説明

インバータ装置

【課題】回転電機との電気的接続構造を簡素化すると共に冷却性能を確保するべく、各構成部品の配置を最適化する。
【解決手段】直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子と、スイッチング素子が載置されるベースプレートと、ベースプレートに設けられる放熱フィンと、車両Vの駆動力源としての回転電機3との間で交流電力の入出力を行う交流端子25と、直流電力の平滑用のコンデンサと、を備えたインバータ装置1。回転電機の回転軸3aが車両Vの幅方向に延びるように配置され、ベースプレートと交流端子25とが車両の幅方向に隣接して配置され、複数の交流相端子が、回転電機3の回転軸3aに対して交差する方向に沿って順に配列され、コンデンサが、放熱フィンに対して車両Vの進行方向後方側に隣接して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子と、これら複数のスイッチング素子が載置される素子載置面を有するベースプレートと、ベースプレートの素子載置面とは反対側に設けられる放熱フィンと、車両の駆動力源としての回転電機との間で交流電力の入出力を行うと共に前記スイッチング素子と電気的に接続された交流端子と、直流電力の平滑用のコンデンサと、を備えたインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギや環境負荷軽減等の観点から、回転電機を駆動力源として備えたハイブリッド車両や電動車両が注目を集めている。このようなハイブリッド車両等においては、一般に高圧バッテリ等の直流電源が備えられる一方、回転電機は交流電力で駆動される場合が多い。そのため、ハイブリッド車両等には、直流電源と回転電機との間にインバータ装置が備えられる。
【0003】
上記のようなインバータ装置として、例えば下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。以下、この背景技術の欄の説明では、〔〕内に特許文献1における対応する部材の名称及び符号を引用して説明する。特許文献1の図2及び図3に示されているように、この装置は、複数のスイッチング素子〔MOS−FET111a〜111f〕が設けられたベースプレート〔電動機基板120及び冷却フィン12〕と、当該ベースプレートにおけるスイッチング素子が載置される面とは反対側に設けられる放熱フィン〔冷却フィン12〕と、回転電機〔モータジェネレータ940〕との間で交流電力の入出力を行う複数の交流相端子〔交流端子71,72,73〕と、直流電力の平滑用のコンデンサ〔電解コンデンサ21,22,23〕と、を備えている。
【0004】
特許文献1では、インバータ装置と回転電機とは、車両の幅方向に互いに離間して配置されている。また、特許文献1では、インバータ装置の車両への搭載時における複数の交流相端子、放熱フィン、及びコンデンサの配置については明確には記載されていないが、特許文献1の図2、図5、及び図7を総合して参照すれば、複数の交流相端子が回転電機の回転軸に対して平行な方向に沿って順に配列されていると共に、コンデンサが放熱フィンに対して車両の進行方向前方側に配置されているものと理解される。
【0005】
しかし、このような構成では、インバータ装置における複数の交流相端子と回転電機との間の電気的な接続構造が大型化及び複雑化し易くなる。また、車両の進行方向との関係で、ベースプレートに直交する方向で比較的大きな範囲を占めるコンデンサの陰に冷却フィンが隠れてしまい、コンデンサ及びスイッチング素子の双方を効率的に冷却することができない可能性がある。すなわち、特許文献1のインバータ装置は、その構成部品(スイッチング素子やコンデンサ等)の冷却性能や車両の駆動力源としての回転電機との電気的な接続を考慮した場合に、各構成部品の配置が必ずしも最適化されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−29094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、車両の駆動力源としての回転電機に接続されるインバータ装置において、回転電機との電気的接続構造を簡素化すると共に冷却性能を確保するべく、各構成部品の配置を最適化することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る、直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子と、これら複数のスイッチング素子が載置される素子載置面を有するベースプレートと、前記ベースプレートの前記素子載置面とは反対側に設けられる放熱フィンと、車両の駆動力源としての回転電機との間で前記交流電力の入出力を行うと共に前記スイッチング素子と電気的に接続された交流端子と、前記直流電力の平滑用のコンデンサと、を備え、前記回転電機を収容する回転電機ケースに固定されているインバータ装置の特徴構成は、前記回転電機の回転軸が前記車両の幅方向に延びるように配置され、前記ベースプレートと前記交流端子とが前記車両の幅方向に隣接して配置され、前記交流端子としての複数の交流相端子が、前記回転電機の回転軸に対して交差する方向に沿って順に配列され、前記コンデンサが、前記放熱フィンに対して前記車両の進行方向後方側に隣接して配置されている点にある。
【0009】
上記の特徴構成によれば、交流端子としての複数の交流相端子が、車両の幅方向に延びるように配置される回転電機の回転軸に交差する方向に沿って順に配列された状態で、ベースプレートに対して車両幅方向の同じ側に配置される。よって、回転電機の回転軸の軸方向の同じ側で複数の交流相端子と回転電機のコイルとを接続することができるので、インバータ装置と回転電機との電気的接続構造を簡素化することができる。また、コンデンサが放熱フィンに対して車両の進行方向後方側に隣接して配置されているので、車両の前進走行に伴って生じる走行風を利用して放熱フィンからの放熱を行なわせてスイッチング素子を冷却することができると共に、その走行風をコンデンサへと導いてコンデンサをも冷却することができる。従って、上記の特徴構成によれば、車両の駆動力源としての回転電機に接続されるインバータ装置において、各構成部品の配置を最適化することができ、回転電機との電気的接続構造を簡素化すると共に冷却性能を確保することができる。
【0010】
ここで、前記素子載置面に対して前記回転電機とは反対側に前記放熱フィンが配置されている構成とすると好適である。
【0011】
この構成によれば、素子載置面に対して回転電機及び回転電機ケースとは反対側に放熱フィンが配置されるので、放熱フィンが素子載置面に対して回転電機及び回転電機ケース側に設けられている場合と比較して、回転電機が発生する熱の影響を受け難くなると共に放熱フィンへの冷却風の供給が容易となる。よって、放熱フィンによるベースプレートからの放熱を効率的に行わせることができる。
【0012】
また、平板状に延びる前記放熱フィンの延在方向が、前記車両の進行方向に沿った方向となるように設定されている構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、放熱フィンどうしの間を通って流れる走行風をコンデンサへと効率的に導くことができる。よって、コンデンサを効率的に冷却することができる。
【0014】
また、前記コンデンサに接続され、直流電源との間で前記直流電力の入出力を行う電源端子を備え、前記電源端子が、前記コンデンサに対して前記車両の進行方向後方側に配置されている構成とすると好適である。
【0015】
この構成によれば、電源端子がコンデンサに対して車両の進行方向後方側に配置されているので、インバータ装置を構成する各部品の中で、電源端子を車両の最も進行方向後方側の端部に配置することができる。よって、一般に車両の駆動力源(回転電機を含む)が収容される駆動力源収容室よりも車両後方側に搭載される場合が多い直流電源と、電源端子との電気的な接続を、最短経路で実現することが容易となる。よって、インバータ装置と直流電源との電気的接続構造を簡素化することができる。
【0016】
また、前記複数の交流相端子が、前記回転電機の径方向視で当該回転電機のコイルと重複する位置に配置されている構成とすると好適である。
【0017】
なお、2つの部材の配置に関して、「所定方向視で重複する」とは、当該所定方向を視線方向として当該視線方向に直交する各方向に視点を移動させた場合に、2つの部材が重なって見える視点が少なくとも一部の領域に存在することを意味する。
【0018】
この構成によれば、複数の交流相端子と回転電機のコイルとを回転電機の径方向に沿って直線的に接続することができ、交流相端子とコイルとの電気的な接続を必要最小限の部材を用いて実現することができる。よって、インバータ装置とコイルとの電気的接続構造を簡素化することができる。
【0019】
また、前記素子載置面に直交する方向から見た平面視で、前記交流端子が、前記ベースプレートから所定の第一基準方向に突出するように配置され、前記コンデンサが、前記平面視で長方形状に設定されたコンデンサ配置領域内に配置され、前記コンデンサ配置領域は、前記平面視で、前記長方形状の長辺が前記第一基準方向に平行となるように設定されていると共に、前記第一基準方向に直交する方向を第二基準方向として、前記ベースプレート及び前記交流端子が配置されるベース配置領域に対して前記第二基準方向に隣接して設定されている構成とすると好適である。
【0020】
なお、「長方形状」は、多少の異形部分を有していたとしても全体としては実質的に長方形であるとみなせることを表す概念として用いている。
【0021】
この構成によれば、ベースプレート及び当該ベースプレートから第一基準方向に突出するように配置された交流端子が配置されるベース配置領域と、コンデンサが配置されることになる第一基準方向に平行な長辺を有する長方形状のコンデンサ配置領域とが、素子載置面に直交する方向から見た平面視で第二基準方向に隣接して配置される。すなわち、ベースプレート、交流端子、及びコンデンサは、第一基準方向に沿って順に配列されるのではなく、ベースプレート及び交流端子に対してコンデンサが第二基準方向に隣接して配置される。よって、コンデンサ配置領域の第一基準方向の両端部の位置をベース配置領域の第一基準方向の両端部の位置に応じて設定することにより、ベースプレート、交流端子、及びコンデンサの全体を、平面視で長方形状の領域内にコンパクトに配置することができる。従って、全体を小型化することが可能なインバータ装置が実現できる。
