説明

シラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための固有抵抗の使用及び相応する方法

本発明は、固有抵抗を測定するための機器を使用してシラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための方法に関する。本発明はさらに、固有抵抗を測定するための機器を使用した品質管理を含めた、シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填のためのプラントに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有抵抗を測定するための機器を使用してシラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための方法に関する。本発明はさらに、固有抵抗を測定するための機器を使用した品質管理を含めた、シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填のためのプラントに関する。
【0002】
通常はガスであり、かつ半導体−又はソーラー工業において要求の多い適用に使用される前駆体化合物中の不純物含分の決定は困難であり、それというのも、例えばICP−MS又はICP−OESの可能な検出−及び測定限界は、このためには不十分であるためである。例えば、いわゆる前駆体化合物から例えばCVD−又は類似の方法での析出により製造されるシリコン−又はゲルマニウム膜を有する半導体−及び太陽電池製品に関しては、特に、元素周期律表の第3主族の元素による不純物(いわゆるp型不純物)の含分及び第5主族の元素による不純物(いわゆるn型不純物)の含分が重要である。
【0003】
シリコン−又はゲルマニウム前駆体化合物の場合、元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素による不純物に関する本来必要とされる検出範囲内での品質管理は、これまでにすでに困難ないしは不可能であったため、これまでにシラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填の連続的運転において、これに関連しかつ標準的に実施されるルーチン品質管理が、製造及び/又は充填された化合物の純度の多少なりとも永続的な監視(モニタリング)の意味合いでは行われていないことは当然の成り行きである。
【0004】
本発明の課題は、シラン及びゲルマンの品質管理のための方法、特に元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素に関する純度を管理するための方法を提供することであり、その際、該方法は、シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填の連続的運転において、同時ないしは時間的に近いモニタリングの意味での品質管理を可能とするのに好適であることが望ましい。特に該方法は、極めてわずかな濃度の元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素による不純物を検出及び定量化するのに好適であることが望ましく、それというのも、例えば半導体工業又は太陽電池工業において使用されるシラン及びゲルマンには純度に関して極めて高い要求が課されており、かつこの分野の顧客は特に前記の第3主族及び第5主族の元素に関する品質検証を望んでいるためである。
【0005】
前記課題は、本発明によれば、シラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための方法において、シラン又はゲルマンから、ガス状態から表面上に析出させることによってシリコン膜又はゲルマニウム膜を製造し、その後、製造した該膜の固有抵抗を測定し、該測定値から、予め定められた参照値をもとに該膜の製造に使用したシラン又はゲルマンの純度を推定することを特徴とする方法により解決される。
【0006】
従って該方法は、不純物を、シラン又はゲルマンに適用されている方法によって直接的に決定するのではなく、当該シラン又はゲルマンから製造されるシリコン膜ないしゲルマニウム膜の物理的特性を測定することによって間接的に決定することを予定しており、その際、物理的特性、即ち固有抵抗は、析出プロセスの際に膜に達する、使用されるシランないしゲルマン中の不純物の濃度によって極めて影響を受ける。特に、元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素による不純物は、シリコン膜ないしゲルマニウム膜の固有抵抗に影響を及ぼす。
