amsterdam (1985)を参照することとし、これらは各々本明細書に参照として組入れられている。
【0147】
固相競合的結合アッセイにおいて、例えば試料化合物は、固相に結合した結合剤上の特異的結合部位について、標識された被検体と競合することができる。この種の様式において、標識された被検体は、GRリガンドであることができ、及びこの結合剤は、固相へ結合したGRであることができる。あるいは標識された被検体は、標識されたGRであることができ、及び結合剤は、固相GRリガンドであることができる。捕獲剤に結合した標識された被検体の濃度は、結合アッセイにおいて被験化合物の競合する能力に反比例する。
【0148】
あるいは、競合的結合アッセイは、液相で行ってもよく、及び当該技術分野において公知の様々な技術のいずれかを使用し、結合した標識されたタンパク質を、結合していない標識されたタンパク質から分離することができる。例えばいくつかの手法が、結合したリガンドと過剰な結合したリガンドの間、又は結合した被験化合物と過剰な未結合の被験化合物の間を識別するために開発されている。これらは、ショ糖勾配における沈降、ゲル電気泳動、ゲル等電点沈殿による、結合した複合体の同定;受容体-リガンド複合体の硫酸プロタミンによる沈殿、又はヒドロキシアパタイト上への吸着;並びに、未結合の化合物又はリガンドの、デキストラン-被覆したチャコール(DCC)上の吸着又は固定された抗体への結合による除去を含む。分離後、結合したリガンド又は被験化合物の量が決定される。
【0149】
あるいは、分離工程が不要である相同結合アッセイを行っても良い。例えばGR上の標識は、GRのそのリガンド又は被験化合物との結合により変化することができる。標識されたGRにおけるこの変化は、標識により放出されるシグナルの減少又は増加を生じ、その結果結合アッセイの終了時の標識の測定は、結合状態のGRの検出又は定量を可能にする。多種多様な標識を使用することができる。この成分は、いくつかの方法のいずれかひとつにより、標識することができる。有用な放射性標識は、3H、125I、35S、14C、又は32Pの組込みを含む。有用な非-放射性標識は、蛍光体、化学発光物質、リン光物質、電気化学発光物質などを組込んでいるものを含む。蛍光物質は、蛍光異方性(fluorescence anisotropy)及び/又は蛍光分極などの、タンパク質構造のシフトを検出するために使用される分析技術において特に有用である。標識の選択は、必要な感度、その化合物との易複合体形成性、安定性の必要要件及び利用可能な装置により決まる。使用することができる様々な標識又はシグナル形成システムの検証は、米国特許第4,391,904号を参照し、これはその全体が全ての目的に関し本明細書に参照として組入れられている。標識は、当該技術分野において周知の方法に従いアッセイの望ましい成分に直接的又は間接的に結合することができる。
【0150】
競合的結合アッセイに関して、阻害量は、本明細書に開示された技術を用い決定することができる。被験化合物によるリガンド結合の阻害量は、アッセイ条件に応じ、並びに使用されるリガンド、標識された被検体及び被験化合物の濃度に応じて左右される。例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、阻害定数(Ki)が5μM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。別の例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、Kiが1μM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。別の例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、Kiが100nM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。別の例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、Kiが100nM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。別の例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、Kiが100pM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。別の例証的態様において、競合的結合アッセイにおいて、実施例31に示されたアッセイ条件を使用し、Kiが10pM未満である場合、化合物は、GRリガンドのGRへの結合を阻害することが可能であると称される。
【0151】
ハイ-スループットスクリーニング法を使用し、多数の可能性のあるモジュレーター化合物をアッセイすることができる。次にこのような「化合物ライブラリー」は、所望の特徴的活性を示すそのようなライブラリーのメンバー(特に化学種又はサブクラス)を同定するために、本明細書において説明されたように、1種又は複数のアッセイにおいてスクリーニングされる。化学ライブラリーの作製及びスクリーニングは、当業者に周知である。化学ライブラリーの作製のための装置は、市販されている(例えば、357 MPS、390 WS、Advanced Chem Tech, Louisville KY、Symphony, Rainin, Woburn, MA、433A AppliedBiosystems, Foster City, CA、9050 Plus, Millipore, Bedford, MA参照)。
【0152】
細胞-ベースのアッセイ
細胞-ベースのアッセイは、本発明の化合物によるGRの結合又は活性の調節をアッセイするための、全細胞又はGRを含有する細胞画分に関連している。本発明の方法に従い使用することができる細胞型の例は、白血球、例えば好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞など、並びにリンパ球、例えばT細胞及びB細胞、白血病細胞、バーキットリンパ腫細胞、腫瘍細胞(マウス乳腺癌ウイルス細胞を含む)、内皮細胞、線維芽細胞、心筋細胞、筋細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頚癌細胞、グリア芽細胞腫細胞、肝細胞、腎細胞、及び神経細胞を含む、例えば任意の哺乳類細胞に加え、酵母を含む真菌細胞である。細胞は、初代細胞又は腫瘍細胞又は不死化された細胞株の他の型であることができる。当然GRは、内在型のGRを発現しない細胞において発現され得る。
【0153】
場合によっては、GR断片に加えタンパク質融合体を、スクリーニングに使用することができる。GRリガンドと結合について競合する分子が望ましい場合、使用されるGR断片は、リガンド(例えばデキサメタゾン)への結合が可能である断片である。あるいはGRの任意の断片は、GRへ結合する分子を同定するための標的として使用することができる。GR断片は、例えば、少なくとも20、30、40、50個のアミノ酸の断片、最大GRの1個のアミノ酸以外は全て含むタンパク質まで含むことができる。典型的には、リガンド-結合断片は、GRの膜貫通領域及び/又は細胞外ドメインのほとんどもしくは全てを含むであろう。
【0154】
一部の態様において、GR活性化により引き金を引かれるシグナル伝達を使用し、GRモジュレーターを同定する。GRのシグナル伝達活性は、多くの方法で決定することができる。例えば下流の分子事象をモニタリングし、シグナル伝達活性を決定することができる。下流の事象は、GR受容体の刺激の結果として生じるそれらの活性又は症状発現を含む。未変化の細胞における転写活性化及び拮抗の機能評価において有用な下流事象の例は、多くの糖質コルチコイド反応エレメント(GRE)-依存型遺伝子(PEPCK、チロシンアミノ転移酵素、アロマターゼ)のアップレギュレーションを含む。加えて、糖質コルチコイドによりダウンレギュレーションされる骨芽細胞におけるオステオカルシン発現;PEPCK及びグルコース-6-リン酸(G-6-Pase)の糖質コルチコイド媒介したアップレギュレーションを示す、初代肝細胞などの、GR活性化を受け易い特異的細胞型を、使用することができる。GRE-媒介型遺伝子発現は、周知のGRE-調節配列(例えば、レポーター遺伝子構築体の上流に形質移入されたマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV))を使用し、形質移入された細胞株においても明らかにされている。有用なレポーター遺伝子構築体の例は、ルシフェラーゼ(luc)、アルカリホスファターゼ(ALP)及びクロラムフェコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。転写抑制の機能評価は、単球又はヒト皮膚線維芽細胞などの細胞株において実行することができる。有用な機能アッセイは、IL-1β刺激されたIL-6発現;コラゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2及び様々なケモカイン(MCP-1、RANTES)のダウンレギュレーション;もしくは、形質移入された細胞株においてNFkB又はAP-1転写因子により調節された遺伝子の発現の測定を含む。遺伝子転写を測定する細胞-ベースのアッセイの例は、実施例33に示されている。
【0155】
典型的には、全-細胞アッセイにおいて試験された化合物は、細胞毒性アッセイにおいても試験される。細胞毒性アッセイを使用し、非-GR結合細胞作用による調節作用が感知される程度を決定する。例証的態様において、細胞毒性アッセイは、構成的活性細胞を被験化合物と接触することを含む。細胞活性の減少は、細胞毒性作用を示す。細胞毒性アッセイの例は、実施例34に示している。
【0156】
特異性
本発明の化合物は、特異性アッセイ(本明細書において選択性アッセイとも称される)が施される。典型的には、特異性アッセイは、非-GRタンパク質への結合の程度に関して、in vitro又は細胞-ベースのアッセイにおいてGRへ結合する化合物を試験することを含む。選択性アッセイは、in vitro又は先に説明されたような細胞ベースのシステムにおいて行うことができる。GR結合は、抗体、受容体、酵素などを含む適当な非-GRタンパク質に対して試験することができる。例証的態様において、非-GR結合タンパク質は、細胞-表面受容体又は核受容体である。別の例証的態様において、非-GRタンパク質は、エストロジェン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、又は鉱質コルチコイド受容体のような、ステロイド受容体である。例証的特異性アッセイは、実施例34に示されている。
【0157】
GR活性の調節法
別の局面において、本発明は、先に説明された技術を使用し、糖質コルチコイド受容体活性を調節する方法を提供する。例証的態様において、この方法は、GRを、式(I)の化合物のような本発明の化合物と接触すること、及びGR活性の変化を検出することを含む。
【0158】
例証的態様において、GRモジュレーターは、GR活性のアンタゴニスト(本明細書において「糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト」とも称される)である。本明細書において使用される、糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、糖質コルチコイド受容体(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾール及び合成又は天然のコルチゾールアナログ)のGRへの結合を部分的又は完全に阻害(拮抗)し、これによりGRのアゴニストへの結合と関連した任意の生物学的反応を阻害する組成物又は化合物を意味する。
【0159】
関連のある態様において、GRモジュレーターは、特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストである。本明細書において使用される特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、鉱質コルチコイド受容体(MR)よりもGRに優先的に結合することにより、GRのアゴニストへの結合に関連した任意の生物学的反応を阻害する組成物又は化合物を意味する。更に関連した態様において、特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、MRのKdよりも、少なくとも1/10の会合定数(Kd)で、GRへ結合する。別の態様において、特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、MRのKdよりも、少なくとも1/100の会合定数(Kd)で、GRへ結合する。別の態様において、特異的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストは、MRのKdよりも、少なくとも1/1000の会合定数(Kd)で、GRへ結合する。
【0160】
IV. 糖質コルチコイド受容体モジュレーターの医薬組成物
別の局面において、本発明は、医薬として許容される賦形剤及び本発明の化合物、例えば先に示された式(I)の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
本発明の化合物は、多種多様な経口、非経口及び局所用剤形で、調製及び投与することができる。経口調製物は、患者による摂取に適している、錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、トローチ剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などを含む。本発明の化合物は、注射により、すなわち静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、又は腹腔内などにより投与することもできる。同じく本明細書において説明された化合物は、吸引により、例えば鼻腔内投与することができる。加えて本発明の化合物は、経皮的に投与することができる。本発明のGRモジュレーターは、眼内、膣内、及び直腸内経路で投与することもでき、これは坐剤、吸入剤、散剤及びエアゾール製剤(例えばステロイド吸入剤、Rohatagi, J. Clin. Pharmacol., 35:1187-1193, 1995;Tjwa, Ann. Allergy Asthma Immunol., 75:107-111, 1995参照)を含む。従って本発明は、医薬として許容される担体又は賦形剤、並びに式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の医薬として許容される塩のいずれかを含有する、医薬組成物も提供する。
【0161】
本発明の化合物からの医薬組成物の調製のために、医薬として許容される担体は、固形又は液体のいずれかであることができる。固形型の調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散可能な顆粒剤を含む。固形担体は、1種又は複数の物質であり、これは希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル封入剤を含む。製剤及び投与の技術の詳細は、化学文献及び特許文献においてよく説明されており、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Maack Publishing Co, Easton PA ("Remington's")の最新版を参照のこと。
【0162】
散剤において、担体は、細分された固形物であり、これは細分された活性成分と混合されている。錠剤において、活性成分は、適当な割合で、必要な結合特性を有する担体と混合され、及び望ましい形状及びサイズに圧縮されている。
【0163】
散剤及び錠剤は好ましくは、活性化合物を5%又は10%から70%まで含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。用語「調製」は、その中で活性成分が他の担体を伴う又は伴わずに担体により取り囲まれており、その結果これはそれと会合しているような、カプセル剤を提供する、担体としてのカプセル封入剤と共に、活性化合物の製剤を含むことが意図されている。同様にカシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適した固形剤形として使用することができる。
【0164】
適当な固形賦形剤は、炭水化物又はタンパク質充填剤であり、乳糖、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む、糖;トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ又は他の植物由来の、デンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、セルロース;並びに、アラビアゴム、及びトラガカントガムを含む、ガム;更には、ゼラチン及びコラーゲンなどの、タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。望ましいならば、崩壊剤又は溶解剤を添加することができ、例えば架橋したポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、又はそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムである。
