コンパレ一タ回路
【課題】 スイッチングトランジスタにおける入力容量の低減、ゼロクロス周波数特性の向上を図り、高周波数の矩形波をサンプリングするコンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)等の特性を改善する。
【解決手段】 プッシュプル回路40を構成するスイッチングトランジスタQ6と、前段のスイッチング回路30を構成する位相反転用トランジスタQ4のみを化合物半導体トランジスタで構成する。他のトランジスタの動作速度に限界があっても、充放電電流の減少やゼロクロス周波数の改善により、従来にない高速かつ高精度な動作(高周波数の矩形波のサンプリング等)が可能となる。
【解決手段】 プッシュプル回路40を構成するスイッチングトランジスタQ6と、前段のスイッチング回路30を構成する位相反転用トランジスタQ4のみを化合物半導体トランジスタで構成する。他のトランジスタの動作速度に限界があっても、充放電電流の減少やゼロクロス周波数の改善により、従来にない高速かつ高精度な動作(高周波数の矩形波のサンプリング等)が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレ一タ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波バイポーラトランジスタを用いたコンパレータとしては、例えば、特許文献1に記載されるものがある。
【0003】
図5は、特許文献1に記載されるコンパレータ(従来例)の構成を示す回路図である。
【0004】
図示されるように、このコンパレータは、定電流源I1と、差動対をなすPNPトランジスタ(Q7,Q8)と、ウィルソン型のカレントミラー(NPNトランジスタQ9,Q10,Q11,抵抗R10からなる)と、エミッタフォロワ(コレクタ接地NPNトランジスタ)Q12(インピーダンス変換用のバッファ回路を構成する)と、エミッタ接地のスイッチングトランジスタQ13と、抵抗R12と、クランプダイオードD1,D2と、で構成される。
【0005】
図中、Vinは入力電圧、Vref,Vrは基準電圧、+Vは正電源電圧、GNDはグランド(接地電位)、Voutは出力電圧を示す。
【0006】
回路動作は以下のとおりである。
【0007】
すなわち、入力段の差動増幅回路により入力信号Vinと基準電圧Vrefを比較し、その差を増幅し、エミッタフォロワQ12を介して、出力段のスイッチングトランジスタQ13を駆動する。
【0008】
これにより、出力段のスイッチングトランジスタQ13のコレクタから出力信号Vout(矩形波)が得られる。
【0009】
ダイオードD1およびD2はクランプ回路として働き、カレントミラーを構成するトランジスタQ10と、出力段のスイッチングトランジスタQ13のコレクタ電位が、所定値以下にならないようにする。
【0010】
これにより、トランジスタQ10およびトランジスタQ13の飽和が防止され、コンパレ一夕の高速動作が可能となる。
【特許文献1】特開2000−165213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、バイポーラトランジスタのスイッチング速度の高速化には限界がある。高速化の限界は、例えば、入力容量(主にベース・コレクタ間容量)の充放電の影響、あるいは、そのバイポーラトランジスタのゼロクロス周波数(トランジスタの開放電圧利得が0dB(1倍)となる周波数)の影響により、決まる。
【0012】
例えば、図5のコンパレータ回路では、出力段のスイッチングトランジスタQ13の動作速度や周波数特性が、コンパレータ回路の性能に直結する。
【0013】
図5の回路において、出力段のスイッチングトランジスタQ13には入力容量C1が存在し、トランジスタQ13がオフからオンに変化するときは、この入力容量C1が充電される。ここで、入力容量C1が大きいと充電に時間がかかるため、トランジスタQ13のオフからオンへの変化が遅くなり、立ち上がり遅延が生じる。
【0014】
また、トランジスタQ13がオンからオフに変化するときは、その入力容量C1の蓄積電荷が放電され、抵抗R11を介して、わずかではあるが放電電流IAが流れる。
【0015】
この放電電流IAにより、抵抗R11とトランジスタQ13のベースとの接続点の電位が上昇する。この電位上昇は、トランジスタQ13の順方向バイアス(ベース・エミッタ間電圧)を維持する方向に作用するため(つまり、トランジスタQ13のオン状態を維持する方向に作用するため)、トランジスタQ13のオンからオフへの変化が遅れ、立ち下がり遅延が生じる。特に、この立ち下がり遅延がコンパレータの高速動作に悪影響を及ぼす。
【0016】
また、トランジスタQ13は、半導体デバイスとして所定の周波数特性(ゼロクロス周波数)を有しており、入力信号の周波数がゼロクロス周波数に近くなると、ほとんど増幅ができなくなる。矩形波は高次の周波数成分を含むため、高い周波数成分の増幅が不十分であると、スイッチング出力の矩形波に鈍りが生じ、また、デューティ(Duty)が変動するという不都合が生じる。
【0017】
このように、特に、バイポーラ系のスイッチングトランジスタを含むコンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)の高速化を追求していくと、ある程度の周波数以上において、スイッチング出力の矩形波に鈍りが生じ、また、デューティ(Duty)が変動するという問題が顕在化する。
【0018】
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、スイッチングトランジスタにおける入力容量の低減をはかるとともに、ゼロクロス周波数特性の向上を図り、コンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)の特性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のコンパレータ回路は、差動回路の出力信号をスイッチングトランジスタによって位相反転し、その位相反転された信号により、プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのいずれかを駆動する構成のコンパレータ回路であって、前記スイッチングトランジスタ、および、前記出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタが、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタで構成される。
【0020】
すなわち、コンパレータ回路の性能に直結する部分のトランジスタ(つまり、スイッチング動作を行う出力段トランジスタ、および、出力段トランジスタの一方を駆動する位相反転用のスイッチングトランジスタ)を、化合物半導体材料を用いた超高速トランジスタ(化合物半導体トランジスタ)にて構成するものである。化合物半導体トランジスタは、入力容量が格段に小さく、また、ゼロクロス周波数が高い。したがって、入力容量の充放電による電流が小さくなり、また、高いゼロクロス周波数により、矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅される。よって、コンパレータ回路から出力される矩形波の鈍りやデューティ(Duty)の乱れを十分に抑制することができる。
【0021】
また、本発明のコンパレータ回路の一態様では、前記プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタは、正電源電圧とグランドとの間で動作する、トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタである。
【0022】
トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタは、高速かつ高電流駆動に適した出力段回路の形式であり、本発明の適用によって、スイッチングトランジスタのスイッチング動作や周波数特定が改善されることにより、コンパレータ回路の性能の大幅な向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明のコンパレータ回路の他の態様では、前記化合物半導体材料からなる高周波トランジスタは、GaAsFET、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、または、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBT)のいずれかである。
【0024】
現在、実用化されている化合物半導体トランジスタを使用するものである。要所のスイッチング素子のみに、現在実用化されている化合物半導体トランジスタを使用するため、実現が容易であり、また、全回路を化合物半導体トランジスタで構成する場合に比べ、製造面やコスト面で有利となる。
【0025】
また、本発明のパルス幅変調回路は、本発明のコンパレータ回路を用いて構成される。
【0026】
例えば、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータでは、パルス幅変調回路(例えば、コンパレータ回路の一方の入力端に三角波を入力し、他方の入力端に直流電圧を入力し、直流電圧のレベルに応じてパルス幅の異なるパルスを発生させる構成をもつ)の精度が発生電圧の精度に大きく影響する。本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、パルス幅変調回路の高速動作ならびに変調信号の精度の向上に貢献する。
【0027】
また、本発明の高周波トランジスタ回路の設計方法では、スイッチング動作する出力段トランジスタと、この出力段トランジスタを駆動するスイッチングトランジスタと、を化合物半導体材料からなる高周波トランジスタで構成し、その他のトランジスタは、シリコン系トランジスタで構成するようにしている。
【0028】
この方法によれば、回路の性能に直結する、出力段のスイッチングトランジスタ、および、その前段のバッファ回路を構成するスイッチングトランジスタのみに、化合物半導体トランジスタを使用するようにしているため、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを、要所のスイッチング素子に用いることで、入力容量の充放電の電流を少なくし、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができる。よって、立上がり、立下りが速く、デューティの変動が小さい矩形波を出力可能なコンパレ一夕回路が実現される。
【0030】
また、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、このコンパレータを使用することにより、高速動作可能で、かつ、高い変調精度をもつパルス幅変調回路を実現することができる。結果的に、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータ等の応用製品の性能向上に貢献する。
【0031】
また、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1に本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
【0034】
図1は、本発明のコンパレータ回路の一例の構成を示す回路図である。
【0035】
本実施の形態のコンパレータ回路は、図1に示すように、シリコン系トランジスタを主体としつつ、要所のスイッチング素子として化合物半導体トランジスタを用いて構成されている。すなわち、シリコン系トランジスタと化合物半導体トランジスタとが混在する回路(異種トランジスタ混在回路)である。
【0036】
図示されるように、コンパレータ回路は、入力段の差動回路10と、バッファ回路20と、スイッチング回路30と、出力段のプッシュプル回路40と、により構成される。
【0037】
入力段の差動回路10は、差動対をなすNPNバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)の各コレクタを、負荷抵抗(R1,R2)を介して正電線(+V)に接続し、かつ、差動対をなすバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)の共通接続されたエミッタを、電流生成用抵抗(R3)を介して、負電源(−V)に接続することにより構成されている。
【0038】
差動対をなすバイポーラトランジスタ(Q1)のベースには、入力信号Vinが与えられ、もう一方のトランジスタ(Q2)のベースには、基準電圧(Vref)が与えられている。
【0039】
バッファ回路20は、差動回路10のシングルエンド出力を電流増幅(インピーダンス変換)し、次段に伝達する働きをする回路であり、入力抵抗(R4)と、コレクタ接地NPNトランジスタ(エミッタフォロワ:Q3)と、電流制限抵抗(R5)により構成される。
【0040】
スイッチング回路30は、出力段のプッシュプル回路40を構成する2つの出力トランジスタ(Q5,Q6)の相補駆動を可能とするために、バッファ回路20の出力信号の位相を反転し、その位相反転した信号により、出力段のプッシュプル回路40を構成する上段のトランジスタ(Q5)を駆動するという働きをする。
【0041】
図示されるように、このスイッチング回路30は、入力抵抗(R6)と、エミッタ接地の化合物半導体トランジスタ(ここでは、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBTを使用するものとする)からなる位相反転用スイッチングトランジスタ(Q4)と、スイッチング負荷抵抗(R7)と、で構成されている。
【0042】
なお、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は、例えば、エミッタをAlGaAsで、ベースをGaAsで構成した構成をもつGaAs系のHBTであり、高い電流利得βを有し、高速動作が可能であるという特徴をもつもので、最近は、携帯電話の高出力電力増幅器に多く用いられている。
【0043】
なお、前記実施の形態ではHBTを用いたが、HBTの使用に限定されるものではなく、GaAsMESFET(ゲート金属を化合物半導体に直接に接触させるタイプのGaAs系基板を用いた電界効果トランジスタ)や、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等、他の化合物半導体トランジスタも使用することができる。
【0044】
また、HEMTとしては、GaAs/AlGaAsヘテロ接合を用いたものが実用化されており、その優れたマイクロ波・ミリ波特性により、衛星放送用受信器等の低雑音かつ高速の電界効果トランジスタとして広く使用されており、構造上の特徴としては、n型にドープされたAlGaAs電子供給層にノンドープのGaAsチャネル層(i−GaAs層)をヘテロ接合した半導体多層構造をもつ点である。
【0045】
また、図1のコンパレータ回路において、出力段のプッシュプル回路40は、高レベル側電源(+V)と低レベル側電源(−V)との間に、コレクタ・エミッタ経路が直列に接続された(すなわち、電源ライン間に2段重ねで接続された)、いわゆるトーテムポール接続のNPNバイポーラトランジスタ(Q5,Q6)と、ベース入力抵抗(R8,R9)により構成されている。
【0046】
