説明

ウイルスポリメラーゼ阻害剤

X、R2、R3、R5およびR6が本明細書中で定義したとおりである、式Iの化合物:


(I)
は、C型肝炎ウイルスNS5Bポリメラーゼの阻害剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書中に参照により組み込まれている2007年8月3日出願の米国出願第60/953701号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための化合物、組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、C型肝炎ウイルスNS5Bポリメラーゼの新規阻害剤、そのような化合物を含む薬剤組成物、およびHCV感染症の治療においてこれらの化合物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
世界中で少なくとも1億3千万人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していると推定されている。急性HCV感染症は、その高い件数が慢性感染症へと進行し、一部の感染した個体では、慢性感染症は硬変および肝細胞癌などの重篤な肝疾患をもたらす。
【0004】
現在、慢性C型肝炎感染症の標準治療は、リバビリンと組み合わせたpeg化インターフェロン−αの投与を含む。しかし、この治療は、多くの感染した患者においてHCV RNAを検出不可能なレベルまで減少させることに有効でなく、しばしば、発熱および他のインフルエンザ様症状、鬱病、血小板減少症ならびに溶血性貧血などの耐えられない副作用に関連している。さらに、一部のHCVに感染した患者では、この治療を禁忌とする状態が共存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、C型肝炎ウイルス感染症の代替治療の必要性が存在する。この必要性に取り組む1つの可能な戦略は、ウイルス複製に必須のウイルスまたは宿主細胞要素を失活させる有効な抗ウイルス剤の開発である。
【0006】
HCVは、フラビウイルス科のヘパシウイルス属中の、外被プラス鎖RNAウイルスである。単鎖HCV RNAゲノムは、長さが約9500個のヌクレオチドであり、5’および3’非翻訳領域が隣接する単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。HCV5’非翻訳領域は、長さが341個のヌクレオチドであり、キャップ非依存性翻訳開始の内部リボソーム侵入部位として機能する。オープンリーディングフレームは、複数の部位で細胞およびウイルスのプロテアーゼによって切断されて成熟した構造および非構造(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)タンパク質を生じる、約3000個のアミノ酸の単一の大きなポリタンパク質をコードしている。ウイルスNS2/3プロテアーゼはNS2−NS3の接合部で切断する一方で、ウイルスNS3プロテアーゼは、NS3の下流、NS3−NS4A、NS4A−NS4B、NS4B−NS5AおよびNS5A−NS5Bの切断部位での切断を媒介する。NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性も示す。NS4Aタンパク質は、NS3プロテアーゼの補因子として作用し、NS3および他のウイルスレプリカーゼの構成成分膜局在化も支援し得る。NS4BおよびNS5Aリンタンパク質も恐らくレプリカーゼの構成成分であるが、それらの具体的な役割は知られていない。NS5Bタンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)活性を保有するHCVレプリカーゼの伸長サブユニットである。
【0007】
新規および具体的な抗HCV治療の開発は優先度が高く、複製に必須のウイルス特異的機能が薬剤開発の最も魅力的な標的である。哺乳動物中にRNA依存性RNAポリメラーゼが存在しないこと、およびこの酵素がウイルス複製に必須であると考えられていることは、NS5Bポリメラーゼが抗HCV治療の理想的な標的であることを示唆している。NS5B活性を破壊する突然変異が、チンパンジーモデルにおいてRNAの感染力を消滅させることが最近実証された(Kolykhalov,A.A.;Mihalik,K.;Feinstone,S.M.;Rice,C.M.;2000;J.Virol.、74:2046〜2051)。
【0008】
WO2007/087717は、C型肝炎ウイルス感染症の治療に有用な、一般式(A)化合物を開示している:
【化1】

(A)
[式中、R2は、任意選択で置換されているアリールであり、R6は、任意選択で置換されている(C5〜7)シクロアルキルまたはアリールである]。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、HCVポリメラーゼに対して阻害活性を有する、新規の一連の化合物を提供する。詳細には、本発明による化合物は、HCVのRNA依存性RNAポリメラーゼによる、特にHCVによってコードされている酵素NS5BのRNA合成を阻害する。本発明によって提供される化合物のさらなる利点は、他のポリメラーゼに対する、その低いまたは非常に低い、さらには有意でない活性である。本発明のさらなる目的は、以下の説明および例から、当業者が思い付くであろう。
【0010】
本発明の一態様は、式(I)の化合物またはその塩もしくはエステルを提供する:
【化2】

(I)
[式中、
Xは、OおよびSから選択され;
2は、1〜5個のR20置換基で任意選択で置換されているHetまたはアリールであり、R20は、それぞれの場合、以下から独立して選択され:
a)ハロ、シアノまたはニトロ;
b)R7、−C(=O)−R7、−C(=O)−O−R7、−O−R7、−S−R7、−SO−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7、−(C1〜6)アルキレン−SO−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;
(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C3〜7)シクロアルキルおよび(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、以下からそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており:
i)ハロ、シアノ、オキソ、チオキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキル、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH(C1〜4)アルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)2、−C(=O)−NH(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルまたは−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル;
ii)−OH、−O−(C1〜6)ハロアルキル、または−O−(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されている(C1〜6)アルキル;および
iii)それぞれがハロまたは(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されているアリールまたはHet;
c)−N(R8)R9、−C(=O)−N(R8)R9、−O−C(=O)−N(R8)R9、−SO2−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−O−C(=O)−N(R8)R9、または−(C1〜6)アルキレン−SO2−N(R8)R9であり;(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−(C1〜6)アルキレン−R7、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりであるか;
あるいは、R8およびR9は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、SH、−O(C1〜6)アルキル、−S(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
3は、H、ハロ、CN、(C1〜4)アルキル、−OH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2から選択され;
5は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル−(C1〜6)アルキル−またはHetであり;(C1〜6)アルキルおよびHetはそれぞれ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、Het、−OH、−COOH、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−C(=O)−O−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキルおよび−C(=O)−N(R51)R52からそれぞれ独立して選択される1〜4個の置換基で任意選択で置換されており;
51は、H、(C1〜6)アルキルまたは(C3〜7)シクロアルキルであり;
52は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−またはHet−(C1〜3)アルキル−であり;
(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−およびHet−(C1〜3)アルキル−のそれぞれは、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されているか;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されており;
6は、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−OH、−SH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキルおよび−N(R8)R9からそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で任意選択で置換されているHetであり;R8およびR9は、上記定義のとおりであり;
Hetは、O、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ環、または、可能な限りはO、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する、7〜14員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ただし、XがOであり、R2がフェニルであり、R3がHであり、R5がHである場合、R6
【化3】

ではない]。
【0011】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくはエステルを、医薬品として提供する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、治療上有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと;1つまたは複数の製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物を提供する。
【0013】
本態様の一実施形態によれば、本発明による薬剤組成物は、少なくとも1つの他の抗ウイルス剤をさらに含む。
【0014】
本発明はまた、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療するための、本明細書中に上述した薬剤組成物の使用を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、哺乳動物に、治療上有効な量の式(I)の化合物、その製薬上許容される塩もしくはエステル、または本明細書中に上述したその組成物を投与することを含む、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法を含む。
【0016】
本発明の別の態様は、哺乳動物に、治療上有効な量の、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと、少なくとも1つの他の抗ウイルス剤との組合せ;またはその組成物を投与することを含む、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法を含む。
【0017】
また、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療するための、本明細書中に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくはエステルの使用も、本発明の範囲内にある。
【0018】
本発明の別の態様は、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する医薬品を製造するための、本明細書中に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくはエステルの使用を提供する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、C型肝炎ウイルス感染症を治療するために有効な組成物と;C型肝炎ウイルスによる感染症を治療するために組成物を使用することができることを示す表示を含むパッケージング材料とを含む製品に言及し;組成物は、本発明による式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルを含む。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、ウイルスを、有効量の式(I)の化合物、またはその塩もしくはエステル、C型肝炎ウイルスの複製が阻害される条件下に曝すことを含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法に関する。
【0021】
本発明の範囲には、C型肝炎ウイルスの複製を阻害するための、式(I)の化合物、またはその塩もしくはエステルの使用が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する以下の定義が適用される。
本明細書中で使用する用語「置換基」とは、別段に指定しない限りは、分子の一部分またはその断片を形成し得る炭素原子、ヘテロ原子または任意の他の原子と結合していてもよく、置換されていない場合は少なくとも1つの水素原子と結合している、原子、ラジカルまたは基を意味することを意図する。特定の分子またはその断片のコンテキストで企図される置換基は、当業者に理解されるものなどの化学的に安定した化合物を生じさせるものである。
【0023】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C1〜n)アルキル」とは、1〜n個の炭素原子を含む非環状の直鎖または分枝鎖状のアルキルラジカルを意味することを意図する。「(C1〜6)アルキル」には、それだけには限定されないが、メチル、エチル、プロピル(n−プロピル)、ブチル(n−ブチル)、1−メチルエチル(イソプロピル)、1−メチルプロピル(sec−ブチル)、2−メチルプロピル(iso−ブチル)、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。略記Meはメチル基を示し;Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示し、iPrは1−メチルエチル基を示し、Buはブチル基を示し、tBuは1,1−ジメチルエチル基を示す。
【0024】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C1〜n)アルキレン」とは、1〜n個の炭素原子を含む非環状の直鎖または分枝鎖状の二価アルキルラジカルを意味することを意図する。「(C1〜6)アルキレン」には、それだけには限定されないが、−CH2−、−CH2CH2−、
【化4】

および
【化5】

が含まれる。
【0025】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C2〜n)アルケニル」とは、少なくともその2つが二重結合によって互いに結合している2〜n個の炭素原子を含む、不飽和、非環状の直鎖または分枝鎖状のラジカルを意味することを意図する。そのようなラジカルの例には、それだけには限定されないが、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル、および1−ブテニルが含まれる。別段に指定しない限りは、用語「(C2〜n)アルケニル」は、可能な場合は個々の立体異性体を包含すると理解され、これには、それだけには限定されないが、(E)および(Z)異性体、ならびにその混合物が含まれる。(C2〜n)アルケニル基が置換されている場合、別段に指定しない限りは、置換により当業者によって認識されているものなどの化学的に安定な化合物が生じるように、置換されていない場合は水素原子を保有する任意のその炭素原子上で置換されると理解される。
【0026】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C2〜n)アルキニル」とは、少なくともその2つが三重結合によって互いに結合している2〜n個の炭素原子を含む、不飽和、非環状の直鎖または分枝鎖状のラジカルを意味することを意図する。そのようなラジカルの例には、それだけには限定されないが、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、および1−ブチニルが含まれる。(C2〜n)アルキニル基が置換されている場合、別段に指定しない限りは、置換により当業者によって認識されているものなどの化学的に安定な化合物が生じるように、置換されていない場合は水素原子を保有する任意のその炭素原子上で置換されると理解される。
【0027】
本明細書中で使用する、mが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C3〜m)シクロアルキル」とは、3〜m個の炭素原子を含むシクロアルキル置換基を意味することを意図し、それだけには限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。(C3〜m)シクロアルキル基が置換されている場合、別段に指定しない限りは、置換により当業者によって認識されているものなどの化学的に安定な化合物が生じるように、置換されていない場合は水素原子を保有する任意のその炭素原子上で置換されると理解される。
【0028】
本明細書中で使用する、nおよびmがどちらも整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C3〜m)シクロアルキル−(C1〜n)アルキル−」とは、上記定義した1〜n個の炭素原子を有しており、それ自体が上記定義した3〜m個の炭素原子を含むシクロアルキルラジカルで置換されているアルキルラジカルを意味することを意図する。(C3〜7)シクロアルキル−(C1〜6)アルキル−の例には、それだけには限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロプロピルエチル、2−シクロプロピルエチル、1−シクロブチルエチル、2−シクロブチルエチル、1−シクロペンチルエチル、2−シクロペンチルエチル、1−シクロヘキシルエチルおよび2−シクロヘキシルエチルが含まれる。(C3〜m)シクロアルキル−(C1〜n)アルキル−基が置換されている場合、置換基は、別段に指定しない限りは、シクロアルキルまたはそのアルキル部分のどちらかまたは両方と結合していてよいと理解される。
【0029】
本明細書中で使用する、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「アリール」とは、6個の炭素原子を含む炭素環芳香族の単環基を意味することを意図し、これは、芳香族、飽和または不飽和であり得る第2の5または6員の炭素環基とさらに縮合していてもよい。アリールには、それだけには限定されないが、フェニル、インダニル、インデニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロナフチルおよびジヒドロナフチルが含まれる。アリール基が置換されている場合、別段に指定しない限りは、置換基は、置換されていない場合は水素(hybrogen)原子を保有する任意のその炭素(crbon)原子と結合していてよいと理解される。
【0030】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「アリール−(C1〜n)アルキル−」とは、上記定義した1〜n個の炭素原子を有しており、それ自体が上記定義したアリールラジカルで置換されているアルキルラジカルを意味することを意図する。アリール−(C1〜n)アルキル−の例には、それだけには限定されないが、フェニルメチル(ベンジル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチルおよびフェニルプロピルが含まれる。アリール−(C1〜n)アルキル−基が置換されている場合、置換基は、別段に指定しない限りは、アリールまたはそのアルキル部分のどちらかまたは両方と結合していてよいと理解される。
【0031】
本明細書中で使用する、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「Het」とは、別段に指定しない限りは、O、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ環、または可能な限りはO、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する、7〜14員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ多環を意味することを意図し;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよい。Het基が置換されている場合、置換基は、別段に指定しない限りは、任意の炭素原子またはそのヘテロ原子と結合していてもよく、そうでない場合は水素原子を保有していると理解される。
【0032】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「Het−(C1〜n)アルキル−」とは、別段に指定しない限りは、上記定義した1〜n個の炭素原子を有しており、それ自体が上記定義したHet置換基で置換されているアルキルラジカルを意味することを意図する。Het−(C1〜n)アルキル−の例には、それだけには限定されないが、チエニルメチル、フリルメチル、ピペリジニルエチル、2−ピリジニルメチル、3−ピリジニルメチル、4−ピリジニルメチル、キノリニルプロピルなどが含まれる。Het−(C1〜n)アルキル−基が置換されている場合、置換基は、別段に指定しない限りは、Hetまたはそのアルキル部分のどちらかまたは両方と結合していてよいと理解される。
【0033】
本明細書中で使用する用語「ヘテロ原子」とは、O、SまたはNを意味することを意図する。
【0034】
本明細書中で使用する、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「ヘテロ環」とは、別段に指定しない限りは、O、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む4〜7員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ環;またはそれから水素原子を除去することによって誘導される一価ラジカルを意味することを意図する。そのようなヘテロ環の例には、それだけには限定されないが、アゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピロール、チオフェン、フラン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、アゼピン、ジアゼピン、ピラン、1,4−ジオキサン、4−モルホリン、4−チオモルホリン、ピリジン、ピリジン−N−オキシド、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、および以下のヘテロ環:
【化6】

