説明

スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法並びに搬送装置及びその係合ストッパ

【課題】スクリーン印刷装置における回路基板の搬送方法を改善する。
【解決手段】回路基板15の搬入方向側の端縁に係合可能な係合ストッパ21と、この係合ストッパ21を移動させる移動手段(カメラ移動機構)とを備え、搬入コンベア11上で待機する回路基板15の搬入方向側の端縁に係合ストッパ21を係合させると共に、メインコンベア12をその位置調整機構により搬出コンベア13に接近させて両コンベア12,13間の隙間を狭めた状態で、搬入コンベア11上で待機する回路基板15をメインコンベア12に搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板15をメインコンベア12から搬出コンベア13へ搬出する動作とを同時に行わせる。この際、搬入コンベア11上で待機する回路基板15の搬入方向側の端縁に係合ストッパ21を係合させた状態を維持しながら、係合ストッパ21をメインコンベア12の所定位置まで移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板(ワーク)の搬送方法を改善したスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法並びに搬送装置及びその係合ストッパに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクリーン印刷装置においては、例えば特許文献1(特開2003−62971号公報)に記載されているように、搬入コンベアとメインコンベアと搬出コンベアを互いに所定の隙間を介して一列に配置し、回路基板を前記搬入コンベアから前記メインコンベアに搬入し、このメインコンベア上で当該回路基板にパターンをスクリーン印刷した後、この回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出するようにしたものがある。この種の構成のスクリーン印刷装置では、メインコンベア上の回路基板をその真上に位置するスクリーンマスクに対して位置決めする際に、メインコンベアの位置をX−Y方向及び/又はθ方向(回転方向)に調整することで、メインコンベア上の回路基板をスクリーンマスクに対して位置決めするようにしたものがある。このものでは、搬入コンベアとメインコンベアとの間と、メインコンベアと搬出コンベアとの間には、それぞれ、メインコンベアのX−Y方向及びθ方向の位置調整を可能にするために例えば20mm程度の隙間が設けられている。
【特許文献1】特開2003−62971号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成のスクリーン印刷装置は、様々な基板サイズに対応できるように設計されているが、特に小さいサイズの回路基板を取り扱う場合は、その回路基板を搬入コンベアからメインコンベアに搬入する際に、その回路基板の搬入方向側の部分が搬入コンベアとメインコンベアとの間の隙間で重力により下方に傾いて両コンベア間の隙間から回路基板が落下してしまう可能性がある。
【0004】
この問題を解決するために、回路基板を搬入コンベアからメインコンベアに搬入する際に、メインコンベアの位置調整機構を利用してメインコンベアを搬入コンベアに接近させて両コンベア間の隙間を狭めることで、両コンベア間の隙間から回路基板が落下することを防止することが考えられている。
【0005】
しかし、回路基板を搬入コンベアからメインコンベアに搬入する際に、メインコンベアを搬入コンベアに接近させて両コンベア間の隙間を狭めると、その反対側の搬出コンベアとメインコンベアとの間の隙間は広がるため、この状態ではメインコンベア上の印刷済みの回路基板を搬出コンベアへ搬出できない。この関係で、回路基板の搬入と搬出とを同時に行うことができないため、まず、メインコンベアを搬出コンベアに接近させてメインコンベア上の印刷済みの回路基板を搬出コンベアへ搬出した後、メインコンベアを搬入コンベアに接近させて、新たな回路基板をメインコンベアに搬入するという2工程の搬送動作が必要となる。その結果、回路基板の搬出と搬入に時間がかかり、サイクルタイムが長くなって、生産効率が低下するという欠点がある。