【0007】
固有抵抗(比抵抗又は抵抗率の略記)は、記号ρを有する温度に依存する材料定数である。その長さにわたって一定の横断面積(物体の縦軸に対して垂直な横断面)を有する導体の電気抵抗R=ρA/lであり、ここで、Rは電気抵抗であり、ρは固有抵抗であり、lは長さであり、かつAは導体の横断面積である。従って、公知の形状の導体片の抵抗の測定値からρを求めることができる。
【0008】
本発明の範囲内では、抵抗及び膜厚の測定をいわゆるSRP法(spreading resistance probe、拡がり抵抗プローブ)により行う。そのために、上記ウェハー片を所定の角度下に基材まで研磨する。その後、抵抗の測定を2つのプローブ先端部を用いて行い、該プローブ先端部はプロファイル全体に所定の間隔で接触し、その都度所定の膜厚に対する抵抗値をもたらす。研磨角度及びパス長から膜厚も算出可能である。該方法は複数の規格において詳細に記載されており、予め記載された様式を定めている。ここで使用する方法は、SEMI規格 MF672と、該MF672中で指摘されているMF674とに準拠している。SEMI規格 MF672はSEMI規格 MF525の拡張版である。SEMI規格はASTM規格(例えばASTM F 672−80)としても公開されている。
【0009】
本発明による方法は特に工業分野のために非常に有用であるため、有利なシラン及びゲルマンは、工業的規模で使用されるシラン及びゲルマンである。従って有利には、該シラン及びゲルマンは、非置換のモノ−、ジ−又はトリシラン、又は、非置換のモノ−、ジ−又はトリゲルマン、又は、1回、数回又は完全にハロゲン置換されたモノ−、ジ−又はトリシラン、又は、1回、数回又は完全にハロゲン置換されたモノ−、ジ−又はトリゲルマンから選択されている。ここで、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、Si26、Si2Cl6、Si38、Si3Cl8、GeH4及びGeCl4は特に有利である。
【0010】
すでに言及した通り、特に元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素による不純物は、それ以外では極めて高純度のシリコン膜ないしゲルマニウム膜の固有抵抗に影響を及ぼす。従って有利には、「純度」という概念は、測定した膜における、従って該膜の製造に使用したシランないしゲルマンにおける、元素周期律表の第3主族及び第5主族からの元素の −可能な限りわずかな− 濃度を意味する。ここで、元素周期律表の第3主族からの元素による不純物をp型不純物と称する。それに対して、第5主族からの元素による不純物をn型不純物と称する。
【0011】
ここで、試験したシラン又はゲルマンの純度の間接的な決定は、最も単純なケースでは、測定した固有抵抗をもとに、使用したシラン又はゲルマンが予め定められた「純度」の最低限度を有する、即ち、固有抵抗に影響を与える不純物に関して参照シラン又は−ゲルマンと比較してより純度が高い又は低いといった言明が可能であるとの意味で、どちらかといえば定性的に行われる。
【0012】
さらに、本発明による方法によって、相応して慎重に参照値及び参照曲線(これについては以下に詳説する)を作成することで、使用したシランないしゲルマンの純度の比較的精確な定量的決定も可能となる。
【0013】
本発明による方法の一実施態様において、元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素の全含分を推定することができるが、その際、該元素はそれぞれの主族には分類されない。
【0014】
本発明のもう1つの実施態様において、純度は、一方では元素周期律表の第3主族の元素及び/又は他方では元素周期律表の第5主族の元素の全含分に関するものであることができ、その際、該不純物をそれぞれの主族に分類することも可能である。
【0015】
本発明による方法において、ガス状態から表面上への析出を、有利にはCVD法により、シランの純度を決定する場合にはシリコンウェハー上に行い、ゲルマンの純度を決定する場合にはゲルマニウムウェハー上に行う。
【0016】
