説明

オレキシンアンタゴニストとしてのマロンアミド

本発明は、式(I):[式中、Ar及びArは、互いに独立して、非置換であるか、あるいは置換されているアリール又はヘテロアリールであり;R/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいはRとRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;Rは、水素又は低級アルキルであり;nは、0、1、2、3又は4であり;oは、1、2又は3であり;pは、0、1又は2である]で示される化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物に関する。式Iの化合物がオレキシン受容体アンタゴニストであり、そして関連化合物が、睡眠障害のようなオレキシン経路が関与する障害の処置において有用でありうることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化1】


[式中、
Ar及びArは、互いに独立して、非置換であるか、あるいは置換されているアリール又はヘテロアリールであり;
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物に関する。
【0003】
式Iの化合物がオレキシン受容体アンタゴニストであり、そして関連化合物が、オレキシン経路が関与する障害、例としては、睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害、下肢静止不能症候群を含む睡眠障害、不安、鬱病、躁鬱病、強迫性障害、感情神経症、抑鬱神経症、不安神経症、気分障害、譫妄、パニック発作障害、心的外傷後ストレス障害、性機能不全、統合失調症、精神病、認知障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病、認知症、精神遅滞、ハンチントン病及びトゥレット症候群などのジスキネジア、中毒、薬物乱用に関連する渇望、発作性障害、癲癇を含む精神、神経性及び神経変性障害、肥満、糖尿病などの代謝疾患、食欲減退及び過食症を含む摂食障害、喘息、片頭痛、疼痛、神経因性疼痛、精神、神経性及び神経変性障害に関連する睡眠障害、神経因性疼痛、痛覚過敏症、灼熱痛、及び異痛症などの疼痛に対する亢進した又は過剰な感受性、急性疼痛、熱傷痛、背痛、複合性局所疼痛症候群I及びII、関節痛、脳卒中後疼痛、術後疼痛、神経痛、HIV感染に関連する疼痛、化学療法後疼痛、過敏性腸症候群ならびに全身オレキシン系機能不全に関連する他の疾患の処置において有用でありうることが見出された。
【0004】
視床下部神経ペプチドファミリーであるオレキシン(ヒポクレチン)は、摂食行動、エネルギー恒常性及び睡眠・覚醒周期を調節する上で重要な役割を果たす(Siegel, Annu. Rev. Psychol., 55, 125-148, 2004)。オレキシンA/ヒポクレチン1(OX−A、33個のアミノ酸)及びオレキシンB/ヒポクレチン2(OX−B、28個のアミノ酸)は、130個のアミノ酸であるプレプロオレキシンのタンパク質分解過程によって同じ前駆体から生成される(de Lecea et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 95, 322-327, 1998; Sakurai T. et al., Cell, 92, 573-585, 1998)。オレキシンレベルは、活動期の間に、日内変動が最も高くなることを示す。オレキシン−1受容体(OXR)及びオレキシン−2受容体(OXR)と称される2つの受容体サブタイプが同定されている。結合及び機能アッセイにおける両方の受容体の特徴づけによると、OXRは、OX−A及びOX−Bの両方に対して非選択的受容体であるのに対して、OXRは、OX−Aに対して選択的であり、逆に、OX−Aは、非選択的神経ペプチドであり、そして同様の親和性でOXR及びOXRに結合しているのに対し、OX−Bは選択的であり、OX2Rに対し高い親和性を有することが実証された(Sakurai T. et al., Cell, 92, 573-585, 1998)。両方の受容体は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のクラスAファミリーに属し、それらは、Gq/11を介して、ホスホリパーゼCの活性化と共役し、それがホスホイノシチド(PI)加水分解及び細胞内Ca2+レベルの上昇を引き起こす。しかし、OX2Rはまた、Gi/oを介してcAMP経路と共役することが示されている(Sakurai, Regulatory Peptides, 126, 3-10, 2005)。成体ラット組織のノーザンブロット分析は、プレプロオレキシンmRNAが、脳内でのみ検出されること(精巣中で少量が検出されることを除く)、ならびにOXR及びOXR転写物もまた脳内でのみ検出されることを示した(Sakurai T. et al., Cell, 92, 573-585, 1998)。ヒトの複数組織のノーザンブロットを使用して、同様の結果が得られた。インサイツハイブリダイゼーション及び免疫組織化学を用いたラットの脳における分布についての研究は、オレキシンニューロンが、CNS全体に突き出た状態で視床下部外側野でのみ見出されることを示している(Peyron et al., J Neurosci, 18, 9996-10015, 1998; Nambu et al., Brain Res., 827, 243-60, 1999)。さらに、OX及びOX受容体の両方は、睡眠/覚醒の制御にとって重要な脳領域に存在する。
【0005】
オレキシン系の破壊は、以下の一連の証拠に基づき、ナルコレプシーの原因であることが示唆される:(a)プレプロオレキシンノックアウトマウスは、ナルコレプシーに著しく類似した特徴を持つ表現型を有していた(Chemelli et al., Cell, 98, 437-451, 1999)、(b)突然変異(canarc-1)、これはOXRをコードする遺伝子を破壊するが、イヌのナルコレプシーの原因であることが見出された(Lin et al., Cell, 98, 365-376, 1999)、(c)OX−A及びOX−Bの欠如が、ヒトのナルコレプシー患者において観察された(Nishino et al., Lancet, 355, 39-40, 2000; Peyron et al., Nature Medicine, 6, 991-997, 2000)、(d)モダフィニル(Modafinil)(活性のメカニズムが知られていない抗ナルコレプシー薬)が、オレキシンニューロンを活性化させることが示されている(Mignot et al., Sleep, 11, 1012-1020, 1997; Chemelli et al., Cell, 98, 437-451, 1999)。OX−Aの脳室内(icv)投与が、用量依存的に、ラットの覚醒を増加させ、さらに総REM睡眠を84%減少させる(Piper et al., Eur. J. Neuroscience, 12, 726-730, 2000)。総合すると、これらの知見は、睡眠/覚醒周期の調節におけるオレキシン系のきわめて重要な役割と一致する。
【0006】
