説明

オルト置換N’−ベンジリデン−(3−ヒドロキシフェニル)アセトヒドラジド類

式(I)


式中、R〜Rは、請求項1において示した意味を有する、
で表される新規なオルト置換N’−ベンジリデン−(3−ヒドロキシフェニル)アセトヒドラジド類は、SGK阻害剤であり、SGKにより誘発された疾患および状態、例えば糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺高血圧症、心血管疾患および腎疾患、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるものの処置のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬の製造のために用いることができる化合物を見出す目的を有していた。
【0002】
本発明は、特に細胞容積調整ヒトキナーゼh−sgk(ヒト血清および糖質コルチコイド依存性キナーゼまたはSGK)によるキナーゼシグナル伝達の阻害、調整および/または調節が作用を奏する化合物、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物、並びに当該化合物の、SGKにより誘発された疾患の処置のための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
アイソフォームSGK−1、SGK−2およびSGK−3を有するSGKは、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ族である(WO 02/17893)。
本発明の化合物は、好ましくは、SGK−1の選択的な阻害剤である。これらはさらに、SGK−2および/またはSGK−3の阻害剤であり得る。
【0004】
詳細には、本発明は、SGKによるシグナル伝達を阻害、調整および/または調節する化合物、これらの化合物を含む組成物、並びにSGKにより誘発された疾患および状態、例えば糖尿病(例えば真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害および微小血管障害)、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺高血圧症、心血管疾患(例えば心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大および心不全、動脈硬化)並びに腎疾患(例えば糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症、電解質排泄障害)、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの(例えば肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節炎、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病)の処置のためのこれらの使用方法に関する。
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞の成長および腫瘍転移を阻害することができ、従って腫瘍療法に適する。
【0005】
本発明の化合物は、さらに、凝固障害、例えば異常フィブリノーゲン血症、低プロコンバーチン血症(hypoproconvertinaemia)、血友病B、スチュアート−プラウアー(Stuart-Prower)欠損症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害(immunocoagulopathy)または複合凝固障害、およびまた神経興奮性、例えばてんかんの処置のために用いられる。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療的に用いることができる。
本発明の化合物はさらに、細菌感染の処置において、および感染防止(antiinfection)療法において用いられる。本発明の化合物をまた、学習能力および注意力を増大させるために、治療的に用いることができる。さらに、本発明の化合物は、細胞老化およびストレスに対抗し、従って高齢者における平均余命および健康を増大させる。
本発明の化合物はさらに、耳鳴の処置において用いられる。
【0006】
従って、SGKのシグナル伝達を特異的に阻害、調整および/または調節する小さい化合物の同定が、所望されており、本発明の目的である。
【0007】
本発明の化合物およびこれらの塩は、極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に十分に耐容されることが見出された。
特に、これらは、SGK阻害効果を示す。
【0008】
従って、本発明は、前述の疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物、並びに前述の疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための本発明の化合物の使用、並びにまた本発明の1種または2種以上の化合物の、このような投与を必要としている患者への投与を含む、前述の疾患の処置方法に関する。
【0009】
宿主または患者は、すべての哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属していてもよい。動物モデルは、実験的調査のために興味深く、ここでこれらは、ヒト疾患の処置についてのモデルを提供する。
【0010】
シグナル伝達経路を同定するため、および種々のシグナル伝達経路間の相互作用を検出するために、種々の科学者は、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwajaら、EMBO, 1997, 16, 2783-93)およびトランスジェニック動物のモデル(例えばWhiteら、Oncogene, 2001, 20, 7064-7072)を開発した。シグナル伝達カスケードにおけるいくつかの段階の決定のために、相互作用する化合物を用いて、シグナルを変調させることができる(例えばStephensら、Biochemical J., 2000, 351, 95-105)。本発明の化合物をまた、動物および/または細胞培養モデルにおける、または本出願において述べる臨床的疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬として、用いることができる。
【0011】
キナーゼ活性の測定は、当業者に十分知られている手法である。基質、例えばヒストン(例えばAlessiら、FEBS Lett. 1996, 399, 3, 333〜338頁)または塩基性ミエリンタンパク質を用いるキナーゼ活性の決定のための一般的な試験系は、文献中に記載されている(例えば、Campos-Gonzalez, R.およびGlenney, Jr., J.R. 1992, J. Biol. Chem. 267, 14535頁)。
【0012】
種々のアッセイ系は、キナーゼ阻害剤を同定するために有用である。シンチレーション近接アッセイ(Sorgら、J. of. Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)およびフラッシュプレート(flashplate)アッセイにおいて、基質としてのタンパク質またはペプチドの、γATPを用いた放射活性リン酸化を、測定する。阻害化合物の存在下で、低下した放射活性シグナルが検出可能であるか、またはシグナルは、全く検出不能である。さらに、均一な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術は、アッセイ法として有用である(Sillsら、J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0013】
他の放射活性でないELISAアッセイ法は、特定のホスホ抗体(ホスホAB)を用いる。ホスホAB単独は、リン酸化された基質に結合する。この結合を、第二ペルオキシダーゼ結合抗ヒツジ抗体を用いて、ケモルミネセンス(chemoluminescence)により検出することができる(Rossら、Biochem. J., 2002, 366, 977-981)。
【0014】
従来技術
WO 00/62781には、細胞容積調整ヒトキナーゼH−SGKの阻害剤を含む医薬の使用が記載されている。
抗菌作用を有するベンジリデンベンゾヒドラジド類は、WO 02/070464 A2に記載されている。細菌感染の処置へのアシルヒドラジド類の使用は、WO 01/70213に開示されている。
特に糖尿病合併症の処置のための他のアシルヒドラゾン誘導体は、特開平11-106371号公報に開示されている。
癌の処置のためのメトキシ置換芳香族アシルヒドラゾン誘導体は、T. Kametaniらにより、薬学雑誌(1963), 83, 851-855および薬学雑誌(1963), 83, 844-847に記載されている。
鎮静増強剤としての、および血圧を低下させるための他の芳香族アシルヒドラゾン誘導体は、特開昭41-20699号公報に開示されている。
【0015】
感染防止療法におけるキナーゼ阻害剤の使用は、C. Doerigにより、Cell. Mol. Biol. Lett. Vol. 8, No. 2A, 2003, 524-525に記載されている。
肥満におけるキナーゼ阻害剤の使用は、N. Perrottiにより、J. Biol. Chem. 2001, March 23; 276(12):9406-9412に記載されている。
【0016】
以下の参考文献には、疾患の処置におけるSGK阻害剤の使用が示唆および/または記載されている:
【表1】

