説明

タングステンディジット線、その形成方法及び動作方法

タングステンディジット線を使用するための、及び、形成するための、方法、デバイス、及び、システムが記載されている。本開示の実施例に従って形成されたタングステンディジット線は、窒化タングステン(WN)基板(402)上のタングステン(W)単分子層(404)と、W単分子層上のホウ素(B)単分子層(308)と、B単分子層上のバルクW層(412)とで形成されうる。バルクW層は、100nmから600nmの間の粒子サイズを有する。ディジット線は50nm未満の幅となりえる。従って、ディジット線のキャパシタンス及び抵抗は減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してメモリデバイスに関し、特に、タングステンディジット線を有するメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子デバイス及びシステムは、そのデバイスの動作中のデータの記憶のための集積回路を含んでいる。例えば、コンピュータ、印刷デバイス、走査デバイス、携帯端末、計算機、コンピュータワークステーション、オーディオ、及び/または、ビデオデバイスなどの、電子デバイスや、セルラーフォン、及び、パケット交換網のためのルータなどのコミュニケーションデバイスは、それらの動作の一環としてデータを保つために、集積回路形式でメモリを含んでもよい。他の形式のメモリと比べた集積回路メモリを使用することの長所としては、空間保存や小型化、限られたバッテリーリソースの節約、メモリに記憶されたデータへのアクセスタイムの減少、及び、電子デバイスの組み立てコストの削減を含む。
【0003】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)は、集積回路メモリの一例である。DRAMは、通常、半導体キャパシタセルのアレイを含んでいて、そのセルの各々は、記憶されたビットの論理値を示す電荷の量を保持することができる。そのアレイ内のセルは、通常、行と列に配列されている。各セルは、行と列の交点に置かれる。DRAMアレイ内の各セルは、交差している行と列を同時にアドレス指定することによって、アクセスすることができる。
【0004】
動作中、DRAM内の内部増幅器が、キャパシタに蓄えられた電荷の量を感知する。その感知された電荷に基づき、センス増幅器の出力は、DRAMアレイに記憶されたビットの論理値を示す。このように、アレイに記憶されたデータは、電子デバイス内の他の集積回路で使用するために、DRAM集積回路から取り出されてもよい。さらに、DRAM上の他の内部回路は、センス増幅器がすでに電荷を保持していると判断したセル
の電荷をリフレッシュする。このように、DRAMは、例えば、DRAM集積回路の基板内へのリークなど、半導体キャパシタセルからの電荷のリークを補う。セルでの、このような電荷の読み取り、書き込み、及び、保持は、DRAMの実質的な内部動作である。
【0005】
センス増幅器は、ディジット線を通してセルにつながり、そのディジット線は、DRAMの列を構成している。セルからの読み取り前に、DRAMは、セルをアドレス指定するディジット線上の残留電荷を除去する。残留電荷は、同じディジット線を共有する他のセルの先の読み取りの名残である。DRAMは、セルからの読み取り前に、ディジット線を予め共通のポテンシャルに帯電させることによって、ディジット線を均一にする。DRAMがセルをアドレス指定するとき、セルに蓄えられた電荷は、ディジット線のポテンシャルを、共通のポテンシャルから上げて、または、下げて、セルに記憶されたビットの論理値を知らせる。
【0006】
しかしながら、ディジット線は、内部抵抗、内部寄生キャパシタンス、及び、他のディジット線が有する寄生キャパシタンスを有している。抵抗とキャパシタンスは、その時定数がディジット線を予め帯電させるための均一化時間を増加させる、RC回路を構成する。時定数があまりにも大きい場合には、時定数は、最新の高速な電子デバイス内でのDRAM集積回路の使用を制限する、DRAM集積回路のより遅い読み取り時間をもたらすことになる。DRAM集積回路のクロック速度が増加するにつれて、命令間の最短時間は減少し、ディジット線の均一化時間も同様に減少しなければならない。
【0007】
ビット線の抵抗/キャパシタンスの減少は、書き込み及び読み取りのパフォーマンスや故障率を改善することができる。キャパシタンスは、ビット線の幅を減らすことにより、減少することができる。しかしながら、1000オングストローム(Å)を下回る線幅への減少は、その電気抵抗率を著しく増加させ、その結果、デバイスのパフォーマンスの劣化をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】メモリセルと接続されたディジット線及びワード線を含むDRAMメモリセルを説明する。
