説明

ガス供給装置、熱処理装置、ガス供給方法及び熱処理方法

【課題】キャリアガスの供給側と処理容器側との差圧を小さくすることによりパーティクルの発生を抑制することが可能なガス供給装置である。
【解決手段】原料貯留槽68内の原料ガスをキャリアガスを用いて処理容器4へ供給する原料ガス供給系を有するガス供給装置60において、原料貯留槽内へキャリアガスを導入するキャリアガス通路78と、原料貯留槽と処理容器とを連結してキャリアガスと原料ガスを流す原料ガス通路70と、原料ガス通路に接続されて圧力調整ガスを供給する圧力調整ガス通路92と、圧力調整ガスの処理容器への供給を始めると同時にキャリアガスにより原料貯留槽から原料ガスを処理容器内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うように開閉弁を制御する弁制御部114とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に熱処理を施す熱処理装置、これに用いるガス供給装置、熱処理方法及びガス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するためにはシリコン基板等よりなる半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、酸化処理、拡散処理、改質処理、自然酸化膜の除去処理等の各種の処理が行なわれる。これらの処理は、ウエハを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置や複数枚のウエハを一度に処理するバッチ式の処理装置で行われる。例えばこれらの処理を特許文献1等に開示されている縦型の、いわゆるバッチ式の処理装置にて行う場合には、まず、半導体ウエハを複数枚、例えば25枚程度収容できるカセットから、半導体ウエハを縦型のウエハボートへ移載してこれに多段に支持させる。
【0003】
このウエハボートは、例えばウエハサイズにもよるが30〜150枚程度のウエハを載置できる。このウエハボートは、排気可能な処理容器内にその下方より搬入(ロード)された後、処理容器内が気密に維持される。そして、処理ガスの流量、プロセス圧力、プロセス温度等の各種のプロセス条件を制御しつつ所定の熱処理が施される。
【0004】
そして、例えば成膜処理を例にとると、最近にあっては半導体集積回路の特性向上の上から、種々の金属材料を用いる傾向にあり、例えばジルコニウム(Zr)やルテニウム(Ru)等の従来の半導体集積回路の製造方法では用いられていなかった金属が用いられるようになっている。このような金属は、一般的には、有機材料と化合されて液体や固体の有機金属材料の原料として用いられ、この原料を密閉容器内に閉じ込めてこれを加熱等することにより原料ガスを発生させ、この原料ガスを希ガスなどよりなるキャリアガスにより搬送して成膜処理等に使用するようになっている(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−275608号公報
【特許文献2】特表2002−525430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近にあっては、半導体ウエハWの直径が益々大きくなっており、例えば直径が300mmから将来的には直径が450mmのウエハまで予定されており、更にデバイスの微細化に伴って高アスペクト構造のDRAMのキャパシタ絶縁膜をステップカバレジ良く成膜する必要や成膜処理のスループットの向上の点から多量の原料ガスを流すことが求められている。そして、原料ガスの流量を増加するには、原料の加熱量を増加したり、キャリアガスを多量に流すようにして流量を増加させている。
【0007】
しかしながら、原料ガスを増加させるために、キャリアガスの流量を増加させたプロセス条件で成膜を行うと、成膜開始時には処理容器内を真空引きした状態で多量のキャリアガス及び原料ガスの供給を行うので、処理容器側とキャリアガスの供給系側との間で大きな差圧が瞬間的に生じ、この大きな差圧が原因で原料ガスがミスト状になってガス流路の内壁に付着したり、或いはウエハ表面に付着したりして、パーティクルとなっていた。
【0008】
特に、原料ガスの供給と停止を断続的に繰り返し行う、いわゆるALD(AtomicLayer Deposition)成膜を行う場合には、原料ガスの供給を開始する都度に上記したようなパーティクルの発生を余儀なくされており、早期の解決が望まれている。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明は、原料ガスの供給開始時にキャリアガスの供給側と処理容器側との差圧を小さくすることによりパーティクルの発生を抑制することが可能なガス供給装置、熱処理装置、ガス供給方法及び熱処理方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、原料貯留槽内の原料から発生した原料ガスをキャリアガスを用いて被処理体に熱処理を施す処理容器へ供給する原料ガス供給系を有するガス供給装置において、途中に開閉弁が介設されて前記原料貯留槽内へ前記キャリアガスを導入するキャリアガス通路と、前記原料貯留槽と前記処理容器とを連結すると共に途中に開閉弁が介設されて前記キャリアガスと共に原料ガスを流す原料ガス通路と、途中に開閉弁が介設されると共に前記原料ガス通路に接続されて圧力調整ガスを供給する圧力調整ガス通路と、前記圧力調整ガスの前記処理容器への供給を始めると同時に前記キャリアガスを用いて前記原料貯留槽から前記原料ガスを前記処理容器内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、前記圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うように前記各開閉弁を制御する弁制御部と、を備えたことを特徴とするガス供給装置である。
