カルダノールをベースとするダイマーおよびそれらの使用
カルダノールをベースとするダイマーが提供される。それらのカルダノールダイマーは、シランを用いたヒドロシリル化によって形成される。カルダノールをベースとするダイマーをさらに反応させて、船穀および海洋構造物上の防汚コーティングとして使用することが可能なエポキシ硬化剤およびエポキシ樹脂を形成させることができる。カルダノールダイマーはさらに、摩擦粒子またはフェノール樹脂を製造するために使用することもできる。さらに、カルダノールをベースとするダイマー、エポキシ硬化剤、よびエポキシ樹脂を合成するための方法もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明出願は、35USC§19に従い、米国仮出願第60/927,420号(出願日、2007年5月3日)の利益を主張するものである(ここに引用することにより、その内容すべてを本明細書に取り入れたものとする)。
【0002】
一つの態様においては、本発明は、ヒドロシリル化によって形成されるカルダノールのダイマーに関する。また別な態様においては、本発明は、カルダノールのダイマーよりそれらのタイマーの誘導体を製造するためのプロセスに関する。さらに別な態様においては、本発明は、海洋環境において使用するための自己研磨性(self−polishing)防汚コーティングを製造するためのカルダノールダイマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6,229,054号明細書に記載されているように、カルダノールは、カシューナットシェル液(CNSL)を処理することによって得られるメタ置換フェノールである。CNSLは主としてアナカルド酸からなるが、加熱されると脱炭酸して、カルダノールを生じる。図1に見られるように、カルダノールは、メタ置換された15炭素の不飽和脂肪族側鎖を有するフェノールである。その脂肪族側鎖には、1個、2個または3個の炭素二重結合が含まれていてもよい。カルダノールは、コーティング、接着剤、シーラント(Sealant)、ゴム、プラスチック、エラストマーおよびインキにおいて変性剤として使用される、たとえば、ヒドロキシアルキル化カルダノールを形成させるための基本原料として使用されてきた。
【0004】
たとえばフジツボ、棲管虫および藻類のような生物による船底およびその他の海洋構造物の汚れは、大昔から現代に至るまで存在し続ける問題である。それらの生物が船底およびその他の海洋構造物に付着するのを防止するために、防汚コーティングまたはペイントを用いて露出表面をコーティングすることが定常的な作業となっていた。
【0005】
1800年代中頃から始まるか、船底およびその他の海洋構造物のためのペイントに有毒物質が含まれていた。銅化合物、たとえば硫酸銅および酸化第一銅が、防汚ペイントに使用する有毒物質の第一に挙げられる。永年にわたって、各種の有毒物質が使用されてきたが、それにはたとえば、スズ、ヒ素、水銀、ならびに亜鉛、鉛および水銀の酸化物などが含まれる。より近年になって、有機スズ化合物、たとえばトリブチルスズが、防汚海洋ペイントに使用されてきた。
【0006】
有毒なペイントを使用して汚れを防止するためには、その保護される表面に接触している水の中での、その有毒物質の致死濃度を維持する必要がある。この方法では、少なくとも二つの欠点が存在する;(1)ペイントからその有毒物質を浸出させる作用によって、結局のところその有毒物質の供給が使いつくされ、そのペイントがもはや有効ではなくなってしまうであろう。そして(2)それらの有毒物質が環境的には望ましくないものであって、混雑している港や航路での大きな汚染源となる可能性がある。
【0007】
それらの問題に対する一つの解決法が、いわゆる汚染源剥離(foulant release)コーティングの開発であった。それらのコーティングは多くの場合、汚染源生物が付着しないシリコーン系の材料である。それらのコーティングの欠点の一つは、保護するべき表面に対しても同様に付着させることが困難となりうることである。このことに対しては、場合によっては、より大がかりな調製手順によって部分的には対処することも可能ではあるが、それは、表面をコーティングするための時間と費用が増大する可能性がある。
【0008】
表面に対するコーティングの接着性の問題に、少なくとも部分的に対処することを目的としたまた別なアプローチ方法が、米国特許第5,593,732号明細書に記載されている。この特許には、2層で構成される防汚コーティング系が記載されている。基材に対して固体の接着層が接着され、その接着層に対して固体の排除層が接着される。この系では、複数の成分と2層の塗布が必要となり、それらのコーティングに伴う時間と費用が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,229,054号明細書
【特許文献2】米国特許第5,593,732号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、海洋構造物たとえば船底に低コストで適用され、海洋生物がその海洋構造物の表面に付着することを防止することが可能である、改良された防汚コーティングが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、カルダノールのヒドロシリル化によって形成されるカルダノールのダイマー、およびそのカルダノールダイマーを製造するためのプロセスに関する。一つの実施態様においては、そのカルダノールダイマーが、カルダノールをテトラメチルジシロキサンと結合させてカルダノールシランダイマーを作ることによって製造される。また別な実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーが、カルダノールを長鎖オルガノシランと結合させることによって製造される。さらに別な実施態様においては、カルダノールシランダイマーをシランとさらに反応させて、カルダノールシランダイマーの上にさらなるシラン基を加える。
【0012】
各種所望の数のシラン単位を有するポリシランによって、カルダノールダイマーを架橋させてもよい。カルダノールダイマーにさらなる官能基をさらに結合させて、選択された性質を有するダイマーを製造してもよい。
【0013】
本発明はさらに、改良された防汚コーティングを製造するためのカルダノールシランダイマーの使用、およびその改良された防汚コーティングを合成するための方法にも関する。その防汚コーティングは、エポキシタイプのコーティングである。防汚コーティングのためのエポキシ反応剤および硬化剤は、カルダノールダイマーをさらに加工することによって製造される。得られたエポキシコーティングは2成分系であって、エポキシ官能性樹脂とアミン官能性硬化剤とを含み、そのいずれにもシリコーン基が含まれる。
【0014】
本発明の防汚コーティングは低い表面エネルギーと低い摩擦係数とを示す。そのコーティングは、ブラシ塗布またはスプレー塗布によって適用することが可能で、金属に対する優れた接着性を有している。標準的なペイント顔料および連鎖延長剤をそのコーティングに添加することができる。そのエポキシ化合物は受容可能なポットライフを有している。たとえばボートの船穀(hull)のような露出表面に適用する場合、そのコーティングは、有害な成分をまったく使用することなく海洋汚染に対する抵抗性を有する。
【0015】
本発明のカルダノールダイマーはさらに、摩擦粒子(friction particle)を製造するため、あるいはフェノールが求電子的付加反応に使用されるフェノール樹脂においても使用することができる。本発明のカルダノールダイマーから形成された摩擦粒子は、熱重量分析による加熱でも重量損失が少なく、改良された耐熱性を示し、改良された熱衝撃性を示す。
【0016】
以下の好ましい実施態様の詳細な説明を読めば、このコーティングのその他の利点は、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カルダノールの構造式である。
【図2A】カルダノールからカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図2B】カルダノールからカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図3】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図4】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図5】カルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図6】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図7】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図8】カルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図9A】フッ素化シランを有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図9B】フッ素化シランを有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図10A】シラン基を有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図10B】シラン基を有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図11】カルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図12】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図13】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図14A】長鎖シリコーンカルダノールダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図14B】長鎖シリコーンカルダノールダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図15】長鎖シリコーンカルダノールダイマーからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図16】長鎖シリコーンダイマーから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、カルダノールのダイマー、カルダノールのダイマーを製造するためのプロセス、ならびに、摩擦粒子中、またはたとえば船舶もしくは海洋構造物上の防汚コーティングとして使用することが可能なエポキシコーティング中におけるカルダノールのダイマーの使用に関する。米国特許第6,229,054号明細書に記載されているように、カルダノールは、カシューナットシェル液(CNSL)を処理することによって得られる。CNSLは主としてアナカルド酸からなるが、加熱されると脱炭酸して、カルダノールを生じる。図1に見られるように、カルダノールは、メタ置換された15炭素の不飽和脂肪族側鎖を有するフェノールである。その脂肪族側鎖には、1個、2個または3個の炭素二重結合が含まれていてもよい。本発明の好ましい実施態様においては、その不飽和脂肪族側鎖がペンタデカ−8,11−ジエンである。
【0019】
本発明のカルダノールダイマーは、カルダノール上の脂肪族側鎖を架橋させることによって合成される。いくつかの実施態様においては、その脂肪族側鎖が、多官能ケイ素分子、たとえばシロキサンまたはポリシロキサンを使用して架橋される。一つの実施態様においては、そのカルダノールダイマーが一般的に次式を有する。
【0020】
【化1】
【0021】
この実施態様においては、Zは、所望の性質を有するカルダノールダイマーを得るための、各種所望の数であってよい。好ましい実施態様においては、Zは1〜200の間であり、特に好ましい実施態様においては、Zは1である。XおよびYは、同一の化学種であっても異なった化学種であってもよく、それらは、得られるダイマーに所望の性質を付与するものであれば、いかなる化学種であってもよい。好ましい実施態様においては、XおよびYは、水素、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基、芳香族炭素基、またはシランもしくはポリシラン基から選択される。その脂肪族炭素基は、1個または複数の炭素原子のところで、ヒドロキシル基、ハロゲン化物、または炭素と結合することが可能なその他各種の原子もしくは基で置換されていてもよい。以下において述べるダイマーの実施態様について説明するように、C8の位置には何の置換も存在している必要がなく、またその場合、カルダノール分子上のメタ置換側鎖の8番炭素と9番炭素の間の二重結合は還元されないということは理解しておかれたい。
【0022】
別な方法として、カルダノールダイマーがそのメタ置換側鎖上の二つの位置で架橋されていてもよい。この実施態様においては、そのメタ置換側鎖上のC9の位置に第二のシランもしくはポリシラン架橋が形成されて、次式のダイマーが得られる。
【化2】
【0023】
本発明のカルダノールダイマーは多くの用途を有している。たとえば、カルダノールダイマーが望ましい性質を与えるような用途でビスフェニル分子の代替え物としてカルダノールダイマーを使用してもよいし、あるいは、摩擦粒子を形成させるためにカルダノールダイマーを使用してもよい。以下において説明するように、カルダノールダイマーを使用して、たとえばコーティングにおいて使用されるエポキシ化合物および硬化剤を調製してもよい。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、Zが1であり、カルダノールの脂肪族側鎖上のC9位置には置換基が存在しない。その結果、そのダイマーは次の構造を有する。
【0025】
【化3】
【0026】
このようにして得られた、この実施態様のカルダノールダイマーをさらに変性して、カルダノールダイマー上の脂肪族側鎖に結合されたさらなるシラン基またはフルオロシラン基を有するようにしてもよい(後ほど詳しく説明する)。それらのカルダノールダイマーは、たとえば海洋船体において使用するための改良された防汚性を有するコーティングのようなエポキシコーティングにおいて使用するためのエポキシ化合物および硬化剤を製造するための原料として使用してもよい。
【0027】
本発明のまた別な実施態様においては、2個のカルダノール分子をシリコーン系ポリマーで結合させることによって、長鎖シリコーンカルダノールダイマーを形成させる。一つの実施態様においては、そのシリコーン系ポリマーが次式のポリジメチルシロキサンである。
【0028】
【化4】
ここで、nは5〜200である。得られるカルダノールダイマーは図14A、図14Bに示されている。これらのカルダノールダイマーを使用してエポキシ樹脂または硬化剤を形成させることができるが、これについては後に詳しく説明する。
【0029】
カルダノールダイマーを製造するための好適なプロセスおよびカルダノールダイマーを使用して作り出された製品についての以下における説明は、単に例を挙げることを目的としており、記載され特許請求される本発明の全範囲を限定することを意図したものではない。
【0030】