【図2】メモリアレイ内の各メモリセルと接続されたディジット線及びワード線を含むDRAMメモリアレイを説明する。
【図3A】従来のアプローチに従って製造されたディジット線の断面図を説明する。
【図3B】従来のアプローチに従って製造されたディジット線の断面図を説明する。
【図4A】本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の断面図を説明する。
【図4B】本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の断面図を説明する。
【図4C】本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の断面図を説明する。
【図5】従来のアプローチに従って製造されたディジット線上のタングステンの粒状構造を説明する。
【図6】従来のアプローチに従って製造されたディジット線の粒状構造を示すディジット線の断面図を説明する。
【図7】本開示の一実施例に従って製造されたディジット線上のタングステンの粒状構造を説明する。
【図8】本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の粒状構造を示すディジット線の断面図を説明する。
【図9】本開示の一実施例に従って形成されたディジット線を含む少なくとも1つのメモリデバイスを有する、電子メモリシステムの機能ブロック図である。
【図10】本開示の一実施例に従って形成されたディジット線を含む少なくとも1つのメモリデバイスを有する、メモリモジュールの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施例は、タングステンディジット線を有するシステム、方法、及びデバイスを含む。一方法の実施例は、窒化タングステン(WN)基板上に、タングステン(W)単分子層を有するタングステンディジット線を形成すること、W単分子層上に、ホウ素(B)単分子層を形成すること、及び、B単分子層上に、バルクW層を形成することを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、タングステン(W)の単分子層は、ジボラン(B)の後に六フッ化タングステン(WF)の水素(H)還元が続く一サイクルを使用して成長し得る。このステップは、構造に対してバルクタングステン層の付着を促進することができる。いくつかの実施例では、ホウ素の単分子層の堆積は、高温でのBの熱分解により行われうる。ホウ素は、界面活性剤の役割を果たし、バルクタングステン層での粒状構造の形成を促進するように働く。しかしながら、大量のホウ素は、タングステンの付着を減らすことがある。いくつかの実施例では、低抵抗率でコンフォーマルなバルクタングステン層は、WFのH還元を使用した化学気相堆積(CVD)によって成長し得る。
【0011】
得られたバルクタングステン層の粒状構造は、ディジット線内の抵抗率を減らす。本開示の実施例によれば、WFのH還元を用いてバルクタングステン層を成長させるCVDプロセスを使用した粒状構造は、500オングストローム(Å)未満の厚さのバルクタングステン層上に1000‐6000オングストローム(Å)の幅の粒子を作り出す。これらの大きさは、従来のタングステン堆積プロセスにより達成されうる大きさよりも4‐5倍大きい。この粒状構造の増大は、10μOhm・cmを超えるディジット線の抵抗率の減少をもたらす。この減少は、その抵抗率を、従来のタングステン堆積プロセスからなる抵抗率に対して半減させる。
【0012】
図1は、メモリセルと接続されたディジット線及びワード線を含むDRAMメモリセルを説明する。図1に示されるDRAMメモリセルは、トランジスタ106と、キャパシタ108とから成り、1トランジスタ1キャパシタ(1T1C)セルとみなされる。ワード線104は、トランジスタ106のゲートと接続され、ディジット線102は、トランジスタ106のソース/ドレイン側と接続される。トランジスタ106は、キャパシタ108とディジット線102の間で、スイッチとして動作する。メモリセルは、単一ピースのバイナリ情報を、セルキャパシタ108に蓄えられた電荷として、保持する能力を有している。実施例は、図1のメモリセルの例に限られない。例えば、いくつかの実施例では、メモリセル100は、マルチレベルセルであってもよい。キャパシタの共通ノード110にVcc/2のバイアス電圧が与えられた場合、論理1レベルは、キャパシタの全域で+Vcc/2ボルトによって表され、論理0は、キャパシタ108の全域で−Vcc/2ボルトによって表される。いずれの場合も、キャパシタに蓄えられた電荷の量は、Q=C・VCC/2クーロンであり、ここで、Cは、ファラッドでのキャパシタンス値である。
【0013】
