説明

センサチップ

【課題】静電気等による帯電から回路素子を保護し、回路素子の特性不良を防止できると共に、安価に製造することのできるセンサチップを提供する。
【解決手段】センサ素子31と該センサ素子31の制御回路32とが同じ半導体基板10に形成されてなるセンサチップ100であって、制御回路32が、半導体基板10においてPN接合分離された複数の回路素子32a,32bを有してなり、複数の回路素子32a,32bのうち、少なくとも1個の回路素子上に、該回路素子を取り囲む導電膜21,22が形成され、該導電膜21,22が、所定の電位V1,V2に固定されてなるセンサチップ100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップが、例えば、特開2004−264205号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図8は、特許文献1に開示されているセンサチップの一例で、MRE(磁気抵抗素子)形成領域91とバイポーラトランジスタ等からなる処理回路形成領域92がワンチップ化されている磁気センサチップ90の模式的な断面図である。
【0004】
図8のセンサチップ90では、処理回路形成領域92において、シリコンからなるP型基板9の主表面上に、N+型埋込層40,N−型エピタキシャル層41が形成されている。そして、N−型エピタキシャル層41の主表面上に、シリコン酸化膜42がCVD等により形成されている。シリコン酸化膜42は所望の回路パターンによりフォトエッチングされており、この開口部を介して、不純物の拡散にてP+型素子分離領域43,P+型拡散領域44,N+型拡散領域45,46が形成されている。このようにして、NPNバイポーラトランジスタが、N+型埋込層40,N−型エピタキシャル層41,P+型拡散領域44,及びN+型拡散領域45,46にて構成されている。
【0005】
図8のセンサチップ90では、MRE形成領域91において、シリコン酸化膜42にコンタクト部が形成され、P型半導体基板9の主表面上に、薄膜のアルミ配線材47が形成されている。アルミ配線材47は、蒸着によって形成され、フォトエッチングによりパターニングされたものである。更に、アルミ配線材47を含めたシリコン酸化膜42の上に、MREとして例えばNi−Co合金あるいはNi−Fe合金からなる強磁性体薄膜48が、周知の真空蒸着にて形成されている。なお、P型半導体基板9の主表面に形成したNPNトランジスタ、及び図示しないPNPトランジスタ、拡散抵抗、コンデンサ等の回路素子を、アルミ配線材47により電気的に接続して、電気回路として機能させる。
【特許文献1】特開2004−264205号公報
【特許文献2】特開2005−181066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示すセンサチップ90は、回転体に隣接して配置され、回転体の回転に伴うバイアス磁界の変化を測定して、回転体の回転状態(回転角、角速度等)を検出することができる。センサチップ90が組み込まれた磁気センサは、例えば、車両におけるエンジン制御や車両ブレーキにおけるABS制御に使用する回転センサとして用いられる。
【0007】
一方、センサチップ90の表面には、絶縁保護膜49が形成されている。車両の回転センサとして用いられるセンサチップ90は、回転体に隣接して配置されるため、外部からの静電気等で帯電し易い状態にある。例えば、NPNバイポーラトランジスタが形成されたセンサチップ90が帯電すると、P+型素子分離領域43とP+型拡散領域44の間にチャネルが形成され、寄生トランジスタとして動作したり、リークが発生したりする。このため、センサチップ90のNPNバイポーラトランジスタでは、出力変動が発生し易い。
【0008】
図9は、上記帯電による不具合を説明する図で、半導体チップ80の模式的な断面図である。尚、図9の半導体チップ80において、図8に示したセンサチップ90と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0009】
図9に示す半導体チップ80では、半導体基板10のN導電型(N−)層41がPN接合分離されて抵抗素子領域が形成され、LOCOS酸化膜12を介して、P導電型(P+)拡散領域13からなる抵抗素子が形成されている。半導体チップ80の最表面には絶縁保護膜49が形成されているが、静電気等により帯電して絶縁保護膜49に電荷が蓄積されると、N導電型層41の表層部には帯電電荷に誘起されたチャネル11が形成される。このチャネル11の形成で、図中に太い点線で示したように、寄生トランジスタが動作したり、GNDに接続されたP+型素子分離領域43との間でリークが発生したりする。
【0010】
この帯電による不具合を防止するために、例えば、パッケージに導電性膜(金属膜)を埋め込んで、内部のセンサチップをシールドする方法が知られている。しかしながら、パッケージで内部のセンサチップをシールドするためには、パッケージに埋め込まれた導電性膜の電位を固定するための特殊な構造が必要であり、パッケージ構造が複雑となる。これによって、コストアップとなるばかりか、別の部分に寄生容量等ができてノイズ耐量が向上しないこともある。
【0011】
