スイッチタイミング制御回路及び半導体装置
【課題】回路規模を大きくせずに複数のスイッチを貫通電流が流れないように確実に導通非導通のタイミングを制御するスイッチタイミング制御回路を提供する。
【解決手段】複数のデータフリップフロップが縦続接続され、縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、を備える。
【解決手段】複数のデータフリップフロップが縦続接続され、縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチタイミング制御回路及び半導体装置に関する。特に、共通のノードに接続される複数のスイッチの導通非導通を制御するスイッチタイミング制御回路及びスイッチタイミング制御回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の入力信号を切り替えて後段の回路に伝える場合などにアナログスイッチ回路が用いられる。このアナログスイッチ回路において、アナログスイッチを導通状態から非導通に切り替えるタイミングと同一ノードに接続される別なアナログスイッチを非導通状態から導通状態に切り替えるタイミングが重なると、アナログスイッチ間で貫通電流が流れる。例えば、電源線と接地線の間でスイッチングする複数のスイッチを用いる場合、それらのスイッチが意図せずに同時にオン状態になってしまう場合がある。これにより貫通電流が流れ、大電流が流れる。そのため、それらのスイッチが同時にオン状態にならないようにスイッチングのタイミングを調節し、不感時間を設けることで、貫通電流が流れることを回避する技術が公開されている。
【0003】
特許文献1には、複数のスイッチ素子間で貫通電流が流れないようにしたスイッチ素子のスイッチタイミング制御回路が記載されている。図13は特許文献1に記載の従来のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図13のスイッチタイミング制御回路は、発振回路201とフリップフロップ202、遅延回路203、論理積素子204、論理和素子205、否定素子206、スイッチ素子207〜210により構成される。図13は、DC−ACインバータに用いられるスイッチタイミング制御回路であり、発振回路201で発振した出力信号をフリップフロップ202で分周し、スイッチの導通、非導通を制御する信号を生成している。さらに、特許文献1は、フリップフロップ202の出力信号が反転する際に、各スイッチ素子207〜210の間で貫通電流が流れないように、各スイッチ素子を導通から非導通に制御するタイミングと非導通から導通に制御するタイミングを遅延回路203と論理積素子204、論理和素子205、否定素子206によって生成している。ここで、遅延回路203の遅延時間は、各スイッチ素子207〜210の応答遅延時間より長くすることが必要である。
【0004】
また、特許文献2の図1、図5及びその説明には、クロックとデータフリップフロップを用いた遅延回路と、論理NAND回路とOR回路を用いて複数のアナログスイッチの導通、非導通が切り替わる際に、貫通電流が流れることを防ぐアナログスイッチ回路が記載されている。
【0005】
特許文献3には、クロックが共通に接続されたデータフリップフロップを複数縦続させて最終段のデータフリップフロップの出力信号の位相を反転させて初段のデータフリップのデータ入力端子に接続したいわゆるジョンソンカウンタを用いた分周回路において、非分周状態のフリップフロップ回路を自動的に分周状態に引き込めるようにした分周回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−138877号公報
【特許文献2】特開2008−236659号公報
【特許文献3】特開平11−68552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は本発明により与えられる。特許文献1や特許文献2のようにスイッチを切り替える基本的なタイミングを生成する分周回路とは別に遅延回路を設けて各スイッチの開閉により貫通電流が流れないように制御すると分周回路とは別に遅延回路を設けなければならないのでスイッチタイミング制御回路の回路面積が大きくなる。また、遅延素子にCR等による遅延回路を用いると所望する遅延時間を精度よく得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によるスイッチタイミング制御回路は、複数のデータフリップフロップが縦続接続され、前記縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、前記複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、前記複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、を備える。
【0009】
また、本発明の第2の側面による半導体装置は、上記スイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分周回路を構成する複数のデータフリップフロップのうち、異なるデータフリップフロップの出力信号を組み合わせてスイッチを制御するタイミングを生成するので、分周回路以外に大きな遅延回路を設ける必要がない。また、分周回路の各段の出力に基づいて、各スイッチを開閉するタイミングを生成するので、貫通電流を防止し、かつ、各スイッチ間で不要なスキューのないタイミングで各スイッチの導通、非導通のタイミングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1によるスイッチタイミング制御回路の一例を示す回路ブロック図である。
【図3】図2のスイッチタイミング制御回路のタイミング図である。
【図4】実施例1において生成可能なタイミングを示すタイミング図である。
【図5】実施例2によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図6】実施例2において生成可能なタイミングを示すタイミング図である。
【図7】実施例3によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2と実施例3において分周回路の分周比と構成に必要なデータフリップフロップの数を比較した図である。
【図9】特許文献3に記載の従来の分周回路(ジョンソンカウンタ)の回路ブロック図である。
【図10】図9における分周回路のタイミング図である。
【図11】一般的なジョンソンカウンタを用いた分周回路の回路ブロック図である。
【図12】図11の分周回路において、同一のデータフリップフロップにより複数のスイッチの開閉を同時制御した比較例の回路ブロック図である。
【図13】特許文献1に記載の従来のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の各実施例について詳細に説明する前に、実施形態の概要について説明する。なお、概要の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
【0013】
一例として図1に示すように、一実施形態のスイッチタイミング制御回路は、複数のデータフリップフロップ10−1〜10−nが縦続接続され、縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号CLKが接続され、それぞれ前段のデータ出力信号Qが後段のデータ入力信号Dとして接続され、初段のデータ入力信号(10−1のD)には、最終段(10−n)のデータ出力信号の論理が反転されて接続された(QbはQとは論理が反転)分周回路(図1(a))を備える。さらに、複数のデータフリップフロップ10−1〜10−nのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路(一例を挙げれば図2の21A、21B。図1(b)や図2の論理組み合わせ論理回路部20の内部)と、複数の組み合わせ論理回路の出力信号OUT1〜OUTkによりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチ30−1〜30−kと、を備える。一例を挙げれば、図1(b)の組み合わせ論理回路部20には、図2の21A、21Bに示すように複数の組み合わせ論理回路が設けられる。組み合わせ論理回路部20の入力端子S1〜Smは、図1の各データフリップフロップ10−1〜10−nの非反転データ出力信号Qまたは、反転データ出力信号Qbが接続される。なお、各組み合わせ論理回路21A、21Bには、複数の入力端子が存在し、各入力端子には、上記データフリップフロップ10−1〜10−nのうち、異なるデータフリップフロップの非反転データ出力信号Qまたは反転データ出力信号Qbが接続される。なお、上記の分周回路は、ジョンソンカウンタとして知られる分周回路である。上記構成の分周回路を用いれば、複数の縦続接続されたデータフリップフロップのうち、同時に反転または非反転データ出力信号の論理が反転するのが1つのデータフリップフロップに限られるので、組み合わせ論理回路は、複数の入力端子がそれぞれ異なるデータフリップフロップのデータ出力信号に接続されている限り、どのようなに組み合わせであろうと複数の入力端子の論理レベルが同時に変化することがなく、ハザードが生じることがない。
【0014】
また、複数の組み合わせ回路は、複数のデータフリップフロップのうち、第1のフリップフロップの第1のデータ出力信号と、第2のフリップフロップの第2のデータ出力信号と、がそれぞれ入力端子に接続された論理NAND回路と論理NOR回路とを含み、論理NAND回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第1のスイッチと、論理NOR回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第2のスイッチと、を含むことが好ましい。複数の縦続接続されたデータフリップフロップのうち、上記第1のフリップフロップは任意のデータフリップフロップであり、第2のフリップフロップはこれとは異なる任意のデータフリップフロップである。このように構成すれば、論理NAND回路の出力信号もしくはその反転信号、論理NOR回路の出力信号もしくはその反転信号は同時に変化することがないので、貫通電流が流れないタイミングを生成することができる。なお、論理NAND回路や論理NOR回路の出力信号により直接スイッチの導通非導通を制御するか、その反転信号(言い換えるならば、論理AND回路の出力信号、または、論理OR回路の出力信号)によりスイッチの導通非導通を制御するかは、スイッチにどのような電圧や電流を与えたときに導通、非導通に制御できるか、スイッチの特性により自由に決めることができる。スイッチは一例を挙げれば、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタやその他電界効果型トランジスタやバイポーラトラジスタなどを用いることができる。
【0015】
図5に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ12−1〜12−nhは、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで位相が反転したクロック信号が接続されているものであってもよい。なお、前段のデータフリップフロップに接続されるクロック信号と後段のデータフリップフロップに接続されるクロック信号とでは、位相が反転しているものの共通のクロック信号が接続される。上記構成によれば、前段と後段のデータフリップフロップとの間でクロックの位相を反転させることにより、同じ分周回路の周波数を得ようとするならば、前段と後段で位相を反転させない場合に対して必要なデータフリップフロップの数は倍になるが、クロックの半周期毎のより精度の高いより相数の多いデータ出力信号を組み合わせて各スイッチの導通、非導通タイミングを制御することができる。
【0016】
また、図1、図7に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ(10−1〜10−nや13−1〜13−n等)は、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続されているものであってもよい。
【0017】
また、図7に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ13−1〜13−nは、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2を1つ以上さらに備え、第1のデータ出力信号及び/または第2のデータ出力信号が前記位相シフトデータフリップフロップ14−1、14−2を介して位相が1/2周期シフトされて論理NAND回路及び/又は前記論理NOR回路に接続されてもよい。すなわち、図7で非反転データ出力信号O1〜Onまたは、反転データ出力信号O1b〜Onbのいずれかの信号がデータ入力信号OA、OBとして接続され、データ入力端子S1、S2には、非反転データ出力信号O1〜On、反転データ出力信号O1b〜Onb、位相シフト用データフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされたデータ出力信号OAh、OAhb、OBh、OBhbのうち、任意の信号が接続されてもよい。この構成により、組み合わせ可能となるタイミング信号の数を増やすことができ、より精度の高いより相数の多いデータ出力信号を組み合わせて各スイッチの導通、非導通タイミングを制御することができる。