CVD法の場合、好適な反応器(例えばApplied Centura HAT, ASM Epsilon 2000又はNovellus Concept One 200)中でシリコンないしゲルマニウムベースの前駆体又は前駆体混合物を蒸発させ、高温表面(例えばシリコンウェハー)上に固体の膜材料を析出させる。該方法の最近の変法、例えばRPCVD(reduced pressure chemical vapor deposition、減圧化学蒸着)、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition、低圧化学蒸着)及びPECVD(plasma enhanced pressure chemical vapor deposition、プラズマ援用化学蒸着)も有利であることが判明した。これらの方法によって、部分的に明らかに低い温度でより迅速な析出が可能となる(文献:Andreas Weber, "Chemical vapor deposition -Eine Uebersicht", Spektrum der Wissenschaft, April 1996, 86 - 90)。
【0017】
基材として、市販のSi−ないしGeウェハーが挙げられる。直径:1〜12インチ、チョクラルスキー又はフロートゾーン型、p又はn−プレドープ、配向<100>又は<111>が校正においてマッピングされていなければならない。固有抵抗0.001〜15000Ωcm。片面又は両面研磨されたウェハーを使用することができる。該ウェハーを、通常はエピタキシー反応器中で、被覆前に、H2流中で短時間、通常は0.5〜5分間加熱して、自然酸化膜を除去する。次いで、該ウェハーをチャンバから取り出さずに析出工程を行う。
【0018】
所定の膜厚から生じる固有抵抗の最終値を決定するためには、シリコン膜又はゲルマニウム膜が、<1000Ωcmの固有抵抗を有するドープされたウェハーの場合には、5〜100μm、有利には8〜50μm、特に有利には10〜20μmの厚さを有することが望ましく、>1000Ωcmの固有抵抗を有する弱くドープされたウェハーの場合(例えばフロートゾーンウェハーの場合)には、1〜50μm、有利には2〜25μm、特に有利には3〜10μmの厚さを有することが望ましい。この最小厚さによって、膜がさらに成長している場合であっても、測定した固有抵抗が通常はもはや著しく変化することがなく、析出させるべきガスによってのみ影響を受けることが保証される。この厚さを、SEMI規格に記載されている測定機器を用いて求めることができる。
【0019】
特別な一実施態様において、本発明による方法は、シラン又はゲルマンの純度の決定を、純度の、同時ないしは時間的に近いモニタリングに相応する継続的な監視の意味で繰り返し行うというように構成されていてよい。この変法は、特にこのシラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は工業的充填の範囲内で好適である。ここで、好適な量のシランないしゲルマンを規則的な間隔で標準プロセス流から分岐させるか又は引き抜き、かつエピタキシー及び引き続く測定へと供することができる。予め充填されたボトルのサンプリングに対する利点は、各々の新たなチャージの際にボトル又は樽の交換が不要であること、ボトル交換の際に汚染の可能性がないこと、並びに連続的なプロセス管理が可能であることである。
【0020】
本発明による方法を継続的な監視の意味で実施する場合には、該方法は少なくとも以下の工程:
a)シランないしゲルマンを製造又は準備する工程、
b)好適な量のシランないしゲルマンを分岐させるか又は引き抜く工程、
c)分岐させた、ないし引き抜いたシラン量ないしゲルマン量の少なくとも一部から、CVD法によって、シリコンウェハーないしゲルマニウムウェハー上にシリコン膜ないしゲルマニウム膜を製造する工程、
d)製造した膜の表面上で固有抵抗を測定する工程、及び
e)不純物元素を元素周期律表のいずれかの主族に分類することなく、測定した固有抵抗を純度に関する等級に分類する工程であって、その際、前記の純度に関する等級を有利には濃度として定めるものとする、
を含む。
【0021】
ここで、好適な量のガス状又は液状のシランないしゲルマンの分岐ないし引き抜きを、好適な導管を経由して例えばタンクから行うことができる。その後、シランないしゲルマンを、場合により蒸発器を経由してエピタキシー反応器へ移送することができる。
【0022】
「表面上での」固有抵抗の測定は、(例えば精製又は研磨による)前処理を行うか又は行わずに、直接表面上で行うことができるが、しかしながら例えば研磨後に元の表面の下方近傍で行うこともできる。
【0023】
該方法の前記変法により抵抗値を一つだけ決定する場合には、いずれの元素が不純物の原因であるかを分類することなく、元素周期律表の第3主族及び第5主族の元素の全含分のみを推定することができる。
【0024】