【0165】
糖衣錠コアは、濃縮糖溶液などの適当なコーティングと共に提供され、これはアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー液、及び適当な有機溶媒又は溶媒混合物を含んでもよい。染料又は色素も、製品の識別又は活性化合物の量(すなわち、用量)の特徴付けのために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加することができる。本発明の医薬調製物は、例えばゼラチンにより製造されたプッシュ-フィット式カプセル剤、更にはゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどのコーティングにより製造された軟性の密封カプセル剤を使用し、経口的に使用することができる。プッシュ-フィット式カプセル剤は、乳糖又はデンプンなどの充填剤又は結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び場合により安定剤と混合されたGRモジュレーターを含有することができる。軟カプセル剤において、GRモジュレーター化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適当な液体中に、安定剤を伴い又は伴わずに、溶解又は懸濁される。
【0166】
坐剤を調製するためには、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点ワックスが最初に溶融され、その中に活性成分が攪拌により均質に分散される。その後溶融した均質な混合物を、通常のサイズの型に注ぎ、冷却し、これにより固化する。
【0167】
液体型調製物は、液剤、懸濁剤、及び乳剤、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液などを含む。非経口注射剤に関して、液体調製物を、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液に製剤することができる。
【0168】
経口用途に適した水溶液は、水中の活性成分の溶解、及び適当な着色剤、香料、安定剤、及び望ましい増粘剤の添加により調製することができる。経口用途に適した水性懸濁剤液は、天然又は合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムなどの、粘性の物質、並びに天然のホスファチド(例えばレシチン)などの、分散剤又は湿潤剤、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノ-オレエート)、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノ-オレエート)を含む水中に、細分された活性成分を分散することにより作製することができる。水性懸濁剤は、エチル又はn-プロピルp-ヒドロキシ安息香酸などの、1種又は複数の保存剤、1種又は複数の着色剤、1種又は複数の矯味矯臭剤、及びショ糖、アスパラテーム又はサッカリンなどの1種又は複数の甘味剤を含有することもできる。製剤は、等張に調節される。
【0169】
使用直前に、経口投与のための液体型の調製物に転換されることが意図された固形調製物も含まれる。このような液体型は、液剤、懸濁剤及び乳剤を含む。これらの調製物は、活性成分に加え、着色剤、香料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0170】
油性懸濁剤は、GRモジュレーターを、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油などの植物油、又は流動パラフィンなどの鉱油;又は、これらの混合物中に懸濁することにより、製剤することができる。油性懸濁剤は、ビーズワックス、硬質パラフィン又はセチルアルコールなどの、増粘剤を含有することができる。甘味剤は、グリセロール、ソルビトール又はショ糖などを、口当たりの良い経口調製物を提供するために添加することができる。これらの製剤は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存することができる。注射可能な油性ビヒクルの例として、論文(Minto, J Pharmacol. Exp. Ther. 281:93-102, 1997)を参照のこと。本発明の医薬製剤は、水中油型乳剤の形であることもできる。油相は、先に説明されたような、植物油もしくは鉱油、又はそれらの混合物であることができる。適当な乳化剤は、アカシアガム及びトラガカントガムなどの、天然のガム、ダイズレシチンなどの天然のホスファチド、ソルビタンモノ-オレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル、並びにこれらの部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノ-オレエートを含む。乳剤は、シロップ剤及びエリキシル剤の製剤中のように、甘味剤及び矯味矯臭剤も含有することができる。このような製剤は、緩和剤、保存剤又は着色剤も含有することができる。
【0171】
本発明のGRモジュレーターは、アプリケータースティック(applicator stick)、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、パスタ剤、ジェル剤、ペイント、散剤及びエアゾールとして製剤された、局所的経路により、経皮的に送達することができる。
【0172】
本発明のGRモジュレーターは、体内での緩徐な放出のためのミクロスフェアとして送達することもできる。例えばミクロスフェアは、皮下に徐放する薬物-含有ミクロスフェア(Rao, J. Biomater Sci. Polym. Ed. 7:623-645, 1995参照);生分解性及び注射可能なゲル製剤(例えば、Gao, Pharm. Res. 12:857-863, 1995参照);又は、経口投与用ミクロスフェア(例えば、Eyles, J. Pharm. Pharmacol. 49:669-674, 1997参照)の皮内注射により投与することができる。経皮及び皮内の両経路は、数週間又は数ヶ月にわたる一定の送達を可能にする。
【0173】
本発明のGRモジュレーター医薬製剤は、塩として提供され、並びに塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含むが、これらに限定されるものではない、多くの酸により生成することができる。塩は、対応する遊離の塩基型である水性又はその他のプロトン性溶媒中において可溶性の傾向がある。別の場合、調製物は、pH範囲4.5〜5.5で、1mM〜50mMヒスチジン、0.1%〜2%ショ糖、2%〜7%マンニトール中に、使用前に緩衝液と一緒にされる、凍結乾燥された散剤である。
【0174】
別の態様において、本発明のGRモジュレーター製剤は、静脈内(IV)投与又は体腔もしくは臓器管腔への投与などの、非経口投与に有用である。投与するための製剤は一般に、医薬として許容される担体中に溶解されたGRモジュレーターの溶液を含む。使用することができる許容できるビヒクル及び溶媒中には、水及びリンゲル液、等張塩化ナトリウムがある。加えて無菌の不揮発油が、通常溶媒又は懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成のモノ又はジグリセリドを含む、任意の銘柄の不揮発油を使用することができる。加えてオレイン酸などの脂肪酸も同じく、注射可能なものの調製に使用される。これらの溶液は、無菌であり及び一般に望ましくない物質を含まない。これらの製剤は、通常の周知の滅菌技術により滅菌されてよい。これらの製剤は、pH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどの、ほぼ生理的状態に必要である医薬として許容される補助物質も含有する。これらの製剤中のGRモジュレーターの濃度は、大きく変動し、選択される投与の具体的様式及び患者の必要性に従い、主に液体容積、粘度、体重などを基に選択されるであろう。静脈内投与に関して、この製剤は、無菌の注射可能な調製物、例えば無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液であることができる。この懸濁液は、適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用し、公知の技術に従い製剤することができる。無菌の注射可能な調製物は、1,3-ブタンジオール溶液などの、無毒の非経口の-許容できる希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射可能な液剤又は懸濁剤であることもできる。
【0175】
別の態様において、本発明のGRモジュレーター製剤は、細胞膜に融合するか又はエンドサイトーシスされるリポソーム、すなわちリポソームに結合したリガンドを使用するか、又は細胞の表面膜タンパク質受容体に結合し、エンドサイトーシスを生じるよう、直接オリゴヌクレオチドに結合されるリポソームを使用し、送達することができる。リポソームを使用することにより特にリポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを保持する場合、又は同じく優先的に特定臓器を指向する場合、in vivoにおいてGRモジュレーターの標的細胞への送達に集約することができる(例えば、Al-Muhammed, J. Microencapsul, 13: 293-306, 1996;Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6: 698-708, 1995;Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46: 1576-1587, 1989参照)。
【0176】
医薬調製物は、単位剤形中であることが好ましい。そのような形において、調製物は、適量の活性成分を含有する単位投与量に小さく分割される。単位剤形は、包装された調製物、個別の量の調製物を含有する包装、例えば包装された錠剤、カプセル剤及びバイアルもしくはアンプル内の散剤であることができる。同じく単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤それ自身であるか、又はそれは包装された形の中のこれらの適当な数であることができる。
【0177】
単位剤形中の活性成分の量は、具体的適用及び活性成分の効能に従い、0.1mg〜10000mg、より典型的には1.0mg〜1000mg、最も典型的には10mg〜500mgを変動又は調節することができる。この組成物は望ましいならば、他の相溶性のある治療薬を含有することもできる。
【0178】
V. 糖質コルチコイド受容体により媒介された症状の治療法
更に別の局面において、本発明は、糖質コルチコイド受容体の調節による、障害又は症状の治療法を提供する。この方法において、そのような治療が必要な対象に、先に示した式のひとつを有する化合物が有効量投与される。その量は、糖質コルチコイド受容体の調節に有効である。
【0179】
様々な病態を、糖質コルチコイド受容体モジュレーターにより治療することが可能である。病態の例は、精神病性主要鬱病、軽度の認知機能障害、精神病、痴呆、高血糖症、ストレス障害、抗精神病薬が誘導した体重増加、せん妄、鬱病患者の認知機能障害、ダウン症患者の認知低下、インターフェロン-α療法に関連した精神病、慢性頭痛(例えば、胃食道逆流症に関連した疼痛)、分娩後精神病、分娩後鬱病、未熟児の神経障害、片頭痛、肥満、糖尿病、心臓血管系疾患、高血圧、X症候群、鬱病、不安、緑内障、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)又は後天性免疫不全症(AIDS)、神経変性(例えば、アルツハイマー病及びパーキンソン病)、認知増強、クッシング病、アジソン病、骨粗鬆症、虚弱、炎症疾患(例えば、骨関節炎、関節リウマチ、喘息及び鼻炎)、副腎機能に関連した病気、ウイルス感染症、免疫不全症、免疫調節症(immunomodulation)、自己免疫疾患、アレルギー、創傷治癒、強迫行動、多剤耐性、耽溺、精神病、食欲不振、カテクシス、外傷後ストレス症候群、術後骨折、医薬異化作用、及び筋虚弱などである。治療法は、そのような治療が必要な患者へ、治療的有効量の式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容される塩を投与することを含む。
【0180】
従って例証的態様において、本発明は、GRの調節による、障害又は症状の治療法を提供し、この方法は、本発明の化合物、例えば式(I)の化合物を有効量、そのような治療が必要な対象へ投与することを含む。
【0181】
GRの調節による疾患の治療に適合されるGRモジュレーター量は、「治療的有効量」と定義される。この使用に有効な投与スケジュール及び量、すなわち「用法」は、疾患又は症状の病期、疾患又は症状の重症度、患者の健康の全身状態、患者の生理的状態、年齢などを含む、様々な要因により決まるであろう。患者の用法の計算において、投与様式も考慮される。
【0182】
用法は、当該技術分野において周知の薬物動態パラメータ、すなわち吸収率、バイオアベイラビリティ、代謝、クリアランスなども考慮する(例えば、Hidalgo-Aragones, J. Steroid Biochem. Mol. Biol., 58:611-617 (1996);Groning, Pharmazie, 51:337-341 (1996);Fotherby, Contraception, 54:59-69 (1996);Johnson, J. Pharm. Sci., 84:1144-1146 (1995);Rohatagi, Pharmazie, 50:610-613 (1995);Brophy, Eur. J. Clin. Pharmacol., 24:103-108 (1983);最新版の「Remington's」前掲参照)。当該技術分野の状況は、個々の患者、GRモジュレーター及び治療される疾患又は症状の各々について、医師が用法を決定することを可能にしている。
【0183】
GRモジュレーター製剤の単回又は反復投与は、患者に必要かつ忍容される用量及び頻度に応じて投与される。これらの製剤は、病態を効果的に治療するのに充分量の活性物質が提供されるべきである。従ってひとつの態様において、GRモジュレーターの経口投与のための医薬製剤は、約0.5〜約20mg/kg体重/日の一日量である。代わりの態様において、用量は、約1mg〜約4mg/kg患者体重/日が使用される。経口的投与とは対照的に、特に薬物が解剖学的閉鎖部位(anatomically secluded site)、例えば脳脊髄液(CSF)空隙へ、血流へ、体腔へ又は臓器管腔へ投与される場合に、より低い用量を、使用することができる。実質的により高い用量を、局所的投与において使用することができる。非経口投与可能なGRモジュレーター製剤を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか又は明らかであり、前掲の「Remington's」のような刊行物により詳細に説明されている。同じくNiemanの「Receptor Mediated Antisteroid Action」、Agarwalら編集、De GRuyter, New York(1987)も参照のこと。
【0184】
本発明のGRモジュレーターを含有する医薬が許容できる担体中に製剤された後、これは適当な容器に入れられ、適応症の治療に関するラベルが付けられる。GRモジュレーターの投与に関して、このようなラベルは、例えば、投与の量、頻度及び方法に関する指示を含む。ひとつの態様において、本発明は、ヒトのせん妄の治療のためのキットを提供し、これはGRモジュレーター、並びにGRモジュレーターの適応症、用量及び投与スケジュールを示す使用説明書を含む。
【0185】
本明細書において使用される用語及び表現は、説明の項目として使用され限定ではなく、示され説明された特徴の同等物又はその一部を排除するそのような用語及び表現の使用を意図するものではなく、特許請求された本発明の範囲内で様々な修飾が可能であることが認められる。更に本発明のいずれかの態様の1種又は複数の特徴は、本発明の範囲から逸脱しない限りは、本発明の別の態様の1種又は複数の他の特徴と組合せてもよい。例えば、GRモジュレーター化合物の特徴は、本明細書において説明された病態を治療する方法及び/又は医薬組成物に同等に適用可能である。列挙された全ての刊行物、特許及び特許出願は、それらの全体が全ての目的のために本明細書に参照として組入れられている。
【0186】
実施例
実施例1. 1,3-ジベンジル-4-オキソ-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル(2:Y=H, Z=ベンジル)
【0187】
【化25】