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、回路基板を搬入コンベアからメインコンベアに搬入する際に、メインコンベアを搬入コンベアに接近させなくても、回路基板を両コンベア間の隙間に落下させることなくメインコンベアに安定して搬入することができるスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法並びに搬送装置及びその係合ストッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、搬入コンベアとメインコンベアと搬出コンベアを互いに所定の隙間を介して一列に配置し、回路基板を前記搬入コンベアから前記メインコンベアに搬入し、このメインコンベアの位置調整機構により前記回路基板を位置決めして当該回路基板にパターンをスクリーン印刷した後、この回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出するシステムにおいて、前記回路基板の搬入方向側の端縁に係合可能な係合ストッパと、前記係合ストッパを移動させる移動手段とを備え、前記搬入コンベア上で待機する回路基板の搬入方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させ、前記回路基板を前記搬入コンベアから前記メインコンベアに搬入する際に前記係合ストッパを前記回路基板との係合状態を維持しながら前記メインコンベアの所定位置まで移動させるようにしたものである。このようにすれば、搬入コンベア上で待機する回路基板をメインコンベアに搬入する際に、メインコンベアを搬入コンベアに接近させなくても、回路基板を両コンベア間の隙間に落下させることなくメインコンベアに安定して搬入することができる。
【0008】
この場合、係合ストッパを移動させる移動手段は、それ専用の移動機構を設けても良いが、回路基板の基板位置認識マークを撮影するカメラを移動させるカメラ移動機構を備えたスクリーン印刷装置に本発明を適用する場合は、カメラ移動機構を用いて係合ストッパを移動させるようにすると良い。このようにすれば、専用の移動機構を設ける必要がないため、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0009】
また、本発明は、前記搬入コンベア上で待機する回路基板を前記メインコンベアに搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出する動作とを同時に行わせることが好ましいが、回路基板を搬入コンベアからメインコンベアに搬入する際に、搬入コンベアとメインコンベアとの隙間が開いていても、係合ストッパによって回路基板の落下を防止できるため、メインコンベアをその位置調整機構により搬出コンベアに接近させて両コンベア間の隙間を狭めた状態で、回路基板の搬入動作と搬出動作とを同時に行わせるようにすると良い。このようにすれば、搬入・搬出のいずれの回路基板も落下することなく、搬入と搬出とを同時にスムーズに行うことができ、サイクルタイムを短縮することができて、生産効率向上、生産コスト低減の要求を満たすことができる。
【0010】
本発明のような係合ストッパを用いた搬送技術の思想は、スクリーン印刷装置に限らず、少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した様々な産業機器の搬送装置に広く適用して実施できる。このように、少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した搬送装置に本発明の技術思想を適用可能する場合は、前記コンベアによって搬送されるワークの搬送方向側の端縁に係合可能な係合ストッパと、前記係合ストッパを移動させる移動手段とを備え、上流側のコンベア上で待機するワークの搬送方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させ、前記ワークを前記上流側のコンベアからその下流側のコンベアに搬送する際に前記係合ストッパを前記ワークとの係合状態を維持しながら前記下流側のコンベアへ移動させるようにすれば良い。このようにすれば、両コンベア間に比較的大きな隙間があっても、ワークを両コンベア間の隙間に落下させることなく安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1乃至図4に基づいてスクリーン印刷装置全体の構成を概略的に説明する。
搬入コンベア11とメインコンベア12と搬出コンベア13が互いに所定の隙間を介して一列に配置され、メインコンベア12の上方にはスクリーンマスク14が配置されている。搬入コンベア11と搬出コンベア13は、設置位置が固定されているが、メインコンベア12は、位置調整機構(図示せず)に支持され、この位置調整機構によりメインコンベア12の位置をX−Y方向及び/又はθ方向(回転方向)に調整することで、メインコンベア12上の回路基板15をその真上に位置するスクリーンマスク14に対して位置決めするようになっている。
【0012】
このスクリーン印刷装置には、メインコンベア12上の回路基板15の基板位置認識マークとスクリーンマスク14のマスク位置認識マーク(図示せず)を撮影するためのカメラユニット16が装備されている。このカメラユニット16は、図5に示すように、支持フレーム17にCCDカメラ等のカメラ18が取り付けられていると共に、そのカメラ18のレンズ側に、回路基板15側とスクリーンマスク14側の両方を撮影するためのプリズム19が装着されている。このカメラユニット16は、カメラ移動機構(図示せず)に支持され、このカメラ移動機構によってX−Y−Z方向に移動できるようになっている。このカメラ移動機構は、後述する係合ストッパ21を移動させる移動手段としても機能する。