【0017】
【表2】

【0018】
【表3】

【発明の開示】
【0019】
発明の概要
本発明は、式I
【化1】

式中、
は、X、OSOA、Hal、CF、NO、N(R10、CN、−[C(R10COOR10、O−[C(R10COOR10、SOH、−[C(R10Ar、−CO−Ar、O−[C(R10Ar、−[C(R10Het、−[C(R10C≡CH、O−[C(R10C≡CH、−[C(R10CON(R10、−[C(R10CONR10N(R10、O−[C(R10CON(R10、O−[C(R10CONR10N(R10、NR10COA、NR10CON(R10、NR10SOA、N(SOA)、COR10、S(O)Ar、SONR10またはS(O)Aを示し、
【0020】
、R、R、R、R、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、CN、OSOA、NHSOA、N(SOA)、SOA、NH、NHA、NA、COOAまたはCOOHを示し、
およびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
【0021】
Xは、2〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1つまたは2つのCH基は、OもしくはS原子および/または−CH=CH−基により置換されていてもよく、かつ/またはさらに1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
あるいは3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
【0022】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR10、N(R10、NO、CN、フェニル、CON(R10、NR10COA、NR10CON(R10、NR10SOA、COR10、SON(R10、S(O)A、−[C(R10−COOR10および/または−O[C(R10−COOR10により単置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは、Hal、A、OR10、N(R10、NO、CN、COOR10、CON(R10、NR10COA、NR10SOA、COR10、SONR10、S(O)A、=S、=NR10および/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換または三置換されていてもよく、
【0023】
10は、HまたはAを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2または3を示し、
oは、1、2または3を示す、
で表される化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物に関する。
【0024】
本発明は、式Iで表される化合物およびこれらの塩並びに、請求項1〜14のいずれかに記載の式Iで表される化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化2】