ここで、下側のトランジスタ(Q6)は、トランジスタ(Q4)と同様に、HBT(あるいは、GaAsFETやHEMT)等の化合物半導体トランジスタを用いて構成されている。
【0047】
化合物半導体トランジスタは、入力容量が格段に小さく、また、ゼロクロス周波数が高く、広帯域特性に優れている。したがって、入力容量の充放電の電流を低減し、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することが可能である。
【0048】
図1のコンパレータ回路は、回路の性能に直結するスイッチング素子部分のみに、化合物半導体トランジスタを使用することによって、立上がり、立下りが速くなっており、また、デューティの変動が小さい矩形波を出力することができる。
【0049】
次に、図1のコンパレータ回路の動作について説明する。以下の説明では、化合物半導体トランジスタとして、HBTを使用した場合を想定して説明する。なお、GaAsFETやHEMTを使用する場合には、以下の説明における「ベース」を「ゲート」に、「コレクタ」を「ドレイン」に、「エミッタ」を「ソース」に、各々置換すればよい。
【0050】
入力段のバイポーラトランジスタ(Q1)のベースに入力された信号(Vin)は、このQ1と対をなすバイポーラトランジスタ(Q2)のベースに入力された基準電圧(Vref)と比較され、この基準電圧(Vref)よりも入力電圧(Vin)の電圧が高レベルである場合は、Q1がオンし、この時流れる電流により、負荷抵抗(R1)で電圧降下が生じ、ローレベルの電圧がバッファ回路20を構成するトランジスタ(Q3)のベースに入力される。
【0051】
同様に、基準電圧(Vref)が入力電圧(Vin)より高レベルである場合は、バイポーラトランジスタ(Q1)はオフし、ハイレベルの電圧がバッファ回路20を構成するトランジスタ(Q3)のベースに入力される。
【0052】
バッファ回路20では、トランジスタ(Q3)のベースに入力された電圧が、バイポーラトランジスタ(Q3)の順方向電圧(Vf:ベース・エミッタ間電圧)分だけドロップした後、電圧利得1でエミッタより出力される。
【0053】
スイッチング回路30では、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がスイッチング動作する。すなわち、バッファ回路20の出力がハイレベルの時は、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がオンして、スイッチング負荷抵抗(R7)の電圧降下が生じて、低レベルの電圧が出力される。
【0054】
逆に、バッファ回路20の出力がローレベルの時は、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がオフし、ハイレベルの電圧が出力される。
【0055】
プッシュプル回路40を構成する上下2段の出力段トランジスタのうち、上段のトランジスタ(Q5)はエミッタフォロワ(コレクタ接地NPNバイポーラトランジスタ)であり(本質的に、スイッチング動作はしない)、スイッチング回路30の出力信号を電流増幅して出力する。
【0056】
一方、下段のトランジスタQ6は、エミッタ接地NPNバイポーラトランジスタ(スイッチングトランジスタ)であり、バッファ回路20の出力信号により、オン/オフ駆動される。
【0057】
スイッチング回路30の出力信号とバッファ回路20の出力信号の位相は互い逆相であるため、プッシュプル回路40を構成するバイポーラトランジスタ(Q5)と化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q6)は交互に(つまり、相補的に)オン/オフすることになる。
【0058】
トランジスタ(Q5)がオン、トランジスタQ6がオフの時は、Voutとして、ハイレベルの電圧が出力され、逆に、トランジスタ(Q5)がオフ、トランジスタ(Q6)がオンの時はローレベルの電圧が出力される。
【0059】
ここで、スイッチング回路30におけるスイッチングトランジスタ(Q4)、ならびに、プッシュプル回路40におけるトランジスタ(Q6)がスイッチング動作するとき、各トランジスタの入力容量に対して、わずかな時間ではあるが充放電が行われ、特に、放電時に、放電電流がバッファ回路20のエミッタ抵抗(R5)に流れ込むことで、不要な電圧が発生し、この不要な電圧は、各スイッチングトランジスタ(Q4,Q6)のベース・エミッタ間をバイアスする形になるため、各トランジスタのオンが維持される方向に作用し、各トランジスタ(Q4,Q6)のオフが遅れることになる。
【0060】
コンパレ一夕回路の動作が比較的遅い時には、このようなことは何ら問題とならないが、非常に高い周波数で高速動作する場合には、この不要な電圧により、トランジスタ(Q4、Q6)のスイッチング動作に支障をきたし、結果として本来出力されるべきよりも、出力矩形波が歪み、また、そのデューティ(Duty)が大きく変動してしまう。
【0061】
また、プッシュプル回路40を構成する、トーテムポール接続のNPNバイポーラトランジスタは、電源ライン間に直列接続されているため、一方のトランジスタのオフが遅れると、両トランジスタが同時オンして、高レベル電源ラインから低レベル電源ラインに大電流(ラッシュカレント)が流れる危険性が常に存在し、この点でも、各スイッチングトランジスタ(Q4,Q6)のスイッチングの高速性は、常に確保されなければならない。
【0062】
図1の本発明の回路では、回路性能に直結する(出力段の動作に関係する部分の)スイッチング素子(Q4,Q6として、本来マイクロ波、ミリ波回路用に設計された、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを用いる。
【0063】
したがって、通常のバイポーラトランジスタに比べ入力容量を格段に小さくすることができ、容量の充放に伴うスイッチング動作の遅延を低減することができる(この点については、図2,図3を参照して後述する)。
【0064】
また、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタの高いゼロ周波数特性により、矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができ、矩形波の立上がり、立下りを速くすることができる。これにより従来にない高速動作が可能となる。
【0065】
次に、図1の本発明のコンパレータ回路において、スイッチングトランジスタの入力容量の充放電に伴う電流が低減され、高速スイッチングが確保される点につき、回路シミュレーション結果を用いて、具体的に説明する。
【0066】
図2は、比較例としての従来回路(シリコン系トランジスタのみで構成したコンパレータ回路)における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの発生)を示す図である。図3は、図1の本発明のコンパレータ回路における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの解消、高速な立ち上がりと立ち下がり)を示す図である。
【0067】
図2、図3において、横軸は時間軸であり、縦軸は電圧を示す。また、各図において、電圧の特性線Aは、図1のコンパレータ回路におけるバッファ回路20の、出力信号の電圧の変化を示しており、同じく、特性線Bは、スイッチング回路30における電圧の変化を示している。
【0068】
図2の従来例では、図中、丸で囲んで示される部分Xにおいて、バッファ回路20の出力に不要電圧が発生しており(特性線Aで示される電圧がすぐに低下せず、立ち下がりが遅くなっている)、これに伴い、スイッチング回路30の立ち上がりがシャープさを欠き、スイッチング遅延が生じている。
【0069】