【0013】
更に、カメラユニット16の支持フレーム17には、係合ストッパ21(図6参照)と、この係合ストッパ21を上下方向(Z方向)に移動させるシリンダ22とがブラケット23を介して組み付けられている。この係合ストッパ21は、ブラケット23に設けられた円筒状のガイド24によって上下動自在に挿通支持され、シリンダ22は、ブラケット23に下向きに取り付けられ、このシリンダ22のロッド24と係合ストッパ21とが連結部材25によって一体的に上下するように連結されている。この係合ストッパ21の下部には、回路基板15の搬入方向側の端縁中央部に係合する凹溝状の係合部26が形成されている。
【0014】
本実施例では、係合部26の下端が鍔状(フランジ状)に形成され、係合部26の上部がテーパ面状に形成され、この上部テーパ面と下端鍔状部との間の部分は、同一径の円柱状に形成されている。この係合ストッパ21の係合部26を回路基板15の端縁に係合させると、回路基板15の端縁が係合部26の下端鍔状部で受け支持されるように係合され、且つ、回路基板15の端縁が係合部26の同一径部分で位置決めされるようになっている。この場合、係合部26の下端鍔状部と上部テーパ面との間の同一径部分の上下方向寸法は、このスクリーン印刷装置で印刷可能な回路基板15の最大板厚よりも僅かに大きく設定され、様々な板厚の回路基板15を係合部26の同一径部分で正確に位置決めできるようになっている。
【0015】
また、本実施例では、回路基板15の搬送方向を図1の搬送方向と逆方向にした場合でも(つまり図1の右端のコンベア13を搬入コンベア、左端のコンベア11を搬出コンベアとして回路基板15を左方向に搬送した場合でも)、係合ストッパ21を交換せずにそのまま使用できるようにするために、係合ストッパ21の係合部26は、搬送方向の上流側/下流側とも同じ形状となるように形成されている。
【0016】
以上のように構成したスクリーン印刷装置の動作を図1乃至図4を用いて説明する。
メインコンベア12上に搬入した回路基板15にスクリーンマスク14でスクリーン印刷するときには、図1に示すように、メインコンベア12をその両側のコンベア11,13との間隔がほぼ同一になる印刷位置で停止させた状態にする。この状態で、メインコンベア12の位置調整機構によりメインコンベア12の位置をX−Y方向及び/又はθ方向に調整することで、メインコンベア12上の回路基板15をスクリーンマスク14に対して位置決めしてスクリーンマスク14により回路基板15にパターンをスクリーン印刷する。このスクリーン印刷時には、カメラユニット16は、係合ストッパ21と共に回路基板15上の位置からスクリーン印刷の動作に邪魔にならない位置へ退避する。
【0017】
スクリーン印刷終了後は、図2に示すように、カメラユニット16をカメラ移動機構によって搬入コンベア11側に移動させることで、係合ストッパ21を搬入コンベア11側に移動させて、搬入コンベア11上で待機する回路基板15の搬入方向側の端縁中央部に係合ストッパ21の係合部26を係合させる。この係合ストッパ21の動作と並行して、メインコンベア12をその位置調整機構によって搬出コンベア13に接近させて両コンベア12,13間の隙間を狭める。
【0018】
この後、3つのコンベア11〜13を同時に搬送動作させると共に、これと同期させてカメラユニット16をメインコンベア12側に移動させることで、図3に示すように、回路基板15の搬入方向側の端縁中央部を係合ストッパ21で係合支持した状態を維持しながら、当該回路基板15を搬入コンベア11からメインコンベア12に搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板15をメインコンベア12から搬出コンベア13へ搬出する動作とを同時に行わせる。
【0019】
このとき、係合ストッパ21の移動速度をコンベア11,12の搬送速度と同一に設定しても良いが、各コンベア11,12上での回路基板15の滑りを考慮して、係合ストッパ21の移動速度をコンベア11,12の搬送速度よりも少し遅くしても良い。このようにすれば、各コンベア11,12上で回路基板15の滑りが発生しても、回路基板15の搬入方向側の端縁中央部と係合ストッパ21との係合状態を確実に維持しながら、当該回路基板15をメインコンベア12に搬入することができる。
【0020】
そして、図4に示すように、係合ストッパ21をこれに係合された回路基板15と一体的にメインコンベア12の所定位置まで移動させた時点で、カメラ移動機構を停止させて係合ストッパ21を停止させると共に、3つのコンベア11〜13を停止させて回路基板15の搬送を停止する。
【0021】
このとき、係合ストッパ21の停止と同時にメインコンベア12を停止させるようにしても良いが、メインコンベア12上での回路基板15の滑りを考慮して、係合ストッパ21の停止タイミングから少し遅らせてメインコンベア12を停止させるようにしても良い。このようにすれば、メインコンベア12上で回路基板15の滑りが発生しても、回路基板15の搬入方向側の端縁中央部を係合ストッパ21の係合部26に確実に突き当てることができ、メインコンベア12上で回路基板15を係合ストッパ21によって確実に位置決めすることができる。尚、搬入コンベア11と搬出コンベア13の停止タイミングは、メインコンベア12の停止タイミングと必ずしも同期させる必要はなく、適宜変更しても良いことは言うまでもない。