式中、
、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化3】

式中、
、R、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させるか、
または
【0025】
b)式IV
【化4】

式中、
、R、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、式V
【化5】

式中、
Lは、Cl、Br、Iまたは遊離の、もしくは反応性に官能的に修飾されたOH基を示し、
、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
かつ/または
式Iで表される塩基もしくは酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0026】
本発明はまた、これらの化合物の立体異性体(E、Z異性体)並びに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、これらの相互の引力のために形成される、化合物上への不活性溶媒分子のアダクション(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0027】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドで修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の活性な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0028】
「有効量」の表現は、例えば研究者または医師により、組織、系、動物またはヒトにおいて求められている、または目的とする生物学的または薬学的応答を生じる医薬または薬学的に活性な成分の量を意味する。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、または副作用の防止、またはまた疾患、状態、障害もしくは副作用の進行の低減、またはまた疾患、状態もしくは障害の進行の低減
を有する量を意味する。
「治療的に有効な量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0029】
本発明はまた、本発明の式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
1回よりも多く出現するすべての基について、これらの意味は、互いに独立している。
本明細書中、基およびパラメーターR1、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、他に明確に示さない限り、式Iについて示した意味を有する。
【0030】
Xは、アルキルを示し、非分枝状(直線状)または分枝状であり、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Xは、好ましくは、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピルを示す。
Xは、極めて特に好ましくは、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
Xはまた、シクロアルキルを示す。シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
【0031】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直線状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
Acは、アセチルを示し、Bnは、ベンジルを示し、Msは、−SOCHを示す。
【0032】
は、X、例えばエチルまたはプロピル;OSOA、例えばOSOCH;Hal、例えばFまたはCl;CF;NO;N(R10、例えばNH、NHCHまたはN(CH;CN;−[C(R10COOR10、例えばCHCOOH、COOH、CHCOOCHまたはCOOCH;O−[C(R10COOR10、例えばO−CHCOOHまたはO−CHCOOCH;SOH;−[C(R10Ar、例えばベンジルまたはp−トリルメチル;
−CO−Ar、例えばベンゾイル;O−[C(R10Ar、例えばフェノキシまたはベンジルオキシ;−[C(R10Het、例えばモルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニル;−[C(R10C≡CH、例えばエチニル;
【0033】
O−[C(R10C≡CH、例えばエチニルメトキシ;
−[C(R10CON(R10、例えばCONH
−[C(R10CONR10N(R10、例えばCONHNH
O−[C(R10CON(R10、例えばO−CONHまたはO−CHCONH
O−[C(R10CONR10N(R10、例えばO−CHCONHNH
NR10COA、アセトアミド;NR10CON(R10、例えばウレイド;
NR10SOA、NHSOCH;N(SOA)、例えばN(SOCH
COR10、例えばCHO、アセチルまたはプロピオニル;
S(O)Ar、例えば−S−フェニルまたは−SO−フェニル;
SONR10、例えばアミノスルホニル;S(O)A、例えば−SCHまたは−SOCHを示す。
【0034】
は、好ましくは、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−[C(R10COOR10、O−[C(R10COOR10、SOH、−[C(R10Ar、O−[C(R10Ar、−[C(R10Het、O−[C(R10C≡CH、O−[C(R10CON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示す。
、R、R、Rは、好ましくは、各々の場合において、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示す。
【0035】
およびRまたはRおよびRは、好ましくは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示す。
は、特に好ましくは、H、A、OH、F、Cl、OAまたはNOを示す。Rは、極めて特に好ましくは、Hを示す。
は、特に好ましくは、H、OH、F、Cl、ベンジルオキシ、OAc、例えばアセトキシまたはOA、例えばメトキシを示す。Rは、極めて特に好ましくは、OHを示す。
は、特に好ましくは、H、F、ClまたはOA、例えばOCHを示す。Rは、極めて特に好ましくは、Hを示す。
【0036】
は、特に好ましくは、H、OH、F、Cl、Br、OA、例えばOCH、ベンジルオキシまたはCFを示す。Rは、極めて特に好ましくは、HまたはOHを示す。
、R、RおよびRは、好ましくは、Hを示す。
10は、HまたはA、好ましくはHまたはメチルを示す。R10は、極めて特に好ましくは、Hを示す。
【0037】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−ウレイドフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメチルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメトキシフェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ、2−アミノ−3−クロロ、2−アミノ−4−クロロ、2−アミノ−5−クロロまたは2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノまたは3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0038】
Arは、好ましくは、例えば、非置換であるか、またはHal、A、OR10、SOA、COOR10もしくはCNにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニル、極めて特に好ましくは、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
【0039】
他の置換基とは関係なく、Hetは、例えば、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、4−もしくは5−イソインドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルを示す。
【0040】
複素環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。
Hetは、従って、また、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、1−、2−もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは、2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはまた3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは、2,3−ジヒドロベンゾフラニルもしくは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを示すことができる。
【0041】
Hetは、好ましくは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい。
Hetは、特に好ましくは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和複素環を示し、これは、非置換であるか、またはAにより単置換もしくは二置換されていてもよい。
他の態様において、Hetは、極めて特に好ましくは、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示す。
他の態様において、Hetは、特に好ましくは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されている。
【0042】
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有することができ、従って種々の立体異性体形態で存在することができる。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0043】