【0018】
一例を図2に示すように、複数のスイッチ31−1、31−2は、組み合わせ論理回路21A、21Bの出力信号、もしくはその反転信号がゲートに接続された電界効果型トランジスタをそれぞれ含むものであってもよい。電界効果型トランジスタは、NMOSトランジスタや、PMOSトランジスタを含むMOSトランジスタの他、接合型電界効果型トランジスタJFETや金属半導体型電界効果型トランジスタMESFETであってもよい。スイッチとしてMOSトランジスタを用いる場合は、PMOSスイッチとNMOSスイッチとを並列に接続し、CMOSアナログスイッチとしてもよい。
【0019】
さらに、一例を図2に示すように複数のスイッチ31−1、31−2は、導通時に流れる電流の電流路が共通ノードNCに接続されており、複数のスイッチ31−1、31−2が重複して導通するタイミングがないように、共通ノードNCに接続されている複数のスイッチ31−1、31−2がすべて非導通に制御された後、クロック信号CLKの1/2周期以上経過してから後に共通ノードNCに接続されている複数のスイッチのうちの一つのスイッチが非導通から導通に制御するように組み合わせ論理回路21A、21Bが構成されていることが好ましい。分周回路11が出力する多数のデータ出力信号を組み合わせて、スイッチの制御タイミングを生成することができるので、容易に、かつ、任意の間隔を空けて複数のスイッチの間で共通ノードNCを介して貫通電流が流れないように、複数のスイッチの導通、非導通のタイミングを制御することができる。
【0020】
また、一実施形態の半導体装置は、上記スイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されている。すなわち、スイッチタイミング制御回路を構成する分周回路、複数の組み合わせ論理回路、複数のスイッチ素子は、他の回路と共に半導体装置の一つの半導体基板の上に集積化することができる。
【0021】
以上で概要の説明を終え、以下、実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、実施例1によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路10と、(b)組み合わせ論理回路部20及びスイッチ30−1〜30−kの構成を示すブロック図である。分周回路10の構成は、いわゆるジョンソンカウンタとして他の分野では、すでに知られている分周回路の構成を用いる。
【0023】
図9は、特許文献3の図6に記載されている分周回路(ジョンソンカウンタ)の回路ブロック図である。図9の分周回路100を実施例1の分周回路として用いることもできる。図9の分周回路100を例に実施例1で用いる分周回路の構成について説明する。分周回路100は、5個のデータフリップフロップ100−1〜100−5が縦続接続されている。縦続接続された各データフリップフロップにクロック信号CLKは共通に接続されている。また、前段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qは、後段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続され、最終段のデータフリップフロップ100−5のデータ出力信号O5がインバータ101により論理が反転されて初段のデータフリップフロップ100−1のデータ入力信号Dとして接続されている。このような5つの縦続接続されたデータフリッブフロップを用いることにより、クロック信号CLKの1クロックサイクルをTとしてハイレベルが5T、ロウレベルが5T継続するクロック信号CLKを10分周する分周回路100が得られる。
【0024】
この分周回路100のタイミング図を図10に示す。図10を用いて、分周回路100の動作について説明する。初期状態では、各データフリップフロップはリセット状態にあり、各データフリップフロップのデータ出力信号O1〜O5はロウレベルであるとする。
【0025】
最初のクロック信号CLKの立ち上がりで初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号O1はロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このとき、初段のデータフリップフロップ100−1以外の各データフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化せず、ロウレベルを維持する。
【0026】
クロック信号CLKの1クロックサイクルTの経過後、次にクロック信号CLKがロウレベルからハイレベルに立ち上がると2段目のデータフリップフロップ100−2のデータ出力信号O2がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このとき、2段目のデータフリップフロップ以外のフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化しない。さらに、最初のクロック信号CLKの立ち上がりから2クロックサイクル2Tが経過し、クロック信号CLKが立ち上がると3段目のデータフリップフロップ100−3のデータ出力信号O3がロウレベルからハイレベルに立ち上がるが、このとき他のデータフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化しない。同様に、3クロックサイクル目3Tのクロック信号CLKの立ち上がりでは、データ出力信号O4がロウレベルからハイレベルに立ち上がり、4クロックサイクル目4Tのクロック信号CLKの立ち上がりでは、データ出力信号O5(OUT)がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。
【0027】
さらに1クロックサイクル経過し、次のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号O1がハイレベルからロウレベルに立ち下がる。その後、クロック信号CLKの立ち上がる毎にデータ出力信号がハイレベルからロウレベルに遷移する。この様にクロック信号CLKの立ち上がりに同期して状態が遷移するデータフリップフロップはクロック信号の1クロックサイクル毎に後段のデータフリップに遷移して行く。そして、最終段のデータフリップフロップであるデータフリップフロップ100−5のデータ出力信号O5(OUT)がロウレベルに立ち下がると、次のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号がロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最初の状態に戻り、同じサイクルを繰り返す。
【0028】
このようにして各データフリップフロップのデータ出力信号は、クロック信号CLKの5サイクル毎にハイレベルとロウレベルを繰り返す。また、クロック信号CLKの立ち上がりに同期してデータ出力信号が遷移するデータフリップフロップは、5つのデータフリップのうち、一つのデータフリップフロップだけであり、状態が遷移するデータフリップフロップは、クロック信号CLKの1クロックサイクル毎に1段ずつ後段のフリップフロップへ移って行き、最終段のデータフリップフロップまでデータ出力信号が変化すると、次のサイクルでは、初段のデータフリップフロップのデータ出力信号が反転する。
【0029】
図11は、ジョンソンカウンタを用いた分周回路100の一般的な構成を示すブロック図である。n段(nは2以上の整数)に縦続接続されたデータフリップフロップのクロック信号には、共通のクロック信号CLKが接続される。また、縦続接続されたデータフリップフロップのデータ出力信号は、後段のデータ入力端子に接続される。また、最終段のデータフリップフロップ100−nの反転データ出力信号Qnbは初段のデータフリップフロップ100−1のデータ入力信号Dとして接続される。なお、図9では、最終段の非反転データ出力信号O5がインバータ101で論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続されていたが、図11では、最終段のデータフリップフロップ100−nの反転データ出力信号Qnbがインバータを介さずに直接初段のデータ入力信号Dとして接続されている。しかし、最終段の(非反転)データ出力信号の論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続されている点においては、図9と図11でどちらも同じである。また、図11の一般的なジョンソンカウンタを用いた分周回路100の動作も図9に示す分周回路と同じであり、リセットが解除されると、初段のデータフリップフロップからクロック信号CLKが立ち上がる毎に、1段ずつデータ出力信号Qがロウレベルからハイレベルに立ち上がっていく。最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号がハイレベルに立ち上がると、今度は、次のクロック信号の立ち上がりのサイクルから1クロックサイクル毎に、初段のデータフリップフロップから順に1段ずつデータフリップフロップのデータ出力信号がハイレベルからロウレベルに立ち下がる。そのようにして各データフリップフロップは、クロック信号CLKのnクロックサイクル毎にハイレベルとロウレベルを繰り返す。
【0030】
図1(a)に示す実施例1のスイッチタイミング制御回路の分周回路10は基本的に、このジョンソンカウンタを用いた分周回路の構成を用いる。すなわち、n段(nは2以上の整数)縦続接続されたデータフリップフロップ10−1〜10−nは、クロック信号CLKが共通にクロック端子Cに与えられる。また、各段のデータ出力信号Qは後段のデータ入力信号として接続される。さらに、最終段の反転データ出力信号Qbは、初段のデータフリップフロップにデータ入力信号として接続される。
【0031】
図1(b)に、実施例1のスイッチタイミング制御回路における組み合わせ論理回路部20及びスイッチ30−1〜30−kの構成を示す。組み合わせ論理回路部20の入力端子S1〜Sm(mは2以上の整数)には、n段縦続接続されたデータフリップフロップ10−1〜10−nの各段のデータ出力信号O1〜On、反転データ出力信号O1b〜Onbのうち、任意のデータ出力信号、または、反転データ出力信号がそれぞれ接続される。組み合わせ論理回路部20の内部には複数の組み合わせ論理回路が設けられており、入力端子S1〜Smのうち、任意の複数の入力端子から入力された信号を組み合わせ論理回路により組み合わせて、それぞれ出力信号OUT1〜OUTk(kは2以上の整数)として出力する。
【0032】
たとえば、n段縦続接続されたデータフリップフロップのうち、任意の段の非反転データ出力信号Qまたは反転データ出力信号Qbが接続される第1のデータ入力端子と、それとは異なる任意の段の非反転データ出力信号Qまたは反転テータ出力信号Qbが接続される第2のデータ入力端子とを組み合わせ論理回路により組み合わせることにより、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して2n通りの任意のタイミングで立ち上がり、2n−1通りの任意のパルス幅のパルスを出力信号OUT1〜OUTkとして出力することができる。なお、第1のデータ入力端子と第2のデータ入力端子を同一のデータフリップフロップのデータ出力信号から接続しないのは、第1のデータ入力端子と第2のデータ入力端子の論理が同時に変化し、組み合わせ論理回路部20の出力信号にハザードが生じないようにするためである。
【0033】
上記分周回路10では、クロック信号CLKの立ち上がり毎にn段のデータフリップロップのうち、いずれかのデータフリップフロップのデータ出力信号の論理が変化し、かつ、同時に論理が変化するのは、n個のデータフリップフロップのうち、1個のデータフリップフロップのみである。したがって、n段縦続接続されたデータフリップフロップのうち、任意の2つのデータフリップフロップの非反転データ出力信号または反転データ出力信号を組み合わせることにより、分周回路10と周期が同一で、かつ、任意の位相のクロック信号CLKの立ち上がりに同期して、立ち上がり、任意の位相のクロック信号CLKの立ち上がりに同期して立ち下がるタイミング制御信号を生成することができる。この組み合わせ論理回路部20で生成したタイミング制御信号は、出力信号OUT1〜OUTk(kは2以上の任意の整数)として組み合わせ論理回路部20から出力され、対応するスイッチ30−1〜30−kの導通、非導通を制御する。なお、スイッチ30−1〜30−kには、電界効果型トランジスタ、バイポーラトランジスタなど任意のスイッチ素子を用いることができる。また、スイッチにMOSトランジスタを用いる場合には、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを並列して接続し、それぞれのゲートに論理が反転した信号を与えることにより、CMOSアナログスイッチとすることもできる。また、出力信号OUT1〜OUTkの論理をインバータにより論理を反転させてスイッチを駆動するか否かは、スイッチ素子の種類に応じて任意に決めることができる。