【0011】
このように、原料貯留槽内の原料から発生した原料ガスをキャリアガスを用いて被処理体に熱処理を施す処理容器へ供給する原料ガス供給系を有するガス供給装置において、圧力調整ガスの処理容器への供給を始めると同時にキャリアガスを用いて原料貯留槽から原料ガスを処理容器内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うようにしたので、原料ガスの供給開始時にキャリアガスの供給側と処理容器側との差圧を小さくすることが可能となり、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0012】
請求項8に係る発明は、被処理体に対して熱処理を施すための熱処理装置において、前記被処理体を収容する処理容器と、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記処理容器内の雰囲気を排気する真空排気系と、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガス供給装置とを備えたことを特徴とする熱処理装置である。
【0013】
請求項9に係る発明は、原料を貯留する原料貯留槽と、前記原料貯留槽へキャリアガスを導入するキャリアガス通路と、前記原料貯留槽と前記被処理体に熱処理を施す処理容器とを連結する原料ガス通路と、前記原料ガス通路に接続されて圧力調整ガスを供給する圧力調整ガス通路とを有する原料ガス供給系を備えたガス供給装置におけるガス供給方法において、前記圧力調整ガスの前記処理容器への供給を始めると同時に前記キャリアガスを用いて前記原料貯留槽から前記原料ガスを前記処理容器内へ供給することを始める第1の工程と、前記第1の工程の後に行われて、前記圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程とを有することを特徴とするガス供給方法である。
【0014】
請求項15に係る発明は、請求項9乃至14のいずれか一項に記載のガス供給方法を用いて被処理体に熱処理を施すようにしたことを特徴とする熱処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るガス供給装置、熱処理装置、ガス供給方法及び熱処理方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
原料貯留槽内の原料から発生した原料ガスをキャリアガスを用いて被処理体に熱処理を施す処理容器へ供給する原料ガス供給系を有するガス供給装置において、圧力調整ガスの処理容器への供給を始めると同時にキャリアガスを用いて原料貯留槽から原料ガスを処理容器内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うようにしたので、原料ガスの供給開始時にキャリアガスの供給側と処理容器側との差圧を小さくすることが可能となり、パーティクルの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の係る熱処理装置の一例を示す縦断面構成図である。
【図2】熱処理装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図である。
【図3】本発明のガス供給方法の第1実施例を含む熱処理方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明のガス供給方法の第1実施例におけるガスの流れを説明する模式図である。
【図5】本発明のガス供給方法の第2実施例を含む熱処理方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明のガス供給方法の第2実施例におけるガスの流れを説明する模式図である。
【図7】本発明のガス供給方法の第3実施例における直前工程のガスの流れを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るガス供給装置、熱処理装置、ガス供給方法及び熱処理方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明の係る熱処理装置の一例を示す縦断面構成図、図2は熱処理装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図である。
【0018】
図示するように、この熱処理装置2は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器4を有している。この処理容器4の全体は、例えば石英により形成されており、この処理容器4内の天井には、石英製の天井板6が設けられて封止されている。また、この処理容器4の下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド8がOリング等のシール部材10を介して連結されている。尚、ステンレス製のマニホールド8を設けないで、全体を円筒体状の石英製の処理容器で構成した装置もある。
【0019】
上記処理容器4の下端は、上記マニホールド8によって支持されており、このマニホールド8の下方より多数枚の被処理体としての半導体ウエハWを多段に載置した保持手段としての石英製のウエハボート12が昇降可能に挿脱自在になされている。本実施例の場合において、このウエハボート12の支柱12Aには、例えば50〜100枚程度の直径が300mmのウエハWを略等ピッチで多段に支持できるようになっている。
【0020】