従って、本発明は、特に、少なくとも1つの前述の基が、前に示した好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。いくつかの好ましい群の化合物を、以下の従属式Ia〜Ikにより表すことができ、これは、式Iに適合し、ここで、一層詳細に表していない基は、式Iについて示した意味を有するが、ここで、
【0044】
Iaにおいて、Rは、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−[C(R10COOR10、O−[C(R10COOR10、SOH、−[C(R10Ar、O−[C(R10Ar、−[C(R10Het、O−[C(R10C≡CH、O−[C(R10CON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し;
Ibにおいて、R、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し;
【0045】
Icにおいて、R、R、R、Rは、Hを示し;
Idにおいて、Rは、OHを示し、
は、HまたはOHを示し、
、R、R、R、R、Rは、Hを示し;
【0046】
Ieにおいて、Xは、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく;
Ifにおいて、Arは、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し;
【0047】
Igにおいて、Hetは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されていてもよく;
Ihにおいて、Hetは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和複素環を示し、これは、非置換であるか、またはAにより単置換もしくは二置換されていてもよく;
Iiにおいて、Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており;
【0048】
Ijにおいて、Rは、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し;
【0049】
Ikにおいて、Rは、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
、R、R、Rは、Hを示し、
【0050】
Arは、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されていてもよく、
10は、HまたはAを示し、
Xは、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2または3を示し、
oは、1、2または3を示し;
【0051】
Ilにおいて、Rは、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
は、OHを示し、
は、HまたはOHを示し、
およびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
、R、R、R、R、Rは、Hを示し、
【0052】
Arは、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
10は、HまたはAを示し、
Xは、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2または3を示し、
oは、1、2または3を示す;
並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体であり、すべての比率でのこれらの混合物を含む。
【0053】
本発明の化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には、周知の、前述の反応に適する反応条件の下で、製造される。また、ここで、自体公知であり、ここでは一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0054】
所望により、出発物質をまた、インサイチュ(in situ)で生成して、これらを、反応混合物から単離せずに、代わりに直ちにさらに、本発明の化合物に変換されるようにすることができる。
出発化合物は、一般的に周知である。しかし、これらが新規である場合には、これらを、自体公知の方法により調製することができる。
【0055】
式Iで表される化合物は、好ましくは、式IIで表されるヒドラジドを、式IIIで表されるアルデヒドと反応させることにより、得ることができる。
E立体異性体は、一般的に、当該反応において生成する。
【0056】
当該反応を、当業者に知られている方法により行う。
当該反応を、先ず好適な溶媒中で行う。
好適な不活性溶媒は、例えば、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましい溶媒は、アルコール類、例えばイソプロパノールまたはエタノールである。
【0057】
用いられる条件に依存して、反応時間は、数分〜14日間の間であり、反応温度は、約−30℃〜140℃、通常−10℃〜110℃、特に約20℃〜約100℃である。
式Iで表される化合物を、さらに好ましくは、式IVで表されるヒドラゾンを式Vで表される化合物と反応させることにより、得ることができる。
【0058】
当該反応を、一般的には、不活性溶媒中で、酸結合剤、好ましくは有機塩基、例えばDIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンもしくはキノリン、または過剰の式Vで表されるカルボキシル成分の存在下で、行う。
【0059】
好適な不活性溶媒は、例えば、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
【0060】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムもしくはセシウムの弱酸の他の塩を加えることもまた、好ましい場合がある。
用いられる条件に依存して、反応時間は、数分〜14日間の間であり、反応温度は、約−30℃〜140℃、通常−10℃〜90℃、特に約0℃〜約70℃である。
【0061】
式Vで表される化合物において、Lは、好ましくは、Cl、Br、Iあるいは遊離の、または反応的に修飾されたOH基、例えば活性化されたエステル、イミダゾリドもしくは1〜6個のC原子を有するアルキルスルホニルオキシ(好ましくはメチルスルホニルオキシもしくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)または6〜10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくはフェニルもしくはp−トリルスルホニルオキシ)を示す。典型的なアシル化反応におけるカルボキシル基の活性化のためのこのタイプの基は、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されている。
活性化されたエステルは、有利には、インサイチュで、例えばHOBtまたはN−ヒドロキシスクシンイミドを加えることにより、生成する。
【0062】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から由来し得るこれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用の方法により調製される。式Iで表される化合物が、カルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;並びに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0063】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩は、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、酸付加塩を、これらの化合物を薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、並びにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、並びに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより、生成することができる。
【0064】
従って、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモエイト(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0065】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、並びにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0066】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式Iで表される化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類、環状アミン類を含む置換アミン類、並びに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0067】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;並びにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて調製することができる。
【0068】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0069】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用の方法で塩の生成を生じることにより、調製する。遊離塩基を、塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、これらの対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0070】
