説明

カーナビゲーション装置

【課題】二酸化炭素排出量の少ない推奨ルートを容易に割出し報知することができるようにする。
【解決手段】カーナビゲーション装置1は、マイコンを主体として構成された制御装置2、車両の現在位置を検出するための位置検出器3、地図データ提供部4、操作部5、外部情報受信部6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置7、音声出力装置8を備えて構成されている。制御装置2は、設定された目的地に対して複数ルートを探索し、ルート探索された各ルートに対して、ルート内の道路種別ごとに、距離を算出し、前記各ルート内の道路種別ごとに、走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対してパラメータを設定し、前記各ルート内の道路種別ごとの前記距離と、当該道路種別ごとの前記パラメータとに基づいて二酸化炭素排出量目安を算出し、前記各ルートにおける二酸化炭素排出量目安結果の相対結果を表示装置7及び音声出力装置8により報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素排出量対策を講じたカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、自動車が排出する二酸化炭素排出量を計算するロジックが研究開発されている。そして、最近では、カーナビゲーション装置において、探索した複数ルートに対して、上記計算値を用いて二酸化炭素排出量を求め、より二酸化炭素排出量の少ないルートを提示することが考えられている。なお、直接二酸化炭素排出量を求めるのではなく、各ルートごとに燃料消費量を計算する技術として特許文献2に記載の技術がある。このものでは、駆動系の状態、例えばクラッチやブレーキを作動させる作動流体の熱量を蓄え放出放熱タンクの蓄熱状態、トルクコンバータのロックアップ/スリップ禁止制御が実行中か否か、自動変速機のオーバードライブ段の使用を禁止するオーバードライブ禁止制御が実行中か否か、バッテリの充電状態を考慮して、候補ルートごとの燃料消費量を算出するようにしている。
【特許文献1】土木学会論文集NO.695 「都市部道路交通における自動車の二酸化炭素排出量推定モデル:東京都立大学 大口敬 片倉正彦 谷口正明」
【特許文献2】特願2002−188932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、二酸化炭素排出量を算出するロジックを上述のカーナビゲーション装置の技術に適用することは極めて困難である。特に、二酸化炭素排出量を算出するロジックには、重要な要素、つまり車両走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因(例えば車両の停止回数及び走行時間、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗など)があり、この要因に関連付けて、複数の探索ルートにおける二酸化炭素排出量を求めることが重要であるが、実際の二酸化炭素排出量を求めることは難しく、二酸化炭素排出量の少ない推奨ルートの割り出しが容易でないという問題がある。
【0004】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二酸化炭素排出量の少ない推奨ルートを容易に割出し報知することができるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は次の点に着目してなされている。すなわち、二酸化炭素排出量の実際の値を算出することは困難である。しかし、カーナビゲーション装置においては、複数の探索ルートのうち相対的に二酸化炭素排出量の多い少ないが分かれば、二酸化炭素排出量の少ない探索ルートを推奨できるものである。一方、探索されたルートにおいては、道路の種別で、車両走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因(例えば車両の停止回数及び走行時間、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗など)の二酸化炭素排出量は相対的に異なる。また、探索ルート内の道路種別によっても二酸化炭素排出量は異なる。従って、探索ルート内の道路種別ごとに、走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対してパラメータを設定し、ルート内の道路種別ごとの前記距離と、当該道路種別ごとの前記パラメータとに基づいて二酸化炭素排出量目安を算出すれば、複数の探索ルートで相対的な二酸化炭素排出量の多い少ないを簡単に割出すことが可能となる。
【0006】
この点に着目された請求項1の発明は、道路種別距離算出手段により、ルート探索された各ルートに対して、ルート内の道路種別ごとに、距離を算出し、前記各ルート内の道路種別ごとに走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対して設定したパラメータと、前記各ルート内の道路種別ごとの前記距離とに基づいて二酸化炭素排出量目安を算出するから、複数の探索ルートで相対的な二酸化炭素排出量の多い少ないを簡単に割出すことができ、そして、前記各ルートにおける二酸化炭素排出量目安結果の相対結果を報知手段に報知させるから、相対的に二酸化炭素排出量の少ない推奨探索ルートを報知できる。
【0007】
請求項2の発明は、前記道路種別を、高速道路系、一般有料道路系、主要地方道路系、一般道路系に区分したところに特徴があり、これによれば、道路種別による二酸化炭素排出量の相違を適正に区分でき、探索ルートごとの二酸化炭素排出量目安結果に良好な差異をつけることが可能となる。
【0008】