ワード線104は、トランジスタ106のゲートに接続されていて、メモリセルを始動させるために使用される。メモリセル100は、ワード線104とディジット線102の交点にアドレス指定される。メモリセルの状態は、その結果、ディジット線102を通してセル100の状態を決定する(不図示の)センス増幅器によって、読み取られる。ポテンシャルは、メモリセルから読み出された状態をリフレッシュするためのリフレッシュ動作の一環としてディジット線102に供給される。メモリセル100内のキャパシタ108は、継続的にその電荷を失っているのだから、DRAMメモリセルは、絶えずリフレッシュされる必要がある。典型的なメモリセルは、最低限、数ナノ秒に1回はリフレッシュされる必要がある。
【0014】
図2は、メモリアレイ内の各メモリセルと接続されたディジット線及びワード線を含むDRAMメモリアレイを説明する。図2は、メモリアレイ内の各メモリセルに接続されたディジット線204‐0、・・・、ディジット線204‐M、及び、ワード線202‐0、・・・、ワード線202‐Nを含むDRAMメモリアレイ200を示している。DRAMメモリアレイは、ワード線とディジット線の接触点に接続された一連のメモリセルから成っている。図2のディジット線204‐0、・・・、ディジット線204‐Mは、メモリアレイ内のメモリセルと接続している。図2のメモリアレイは、所定のディジット線に沿ったメモリセルが共通するワード線を共有しないように、また、共通するワード線に沿ったメモリセルが共通するディジット線を共有しないように、選択された多数のメモリセルを一緒にタイリングすることによって、作られている。メモリセルトランジスタ106のゲート端子は、ワード線202‐0、・・・、ワード線202‐Nと接続している。ワード線は、多数のメモリセルと接続していて、トランジスタのゲートを形成するために使用された同材料の延長されたセグメントから成っている。ワード線は、ディジット線に対して物理的に直交している。
【0015】
ディジット線204‐0、・・・、ディジット線204‐Mは、メモリセルのトランジスタと接続された導電線から成っている。多数の取り付けられたメモリセル、所定のディジット線の物理的な長さ、及び、他のフィーチャに対するディジット線の近接性に起因して、ディジット線は、大きな静電結合に対して敏感になりうる。例えば、350ナノメートル(nm)スケールの製造プロセスでの、ディジット線のキャパシタンスの典型的な値は、およそ300フェムトファラッド(fF)であろう。
【0016】
ディジット線キャパシタンスは、設計の多くの他の側面に影響を与えるので、メモリセルの重要なパラメータである。ディジット線の低キャパシタンスは、メモリセルの改善されたパフォーマンスのために望まれている。ディジット線の低キャパシタンスは、メモリセルの読み取り及び書き込み時間を改善し、メモリセルの読み取り及び書き込みの失敗量を減らす。ディジット線キャパシタンスは、ディジット線の幅を減らすことによって、低下し得る。ディジット線の幅を減らすと、有益な方法でキャパシタンスを減らすだけではなく、メモリアレイが物理的なサイズを縮小され、より密なメモリアレイを可能にさせる。
【0017】
ディジット線のキャパシタンスを減らし、ひいてはメモリセルのパフォーマンス特性を改善するための、ディジット線幅の減少の副作用は、ディジット線の抵抗率の増加である。ディジット線幅が減少するとき、ディジット線の抵抗率も増加する。抵抗率の増加は、メモリセルのパフォーマンスの劣化を引き起こす。従って、ディジット線幅を減少できる量は、限られる。
【0018】
図3A及び図3Bは、従来のアプローチに従って製造されたディジット線の断面図を説明する。図3Aに示されるように、ディジット線300は、窒化タングステン(WN)基板302上に形成される。タングステン層304は、WN基板302上に形成される。従来のアプローチでは、タングステン層304は、少なくとも50Åの厚さであり、350℃から450℃の範囲の温度での、六フッ化タングステン(WF)のSiH還元によって、形成される。次のステップは、タングステン層304上にタングステンのバルク層308を形成することである。
【0019】
図3Bは、タングステンのバルク層308が、350℃から450℃の範囲の温度での、WFの水素(H)還元によって、形成されることを説明する。図3Bに示されるように、タングステンディジット線300を形成するこの方法は、バルクタングステン層308の中の垂直な粒子境界の近接した間隔での配置を指し示している矢印309によって説明されるように、微細な粒子を有するバルクタングステン層308内に粒状構造を作り出す。バルクタングステン層308内の微細な粒子は、ディジット線300内の抵抗を増加させる。ディジット線300の幅が500Åを下回っているとき、バルクタングステン層308の粒状構造を有するディジット線300内の抵抗は、DRAMメモリセルのパフォーマンス特性の低下をもたらす。500Å未満の幅は、ディジット線幅の減少と関連するディジット線300のキャパシタンスの減少のために、望ましい。