ならびにその飽和、不飽和および芳香族誘導体が含まれる。
【0035】
本明細書中で使用する、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「ヘテロ多環」とは、別段に指定しない限りは、炭素環、ヘテロ環もしくは任意の他の環を含めた1つもしくは複数の他の環と縮合した上記定義したヘテロ環;またはそれから水素原子を除去することによって誘導される一価ラジカルを意味することを意図する。そのようなヘテロ多環の例には、それだけには限定されないが、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾジオキソール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、および以下のヘテロ多環:
【化7】

ならびにその飽和、不飽和および芳香族誘導体が含まれる。
【0036】
本明細書中で使用する用語「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードから選択されるハロゲン置換基を意味することを意図する。
【0037】
本明細書中で使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「(C1〜n)ハロアルキル」とは、1つまたは複数の水素原子がハロ置換基によってそれぞれ置き換えられている、上記定義した1〜n個の炭素原子を有するアルキルラジカルを意味することを意図する。(C1〜n)ハロアルキルの例には、それだけには限定されないが、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、ブロモメチル、ブロモエチル、ジブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチルおよびジフルオロエチルが含まれる。
【0038】
本明細書中で互換性があるように使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「−O−(C1〜n)アルキル」または「(C1〜n)アルコキシ」とは、上記定義した1〜n個の炭素原子を有するアルキルラジカルとさらに結合した酸素原子を意味することを意図する。−O−(C1〜n)アルキルの例には、それだけには限定されないが、メトキシ(CH3O−)、エトキシ(CH3CH2O−)、プロポキシ(CH3CH2CH2O−)、1−メチルエトキシ(iso−プロポキシ;(CH32CH−O−)および1,1−ジメチルエトキシ(tert−ブトキシ;(CH33C−O−)が含まれる。−O−(C1〜n)アルキルラジカルが置換されている場合は、その(C1〜n)アルキル部分上で置換されていると理解される。
【0039】
本明細書中で互換性があるように使用する、nが整数であり、単独で、または別のラジカルと組み合わせた用語「−S−(C1〜n)アルキル」または「(C1〜n)アルキルチオ」とは、上記定義した1〜n個の炭素原子を有するアルキルラジカルとさらに結合した硫黄原子を意味することを意図する。−S−(C1〜n)アルキルの例には、それだけには限定されないが、メチルチオ(CH3S−)、エチルチオ(CH3CH2S−)、プロピルチオ(CH3CH2CH2S−)、1−メチルエチルチオ(イソプロピルチオ;(CH32CH−S−)および1,1−ジメチルエチルチオ(tert−ブチルチオ;(CH33C−S−)が含まれる。−SO−(C1〜n)アルキルラジカルまたは−SO2−(C1〜n)アルキルラジカルなどの−S−(C1〜n)アルキルラジカルまたはその酸化誘導体が置換されている場合、それぞれはその(C1〜n)アルキル部分上で置換されていると理解される。
【0040】
本明細書中で使用する用語「オキソ」とは、二重結合によって置換基として炭素原子と結合した酸素原子(=O)を意味することを意図する。
【0041】
本明細書中で使用する用語「チオキソ」とは、二重結合によって置換基として炭素原子と結合した硫黄原子(=S)を意味することを意図する。
【0042】
本明細書中で使用する用語「イミノ」とは、二重結合によって置換基として炭素原子と結合したNH基(=NH)を意味することを意図する。
【0043】
本明細書中で使用する用語「シアノ」または「CN」とは、三重結合によって炭素原子と結合した窒素原子(C≡N)を意味することを意図する。
【0044】
本明細書中で使用する用語「COOH」とは、カルボキシル基(−C(=O)−OH)を意味することを意図する。当業者には、カルボキシル基は官能基等価物によって置換されていてもよいことが周知である。本発明で企図されるそのような官能基等価物の例には、それだけには限定されないが、エステル、アミド、イミド、ボロン酸、ホスホン酸、リン酸、テトラゾール、トリアゾール、N−アシルスルファミド(RCONHSO2NR2)、およびN−アシルスルホンアミド(RCONHSO2R)が含まれる。
【0045】
本明細書中で使用する用語「官能基等価物」とは、同様の電子、ハイブリダイゼーションまたは結合特性を有する別の原子または基を置き換え得る原子または基を意味することを意図する。
【0046】
本明細書中で使用する用語「保護基」とは、合成変換中に使用することができる保護基を意味することを意図すし、これには、それだけには限定されないが、本明細書中に参考として組み込まれているGreene、「有機化学の保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」、John Wiley&Sons、New York(1981)およびそのより最近の版に記載されている例が含まれる。
【0047】
以下の表示
【化8】

は、部分式中で、定義したように分子の残りの部分と連結している結合を示すために使用する。
【0048】
本明細書中で使用する用語「その塩」とは、本発明による化合物の任意の酸および/または塩基付加塩を意味することを意図し、それだけには限定されないが、製薬上許容されるその塩が含まれる。
【0049】
本明細書中で使用する用語「製薬上許容される塩」とは、正しい医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答などがなしにヒトおよび低級動物の組織と接触させて使用するために適しており、合理的な利益/リスク比と釣り合っており、一般に水または油に可溶性または分散可能であり、その意図した使用に有効である、本発明による化合物の塩を意味することを意図する。この用語には、製薬上許容される酸付加塩および製薬上許容される塩基付加塩が含まれる。適切な塩のリストは、たとえば、本明細書中に参照により組み込まれているS.M.Berge他、J.Pharm.Sci.、1977、66、1〜19ページ中に見つかる。
【0050】
本明細書中で使用する用語「製薬上許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的または他の様式で望ましくないわけではない、それだけには限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸などを含めた無機酸、およびそれだけには限定されないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸(hemisulfic acid)、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2−ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモン酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸、ピバリン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸などを含めた有機酸を用いて形成した塩を意味することを意図する。
【0051】
本明細書中で使用する用語「製薬上許容される塩基付加塩」とは、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的または他の様式で望ましくないわけではない、それだけには限定されないが、アンモニアを含めた無機塩基を用いて形成した塩、またはアンモニウムもしくはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどの金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは炭酸水素塩を意味することを意図する。アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が特に好ましい。製薬上許容される有機無毒性塩基に由来する塩には、それだけには限定されないが、第一級、第二級、および第三級アミンの塩、第四級アミン化合物、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、たとえば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂などが含まれる。特に好ましい有機無毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。
【0052】
本明細書中で使用する用語「そのエステル」とは、分子の−COOH置換基のうちの任意のものが−COOR置換基によって置き換えられており、エステルのR部分が安定したエステル部分を形成する任意の炭素含有基である、本発明による化合物の任意のエステルを意味することを意図し、それだけには限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルが含まれ、これらのそれぞれは、任意選択でさらに置換されている。用語「そのエステル」には、それだけには限定されないが、その製薬上許容されるエステルが含まれる。
【0053】
本明細書中で使用する用語「製薬上許容されるエステル」とは、分子のCOOH置換基のうちの任意のものが−COOR置換基によって置き換えられており、エステルのR部分が、アルキル(それだけには限定されないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、1,1−ジメチルエチル、ブチルを含む);アルコキシアルキル(それだけには限定されないがメトキシメチルを含む);アシルオキシアルキル(それだけには限定されないがアセトキシメチルを含む);アリールアルキル(それだけには限定されないがベンジルを含む);アリールオキシアルキル(それだけには限定されないがフェノキシメチルを含む);およびハロゲン、(C1〜4)アルキルまたは(C1〜4)アルコキシで任意選択で置換されているアリール(それだけには限定されないがフェニル)から選択される、本発明による化合物のエステルを意味することを意図する。他の適切なエステルは、本明細書中に参照により組み込まれているプロドラッグの設計(Design of Prodrugs)、Bundgaard,H.編、Elsevier(1985)中に見つけることができる。そのような製薬上許容されるエステルは、通常、哺乳動物内に注射した際にin vivoで加水分解され、本発明による化合物の酸形態に変換される。上述のエステルに関して、別段に指定しない限りは、存在する任意のアルキル部分は、好ましくは1〜16個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。そのようなエステル中に存在する任意のアリール部分は、好ましくはフェニル基を含む。詳細には、エステルは、(C1〜16)アルキルエステル、未置換のベンジルエステルまたは少なくとも1つのハロゲン、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)アルコキシ、ニトロもしくはトリフルオロメチルで置換されているベンジルエステルであり得る。
【0054】
本明細書中で使用する用語「哺乳動物」には、ヒト、およびC型肝炎ウイルスによる感染症に感受性のある非ヒト哺乳動物が包含されることを意図する。非ヒト哺乳動物には、それだけには限定されないが、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスなどの家畜、ならびに非家畜が含まれる。
【0055】
本明細書中で使用する用語「治療」とは、C型肝炎疾患の症状を緩和もしくは排除する、および/または患者中のウイルス量を減少するために、本発明による化合物または組成物を投与することを意味することを意図する。用語「治療」にはまた、個体がウイルスに曝露した後であるが、疾患の症状が出現する前および/または血液中にウイルスが検出される前に、疾患の症状の出現を予防するためおよび/または血液中で検出可能なレベルに達することを予防するために、本発明による化合物または組成物を投与することも包含される。
【0056】
本明細書中で使用する用語「抗ウイルス剤」とは、哺乳動物においてウイルスの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤を意味することを意図し、それだけには限定されないが、哺乳動物においてウイルスの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスのどちらかの機構を妨げる薬剤が含まれる。
【0057】
用語「治療上有効な量」とは、それを必要としている患者に投与した場合に、化合物が有用性を有する疾患状態、状態、または障害の治療をもたらすために十分である、本発明による化合物の量を意味する。そのような量は、組織系、または研究者もしくは臨床家が追及している患者において生物学的または医学的応答を誘発するために十分である。治療上有効な量を構成する本発明による化合物の量は、化合物およびその生物活性、投与に使用する組成物、投与の時間、投与経路、化合物の排泄速度、治療の期間、治療する疾患状態または障害の種類およびその重篤度、本発明の化合物と組み合わせてまたは同時に使用する薬物、ならびに患者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食習慣などのに応じて変動する。そのような治療上有効な量は、当業者が、自身の知識、最新技術、および本開示を考慮して、日常的に決定することができる。
【0058】
好ましい実施形態
以下の好ましい実施形態では、本発明による化合物の基および置換基を詳述する。
X:
X−A:一実施形態では、XはOである。
X−B:別の実施形態では、XはSである。
【0059】
本明細書中に記載するXの任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するR2、R20、R3、R5およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0060】
2
2−A:一実施形態では、R2は、1〜5個のR20置換基で任意選択で置換されているHetまたはアリールであり、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
2−B:別の実施形態では、R2はHetであり、Hetは、O、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環、またはO、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む9もしくは10員の二環状ヘテロ多環であり;Hetは、1〜5個のR20置換基で任意選択で置換されており、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
2−C:別の実施形態では、R2はHetであり、Hetは、1もしくは2個のNヘテロ原子を含む5もしくは6員の芳香族ヘテロ環、または1もしくは2個のNヘテロ原子を含む9もしくは10員の二環状ヘテロ多環であり;Hetは、1〜3個のR20置換基で任意選択で置換されており、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0061】
2−D:別の実施形態では、R2は、以下の式:
【化9】

から選択されるHetであり、Hetは、1〜3個のR20置換基で任意選択で置換されており、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0062】
2−E:別の実施形態では、R2は、式:
【化10】

のHetであり、Hetは、1〜3個のR20置換基で任意選択で置換されており、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0063】
2−F:別の実施形態では、R2は、式:
【化11】

のものであり、R21は、定義するとおりである。
【0064】
21−A:本実施形態では、R21は、H、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキルおよび−O−(C1〜6)ハロアルキルから選択される。
21−B:本実施形態では、R21は、H、Cl、Br、CH3、CHF2、CF3、シクロプロピル、シクロブチルおよび−OCF3から選択される。
21−C:本実施形態では、R21は、H、CHF2またはCF3である。
21−D:本実施形態では、R21は、HまたはCF3である。
21−E:本実施形態では、R21は、CHF2またはCF3である。
21−F:本実施形態では、R21は、CF3であり、R22はR20であり、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0065】
本明細書中に記載するR21の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R20、R3、R5およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0066】
2−G:別の実施形態では、R2は、式:
【化12】

の基であり、R22はR20であり、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0067】
2−H:別の実施形態では、R2は、ナフチルまたはフェニルであり、フェニルは、1〜5個のR20で任意選択で置換されており、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0068】
2−I:さらに別の実施形態では、R2は、1〜3個のR20で任意選択で置換されているフェニルであり、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0069】
2−J:一代替実施形態では、R2は、式:
【化13】

の基でかり、R21およびR22は、本明細書中で定義したとおりである。
【0070】
2−K:別の実施形態では、R2は、式:
【化14】

の基であり、R22はR20であり、R20は、本明細書中で定義したとおりである。
【0071】
2−L:さらに別の代替実施形態では、R2は、
【化15】

の群から選択され、R21およびR22は、本明細書中で定義したとおりである。
【0072】
2−M:さらに別の代替実施形態では、R2は、
【化16】

の群から選択され、R22は、本明細書中で定義したとおりである。
【0073】
本明細書中に記載するR2の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R20、R3、R5およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0074】
20−A:
20−A:一実施形態では、R20は、以下から選択される:
a)ハロ、シアノまたはニトロ;
b)R7、−C(=O)−R7、−C(=O)−O−R7、−O−R7、−S−R7、−SO−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7、−(C1〜6)アルキレン−SO−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;
(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C3〜7)シクロアルキルおよび(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、以下からそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており:
i)ハロ、シアノ、オキソ、チオキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキル、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH(C1〜4)アルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)2、−C(=O)−NH(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルまたは−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル;
ii)−OH、−O−(C1〜6)ハロアルキル、または−O−(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されている(C1〜6)アルキル;および
iii)それぞれがハロまたは(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されているアリールまたはHet;
c)−N(R8)R9、−C(=O)−N(R8)R9、−O−C(=O)−N(R8)R9、−SO2−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−O−C(=O)−N(R8)R9、または−(C1〜6)アルキレン−SO2−N(R8)R9であり;(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−(C1〜6)アルキレン−R7、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりであるか;
あるいは、R8およびR9は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、SH、−O(C1〜6)アルキル、−S(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されている。
【0075】
20−B:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
a)ハロ、シアノまたはニトロ;
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−O−R7、−C(=O)−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−S−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである。
【0076】
20−C:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである。
【0077】
20−D:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
a)ハロまたはシアノ;
b)R7、−CH2−R7、−C(=O)−R7、−CH2−O−R7、−SO2−R7、−CH2−S−R7または−CH2−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、フェニルおよびHetから選択され;Hetは、
【化17】

から選択され;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
フェニルおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキルおよび(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
c)−CH2−N(R8)R9または−CH2−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである。
【0078】
20−E:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
b)−(C1〜3)アルキレン−R7、−(C1〜3)アルキレン−O−R7、−(C1〜3)アルキレン−S−R7または−(C1〜3)アルキレン−SO2−R7であり;
7はHetであり;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
Hetは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜3)アルキレン−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9はR7であり、R7は、上記定義のとおりである。
【0079】
20−F:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
b)−CH2−R7、−CH2CH2−R7、−CH2−O−R7、−CH2−S−R7または−CH2−SO2−R7であり;
7はHetであり;Hetは、
【化18】