【0034】
図2は、実施例1のスイッチタイミング制御回路のより具体的な適用例の回路ブロック図である。図2のスイッチタイミング制御回路40において、分周回路11に用いる縦続接続するデータフリップフロップ11−1〜11−3の数は3である。分周回路11のデータフリップフロップからデータ出力信号O1、O2が組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S1とS2にそれぞれ接続されている。また、組み合わせ論理回路部21には、論理NOR回路21A、論理NAND回路21B、論理NOR回路21Aの反転信号を生成するインバータ回路21Cを設けている。また、論理NOR回路21A、論理NAND回路21Bの入力信号は、データ入力端子S1、S2から共通の入力信号として接続されている。
【0035】
さらに、図2のスイッチタイミング制御回路40では、スイッチ31−1、31−2としてPMOSトランジスタを用いている。インバータ回路21Cの出力信号OUT1は、スイッチ31−1となるPMOSトランジスタのゲートに接続され、論理NAND回路21Bの出力信号OUT2はスイッチ31−2となるPMOSトランジスタのゲートに接続されている。さらに、PMOSトランジスタ31−1、31−2のソースドレインの一方は、共通ノードNCに接続され、PMOSトランジスタ31−1のソースドレインの他方はノードNAに、PMOSトランジスタ31−2のソースドレインの他方はノードNBに接続されている。すなわち、スイッチ31−1が導通したときに流れる電流路と、スイッチ31−2が導通したときに流れる電流路が共に共通ノードNCに接続されている。
【0036】
図3は、図2のスイッチタイミング制御回路40の動作タイミング図である。分周回路11の複数のデータフリップフロップ11−1〜11−3のデータ出力信号O1〜O3は、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して変化する。最初のクロック信号CLKの立ちあがり時刻である時刻t0でデータフリップフロップ11−1の非反転データ出力信号であるO1(組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S1への入力信号)がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このときのデータフリップフロップ11−2の非反転データ出力信号O2(組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S2への入力信号)はロウレベルである。したがって、出力信号OUT1、OUT2は共にハイレベルとなり、スイッチ31−1、スイッチ31−2は共に非導通状態となる。
【0037】
次のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングである時刻t1では、組み合わせ論理回路部21の入力端子S2への入力信号の論理レベルがロウレベルからハイレベルに立ち上がる。すると組み合わせ論理回路部21の出力信号OUT2がハイレベルからロウレベルに立下り、スイッチ31−2が導通する。このとき、スイッチ31−1は非導通状態を維持するので、ノードNCを介してノードNAとノードNBとの間で貫通電流が流れることはない。
【0038】
さらにクロック信号CLKの2クロックサイクルが経過し、時刻t2になると、入力端子S1の論理レベルがハイレベルからロウレベルに立ち下がる。すると、出力信号OUT2はロウレベルからハイレベルに立ち上がり、スイッチ31−2は再び導通状態から非導通状態に戻る。このとき、スイッチ31−1は非導通状態を維持する。
【0039】
次のクロック信号CLKの立ち上がり時刻である時刻t3には、入力端子S1の論理レベルはハイレベルからロウレベルに立ち下がり、これに伴って出力信号OUT1がハイレベルからロウレベルに立ち下がり、スイッチ31−1が非導通から導通状態に遷移する。しかし、このとき、スイッチ31−2は非導通状態を維持するので、ノードNAとノードNBとの間で貫通電流が流れることはない。さらにクロック信号CLKの2クロックサイクル後の時刻t4では、入力端子S1の論理レベルがロウレベルからハイレベルに変化する。すると出力信号OUT1は再び、ロウレベルからハイレベルに戻り、スイッチS1は再び非導通状態に戻る。
【0040】
このように共通ノードNCに接続される複数のスイッチの導通、非導通の制御をいわゆるジョンソンカウンタとその各段のデータ出力信号を組み合わせてスイッチを制御する組み合わせ論理回路により行う。この構成により、共通ノードNCに接続される複数のスイッチ31−1、31−2が同時に導通し、共通ノードを介して貫通電流が流れることが防止できる。なお、実施例1では、共通ノードに接続されるスイッチが複数ある場合のスイッチの切り替え時に、少なくともクロック信号CLKの1周期以上、1周期単位で共通ノードNCに接続されるスイッチがいずれも非導通となる期間を設けるように組み合わせ論理回路を構成することができる。また、共通ノードに接続されるスイッチの数が2つである場合には、組み合わせ論理回路を入力端子が共通に接続された2入力論理NAND回路と2入力論理NOR回路とを用いて、論理NAND回路と論理NOR回路によりそれぞれ対応するスイッチの導通、非導通を制御することにより、2つのスイッチを交互に導通させる間に、2つのスイッチを共に非導通となる期間を設けることができる。この構成により確実に2つのスイッチの間で貫通電流が流れることを防止することができる。なお、論理NAND、論理NORは、スイッチの開閉を行うために必要な論理によって、任意に論理AND、論理ORに置き換えることができる。
【0041】
ここで、図12は、実施例1の比較例となるスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図12のスイッチタイミング制御回路では、分周回路100の同一のデータフリップフロップ100−nの非反転データ出力信号Qn、反転データ出力信号Qnbで直接スイッチ130−1、130−2の導通、非導通を制御している。このように構成すると、スイッチ130−1を非導通から導通状態に遷移させるタイミングとスイッチ130−2を導通から非導通に遷移させるタイミングが同時である。逆にスイッチ130−2を非導通から導通状態に遷移させるタイミングとスイッチ130−1を導通から非導通に遷移させるタイミングも同時になる。このように制御すると、スイッチ130−1と130−2がスイッチの切り替え時に同時に導通状態となるとなるため、貫通電流が流れることが避けられない。
【0042】
次に、図1に示す一般的なスイッチタイミング制御回路によって生成可能なスイッチの導通、非導通のタイミングを、さらに図4のタイミング図を用いて説明する。図1(a)の分周回路10の各段のデータ出力信号O1〜Onは、図4に示すように、クロック信号CLKの1周期の長さをTとしたときに、周期2nTで変化する。分周回路10が出力する各データ出力信号O1〜OnはそれぞれnTの期間ずつハイレベルとロウレベルを繰り返す1/2デューティーの周期信号である。また、各段のデータ出力信号O1〜Onは、後段のデータ出力信号になるほど、クロック信号CLKの1周期ずつ位相が遅れており、クロック信号CLKの立ち上がりに同期してn相の1/2デューティーの周期信号として出力される。組み合わせ論理回路部20では、これらのn相の1/2デューティーの周期信号(データ出力信号O1〜On)のうち、任意の2つのデータ出力信号を論理NAND回路または、論理NOR回路、さらには、論理NAND回路、論理NOR回路の論理を反転させて、論理OR回路、論理AND回路を用いて、クロック信号CLKの任意の立ち上がりで立ち上がり、任意の立ち上がりで立ち下がる2nT周期のタイミング信号を生成することができる。
【0043】
ここで、さらに、組み合わせ論理回路部の構成として、図2に示す組み合わせ論理回路部21の構成と、スイッチとして図2に示すようにOUT1、OUT2がそれぞれロウレベルのときに導通するようなスイッチを用いたとする。このような構成を取ると、最小でクロック信号CLKの1周期Tの長さTminの長さだけロウレベルが継続するパルスを生成することができる。また、OUT1、OUT2のロウレベルが継続する長さは、Tvar1で示すように、クロック信号CLKの1サイクル時間T単位で任意に設定することができる。Tvar1の長さをどのように設定するかは、組み合わせ論理回路部21の入力端子S1、S2を縦続接続されたデータフリップフロップのどのデータ出力信号に接続するかによって任意に設定することができる。
【0044】
なお、Tminと、Tvar1の時間を数式で表すとそれぞれ式(1)、式(2)の通りである。ここでTは、クロック信号CLKの1クロックサイクル長さである。
【0045】
Tmin1=T 式(1)
0<=Tbar1<=(n−1)*T 式(2)
【0046】
以上説明したように実施例1では、クロック信号CLKの1サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングが生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、分周回路以外に不感時間を設けるために特に遅延回路を必要としないのでスイッチタイミング制御回路の回路規模を小さくすることができる。
【実施例2】
【0047】
図5は、実施例2のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図5(a)に分周回路12の構成を、図5(b)に組み合わせ論理回路部21とスイッチ31−1、31−2の構成を示す。図5(a)において、分周回路12は、2n個(nは2以上の整数)の縦続接続されたデータフリップフロップ12−1、12−1h〜12−n、12−nhを含んで構成される。縦続接続されるデータフリップフロップの数は、実施例1の2倍の数である。実施例1の分周回路10と同様に縦続接続された複数のデータフリップフロップには、共通のクロック信号が接続され、縦続接続された前段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qが後段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続され、縦続接続されたデータフリッブフロップのうち、最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qの論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続されている。
【0048】
実施例1では、縦続接続された各データフリップフロップには、すべて同相のクロック信号CLKが接続されていたが、実施例2では、縦続接続された各データフリップフロップには前段と後段のデータフリップフロップで一つ毎に論理反転された逆相のクロック信号が接続されている。
【0049】
なお、図5では、最終段の一つ前のデータフリップフロップ12−nの反転データ出力信号Onbが初段のデータフリップフロップ12−1のデータ入力信号Dとして接続されているが、最終段のデータフリップフロップ12−nhの反転データ出力信号Onhbを初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続しても基本的な動作は同一である。
【0050】
また、図5(b)に示す組み合わせ論理回路部21とスイッチ31−1、31−2の構成は、実施例1の組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成と同一である。
【0051】
次に、実施例2のスイッチタイミング制御回路の動作について、図6の動作タイミング図を用いて説明する。クロック信号CLKに対して縦続接続された各段のデータフリップフロップのデータ出力信号をO1〜Onhに示す。実施例1では、縦続接続されたデータ出力信号の位相の遅れは、クロック信号CLKの1周期T単位であったが、実施例2では、クロック信号CLKの1/2周期T/2単位である。
【0052】
初期状態では、縦続接続されたすべてのデータフリップフロップは、リセット状態にあり、各データフリップフロップのデータ出力信号はロウレベルを出力しているものとする。その状態から最初のクロック信号CLKが立ち上がると、初段のダータフリップフロップ12−1の非反転データ出力信号O1がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。次に、クロック信号CLKの1/2周期、T/2だけ遅れてクロック信号CLKが立ち下がると次段のデータフリップフロップ12−1hの非反転データ出力信号O1hがロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。さらに次段のデータフリップフロップ12−2のデータ出力信号O2はデータ出力信号O1hからさらにクロック信号CLKの1/2周期(T/2)だけ位相が遅れてロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。このようにして最終段の一つ前のデータフリップフロップ12−nのデータ出力信号Onは、初段のデータフリップフロップが立ち上がってから(n−1)T後にロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最終段のデータフリップフロップ12−nhのデータ出力信号Onhは、初段のデータフリップフロップが立ち上がってから(n−1/2)T後にロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。