【0188】
1-ベンジル-4-オキソ-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル塩酸塩(1, Z=ベンジル)(15g, 52.9mmol)を、DMF(150mL)中に懸濁し、0℃に冷却した。水素化ナトリウム(4.23g, 105.8mmol)を、1時間かけてすこしずつ添加し、内容物を周囲温度に温め、更に1時間攪拌した。臭化ベンジル(6.3mL, 53.0mmol)を15分間かけて添加し、内容物を周囲温度で更に68時間攪拌した。水10mLを添加し、内容物を、酢酸エチル400mLで希釈し、水(200mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過及び濃縮し、黄色油状物20.5gを生じ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(3:2シクロヘキサン/CH2Cl2から100%CH2Cl2)により精製し、表題化合物を無色の油状物として17.52g(98%)得た。LC-MS:RT=2.80分、(M+H)+ 338、(M-OMe)+ 306。
【0189】
実施例2. 1,3-ジベンジルピペリジン-4-オン(3:Y=H, Z=ベンジル)
【0190】
【化26】

【0191】
1,3-ジベンジル-4-オキソ-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル(2, Y=H, Z=ベンジル)(17.52g, 51.92mmol)を、150mLの6N HCl:MeOH(5:1)中に懸濁し、この混合物を還流温度に加熱し、48時間攪拌した。冷却後、この混合物を、6N NaOHでpH10まで塩基性とし、ジクロロメタン3x200mLで抽出した。一緒にした有機物を、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、表題化合物11.60gを無色油状物として得た(80%)。LC-MS:RT=0.38分、(M+H)+ 280。
【0192】
実施例3. 2,8a-ジベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(4:Y=H, Z=ベンジル)
【0193】
【化27】

【0194】
1,3-ジベンジルピペリジン-4-オン(3, Y=H, Z=ベンジル (3.98g, 13.96mmol)を、メタノール80mL中のナトリウムメトキシド(0.83g, 15.36mmol)の溶液に添加し、周囲温度で45分間攪拌した。内容物を0℃に冷却し、メチルビニルケトン(1.74mL, 20.94mmol)を30分間かけて添加した。内容物を、周囲温度に温め、18時間攪拌した。濃HCl(1.55mL)を添加し、内容物を更に5分間攪拌し、溶媒を蒸発し、褐色油状物を得、これをジエチルエーテル中で摩砕し、表題化合物1.90gを得た。LC-MS:RT=2.26分、(M+H)+ 332。
【0195】
実施例4. 8a-ベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(5:Y=H)
【0196】
【化28】

【0197】
ジクロロエタン(50mL)中の化合物4(Y=H, P=ベンジル)(3.0g (9.05mmol))及びα-クロロエチルクロロギ酸(1.22mL, 11.3mmol)を、窒素下で18時間還流加熱した。冷却後、混合物を真空で濃縮した。メタノール(50mL)を添加し、内容物を6時間還流加熱した。溶媒を、蒸発により除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100% CH2Cl2からCH2Cl2/MeOH 9:1)により精製し、表題化合物を淡褐色固形物として1.51g得た。LC-MS:RT=1.67分。(M+H)+ 242。
【0198】
下記化合物を、実施例1から4に説明した手法に従い調製した:
8a-(3-メトキシベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(5;Y=3-OMe)
【0199】
【化29】

【0200】
8a-(4-メトキシベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(5;Y=4-OMe)
【0201】
【化30】

【0202】
8a-(4-ブロモベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(5;Y=4-Br)
【0203】
【化31】

【0204】
8a-(4-ニトロベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(5;Y=4-NO2)
【0205】
【化32】

【0206】
実施例5. 8a-ベンジル-2-(4-メトキシベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-1:Y=H, R4=(4-OMe)Ph)
【0207】
【化33】

【0208】
化合物5(Y=H)(100mg, 0.41mmol)を、THF 1mLに溶解した。鉱油中の60%水素化ナトリウム(16mg, 0.41mmol)を添加し、この混合物を10分間攪拌した。4-メトキシベンジルブロミド0.41mmol, 64mgを添加し、周囲温度で更に18時間攪拌した。酢酸エチル(25mL)を添加し、混合物を、水、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO4)。フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中0から10%EtOAc)で濃縮及び精製し、引き続きジエチルエーテルによる摩砕で、表題化合物58mgを白色固形物として得た。
【0209】
同じくこの方法で、8a-ベンジル-2-(4-ニトロベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-1:Y=H, R4=(4-NO2)Ph)を調製した。
【0210】
【化34】

【0211】
実施例6. 8a-ベンジル-2-(フラン-2-イルメチル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-1:Y=H, R4=2-フラニル)
【0212】
【化35】

【0213】
化合物5(Y=H)(87mg, 0.36mmol)及びフラン-2-カルボキシアルデヒド(35mg, 0.36mmol)を、無水CH2Cl2中で10分間周囲温度で攪拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(106mg, 0.50mmol)を添加し、得られる混合物を90分間攪拌した。飽和NaHCO3の添加、それに続くCH2Cl2による抽出、蒸発及びフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製で、表題化合物74mgを得た。LC-MS:RT=2.15分、(M+H)+ 322。
【0214】
実施例7. 8a-ベンジル-2-(4-メトキシフェニル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-2:Y=H, R4=(4-OMe)Ph)
【0215】
【化36】