図2Aおよび図2Bに見られるように、本発明の一つの実施態様においては、カルダノール(1)を無水酢酸((CH3CO)2O)(2)と、適切な反応器中、約120℃〜125℃の間の温度で、約3〜4時間混合して、結合させる。一つの好ましい実施態様においては、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、温度約125℃で約4時間混合する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールに最大限の反応させるためには、過剰量の無水酢酸を用いる。一つの実施態様においては、カルダノールの無水酢酸に対するモル比は、1:1.23である。図2Aおよび図2Bに見られるように、カルダノールと無水酢酸とが反応して、カルダノール分子のベンゼン環上のヒドロキシル基がアセテート基によって置換されて、3−(ペンタデシル)−フェニルアセテートが形成されるが、本明細書においてはこれを「アセテート置換カルダノール」(3)と呼ぶこととする。
【0031】
図2Aおよび図2Bにさらに見られるように、適切な反応器中、触媒の存在下に、アセテート置換カルダノール(3)をテトラメチルジシロキサン(TMDS)(4)と結合させて、アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を形成させる。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置を備えているのが好ましい。熱電対温度調節メカニズムを使用して、反応器の温度を調節してもよい。TMDSとの反応を最大限とするためには、アセテート置換カルダノールを化学量論量よりも過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、TMDSのアセテート置換カルダノールに対するモル比が1:6である。
【0032】
その反応に触媒作用を与えるために、当業者公知の各種適切な触媒を使用するのがよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器は、約20時間の間、約120℃〜約160℃の間の温度に維持する。図2Aおよび図2Bに見られるように、TMDSを用いてアセテート置換カルダノール分子を架橋させることによって、アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)が形成される。2個のカルダノール分子のペンタデカ−8,11−ジエンの上のC11とC12の間の二重結合が無くなって(reduced)、ペンタデカ−8,11−ジエンとTMDSとの間にSi−C結合が形成される。次いで、このようにして形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマーが酸を用いて加水分解されて、カルダノールのベンゼン環上のアセテート基が除去されてヒドロキシル基に置換され、カルダノールシランダイマー(6)が形成される。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その酸洗浄ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0033】
上述のプロセスによって形成されたカルダノールシランダイマーは、約150cPの粘度(25℃)、125のヨウ素価、約95.3のダイマー重量%を有している。以下において説明するように、得られたカルダノールシランダイマーをさらに加工して、そのカルダノールシランダイマーにさらなるシラン基を結合させてもよい。
【0034】
図3に見られるように、上述のプロセスによって形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を、反応器中、触媒の存在下にジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)(7)と結合させてもよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールシランダイマーとの反応を最大限とするためには、過剰量のDMDMOSを用いる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーのDMDMOSに対するモル比が1:4である。
【0035】
アセテート置換カルダノールシランダイマーとDMDMOSとが反応して、カルダノール(8)のペンタデカ−8,11−ジエン部分上のC9の位置にさらなるシラン基を有するアセテート置換カルダノールシランダイマーが形成される。次いで、酸を用いて得られたアセテート置換カルダノールシランダイマーを加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、さらなるシラン基を有するカルダノールシランダイマー(9)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0036】
本発明のまた別な実施態様においては、カルダノールシランダイマーの上にフッ素化シラン基を置換してもよい。図4に見られるように、上述のプロセスにより形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を、触媒の存在下に、(トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチル)シラン(10)と結合させてもよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールシランダイマーとの反応を最大限とするためには、過剰量の(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランを存在させる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーの(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランに対するモル比が1:4である。
【0037】
アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)と(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)とが反応して、カルダノール(11)のメタ置換脂肪族炭素部分の上のC9位置に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノールシランダイマーが形成される。次いで、酸を用いて得られたアセテート置換カルダノールシランダイマーを加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマー(12)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0038】
上述のカルダノールシランダイマーの用途の一つは、船穀または海洋構造物のための防汚コーティングに使用することが可能な硬化剤およびエポキシ成分にある。カルダノールシランダイマーが、汚染源生物が船穀または海洋構造物に付着することを防止し、それによって構造物の汚れを防止する。
【0039】
図5に見られるように、一つの実施態様においては、エポキシ化合物のための硬化剤を、上述のようにして製造されたカルダノールシランダイマー(6)を、マンニッヒ反応においてパラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図5に示したものでは、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。
【0040】
パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がカルダノールシランダイマー(6)と反応して、ジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)を形成する。得られた硬化剤は、約70,300cPの粘度(25℃)、186のアミン価、および48.7のゲル化時間を有する。
【0041】
図6に見られるように、また別な実施態様においては、硬化剤成分を、上述のようにして製造されたシラン置換のカルダノールシランダイマー(9)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図6に示した実施態様では、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、シラン置換のカルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がシラン置換のカルダノールシランダイマー(6)と反応して、ジメチルアミノプロピルアミノメチルシラン置換のカルダノールシランダイマー硬化剤(16)を形成する。
【0042】
図7に見られるように、さらに別な実施態様においては、硬化剤成分を、上述のようにして製造されたフルオロシランカルダノールシランダイマー(12)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図7に示した実施態様では、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた、各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がフルオロシランカルダノールシランダイマー(12)と反応して、フルオロシランジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(17)を形成する。
【0043】
また別な実施態様においては、カルダノールおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(別名:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン)から硬化剤を合成する。図8に見られるように、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、カルダノール(1)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を結合させる。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、カルダノールに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、カルダノールとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比が、1:1.2:1.2である。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、カルダノールのフェノール部分のC5の位置でカルダノールに結合して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(19)硬化剤を形成する。
【0044】
また別な実施態様においては、フルオロシラン変性のカルダノールをベースとする硬化剤を、図9Aおよび図9Bに見られるようにして合成する。上述のようにして、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、適切な反応器中で組み合わせて、温度約125℃で約4時間維持して、アセテート置換カルダノール(3)を製造する。そのアセテート置換カルダノール(3)を、適切な反応器の中で触媒の存在下に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)と組み合わせる。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。化学量論的な量で、アセテート置換カルダノールおよび(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランを用いる。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。図9Aおよび図9Bに見られるように、アセテート置換カルダノール(3)と(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)とが反応して、カルダノールのメタ置換脂肪族炭素部分の上のC9およびC11に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノール(20)が形成される。
【0045】
こうして得られた、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノール(20)を、酸を用いて加水分解して、そのベンゼン環からアセテート基を除去しヒドロキシル基に置換して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノール(21)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0046】
図9Aおよび図9Bにさらに見られるように、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノール(21)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を反応器中で組み合わせ、約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜6時間混合する。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンがカルダノールのフェノール部分のC9位置でカルダノールに結合して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有する1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(22)が形成されるが、このものは硬化剤として使用することができる。
【0047】
本発明のさらに別な実施態様においては、ジメチルジメトキシシラン変性カルダノールをベースとする硬化剤を、図10Aおよび図10Bに見られるようにして合成する。上述のようにして、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、反応器中で組み合わせて、温度約125℃で約4時間混合して、アセテート置換カルダノール(3)を製造する。そのアセテート置換カルダノール(3)を、触媒の存在下に、ジメチルジメトキシシラン(23)と組み合わせる。具体的には、加水分解反応のために使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。ジメチルジメトキシシランは、アセテート置換カルダノールに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、アセテート置換カルダノールのジメチルジメトキシシランに対するモル比が1:3である。
【0048】
アセテート置換カルダノール(3)とジメチルジメトキシシラン(23)とが反応して、カルダノールのメタ置換脂肪族炭素部分上のC9およびC11の位置にジメチルジメトキシシラン基を有するアセテート置換カルダノール(24)が形成される。そうして得られた、ジメチルジメトキシシラン基を有するアセテート置換カルダノール(24)を、酸を用いて加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、置換ジメチルジメトキシシラン基を有するカルダノール(25)が形成される。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0049】
