説明

シリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物およびそれを用いたパターン形成方法

【課題】耐エッチング特性、短波長光に対する反射防止能(短波長光の吸収能)、低温硬化性を改善した中間層形成用組成物を提供する。
【解決手段】中間層形成用組成物を、
下記一般式(1)


(式中、R1、R2の少なくとも一方が架橋性基であり、mおよびnはそれぞれ0〜20の整数であり、lは繰り返し単位数を表す整数である。)で表される繰り返し単位を有するシリルフェニレン系ポリマー(A)と、溶剤(C)と、を含有させて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリルフェニレン系ポリマーを含有する中間層形成用組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、被加工層とホトレジスト層との間に形成される中間層(ハードマスク)を形成するための感光性樹脂組成物であって、上記ホトレジスト層をパターニングする際に使用される露光光の反射を防止することができるとともに、ホトレジスト層および被加工層に対して十分なエッチングレートの差を有する中間層を形成するための感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造においては、高集積度の集積回路を得るために、リソグラフィープロセスにおける加工サイズの微細化が進んでいる。このリソグラフィープロセスは、被加工層上に感光性樹脂組成物を塗布、露光、現像してレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いて配線層、誘電体層等の被加工膜をパターニングする方法である。
【0003】
従来、上述のパターニングでは、レジストパターンに覆われていない被加工膜の露出領域をドライエッチングによって除去している。しかし、レジスト層(以下、「レジストパターン」ともいう。)は、パターン加工サイズの微細化を実現するための露光光源の短波長化等に対応して薄膜化されており、それに伴ってエッチング完了までに消費される膜厚、すなわち耐エッチング膜厚が十分とは言えなくなっている。このように、従来のレジスト膜では、パターンの微細化に対応して薄膜化した場合、充分なドライエッチング耐性を確保できず、その結果、被加工膜の高精度な加工が困難となっている。
【0004】
そこで、現在、レジストパターンをマスクとした被加工膜のパターニング精度を向上させるために、被加工膜とホトレジスト層との間に中間層(ハードマスク)を挿入することが検討されるようになっている。例えば、シリコンとシリコンとの結合を主鎖に有する有機シリコン化合物を含有するとともにガラス転移温度が0℃以上の有機シリコン膜を、中間層として、被加工膜上に形成することにより、被加工膜を寸法制御性よくパターンニングできるパターン形成方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−209134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記目的に用いられる中間層には、エッチングガス(ハロゲン化ガス)に対する耐エッチング性、露光光の反射を防止(換言すれば、露光光を吸収する)特性や、低温焼成が可能なことなどの諸特性が必要となる。しかしながら、従来の中間層形成用組成物は、前記諸特性を十分に満たしていない。そのため、前記特性、特に耐エッチング特性と露光光吸収能を同時に満足させ得る中間層形成用組成物が求められているのが、現状である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、耐エッチング特性や、短波長光に対する反射防止能(短波長光の吸収能)を改善した中間層形成用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題解決のため、耐ドライエッチング特性、短波長光の吸収能に優れた中間層を形成するに好適な樹脂組成物を得るために、様々な実験、検討を行ったところ、芳香環を含むシリルフェニレン系ポリマーと、溶剤(C)とを含有させた樹脂組成物が好適であることを、知見するに至った。
【0009】
前記芳香環を含むシリルフェニレン系ポリマーは、より具体的には、
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1、R2の少なくとも一方が架橋性基であり、mおよびnはそれぞれ0〜20の整数であり、lは繰り返し単位数を表す整数である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香環含有シリルフェニレン系ポリマー(A)である。
【0010】
すなわち、本発明にかかる中間層形成用組成物は、
下記一般式(1)
【化2】

(式中、R1、R2の少なくとも一方が架橋性基であり、mおよびnはそれぞれ0〜20の整数であり、lは繰り返し単位数を表す整数である。)
で表される繰り返し単位を有するシリルフェニレン系ポリマー(A)と、
溶剤(C)と、
を含有してなることを特徴とする。
【0011】
上記構成を特徴とする本発明によれば、短波長光の反射を防止することができ、ホトレジスト層および被加工膜に対して十分なエッチングレートの差を有する中間層を形成することができる樹脂組成物(中間層形成用組成物)を提供することができる。
この樹脂組成物には、前記ポリマーを架橋させる触媒物質を発生させる架橋触媒発生剤(B)を含有していることが好ましい。前記架橋触媒とは酸もしくは塩基であり、前記架橋触媒発生剤とは、熱または光を受けて前記ポリマーを架橋させる酸を発生させる酸発生剤、あるいは前記ポリマーを架橋させる塩基を熱または光を受けて発生させる塩基発生剤である。
【0012】
