説明

エッチング残渣を除去するための水溶液

本発明は、エッチング残渣を除去するための改善された特性を有する新規溶液及び半導体製造におけるその使用に関する。本発明は、特に、半導体の製造プロセスの間にエッチング残渣及びパーティクルを除去しなければならないメタライジング部に対して及び表面に対して低いエッチング速度を有する水溶液に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング残渣を除去するための改善された特性を有する新規溶液及び半導体製造におけるその使用に関する。本発明は、特に、半導体の製造プロセスの間にエッチング残渣及びパーティクルを除去しなければならないメタライジング部に対して及び表面に対して低いエッチング速度を有する水溶液に関する。
【0002】
背景技術
半導体素子上のバックエンドオブライン(BEOL)メタライジング部(導体線路)は、主に、<0.5%の銅割合を有するスパッタリングされたアルミニウム/銅層からなる。アルミニウム技術のためのBEOLメタライジング部はフォトリソグラフィーによって作成される。誘電体としてSiO2層が個々の金属層の間に使用され、前記金属層は垂直方向にビアスタッド(Via-studs)(タングステン又はアルミニウム)によって接続されている。この構造(導体線路及びビア)は反応性イオンエッチングプロセスを用いて作成される。このBEOLメタライジング部は通常では次のプロセス工程(1)〜(6)により作成される:
Al/Cu導体線路の作成のためのプロセス進行:
1. SiO2絶縁層上に次の層を全面スパッタリングする:
a. 拡散バリアとして薄いTi/TiN層、
b. AlCuメタライジング層、
c. 反射防止コーティング(ARC)としての薄いTi/TiN層、
2. ポジティブ型フォトレジストをスピンコートして、引き続き露光し、構造を現像する、
3. エッチング:ハロゲン含有エッチングガスを用いて反応性イオンエッチング(RIE)する、
4. 酸素プラズマもしくはH2Oプラズマ中で場合によりCF4を添加しながら前記フォトレジストを燃焼させる、
5. DI−水スプレープロセス(冷間、熱間)、
6. 湿式プロセスを用いてPERを除去する。
【0003】
前記第3工程の間に、いわゆるエッチング残渣(Post-Etch-Residues)がアルミニウム導体線路の側壁に優先的に生じる。このエッチング残渣は第4及び第5工程の実施の間に化学的組成が変化する。このPERは次の工程の実施の前に、第6工程で完全に除去しなければならない。
【0004】
複数の金属層の間の垂直方向の電気的接続として、SiO2絶縁層中の孔(いわゆるビア)を用い、このビアはタングステン又はアルミニウムで充填されている。前記ビアの乾式エッチングの場合にも同様にエッチング残渣が生じる。このエッチング残渣は、使用したエッチングガスに基づいて、AlCuエッチングの場合とは異なる化学組成を有する。
【0005】
さらに加工する前に、前記したように、このPERは導体線路からも、ビアからも完全に除去しなければならない。
【0006】
PERの除去は、通常では湿式清浄化法により行われる。この場合、錯生成剤及び水を含有する有機溶液を使用することができる。現在最も頻繁に利用されている製品EKC(R)265はヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、カテコール及び水の成分を含有する。
【0007】
このポリマー残留物の除去に関連する問題は、AlCu系材料と比較した前記ポリマー残留物の化学的耐性により生じる。前記AlCu層を攻撃せずに前記ポリマーを除去することが有効である。今日では、前記ポリマーは湿式清浄化法(浸漬法又はスプレー法)によって除去される。この場合、次の2つのメカニズムに区別される:
・ 前記ポリマーを溶解した形に変換し、次いで前記表面から引き離すことにより除去する。部分的に1/2時間までの長い作用時間及び約90℃までの高めた温度が、前記溶解プロセスを促進する。この方法の場合に主に有機溶剤のアミン、エタノールアミン、カテコール及び還元剤、例えばヒドロキシルアミン(HDA)が使用される(特許EP 485 161-A)。これらの化合物は、良好な生成浄化作用を有するが、毒性であるという大きな欠点を有する。ヒドロキシルアミンは、さらに発ガン性であると分類されている。これらの溶液は、従って、個別に廃棄しなければならない。前記溶液を水で洗い流す前に、さらに水溶性アルコール、大抵はイソプロパノールを用いる中間洗浄工程が必要である。前記溶液の取扱のために、健康及び環境保護のために相応する保護手段が必要である。