図10Aおよび図10Bにおいてさらに見られるように、ジメチルジメトキシシラン基を有するカルダノール(25)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を反応器の中で組み合わせて、70℃〜80℃の間の温度で約4〜6時間混合する。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンがカルダノールのフェノール部分のC9の位置でカルダノールに結合して、ジメチルジメトキシシラン基を有する1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(26)が形成されるが、このものは硬化剤として使用することができる。
【0050】
上述のカルダノールシランダイマーのいずれかとエピクロロヒドリンとを、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液中で組み合わせることによるエポキシ化反応で、防汚コーティングのエポキシ成分を合成する。図11に見られるように、本発明の一つの実施態様においては、上述のプロセスによって合成されたカルダノールシランダイマー(6)とエピクロロヒドリン(27)とを、50%カセイソーダ溶液の入った反応器中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図11に見られるように、エピクロロヒドリンがカルダノールシランダイマーのベンゼン環の上のヒドロキシル基と反応して、防汚コーティングのカルダノールシランエポキシ成分(28)を形成する。そのエポキシ成分は、約285cPsの粘度(25℃)、494のEEW、2.7の容積損失、3.6の加水分解性Cl値を有する。
【0051】
図12に見られるように、本発明のまた別な実施態様においては、上述のプロセスによって合成されたシラン置換のカルダノールシランダイマー(9)を、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液を入れた反応器の中で、エピクロロヒドリン(27)と組み合わせる。エピクロロヒドリンは、シラン置換のカルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、シラン置換のカルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図12に見られるように、エピクロロヒドリンが、カルダノールシランダイマーのベンゼン環上のヒドロキシル基と反応して、シラン置換カルダノールシランエポキシ(29)を形成する。
【0052】
図13に見られるように、本発明のさらに別な実施態様においては、上述のプロセスによって合成された置換された(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマー(12)とエピクロロヒドリン(27)とを、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液を入れた反応器の中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図13に見られるように、エピクロロヒドリンが、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマーのベンゼン環の上のヒドロキシル基と反応して、フルオロシラン置換カルダノールシランエポキシ(30)を形成する。
【0053】
図14Aおよび図14Bに見られる本発明のまた別な実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーが形成される。適切な反応器の中でカルダノール(1)を無水酢酸((CH3CO)2O)(2)と組み合わせて、約120℃〜125℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。一つの好ましい実施態様においては、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、温度約120℃で約4時間混合する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールを最大限反応させるためには、過剰量の無水酢酸を用いる。一つの実施態様においては、カルダノールの無水酢酸に対するモル比は、約1:1.23である。図14Aおよび図14Bに見られるように、カルダノールと無水酢酸とが反応して、カルダノール分子のベンゼン環上のヒドロキシル基がアセテート基によって置換されて、アセテート置換カルダノール(3)が形成される。
【0054】
図14Aおよび図14Bにさらに見られるように、適切な反応器中、触媒の存在下にアセテート置換カルダノール(3)をポリジメチルシロキサン(31)と組み合わせる。そのポリジメチルシロキサンは、nが5〜200の間の次式を有しているのが好ましい。
【0055】
【化5】
【0056】
その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノール(3)とポリジメチルシロキサン(31)とが反応して、アセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマー(32)が形成される。ポリジメチルシロキサン(31)との反応を最大限とするためには、アセテート置換カルダノールを化学量論量よりも過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ポリジメチルシロキサン(31)のアセテート置換カルダノールに対するモル比が1:6である。
【0057】
その反応に触媒作用を与えるために、当業者公知の各種適切な触媒を使用するのがよい。具体的には、加水分解反応のために使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM];またはH2PtCl6・6H2O。反応器は、約10時間の間、約80℃〜約100℃の間の温度に維持する。図14Aおよび図14Bに見られるように、アセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマー(32)は、ポリジメチルシロキサンを用いてアセテート置換カルダノール分子を架橋させることによって形成される。2個のカルダノール分子のペンタデカ−8,11−ジエンの上のC11とC12の間の二重結合が無くなって(reduced)、ペンタデカ−8,11−ジエンとポリジメチルシロキサンとの間にSi−C結合が形成される。次いで、このようにして形成されたアセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマーを、酸を用いて加水分解してカルダノールのベンゼン環上のアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0058】
ポリジメチルシロキサンでn=5の場合、上述のプロセスにより形成された長鎖シリコーンカルダノールダイマーは、約280cPの粘度(25℃)と102のヨウ素価とを有する。
【0059】
その長鎖シリコーンカルダノールダイマーを使用して、防汚コーティングとして使用することが可能なコーティングのためのエポキシ樹脂成分および硬化剤を製造してもよい。そのエポキシ樹脂成分は、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液の中で、上述の長鎖シリコーンカルダノールダイマーをエピクロロヒドリンと組み合わせることによるエポキシ化反応で合成することができる。図15に見られるように、本発明の一つの実施態様においては、上述のプロセスによって合成された長鎖シリコーンカルダノールシランダイマー(33)とエピクロロヒドリン(27)とを、50%カセイソーダ溶液の入った反応器中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、長鎖シリコーンカルダノールダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図15に見られるように、エピクロロヒドリンが長鎖シリコーンカルダノールダイマーのベンゼン環上のヒドロキシル基と反応して、エポキシ成分(34)を形成するが、このものは防汚コーティングにおいて使用することができる。
【0060】
エポキシ化合物のための硬化剤は、上述のようにして製造された長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと組み合わせることによって合成してもよい。図16に示す一つの実施態様においては、そのアミン(35)がNH2RNH2の形であるが、ここでRは、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状、または芳香族炭素系の基である。この実施態様においては使用可能なアミンの例としては、EDA、DETA、TETA、TEPA、MXDA、およびDMAPAが挙げられる。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびアミンは、長鎖シリコーンカルダノールダイマーに対して過剰量で存在させるのがよいが、一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとアミンのモル比が、約1:1:1である。パラホルムアルデヒド(13)およびアミン(35)が長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)と反応して、アミンカルダノールダイマー硬化剤(36)を形成する。
【0061】
1種または複数の上述のエポキシ成分と1種または複数の上述の硬化剤とを混合することによって、防汚コーティングを製造する。典型的には、エポキシ成分の硬化剤に対する比率は、アミン官能基当量対エポキシ官能基当量で約0.6〜1.8、好ましくは約0.8〜1.5の官能基当量、より好ましくは約0.9〜1.2の官能基当量であろう。一つの好ましい実施態様においては、防汚コーティングには、ジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)と組み合わせたカルダノールシランダイマーエポキシ(28)が含まれる。この実施態様においては、カルダノールシランダイマーエポキシ(28)のジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)に対する比率が約51%〜49%の間である。
【0062】
エポキシ成分と硬化剤とを組み合わせてから、その防汚コーティングを、当業者公知の標準的な方法を用いて表面に適用する。防汚コーティングを適用する前に、当業者公知の標準的な方法を使用して、コーティングするその表面から汚れを取って準備する。その準備された表面に対して、コーティングを、ブラシ塗り、こて塗り(troweling)、ローラーまたはスプレー塗装機によって適用してよい。コーティングを基材に対して直接的に適用してもよいし、あるいは海洋構造物を保護するための多層コーティングシステムの一部としてもよい。
【0063】
防汚コーティングは典型的には、硬化させた後の厚みが、約25μm〜1000μmの間、好ましくは約100μm〜500μmの間となるように適用する。硬化時間は、使用したエポキシ成分および硬化剤に依存する。典型的には、硬化時間は6〜48時間となるであろう。
【0064】
上述のカルダノールダイマーのいずれもが、シリコーンカルダノールダイマーをベースとするフェノール樹脂において使用したり、摩擦粒子を形成させるために使用したりすることができる。摩擦粒子は典型的には、ブレーキパッドおよびライニングなどのような、ある種の用途においてクッション性を与えるための弾力性を有している。摩擦粒子は、高温では、たとえばブレーキライニングのような摩擦表面上で分解する可能性があるが、そのことによって、摩耗を調整し、過度の温度が生じることを防ぐことができる。摩擦粒子は、ブレーキパッドにおいて使用されるフェノール系バインダー樹脂において使用することができる。上述のカルダノールダイマーを使用して形成された摩擦粒子は、他のシリコーン系材料を使用して形成された摩擦粒子よりも優れた性能特性を有している。本発明のカルダノールダイマーから形成された摩擦粒子は、熱重量分析で測定したときの重量損失が少なく、改良された耐熱性および良好な熱衝撃特性を示す。
【0065】
上述のカルダノールダイマーはさらに、フェノールが求電子的付加反応において使用されるようなフェノール樹脂において使用してもよい。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、特許請求される本発明のある種の合成の実施態様をさらに詳しく説明するために提供されるものである。これらは、単に説明のためのものであって、いかなる態様においても本発明を限定することは意図されていない。
【0067】
実施例1:アセテート置換カルダノールの合成;
無水酢酸とカルダノールとを反応器の中に組み入れる。実験室的な環境では、その反応器は典型的には、ガラスフラスコである。やや過剰量の無水酢酸、典型的には化学量論量よりも約20%過剰に使用する。反応器を加熱して120℃〜125℃の間の温度とし、3時間保持する。所望により、FTIRにより反応の進行状況を測定することができる。3200cm−1〜3500cm−1の間の吸収がOHの吸収を示す。
【0068】
その反応が完了したら、真空蒸留によってアセテート置換カルダノールを精製する。無水酢酸は138〜140℃の沸点を有し、酢酸は117〜118℃の沸点を有する。これらの化合物はいずれも、真空蒸留によって容易に除去される。未反応の無水酢酸と副生する酢酸を除去してから、3〜5mmHgの真空下240℃〜275℃の間の温度で真空蒸留することによって、アセテート置換カルダノールを精製する。
【0069】
実施例2:アセテート置換カルダノールのヒドロシリル化;
実施例1のアセテート置換カルダノールとTMDSとを、モル比6;1で反応器中で混合する。使用したTMDSの量を基準にして、スパイエル触媒(Speier’s catalyst)を2000ppmのレベルになるように添加する。反応器を加熱して温度70℃とし、2時間保持する。次いでその温度を80℃にまで上げ、2時間保持する。次いでその温度を100℃にまでさらに上げ、2時間保持する。次いでその温度を120℃にまで上げ、FTIRによってTMDSがもはや観察されなくなるまで保持する。TMDSは2120cm−1に特性吸収を有する。一つのランでは、その反応は約10時間で完了した。
【0070】
実施例3:アセテート置換カルダノールダイマーの加水分解による高粘度ダイマーの製造;
実施例2のダイマー上のアセテート基を、HCl/H2Oを使用した加水分解により除去する。反応器中のアセテート置換カルダノールの500gごとに以下のものを添加する;40gの37.5%HCl、80gの脱イオン水、80gのイソプロピルアルコール。反応器の温度を上げて80℃とし、4時間保持する。
【0071】
4時間後に、200℃、5mmHgの真空蒸留により、HCl、水およびイソプロピルアルコールを除去する。275℃、3mmHgで真空蒸留を続けて、遊離のカルダノールをすべて除去する。反応器の中に残っている物質は、高粘度のカルダノールダイマーである。この実施例で製造した物質の粘度は25℃で約9200cPであり、その物質は約187のヨウ素価を有していた。
【0072】
実施例4:アセテート置換カルダノールダイマーの加水分解による低粘度ダイマーの製造;
実施例2のダイマー上のアセテート基を、HCl/H2Oを使用した加水分解により除去する。反応器中のアセテート置換カルダノールの500gごとに以下のものを添加する;40gの37.5%HCl、80gの脱イオン水、80gのイソプロピルアルコール。その反応器を加熱して80℃とし、その温度で4時間保持する。次いでその内容物を放冷して室温とする。
【0073】
反応器の内容物を分液ロートに移し、静置して水相と有機相に分離させる。底部の水相を抜き出す。15%塩水溶液を用いて有機相を2回洗浄し、底部の水相を抜き出す。
【0074】