オレキシンは、その視床下部におけるコルチコトロピン放出因子(CRF)系との相互作用を介して、ストレス及び不安に対して重要な役割を果たす(Sakamoto et al., Regul Pept., 118, 183-91, 2004)。OX−Aのicv注入は毛づくろい(ストレス反応)を誘発するが、それは、CRFアンタゴニストにより部分的に妨げられる(Ida et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 270, 318-323, 2000)。OXRは、副腎髄質において高度に発現されるのに対して、OXRは、副腎皮質において高度に発現される。OX−A及びOX−Bの両方は、血漿におけるコルチコステロン放出を刺激し、視床下部の視床下部傍室核(PVN)内のc−Fosを誘発する(Kuru et al., Neuroreport, 11, 1977-1980, 2000)。さらに、CRFニューロンに突き出たオレキシンニューロンは、主にOXRを発現する(Winsky-Sommerer et al., J. Neuroscience, 24, 11439-11448, 2004)。したがって、OX2Rの刺激が、視床下部・下垂体・副腎系(HPA)軸を活性化させる。興味深いことに、これに関連して、オレキシンAにより誘発された血漿ACTHの増加が、OX−2R(N−{(1S)−1−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2(1H)−イソキノリニル)カルボニル}−2,2−ジメチルプロピル)−N−{4−ピリジニルメチル}アミンに対する選択的アンタゴニストにより弱められることが報告されている(Chang et al., Neurosci Res., 21 Dec 2006)。最近の前臨床報告(Suzuki et al., Brain Research, 1044, 116-121, 2005)は、OX−Aの不安惹起効果を示唆している。OX−Aのicv注入は、マウスの不安様行動を引き起こした。効果は、比較のために同時に試験したコルチコトロピン放出因子(CRF)のものと同様であった。最近の研究はまた、ヒトの脂肪組織内の機能的OX1及びOX2受容体の存在と、脂肪組織代謝及び脂質生成におけるそれらの役割を実証している(Digby et al., J. Endocrinol., 191, 129-36, 2006)。
【0007】
要約すれば、目覚め、睡眠/覚醒、食欲の制御に際してオレキシン系により果たされる非常に多様な機能、ならびに不安及びストレス反応などにおけるそれらの役割を考慮すると、オレキシン系を標的とする薬剤(又は化合物)が、疾患、例としては、睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害、下肢静止不能症候群を含む睡眠障害、不安、鬱病、躁鬱病、強迫性障害、感情神経症、抑鬱神経症、不安神経症、気分障害、譫妄、パニック発作障害、心的外傷後ストレス障害、性機能不全、統合失調症、精神病、認知障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病、認知症、精神遅滞、ハンチントン病及びトゥレット症候群などのジスキネジア、中毒、薬物乱用に関連する渇望、発作性障害、癲癇を含む精神、神経性及び神経変性障害、肥満、糖尿病などの代謝疾患、食欲減退及び過食症を含む摂食障害、喘息、片頭痛、疼痛、神経因性疼痛、精神、神経性及び神経変性障害に関連する睡眠障害、神経因性疼痛、痛覚過敏症、灼熱痛、及び異痛症などの疼痛に対する亢進した又は過剰な感受性、急性疼痛、熱傷痛、背痛、複合性局所疼痛症候群I及びII、関節痛、脳卒中後疼痛、術後疼痛、神経痛、HIV感染に関連する疼痛、化学療法後疼痛、過敏性腸症候群ならびに全身オレキシン系機能不全に関連する他の疾患の処置に対して有益な治療効果を有するであろうことが期待される。
【0008】
多くの文書が、オレキシン経路についての現在の知見を記載している。例えば、以下の文書が挙げられる:
- Expert Opin. Ther. Patents (2006), 16(5), 631-646
- Current Opinion in Drug Discovery & Development, 2006, 9(5), 551-559
- J. Neurosci (2000), 20(20), 7760 - 7765
- Neurosci Lett, (2003), 341(3), 256-258
【0009】
式Iの化合物は新規である。文献に記載されたオレキシン受容体アンタゴニストに対する利点は、薬物としての開発において重要な側面である物理化学的/DMPKプロファイルの向上である。
【0010】
本明細書で使用される一般的用語についての以下の定義は、当該用語が単独で現れるか、又は組み合わされて現れるかに関わらず、適用される。
【0011】
本明細書中で使用されるように、用語「低級アルキル」は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等を示す。用語「アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖状アルキル基を示す。
【0012】
用語「低級アルコキシ」は、アルキル残基が上記と同義であり、そして酸素原子を介して結合している基を示す。
【0013】
用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を示す。
【0014】
用語「シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を含む飽和炭素環基を示す。
【0015】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、非芳香族炭化水素基、例えばオキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル;ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はジ−オキソチオモルホリニルを示す。
【0016】
用語「アリール」は、少なくとも1個の環が本質的に芳香族である1個以上の縮合環からなる一価環状芳香族炭化水素基を意味する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル、アントラキノリル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
「ヘテロアリール」は、環内に1、2又は3個のヘテロ原子(窒素、酸素、又は硫黄より選択される)を含み、少なくとも1個の環が本質的に芳香族である1個以上の環を有する一価芳香族炭素環基を意味する。ヘテロアリール基の例には、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チオフェニル、フラニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、ナフチリジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子を有する、複素環」は、1個のN原子を含む非芳香族炭素環式環であって、加えて1個以上の炭素原子が、O、N又はSにより置き換えられていてもよく、例えば、ピロリン−1−イル、ピペリジン−1−イル、アゼピン−1−イル、ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、1−オキソ−チオモルホリン−4−イル又は1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イルを意味する。
【0019】
本明細書中で使用されるように、用語「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」は、少なくとも1個の水素原子がハロゲンにより置き換えられている、上記と同義のアルキル基、例えばCF、CHF、CHF、CHCF、CHCHCF、CHCFCF等を示す。
【0020】
用語「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、無機及び有機酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩を包含する。
【0021】
式Iの好ましい化合物は、式I−1:
【0022】
【化2】


