説明

ウェーハ洗浄装置及びウェーハ製造方法

【課題】洗浄により得られるウェーハの品質を向上することのできる技術を提供する。
【解決手段】所定の洗浄液をウェーハWに吐出して、ウェーハWを洗浄するウェーハ洗浄装置1において、ウェーハWに洗浄液を吐出するために、ウェーハWを収容するスピン槽5を備え、スピン槽5におけるノズル17が設けられたノズルキャップ16の表面を、水に対する接触角が90度以上のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により構成するようにする。係るウェーハ洗浄装置1によると、ノズルキャップ16における洗浄液の残留を低減することができ、得られるウェーハWの品質を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを洗浄するウェーハ洗浄装置及び表面が浄化されたウェーハを製造するウェーハ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、研磨等されたウェーハを洗浄するウェーハ洗浄装置が知られている。
【0003】
ウェーハ洗浄装置には、例えば、ウェーハを1枚ごとに洗浄する枚葉式のウェーハ洗浄装置がある。また、枚葉式のウェーハ洗浄装置においては、ウェーハを回転させつつ洗浄する枚葉スピン式ウェーハ洗浄装置がある。
【0004】
枚葉スピン式ウェーハ洗浄装置では、ウェーハを回転させつつ、薬液、純水等を供給することによりウェーハを洗浄し、その後、ウェーハを乾燥させることが行われる。
【0005】
枚葉スピン式ウェーハ洗浄装置では、ウェーハを回転させるために、薬液や純水等の液体が周囲に飛び散っているので、例えば、ウェーハの乾燥時において、薬液や、純水等がウェーハに付着することにより、ウェーハの品質を低下させる虞がある。
【0006】
これに対して、例えば、ウェーハの回転に伴う乱流の発生を抑制してミストや薬品ガス等のウェーハへの付着を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−297651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術によると、ミストや薬品ガス等を効率よく外部に排出することにより、ウェーハに付着する可能性を低下させることができる。しかしながら、洗浄室内の壁面等に薬液やミスト等が残留してしまい、壁面等から飛散してウェーハに付着するという可能性は残されている。
【0009】
また、洗浄室内に薬液やミスト等が残留している場合には、薬液等が気化し、洗浄室の雰囲気を酸性又はアルカリ性としてしまい、これによりウェーハがエッチングされてしまう虞もある。
【0010】
ウェーハ洗浄装置においては、洗浄によって得られるウェーハの品質を向上することが要請されている。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的達成のため、本発明の第1の観点に係るウェーハ洗浄装置は、所定の洗浄液を洗浄対象のウェーハに吐出して、ウェーハを洗浄するウェーハ洗浄装置において、ウェーハに洗浄液を吐出するためにウェーハを収容するウェーハ洗浄部を備え、ウェーハ洗浄部の内壁又は、ウェーハ洗浄部内に配置される部材の少なくとも一部の表面を、水に対する接触角が90度以上の疎水性部材により構成する。係るウェーハ洗浄装置によると、疎水性部材により構成された部分に、洗浄液が付着することを低減でき、これにより、ウェーハへの洗浄液の付着、洗浄液の雰囲気によるエッチング等の影響を低減でき、このため、ウェーハ洗浄部内の雰囲気をより中性に近づけることができ、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0013】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、疎水性部材は、フッ素樹脂であってもよい。係るウェーハ洗浄装置によると、例えば、フッ化水素等の洗浄液による腐食を低減することができる。
【0014】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、ウェーハ洗浄装置は、ウェーハを1枚ずつ洗浄するように構成されていてもよい。係るウェーハ洗浄装置によると、1枚ずつウェーハを洗浄する場合に、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0015】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、ウェーハ洗浄部内に、ウェーハを回転可能に保持する回転保持部を有し、回転保持部に保持されたウェーハに対して洗浄液を吐出するようにしてもよい。係るウェーハ洗浄装置によると、ウェーハを回転させて洗浄する場合に得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0016】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、洗浄液を前記ウェーハの下方から吐出するノズルと、ノズルの周囲を覆うノズルキャップとを有し、ノズルキャップの表面を、疎水性部材により構成するようにしてもよい。