洗浄してから、物質をフラスコに戻し、200℃、5mmHgで真空蒸留して溶媒を除去する。270℃、3mmHgで真空蒸留を続けて、遊離のカルダノールを除去する。残った物質は、低粘度のカルダノールダイマーである。そのダイマーは、25℃で280cPの粘度と、154のヨウ素価とを有している。
【0075】
実施例5:低粘度および高粘度ダイマーからの高シリコーン含量(45%)硬化剤の合成;
高粘度および低粘度ダイマーから硬化剤を合成するために、以下の反応剤を下記の量で使用する。
【0076】
【表1】
【0077】
Siダイマー(成分A)は、上述の実施例3の高粘度ダイマーまたは実施例4の低粘度ダイマーのいずれであってもよい。成分A,B、CおよびDを表1に示した割合で、撹拌、熱電対温度調節およびコンデンサーを備えた反応器の中に組み入れる。この実施例の場合、500mLの四口フラスコを使用した。成分を組み入れてから、温度を上げて約75℃とし、4時間保持する。約75℃、10mmHgでの真空蒸留を用いて水を除去する。低粘度ダイマーまたは高粘度ダイマーのいずれかを使用して得られた硬化剤は表2に示す性質を有している。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例6:低粘度および高粘度ダイマーから製造したエポキシ樹脂;
高粘度および低粘度ダイマーからエポキシ化合物を合成するために、以下の反応剤を下記の量で使用する。
【0080】
【表3】
【0081】
Siダイマー(成分A)は、上述の実施例3の高粘度ダイマーまたは実施例4の低粘度ダイマーのいずれであってもよい。成分A,B、CおよびDを表1に示した割合で、撹拌、熱電対温度調節、ロートおよびコンデンサーを備えた反応器の中に組み入れる。この実施例の場合、1リットルの四口フラスコを使用した。フラスコに成分A、B、CおよびDを添加し、それらを約20分間混合する。そのフラスコにロートから、約30分かけて苛性(例えば、カセイソーダ溶液)を徐々に添加する。冷却用水浴を用いて、温度が65℃未満となるよう調節する。
【0082】
苛性の添加が終わってから、その温度を65℃で約4時間保持する。次いで、滴下ロートを通して脱イオン水を添加し、フラスコの内容物を65℃に保持し、30分間撹拌する。その溶液をフラスコから分液ロートへ移し、透明な水層と有機層に分離するまで放置する。実験室では、これに約30分間かかる。分離させた後、底部の水層を抜き出す。
【0083】
上部の有機層をきれいなフラスコに移す。約125℃、5mmHgの真空蒸留により、過剰の溶媒と遊離のエピクロロヒドリンを除去する。得られたエポキシ製品は、以下の特性を有する。
【0084】
【表4】
【0085】
実施例7:シリコーンダイマーをベースとする摩擦粒子を製造するためのプロセス;
上述のシリコーンカルダノールダイマーのいずれを使用しても摩擦粒子を製造することができる。この実施例においては、上述の実施例1の方法により調製したカルダノールダイマー(n=1)を使用して摩擦粒子を製造した。適切な容器の中で、約50グラムのシリコーンダイマーと5グラムのヘキサメチレンテトラミンとをブレンドすることによって、粒子を製造することができる。180℃で約4時間かけてその混合物を硬化させる。その物質を冷却して室温とし、破砕して小片とし、粉砕して微細粒子とする。この方法で調製された摩擦粒子は、以下の性質を有することができる。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例8:シリコーンダイマーからのノボラックスフェノール樹脂;
上述の長鎖シリコーンカルダノールダイマーからフェノール樹脂を製造するために、以下の反応剤を、表示した量で使用した。この実施例においては、n=5の長鎖シリコーンダイマーを使用した。フェノール樹脂を調製するために使用した原料は下記の通りである。
【0088】
【表6】
【0089】
この実施例においては、500mLのフラスコの中で120gのSiダイマーを4.04gのパラホルムアルデヒドと組合せ、約20分間混合した。次いで、フラスコにシュウ酸を加え、温度を上げて90℃〜100℃とし、その温度で約4時間保持した。次いでその混合物を冷却して室温とした。このプロセスにより製造したフェノール樹脂は、約2560cPの粘度(25℃)を有していた。
【0090】
これらの実施例で得られた結果は、記載された方法で製造された製品についてのものであり、それらの結果は、いかなる点においても本発明の範囲を限定することは意図されておらず、それらは単なる例示であるということを理解されたい。本発明の特定の実施態様をここまで記述してきたが、添付された特許請求項に記載されているような本発明の範囲から外れることなく、上述の本発明に対して数多くの変更や変化を加えることが可能であることは、当業者なら認識するであろう。したがって、本発明の特定の実施態様について先に詳しく説明してきたのは、限定的な意味合いではなく例示的な意味合いで本発明を記述することを目的としている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明出願は、35USC§19に従い、米国仮出願第60/927,420号(出願日、2007年5月3日)の利益を主張するものである(ここに引用することにより、その内容すべてを本明細書に取り入れたものとする)。
【0002】
一つの態様においては、本発明は、ヒドロシリル化によって形成されるカルダノールのダイマーに関する。また別な態様においては、本発明は、カルダノールのダイマーよりそれらのタイマーの誘導体を製造するためのプロセスに関する。さらに別な態様においては、本発明は、海洋環境において使用するための自己研磨性(self−polishing)防汚コーティングを製造するためのカルダノールダイマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6,229,054号明細書に記載されているように、カルダノールは、カシューナットシェル液(CNSL)を処理することによって得られるメタ置換フェノールである。CNSLは主としてアナカルド酸からなるが、加熱されると脱炭酸して、カルダノールを生じる。図1に見られるように、カルダノールは、メタ置換された15炭素の不飽和脂肪族側鎖を有するフェノールである。その脂肪族側鎖には、1個、2個または3個の炭素二重結合が含まれていてもよい。カルダノールは、コーティング、接着剤、シーラント(Sealant)、ゴム、プラスチック、エラストマーおよびインキにおいて変性剤として使用される、たとえば、ヒドロキシアルキル化カルダノールを形成させるための基本原料として使用されてきた。
【0004】
たとえばフジツボ、棲管虫および藻類のような生物による船底およびその他の海洋構造物の汚れは、大昔から現代に至るまで存在し続ける問題である。それらの生物が船底およびその他の海洋構造物に付着するのを防止するために、防汚コーティングまたはペイントを用いて露出表面をコーティングすることが定常的な作業となっていた。
【0005】
1800年代中頃から始まるか、船底およびその他の海洋構造物のためのペイントに有毒物質が含まれていた。銅化合物、たとえば硫酸銅および酸化第一銅が、防汚ペイントに使用する有毒物質の第一に挙げられる。永年にわたって、各種の有毒物質が使用されてきたが、それにはたとえば、スズ、ヒ素、水銀、ならびに亜鉛、鉛および水銀の酸化物などが含まれる。より近年になって、有機スズ化合物、たとえばトリブチルスズが、防汚海洋ペイントに使用されてきた。
【0006】
有毒なペイントを使用して汚れを防止するためには、その保護される表面に接触している水の中での、その有毒物質の致死濃度を維持する必要がある。この方法では、少なくとも二つの欠点が存在する;(1)ペイントからその有毒物質を浸出させる作用によって、結局のところその有毒物質の供給が使いつくされ、そのペイントがもはや有効ではなくなってしまうであろう。そして(2)それらの有毒物質が環境的には望ましくないものであって、混雑している港や航路での大きな汚染源となる可能性がある。
【0007】
それらの問題に対する一つの解決法が、いわゆる汚染源剥離(foulant release)コーティングの開発であった。それらのコーティングは多くの場合、汚染源生物が付着しないシリコーン系の材料である。それらのコーティングの欠点の一つは、保護するべき表面に対しても同様に付着させることが困難となりうることである。このことに対しては、場合によっては、より大がかりな調製手順によって部分的には対処することも可能ではあるが、それは、表面をコーティングするための時間と費用が増大する可能性がある。
【0008】
表面に対するコーティングの接着性の問題に、少なくとも部分的に対処することを目的としたまた別なアプローチ方法が、米国特許第5,593,732号明細書に記載されている。この特許には、2層で構成される防汚コーティング系が記載されている。基材に対して固体の接着層が接着され、その接着層に対して固体の排除層が接着される。この系では、複数の成分と2層の塗布が必要となり、それらのコーティングに伴う時間と費用が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,229,054号明細書
【特許文献2】米国特許第5,593,732号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、海洋構造物たとえば船底に低コストで適用され、海洋生物がその海洋構造物の表面に付着することを防止することが可能である、改良された防汚コーティングが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、カルダノールのヒドロシリル化によって形成されるカルダノールのダイマー、およびそのカルダノールダイマーを製造するためのプロセスに関する。一つの実施態様においては、そのカルダノールダイマーが、カルダノールをテトラメチルジシロキサンと結合させてカルダノールシランダイマーを作ることによって製造される。また別な実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーが、カルダノールを長鎖オルガノシランと結合させることによって製造される。さらに別な実施態様においては、カルダノールシランダイマーをシランとさらに反応させて、カルダノールシランダイマーの上にさらなるシラン基を加える。
【0012】
各種所望の数のシラン単位を有するポリシランによって、カルダノールダイマーを架橋させてもよい。カルダノールダイマーにさらなる官能基をさらに結合させて、選択された性質を有するダイマーを製造してもよい。
【0013】
本発明はさらに、改良された防汚コーティングを製造するためのカルダノールシランダイマーの使用、およびその改良された防汚コーティングを合成するための方法にも関する。その防汚コーティングは、エポキシタイプのコーティングである。防汚コーティングのためのエポキシ反応剤および硬化剤は、カルダノールダイマーをさらに加工することによって製造される。得られたエポキシコーティングは2成分系であって、エポキシ官能性樹脂とアミン官能性硬化剤とを含み、そのいずれにもシリコーン基が含まれる。
【0014】
本発明の防汚コーティングは低い表面エネルギーと低い摩擦係数とを示す。そのコーティングは、ブラシ塗布またはスプレー塗布によって適用することが可能で、金属に対する優れた接着性を有している。標準的なペイント顔料および連鎖延長剤をそのコーティングに添加することができる。そのエポキシ化合物は受容可能なポットライフを有している。たとえばボートの船穀(hull)のような露出表面に適用する場合、そのコーティングは、有害な成分をまったく使用することなく海洋汚染に対する抵抗性を有する。
【0015】
本発明のカルダノールダイマーはさらに、摩擦粒子(friction particle)を製造するため、あるいはフェノールが求電子的付加反応に使用されるフェノール樹脂においても使用することができる。本発明のカルダノールダイマーから形成された摩擦粒子は、熱重量分析による加熱でも重量損失が少なく、改良された耐熱性を示し、改良された熱衝撃性を示す。
【0016】
以下の好ましい実施態様の詳細な説明を読めば、このコーティングのその他の利点は、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カルダノールの構造式である。
【図2A】カルダノールからカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図2B】カルダノールからカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図3】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図4】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図5】カルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図6】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図7】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーから防汚コーティングのための硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図8】カルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図9A】フッ素化シランを有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図9B】フッ素化シランを有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図10A】シラン基を有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図10B】シラン基を有するカルダノールおよびアミノプロピルシロキサンから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図11】カルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図12】シラン含量の高いカルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図13】フッ素化シランを有するカルダノールシランダイマーおよびエピクロロヒドリンからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図14A】長鎖シリコーンカルダノールダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図14B】長鎖シリコーンカルダノールダイマーを合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図15】長鎖シリコーンカルダノールダイマーからエポキシ樹脂を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【図16】長鎖シリコーンダイマーから硬化剤を合成するためのプロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、カルダノールのダイマー、カルダノールのダイマーを製造するためのプロセス、ならびに、摩擦粒子中、またはたとえば船舶もしくは海洋構造物上の防汚コーティングとして使用することが可能なエポキシコーティング中におけるカルダノールのダイマーの使用に関する。米国特許第6,229,054号明細書に記載されているように、カルダノールは、カシューナットシェル液(CNSL)を処理することによって得られる。CNSLは主としてアナカルド酸からなるが、加熱されると脱炭酸して、カルダノールを生じる。図1に見られるように、カルダノールは、メタ置換された15炭素の不飽和脂肪族側鎖を有するフェノールである。その脂肪族側鎖には、1個、2個または3個の炭素二重結合が含まれていてもよい。本発明の好ましい実施態様においては、その不飽和脂肪族側鎖がペンタデカ−8,11−ジエンである。