【0022】
なお、スイッチング素子が設けられるベースプレートや外部機器との間で交流電力の入出力を行う交流端子と比較して、コンデンサはその大きさ及び形状の設計に関する自由度が比較的大きい。そのため、コンデンサ配置領域の大きさ及び形状に応じてコンデンサの大きさ及び形状を調整することが可能であり、上記のようなインバータ装置を適切に実現できる。
【0023】
また、前記コンデンサ配置領域の前記第一基準方向の長さが、前記ベースプレートの前記第一基準方向の長さよりも長く設定され、前記第二基準方向視で前記コンデンサ配置領域と重複する領域に、前記交流端子が配置されている構成とすると好適である。
【0024】
この構成によれば、コンデンサ配置領域とベースプレートとの第一基準方向の長さの差によって生じる領域を利用して、当該領域内に収まるように交流端子を配置することで、ベースプレート、交流端子、及びコンデンサの全体をコンパクトに配置することができる。
【0025】
また、前記ベースプレートの前記素子載置面側に少なくとも前記スイッチング素子と前記交流端子との間を電気的に接続する電気的接続部材を支持する接続支持体が設けられ、前記放熱フィン及び前記接続支持体の配置領域を含んで前記ベース配置領域が設定され、前記素子載置面に直交する方向を基準直交方向として、前記コンデンサ配置領域の前記基準直交方向の長さ及び位置が、前記ベース配置領域の前記基準直交方向の長さ及び位置と合致するように設定されている構成とすると好適である。
【0026】
なお、「合致する」とは、比較対象となる事象(長さ及び位置を含む)が、実質的に同一であることを表す概念として用いている。すなわち、「合致する」には、比較対象となる事象どうしが完全に同一である状態の他、これらの事象どうしに差異がある状態も含む。例えば、比較対象となる事象どうしの差異が当該事象の全体に比べて十分に小さく、当該事象どうしが実質的に同じであるとして周辺部分の設計や製造を行なうことが可能な状態や、設計上又は製造上許容され得る誤差による差異を有する状態も含む。
【0027】
この構成によれば、接続支持体により電気的接続部材を適切に支持しつつスイッチング素子と交流端子との間を電気的に接続することができる。
また、上記の構成では、そのような放熱フィン及び接続支持体の配置領域を含んでベース配置領域が設定されると共に、コンデンサ配置領域の基準直交方向の長さ及び位置が、ベース配置領域の基準直交方向の長さ及び位置と合致するように設定されている。そのため、基準直交方向に沿った方向での位置関係について見た場合に、コンデンサを、ベースプレート、交流端子、放熱フィン、及び接続支持体の全体が占める領域内に収まるように配置することができる。よって、デッドスペースを生じさせることなく、ベースプレート、交流端子、放熱フィン、接続支持体、及びコンデンサの全体を、第一基準方向視及び第二基準方向視の少なくとも一方で長方形状の領域内に納まるように配置することが容易となる。従って、全体を更に小型化することが可能なインバータ装置が実現できる。
【0028】
また、少なくとも前記スイッチング素子の駆動回路が設けられた制御基板を備え、前記素子載置面に直交する方向を基準直交方向として、前記制御基板は、前記コンデンサ配置領域及び前記ベース配置領域の双方に対して前記基準直交方向に隣接すると共に、前記平面視で前記コンデンサ配置領域及び前記ベース配置領域の双方と重複する位置に配置されている構成とすると好適である。
【0029】
この構成によれば、制御基板がコンデンサ配置領域及びベース配置領域の双方に対して基準直交方向に大きく離間することなく隣接して配置されるので、インバータ装置が基準直交方向に大型化するのを抑制することができる。また、制御基板が平面視(基準直交方向視)でコンデンサ配置領域及びベース配置領域の双方と重複する位置に配置されるので、制御基板も含めたインバータ装置の主要な構成部品の全体を、平面視で長方形状の領域内に納まるように配置することが容易となる。
【0030】
また、直流電源との間で前記直流電力の入出力を行う電源端子と、前記スイッチング素子との間で前記直流電力の入出力を行う直流端子と、前記コンデンサを介して前記電源端子と前記直流端子との間を電気的に接続するコンデンサ接続部材と、を備え、前記制御基板には、前記コンデンサの両極間の電圧を検出するための電圧検出回路が更に設けられ、前記コンデンサ接続部材から分岐して前記基準直交方向に沿って延びる分岐接続部が、前記制御基板を貫通した状態で前記電圧検出回路に接続されている構成とすると好適である。
【0031】
この構成によれば、電源端子と直流端子との間を電気的に接続するコンデンサ接続部材から分岐する分岐接続部を基準直交方向に沿って延出させて制御基板を貫通させることで、コンデンサ接続部材と電圧検出回路とを短い距離で接続することができる。
【0032】
また、前記電源端子と前記直流端子とが、前記第一基準方向の異なる位置であって、前記コンデンサ配置領域の前記平面視における形状の重心点に対して点対称状となる位置に配置されている構成とすると好適である。
【0033】
なお、「点対称状」は、多少の位置ずれを有していたとしても全体としては実質的に点対称であるとみなせることを表す概念として用いている。
【0034】
上記のように、第一基準方向に隣接するベースプレート及び交流端子が配置されるベース配置領域の第一基準方向の長さ及び位置がコンデンサ配置領域の第一基準方向の長さ及び位置と合致する構成では、第一基準方向におけるベース配置領域のうちの交流端子部分を除くベースプレートが配置される領域は、コンデンサ配置領域の一方側の所定範囲のみを占める領域となる。そのため、ベースプレートの平面視における形状の重心点とコンデンサ配置領域(及びコンデンサ)の平面視における形状の重心点とは第一基準方向の異なる位置となる。一方、スイッチング素子との間で直流電力の入出力を行う直流端子は、当該直流端子とスイッチング素子とを電気的に接続するための電気的接続部材の設計等を考慮すれば、ベースプレートの重心点の第一基準方向の位置に配置されていることが好ましい。この場合、直流端子とコンデンサ配置領域(及びコンデンサ)の重心点とは第一基準方向の異なる位置となる。
このような構成において、上記の構成によれば、電源端子と直流端子とが、第一基準方向の異なる位置であって、平面視におけるコンデンサ配置領域の重心点に対して点対称状となる位置に配置されている。これにより、電源端子と直流端子との間に複数のコンデンサ素子が接続された構成において、電源端子と直流端子との間のコンデンサ接続部材及び各コンデンサ素子を介した電気的接続経路の長さを、互いに合致させることができる。よって、各コンデンサ素子を流れる電流をほぼ均等化することができる。またそれに伴い、各コンデンサ素子の発熱量もほぼ均等化されるので、各コンデンサ素子を小型化し、ひいてはコンデンサ及びインバータ装置全体を小型化することができる。
【0035】
また、前記複数のスイッチング素子を用いてインバータ回路が構成され、前記インバータ回路は、正極側に接続される上段アームを構成するスイッチング素子と負極側に接続される下段アームを構成するスイッチング素子とを有するレッグを3つ有する3レッグ構成であり、前記レッグのそれぞれにおける前記上段アームと前記下段アームとを結ぶ方向が前記第一基準方向に沿った方向とされていると共に、3つの前記レッグが前記第二基準方向に沿って順に配列されている構成とすると好適である。
【0036】
この構成によれば、3レッグ構成のインバータ回路により、直流電力と三相交流電力との電力変換を行うことができる。
このとき、上記の構成では、各レッグにおける上段アームと下段アームとを結ぶ方向と、各レッグを構成するスイッチング素子と交流端子とを結ぶ方向とが、いずれも第一基準方向に沿った方向となる。よって、スイッチング素子と交流端子との間を電気的に接続する電気的接続部材の形状を直線形状に近づけて簡素化することができる。また、各相用の電気的接続部材の形状を合致させることができ、交流端子までの各相用の電気的接続部材の配置を簡略化することができる。
また、それぞれ上段アームと下段アームとが第一基準方向に沿って配置された3つのレッグが第二基準方向に沿って順に配列されているので、各レッグにおける上段アームどうし及び下段アームどうしを結ぶ方向と、それらとコンデンサ側に配置される直流端子の正極又は負極とを結ぶ方向とが、いずれも第二基準方向に沿った方向となる。よって、スイッチング素子と直流端子との間を電気的に接続する電気的接続部材の形状を直線形状に近づけて簡素化することができる。また、各極用の電気的接続部材の形状を合致させることができ、直流端子までの各極用の電気的接続部材の配置を簡略化することができる。
【0037】
また、前記上段アーム及び前記下段アームは、それぞれの長手方向が前記第一基準方向に沿った方向となるように配置されている構成とすると好適である。
【0038】
この構成によれば、上段アーム及び下段アームが、それぞれの長手方向が第二基準方向に沿った方向となるように配置されている場合と比較して、各極用の電気的接続部材の第二基準方向に沿った長さを短く抑えることができる。よって、直流電力の伝達経路となる各極用の電気的接続部材における電気抵抗を低減することが可能となり、エネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】車両に搭載される車両用駆動装置及びインバータ装置の斜視図である。
【図2】インバータ回路の構成を示す模式図である。
【図3】インバータモジュールの分解斜視図である。
【図4】インバータ装置をZ方向から見た平面図である。
【図5】インバータ装置をX方向から見た側面図である。
【図6】インバータ装置をY方向から見た側面図である。
【図7】コンデンサ内の電気回路の配置構成を示す模式図である。