不純物を、一方では元素周期律表の第3主族の元素に、他方では元素周期律表の第5主族の元素に分類し得ることが望ましい場合には、前記方法を少なくとも工程d)及びe)において変更し、即ち、
工程d)において、
元のウェハー表面から測定して、膜の種々の高さで複数回測定することによって、固有抵抗のプロファイルを膜の高さに対してプロットし、かつ、
工程e)において、
不純物元素を元素周期律表の第3主族及び/又は第5主族に分類することを含めて、測定しかつ膜高さに対してプロットした固有抵抗値を純度に関する等級に分類し、その際、前記の純度に関する等級を有利には濃度として定めるものとする。
【0025】
該方法の前記変法により、抵抗を測定した膜の高さに対する抵抗プロファイルを作成する場合には、該プロファイルの形状をもとに、これが元素周期律表の第3主族の元素であるのか、又は第5主族の元素であるのかを推定することができる。これに関しては、図2及び相応する図の説明も参照のこと。該プロファイルの形状を厳密に分析することよって、これが元素周期律表の第3主族の元素と第5主族の元素との混合物であるか否かを確定することもできる。
【0026】
ここで、工程d)で実施すべき測定を、有利にはSEMI規格MF672並びにMF674により行う。
【0027】
工程e)において、その都度測定した固有抵抗値を有利には電荷キャリア濃度に換算する。抵抗プロファイルを評価する場合には、抵抗最終値、即ち、膜厚が増加してももはや変化せずに最終的な平坦部を形成する値を把握する(図2を参照のこと)。このための換算を、Thurber, Mattis, Liu及びFilibenに従うことができる(National Bureau of Standards Special Publication 400-64, The Relationship between Resistivity and Dopant density for Phosphorous and Boron Doped Silicon, May 1981中)。電荷キャリア濃度(体積割合)から、材料の密度(近似的にSiに関する値)を用いて質量割合値を例えばppb又はpptで算出することができる。ここで、抵抗測定機器SSM 2000(Semilab社)及び相応して提供される評価ソフトウェア(analysis.exe)を使用する。この評価ソフトウェアは、電荷キャリア濃度を直接表示するようにプログラムされている。
【0028】
ここに記載した方法は、本質的に、シラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するために固有抵抗測定を用いることを予定している。ここで典型的には、本発明による使用は、シランないしゲルマンの純度を間接的に決定する際に、シランないしゲルマンの少なくとも一部からのシリコン膜ないしゲルマニウム膜の製造、及び、該シリコン膜ないしゲルマニウム膜の固有抵抗の同時又は引き続く測定を含む。
【0029】
本発明のもう1つの対象は、製造したシランないしゲルマンの品質管理のための、かつ/又は充填のために予定ないし準備したシランないしゲルマンの品質管理のためのステーションを含む、シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は工業的充填のためのプラントにおいて、品質管理のためのステーションが、表面上に析出したシリコン膜ないしゲルマニウム膜の固有抵抗を測定するための機器を含むことを特徴とするプラントである。ここで、この本発明によるプラント、品質管理のためのステーション並びに固有抵抗を測定するための機器は、有利には、上記方法がその全ての観点において実施可能であるように構成されている。
【0030】
図1は、固有抵抗を測定するための機器を含む品質管理のためのステーションを含めた、シラン又はゲルマンのための製造−及び充填プラントの概略図を示す。
【0031】
図2は、それぞれ、p型及びn型不純物についての、膜厚に対する固有抵抗に関する典型的な曲線の概略図を示す。
【0032】
図3は、p型不純物(例えばホウ素)及びn型不純物(例えばリン)についての、固有抵抗(Ωcm)に対する電荷キャリア濃度(cm-3)の対数プロットを示す。
【0033】