これに対し、図3の本発明のコンパレータ回路の場合、図2に見られるような、不要電圧の発生はまったくみられず、スイッチング回路30の出力の立ち上がりも、急峻であり、高速な立ち上がり、立ち下がり特性であることがわかる。
【0070】
このように、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮するコンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)を構築することができる。
【0071】
また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【0072】
(第2の実施形態)
【0073】
本実施形態では、本発明のコンパレータ回路をパルス幅変調回路として使用した場合について説明する。
【0074】
図4は、本発明のコンパレータ回路を用いたパルス幅変調回路の一例の構成を示す回路図である。
【0075】
図示されるように、パルス幅変調回路50は、本発明のコンパレータ回路51と、三角波発生回路52と、を含んで構成される。
【0076】
コンパレータ回路51の非反転入力端子には、三角波発生回路52から出力される三角波が入力され、反転入力端子には、入力直流電圧(Vin)が入力される。そして、コンパレータ回路51にて、双方の信号の電圧レベルが比較され、その結果、入力直流電圧(Vin)のレベルに応じてパルス幅の異なるパルスが、コンパレータ51から出力される。
【0077】
上記のとおり、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、パルス幅変調回路の高速動作ならびに変調信号の精度の向上に貢献する。
【0078】
すなわち、本発明のコンパレータをパルス幅変調回路として用いた場合、高速な入力信号に対しても充分なサンプリングが可能である。
【0079】
例えば、携帯電話にかかる次世代高効率基地局アンプの方式であるEER(Envelope Elimination and Restoration)において、RFアンプの電源アンプでは、高遠な入力信号を高効率かつ高精度で増幅しRFアンプに供給することが重要であるが、このコンパレ一夕回路をパルス幅変調器として用いれば、高速な入力信号を高精度で矩形波に変換することが可能で、このコンパレータの出力をスイッチング増幅した後、積分してRFアンプに供給すれば、先に述べた高効率かつ高精度の電源電圧を作成することができる。よって、基地局アンプの高効率化が実現できる。
【0080】
また、本発明にかかるコンパレ一タ回路は、非常に高遠動作が可能で、DC−DCコンバータの制御部に用いても高精度な制御が可能となり有用である。
【0081】
以上説明したように本発明によれば、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを、要所のスイッチング素子に用いることで、入力容量の充放電の電流を少なくし、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができる。よって、立上がり、立下りが速く、デューティの変動が小さい矩形波を出力可能なコンパレ一夕回路が実現される。
【0082】
また、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、このコンパレータを使用することにより、高速動作可能で、かつ、高い変調精度をもつパルス幅変調回路を実現することができる。結果的に、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータ等の応用製品の性能向上に貢献する。
【0083】
また、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【0084】
なお、本発明は、コンパレータ回路に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の高周波トランジスタ回路にも幅広く応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、歪みやデューティの変化が少ない矩形波を出力可能な、高速動作が可能なコンパレータ回路を実現することができるという効果を奏し、したがって、例えば、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータに使用されるコンパレータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1のコンパレータ回路の一例の構成を示す回路図
【図2】比較例としての従来回路(シリコン系トランジスタのみで構成したコンパレータ回路)における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの発生)を示す図
【図3】図1の本発明のコンパレータ回路における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの解消、高速な立ち上がりと立ち下がり)を示す図
【図4】本発明の実施の形態2としての、本発明のコンパレータ回路を用いたパルス幅変調回路の一例の構成を示す回路図
【図5】従来例のコンパレータ回路の構成を示す回路図
【符号の説明】
【0087】
10 差動回路
20 バッファ回路
30 スイッチング回路
40 プッシュプル回路
50 パルス幅変調回路
51 コンパレータ
52 三角波発生回路
Q1、Q2、Q3、Q5 シリコン系トランジスタ
Q4、Q6 化合物半導体トランジスタ(HBT、GaAsFET、HEMTなど)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレ一タ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波バイポーラトランジスタを用いたコンパレータとしては、例えば、特許文献1に記載されるものがある。
【0003】
図5は、特許文献1に記載されるコンパレータ(従来例)の構成を示す回路図である。
【0004】
図示されるように、このコンパレータは、定電流源I1と、差動対をなすPNPトランジスタ(Q7,Q8)と、ウィルソン型のカレントミラー(NPNトランジスタQ9,Q10,Q11,抵抗R10からなる)と、エミッタフォロワ(コレクタ接地NPNトランジスタ)Q12(インピーダンス変換用のバッファ回路を構成する)と、エミッタ接地のスイッチングトランジスタQ13と、抵抗R12と、クランプダイオードD1,D2と、で構成される。
【0005】
図中、Vinは入力電圧、Vref,Vrは基準電圧、+Vは正電源電圧、GNDはグランド(接地電位)、Voutは出力電圧を示す。
【0006】
回路動作は以下のとおりである。
【0007】
すなわち、入力段の差動増幅回路により入力信号Vinと基準電圧Vrefを比較し、その差を増幅し、エミッタフォロワQ12を介して、出力段のスイッチングトランジスタQ13を駆動する。
【0008】
これにより、出力段のスイッチングトランジスタQ13のコレクタから出力信号Vout(矩形波)が得られる。
【0009】
ダイオードD1およびD2はクランプ回路として働き、カレントミラーを構成するトランジスタQ10と、出力段のスイッチングトランジスタQ13のコレクタ電位が、所定値以下にならないようにする。
【0010】
これにより、トランジスタQ10およびトランジスタQ13の飽和が防止され、コンパレ一夕の高速動作が可能となる。
【特許文献1】特開2000−165213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、バイポーラトランジスタのスイッチング速度の高速化には限界がある。高速化の限界は、例えば、入力容量(主にベース・コレクタ間容量)の充放電の影響、あるいは、そのバイポーラトランジスタのゼロクロス周波数(トランジスタの開放電圧利得が0dB(1倍)となる周波数)の影響により、決まる。