係るウェーハ洗浄装置によると、ノズルから吐出された洗浄液が付着する可能性の高いノズルキャップにおいて、洗浄液が付着することを低減することができ、このため、ウェーハへの洗浄液の付着、洗浄液の雰囲気によるエッチング等の影響を低減でき、ウェーハ洗浄部内の雰囲気をより中性に近づけることができ、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0017】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、ウェーハの保持位置近傍の少なくとも一部の部材を、疎水性部材により構成するようにしてもよい。洗浄液が付着する可能性の高いウェーハ保持位置近傍の部材において、洗浄液が付着することを低減することができ、このため、ウェーハへの洗浄液の付着、洗浄液の雰囲気によるエッチング等の影響を低減でき、ウェーハ洗浄部内の雰囲気をより中性に近づけることができ、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0018】
また、上記ウェーハ洗浄装置において、ウェーハ洗浄部内の非回転部材の少なくとも一部の表面を疎水性部材により構成するようにしてもよい。係るウェーハ洗浄装置によると、自身の回転により自身に付着した洗浄液を排除することのできない部材に、洗浄液が付着することを低減することができ、このため、ウェーハへの洗浄液の付着、洗浄液の雰囲気によるエッチング等の影響を低減でき、ウェーハ洗浄部内の雰囲気をより中性に近づけることができ、洗浄により得られるウェーハの品質を向上することができる。
【0019】
また、上記目的達成のため、本発明の第2の観点に係るウェーハ製造方法は、ウェーハ洗浄装置により、所定の洗浄液を洗浄対象のウェーハに吐出して、ウェーハを洗浄することにより浄化ウェーハを製造するウェーハ製造方法であって、ウェーハ洗浄装置は、ウェーハに洗浄液を噴射するために、ウェーハを収容するウェーハ洗浄部を備え、ウェーハ洗浄部の内壁又は、ウェーハ洗浄部内に配置される部材の少なくとも一部の表面を、水に対する接触角が90度以上の疎水性部材により構成し、ウェーハ洗浄部にウェーハを収容する収容ステップと、ウェーハに洗浄液を吐出する吐出ステップと、洗浄液が吐出されたウェーハを乾燥させる乾燥ステップとを有する。
【0020】
係るウェーハ製造方法によると、疎水性部材により構成された部分に、洗浄液が付着することを低減でき、これにより、ウェーハへの洗浄液の付着を低減でき、このため、ウェーハ洗浄部内の雰囲気をより中性に近づけることができ、品質の高いウェーハを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のスピン槽の概略構成図を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のスピンテーブル近傍の構成を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置の下側のノズル近傍の構成を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のノズルキャップの状態と、比較例に係るノズルキャップの状態との比較図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置により得られたウェーハの状態と、比較例により得られたウェーハの状態とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
まず、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置について説明する。
【0024】
ウェーハ洗浄装置1は、洗浄対象のウェーハが投入される投入部と、純水にオゾン(O3)が溶解されたオゾン水によりウェーハを洗浄して有機物を除去し、酸化膜を成膜させるオゾン水洗浄処理を行うためのオゾン槽と、オゾン水洗浄処理後に、ウェーハの表面裏面にブラシを摺接させてウェーハ表面裏面の汚れを除去するスクラブ洗浄処理を行うためのスクラブ槽と、スクラブ洗浄処理後に、1枚のウェーハを回転させつつ洗浄液を吐出してウェーハを洗浄し、乾燥させる枚葉スピン洗浄処理を行うためのスピン槽5と、枚葉スピン洗浄処理後のウェーハを取り出し可能にするための取出部とを有する。なお、投入部、オゾン槽、スクラブ槽、スピン槽5、取出部間のウェーハの搬送は、ウェーハ搬送機構によって行われる。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のスピン槽の概略構成図を説明する図である。
【0026】