[式中、
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物である。
【0023】
式I−1の好ましい化合物の例は、以下の化合物:
N−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−N’,N’−ジメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−N’,N’−ジメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0024】
式I−1の好ましい化合物は、式I−2:
【0025】
【化3】


[式中、
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示されるさらなる化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物である。
【0026】
式I−2の好ましい化合物は、R又はRの一方が水素であり、そして他方が低級アルキルである化合物、例えば、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−ブチル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−エチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−プロピル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0027】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方が−(CH−O−低級アルキルである化合物、例えば、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(2−メトキシ−エチル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0028】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方がハロゲンにより置換されているフェニルである化合物、例えば、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(4−フルオロ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0029】
さらに好ましいのは、RとRの両方が水素である化合物、例えば、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0030】
さらに好ましいのは、Rが非置換であるか、又は置換されている(CH−アリールである化合物、例えば、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(4−メチル−ベンジル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−N’−フェネチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−ベンジル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N−メチル−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0031】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−シクロアルキルである化合物、例えば
N−シクロプロピル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−シクロプロピルメチル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0032】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方がハロゲンにより置換されている低級アルキルである化合物、例えば
N−(2,2−ジフルオロ−エチル)−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0033】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−ヘテロアリールである化合物、例えば
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−ピリジン−3−イル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−ピリジン−3−イルメチル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0034】
さらに好ましいのは、R又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−ヘテロシクロアルキルである化合物、例えば
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである。
【0035】
本発明の一つの実施態様は、式I:
【0036】
【化4】


[式中、
Ar及びArは、非置換であるか、あるいは置換されているアリール又はヘテロアリールであり、そしてここで、アリール及びヘテロアリール基は、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、SO−低級アルキル又は−NRからなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよく;
Arは、非置換であるか、あるいは置換されているアリール又はヘテロアリールであり、そしてここで、アリール及びヘテロアリール基は、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシからなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよく;
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、又はハロゲンにより置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルキル又はハロゲンであり;
Lは、−(CR−であり;
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
oは、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物に関する。
【0037】
式Iの本化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、当業技術で既知の方法、例えば下記の方法により調製することができ、該方法は、
式VI:
【0038】
【化5】


[式中、R’は、低級アルキル又はベンジルである]で示される化合物中のエステル基を、水性塩基性条件下で開裂し、そして対応する酸をカップリング条件下、式:
NHR
のアミンで、式I:
【0039】
【化6】