このウエハボート12は、石英製の保温筒14を介してテーブル16上に載置されており、このテーブル16は、マニホールド8の下端開口部を開閉する例えばステンレススチール製の蓋部18を貫通する回転軸20上に支持される。そして、この回転軸20の貫通部には、例えば磁性流体シール22が介設され、この回転軸20を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部18の周辺部とマニホールド8の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材24が介設されており、処理容器4内のシール性を保持している。
【0021】
上記した回転軸20は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム26の先端に取り付けられており、ウエハボート12及び蓋部18等を一体的に昇降して処理容器4内へ挿脱できるようになされている。尚、上記テーブル16を上記蓋部18側へ固定して設け、ウエハボート12を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。この処理容器4には、ガス導入部28が設けられる。
【0022】
具体的には、このガス導入部28は、上記マニホールド8の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなる複数、ここでは2本のガス分散ノズル30、32を有している。各ガス分散ノズル30、32には、その長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔30A、32Aが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス噴射孔30A、32Aから水平方向に向けてほぼ均一にガスを噴射できるようになっている。
【0023】
一方、上記処理容器4の側壁の一部には、その高さ方向に沿ってノズル収容凹部34が形成されると共に、このノズル収容凹部34に対向する処理容器4の反対側には、この内部雰囲気を真空排気するために処理容器4の側壁を、例えば上下方向へ削りとることによって形成した細長い排気口36が設けられている。具体的には、上記ノズル収容凹部34は、上記処理容器4の側壁を上下方向に沿って所定の幅で削りとることによって上下に細長い開口38を形成し、この開口38をその外側より覆うようにして断面凹部状になされた上下に細長い例えば石英製の区画壁40を容器外壁に気密に溶接接合することにより形成されている。
【0024】
これにより、この処理容器4の側壁の一部を凹部状に外側へ窪ませることにより一側が処理容器4内へ開口されて連通された上記ノズル収容凹部34が一体的に形成されることになる。すなわち区画壁40の内部空間は、上記処理容器4内に一体的に連通された状態となっている。そして、図2に示すように、上記ノズル収容凹部34内に上記各ガス分散ノズル30、32が並んで設けられている。
【0025】
一方、上記開口38に対向させて設けた排気口36には、これを覆うようにして石英よりなる断面コ字状に成形された排気口カバー部材42が溶接により取り付けられている。この排気口カバー部材42は、上記処理容器4の側壁に沿って上方に延びており、処理容器4の上方のガス出口44には、真空排気系46が設けられている。この真空排気系46は、上記ガス出口44に接続された排気通路48を有しており、この排気通路48には、圧力調整弁50や真空ポンプ52が介設されて、処理容器4内を所定の圧力に維持しつつ真空引きするようになっている。そして、この処理容器4の外周を囲むようにしてこの処理容器4及びこの内部のウエハWを加熱する筒体状の加熱手段54が設けられている。
【0026】
そして、上記処理容器4に対して熱処理に必要なガスを供給するために本発明に係るガス供給装置60が設けられる。ここではガス供給装置60として原料ガスを供給するための本発明の特徴とする原料ガス供給系62と、その他に上記原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給系64とが含まれている。具体的には、上記原料ガス供給系62は、液体又は固体の原料66を貯留する原料貯留槽68を有している。この原料貯留槽68は、アンプル或いはリザーバとも称される。上記原料66としては、ここではジルコニウムの有機化合物である液体状のZrCp(NMe [シクロペンタジエニル・トリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム又はZr(MeCp)(NMe [メチルシクロペンタジエニル・トリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム又はTi(MeCp)(NMe [メチルシクロペンタジエニル・トリス(ジメチルアミノ)チタニウムが用いられている。この原料貯留槽68には、上記原料66を熱分解しない範囲で加熱して気化させることにより原料ガスを形成する原料加熱ヒータ69が設けられており、ここでは例えば80〜120℃程度に加熱されている。
【0027】
そして、上記原料貯留槽68と上記処理容器4に設けたガス導入部28の一方のガス分散ノズル30とを連結して原料ガス通路70が設けられている。そして、この原料ガス通路70の途中には第1及び第2の2つの開閉弁72、74がその上流側から下流側に向けて順次介設されており、原料ガスの流れを制御するようになっている。
【0028】
そして、この原料ガス通路70の上流側のガス入口76は、上記原料貯留槽68内の上部空間部68Aに位置されており、ここで発生した原料ガスを流出させることができるようになっている。この原料ガス通路70には、これに沿って例えばテープヒータ等の通路ヒータ(図示せず)が設けられており、原料ガス通路70を例えば120〜150℃程度に加熱して原料ガスが液化することを防止している。