述べたように、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0071】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用の方法で塩の生成を生じることにより、調製する。遊離酸を、塩形態を酸と接触させ、慣用の方法で遊離酸を単離することにより、再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、これらの対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のために、当該塩は、他の点では、これらのそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0072】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0073】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、特に、この塩形態が活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、式Iで表される化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが、明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、この活性成分に、初めて、前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を付与することができ、さらに、身体におけるこの治療的有効性に関して、この活性成分の薬力学に対する正の影響を有することができる。
【0074】
本発明の式Iで表される化合物は、これらの分子構造のために、キラルであり得、従って種々の鏡像体形態で存在し得る。従って、これらは、ラセミ体または光学的に活性な形態で存在し得る。
【0075】
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性が、異なり得るため、鏡像体を用いるのが望ましい場合がある。これらの場合において、最終生成物またはさらには中間体を、鏡像体化合物に、当業者に知られている化学的もしくは物理的手段により分離するかまたは、さらには、それ自体で合成において用いることができる。
【0076】
ラセミ体アミン類の場合において、ジアステレオマーが、混合物から、光学的に活性な分割剤との反応により生成する。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適なN保護アミノ酸類(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)または種々の光学的に活性な樟脳スルホン酸類のRおよびS形態である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースもしくは炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上に固定された、キラル的に誘導体化されたメタクリレートポリマー類)の補助によるクロマトグラフィー鏡像体分割である。この目的に適する溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えば、82:15:3の比率での、ヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルである。
【0077】
本発明はさらに、化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩の、医薬(医薬組成物)の、特に非化学的方法による製造のための使用に関する。これらを、ここで、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体補形剤または補助剤と共に、および、所望により1種または2種以上の他の活性成分と組み合わせて、好適な投薬形態に変換することができる。
【0078】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこれらの混合物を含む)、並びに任意に補形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0079】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される疾患状態、投与の方法並びに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができるか、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位処方物は、前に示したように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0080】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(頬側、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を補形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることにより、製造することができる。
【0081】
経口投与のために適合された医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;粉末もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして、投与することができる。
【0082】
従って、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性補形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。粉末を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的補形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより、製造する。風味剤、保存剤、分散剤および染料が、同時に存在してもよい。
【0083】
カプセルを、上記したように粉末混合物を調製し、成形したゼラチン殻をこれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有用性を改善することができる。
【0084】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤並びに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。錠剤を、例えば粉末混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、処方する。
【0085】
粉末混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記したように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより、調製する。粉末混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アカシア粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより、顆粒化することができる。顆粒化の代替として、粉末混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0086】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性補形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。染料を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0087】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で調製し、従って所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより、処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0088】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなど中にコーティングするかまたは包埋することにより、調製することができる。
【0089】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層の小胞、大きい単層の小胞および多層の小胞の形態で、投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0090】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。化合物をまた、標的とする医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイル基により置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリシンを包含することができる。化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類およびヒドロゲルの架橋したか、または両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0091】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。従って、例えば、活性成分を、一般的用語においてPharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0092】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油クリームベースまたは油中水ベースを有するクリームを得ることができる。