【0020】
図4Aから図4Cは、本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の断面図を説明する。図4Aは、本開示の一実施例に従った一プロセスステップ後の、部分的なタングステンディジット線400の断面図を説明する。そのプロセスは、窒化タングステン(WN)基板402から始める。図4Aに示されるように、タングステンの単分子層404の膜は、WN基板402上に形成される。タングステン単分子層404は、250℃から450℃の範囲の温度での、Bの後にWFのH還元が続く一サイクルを使用して、形成される。タングステン単分子層は、1Åから10オングストロームの範囲の厚さに形成される。バルクタングステン層を核にすることは困難であり、タングステン単分子層404は、バルクタングステン層の付着を促進するために形成される。実施例は、特定の層や単分子層の厚さに限定されない。
【0021】
図4Bに示されるように、ホウ素(B)の単分子層408は、タングステン単分子層404上に形成されうる。従って、図4Bは、第2のプロセスステップ後の、部分的なタングステンディジット線400の断面図を説明する。Bの単分子層408は、約350℃から約450℃の範囲の温度での、Bの熱分解によりタングステン単分子層404上に形成されうる。B単分子層を形成するためのBの熱分解は、約1秒から約20秒に及ぶ期間で起こる。ホウ素単分子層は、1Åから10Åの範囲の厚さに形成される。
【0022】
図4Cは、その後のプロセスステップ後の、タングステンディジット線400の断面図を説明する。この次のプロセスステップでは、バルクタングステン層412は、ホウ素単分子層408上に形成される。ホウ素は、界面活性剤の役割を果たし、バルクタングステン層412での粒状構造の形成を促進するように働く。しかしながら、大量のホウ素は、タングステンの付着を減らすことがあり、それ故に、ホウ素の単分子層のみがタングステン単分子層404上に形成される。ホウ素単分子層408内のホウ素の量は、バルクタングステン層412内のタングステンの量の、約2%から約20%の範囲内である。バルクタングステン層412は、約350℃から約450℃の範囲の温度での、WFのH還元によって、形成される。いくつかの実施例では、バルクタングステン層412は、およそ400℃の温度での、WFのH還元によって、形成される。図4Cのバルクタングステン層412は、500Å未満の厚さに形成されている。バルクタングステン層を500Å未満の厚さに形成することは、さらに、タングステンディジット線400内で低いキャパシタンスを維持することに役立つ。図4Cでは、バルクタングステン層412は、図3Bで以前に示された垂直な粒子境界の間隔と比較して、バルクタングステン層412の中の垂直な粒子境界のより広い間隔での配置を指し示している矢印409によって説明されるように、比較的大きな粒子サイズを有している。垂直な粒子境界のより広い間隔での配置は、図3Bに示されるより細かい粒子境界に対する、バルクタングステン層412の相対的に大きな粒子サイズを表すことを目的としている。バルクタングステン層412のより大きな粒子サイズは、その厚さが500Å未満であるにも関わらず、タングステンディジット線400内の抵抗を減らすことに役立つ。従来のアプローチでは、窒化タングステン層上にタングステンを核生成させなければならないことが困難なために、これまでは、そのような大きな粒子境界を得ることはできなかった。ディジット線の実施例は、特定の層や単分子層の厚さに限定されない。
【0023】
図5及び図6は、図3A及び図3Bと関連して記載されているように、従来のアプローチに従って製造されたディジット線上のタングステンの粒状構造を説明する。図5は、500nm/inchのスケールに拡大されたバルクタングステン層500の上面図を説明している。バルクタングステン層500は、幅が300Åから800Åの範囲の粒子を有している。バルクタングステン層内の比較的小さな粒状構造は、ディジット線520Å幅でおよそ20μOhm・cmの中心抵抗率もたらす。タングステン粒子502及びタングステン粒子504は、図3A及び図3Bの従来のアプローチを用いて形成されたタングステンのさまざまな粒子サイズを図示している。タングステン粒子502はおよそ350Åの幅を有し、タングステン粒子504はおよそ800Åの幅を有している。
【0024】
図6は、500nm/inchのスケールに拡大されたタングステンディジット線600の断面図を示している。ディジット線のこの図は、タングステンディジット線600のバルクタングステン層606内の小さな粒状構造を説明する。小さな粒状構造は、電流が多数の粒子の境界を通り抜ける必要があるということに起因した困難さが原因となって、タングステンディジット線600内の抵抗を増加させる。500Å未満の望ましいディジット線の幅では、図3A及び図3Bに記載された方法を用いて形成されたバルクタングステン層の粒子サイズは、同じく20μOhm・cmの中心抵抗率で、幅がおよそ400Åの粒子をもたらす。