【0029】
また上記原料貯留槽68には、上記原料貯留槽68内へキャリアガスを導入するためのキャリアガス通路78が接続されている。このキャリアガス通路78の先端のガス出口80は、上記原料貯留槽78の上部空間部68Aに位置されている。尚、このガス出口80を液体の原料66中に漬浸させてキャリアガスをバブリングさせるようにしてもよい。そして、このキャリアガス通路78の途中には、その上流側から下流側に向けてガス流量を制御するためのマスフローコントローラのような流量制御器82、第1の開閉弁84及び第2の開閉弁86が順次介設されている。
【0030】
ここでは上記キャリアガスとしては、アルゴンガスが用いられているが、これに限定されず、他の希ガス、例えばHe等を用いてもよい。そして、上記第1の開閉弁84と第2の開閉弁86との間のキャリアガス通路78と、上記第1の開閉弁72と第2の開閉弁74との間の原料ガス通路70とを連結するようにしてバイパス通路88が設けられており、このバイパス通路88の途中にはバイパス開閉弁90が介設されている。
【0031】
また、上記原料ガス通路70の第2の開閉弁74の直ぐ下流側には、圧力調整ガスを供給するための圧力調整ガス通路92が接続されている。この圧力調整ガス通路92には、その上流側より下流側に向けてマスフローコントローラのような流量制御器94及び開閉弁96が順次介設されている。ここでは圧力調整ガスとしては不活性ガス、例えばN ガスが用いられている。この圧力調整ガスとして、N ガスに代えてAr等の希ガスを用いるようにしてもよい。
【0032】
更に、上記原料ガス通路70の第2の開閉弁74と上記バイパス通路88の上記原料ガス通路70に対する接続点との間の原料ガス通路70にはベント通路98が接続されている。このベント通路98の下流側は、上記真空排気系76の圧力調整弁50と真空ポンプ52との間の排気通路48に接続されており、このベント通路98内を真空引き可能になっている。そして、このベント通路98の途中にはベント開閉弁100が介設されている。
【0033】
一方、上記反応ガス供給系64は、上記他方のガス分散ノズル32に接続された反応ガス通路102を有している。この反応ガス通路102の途中には、マスフローコントローラのような流量制御器104及び開閉弁106が順次介設されており、必要に応じて上記反応ガスを流量制御しつつ供給できるようになっている。そして、この反応ガス通路102の途中からは分岐路108が分岐させて設けられている。この分岐路108の途中には、マスフローコントローラのような流量制御器110及び開閉弁112が順次介設されており、パージガスを流量制御しつつ必要に応じて供給できるようになっている。
【0034】
ここで上記反応ガスとしては、酸化ガス、例えばオゾン(O )が用いられ、Zrを含む原料を酸化して酸化ジルコニウムを成膜できるようになっている。また、上記パージガスとしては、例えばN ガスが用いられている。そして、このガス供給装置60における各開閉弁の開閉動作は、弁制御部114によって制御されるようになっている。
【0035】
以上のように構成された熱処理装置2の全体の動作は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部116により制御されるようになっており、この動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体118に記憶されている。この記憶媒体118は、例えばフレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、ハードディスク、フラッシュメモリ或いはDVD等よりなる。具体的には、この装置制御部116及びこの支配下にある弁制御部114からの指令により、各ガスの供給の開始、停止や流量制御、プロセス温度やプロセス圧力の制御等が行われる。上記弁制御部114は、上述のように装置制御部116の支配下になっている。
【0036】
次に、以上のように構成された熱処理装置2を用いて行われる本発明方法について図3及び図4も参照して説明する。
<第1実施例>
まず、本発明のガス供給方法の第1実施例を含む熱処理方法について説明する。図3は本発明のガス供給方法の第1実施例を含む熱処理方法を説明するためのフローチャート、図4は本発明のガス供給方法の第1実施例におけるガスの流れを説明する模式図である。図4中ではガスの流れを点線の矢印で示している。ここでは原料としてZrCp(NMe を用い、反応ガスとして酸化ガスであるオゾンを用いて酸化ジルコニウムの薄膜を形成する場合を例にとって説明する。
【0037】
具体的には、上記原料ガスと反応ガス(オゾン)とをそれぞれ一定の供給期間で交互にパルス状に供給する供給工程と供給を停止する停止工程とよりなる1サイクルを複数回繰り返し実行して上記薄膜を形成するようにしたものである。特に、本発明方法では原料ガスの供給開始時にガス通路内の差圧をできるだけ抑制するようにしている。
【0038】
まず、常温の多数枚、例えば50〜100枚の300mmサイズのウエハWが載置された状態のウエハボート12を予め所定の温度になされた処理容器4内にその下方より上昇させてロードし、蓋部18でマニホールド8の下端開口部を閉じることにより容器内を密閉する。
【0039】
そして処理容器4内を真空引きして0.1〜3torr程度に維持すると共に、加熱手段54への供給電力を増大させることにより、ウエハ温度を上昇させてプロセス温度を維持する。そして、ガス供給装置60の原料ガス供給系62及び反応ガス供給系64を駆動することにより、前述したように原料ガスとオゾンとを交互に処理容器4内へ供給し、ウエハWの表面に酸化ジルコニウムの薄膜を積層することになる。具体的には、原料ガス供給系62の原料貯留槽68では、原料加熱ヒータ69により原料66が加熱されて、この原料貯留槽68内の原料ガスが発生している状態になっている。