[式中、置換基は、上記のとおりである]で示されるマロンアミドに変換する工程、及び
所望であれば、得られた化合物を、薬学的に許容しうる酸付加塩に変換する工程を含む。
【0040】
本発明の式Iの化合物の調製は、連続型又は収束型合成経路で実施しうる。本発明の化合物の合成は、以下のスキームに示される。反応及び得られた生成物の精製を実施するために必要な技術は、当業者に既知である。以下の方法の記載において使用される置換基及び指数は、特に示さない限り、本明細書で先に記載の意味を有する。
【0041】
より詳細には、式Iの化合物は、以下に記載の方法、実施例に記載の方法、又は同様の方法により製造することができる。個々の反応工程についての適切な反応条件は、当業者に既知である。反応順序は、スキーム1に示したものに限定されないが、出発物質及びそれらの各々の反応性に依存して、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、あるいは以下に記載の方法と同様の方法、本明細書もしくは実施例に引用される参考文献に記載の方法、又は当該技術で既知の方法により調製することができる。
【0042】
【化7】

【0043】
置換基は、上記のとおりであり、そしてR’は、低級アルキル又はベンジルである。
【0044】
a) アリールアミン誘導体II及びアリール酢酸誘導体IIIは市販であるか、あるいは文献に記載の方法により入手することができる。アリールアミン誘導体IIのアリール酢酸誘導体IIIとの反応は、文献に記載の種々の方法により達成することができる(そのような反応に影響を及ぼす文献中に記載されている反応条件については、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999を参照されたい)。しかし、カップリング試薬、塩基及び溶媒の存在下で、アリールアミン誘導体IIを、アリール酢酸誘導体IIIと反応させるのが好都合である。例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)等のようなカップリング試薬を同様に十分に用いて、そのような変換に影響を及ぼすことができる。ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で、塩基の存在下、反応を実施することが好都合であると考える。反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、少なくともある程度まで試薬を溶解することができる限り、用いられる溶媒の性質に特に制限はない。適切な溶媒の例には、DMF、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、THF等が含まれる。この段階において使用される塩基の性質に特に制限はなく、このタイプの反応に一般に使用される任意の塩基をここで同様に使用しうる。そのような塩基の例には、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンなどが含まれる。反応は幅広い範囲の温度にわたって起こることが可能で、正確な反応温度は本発明にとって決定的なものではない。周囲温度から還流するまで加熱しながら反応を実施するのが好都合であると考える。反応に要する時間も、多くの要素、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、幅広く変化しうる。しかし、アミド誘導体IVを得るためには、0.5時間から数日間の時間で通常十分であろう。
【0045】
b) アミド誘導体IVの、対応するアミン誘導体Vへの還元は、文献に記載の種々の方法により達成することができる。しかし、溶媒の存在下で、アミド誘導体IVを、還元剤と反応させるのが好都合である。例えば、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)又はボラン(BH)等を同様に十分に用いて、そのような変換に影響を及ぼすことができる。テトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中、反応を実施することが好都合であると考える。反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、少なくともある程度まで試薬を溶解することができる限り、用いられる溶媒の性質に特に制限はない。反応は幅広い範囲の温度にわたって起こることが可能で、正確な反応温度は本発明にとって決定的なものではない。周囲温度から還流するまで加熱しながら反応を実施するのが好都合であると考える。反応に要する時間も、多くの要素、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、幅広く変化しうる。しかし、アミン誘導体Vを得るためには、0.5時間から数日間の時間で通常十分であろう。
【0046】
c) 種々の条件下で、アミン誘導体Vをマロン酸誘導体と反応させて、エステル誘導体VIを形成することができる。そのような又は類似の反応に影響を及ぼす文献中に記載されている反応条件については、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999を参照されたい。マロン酸誘導体は市販であるか、あるいは市販の出発物質より調製することができる。マロン酸誘導体R=Hを、塩基又は/及び溶媒の存在下で、求電子試薬(R−X;X=脱離基)と反応させることにより誘導体化して、マロン酸誘導体R=Hよりマロン酸誘導体(ここで、R=アルキル、ハロゲン)を入手することができる。にもかかわらず、各々の酸塩化物への変換により前活性化しておくか、あるいは反応の過程の間、カップリング試薬を使用することにより、アミン誘導体Vを、保護されたフェニルマロン酸誘導体(R’=エチル、ベンジル等)と反応させるのが好都合である。これは、塩基の存在下、溶媒中で行うことができる。例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)等のようなカップリング試薬を同様に十分に用いて、そのような変換に影響を及ぼすことができる。ジメチルホルムアミド(DMF)又はジクロロメタン(DCM)のような溶媒中で、塩基の存在下、反応を実施することが好都合であると考える。反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、少なくともある程度まで試薬を溶解することができる限り、用いられる溶媒の性質に特に制限はない。他の適切な溶媒の例には、ジオキサン、THF等が含まれる。この段階において使用される塩基の性質に特に制限はなく、このタイプの反応に一般に使用される任意の塩基をここで同様に使用しうる。そのような塩基の例には、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミン等が含まれる。反応は幅広い範囲の温度にわたって起こることが可能で、正確な反応温度は本発明にとって決定的なものではない。周囲温度から還流するまで加熱しながら反応を実施するのが好都合であると考える。反応に要する時間も、多くの要素、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、幅広く変化しうる。しかし、エステル誘導体IVを得るためには、0.5時間から数日間の時間で通常十分であろう。