【0012】
例えば、図5のコンパレータ回路では、出力段のスイッチングトランジスタQ13の動作速度や周波数特性が、コンパレータ回路の性能に直結する。
【0013】
図5の回路において、出力段のスイッチングトランジスタQ13には入力容量C1が存在し、トランジスタQ13がオフからオンに変化するときは、この入力容量C1が充電される。ここで、入力容量C1が大きいと充電に時間がかかるため、トランジスタQ13のオフからオンへの変化が遅くなり、立ち上がり遅延が生じる。
【0014】
また、トランジスタQ13がオンからオフに変化するときは、その入力容量C1の蓄積電荷が放電され、抵抗R11を介して、わずかではあるが放電電流IAが流れる。
【0015】
この放電電流IAにより、抵抗R11とトランジスタQ13のベースとの接続点の電位が上昇する。この電位上昇は、トランジスタQ13の順方向バイアス(ベース・エミッタ間電圧)を維持する方向に作用するため(つまり、トランジスタQ13のオン状態を維持する方向に作用するため)、トランジスタQ13のオンからオフへの変化が遅れ、立ち下がり遅延が生じる。特に、この立ち下がり遅延がコンパレータの高速動作に悪影響を及ぼす。
【0016】
また、トランジスタQ13は、半導体デバイスとして所定の周波数特性(ゼロクロス周波数)を有しており、入力信号の周波数がゼロクロス周波数に近くなると、ほとんど増幅ができなくなる。矩形波は高次の周波数成分を含むため、高い周波数成分の増幅が不十分であると、スイッチング出力の矩形波に鈍りが生じ、また、デューティ(Duty)が変動するという不都合が生じる。
【0017】
このように、特に、バイポーラ系のスイッチングトランジスタを含むコンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)の高速化を追求していくと、ある程度の周波数以上において、スイッチング出力の矩形波に鈍りが生じ、また、デューティ(Duty)が変動するという問題が顕在化する。
【0018】
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、スイッチングトランジスタにおける入力容量の低減をはかるとともに、ゼロクロス周波数特性の向上を図り、コンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)の特性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のコンパレータ回路は、差動回路の出力信号をスイッチングトランジスタによって位相反転し、その位相反転された信号により、プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのいずれかを駆動する構成のコンパレータ回路であって、前記スイッチングトランジスタ、および、前記出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタが、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタで構成される。
【0020】
すなわち、コンパレータ回路の性能に直結する部分のトランジスタ(つまり、スイッチング動作を行う出力段トランジスタ、および、出力段トランジスタの一方を駆動する位相反転用のスイッチングトランジスタ)を、化合物半導体材料を用いた超高速トランジスタ(化合物半導体トランジスタ)にて構成するものである。化合物半導体トランジスタは、入力容量が格段に小さく、また、ゼロクロス周波数が高い。したがって、入力容量の充放電による電流が小さくなり、また、高いゼロクロス周波数により、矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅される。よって、コンパレータ回路から出力される矩形波の鈍りやデューティ(Duty)の乱れを十分に抑制することができる。
【0021】
また、本発明のコンパレータ回路の一態様では、前記プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタは、正電源電圧とグランドとの間で動作する、トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタである。
【0022】
トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタは、高速かつ高電流駆動に適した出力段回路の形式であり、本発明の適用によって、スイッチングトランジスタのスイッチング動作や周波数特定が改善されることにより、コンパレータ回路の性能の大幅な向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明のコンパレータ回路の他の態様では、前記化合物半導体材料からなる高周波トランジスタは、GaAsFET、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、または、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBT)のいずれかである。
【0024】
現在、実用化されている化合物半導体トランジスタを使用するものである。要所のスイッチング素子のみに、現在実用化されている化合物半導体トランジスタを使用するため、実現が容易であり、また、全回路を化合物半導体トランジスタで構成する場合に比べ、製造面やコスト面で有利となる。
【0025】
また、本発明のパルス幅変調回路は、本発明のコンパレータ回路を用いて構成される。
【0026】
例えば、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータでは、パルス幅変調回路(例えば、コンパレータ回路の一方の入力端に三角波を入力し、他方の入力端に直流電圧を入力し、直流電圧のレベルに応じてパルス幅の異なるパルスを発生させる構成をもつ)の精度が発生電圧の精度に大きく影響する。本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、パルス幅変調回路の高速動作ならびに変調信号の精度の向上に貢献する。
【0027】
また、本発明の高周波トランジスタ回路の設計方法では、スイッチング動作する出力段トランジスタと、この出力段トランジスタを駆動するスイッチングトランジスタと、を化合物半導体材料からなる高周波トランジスタで構成し、その他のトランジスタは、シリコン系トランジスタで構成するようにしている。
【0028】
この方法によれば、回路の性能に直結する、出力段のスイッチングトランジスタ、および、その前段のバッファ回路を構成するスイッチングトランジスタのみに、化合物半導体トランジスタを使用するようにしているため、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを、要所のスイッチング素子に用いることで、入力容量の充放電の電流を少なくし、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができる。よって、立上がり、立下りが速く、デューティの変動が小さい矩形波を出力可能なコンパレ一夕回路が実現される。
【0030】
また、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、このコンパレータを使用することにより、高速動作可能で、かつ、高い変調精度をもつパルス幅変調回路を実現することができる。結果的に、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータ等の応用製品の性能向上に貢献する。