【0040】
成膜処理(熱処理)を開始すると、まず、図3中の第1の工程(S1)を行う。すなわち、圧力調整ガス通路92の開閉弁96を開状態にしてN よりなる圧力調整ガスを矢印120((図4(A)参照)に示すように処理容器4内へ流して、原料ガス通路70の下流側の圧力を予め高めておく。これと同時に、キャリアガス通路78の第1及び第2の開閉弁84、86を共に開状態にして、Arよりなるキャリアガスを原料貯留槽68内へ流し、且つ原料ガス通路70の第1及び第2の開閉弁72、74を共に開状態にして、上記原料貯留槽68内の原料ガスをキャリアガスと共に矢印122に示すように処理容器4内へ流す(S1)。
【0041】
このように、圧力調整ガスと原料ガスを伴ったキャリアガスとを同時に処理容器4内へ供給する。この時の流量は、圧力調整ガスが1〜10slmの範囲内であり、例えば5slm、キャリアガスが上記圧力調整ガスよりもかなり多い2〜15slmの範囲内であり、例えば7slmであり、ガスを流す時間は、例えば1〜10秒の範囲内のほんの僅かな時間である。ここでは例えば5秒程度である。キャリアガスを上記のように7slmと多量に流すことにより原料ガスも多量に供給することができる。
【0042】
このように、圧力調整ガスとキャリアガスとを同時に流すことにより、処理容器4側である原料ガス通路70の下流側とキャリアガス通路78内との差圧、具体的には原料貯留槽68のガス入口76とガス分散ノズル30の入口との間の差圧を圧力調整ガスを流した分だけ抑制することが可能となり、その結果、原料ガスがミスト化してパーティクルが発生することを防止することができる。ここで第1の工程の時間が1秒よりも短い場合には差圧抑制効果が著しく減少し、また10秒よりも長い場合にはスループットを必要以上に低下させる原因となってしまう。
【0043】
このように、上記第1の工程を5秒程度行ったならば、図3中の第2の工程(S2)を行う。すなわち、上記第1の工程を5秒程度行ったならば、直ちに上記圧力調整ガス通路92の開閉弁96を閉状態にし、図4(B)に示すように圧力調整ガスの供給を停止する。そして、キャリアガスを伴った原料ガスの処理容器4内への供給は継続して行い、これにより、ウエハWの表面には原料ガスが多量に付着することになる。このプロセス時間は、例えば50〜200秒の範囲内であり、ここでは例えば100秒である。
【0044】
このようにして第2の工程を終了したならば、次に、キャリアガス及び原料ガスの供給を停止した状態で処理容器4内の残留ガスを排除するパージ工程(S3)を行う。このパージ工程では全てのガスの供給を停止して処理容器4内の残留ガスを排除したり、或いは圧力調整ガス通路92から不活性ガスのN を処理容器4内へ供給して残留ガスと置換したりしてもよく、更には両者を組み合わせてもよい。この時のN ガスの流量は0.5〜15slmの範囲内であり、ここでは10slmである。このパージ工程は4〜120秒の範囲内であり、ここでは60秒程度行っている。
【0045】
また、このパージ工程S3では、原料ガス通路70内に残留する原料ガスを排除するために、原料ガス通路70の第1及び第2の開閉弁72、74を共に閉状態とし、キャリアガス通路78の第1の開閉弁84は開状態、第2の開閉弁86は閉状態とすると共に、バイパス開閉弁90及びベント開閉弁100を共に開状態にする。これにより、キャリアガスを原料貯留槽68内へは導入しないで、バイパス通路88、原料ガス通路70の一部を介してベント通路98へ流し、真空排気系46側へ排気するようになっている。このキャリアガスの流量は2〜15slmの範囲内で、例えば10slm程度である。
【0046】
上述のようにパージ工程S3が終了したならば、次に反応ガス供給工程S4を行う。ここでは反応ガス供給系64を用いてオゾンよりなる反応ガスを処理容器4内へ供給する。これにより、ウエハWの表面に付着していた原料ガスとオゾンとが反応して酸化ジルコニアの薄膜が形成されることになる。この成膜を行う反応ガス供給工程のプロセス時間は、50〜200秒の範囲内、ここでは例えば100秒程度である。
【0047】
この反応ガス工程S4が終了したならば、処理容器4内の残留ガスを排除するパージ工程S5を行う。このパージ工程のやり方は、先のパージ工程S3と同様であり、ここで不活性ガスを使用する場合には、反応ガス供給系64の分岐路108からN ガスを流すようにすればよい。
【0048】
上記パージ工程S5が終了したならば、上記したステップS1〜S5までの工程を何回行ったかを判断し(S6)、これを所定の回数だけまだ繰り返していない場合(NO)には、上記各ステップS1〜S5を繰り返し行なって酸化ジルコニウムの薄膜を積層し、所定の回数だけ繰り返し行った場合(YES)には、成膜の熱処理を終了することになる。
【0049】
上述のように、ステップS1を開始する直前の処理容器内の圧力は0.1〜3torr程度と低いが、ステップS1にてキャリアガスを多量に流して原料ガスも多量に供給し、この原料ガスの供給開始と同時に、原料ガス供給通路70の上流側へ圧力調整ガスを一時的に流すようにしたので、この圧力調整ガスの圧力分だけ原料ガス通路70内と原料貯留槽68内との差圧を減少させて小さくすることが可能となる。
【0050】
すなわち、処理容器4側である原料ガス通路70の下流側とキャリアガス通路78内との差圧、具体的には原料貯留槽68のガス入口76とガス分散ノズル30の入口との間の差圧を圧力調整ガスを流した分だけ抑制することが可能となり、その結果、原料ガスがミスト化してパーティクルが発生することを防止することができる。このように大流量の原料ガスを流したにもかかわらず、原料ガスのミストの発生及びパーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0051】