【0022】
メインコンベア12の停止後、メインコンベア12をその位置調整機構により印刷位置(メインコンベア12とその両側のコンベア11,13との間隔がほぼ同一になる位置)まで戻す。これにより、回路基板15の搬入方向側の端縁中央部が係合ストッパ21の係合部26から外れた状態となる。この状態で、メインコンベア12の位置調整機構によりメインコンベア12の位置をX−Y方向及び/又はθ方向に調整することで、メインコンベア12上の回路基板15をスクリーンマスク14に対して位置決めしてスクリーンマスク14により回路基板15にパターンをスクリーン印刷する。
【0023】
尚、メインコンベア12を印刷位置に戻す際に、同時にカメラ移動機構によって係合ストッパ21をメインコンベア12と一体的に移動させて、回路基板15の端縁と係合ストッパ21の係合部26との係合状態を維持しながら、メインコンベア12を印刷位置に戻すようにしても良い。この場合、メインコンベア12を印刷位置に戻してから、メインコンベア12を少しだけ搬送動作させて回路基板15の搬入方向側の端縁を係合ストッパ21の係合部26に確実に突き当てて、回路基板15を確実に位置決めするようにしても良い。
【0024】
また、メインコンベア12を印刷位置に戻す際に、同時にカメラ移動機構によって係合ストッパ21をメインコンベア12と一体的に移動させる場合は、メインコンベア12の位置調整機構によりメインコンベア12の位置(回路基板15の位置)をX−Y方向及び/又はθ方向に調整する前に、カメラ移動機構によって係合ストッパ21を移動させて、係合ストッパ21の係合部26と回路基板15の端縁との係合状態を解除すれば良い。
【0025】
以後、上述した動作を繰り返すことで、新しい回路基板15を係合ストッパ21で係合保持しながら搬入コンベア11からメインコンベア12に搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板15をメインコンベア12から搬出コンベア13へ搬出する動作とを同時に行わせ、その搬入・搬出動作停止後に、スクリーンマスク14に対する回路基板15の位置決めとスクリーン印刷を順番に行うという動作を繰り返す。
【0026】
以上説明した本実施例によれば、回路基板15の搬入方向側の端縁に係合可能な係合ストッパ21と、この係合ストッパ21を移動させる移動手段(カメラ移動機構)とを備え、搬入コンベア11上で待機する回路基板15の搬入方向側の端縁に係合ストッパ21を係合させ、この回路基板15を搬入コンベア11からメインコンベア12に搬入する際に、係合ストッパ21を回路基板15との係合状態を維持しながらメインコンベア12の所定位置まで移動させるようにしたので、搬入コンベア11上で待機する回路基板15をメインコンベア12に搬入する際に、メインコンベア12を搬入コンベア11に接近させなくても、回路基板15を両コンベア11,12間の隙間に落下させることなくメインコンベア12に安定して搬入することができる。
【0027】
しかも、本実施例では、搬入コンベア11上で待機する回路基板15をメインコンベア12に搬入する際に、搬入コンベア11とメインコンベア12との隙間が開いていても、係合ストッパ21によって回路基板15の落下を防止できるため、メインコンベア12をその位置調整機構により搬出コンベア13に接近させて両コンベア12,13間の隙間を狭めた状態で、搬入コンベア11上で待機する回路基板15をメインコンベア12に搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板15をメインコンベア12から搬出コンベア13へ搬出する動作とを同時に行わせるようにしている。これにより、搬入・搬出のいずれの回路基板15も落下することなく、搬入と搬出とを同時にスムーズに行うことができ、サイクルタイムを短縮することができて、生産効率向上、生産コスト低減の要求を満たすことができる。
【0028】
しかも、本実施例では、係合ストッパ21を移動させる移動手段としてカメラ移動機構を使用するようにしたので、専用の移動機構を設ける必要がなく、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0029】
しかしながら、本発明は、係合ストッパを移動させる移動手段として、それ専用の移動機構を設けても良いことは言うまでもない。
尚、係合ストッパ21の係合部26の形状は、図6の形状に限定されず、例えば、図7乃至図11に示すような様々な形状が考えられる。
【0030】
ここで、図7、図8に示す係合ストッパ21aの係合部26aは、半円凹溝形状に形成されている。図7の例では、係合ストッパ21aの半円凹溝形状の係合部26aの中心部に回路基板15の搬入方向側の端縁を係合するのに対して、図8の例では、係合ストッパ21aの半円形状の係合部26aの下部寄りの部位に回路基板15の搬入方向側の端縁を係合するようにしている。