そこで本発明は、センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップであって、静電気等による帯電から回路素子を保護し、回路素子の特性不良を防止できると共に、安価に製造することのできるセンサチップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載のセンサチップは、センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップであって、前記制御回路が、前記半導体基板においてPN接合分離された複数の回路素子を有してなり、前記複数の回路素子のうち、少なくとも1個の回路素子上に、該回路素子を取り囲む導電膜が形成され、該導電膜が、所定の電位に固定されてなることを特徴としている。
【0013】
上記センサチップでは、制御回路を構成するPN接合分離された少なくとも1個の回路素子上に、該回路素子を取り囲む導電膜が形成され、これらが所定の電位に固定される。従って、上記センサチップが帯電し易い状態に置かれた場合であっても、該導電膜の電位によって、該導電膜に取り囲まれた回路素子の周りでは、帯電が起き難い状態を作り出すことができる。あるいは、帯電した場合であっても、該導電膜の電位によって、該導電膜に取り囲まれた回路素子への帯電電荷の影響を抑制して、回路素子の特性不良を防止することが可能である。
【0014】
尚該導電膜の形成には、一般的な半導体プロセスを利用することができ、製造コストを抑制することが可能である。
【0015】
以上のようにして、上記センサチップは、センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップであって、静電気等による帯電から回路素子を保護し、回路素子の特性不良を防止できると共に、安価に製造することのできるセンサチップとすることができる。
【0016】
上記センサチップにおいては、請求項2に記載のように、前記導電膜が、前記回路素子における第2導電型領域に挟まれた第1導電型領域を覆うように形成されてなることが好ましい。
【0017】
例えば、第1導電型領域と第2導電型領域がそれぞれN導電型領域とP導電型領域である場合、第2導電型領域に挟まれた第1導電型領域がある部分は、帯電により、寄生PNPトランジスタとして動作し、電流リークが発生する可能性がある。このため、上記センサチップにおいては、上記寄生PNPトランジスタとして動作し易い部分を覆うように、所定の電位に固定される導電膜を配置している。これによって、該導電膜に取り囲まれた回路素子への帯電電荷の影響をより効果的に抑制して、回路素子の特性不良を防止することができる。
【0018】
上記した導電膜による効果は、例えば請求項3に記載のように、前記回路素子が、バイポーラトランジスタ素子または抵抗素子である場合に特に効果的である。
【0019】
上記センサチップにおいては、例えば請求項4に記載のように、上記導電膜を回路素子に接続する配線層と異なる膜とすることで、導電膜と配線層の短絡を避けることができる。
【0020】
上記センサチップは、例えば請求項5に記載のように、前記導電膜が、多結晶シリコン、チタン−タングステンまたはアルミニウムのいずれかであるように構成することができる。多結晶シリコン、チタン−タングステン、アルミニウム等は、半導体装置の製造において一般的に用いられる材料である。上記導電膜をこれら材料とすることで、製造コストの増大を抑制することができる。
【0021】
また、請求項6に記載のように、前記センサ素子が磁気抵抗素子である場合には、前記磁気抵抗素子と前記導電膜が、同じ材質で同時に形成されることが好ましい。この場合にも、磁気抵抗素子と導電膜の製造工程が共通化されるため、製造コストの増大を抑制することができる。この場合には、例えば請求項7に記載のように、前記材質を、ニッケル−鉄合金またはニッケル−コバルト合金とすることができる。
【0022】
上記センサチップにおいては、例えば請求項8に記載のように、前記導電膜を、前記回路素子の外周を取り囲むようにして、リング形状に形成することができる。また、請求項9に記載のように、前記導電膜が、前記回路素子の全面を覆うように形成されてなる構成としてもよい。
【0023】
上記センサチップは、請求項10に記載のように、前記複数の回路素子のうち、2個以上の回路素子上に、前記導電膜が、それぞれ分離して形成されてなり、前記導電膜が、それぞれ異なる電位に固定される構成とすることができる。この場合には、個々の回路素子について導電膜に印加する電位を最適に設定することができ、回路素子の帯電からの保護と特性不良の防止を効果的に発揮させることができる。
【0024】
上記したように、各回路素子の導電膜について個別に電位設定する場合、例えば請求項11に記載のように、前記電位を、前記回路素子に印加される最高電位とすることができる。
【0025】
以上のように、上記したセンサチップは、静電気等による帯電から回路素子を保護し、回路素子の特性不良を防止できると共に、安価に製造することのできるセンサチップとなっている。
【0026】