【0031】
また、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1に本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
【0034】
図1は、本発明のコンパレータ回路の一例の構成を示す回路図である。
【0035】
本実施の形態のコンパレータ回路は、図1に示すように、シリコン系トランジスタを主体としつつ、要所のスイッチング素子として化合物半導体トランジスタを用いて構成されている。すなわち、シリコン系トランジスタと化合物半導体トランジスタとが混在する回路(異種トランジスタ混在回路)である。
【0036】
図示されるように、コンパレータ回路は、入力段の差動回路10と、バッファ回路20と、スイッチング回路30と、出力段のプッシュプル回路40と、により構成される。
【0037】
入力段の差動回路10は、差動対をなすNPNバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)の各コレクタを、負荷抵抗(R1,R2)を介して正電線(+V)に接続し、かつ、差動対をなすバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)の共通接続されたエミッタを、電流生成用抵抗(R3)を介して、負電源(−V)に接続することにより構成されている。
【0038】
差動対をなすバイポーラトランジスタ(Q1)のベースには、入力信号Vinが与えられ、もう一方のトランジスタ(Q2)のベースには、基準電圧(Vref)が与えられている。
【0039】
バッファ回路20は、差動回路10のシングルエンド出力を電流増幅(インピーダンス変換)し、次段に伝達する働きをする回路であり、入力抵抗(R4)と、コレクタ接地NPNトランジスタ(エミッタフォロワ:Q3)と、電流制限抵抗(R5)により構成される。
【0040】
スイッチング回路30は、出力段のプッシュプル回路40を構成する2つの出力トランジスタ(Q5,Q6)の相補駆動を可能とするために、バッファ回路20の出力信号の位相を反転し、その位相反転した信号により、出力段のプッシュプル回路40を構成する上段のトランジスタ(Q5)を駆動するという働きをする。
【0041】
図示されるように、このスイッチング回路30は、入力抵抗(R6)と、エミッタ接地の化合物半導体トランジスタ(ここでは、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBTを使用するものとする)からなる位相反転用スイッチングトランジスタ(Q4)と、スイッチング負荷抵抗(R7)と、で構成されている。
【0042】
なお、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は、例えば、エミッタをAlGaAsで、ベースをGaAsで構成した構成をもつGaAs系のHBTであり、高い電流利得βを有し、高速動作が可能であるという特徴をもつもので、最近は、携帯電話の高出力電力増幅器に多く用いられている。
【0043】
なお、前記実施の形態ではHBTを用いたが、HBTの使用に限定されるものではなく、GaAsMESFET(ゲート金属を化合物半導体に直接に接触させるタイプのGaAs系基板を用いた電界効果トランジスタ)や、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等、他の化合物半導体トランジスタも使用することができる。
【0044】
また、HEMTとしては、GaAs/AlGaAsヘテロ接合を用いたものが実用化されており、その優れたマイクロ波・ミリ波特性により、衛星放送用受信器等の低雑音かつ高速の電界効果トランジスタとして広く使用されており、構造上の特徴としては、n型にドープされたAlGaAs電子供給層にノンドープのGaAsチャネル層(i−GaAs層)をヘテロ接合した半導体多層構造をもつ点である。
【0045】
また、図1のコンパレータ回路において、出力段のプッシュプル回路40は、高レベル側電源(+V)と低レベル側電源(−V)との間に、コレクタ・エミッタ経路が直列に接続された(すなわち、電源ライン間に2段重ねで接続された)、いわゆるトーテムポール接続のNPNバイポーラトランジスタ(Q5,Q6)と、ベース入力抵抗(R8,R9)により構成されている。
【0046】
ここで、下側のトランジスタ(Q6)は、トランジスタ(Q4)と同様に、HBT(あるいは、GaAsFETやHEMT)等の化合物半導体トランジスタを用いて構成されている。
【0047】
化合物半導体トランジスタは、入力容量が格段に小さく、また、ゼロクロス周波数が高く、広帯域特性に優れている。したがって、入力容量の充放電の電流を低減し、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することが可能である。
【0048】
図1のコンパレータ回路は、回路の性能に直結するスイッチング素子部分のみに、化合物半導体トランジスタを使用することによって、立上がり、立下りが速くなっており、また、デューティの変動が小さい矩形波を出力することができる。
【0049】
次に、図1のコンパレータ回路の動作について説明する。以下の説明では、化合物半導体トランジスタとして、HBTを使用した場合を想定して説明する。なお、GaAsFETやHEMTを使用する場合には、以下の説明における「ベース」を「ゲート」に、「コレクタ」を「ドレイン」に、「エミッタ」を「ソース」に、各々置換すればよい。
【0050】
入力段のバイポーラトランジスタ(Q1)のベースに入力された信号(Vin)は、このQ1と対をなすバイポーラトランジスタ(Q2)のベースに入力された基準電圧(Vref)と比較され、この基準電圧(Vref)よりも入力電圧(Vin)の電圧が高レベルである場合は、Q1がオンし、この時流れる電流により、負荷抵抗(R1)で電圧降下が生じ、ローレベルの電圧がバッファ回路20を構成するトランジスタ(Q3)のベースに入力される。
【0051】
同様に、基準電圧(Vref)が入力電圧(Vin)より高レベルである場合は、バイポーラトランジスタ(Q1)はオフし、ハイレベルの電圧がバッファ回路20を構成するトランジスタ(Q3)のベースに入力される。
【0052】
バッファ回路20では、トランジスタ(Q3)のベースに入力された電圧が、バイポーラトランジスタ(Q3)の順方向電圧(Vf:ベース・エミッタ間電圧)分だけドロップした後、電圧利得1でエミッタより出力される。
【0053】
スイッチング回路30では、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がスイッチング動作する。すなわち、バッファ回路20の出力がハイレベルの時は、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がオンして、スイッチング負荷抵抗(R7)の電圧降下が生じて、低レベルの電圧が出力される。
【0054】
逆に、バッファ回路20の出力がローレベルの時は、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q4)がオフし、ハイレベルの電圧が出力される。
【0055】
プッシュプル回路40を構成する上下2段の出力段トランジスタのうち、上段のトランジスタ(Q5)はエミッタフォロワ(コレクタ接地NPNバイポーラトランジスタ)であり(本質的に、スイッチング動作はしない)、スイッチング回路30の出力信号を電流増幅して出力する。
【0056】
一方、下段のトランジスタQ6は、エミッタ接地NPNバイポーラトランジスタ(スイッチングトランジスタ)であり、バッファ回路20の出力信号により、オン/オフ駆動される。
【0057】