【0053】
さらにそのタイミングからクロック信号CLKの半周期(T/2)後のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータ出力信号O1はハイレベルからロウレベルに立ち下がっている。初段のデータフリップフロップのデータ出力信号が立ち下がると、後段のデータフリップフロップのデータ出力信号は、それぞれクロック信号CLKの1/2周期ずつ位相が遅れて立ち下がる。最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号が立ち下がると、それからクロック信号CLKの半周期後のクロック信号CLKの立ち上がりで、初段のデータフリップフロップのデータ出力信号は、ロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最初に戻って動作を継続する。
【0054】
各データ出力信号(O1、O1h等)の周期は2nTであり、ハイレベル出力がnT、ロウレベル出力の期間がnTだけ継続する1/2デューティーの信号が出力される。また、T/2ずつ位相が遅れた2n相のデータ出力信号が出力される。これら2n相の1/2デューティーのデータ出力信号を組み合わせ論理回路(21A、21B等)で組み合わせることにより、周期が2nTでT/2単位で任意のタイミングで立ち上がり、任意のタイミングで立ち下がる出力信号を生成し、スイッチの導通、非導通を制御することができる。
【0055】
ここで、組み合わせ論理回路部の構成として、図5(b)に示す組み合わせ論理回路部21の構成と、スイッチとしてOUT1、OUT2がそれぞれロウレベルのときに導通するようなスイッチを用いたとする。このような構成を取ると、OUT1、OUT2がそれぞれロウレベルとなる時間の最小時間Tmin2は、クロック信号CLKの1/2周期T/2の長さに設定することができる。また、OUT1、OUT2のロウレベルが継続する長さは、Tvar2で示すように、クロック信号CLKの1/2サイクル時間T/2単位で任意に設定することができる。Tvar2の長さをどのように設定するかは、組み合わせ論理回路部21の入力端子S1、S2を縦続接続されたデータフリップフロップのどのデータ出力信号に接続するかによって任意に設定することができる。
【0056】
なお、Tmin2と、Tvar2の時間を数式で表すとそれぞれ式(3)、式(4)の通りである。ここでTは、クロック信号CLKの1クロックサイクル長さである。
【0057】
Tmin2=T/2 式(3)
0<=Tbar2<=(2n−1)*T/2 式(4)
【0058】
以上説明したように実施例2では、クロック信号CLKの1/2サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングを生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1/2サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、分周回路以外に不感時間を設けるために特に遅延回路を必要としないのでスイッチタイミング制御回路の回路規模を小さくすることができる。
【実施例3】
【0059】
図7に実施例3のスイッチタイミング制御回路の構成を示す。図7(a)は、実施例3のスイッチタイミング制御回路における分周回路13の回路ブロック図であり、図7(b)は、実施例3のスイッチタイミング制御回路における組み合わせ論理回路とスイッチの構成の一例を示す回路ブロック図である。
【0060】
図7(a)の分周回路13において、データフリップフロップがn段縦続接続され、すべて同相のクロック信号CLKが接続されている構成は、実施例1の図1(a)に示す分周回路10と同一である。ただし、実施例3では、実施例1の分周回路10にさらに位相シフト回路14が付加されている。この位相シフト回路14には、n段縦続接続されたデータフリップフロップ13−1〜13−nに接続されるクロック信号CLKの位相を反転させた逆相のクロック信号を生成するインバータ回路14−0が設けられている。さらに、n段縦続接続されたデータフリップフロップから出力されるn相の非反転データ出力信号、反転データ出力信号から任意のデータ出力信号が接続可能である位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2を備えている。この位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2には、インバータ回路14−0で位相を反転したクロック信号CLKがクロック信号として接続されている。この位相シフト回路14により、n段に縦続接続されたデータフリップフロップが出力するクロック信号CLKの1周期単位で位相がずれたn相のデータ出力信号のうち、位相シフト回路14に接続されたデータ出力信号OA、OBの位相をさらにクロック信号CLKの1/2周期遅延させたデータ出力信号を生成することができる。
【0061】
組み合わせ論理回路部21では、n相のデータ出力信号と、位相シフト回路14でさらにクロック信号CLKの1/2周期位相を遅延されたデータ出力信号を用いてクロック信号CLKの1/2周期単位で、スイッチ31−1、31−2の導通、非導通を制御するタイミング信号を生成することができる。
【0062】
実施例3は、クロック信号CLKの1/2周期単位でスイッチの開閉を制御するタイミング信号を生成する点では、実施例2と同一である。しかし、n(実施例3で縦続接続されるデータフリップフロップの数)が3以上であり、クロック信号CLKを6分周以上してスイッチの開閉を制御する信号を生成する場合には、実施例2より必要とするデータフリップフロップの数を少なくすることができる。
【0063】
図8に、クロック信号CLKを分周回路で分周する分周数と実施例2と実施例3の分周回路で必要とするデータフリップフロップの数の比較を示す。実施例3では、データフリッブフロップの数には、位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2も含まれるものとする。実施例2では、2n分周を行う場合に、必要とするデータフリップフロップの数は、常に2n個である。一方、実施例3では、位相シフト用データフリップフロップを2個設けるとデータフリップフロップの数はn+2となる。ただし、n=1の場合は、位相シフト用データフリップフロップを接続する箇所が1箇所しかないので、位相シフト用データフリップフロップの数は1になる。図8に示すとおり、nが3以上で6分周以上行う場合は、実施例3の方が実施例2よりさらにデータフリップフロップの数を減らすことができる。
【0064】
以上説明したように実施例3では、クロック信号CLKの1/2サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングを生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1/2サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、不感時間を基本的に分周回路の各段から生成し、時間の微調整を位相シフト回路により行うことができるので、スイッチの導通、非導通のタイミングを精度よく設定し、かつ、全体の回路規模を小さくすることができる。
【0065】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10、11、12、13、100:分周回路(ジョンソンカウンタ)
10−1、10−2、10−3、10−5〜10−n、11−1、11−2、11−3、12−1、12−1h、12−2、12−2h、12−3、12−n、12−nh、13−1、13−2、13−3、13−4、13−5〜13−n、100−1、100−2、100−3、100−4、100−5〜100−n:データフリップフロップ
14:位相シフト回路
14−1、14−2:位相シフト用テータフリップフロップ
20、21:組み合わせ論理回路部
21A:論理NOR回路(組み合わせ論理回路)
21B:論理NAND回路(組み合わせ論理回路)
14−0、21C、101、121:インバータ回路
30−1、30−2、30−3〜30−k、31−1、31−2、130−1、130−2:スイッチ
40:スイッチタイミング制御回路
201:発振回路
202:フリップフロップ
203:遅延回路
204:論理積素子
205:論理和素子
206:否定素子
207、208、209、210:スイッチ素子
O1〜On:(データフリップフロップの非反転)データ出力信号
O1b〜Onb:(データフリップフロップの)反転データ出力信号
OUT1〜OUTk:(組み合わせ論理回路部の)出力信号
S1〜Sm:(組み合わせ論理回路部の)データ入力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチタイミング制御回路及び半導体装置に関する。特に、共通のノードに接続される複数のスイッチの導通非導通を制御するスイッチタイミング制御回路及びスイッチタイミング制御回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の入力信号を切り替えて後段の回路に伝える場合などにアナログスイッチ回路が用いられる。このアナログスイッチ回路において、アナログスイッチを導通状態から非導通に切り替えるタイミングと同一ノードに接続される別なアナログスイッチを非導通状態から導通状態に切り替えるタイミングが重なると、アナログスイッチ間で貫通電流が流れる。例えば、電源線と接地線の間でスイッチングする複数のスイッチを用いる場合、それらのスイッチが意図せずに同時にオン状態になってしまう場合がある。これにより貫通電流が流れ、大電流が流れる。そのため、それらのスイッチが同時にオン状態にならないようにスイッチングのタイミングを調節し、不感時間を設けることで、貫通電流が流れることを回避する技術が公開されている。
【0003】
特許文献1には、複数のスイッチ素子間で貫通電流が流れないようにしたスイッチ素子のスイッチタイミング制御回路が記載されている。図13は特許文献1に記載の従来のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図13のスイッチタイミング制御回路は、発振回路201とフリップフロップ202、遅延回路203、論理積素子204、論理和素子205、否定素子206、スイッチ素子207〜210により構成される。図13は、DC−ACインバータに用いられるスイッチタイミング制御回路であり、発振回路201で発振した出力信号をフリップフロップ202で分周し、スイッチの導通、非導通を制御する信号を生成している。さらに、特許文献1は、フリップフロップ202の出力信号が反転する際に、各スイッチ素子207〜210の間で貫通電流が流れないように、各スイッチ素子を導通から非導通に制御するタイミングと非導通から導通に制御するタイミングを遅延回路203と論理積素子204、論理和素子205、否定素子206によって生成している。ここで、遅延回路203の遅延時間は、各スイッチ素子207〜210の応答遅延時間より長くすることが必要である。
【0004】
また、特許文献2の図1、図5及びその説明には、クロックとデータフリップフロップを用いた遅延回路と、論理NAND回路とOR回路を用いて複数のアナログスイッチの導通、非導通が切り替わる際に、貫通電流が流れることを防ぐアナログスイッチ回路が記載されている。
【0005】
特許文献3には、クロックが共通に接続されたデータフリップフロップを複数縦続させて最終段のデータフリップフロップの出力信号の位相を反転させて初段のデータフリップのデータ入力端子に接続したいわゆるジョンソンカウンタを用いた分周回路において、非分周状態のフリップフロップ回路を自動的に分周状態に引き込めるようにした分周回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−138877号公報
【特許文献2】特開2008−236659号公報
【特許文献3】特開平11−68552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は本発明により与えられる。特許文献1や特許文献2のようにスイッチを切り替える基本的なタイミングを生成する分周回路とは別に遅延回路を設けて各スイッチの開閉により貫通電流が流れないように制御すると分周回路とは別に遅延回路を設けなければならないのでスイッチタイミング制御回路の回路面積が大きくなる。また、遅延素子にCR等による遅延回路を用いると所望する遅延時間を精度よく得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によるスイッチタイミング制御回路は、複数のデータフリップフロップが縦続接続され、前記縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、前記複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、前記複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、を備える。