図2に示す曲線では、膜厚dに対する固有抵抗ρに関する典型的な曲線がプロットされている。<0の左側では、基材ウェハーの固有抵抗が一定であることが見て取れる。エピタキシー膜厚の増加に伴って該抵抗は増加し、破線の場合には限界値/平坦部へと向かっている。これは、ウェハードーピングと、析出したシリコン膜又はゲルマニウム膜中の主要な不純物とが同じ型、即ちn型又はp型である場合に該当する。ウェハードーピングと析出した膜中の主要な不純物とが異なる場合、即ち、n型ウェハー/p型膜又はp型ウェハー/n型膜である場合には極大を有する実線の曲線が得られ、該極大において、ウェハーからのドーピングと膜中の不純物とがちょうど相殺される。ここでも平坦部に達しており、該平坦部はシリコン膜又はゲルマニウム膜からの不純物によってのみ決定される。ウェハーから膜へ移行する際の固有抵抗の変化は跳躍的には生じないことに留意すべきであり、それというのも、ドーピング元素ないし不純物元素は境界層を超えてもう一方の側へと移行又は拡散するためである。ウェハードーピングの知識を以て、これがp型不純物であるか又はn型不純物であるかを識別することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】固有抵抗を測定するための機器を含む品質管理のためのステーションを含めた、シラン又はゲルマンのための製造−及び充填プラントの概略図。
【図2】p型及びn型不純物についての、膜厚に対する固有抵抗に関する典型的な曲線の概略図。
【図3】p型不純物(例えばホウ素)及びn型不純物(例えばリン)についての、固有抵抗(Ωcm)に対する電荷キャリア濃度(cm-3)の対数プロット。
【実施例】
【0035】
実施例1
高純度SiCl4を予備タンクから導管を通じて蒸発器に移した。該蒸発器はさらに、ASM 2000エピタキシー反応器のガス吸入部に接続されていた。ガス状のSiCl4を、水素の存在で(部分圧 H2 1バール、SiCl4 10-3バール)1150℃で100mmシリコンウェハー(p型、約30Ωcm)上で膜厚が23μmとなるまで析出させた。前記ウェハーをSEMI MF674により準備し、その後、SEMI MF525/672によりSRP測定機器(SSM 2000)で測定した。曲線は極大を有していなかった。平坦部の範囲内での固有抵抗は(図2の破線曲線を参照のこと)>100Ωcmであった。該曲線はホウ素のようなp型不純物を推定させるものである。電荷キャリア濃度を求めたところ、<1.5×1014cm-3であった。
【0036】
実施例2
「エレクトロニクス等級」のジクロロシランを予備タンクから導管を通じてASM 2000エピタキシー反応器のガス吸入部に供給した。このガス状のジクロロシランを、水素の存在で(部分圧 H2 1バール、SiH2Cl2 10-3バール)950℃で100mmシリコンウェハー(p型、約30Ωcm)上で膜厚が16μmとなるまで析出させた。この被覆されたウェハーをSEMI MF674により準備し、その後、SEMI MF525/672によりSRP測定機器(SSM 2000)で測定した。曲線は極大を有していた。平坦部の範囲内での固有抵抗は(図2の実線曲線を参照のこと)>400Ωcmであった。該曲線はリン又はヒ素のようなn型不純物を推定させるものである。電荷キャリア濃度を求めたところ、<1.1×1013cm-3であった。
【0037】
実施例3
高純度モノシランを予備タンクから導管を通じてASM 2000エピタキシー反応器のガス吸入部に供給した。このガス状のモノシランを、水素の存在で(部分圧 H2 1バール、SiH4 10-3バール)950℃で100mmシリコンウェハー(p型、約30Ωcm)上で膜厚が15μmとなるまで析出させた。この被覆されたウェハーをSEMI MF674により準備し、その後、SEMI MF525/672によりSRP測定機器(SSM 2000)で測定した。曲線は極大を有していなかった。平坦部の範囲内での固有抵抗は(図2の破線曲線を参照のこと)>800Ωcmであった。該曲線はホウ素のようなp型不純物を推定させるものである。電荷キャリア濃度を求めたところ、<1.7×1013cm-3であった。
【符号の説明】
【0038】
1 製造及び精製、 2 予備タンク、 3 充填、 4 出荷、 5 析出(エピタキシー)、 6 固有抵抗測定、 7 焼却プラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための方法において、シラン又はゲルマンから、ガス状態から表面上に析出させることによってシリコン膜又はゲルマニウム膜を製造し、その後、製造した該膜の固有抵抗を測定し、該測定値から、予め定められた参照値をもとに該膜の製造に使用したシラン又はゲルマンの純度を推定することを特徴とする方法。
【請求項2】