【0025】
図7は、本開示の一実施例に従って製造されたディジット線上のタングステンの粒状構造を説明する。図7は、500nm/inchのスケールに拡大されたバルクタングステン層700の上面図を示している。バルクタングステン層700は、幅がおよそ1000Åから6000Åの範囲にある、粒子を有している。ディジット線内のバルクタングステン層700の大きな粒子は、ディジット線300Åから500Å幅で、およそ9μOhm・cmからおよそ11μOhm・cmの範囲の、中心抵抗を有している。タングステン粒子702及びタングステン粒子704は、図4Aから図4Cで記載されたプロセスに従ったバルクタングステン層700のさまざまな粒子サイズを図示している。タングステン粒子702はおよそ5000Åの幅を有し、タングステン粒子704はおよそ1300Åの幅を有している。
【0026】
図8は、500nm/inchのスケールに拡大された、本開示の一実施例に従って製造されたディジット線の粒状構造を示すディジット線の断面図を説明する。粒子境界を図8の断面図で観察すると、粒子境界は、図6の断面図で示される粒子境界と比較して、より広い間隔があけられている。より広い間隔をあけた粒子境界は、本開示の一プロセスの実施例に従って形成されたバルクタングステン層808に対して、より大きな粒子サイズをさらに明らかにすることを目的としている。大きな粒状構造は、その中で電流が少数の粒子境界を通り抜けるという増大された容易さによって、タングステンディジット線800内の抵抗を減らす。500Å未満の望ましいディジット線の幅では、一プロセスの実施例に従って形成されたバルクタングステン層800の粒子サイズは、幅が1000Åから6000Åの範囲にある粒子をもたらす。これらの粒子は、およそ10μOhm・cmの中心抵抗率に対応する断面幅を有する。
【0027】
図9は、本開示の一実施例、例えば、図4Aから図4Cで記載されたプロセス、に従って形成されたディジット線を含む、少なくとも1つのメモリデバイス920を有する、電子メモリシステム900の機能ブロック図である。メモリシステム900は、DRAMメモリデバイス920とつながれたプロセッサ910を含み、DRAMメモリデバイスは、メモリセルのメモリアレイ930を含む。メモリシステム900が別の集積回路を含むこと、または、プロセッサ910とメモリデバイス920の両方が同じ集積回路上に存在すること、が可能である。プロセッサ910は、マイクロプロセッサでもよく、または、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)など、何らかの他種の制御回路でもよい。
【0028】
明確にするために、電子メモリシステム900は、本開示に特に関連するフィーチャに注目して簡略化されている。メモリデバイス920は、DRAMメモリセルのアレイ930を含んでいる。メモリセルの各行の制御ゲートは、ワード線につながれ、一方、メモリセルのドレイン領域は、ディジット線につながれている。当業者に理解されうるように、ワード線及びディジット線とのメモリセルの接続方法は、アレイ構造に依存する。
【0029】
図9の実施例は、入出力回路960を経由して、入出力接続962を通って供給される、アドレス信号をラッチするアドレス回路940を含む。アドレス信号は、メモリアレイ930にアクセスするために、行デコーダ944及び列デコーダ946に受信され、デコードされる。本開示を踏まえると、アドレス入力接続数が、メモリアレイ930の密度や構造に依存すること、ならびに、アドレス数が、メモリセル数の増加とメモリブロック及びアレイの数の増加の両方とともに増加することは、当業者によって理解されるだろう。
【0030】
メモリセルのメモリアレイ930は、ここで記載された実施例に従って形成された、タングステンディジット線を含むことができる。メモリデバイス920は、この実施例では読取/ラッチ回路950であってもよいセンス/バッファ回路を用いて、メモリアレイ列内の電圧及び/または電流の変化を感知することによって、メモリアレイ930内のデータを読み取る。読取/ラッチ回路950は、メモリアレイ930から、データの行を読み取ってラッチするために、つながれている。入出力回路960は、プロセッサ910との、入出力接続962を通る双方向のデータ通信のために、含まれる。書き込み回路955は、メモリアレイ930へデータを書き込むために、含まれる。
【0031】