【0047】
d) エステル誘導体VIの最終的なマロンアミド誘導体への変換は、文献に記載の手順に従って行うことができる。しかし、VI中のエステル官能基を、水性塩基性条件下(R’=Et)で開裂するか、又はH及びPd/Cで還元(R’=ベンジル)して、そして遊離した酸官能基を、カップリング条件下で各アミンを用いて変換して、マロンアミド誘導体Iを得る、二工程の反応順序を用いることが好都合であると考える。カルボン酸のアミンとのカップリングは文献に幅広く記載されており、その手順は当業者に既知である(そのような反応に影響を及ぼす文献に記載の反応条件については、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999を参照されたい)。中間的に形成された酸は、カップリング試薬の使用により、アミン(市販であるか、あるいは文献に記載の方法又は当該技術で既知の方法により入手可能;必要に応じて)とカップリングをして各々のアミドに好都合に変換することができる。例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)等のようなカップリング試薬を同様に十分に用いて、そのような変換に影響を及ぼすことができる。ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中、塩基の存在下、反応を実施することが好都合であると考える。反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、少なくともある程度まで試薬を溶解することができる限り、用いられる溶媒の性質に特に制限はない。適切な溶媒の例には、DMF、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、THF等が含まれる。この段階において使用される塩基の性質に特に制限はなく、このタイプの反応に一般に使用される任意の塩基をここで同様に使用しうる。そのような塩基の例には、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミン等が含まれる。反応は幅広い範囲の温度にわたって起こることが可能で、正確な反応温度は本発明にとって決定的なものではない。周囲温度から還流するまで加熱しながら反応を実施するのが好都合であると考える。反応に要する時間も、多くの要素、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、幅広く変化しうる。しかし、マロンアミド誘導体Iを得るためには、0.5時間から数日間の時間で通常十分であろう。
【0048】
化合物を、以下に示す試験に従って調査した。
【0049】
細胞内Ca2+動員アッセイ
ヒトオレキシン−1(hOX1)又はヒトオレキシン−2(hOX2)受容体を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣(dHFr−)変異細胞株を、GlutaMax(商標)1、4500mg/L D−グルコース及びピルビン酸ナトリウム(Catalog No. 31966-021, Invitrogen, Carlsbad, CA)、5%透析ウシ胎仔血清(Catalog No. 26400-044)、100μg/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含むダルベッコ修飾イーグル培地(1×)で維持した。細胞を、ポリ−D−リジン処理した、96−ウェル、黒/透明底プレート(Catalog No. BD356640, BD Biosciences, Palo Alto, CA)中に、5×10細胞/ウェルで播種した。24時間後、細胞に、FLIPR緩衝液(1×HBSS、20mM HEPES、2.5mM プロベネシド)中の4μM フルオ−4アセトキシメチルエステル(Catalog No. F-14202, Molecular Probes, Eugene, OR)を、37℃で1時間添加した。ハンクス平衡塩溶液(HBSS)(10×)(catalog No. 14065-049)及びHEPES(1M)(catalog No. 15630-056)は、Invitrogen, Carlsbad, CAから購入した。プロベネシド(250mM)(catalog No. P8761)は、Sigma, Buchs, Switzerlandからであった。細胞をFLIPR緩衝液で5回洗浄して、過剰の染料を取り除き、細胞内カルシウム動員[Ca2+を、先に記載されているとおり(Malherbe et al., Mol. Pharmacol., 64, 823-832, 2003)、Fluorometric Imaging Plate Reader(FLIPR-96, Molecular Devices, Menlo Park, CA)を用いて測定した。オレキシンA(catalog No. 1455, Toris Cookson Ltd, Bristol, UK)は、アゴニストとして使用した。オレキシンA(DMSO中50mM原液)を、FLIPR緩衝液+0.1%BSA中で希釈した。オレキシンAのEC50及びEC80値を、CHO(dHFr−)−OX1R及び−OX2R細胞株における標準的アゴニスト濃度−反応曲線から毎日測定した。全ての化合物を、100%DMSOに溶解した。阻害化合物の11の濃度(0.0001〜10μM)を加え、アゴニストとしてのオレキシンAのEC80値(最大アゴニスト反応の80%を与える濃度、毎日測定)を用いて阻害曲線を求めた。アンタゴニストを25分間用い(37℃でインキュベーション)、その後アゴニストを用いた。反応を、オレキシンA又はオレキシンBのEC80値により誘導される最大刺激効果に対して正規化した、基底値を引いた蛍光におけるピーク増加として測定した。ヒルの式:y=100/(1+(x/IC50nH)(ここで、n=傾斜因子)に従い、Excel-fit 4 ソフトウェア(Microsoft)を用いて、阻害曲線を当てはめた。
【0050】
値は、以下の式:K=IC50/(1+[A]/EC50)(ここで、Aは、加えられたアゴニストの濃度であり、アゴニストEC80値に非常に近似し、IC50及びEC50値は、各々アンタゴニスト阻害及びオレキシンA又はBアゴニスト曲線より導かれた)に従って計算した。
【0051】
好ましい化合物は、下記の表に示されるように、オレキシン受容体についてのヒトのK値(μM)を示す。
【0052】
【表1】