また、本発明のパターン形成方法は、上記中間層形成用組成物のうち光を受けて酸または塩基を発生させる架橋触媒発生剤を用いた組成物を被加工膜上に塗布し、この塗布膜をプリベークして中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層形成工程で形成された中間層上に、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、上記レジストパターン形成工程で形成されたレジストパターンをマスクとして、少なくとも前記中間層をドライエッチングして中間層にパターンを形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の中間層形成用組成物により形成した中間層は、短波長光に対する高い吸収能を有し、上層のホトレジスト層および下層の被加工層のそれぞれに対して十分なエッチングレートの差を有する。なお、このエッチングレートの差とは、ホトレジスト膜に対してエッチング速度が十分に速く、被加工膜に対してはエッチング速度が十分に遅いことを、意味する。
前記短波長光に対する高い吸収能は、前記シリルフェニレン系ポリマー(A)が構造内に芳香環を含んでいるために得られる特性である。また、本組成物が露光光に対して高いドライエッチング耐性を有するのは、前記主成分ポリマー(A)がシリルフェニレン系であるためである。シリルフェニレン系ポリマーはドライエッチングガスに使用されるハロゲン化ガスに高い耐性を発揮する。また、前記主成分ポリマー(A)内では一個のSiについて、酸あるいは塩基の作用により架橋する置換部位を少なくとも一つ有しているため、低温(例えば、250℃)焼成を行っても耐溶剤性に優れた膜を得ることができる。
したがって、本発明の中間層形成用組成物を用いて中間層を形成することにより、レジストパターンを用いた被加工層のパターニングを高い寸法精度で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の中間層(ハードマスク)形成用組成物は、
下記一般式(1)
【化3】

(式中、R1、R2の少なくとも一方が架橋性基であり、mおよびnはそれぞれ0〜20の整数であり、lは繰り返し単位数を表す整数である。)
で表される繰り返し単位を有するシリルフェニレン系ポリマー(A)と、
溶剤(C)と、
を含有してなることを特徴とする。
この中間層(ハードマスク)形成用組成物は、前記ポリマーを架橋させる触媒物質を発生させる架橋触媒発生剤(B)を含有していることが好ましい。
【0015】
[1]シリルフェニレン系ポリマー(A)
本発明に用いられるシリルフェニレン系ポリマー(A)は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーである。
【0016】
上記R1、R2は、1価の有機基であり、それらの少なくとも一方は、架橋性基(架橋可能な基)である。この架橋性基としては、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基を有する炭素数1〜40のアルキル基(ただし、エーテル結合を有していてもよい)である。この前記架橋性基としては、特にオキセタニル基を有する炭素数1〜40のアルキル基(ただし、エーテル結合を有していてもよい)が好ましい。さらに、この架橋性基としては、R2が−(CH2xO(CH2yC(CH2OCH2)(CH2zCH3(xは1〜20の整数、yは1〜20の整数、zは0〜20の整数)であることが好ましい。
また、上記1価の有機基としては、水素または炭素数1〜40のアルキル基またはアリール基である。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ヘキサデカニル基等が挙げられる。これらの基のうち、合成の容易なことおよび原料の入手のしやすさから、メチル基が好ましい。
【0017】
上記シリルフェニレン系ポリマー(A)は、例えば以下のようにして製造することができる。
つまり、下記式で表される化合物(2)
【化4】

(式中、RHは水素または炭素数1〜40のアルキル基またはアリール基であり、2つのRHのうちの少なくとも1つは、水素である。)
と、分子末端に炭素−炭素二重結合を有し、前記二重結合の残基に架橋性基を有する化合物とをヒドロシリル化反応させることにより、得ることができる。
また、(2)の化合物は、例えば下記式(3)および(4)
【化5】

をグリニャール反応させて容易に得られる。
【0018】
上記中間層形成用組成物から形成される中間層(ハードマスク)の膜厚は、用途によって一律に限定することはできないが、その下限値が10nm以上、より好ましくは30nm以上であり、その上限値は1000nm以下、好ましく500nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0019】
また、上述のようにポリマー(A)の溶剤(C)への溶解性をコントロールすることにより、中間層形成用組成物におけるポリマー濃度の調整が可能となり、このポリマー濃度により、形成される中間層(ハードマスク)の膜厚を調整することが容易となる。
【0020】
また、本発明の中間層形成用組成物から形成される中間層(ハードマスク)は、繰り返し構造内に芳香環を有している上記一般式(1)の化合物を含んでいるため反射防止性能に優れている。特に193nm程度の短波長光線に対する反射防止性能に優れている。また、上記一般式(1)の化合物の主骨格がシリルフェニレン系材料であるため、ポリシリコン膜、酸化シリコン膜、チッ化シリコン膜等の無機被膜と比較して、エッチングガス、特にCF4、C48、CHF3、CH22、SF6等のハロゲン化ガスに対するエッチング耐性に優れる。なお、この中間層(ハードマスク)上に形成されるレジスト層は、有機層であるため、このエッチングガスに対して上記中間層(ハードマスク)よりもエッチング耐性に優れる。