から選択され;
Hetは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキルおよび(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
c)−CH2−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9はR7であり、R7は、上記定義のとおりである。
【0080】
20−G:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、
【化19】

の群から選択され、
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである。
【0081】
20−H:別の実施形態では、R20は、
H, -CH2OCH3,
【化20】

から選択される。
【0082】
20−I:別の実施形態では、R20は、以下から選択される:
b)−(C1〜3)アルキレン−R7、−(C1〜3)アルキレン−O−R7、または−(C1〜3)アルキレン−S−R7であり;
7はHetであり;Hetは、1〜3個の窒素ヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、1〜4個の窒素ヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり、それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく;
Hetは、ハロ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、
c)−(C1〜3)アルキレン−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9はR7であり、R7は、上記定義のとおりである。
【0083】
本明細書中に記載するR20の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R2、R3、R5およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0084】
3
3−A:一実施形態では、R3は、H、ハロ、CN、(C1〜4)アルキル、−OH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2から選択される。
3−B:別の実施形態では、R3は、H、ハロ、CN、(C1〜4)アルキル、−O−(C1〜4)アルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2から選択される。
3−C:別の実施形態では、R3は、H、ハロおよびCNから選択される。
3−D:別の実施形態では、R3は、H、F、ClおよびCNから選択される。
3−E:別の実施形態では、R3は、Hおよびハロから選択される。
3−F:別の実施形態では、R3は、H、FおよびClから選択される。
3−G:別の実施形態では、R3は、HまたはFである。
3−H:別の実施形態では、R3は、Hである。
【0085】
本明細書中に記載するR3の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R20、R2、R5およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0086】
5
5−A:一実施形態では、R5は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル−(C1〜6)アルキル−またはHetから選択され;(C1〜6)アルキルおよびHetはそれぞれ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、Het、−OH、−COOH、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−C(=O)−O−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキルおよび−C(=O)−N(R51)R52からそれぞれ独立して選択される1〜4個の置換基で任意選択で置換されており;
51は、H、(C1〜6)アルキルまたは(C3〜7)シクロアルキルであり;
52は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−またはHet−(C1〜3)アルキル−であり;
(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−およびHet−(C1〜3)アルキル−のそれぞれは、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されているか;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されている。
【0087】
5−B:一実施形態では、R5は、(C1〜6)アルキルである。
5−C:別の実施形態では、R5は、メチルまたは1−メチルエチルである。
5−D:別の実施形態では、R5は、1−メチルエチルである。
【0088】
5−E:別の実施形態では、R5は、(C1〜6)ハロアルキル、Het、−COOHまたは−C(=O)−N(R51)R52で置換されている(C1〜4)アルキルであり、Hetは、1〜4個のNヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、1〜4個のNヘテロ原子を含む9もしくは10員の二環状ヘテロ多環であり;
51は、Hまたは(C1〜6)アルキルであり、R52は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、HetおよびHet−(C1〜3)アルキル−から選択され;
(C1〜6)アルキルは、−O(C1〜6)アルキルおよび−N((C1〜6)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
HetおよびHet−(C1〜3)アルキル−のHet部分は、それぞれ独立して、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5または6員のヘテロ環であり、HetおよびHet−(C1〜3)アルキル−はそれぞれ、ハロ、オキソ、−OH、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−(C=O)(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2および−NH(C=O)(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されているか;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、ハロ、オキソ、−OH、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−(C=O)(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2および−NH(C=O)(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており、
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されている。
【0089】
5−F:別の実施形態では、R5は、(C1〜6)ハロアルキルまたはHetで置換されている(C1〜2)アルキルであり、Hetは、
【化21】

から選択され;
Hetは、(C1〜4)アルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2から選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されている。
【0090】
5−G:別の実施形態では、R5は、(C1〜6)ハロアルキルで任意選択で置換されているHet、(C3〜7)シクロアルキルまたは(C1〜6)アルキルである。
5−H:別の実施形態では、R5は、シクロプロピルまたはシクロブチルである。
【0091】
5−I:別の実施形態では、R5は、
【化22】

から選択される。
【0092】
5−J:別の実施形態では、R5は、(C1〜6)アルキルおよび(C1〜6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜2個の置換基で任意選択で置換されているHetである。
【0093】
5−K:別の実施形態では、R5は、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル−(C1〜6)アルキル−またはHetであり;(C1〜6)アルキルおよびHetはそれぞれ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、Het、−OH、−COOH、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−C(=O)−O−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキルおよび−C(=O)−N(R51)R52からそれぞれ独立して選択される1〜4個の置換基で任意選択で置換されており;
51は、H、(C1〜6)アルキルまたは(C3〜7)シクロアルキルであり;
52は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−またはHet−(C1〜3)アルキル−であり;
(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−およびHet−(C1〜3)アルキル−のそれぞれは、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されているか;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されており;
(C1〜6)アルキルは、OHで任意選択で置換されている。
【0094】
本明細書中に記載するR5の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R20、R2、R3およびR6の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0095】
6
6−A:一代替実施形態では、R6は、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−OH、−SH、−O−(C1〜4)アルキルおよび−S−(C1〜4)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で任意選択で置換されているHetである。
6−B:別の代替実施形態では、R6は、ハロ、−OH、(C1〜4)アルキルおよび(C1〜4)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されているHetである。
6−C:さらに別の代替実施形態では、R6は、F、Cl、Br、OHおよびメチルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されているHetである。
【0096】
6−D:さらに別の実施形態では、R6は、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−OH、−SH、−O−(C1〜4)アルキルおよび−S−(C1〜4)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で任意選択で置換されているHetであり、
Hetは、
【化23】

から選択される。
【0097】
6−E:さらに別の実施形態では、R6は、ハロ、OH、(C1〜6)アルキルおよび(C1〜6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されているHetであり、
Hetは、
【化24】

から選択される。
【0098】
6−F:さらに別の実施形態では、R6は、ハロ、OH、(C1〜4)アルキルおよび(C1〜4)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されているHetであり、
Hetは、
【化25】

から選択される。
【0099】
6−G:さらに別の実施形態では、R6はHetであり、
Hetは、
【化26】

から選択される。
【0100】
6−H:さらに別の実施形態では、R6は、ハロ、OHおよび(C1〜6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜2個の置換基で任意選択で置換されているHetであり、Hetは、
【化27】

である。
【0101】
6−I:さらに別の実施形態では、R6はHetであり、
Hetは、
【化28】

から選択される。
【0102】
6−J:さらに別の実施形態では、R6は、
【化29】

である。
【0103】
6−K:さらに別の実施形態では、R6は、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−OH、−SH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキルおよび−N(R8)R9からそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で任意選択で置換されているHetであり;R8は、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;R9はR7であり;R7は、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で任意選択で置換されており;
アリールおよびHetのそれぞれは、以下からそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されているか:
i)ハロ、シアノ、オキソ、チオキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキル、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH(C1〜4)アルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)2、−C(=O)−NH(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルまたは−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル;
ii)−OH、−O−(C1〜6)ハロアルキル、または−O−(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されている(C1〜6)アルキル;および
iii)それぞれがハロまたは(C1〜6)アルキルで任意選択で置換されているアリールまたはHet;
あるいは、R8およびR9は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を任意選択でさらに含む4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、SH、−O(C1〜6)アルキル、−S(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で任意選択で置換されている。
【0104】
本明細書中に記載するR6の任意かつそれぞれの個々の定義は、本明細書中に記載するX、R2、R20、R3およびR5の任意かつそれぞれの個々の定義と組み合わせてもよい。
【0105】
本発明の好ましい亜属の実施形態の例を以下の表に記載し、それぞれの実施形態のそれぞれの置換基は、上記した定義に従って定義される:
【0106】
【表1】