【0009】
また、本発明の第2の側面による半導体装置は、上記スイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分周回路を構成する複数のデータフリップフロップのうち、異なるデータフリップフロップの出力信号を組み合わせてスイッチを制御するタイミングを生成するので、分周回路以外に大きな遅延回路を設ける必要がない。また、分周回路の各段の出力に基づいて、各スイッチを開閉するタイミングを生成するので、貫通電流を防止し、かつ、各スイッチ間で不要なスキューのないタイミングで各スイッチの導通、非導通のタイミングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1によるスイッチタイミング制御回路の一例を示す回路ブロック図である。
【図3】図2のスイッチタイミング制御回路のタイミング図である。
【図4】実施例1において生成可能なタイミングを示すタイミング図である。
【図5】実施例2によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図6】実施例2において生成可能なタイミングを示すタイミング図である。
【図7】実施例3によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路と、(b)組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成を示すブロック図である。
【図8】実施例2と実施例3において分周回路の分周比と構成に必要なデータフリップフロップの数を比較した図である。
【図9】特許文献3に記載の従来の分周回路(ジョンソンカウンタ)の回路ブロック図である。
【図10】図9における分周回路のタイミング図である。
【図11】一般的なジョンソンカウンタを用いた分周回路の回路ブロック図である。
【図12】図11の分周回路において、同一のデータフリップフロップにより複数のスイッチの開閉を同時制御した比較例の回路ブロック図である。
【図13】特許文献1に記載の従来のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の各実施例について詳細に説明する前に、実施形態の概要について説明する。なお、概要の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
【0013】
一例として図1に示すように、一実施形態のスイッチタイミング制御回路は、複数のデータフリップフロップ10−1〜10−nが縦続接続され、縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号CLKが接続され、それぞれ前段のデータ出力信号Qが後段のデータ入力信号Dとして接続され、初段のデータ入力信号(10−1のD)には、最終段(10−n)のデータ出力信号の論理が反転されて接続された(QbはQとは論理が反転)分周回路(図1(a))を備える。さらに、複数のデータフリップフロップ10−1〜10−nのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路(一例を挙げれば図2の21A、21B。図1(b)や図2の論理組み合わせ論理回路部20の内部)と、複数の組み合わせ論理回路の出力信号OUT1〜OUTkによりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチ30−1〜30−kと、を備える。一例を挙げれば、図1(b)の組み合わせ論理回路部20には、図2の21A、21Bに示すように複数の組み合わせ論理回路が設けられる。組み合わせ論理回路部20の入力端子S1〜Smは、図1の各データフリップフロップ10−1〜10−nの非反転データ出力信号Qまたは、反転データ出力信号Qbが接続される。なお、各組み合わせ論理回路21A、21Bには、複数の入力端子が存在し、各入力端子には、上記データフリップフロップ10−1〜10−nのうち、異なるデータフリップフロップの非反転データ出力信号Qまたは反転データ出力信号Qbが接続される。なお、上記の分周回路は、ジョンソンカウンタとして知られる分周回路である。上記構成の分周回路を用いれば、複数の縦続接続されたデータフリップフロップのうち、同時に反転または非反転データ出力信号の論理が反転するのが1つのデータフリップフロップに限られるので、組み合わせ論理回路は、複数の入力端子がそれぞれ異なるデータフリップフロップのデータ出力信号に接続されている限り、どのようなに組み合わせであろうと複数の入力端子の論理レベルが同時に変化することがなく、ハザードが生じることがない。
【0014】
また、複数の組み合わせ回路は、複数のデータフリップフロップのうち、第1のフリップフロップの第1のデータ出力信号と、第2のフリップフロップの第2のデータ出力信号と、がそれぞれ入力端子に接続された論理NAND回路と論理NOR回路とを含み、論理NAND回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第1のスイッチと、論理NOR回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第2のスイッチと、を含むことが好ましい。複数の縦続接続されたデータフリップフロップのうち、上記第1のフリップフロップは任意のデータフリップフロップであり、第2のフリップフロップはこれとは異なる任意のデータフリップフロップである。このように構成すれば、論理NAND回路の出力信号もしくはその反転信号、論理NOR回路の出力信号もしくはその反転信号は同時に変化することがないので、貫通電流が流れないタイミングを生成することができる。なお、論理NAND回路や論理NOR回路の出力信号により直接スイッチの導通非導通を制御するか、その反転信号(言い換えるならば、論理AND回路の出力信号、または、論理OR回路の出力信号)によりスイッチの導通非導通を制御するかは、スイッチにどのような電圧や電流を与えたときに導通、非導通に制御できるか、スイッチの特性により自由に決めることができる。スイッチは一例を挙げれば、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタやその他電界効果型トランジスタやバイポーラトラジスタなどを用いることができる。
【0015】
図5に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ12−1〜12−nhは、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで位相が反転したクロック信号が接続されているものであってもよい。なお、前段のデータフリップフロップに接続されるクロック信号と後段のデータフリップフロップに接続されるクロック信号とでは、位相が反転しているものの共通のクロック信号が接続される。上記構成によれば、前段と後段のデータフリップフロップとの間でクロックの位相を反転させることにより、同じ分周回路の周波数を得ようとするならば、前段と後段で位相を反転させない場合に対して必要なデータフリップフロップの数は倍になるが、クロックの半周期毎のより精度の高いより相数の多いデータ出力信号を組み合わせて各スイッチの導通、非導通タイミングを制御することができる。
【0016】
また、図1、図7に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ(10−1〜10−nや13−1〜13−n等)は、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続されているものであってもよい。
【0017】
また、図7に一例を示すように、縦続接続された複数のデータフリップフロップ13−1〜13−nは、(データ信号を出力する)前段のデータフリップフロップと(そのデータ信号を受ける)後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2を1つ以上さらに備え、第1のデータ出力信号及び/または第2のデータ出力信号が前記位相シフトデータフリップフロップ14−1、14−2を介して位相が1/2周期シフトされて論理NAND回路及び/又は前記論理NOR回路に接続されてもよい。すなわち、図7で非反転データ出力信号O1〜Onまたは、反転データ出力信号O1b〜Onbのいずれかの信号がデータ入力信号OA、OBとして接続され、データ入力端子S1、S2には、非反転データ出力信号O1〜On、反転データ出力信号O1b〜Onb、位相シフト用データフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされたデータ出力信号OAh、OAhb、OBh、OBhbのうち、任意の信号が接続されてもよい。この構成により、組み合わせ可能となるタイミング信号の数を増やすことができ、より精度の高いより相数の多いデータ出力信号を組み合わせて各スイッチの導通、非導通タイミングを制御することができる。
【0018】
一例を図2に示すように、複数のスイッチ31−1、31−2は、組み合わせ論理回路21A、21Bの出力信号、もしくはその反転信号がゲートに接続された電界効果型トランジスタをそれぞれ含むものであってもよい。電界効果型トランジスタは、NMOSトランジスタや、PMOSトランジスタを含むMOSトランジスタの他、接合型電界効果型トランジスタJFETや金属半導体型電界効果型トランジスタMESFETであってもよい。スイッチとしてMOSトランジスタを用いる場合は、PMOSスイッチとNMOSスイッチとを並列に接続し、CMOSアナログスイッチとしてもよい。
【0019】
さらに、一例を図2に示すように複数のスイッチ31−1、31−2は、導通時に流れる電流の電流路が共通ノードNCに接続されており、複数のスイッチ31−1、31−2が重複して導通するタイミングがないように、共通ノードNCに接続されている複数のスイッチ31−1、31−2がすべて非導通に制御された後、クロック信号CLKの1/2周期以上経過してから後に共通ノードNCに接続されている複数のスイッチのうちの一つのスイッチが非導通から導通に制御するように組み合わせ論理回路21A、21Bが構成されていることが好ましい。分周回路11が出力する多数のデータ出力信号を組み合わせて、スイッチの制御タイミングを生成することができるので、容易に、かつ、任意の間隔を空けて複数のスイッチの間で共通ノードNCを介して貫通電流が流れないように、複数のスイッチの導通、非導通のタイミングを制御することができる。
【0020】
また、一実施形態の半導体装置は、上記スイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されている。すなわち、スイッチタイミング制御回路を構成する分周回路、複数の組み合わせ論理回路、複数のスイッチ素子は、他の回路と共に半導体装置の一つの半導体基板の上に集積化することができる。
【0021】
以上で概要の説明を終え、以下、実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、実施例1によるスイッチタイミング制御回路の(a)分周回路10と、(b)組み合わせ論理回路部20及びスイッチ30−1〜30−kの構成を示すブロック図である。分周回路10の構成は、いわゆるジョンソンカウンタとして他の分野では、すでに知られている分周回路の構成を用いる。
【0023】
図9は、特許文献3の図6に記載されている分周回路(ジョンソンカウンタ)の回路ブロック図である。図9の分周回路100を実施例1の分周回路として用いることもできる。図9の分周回路100を例に実施例1で用いる分周回路の構成について説明する。分周回路100は、5個のデータフリップフロップ100−1〜100−5が縦続接続されている。縦続接続された各データフリップフロップにクロック信号CLKは共通に接続されている。また、前段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qは、後段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続され、最終段のデータフリップフロップ100−5のデータ出力信号O5がインバータ101により論理が反転されて初段のデータフリップフロップ100−1のデータ入力信号Dとして接続されている。このような5つの縦続接続されたデータフリッブフロップを用いることにより、クロック信号CLKの1クロックサイクルをTとしてハイレベルが5T、ロウレベルが5T継続するクロック信号CLKを10分周する分周回路100が得られる。
【0024】
この分周回路100のタイミング図を図10に示す。図10を用いて、分周回路100の動作について説明する。初期状態では、各データフリップフロップはリセット状態にあり、各データフリップフロップのデータ出力信号O1〜O5はロウレベルであるとする。