【0031】
また、図9に示す係合ストッパ21bの係合部26bは、楔溝形状(V字溝形状)に形成されている。この係合ストッパ21bの係合部26bの中心部に回路基板15の端縁を係合させるようにしても良いし、板厚の異なる回路基板15に対して、常に回路基板15の下面の高さ位置を一定にするように係合ストッパ21bの係合部26bに係合させるようにしても良い。
【0032】
また、図10に示す係合ストッパ21cの係合部26cは、下端面が水平面となる楔溝形状(V字溝形状)に形成され、その下端面の開口側部分が面取り形状に形成され、この面取り形状部分によって回路基板15の端縁の挿入を案内するようになっている。この係合ストッパ21cの係合部26cに対しては、回路基板15の端縁が係合部26cの下端面で受け支持されるように係合される。
【0033】
また、図11に示す係合ストッパ21dの係合部26dは、係合ストッパ21dの下端部から水平に突出する突片状に形成されている。この係合ストッパ21dの係合部26dに対しては、回路基板15の端縁が係合部26dの上面で受け支持されるように係合される。
【0034】
一般に、係合ストッパの係合部の上下方向の開口幅は、回路基板15の最大板厚と最大反り量及び係合ストッパの上下方向の位置決め誤差を考慮して設定すれば良い。要するに、様々な板厚や様々な反りを持つ回路基板を搬送することを想定して、係合ストッパの上下方向の位置決め誤差があっても回路基板の端縁を容易に係合できるように係合ストッパの係合部の上下方向の開口幅を設定すれば良い。
【0035】
また、係合ストッパの係合部の形状が図7乃至図10のような円弧凹溝形状や楔溝形状(V字溝形状)等である場合は、回路基板15の板厚や係合ストッパの係合部内の回路基板15の端縁の当接位置によって回路基板15の端縁の位置が搬送方向に少しずれてくる。この対策として、回路基板15の板厚や係合ストッパの係合部内の回路基板15の端縁の当接位置が予め判明している場合は、係合部の形状と回路基板15の板厚や当接位置等のデータに基づいて回路基板15の端縁の位置ずれ量を演算して、係合ストッパの停止位置を回路基板15の端縁の位置ずれ量に応じて補正するようにしても良い。このようにすれば、係合ストッパの係合部の形状が図7乃至図10のような円弧凹溝形状や楔溝形状(V字溝形状)等である場合であっても、回路基板15の板厚や係合ストッパの係合部内の回路基板15の端縁の当接位置の影響を受けずに、係合ストッパによる回路基板15の位置決めを正確に行うことができる。
【0036】
本発明のような係合ストッパを用いた搬送技術の思想は、スクリーン印刷装置に限らず、少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した様々な産業機器の搬送装置に広く適用して実施できる。このように、少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した搬送装置に本発明の技術思想を適用可能する場合は、前記コンベアによって搬送されるワークの搬送方向側の端縁に係合可能な係合ストッパと、前記係合ストッパを移動させる移動手段とを備え、上流側のコンベア上で待機するワークの搬送方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させ、前記ワークを前記上流側のコンベアからその下流側のコンベアに搬送する際に前記係合ストッパを前記ワークとの係合状態を維持しながら前記下流側のコンベアへ移動させるようにすれば良い。このようにすれば、両コンベア間に比較的大きな隙間があっても、ワークを両コンベア間の隙間に落下させることなく安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例におけるスクリーン印刷装置の動作を説明する図である(その1)。
【図2】本発明の一実施例におけるスクリーン印刷装置の動作を説明する図である(その2)。
【図3】本発明の一実施例におけるスクリーン印刷装置の動作を説明する図である(その3)。
【図4】本発明の一実施例におけるスクリーン印刷装置の動作を説明する図である(その4)。
【図5】本発明の一実施例におけるカメラユニットと係合ストッパとの組み付け状態を説明する図である。
【図6】本発明の一実施例における係合ストッパの形状を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例(第1例)における係合ストッパの形状を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例(第2例)における係合ストッパの形状を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例(第3例)における係合ストッパの形状を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例(第4例)における係合ストッパの形状を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例(第5例)における係合ストッパの形状を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