【0107】

【0108】

【0109】
本発明の最も好ましい化合物の例は、以下の表1および2に記載のそれぞれの化合物である。
【0110】
一般に、具体的な立体化学または異性体を化合物名または構造中で具体的に指定しない限りは、すべての互変異性体および異性体ならびにその混合物、たとえば、個々の幾何異性体、立体異性体、アトロプ異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、立体異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物、または化学構造もしくは化合物の前述の形態のうちの任意のものの混合物が意図される。
【0111】
化合物の生物活性および薬理活性が化合物の立体化学に感受性があることは、当分野で周知である。したがって、たとえば、鏡像異性体はしばしば、代謝、タンパク質結合などを含めた薬物動態学特性、および示される活性の種類、活性の度合、毒性などを含めた薬理学的特性の差異を含めた、著しく異なる生物活性を示す。したがって、当業者には、一方の鏡像異性体が、他方の鏡像異性体と比較して濃縮されている場合、または他方の鏡像異性体から分離した場合に、より高い活性を有するまたは有益な効果を示し得ることが理解されよう。さらに、当業者は、本開示および当分野の知識から、どのように本発明の化合物の鏡像異性体を分離、濃縮、または選択的に調製するかを知っているであろう。
【0112】
純粋な立体異性体、たとえば鏡像異性体およびジアステレオマー、または所望の鏡像体過剰率(ee)もしくは鏡像異性純度の混合物の調製は、当業者に知られている(a)鏡像異性体の分離もしくは分割または(b)エナンチオ選択的合成の多数の方法のうちの、1つもしくは複数またはその組合せによって達成される。これらの分割方法は、一般にキラル認識に依存し、たとえば、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー、エナンチオ選択的ホスト−ゲスト錯体形成、キラル補助剤を用いた分割もしくは合成、エナンチオ選択的合成、酵素的および非酵素的速度論的分割、または自発的エナンチオ選択的結晶化が含まれる。そのような方法は、一般に、本明細書中に参照により組み込まれている、キラル分離技術:実用的な手法(Chiral Separation Techniques:A Practical Approach)(第2版)、G.Subramanian(編)、Wiley−VCH、2000;T.E.BeesleyおよびR.P.W.Scott、キラルクロマトグラフィー(Chiral Chromatography)、John Wiley&Sons、1999;ならびにSatinder Ahuja、クロマトグラフィーによるキラル分離(Chiral Separations by Chromatotaphy)、Am.Chem.Soc.、2000に開示されている。さらに、鏡像体過剰率または純度を定量するため、たとえば、GC、HPLC、CE、またはNMR、および絶対的立体配置およびコンホメーションを割り当てるため、たとえば、CD ORD、X線結晶構造解析、またはNMRの、同様に周知の方法が存在する。
【0113】
本発明による化合物は、C型肝炎ウイルスNS5B RNA依存性RNAポリメラーゼの阻害剤であり、したがって、C型肝炎ウイルスRNAの複製を阻害するために使用し得る。
【0114】
本発明による化合物はまた、実験用試薬または研究試薬としても使用し得る。たとえば、本発明の化合物は、それだけには限定されないが、代用細胞に基づいたアッセイおよびin vitroまたはin vivoウイルス複製アッセイを含めたアッセイを検証するための陽性対照として使用し得る。
【0115】
本発明による化合物はまた、それだけには限定されないが、ポリメラーゼの作用機構、様々な条件下でポリメラーゼによって受けるコンホメーション変更、およびポリメラーゼと結合するまたは他の様式で相互作用する部分との相互作用を含めた、C型肝炎ウイルスNS5Bポリメラーゼを研究するためのプローブとしても使用し得る。
【0116】
プローブとして使用する本発明の化合物は、それを検出、測定および定量することができるように化合物の直接または間接的な認識を可能にする標識で標識し得る。本発明の化合物で使用することが企図される標識には、それだけには限定されないが、蛍光標識、化学発光標識、比色標識、酵素マーカー、放射性同位体、親和性タグおよび光反応基が含まれる。
【0117】
プローブとして使用する本発明の化合物はまた、受容体に対するその強力な親和性を用いて、溶液から、リガンドが結合している部分を抽出することができる、親和性タグで標識してもよい。親和性タグには、それだけには限定されないが、ビオチンもしくはその誘導体、ヒスチジンポリペプチド、ポリアルギニン、アミロース糖部分または特定の抗体によって認識可能な定義されたエピトープが含まれる。
【0118】
さらに、プローブとして使用する本発明の化合物は、光によって活性化させた際に、不活性基からフリーラジカルなどの活性種へと変換される光反応基で標識し得る。光反応基には、それだけには限定されないが、ベンゾフェノンおよびアジド基などの光親和性標識が含まれる。
【0119】
さらに、本発明による化合物は、物質のウイルス汚染を処理または防止するために使用して、そのような物質(たとえば、血液、組織、手術の器具および衣類、実験室の器具および衣類、ならびに血液採取装置および材料)と接触する実験室または医療従事者もしくは患者のウイルス感染の危険性を減少させ得る。
【0120】
薬剤組成物
本発明の化合物は、C型肝炎ウイルス感染症の治療を必要としている哺乳動物に、治療上有効な量の本発明による化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと;1つまたは複数の慣用の無毒性の製薬上許容される担体、アジュバントまたはビヒクルとを含む薬剤組成物として投与し得る。組成物の具体的な製剤化は、化合物の溶解度および化学的性質、選択した投与経路ならびに標準製薬実施によって決定される。本発明による薬剤組成物は、経口または全身投与し得る。
【0121】
経口投与には、化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルは、それだけには限定されないが、水性懸濁液および液剤、カプセル、散剤、シロップ、エリキシルまたは錠剤を含めた、任意の経口的に許容される剤形へと製剤化することができる。全身投与には、それだけには限定されないが、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、および病巣内注射またはインフュージョン技術による投与が含まれ、製薬上許容される無菌的水性ビヒクル中の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルの溶液を使用することが好ましい。
【0122】
製薬上許容される担体、アジュバント、ビヒクル、賦形剤および添加剤、ならびに様々な投与様式のための薬剤組成物を製剤化する方法は、当業者に周知であり、本明細書中に参照により組み込まれている、レミントン:製薬学の科学および実施(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、Lippincott Williams&Wilkins、2005;ならびにL.V.Allen、N.G.PopovishおよびH.C.Ansel、製薬剤形および薬物送達系(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)、第8版、Lippincott Williams&Wilkins、2004などの製薬学の文献に記載されている。
【0123】
投与する用量は、それだけには限定されないが、用いる具体的な化合物の活性および薬力学的特徴ならびにその投与の様式、時間および経路;レシピエントの年齢、食習慣、性別、体重および全体的な健康状態;症状の性質および程度;感染症の重篤度および経過;同時治療の種類;治療の頻度;所望する効果;治療を行う医師の判断を含めた、既知の要素に依存して変動する。一般に、化合物は、最も望ましくは、一般に、有害または有毒な副作用をまったく引き起こさずに抗ウイルス的に有効な結果をもたらす用量レベルで投与する。
【0124】
活性成分の1日用量は、体重1キログラムあたり約0.01〜約200ミリグラムであると予測することができ、好ましい用量は、約0.1〜約50mg/kgである。典型的には、本発明の薬剤組成物は、1日に約1〜約5回、またはその代わりに持続注入として投与する。そのような投与は、慢性または急性の治療として使用することができる。担体材料と組み合わせて単一の剤形を生成し得る活性成分の量は、治療する宿主および特定の投与様式に依存して変動する。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。好ましくは、そのような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0125】
組合せ療法
本発明による化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルを、少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤と同時投与する、組合せ療法が企図される。追加の薬剤は、本発明の化合物と組み合わせて単一の剤形を作製し得る。あるいは、これらの追加の薬剤は、多回投与形態の一部として、別々に、同時にまたは逐次的に投与し得る。
【0126】
本発明の薬剤組成物が、本発明による化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと、1つまたは複数の追加の抗ウイルス剤との組合せとを含む場合、化合物および追加の薬剤はどちらも、単独療法レジメンで通常投与する用量の、約10〜100%、より好ましくは約10〜80%の用量レベルで存在しているべきである。本発明の化合物と追加の抗ウイルス剤または薬剤との間で相乗的な相互作用が存在する場合、組合せ中の活性薬剤の任意またはすべての用量を、単独療法レジメンで通常投与する用量と比較して減少させ得る。
【0127】
そのような組合せ療法で使用することが企図される抗ウイルス剤には、哺乳動物においてウイルスの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれ、それだけには限定されないが、哺乳動物においてウイルスの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスのどちらかの機構を妨げる薬剤が含まれる。そのような薬剤は、別の抗HCV剤;HIV阻害剤;HAV阻害剤;およびHBV阻害剤から選択することができる。
【0128】
他の抗HCV剤には、C型肝炎に関連する症状または疾患の進行を減少または予防するために有効な薬剤が含まれる。そのような薬剤には、それだけには限定されないが、免疫調節剤、HCV NS3プロテアーゼの阻害剤、他のHCVポリメラーゼの阻害剤、HCV生活環中の別の標的の阻害剤および他の抗HCV剤が含まれ、それだけには限定されないが、リバビリン、アマンタジン、レボビリンおよびビラミジンが含まれる。
【0129】
免疫調節剤には、哺乳動物において免疫系応答を増強または強化するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。免疫調節剤には、それだけには限定されないが、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、たとえばVX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、クラスIインターフェロン、クラスIIインターフェロン、コンセンサスインターフェロン、アシアロインターフェロン、peg化インターフェロンおよび、それだけには限定されないが、それだけには限定されないがヒトアルブミンを含めた他のタンパク質とコンジュゲートしたインターフェロンを含めたコンジュゲートインターフェロンが含まれる。クラスIインターフェロンとは、天然および合成によって生成したクラスIインターフェロンをどちらも含めた、すべてI型受容体と結合するインターフェロンの群であり、クラスIIインターフェロンは、すべてII型受容体と結合する。クラスIインターフェロンの例には、それだけには限定されないが、α−、β−、δ−、ω−、およびτ−インターフェロンが含まれ、クラスIIインターフェロンの例には、それだけには限定されないが、γ−インターフェロンが含まれる。
【0130】
HCV NS3プロテアーゼの阻害剤には、哺乳動物においてHCV NS3プロテアーゼの機能を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。HCV NS3プロテアーゼの阻害剤には、それだけには限定されないが、WO99/07733、WO99/07734、WO00/09558、WO00/09543、WO00/59929、WO03/064416、WO03/064455、WO03/064456、WO2004/030670、WO2004/037855、WO2004/039833、WO2004/101602、WO2004/101605、WO2004/103996、WO2005/028501、WO2005/070955、WO2006/000085、WO2006/007700、WO2006/007708、WO2007/009227、(すべてBoehringer Ingelheim)、WO02/060926、WO03/053349、WO03/099274、WO03/099316、WO2004/032827、WO2004/043339、WO2004/094452、WO2005/046712、WO2005/051410、WO2005/054430(すべてBMS)、WO2004/072243、WO2004/093798、WO2004/113365、WO2005/010029(すべてEnanta)、WO2005/037214(Intermune)、WO01/77113、WO01/81325、WO02/08187、WO02/08198、WO02/08244、WO02/08256、WO02/48172、WO03/062228、WO03/062265、WO2005/021584、WO2005/030796、WO2005/058821、WO2005/051980、WO2005/085197、WO2005/085242、WO2005/085275、WO2005/087721、WO2005/087725、WO2005/087730、WO2005/087731、WO2005/107745およびWO2005/113581(すべてSchering)、WO2006/119061、WO2007/016441、WO2007/015855、WO2007/015787(すべてMerck)に記載の化合物;ならびに候補VX−950、ITMN−191およびSCH−503034が含まれる。
【0131】
HCVポリメラーゼの阻害剤には、HCVポリメラーゼの機能を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。そのような阻害剤には、それだけには限定されないが、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドおよびヌクレオシド阻害剤が含まれる。HCVポリメラーゼの阻害剤の例には、それだけには限定されないが、WO02/04425、WO03/007945、WO03/010140、WO03/010141、WO2004/064925、WO2004/065367、WO2005/080388、WO2006/007693、WO2007/019674、WO2007/087717(すべてBoehringer Ingelheim)、WO01/47883(Japan Tobacco)、WO03/000254(Japan Tobacco)、WO03/026587(BMS)、WO2004/087714(IRBM)、WO2005/012288(Genelabs)、WO2005/014543(Japan Tobacco)、WO2005/049622(Japan Tobacco)、およびWO2005/121132(Shionogi)、WO2005/080399(Japan Tobacco)、WO2006/052013(Japan Tobacco)、WO2006/119646(Virochem Pharma)、WO2007/039146(SmithKline Beecham)、WO2005/021568(Biota)、WO2006/094347(Biota)に記載の化合物、ならびに候補HCV796(ViroPharma/Wyeth)、R−1626、R−1656、R−7128(Roche)、NM283(Idenix/Novartis)、VCH−759(Virochem)、GSK625433(GSK)、GS9190(Gilead)、MK−608(Merck)およびPF868554(Pfizer)が含まれる。
【0132】
HCV生活環中の別の標的の阻害剤には、HCV NS3プロテアーゼまたはHCVポリメラーゼの機能を阻害すること以外によってHCVの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。そのような薬剤は、HCVの形成および/または複製に必要な宿主またはHCVウイルスのどちらかの機構を妨げ得る。HCV生活環中の別の標的の阻害剤には、それだけには限定されないが、侵入阻害剤、ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼおよび内部リボソーム侵入部位(IRES)から選択される標的を阻害する薬剤、ならびに、それだけには限定されないがNS5Aタンパク質およびNS4Bタンパク質を含めた他のウイルス標的の機能を妨げる薬剤が含まれる。
【0133】
患者が、C型肝炎ウイルスと、それだけには限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)を含めた1つまたは複数の他のウイルスとが同時感染し得る場合もある。したがって、本発明による化合物をHIV阻害剤、HAV阻害剤およびHBV阻害剤のうちの少なくとも1つと同時投与することによって、そのような同時感染症を治療する組合せ療法も企図される。
【0134】
HIV阻害剤には、HIVの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。これには、それだけには限定されないが、哺乳動物においてHIVの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスのどちらかの機構を妨げる薬剤が含まれる。HIV阻害剤には、それだけには限定されないが、以下のものが含まれる:
・NRTI(ヌクレオシドまたはヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;それだけには限定されないが、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、エムトリシタビン、アバカビル、およびテノホビルが含まれる);
・NNRTI(非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;それだけには限定されないが、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、エトラビリン、リルピビリンおよびBILR355が含まれる);
・プロテアーゼ阻害剤(それだけには限定されないが、リトナビル、チプラナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、アタザナビル、ロピナビル、ダルナビルおよびブレカナビルが含まれる);
・侵入阻害剤、それだけには限定されないが、
・CCR5拮抗剤(それだけには限定されないが、マラビロク(UK−427,857)およびTAK−652が含まれる)、
・CXCR4拮抗剤(それだけには限定されないが、AMD−11070が含まれる)、
・融合阻害剤(それだけには限定されないが、エンフビルチド(T−20)が含まれる)および
・他のもの(それだけには限定されないが、BMS−488043が含まれる);
・インテグラーゼ阻害剤(それだけには限定されないが、MK−0518、c−1605、BMS−538158およびGS9137が含まれる)が含まれる;
・TAT阻害剤;
・成熟阻害剤(それだけには限定されないが、ベビリマット(PA−457)が含まれる);ならびに
・免疫調節剤(それだけには限定されないが、レバミゾール)。
【0135】
HAV阻害剤には、HAVの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。これには、それだけには限定されないが、哺乳動物においてHAVの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスのどちらかの機構を妨げる薬剤が含まれる。HAV阻害剤には、それだけには限定されないが、A型肝炎ワクチンが含まれる。
【0136】
HBV阻害剤には、哺乳動物においてHBVの形成および/または複製を阻害するために有効な薬剤(化合物または生物剤)が含まれる。これには、それだけには限定されないが、哺乳動物においてHBVの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスのどちらかの機構を妨げる薬剤が含まれる。HBV阻害剤には、それだけには限定されないが、HBVウイルスDNAポリメラーゼおよびHBVワクチンを阻害する薬剤が含まれる。
【0137】
したがって、一実施形態によれば、本発明の薬剤組成物は、治療上有効な量の1つまたは複数の抗ウイルス剤をさらに含む。
【0138】
さらなる実施形態は、1つまたは複数の抗ウイルス剤が少なくとも1つの他の抗HCV剤を含む、本発明の薬剤組成物を提供する。
【0139】
本発明の薬剤組成物のより具体的な実施形態によれば、少なくとも1つの他の抗HCV剤は、少なくとも1つの免疫調節剤を含む。
【0140】
本発明の薬剤組成物の別のより具体的な実施形態によれば、少なくとも1つの他の抗HCV剤は、少なくとも1つのHCVポリメラーゼの他の阻害剤を含む。
【0141】
本発明の薬剤組成物のさらに代替実施形態ではより具体的な実施形態によれば、少なくとも1つの他の抗HCV剤は、少なくとも1つのHCV NS3プロテアーゼの阻害剤を含む。
【0142】
本発明の薬剤組成物のさらに別のより具体的な実施形態によれば、少なくとも1つの他の抗HCV剤は、少なくとも1つのHCV生活環中の別の標的の阻害剤を含む。
【0143】
本明細書中に引用されているすべての文書は、そのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、本発明中に参考として組み込まれている。さらに、本発明の上記教示中で、当業者は本発明に特定の変更または変態を行うことができ、それでもこれらの均等物は添付の本出願の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲にあることを理解されよう。
【実施例】
【0144】
本発明の他の特長は、本発明の原理を例として例示する、以下の非限定的な実施例から明らかとなるであろう。当業者には周知のように、反応の構成成分を空気または水分から保護するために必要な場合は、反応を不活性雰囲気下(それだけには限定されないが、窒素またはアルゴンが含まれる)で行う。温度は摂氏(℃)で示す。溶液のパーセンテージおよび比は、別段に指定しない限りは、体積対体積の関係を表す。フラッシュクロマトグラフィーは、W.C.Still他、J.Org.Chem.(1978)、43、2923の手順に従ってシリカゲル(SiO2)上で行う。質量スペクトル分析は、エレクトロスプレー質量分光測定を用いて記録する。コンビフラッシュ上の精製は、Isco Combiflash(カラムカートリッジSiO2)を用いて行う。調製用HPLCは、標準条件下で、SunFire(商標)Prep C18 OBD 5μM逆相カラム、19×50mmを用いて、直線勾配(20から98%)で、0.1%のTFA/アセトニトリルおよび0.1%のTFA/水を溶媒として用いて、実施する。化合物は、適用される場合はTFA塩として単離する。分析用HPLCは、標準条件下で、Combiscreen(商標)ODS−AQ C18逆相カラム、YMC、50×4.6mm、内径5μM、120Åで220nMを用いて、以下の表に記載の直線勾配(溶媒Aは、H2O中の0.06%のTFAであり;溶媒Bは、CH3CN中の0.06%のTFAである)で溶出させて、実施する:
【0145】
【表2】

【0146】
本明細書中で使用する略記または記号は以下のとおりである:
Ac:アセチル;
AcOH:酢酸;
Bn:ベンジル(フェニルメチル);
Bu:ブチル;
n−BuLi:n−ブチルリチウム;
m−CPBA:メタ−クロロ過安息香酸;
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン;
DCE:ジクロロエタン;
DCM:ジクロロメタン;
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル;
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
EC50:50%有効濃度;
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸;
Et:エチル;
Et3N:トリエチルアミン;
Et2O:ジエチルエーテル;
EtOAc:酢酸エチル;
EtOH:エタノール;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;
Hex:ヘキサン;
IC50:50%阻害濃度;
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分光測定;
iPrまたはi−Pr:1−メチルエチル(イソプロピル);
Me:メチル;
MeCN:アセトニトリル;
MeI:ヨードメタン;
MeOH:メタノール;
MS:質量分光測定;
NaHB(OAc)3:ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(triactoxyborohydride);
NIS:N−ヨードスクシンアミド;
NLIN:非直線;
NMO:N−メチルモルホリンN−オキシド;
NMR:核磁気共鳴分光分析;
Ph:フェニル;
Pr:プロピル;
RT:室温(約18℃〜25℃);
SAS:小角散乱;
SPA:シンチレーション近接アッセイ;
TCEP:トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩;
tert−ブチルまたはt−ブチル:1,1−ジメチルエチル;
TFA:トリフルオロ酢酸;
THF:テトラヒドロフラン;
TLC:薄層クロマトグラフィー。
【0147】
実施例1A
化合物1001の調製
【化30】

ステップ1a:
DMSO(20mL)中のフェノール(5.0g、53mmol)およびメチル−5−クロロ−2−ニトロベンゾエート1a1(7.6g、35mmol)の混合物に、無水K2CO3(7.3g、53mmol)を加える。混合物を90℃まで加熱し、6時間攪拌する。混合物を水で希釈し、その後、EtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。
【0148】
ステップ1b:
粗ジアリールエーテルをMeOHで希釈し、10%のPd(OH)2/C(0.3g)を加える。容器にH2をパージし、その後、終夜、1atmのH2下で攪拌する。混合物を、セライトパッドを通して濾過し、その後、真空下で濃縮する。無水Et2O(150mL)中の粗アニリンの混合物に、HCl(エーテル中に1M、150mL)をゆっくりと加える。生じる固形物の塩酸塩1a2を濾過によって収集し、過剰のエーテルで洗浄し、乾燥させる。
【0149】
ステップ2:
参考:Abdel−Magid,A.F.;Carson,K.G.;Harris,B.D.;Maryanoff,C.A.;Shah,R.D.、J.Org.Chem.、1996、61、3849。
【0150】
無水DCE(5mL)中のアニリン塩酸塩1a2(268mg、0.96mmol)の混合物に、2−メトキシプロペン(0.37mL、3.8mmol)を加え、次いでNaHB(OAc)3(407mg、1.9mmol)を加える。混合物を終夜、室温で攪拌し、その後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、その後、減圧下で濃縮する。生じる残渣をフラッシュクロマトグラフィーに供して、イソプロピルアニリン1a3が単離される。
【0151】
ステップ3:
5−ブロモ−2−チオフェンカルボン酸1a4(56mg、0.27mmol)および無水CH2Cl2(400mL)の混合物に、1滴の無水DMFを加え、次いで(COCl)2(DCM中に2.0M、0.34mL、0.68mmol)を加える。混合物を20分間、室温で攪拌した後、減圧下で濃縮して、粗酸塩化物1a5が得られる。
【0152】
ステップ4:
粗酸塩化物1a5を無水ピリジン(1mL)で希釈し、i−Pr−アニリン1a3(50mg、0.18mmol)を加える。混合物を終夜、室温で攪拌する。NaOH水溶液(10N、180μL、1.8mmol)および水(180μL)を加え、混合物を終夜、室温で攪拌する。混合物をEtOAcで希釈し、1NのHClおよびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をEt2Oおよびヘキサン中で粉砕して、化合物1001が得られる。
【0153】
実施例2A
中間体2a3の調製
【化31】