【0025】
最初のクロック信号CLKの立ち上がりで初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号O1はロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このとき、初段のデータフリップフロップ100−1以外の各データフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化せず、ロウレベルを維持する。
【0026】
クロック信号CLKの1クロックサイクルTの経過後、次にクロック信号CLKがロウレベルからハイレベルに立ち上がると2段目のデータフリップフロップ100−2のデータ出力信号O2がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このとき、2段目のデータフリップフロップ以外のフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化しない。さらに、最初のクロック信号CLKの立ち上がりから2クロックサイクル2Tが経過し、クロック信号CLKが立ち上がると3段目のデータフリップフロップ100−3のデータ出力信号O3がロウレベルからハイレベルに立ち上がるが、このとき他のデータフリップフロップのデータ出力信号の論理レベルは変化しない。同様に、3クロックサイクル目3Tのクロック信号CLKの立ち上がりでは、データ出力信号O4がロウレベルからハイレベルに立ち上がり、4クロックサイクル目4Tのクロック信号CLKの立ち上がりでは、データ出力信号O5(OUT)がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。
【0027】
さらに1クロックサイクル経過し、次のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号O1がハイレベルからロウレベルに立ち下がる。その後、クロック信号CLKの立ち上がる毎にデータ出力信号がハイレベルからロウレベルに遷移する。この様にクロック信号CLKの立ち上がりに同期して状態が遷移するデータフリップフロップはクロック信号の1クロックサイクル毎に後段のデータフリップに遷移して行く。そして、最終段のデータフリップフロップであるデータフリップフロップ100−5のデータ出力信号O5(OUT)がロウレベルに立ち下がると、次のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータフリップフロップ100−1のデータ出力信号がロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最初の状態に戻り、同じサイクルを繰り返す。
【0028】
このようにして各データフリップフロップのデータ出力信号は、クロック信号CLKの5サイクル毎にハイレベルとロウレベルを繰り返す。また、クロック信号CLKの立ち上がりに同期してデータ出力信号が遷移するデータフリップフロップは、5つのデータフリップのうち、一つのデータフリップフロップだけであり、状態が遷移するデータフリップフロップは、クロック信号CLKの1クロックサイクル毎に1段ずつ後段のフリップフロップへ移って行き、最終段のデータフリップフロップまでデータ出力信号が変化すると、次のサイクルでは、初段のデータフリップフロップのデータ出力信号が反転する。
【0029】
図11は、ジョンソンカウンタを用いた分周回路100の一般的な構成を示すブロック図である。n段(nは2以上の整数)に縦続接続されたデータフリップフロップのクロック信号には、共通のクロック信号CLKが接続される。また、縦続接続されたデータフリップフロップのデータ出力信号は、後段のデータ入力端子に接続される。また、最終段のデータフリップフロップ100−nの反転データ出力信号Qnbは初段のデータフリップフロップ100−1のデータ入力信号Dとして接続される。なお、図9では、最終段の非反転データ出力信号O5がインバータ101で論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続されていたが、図11では、最終段のデータフリップフロップ100−nの反転データ出力信号Qnbがインバータを介さずに直接初段のデータ入力信号Dとして接続されている。しかし、最終段の(非反転)データ出力信号の論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続されている点においては、図9と図11でどちらも同じである。また、図11の一般的なジョンソンカウンタを用いた分周回路100の動作も図9に示す分周回路と同じであり、リセットが解除されると、初段のデータフリップフロップからクロック信号CLKが立ち上がる毎に、1段ずつデータ出力信号Qがロウレベルからハイレベルに立ち上がっていく。最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号がハイレベルに立ち上がると、今度は、次のクロック信号の立ち上がりのサイクルから1クロックサイクル毎に、初段のデータフリップフロップから順に1段ずつデータフリップフロップのデータ出力信号がハイレベルからロウレベルに立ち下がる。そのようにして各データフリップフロップは、クロック信号CLKのnクロックサイクル毎にハイレベルとロウレベルを繰り返す。
【0030】
図1(a)に示す実施例1のスイッチタイミング制御回路の分周回路10は基本的に、このジョンソンカウンタを用いた分周回路の構成を用いる。すなわち、n段(nは2以上の整数)縦続接続されたデータフリップフロップ10−1〜10−nは、クロック信号CLKが共通にクロック端子Cに与えられる。また、各段のデータ出力信号Qは後段のデータ入力信号として接続される。さらに、最終段の反転データ出力信号Qbは、初段のデータフリップフロップにデータ入力信号として接続される。
【0031】
図1(b)に、実施例1のスイッチタイミング制御回路における組み合わせ論理回路部20及びスイッチ30−1〜30−kの構成を示す。組み合わせ論理回路部20の入力端子S1〜Sm(mは2以上の整数)には、n段縦続接続されたデータフリップフロップ10−1〜10−nの各段のデータ出力信号O1〜On、反転データ出力信号O1b〜Onbのうち、任意のデータ出力信号、または、反転データ出力信号がそれぞれ接続される。組み合わせ論理回路部20の内部には複数の組み合わせ論理回路が設けられており、入力端子S1〜Smのうち、任意の複数の入力端子から入力された信号を組み合わせ論理回路により組み合わせて、それぞれ出力信号OUT1〜OUTk(kは2以上の整数)として出力する。
【0032】
たとえば、n段縦続接続されたデータフリップフロップのうち、任意の段の非反転データ出力信号Qまたは反転データ出力信号Qbが接続される第1のデータ入力端子と、それとは異なる任意の段の非反転データ出力信号Qまたは反転テータ出力信号Qbが接続される第2のデータ入力端子とを組み合わせ論理回路により組み合わせることにより、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して2n通りの任意のタイミングで立ち上がり、2n−1通りの任意のパルス幅のパルスを出力信号OUT1〜OUTkとして出力することができる。なお、第1のデータ入力端子と第2のデータ入力端子を同一のデータフリップフロップのデータ出力信号から接続しないのは、第1のデータ入力端子と第2のデータ入力端子の論理が同時に変化し、組み合わせ論理回路部20の出力信号にハザードが生じないようにするためである。
【0033】
上記分周回路10では、クロック信号CLKの立ち上がり毎にn段のデータフリップロップのうち、いずれかのデータフリップフロップのデータ出力信号の論理が変化し、かつ、同時に論理が変化するのは、n個のデータフリップフロップのうち、1個のデータフリップフロップのみである。したがって、n段縦続接続されたデータフリップフロップのうち、任意の2つのデータフリップフロップの非反転データ出力信号または反転データ出力信号を組み合わせることにより、分周回路10と周期が同一で、かつ、任意の位相のクロック信号CLKの立ち上がりに同期して、立ち上がり、任意の位相のクロック信号CLKの立ち上がりに同期して立ち下がるタイミング制御信号を生成することができる。この組み合わせ論理回路部20で生成したタイミング制御信号は、出力信号OUT1〜OUTk(kは2以上の任意の整数)として組み合わせ論理回路部20から出力され、対応するスイッチ30−1〜30−kの導通、非導通を制御する。なお、スイッチ30−1〜30−kには、電界効果型トランジスタ、バイポーラトランジスタなど任意のスイッチ素子を用いることができる。また、スイッチにMOSトランジスタを用いる場合には、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを並列して接続し、それぞれのゲートに論理が反転した信号を与えることにより、CMOSアナログスイッチとすることもできる。また、出力信号OUT1〜OUTkの論理をインバータにより論理を反転させてスイッチを駆動するか否かは、スイッチ素子の種類に応じて任意に決めることができる。
【0034】
図2は、実施例1のスイッチタイミング制御回路のより具体的な適用例の回路ブロック図である。図2のスイッチタイミング制御回路40において、分周回路11に用いる縦続接続するデータフリップフロップ11−1〜11−3の数は3である。分周回路11のデータフリップフロップからデータ出力信号O1、O2が組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S1とS2にそれぞれ接続されている。また、組み合わせ論理回路部21には、論理NOR回路21A、論理NAND回路21B、論理NOR回路21Aの反転信号を生成するインバータ回路21Cを設けている。また、論理NOR回路21A、論理NAND回路21Bの入力信号は、データ入力端子S1、S2から共通の入力信号として接続されている。
【0035】
さらに、図2のスイッチタイミング制御回路40では、スイッチ31−1、31−2としてPMOSトランジスタを用いている。インバータ回路21Cの出力信号OUT1は、スイッチ31−1となるPMOSトランジスタのゲートに接続され、論理NAND回路21Bの出力信号OUT2はスイッチ31−2となるPMOSトランジスタのゲートに接続されている。さらに、PMOSトランジスタ31−1、31−2のソースドレインの一方は、共通ノードNCに接続され、PMOSトランジスタ31−1のソースドレインの他方はノードNAに、PMOSトランジスタ31−2のソースドレインの他方はノードNBに接続されている。すなわち、スイッチ31−1が導通したときに流れる電流路と、スイッチ31−2が導通したときに流れる電流路が共に共通ノードNCに接続されている。
【0036】
図3は、図2のスイッチタイミング制御回路40の動作タイミング図である。分周回路11の複数のデータフリップフロップ11−1〜11−3のデータ出力信号O1〜O3は、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して変化する。最初のクロック信号CLKの立ちあがり時刻である時刻t0でデータフリップフロップ11−1の非反転データ出力信号であるO1(組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S1への入力信号)がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。このときのデータフリップフロップ11−2の非反転データ出力信号O2(組み合わせ論理回路部21のデータ入力端子S2への入力信号)はロウレベルである。したがって、出力信号OUT1、OUT2は共にハイレベルとなり、スイッチ31−1、スイッチ31−2は共に非導通状態となる。
【0037】
次のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングである時刻t1では、組み合わせ論理回路部21の入力端子S2への入力信号の論理レベルがロウレベルからハイレベルに立ち上がる。すると組み合わせ論理回路部21の出力信号OUT2がハイレベルからロウレベルに立下り、スイッチ31−2が導通する。このとき、スイッチ31−1は非導通状態を維持するので、ノードNCを介してノードNAとノードNBとの間で貫通電流が流れることはない。
【0038】
さらにクロック信号CLKの2クロックサイクルが経過し、時刻t2になると、入力端子S1の論理レベルがハイレベルからロウレベルに立ち下がる。すると、出力信号OUT2はロウレベルからハイレベルに立ち上がり、スイッチ31−2は再び導通状態から非導通状態に戻る。このとき、スイッチ31−1は非導通状態を維持する。
【0039】
次のクロック信号CLKの立ち上がり時刻である時刻t3には、入力端子S1の論理レベルはハイレベルからロウレベルに立ち下がり、これに伴って出力信号OUT1がハイレベルからロウレベルに立ち下がり、スイッチ31−1が非導通から導通状態に遷移する。しかし、このとき、スイッチ31−2は非導通状態を維持するので、ノードNAとノードNBとの間で貫通電流が流れることはない。さらにクロック信号CLKの2クロックサイクル後の時刻t4では、入力端子S1の論理レベルがロウレベルからハイレベルに変化する。すると出力信号OUT1は再び、ロウレベルからハイレベルに戻り、スイッチS1は再び非導通状態に戻る。