スイッチング回路30の出力信号とバッファ回路20の出力信号の位相は互い逆相であるため、プッシュプル回路40を構成するバイポーラトランジスタ(Q5)と化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタ(Q6)は交互に(つまり、相補的に)オン/オフすることになる。
【0058】
トランジスタ(Q5)がオン、トランジスタQ6がオフの時は、Voutとして、ハイレベルの電圧が出力され、逆に、トランジスタ(Q5)がオフ、トランジスタ(Q6)がオンの時はローレベルの電圧が出力される。
【0059】
ここで、スイッチング回路30におけるスイッチングトランジスタ(Q4)、ならびに、プッシュプル回路40におけるトランジスタ(Q6)がスイッチング動作するとき、各トランジスタの入力容量に対して、わずかな時間ではあるが充放電が行われ、特に、放電時に、放電電流がバッファ回路20のエミッタ抵抗(R5)に流れ込むことで、不要な電圧が発生し、この不要な電圧は、各スイッチングトランジスタ(Q4,Q6)のベース・エミッタ間をバイアスする形になるため、各トランジスタのオンが維持される方向に作用し、各トランジスタ(Q4,Q6)のオフが遅れることになる。
【0060】
コンパレ一夕回路の動作が比較的遅い時には、このようなことは何ら問題とならないが、非常に高い周波数で高速動作する場合には、この不要な電圧により、トランジスタ(Q4、Q6)のスイッチング動作に支障をきたし、結果として本来出力されるべきよりも、出力矩形波が歪み、また、そのデューティ(Duty)が大きく変動してしまう。
【0061】
また、プッシュプル回路40を構成する、トーテムポール接続のNPNバイポーラトランジスタは、電源ライン間に直列接続されているため、一方のトランジスタのオフが遅れると、両トランジスタが同時オンして、高レベル電源ラインから低レベル電源ラインに大電流(ラッシュカレント)が流れる危険性が常に存在し、この点でも、各スイッチングトランジスタ(Q4,Q6)のスイッチングの高速性は、常に確保されなければならない。
【0062】
図1の本発明の回路では、回路性能に直結する(出力段の動作に関係する部分の)スイッチング素子(Q4,Q6として、本来マイクロ波、ミリ波回路用に設計された、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを用いる。
【0063】
したがって、通常のバイポーラトランジスタに比べ入力容量を格段に小さくすることができ、容量の充放に伴うスイッチング動作の遅延を低減することができる(この点については、図2,図3を参照して後述する)。
【0064】
また、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタの高いゼロ周波数特性により、矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができ、矩形波の立上がり、立下りを速くすることができる。これにより従来にない高速動作が可能となる。
【0065】
次に、図1の本発明のコンパレータ回路において、スイッチングトランジスタの入力容量の充放電に伴う電流が低減され、高速スイッチングが確保される点につき、回路シミュレーション結果を用いて、具体的に説明する。
【0066】
図2は、比較例としての従来回路(シリコン系トランジスタのみで構成したコンパレータ回路)における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの発生)を示す図である。図3は、図1の本発明のコンパレータ回路における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの解消、高速な立ち上がりと立ち下がり)を示す図である。
【0067】
図2、図3において、横軸は時間軸であり、縦軸は電圧を示す。また、各図において、電圧の特性線Aは、図1のコンパレータ回路におけるバッファ回路20の、出力信号の電圧の変化を示しており、同じく、特性線Bは、スイッチング回路30における電圧の変化を示している。
【0068】
図2の従来例では、図中、丸で囲んで示される部分Xにおいて、バッファ回路20の出力に不要電圧が発生しており(特性線Aで示される電圧がすぐに低下せず、立ち下がりが遅くなっている)、これに伴い、スイッチング回路30の立ち上がりがシャープさを欠き、スイッチング遅延が生じている。
【0069】
これに対し、図3の本発明のコンパレータ回路の場合、図2に見られるような、不要電圧の発生はまったくみられず、スイッチング回路30の出力の立ち上がりも、急峻であり、高速な立ち上がり、立ち下がり特性であることがわかる。
【0070】
このように、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮するコンパレータ回路(高周波トランジスタ回路)を構築することができる。
【0071】
また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【0072】
(第2の実施形態)
【0073】
本実施形態では、本発明のコンパレータ回路をパルス幅変調回路として使用した場合について説明する。
【0074】
図4は、本発明のコンパレータ回路を用いたパルス幅変調回路の一例の構成を示す回路図である。
【0075】
図示されるように、パルス幅変調回路50は、本発明のコンパレータ回路51と、三角波発生回路52と、を含んで構成される。
【0076】
コンパレータ回路51の非反転入力端子には、三角波発生回路52から出力される三角波が入力され、反転入力端子には、入力直流電圧(Vin)が入力される。そして、コンパレータ回路51にて、双方の信号の電圧レベルが比較され、その結果、入力直流電圧(Vin)のレベルに応じてパルス幅の異なるパルスが、コンパレータ51から出力される。
【0077】
上記のとおり、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、パルス幅変調回路の高速動作ならびに変調信号の精度の向上に貢献する。
【0078】
すなわち、本発明のコンパレータをパルス幅変調回路として用いた場合、高速な入力信号に対しても充分なサンプリングが可能である。
【0079】
例えば、携帯電話にかかる次世代高効率基地局アンプの方式であるEER(Envelope Elimination and Restoration)において、RFアンプの電源アンプでは、高遠な入力信号を高効率かつ高精度で増幅しRFアンプに供給することが重要であるが、このコンパレ一夕回路をパルス幅変調器として用いれば、高速な入力信号を高精度で矩形波に変換することが可能で、このコンパレータの出力をスイッチング増幅した後、積分してRFアンプに供給すれば、先に述べた高効率かつ高精度の電源電圧を作成することができる。よって、基地局アンプの高効率化が実現できる。
【0080】
また、本発明にかかるコンパレ一タ回路は、非常に高遠動作が可能で、DC−DCコンバータの制御部に用いても高精度な制御が可能となり有用である。
【0081】
以上説明したように本発明によれば、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタを、要所のスイッチング素子に用いることで、入力容量の充放電の電流を少なくし、また、高いゼロクロス周波数によって矩形波の高次の周波数成分まで安定して増幅することができる。よって、立上がり、立下りが速く、デューティの変動が小さい矩形波を出力可能なコンパレ一夕回路が実現される。
【0082】
また、本発明のコンパレータ回路は、極めて広い帯域において高精度の矩形波を出力可能であり、このコンパレータを使用することにより、高速動作可能で、かつ、高い変調精度をもつパルス幅変調回路を実現することができる。結果的に、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータ等の応用製品の性能向上に貢献する。