ステップ1:
ジアリールエーテル2a1を形成する2−トリフルオロメチルフェノールとメチル−5−クロロ−2−ニトロベンゾエート1a1との間のSNAr反応を、実施例1Aのステップ1aに記載のように行う。
【0154】
ステップ2:
MeOH(20mL)およびAcOH(6mL)中のニトロアレーン2a1(780mg、2.3mmol)の混合物に、粉末鉄(1.3g、23mmol)を加える。混合物を30分間、85℃で攪拌した後、EtOAcと飽和NaHCO3水溶液との間で分配する。水層を分離し、EtOAcで再度抽出する。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、その後、減圧下で濃縮する。
【0155】
Et2Oおよびヘキサン中の粗アニリンの混合物に、HCl(エーテル中に1.0M、6mL、6mmol)を加える。生じる固形物の塩酸塩2a2を濾過によって収集し、過剰のエーテルで洗浄し、乾燥させる。
【0156】
ステップ3:
i−Pr−アニリン2a3を形成する還元性アミノ化を、実施例1Aのステップ2に記載のように行う。
【0157】
実施例3A
方法A
化合物1002の調製
【化32】

ステップ1a:
2−メチル−4−チアゾールカルボン酸3a1(27mg、0.17mmol)および無水DCE(1mL)の混合物に、トリホスゲン(22mg、0.08mmol)および2,4,6−コリジン(100μL)およびi−Pr−アニリン2a3(35mg、0.10mmol)を加える。混合物をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(300rpm)上、80℃で終夜かき回す。混合物を、Savant(商標)真空遠心機を用いて減圧下で濃縮する。残渣をEtOAc中に採り、飽和NaHCO3水溶液(×2)およびブラインで洗浄する。溶媒を減圧下で除去する。残渣をDMSO中に採り、その後、NaOH水溶液(10N、50μL、0.5mmol)および水(180μL)を加え、混合物をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(300rpm)上、室温で終夜かき回す。混合物をAcOH(200μL)で酸性化し、その後、調製用HPLC上に注入して、化合物1002が単離される。
【0158】
実施例4A
中間体4a12の調製
【化33】

ステップ1:
4,5−ジフルオロ−2−ニトロ安息香酸4a1(73g、359mmol)を、アルゴン下で無水THF(2L)と合わせる。ベンジルアルコール(80.8mL、800mmol)を加え、混合物を0℃まで冷却する。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中に1.0M、800mL、800mmol)を滴下する。1時間攪拌した後、混合物を飽和NH4Cl水溶液とEtOAcとの間で分配する。有機相を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。混合物を濾過し、濃縮する。生じる固形物4a2を冷EtOAcで洗浄し、乾燥させる。
【0159】
ステップ2:
カルボン酸4a2(112.8g、384mmol)を、無水DMF(2L)と合わせる。炭酸カリウム(108.1g、775mmol)を加え、混合物を0℃まで冷却する。ヨードメタン(110g、775mmol)を滴下し、2時間後、飽和NH4Cl水溶液を加えることによって反応を反応停止させる。水溶液をEtOAc(×2)で抽出する。その後、合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥させる。溶媒の除去により、メチルエステル4a3が得られる。
【0160】
ステップ3:
ベンジルエーテル4a3(56.7g、186mmol)を、Parr 爆弾中で、MeOH(300mL)およびEtOAc(300mL)と合わせる。溶液をArで脱気し、その後、パールマン触媒(6g)を加える。爆弾に30psiのH2を満たし、室温で終夜攪拌する。混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去する。残渣をヘキサン中で粉砕して、フェノール4a4が得られる。
【0161】
ステップ4:
参考:Abdel−Magid,A.F.;Carson,K.G.;Harris,B.D.;Maryanoff,C.A.;Shah,R.D.、J.Org.Chem.、1996、61、3849。
【0162】
フェノール4a4(5.00g、27mmol)およびDCM(200mL)の混合物に、HCl(エーテル中に1.0M、27mL、27mmol)を加える。5分間、周囲温度で攪拌した後、2−メトキシプロペン(3.8mL、40mmol)を加え、次いでNaHB(OAc)3(11.4g、54mmol)を加える。混合物を2時間攪拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、その後、濾過する。シリカゲルを溶液に加え、その後、溶媒を減圧下で除去する。シリカゲルでドライパックした化合物をコンビフラッシュ(5から30%のEtOAc/Hexの勾配)によって精製して、i−Pr−アニリン4a5が単離される。
【0163】
ステップ5:
i−Pr−アニリン4a5とクロロアレーン4a6との間のカップリングを、実施例1のステップ1aに記載の条件下で行う。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、ジアリールエーテル4a7が得られる。
【0164】
ステップ6:
酸4a8から酸塩化物4a9への変換は、実施例1Aのステップ3に記載のプロトコルを用いて行う。
【0165】
ステップ7:
ジアリールエーテル4a7(4.96g、11.7mmol)を、DCM(60mL)および無水ピリジン(5.7mL、70.3mmol)と合わせる。この混合物を、カニューレによって、酸塩化物4a9およびDCM(60mL)の混合物中に移す。最後に、DMAP(0.29g、2.3mmol)を加え、混合物を還流下で20時間攪拌する。反応混合物を水、0.5NのHClおよびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、アミド4a10が単離される。
【0166】
ステップ8:
MeOH(20mL)中のアミド4a10(1.96g、3.6mmol)の混合物に、NaBH4(0.27g、7.3mmol)を加える。混合物を室温、Ar雰囲気下で終夜攪拌する。混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させる。濾過および濃縮により、アルコール4a11が得られ、これを精製せずに使用する。
【0167】
ステップ9:
無水DCM(50mL)および無水DMF(1mL)中のアルコール4a11(1.97g、3.6mmol)の混合物に、SOCl2(0.86g、7.4mmol)を滴下する。混合物を室温で1時間攪拌する。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、その後、MgSO4で乾燥させる。真空下の濾過および濃縮後、塩化ベンジル4a12が回収される。
【0168】
実施例5A
中間体5a8の調製
【化34】

ステップ1:
MeOH(4L)中の5−ヒドロキシアントラニル酸5a1(400g、2.6mol)の混合物に、SOCl2(380mL、5.2mol)を加える。混合物を加熱還流し、終夜攪拌した後、さらなる部分のSOCl2を加える(190mL)。混合物を3時間還流し、その後、室温まで冷ます。混合物をMeCN(6L)で希釈する。混合物を10℃まで冷却し、30分間攪拌する。生じる固形物5a2を濾過によって収集し、MeCNで洗浄する。
【0169】
ステップ2:
i−Pr基をアニリン塩酸塩5a2内に導入する5a3の生成を、実施例1Aのステップ2に記載のように行う。
【0170】
ステップ3:
フェノール5a3とフルオロアレーン5a4との間のカップリングを、実施例1Aのステップ1aに記載の条件下で行う。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、ジアリールエーテル5a5が得られる。
【0171】
ステップ4:
アミド5a6を形成するジアリールエーテル5a5と酸塩化物4a9との間のカップリングを、実施例4Aのステップ7に記載の条件下で行う。
【0172】
ステップ5および6:
アミド5a6からアルコール5a7への変換、その後、塩化ベンジル5a8への変換は、実施例4Aのステップ8および9に記載のプロトコルを用いて行う。最終生成物5a8は、フラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0173】
実施例6A
方法B
化合物1016の調製
【化35】

ステップ1:
DMF(1mL)中の塩化ベンジル4a12(56mg、0.1mmol)、2−アミノ−6−エチルピリジン(18mg、0.15mmol)、Cs2CO3(50mg、0.15mmol)、KI(6mg、0.04mmol)およびMgSO4(70mg、0.58mmol)の混合物を、J−Kem(登録商標)軌道振盪機(300rpm)上、70℃で終夜かき回す。混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、DMSO(0.5mL)で洗浄する。NaOH水溶液(5N、0.2mL、1.0mmol)を加え、混合物を、Bohdan軌道振盪機(300rpm)上、室温で2時間攪拌する。混合物をAcOHで酸性化し、その後、調製用HPLCによって精製して、化合物1016が単離される。
【0174】
実施例7A
方法C
化合物1008の調製
【化36】

ステップ1:
THF(2mL)中の中間体4a12(56mg、0.1mmol)、モルホリン(13mg、0.15mmol)およびEt3N(0.025mL、0.18mmol)の混合物を、J−Kem(登録商標)軌道振盪機(300rpm)上、70℃で終夜かき回す。混合物を、Savant(商標)真空遠心機を用いて減圧下で濃縮し、その後、DMSO(1mL)中に採る。NaOH水溶液(5N、0.2mL、1.0mmol)を加え、混合物を、Bohdan(商標)軌道振盪機(300rpm)上、室温で2時間攪拌する。混合物をAcOHで酸性化し、調製用HPLCによって精製して、化合物1008が単離される。
【0175】
実施例8A
化合物1036の調製
【化37】

ステップ1:
アセトン(1mL)中の塩化ベンジル4a12(40mg、0.07mmol)、ピラゾール(pyrrazole)(5mg、0.07mmol)、K2CO3(33mg、0.24mmol)、KI(4mg、0.02mmol)の混合物を70℃まで加熱し、2時間攪拌する。混合物を濃縮し、残渣をDMSO(1mL)中に採る。NaOH水溶液(2.5N、0.4mL、1.0mmol)を加え、混合物を50℃まで加熱し、約1時間攪拌する。混合物をAcOHで酸性化し、その後、調製用HPLCによって精製して、化合物1036が単離される。
【0176】
実施例9A
方法D
化合物1037の調製
【化38】

ステップ1:
無水DMF(2mL)中の塩化ベンジル4a12(84mg、0.15mmol)の脱気した(N2)混合物に、5−トリブチルスタンニルチアゾール(126mg、0.34mmol)および(Ph3P)4Pd(0)(17mg、0.02mmol)を加える。混合物をマイクロ波加熱器中、120℃で20分間加熱する。混合物をEtOAc(50ml)で希釈し、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:1のEtOAc/Hex)に供して、9a1が単離される。
【0177】
ステップ2:
DMSO(2mL)および水(0.1mL)中のエステル9a1(57mg、0.09mmol)の混合物に、LiOH水溶液(1N、100μL、0.1mmol)を加える。混合物を終夜、室温で攪拌する。さらなるLiOH(1N、100μL、1.0mmol)を加え、攪拌を1時間続ける。混合物をTFAで酸性化し、濾過し、その後、調製用HPLC上に注入して、化合物1037が単離される。
【0178】
実施例10A
中間体10a6の調製
【化39】

ステップ1:
MeOH(80mL)中のカルボン酸10a1(5.0g、27mmol)および濃H2SO4(4mL)の混合物を、還流下で12時間攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、氷および飽和NaHCO3水溶液の混合物上に注ぐ。水性混合物をクエン酸で酸性化し、EtOAcで2回抽出する。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(3:7のEtOAc/ヘキサン)により、エステル10a2が得られる。
【0179】
ステップ2:
化合物10a2(10g、51mmol)、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルピリジン10a3(10g、61mmol)およびK2CO3(8.4g、61mmol)を、無水DMSO(150mL)中、室温、アルゴン雰囲気下で混合する。混合物を100℃で終夜攪拌し、室温まで冷却し、EtOAc(3L)で希釈する。有機相を飽和NH4Cl溶液およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。Et2Oおよびヘキサンを残渣に加えることで、化合物10a4が得られる。濾液を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製することで、さらなる化合物10a4が得られる。
【0180】
ステップ3:
化合物10a4(12.5g、37mmol)、MeOH(600mL)およびPd/C(1.4g)の混合物を、室温で3.5時間、H2(1atm)下で攪拌する。混合物を、セライトを通して濾過し、MeOHですすぐ。濾液を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(勾配;1/4から2/3のEtOAc/ヘキサン)によって精製する。得られる遊離アニリンおよびCH2Cl2(250mL)の混合物を0℃まで冷却し、Et2O(50mL)中の2MのHClを加える。混合物を室温で1時間攪拌し、塩酸塩10a5を濾過によって収集し、Et2Oですすぎ、空気乾燥させる。
【0181】
ステップ4:
CH2Cl2中の化合物10a5(2.1g、5.9mmol)および2−メトキシプロペン(2.3mL、24mmol)の混合物に、NaBH(OAc)3(2.5g、12mmol)を少量ずつ加える。混合物を室温で30分間攪拌し、その後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をヘキサン/エーテル中で粉砕し、次いで濾過、洗浄(ヘキサン)および乾燥により、化合物10a6が得られる。
【0182】
実施例11A
方法E
化合物2001の調製
【化40】

ステップ1:
8mLバイアル中の5−ブロモチオフェン−2−カルボニルクロライド1a5(0.080mmol)に、アニリン10a6(20mg、0.056mmol)のピリジン溶液(0.5mL)を加える。バイアルをJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(250rpm)上、80℃で終夜かき回し、その後、濃縮する。残渣を、DMAP(1.3mg、0.011mmol)を含む乾燥ピリジン(0.5mL)中に採り、5−ブロモチオフェン−2−カルボニルクロライド(0.080mmol)で再度処理する。反応混合物を終夜80℃で攪拌する。所望のアミドへの完全な変換を得るために必要な場合は、第3のカップリング反応を60℃で行う(0.08mmolの酸塩化物と0.011mmolのDMAP)。濃縮後、粗アミドをジクロロエタン(10mL)に溶かし、ワング樹脂(0.86g、0.95mmol)およびMP−カーボネート(0.33g、0.95mmol)で処理する。反応混合物をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(250rpm)上、室温で1時間かき回し、濾過し、濃縮する。その後、残渣をDMSO(0.5mL)に溶かし、水(50μL)および10NのNaOH水溶液(50μL)で処理する。反応混合物をBohdan(商標)振盪機上、450rpm、終夜、室温でかき回す。酢酸(200μL)を加え、溶液を半調製用LC−MS上に注入する(カラム:Agilent SB−C18、5uM、21.2mm×50mm;勾配:5%〜100%のH2O、0.06%のTFA/CH3CN、0.06%のTFA;30ml/分;13.5分、構成:25%のH2O、0.05%のギ酸アンモニウム/75%のMeCN;1ml/分)。凍結乾燥後、2001が単離される。
【0183】
実施例12A
化合物2003の調製
【化41】