請求項3の発明は、前記各種二酸化炭素排出量影響要因のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因について基準値パラメータを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したところに特徴があり、これによれば、基準パラメータを適正に設定でき、相対的なパラメータの設定が容易となる。
【0009】
請求項4の発明は、前記各種二酸化炭素排出量影響要因を、車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗とし、これら車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因たる転がり抵抗について基準値パラメータを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したところに特徴があり、これによれば、基準パラメータを適正に設定でき、転がり抵抗のパラメータに対して他の相対的なパラメータを適正に設定することが容易となる。
【0010】
請求項5の発明は、前記パラメータを、車両タイプの違いにより異なるようにしたところに特徴があり、これによれば、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車などの車両タイプに応じた推奨探索ルートを提示できる。
【0011】
請求項6の発明は、前記ルート内の道路種別ごとに算出された距離には、車両混雑度に応じて区別され、該車両混雑度に応じて区分された距離は、車両混雑度が大であるほど大となる重み付けがなされているところに特徴がある。
【0012】
二酸化炭素排出量は、車両混雑度が大であるほど(渋滞であるほど)多くなるものである。従って、上記請求項6の発明によれば、車両混雑度に応じて区分された距離は、車両混雑度が大であるほど大となる重み付けがなされているから、二酸化炭素排出量を車両混雑度に応じて適正に判定することが可能となり、二酸化炭素排出量の相対的な比較結果がさらに正確なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。本発明をカーナビゲーション装置に適用した場合の一実施例について図面を参照して説明する。図1は、カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図である。カーナビゲーション装置1は、マイコンを主体として構成された制御装置2、車両の現在位置を検出するための位置検出器3、地図データ提供部4、操作部5、外部情報受信部6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置7、スピーカ等からなる音声出力装置8を備えて構成されている。なお、図3に表示装置7の表示画面7Dを示している。
【0014】
前記制御装置2は、CPU2a、ROM2b、RAM2c、フラッシュメモリなどからなる不揮発性メモリ2d、タイマ2eなどを備えて構成されている。この制御装置2はルート探索手段、道路種別距離算出手段、二酸化炭素排出量目安算出手段、報知制御手段に相当する。また、前記不揮発性メモリ2dはパラメータ記憶手段に相当する。
【0015】
位置検出器3は、図示しないが車両のピッチ角を検出するためのGセンサ、車両のロール角を検出するためのジヤイロスコープ、車両の走行距離を検出する距離センサ、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機を有している。制御装置2は、この位置検出器3からの信号に基づいて、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、位置検出器3には、上記構成要素以外にステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0016】
地図データ提供部4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0017】
上記道路地図データは、道路形状、道路状況(転がり抵抗、勾配抵抗)、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0018】
操作部5は、詳しく図示はしないが、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネル、リモコンスイッチを含んで構成されている。利用者(ドライバ)は、この操作部5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報の入力、および表示装置7の画面や表示態様の切り替え等を行う各種のコマンドの入力を行うようになっている。
【0019】
前記外部情報受信部6は、外部例えばVICS(VehicleInformation & Communication System:VICSは登録商標)センターや種々の情報センター等との間で無線通信によりデータの受信を行うものであり、渋滞情報などを取得可能である。
【0020】
前記表示装置7は報知手段に相当するものであり、その画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示されるようになっている。また、目的地までのルート探索時には、探索された複数ルートを同時に表示するようになっている。この目的地までのルート案内の実行時には、ルート案内用の画面が表示されるようになっている。さらに、表示装置7には、利用者が目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。
【0021】
前記音声出力装置8は報知手段に相当するものであり、ルート案内時のメッセージを音声で出力する他、種々の音声報知を行なう。