【図8】車両用駆動装置及びインバータ装置の車両搭載状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係るインバータ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、ハイブリッド車両V(以下、単に「車両V」と略称する場合がある)の車輪の駆動力源として機能する回転電機3を制御するシステムにおけるインバータ装置1を例として説明する。ハイブリッド車両Vは、図8に示すように、内燃機関61と、回転電機3を有する車両用駆動装置62と、インバータ装置1と、を備えている。インバータ装置1はインバータ回路7を備え、当該インバータ装置1から見て外部機器となる回転電機3を制御する。なお、本例では、回転電機3は、三相交流で駆動される交流電動機とされている。この回転電機3は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能との双方を果たすことが可能とされている。本実施形態では、図1に示すように、車両用駆動装置62(ここでは、回転電機3を収容する回転電機ケースとしての駆動装置ケース)とインバータ装置1とが一体的に固定された構成が採用されている。
【0041】
インバータ装置1は、車両Vの駆動力源としての回転電機3及びそのエネルギ源となる直流電源としてのバッテリ2に接続されている(図2及び図8を参照)。また、インバータ装置1は、直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子14と、これら複数のスイッチング素子14が載置される素子載置面11aを有するベースプレート11と、回転電機3との間で交流電力の入出力を行う回転電機接続端子25と、直流電力の平滑用のコンデンサ31と、バッテリ2との間で直流電力の入出力を行う電源端子33と、少なくともスイッチング素子14の動作を制御するための制御基板41と、を備えている。このような構成において、本実施形態に係るインバータ装置1は、ベースプレート11、回転電機接続端子25、及びコンデンサ31の配置構成に特徴を有している。また、本実施形態に係るインバータ装置1は、車両Vへの搭載状態との関係で、各構成部品の配置構成にも特徴を有している。以下、本実施形態に係るインバータ装置1について、詳細に説明する。
【0042】
なお、本実施形態では、回転電機接続端子25が本発明における「交流端子」に相当する。また、以下の説明では、特に明記して区別している場合を除き、素子載置面11aを基準として「X方向」、「Y方向」、及び「Z方向」の各方向を定義している。より具体的には、素子載置面11aに平行かつ互いに直交する方向をそれぞれ「X方向」及び「Y方向」と定義している。本例では、図4における上下方向が「X方向」であり、ここではベースプレート11に対して回転電機接続端子25側(図4の下側)を「+X方向」とし、回転電機接続端子25に対してベースプレート11側(図4の上側)を「−X方向」としている。また、図4における左右方向が「Y方向」であり、ここではベースプレート11及び回転電機接続端子25に対してコンデンサ31側(図4の左側)を「+Y方向」とし、コンデンサ31に対してベースプレート11及び回転電機接続端子25側(図4の右側)を「−Y方向」としている。
【0043】
また、素子載置面11aに直交する方向(X方向及びY方向の双方に直交する方向)を「Z方向」と定義している。本例では、図5における上下方向が「Z方向」であり、ここではベースプレート11及びコンデンサ31に対して制御基板41側(図5の上側)を「+Z方向」とし、制御基板41に対してベースプレート11及びコンデンサ31側(図5の下側)を「−Z方向」としている。本実施形態では、X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ本発明における「第一基準方向」、「第二基準方向」、及び「基準直交方向」に相当する。
【0044】
1.インバータ回路の構成
まず、インバータ回路7の構成について説明する。本実施形態に係るインバータ回路7は、複数(本例では6つ)のスイッチング素子14を用いて構成されている。スイッチング素子14は、直流電力と交流電力との間の電力変換を行うための電子素子であり、インバータ回路7及びインバータ装置1の中核をなしている。図2に示すように、インバータ回路7は、ブリッジ回路により構成されており、バッテリ2の正極P側とバッテリ2の負極N側(例えばクランド側)との間に2つのスイッチング素子14が直列に接続され、この直列回路が3回線並列に接続されている。すなわち、インバータ回路7は、正極P側に接続される上段アームを構成するスイッチング素子14と負極N側に接続される下段アームを構成するスイッチング素子14とを有するレッグを3つ有する3レッグ構成とされている。各レッグは、回転電機3のコイル(ステータコイル)3b(図8を参照)の三相(U相、V相、W相)のそれぞれに対応している。
【0045】
図2において、符号14aはU相用上段側スイッチング素子であり、符号14bはV相用上段側スイッチング素子であり、符号14cはW相用上段側スイッチング素子である。また、符号14dはU相用下段側スイッチング素子であり、符号14eはV相用下段側スイッチング素子であり、符号14fはW相用下段側スイッチング素子である。ここで、「上段側」は正極P側のアームであることを表し、「下段側」は負極N側のアームであることを表す。
【0046】
各相の上段側スイッチング素子14a,14b,14cのコレクタは第四バスバー23dを介して正極P側に接続され、エミッタはバスバー23a,23b,23cを介して各相の下段側スイッチング素子14d,14e,14fのコレクタに接続されている。また、各相の下段側スイッチング素子14d,14e,14fのエミッタは第五バスバー23eを介して負極N側に接続されている。各スイッチング素子14のエミッタ−コレクタ間には、ダイオード素子15が並列接続されている。ダイオード素子15は、アノードがスイッチング素子14のエミッタに接続され、カソードがスイッチング素子14のコレクタに接続されている。ダイオード素子15はFWD(Free Wheel Diode)として用いられている。
【0047】
対となるスイッチング素子(14a,14d)、(14b,14e)、(14c,14f)と、それぞれ対応するバスバー23a,23b,23cとを含んで構成される各アームは、回転電機接続端子25a,25b,25cを介して回転電機3の各相のコイル3b(図8を参照)に接続されている。そして、各スイッチング素子14のゲートは、制御基板41に設けられた駆動回路43(図5を参照)に接続されており、それぞれ個別にスイッチング制御される。
【0048】
このようなインバータ回路7を含むインバータ装置1は、回転電機3に要求される要求回転速度や要求トルクに基づいて各スイッチング素子14を制御(例えば、パルス幅変調制御等)することで、バッテリ2からの直流電力を三相交流電力に変換して回転電機3に供給する。これにより、回転電機3を要求回転速度及び要求トルクに応じて力行させる。一方、回転電機3が発電機として機能し、回転電機3側から電力の供給を受ける場合には、インバータ装置1は、各スイッチング素子14を制御することで、発電された三相交流電力を直流電力に変換してバッテリ2に充電させる。
【0049】
2.インバータ装置の全体構成
次に、インバータ装置1の全体構成について、主に図3及び図4を参照して説明する。インバータ装置1は、インバータモジュール6とコンデンサ31と制御基板41とを備えている。これらは直方体状に形成されたインバータケース5(以下、単に「ケース5」と略称する)内に収容されている。インバータモジュール6は、上述したインバータ回路7が実装されたモジュールであり、バッテリ2と回転電機3との間に介挿されている。バッテリ2とインバータモジュール6との間には、コンデンサ31が更に介挿されている。
【0050】
インバータモジュール6は、ベースプレート11と、ベースプレート11に設けられる複数のスイッチング素子14と、複数のバスバー23を支持する接続支持体21とを主要な構成部品として備えている。
【0051】
ベースプレート11は、スイッチング素子14を載置するためのベースとなる板状の部材である。ベースプレート11は、銅やアルミニウム等の金属材料で構成されている。図3等に示すように、ベースプレート11の上面(+Z方向側の面;以下同様)であって当該ベースプレート11におけるスイッチング素子14が載置される面(素子載置面11a)には、絶縁部材12及び素子基板13が互いに平行或いは略平行な状態で積層されている。この積層方向はZ方向に一致している。
【0052】
絶縁部材12は、電気的絶縁性及び熱伝導性の双方を備えるシート状部材で構成され、本例では樹脂製のシート部材とされている。素子基板13は、導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)で構成され、絶縁部材12を介して熱圧着によりベースプレート11に接着固定されている。この素子基板13は、ヒートスプレッダとしても機能する。図3に示すように、本実施形態ではベースプレート11上に1つの絶縁部材12が配置され、絶縁部材12上に6つの素子基板13が配置されている。これら6つの素子基板13は、X方向に2つ並ぶと共に、Y方向に3つ並ぶように配置されている。
【0053】
各素子基板13の上面には、スイッチング素子14及びダイオード素子15がそれぞれ1つずつ載置されている。これにより、本例では、ベースプレート11の素子載置面11aに、絶縁部材12及び素子基板13を介して6つのスイッチング素子14と6つのダイオード素子15とが設けられる。そして、これらのスイッチング素子14及びダイオード素子15を含んでインバータ回路7が構成される。スイッチング素子14として、本実施形態ではIGBT(insulated gate bipolar transistor)を用いている。なお、スイッチング素子14として、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等を用いることも可能である。また、本例では、図3等に示すように、同一の素子基板13に載置されたスイッチング素子14とダイオード素子15とは、X方向に沿って並ぶように互いに隣接して配置されている。
【0054】
スイッチング素子14の上面(エミッタ電極)とダイオード素子15の上面(アノード電極)とを電気的に接続する状態で、第一電極部材17が配置されている。第一電極部材17は、本例では一定幅の帯状部材(板状部材)を用いて屈曲成形されている。また、素子基板13の上面に第二電極部材18が載置されている。第二電極部材18は、素子基板13を介してスイッチング素子14の下面(コレクタ電極)とダイオード素子15の下面(カソード電極)とを電気的に接続する。第二電極部材18は、本例ではブロック状部材とされている。第一電極部材17及び第二電極部材18の双方は、導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)で構成される。