【0008】
・ さらに、前記ポリマーは水性無機溶液を用いる処理により除去することができる。これは、硫酸、過酸化水素、フッ化アンモニウム又はクロムリン酸を含有することができる希釈された溶液である(特許EP 0 068 277)。少量のフッ化物化合物、例えばHFはエッチングプロセスを促進するため、前記混合物はシングルウェハプロセスの際に有利にスピンエッチャーに使用される。
【0009】
他の酸、例えば硝酸(特許EP 1 139 401 A1)又はリン酸もしくはリン酸水素アンモニウム(特許EP 1 063 689 A1)もこの溶液中で使用することができる。これらの全ての溶液の場合に、ポリマーの下側のAlCuメタライジング部は軽度にアンダーエッチングされるため、これは最初の工程において機械的に除去される(リフトオフ(Lift Off))。その後で、ポリマーの溶解が行われる。この方法は、完全な洗浄とAlCuメタライジング部の表面エッチングとの間の比較的小さなプロセス窓が許されるだけである。特に、ビアの清浄化は多くの場合に不十分である、それというのもこの短いプロセス時間はポリマーの完全な溶解のために大抵は不十分であり、かつその下にある層としてのSiO2は前記溶液によってAlCuの場合のようにアンダーエッチングされないためである。
【0010】
具体的な説明のために、図4は、DSP溶液(希釈された硫酸/ペルオキシド)で45℃及び5minでの望ましくない条件下で洗浄した後のAlCu導体突出部及びビアを備えたウェハを示す。AlCuメタライジング部の著しい表面エッチング並びにいくつかのポリマー残留物が明に見える。前記ビアは、ビア底部においてAlCuメタライジング部のさらに著しい表面エッチングを示す。
【0011】
従って、本発明の課題は、ポリマー残留物もしくはエッチング残渣を除去するための、メタライジング部、金属表面又は導体線路に対して低いエッチング速度を有する、改善された清浄化作用を有する低コストで簡単に製造可能な溶液を提供することであった。特に、前記課題は、Al、Cu、Al/Cu、Ti、TiN、SiO2、Wからなる表面又は導体線路に対して低いエッチング速度を有し、同様に特殊鋼からなる表面に対して不活性でもある清浄化溶液を提供することにある。
【0012】
本発明:
前記課題の解決は、少なくとも1つのヒドロキシ−カルボン酸を適当な添加物の存在で含有しかつ半導体製品の製造プロセスにおけるBEOLプロセスでのビア及び導体線路から「サイドウォール残渣(side wall residues)」を清浄化する水溶液に関する組成物によって行われる。
【0013】
添加物、例えば湿潤剤及び腐食防止剤によって、広い範囲での適用が可能であるか、もしくはプロセス時間及びプロセス温度に関して広いプロセス窓を有する。本発明により添加された腐食防止剤により、適用の間に特にAlCu及びタングステンのエッチング速度が著しく低下される。図5のグラフは、60℃で溶液の作用時間に依存したnmで示すAlCuの除去量を示す。既に適当な腐食防止剤の数ppmの添加の場合でも、エッチングによるメタライジング層の除去は0nmにまで減少することができる。タングステンの除去量は、図6に示されているように、本発明による清浄化溶液の使用によって容易にこの方法で60℃で20minの作用時間で160nmから10nmに減少させることができる。特に良好な結果は、前記添加物を次に特に有利であるとされている量で含有する組成物によって達成された。
【0014】
この達成可能な結果は、詳細には先行するプロセス工程の条件及び前記工程から生じる生成されたポリマーの組成に依存する。しかしながら、当業者には容易に、所定の量範囲の範囲内で若干の試験により前記組成の成分の最適な量比を調節することができる。
【0015】
プロセス時間及び温度は、本発明による組成物を使用する際に、清浄化プロセスの必要な結果に可変に適合させることができ、前記メタライジング部又は表面は攻撃されない。