ここで、前記制御装置2におけるルート探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行ルートを自動計算するものであり、その手法としては、例えばダイクストラ法が用いられている。
【0022】
又、前記不揮発性メモリ2dには、道路種別ごとに、走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対して設定されたパラメータが記憶されている。このパラメータ内容を図4に示している。この図4から分かるように、道路種別は、高速道路系(高速道路、都市高速道路、一般有料道路が含まれる)、一般有料道路系(一般有料道路が含まれる)、主要地方道路系(国道、主要地方道、県道が含まれる)、一般道路系(一般道路1(幹線)、一般道路2(その他案内道)、導入路、細街路1、細街路2(走行中非表示される))に区分されている。なお、図4では、デフォルトとして、前記高速道路系では、走行速度を90km/hに想定し、一般有料道路系では60km/hに想定し、主要地方道路系では45km/hに想定し、一般道路系では25km/hに想定している。
【0023】
又、二酸化炭素排出量影響要因としては、車両の停止回数及び走行距離、加速抵抗、転がり抵抗及び勾配抵抗、空気抵抗があり、これら各種二酸化炭素排出量影響要因のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因に相当する転がり抵抗及び勾配抵抗について基準値パラメータk(道路種別が主要地方道系のときであって、車両タイプがガソリン車もしくはディーゼル車の場合)、基準値パラメータkh(道路種別が主要地方道系のときであって、車両タイプがハイブリッド車の場合)を設定している。なお、パラメータを示す記号(例えば上述のk、khや、後述するl、lh、h、hh、d、dhなど)のうち2桁目が「h」であるときにはハイブリッド車対応のパラメータを示す。
【0024】
他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータk、khに対して相対的なパラメータを次のように設定している。
以下、ガソリン車及びディーゼル車対応のパラメータの設定の仕方(ハイブリッド車対応のパラメータの設定の仕方もこれに準じる)について述べる。上述の設定された各パラメータは前記不揮発性メモリ2dに記憶されている。
【0025】
例えば二酸化炭素排出量影響要因「空気抵抗」は、速度の二乗に比例するが車両タイプ(燃料による車両タイプ)には影響しないから速度に対して一律である。そして、主要地方道系の速度45km/hの転がり抵抗による燃料消費量つまり二酸化炭素排出量に比べると、空気抵抗による燃料消費量つまり二酸化炭素排出量は少ない。この点に着目して主要地方道系でのガソリン車及びディーゼル車対応のパラメータLは、k>lとしており、さらに「一般有料道路系」(そのパラメータはh)及び「高速道路系」(そのパラメータはd)はさらに想定速度が高く、また「一般道路系」(そのパラメータはp)では想定速度が低いことから、想定速度の二乗に比例してd>h>l>pなる関係としている。そして、前述したように燃料系については一律であるので、d=dh、h=hh、l=lh、p=phである。
【0026】
又、転がり抵抗及び勾配抵抗は、道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因であるので、該転がり抵抗及び勾配抵抗の道路種別の各パラメータは、k=c=g=o=kh=ch=gh=ohである。
【0027】
又、加速抵抗のパラメータj、jh、f、fh、b、bh、n、nhについて述べると、加速抵抗は、高速道路系では、いわゆるストップアンドゴーがなくほぼ定速走行と考えてよいので、車両タイプに関係なく、パラメータb、bhは小さく(最低値でも良い)、一般有料道路系では多少の加減速はあるがほぼ定速走行といえるので、車両タイプに関係なく、パラメータf、fhはbよりやや小さくもしくは等しく(最低値でも良い)、主要地方道系ではストップアンドゴーはあるものの一般道路系よりも少ないといえるので、パラメータjはb、fよりは大きいものの一般道路系の加速抵抗のパラメータnよりは小さい。この一般道路系では、ストップアンドゴーが多く、二酸化炭素排出量レベルも、主要地方道路系の転がり抵抗及び勾配抵抗の基準値パラメータkと同等している。
【0028】
従って、上述のパラメータb、f、j、nはb=f、f<j<n、n=kとし、b=f=bh=fhとしている。この場合、主要地方道路系、一般国道系において、ハイブリッド車では、電気走行分を加味できるので、jh<j、nh<nとし、特に一般道路系ではほぼ電気走行でまかなえるので、jh>nhとしている。
【0029】
次に、停止回数及び走行時間のパラメータa、ah、e、eh、i、ih、m、mhについて述べる。高速道路系では信号がないのでパラメータa、ahは小さくて良い(最低値でも良い)。また一般有料道路系では信号が無い場合が多いので、パラメータe、ehは小さくて良い(最低値でも良い)。主要地方道路系では、信号はあるが一般道路系に比して少ないので、パラメータiは、一般道路系のパラメータmよりは小さく、一般有料道路系よりは大きくしている。
従ってパラメータa、e、i、mは、a=e、e<i<mとし、この場合、ハイブリッド車の場合は電気走行分を加味してパラメータihはi>ihとし、パラメータmhはm>mhとしている。
【0030】
次に、本実施例の作用について図2乃至図6も参照して説明する。図2は、制御装置2によって行われる処理内容を、本発明の要旨に係る部分のみ示すフローチャートである。今、現在位置が検出されている状態(ステップS1)で、目的地設定操作がなされると(ステップS2)、制御装置2は、複数ルートを探索する(ステップS3)。この複数ルートとしては、図3に示すように、渋滞考慮ルートと、有料優先ルートと、一般優先ルートと、距離優先ルートと、別ルートとがある。なお、このステップS3の段階では、図3のランキング表示(表示領域LHで示す表示)はなされていない。