【0093】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0094】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した粉末を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入により、投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは鼻腔内ドロップとしての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0095】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0096】
非経口投与のために適合された医薬処方物には、処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になる酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性の、および非水性の無菌注射溶液;並びに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性の、および非水性の無菌懸濁液が含まれる。処方物を、単一用量または多重用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与し、凍結乾燥した(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵し、従って使用の直前の、無菌の担体液体、例えば注射目的での水の添加のみが必要であるようにすることができる。
【0097】
処方により製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して業界において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;従って、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含むことができる。
【0098】
本発明の化合物の治療的に有効な量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、処置が必要である正確な疾患状態、並びにこの重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師により決定される。しかし、本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳類)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。従って、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり個別の用量として、または通常は1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分または6回分)において投与し、従って合計の毎日の用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0099】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)並びに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0100】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)の有効量、
並びに
(b)有効量の他の医薬活性成分
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0101】
このセットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、有効量の本発明の化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)、並びに、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、有効量の他の医薬活性成分を含む。
【0102】
使用
本発明の化合物は、SGKにより誘発された疾患の処置における、哺乳類のための、特にヒトのための医薬活性成分として適する。
【0103】
従って、本発明は、キナーゼシグナル伝達の阻害、調整および/または調節が作用を奏する疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物並びに、薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の使用に関する。
好ましいのは、ここでは、SGKである。
【0104】
好ましいのは、請求項1に記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項1に記載の化合物によるSGKの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための使用である。
【0105】
本発明は、本発明の請求項1に記載の化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、糖尿病(例えば真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害および微小血管障害)、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺高血圧症、心血管疾患(例えば心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大および心不全、動脈硬化)並びに腎疾患(例えば糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症、電解質排泄障害)、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの(例えば肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節炎、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕およびアルツハイマー病)の処置または防止のための医薬の製造のための使用を包含する。本発明の化合物はまた、癌、腫瘍細胞の成長および腫瘍転移を阻害することができ、従って腫瘍療法に適する。
【0106】
本発明の化合物は、さらに、凝固障害、例えば異常フィブリノーゲン血症、低プロコンバーチン血症、血友病B、スチュアート−プラウアー欠損症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害または複合凝固障害、およびまた神経興奮性、例えばてんかんの処置のために用いられる。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療的に用いることができる。
本発明の化合物はさらに、細菌感染の処置において、および感染防止療法において用いられる。本発明の化合物をまた、学習能力および注意力を増大させるために、治療的に用いることができる。
【0107】
好ましいのは、請求項1に記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺高血圧症、心血管疾患および腎疾患、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経興奮性、緑内障、白内障、細菌感染の処置または防止のための、並びに感染防止療法における、学習能力および注意力を増大させるための、並びに細胞老化およびストレスの処置および予防のための医薬の製造のための使用である。
【0108】
糖尿病は、好ましくは、真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害および微小血管障害である。
心血管疾患は、好ましくは、心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化である。
【0109】
腎疾患は、好ましくは、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症および電解質排泄障害である。
線維症および炎症プロセスは、好ましくは、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節炎、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病である。
【0110】
アッセイ
例に記載する本発明の化合物を、以下に記載するアッセイにおいて試験し、キナーゼ阻害活性を有すると見出された。他のアッセイは、文献から知られており、当業者により容易に行うことができる(例えば、Dhanabalら、Cancer Res. 59:189-197; Xinら、J. Biol. Chem. 274:9116-9121; Sheuら、Anticancer Res. 18:4435-4441; Ausprunkら、Dev. Biol. 38:237-248; Gimbroneら、J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427; Nicosiaら、In Vitro 18:538- 549を参照)。
【0111】
本明細書中、すべての温度を、℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作(work-up)」は、以下のことを意味する:所要に応じて水を加え、pHを、所要に応じて、最終生成物の構成に依存して、2〜10に調整し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させ、生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(他に示さない限り)
【0112】
例1
N’−[1−(2−エチル−4,6−ジヒドロキシフェニル)メト−(E)−イリデン]−(3−ヒドロキシフェニル)アセトヒドラジド(1)の調製を、以下のスキームと同様にして行う:
【化6】