【0055】
本実施形態では、対となるスイッチング素子(14a,14d)、(14b,14e)、(14c,14f)と、それぞれ対応するダイオード素子15、第一電極部材17、第二電極部材18、及びバスバー23a,23b,23c(以下、単に「ダイオード素子15等」と略称する場合がある)とにより、インバータ回路7の各レッグが構成される。このうち、スイッチング素子14a,14b,14cと、それぞれ対応するダイオード素子15等とにより、インバータ回路7の各上段アームが構成される。また、スイッチング素子14d,14e,14fと、それぞれ対応するダイオード素子15等とにより、インバータ回路7の各下段アームが構成される。
【0056】
そして本例では、図3及び図4に示すように、各レッグにおける上段アームと下段アームとを結ぶ方向がX方向に沿った方向とされている。本例では、図4から理解できるように、各レッグにおける上段アームと下段アームとがそれぞれY方向で占める範囲は、完全には一致せずに僅かにずれている。但し、それらは概ね等しいY方向の範囲を占めており、上段アームと下段アームとを結ぶ方向は概ねX方向に沿っている。従って、本実施形態において「X方向に沿った方向」とは、X方向に平行な方向、又はX方向に対して所定角度だけ傾斜した方向を表すものとする。この場合における所定角度は、例えば±20°の範囲内、好ましくは±10°の範囲内とすることができる。このように、各レッグにおける上段アームと下段アームとを結ぶ方向をX方向に沿った方向とすることで、バスバー23a,23b,23cにおける回転電機接続端子25a,25b,25cへ向かう部分の形状をX方向に沿った直線形状に近づけて簡素化することができる。また、バスバー23a,23b,23cの形状を互いに同一又は実質的に同一とすることができ、各バスバー23a,23b,23cの配置を簡略化することができる。
【0057】
また本例では、各アームを構成するスイッチング素子14とダイオード素子15とは、X方向に隣接して配置されている。そして、スイッチング素子14とダイオード素子15とを接続する帯状の第一電極部材17も、それに応じてX方向に延在するように配設されている。このように、各アームは全体としてX方向に沿って延びるように構成されている。言い換えれば、各レッグにおける上段アーム及び下段アームは、それぞれの長手方向がX方向に沿った方向となるように配置されている。これにより、上段アーム及び下段アームが、それぞれの長手方向がY方向に沿った方向となるように配置されている場合と比較して、バスバー23d,23eのY方向の長さを短く抑えることができる。よって、直流電力の伝達経路となるバスバー23d,23eにおける電気抵抗を低減することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【0058】
また本例では、3つのレッグが、Y方向に沿って順に配列されている。本例では、各レッグを構成する上段アームがそれぞれX方向で占める範囲は完全に一致し、同様に各レッグを構成する下段アームがそれぞれX方向で占める範囲は完全に一致している。従って、本例では3つのレッグはY方向に平行な方向に沿って順に配列されている。これにより、バスバー23d,23eにおける各レッグを結ぶ部分の形状をY方向に沿った直線形状に近づけて簡素化することができる。また、バスバー23d,23eの形状を互いに同一又は実質的に同一とすることができ、各バスバー23d,23eの配置を簡略化することができる。
【0059】
図3に示すように、ベースプレート11の素子載置面11aとは反対側には、放熱フィン11bが設けられている。本例では、放熱フィン11bはベースプレート11と一体的に形成されている。この放熱フィン11bは、素子基板13及び絶縁部材12を介してベースプレート11に伝達されるスイッチング素子14の熱(スイッチング動作に伴って発生する熱)をその表面から放熱させる。このような放熱フィン11bは、図3及び図6等に示すように、本例ではZ方向に立設されると共にY方向に平行な方向に沿って平板状に延びるように形成されている。
【0060】
接続支持体21は、複数のバスバー23を支持する構造体であり、ベースプレート11の素子載置面11a側に、当該ベースプレート11に固定された状態で設けられている。このようなバスバー23として、本実施形態では、第一バスバー23a、第二バスバー23b、第三バスバー23c、第四バスバー23d、及び第五バスバー23eの5つのバスバー23が備えられている。これら5つのバスバー23は、接続支持体21により一体的に支持されている。バスバー23は、導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)で構成され、本例では平板状部材を用いて所定形状に屈曲形成されている。
【0061】
第一バスバー23a、第二バスバー23b、及び第三バスバー23cは、それぞれ第一電極部材17を介して上段アームのスイッチング素子14及びダイオード素子15と回転電機接続端子25との間を電気的に接続すると共に、第二電極部材18を介して下段アームのスイッチング素子14及びダイオード素子15と回転電機接続端子25との間を電気的に接続する電気的接続部材である。バスバー23a,23b,23cは、各レッグを構成する上段アームと下段アームとを結ぶ方向と平行に、全体としてX方向に沿った方向に延在している。第四バスバー23dは、第二電極部材18を介して上段アームのスイッチング素子14及びダイオード素子15と正極P側の直流端子34である正極側直流端子34aとの間を電気的に接続する電気的接続部材である。第五バスバー23eは、第一電極部材17を介して下段アームのスイッチング素子14及びダイオード素子15と負極N側の直流端子34である負極側直流端子34bとの間を電気的に接続する電気的接続部材である。バスバー23d,23eは、3つ一組の上段アームと3つ一組の下段アームとの間を互いに平行に、全体としてY方向に沿った方向に延在している。
【0062】
本例では、各バスバー23と第一電極部材17及び第二電極部材18との間の電気的な接続は、各バスバー23と一体的に形成され接続支持体21に支持された複数の接合部24が、第一電極部材17の上面及び第二電極部材18の上面に対して押圧された状態で接合されることによって実現される。本例では、各バスバー23と第一電極部材17及び第二電極部材18とは、YAGレーザ、COレーザ、半導体レーザ等を利用したレーザ溶接により接合される。
【0063】
回転電機接続端子25は、車両Vの駆動力源としての回転電機3との間で交流電力の入出力を行うための端子である。本実施形態では、このような回転電機接続端子25として、三相用の回転電機接続端子25a,25b,25cを備えている。本例では、U相用回転電機接続端子25aは、第一バスバー23aの+X方向側の端部において当該第一バスバー23aと一体的に形成されている。同様に、V相用回転電機接続端子25bは第二バスバー23bの+X方向側の端部において当該第二バスバー23bと一体的に形成され、W相用回転電機接続端子25cは第三バスバー23cの+X方向側の端部において当該第三バスバー23cと一体的に形成されている。これら3つの回転電機接続端子25a,25b,25cは、インバータ回路7を構成する3つのレッグの配列に応じてY方向に平行な方向に沿って順に配列されている。なお、本実施形態では、後述するようにY方向は回転電機3の回転軸3aに対して直交する方向に一致しており、従って3つの回転電機接続端子25a,25b,25cは、当該回転軸3aに対して直交する方向に沿って順に配列されていることになる。本実施形態では、各相用の回転電機接続端子25a,25b,25cが本発明における「交流相端子」に相当する。
【0064】
コンデンサ31は、バッテリ2とインバータモジュール6との間に並列に設けられ、これらの間の直流電力を平滑する。コンデンサ31は、ケース部31aとコンデンサ素子31bとにより構成されている。ケース部31aは、X方向の両側、Y方向の両側、及びZ方向の一方側を覆うように形成された、Z方向視(Z方向から見た平面視;以下、各方向視についても同様)で長方形状となるバスタブ状に形成されている。ケース部31aには、バッテリ2との間で直流電力の入出力を行う電源端子33と、スイッチング素子14との間で直流電力の入出力を行う直流端子34とが一体的に設けられている。これらの電源端子33と直流端子34との間は、コンデンサバスバー36により電気的に接続される。コンデンサバスバー36は、導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)で構成され、本例では平板状に形成されている。このようなコンデンサバスバー36として、本実施形態では、第一コンデンサバスバー36a及び第二コンデンサバスバー36bの2つのコンデンサバスバー36が備えられている。本実施形態では、コンデンサバスバー36a,36bが本発明における「コンデンサ接続部材」に相当する。
【0065】
第一コンデンサバスバー36aは、正極P側の電源端子33である正極側電源端子33aと正極側直流端子34aとの間を電気的に接続する(図2を参照)。第二コンデンサバスバー36bは、負極N側の電源端子33である負極側電源端子33bと負極側直流端子34bとの間を電気的に接続する。図4に示すように、第一コンデンサバスバー36aと第二コンデンサバスバー36bとは、Z方向視で重複する位置に配置されている。そして、バスタブ状のケース部31aの内部において、第一コンデンサバスバー36aにコンデンサ素子31bの一方の極の端子が接続され、第二コンデンサバスバー36bにコンデンサ素子31bの他方の極の端子が接続されている。
【0066】
第一コンデンサバスバー36a及び第二コンデンサバスバー36bは、それぞれZ方向視で全体として長方形状に形成されている。また、第一コンデンサバスバー36a及び第二コンデンサバスバー36bは、−X方向に突出するZ方向視で長方形状の突出部37を有する。2つの突出部37は、それぞれコンデンサバスバー36a,36bの−X方向側の端部において、互いにY方向の異なる位置に設けられている。これら2つの突出部37の間には、抵抗器38が接続されている。コンデンサ素子31bと並列接続される抵抗器38は、バッテリ2からの電源供給を停止した際にコンデンサ素子31bに蓄えられた電荷を放電する放電用抵抗として機能する。