11…搬入コンベア、12…メインコンベア、13…搬出コンベア、14…スクリーンマスク、15…回路基板、16…カメラユニット、18…カメラ、21,21a〜21d…係合ストッパ、22…シリンダ、26,26a〜26d…係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入コンベアとメインコンベアと搬出コンベアを互いに所定の隙間を介して一列に配置し、回路基板を前記搬入コンベアから前記メインコンベアに搬入し、このメインコンベアの位置調整機構により前記回路基板を位置決めして当該回路基板にパターンをスクリーン印刷した後、この回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出するスクリーン印刷装置において、
前記回路基板の搬入方向側の端縁に係合可能な係合ストッパと、
前記係合ストッパを移動させる移動手段とを備え、
前記移動手段は、前記搬入コンベア上で待機する回路基板の搬入方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させ、前記回路基板を前記搬入コンベアから前記メインコンベアに搬入する際に前記係合ストッパを前記回路基板との係合状態を維持しながら前記メインコンベアの所定位置まで移動させることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記回路基板の基板位置認識マークを撮影するカメラを移動させるカメラ移動機構を用いて前記係合ストッパを移動させることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記メインコンベアを前記位置調整機構により前記搬出コンベアに接近させて両コンベア間の隙間を狭めた状態で、前記搬入コンベア上で待機する回路基板を前記メインコンベアに搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出する動作とを同時に行わせる搬送動作制御手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置を用いて回路基板にパターンをスクリーン印刷する方法において、
前記搬入コンベア上で待機する回路基板の搬入方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させる工程と、
前記搬入コンベアと前記メインコンベアとを搬送動作させながら、前記係合ストッパをこれに係合された回路基板と一体的に前記メインコンベアの所定位置まで移動させる工程と、
前記メインコンベアの位置調整機構により前記回路基板を位置決めして当該回路基板にパターンをスクリーン印刷する工程と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記メインコンベアを前記位置調整機構により前記搬出コンベアに接近させて両コンベア間の隙間を狭めた状態で、前記搬入コンベア上で待機する回路基板を前記メインコンベアに搬入する動作と、スクリーン印刷した回路基板を前記メインコンベアから前記搬出コンベアへ搬出する動作とを同時に行わせることを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した搬送装置において、
前記コンベアによって搬送されるワークの搬送方向側の端縁に係合可能な係合ストッパと、
前記係合ストッパを移動させる移動手段とを備え、
前記移動手段は、上流側のコンベア上で待機するワークの搬送方向側の端縁に前記係合ストッパを係合させ、前記ワークを前記上流側のコンベアからその下流側のコンベアに搬送する際に前記係合ストッパを前記ワークとの係合状態を維持しながら前記下流側のコンベアへ移動させることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
少なくとも2台のコンベアを所定の隙間を介して配列した搬送装置に用いる係合ストッパであって、
該係合ストッパは、前記コンベアによって搬送されるワークの搬送方向側の端縁に係合可能な係合部を有し、前記ワークを上流側のコンベアからその下流側のコンベアに搬送する際に前記係合部と前記ワークとの係合状態を維持しながら搬送方向に移動することを特徴とする搬送装置の係合ストッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−160818(P2007−160818A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362746(P2005−362746)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】