【0113】
300mgの2,4−ジヒドロキシ−6−エチルベンズアルデヒドおよび300mgの(3−ヒドロキシフェニル)アセトヒドラジドを10mlのイソプロパノールに溶解した溶液を、還流下で4時間加熱する。溶媒を除去し、アセトニトリル/イソプロピルエーテルから結晶化する。
収量:540mgの(1);融点175〜177℃。
【0114】
以下の化合物を、同様にして得る。
【化7】

【0115】
【化8】

【0116】
【化9】

【0117】
【化10】

【0118】
【化11】

【0119】
【化12】

【0120】
【化13】

【0121】
【化14】

【0122】
【化15】

【0123】
【化16】

【0124】
【化17】

【0125】
【化18】

【0126】
以下の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
100gの本発明の活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0127】
例B:座剤
20gの本発明の活性成分の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0128】
例C:溶液
1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を調製する。pHを、6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0129】
例D:軟膏
500mgの本発明の活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0130】
例E:錠剤
1kgの本発明の活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0131】
例F:被覆錠剤
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0132】
例G:カプセル
2kgの本発明の活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが、20mgの活性成分を含むようにする。
【0133】
例H:アンプル
1kgの本発明の活性成分を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
は、X、OSOA、Hal、CF、NO、N(R10、CN、−[C(R10COOR10、O−[C(R10COOR10、SOH、−[C(R10Ar、−CO−Ar、O−[C(R10Ar、−[C(R10Het、−[C(R10C≡CH、O−[C(R10C≡CH、−[C(R10CON(R10、−[C(R10CONR10N(R10、O−[C(R10CON(R10、O−[C(R10CONR10N(R10、NR10COA、NR10CON(R10、NR10SOA、N(SOA)、COR10、S(O)Ar、SONR10またはS(O)Aを示し、
、R、R、R、R、R、R、Rは、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、CN、OSOA、NHSOA、N(SOA)、SOA、NH、NHA、NA、COOAまたはCOOHを示し、
およびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRは、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
Xは、2〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1つまたは2つのCH基は、OもしくはS原子および/または−CH=CH−基により置換されていてもよく、かつ/またはさらに1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
あるいは3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはHal、A、OR10、N(R10、NO、CN、フェニル、CON(R10、NR10COA、NR10CON(R10、NR10SOA、COR10、SON(R10、S(O)A、−[C(R10−COOR10および/または−O[C(R10−COOR10により単置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これは、Hal、A、OR10、N(R10、NO、CN、COOR10、CON(R10、NR10COA、NR10SOA、COR10、SONR10、S(O)A、=S、=NR10および/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換または三置換されていてもよく、
10は、HまたはAを示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、0、1、2または3を示し、
oは、1、2または3を示す、
で表される化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項2】
が、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−[C(R10COOR10、O−[C(R10COOR10、SOH、−[C(R10Ar、O−[C(R10Ar、−[C(R10Het、O−[C(R10C≡CH、O−[C(R10CON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示す、
請求項1に記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項3】
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRが、また一緒にCH=CH−CH=CHを示す、
請求項1または2に記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項4】
、R、R、Rが、Hを示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項5】
が、OHを示し、
が、HまたはOHを示し、
、R、R、R、R、Rが、Hを示す、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項6】
Xが、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子が、Fにより置換されていてもよい、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項7】
Arが、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す、
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項8】
Hetが、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これが、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項9】
Hetが、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和複素環を示し、これが、非置換であるか、またはAにより単置換もしくは二置換されていてもよい、
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項10】
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、この各々が、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されている、
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項11】
が、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRが、また一緒にCH=CH−CH=CHを示す、
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項12】