【0067】
第一コンデンサバスバー36a及び第二コンデンサバスバー36bの突出部37の−X方向側の端部には、当該突出部37から分岐してZ方向に沿って+Z方向側に延びる分岐接続部39がそれぞれ設けられている。このような分岐接続部39は、導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属材料)で構成され、本例では線状(針金状)に形成されている。コンデンサ素子31b、第一コンデンサバスバー36a及び第二コンデンサバスバー36b、抵抗器38、並びに分岐接続部39の−Z方向側の一部は、ケース部31aの内部に配置された状態で樹脂モールドされている。なお、モールド樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等を用いることができる。分岐接続部39の+Z方向側の一部は、樹脂からは露出してZ方向に沿って延出している。
【0068】
制御基板41は、主に各スイッチング素子14の動作を制御するための機能を有する。そのため、制御基板41には、少なくともスイッチング素子14を個別にスイッチング制御するための駆動回路43が設けられている(図5を参照)。また本実施形態では、制御基板41には、コンデンサ31の両極間の電圧を検出するための電圧検出回路44も設けられている。その他、制御基板41には、バスバー23a,23b,23cを流れる交流電流を検出するための電流検出回路や、スイッチング素子14の温度を検出するための温度検出回路等も設けられている。制御基板41は、本例では、インバータモジュール6及びコンデンサ31の上側(+Z方向側)に、これらに近接して配置されている。
【0069】
3.インバータ装置における各構成部品の配置構成
次に、主に図4〜図7を参照して、インバータ装置1における各構成部品の配置構成について説明する。ここでは、Z方向視における配置構成、X方向視における配置構成、及び2つの端子33,34間の配置構成について、順に説明する。
【0070】
3−1.Z方向視における配置構成
本実施形態では、複数(本例では5つ)のバスバー23を支持する接続支持体21は、ベースプレート11に固定された状態で設けられている。ここで、5つのバスバー23のうち、バスバー23a,23b,23cは全体としてX方向に沿った方向に延在している。バスバー23d,23eは、上アームと下アームとの間、ここではZ方向視におけるベースプレート11の重心点11c(図7を参照)のX方向の位置(X方向における配置位置;以下同様)を、全体としてY方向に沿った方向に延在している。バスバー23a,23b,23cとバスバー23d,23eとは、Z方向視でそれぞれ直交している。
【0071】
バスバー23a,23b,23cはそれぞれ、バスバー23d,23eよりも+X方向側におけるX方向の長さ(X方向に沿った延在長さ;以下同様)が、バスバー23d,23eよりも−X方向側におけるX方向の長さよりも長く形成されている。そのため、各バスバー23a,23b,23cは、ベースプレート11からX方向に突出するように配置されている。本例では、バスバー23a,23b,23cは、ベースプレート11から+X方向側に突出するように配置されている。なお、バスバー23a,23b,23cの−X方向側の端部は、Z方向視でベースプレート11と重複する位置に配置されている。
【0072】
そして、各バスバー23a,23b,23cの+X方向側の端部には、各相用の回転電機接続端子25(25a,25b,25c)が形成されている。従って、本実施形態では、各相用の回転電機接続端子25が、ベースプレート11から+X方向側に突出するように配置されている。また、回転電機接続端子25は、接続支持体21からも+X方向側に突出するように配置されている。このとき、各相用の回転電機接続端子25a,25b,25cは、互いに+X方向側の端部を揃えて配置されている。本実施形態では、ベースプレート11、接続支持体21、バスバー23a,23b,23c、及び回転電機接続端子25が配置される領域として、「ベース配置領域R2」を定義している。このベース配置領域R2は、図4に示すように、Z方向視ではベースプレート11の−X方向側の端部から回転電機接続端子25の+X方向側の端部までを占めると共に、ベースプレート11の−Y方向側の端部から接続支持体21の+Y方向側の端部までを占める長方形状の領域である。また本例では、ベース配置領域R2は、Z方向視で長方形状の長辺がX方向に平行となるように設定されている。
【0073】
また本実施形態では、コンデンサ31及びこれに付随する電源端子33、直流端子34、及びコンデンサバスバー36が配置される領域として、「コンデンサ配置領域R1」を定義している。本例では、電源端子33、直流端子34、及びコンデンサバスバー36は、いずれもコンデンサ31を構成するケース部31aと一体的に設けられ、或いはケース部31aの内部に配置されている。よって、このコンデンサ配置領域R1は、Z方向視ではケース部31aの形状に対応する長方形状の領域となるように設定されている。また本例では、コンデンサ配置領域R1は、Z方向視で長方形状の長辺がX方向に平行となるように設定されている。
【0074】
図4に示すように、これらのコンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2とは、Y方向に互いに隣接して配置されている。ここでは、コンデンサ配置領域R1がベース配置領域R2に対して+Y方向側に隣接して設定されている。このとき、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さは、ベースプレート11のX方向の長さよりも長く設定されている。本実施形態では、コンデンサ配置領域R1の−X方向側の端部を画定しているケース部31aの−X方向側の端部と、ベースプレート11の−X方向側の端部とは、X方向の位置が完全には一致せずに僅かにずれているものの、実質的に同一とされている。一方、コンデンサ配置領域R1の+X方向側の端部を画定しているケース部31aの+X方向側の端部は、ベースプレート11の+X方向側の端部よりも+X方向側にずれた位置に配置されている。
【0075】
このような構成では、コンデンサ配置領域R1とベースプレート11とのX方向の長さの差に起因して、ベースプレート11に対して+X方向側に隣接する位置に、Y方向視でベースプレート11とは重複せずにコンデンサ配置領域R1と重複する領域が生じる。本実施形態では、このようにして生じる領域、すなわちX方向でベースプレート11の+X方向側の端部とケース部31aの+X方向側の端部との間の領域に、その全体が収まるように回転電機接続端子25が配置されている。
【0076】
更に本実施形態では、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さ及び位置は、ベース配置領域R2のX方向の長さ及び位置と合致するように設定されている。ここでは、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さ及び位置の双方が、ベース配置領域R2のX方向の長さ及び位置の双方と合致するように設定されている。
【0077】
本実施形態では、ベース配置領域R2の−X方向側の端部を画定しているベースプレート11の−X方向側の端部と、コンデンサ配置領域R1の−X方向側の端部を画定しているケース部31aの−X方向側の端部とは、X方向の位置が完全には一致せずに僅かにずれているものの、実質的に同一とされている。同様に、ベース配置領域R2の+X方向側の端部を画定している回転電機接続端子25の+X方向側の端部と、コンデンサ配置領域R1の+X方向側の端部を画定しているケース部31aの+X方向側の端部とは、X方向の位置が完全には一致せずに僅かにずれているものの、実質的に同一とされている。従って、本実施形態では、コンデンサ配置領域R1のX方向の両端部の位置が、ベース配置領域R2のX方向の両端部の位置とそれぞれ実質的に同一となるように設定されている。当然ながら、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さは、ベース配置領域R2のX方向の長さと実質的に同一となっている。
【0078】
このように、本実施形態において「合致する」とは、比較対象となる事象(ここでは、X方向の長さ及びX方向の位置を含む)が、実質的に同一であることを表す。すなわち、「合致する」には、比較対象となる事象どうしが完全に同一である状態の他、これらの事象どうしに差異がある状態も含む。例えば、比較対象となる事象どうしの差異が当該事象の全体に比べて十分に小さく、当該事象どうしが実質的に同じであるとして周辺部分の設計や製造を行なうことが可能な状態や、設計上又は製造上許容され得る誤差による差異を有する状態も含む。この場合における「許容され得る差異」としては、例えば各領域R1,R2のX方向の長さを基準(100%)として±10%以内、好ましくは±5%以内、より好ましくは±3%以内とすることができる。
【0079】
ところで、スイッチング素子14が設けられるベースプレート11や回転電機3との間で交流電力の入出力を行う回転電機接続端子25と比較して、コンデンサ31はその大きさ及び形状の設計に関する自由度が比較的大きい。そのため、コンデンサ配置領域R1の大きさ及び形状に応じてコンデンサ31の大きさ及び形状を調整することは比較的容易である。この点に鑑み、本実施形態では、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さ及び位置をベース配置領域R2のX方向の長さ及び位置と合致するように設定している。これにより、X方向に沿った方向での位置関係について見た場合に、コンデンサ31をベースプレート11及び回転電機接続端子25の全体が占める領域内に収まるように配置することができる。よって、ベースプレート11、回転電機接続端子25、及びコンデンサ31の全体を、Z方向視で長方形状のケース5内にデッドスペースを生じさせることなくコンパクトに納まるように配置することができる。従って、インバータ装置1を小型化することが可能となっている。
【0080】