ステップ1:
2−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルピリジン12a1(39.01g、239mmol)および無水DMF(800mL)の混合物に、Ar下で、N−ヨードスクシンイミド(4.89g、244mmol)および無水K2CO3(33.72g、244mmol)を加え、混合物を60℃で約3時間攪拌させる。混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をDCM(1L)に溶かし、有機相をブラインで洗浄する。2MのHClを加えることによって水相をpH4まで調節し、その後、DCM(1L)で抽出する。合わせた有機抽出物をブライン(2L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。混合物を約300mLまで濃縮し、冷蔵庫内で終夜冷却する。沈殿した固形物を濾過によって取り出し、乾燥させて、アリールヨウ化物12a2が得られる。
【0184】
ステップ2:
化合物12a2(115.7g、400mmol)およびPhPOCl2(668.6g、343mmol)の混合物を、N2下、136℃で終夜攪拌し、その後、室温まで冷却し、3Lの砕氷にゆっくりと加える。水性混合物をpH6まで調節し、濾過する。水性濾液をDCM(3L)で抽出し、その後、有機相を飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、クロロピリジン12a3が得られる。
【0185】
ステップ3:
エーテル12a5を形成するメチル−5−ヒドロキシ−2−ニトロベンゾエート12a4(実施例5のステップ1に記載の条件を用いて対応する安息香酸から合成)とクロロピリジン12a3との間のSNAr反応を、実施例1Aのステップ1に記載の条件下で行う。
【0186】
ステップ4:
無水DMSO(25mL)中の化合物12a5(1.05g、2.2mmol)の脱気した(Ar)混合物に、ビニルトリブチルスズ(890μL、3.0mmol)および(PPh34Pd(254mg、0.22mmol)を加える。混合物を95℃まで1.5時間加熱する。反応混合物をEt2O/EtOAc(100mL/150mL)で希釈し、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5:1のヘキサン/EtOAc)に供して、アルケン12a6が単離される。
【0187】
ステップ5:
アセトン(710mL)中のアルケン12a6(800mg、2.2mmol)の混合物に、tert−BuOH(8mL)、水(5mL)、4−N−メチルモルホリンオキシド一水和物(水中に60%の溶液、565μL、3.3mmol)およびOsO4(t−BuOH中に2.5質量%、365μL)を加える。混合物を終夜、周囲温度で攪拌し、その後、濃縮し、EtOAc(100mL)中に採る。有機相を1NのHCl、水、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:2のヘキサン/EtOAc)に供して、ジオール12a7が単離される。
【0188】
ステップ6:
過ヨウ素酸ナトリウム(460mg、2.2mmol)を、THF(10mL)および水(5mL)中のジオール12a7(580g、1.4mmol)の混合物に加える。混合物を室温で終夜攪拌する。混合物をエーテル/EtOAc(50mL/100mL)で希釈し、その後、水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗アルデヒド12a8をさらに精製せずに次のステップで利用する。
【0189】
ステップ7:
EtOH(6mL)中のアルデヒド12a8(510mg、1.4mmol)の混合物に、AcOH(87μL、1.5mmol)およびモルホリン(150μL、1.7mmol)を加える。混合物を50℃まで温め、約1時間攪拌する。混合物を室温まで冷まし、NaCNBH3(99mg、1.6mmol)を加える。混合物を室温で約2時間攪拌する。混合物をエーテル/EtOAc(50mL/100mL)で希釈し、その後、飽和NaHCO3水溶液、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:2のヘキサン/EtOAc)に供して、12a9が単離される。
【0190】
ステップ8:
実施例2Aのステップ2に記載の手順を用いて、ニトロアレーン12a9をアニリン12a10へと還元する。(注意:HCl塩は生じない)
【0191】
ステップ9:
DCM(5mL)中のアニリン12a10(100mg、0.24mmol)の混合物に、2−メトキシプロペン(116μL、1.2mmol)を加え、次いでNaHB(OAc)3(258mg、1.2mmol)を加える。混合物を終夜、室温で攪拌し、その後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、その後、減圧下で濃縮する。粗イソプロピルアニリン12a11をさらに精製せずに次のステップで利用する。
【0192】
ステップ10:
酸塩化物12a12を対応するカルボン酸から、実施例1Aのステップ3に記載のプロトコルを用いて形成する。
【0193】
無水ピリジン(3mL)中のi−Pr−アニリン12a11(50mg、0.11mmol)の混合物に、酸塩化物12a12(0.55mmol)およびDMAP(13mg、0.11mmol)を加える。混合物を80℃まで温め、終夜攪拌する。混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、その後、10%のクエン酸、1NのNaOH、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をDMSO(2mL)、MeOH(1mL)および水(0.2mL)中に採った後、NaOH水溶液(10N、100μL、1.0mmol)を加える。混合物を1時間、室温で攪拌した後、TFAで酸性化し、濾過し、調製用HPLC上に注入して、化合物2003が単離される。
【0194】
実施例13A
化合物2010の調製
【化42】

ステップ1:
0℃まで冷却した、濃H2SO4(15mL)中の4−クロロ−3−フルオロ安息香酸13a1(2.00g、11.5mmol)の混合物に、NaNO2(1.16g、11.5mmol)を少量ずつ加える。NaNO2の添加が完了した後、混合物を室温まで温め、終夜攪拌する。混合物を0℃まで再度冷却し、MeOH(20mL)を注意深く加える。氷浴を取り外し、混合物を100℃まで加熱し、約4.5時間攪拌する。混合物を注意深く水/氷の混合物に希釈する。NaHCO3を加えることによって水性混合物を塩基性にし、その後、EtOAcで分配する。有機層を分離し、その後、水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗ニトロ−エステル13a2をさらに精製せずに利用する。
【0195】
ステップ2:
参考:Rogers、J.F.;Green D.M.、Tet.Lett.、2002、43、3585。
【0196】
無水DMF(30mL)中のニトロアレーン13a2(2.57g、11.0mmol)および2−(メチルスルホニル)エタノール(1.82g、14.6mmol)の混合物に、N2雰囲気下で、0℃まで冷却して、NaH(95%、556mg、22.0mmol)を加える。混合物を0℃で約1時間攪拌し、その後、1時間、室温で攪拌する。1NのHCl水溶液を加えることによって反応を反応停止させ、その後、EtOAcで分配する。有機相を分離し、水で洗浄する。有機相を1NのNaOH(×2)で洗浄する。合わせた水性洗浄液を1NのHClで酸性化し、その後、EtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗フェノール13a3をさらに精製せずに利用する。
【0197】
ステップ3:
MeOH(15mL)中のニトロアレーン13a3(1.52g、6.6mmol)の混合物に、SnCl2(6.5g、33mmol)を加える。混合物を加熱還流し、30分間攪拌する。混合物を室温まで冷まし、その後、洗浄し、EtOAcと飽和NaHCO3水溶液との間で分配する。混合物に、セライト(25g)を加え、その後、混合物を濾過する。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をEtOAc中に採り、その後、HCl(エーテル中に1.0N、8mL、8.0mmol)で処理する。固形物のアニリンHCl塩13a4を濾過によって回収する。
【0198】
ステップ4:
i−Pr基をアニリン塩酸塩13a4内に導入する13a5の生成を、実施例1Aのステップ2に記載のように行う。
【0199】
ステップ5:
エーテル13a6を形成するフェノール13a5とフルオロピリジン10a3との間のSNAr反応を、実施例1Aのステップ1に記載の条件下で行う。
【0200】
ステップ6:
THF(4mL)、MeOH(1mL)および水(75μL)中のエステル13a6(70mg、0.18mmol)の混合物に、NaOH(10N、90μL、0.90mmol)を加え、混合物を室温で終夜攪拌する。0.5NのKHSO4水溶液を加えることによって反応を停止させ、その後、EtOAcで分配する。有機相を分離し、水およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗アントラニル酸13a7をさらに精製せずに利用する。
【0201】
ステップ7:
無水DCE(2mL)中のアントラニル酸13a7(53mg、0.14mmol)の混合物に、酸塩化物12a12(44mg、0.27mmol)および無水ピリジン(33μL、0.41mmol)を加える。混合物をマイクロ波オーブン内、150℃で15分間加熱する。混合物をDMSO(1mL)で希釈し、TFAで酸性化した後、部分的に濃縮し、調製用HPLC上に注入して、化合物2010が単離される。
【0202】
実施例14A
中間体14a4の調製
【化43】

ステップ1:
−5℃に冷却したMeCN(500mL)およびDMF(50mL)中の2−フルオロ−5−ヨード安息香酸14a1(25g、24mmol)の攪拌混合物に、DBU(15.4mL、103mmol)を加え、次いでMeI(8.8mL、141mmol)をゆっくりと加える。混合物を室温まで温め、終夜攪拌する。混合物を水(1L)中に注ぎ、その後、EtOAc(500mL×3)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗エステル14a2をさらに精製せずに利用する。
【0203】
ステップ2:
ジオキサン(200mL)中のヨードアレーン14a2(22.3g、79mmol)の混合物に、トリブチルビニルスズ(20mL、68mmol)を加える。混合物を脱気(Ar)した後、(Ph3P)4Pd(2.4g、2.1mmol)を加える。混合物を約1時間還流し、その後、室温で終夜攪拌する。混合物を減圧下で濃縮し、生じる残渣をフラッシュクロマトグラフィーに供して、アルケン14a3が単離される。
【0204】
ステップ3:
THF(360mL)および水(270mL)中のアルケン14a3(9.6g、89mmol)の混合物に、OsO4(t−BuOH中に2.5%の溶液、5.4mL)を加え、次いでNaIO4(34g、160mmol)を少量ずつ加える。混合物を約2時間、室温で攪拌した後、部分的に濃縮し、EtOAcで希釈する。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーに供して、アルデヒド14a4が単離される。
【0205】
実施例15A
方法F
化合物2011の調製
【化44】

ステップ1:
8mLバイアルに、K2CO3(46mg、0.33mmol)、アルデヒド14a4(50mg、0.275mmol、0.5mLのDMSO中)およびシクロブチルアミン(98mg、1.4mmol)を次々に加える。混合物をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(270rpm)上、70℃で終夜かき回す。水(1mL)および濃HCl(0.7mL)を混合物に加える。混合物を70℃で3時間加熱し、EtOAc(2mL)で抽出し、水で3回洗浄する。濃縮後、粗アニリン15a1が得られ、これをそのままで以下の変換に使用する。
【0206】
ステップ2:
メタノール(8mLバイアル中に1.5mL)中の上記で得られた粗アミン15a1に、2℃で、過酸化水素(43μLの30%の水溶液)および濃H2SO4(20μL)を次々に加える。混合物をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(290rpm)上、2℃で15分間かき回し、その後、NaClの飽和水溶液を加える(2mL)。混合物をEtOAcで2回抽出し(2mLおよび1mL)、合わせた有機抽出物を水(1mL)およびブライン(1mL)で次々に洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗フェノール15a2が得られ、これをそのままで以下の変換に使用する。
【0207】
ステップ3:
乾燥DMSO(0.5mL)中の上記で得られた粗フェノール15a2に、K2CO3(133mg、0.96mmol)および2−フルオロ−3−トリフルオロメチルピリジン10a3(40μL、0.33mmol)を次々に加える。懸濁液をJ−Kem(登録商標)軌道振盪機(290rpm)上、85℃で終夜かき回す。水酸化ナトリウム水溶液(5N、250μL)を室温で加え、反応混合物を50℃で3時間かき回す。1NのKHSO4水溶液を用いて酸性化した後、混合物をEtOAcで3回抽出する。合わせた有機抽出物を水およびブラインで次々に洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過する。濃縮後、残渣をDMSOおよびAcOH(1.5mL)の混合物に溶かし、逆相調製用LC−MSによって精製する。条件;カラム:Agilent SB−C18、5uM、21.2mm×50mm;勾配:5%から100%のH2O、0.06%のTFA/CH3CN、0.06%のTFA;流れ:30ml/分で13.5分間;構成:25%のH2O、0.05%のギ酸アンモニウム/75%のMeCN;1ml/分。凍結乾燥後、所望の化合物15a3が単離される。
【0208】
ステップ4:
DCE(0.3mL)中のアニリン15a3(11.1mg、0.032mmol)の混合物に、酸塩化物12a12(7.1mg、0.044mmol)およびピリジン(11.0μL、0.136mmol)を加える。混合物を150℃で15分間、マイクロ波加熱器中で加熱する。濃縮後、残渣をDMSOおよびAcOHに溶かし、逆相調製用LC−MSによって精製する。条件;カラム:Agilent SB−C18、5uM、21.2mm×50mm;勾配(gradiant):5%から100%のH2O、0.06%のTFA/CH3CN、0.06%のTFA;流れ:30ml/分で13.5分間;構成:25%のH2O、0.05%のギ酸アンモニウム/75%のMeCN;1ml/分。凍結乾燥後、化合物2011が単離される。
【0209】
実施例16A
化合物2027の調製
【化45】

ステップ1:
ヨウ化物12a3(10g、32.5mmol)を、アルゴン雰囲気下で、無水THFおよび無水トルエンの1:3の混合物(100mL)と合わせる。混合物を−78℃まで冷却し、その後、n−BuLi(ヘキサン中に1.6M、24mL、38.4mmol)を約40分間かけてシリンジによってゆっくりと加える。攪拌を約1時間続けた後、THF(10mL)中のギ酸エチル(3.2mL、39.7mmol)を約40分間かけて加える。混合物を約1時間攪拌した後、2MのHClを加えることによって反応停止させる。混合物をEtOAcと飽和NaHCO3水溶液との間で分配する。有機相をブライン(brined)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。混合物を濾過し、減圧下で濃縮する。シリカゲルをヘキサン中に3%のNEt3で前処理し、その後、1:1のEtOAc/Hexで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製を行って、アルデヒド16a1が単離される。
【0210】
ステップ2:
メタノール(225mL)中のアルデヒド16a1(19g、81mmol)の混合物を0℃まで冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(4.1g、109mmol)を少量ずつ加え、混合物を0℃で約1.5時間攪拌する。別の部分のNaBH4(1g)を加え、混合物をさらに30分間攪拌する。NaHSO4(5%水溶液)を加えることによって反応を反応停止させ、その後、EtOAc(500mL)で希釈する。有機相を分離し、その後、水(500mL)およびブラインで洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、その後、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:1のEtOAc/Hex)に供して、アルコール16a2が単離される。
【0211】
ステップ3:
アルコール16a2(10.5g、48mmol)を、無水THF(500mL)中で、トリアゾール(3.42g、48mmol)およびトリフェニルホスフィン(14.3g、54mmol)と合わせる。混合物を0℃まで冷却し、DIAD(10.6mL、54mmol)を滴下する。攪拌を0℃で約1時間続けた後、混合物を周囲温度まで温め、その後、終夜攪拌する。混合物をEtOAcで希釈し、水(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄した後、Na2SO4で乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:3のEtOAc/Hex)に供して、ベンジルトリアゾール16a3が得られる。
【0212】
ステップ4:
実施例1Aのステップ1aに記載の反応条件を用いて、フェノール4a4をクロロピリジン16a3とカップリングさせる。
【0213】
ステップ5:
無水DCE(10mL)中のアニリン16a4(445mg、0.98mmol)の混合物に、酸塩化物4a9(249mg、1.4mmol)および無水ピリジン(325μL、4.0mmol)を加える。混合物をマイクロ波オーブン内、100℃で約10分間、2回加熱する。混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液(×2)およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(2:3のEtOAc/Hex)に供して、アミド16a5が単離される。
【0214】
ステップ6:
DMSO(6mL)中のエステル16a5(385mg、0.65mmol)の混合物に、NaOH水溶液(2.5N、1.8mL、4.5mmol)を加える。混合物を室温で約1時間攪拌する。混合物を水で希釈し、その後、AcOHで処理する。生じる固形物を濾過によって回収し、その後、MeCNおよび水中に採り、凍結し、凍結乾燥して、化合物2027が得られる。
【0215】
実施例17A
方法G
中間体17a4の調製
【化46】