【0083】
また、回路の性能に直結する、要所のスイッチング素子のみに化合物半導体トランジスタを使用することで、他のトランジスタの動作は遅くても、通常のシリコン系トランジスタを用いた回路の限界を越えた高速性能を発揮する高周波トランジスタ回路を構築することができる。また、全回路を化合物半導体素子で構成する場合に比べ、回路の設計、製造、コスト面でも負担が少なく有利となる。
【0084】
なお、本発明は、コンパレータ回路に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、他の高周波トランジスタ回路にも幅広く応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、歪みやデューティの変化が少ない矩形波を出力可能な、高速動作が可能なコンパレータ回路を実現することができるという効果を奏し、したがって、例えば、PWM制御方式のスイッチング電源やDC−DCコンバータに使用されるコンパレータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1のコンパレータ回路の一例の構成を示す回路図
【図2】比較例としての従来回路(シリコン系トランジスタのみで構成したコンパレータ回路)における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの発生)を示す図
【図3】図1の本発明のコンパレータ回路における、信号シミュレーション結果(矩形波の鈍りの解消、高速な立ち上がりと立ち下がり)を示す図
【図4】本発明の実施の形態2としての、本発明のコンパレータ回路を用いたパルス幅変調回路の一例の構成を示す回路図
【図5】従来例のコンパレータ回路の構成を示す回路図
【符号の説明】
【0087】
10 差動回路
20 バッファ回路
30 スイッチング回路
40 プッシュプル回路
50 パルス幅変調回路
51 コンパレータ
52 三角波発生回路
Q1、Q2、Q3、Q5 シリコン系トランジスタ
Q4、Q6 化合物半導体トランジスタ(HBT、GaAsFET、HEMTなど)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動回路の出力信号をスイッチングトランジスタによって位相反転し、その位相反転された信号により、プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのいずれかを駆動する構成のコンパレータ回路であって、
前記スイッチングトランジスタ、および、前記出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタが、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタで構成されることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項2】
請求項1記載のコンパレータ回路であって、
前記プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタは、正の電源電圧とグランドとの間で動作する、トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタであることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、GaAsFETであることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)であることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBT)であることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンパレータ回路を用いて構成されたパルス幅変調回路。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンパレータを含む高周波トランジスタ回路の設計方法であって、
プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタと、前記出力段トランジスタの前段の位相反転用のスイッチングトランジスタとを化合物半導体材料からなる高周波トランジスタで構成し、その他のトランジスタは、シリコン系トランジスタで構成する設計工程を含むことを特徴とする高周波トランジスタ回路の設計方法。
【請求項1】
差動回路の出力信号をスイッチングトランジスタによって位相反転し、その位相反転された信号により、プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのいずれかを駆動する構成のコンパレータ回路であって、
前記スイッチングトランジスタ、および、前記出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタが、化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタで構成されることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項2】
請求項1記載のコンパレータ回路であって、
前記プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタは、正の電源電圧とグランドとの間で動作する、トーテムポール接続されたNPNバイポーラトランジスタであることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、GaAsFETであることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)であることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のコンパレータ回路であって、
前記化合物半導体材料を用いた高周波トランジスタは、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Hetero-junction bipolar transistor:HBT)であることを特徴とするコンパレータ回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンパレータ回路を用いて構成されたパルス幅変調回路。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンパレータを含む高周波トランジスタ回路の設計方法であって、
プッシュプル回路を構成する出力段トランジスタのうちのスイッチング動作を行うトランジスタと、前記出力段トランジスタの前段の位相反転用のスイッチングトランジスタとを化合物半導体材料からなる高周波トランジスタで構成し、その他のトランジスタは、シリコン系トランジスタで構成する設計工程を含むことを特徴とする高周波トランジスタ回路の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2006−74365(P2006−74365A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254393(P2004−254393)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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