以上のように、本発明では原料貯留槽68内の原料66から発生した原料ガスをキャリアガスを用いて被処理体Wに熱処理を施す処理容器4へ供給する原料ガス供給系62を有するガス供給装置において、圧力調整ガスの処理容器4への供給を始めると同時にキャリアガスを用いて原料貯留槽68から原料ガスを処理容器4内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うようにしたので、原料ガスの供給開始時にキャリアガスの供給側と処理容器4側との差圧を小さくすることが可能となり、パーティクルの発生を抑制することができる。
【0052】
<第2実施例>
次に、本発明のガス供給方法の第2実施例を含む熱処理方法について説明する。先に図3及び図4を参照して説明した第1実施例では、最初のステップS1で圧力調整ガスとキャリアガスに搬送された原料ガスとを処理容器4に向けて同時に流すようにして原料ガス通路70内における差圧を抑制するようにしたが、これに限定されず、原料ガスを流す前に原料ガス通路70内に多量のキャリアガスを予め流すようにしておき、原料ガスの供給を開始する時に発生する差圧を更に抑制するようにしてもよい。
【0053】
図5はこのような本発明のガス供給方法の第2実施例を含む熱処理方法を説明するためのフローチャート、図6は本発明のガス供給方法の第2実施例におけるガスの流れを説明する模式図である。図6中ではガスの流れを点線の矢印で示している。また図3及び図4に示す各図と同様な構成部分については同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図6(B)及び図6(C)は、先の図4(A)及び図4(B)とそれぞれ全く同じである。この第2実施例では、図5及び図6に示すように、先のステップS1の前に、すなわち直前にキャリアガスを上記バイパス通路88を介してベント通路98側へ流すと共に、圧力調整ガスを処理容器4内へ流す直前工程(S0)を行っている。
【0055】
すなわち、成膜処理(熱処理)を開始すると、まず、直前工程S0を行うために、図6(A)に示すように圧力調整ガス通路92の開閉弁96を開状態にしてN よりなる圧力調整ガスを矢印120に示すように処理容器4内へ流す。ただし、この場合、この圧力調整ガスの流量は、この直後に行うことになる第1の工程の圧力調整ガスよりも大きく設定しておく。これと同時に、キャリアガス通路78の第1の開閉弁84、バイパス通路88のバイパス開閉弁90及びベント通路98のベント開閉弁100を全て開状態にして多量のキャリアガスを矢印124に示すように真空排気系46側へ流す。
【0056】
この場合、キャリアガス通路78の第2の開閉弁86、原料ガス通路70の第1及び第2の開閉弁72、74は共に閉状態にして原料ガスは流さないようにし、且つキャリアガスは原料ガス通路70内の途中の一部だけに流れて処理容器4内へは流さないようにしている。
【0057】
この時の圧力調整ガスの流量は、これに引き続いて行われる第1の工程の場合よりも多い1〜15slmの範囲内であり、例えば3slm、キャリアガスはこれに引き続いて行われる第1の工程と同じ2〜15slmの範囲内であり、例えば7slmである。ガスを流す時間は、1〜10秒の範囲内の時間である。ここでは例えば5秒程度である。ここで直前工程の時間が1秒よりも短い場合にはこの直前工程を行った効果がなくなり、また10秒よりも長い場合にはスループットを必要以上に低下させる原因となってしまう。
【0058】
このように、上記直前工程を5秒程度行ったならば、これ以降の工程は、先に説明したステップS1〜S6までの同じ工程を行うことになる。例えば次に、先に説明したような第1の工程(S1)へ移行してこれを4秒程度行うことになる。すなわち、バイパス開閉弁90及びベント開閉弁100を共に閉状態に切り替えると同時に、キャリアガス通路78の第2の開閉弁86、原料ガス通路70の第1及び第2の開閉弁72、74を共に開状態に切り替えることにより、矢印122に示すように原料貯留槽68内の原料ガスをキャリアガスと共に処理容器4内へ流す(S1)。
【0059】
この際、3slmの流量で流していた圧力調整ガスの流量を1slmまで減少させて、処理容器4内へ流入するガスの総量が急激に過度に増加しないようにする。そして、熱処理が完了するまでステップS0〜S6を所定の回数だけ繰り返し行うことになる。
【0060】
この第2実施例の場合には、第1の工程(S1)の直前に、直前工程(S0)を行って、原料ガス通路70内の大部分の領域に圧力調整ガスを予め短時間だけ流しておき(キャリアガスはベント通路98を介して排出)、この状態で原料ガスを含むキャリアガスを処理容器4内へ流すようにしたので、原料ガス通路70内の上流側と下流側との間で発生する差圧は、上記第1実施例の場合よりも更に抑制することができる。従って、先の第1実施例の場合と同様な作用効果を発揮できるのみならず、ミスト或いはパーティクルの発生抑制効果を一層向上させることができる。
【0061】
実際に上記第2実施例のガス供給方法を用いて20サイクルのALD法の成膜処理を行ったところ、従来のガス供給方法の場合には、ウエハ上の0.08μm以上のパーティクル数は28個であったが、本発明の場合には5個まで減少しており、良好な結果が得られることが判った。
【0062】