制御回路970は、プロセッサ910から制御接続972により供給された信号をデコードする。これらの信号は、データ読み取り動作、データ書き込み動作、データリフレッシュ動作、及びデータ消去動作を含む、メモリアレイ930上での動作を制御するために使用される、チップ信号、ライトイネーブル信号、アドレスラッチ信号を含むことができる。いくつかの実施例では、制御回路970は、本開示の動作及びプログラミングの実施例を実行するために、プロセッサ910からの命令の実行に関与する。制御回路970は、状態機械、シーケンサ、または、何らかの他種の制御装置であってもよい。追加の回路や制御信号が備えられてもよいこと、及び、図9のメモリデバイスの詳細は説明の簡略化を促進するために単純化されていることは、当業者によって理解されるだろう。
【0032】
図10は、本開示の一実施例、例えば、図4Aから図4Cに記載されたプロセス、に従って形成されたディジット線を含む少なくとも1つのメモリデバイス1010を有する、メモリモジュール1000の機能ブロック図である。メモリモジュール1000は、DRAMチップとして図示されているが、他種のメモリも、本明細書で使用される “メモリモジュール”の範囲内に含まれることを意図する。さらに、フォームファクタの一例が図10では描かれているが、これらのコンセプトは、他のフォームファクタにも同様に適用できる。
【0033】
いくつかの実施例では、メモリモジュール1000は、1つ以上のメモリデバイス1010を入れる(描かれているような)ハウジング1005を含むことができるが、そのようなハウジングは、すべてのデバイス、または、すべてのデバイス応用にとって、必須ではない。少なくとも1つのメモリデバイス1010は、ここで記載された実施例に従って形成されたタングステンディジット線を有する、メモリセルのアレイを含んでいる。ハウジングを有する場合、ハウジング1005は、ホストデバイスとの通信のための、1つ以上の接点1015を含む。ホストデバイスの例は、デジタルカメラ、デジタルレコーダ及び再生デバイス、携帯端末、パーソナルコンピュータ、メモリカードリーダ、インタフェースハブなどを含む。いくつかの実施例では、接点1015は、標準化されたインタフェース形式でもよい。しかしながら、一般に、接点1015は、メモリモジュール1000と、接点1015と互換性のあるレセプタを有するホストとの間で、制御信号、アドレス信号、及び/または、データ信号を渡すためのインタフェースを提供する。
【0034】
メモリモジュール1000は、任意に、追加の回路1020を含んでもよく、その回路は、1つ以上の集積回路、及び/または、個別部品であってもよい。いくつかの実施例では、追加の回路1020は、マルチプルメモリデバイス1010全域でのアクセスを制御するための、及び/または、外部ホストとメモリデバイス1010の間の翻訳層を提供するための、メモリコントローラを含んでもよい。例えば、1つ以上のメモリデバイス1010に対して、接点1015の数と1010接続数との間で、一対一対応がなくてもよい。従って、メモリコントローラは、適切な時刻に、適切な入出力接続で、適切な信号を受信するために、または、適切な時刻に、適切な接点1015で、適切な信号を供給するために、メモリデバイス1010の(図10では示されていない)入出力接続を選択的につなぐことができる。同様に、ホストとメモリモジュール1000の間の通信プロトコルは、メモリデバイス1010のアクセスに要求されるプロトコルとは異なってもよい。メモリコントローラは、その後、メモリデバイス1010への所望のアクセスを達成するために、ホストから受信したコマンド列を適切なコマンド列に翻訳することができる。そのような翻訳は、コマンド列に加えて、さらに、信号の電圧レベルの変化を含んでもよい。
【0035】
追加の回路1020は、さらに、例えば、ASICによって実行されうるような論理機能など、メモリデバイス1010の制御とは関係しない機能性を含んでもよい。また、追加の回路1020は、メモリモジュール1000への読み取りまたは書き込みアクセスを制限する回路、例えば、パスワード保護、生体認証など、を含んでもよい。追加の回路1020は、メモリモジュール1000の状況を示す回路を含んでもよい。例えば、追加の回路1020は、メモリモジュール1000に電力が供給されているかどうか、及び、メモリモジュール1000が現在アクセスされているかどうかを決定するための機能性や、その状況の印、例えば、電力が供給されている間は点灯し、アクセスされている間は点滅するなど、を表示するための機能性を含んでもよい。追加の回路1020は、さらに、受動素子、例えば、メモリモジュール1000内での電力要求の調整に役立つ減結合キャパシタなど、を含んでもよい。
【0036】
上述した理由のため、及び、本明細書を読んで理解したならば、当業者に明らかとなるであろう、以下に述べる他の理由のため、ディジット線内の低い抵抗率を維持しながら、パフォーマンス強化のためディジット線内のキャパシタンスを低下させるために、十分に細いディジット線が技術的に必要である。この目的を達成するため、ディジット線は、タングステンディジット線を通る電流フローのインピーダンスを減らすに足りる十分大きな粒状構造を持たなくてはならない。