【0031】
次のステップS4では、まず、探索した渋滞考慮ルートについて、図4に示す道路種別距離EW(高速道路系の距離)、OR(一般有料道路系の距離)、NR(主要地方道路系)、GR(一般道路系)を算出する。次のステップS5では、上述の各道路種別距離を混雑度ごとの距離に区分し、ステップS6では車両タイプ(ガソリン車及びディーゼル車か、あるいはハイブリッド車か)を取得する。
【0032】
ステップS7では、道路種別走行想定速度を設定する。図4では前述したようにデフォルトとして高速道路系で90km/h、一般有料道路系で60km/h、主要地方道路系で45km/h、一般道路系で25km/hを示したが、ドライバによって変更設定することができる。この想定速度変更設定によりその想定速度に応じた空気抵抗パラメータや加速抵抗パラメータに変更できる。
ステップS8では、当該探索ルートについて二酸化炭素排出量を算出する。この計算式は、図4の*1〜*4欄、*1h〜*4h欄に示した式と下記式(1)とから算出する。
【0033】
【数1】

【0034】
すなわち、車両タイプがガソリン車もしくはディーゼル車の場合には、
高速道路系パラメータ総合値αとして、α=a+b+c+dを算出し、
一般有料道路系パラメータ総合値βとして、β=e+f+g+hを算出し、
主要地方道路系パラメータ総合値γとして、γ=i+j+k+lを算出し、
一般道路系パラメータ総合値δとして、δ=m+n+o+pを算出する。
【0035】
又、車両タイプがハイブリッド車の場合には、
高速道路系パラメータ総合値αhとして、αh=ah+bh+ch+dhを算出し、
一般有料道路系パラメータ総合値βhとして、βh=eh+fh+gh+hhを算出し、
主要地方道路系パラメータ総合値γhとして、γh=ih+jh+kh+lhを算出し、
一般道路系パラメータ総合値δhとして、δh=mh+nh+oh+phを算出する。
【0036】
なお、(1)式は車両タイプがガソリン車もしくはディーゼル車の場合であるが、ハイブリッド車の場合には、α、β、γ、δに代わり、上記αh、βh、γh、δhを使用する。
【0037】
又、混雑度が順調である場合の距離EWs、ORs、NRs、GRsの重み付けとしての順調コスト(係数)Sと、混雑である場合の距離EWc、ORc、NRc、GRcの重み付けとしての混雑コスト(係数)Cと、渋滞である場合の距離EWj、ORj、NRj、GRjの重み付けとしての渋滞コスト(係数)Jとの関係は、S<C<Jとしている。
【0038】
上述の各パラメータ総合値と、上述の係数と、道路種別の距離とを、前記(1)式に代入して、当該探索ルートにおける二酸化炭素排出量を算出する。
次のステップS9では、全部の探索ルートについての二酸化炭素排出量算出が済んだか否かを判断し、済んだことが判断されると、ステップS10に移行して、ランキング処理を実行する。すなわち、各探索ルート(渋滞考慮ルートと、有料優先ルートと、一般優先ルートと、距離優先ルートと、別ルート)の二酸化炭素排出量算出結果を比較して、少ないほうから1位、2位、・・といったランキングを決める。
【0039】
次のステップS11では、ランキング表示を実行する。すなわち、図3に示した表示画面の表示領域LHにランキング表示を行う(二酸化炭素排出量目安算出結果の相対結果を報知手段に報知する)。この場合、音声出力装置8によっても音声で報知させるようにしている。
【0040】
このような本実施例によれば、制御装置2において機能する道路種別距離算出手段により、ルート探索された各ルートに対して、ルート内の道路種別ごとに、距離EW、OR、NR、GRを算出し、当該距離を、車両混雑度に応じて区別し、車両混雑度が大であるほど大となる重み付け(コストS、C、J)をし、前記各ルート内の道路種別ごとに走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因(車両の停止回数及び走行距離、加速抵抗、転がり抵抗及び勾配抵抗、空気抵抗)に対してパラメータa〜p、ah〜phを設定し、該パラメータa〜p、ah〜phと、前記各ルート内の道路種別ごとで且つ前記各混雑度ごとの距離と、重み付けとに基づいて(1)式により二酸化炭素排出量目安を算出するから、複数の探索ルートで相対的な二酸化炭素排出量の多い少ないを簡単に割出すことができ、そして、前記各ルートにおける二酸化炭素排出量目安結果の相対結果を表示装置7及び音声出力装置8に報知させるから、相対的に二酸化炭素排出量の少ない推奨探索ルートを報知できる。
【0041】
特に本実施例によれば、車両混雑度に応じて区分された距離について、車両混雑度が大であるほど大となる重み付けをしたから、二酸化炭素排出量を車両混雑度に応じて適正に判定することが可能となり、二酸化炭素排出量の相対的な比較結果がさらに正確なものとなる。
又、本実施例によれば、前記道路種別を、高速道路系、一般有料道路系、主要地方道路系、一般道路系に区分したから、道路種別による二酸化炭素排出量の相違を適正に区分でき、探索ルートごとの二酸化炭素排出量目安結果に良好な差異をつけることが可能となる。
【0042】
又、本実施例によれば、前記各種二酸化炭素排出量影響要因のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因について基準値パラメータkを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したところに特徴があり、これによれば、基準パラメータを適正に設定でき、相対的なパラメータの設定が容易となる。
【0043】