【0021】
本発明の中間層形成用組成物に用いられるシリルフェニレン系ポリマー(A)は、前記一般式(1)中、lで表される繰り返し単位数が、1〜200のものが好ましく、重量平均分子量が100〜10000、好ましくは1000〜5000の範囲のものが好適である。それは、主に、成膜性、膜の平坦性を確保することが容易となるからであり、エッチング耐性にも優れるからである。特に分子量が低すぎると、シリルフェニレン系ポリマー(A)が揮発してしまい、成膜できない可能性がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定することができる。
【0022】
[2]架橋触媒発生剤(B)
この架橋触媒発生剤(B)としては、熱または光を受けて酸を発生させる酸発生剤か、熱または光を受けて塩基を発生させる塩基発生剤を用いることができる。
【0023】
熱を受けて酸を発生させる熱酸発生剤としては、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸の他のアルキルエステル、および以上の熱酸発生剤の少なくとも1種を含む組成物を含めて、慣用の熱酸発生剤を用いることができる。
【0024】
光を受けて酸を発生させる感光性酸発生剤としては、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、ビススルホン誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体などの公知の酸発生剤を用いることができる。
【0025】
前記オニウム塩としては、具体的には、トリフロオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等が挙げられる。
【0026】
前記ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0027】
前記グリオキシム誘導体としては、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0028】
前記ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等が挙げられる。
【0029】
前記β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
【0030】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン誘導体、ジシクロヘキシルジスルホン誘導体等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0031】
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0032】
前記スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0033】
前記N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等が挙げられる。
【0034】
また、熱を受けて塩基を発生する熱塩基発生剤としては、例えば、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメートなどのカルバメート誘導体、尿素やN,N−ジメチル−N’−メチル尿素などの尿素誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミドなどのジヒドロピリジン誘導体、有機シランや有機ボランの四級化アンモニウム塩、ジシアンジアミドなどが用いられる。その他に、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0035】
さらに、光を受けて塩基を発生する感光性塩基発生剤としては、トリフェニルメタノール、ベンジルカルバメートおよびベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタムおよびN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミドならびにその他のアミド;オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体等を挙げることができる。このうち、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が好ましいものとして挙げられる。
【0036】
[3]溶剤(C)
本発明に用いる溶剤(C)としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロアルキルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル(PGDM)、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、シクロアルキルケトンまたはアルキレングリコールジアルキルエーテルがより好適である。さらに、アルキレングリコールジメチルエーテルとしては、PGDM(プロピレングリコールジメチルエーテル)が好適である。また、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)も好適である。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、中間層形成用組成物全体量に対して70〜99質量%の範囲が適当である。
【0037】