また本実施形態では、図4に示すように、制御基板41は、−X方向側の端部が互いに実質的に同一とされたコンデンサ配置領域R1及びベース配置領域R2の双方と、−X方向側の端部を揃えて配置されている。よって本例では、Z方向視におけるコンデンサ配置領域R1、ベース配置領域R2、及び制御基板41のそれぞれの−X方向側の端部のX方向の位置は、互いに実質的に同一とされている。また、制御基板41は、ベースプレート11と+X方向側の端部を揃えて配置されている。よって本例では、Z方向視におけるベースプレート11及び制御基板41のそれぞれの+X方向側の端部のX方向の位置は、互いに実質的に同一とされている。これにより、ケース5の形状に応じて長方形状に形成された制御基板41は、Z方向視でコンデンサ配置領域R1及びベース配置領域R2の双方と重複する位置に配置されている。より具体的には、制御基板41は、Z方向視でコンデンサ配置領域R1の−X方向側の一部と部分的に重複すると共に、ベース配置領域R2のうちベースプレート11が配置される領域の全部と重複する位置に配置されている。
【0081】
なお、制御基板41は、Z方向視で回転電機接続端子25とは重複しない位置(回転電機接続端子25とは異なる位置)に配置されている。これにより、制御基板41も含めたインバータ装置1の主要な構成部品の全体をZ方向視で長方形状のケース5内に収容しつつ、制御基板41との干渉を生じさせることなく回転電機接続端子25と回転電機3のコイル3bとを電気的に接続することを実現可能としている。
【0082】
3−2.X方向視における配置構成
本実施形態では、ベースプレート11は、その素子載置面11aとは反対側の面に、Z方向に立設された放熱フィン11bを有する(図3及び図5等を参照)。そのため、ベースプレート11、接続支持体21、バスバー23a,23b,23c、及び回転電機接続端子25が配置される領域として定義される「ベース配置領域R2」には、放熱フィン11bの配置領域も含まれる。この場合、図5に示すように、ベース配置領域R2は、X方向視では放熱フィン11bの先端部(−Z方向側の端部)から接続支持体21の+Z方向側の端部までを占めると共に、ベースプレート11の−Y方向側の端部から接続支持体21の+Y方向側の端部までを占める長方形状の領域となる。なお、コンデンサ配置領域R1は、X方向視でもケース部31aの形状に対応する長方形状の領域となるように設定されている。
【0083】
このとき、図5に示すように、コンデンサ配置領域R1のZ方向の長さ及び位置は、ベース配置領域R2のZ方向の長さ及び位置と合致するように設定されている。ここでは、コンデンサ配置領域R1のZ方向の長さ及び位置の双方が、ベース配置領域R2のZ方向の長さ及び位置の双方と合致するように設定されている。
【0084】
本実施形態では、ベース配置領域R2の−Z方向側の端部を画定している放熱フィン11bの先端部(−Z方向側の端部)と、コンデンサ配置領域R1の−Z方向側の端部を画定しているケース部31aの底部(−Z方向側の端部)とは、Z方向の位置が完全には一致せずに僅かにずれているものの、実質的に同一とされている。同様に、ベース配置領域R2の+Z方向側の端部を画定している接続支持体21の+Z方向側の端部と、コンデンサ配置領域R1の+Z方向側の端部を画定しているモールド樹脂の+Z方向側の端部(図示せず)とは、Z方向の位置が完全には一致せずに僅かにずれているものの、実質的に同一とされている。従って、本実施形態では、コンデンサ配置領域R1のZ方向の両端部の位置が、ベース配置領域R2のZ方向の両端部の位置とそれぞれ実質的に同一となるように設定されている。当然ながら、コンデンサ配置領域R1のZ方向の長さは、ベース配置領域R2のZ方向の長さと実質的に同一となっている。
【0085】
このように、本実施形態では、コンデンサ配置領域R1のZ方向の長さ及び位置をベース配置領域R2のZ方向の長さ及び位置と合致するように設定している。これにより、Z方向に沿った方向での位置関係について見た場合に、コンデンサ31を、放熱フィン11bを含むベースプレート11、回転電機接続端子25、及び接続支持体21の全体が占める領域内に収まるように配置することができる。よって、放熱フィン11bを含むベースプレート11、回転電機接続端子25、接続支持体21、及びコンデンサ31の全体を、X方向視で長方形状のケース5内にデッドスペースを生じさせることなくコンパクトに納まるように配置することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、X方向及びZ方向の双方に関して、コンデンサ配置領域R1の長さ及び位置をベース配置領域R2の長さ及び位置と合致するように設定している。そのため、インバータ装置1の主要な構成部品の全体を、直方体状のケース5内にデッドスペースをほとんど生じさせることなくコンパクトに収容することができる。従って、インバータ装置1を小型化することが可能となっている。本実施形態のようにハイブリッド車両Vに備えられる回転電機3の制御のための用途においては、車両Vへの搭載上の制約がある場合が多い。そのため、上述したように極力小型化できるインバータ装置1の構成は、そのような用途において特にメリットが大きい。
【0087】
また本実施形態では、図5に示すように、+Z方向側の端部が互いに実質的に同一とされたコンデンサ配置領域R1及びベース配置領域R2の双方に対して、制御基板41が+Z方向に隣接して配置されている。これにより、インバータ装置1のZ方向の大型化が抑制されている。このとき、本例では、制御基板41上に設けられた駆動回路43がベース配置領域R2に対して+Z方向に隣接して配置され、制御基板41上に設けられた電圧検出回路44がコンデンサ配置領域R1に対して+Z方向に隣接して配置されている。そして、コンデンサバスバー36a,36bにおける突出部37に設けられ、Z方向に沿って直線状に+Z方向側に延びる分岐接続部39が、制御基板41を貫通した状態で、コンデンサ配置領域R1に対して+Z方向に隣接して配置された電圧検出回路44に接続されている。これにより、コンデンサ31の両極に接続される2つのコンデンサバスバー36a,36bと電圧検出回路44とを最短距離で接続することが可能となっている。
【0088】
3−3.電源端子及び直流端子の配置構成
次に、電源端子33及び直流端子34の配置構成について、主に図7を参照して説明する。本実施形態では、上述したように、各相用の回転電機接続端子25がベースプレート11から+X方向側に突出するように配置されていると共に、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さ及び位置がベース配置領域R2のX方向の長さ及び位置と合致するように設定されている。そのため、ベースプレート11及びコンデンサ31(コンデンサ配置領域R1)のX方向の長さどうしを比較すると、コンデンサ31のX方向の長さの方が長くなる。そのため、Z方向視におけるベースプレート11の重心点(Z方向視における平面形状の重心点;以下同様)11cのX方向の位置とコンデンサ31の重心点31c(コンデンサ配置領域R1の重心点にほぼ一致しているとみなせる)のX方向の位置とは互いに異なっている。本例では、コンデンサ31の重心点31cは、ベースプレート11の重心点11cに対してX方向の一方側である+X方向側にずれて配置されている。なお、ベースプレート11及びコンデンサ31はいずれもZ方向視で長方形状に形成されているので、これらの重心点11c,31cは、Z方向視における長方形状の各外縁の仮想対角線の交点である。
【0089】
ここで本実施形態では、図7に示すように、直流端子34はバスバー23d,23eのX方向の位置に応じてベースプレート11の重心点11cのX方向の位置に配置されている。これは、そのようにすれば当該直流端子34と各スイッチング素子14とを接続するバスバー23d,23eの形状を同一又は実質的に同一とすることができるからである。そのため、本例では、コンデンサ31の重心点31cのX方向の位置は、直流端子34に対して+X方向側にずれて配置されている。
【0090】
このような構成において、本実施形態では、電源端子33と直流端子34とが、Z方向視におけるコンデンサ31の重心点31cに対して点対称状となる位置に配置されている。すなわち、電源端子33が、コンデンサ31の重心点31cを基準点として、直流端子34との配置関係が点対称状となる位置に配置されている。つまり、電源端子33が、コンデンサ31のケース部31aの周縁部におけるいずれかの位置であって、かつ、直流端子34とコンデンサ31の重心点31cとを通る仮想平面上となる位置に配置されている。この場合、X方向における直流端子34からコンデンサ31の重心点31cまでのオフセット量(X方向の長さ)と、コンデンサ31の重心点31cから電源端子33までのオフセット量とは、互いに実質的に同一となっている。なお、この場合には、当然ながら電源端子33と直流端子34とは、X方向の異なる位置に配置されることになる。
【0091】
本実施形態では、上記のような電源端子33と直流端子34との配置構成を採用したので、電源端子33と直流端子34との間に複数(本例では2つ)のコンデンサ素子31bが並列接続された構成において、電源端子33と直流端子34との間のコンデンサバスバー36a,36b及び各コンデンサ素子31bを介した電気的接続経路の長さを、互いに実質的に同一とすることができる。図7には、そのことが模式的に示されている。これにより、各コンデンサ素子31bを流れる電流をほぼ均等化することができる。またそれに伴い、各コンデンサ素子31bの発熱量もほぼ均等化されるので、各コンデンサ素子31bを小型化し、ひいてはコンデンサ31及びインバータ装置1全体を小型化することが可能となっている。
【0092】
4.インバータ装置の車両搭載状態における配置構成
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、ベースプレート11に設けられる平板状の放熱フィン11bの延在方向は、Y方向に沿った方向となっている。そして、コンデンサ31が、放熱フィン11bを含むベースプレート11に対して+Y方向側に隣接して配置されている。更に、電源端子33が、コンデンサ31を構成するケース部31aにおける+Y方向側の壁部と一体的に設けられている。また、3つの回転電機接続端子25a,25b,25cは、Y方向に平行な方向に沿って順に配列されている。
【0093】