他方、従来の成膜方法でキャリアガスの流量が少なかった場合、例えば1slm程度の場合にはパーティクル数は10個程度であったが、一度に処理する処理ウエハの増大、デバイスの微細化、高アスペクト化に対応する十分な流量の原料ガスを供給できずに、膜厚の均一性、ステップカバレジは不十分なものであった。これに対して、本願発明では、上記一度の処理する処理ウエハの増大、デバイスの微細化、高アスペクト化に対応する十分な流量の原料ガスをパーティクルを発生させることなく供給でき、膜厚の均一性、ステップカバレジは十分に良好であった。
【0063】
<第3実施例>
次に、本発明のガス供給方法の第3実施例を含む熱処理方法について説明する。先に図5及び図6を参照して説明した第2実施例の直前工程では、圧力調整ガスとキャリアガスとを流すようにしていたが、これに代えてキャリアガスの流れは停止させた状態にして圧力調整ガスのみを流すようにしておくようにし、原料ガスの供給を開始する時に発生する差圧を更に抑制するようにしてもよい。
【0064】
図7は本発明のガス供給方法の第3実施例における直前工程のガスの流れを説明する模式図である。図7中ではガスの流れを点線の矢印で示している。また図3乃至図6に示す各図と同様な構成部分については同一参照符号を付してその説明を省略する。この第3実施例では、図7に示すように、先のステップS1の前に、すなわち直前に圧力調整ガスのみを処理容器4内へ流す直前工程S0を行っている。
【0065】
すなわち、成膜処理(熱処理)を開始すると、まず、直前工程S0を行うために、図7に示すように圧力調整ガス通路92の開閉弁96を開状態にしてN よりなる圧力調整ガスを矢印120に示すように処理容器4内へ流す。ただし、この場合、この圧力調整ガスの流量は、この直後に行うことになる第1の工程の圧力調整ガスよりも大きく設定しておく。この際、ここでは先の第2実施例とは異なって、キャリアガス通路78の第1の開閉弁84、バイパス通路88のバイパス開閉弁90及びベント通路98のベント開閉弁100を全て閉状態にしてキャリアガスは流さないようにしておく。
【0066】
この時の種々のプロセス条件は、先の第2実施例の直前工程の場合と同じである。この直前工程を行ったならば、第2実施例と同様に先に説明したステップS1〜S6までの同じ工程を行なうことになる。この場合にも、先の第2実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0067】
尚、上記図3及び図5に示す各実施例では、2つのパージ工程S3、S5が組み込まれているが、これらのパージ工程S3、S5の内の一方又は両方を省略するようにしてもよい。
【0068】
また、図1に示す装置例では、ガス供給装置60に多くの開閉弁を設けたが、2つの通路が分岐される部分に設けられる2つの開閉弁を1つの三方弁で代用するようにしてもよく、具体的には例えば原料ガス通路70の第2の開閉弁74とベント通路98のベント開閉弁100とを1つの三方弁で置き換えるようにしてもよい。
【0069】
また、図1に示す装置例では、2重管構造の熱処理装置を例にとって説明したが、装置構成はこれに限定されるものではなく、例えば単管構造の熱処理装置にも本発明を適用できるのは勿論である。更に、ここでは熱処理としてステップS1〜S6或いはS0〜S6を繰り返し行う、いわゆるALD成膜処理を例にとって説明したが、これに限定されず、ステップS1〜S6或いはS0〜S6(ステップS3、S5は省略可能)を1回だけ行う成膜処理にも本発明を適用することができる。
【0070】
また、ここでは一度に複数枚の半導体ウエハWを処理する、いわゆるバッチ式の熱処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、半導体ウエハWを1枚ずつ処理する枚葉式の熱処理装置にも本発明を適用することができる。また更に、ここでは原料としてジルコニウムを含む有機金属材料を用いる場合を例にとって説明したが、これに限定されず、原料として、Zr、Hf、Ti、Srよりなる群から選択される1又は複数の金属材料を含む有機金属材料も用いることができる。
【0071】
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、この半導体ウエハにはシリコン基板やGaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体基板も含まれ、更にはこれらの基板に限定されず、液晶表示装置に用いるガラス基板やセラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
2 熱処理装置
4 処理容器
12 ウエハボート(保持手段)
28 ガス導入部
30,32 ガス分散ノズル
46 真空排気系
54 加熱手段
60 ガス供給装置
62 原料ガス供給系
64 反応ガス供給系
66 原料
68 原料貯留槽
70 原料ガス通路
72,74,82,84,86,96 開閉弁
78 キャリアガス通路
88 バイパス通路
90 バイパス開閉弁
92 圧力調整ガス通路
98 ベント通路
100 ベント開閉弁
114 弁制御部
W 半導体ウエハ(被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料貯留槽内の原料から発生した原料ガスをキャリアガスを用いて被処理体に熱処理を施す処理容器へ供給する原料ガス供給系を有するガス供給装置において、
途中に開閉弁が介設されて前記原料貯留槽内へ前記キャリアガスを導入するキャリアガス通路と、
前記原料貯留槽と前記処理容器とを連結すると共に途中に開閉弁が介設されて前記キャリアガスと共に原料ガスを流す原料ガス通路と、
途中に開閉弁が介設されると共に前記原料ガス通路に接続されて圧力調整ガスを供給する圧力調整ガス通路と、