【0019】
本発明のカルダノールダイマーは、カルダノール上の脂肪族側鎖を架橋させることによって合成される。いくつかの実施態様においては、その脂肪族側鎖が、多官能ケイ素分子、たとえばシロキサンまたはポリシロキサンを使用して架橋される。一つの実施態様においては、そのカルダノールダイマーが一般的に次式を有する。
【0020】
【化1】
【0021】
この実施態様においては、Zは、所望の性質を有するカルダノールダイマーを得るための、各種所望の数であってよい。好ましい実施態様においては、Zは1〜200の間であり、特に好ましい実施態様においては、Zは1である。XおよびYは、同一の化学種であっても異なった化学種であってもよく、それらは、得られるダイマーに所望の性質を付与するものであれば、いかなる化学種であってもよい。好ましい実施態様においては、XおよびYは、水素、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基、芳香族炭素基、またはシランもしくはポリシラン基から選択される。その脂肪族炭素基は、1個または複数の炭素原子のところで、ヒドロキシル基、ハロゲン化物、または炭素と結合することが可能なその他各種の原子もしくは基で置換されていてもよい。以下において述べるダイマーの実施態様について説明するように、C8の位置には何の置換も存在している必要がなく、またその場合、カルダノール分子上のメタ置換側鎖の8番炭素と9番炭素の間の二重結合は還元されないということは理解しておかれたい。
【0022】
別な方法として、カルダノールダイマーがそのメタ置換側鎖上の二つの位置で架橋されていてもよい。この実施態様においては、そのメタ置換側鎖上のC9の位置に第二のシランもしくはポリシラン架橋が形成されて、次式のダイマーが得られる。
【化2】
【0023】
本発明のカルダノールダイマーは多くの用途を有している。たとえば、カルダノールダイマーが望ましい性質を与えるような用途でビスフェニル分子の代替え物としてカルダノールダイマーを使用してもよいし、あるいは、摩擦粒子を形成させるためにカルダノールダイマーを使用してもよい。以下において説明するように、カルダノールダイマーを使用して、たとえばコーティングにおいて使用されるエポキシ化合物および硬化剤を調製してもよい。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、Zが1であり、カルダノールの脂肪族側鎖上のC9位置には置換基が存在しない。その結果、そのダイマーは次の構造を有する。
【0025】
【化3】
【0026】
このようにして得られた、この実施態様のカルダノールダイマーをさらに変性して、カルダノールダイマー上の脂肪族側鎖に結合されたさらなるシラン基またはフルオロシラン基を有するようにしてもよい(後ほど詳しく説明する)。それらのカルダノールダイマーは、たとえば海洋船体において使用するための改良された防汚性を有するコーティングのようなエポキシコーティングにおいて使用するためのエポキシ化合物および硬化剤を製造するための原料として使用してもよい。
【0027】
本発明のまた別な実施態様においては、2個のカルダノール分子をシリコーン系ポリマーで結合させることによって、長鎖シリコーンカルダノールダイマーを形成させる。一つの実施態様においては、そのシリコーン系ポリマーが次式のポリジメチルシロキサンである。
【0028】
【化4】
ここで、nは5〜200である。得られるカルダノールダイマーは図14A、図14Bに示されている。これらのカルダノールダイマーを使用してエポキシ樹脂または硬化剤を形成させることができるが、これについては後に詳しく説明する。
【0029】
カルダノールダイマーを製造するための好適なプロセスおよびカルダノールダイマーを使用して作り出された製品についての以下における説明は、単に例を挙げることを目的としており、記載され特許請求される本発明の全範囲を限定することを意図したものではない。
【0030】
図2Aおよび図2Bに見られるように、本発明の一つの実施態様においては、カルダノール(1)を無水酢酸((CH3CO)2O)(2)と、適切な反応器中、約120℃〜125℃の間の温度で、約3〜4時間混合して、結合させる。一つの好ましい実施態様においては、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、温度約125℃で約4時間混合する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールに最大限の反応させるためには、過剰量の無水酢酸を用いる。一つの実施態様においては、カルダノールの無水酢酸に対するモル比は、1:1.23である。図2Aおよび図2Bに見られるように、カルダノールと無水酢酸とが反応して、カルダノール分子のベンゼン環上のヒドロキシル基がアセテート基によって置換されて、3−(ペンタデシル)−フェニルアセテートが形成されるが、本明細書においてはこれを「アセテート置換カルダノール」(3)と呼ぶこととする。
【0031】
図2Aおよび図2Bにさらに見られるように、適切な反応器中、触媒の存在下に、アセテート置換カルダノール(3)をテトラメチルジシロキサン(TMDS)(4)と結合させて、アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を形成させる。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置を備えているのが好ましい。熱電対温度調節メカニズムを使用して、反応器の温度を調節してもよい。TMDSとの反応を最大限とするためには、アセテート置換カルダノールを化学量論量よりも過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、TMDSのアセテート置換カルダノールに対するモル比が1:6である。
【0032】
その反応に触媒作用を与えるために、当業者公知の各種適切な触媒を使用するのがよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器は、約20時間の間、約120℃〜約160℃の間の温度に維持する。図2Aおよび図2Bに見られるように、TMDSを用いてアセテート置換カルダノール分子を架橋させることによって、アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)が形成される。2個のカルダノール分子のペンタデカ−8,11−ジエンの上のC11とC12の間の二重結合が無くなって(reduced)、ペンタデカ−8,11−ジエンとTMDSとの間にSi−C結合が形成される。次いで、このようにして形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマーが酸を用いて加水分解されて、カルダノールのベンゼン環上のアセテート基が除去されてヒドロキシル基に置換され、カルダノールシランダイマー(6)が形成される。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その酸洗浄ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0033】
上述のプロセスによって形成されたカルダノールシランダイマーは、約150cPの粘度(25℃)、125のヨウ素価、約95.3のダイマー重量%を有している。以下において説明するように、得られたカルダノールシランダイマーをさらに加工して、そのカルダノールシランダイマーにさらなるシラン基を結合させてもよい。
【0034】
図3に見られるように、上述のプロセスによって形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を、反応器中、触媒の存在下にジメチルジメトキシシラン(DMDMOS)(7)と結合させてもよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールシランダイマーとの反応を最大限とするためには、過剰量のDMDMOSを用いる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーのDMDMOSに対するモル比が1:4である。
【0035】
アセテート置換カルダノールシランダイマーとDMDMOSとが反応して、カルダノール(8)のペンタデカ−8,11−ジエン部分上のC9の位置にさらなるシラン基を有するアセテート置換カルダノールシランダイマーが形成される。次いで、酸を用いて得られたアセテート置換カルダノールシランダイマーを加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、さらなるシラン基を有するカルダノールシランダイマー(9)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0036】
本発明のまた別な実施態様においては、カルダノールシランダイマーの上にフッ素化シラン基を置換してもよい。図4に見られるように、上述のプロセスにより形成されたアセテート置換カルダノールシランダイマー(5)を、触媒の存在下に、(トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチル)シラン(10)と結合させてもよい。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールシランダイマーとの反応を最大限とするためには、過剰量の(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランを存在させる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーの(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランに対するモル比が1:4である。
【0037】
アセテート置換カルダノールシランダイマー(5)と(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)とが反応して、カルダノール(11)のメタ置換脂肪族炭素部分の上のC9位置に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノールシランダイマーが形成される。次いで、酸を用いて得られたアセテート置換カルダノールシランダイマーを加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマー(12)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0038】
上述のカルダノールシランダイマーの用途の一つは、船穀または海洋構造物のための防汚コーティングに使用することが可能な硬化剤およびエポキシ成分にある。カルダノールシランダイマーが、汚染源生物が船穀または海洋構造物に付着することを防止し、それによって構造物の汚れを防止する。
【0039】
図5に見られるように、一つの実施態様においては、エポキシ化合物のための硬化剤を、上述のようにして製造されたカルダノールシランダイマー(6)を、マンニッヒ反応においてパラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図5に示したものでは、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。
【0040】
パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がカルダノールシランダイマー(6)と反応して、ジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)を形成する。得られた硬化剤は、約70,300cPの粘度(25℃)、186のアミン価、および48.7のゲル化時間を有する。
【0041】
図6に見られるように、また別な実施態様においては、硬化剤成分を、上述のようにして製造されたシラン置換のカルダノールシランダイマー(9)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図6に示した実施態様では、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、シラン置換のカルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がシラン置換のカルダノールシランダイマー(6)と反応して、ジメチルアミノプロピルアミノメチルシラン置換のカルダノールシランダイマー硬化剤(16)を形成する。
【0042】
図7に見られるように、さらに別な実施態様においては、硬化剤成分を、上述のようにして製造されたフルオロシランカルダノールシランダイマー(12)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと結合させることによって合成することができる。図7に示した実施態様では、そのアミンがジメチルアミノプロピルアミン(14)である。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた、各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびジメチルアミノプロピルアミンは、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比は1:2.4:2.4である。パラホルムアルデヒド(13)およびジメチルアミノプロピルアミン(14)がフルオロシランカルダノールシランダイマー(12)と反応して、フルオロシランジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(17)を形成する。
【0043】
また別な実施態様においては、カルダノールおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(別名:α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン)から硬化剤を合成する。図8に見られるように、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、カルダノール(1)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を結合させる。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、カルダノールに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、カルダノールとパラホルムアルデヒドとジメチルアミノプロピルアミンとのモル比が、1:1.2:1.2である。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、カルダノールのフェノール部分のC5の位置でカルダノールに結合して、1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(19)硬化剤を形成する。
【0044】