一方、本実施形態に係る車両用駆動装置62は、図8に示すようにFF(Front Engine Front Drive)型のハイブリッド車両Vに搭載されており、運転席の前方の駆動力源収容室(エンジンルーム)内において横置きされる内燃機関61に対して車両Vの幅方向に並ぶように隣接した状態で配置されている。車両用駆動装置62に備えられる回転電機3の回転軸3aは、内燃機関61のクランクシャフトと平行に配置され、当該クランクシャフトに駆動連結されている。すなわち、内燃機関61のクランクシャフト及び回転電機3の回転軸3aは、車両Vの幅方向に沿って配置され、車両Vの進行方向に対して直交するように配置されている。
【0094】
このような構成において、本実施形態に係るインバータ装置1は、以下に記載するような状態で車両用駆動装置62の上部に固定されて車両Vに搭載されている。ここで、これまで説明してきたX方向は、車両Vの幅方向、すなわち回転電機3の回転軸3aに平行な方向に一致している。また、Y方向は、車両Vの進行方向、すなわち回転電機3の回転軸3aに対して直交する方向に一致している。Z方向は、車両Vの進行方向に対して僅かに傾斜している場合があるものの、概ね鉛直方向に一致している(図1を参照)。
【0095】
従って、本実施形態における車両Vへの搭載状態では、インバータ装置1におけるベースプレート11に設けられる平板状の放熱フィン11bの延在方向は車両Vの進行方向に沿った方向となり、その放熱フィン11bに対して車両Vの進行方向後方側に隣接してコンデンサ31が配置されていることになる。これにより、車両Vの前進走行に伴って生じる走行風を複数の放熱フィン11bどうしの間へと適切に導いて、効率的に放熱フィン11bからの放熱を行なわせることができる。よって、スイッチング素子14を効率的に冷却することができる。また、放熱フィン11bどうしの間を通って流れる走行風をコンデンサ31へと適切に導いて、コンデンサ31をも効率的に冷却することができる。
【0096】
ここで、ベースプレート11に設けられる放熱フィン11bは、素子載置面11aに対して車両用駆動装置62及び回転電機3とは反対側、ここでは鉛直上方側に設けられている。これにより、放熱フィン11bは、発熱量が相対的に大きい車両用駆動装置62及び回転電機3から離れた位置に配置されることになる。よって、回転電機3が発生する熱の影響を受け難くなると共に放熱フィン11bへの冷却風の供給が容易となるので、放熱フィン11bによるベースプレート11からの放熱を効率的に行わせ、スイッチング素子14を効率的に冷却することができる。
【0097】
また、電源端子33は、3つの回転電機接続端子25a,25b,25cを含むインバータモジュール6(図3及び図4等を参照)やコンデンサ31に対して車両Vの進行方向後方側に配置されていることになる。本例では、図8に示すように、ケース5における車両Vの進行方向の最も後方側の端部となる位置に、電源端子33が配置されている。この電源端子33には、電力線等を介してバッテリ2が接続されている。
【0098】
ここで、比較的大きなサイズとなり易いバッテリ2は、図8にも示すように、一般に車両Vの座席下やセンタートンネル内、トランクルーム内等、駆動力源収容室(エンジンルーム)よりも車両後方側に搭載される場合が多い。この点、上記の構成では車両Vの進行方向の最も後方側の端部となる位置に電源端子33が設けられているので、電源端子33とバッテリ2との電気的な接続を最短経路で実現することが可能である。よって、インバータ装置1とバッテリ2との電気的接続構造を簡素化することが可能となっている。
【0099】
また、本実施形態における車両Vへの搭載状態では、3つの回転電機接続端子25a,25b,25cは、ベースプレート11に対して車両幅方向の同じ側に配置される。また、3つの回転電機接続端子25a,25b,25cは、車両Vの進行方向、すなわち回転電機3の回転軸3aに対して直交する方向に沿って順に配列される。更に本実施形態では、回転電機接続端子25a,25b,25cは、回転電機3の径方向視で当該回転電機3のコイル(ここでは特に、回転電機3のステータから軸方向に突出する部分であるコイルエンド部)3bと重複するように配置されている。本例では、回転電機接続端子25a,25b,25cは、回転電機3を含む車両用駆動装置62よりも鉛直上方側において、鉛直方向から見た平面視で回転電機3のコイル3bと重複するように配置されている。これにより、回転電機接続端子25a,25b,25cと回転電機3のコイル3bとを、回転電機3の軸方向の同じ側において当該回転電機3の径方向に沿って直線的に接続することができる。よって、回転電機接続端子25a,25b,25cとコイル3bとの電気的な接続を必要最小限の部材を用いて実現することができ、インバータ装置1とコイル3bとの電気的接続構造を簡素化することができる。
【0100】
このように、本実施形態に係るインバータ装置1は、車両Vへの搭載状態を考慮してインバータ装置1を構成する各部品の配置位置がそれぞれ最適化されている。これにより、インバータ装置1と回転電機3及びバッテリ2の双方との電気的接続構造を簡素化すると共に、スイッチング素子14やコンデンサ31等の冷却性能を確保することが可能となっている。
【0101】
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係るインバータ装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0102】
(1)上記の実施形態においては、コンデンサ配置領域R1のX方向の長さ及び位置がベース配置領域R2のX方向の長さ及び位置と合致するように設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばコンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でX方向の長さが合致しないように設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、コンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でX方向の両端部の一方のみの位置が合致するように設定された構成、又はX方向の両端部の双方の位置が合致しないように設定された構成を採用することができる。或いは、コンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でX方向の長さが合致すると共に、X方向の両端部の双方の位置が合致しないように設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0103】
(2)上記の実施形態においては、コンデンサ配置領域R1のZ方向の長さ及び位置がベース配置領域R2のZ方向の長さ及び位置と合致するように設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばコンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でZ方向の長さが合致しないように設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、コンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でZ方向の両端部の一方のみの位置が合致するように設定された構成、又はZ方向の両端部の双方の位置が合致しないように設定された構成を採用することができる。或いは、コンデンサ配置領域R1とベース配置領域R2との間でZ方向の長さが合致すると共に、Z方向の両端部の双方の位置が合致しないように設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0104】
(3)上記の実施形態においては、制御基板41がコンデンサ配置領域R1及びベース配置領域R2の双方に対してZ方向に隣接して配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば制御基板41が、コンデンサ配置領域R1及びベース配置領域R2に対してZ方向にある程度離間して配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0105】
(4)上記の実施形態においては、コンデンサバスバー36a,36bから分岐して延びる分岐接続部39が、制御基板41を貫通した状態で電圧検出回路44に接続されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような分岐接続部39が、制御基板41を貫通することなくこれを迂回して電圧検出回路44に接続された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0106】
(5)上記の実施形態においては、電源端子33が、コンデンサ31の重心点31cを基準点として、直流端子34との配置関係が点対称状となる位置に配置されていると共に、回転電機接続端子25a,25b,25cやコンデンサ31に対して車両Vの進行方向後方側に配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、電源端子33の配置位置は、直流端子34の配置位置やコンデンサ31の重心点31cとは無関係に任意に設定することが可能である。
【0107】
(6)上記の実施形態においては、回転電機接続端子25a,25b,25cが、回転電機3の回転軸3aに対して直交する方向に沿って順に配列されており、互いに+X方向側の端部を揃えて配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば回転電機接続端子25a,25b,25cが、回転電機3の回転軸3aに対して交差(傾斜)する方向に沿って順に配列され、それぞれの+X方向側の端部が回転電機3の回転軸3aに対して交差(傾斜)する方向に沿って直線状に並ぶように配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、回転電機接続端子25a,25b,25cのそれぞれの+X方向側の端部の位置に関しては、これらをY方向の一方側から他方側へ向かって順に結ぶ仮想線が折線状となるように配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0108】