本発明の中間層形成用組成物には、上記シリルフェニレン系ポリマー(A)以外のポリマーとして、従来慣用のポリアリーレンエーテルなどの低誘電性ポリマーを混合して用いることができる。その場合の混合量は、混合後の組成物の短波長光に対する反射防止能が実用の範囲に納まる程度である必要がある。この従来の低誘電性ポリマーの混合割合により、エッチング速度を制御することができる。また、アルコキシシランの加水分解物および/または縮合物等のシロキサンポリマーを混合してもよい。
【0038】
[3]パターン形成方法
本発明の中間層形成用組成物は、パターン化せずに全面被覆膜として用いることも可能であり、またパターニングしてその下層の被加工膜の高精度パターニングに用いることもできる。このパターニングに本発明の中間層形成用組成物を用いた場合のパターン形成方法の例を挙げる。
このパターン形成方法は、少なくとも以下の工程(i)〜(iii)を有する。
(i)本発明の中間層形成用組成物を被加工膜上に塗布し、塗布膜をプリベークして中間層を形成する中間層形成工程。
(ii)上記中間層形成工程で形成された中間層上にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程。
(iii)上記レジストパターン形成工程で形成されたレジストパターンをマスクとして、少なくとも中間層をドライエッチング処理して中間層にパターンを形成するエッチング工程。
【0039】
さらに、前記エッチング工程(iii)の後の工程として、
(iv)中間層エッチング工程で得られた中間層をマスクとして、上記被加工膜をドライエッチング処理する被加工膜エッチング工程。
が挙げられる。
この工程(iv)としては、以下の二通りがあり、適宜選択使用される。
まず一つは、前記中間層と被加工膜とを同時にエッチングして被加工膜にパターンを形成するものである。
もう一つは、前記中間層のエッチングを行った後、得られた中間層パターンをマスクとして、前記被加工膜をドライエッチング処理して被加工膜にパターンを形成するものである。この場合、レジストパターン、中間層は剥離・除去する工程があってもよい。
上記工程(iv)におけるドライエッチング処理で用いられるエッチングガスとしては、ハロゲン化ガスが好ましく、例えばCF4、C48、CHF3、CH22、SF6等が挙げられる。
本発明の中間層形成用組成物により形成された中間層を使用した場合、無機被膜、特にシリコン系被膜にパターンを形成することが容易となる。
【0040】
上記工程(i)における被加工膜には、ハロゲン化ガスに対するエッチングレートが上記中間層よりも大きいものが挙げられ、例えば、有機被膜、ならびにシリコン基板、ポリシリコン(poly−Si)膜、酸化シリコン(SiO2)膜およびチッ化シリコン(Si34)膜等のシリコン系被膜、金属配線などの無機被膜が挙げられる。これらの被加工膜は、塗布法、CVD法等のいかなる方法で形成されたものであってもよい。
【0041】
上記中間層は、本発明の中間層形成用組成物を、被加工膜上に塗布し、加熱処理を行なって乾燥させることにより形成することができる。また、上記乾燥後に焼成処理(プリベーク)を行なって硬化させてもよい。塗布方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法など、任意の方法を用いることができる。中間層の膜厚は、適用するデバイスにより適宜選択される。
【0042】
上記加熱処理は、例えば80〜300℃程度のホットプレート上で1〜6分程度行なえばよい。この加熱処理は好ましくは3段階以上、段階的に昇温することが好ましい。具体的には、大気中または窒素などの不活性ガス雰囲気中、70〜120℃程度のホットプレート上で30秒〜2分程度第1回目の乾燥処理を行なった後、130〜220℃程度で30秒〜2分程度第2回目の乾燥処理を行い、さらに150〜300℃程度で30秒〜2分程度第3回目の乾燥処理を行なう加熱処理が挙げられる。このようにして3段階以上、好ましくは3〜6段階程度の段階的な乾燥処理を行なうことによって、塗膜の表面を均一とすることができる。
【0043】
上記加熱処理された塗膜は、次に焼成処理を施してもよい。焼成は、例えば300〜400℃程度の温度で、窒素雰囲気中等で行なえばよい。
また、上記被加工膜と中間層との間に下層膜を設けてもよい。
【0044】
上記工程(ii)で形成されるレジストパターンは、例えば、上記中間層上にホトレジストを塗布し、乾燥させてホトレジスト層を形成し、このホトレジスト層を、露光、現像することにより形成することができる。なお、本願の中間層形成用組成物から形成される中間層は、特に193nm付近の波長の光に対する反射防止能を有しており、上記ホトレジストとしてArFレジストを用いることにより良好なレジストパターンを形成することができる。また、上記中間層とホトレジスト層との間に反射防止膜等を設けてもよい。これにより、他の波長の露光光であっても上記反射防止膜を変更することにより露光光の反射を抑制して良好なレジストパターンを形成することができる。
なお、露光、現像処理は、通常のリソグラフィーで常用のプロセスを用いることができる。
【0045】
上記工程(iii)におけるドライエッチング処理で用いられるエッチングガスとしては、例えばハロゲン化ガスを含むガス等が挙げられる。このようなハロゲン化ガスとしては、レジストパターンよりも中間層に対するエッチングレートが大きくなるものを適宜選択して使用することができる。このようなハロゲン化ガスとしては、具体的には、例えばC48、CH22等が挙げられる。このようなエッチングガスを用いることにより、レジストパターンの腐食を抑制しつつ、中間層をエッチングすることができ、レジストパターンを中間層に転写することができる。
【0046】
さらに、上記被加工膜と、中間層との間に下層膜を形成してもよい。この下層膜の材料としては、例えば、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、カトールジシクロペンタジエンノボラック、アモルファスカーボン、ポリヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ポリイミド、ポリスルフォン等の樹脂が挙げられる。この下層膜は、例えば上記材料を溶剤に溶解した塗布液を塗布・乾燥させることにより形成することができる。