前記圧力調整ガスの前記処理容器への供給を始めると同時に前記キャリアガスを用いて前記原料貯留槽から前記原料ガスを前記処理容器内へ供給することを始める第1の工程を開始し、その後、前記圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程を行うように前記各開閉弁を制御する弁制御部と、
を備えたことを特徴とするガス供給装置。
【請求項2】
前記原料貯留槽をバイパスするように前記キャリアガス通路と前記原料ガス通路とを連結すると共に途中に開閉弁が介設されたバイパス通路と、前記原料ガス通路に接続されて途中に開閉弁が介設されると共に内部が真空引きされているベント通路とを有し、
前記弁制御部は、前記第1の工程を行う前に、前記キャリアガスを前記バイパス通路を介して前記ベント通路側へ流すと共に、前記圧力調整ガスを前記処理容器内へ流すようにする直前工程を行うように前記各制御弁を制御することを特徴とする請求項1記載のガス供給装置。
【請求項3】
前記弁制御部は、前記第1の工程を行う前に、前記圧力調整ガスのみを前記処理容器内へ流すようにする直前工程を行うように前記各制御弁を制御することを特徴とする請求項1記載のガス供給装置。
【請求項4】
前記直前工程の圧力調整ガスの流量は、前記第1の工程の圧力調整ガスの流量よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項2又は3記載のガス供給装置。
【請求項5】
前記処理容器に前記原料ガスと反応する反応ガスを供給するために途中に開閉弁が介設された反応ガス供給系を有しており、
前記弁制御部は、前記第2の工程の後に前記処理容器内へ前記反応ガスを供給する反応ガス供給工程を行うように前記各開閉弁を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガス供給装置。
【請求項6】
前記弁制御部は、前記第2の工程及び前記反応ガス供給工程の内の少なくともいずれか一方の工程の直後に前記処理容器の残留雰囲気を排除するパージ工程を行うように前記各開閉弁を制御することを特徴とする請求項5記載のガス供給装置。
【請求項7】
前記弁制御部は、前記各工程を順次繰り返し行うように前記各開閉弁を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガス供給装置。
【請求項8】
被処理体に対して熱処理を施すための熱処理装置において、
前記被処理体を収容する処理容器と、
前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
前記処理容器内の雰囲気を排気する真空排気系と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガス供給装置とを備えたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項9】
原料を貯留する原料貯留槽と、
前記原料貯留槽へキャリアガスを導入するキャリアガス通路と、
前記原料貯留槽と前記被処理体に熱処理を施す処理容器とを連結する原料ガス通路と、
前記原料ガス通路に接続されて圧力調整ガスを供給する圧力調整ガス通路とを有する原料ガス供給系を備えたガス供給装置におけるガス供給方法において、
前記圧力調整ガスの前記処理容器への供給を始めると同時に前記キャリアガスを用いて前記原料貯留槽から前記原料ガスを前記処理容器内へ供給することを始める第1の工程と、
前記第1の工程の後に行われて、前記圧力調整ガスの供給を停止する第2の工程とを有することを特徴とするガス供給方法。
【請求項10】
前記原料貯留槽をバイパスするように前記キャリアガス通路と前記原料ガス通路とを連結するバイパス通路と、前記原料ガス通路に接続されて内部が真空引きされているベント通路とを有し、
前記第1の工程を行う前に、前記キャリアガスを前記バイパス通路を介して前記ベント通路側へ流すと共に、前記圧力調整ガスを前記処理容器内へ流すようにする直前工程を行うことを特徴とする請求項9記載のガス供給方法。
【請求項11】
前記第1の工程を行う前に、前記圧力調整ガスのみを前記処理容器内へ流すようにする直前工程を行うことを特徴とする請求項9記載のガス供給方法。
【請求項12】
前記直前工程の圧力調整ガスの流量は、前記第1の工程の圧力調整ガスの流量よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項10又は11記載のガス供給方法。
【請求項13】
前記処理容器に前記原料ガスと反応する反応ガスを供給する反応ガス供給系を有し、
前記第2の工程の後に、前記処理容器内へ前記反応ガスを供給する反応ガス供給工程を行うことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のガス供給方法。
【請求項14】
前記第2の工程及び前記反応ガス供給工程の内の少なくともいずれか一方の工程の直後に前記処理容器の残留雰囲気を排除するパージ工程を行うことを特徴とする請求項13記載のガス供給方法。
【請求項15】
前記各工程を順次繰り返し行うようにしたことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載のガス供給方法。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか一項に記載のガス供給方法を用いて被処理体に熱処理を施すようにしたことを特徴とする熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238641(P2012−238641A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105145(P2011−105145)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】