また別な実施態様においては、フルオロシラン変性のカルダノールをベースとする硬化剤を、図9Aおよび図9Bに見られるようにして合成する。上述のようにして、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、適切な反応器中で組み合わせて、温度約125℃で約4時間維持して、アセテート置換カルダノール(3)を製造する。そのアセテート置換カルダノール(3)を、適切な反応器の中で触媒の存在下に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)と組み合わせる。具体的には、加水分解反応に使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。化学量論的な量で、アセテート置換カルダノールおよび(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランを用いる。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。図9Aおよび図9Bに見られるように、アセテート置換カルダノール(3)と(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン(10)とが反応して、カルダノールのメタ置換脂肪族炭素部分の上のC9およびC11に(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノール(20)が形成される。
【0045】
こうして得られた、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するアセテート置換カルダノール(20)を、酸を用いて加水分解して、そのベンゼン環からアセテート基を除去しヒドロキシル基に置換して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノール(21)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0046】
図9Aおよび図9Bにさらに見られるように、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノール(21)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を反応器中で組み合わせ、約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜6時間混合する。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンがカルダノールのフェノール部分のC9位置でカルダノールに結合して、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有する1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(22)が形成されるが、このものは硬化剤として使用することができる。
【0047】
本発明のさらに別な実施態様においては、ジメチルジメトキシシラン変性カルダノールをベースとする硬化剤を、図10Aおよび図10Bに見られるようにして合成する。上述のようにして、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、反応器中で組み合わせて、温度約125℃で約4時間混合して、アセテート置換カルダノール(3)を製造する。そのアセテート置換カルダノール(3)を、触媒の存在下に、ジメチルジメトキシシラン(23)と組み合わせる。具体的には、加水分解反応のために使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]。一つの好ましい実施態様においては、その触媒がクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)である。反応器中で反応剤と触媒とを組み合わせてから、約20時間の間、温度を約120℃〜160℃の間に維持する。ジメチルジメトキシシランは、アセテート置換カルダノールに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、アセテート置換カルダノールのジメチルジメトキシシランに対するモル比が1:3である。
【0048】
アセテート置換カルダノール(3)とジメチルジメトキシシラン(23)とが反応して、カルダノールのメタ置換脂肪族炭素部分上のC9およびC11の位置にジメチルジメトキシシラン基を有するアセテート置換カルダノール(24)が形成される。そうして得られた、ジメチルジメトキシシラン基を有するアセテート置換カルダノール(24)を、酸を用いて加水分解して、ベンゼン環からアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、置換ジメチルジメトキシシラン基を有するカルダノール(25)が形成される。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0049】
図10Aおよび図10Bにおいてさらに見られるように、ジメチルジメトキシシラン基を有するカルダノール(25)、パラホルムアルデヒド(13)および1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(18)を反応器の中で組み合わせて、70℃〜80℃の間の温度で約4〜6時間混合する。好ましい実施態様においては、その1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンは、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する。1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンがカルダノールのフェノール部分のC9の位置でカルダノールに結合して、ジメチルジメトキシシラン基を有する1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン変性カルダノール(26)が形成されるが、このものは硬化剤として使用することができる。
【0050】
上述のカルダノールシランダイマーのいずれかとエピクロロヒドリンとを、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液中で組み合わせることによるエポキシ化反応で、防汚コーティングのエポキシ成分を合成する。図11に見られるように、本発明の一つの実施態様においては、上述のプロセスによって合成されたカルダノールシランダイマー(6)とエピクロロヒドリン(27)とを、50%カセイソーダ溶液の入った反応器中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、カルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図11に見られるように、エピクロロヒドリンがカルダノールシランダイマーのベンゼン環の上のヒドロキシル基と反応して、防汚コーティングのカルダノールシランエポキシ成分(28)を形成する。そのエポキシ成分は、約285cPsの粘度(25℃)、494のEEW、2.7の容積損失、3.6の加水分解性Cl値を有する。
【0051】
図12に見られるように、本発明のまた別な実施態様においては、上述のプロセスによって合成されたシラン置換のカルダノールシランダイマー(9)を、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液を入れた反応器の中で、エピクロロヒドリン(27)と組み合わせる。エピクロロヒドリンは、シラン置換のカルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、シラン置換のカルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図12に見られるように、エピクロロヒドリンが、カルダノールシランダイマーのベンゼン環上のヒドロキシル基と反応して、シラン置換カルダノールシランエポキシ(29)を形成する。
【0052】
図13に見られるように、本発明のさらに別な実施態様においては、上述のプロセスによって合成された置換された(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマー(12)とエピクロロヒドリン(27)とを、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液を入れた反応器の中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、フルオロシラン置換カルダノールシランダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図13に見られるように、エピクロロヒドリンが、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シラン基を有するカルダノールシランダイマーのベンゼン環の上のヒドロキシル基と反応して、フルオロシラン置換カルダノールシランエポキシ(30)を形成する。
【0053】
図14Aおよび図14Bに見られる本発明のまた別な実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーが形成される。適切な反応器の中でカルダノール(1)を無水酢酸((CH3CO)2O)(2)と組み合わせて、約120℃〜125℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。一つの好ましい実施態様においては、カルダノール(1)と無水酢酸(2)とを、温度約120℃で約4時間混合する。その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対装置のような温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノールを最大限反応させるためには、過剰量の無水酢酸を用いる。一つの実施態様においては、カルダノールの無水酢酸に対するモル比は、約1:1.23である。図14Aおよび図14Bに見られるように、カルダノールと無水酢酸とが反応して、カルダノール分子のベンゼン環上のヒドロキシル基がアセテート基によって置換されて、アセテート置換カルダノール(3)が形成される。
【0054】
図14Aおよび図14Bにさらに見られるように、適切な反応器中、触媒の存在下にアセテート置換カルダノール(3)をポリジメチルシロキサン(31)と組み合わせる。そのポリジメチルシロキサンは、nが5〜200の間の次式を有しているのが好ましい。
【0055】
【化5】
【0056】
その反応器には、反応剤を混合するための機械的撹拌装置と、反応器中の温度を調節するためのたとえば熱電対温度調節メカニズムとを備えているのが好ましい。カルダノール(3)とポリジメチルシロキサン(31)とが反応して、アセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマー(32)が形成される。ポリジメチルシロキサン(31)との反応を最大限とするためには、アセテート置換カルダノールを化学量論量よりも過剰量で存在させる。一つの実施態様においては、ポリジメチルシロキサン(31)のアセテート置換カルダノールに対するモル比が1:6である。
【0057】
その反応に触媒作用を与えるために、当業者公知の各種適切な触媒を使用するのがよい。具体的には、加水分解反応のために使用することが可能な白金含有触媒を使用して、その反応に触媒作用を与えることができる。たとえば、以下の触媒のいずれを使用してもよい;H2PtO4・6H2O;PtO2;O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt;Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM];またはH2PtCl6・6H2O。反応器は、約10時間の間、約80℃〜約100℃の間の温度に維持する。図14Aおよび図14Bに見られるように、アセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマー(32)は、ポリジメチルシロキサンを用いてアセテート置換カルダノール分子を架橋させることによって形成される。2個のカルダノール分子のペンタデカ−8,11−ジエンの上のC11とC12の間の二重結合が無くなって(reduced)、ペンタデカ−8,11−ジエンとポリジメチルシロキサンとの間にSi−C結合が形成される。次いで、このようにして形成されたアセテート置換長鎖シリコーンカルダノールダイマーを、酸を用いて加水分解してカルダノールのベンゼン環上のアセテート基を除去し、ヒドロキシル基に置換して、長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)を形成させる。その加水分解ステップは、たとえば硫酸または好ましくは塩酸を使用して実施することができる。その加水分解ステップは、温度約80℃、pH約0.6で実施するのが好ましい。
【0058】
ポリジメチルシロキサンでn=5の場合、上述のプロセスにより形成された長鎖シリコーンカルダノールダイマーは、約280cPの粘度(25℃)と102のヨウ素価とを有する。
【0059】
その長鎖シリコーンカルダノールダイマーを使用して、防汚コーティングとして使用することが可能なコーティングのためのエポキシ樹脂成分および硬化剤を製造してもよい。そのエポキシ樹脂成分は、カセイソーダ溶液、好ましくは50%カセイソーダ溶液の中で、上述の長鎖シリコーンカルダノールダイマーをエピクロロヒドリンと組み合わせることによるエポキシ化反応で合成することができる。図15に見られるように、本発明の一つの実施態様においては、上述のプロセスによって合成された長鎖シリコーンカルダノールシランダイマー(33)とエピクロロヒドリン(27)とを、50%カセイソーダ溶液の入った反応器中で組み合わせる。エピクロロヒドリンは、長鎖シリコーンカルダノールダイマーに対して過剰量で存在させる。一つの好ましい実施態様においては、長鎖シリコーンカルダノールダイマーのエピクロロヒドリンに対するモル比が、1:6である。反応器は、65℃〜70℃の間の温度で、約3〜4時間の間、維持する。図15に見られるように、エピクロロヒドリンが長鎖シリコーンカルダノールダイマーのベンゼン環上のヒドロキシル基と反応して、エポキシ成分(34)を形成するが、このものは防汚コーティングにおいて使用することができる。
【0060】
エポキシ化合物のための硬化剤は、上述のようにして製造された長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)を、マンニッヒ反応において、パラホルムアルデヒド(13)およびアミンと組み合わせることによって合成してもよい。図16に示す一つの実施態様においては、そのアミン(35)がNH2RNH2の形であるが、ここでRは、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状、または芳香族炭素系の基である。この実施態様においては使用可能なアミンの例としては、EDA、DETA、TETA、TEPA、MXDA、およびDMAPAが挙げられる。それらの反応剤は、撹拌および温度調節メカニズムたとえば熱電対装置を備えた各種適切な反応器の中で、結合させればよい。反応剤は、約4〜約6時間の間、約70℃〜約80℃の間の温度で混合する。パラホルムアルデヒドおよびアミンは、長鎖シリコーンカルダノールダイマーに対して過剰量で存在させるのがよいが、一つの実施態様においては、ダイマーとパラホルムアルデヒドとアミンのモル比が、約1:1:1である。パラホルムアルデヒド(13)およびアミン(35)が長鎖シリコーンカルダノールダイマー(33)と反応して、アミンカルダノールダイマー硬化剤(36)を形成する。
【0061】