このため、上記したセンサチップは、帯電し易い状態で使用される場合に好適で、例えば請求項12に記載のように、前記センサ素子が、磁界の変化を検出する磁気センサ素子であり、前記センサチップが、回転体に隣接して配置され、前記回転体の回転に伴う磁界の変化の測定に用いられる磁気センサチップとして好適である。また、請求項13に記載のように、前記センサチップは、帯電等に対して過酷な環境下で使用されると共に低コストが要求される車載用のセンサチップとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明のセンサチップの一例で、センサチップ100の模式的な断面図である。尚、図1のセンサチップ100において、図8に示したセンサチップ90および図9に示した半導体チップ80と同様の部分については、同じ符号を付した。図2(a)は、図1のセンサチップ100が組み込まれた回転センサ110と測定対象である回転体200の配置関係を示した模式的な断面図であり、図2(b)は、センサチップ100と回転体200の配置関係を拡大して示した模式的な上面図である。また、図3は、図1のセンサチップ100における導電膜21,22の効果を説明する図で、図9の半導体チップ80に対応するようにして、半導体基板10における制御回路32の抵抗素子32cが形成された領域の断面を示した図である。
【0029】
図1に示すセンサチップ100は、回転センサの構成部品として用いられる磁気センサチップで、図2に示すように、カムやクランクに連結する回転体200に隣接して配置され、回転体200の回転に伴う永久磁石101のバイアス磁界の変化を測定する。
【0030】
図1に示すように、センサチップ100においては、センサ素子(磁気抵抗素子)31と該センサ素子31の制御回路32とが、同じ半導体基板10に形成されている。
【0031】
センサ素子31は、ニッケル−鉄合金やニッケル−コバルト合金等の強磁性体薄膜16からなる。
【0032】
制御回路32は、半導体基板10において、P+型素子分離領域43によりPN接合分離された複数の回路素子を有している。図1では、制御回路32が有する上記複数の回路素子のうち、バイポーラトランジスタ素子32aと抵抗素子32bが例示されている。また、バイポーラトランジスタ素子32aと抵抗素子32b上には、それぞれ、該回路素子32a,32bを取り囲む導電膜21,22が形成されており、該導電膜21,22は、所定の電位V1,V2に固定されている。図3では、抵抗素子32c上に、該抵抗素子32cを取り囲む導電膜23が形成されており、該導電膜23は、所定の電位V3に固定されている。
【0033】
以上のように、センサチップ100においては、図1と図3に示すように、制御回路32を構成するPN接合分離された回路素子32a〜32c上に、該回路素子32a〜32cを取り囲む導電膜21〜23が形成され、これらが所定の電位V1〜V3に固定される。従って、センサチップ100が帯電し易い状態に置かれた場合であっても、該導電膜21〜23の電位V1〜V3によって、該導電膜21〜23に取り囲まれた回路素子32a〜32cの周りでは、帯電が起き難い状態を作り出すことができる。
あるいは、帯電した場合であっても、該導電膜21〜23の電位V1〜V3によって、該導電膜21〜23に取り囲まれた回路素子32a〜32cへの帯電電荷の影響を抑制して、回路素子32a〜32cの特性不良を防止することが可能である。例えば、図3に示す抵抗素子32cは、図9に示した抵抗素子に較べて、寄生トランジスタの動作やリークが発生し難い回路素子とすることが可能である。
【0034】
尚、図1と図3に示すセンサチップ100では、図示した全ての回路素子32a〜32cについて導電膜21〜23が配置されている。しかしながらこれに限らず、帯電しやすい少なくとも1個の回路素子上、あるいは帯電の影響が大きい少なくとも1個の回路素子上にのみ導電膜を配置するようにしてもよい。
【0035】
また、図1と図3に示すセンサチップ100は、制御回路32を構成する複数の回路素子のうち、2個以上の回路素子上に前記導電膜がそれぞれ分離して形成されてなり、前記導電膜がそれぞれ異なる電位に固定される構成とすることができる。この場合には、個々の回路素子について導電膜に印加する電位を最適に設定することができ、回路素子の帯電からの保護と特性不良の防止を効果的に発揮させることができる。上記したように、各回路素子の導電膜について個別に電位設定する場合、例えば前記電位を前記回路素子に印加される最高電位とすることができる。
【0036】
図4〜図7は、上記PN接合分離された回路素子と該回路素子を取り囲み所定の電位に固定される導電膜をより詳細に示した図である。図4(a)は、図1の制御回路32を構成するバイポーラトランジスタ素子32d,32eを示した模式的な上面図であり、図4(b)は、図4(a)の一点鎖線A−Aでの断面図である。図5(a)は、別のバイポーラトランジスタ素子32f,32gを示した模式的な上面図であり、図5(b)は、図5(a)の一点鎖線B−Bでの断面図である。図6(a)は、別のバイポーラトランジスタ素子32h,32iを示した模式的な上面図であり、図6(b)は、図6(a)の一点鎖線C−Cでの断面図である。図7(a)は、別の抵抗素子32jを示した模式的な上面図であり、図7(b)は、図7(a)の一点鎖線D−Dでの断面図である。尚、図4〜図7においても、図1に示したセンサチップ100と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0037】
図4(a),(b)においては、導電膜24a,24bが、バイポーラトランジスタ素子32d,32eの外周を取り囲むようにして、リング形状に形成されている。また、導電膜24a,24bは、バイポーラトランジスタ素子32d,32eに接続する配線47e,47b,47cとは別の配線47x、47yに接続されて、所定の電位に固定されている。
【0038】