【0016】
通常で使用された例えばDSPもしくはDSP+の無機水溶液を使用する場合(その際、アルミニウム/銅メタライジング部の軽度のアンダーエッチングはPERの除去のために故意に利用される(Lift-off))、金属構造体が過剰なエッチングにより攻撃される危険がある。これは、孔食が生じるほどに進行することがある。この理由から、この公知の組成物の場合に、
a) 作用時間を極めて短く保持しなければならないが(約1分、最大で数分)、
b) しかしながら、この清浄化プロセスは、PERを完全に除去するかもしくは溶解させるために最小限の作用時間が必要である。
【0017】
表面エッチングと完全な清浄化作用の間のこの狭いプロセス窓は、先行する反応性イオンエッチングプロセスが相応して最適化されている場合にのみ達成されることが多い。特別な難点は、ビアの清浄化の場合である、それというのも誘電体SiO2のアンダーエッチングは不可能であるためである。
【0018】
試験によって、意外にも、この目的のために通常使用される組成物のこの欠点は、少なくとも1つのヒドロキシカルボン酸、過酸化水素及びウェハ表面の濡れ性を改善するため及び腐食を回避するための添加物を含有する水性調製物の使用によって回避できることが見出された。
【0019】
いわゆる「エッチング残渣(Post-Etch-Residues)」の除去の際の本発明による溶液の改善された特性が特に有利であることが示された。後者は、乾式エッチングの間でのフォトレジストの成分、エッチングガス及びエッチングされた材料からなる反応生成物である。この反応生成物は、図1から認識できるように、メタライジングされた面、特にAl/Cu導体線路の側壁及びSiO2ビアの内側に堆積する。本発明による溶液の特別な利点は、下側のAl/Cuメタライジング部を攻撃させずに、ビア及び金属導体線路を特に有効に清浄化することにある。
【0020】
前記溶液は環境に優しく、無毒であり、かつ問題なく中和しかつ廃棄することができる。前記組成物は低い蒸気圧を有し、爆発の危険もなく、清浄化工程の間に換気の必要もない。
【0021】
さらに、本発明による組成物は、半導体工業における品質の要求に応じて、半導体工業において通常使用されかつ市販されている高純度物質から高純度で製造される。
【0022】
特に有利な結果は、ビア清浄化の際の新規溶液の使用により達成される。スプレー及びタンクプロセッサ中で60℃で5分間のプロセス時間の後で既に、図2に示されているように、前記ビアの完全な清浄化が行われている。適当な界面活性剤を前記溶液に添加することは、ウェハ表面の最適な濡れのために適しており、かつ清浄化作用を促進する。最適な結果は、図2及び3に示されているように、5〜20minの間のプロセス時間で、45〜75℃の範囲内、特に50〜70℃の範囲内、特に有利に55〜65℃の範囲内の温度で達成される。
【0023】
本発明により、その適用において著しい改善が成されている組成物が提供される。これは、例えばメタライジング部に関する、例えばAl/Cuメタライジング部に関する、又はAl、Cu、Ti、Wからなるメタライジング部又はTiN層又はSiO2層に関する極端に低いエッチング速度にある。それにより、50〜70℃の温度、有利に60℃の温度で30minまでの作用時間が可能となる。図4には相応する清浄化結果が示される。本発明による溶液は、スプレーツール及びスピンプロセッサに関しても、タンク装置に関しても有効に使用することができる。適当なウェハは、最高純度の水で直接洗浄され、引き続き窒素で乾燥することができる。洗浄され、引き続き窒素で乾燥することができる。有機溶剤(例えばイソプロパノール)による中間洗浄工程は行われない。
【0024】
前記したように、この改善された結果は、REM写真1〜3を用いて極めて良好に説明することができる。本発明の場合に、添加物、例えば界面活性剤及びNMPの添加により、清浄化作用は明らかに改善することができる。使用した腐食防止剤は、この場合に、図4及び5から推知されるように、一方でタングステンに関するエッチング速度を、他方でAl/Cuに関するエッチング速度を低下させる。
【0025】