1種または複数の上述のエポキシ成分と1種または複数の上述の硬化剤とを混合することによって、防汚コーティングを製造する。典型的には、エポキシ成分の硬化剤に対する比率は、アミン官能基当量対エポキシ官能基当量で約0.6〜1.8、好ましくは約0.8〜1.5の官能基当量、より好ましくは約0.9〜1.2の官能基当量であろう。一つの好ましい実施態様においては、防汚コーティングには、ジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)と組み合わせたカルダノールシランダイマーエポキシ(28)が含まれる。この実施態様においては、カルダノールシランダイマーエポキシ(28)のジメチルアミノプロピルアミノメチルカルダノールシランダイマー硬化剤(15)に対する比率が約51%〜49%の間である。
【0062】
エポキシ成分と硬化剤とを組み合わせてから、その防汚コーティングを、当業者公知の標準的な方法を用いて表面に適用する。防汚コーティングを適用する前に、当業者公知の標準的な方法を使用して、コーティングするその表面から汚れを取って準備する。その準備された表面に対して、コーティングを、ブラシ塗り、こて塗り(troweling)、ローラーまたはスプレー塗装機によって適用してよい。コーティングを基材に対して直接的に適用してもよいし、あるいは海洋構造物を保護するための多層コーティングシステムの一部としてもよい。
【0063】
防汚コーティングは典型的には、硬化させた後の厚みが、約25μm〜1000μmの間、好ましくは約100μm〜500μmの間となるように適用する。硬化時間は、使用したエポキシ成分および硬化剤に依存する。典型的には、硬化時間は6〜48時間となるであろう。
【0064】
上述のカルダノールダイマーのいずれもが、シリコーンカルダノールダイマーをベースとするフェノール樹脂において使用したり、摩擦粒子を形成させるために使用したりすることができる。摩擦粒子は典型的には、ブレーキパッドおよびライニングなどのような、ある種の用途においてクッション性を与えるための弾力性を有している。摩擦粒子は、高温では、たとえばブレーキライニングのような摩擦表面上で分解する可能性があるが、そのことによって、摩耗を調整し、過度の温度が生じることを防ぐことができる。摩擦粒子は、ブレーキパッドにおいて使用されるフェノール系バインダー樹脂において使用することができる。上述のカルダノールダイマーを使用して形成された摩擦粒子は、他のシリコーン系材料を使用して形成された摩擦粒子よりも優れた性能特性を有している。本発明のカルダノールダイマーから形成された摩擦粒子は、熱重量分析で測定したときの重量損失が少なく、改良された耐熱性および良好な熱衝撃特性を示す。
【0065】
上述のカルダノールダイマーはさらに、フェノールが求電子的付加反応において使用されるようなフェノール樹脂において使用してもよい。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、特許請求される本発明のある種の合成の実施態様をさらに詳しく説明するために提供されるものである。これらは、単に説明のためのものであって、いかなる態様においても本発明を限定することは意図されていない。
【0067】
実施例1:アセテート置換カルダノールの合成;
無水酢酸とカルダノールとを反応器の中に組み入れる。実験室的な環境では、その反応器は典型的には、ガラスフラスコである。やや過剰量の無水酢酸、典型的には化学量論量よりも約20%過剰に使用する。反応器を加熱して120℃〜125℃の間の温度とし、3時間保持する。所望により、FTIRにより反応の進行状況を測定することができる。3200cm−1〜3500cm−1の間の吸収がOHの吸収を示す。
【0068】
その反応が完了したら、真空蒸留によってアセテート置換カルダノールを精製する。無水酢酸は138〜140℃の沸点を有し、酢酸は117〜118℃の沸点を有する。これらの化合物はいずれも、真空蒸留によって容易に除去される。未反応の無水酢酸と副生する酢酸を除去してから、3〜5mmHgの真空下240℃〜275℃の間の温度で真空蒸留することによって、アセテート置換カルダノールを精製する。
【0069】
実施例2:アセテート置換カルダノールのヒドロシリル化;
実施例1のアセテート置換カルダノールとTMDSとを、モル比6;1で反応器中で混合する。使用したTMDSの量を基準にして、スパイエル触媒(Speier’s catalyst)を2000ppmのレベルになるように添加する。反応器を加熱して温度70℃とし、2時間保持する。次いでその温度を80℃にまで上げ、2時間保持する。次いでその温度を100℃にまでさらに上げ、2時間保持する。次いでその温度を120℃にまで上げ、FTIRによってTMDSがもはや観察されなくなるまで保持する。TMDSは2120cm−1に特性吸収を有する。一つのランでは、その反応は約10時間で完了した。
【0070】
実施例3:アセテート置換カルダノールダイマーの加水分解による高粘度ダイマーの製造;
実施例2のダイマー上のアセテート基を、HCl/H2Oを使用した加水分解により除去する。反応器中のアセテート置換カルダノールの500gごとに以下のものを添加する;40gの37.5%HCl、80gの脱イオン水、80gのイソプロピルアルコール。反応器の温度を上げて80℃とし、4時間保持する。
【0071】
4時間後に、200℃、5mmHgの真空蒸留により、HCl、水およびイソプロピルアルコールを除去する。275℃、3mmHgで真空蒸留を続けて、遊離のカルダノールをすべて除去する。反応器の中に残っている物質は、高粘度のカルダノールダイマーである。この実施例で製造した物質の粘度は25℃で約9200cPであり、その物質は約187のヨウ素価を有していた。
【0072】
実施例4:アセテート置換カルダノールダイマーの加水分解による低粘度ダイマーの製造;
実施例2のダイマー上のアセテート基を、HCl/H2Oを使用した加水分解により除去する。反応器中のアセテート置換カルダノールの500gごとに以下のものを添加する;40gの37.5%HCl、80gの脱イオン水、80gのイソプロピルアルコール。その反応器を加熱して80℃とし、その温度で4時間保持する。次いでその内容物を放冷して室温とする。
【0073】
反応器の内容物を分液ロートに移し、静置して水相と有機相に分離させる。底部の水相を抜き出す。15%塩水溶液を用いて有機相を2回洗浄し、底部の水相を抜き出す。
【0074】
洗浄してから、物質をフラスコに戻し、200℃、5mmHgで真空蒸留して溶媒を除去する。270℃、3mmHgで真空蒸留を続けて、遊離のカルダノールを除去する。残った物質は、低粘度のカルダノールダイマーである。そのダイマーは、25℃で280cPの粘度と、154のヨウ素価とを有している。
【0075】
実施例5:低粘度および高粘度ダイマーからの高シリコーン含量(45%)硬化剤の合成;
高粘度および低粘度ダイマーから硬化剤を合成するために、以下の反応剤を下記の量で使用する。
【0076】
【表1】
【0077】
Siダイマー(成分A)は、上述の実施例3の高粘度ダイマーまたは実施例4の低粘度ダイマーのいずれであってもよい。成分A,B、CおよびDを表1に示した割合で、撹拌、熱電対温度調節およびコンデンサーを備えた反応器の中に組み入れる。この実施例の場合、500mLの四口フラスコを使用した。成分を組み入れてから、温度を上げて約75℃とし、4時間保持する。約75℃、10mmHgでの真空蒸留を用いて水を除去する。低粘度ダイマーまたは高粘度ダイマーのいずれかを使用して得られた硬化剤は表2に示す性質を有している。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例6:低粘度および高粘度ダイマーから製造したエポキシ樹脂;
高粘度および低粘度ダイマーからエポキシ化合物を合成するために、以下の反応剤を下記の量で使用する。
【0080】
【表3】
【0081】
Siダイマー(成分A)は、上述の実施例3の高粘度ダイマーまたは実施例4の低粘度ダイマーのいずれであってもよい。成分A,B、CおよびDを表1に示した割合で、撹拌、熱電対温度調節、ロートおよびコンデンサーを備えた反応器の中に組み入れる。この実施例の場合、1リットルの四口フラスコを使用した。フラスコに成分A、B、CおよびDを添加し、それらを約20分間混合する。そのフラスコにロートから、約30分かけて苛性(例えば、カセイソーダ溶液)を徐々に添加する。冷却用水浴を用いて、温度が65℃未満となるよう調節する。
【0082】
苛性の添加が終わってから、その温度を65℃で約4時間保持する。次いで、滴下ロートを通して脱イオン水を添加し、フラスコの内容物を65℃に保持し、30分間撹拌する。その溶液をフラスコから分液ロートへ移し、透明な水層と有機層に分離するまで放置する。実験室では、これに約30分間かかる。分離させた後、底部の水層を抜き出す。
【0083】
上部の有機層をきれいなフラスコに移す。約125℃、5mmHgの真空蒸留により、過剰の溶媒と遊離のエピクロロヒドリンを除去する。得られたエポキシ製品は、以下の特性を有する。
【0084】
【表4】
【0085】
実施例7:シリコーンダイマーをベースとする摩擦粒子を製造するためのプロセス;
上述のシリコーンカルダノールダイマーのいずれを使用しても摩擦粒子を製造することができる。この実施例においては、上述の実施例1の方法により調製したカルダノールダイマー(n=1)を使用して摩擦粒子を製造した。適切な容器の中で、約50グラムのシリコーンダイマーと5グラムのヘキサメチレンテトラミンとをブレンドすることによって、粒子を製造することができる。180℃で約4時間かけてその混合物を硬化させる。その物質を冷却して室温とし、破砕して小片とし、粉砕して微細粒子とする。この方法で調製された摩擦粒子は、以下の性質を有することができる。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例8:シリコーンダイマーからのノボラックスフェノール樹脂;
上述の長鎖シリコーンカルダノールダイマーからフェノール樹脂を製造するために、以下の反応剤を、表示した量で使用した。この実施例においては、n=5の長鎖シリコーンダイマーを使用した。フェノール樹脂を調製するために使用した原料は下記の通りである。
【0088】
【表6】
【0089】
この実施例においては、500mLのフラスコの中で120gのSiダイマーを4.04gのパラホルムアルデヒドと組合せ、約20分間混合した。次いで、フラスコにシュウ酸を加え、温度を上げて90℃〜100℃とし、その温度で約4時間保持した。次いでその混合物を冷却して室温とした。このプロセスにより製造したフェノール樹脂は、約2560cPの粘度(25℃)を有していた。
【0090】
これらの実施例で得られた結果は、記載された方法で製造された製品についてのものであり、それらの結果は、いかなる点においても本発明の範囲を限定することは意図されておらず、それらは単なる例示であるということを理解されたい。本発明の特定の実施態様をここまで記述してきたが、添付された特許請求項に記載されているような本発明の範囲から外れることなく、上述の本発明に対して数多くの変更や変化を加えることが可能であることは、当業者なら認識するであろう。したがって、本発明の特定の実施態様について先に詳しく説明してきたのは、限定的な意味合いではなく例示的な意味合いで本発明を記述することを目的としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式
【化1】
(式中、Zは1〜200の間であり、XおよびYは、水素、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基、芳香族炭素基、またはシランもしくはポリシラン基からなる群より選択される、同一または異なった化学種である。)
を有する化合物。
【請求項2】
XおよびYが、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基からなる同一または異なった化学種であり、その中の1個または複数の炭素原子が、ヒドロキシル基、ハロゲン化物、シランもしくはポリシラン基により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記の群より選択される式を有する化合物。
【化2】
【請求項4】
シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解して、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
を含むプロセス。
【請求項5】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸溶液が、硫酸溶液または塩酸溶液の一つである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記酸洗浄が、温度約80℃、pH約0.6で実施される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
以下の、
【化3】
(式中、nが5〜200の間であり、Rが各種の飽和、不飽和、分岐状、非分岐状、または芳香族炭素化学種である。)
からなる群より選択される式を有する、エポキシ化合物のための硬化剤として使用するための化合物。
【請求項14】
カルダノールダイマーをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよびアミンと組み合わせ、約70℃〜約80℃の間の温度で約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ステップ(c)の反応生成物とパラホルムアルデヒドとアミンとのモル比が、約1:2.4:2.4である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記アミンがジメチルアミノプロピルアミンである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記酸溶液が、硫酸溶液または塩酸溶液の一つである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記加水分解ステップが、温度約80℃、pH約0.6で実施される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項22】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項24】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
以下のものからなる群より選択される式を有するエポキシ化合物として使用するための化合物。
【化4】
【請求項26】
カルダノールダイマーをベースとするエポキシ化合物を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をエピクロロヒドリンおよびカセイソーダ溶液と組み合わせ、温度を約65℃〜約70℃の間に約3〜約4時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項27】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記ステップ(c)の反応生成物のエピクロロヒドリンに対するモル比が約1:6である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記カセイソーダ溶液が、50%カセイソーダ溶液である、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項32】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項34】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