ステップ1:
アルデヒド12a8からアルコール17a1への変換は、実施例4Aのステップ8に記載のプロトコルを用いて行う。
【0216】
ステップ2:
トリアゾール17a2は、アルコール17a1から、実施例16Aのステップ3に記載のプロトコルを用いて調製する。
【0217】
ステップ3:
ニトロアレーン17a2(503mg、1.2mmol)を窒素流下でEtOAc(10mL)に溶かす。Pd/C(100mg)を加え、加熱を約2分間続ける。その後、水素の気泡を混合物に約5分間通し、その後、混合物を水素(1atm)下、終夜、室温で攪拌する。混合物を、セライトを通して濾過する。濾液を濃縮し、残渣をコンビフラッシュ(20%のEtOAc/HexからEtOAc(ETOAc))によって精製して、アニリン17a3が得られる。
【0218】
ステップ4:
i−Pr基をアニリン17a3内に導入する17a4の生成を、実施例4Aのステップ4に記載のように行う。
【0219】
実施例18A
方法G
化合物2028の調製
【化47】

ステップ1:
無水DCE(1mL)中のアニリン17a4(33mg、0.07mmol)の混合物に、酸塩化物12a12(85mg、0.39mmol)、DMAP(14mg、0.11mmol)および無水ピリジン(30μL、0.37mmol)を加える。混合物をマイクロ波オーブン内、150℃で15分間加熱する。混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液(×3)およびブラインで洗浄する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をTHF(1mL)およびMeOH(0.5mL)中に採り、NaOH(10N、100μL、1.0mmol)を加え、混合物を終夜、室温で攪拌する。混合物をTFAで酸性化した後、濾過し、調製用HPLC上に注入して、化合物2028が単離される。
【0220】
実施例19A
化合物2030の調製
【化48】

ステップ1:
フェノール4a5とフルオロピリジン10a3との間のカップリングを、実施例1のステップ1aに記載の条件下で行う。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9のEtOAc/Hex)によって精製して、エーテル19a1が得られる。
【0221】
ステップ2:
化合物2030を形成する、アニリン19a1と酸塩化物4a9とのカップリング、次いで鹸化を、実施例16Aのステップ5および6に記載のように行う。
【0222】
実施例20A
中間体20a4の調製
【化49】

ステップ1〜4:
実施例4Aのステップ5〜9で実証したシーケンスを使用して、中間体20a4が得られる。
【0223】
実施例21A
化合物2031の調製
【化50】

ステップ1:
ナトリウムメトキシド(MeOH中に25%、17μL、0.08mmol)を、MeOH(5mL)中の塩化ベンジル20a4(40mg、0.07mmol)の混合物に加え、その後、周囲温度で約16時間攪拌する。DMSO(1mL)を加え、次いでNaOH(2.5N、240μL、0.6mmol)を加え、混合物を約1時間、周囲温度で攪拌する。混合物をAcOHで酸性化し、減圧下で2mLまで濃縮し、調製用HPLC中に注入して、化合物2031が単離される。
【0224】
実施例22A
方法H
化合物2032の調製
【化51】

ステップ1:
DCM(5mL)中の化合物2030(106mg、0.21mmol)の混合物に、特徴的な黄色が持続するまでCH22(エーテル中の溶液)を加える。混合物を濃縮し、残渣をDMSO(1mL)中に採り、その後、NaCN(78mg、1.2mmol)を加える。混合物を、エステルの鹸化が観察されるまで150℃まで20分間マイクロ波オーブン内で加熱した。その後、混合物を調製用HPLC上に注入して、2032が単離される。
【0225】
実施例23A
中間体23a4の調製
【化52】

ステップ1〜4:
実施例4Aのステップ5〜9で実証したシーケンスを使用して、中間体23a4が得られる。
【0226】
実施例24A
方法F
化合物2033の調製
【化53】

ステップ1:
プロトコルはNobre,S.M.;Monteiro,A.L.、Tet.Lett.、2004、45、8225から適用。
【0227】
トリフェニルホスフィン(10mg、0.04mmol)、Pd(OAc)2(4.5mg、0.02mmol)、粉末K3PO4(81mg、0.38mmol)、5−ピリミジルボロン酸(35mg、0.28mmol)および塩化ベンジル23a4(52mg、0.09mmol)を、脱気した(N2)DMF(2.5mL)中で合わせる。混合物を120℃で20分間、マイクロ波オーブン内で攪拌しながら加熱する。混合物をDMSO(2mL)/MeOH(1mL)/水(0.3mL)で希釈し、その後、NaOH(10N、350μL、3.5mmol)を加える。混合物を約1.5時間、室温で攪拌する。混合物をTFAで酸性化し、部分的に濃縮し、濾過し、その後、調製用HPLC上に注入して、化合物2033が単離される。
【0228】
実施例25A
化合物2066の調製
【化54】

ステップ1a:
ニトロ中間体4a3(63.8g、212mmol)をTHF(1L)で希釈する。塩酸水溶液(1M、500mL)を加え、次いで粉末スズ(55g、467mmol)を加える。混合物を約2時間、室温で攪拌する。その後、反応混合物をEtOAcで希釈し、1NのNaOHを加えることによって混合物のpHを7まで調節する。有機相を分離し、その後、水およびブラインで洗浄する。その後、有機相をNaSO4で乾燥させ、溶媒を除去して、アニリンが得られる。
【0229】
ステップ1b:
アニリン(97.1g、377mmol)を無水Et2O(1L)と合わせ、HCl(エーテル中に2M、2L)をゆっくりと加えることによって混合物を処理する。生じる塩酸塩25a1を濾過によって収集し、過剰のエーテルで洗浄する。
【0230】
ステップ2:
参考:Apodacca,R.;Xiao,W.、Org.Lett.、2001、3、1745。
【0231】
25a1のHCl塩は、EtOAc中の溶液を飽和NaHCO3水溶液で数回洗浄することによって、遊離アミンへと変換する。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。
【0232】
THF(5mL)中の遊離塩基アニリン25a1(275mg、1.0mmol)の混合物に、シクロブタノン(150μL、2.0mmol)を加え、次いでBu2SnCl2(15mg、0.05mmol)を加える。混合物を約5分間、室温で攪拌した後、フェニルシラン(140μL、1.1mmol)を加える。混合物を約4日間、室温で攪拌した後、飽和NaHCO3水溶液で希釈し、次いでEtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーに供して、シクロブチルアニリン25a2が得られる。
【0233】
ステップ3:
EtOH(5mL)およびEtOAc(2mL)中のベンジルエーテル25a2(265mg、0.8mmol)の混合物に、N2雰囲気下で、10%のPd/C(20mg)を加える。容器にH2をパージし、室温、1atmのH2下で終夜攪拌する。混合物を、セライトを通して濾過し、溶媒を真空下で除去して、フェノール25a3が得られる。
【0234】
ステップ4:
中間体25a4を生成するフェノール25a3とフルオロピリジン10a3とのSNArカップリングを、実施例1Aのステップ1に記載のように行う。
【0235】
ステップ5:
実施例18Aのステップ1に記載のプロトコルを用いて、アニリン25a4を酸塩化物12a12とカップリングさせ、次いで鹸化して、化合物2066を調製する。
【0236】
実施例26A
化合物2068の調製
【化55】

ステップ1:
DMF(1mL)中の塩化ベンジル23a4(50mg、0.09mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(13mg、0.14mmol)およびEt3N(0.026mL、0.18mmol)の混合物を70℃で終夜攪拌する。混合物が室温まで冷めた後、MeOH(0.5mL)およびLiOH−H2O(39mg、0.9mmol)を加え、混合物を室温で終夜攪拌する。混合物をAcOHで酸性化し、その後、調製用HPLCによって精製して、化合物2068が単離される。
【0237】
実施例27A
化合物2073の調製
【化56】

ステップ1:
DCM(1mL)中の化合物2030(40mg、0.08mmol)の混合物に、m−CPBA(19mg、0.09mmol)を加える。混合物を終夜、室温で攪拌する。別の部分のm−CPBAを加え、混合物をさらに1日間、再度攪拌する。混合物を濃縮し、残渣をAcOH中に採り、その後、調製用HPLC上に注入して、化合物2073が単離される。
【0238】
実施例28A
方法J
化合物2074の調製
【化57】

ステップ1:
エステル16a4から酸28a1への鹸化を、実施例13Aのステップ6に記載のように行う。
【0239】
ステップ2:
化合物2074を形成するアニリン28a1と酸塩化物12a12とのカップリングを、実施例13Aのステップ7に記載のように行う。
【0240】
実施例29A
方法K
化合物2075の調製
【化58】

ステップ1:
酸塩化物29a2は、酸29a1から、実施例1Aのステップ3に記載のプロトコルを用いて調製する。
【0241】
ステップ2:
無水DCE(2mL)中のアニリン16a4(90mg、0.20mmol)の混合物に、酸塩化物29a2(208mg、1.4mmol)および無水ピリジン(243μL、3.0mmol)を加える。混合物をマイクロ波オーブン内、170℃で約30分間加熱する。混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過する。シリカゲルを濾液に加え、混合物を濃縮する。シリカゲルでドライパックしたカラムをフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に30から90%のEtOAc)に供して、アミド29a3が単離される。
【0242】
ステップ2:
THF(2mL)およびDMSO(0.5mL)中のエステル29a3(57mg、0.1mmol)の混合物に、NaOH水溶液(5N、200μL、1.0mmol)を加える。混合物を50℃まで温め、約1時間攪拌する。混合物をAcOH(0.5mL)で酸性化した後、濾過し、調製用HPLC上に注入して、化合物2075が単離される。
【0243】
実施例30A
化合物2079の調製
【化59】

ステップ1:
参考:PCT/JP2005/009604
【0244】
−5℃まで冷却した、濃H2SO4(20mL)中の2,4−ジフルオロ安息香酸30a1(5.00g、31.6mmol)の混合物に、NIS(6.83g、30.4mmol)を少量ずつ加える。混合物を室温まで温め、終夜攪拌する。混合物を氷上に注ぎ、その後、10%の亜硫酸ナトリウム水溶液で希釈する。生じる固形物を濾過によって収集し、過剰の水(200mL)で洗浄する。固形物を熱エタノール水溶液(50%)中に採り、混合物を室温まで冷まし(約1時間まで)、その後、0℃まで冷却する。固形物30a2を濾過によって回収する。
【0245】
ステップ2:
MeOH(200mL)中の酸30a2(37g、130mmol)および濃H2SO4(9mL)の混合物を加熱還流し、終夜攪拌する。混合物を室温まで冷ました後、部分的に濃縮する。残渣をEtOAcで希釈し、その後、飽和NaHCO3水溶液(×3)およびブラインで洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、メチルエステル30a3が得られる。
【0246】
ステップ3:
DMF(30mL)中のジフルオロアレーン30a3(1.00g、3.4mmol)の混合物に、K2CO3(700mg、5.0mmol)および(R)−テトラヒドロフラン−3−アミン−HCl(415mg、3.4mmol)を加える。混合物を約75℃まで加熱し、終夜攪拌する。混合物を水とEtOAcとの間で分配する。有機相を分離し、その後、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に0から30%のEtOAc)に供して、アニリン30a4が単離される。
【0247】
ステップ4:
DMF(12mL)中のヨードアレーン30a4(413mg、1.1mmol)の混合物に、トリブチルビニルスズ(396μL、1.4mmol)および(Ph3P)4Pd(131mg、0.11mmol)を加える。混合物を脱気(Ar)した後、容器を密封し、その後、約110℃まで加熱し、約2.5時間攪拌する。混合物を室温まで冷まし、その後、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に0から30%のEtOAc)に供して、アルケン30a5が単離される。
【0248】
ステップ5a:
0℃まで冷却した、アセトン(7mL)、t−BuOH(2mL)および水(1.5mL)中のアルケン30a5(287mg、1.1mmol)の混合物に、OsO4(t−BuOH中に2.5%の溶液、676μL、0.05mmol)およびNMO(190mg、1.6mmol)を加える。混合物を約2時間、0℃で攪拌した後、10%のNs223水溶液中に注ぐ。水性混合物をEtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機相を10%のNs223水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。ジオールをさらに精製せずに次のステップで利用する。
【0249】
ステップ5b:
上記からの残渣をTHF(4.5mL)および水(4.5mL)中に採る。生じる混合物を0℃まで冷却し、NaIO4(34g、160mmol)を加える。混合物を2時間、0℃で攪拌した後、飽和NaHCO3水溶液で希釈する。水性混合物をEtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に10から30%のEtOAc)に供して、アルデヒド30a6が単離される。
【0250】
ステップ6:
0℃まで冷却した、MeOH(1.5mL)中のアルデヒド30a6(206mg、0.77mmol)の混合物に、濃H2SO4(72μL、1.2mmol)および過酸化水素(30%の水溶液、131μL、1.2mmol)を加える。混合物を0℃で1.5時間攪拌した後、混合物を10%のKH2PO4水溶液で希釈する。水性混合物をEt2Oで抽出する。有機相を10%のKH2PO4水溶液およびブライン(×3)で洗浄する。合わせた水相をEt2Oで逆抽出し、有機相を10%のKH2PO4水溶液およびブライン(×3)で洗浄する。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。粗フェノール30a7をさらに精製せずに次のステップで利用する。
【0251】
ステップ7:
DMSO(3mL)中のフェノール30a7(197mg、0.77mmol)およびクロロピリジン16a3(203mg、0.77mmol)の混合物に、Cs2CO3(376mg、1.2mmol)を加える。混合物を65℃まで加熱し、1時間攪拌する。混合物を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、その後、EtOAc(×2)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に10から50%のEtOAc)に供して、エーテル30a8が単離される。
【0252】
ステップ8:
無水DCE(3mL)中のアニリン30a8(135mg、0.28mmol)の混合物に、酸塩化物4a9(99mg、0.56mmol)、DMAP(3mg、0.03mmol)および無水ピリジン(131μL、1.7mmol)を加える。混合物をマイクロ波オーブン内、140℃で約1時間加熱する。混合物をEtOAcで希釈し、1NのHCl、水、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(Hex中に20から100%のEtOAc)に供して、エーテル30a9が単離される。
【0253】
ステップ9:
実施例29Aのステップ2に記載の条件を用いて、エステル30a9を化合物2079へと変換する。
【0254】
実施例31
NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼ活性の阻害
本発明の代表的な化合物は、以下に記述するプロトコルに従って、C型肝炎ウイルスRNA依存性ポリメラーゼ(NS5B)に対する阻害活性について試験する。
【0255】
HCV His−NS5BΔ21ポリメラーゼ[配列番号1]はC末端の21個のアミノ酸を欠き、大腸菌株JM109(DE3)中で、pETに基づくベクターに由来するN末端のヘキサ−ヒスチジンタグを有するように発現され、McKercher他、(2004)、Nucleic Acids Res.、32:422〜431に記載のように精製する。均一な酵素調製物は、保存バッファー(25mMのトリス/HCl、pH7.5、300mMのNaCl、5mMのDTT、1MのEDTAおよび30%(v/v)のグリセロール)中に−20℃で保存する。
【0256】
精製したHis−NS5BΔ21ポリメラーゼは、ホモポリマーのポリ(A)鋳型とアニーリングしたビオチン−オリゴ−(U)12RNAプライマーの伸長中の3H−UTPの取り込みを測定するアッセイにおいて、再構成する。試験化合物を最初に加え、次いで基質を加え、その後に酵素を加える。反応の最後に、ストレプトアビジンシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズを加え、捕捉された二本鎖RNA産物からの放射活性をTopCount装置(Packard)で定量する。
【0257】
アッセイ反応の構成要素は、以下のとおりである:20mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのTCEP、1mMのEDTA、5mMのMgCl2、0.01w/v%のBSA、5v/v%のDMSO、10μg/mLのポリ(A)、1μg/mLのビオチン−オリゴ−(U)12、333nMのUTP、0.01mCi/mL、(300nM)の3H−UTP、80単位/mLのRnasin、12.5nMのHis−NS5BΔ21ポリメラーゼおよび大きな濃度範囲にわたって連続希釈した試験阻害剤化合物。アッセイは、384ウェルプレート中で行い、1.5時間、約22℃のインキュベーションを用い、その後、0.5MのEDTAの溶液で停止させ、産物をストレプトアビジンでコーティングしたビーズで捕捉した。6MのCsClを各ウェルの底に加えた後、プレートを室温で約90分間静置した後、60秒間、TopCountで計数する。その後、計算した%阻害値を用いて、SASの非直線回帰のルーチンNLIN手順によってIC50、傾き係数(n)および最大阻害(Imax)を決定する。
【0258】
実施例32
NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害の特異性
本発明の代表的な化合物は、McKercher他、(2004)、Nucleic Acids Res.、32:422〜431に記載のように、、ポリオウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼおよび子ウシ胸腺DNA依存性RNAポリメラーゼIIに対する阻害活性について試験する。
【0259】
実施例33
細胞に基づいたルシフェラーゼレポーターHCV RNA複製アッセイ
本発明の代表的な化合物は、本明細書中に参照により組み込まれているWO2005/028501に記載のアッセイを用いて、安定したサブゲノムHCVレプリコンを発現する細胞における、C型肝炎ウイルスRNA複製の阻害剤としての活性について試験する。
【0260】
化合物の表
以下の表は、本発明に代表的な化合物を記載する。以下の表1および2に記載する代表的な化合物を実施例31のアッセイで試験し、30μM未満のIC50値を有することが判明した。以下の表1および2に記載する代表的な化合物を実施例33のアッセイで試験し、30μM未満のEC50値ことが判明した。
【0261】
それぞれの化合物の保持時間(tR)は、実施例中に記載した標準の分析用HPLCの条件を用いて測定する。当業者には周知のように、保持時間の値は具体的な測定条件に感受性を有する。したがって、同一の溶媒、流速、直線勾配などの条件を使用した場合でも、たとえば異なるHPLC装置で測定した場合は、保持時間の値が変動し得る。同じ装置で測定した場合でも、たとえば異なる個々のHPLCカラムを使用した場合は、値が変動する場合があり、または、同じ装置および同じ個々のカラムで測定した場合でも、たとえば異なる機会に測定した個々の測定値間で値が変動する場合がある。
【0262】
表1