スピン槽(ウェーハ洗浄部)5は、内部に空間を有する略直方体形状をしており、上面には空気を取り入れるための通気口11が設けられている。また、スピン槽5の内部には、ウェーハWを回転可能に保持するスピンテーブル15を有する。スピンテーブル15は、上面以外の周囲を略半球状の水受けカップ13により囲まれている。また、スピンテーブル15の下方には、略半球状の水受けカバー12が設けられ、この水受けカバー12によりスピンテーブル15を回転させる回転駆動部等が覆われている。
【0027】
このような構成により、ウェーハWの周囲を通過する洗浄液に起因する気体や液体は、水受けカップ12と水受けカバー13との間の空間を通って、下方の図示しない排気口へと流れるようになっている。
【0028】
また、スピン槽5内には、スピンテーブル15に載置されるウェーハWに対して上方から洗浄液等を吐出可能な上側洗浄液供給部14が設けられている。
【0029】
上側洗浄液供給部14は、洗浄液(例えば、オゾン水、HF(フッ化水素)、純水)を吐出(噴射)するためのノズル14Cと、ノズル14Cを支持するノズル支持部14Bと、ノズル支持部14Bを回転可能に保持する回転軸14Aとを有する。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のスピンテーブル近傍の構成を説明する図である。図2Aは、スピン槽5のスピンテーブル15近傍の上面図を示し、図2Bは、スピンテーブル15にウェーハWが載置されて洗浄されている状態の上面図を示し、図2Cは、図2BのA−A線における断面図を示している。
【0031】
スピンテーブル15は、外輪部15Aと、内輪部15Bと、外輪部15Aと内輪部15Bとを連結する複数(6本)のスポーク部15Cと、ウェーハWの外周に当ってウェーハWを固定するための固定部15Dとを有する。
【0032】
スピンテーブル15の内輪部15Bの内側に対応する部分においては、ウェーハWの下方からウェーハWに向けて洗浄液、ガス等を吐出させる複数のノズル17が配置され、ノズル17の周囲がノズルキャップ16によって覆われている。このような構成により、ウェーハWにあたって戻ってきた洗浄液、ガス等がノズルキャップ16に沿って排気口に導かれることとなる。なお、ノズル17及びノズルキャップ16については、後述する。
【0033】
スピンテーブル15に、ウェーハWを載置すると、図2Bに示すようになる。ウェーハWは、図2Cに示すように、外周部近傍の下面が外輪部15A上に接触した状態で、外周部が固定部15Dに当ることにより固定(載置)される。本実施形態では、ウェーハWの鏡面(結晶層を堆積させたり、イオン注入を施したりする側の面)が下方を向くようにスピンテーブル15に固定される。
【0034】
ウェーハWを洗浄する際には、図2B、図2Cに示すように、ウェーハWをスピンテーブル15上で固定させた状態において、スピンテーブル15を図示しない回転機構部により回転させる。そして、ノズル14Cから洗浄液を吐出させつつ、上側洗浄液供給部14をウェーハW上で矢印方向に回動(スイング)させる。これによって、ウェーハWの上方の面が洗浄されることとなる。また、上記処理と同時に、ウェーハWの鏡面側においては、ノズル17から洗浄液を噴射されており、これにより、ウェーハWの鏡面側の面が洗浄される。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置の下側のノズル近傍の構成を説明する図である。図3Aは、ノズル近傍の上面図であり、図3Bは、ノズル近傍の側面図である。
【0036】
本実施形態では、図3A及び図3Bに示すように、略円錐形のノズルキャップ16上面に、4つのノズル17がその向き(液体等を吐出する方向)がななめ上方となるように設けられている。各ノズル17は、ノズル17の向きがノズルキャップ16の中心軸を向くように配置され、各ノズル17の向きの延長線が図3Aに示すように、上方から見ると、それぞれ略90度をなすようになっている。
【0037】
ノズルキャップ16は、水に対して疎水性を有するフッ素系樹脂の素材(水に対する接触角が90度以上のフッ素系樹脂の素材)により形成されている。
【0038】
本実施形態では、疎水性を有するフッ素樹脂の素材としては、例えば、水に対する接触角が115度のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、接触角が114度のFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、接触角が110度のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、接触角が96度のETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等がある。
【0039】
ノズルキャップ16は、略円錐形の形状をし、疎水性を有するフッ素系樹脂の素材により構成されているので、例えば、ノズル17から噴射されて、ウェーハWにあたって跳ね返ってくる洗浄液等がノズルキャップ16に当ったとしても、洗浄液等は、ノズルキャップ16の斜面部分を下方に流れやすいので、ノズルキャップ16上で残留するということが低減される。