図5(a),(b)においても、導電膜25a,25bが、バイポーラトランジスタ素子32f,32gの外周を取り囲むようにして、リング形状に形成されている。一方、図5(a),(b)の導電膜25a,25bは、図4(a),(b)の導電膜24a,24bと異なり、バイポーラトランジスタ素子32f,32gに接続するエミッタ配線47eと共通接続されて、エミッタの電位に固定されている。
【0039】
図6(a),(b)においても、バイポーラトランジスタ素子32h,32iを取り囲むように配置された導電膜26a,26bが、バイポーラトランジスタ素子32h,32iに接続するエミッタ配線47eと共通接続されて、エミッタの電位に固定されている。一方、図6(a)と図5(a)を比較してわかるように、図6(a),(b)の導電膜26a,26bは、図5(a),(b)の導電膜25a,25bと異なり、バイポーラトランジスタ素子32h,32iの全面を覆うように形成されている。
【0040】
図1に示すセンサチップ100のように、回路素子が半導体基板の表面において第1導電型領域と第2導電型領域が形成されている場合には、前記導電膜が、前記回路素子における第2導電型領域に挟まれた第1導電型領域を覆うように形成されてなることが好ましい。例えば、図5(a),(b)のバイポーラトランジスタ素子32f,32gにおけるP導電型領域43,44に挟まれたN導電型領域41がある部分は、帯電により、寄生PNPトランジスタとして動作し、電流リークが発生する可能性がある。このため、図6(a),(b)のバイポーラトランジスタ素子32h,32iにおいては、特に上記寄生PNPトランジスタとして動作し易い部分を覆うように、所定の電位に固定される導電膜26a,26bを配置している。これによって、該導電膜26a,26bに取り囲まれたバイポーラトランジスタ素子32h,32iへの帯電電荷の影響をより効果的に抑制して、バイポーラトランジスタ素子32h,32iの特性不良を防止することができる。
【0041】
図7(a),(b)においては、抵抗素子32jを取り囲むように配置された導電膜27が、抵抗素子32jに接続する配線47a,47dとは別の配線47zに接続されて、所定の電位に固定されている。尚、図7(a),(b)に示す導電膜27についても、P導電型領域43,13に挟まれたN導電型領域41をほぼ覆うように形成することが好ましい。
【0042】
上記導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27は、回路素子32a〜32jに接続する配線47a〜47eと異なる層の膜とすることで、導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27と配線47a〜47eの短絡を避けることができる。上記導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27の形成には、一般的な半導体プロセスを利用することができ、これによって製造コストを抑制することが可能である。上記導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27は、導電性があれば任意の材料であってよいが、例えば、多結晶シリコン、チタン−タングステンまたはアルミニウムのいずれかとすることができる。多結晶シリコン、チタン−タングステン、アルミニウム等は、半導体装置の製造において一般的に用いられる材料で、これらの材料を用いることで製造コストの増大を抑制することができる。
【0043】
また、図1のセンサチップ100においては、導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27を磁気抵抗素子31の強磁性体薄膜16と同じ材質とし、これらを同時に形成するようにしてもよい。これによれば、磁気抵抗素子31と導電膜21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27の製造工程が共通化されるため、これによっても製造コストの増大を抑制することができる。
【0044】
以上示したように、上記した本発明のセンサチップは、センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップであって、静電気等による帯電から回路素子を保護し、回路素子の特性不良を防止できると共に、安価に製造することのできるセンサチップとなっている。
【0045】
このため、上記した本発明のセンサチップは、帯電し易い状態で使用される場合に好適で、図1,2において例示したように、例えば、センサチップに形成されているセンサ素子が、磁界の変化を検出する磁気センサ素子であり、該センサチップが、回転体に隣接して配置され、回転体の回転に伴う磁界の変化の測定に用いられる磁気センサチップとして好適である。また、本発明のセンサチップは、帯電等に対して過酷な環境下で使用されると共に低コストが要求される車載用のセンサチップとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のセンサチップの一例で、センサチップ100の模式的な断面図である。
【図2】(a)は、図1のセンサチップ100が組み込まれた回転センサ110と測定対象である回転体200の配置関係を示した模式的な断面図であり、(b)は、センサチップ100と回転体200の配置関係を拡大して示した模式的な上面図である。
【図3】図1のセンサチップ100における導電膜21,22の効果を説明する図で、図9の半導体チップ80に対応するようにして、半導体基板10における制御回路32の抵抗素子32cが形成された領域の断面を示した図である。