【0216】
塩酸塩(100mg, 0.36mmol)としての化合物5(Y=H)、4-メトキシフェニルボロン酸(164mg, 1.08mmol)、トリエチルアミン(0.20ml, 1.44mmol)及び酢酸銅(II)(130mg, 0.72mmol)を、無水CH2Cl2中で24時間攪拌した。得られる粗生成物を、溶媒の蒸発後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中で0から5% EtOAc)で精製し、表題化合物50mgを得た。LC-MS:RT=4.06分、(M+H)+ 348。
【0217】
以下のものも、この方法により調製した:
N-[3-(8a-ベンジル-6-オキソ-3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)フェニル]アセトアミド(IA-2:Y=H, R4=(4-NHCOMe)Ph、LC-MS:RT=3.34分、(M+H)+ 375。
【0218】
【化37】

【0219】
;及び
4-(8a-ベンジル-6-オキソ-3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)安息香酸メチルエステル,(IA-2:Y=H, R4=(4-CO2Me)Ph、LC-MS:RT=3.87分、(M+H)+ 376。
【0220】
【化38】

【0221】
実施例8. -ベンゾイル-8a-ベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-3:Y=H, R4M=Ph)
【0222】
【化39】

【0223】
化合物5(Y=H)(81mg, 0.34mmol)を、CH2Cl2(3mL)中に溶解し、及び塩化ベンゾイル(43μL, 0.37mmol)を添加し、その後ジイソプロピルエチルアミン(70μL, 0.40mmol)を添加した。内容物を、周囲温度で18時間攪拌し、CH2Cl2で希釈し、水、ブラインで洗浄し、乾燥及び濃縮し、赤色油状物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中0から10% EtOAc)で精製し、表題化合物をワックス状の淡黄色固形物として得た。LC-MS:RT=3.25分、(M+H)+ 346。
【0224】
実施例9. 8a-ベンジル-6-オキソ-3,4,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボン酸フェニルアミド(IA-4:Y=H, R4J=Ph, R4K=H)
【0225】
【化40】

【0226】
化合物5(Y=H)(96mg, 0.398mmol)を、窒素下でCH2Cl2中に溶解し、フェニルイソシアネート(52μL, 0.477mmol)を添加し、内容物を周囲温度で18時間攪拌した。反応混合物を、CH2Cl2で希釈し、水で洗浄し、乾燥し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中0から15% EtOAc)で精製し、表題化合物を黄色ガラス状の固形物として71mg得た。LC-MS:RT=3.31分、(M+H)+ 361。
【0227】
実施例10. 2-ベンゼンスルホニル-8a-ベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=H, R4A=Ph)
【0228】
【化41】

【0229】
ベンゼンスルホニルクロリド(90.0μmol)を、1,2-ジクロロエタン(3mL)中の化合物5(Y=H)(25.0mg, 90.0μmol)、トリエチルアミン(25.0μL, 180μmol)の攪拌溶液に添加した。その後得られた混合物を、室温で18時間攪拌した。PS-トリスアミン樹脂(33.0mg、負荷=4.11mmol/g)を添加し、混合物を室温で更に24時間激しく攪拌した。混合物を濾過し、濾液をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中5% EtOAc)により精製し、表題化合物1を黄色油状物として得、これを静置し固化した。LC-MS:RT=3.68分、(M+H)+ 382。
【0230】
表1の化合物を、同様に調製した。
【0231】
【表1】

【0232】
【表2】

【0233】
【表3】

【0234】
【表4】

【0235】
【表5】

【0236】
【表6】

【0237】
【表7】

【0238】
【表8】

【0239】
【表9】

【0240】
【表10】

【0241】
【表11】

【0242】
実施例11. 8a-ベンジル-6-オキソ-3,4,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-2-スルホン酸フェニルアミド(IA-6:Y=H, R4B=Ph, R4C=H)
【0243】
【化42】

【0244】
Audrieth L.Fらの論文(J. Org. Chem. 1944, 9,89-101)の方法により調製されたフェニルスルファミン酸ナトリウム塩(1.0g)、及びPCl5 1.16gを溶媒の非存在下で一緒にした。発熱が収まった後、内容物を更に16時間70℃で加熱した。ベンゾトリフルオリド(5mL)を添加し、内容物を更に2時間加熱し、冷却し、濾過及び濃縮し、塩化フェニルスルファモイル182mgを得た。その塩酸塩としての化合物5(Y=H)(20mg, 0.085mmol)を、無水CH2Cl2の1mL中に溶解し、CH2Cl2の0.5ml中でフェニルスルファモイルクロリド(34mg)を一度に添加し、その後CH2Cl2の0.5mL中にトリエチルアミン(50μL, 36mg)を添加した。周囲温度で16時間攪拌した後、その反応を、飽和NaHCO3で停止した後、分離し、水及びブラインで洗浄し、乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中の2%EtOAc)で精製し、表題化合物20mgを得た。LC-MS RT=3.56分。(M-H)- 395。
【0245】
実施例12. 2,8aβ-ジベンジル-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン (IB-1:Y=H, R4=Ph)
【0246】
【化43】

【0247】
金属リチウム(150mg)を、液体アンモニア75mLを投入したフラスコに添加した。2,8a-ジベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(4, R=H)(2.0g)を添加し、内容物を-78℃で20分間攪拌した。更に金属リチウム150mgを添加し、攪拌を更に15分間継続した。固形塩化アンモニウムを、青色が消失するまで添加した。内容物を周囲温度に温め、ジクロロメタンで抽出した。有機相を、飽和塩化アンモニウムで洗浄し、乾燥及び濃縮し、精製した残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中の10%EtOAc)により得、表題化合物0.60gを得た。LC-MS:RT=2.15分、(M+H)+ 334。
【0248】
実施例13. 8aβ-ベンジル-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IB-1:Y=H, R4=H)
【0249】
【化44】

【0250】
化合物IB-1(Y=H, R4=Ph)(1.14g, 3.42mmol)及び水酸化パラジウム(0.35g, 0.342mmol)を、酢酸40mLに懸濁し、大気圧で21時間水素化した。反応混合物を濾過し、濃縮し、CH2Cl2中に溶解し、ジエチルエーテル中の1M HClで処理し、表題化合物をその塩酸塩として、ベージュ色の固形物0.96gを得た。LC-MS:RT=1.67分、(M+H)+ 244。
【0251】
実施例14. 2-ベンゼンスルホニル-8aβ-ベンジル-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IB-5:Y=H, R4A=Ph)
【0252】
【化45】

【0253】
8aβ-ベンジル-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロイソキノリン-6-オン(IB-1:Y=H, R4=H)(84mg, 0.348mmol)及びベンゼンスルホニルクロリド(49μL, 0.383mmol)をCH2Cl2中で攪拌し、ジイソプロピルエチルアミン(73μL)を添加した。内容物を、18時間攪拌し、CH2Cl2で希釈し、水、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮及びフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中10%EtOAc)により精製し、表題化合物を、ワックス状の淡黄色固形物(83mg)として得た。LC-MS:RT=3.24分、(M+H)+ 384。
【0254】
以下の化合物を、同様に調製した:
N-[4-(8aβ-ベンジル-6-オキソ-3,4,4aα, 5,6,7,8,8aα-オクタヒドロ-1H-イソキノリン-2-スルホニル)フェニル]メタンスルホンアミド、化合物(IB-5:Y=H, R4A=(4-NHSO2Me)Ph)
【0255】
【化46】

【0256】
8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン6-オン(IB-5:Y=H, R4A=(4-t-ブチル)Ph)
【0257】
【化47】

;及び
【0258】
2-(4-アセチルベンゼンスルホニル)-8aβ-ベンジル-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IB-5:Y=H, R4A=(4-COMe)Ph)
【0259】
【化48】

【0260】
実施例15. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロイソキノリン-6β-オール(IA-7:Y=H, L4=SO2, R4=(4-tertブチル)Ph)
【0261】
【化49】

【0262】
化合物IA-5(Y=H, R4=(4-tert-ブチル)Ph)(69mg, 0.158mmol)を、エタノール(4mL)中に溶解し、及び水素化ホウ素ナトリウム(24mg, 0.632mmol)を一気に添加した。内容物を、周囲温度で20時間攪拌し、水で希釈し、CH2Cl2で抽出し、水及びブラインで洗浄し、濃縮し、及びフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中0から5%EtOAc)により精製し、表題化合物(18mg)を得た。LC-MS:RT=4.21分、(M+H)+ 440。
【0263】
実施例16. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-オール(IB-7:Y=H, L4=SO2, R4=(4-tert-ブチル)Ph)
【0264】
【化50】

【0265】
化合物IB-5(Y=H, R4=(4-t-ブチル)Ph))(40mg, 0.104mmol)を、エタノール(2mL)中に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(16mg, 0.417mmol)を添加し、内容物を周囲温度で20時間攪拌した。内容物を水で希釈し、CH2Cl2で抽出した。有機物を、水、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮し、及びフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を無色油状物として得た(24mg)。LC-MS:RT=3.48分。(M+H)は検出しなかった。NMR 400MHz、CDCl3 δ7.75, 7.60, 7.52, 7.45, 7.33, 7.22, 3.92, 3.70, 3.60, 3.10, 2.68, 2.16, 1-40-1.95, 1.50, 1.38 1.18, 0.68。
【0266】
化合物IB-5(Y=H, R4A=Ph)から同様の様式で調製した:
8aβ-ベンジル-2-(ベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-オール(IB-7:Y=H, L4=SO2, R4=Ph)
【0267】
【化51】

【0268】
実施例17. 8a-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベネネ(benene)スルホニル)-6α-メチル-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-オール(IB-9:Y=H, L4=SO2, R2=Me, R4=(4-tert-ブチル)Ph)
【0269】
【化52】