【0040】
次に、ウェーハ洗浄装置1による洗浄されたウェーハ(浄化ウェーハ)を製造するウェーハ製造方法について説明する。なお、ウェーハ洗浄装置1の投入部には、洗浄対象のウェーハWが投入されているものとする。
【0041】
ウェーハ洗浄装置1において、投入部に投入されたウェーハがウェーハ搬送機構により、オゾン槽に搬送される。オゾン槽では、搬送されたウェーハWをオゾン水により洗浄して有機物を除去し、酸化膜を成膜させるオゾン水洗浄処理が行われる。
【0042】
オゾン槽で処理されたウェーハWは、ウェーハ搬送機構によりスクラブ槽に搬送される。スクラブ槽では、搬送されたウェーハWの表面裏面にブラシを摺接させてウェーハ表面裏面の汚れを除去するスクラブ洗浄処理が行われる。
【0043】
スクラブ槽で処理されたウェーハWは、ウェーハ搬送機構によりスピン槽5に搬送される。
【0044】
スピン槽5では、搬送されたウェーハWを、スピンテーブル15に載置して固定させ、スピンテーブル15を回転させて、ノズル14C及びノズル17から洗浄液等を吐出させて、ウェーハWの両面を洗浄する。その後、スピンテーブル15の回転を維持させた状態で、ノズル14C及びノズル17による洗浄液の吐出を停止させ、ウェーハWを乾燥させる。これによって、浄化されたウェーハが製造されることとなる。この後、ウェーハ搬送機構がスピン槽5から浄化されたウェーハを、取出部に搬送する。
【0045】
次に、本実施形態に係るウェーハ洗浄装置及びウェーハ製造方法による効果を具体的に説明する。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置のノズルキャップの状態と、比較例に係るノズルキャップの状態との比較図である。図4Aは、本実施形態に係るウェーハ洗浄装置1により、ウェーハWを回転させつつ洗浄液を吐出させて洗浄した直後(未乾燥時点)におけるノズルキャップ16上の残留液(洗浄液等)の状態を示し、図4Bは、ノズルキャップ31を接触角が82度のPVDF(ポリビニリデンフルオライド)としたウェーハ洗浄装置による場合(比較例)に、ウェーハWを回転させるつつ洗浄液を吐出させて洗浄した直後(未乾燥時点)におけるノズルキャップ31上の残留液(洗浄液等)の状態を示している。
【0047】
本実施形態に係るウェーハ洗浄装置のノズルキャップ16においては、図4Aに示すように、小さな略半円球状の残留液21だけであり、残留液21の量が少ないとともに、ノズルキャップ16上での残留液21の占める領域が狭い。一方、比較例に係るウェーハ洗浄装置のノズルキャップ31においては、図4Bに示すように、残留液32の量が多いとともに、ノズルキャップ31上での残留液32の占める領域が広い。このため、本実施形態に係るウェーハ洗浄装置においては、乾燥時において、ノズルキャップ16上の残留液が再びウェーハWに付着してしまうことを低減することができ、また、残留液の領域が狭いので、残留液が気化する量が比較例に比べて少なく、ウェーハW近傍の雰囲気を中性又はより中性に近くすることができ、雰囲気によるウェーハWへのエッチング等の影響を低減することができる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係るウェーハ洗浄装置により得られたウェーハの状態と、比較例に係るウェーハ洗浄装置より得られたウェーハの状態とを説明する図である。図5Aは、本実施形態に係るウェーハ洗浄装置により得られたウェーハWのナノトポグラフィー評価のマップを示し、図5Bは、図5Aの位置B1〜位置B2までのそれぞれの位置におけるウェーハ高さを示している。また、図5Cは、比較例に係るウェーハ洗浄装置により得られたウェーハWのナノトポグラフィー評価のマップを示し、図5Dは、図5Cの位置C1〜位置C4までのそれぞれの位置におけるウェーハ高さを示している。
【0049】
本実施形態に係るウェーハ洗浄装置1により得られたウェーハW(実施例に係るウェーハ)は、図5Aに示すように、図5Cに示す比較例に係るウェーハWに比べて、凹凸が少なく、特に、ウェーハW中央近傍における放射状の凹凸が見られないことがわかる。
【0050】
より具体的には、実施例に係るウェーハWの位置B1〜B2までのウェーハWの高さの変位(図5B)は、ウェーハの位置B1〜B2に対応する比較例に係る位置C1〜C4までのウェーハ高さの変位(図5D)に比べて、基準高さからの変位も小さく、また、高さの変動の大きさも小さい。このことから、実施例に係るウェーハの表面が、比較例に係るウェーハよりも品質が向上していることがわかる。
【0051】