(7)上記の実施形態においては、各レッグにおける上段アームと下段アームとを結ぶ方向がX方向に沿った方向とされていると共に、3つのレッグがY方向に沿って順に配列されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば各レッグにおける上段アームと下段アームとを結ぶ方向がY方向に沿った方向とされていると共に、3つのレッグがX方向に沿って順に配列された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0109】
(8)上記の実施形態においては、上段アーム及び下段アームが、それぞれの長手方向がX方向に沿った方向となるように配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上段アーム及び下段アームが、それぞれの長手方向がY方向に沿った方向となるように配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0110】
(9)上記の実施形態においては、放熱フィン11bが素子載置面11aに対して車両用駆動装置62及び回転電機3とは反対側(鉛直上方側)に設けられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば放熱フィン11bが素子載置面11aに対して車両用駆動装置62及び回転電機3の側(鉛直下方側)に設けられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0111】
(10)上記の実施形態においては、車両Vの走行に伴う走行風を利用するべく、放熱フィン11bの延在方向が車両Vの進行方向に沿った方向に設定され、その放熱フィン11bに対して車両Vの進行方向後方側に隣接してコンデンサ31が配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばコンデンサ31が放熱フィン11bに対して車両Vの進行方向後方側に隣接して配置されている場合において、放熱フィン11bの延在方向が車両Vの進行方向に対して交差する方向(直交する方向を含む)に設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0112】
(11)上記の実施形態においては、インバータ装置1が車両用駆動装置62と一体化された状態で車両Vに搭載され、回転電機接続端子25a,25b,25cが回転電機3の径方向視でコイル3bと重複するように配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば車両用駆動装置62とインバータ装置1とが物理的に分離された状態で車両Vに搭載された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0113】
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子と、これら複数のスイッチング素子が載置される素子載置面を有するベースプレートと、ベースプレートの素子載置面とは反対側に設けられる放熱フィンと、車両の駆動力源としての回転電機との間で交流電力の入出力を行う交流端子としての複数の交流相端子と、直流電力の平滑用のコンデンサと、を備えたインバータ装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 インバータ装置
2 バッテリ(直流電源)
3 回転電機
3a 回転軸
3b コイル
7 インバータ回路
11 ベースプレート
11a 素子載置面
11b 放熱フィン
12 絶縁部材
13 素子基板
14 スイッチング素子
21 接続支持体
23 バスバー(電気的接続部材)
25 回転電機接続端子(交流端子)
25a U相用回転電機接続端子(交流相端子)
25b V相用回転電機接続端子(交流相端子)
25c W相用回転電機接続端子(交流相端子)
31 コンデンサ
31c 重心点
33 電源端子
34 直流端子
36 コンデンサバスバー(コンデンサ接続部材)
39 分岐接続部
41 制御基板
43 駆動回路
44 電圧検出回路
R1 コンデンサ配置領域
R2 ベース配置領域
V ハイブリッド車両(車両)
X X方向(第一基準方向)
Y Y方向(第二基準方向)
Z Z方向(基準直交方向)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力と交流電力との間の電力変換を行う複数のスイッチング素子と、これら複数のスイッチング素子が載置される素子載置面を有するベースプレートと、前記ベースプレートの前記素子載置面とは反対側に設けられる放熱フィンと、車両の駆動力源としての回転電機との間で前記交流電力の入出力を行うと共に前記スイッチング素子と電気的に接続された交流端子と、前記直流電力の平滑用のコンデンサと、を備え、前記回転電機を収容する回転電機ケースに固定されているインバータ装置であって、
前記回転電機の回転軸が前記車両の幅方向に延びるように配置され、
前記ベースプレートと前記交流端子とが前記車両の幅方向に隣接して配置され、
前記交流端子としての複数の交流相端子が、前記回転電機の回転軸に対して交差する方向に沿って順に配列され、
前記コンデンサが、前記放熱フィンに対して前記車両の進行方向後方側に隣接して配置されているインバータ装置。
【請求項2】
前記素子載置面に対して前記回転電機とは反対側に前記放熱フィンが配置されている請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
平板状に延びる前記放熱フィンの延在方向が、前記車両の進行方向に沿った方向となるように設定されている請求項1又は2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記コンデンサに接続され、直流電源との間で前記直流電力の入出力を行う電源端子を備え、
前記電源端子が、前記コンデンサに対して前記車両の進行方向後方側に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記複数の交流相端子が、前記回転電機の径方向視で当該回転電機のコイルと重複する位置に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項6】
前記素子載置面に直交する方向から見た平面視で、前記交流端子が、前記ベースプレートから所定の第一基準方向に突出するように配置され、
前記コンデンサが、前記平面視で長方形状に設定されたコンデンサ配置領域内に配置され、
前記コンデンサ配置領域は、前記平面視で、前記長方形状の長辺が前記第一基準方向に平行となるように設定されていると共に、前記第一基準方向に直交する方向を第二基準方向として、前記ベースプレート及び前記交流端子が配置されるベース配置領域に対して前記第二基準方向に隣接して設定されている請求項1から5のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項7】
前記コンデンサ配置領域の前記第一基準方向の長さが、前記ベースプレートの前記第一基準方向の長さよりも長く設定され、
前記第二基準方向視で前記コンデンサ配置領域と重複する領域に、前記交流端子が配置されている請求項6に記載のインバータ装置。
【請求項8】
前記ベースプレートの前記素子載置面側に少なくとも前記スイッチング素子と前記交流端子との間を電気的に接続する電気的接続部材を支持する接続支持体が設けられ、
前記放熱フィン及び前記接続支持体の配置領域を含んで前記ベース配置領域が設定され、
前記素子載置面に直交する方向を基準直交方向として、前記コンデンサ配置領域の前記基準直交方向の長さ及び位置が、前記ベース配置領域の前記基準直交方向の長さ及び位置と合致するように設定されている請求項6又は7に記載のインバータ装置。
【請求項9】
少なくとも前記スイッチング素子の駆動回路が設けられた制御基板を備え、
前記素子載置面に直交する方向を基準直交方向として、前記制御基板は、前記コンデンサ配置領域及び前記ベース配置領域の双方に対して前記基準直交方向に隣接すると共に、前記平面視で前記コンデンサ配置領域及び前記ベース配置領域の双方と重複する位置に配置されている請求項6から8のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項10】
直流電源との間で前記直流電力の入出力を行う電源端子と、前記スイッチング素子との間で前記直流電力の入出力を行う直流端子と、前記コンデンサを介して前記電源端子と前記直流端子との間を電気的に接続するコンデンサ接続部材と、を備え、
前記制御基板には、前記コンデンサの両極間の電圧を検出するための電圧検出回路が更に設けられ、
前記コンデンサ接続部材から分岐して前記基準直交方向に沿って延びる分岐接続部が、前記制御基板を貫通した状態で前記電圧検出回路に接続されている請求項9に記載のインバータ装置。
【請求項11】
前記電源端子と前記直流端子とが、前記第一基準方向の異なる位置であって、前記コンデンサ配置領域の前記平面視における形状の重心点に対して点対称状となる位置に配置されている請求項10に記載のインバータ装置。
【請求項12】
前記複数のスイッチング素子を用いてインバータ回路が構成され、
前記インバータ回路は、正極側に接続される上段アームを構成するスイッチング素子と負極側に接続される下段アームを構成するスイッチング素子とを有するレッグを3つ有する3レッグ構成であり、
前記レッグのそれぞれにおける前記上段アームと前記下段アームとを結ぶ方向が前記第一基準方向に沿った方向とされていると共に、3つの前記レッグが前記第二基準方向に沿って順に配列されている請求項6から11のいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項13】
前記上段アーム及び前記下段アームは、それぞれの長手方向が前記第一基準方向に沿った方向となるように配置されている請求項12に記載のインバータ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217263(P2012−217263A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80708(P2011−80708)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】