【0270】
化合物IB-5(Y=H, R4=(4-t-ブチル)Ph))(20mg, 45.6μmol)を、窒素下でTHF 1mLに溶解し、0℃に冷却した。塩化メチルマグネシウム(3M THF溶液23μL、68μmol)を滴下し、内容物を0℃で1時間攪拌し、周囲温度で更に0.5時間温めた。飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、内容物をCH2Cl2で抽出し、乾燥し、濃縮し、及びフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2中で5%EtOAc)により精製し、表題化合物として白色粉末(12mg)を得た。LC-MS:RT=4.28分。(M+H)+ 456。
【0271】
実施例18. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6β-メトキシ1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロイソキノリン(IA-11:Y=H, L4=SO2, R1J=Me, R4=(4-t-ブチル)Ph))
【0272】
【化53】

【0273】
化合物IA-7(Y=H, L4=SO2, R4=(4-tert-ブチル)Ph))(14mg, 0.032mmol)を、窒素大気下で、1mLのTHFに溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散, 7mg, 0.175mmol)、その後ヨウ化メチル(10μL,0.155mmol)を添加した。懸濁液を、75℃で20時間加熱し、その後冷却し、水で反応停止し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、黄色ガラスを得、これをシリカクロマトグラフィー(CH2Cl2中で0から10%EtOAc)により精製し、表題化合物を白色粉末として得た。LC-MS:RT=4.82分、(M+H)+ 454。
【0274】
同様にIB-7(Y=H, L4=S02, R4=(t-ブチル)ph))から、8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6β-メトキシ-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン(IB-11:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R1J=Me)を調製した。LC-MS:RT=4.79分、(M+H)+ 456。
【0275】
【化54】

【0276】
同様に、8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6β-(2-メトキシエトキシ)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン(IB-11:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R1J=(CH2)2OMe)を調製した。LC-MS:RT=4.68分間、(M+H)+ 500。
【0277】
【化55】

【0278】
実施例19. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-イルアミン(IB-13:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R2E= H)及び8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6α-イルアミン(IB-14:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R2E=H)
【0279】
【化56】

【0280】
化合物IB-5(Y=H, R4=(4-t-ブチル)Ph))(40mg, 0.091mmol)を、攪拌しながら、メタノール7mL中に懸濁した。酢酸アンモニウム(84mg, 1.09mmol)、その後シアノ水素化ホウ素ナトリウム(11.5mg, 0.18mmol)を添加し、内容物を20時間攪拌した。溶液を、1N HClによりpH2に酸性とし、その後固形炭酸カリウムにより塩基性とし、水で希釈し、CHCl3で抽出した。有機相を、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、無色ガラスを得た。シリカ上で精製し(5〜10%MeOH, CH2Cl2)、アミンIB-14(6mg)を白色固形物として、LC-MS:RT=2.80分、(M+H)+ 441、及び白色固形物アミンIB-14(16mg)を白色固形物として得た。LC-MS:RT=2.81分、(M+H)+ 441。
【0281】
実施例20. N-[8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6α-イル]-アセトアミド(IB-14:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R2E=アセチル)
【0282】
【化57】

【0283】
化合物IB-14(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R2E=H)(7mg, 0.016mmol)を、ピリジン(1mL)に溶解した。無水酢酸(15μL, 0.154mmol)を添加し、溶液を周囲温度で20時間攪拌した。残渣を蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc, CH2Cl2)により精製し、表題化合物(3.9mg)を白色固形物として得た。LC-MS:RT=4.07分、(M+H)+ 483。
【0284】
実施例21. N-[8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-イル]-アセトアミド(IB-13:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph), R2E=アセチル)
【0285】
【化58】

【0286】
8aから化合物IB-13(Y=H, L4=SO2, R4=(4-tブチル)Ph), R2E=H)を同様に調製した。LC-MS:RT=4.05分、(M+H)+ 483。
【0287】
実施例22. 2-ベンゼンスルホニル-8a-ベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オンオキシム(IA-17:Y=H, L4=SO2, R4=Ph, R2A=H)
【0288】
【化59】

【0289】
化合物IA-5(Y=H, R4=Ph)(35mg, 0.09mmol)を、エタノール(1ml)中に懸濁した。これに、硫酸ヒドロキシルアミン(水250μL中0.12mmol)を添加し、得られる混合物を、周囲温度で2時間攪拌した。溶媒を、真空下で除去し、残渣を水で摩砕した。沈殿を濾過し、乾燥し、表題化合物をオキシムE/Z異性体の3:1混合物として得た。LC-MS:RT=3.58 & 3.62分。(M+H)+ 397;(M+CH3CN+H)+ 438。
【0290】
以下の化合物を、同様に調製した:
2-ベンゼンスルホニル-8a-ベンジル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オンO-メチルオキシム、化合物IA-17(Y=H, L4=SO2, R4=Ph, R2A=Me):
【0291】
【化60】

;及び
【0292】
8a-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オンO-メチルオキシム、化合物IA-17(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph, R2A=Me)
【0293】
【化61】

【0294】
実施例23. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2H-イソキノリン-6-オンオキシムIB-17(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph, R2A=H)
【0295】
【化62】

【0296】
化合物IB(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)(41.6mg, 0.095mmol)を、エタノール1mLに懸濁した。水250μL中の硫酸ヒドロキシルアミン(17mg, 0.104mmol)及び酢酸ナトリウム(8.5mg, 0.104mmol)を添加し、内容物を周囲温度で18時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を水とCH2Cl2の間で分配し、1時間激しく攪拌した。有機相を分離し、乾燥し、濃縮し、表題化合物を、白色固形物のオキシムE/Z異性体の混合物(41mg)として得た。LC-MS:RT=4.14分、(M+H)+ 455, (M+MeCN+H)+ 496。
【0297】
実施例24. 8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロ-イソキノリン-6β-カルボン酸メチルエステル(8: Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)
【0298】
【化63】

【0299】
2-トリメチルシリル-1,3-ジチアン(92μL, 0.483mmol)を、THF(1mL)に溶解し、窒素下で0℃に冷却した。N-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5Mを0.19mL, 0.48mmol)を添加し、この溶液を0℃で更に10分間攪拌した。溶液を、-78℃に冷却し、THF(1.5mL)中の化合物IB(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph) (100mg,0.23mmol)を滴下した。この溶液を、-78℃で更に20分間攪拌した。ブライン(1ml)を添加し、内容物を周囲温度へ温め、その後水で希釈し、CH2Cl2で抽出した。抽出物を乾燥し、濃縮し、粗生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6-[1,3]ジチアン-2-イリデン-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン(7:Y=H, X=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)を白色固形物(115mg)として得た。この中間体を、メタノール(8ml)及び過塩素酸(65μL, 1.08mmol)中に溶解し、塩化水銀(II)(229mg, 0.85mmol)を添加した。混合物を、還流温度で2時間加熱し、90時間周囲温度で攪拌した。内容物をCH2Cl2で希釈し、HyFloフィルターエイドを通し濾過した。CH2Cl2相を、飽和Na2SO3溶液で洗浄し、乾燥し、濃縮し、残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を、無色ガラス(79mg)として得た。LC-MS:RT=4.78分、(M+H)+ 484。
【0300】
実施例25. E & Z-[8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,4aα,5,7,8,8a-オクタヒドロ-2Hオクタヒドロイソキノリン-6-イリデン]酢酸エチルエステル(10:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)
【0301】
【化64】

【0302】
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、6.6mg、0.164mmol)を、窒素下で無水THF(1mL)中に懸濁し、0℃に冷却した。トリエチルホスホノアセテート(27μL, 0.137mmol)を滴下し、混合物を0℃で15分間攪拌した。THF(0.7mL)中の化合物IB(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)(50mg, 0.114mmol)を添加し、反応混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応内容物を、ブラインとジエチルエーテル間で分配し、有機相を分離し、乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、E及びZ幾何異性体の混合物を白色固形物(60mg)として得た。これらは、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)で精製した:LC-MS:RT=5.04分、(M+H)+ 510 (Z-異性体);RT=5.00分、(M+H)+ 510(E-異性体)。
【0303】
実施例26. [8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロ-イソキノリン-6-イル]酢酸エチルエステル(11:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)
【0304】
【化65】

【0305】
化合物10(Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)(34mg, 0.067mmol)を、酢酸エチル(1.5mL)中に溶解し、及び酸化白金(IV)(4.5mg)を添加した。この混合物を水素大気(1気圧)下で22時間攪拌し、その後HyFloフィルターエイドのパッドを通して濾過し、濃縮し、残渣を得、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し(シクロヘキサン/ジエチルエーテル3:1)、エピマー混合物として表題化合物(白色固形物6mg)を得た。LC-MS:RT=4.99分。(M+H)+ 512。
【0306】
実施例27. [8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6-イル]メタノール(IB-19a:Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph)
【0307】
【化66】

【0308】
8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロイソキノリン-6β-カルボン酸メチルエステル(8)(14mg, 0.029mmol)を、窒素下でTHF(0.5mL)に溶解した。LiAlH4(11mg, 0.29mmol)を添加し、内容物を周囲温度で45分間攪拌した。水2滴及び1N NaOH 2滴を添加し、混合物を10分間攪拌した。MgSO4を添加し、内容物を濾過し、濾液を濃縮し、無色のガラスを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を白色粉末として(12mg)得た。LC-MS:RT=4.36分、(M+H)+ 456。
【0309】
[8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロ-イソキノリン-6-イル]酢酸エチルエステル(11)から、2-[8aβ-ベンジル-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロ-イソキノリン-6α-イル]-エタノール(IB-22、Y=H, L4=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph, R2D3=H)及び2-[8β-ベンジル-2(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,2,3,4,4aα,5,6,7,8,8a-デカヒドロ-イソキノリン-6β-イル]-エタノール(IB-22, Y=H, X=SO2, R4=(4-t-ブチル)Ph, R2D3=H)を同様に調製した。
【0310】
【化67】

【0311】
実施例28. 2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル]-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(B(OC(CH3)2C(CH3)2O), R4=(4-t-ブチル)Ph)
【0312】
【化68】

【0313】
8a-(4-ブロモベンジル)-2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-Br, R4=4-(tert-ブチル)Ph)(0.50g, 0.97mmol)(ビスピナコラト)ジボロン(0.27g, 1.07mmol)、PdCl2(dppf)(35.4mg, 5mol%)、NaOAc(0.238g, 2.90mmol)及びDMF(2mL)を、マイクロ波反応器中で、140℃で10分間加熱した。DMFを真空下で除去し、酢酸エチル(50mL)を残渣に添加し、これを、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2中0から20%EtOAc)により精製し、表題化合物を、無色油状物として得た。LC-MS:RT=4.77分、(M+H)+ 564。
【0314】
実施例29. 2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-(4-ピペリジン-1-イルベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-ピペリジン-1-イル, R4=4-(t-ブチル)Ph)
【0315】
【化69】