【0040】
このように共通ノードNCに接続される複数のスイッチの導通、非導通の制御をいわゆるジョンソンカウンタとその各段のデータ出力信号を組み合わせてスイッチを制御する組み合わせ論理回路により行う。この構成により、共通ノードNCに接続される複数のスイッチ31−1、31−2が同時に導通し、共通ノードを介して貫通電流が流れることが防止できる。なお、実施例1では、共通ノードに接続されるスイッチが複数ある場合のスイッチの切り替え時に、少なくともクロック信号CLKの1周期以上、1周期単位で共通ノードNCに接続されるスイッチがいずれも非導通となる期間を設けるように組み合わせ論理回路を構成することができる。また、共通ノードに接続されるスイッチの数が2つである場合には、組み合わせ論理回路を入力端子が共通に接続された2入力論理NAND回路と2入力論理NOR回路とを用いて、論理NAND回路と論理NOR回路によりそれぞれ対応するスイッチの導通、非導通を制御することにより、2つのスイッチを交互に導通させる間に、2つのスイッチを共に非導通となる期間を設けることができる。この構成により確実に2つのスイッチの間で貫通電流が流れることを防止することができる。なお、論理NAND、論理NORは、スイッチの開閉を行うために必要な論理によって、任意に論理AND、論理ORに置き換えることができる。
【0041】
ここで、図12は、実施例1の比較例となるスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図12のスイッチタイミング制御回路では、分周回路100の同一のデータフリップフロップ100−nの非反転データ出力信号Qn、反転データ出力信号Qnbで直接スイッチ130−1、130−2の導通、非導通を制御している。このように構成すると、スイッチ130−1を非導通から導通状態に遷移させるタイミングとスイッチ130−2を導通から非導通に遷移させるタイミングが同時である。逆にスイッチ130−2を非導通から導通状態に遷移させるタイミングとスイッチ130−1を導通から非導通に遷移させるタイミングも同時になる。このように制御すると、スイッチ130−1と130−2がスイッチの切り替え時に同時に導通状態となるとなるため、貫通電流が流れることが避けられない。
【0042】
次に、図1に示す一般的なスイッチタイミング制御回路によって生成可能なスイッチの導通、非導通のタイミングを、さらに図4のタイミング図を用いて説明する。図1(a)の分周回路10の各段のデータ出力信号O1〜Onは、図4に示すように、クロック信号CLKの1周期の長さをTとしたときに、周期2nTで変化する。分周回路10が出力する各データ出力信号O1〜OnはそれぞれnTの期間ずつハイレベルとロウレベルを繰り返す1/2デューティーの周期信号である。また、各段のデータ出力信号O1〜Onは、後段のデータ出力信号になるほど、クロック信号CLKの1周期ずつ位相が遅れており、クロック信号CLKの立ち上がりに同期してn相の1/2デューティーの周期信号として出力される。組み合わせ論理回路部20では、これらのn相の1/2デューティーの周期信号(データ出力信号O1〜On)のうち、任意の2つのデータ出力信号を論理NAND回路または、論理NOR回路、さらには、論理NAND回路、論理NOR回路の論理を反転させて、論理OR回路、論理AND回路を用いて、クロック信号CLKの任意の立ち上がりで立ち上がり、任意の立ち上がりで立ち下がる2nT周期のタイミング信号を生成することができる。
【0043】
ここで、さらに、組み合わせ論理回路部の構成として、図2に示す組み合わせ論理回路部21の構成と、スイッチとして図2に示すようにOUT1、OUT2がそれぞれロウレベルのときに導通するようなスイッチを用いたとする。このような構成を取ると、最小でクロック信号CLKの1周期Tの長さTminの長さだけロウレベルが継続するパルスを生成することができる。また、OUT1、OUT2のロウレベルが継続する長さは、Tvar1で示すように、クロック信号CLKの1サイクル時間T単位で任意に設定することができる。Tvar1の長さをどのように設定するかは、組み合わせ論理回路部21の入力端子S1、S2を縦続接続されたデータフリップフロップのどのデータ出力信号に接続するかによって任意に設定することができる。
【0044】
なお、Tminと、Tvar1の時間を数式で表すとそれぞれ式(1)、式(2)の通りである。ここでTは、クロック信号CLKの1クロックサイクル長さである。
【0045】
Tmin1=T 式(1)
0<=Tbar1<=(n−1)*T 式(2)
【0046】
以上説明したように実施例1では、クロック信号CLKの1サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングが生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、分周回路以外に不感時間を設けるために特に遅延回路を必要としないのでスイッチタイミング制御回路の回路規模を小さくすることができる。
【実施例2】
【0047】
図5は、実施例2のスイッチタイミング制御回路の回路ブロック図である。図5(a)に分周回路12の構成を、図5(b)に組み合わせ論理回路部21とスイッチ31−1、31−2の構成を示す。図5(a)において、分周回路12は、2n個(nは2以上の整数)の縦続接続されたデータフリップフロップ12−1、12−1h〜12−n、12−nhを含んで構成される。縦続接続されるデータフリップフロップの数は、実施例1の2倍の数である。実施例1の分周回路10と同様に縦続接続された複数のデータフリップフロップには、共通のクロック信号が接続され、縦続接続された前段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qが後段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続され、縦続接続されたデータフリッブフロップのうち、最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号Qの論理が反転されて初段のデータフリップフロップのデータ入力信号Dとして接続されている。
【0048】
実施例1では、縦続接続された各データフリップフロップには、すべて同相のクロック信号CLKが接続されていたが、実施例2では、縦続接続された各データフリップフロップには前段と後段のデータフリップフロップで一つ毎に論理反転された逆相のクロック信号が接続されている。
【0049】
なお、図5では、最終段の一つ前のデータフリップフロップ12−nの反転データ出力信号Onbが初段のデータフリップフロップ12−1のデータ入力信号Dとして接続されているが、最終段のデータフリップフロップ12−nhの反転データ出力信号Onhbを初段のデータフリップフロップのデータ入力信号として接続しても基本的な動作は同一である。
【0050】
また、図5(b)に示す組み合わせ論理回路部21とスイッチ31−1、31−2の構成は、実施例1の組み合わせ論理回路部及びスイッチの構成と同一である。
【0051】
次に、実施例2のスイッチタイミング制御回路の動作について、図6の動作タイミング図を用いて説明する。クロック信号CLKに対して縦続接続された各段のデータフリップフロップのデータ出力信号をO1〜Onhに示す。実施例1では、縦続接続されたデータ出力信号の位相の遅れは、クロック信号CLKの1周期T単位であったが、実施例2では、クロック信号CLKの1/2周期T/2単位である。
【0052】
初期状態では、縦続接続されたすべてのデータフリップフロップは、リセット状態にあり、各データフリップフロップのデータ出力信号はロウレベルを出力しているものとする。その状態から最初のクロック信号CLKが立ち上がると、初段のダータフリップフロップ12−1の非反転データ出力信号O1がロウレベルからハイレベルに立ち上がる。次に、クロック信号CLKの1/2周期、T/2だけ遅れてクロック信号CLKが立ち下がると次段のデータフリップフロップ12−1hの非反転データ出力信号O1hがロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。さらに次段のデータフリップフロップ12−2のデータ出力信号O2はデータ出力信号O1hからさらにクロック信号CLKの1/2周期(T/2)だけ位相が遅れてロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。このようにして最終段の一つ前のデータフリップフロップ12−nのデータ出力信号Onは、初段のデータフリップフロップが立ち上がってから(n−1)T後にロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最終段のデータフリップフロップ12−nhのデータ出力信号Onhは、初段のデータフリップフロップが立ち上がってから(n−1/2)T後にロウレベルからハイレベルに立ち上がっている。
【0053】
さらにそのタイミングからクロック信号CLKの半周期(T/2)後のクロック信号CLKの立ち上がりでは、初段のデータ出力信号O1はハイレベルからロウレベルに立ち下がっている。初段のデータフリップフロップのデータ出力信号が立ち下がると、後段のデータフリップフロップのデータ出力信号は、それぞれクロック信号CLKの1/2周期ずつ位相が遅れて立ち下がる。最終段のデータフリップフロップのデータ出力信号が立ち下がると、それからクロック信号CLKの半周期後のクロック信号CLKの立ち上がりで、初段のデータフリップフロップのデータ出力信号は、ロウレベルからハイレベルに立ち上がり、最初に戻って動作を継続する。
【0054】
各データ出力信号(O1、O1h等)の周期は2nTであり、ハイレベル出力がnT、ロウレベル出力の期間がnTだけ継続する1/2デューティーの信号が出力される。また、T/2ずつ位相が遅れた2n相のデータ出力信号が出力される。これら2n相の1/2デューティーのデータ出力信号を組み合わせ論理回路(21A、21B等)で組み合わせることにより、周期が2nTでT/2単位で任意のタイミングで立ち上がり、任意のタイミングで立ち下がる出力信号を生成し、スイッチの導通、非導通を制御することができる。
【0055】
ここで、組み合わせ論理回路部の構成として、図5(b)に示す組み合わせ論理回路部21の構成と、スイッチとしてOUT1、OUT2がそれぞれロウレベルのときに導通するようなスイッチを用いたとする。このような構成を取ると、OUT1、OUT2がそれぞれロウレベルとなる時間の最小時間Tmin2は、クロック信号CLKの1/2周期T/2の長さに設定することができる。また、OUT1、OUT2のロウレベルが継続する長さは、Tvar2で示すように、クロック信号CLKの1/2サイクル時間T/2単位で任意に設定することができる。Tvar2の長さをどのように設定するかは、組み合わせ論理回路部21の入力端子S1、S2を縦続接続されたデータフリップフロップのどのデータ出力信号に接続するかによって任意に設定することができる。
【0056】
なお、Tmin2と、Tvar2の時間を数式で表すとそれぞれ式(3)、式(4)の通りである。ここでTは、クロック信号CLKの1クロックサイクル長さである。
【0057】
Tmin2=T/2 式(3)
0<=Tbar2<=(2n−1)*T/2 式(4)
【0058】
以上説明したように実施例2では、クロック信号CLKの1/2サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングを生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1/2サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、分周回路以外に不感時間を設けるために特に遅延回路を必要としないのでスイッチタイミング制御回路の回路規模を小さくすることができる。
【実施例3】
【0059】
図7に実施例3のスイッチタイミング制御回路の構成を示す。図7(a)は、実施例3のスイッチタイミング制御回路における分周回路13の回路ブロック図であり、図7(b)は、実施例3のスイッチタイミング制御回路における組み合わせ論理回路とスイッチの構成の一例を示す回路ブロック図である。
【0060】
図7(a)の分周回路13において、データフリップフロップがn段縦続接続され、すべて同相のクロック信号CLKが接続されている構成は、実施例1の図1(a)に示す分周回路10と同一である。ただし、実施例3では、実施例1の分周回路10にさらに位相シフト回路14が付加されている。この位相シフト回路14には、n段縦続接続されたデータフリップフロップ13−1〜13−nに接続されるクロック信号CLKの位相を反転させた逆相のクロック信号を生成するインバータ回路14−0が設けられている。さらに、n段縦続接続されたデータフリップフロップから出力されるn相の非反転データ出力信号、反転データ出力信号から任意のデータ出力信号が接続可能である位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2を備えている。この位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2には、インバータ回路14−0で位相を反転したクロック信号CLKがクロック信号として接続されている。この位相シフト回路14により、n段に縦続接続されたデータフリップフロップが出力するクロック信号CLKの1周期単位で位相がずれたn相のデータ出力信号のうち、位相シフト回路14に接続されたデータ出力信号OA、OBの位相をさらにクロック信号CLKの1/2周期遅延させたデータ出力信号を生成することができる。