このように、本実施形態に係るウェーハ洗浄装置によると、より品質の高いウェーハを得ることができる。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、ノズルキャップ16を疎水性(水に対する接触角が90度以上)にした例を示していたが、本発明はこれに限られず、ノズルキャップ以外のスピン槽5内の部材(例えば、水受けカップ13、水受けカバー12、又はスピンテーブル15)の少なくともひとつを疎水性の部材にするようにしてもよい。例えば、回転しない部材の少なくとも1つを疎水性の部材にしてもよく、このようにすると、部材の回転により、洗浄液等を弾くことのない部材であっても、洗浄液等が付着することを低減することができる。また。ウェーハWの鏡面側に位置する部材の少なくとも1つを疎水性の部材にしてもよく、このようにすると、ウェーハWの鏡面側が鏡面側に位置する部材に付着した洗浄液等によりウェーハの鏡面側に付着することを適切に低減することができる。また、ウェーハの近傍(例えば、10cm以内)に位置する部材の少なくとも1つを疎水性の部材にしてもよく、このようにすると、ウェーハWへの洗浄液等の付着を適切に低減することができる。また、部材全体を疎水性の部材とせずに、部材の洗浄液等が接触する可能性がある表面の少なくとも一部を疎水性の部材とするようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、枚葉スピン式のウェーハ洗浄装置に対して本発明を適用した例を説明していたが、本発明はこれに限られず、例えば、ウェーハをスピンさせないで洗浄するウェーハ洗浄装置に適用してもよく、また、複数枚のウェーハを洗浄するウェーハ洗浄装置に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ウェーハ洗浄装置、5 スピン槽、6 取出部、11 空気口、12 水受けカバー、13 水受けカップ、14 上側洗浄液供給部、14A 回転軸、14B ノズル支持部、14C ノズル、15 スピンテーブル、15A 外輪部、15B 内輪部、15C スポーク部、15D 固定部、16 ノズルキャップ、17 ノズル、W ウェーハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の洗浄液を洗浄対象のウェーハに吐出して、前記ウェーハを洗浄するウェーハ洗浄装置において、
前記ウェーハに前記洗浄液を吐出するために、前記ウェーハを収容するウェーハ洗浄部を備え、
前記ウェーハ洗浄部の内壁又は、前記ウェーハ洗浄部内に配置される部材の少なくとも一部の表面を、水に対する接触角が90度以上の疎水性部材により構成する
ウェーハ洗浄装置。
【請求項2】
前記疎水性部材は、フッ素樹脂である
請求項1に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項3】
前記ウェーハ洗浄装置は、
前記ウェーハを1枚ずつ洗浄するように構成されている
請求項1又は請求項2に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項4】
前記ウェーハ洗浄部内に、前記ウェーハを回転可能に保持する回転保持部を有し、
前記回転保持部に保持された前記ウェーハに対して前記洗浄液を吐出する
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄液を前記ウェーハの下方から吐出するノズルと、
前記ノズルの周囲を覆うノズルキャップと
を有し、
前記ノズルキャップの表面を、前記疎水性部材により構成する
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項6】
前記ウェーハの保持位置近傍の少なくとも一部の部材を、前記疎水性部材により構成する
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項7】
前記ウェーハ洗浄部内の非回転部材の少なくとも一部の表面を前記疎水性の部材により構成する
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のウェーハ洗浄装置。
【請求項8】
ウェーハ洗浄装置により、所定の洗浄液をウェーハに吐出して、前記ウェーハを洗浄することにより浄化ウェーハを製造するウェーハ製造方法であって、
前記ウェーハ洗浄装置は、
前記ウェーハに前記洗浄液を吐出するために、前記ウェーハを収容するウェーハ洗浄部を備え、
前記ウェーハ洗浄部の内壁又は、前記ウェーハ洗浄部内に配置される部材の少なくとも一部の表面を、水に対する接触角が90度以上の疎水性部材により構成し、
前記ウェーハ洗浄部に前記ウェーハを収容する収容ステップと、
前記ウェーハに前記洗浄液を吐出する吐出ステップと、
前記洗浄液が吐出された前記ウェーハを乾燥させる乾燥ステップと
を有するウェーハ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−267815(P2010−267815A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117954(P2009−117954)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】