【0053】
式Iの化合物及び式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0054】
式Iの化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はそれらの塩等が、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。溶剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセリン、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0055】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0056】
式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び治療上不活性な担体を含有する医薬もまた、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容される酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上貴重な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に調製することを含む製造方法と同様に、本発明の目的である。
【0057】
本発明による最も好ましい適応症は、睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害、下肢静止不能症候群を含む睡眠障害、不安、鬱病、躁鬱病、強迫性障害、感情神経症、抑鬱神経症、不安神経症、気分障害、譫妄、パニック発作障害、心的外傷後ストレス障害、性機能不全、統合失調症、精神病、認知障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病、認知症、精神遅滞、ハンチントン病及びトゥレット症候群などのジスキネジア、中毒、薬物乱用に関連する渇望、発作性障害、癲癇を含む精神、神経性及び神経変性障害、肥満、糖尿病などの代謝疾患、食欲減退及び過食症を含む摂食障害、喘息、片頭痛、疼痛、神経因性疼痛、精神、神経性及び神経変性障害に関連する睡眠障害、神経因性疼痛、痛覚過敏症、灼熱痛、及び異痛症などの疼痛に対する亢進した又は過剰な感受性、急性疼痛、熱傷痛、背痛、複合性局所疼痛症候群I及びII、関節痛、脳卒中後疼痛、術後疼痛、神経痛、HIV感染に関連する疼痛、化学療法後疼痛、過敏性腸症候群ならびに全身オレキシン系機能不全に関連する他の疾患を含むものである。
【0058】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量は、一般式Iの化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されるその塩の対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0059】
錠剤の処方(湿式顆粒化)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0060】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0061】
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0062】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0063】
実施例1
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド
【0064】
【化8】

【0065】
a)工程1:
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド
【0066】
【化9】

【0067】
DMF 15mL中の3,4−ジメトキシ−フェニルアミン(市販)4g(26mmol)、(4−トリフルオロ−フェニル)−酢酸(市販)5.88g(29mmol)、TBTU 10g(31mmol)及びNEt 5.28g(52mmol)の混合物を、室温で30分間撹拌した。すべての揮発物を減圧下で除去し、残留物をDCM及び1M HCl水溶液に取った。有機相をMgSOで乾燥させ、蒸発乾固した。残留物をDCM及び酢酸エチルで粉砕し、乾燥した後、標記化合物7.88g(89%)を得た。MS(m/e):340.3(MH)。
【0068】
b)工程2:
(3,4−ジメトキシ−フェニル)−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−アミン(中間体1)
【0069】
【化10】

【0070】
THF 100mL中のN−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド3g(8.8mmol)とLiAlH 1g(26.3mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。水及びHCl水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固した。残留物を、酢酸エチル及びヘプタンから形成する勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、蒸発乾固して、標記化合物0.7g(24%)を得た。MS(m/e):326.1(MH)。
【0071】
c)工程3:
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸ベンジルエステル
【0072】
【化11】

【0073】
DMF 15mL中の(3,4−ジメトキシ−フェニル)−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−アミン0.7g(2.1mmol)、2−フェニル−マロン酸モノベンジルエステル(市販)0.58g(2.1mmol)、TBTU 0.83g(2.5mmol)及びNEt 0.43g(4.3mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。蒸発乾固させた後、残留物をHCl水溶液及びDCMで処理した。合わせた有機相をHCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発乾固した。残留物を、酢酸エチル及びヘプタンから形成する勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、蒸発乾固して、標記化合物0.35g(29%)を得た。MS(m/e):578.3(MH)。
【0074】
d)工程4:
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸
【0075】
【化12】

【0076】
酢酸エチル20mL及び酢酸0.37mL中のN−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸ベンジルエステル0.35g(0.62mmol)を、Hの大気圧を用いてPd/Cにより室温にて16時間水素化した。触媒を濾別し、濾液を蒸発乾固した。酸を、更に精製しないで続く工程で使用した。MS(m/e):488.2(MH)。
【0077】
e)工程5:
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド
【0078】
【化13】

【0079】
DMF 2mL中のN−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸16.2mg(0.033mmol)、メチルアミン(市販)15.5mg(0.049mmol)、TBTU 13.8mg(0.043mmol)及びピリジン7.8mg(0.09mmol)の混合物を、室温で4時間振とうした。混合物を蒸発乾固し、メタノール、ギ酸に取り、アセトニトリル、水及び酢酸から形成する勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製に付した。合わせた生成物画分を蒸発乾固して、標記化合物2.7mg(16%)を得た。MS(m/e):501.3(MH)、MH 実測値:501.3。
【0080】
実施例1の合成に関して記載された手順と同様にして、さらなるマロンアミド誘導体を、表1に挙げたそれぞれの出発物質から合成した。実施例を表1に示し、実施例2〜実施例27を含む。
【0081】
【表2】