PERの除去のために適当な本発明による溶液は、ヒドロキシカルボン酸及び/又はジカルボン酸及びトリカルボン酸のグループから選択される少なくとも1種の有機酸を含有する水溶液が有利である。適当なヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリセロール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸である。適当なジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸である。少なくとも1種の有機酸の他に、本発明による組成物中に、少なくとも1種の酸化剤を含有する。適当な酸化剤として多様な酸化剤が使用されるが、過酸化水素及びペルオキソ二硫酸アンモニウムが有利であり、これらは単独で又は組み合わせて前記溶液中に含有されていてもよい。
【0026】
さらに、本発明による溶液中に、清浄化作用の改善のための及び攻撃されるべきでない表面を保護するための多様な添加物を含有することができる。溶液中に腐食防止剤が含有されている場合に有利であることが判明した。例えばタングステン及びアルミニウムからなるメタライジング部を有するウェハ表面の処理のためにイミダゾリン化合物を腐食防止剤として添加するのが有利である。適当なイミダゾリン化合物は、ベンズイミダゾール(アルキル置換されたイミダゾリン又は1,2−ジアルキルイミダゾリン)、アミノベンズイミダゾール及び2−アルキルベンズイミダゾールである。特に良好な清浄化結果は、腐食防止剤としてオレイン酸ヒドロキシエチルイミダゾリンを含有する溶液を用いて達成される。
【0027】
清浄化作用の促進のため、及びウェハ表面の保護のために、非プロトン性極性溶剤が前記溶液に添加されているのが有利である。この目的のために適当な非プロトン性極性溶剤は、N−メチルピロリドン(NMP)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、(1−メトキシ−2−プロピル)−アセタート(PGMEA)である。この有機溶剤は、溶液中で単独で又は混合した形で含有されていてもよい。
【0028】
さらに、清浄化溶液中で付加的に界面活性物質を含有している場合が有利であることが判明した。適当な界面活性物質として、アニオン性界面活性剤が有利である。特に適当な界面活性剤は、脂肪族カルボン酸のグループから及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸のグループから選択される界面活性剤である。適当な脂肪族カルボン酸は、例えばヘプタン酸及びオクタン酸である。アルキルベンゼンスルホン酸として、特にドデシルベンゼンスルホン酸を使用することができる。
【0029】
アニオン性界面活性剤は非イオン性界面活性剤と一緒に使用するか又はこれに置き換えて使用することができる。非イオン性界面活性剤として、アルキルオキシアルキラート及び/又はアルキルフェノールオキシエチラートのグループからなる界面活性剤を使用することができる。この目的のために適したアルコキシアルキラートは例えば脂肪アルコールアルコキシラートである。アルキルフェノールオキシエチラートとして、特にオクチルフェノールオキシエチラートを使用することができる。さらに、ソルビタン化合物、例えばポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルが、本発明による溶剤中の界面活性剤として適している。これには、Tween(R)の商品名で市販されている製品のような界面活性剤が挙げられる。
【0030】
実施された試験は、本発明による溶液が40〜70℃の範囲内の温度で主に、今まで公知の清浄化溶液よりも改善された清浄化結果を表すことを示した。
【0031】
意外にも、本発明による溶液を用いて、1分〜60分の清浄化時間(ストリップ時間)において、今まで公知の組成物よりも著しく改善された洗浄結果を達成することができる。有利に、前記清浄化工程の間にPERを完全に除去することができ、その際、しかしながらメタライジングされた導体線路も、例えばTiN又はSiO2からなる他の表面も認識できる程度に攻撃しない。
【0032】
改善された清浄化作用を有する本発明による清浄化溶液は、従って次の表に示されるような組成物を有する:
【表1】