【0316】
2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル]-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(B(OC(CH3)2C(CH3)2O))(50mg, 0.089mmol)、ピペリジン(11mg, 13.2μL, 0.14mmol)、Cu(OAc)2(8mg, 0.044mmol)、ピリジン(7.2μL, 0.089mmol)及びCH2Cl2(1mL)を、周囲温度で48時間攪拌した。反応内容物を、小型のシリカカートリッジに直接負荷し、CH2Cl2中10%EtOAcで溶離し、無色油状物(14mg)を得、これを更に逆相分取HPLCにより精製し、表題化合物を無色ガラス(4mg)として得た。LC-MS:RT=3.14分、(M+H)+ 521。
【0317】
下記化合物を、2-(4-tブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル]1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(B(OC(CH3)2C(CH3)2O))から同様に調製した:
【0318】
2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-(4-モルホリン-4-イルベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-モルホリン-4-イル, R4=4-(t-ブチル)Ph)
【0319】
【化70】

【0320】
2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ベンジル]-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(4-メチルピペラジン-1-イル), R4=4-(t-ブチル)Ph)
【0321】
【化71】

;及び
【0322】
2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(4-ヒドロオキシピペリジン-1-イル)ベンジル]-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル, R4=4-(tブチル)Ph)
【0323】
【化72】

【0324】
実施例30. 2-(4-t-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-(4-ピリジン-4-イルベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(4-ピリジン-4-イル, R4=4-(t-ブチル)Ph)
【0325】
【化73】

【0326】
8a-(4-ブロモベンジル)-2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-Br, R4=4-(t-ブチル)Ph)(50mg, 0.097mmol)、ピリジン-4ボロン酸(17.8mg, 0.145mmol)、Cs2CO3(2M水溶液0.2mL)、PdCl2(dppf)(7.3mg, 10mol%)及びDMF(0.5mL)を一緒にし、マイクロ波反応器で10分間140℃に加熱した。冷却後、CH2Cl2(25mL)を添加し、有機物を1M NaOH、水及びブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2中で0〜50%EtOAc)により精製し、表題化合物としてオレンジ色油状物(26mg)を得た。LC-MS:RT=3.03分、(M+H)+ 515。
【0327】
以下の化合物を同様に調製した:
2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-(4-ピリミジン-5-イルベンジル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-ピリミジン-5-イル, R4=4-(tert-ブチル)Ph);
【0328】
【化74】

;及び
【0329】
2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-[4-(1H-ピラゾール-4-イル)ベンジル]-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-5:Y=4-(1H-ピラゾール-4-イル), R4=4-(tert-ブチル)Ph);
【0330】
【化75】

【0331】
実施例31. 6-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-3H-イソキノリン-2,8a-ジカルボン酸-2-tert-ブチルエステル8a-メチルエステル(13:L3=CO, R3=OCH3, Z=Boc)
【0332】
【化76】

【0333】
4-オキソ-ピペリジン-1,3-ジカルボン酸1-tert-ブチルエステル3-メチルエステル12(L3=CO, R3=OCH3, Z=Boc)(8.9g, 34.6mmol)を、ジクロロメタン(25mL)に溶解し、塩化鉄(III)(0.28g, 1.73mmol)及びメチルビニルケトン(5.76mL, 69.2mmol)を添加し、周囲温度で18時間加熱した。揮発性物質を、真空除去した。残渣を、ジクロロメタン(60mL)に再度溶解し、ピロリジン(2.13mL, 25.6mmol)及び酢酸(1.46mL, 25.6mmol)を添加し、周囲温度で19時間加熱した。溶媒を真空で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)により精製し、表題化合物13(L3=CO, R3=OCH3, Z=Boc) 6.72 gを黄色油状物として得た。LC-MS:RT=3.04分, (M+H)+ 310。
【0334】
実施例32. 6-オキソ-2,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-カルボン酸メチルエステル(14:L3=CO, R3=OCH3)
【0335】
【化77】

【0336】
ジクロロメタン(20mL)中のトリフルオロ酢酸(5.22mL, 45.8mmol)を、13(L3=CO, R3=OCH3, Z=Boc)(7.10g, 22.9mmol)に添加し、周囲温度で2時間加熱した。溶媒を蒸発し、14(L3=CO, R3=OCH3)を黄色油状物として4.8g得た。安定性が悪いために、この化合物は精製せずに引き続きの反応にすぐ使用した。
【0337】
実施例33. 2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6-オキソ-2,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-カルボン酸メチルエステル(IA-27:L3=CO, R3=OCH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0338】
【化78】

【0339】
4-tert-ブチルベンゼンスルホニルクロリド(4.27g, 18.4mmol)を、1,2-ジクロロメタン(150mL)中の化合物14(L3=CO, R3=OMe)(12.1g, 16.7mmol)、トリエチルアミン(14.5mL, 83.5mmol)の攪拌溶液に添加した。その後得られた混合物を、室温で21時間攪拌した。反応混合物を、水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)により、表題化合物IA-27(L3=CO, R3=OCH3, R4A=4-(tブチル)フェニル)6.7gを黄色油状物として得、静置して固化した。LC-MS:RT=3.84分、(M+H)+ 406。
【0340】
実施例34. 2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-カルボン酸メチルエステル(15:L3=CO, R3=OCH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0341】
【化79】

【0342】
2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6-オキソ-2,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン8a-カルボン酸メチルエステル(IA-27:L3=CO, R3=OMe, R4A=4-(t-ブチル)フェニル)(4.6g, 11.36mmol)を、ジメトキシエタノール(40mL)中に溶解し、エチレングリコール(40mL)及びクロロトリメチルシラン(10.1mL, 79.52mmol)を添加し、この混合物を周囲温度で17時間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で反応停止し、その後有機物を3x100mLジクロロメタンで抽出した。溶媒を真空で除去し、表題化合物15(L3=CO, R3=OMe, R4A=4-(t-ブチル)Ph)4.70gを白色固形物として生じた。LC-MS:RT=4.01分, (M+H)+ 450。
【0343】
実施例35. [2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-イル]-メタノール(16:R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0344】
【化80】

【0345】
化合物15(L3=CO, R3=OMe, R4A=4-(t-ブチル)Ph(4.70g, 10.47mmol))を、窒素下でジクロロメタン(100mL)中に溶解し、温度を-78℃に低下した。DIBAL-H(1M溶液, 41.9mL, 41.9mmol)を緩徐に添加し、反応混合物を2時間攪拌した。メタノール(10mL)を添加し、溶液を室温に温めた。水を添加し、有機相を収集し、乾燥し(MgSO4)、真空で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、16(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)0.16gを生じた。LC-MS:RT=3.65分, (M+H)+ 422。
【0346】
実施例36. 2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-8a-エトキシメチル-6,6-エチレンジオキシ-1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-イソキノリン(17:R3A=CH2CH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph, R=Et)
【0347】
【化81】

【0348】
化合物16(R4A=4-(t-ブチル)Ph)(102mg, 0.24mmol)を、窒素下でテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、その後水素化ナトリウム(29mg, 0.73mmol)を添加した。10分後、臭化エチル(53μL, 0.73mmol)を添加し、75℃で18時間加熱した。冷却後、水を添加し、有機物をジクロロメタンで抽出し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)103mgを生じた。LC-MS:RT=4.41分, (M+H)+ 472。
【0349】
下記の化合物を、[2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-イル]-メタノール(16)から同様に調製した:
2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-8a-(2-メトキシ-エトキシメチル)-1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-イソキノリン(17:R3A=CH2CH2OCH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0350】
【化82】

;及び
【0351】
2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-8a-(ピリジン-2-イルオキシメチル)-1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-イソキノリン(17:R3A=(2-ピリジル), R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0352】
【化83】

【0353】
実施例37. 2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-8a-エトキシメチル-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-29:R3A=CH2CH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0354】
【化84】

【0355】
化合物17(R3A=CH2CH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)(103mg, 0.23mmol)を、ジクロロメタン(4mL)に溶解し、0℃に冷却し、過塩素酸(68μL, 1.15mmol)を添加した。この温度で40分経過後、反応液を周囲温度に温め、更に90分間攪拌を継続した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を添加し、混合物を3xCH2Cl2(10mL)で抽出し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)97mgを生じた。LC-MS:RT=4.05分, (M+H)+ 406。
【0356】
下記の化合物を同様に調製した:
2-(4-tert-ブチルベンゼンスルホニル)-8a-(2-メトキシ-エトキシメチル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-29:R3A=OCH2CH2OCH3, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0357】
【化85】

【0358】
2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-8a-(ピリジン-2-イルオキシメチル)-1,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-29:R3A=(2-ピリジル), R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0359】
【化86】

【0360】
実施例38. 2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-イソキノリン-8a-カルボアルデヒド(18:R4A=4-(tブチル)Ph)
【0361】
【化87】

【0362】
塩化オキサリル(30μL, 0.34mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中のDMSO(54μL, 0.77mmol)溶液に-78℃で添加した。化合物16(66mg, 0.16mmol)を、ジクロロメタン(2mL)中に溶解し、反応混合物に緩徐に添加した。45分後、トリエチルアミン(77μL, 0.77mmol)を添加し、反応混合物を周囲温度に加熱した。30分後、ジクロロメタン(10mL)及び水(10mL)を添加し、有機相を収集し、乾燥し(MgSO4)、真空で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中5%EtOAc)0.16gを生じた。LC-MS:RT=3.97分, (M+Na)+ 442。
【0363】
実施例39. (S)-2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-6,6-エチレンジオキシ-8a-モルホリン-4-イルメチル-1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-イソキノリン(20:L3=CH2, R3=モルホリノ, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0364】
【化88】