【0082】
(3,4−ジメトキシ−フェニル)−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−アミン(中間体1)の合成に関して記載された手順と同様にして、さらなるフェニルアミン類を、表2に挙げた出発物質からアミドカップリング及び続く還元により合成した。表2は、中間体2〜中間体24を含む。
【0083】
【表3】









【0084】
実施例28
N−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−N−(4−メトキシ−フェニル)−N’,N’−ジメチル−2−フェニル−マロンアミド
【0085】
【化14】

【0086】
DMF 3mL中の[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(4−メトキシ−フェニル)−アミン(中間体2)28.7mg(0.1mmol)、N,N−ジメチル−2−フェニル−マロンアミド酸(WO2000009481)20.7mg(0.1mmol)、TBTU 38.5mg(0.12mmol)及びDIPEA 38.7mg(0.3mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、メタノール及びギ酸で希釈し、アセトニトリル、水及びギ酸から形成する勾配で溶離する逆相分取HPLCにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させて、標記化合物23.2mg(61%)を得た。MS(m/e):477.2(MH)。
【0087】
実施例28の合成に関して記載された手順と同様にして、さらなるマロンアミド誘導体を、表3に挙げたそれぞれの出発物質から合成した。実施例を表3に示し、実施例29〜実施例62を含む。
【0088】
【表4】

















【0089】
実施例63
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2,N’,N’−トリメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド
【0090】
【化15】

【0091】
a)工程1:
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸エチルエステル
DCM 15mL中の(3,4−ジメトキシ−フェニル)−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−アミン(中間体1)97.5mg(0.3mmol)、2−クロロカルボニル−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(Journal of Organic Chemistry (1959), 24 109-10)101mg(0.45mmol)及びトリエチルアミン121mg(1.2mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物を蒸発させ、アセトニトリル、水及びギ酸から形成する勾配で溶離する逆相分取HPLCにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させて、標記化合物71.5mg(45%)を得た。MS(m/e):530.2(MH)。
【0092】
b)工程2:
エタノール中のN−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド酸エチルエステル42mg(0.08mmol)とNaOH/KOH水溶液の混合物を、80℃に加熱し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。エタノール中のDMF及びジメチルアミン(33%)を加え、混合物を室温で16時間撹拌して、蒸発させた。残留物を、アセトニトリル、水及びギ酸から形成する勾配で溶離する逆相分取HPLCにより精製した。生成物を含有する画分を蒸発させ、標記化合物23.6mg(56%)を得た。MS(m/e):529.2(MH)。
【0093】
実施例64
N−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−N−(4−メトキシ−フェニル)−2,N’,N’−トリメチル−2−フェニル−マロンアミド
【0094】
【化16】

【0095】
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2,N’,N’−トリメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド(実施例63)の合成に関して記載された手順と同様にして、標記化合物を、[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(4−メトキシ−フェニル)−アミン(中間体2)、2−クロロカルボニル−2−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(Journal of Organic Chemistry (1959), 24 109-10)から、そしてけん化の後、ジメチルアミンから調製した。MS(m/e):491.2(MH)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化17】


[式中、
Ar及びArは、互いに独立して、非置換であるか、あるいは置換されているアリール又はヘテロアリールであり;
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物。
【請求項2】
式I−1:
【化18】


[式中、
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される請求項1記載の化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物。
【請求項3】
式I−2:
【化19】