【表4】

【0263】
【表5】

【0264】
【表6】

【0265】
【表7】

【0266】
【表8】

【0267】
【表9】

【0268】
表2

【表11】

【0269】
【表12】

【0270】
【表13】

【0271】
【表14】

【0272】
【表15】

【0273】
【表16】

【0274】
【表17】

【0275】
【表18】

【0276】
【表19】

【0277】
【表20】

【0278】
【表21】

【0279】
【表22】

【0280】
【表23】

【0281】
本明細書中に引用されているすべての文書は、そのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、本出願中に参照により組み込まれている。さらに、本発明の教示中で、当業者は本発明に特定の変更または変態を行うことができ、それでもこれらの均等物は添付の本出願の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあることを理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩もしくはエステル:
【化1】

(I)
[式中、
Xは、OおよびSから選択され;
2は、1〜5個のR20置換基で置換されていてもよいHetまたはアリールであり、R20は、それぞれの場合、以下から独立して選択され:
a)ハロ、シアノまたはニトロ;
b)R7、−C(=O)−R7、−C(=O)−O−R7、−O−R7、−S−R7、−SO−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7、−(C1〜6)アルキレン−SO−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;
(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C2〜6)アルキニル、(C3〜7)シクロアルキルおよび(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく;
アリールおよびHetのそれぞれは、以下からそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく:
i)ハロ、シアノ、オキソ、チオキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C1〜6)ハロアルキル、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキル、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH(C1〜4)アルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)2、−C(=O)−NH(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルまたは−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル;
ii)−OH、−O−(C1〜6)ハロアルキル、または−O−(C1〜6)アルキルで置換されていてもよい(C1〜6)アルキル;および
iii)それぞれがハロまたは(C1〜6)アルキルで置換されていてもよいアリールまたはHet;
c)−N(R8)R9、−C(=O)−N(R8)R9、−O−C(=O)−N(R8)R9、−SO2−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−O−C(=O)−N(R8)R9、または−(C1〜6)アルキレン−SO2−N(R8)R9であり;(C1〜6)アルキレンは、−OH、−(C1〜6)アルキル、ハロ、−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−O−(C1〜6)アルキル、シアノ、COOH、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2からそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく;
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−(C1〜6)アルキレン−R7、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりであるか;
あるいは、R8およびR9は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでもよい4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、SH、−O(C1〜6)アルキル、−S(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
3は、H、ハロ、CN、(C1〜4)アルキル、−OH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキルおよび−N((C1〜4)アルキル)2から選択され;
5は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル−(C1〜6)アルキル−またはHetであり;(C1〜6)アルキルおよびHetはそれぞれ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、Het、−OH、−COOH、−C(=O)−(C1〜6)アルキル、−C(=O)−O−(C1〜6)アルキル、−SO2(C1〜6)アルキルおよび−C(=O)−N(R51)R52からそれぞれ独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;
51は、H、(C1〜6)アルキルまたは(C3〜7)シクロアルキルであり;
52は、H、(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−またはHet−(C1〜3)アルキル−であり;
(C1〜6)アルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリール、Het、アリール−(C1〜3)アルキル−およびHet−(C1〜3)アルキル−のそれぞれは、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
(C1〜6)アルキルは、OHで置換されていてもよく;
あるいは、R51およびR52は、それらが結合しているNと一緒になって連結されて、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含んでもよい4〜7員のヘテロ環を形成し、それぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ヘテロ環は、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、ハロ、オキソ、−OH、−O(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜6)アルキル、−N((C1〜6)アルキル)2、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−C(=O)(C1〜6)アルキルおよび−NHC(=O)−(C1〜6)アルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
(C1〜6)アルキルは、OHで置換されていてもよく;
6は、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−OH、−SH、−O−(C1〜4)アルキル、−S−(C1〜4)アルキルおよび−N(R8)R9からそれぞれ独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよいHetであり;R8およびR9は、上記定義のとおりであり;
Hetは、O、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ環、または、可能な限りはO、NおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する、7〜14員の飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
ただし、XがOであり、R2がフェニルであり、R3がHであり、R5がHである場合、R6
【化2】

ではない]。
【請求項2】
XがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
2がHetであり、Hetが、1もしくは2個のNヘテロ原子を含む5もしくは6員の芳香族ヘテロ環、または1もしくは2個のNヘテロ原子を含む9もしくは10員の二環状ヘテロ多環であり;Hetが、1〜3個のR20置換基で置換されていてもよく、R20が、請求項1で定義したとおりである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
2が、式:
【化3】

のHetであり、Hetが、1〜3個のR20置換基で置換されていてもよく、R20が、請求項1で定義したとおりである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
2が、式:
【化4】

のものであり、R21が、H、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキルおよび−O−(C1〜6)ハロアルキルから選択され;
22がR20であり、R20が、請求項1で定義したとおりである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
21がCF3である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2が、1〜3個のR20で置換されていいてもよいフェニルであり、R20が、請求項1で定義したとおりである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
2が、式:
【化5】

の基であり、R21が、H、ハロ、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキルおよび−O−(C1〜6)ハロアルキルから選択され;
22が、R20であり、R20が、請求項1で定義したとおりである、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
21がCF3である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
20が以下から選択される:
a)ハロ、シアノまたはニトロ;
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−O−R7、−C(=O)−O−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−S−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−N(R8)R9、−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
20が以下から選択される:
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである、
請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
20が以下から選択される:
b)R7、−(C1〜6)アルキレン−R7、−C(=O)−R7、−(C1〜6)アルキレン−O−R7、−SO2−R7、−(C1〜6)アルキレン−S−R7または−(C1〜6)アルキレン−SO2−R7であり;
7は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキル、(C2〜6)アルケニル、(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、アリールおよびHetから選択され;Hetは、
【化6】

の群から選択され、
(C1〜6)アルキルは、−OH、−O−(C1〜6)アルキルおよびCOOHからそれぞれ独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく;
アリールおよびHetのそれぞれは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜6)アルキレン−N(R8)R9または−(C1〜6)アルキレン−C(=O)−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、Hおよび(C1〜6)アルキルから選択され;
9は、各々独立して、R7、−O−(C1〜6)アルキル、−SO2−R7、−C(=O)−R7、−C(=O)OR7および−C(=O)N(R8)R7から選択され;R7およびR8は、上記定義のとおりである、
請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
20が以下から選択される:
b)−(C1〜3)アルキレン−R7、−(C1〜3)アルキレン−O−R7、−(C1〜3)アルキレン−S−R7または−(C1〜3)アルキレン−SO2−R7であり;
7はHetであり;Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であるか、またはHetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む9もしくは10員のヘテロ多環であり;それぞれのNヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、酸素原子とさらに結合してN−オキシド基を形成するように酸化状態で存在してもよく、かつそれぞれのSヘテロ原子は、独立して、かつ可能な場合は、1または2個の酸素原子とさらに結合してSOまたはSO2基を形成するように、酸化状態で存在してもよく;
Hetは、ハロ、シアノ、オキソ、イミノ、−OH、−O−(C1〜6)アルキル、−O−(C1〜6)ハロアルキル、(C3〜7)シクロアルキル、−NH2、−NH(C1〜4)アルキル、−NH(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)(C3〜7)シクロアルキル、−N((C1〜4)アルキル)2、−NH−C(=O)(C1〜4)アルキル、(C1〜6)アルキルおよびHetからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、Hetは、N、OおよびSからそれぞれ独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5もしくは6員のヘテロ環であり;
c)−(C1〜3)アルキレン−N(R8)R9であり、
8は、各々独立して、H、(C1〜6)アルキルおよび(C3〜7)シクロアルキルから選択され;
9はR7であり、R7は、上記定義のとおりである、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
3が、H、ハロおよびCNから選択される、請求項1から14までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
3が、H、Cl、FまたはCNである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
3が、HまたはFである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
5が、(C1〜6)ハロアルキルで置換されていてもよいHet、(C3〜7)シクロアルキルまたは(C1〜6)アルキルである、請求項1から17までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
5が(C1〜6)アルキルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
5がメチルまたは1−メチルエチルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
5が1−メチルエチルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
5がシクロプロピルまたはシクロブチルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
6が、ハロ、−OH、(C1〜4)アルキルおよび(C1〜4)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいHetである、請求項1から22までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
6が、ハロ、OH、(C1〜6)アルキルおよび(C1〜6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいHetであり、
Hetが、
【化7】

から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
6が、ハロ、OHおよび(C1〜6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいHetであり、Hetが
【化8】

である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式:
【化9】

を有しており、R20、R21、R3、R5およびR6が、
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

として定義される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
式:
【化17】

を有しており、R20、R3、R5およびR6が、
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

として定義される、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
医薬品としての、請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステル。
【請求項29】
治療上有効な量の請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと;1つまたは複数の製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項30】
少なくとも1つの他の抗ウイルス剤をさらに含む、請求項29に記載の薬剤組成物。
【請求項31】
抗ウイルス剤がリバビリンおよびアマンタジンから選択される、請求項30に記載の薬剤組成物。
【請求項32】
抗ウイルス剤が他の抗HCV剤である、請求項30に記載の薬剤組成物。
【請求項33】
他の抗HCV剤が、α−、β−、δ−、γ−、およびω−インターフェロンから選択される免疫調節剤である、請求項32に記載の薬剤組成物。
【請求項34】
他の抗HCV剤が、HCVポリメラーゼの別の阻害剤である、請求項32に記載の薬剤組成物。
【請求項35】
他の抗HCV剤がHCV NS3プロテアーゼの阻害剤である、請求項32に記載の薬剤組成物。
【請求項36】
他の抗HCV剤が、HCV生活環中の別の標的の阻害剤である、請求項32に記載の薬剤組成物。
【請求項37】
前記HCV生活環中の別の標的の阻害剤が、HCVヘリカーゼ、HCV NS2/3プロテアーゼおよびHCV IRESから選択される標的を阻害する薬剤である、請求項36に記載の薬剤組成物。
【請求項38】
感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療するための、請求項29から37までのいずれか1項に記載の薬剤組成物の使用。
【請求項39】
哺乳動物に、治療上有効な量の請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物、その製薬上許容される塩もしくはエステル、または請求項29から37までのいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法。
【請求項40】
哺乳動物に、治療上有効な量の、請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩もしくはエステルと、少なくとも1つの他の抗ウイルス剤との組合せ;または請求項29から37までのいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法。
【請求項41】
感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療するための、請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルの使用。
【請求項42】
感染症に罹患しているまたは罹患する危険性のある哺乳動物においてC型肝炎ウイルス感染症を治療する医薬品を製造するための、請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルの使用。
【請求項43】
請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくはエステルを含む、C型肝炎ウイルス感染症を治療するために有効な組成物と;C型肝炎ウイルスによる感染症を治療するために組成物を使用することができることを示す表示を含むパッケージング材料とを含む製品。
【請求項44】
ウイルスを、有効量の請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその塩もしくはエステルに、C型肝炎ウイルスの複製が阻害される条件下で曝すことを含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法。
【請求項45】
C型肝炎ウイルスの複製を阻害するための、請求項1から27までのいずれか1項に記載の化合物またはその塩もしくはエステルの使用。

【公表番号】特表2010−535156(P2010−535156A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518468(P2010−518468)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001412
【国際公開番号】WO2009/018657
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】