【0047】
このように下層膜を形成する場合、上記(iv)の工程に代えて以下の工程、
すなわち、前記中間層と被加工膜との間に下層膜を形成する下層膜形成工程と、
パターン形成された中間層をマスクとして、下層膜をドライエッチングして下層膜にパターンを形成する工程と、
を有すればよい。
【0048】
さらに、前記パターン形成された中間層および/または下層膜をマスクとして、前記被加工膜をドライエッチング処理して被加工膜にパターンを形成することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を示し、本発明について更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、使用した試薬については特に記載したものを除いては、一般に市販しているものを用いた。
【0050】
以下の実施例では、下記化学式の繰り返し単位を有し、分子量4000のシリルフェニレン系ポリマー(A1)を用いた。
【0051】
【化6】

(式中、lは繰り返し単位数を表す整数である。)
【0052】
このポリマー(A1)のプロピレングリコールジメチルエーテル(PGDM)7質量%溶液を調製し、塗布液(中間層形成用組成物)とした。
【0053】
(実施例1)
[低温硬化特性(硬化膜の乳酸エチル耐性)]
上記中間層形成用組成物をスピンコート法によってシリコンウェハ上に塗布し、ホットプレート上で大気中、80℃、1分間の加熱処理を行った(乾燥処理)。次いで、150℃で1分間、さらに250℃で3分間の加熱処理を行った(プリベーク)。得られた被膜(中間層(ハードマスク))の膜厚は、35nmであった。
【0054】
前記中間層の膜上に乳酸エチル溶剤2mLを滴下し、滴下前後での膜べり量の測定を行った。その結果、膜べり量は0〜0.1nmであり、ほとんど膜べりがなかった。
【0055】
(実施例2)
[193nm波長光での吸光度、屈折率、反射率]
上記中間層形成用組成物をスピンコート法によってシリコンウェハ上に塗布し、ホットプレート上で大気中、80℃、1分間の加熱処理を行った(乾燥処理)。次いで、150℃で1分間、さらに250℃で3分間の加熱処理を行った(プリベーク)。得られた被膜(中間層(ハードマスク))の膜厚は、35nmであった。
【0056】
分光エリプソメータ「WOOLLAM」(J.A.WOOLLAM社製)を用いて193nmでの吸光度(k)、屈折率(n)を測定した。その結果、吸光度(k)は0.539、屈折率(n)は1.558であった。次いで、この吸光度および屈折率を用いて反射率シミュレーションを行なった。その結果、図1に示すように、波長40nmでの反射率は、8%であった。これらの結果より、吸光度、屈折率、低反射率特性すべて良好であることが確認された。なお、633nm波長光での吸光度(k)、屈折率(n)を測定したところ、吸光度(k)は0、屈折率(n)は1.555であった。
【0057】
(実施例3)
[ドライエッチング試験]
実施例1および2と同様にして被膜(中間層(ハードマスク))を得た。得られた中間層に対してドライエッチング処理を行ない、処理前後での膜厚変化を測定してエッチングレートを求めた。
【0058】
上記ドライエッチング処理は、以下の通りにして行った。
(1)CF4/CHF3/Heからなるエッチャー(流量:120sccm)を用い、CHF3の量を変化させて、温度20〜25℃、出力500W、圧力300mmHgの条件下において、上記被膜について60秒間のドライエッチングを行った。前記CF4/CHF3比としては、30/50、25/55、20/60の3通りエッチャー1,2,3を設定した。その結果を表1に示した。
【0059】
【表1】

【0060】
(比較例1,2)
比較例としてSiO2基板(比較例1)、CVD−Si34膜(比較例2)に対しても、実施例1と同様のドライエッチングを行った。その結果を上記の表1に示す。この表1においては、SiO2基板、およびCVD−Si34膜のエッチングレートを本発明の中間層のエッチングレートで割った値を「エッチング選択性」として表示した。
【0061】
以上実施例3および比較例1,2より、本発明の中間層形成用組成物から形成された中間層は、Th.SiO2膜と比べて高いエッチング耐性があることが確認された。また、エッチング選択比の取り難いCVD−Si34膜と同等の選択比を有する膜を形成することができることが確認された。
【0062】
(実施例4)
[パターン形状の評価]
先の実施例と同様にして塗布液(中間層形成用組成物)を得た。得られた中間層形成用組成物をスピンコート法によってTh.SiO2膜上に塗布し、ホットプレート上で大気中、80℃、1分間の加熱処理を行った。次いで、150℃で1分間、さらに230℃で1分間の加熱処理を行った(乾燥処理)。得られた中間層の膜厚は、35nmであった。上記中間層の上に、アセタール系のArFレジスト組成物を回転塗布し、130℃にて90秒間加熱処理し、続いて130℃で90秒間焼成処理して、膜厚150nmのArFレジスト層を形成した。この基板に対して、NSR S−306C(ニコン社製)を用いて露光処理し、続いて2.38wt%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液にて60秒間の現像処理を行い、レジストパターン(レジスト層)を形成した。その結果、良好なレジストパターンが形成された。
【0063】
次いで、CF6/Ar(流量:10/100sccm)からなるエッチングガスを用いて、温度−10℃、出力1600/50W、圧力3mTorrの条件下において、上記中間層をドライエッチングすることにより、上記レジストパターンを上記中間層に転写した。その結果、レジストパターンが中間層に良好に転写された。