【0033】
本発明による水性清浄化溶液は、個々の成分を次のように含有することができる:
−0.1〜30%の量のヒドロキシカルボン酸及び/又はジカルボン酸及びトリカルボン酸のグループからなる有機酸
− 0.1〜10%の量の酸化剤
− 1ppm〜1%の量の例えばイミダゾリン化合物のグループからなる、タングステン及びアルミニウム用の腐食防止剤
− 0.1〜10%の量の非プロトン性極性溶剤
− 1ppm〜1%の量の脂肪族カルボン酸及びアルキルベンゼンスルホン酸のグループからなるアニオン性界面活性剤
及び/又は
− 1ppm〜1%の量のアルキルオキシアルキラート、アルキルフェノールオキシエチラート及びソルビタン化合物のグループからなる非イオン性界面活性剤。
【0034】
改善された特性を有する適当な清浄化溶液は、従って前記成分を次の量で含有することができる:
・ ジ−、トリ−又はヒドロキシカルボン酸 0.1〜30%
・ 過酸化水素 0.1〜30%
・ N−メチル−ピロリドン及び/又はDMSO 0.1〜10%
・ 腐食防止剤 1ppm〜1%
・ アニオン性又は非イオン性界面活性剤 1ppm〜1%。
【0035】
特に良好な清浄化結果は、次の成分からなる組成物によって達成することができる:
・ 酸(クエン酸、マレイン酸、酒石酸) 5(±2)%
・ 過酸化水素 2(±0.5)%
・ 溶剤(NMP、DMSO、PGMEA) 1(±0.5)%
・ 腐食防止剤(オレイン酸ヒドロキシエチルイミダゾール) 100〜1000ppm
・ 湿潤剤 100〜1000ppm(エナント酸、Triton X100、Tween 20、ドデシルベンゼンスルホン酸、Plurafac 120)。
【0036】
例えば前記の成分を次の量で含有している溶液が特に適している:
・ クエン酸 0.1〜30%
・ 過酸化水素 0.1〜10%
・ N−メチル−ピロリドン NMP 0.1〜10%
・ 腐食防止剤 1〜1000ppm
・ 湿潤剤 1〜1000ppm。
【0037】
さらに特に適当な特性は、この関連において、次の成分を記載された量で含有している組成物が示す:
・ クエン酸 5(±2)%
・ 過酸化水素 2(±1)%
・ N−メチル−ピロリドン NMP 1(±0.5%)
・ 腐食防止剤(オレイン酸ヒドロキシエチルイミダゾール) 50〜1000ppm
・ 湿潤剤 100〜1000ppm。
【0038】
特に困難なビア清浄化の場合に、上記混合物は極めて有効であることが示された、図2参照。
【0039】
ウェハ表面を本発明による水溶液で処理することにより、PERが前記表面から除去されるだけでなく、表面から同時に付着する有害なパーティクルも除去される。これは、PERの除去に引き続き費用のかかる清浄化工程を行わなくてもよいという利点を有する。
【0040】
有利に、本発明による組成物は、長時間の貯蔵時間の後でも分解を示さない安定な組成物である。既に前記したように、この組成物は環境に優しくかつ簡単に廃棄することができる。この組成物はスプレー装置にもタンクプロセッサにおいてと同様に使用可能である。所望の場合に、この組成物はリサイクルすることもできる。
【0041】
本願明細書の全てのパーセント表示は、溶液の全体の量に対する質量%である。この場合に、組成物中で添加された成分の量は加算されて自ずと100%になると解釈される。
【0042】
実施例
本発明をより理解しかつ明確にするために、次の実施例において、清浄化結果を示す図面の形でも示す。使用された組成物は、本発明の保護領域の範囲内にある。これらの実施例は、従って本発明の具体的説明のためにも利用される。記載された本発明原理の一般的な妥当性に基づき、この実施例は本発明の保護範囲をこの範囲に減縮することには適してはいない。
【0043】
実施例中の温度は常に℃で示されている。
【0044】
実施例1
清浄化の対照(アッシング残渣(post ash residue))
ビア