[式中、
/Rは、互いに独立して、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、−(CH−O−低級アルキル、−(CH−N−(低級アルキル)、(CH−シクロアルキル、(CH−ヘテロシクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい)であるか、あるいは
とRは、それらが結合しているN原子と一緒に、場合により、N、O又はSより選択されるさらなる環ヘテロ原子と一緒に複素環を形成してもよく(ここで、環は、Rにより置換されていてもよい);
Rは、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、低級アルコキシ又はハロゲンにより置換されている低級アルコキシであり;
oは、1、2又は3であり;
pは、0、1又は2である]で示される請求項2記載の化合物、あるいはその薬学的に適切な酸付加塩、光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体又はジアステレオマー混合物。
【請求項4】
化合物が、
N−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−N’,N’−ジメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−N’,N’−ジメチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項2記載の式I−1の化合物。
【請求項5】
又はRの一方が水素であり、そして他方が低級アルキルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項6】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−ブチル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−エチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−プロピル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、
請求項5記載の式I−2の化合物。
【請求項7】
又はRの一方が水素であり、そして他方が−(CH−O−低級アルキルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項8】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(2−メトキシ−エチル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項7記載の式I−2の化合物。
【請求項9】
又はRの一方が水素であり、そして他方がハロゲンにより置換されているフェニルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項10】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(4−フルオロ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項9記載の式I−2の化合物。
【請求項11】
とRの両方が水素である、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項12】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項11記載の式I−2の化合物。
【請求項13】
が非置換であるか、又は置換されている(CH−アリールである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項14】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−(4−メチル−ベンジル)−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N’−メチル−N’−フェネチル−2−フェニル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−ベンジル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−N−メチル−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項13記載の式I−2の化合物。
【請求項15】
又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−シクロアルキルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項16】
化合物が、
N−シクロプロピル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−シクロプロピルメチル−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項15記載の式I−2の化合物。
【請求項17】
又はRの一方が水素であり、そして他方がハロゲンにより置換されている低級アルキルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項18】
化合物が、
N−(2,2−ジフルオロ−エチル)−N’−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項17記載の式I−2の化合物。
【請求項19】
又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−ヘテロアリールである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項20】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−ピリジン−3−イル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミド又は
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−ピリジン−3−イルメチル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項19記載の式I−2の化合物。
【請求項21】
又はRの一方が水素であり、そして他方が、非置換であるか、又は置換されている(CH−ヘテロシクロアルキルである、請求項3記載の式I−2の化合物。
【請求項22】
化合物が、
N−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−フェニル−N’−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−N−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−マロンアミドである、請求項21記載の式I−2の化合物。
【請求項23】
請求項1記載の式Iの化合物の調製方法であって、
式VI:
【化20】


[式中、R’は、低級アルキル又はベンジルである]で示される化合物中のエステル基を、水性塩基性条件下で開裂し、そして対応する酸をカップリング条件下、式:
NHR
のアミンで、式I:
【化21】


[式中、置換基は上記のとおりである]で示されるマロンアミドに変換する工程、及び
所望であれば、得られた化合物を、薬学的に許容しうる酸付加塩に変換する工程を含む、方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法により又は同等の方法により調製される、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項25】
1つ以上の式Iの化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含有する医薬。
【請求項26】
睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害、下肢静止不能症候群を含む睡眠障害、不安、鬱病、躁鬱病、強迫性障害、感情神経症、抑鬱神経症、不安神経症、気分障害、譫妄、パニック発作障害、心的外傷後ストレス障害、性機能不全、統合失調症、精神病、認知障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病、認知症、精神遅滞、ハンチントン病及びトゥレット症候群などのジスキネジア、中毒、薬物乱用に関連する渇望、発作性障害、癲癇を含む精神、神経性及び神経変性障害、肥満、糖尿病などの代謝疾患、食欲減退及び過食症を含む摂食障害、喘息、片頭痛、疼痛、神経因性疼痛、精神、神経性及び神経変性障害に関連する睡眠障害、神経因性疼痛、痛覚過敏症、灼熱痛、及び異痛症などの疼痛に対する亢進した又は過剰な感受性、急性疼痛、熱傷痛、背痛、複合性局所疼痛症候群I及びII、関節痛、脳卒中後疼痛、術後疼痛、神経痛、HIV感染に関連する疼痛、化学療法後疼痛、又は過敏性腸症候群の処置のための、請求項25記載の医薬。
【請求項27】
睡眠障害が、睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群及び神経精神病に関連する睡眠障害である、睡眠障害の処置のための、請求項26記載の医薬。
【請求項28】
睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害、下肢静止不能症候群を含む睡眠障害、不安、鬱病、躁鬱病、強迫性障害、感情神経症、抑鬱神経症、不安神経症、気分障害、譫妄、パニック発作障害、心的外傷後ストレス障害、性機能不全、統合失調症、精神病、認知障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病、認知症、精神遅滞、ハンチントン病及びトゥレット症候群などのジスキネジア、中毒、薬物乱用に関連する渇望、発作性障害、癲癇を含む精神、神経性及び神経変性障害、肥満、糖尿病などの代謝疾患、食欲減退及び過食症を含む摂食障害、喘息、片頭痛、疼痛、神経因性疼痛、精神、神経性及び神経変性障害に関連する睡眠障害、神経因性疼痛、痛覚過敏症、灼熱痛、及び異痛症などの疼痛に対する亢進した又は過剰な感受性、急性疼痛、熱傷痛、背痛、複合性局所疼痛症候群I及びII、関節痛、脳卒中後疼痛、術後疼痛、神経痛、HIV感染に関連する疼痛、化学療法後疼痛、又は過敏性腸症候群の処置用の医薬の製造のための、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項29】
睡眠障害が、睡眠時無呼吸症、ナルコレプシー、不眠症、睡眠時異常行動、時差ぼけ症候群、概日リズム障害又は神経疾患に関連する睡眠障害である、請求項28記載の式Iの化合物の使用。
【請求項30】
本明細書に上記の本発明。

【公表番号】特表2010−521435(P2010−521435A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553109(P2009−553109)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052639
【国際公開番号】WO2008/110488
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】