シラン又はゲルマンが、非置換のモノ−、ジ−又はトリシラン、又は、非置換のモノ−、ジ−又はトリゲルマン、又は、1回、数回又は完全にハロゲン置換されたモノ−、ジ−又はトリシラン、又は、1回、数回又は完全にハロゲン置換されたモノ−、ジ−又はトリゲルマンから選択されており、その際、該シラン又はゲルマンが、有利には、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、Si26、Si2Cl6、Si38、Si3Cl8、GeH4及びGeCl4を含む群から選択されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
それぞれの主族への分類とは無関係に、純度が、元素周期律表の第3主族の元素及び第5主族の元素の全含分に関するものである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
それぞれの主族への分類を含めて、純度が、一方では元素周期律表の第3主族の元素及び/又は他方では元素周期律表の第5主族の元素の全含分に関するものである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ガス状態から表面上への析出を、CVD法により、シランの純度を決定する場合にはシリコンウェハー上に行い、ゲルマンの純度を決定する場合にはゲルマニウムウェハー上に行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
シリコン膜又はゲルマニウム膜が、<1000Ωcmの固有抵抗を有するドープされたウェハーの場合には5〜100μmの厚さを有しており、>1000Ωcmの固有抵抗を有する弱くドープされたウェハーの場合には1〜50μmの厚さを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
シラン又はゲルマンの純度の測定を、該シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填の範囲内で、純度の継続的な監視の意味で繰り返し行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
以下の工程:
a)シランないしゲルマンを製造又は準備する工程、
b)好適な量のシランないしゲルマンを分岐させるか又は引き抜く工程、
c)分岐させた、ないし引き抜いたシラン量ないしゲルマン量の少なくとも一部から、CVD法によって、シリコンウェハーないしゲルマニウムウェハー上にシリコン膜ないしゲルマニウム膜を製造する工程、
d)製造した膜の表面上で固有抵抗を測定する工程、及び
e)不純物元素を元素周期律表のいずれかの主族に分類することなく、測定した固有抵抗を純度に関する等級に分類する工程
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程d)において、
元のウェハー表面から測定して、膜の種々の高さで複数回測定することによって、固有抵抗のプロファイルを膜の高さに対してプロットし、かつ、
工程e)において、
不純物元素を元素周期律表の第3主族及び/又は第5主族に分類することを含めて、測定しかつ膜高さに対してプロットした固有抵抗値を純度に関する等級に分類する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
シラン及びゲルマンの純度を間接的に決定するための、固有抵抗測定の使用。
【請求項11】
純度の間接的な決定が、シランないしゲルマンの少なくとも一部からのシリコン膜ないしゲルマニウム膜の製造、及び、該シリコン膜ないしゲルマニウム膜の固有抵抗の同時又は引き続く測定を含む、請求項10記載の使用。
【請求項12】
製造し、かつ/又は充填のために準備したシランないしゲルマンの品質管理のためのステーションを含む、シラン又はゲルマンの工業的製造及び/又は充填のためのプラントにおいて、品質管理のための該ステーションが、表面上に析出したシリコン膜又はゲルマニウム膜の固有抵抗を測定するための機器を含むことを特徴とするプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520810(P2013−520810A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554232(P2012−554232)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070805
【国際公開番号】WO2011/103941
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】