この場合、前記各種二酸化炭素排出量影響要因を、車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗とし、これら車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因たる転がり抵抗について基準値パラメータを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したところに特徴があり、これによれば、基準パラメータを適正に設定でき、転がり抵抗のパラメータに対して他の相対的なパラメータを適正に設定することが容易となる。
【0044】
又、本実施例によれば、前記パラメータを、車両タイプの違いにより異なるようにしたところに特徴があり、これによれば、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車などの車両タイプに応じた推奨探索ルートを提示できる。
【0045】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、次のように実施しても良い。
上記実施例では、前記ルート内の道路種別ごとに算出された距離に、車両混雑度に応じて区別し、該車両混雑度に応じて区分された距離に対して、車両混雑度が大であるほど大となる重み付けをするようにしたが、これら車両混雑度に応じた区分と重み付けとは、必要に応じて設ければ良く、この場合、ルート内の道路種別ごとに、距離(EW、OR、NR、GR)を算出し、前記各ルート内の道路種別ごとに走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対して設定したパラメータa〜p、ah〜phと、前記各ルート内の道路種別ごとの前記距離とに基づいて二酸化炭素排出量目安を算出するようにしても良い。
【0046】
この場合のCO2排出量の算出式は、
CO2排出量=α×EW+β×OR+γ×NR+δ×GR
とすれば良い(ハイブリッド車の場合には、α、β、γ、δの代わりにαh、βh、γh、δhを使用する)。このようにすると、複数の探索ルートで相対的な二酸化炭素排出量の多・少を簡単に割出すことができる。従って、このようにしても所期の目的を達成できるものである。
また、前記実施例における各パラメータは適宜変更しても良い。また、報知手段としては表示装置のみでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例を示すカーナビゲーション装置の電気的構成のブロック図
【図2】制御内容を示すフローチャート
【図3】表示画面を示す図
【図4】各種パラメータなどを示す図
【符号の説明】
【0048】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は制御装置(ルート探索手段、道路種別距離算出手段、二酸化炭素排出量目安算出手段、報知制御手段)、2dは不揮発性メモリ(パラメータ記憶手段)、3は位置検出器、4は地図データ提供部、6は外部情報受信部、7は表示装置(報知手段)、8は音声出力装置(報知手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された目的地に対して複数ルートを探索可能なルート探索手段と、
ルート探索された各ルートに対して、ルート内の道路種別ごとに、距離を算出する道路種別距離算出手段と、
前記各ルート内の道路種別ごとに、走行状況における各種二酸化炭素排出量影響要因に対して設定したパラメータを記憶するパラメータ記憶手段と、
前記各ルート内の道路種別ごとの前記距離と、当該道路種別ごとの前記パラメータとに基づいて二酸化炭素排出量目安を算出する二酸化炭素排出量目安算出手段と、
前記各ルートにおける二酸化炭素排出量目安結果の相対結果を報知手段に報知させる報知制御手段とを備えてなることを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記道路種別は、高速道路系、一般有料道路系、主要地方道路系、一般道路系に区分されていることを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記各種二酸化炭素排出量影響要因のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因について基準値パラメータを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記各種二酸化炭素排出量影響要因は、車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗であり、
これら車両の停止回数、加速抵抗、転がり抵抗、空気抵抗のうち、前記道路種別に対して不変な二酸化炭素排出量影響要因たる転がり抵抗について基準値パラメータを設定し、他の二酸化炭素排出量影響要因については当該基準値パラメータに対して相対的なパラメータを設定したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記パラメータは、車両タイプの違いにより異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ルート内の道路種別ごとに算出された距離には、車両混雑度に応じて区別され、該車両混雑度に応じて区分された距離は、車両混雑度が大であるほど大となる重み付けがなされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127690(P2010−127690A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300823(P2008−300823)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】