【0045】
AlCuライン

【0046】
この清浄化は、次の成分を含有している清浄化水溶液を用いて行う:
・ クエン酸 5%
・ 過酸化水素 2%
・ NMP 1%
・ Tween 20 1000ppm
セミツールSATスプレーツールのプロセス温度:
【表2】

【0047】
AlCuライン

【0048】
ビア

【0049】
実施例2
この清浄化は、次の成分を含有している清浄化水溶液を用いて行う:
・ クエン酸 5%
・ 過酸化水素 2%
・ オレイン酸ヒドロキシエチルイミダゾール 1000ppm
Arias Wet Benchに関するプロセスパラメーター
【表3】

【0050】
AlCuライン

【0051】
ビア

【0052】
実施例3
市販の有機ポリマーリムーバーとの比較
1. ポリマーリムーバー(ヒドロキシルアミン、カテコール、モノエタノールアミン含む)
75℃、20min(ビーカーガラス)
2. IPA RT、3min
3. DI−水 RT、5min
4. N2 乾式送風

【0053】
1. クエン酸5%/ペルオキシド2%/NMP1%/Tween 20 1000ppm
60℃、20min(ビーカーガラス)
2. DI−水 10min
3. N2 乾式送風

【0054】
図面の簡単な説明:
図5:作用時間に依存したスパッタリングされたAl/Cu層の材料除去量を示す。この使用された溶液は、クエン酸5%、ペルオキシド2%、NMP1%の水溶液からなる。暗い曲線は腐食防止剤なしでの除去を示す。明るい線は腐食防止剤の添加の際の除去を示す。
【0055】
図6:作用時間に依存したCVO体積タングステン層の材料除去を示す。使用した溶液(図5参照)。
【0056】
図13:溶液中に腐食防止剤の添加あり/なしでの多様な被覆のエッチング速度(除去量/時間)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】PER清浄化前のビアを示す図(比較)。
【図2】タンク装置中で5分間の清浄化の後のビアを示す図。
【図3】スプレーツール(セミツールSAT)中で20分間の清浄化の後のビアを示す図。
【図4】スプレーツール(セミツールSAT)中でDSPを用いて45℃で5分間のAl/Cuを示す図。
【図5】60℃で溶液の作用時間に依存したnmで示すAlCuの除去量を示すグラフ。
【図6】腐食防止剤の存在に関して、60℃で溶液の20min後のタングステンの除去量の比較を示すグラフ。
【図7】酒石酸5%/NMP1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図8】酒石酸5%/DMSO1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図9】酒石酸5%/PGMEA1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図10】マレイン酸5%/NMP1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図11】マレイン酸5%/DMSO1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図12】マレイン酸5%/PGMEA1%/エナント酸1000ppmで60℃で20minの清浄化後を示す図。
【図13】エッチング速度に関する腐食防止剤の影響を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシカルボン酸のグループからなる及び/又はモノ−、ジ−及びトリカルボン酸のグループからなる有機酸を、酸化剤の存在で、並びに場合により清浄化作用を改善する添加剤及びAl、Cu、Ti、W、Al/Cu、TiN及びSiO2表面に対する不活性化のための添加剤の存在で含有する、低いエッチング速度を有するエッチング残渣除去のための水溶液。
【請求項2】
イミダゾリン化合物のグループから選択された腐食防止剤を含有する、請求項1記載の水溶液。
【請求項3】
腐食防止剤として、アルキル置換されたイミダゾリン及び1,2−ジアルキルイミダゾリン及びオレイン酸ヒドロキシエチルイミダゾリンを含めたベンズイミダゾール、アミノベンズイミダゾール及び2−アルキルベンズイミダゾールのグループからなる1種又は数種の化合物を含有する、請求項1又は2記載の水溶液。
【請求項4】
少なくとも1種の非プロトン性極性溶剤を含有する、請求項1記載の水溶液。
【請求項5】
N−メチルピロリドン(NMP)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び(1−メトキシ−2−プロピル)アセタート(PGMEA)のグループからなる少なくとも1種の非プロトン性極性溶剤を含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項6】
少なくとも1種の界面活性物質を含有する、請求項1記載の水溶液。
【請求項7】
界面活性物質として少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項8】
脂肪族カルボン酸及びアルキルベンゼンスルホン酸のグループからなる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び/又はアルコキシアルキラート及びアルキルフェノールオキシエチラートのグループからなる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含有する、請求項7記載の水溶液。
【請求項9】
ヘプタン酸、オクタン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のグループからなる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び/又は脂肪アルコールアルコキシラート、オクチルフェノールオキシエチラート、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル(Tween(R))のグループからなる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含有する、請求項8記載の水溶液。
【請求項10】
グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、グリセロール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸及びマレイン酸のグループからなる少なくとも1種の有機酸を含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項11】
過酸化水素及びペルオキソ二硫酸アンモニウムのグループからなる少なくとも1種の酸化剤を含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項12】
ヒドロキシカルボン酸のグループ及び/又はモノ−、ジ−及びトリカルボン酸のグループからなる有機酸を、全体の質量に対して0.1〜30%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項13】
酸化剤を、全体の質量に対して0.1〜10%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項14】
少なくとも1種の腐食防止剤を、全体の質量に対して1ppm〜1%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項15】
少なくとも非プロトン性極性溶剤を、全体の質量に対して0.1〜10%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項16】
少なくとも非プロトン性極性溶剤を、全体の質量に対して0.1〜10%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項17】
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を、質量に対して1ppm〜1%の量で含有し、及び/又は少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を質量に対して1ppm〜1%の量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項18】
エナント酸、Triton(R) X100、Tween(R) 20、ドデシルベンゼンスルホン酸及びPlurafac(R) 120のグループからなる少なくとも1種の湿潤剤を、100〜1000ppmの量で含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項19】
クエン酸、過酸化水素、N−メチルピロリドン(NMP)並びに場合により添加剤を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の水溶液。
【請求項20】
クエン酸を0.1〜30%の量で、過酸化水素を0.1〜10%の量で、及びN−メチルピロリドンを0.1〜10%の量で含有することを特徴とする、請求項19記載の溶液。
【請求項21】
腐食防止剤を1ppm〜1%の量で、並びに湿潤剤を1ppm〜1%の量で含有する、請求項19又は20記載の溶液。
【請求項22】
半導体の製造のためのスプレーツール又はタンク装置での請求項1から21までのいずれか1項記載の水溶液の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−531992(P2007−531992A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505411(P2007−505411)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002511
【国際公開番号】WO2005/098920
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】