が、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
、R、R、Rが、各々、互いに独立して、H、A、OH、OA、OAc、Hal、NO、(CHAr、O−(CHAr、OSOA、NHSOA、N(SOA)またはSOAを示し、
およびRまたはRおよびRが、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
、R、R、Rが、Hを示し、
Arが、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetが、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、これが、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されていてもよく、
10が、HまたはAを示し、
Xが、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子が、Fにより置換されていてもよく、
Aが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子が、Fにより置換されていてもよく、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
mが、0、1または2を示し、
nが、0、1、2または3を示し、
oが、1、2または3を示す、
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項13】
が、X、OSOA、Hal、CF、NO、CN、−(CHCOOR10、O−(CHCOOR10、SOH、−(CHAr、O−(CHAr、−(CHHet、O−(CHC≡CH、O−(CHCON(R10、S(O)ArまたはS(O)Aを示し、
が、OHを示し、
が、HまたはOHを示し、
およびRまたはRおよびRが、また一緒にCH=CH−CH=CHを示し、
、R、R、R、R、Rが、Hを示し、
Arが、非置換であるか、またはHalおよび/またはAにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetが、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、この各々が、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
10が、HまたはAを示し、
Xが、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子が、Fにより置換されていてもよく、
Aが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子が、Fにより置換されていてもよく、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
mが、0、1または2を示し、
nが、0、1、2または3を示し、
oが、1、2または3を示す、
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項14】
N’−[1−(2−エチル−4,6−ジヒドロキシフェニル)メト−(E)−イリデン]−(3−ヒドロキシフェニル)アセトヒドラジド(1)、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

の群から選択されている、請求項1に記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の式Iで表される化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化14】

式中、
、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化15】

式中、
、R、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させるか、
または
b)式IV
【化16】

式中、
、R、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、式V
【化17】

式中、
Lは、Cl、Br、Iまたは遊離の、もしくは反応性に官能的に修飾されたOH基を示し、
、R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
かつ/または式Iで表される塩基もしくは酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物、並びに、任意に補形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調整および/または調節が作用を奏する疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための使用。
【請求項18】
キナーゼが、SGKである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物によるSGKの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれかに記載の化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺高血圧症、心血管疾患および腎疾患、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経興奮性、緑内障、白内障、細菌感染の処置または防止のための、並びに感染防止療法における、学習能力および注意力を増大させるための、細胞老化およびストレスの処置および予防、並びに耳鳴の処置のための医薬の製造のための、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
糖尿病が、真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害および微小血管障害である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
心血管疾患が、心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化である、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
腎疾患が、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症および電解質排泄障害である、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
線維症および炎症プロセスが、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節炎、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕およびアルツハイマー病である、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
請求項1〜13のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物、並びに、少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む、医薬。
【請求項26】
(a)請求項1〜14のいずれかに記載の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の有効量、
並びに
(b)有効量の他の医薬活性成分
の個別のパックからなる、セット(キット)。

【公表番号】特表2008−504241(P2008−504241A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517122(P2007−517122)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006047
【国際公開番号】WO2006/000293
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】