以下の、
【化5】
(式中、xが9、13、33または66である。)
からなる群より選択される式を有する、エポキシ化合物のための硬化剤として使用するための化合物。
【請求項36】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノール、パラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンを組み合わせるステップと、
(b)前記反応器を、約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項37】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をジメチルメトキシシランおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸洗浄溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン置換カルダノールを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンと組み合わせ、前記反応器を約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項39】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、フルオロシラン置換カルダノールを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンと組み合わせ、前記反応器を約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項41】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
海洋表面のための防汚エポキシコーティングであって、
(a)カルダノールのシラン架橋ダイマーを含むエポキシ樹脂と、
(b)硬化剤と、
を含む防汚エポキシコーティング。
【請求項43】
前記エポキシ樹脂が、式VIII、IX、XおよびXIを有する請求項25の化合物からなる群より選択される、請求項42に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項44】
前記硬化剤が、式IV、V、VIおよびVIIを有する請求項13の化合物からなる群より選択される官能化カルダノールシランダイマーである、請求項43に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項45】
前記硬化剤が、式XII、XIII、およびXIVを有する請求項35の化合物からなる群より選択される官能化カルダノールである、請求項43に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項46】
次式を有する長鎖シリコーンカルダノールダイマー。
【化6】
(式中、nが5〜200の間である。)
【請求項47】
長鎖シリコーンカルダノールダイマーを製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物を、5〜200の間のnを有するポリジメチルシロキサンおよび触媒と組み合わせ、約80℃〜約100℃の間の温度で、約10時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解して、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項48】
前記触媒が、H2PtO4・6H2O;PtO2、O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt、Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]、およびH2PtCl6・6H2Oからなる群より選択される、請求項47に記載のプロセス。
【請求項1】
次式
【化1】
(式中、Zは1〜200の間であり、XおよびYは、水素、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基、芳香族炭素基、またはシランもしくはポリシラン基からなる群より選択される、同一または異なった化学種である。)
を有する化合物。
【請求項2】
XおよびYが、飽和もしくは不飽和、分岐状もしくは非分岐状の1〜100個の炭素原子を有する脂肪族炭素基からなる同一または異なった化学種であり、その中の1個または複数の炭素原子が、ヒドロキシル基、ハロゲン化物、シランもしくはポリシラン基により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記の群より選択される式を有する化合物。
【化2】
【請求項4】
シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解して、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
を含むプロセス。
【請求項5】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸溶液が、硫酸溶液または塩酸溶液の一つである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記酸洗浄が、温度約80℃、pH約0.6で実施される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
以下の、
【化3】
(式中、nが5〜200の間であり、Rが各種の飽和、不飽和、分岐状、非分岐状、または芳香族炭素化学種である。)
からなる群より選択される式を有する、エポキシ化合物のための硬化剤として使用するための化合物。
【請求項14】
カルダノールダイマーをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよびアミンと組み合わせ、約70℃〜約80℃の間の温度で約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ステップ(c)の反応生成物とパラホルムアルデヒドとアミンとのモル比が、約1:2.4:2.4である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記アミンがジメチルアミノプロピルアミンである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記酸溶液が、硫酸溶液または塩酸溶液の一つである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
前記加水分解ステップが、温度約80℃、pH約0.6で実施される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項22】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項24】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
以下のものからなる群より選択される式を有するエポキシ化合物として使用するための化合物。
【化4】
【請求項26】
カルダノールダイマーをベースとするエポキシ化合物を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をテトラメチルジシロキサンおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をエピクロロヒドリンおよびカセイソーダ溶液と組み合わせ、温度を約65℃〜約70℃の間に約3〜約4時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項27】
ステップ(a)におけるカルダノールの無水酢酸に対するモル比が、約1:1.23である、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ステップ(a)からの反応生成物のテトラメチルジシロキサンに対するモル比が、約1:6である、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記ステップ(c)の反応生成物のエピクロロヒドリンに対するモル比が約1:6である、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記カセイソーダ溶液が、50%カセイソーダ溶液である、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、ステップ(b)からの反応生成物をジメチルジメトキシシランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項32】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
ステップ(c)より前に、以下の
(i)反応器の中で、触媒の存在下に、前記ステップ(b)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランと組み合わせるステップと、
(ii)前記反応器を、約120℃〜160℃の間の温度に約20時間の間、維持するステップと、
をさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項34】
前記触媒がクロロ白金酸水素化物である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
以下の、
【化5】
(式中、xが9、13、33または66である。)
からなる群より選択される式を有する、エポキシ化合物のための硬化剤として使用するための化合物。
【請求項36】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノール、パラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンを組み合わせるステップと、
(b)前記反応器を、約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項37】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物をジメチルメトキシシランおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸洗浄溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、シラン置換カルダノールを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンと組み合わせ、前記反応器を約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項39】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
カルダノールをベースとするエポキシ硬化剤を製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物を(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)シランおよび触媒と組み合わせ、温度を約120℃〜約160℃の間に約20時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解させて、フルオロシラン置換カルダノールを製造するステップと、
(d)反応器の中で前記ステップ(c)からの反応生成物をパラホルムアルデヒドおよび1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンと組み合わせ、前記反応器を約70℃〜約80℃の間の温度で、約4〜約6時間の間、維持するステップと、
を含むプロセス。
【請求項41】
前記1,3−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンが、9、13、33または66個のジメチルシロキサン単位を有する、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
海洋表面のための防汚エポキシコーティングであって、
(a)カルダノールのシラン架橋ダイマーを含むエポキシ樹脂と、
(b)硬化剤と、
を含む防汚エポキシコーティング。
【請求項43】
前記エポキシ樹脂が、式VIII、IX、XおよびXIを有する請求項25の化合物からなる群より選択される、請求項42に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項44】
前記硬化剤が、式IV、V、VIおよびVIIを有する請求項13の化合物からなる群より選択される官能化カルダノールシランダイマーである、請求項43に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項45】
前記硬化剤が、式XII、XIII、およびXIVを有する請求項35の化合物からなる群より選択される官能化カルダノールである、請求項43に記載の防汚エポキシコーティング。
【請求項46】
次式を有する長鎖シリコーンカルダノールダイマー。
【化6】
(式中、nが5〜200の間である。)
【請求項47】
長鎖シリコーンカルダノールダイマーを製造するためのプロセスであって、
(a)反応器の中でカルダノールと無水酢酸とを組み合わせ、前記反応器を約120℃〜125℃の間の温度で約3〜4時間の間、保持するステップと、
(b)反応器の中で前記ステップ(a)からの反応生成物を、5〜200の間のnを有するポリジメチルシロキサンおよび触媒と組み合わせ、約80℃〜約100℃の間の温度で、約10時間の間、維持するステップと、
(c)酸溶液を用いて、前記ステップ(b)からの反応生成物を加水分解して、シラン架橋されたカルダノールダイマーを製造するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項48】
前記触媒が、H2PtO4・6H2O;PtO2、O[Si(CH3)2CH=CH2]2Pt、Pt[(VMe2Si)2O][ViMe2SiOSiM]、およびH2PtCl6・6H2Oからなる群より選択される、請求項47に記載のプロセス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−535152(P2010−535152A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506681(P2010−506681)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062454
【国際公開番号】WO2008/137706
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509303497)カードライト コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062454
【国際公開番号】WO2008/137706
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509303497)カードライト コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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