【図4】(a)は、図1の制御回路32を構成するバイポーラトランジスタ素子32d,32eを示した模式的な上面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線A−Aでの断面図である。
【図5】(a)は、別のバイポーラトランジスタ素子32f,32gを示した模式的な上面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線B−Bでの断面図である。
【図6】(a)は、別のバイポーラトランジスタ素子32h,32iを示した模式的な上面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線C−Cでの断面図である。
【図7】(a)は、別の抵抗素子32jを示した模式的な上面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線D−Dでの断面図である。
【図8】特許文献1に開示されているセンサチップの一例で、MRE(磁気抵抗素子)形成領域91とバイポーラトランジスタ等からなる処理回路形成領域92がワンチップ化されている磁気センサチップ90の模式的な断面図である。
【図9】帯電による不具合を説明する図で、半導体チップ80の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0047】
90,100 (磁気)センサチップ
80 半導体チップ
10 半導体基板
21〜23,24a〜26a,24b〜26b,27 導電膜
31 センサ素子(磁気抵抗素子)
16 強磁性体薄膜
32 制御回路
32a,32d〜32i 回路素子(バイポーラトランジスタ素子)
32b,32c,32j 回路素子(抵抗素子)
43 P+型素子分離領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ素子と該センサ素子の制御回路とが同じ半導体基板に形成されてなるセンサチップであって、
前記制御回路が、前記半導体基板においてPN接合分離された複数の回路素子を有してなり、
前記複数の回路素子のうち、少なくとも1個の回路素子上に、該回路素子を取り囲む導電膜が形成され、
該導電膜が、所定の電位に固定されてなることを特徴とするセンサチップ。
【請求項2】
前記導電膜が、
前記回路素子における第2導電型領域に挟まれた第1導電型領域を覆うように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のセンサチップ。
【請求項3】
前記回路素子が、
バイポーラトランジスタ素子または抵抗素子であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサチップ。
【請求項4】
前記導電膜が、前記回路素子に接続する配線層と異なる膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項5】
前記導電膜が、多結晶シリコン、チタン−タングステンまたはアルミニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項6】
前記センサ素子が、磁気抵抗素子であり、
該磁気抵抗素子と前記導電膜が、同じ材質で同時に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項7】
前記材質が、ニッケル−鉄合金またはニッケル−コバルト合金であることを特徴とする請求項6に記載のセンサチップ。
【請求項8】
前記導電膜が、
前記回路素子の外周を取り囲むようにして、リング形状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項9】
前記導電膜が、
前記回路素子の全面を覆うように形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項10】
前記複数の回路素子のうち、2個以上の回路素子上に、
前記導電膜が、それぞれ分離して形成されてなり、
前記導電膜が、それぞれ異なる電位に固定されることを特徴とする請求項8または9に記載のセンサチップ。
【請求項11】
前記電位が、前記回路素子に印加される最高電位であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項12】
前記センサ素子が、磁界の変化を検出する磁気センサ素子であり、
前記センサチップが、
回転体に隣接して配置され、前記回転体の回転に伴う磁界の変化の測定に用いられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセンサチップ。
【請求項13】
前記センサチップが、
車に搭載されて用いられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のセンサチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−76888(P2009−76888A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214341(P2008−214341)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】