【0365】
(R)-エノン13(L3=CO, R3=OMe, Z=Boc)を、文献の手法に従い調製し(Org. Lett. 6, 1171 (2004))、(R)-IA-27に転換し、その後スキームXII及びXIIIに従い、(R)-18(R4A=4-(t-ブチル)Ph)に転換した。化合物(R)-18(R4A=4-(t-ブチル)Ph)(69mg, 0.16mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、モルホリン(30μL, 0.32mmol)及びトリアセト水素化ホウ素ナトリウム(68mg, 0.32mmol)を添加し、得られた混合物を、19時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を添加し、有機物を3x10mLのジクロロメタンで抽出し、乾燥し(MgSO4)、真空で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中5%EtOAc)0.16gを生じた。LC-MS:RT=2.64分, (M+H)+ 491。
【0366】
実施例40. (S)-2-(4-tert-ブチル-ベンゼンスルホニル)-8a-モルホリン-4-イルメチル-1,3,4,7,8-8a-ヘキサヒドロ-2H-イソキノリン-6-オン(IA-30:L3=CH2, R3=モルホリノ, R4A=4-(t-ブチル)Ph)
【0367】
【化89】

【0368】
化合物(S)-19(R3B/C=CH2CH2OCH2CH2, R4A=4-(t-ブチル)Ph)(245mg,0.5mmol)を、ジクロロメタン(2mL)に溶解し、0℃に冷却し、ここに過塩素酸(50μL)を添加した。この温度で40分後、反応液を周囲温度に温め、更に90分間攪拌を継続した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を添加し、混合物を3xCH2Cl2(10mL)で抽出し、真空で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2 100%からCH2Cl2中10%EtOAc)で精製し、表題化合物120mgを生じた。LC-MS:RT=2.8分, (M+H)+ 447。
【0369】
実施例41. 糖質コルチコイド受容体結合アッセイ
以下に、ヒト組換え糖質コルチコイド受容体のデキサメタゾン結合の阻害を決定するアッセイを説明する:
【0370】
結合プロトコール:化合物を、リガンドとして3H-デキサメタゾンによる、ヒト組換え糖質コルチコイド受容体を使用し、結合置換アッセイにおいて試験した。受容体の給源は、組換えバキュロウイルス-感染した昆虫細胞である。このGRは、ヒート-ショックにおそらく関連している完全長ステロイドホルモン受容体及び他の内在性タンパク質である。
【0371】
このアッセイは、適当な容積のアッセイ緩衝液中0.5nM GR溶液、被験化合物の存在下2.5nM 3H-デキサメタゾン(Amersham, TRK 645)、被験化合物ビヒクル(全結合について)又は過剰なデキサメタゾン(20μM, 非特異的結合を決定するため)を含有する、最終容積2O0μLの底がv字型の96-ウェルポリプロピレンプレートで行った。
【0372】
プライマリースクリーニングに関して、被験化合物を2つ組で1μMで試験した。これらの化合物を、100%DMSO中に10mMストック液から希釈した。100μMへの希釈後、5μlを、245μlアッセイ緩衝液に添加し、2μM化合物及び2%DMSOを得た。
【0373】
IC50決定のために、被験化合物を6種の濃度で2つ組で試験した(濃度範囲は、プライマリースクリーニングにより得られた結合阻害率(%)により左右される)。被験化合物は、100%DMSO中10mMストック液から希釈した。試験した溶液は、2%DMSO/アッセイ緩衝液中の、2x最終アッセイ濃度で調製した。
【0374】
全ての試薬及びアッセイプレートを、試薬添加の間は、氷上に配置した。試薬を、v字型のポリプロピレンプレートのウェルに、以下の順番で添加した:10nM 3H-デキサメタゾン溶液50μl、TB/NSB/化合物溶液100μl及び2nM GR溶液50μl。一旦全ての添加を行い、インキュベーション混合物を混合し、4℃で2.5時間インキュベーションした。
【0375】
2.5時間インキュベーションした後、未結合のカウント(counts)を以下のようにデキストラン被覆したチャコール(DCC)で除去した:25μlのDCC溶液(アッセイ緩衝液中10%DCC)を、全てのウェルに添加し、混合した(総容積225μl)。プレートを、4000rpmで、10分間、4℃で遠心した。上清75μl(すなわち総容積の1/3)を、光学プレートに慎重にピペッティングした。シンチレーションカクテル200μlを添加し(Microscint-40, Packard Bioscience. B.V.)、接着プレートシールをプレート上に配置し、プレートを約10分間激しく攪拌した。プレートを、Topcount上でカウントした。
【0376】
データ解析:プライマリースクリーニングに関して、結果を、最大[3H]-デキサメタゾン結合(TB)の阻害率(%)として計算した。IC50決定に関して、結果を、最大[3H]-デキサメタゾン結合の阻害率(%)として計算し、S字曲線に当てはめ(100及び0に固定)、IC50値(結合カウントの50%を置き換える化合物の濃度)を得た。
【0377】
試薬:アッセイ緩衝液:5mM DTT、10mMモリブデン酸ナトリウム、100μM EDTA及び0.1%BSAを含有する10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)。
【0378】
実施例42. 選択的結合アッセイ
選択的結合アッセイを、ヒトエストロゲン(ERα)、プロゲステロン(PR)、アンドロゲン(AR)及び鉱質コルチコイド(MR)受容体について行った。選択性アッセイを、GR結合アッセイと同じアッセイ緩衝液及び容積で行い、DCCを用いて、結合した標識から分離した。
【0379】
鉱質コルチコイド結合アッセイ:MRを、MRを含む組換えバキュロウイルスで感染したSf9細胞から得、MRをBinartらの方法(Binart, N.;Lombes, M.;Rafestin-Oblin, M. E.;Baulieu, E. E. Characterisation of human mineralocorticoid receptor expressed in the baculovirus system. PNAS US, 1991,88, 10681-10685)に従い単離した。化合物を、2.4nMの[3H]アルドステロン(Perkin Elmer NET419)により、MRの適当な希釈に対し試験し(受容体の各バッチについて決定)、室温で60分間インキュベーションした。
【0380】
エストロゲン結合アッセイ:化合物を、0.5nM ERα(PanVera 26467Aから入手)へ結合する0.56nM [3H]エストラジオール(Perkin Elmer NET517)の置換について試験し、その後室温で90分間インキュベーションした。
【0381】
プロゲステロン結合アッセイ:化合物を、1nM PR(PanVera24900から入手)へ結合する3nM[3H]-プロゲステロン(Perkin Elmer NET381)の置換について試験した。このアッセイは、4℃で120分間インキュベーションした。
【0382】
アンドロゲン結合アッセイ:化合物を、3nM PR(PanVera 24938から入手)へ結合する、6nM [3H]-ジヒドロテストステロン(Perkin Elmer NET453)の置換について、3つ組で試験した。このアッセイは、4℃で一晩インキュベーションした。
【0383】
実施例43. SW1353/MMTV-5細胞を使用するGR機能アッセイ
SW1353/MMTV-5は、内在性糖質コルチコイド受容体を含む、接着性ヒト軟骨肉腫細胞株である。これは、ウイルスプロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルスの長末端反復配列)由来の糖質コルチコイド-反応性エレメント(GRE)の後ろに位置したホタルルシフェラーゼをコードしているプラスミド(pMAMneo-Luc)で形質移入されている。安定した細胞株SW1353/MMTV-5を、このプラスミドの維持に必要であるゲネチシンで選択した。従ってこの細胞株は、糖質コルチコイド(デキサメタゾン)に感受性であり、ルシフェラーゼの発現につながった(EC50dex 10nM)。このデキサメタゾン-誘導した反応は、経時的に次第に喪失され、初期の継代物からの新たな培養が、3ヶ月毎に開始されることが必要である(凍結保存したアリコートから)。
【0384】
GR-アンタゴニストを試験するために、SW1353/MMTV-5細胞を、5xEC50dex (50mM)の存在下で、化合物のいくつかの希釈と共にインキュベーションし、誘導されたルシフェラーゼ発現の阻害を、Topcounter (LucLiteキット、Perkin Elmerより入手)におけるルミネセンスを用いて測定した。各アッセイについて、デキサメタゾンの用量-反応曲線を、各試験した化合物のIC50からKiを計算するために必要なEC50dex決定のために設定した。
【0385】
SW1353/MMTV-5細胞を、96-ウェルプレートに分布し、培地(ゲネチシン非含有)中で24時間インキュベーションした(CO2存在せず)。培地+50nMデキサメタゾン中のこれらの化合物の希釈物を添加し、プレートを更に24時間インキュベーションし、その後ルシフェラーゼ発現を測定した。
【0386】
実施例44. SW1353/Luc-4細胞を使用する細胞毒性アッセイ
化合物の細胞毒性のため又はそれらの直接のルシフェラーゼ阻害のために、化合物がデキサメタゾンが誘導したルシフェラーゼ反応(GR-アンタゴニスト)を阻害する可能性を排除するために、ホタルルシフェラーゼを構成的に発現するSW1353細胞株を、プラスミドpcDNA3.1-Lucによる形質移入及びゲネシチチンによる選択により、開発した。ルシフェラーゼを構成的に発現するこの細胞株SW1353/Luc-4を、単離した。
【0387】
SW1353/Luc-4細胞を、96-ウェルプレートに分布し、24時間インキュベーションし(CO2なし)、その後この化合物の希釈物(デキサメタゾン含まず)を添加した。更に24時間インキュベーションした後、ルシフェラーゼ発現を、「LucLite」アッセイを用いて測定した。
【0388】
実施例45. T47D/MMTV-5細胞を使用するMR及びPR機能アッセイ
T47D/MMTV-5は、内在性鉱質コルチコイド(MR)及びプロゲステロン(PR)受容体を含む、接着性ヒト乳癌細胞株である。SW1353細胞株のように、T47D細胞を、同じpMAMneo-Lucプラスミドで形質移入し、安定した株をゲネシチンで選択した。アルドステロン(EC50ald 100nM)及びプロゲステロン(EC50prog 10nM)に反応する細胞株T47D/MMTV-5を単離し、ルシフェラーゼを発現させた。
【0389】
MR-又はPR-アンタゴニストについて試験するGRアッセイのように、T47D/MMTV-5細胞を、各々、アゴニストアルドステロール(EC50ald 100nM)又はプロゲステロン(EC50prog 10nM)の5xEC50の存在下で、化合物のいくつかの希釈と共にインキュベーションした。各アッセイについて、用量反応曲線を、アルドステロン及びプロゲステロンの両方について作製した。
【0390】
T47D/MMTV-5細胞を、96-ウェルプレート(100μl)において、RPMI1640培地+10%チャコール片FCS中に分布した。細胞を、CO2-炉中で24時間インキュベーションした。その後培地+アゴニスト(500nM aldost;5OnM progest)中の化合物の希釈物100μlを添加し、プレートを更に24時間インキュベーションし、その後ルシフェラーゼ発現を測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する化合物:
【化1】