【0064】
さらに、C48/CH22/O2/Ar(流量:7/31/2/100sccm)からなるエッチングガスを用いて、温度20℃、出力1600/150W、圧力3mTorrの条件下において、上述のようにして得られた中間層パターンをマスクとして下層のTh.SiO2膜のエッチングを行なった。その結果、良好なパターンが形成された。最終的に、ラインアンドスペース(L/S)=120/120nmのパターンを形成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明の中間層形成用組成物は、低温硬化性が良好で、短波長光の吸収能が高く、ドライエッチング耐性が良好な中間層を形成することができるため、リソグラフィーを用いたパターン形成に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の中間層形成用組成物から形成された中間層の短波長光に対する反射率のシミュレーション値を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜とレジスト層との間に形成される中間層を形成するための中間層形成用組成物であって、
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1、R2の少なくとも一方が架橋性基であり、mおよびnはそれぞれ0〜20の整数であり、lは繰り返し単位数を表す整数である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香環含有シリルフェニレン系ポリマー(A)と、
溶剤(C)と、
を含有することを特徴とするシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項2】
前記一般式(1)中のR1は、前記架橋性基がオキセタニル基を有する炭素数1〜40のアルキル基(ただし、エーテル結合を有していてもよい)であることを特徴とする請求項1に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)中のR1が−(CH2xO(CH2yC(CH2OCH2)(CH2zCH3(xは1〜20の整数、yは1〜20の整数、zは0〜20の整数)であることを特徴とする請求項2に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)中のR2は、水素または炭素数1〜40のアルキル基またはアリール基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項5】
前記シリルフェニレン系ポリマー(A)の重量平均分子量は、100〜10000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項6】
さらに、架橋触媒発生剤(B)を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項7】
前記架橋触媒発生剤(B)が熱または光を受けて酸を発生させる酸発生剤であることを特徴とする請求項6に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項8】
前記架橋触媒発生剤(B)が熱または光を受けて塩基を発生させる塩基発生剤であることを特徴とする請求項6に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項9】
前記溶剤(C)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリルフェニレン系ポリマー含有中間層形成用組成物を被加工膜上に塗布し、この塗布膜をプリベークして中間層を形成する、または架橋触媒発生剤(B)として熱の作用あるいは光を受けて酸または塩基を発生させる酸または塩基発生剤を用いた中間層形成用組成物を被加工膜上に塗布し、この塗布膜をプリベークして中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層形成工程で形成された中間層上に、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターン形成工程で形成されたレジストパターンをマスクとして、少なくとも前記中間層をドライエッチング処理して前記中間層にパターンを形成するエッチング工程と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
前記中間層と被加工膜との間に下層膜を形成する下層膜形成工程と、
パターン形成された中間層をマスクとして、下層膜をドライエッチングして下層膜にパターンを形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記パターン形成された中間層および/または下層膜をマスクとして、前記被加工膜をドライエッチング処理して被加工膜にパターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記被加工膜のドライエッチング処理はエッチングガスとしてハロゲン化ガスを用いることを特徴とする請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記被加工膜は、無機被膜であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−323180(P2006−323180A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146847(P2005−146847)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】