【0061】
組み合わせ論理回路部21では、n相のデータ出力信号と、位相シフト回路14でさらにクロック信号CLKの1/2周期位相を遅延されたデータ出力信号を用いてクロック信号CLKの1/2周期単位で、スイッチ31−1、31−2の導通、非導通を制御するタイミング信号を生成することができる。
【0062】
実施例3は、クロック信号CLKの1/2周期単位でスイッチの開閉を制御するタイミング信号を生成する点では、実施例2と同一である。しかし、n(実施例3で縦続接続されるデータフリップフロップの数)が3以上であり、クロック信号CLKを6分周以上してスイッチの開閉を制御する信号を生成する場合には、実施例2より必要とするデータフリップフロップの数を少なくすることができる。
【0063】
図8に、クロック信号CLKを分周回路で分周する分周数と実施例2と実施例3の分周回路で必要とするデータフリップフロップの数の比較を示す。実施例3では、データフリッブフロップの数には、位相シフト用データフリップフロップ14−1、14−2も含まれるものとする。実施例2では、2n分周を行う場合に、必要とするデータフリップフロップの数は、常に2n個である。一方、実施例3では、位相シフト用データフリップフロップを2個設けるとデータフリップフロップの数はn+2となる。ただし、n=1の場合は、位相シフト用データフリップフロップを接続する箇所が1箇所しかないので、位相シフト用データフリップフロップの数は1になる。図8に示すとおり、nが3以上で6分周以上行う場合は、実施例3の方が実施例2よりさらにデータフリップフロップの数を減らすことができる。
【0064】
以上説明したように実施例3では、クロック信号CLKの1/2サイクル単位で任意のタイミングでスイッチを導通、非導通に制御するタイミングを生成することができる。また、複数のスイッチの導通、非導通を切り替える際に、最小でクロック信号CLKの1/2サイクルの不感時間を確実に設けることができるので複数のスイッチを経由して貫通電流が流れることを確実に防止できる。さらに、不感時間を基本的に分周回路の各段から生成し、時間の微調整を位相シフト回路により行うことができるので、スイッチの導通、非導通のタイミングを精度よく設定し、かつ、全体の回路規模を小さくすることができる。
【0065】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10、11、12、13、100:分周回路(ジョンソンカウンタ)
10−1、10−2、10−3、10−5〜10−n、11−1、11−2、11−3、12−1、12−1h、12−2、12−2h、12−3、12−n、12−nh、13−1、13−2、13−3、13−4、13−5〜13−n、100−1、100−2、100−3、100−4、100−5〜100−n:データフリップフロップ
14:位相シフト回路
14−1、14−2:位相シフト用テータフリップフロップ
20、21:組み合わせ論理回路部
21A:論理NOR回路(組み合わせ論理回路)
21B:論理NAND回路(組み合わせ論理回路)
14−0、21C、101、121:インバータ回路
30−1、30−2、30−3〜30−k、31−1、31−2、130−1、130−2:スイッチ
40:スイッチタイミング制御回路
201:発振回路
202:フリップフロップ
203:遅延回路
204:論理積素子
205:論理和素子
206:否定素子
207、208、209、210:スイッチ素子
O1〜On:(データフリップフロップの非反転)データ出力信号
O1b〜Onb:(データフリップフロップの)反転データ出力信号
OUT1〜OUTk:(組み合わせ論理回路部の)出力信号
S1〜Sm:(組み合わせ論理回路部の)データ入力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータフリップフロップが縦続接続され、前記縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、
前記複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、
前記複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、
を備えるスイッチタイミング制御回路。
【請求項2】
前記複数の組み合わせ回路は、前記複数のデータフリップフロップのうち、第1のフリップフロップの第1のデータ出力信号と、第2のフリップフロップの第2のデータ出力信号と、がそれぞれ入力端子に接続された論理NAND回路と論理NOR回路とを含み、
前記論理NAND回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第1のスイッチと、
前記論理NOR回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第2のスイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項3】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで位相が反転したクロック信号が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項4】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項5】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、
それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップを1つ以上さらに備え、
前記複数の組み合わせ論理回路が、前記異なるデータフリップフロップのデータ出力信号のうち、少なくとも一つのデータ出力信号が前記位相シフト用データフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされて前記入力端子に接続された組み合わせ論理回路を含むことを特徴とする請求項1記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項6】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、
それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップを1つ以上さらに備え、
前記第1のデータ出力信号及び/または前記第2のデータ出力信号が前記位相シフトデータフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされて前記論理NAND回路及び/又は前記論理NOR回路に接続されていることを特徴とする請求項2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項7】
前記複数のスイッチは、前記組み合わせ論理回路の出力信号、もしくはその反転信号がゲートに接続された電界効果型トランジスタをそれぞれ含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項8】
前記複数のスイッチは、導通時に流れる電流の電流路が共通ノードに接続されており、
前記複数のスイッチが重複して導通するタイミングがないように、前記共通ノードに接続されている複数のスイッチがすべて非導通に制御された後、前記クロック信号の1/2周期以上経過して後に前記共通ノードに接続されている複数のスイッチのうちの一つのスイッチが非導通から導通に制御するように前記組み合わせ論理回路が構成されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
複数のデータフリップフロップが縦続接続され、前記縦続接続されたデータフリップフロップには共通のクロック信号が接続され、それぞれ前段のデータ出力信号が後段のデータ入力信号として接続され、初段のデータ入力信号には、最終段のデータ出力信号の論理が反転されて接続された分周回路と、
前記複数のデータフリップフロップのうちそれぞれ複数の異なるデータフリップフロップの出力信号が入力端子に接続された複数の組み合わせ論理回路と、
前記複数の組み合わせ論理回路の出力信号によりそれぞれ導通、非導通が制御される複数のスイッチと、
を備えるスイッチタイミング制御回路。
【請求項2】
前記複数の組み合わせ回路は、前記複数のデータフリップフロップのうち、第1のフリップフロップの第1のデータ出力信号と、第2のフリップフロップの第2のデータ出力信号と、がそれぞれ入力端子に接続された論理NAND回路と論理NOR回路とを含み、
前記論理NAND回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第1のスイッチと、
前記論理NOR回路の出力信号、もしくはその反転信号により導通非導通が制御される第2のスイッチと、
を含むことを特徴とする請求項1記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項3】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで位相が反転したクロック信号が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項4】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項5】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、
それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップを1つ以上さらに備え、
前記複数の組み合わせ論理回路が、前記異なるデータフリップフロップのデータ出力信号のうち、少なくとも一つのデータ出力信号が前記位相シフト用データフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされて前記入力端子に接続された組み合わせ論理回路を含むことを特徴とする請求項1記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項6】
前記縦続接続された複数のデータフリップフロップは、前記前段のデータフリップフロップと前記後段のデータフリップフロップで同相のクロック信号が接続され、
それぞれデータ入力信号として前記複数のデータフリップフロップのうち、任意のデータフリップフロップのデータ出力信号が接続され、前記クロック信号の位相を反転させた信号がクロック信号として接続され、当該データ出力信号の位相を1/2周期シフトさせる位相シフト用データフリップフロップを1つ以上さらに備え、
前記第1のデータ出力信号及び/または前記第2のデータ出力信号が前記位相シフトデータフリップフロップを介して位相が1/2周期シフトされて前記論理NAND回路及び/又は前記論理NOR回路に接続されていることを特徴とする請求項2記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項7】
前記複数のスイッチは、前記組み合わせ論理回路の出力信号、もしくはその反転信号がゲートに接続された電界効果型トランジスタをそれぞれ含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項8】
前記複数のスイッチは、導通時に流れる電流の電流路が共通ノードに接続されており、
前記複数のスイッチが重複して導通するタイミングがないように、前記共通ノードに接続されている複数のスイッチがすべて非導通に制御された後、前記クロック信号の1/2周期以上経過して後に前記共通ノードに接続されている複数のスイッチのうちの一つのスイッチが非導通から導通に制御するように前記組み合わせ論理回路が構成されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか1項記載のスイッチタイミング制御回路が半導体基板の上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−211538(P2011−211538A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77991(P2010−77991)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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