[式中、
L2及びL4は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、及び置換又は未置換のヘテロアルキレンから独立して選択される一員であり;
L3は、単結合、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のヘテロアルキレン、-C(O)-、-C(O)NH-、及び-S(O)u-(式中、uは、0、1、又は2である)から選択される一員であり;
点線a及びbは、場合により単結合であり、ここでR2が=O、=N-OR2A、又は=CR2BR2Cである場合、R1は存在せず、L2は単結合であり、及びaはR2へ直接結合した単結合であり;
R1は、存在しないか、もしくは水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり;
R2は、=O、=N-OR2A、=CR2BR2C、水素、-OR2D、-C(O)R2D、-C(O)NR2ER2F、-NR2ER2F、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、ここでR2A、R2B、R2C及びR2Dは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり;
R2E及びR2Fは、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、-S(O)mR2E1及び-S(O)mR2E2R2E3から独立して選択される一員であり、
ここでR2E及びR2Fは、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成し、並びに
R2E1、R2E2、及びR2E3は、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり、並びに
mは、0、1、又は2であり、
ここでR2及びR1は、場合により一緒になって置換又は未置換の環を形成し;
R3は、置換又は未置換の高級アルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-OR3A、及び-NR3BR3Cから選択される一員であり、ここで
R3A、R3B、及びR3Cは、独立して置換又は未置換の高級アルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、ここでR3B及びR3Cは、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成し;
R4は、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-S(O)tR4A、-S(O)tNR4BR4C、-C(O)R4A、-C(O)OR4A、-C(O)NR4BR4C、=NOR4D、及び=NOR4ENR4Fから選択される一員であり、ここで
R4A、R4B、R4C、R4D、R4E、及びR4Fは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり;並びに
tは、0、1又は2である。]
で表される化合物。
【請求項2】
R2が、=O、=N-OR2A、-OR2D、-NR2ER2F、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり;ここで
R2A及びR2Dは、水素及び置換又は未置換の(C1-C10)アルキルから独立して選択される一員であり、並びに
R2E及びR2Fは、水素及び置換又は未置換の(C1-C10)アルキルから独立して選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が、=O、=N-OR2A、及び-OR2Dから選択される一員であり;ここで
R2A及びR2Dは、水素及び未置換の(C1-C5)アルキルから独立して選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R2が、=Oであり、及び点線bが単結合である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1が、存在しないか、もしくは水素及び置換又は未置換のアルキルから選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1が、存在しないか、又は水素、メチル、及び-C≡C-CH3から選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1が存在しない、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R3が、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R3が、下記式:
【化2】

[式中、
qは、1〜5から選択される整数であり;及び
R3Dは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から独立して選択される一員であり、ここで
R3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、及びR3D6は、水素、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり、ここで
R3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成し、並びに
R3D4及びR3D5は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって置換又は未置換の環を形成する。]
で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
qが、1〜3から選択される整数であり;及び
R3Dが、水素、置換されたアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換されたシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換されたアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R3Dが、水素、R3D7-置換された(C1-C10)アルキル、R3D7-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D7-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換又は未置換のアリール、R3D8-置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から独立して選択される一員であり、
ここで、R3D1、R3D2、R3D3、R3D4、R3D5、及びR3D6は、水素、R3D7-置換又は未置換のアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換のシクロアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換又は未置換のアリール、及びR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり、
ここで、R3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成し、並びに
ここで、R3D4及びR3D5は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成し、
ここで、R3D7は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R3D9-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R3D9-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D9-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D9-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D10-置換又は未置換のアリール、及びR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、並びに
R3D8は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R3D9-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R3D9-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R3D9-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R3D9-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R3D10-置換又は未置換のアリール、及びR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、
R3D9は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、並びに
R3D10は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される一員である、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
R3が、下記式:
【化3】

[式中、
R3Dは、水素、R3D7-置換された(C1-C5)アルキル、R3D7-置換又は未置換の2-5員のヘテロアルキル、R3D7-置換された(C5-C7)シクロアルキル、R3D7-置換又は未置換の5-7員のヘテロシクロアルキル、R3D8-置換されたアリール、R3D8-置換又は未置換のヘテロアリール、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び-C(O)R3D6から選択される一員である。]
で表される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R3Dが、-NR3D1R3D2、-OR3D3、-C(O)NR3D4R3D5、及び環窒素を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、ここで
R3D1及びR3D2は、水素、R3D7-置換されたアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、及びR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり、
ここでR3D1及びR3D2は、場合によりそれらが結合する窒素と一緒に、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成し、ここで該環は場合により、追加の環ヘテロ原子を含み;並びに
R3D3、R3D4及びR3D5は、水素、窒素ヘテロ原子を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロアルキル、
環窒素を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、
環窒素を含むR3D8-置換又は未置換のヘテロアリール、及び
窒素ヘテロ原子を含むR3D9-置換又は未置換のヘテロアルキル、環窒素を含むR3D9-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくは環窒素を含むR3D10-置換又は未置換のヘテロアリールで置換されたアルキルから独立して選択される一員であり、
ここで、R3D4及びR3D5は場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくはR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成し、ここで該環は場合によりヘテロ原子を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R3D1及びR3D2、並びにR3D4及びR3D5が、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、追加のヘテロ原子を含むR3D7-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、もしくは追加のヘテロ原子を含むR3D8-置換又は未置換のヘテロアリールを形成する、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
R3D1及びR3D2、並びにR3D4及びR3D5が、場合によりそれらが結合する窒素と一緒になって、R3D8-置換又は未置換のオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、プリニル、ピラジジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はキノキサリニルを形成する、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R4が、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
R4A、R4B、R4C、R4D、R4E、及びR4Fが、置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
R4が、下記式:
【化4】

[式中、
R4Gは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり;
Aは、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される、置換又は未置換の環であり;
Xは、単結合、-S(O)V、及び-S(O)VNR4I-から選択される一員であり、ここでR4Iは、水素、置換又は未置換のアルキル、及び置換又は未置換のヘテロアルキルから選択される一員であり、及び
vは、0、1、又は2であり;並びに
wは、1〜5の整数である。]
で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
R4Gは、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4GI-置換又は未置換のアルキル、R4GI-置換又は未置換のヘテロアルキル、R4GI-置換又は未置換のシクロアルキル、R4GI-置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、R4G2-置換又は未置換のアリール、及びR4G2-置換又は未置換のヘテロアリールから独立して選択される一員であり、ここで
R4GIは、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4G3-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R4G3-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R4G3-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R4G3-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R4G4-置換又は未置換のアリール、及びR4G4-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、並びに
R4G2は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、R4G3-置換又は未置換の(C1-C10)アルキル、R4G3-置換又は未置換の2-10員のヘテロアルキル、R4G3-置換又は未置換の(C3-C8)シクロアルキル、R4G3-置換又は未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、R4G4-置換又は未置換のアリール、及びR4G4-置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、
R4G3は、ハロゲン、オキソ、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、並びに
R4G4は、ハロゲン、-OH、-COOH、-CF3、-NH2、-SH、未置換の(C1-C10)アルキル、未置換の2-10員のヘテロアルキル、未置換の(C3-C8)シクロアルキル、未置換の3-8員のヘテロシクロアルキル、未置換のアリール、及び未置換のヘテロアリールから選択される一員である、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
Aは、フェニル、ピラゾリル、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、ピリダジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チエニル、トリアジニル、チアジアゾリル、ジオキソラニル、ジオキサニル、トリオキサニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、モルホリノ、ピペリジニル、及びピペラジニルから選択される一員である、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
R4Gが、水素、置換された(C1-C5)アルキル、置換又は未置換の2-5員のヘテロアルキル、置換された(C5-C7)シクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換されたアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択され;
Aは、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される、置換又は未置換の環であり;並びに
R4Iは、水素である、請求項18記載の化合物。
【請求項22】
R4Gが、分枝した又は分枝していない(C1-C10)アルキルである、請求項18記載の化合物。
【請求項23】
Xが、-S(O)2-である、請求項18記載の化合物。
【請求項24】
L2、L3及びL4が、単結合及び未置換の(C1-C5)アルキレンから独立して選択される一員である、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
点線bが、単結合であり;R2が、=Oであり;R3が、置換又は未置換のベンジルであり;R4が、下記式:
【化5】

[式中、
R4Gは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり、
Aは、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される置換又は未置換の環であり、及び
Xは、-S(O)2-であり;
L3は、単結合であり;及び、
L4は、単結合である。]
である、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
下記式:
【化6】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
下記式:
【化7】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
下記式:
【化8】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
下記式:
【化9】

[式中、
R4Gは、置換又は未置換のアルキル、置換又は未置換のヘテロアルキル、置換又は未置換のシクロアルキル、置換又は未置換のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される一員であり;
Aは、置換又は未置換の(C3-C7)シクロアルキル、置換又は未置換の3-7員のヘテロシクロアルキル、置換又は未置換のアリール、及び置換又は未置換のヘテロアリールから選択される置換又は未置換の環であり;並びに
Xは、単結合、-S(O)2-、及び-S(O)2NR4I-から選択される一員であり、ここでR4Iは、水素、置換又は未置換のアルキル、及び置換又は未置換のヘテロアルキルから選択される一員である。]
で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項30】
糖質コルチコイド受容体を調節することによる障害又は症状の治療方法であって、請求項1記載の化合物の有効量を、そのような治療を必要とする対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
糖質コルチコイド受容体と拮抗することによる障害又は症状の治療方法であって、請求項1記載の化合物の有効量を、そのような治療を必要とする対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
糖質コルチコイド受容体を請求項1記載の化合物と接触するステップ、及び糖質コルコイド受容体の活性の変化を検出するステップを含む、糖質コルチコイド受容体の調節方法。
【請求項33】
医薬として許容される賦形剤及び請求項1記載の化合物を含有する、医薬組成物。

【公表番号】特表2007−517894(P2007−517894A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549454(P2006−549454)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000607
【国際公開番号】WO2005/070893
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(503345477)コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】