【0037】
<結論>
タングステンディジット線を使用及び形成するための方法、デバイス、及び、システムが記載された。本開示の実施例に従って形成されたタングステンディジット線は、窒化タングステン(WN)基板上のタングステン(W)単分子層と、W単分子層上のホウ素(B)単分子層と、及び、B単分子層上のバルクW層と、で形成されうる。
【0038】
ここでは、特定の実施例が説明され記載されているが、当業者には、同じ結果を得るために計算された配置は、示された特定の実施例の代わりとなりえることが理解できる。この開示は、本開示のさまざまな実施例の翻案もしくは変形したものに及ぶことを目的としている。上述した記載は、説明用に作られていて、限定的なものではないことを理解すべきである。上述した実施例の組み合わせや、ここでは特に記載されていない他の実施例は、上述した記載を精査することで、当業者に明らかとなりえる。本開示のさまざまな実施例の範囲は、上述した構造や方法が使用される他の用途を含む。従って、本開示のさまざまな実施例の範囲は、添付の請求項を参照して、そのような請求項に権利が与えられることが相当な均等物の全範囲とともに、決定されるべきである。
【0039】
上述の「発明を実施するための形態」では、さまざまな特徴が、開示を合理化するために、単一の実施例内で一緒にグループ化されている。この開示の方法は、本開示の開示された実施例が、各請求項で明示的に挙げられているよりも多くの特徴を使用しなければならないという意図を示しているとして、解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示しているように、発明の主題は、単一の開示された実施例のすべての特徴よりも少ないところにある。従って、以下の請求項は、これによって「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は個別の実施例として独立する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルにディジット線を形成する方法であって、
窒化タングステン(WN)基板上に、タングステン(W)単分子層を形成することと、
前記W単分子層上に、ホウ素(B)単分子層を形成することと、
前記B単分子層上に、バルクW層を形成することと、を含む
ことを特徴とするメモリセルにディジット線を形成する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、ジボラン(B)の後に六フッ化タングステン(WF)の水素(H)還元が続く一サイクルを使用して、前記W単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、1オングストローム(Å)と10オングストローム(Å)の間の厚さに、前記W単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、350℃から450℃の間での、Bの熱分解によって、前記B単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記方法は、1秒から20秒に及ぶ期間の、Bの熱分解によって、前記B単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、1Åと10Åの間の厚さに、前記B単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、WFのH還元を使用した化学気相堆積(CVD)によって、前記バルクW層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、前記バルクタングステン層内のタングステンの量の2%から20%の範囲で、前記ホウ素単分子層内のホウ素の量を有する、ディジット線を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、幅が1000オングストロームから6000オングストロームの間の粒子サイズを有する、前記バルクW層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、メモリセル内に、500Å未満の幅を有するディジット線を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、メモリセル内に、9μOhm・cmと11μOhm・cmの間の中心抵抗を有するディジット線を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
メモリデバイスであって、
多数のワード線と、
タングステン単分子層、ホウ素単分子層、及び、バルクタングステン層から形成された、多数のディジット線と、を含み、
各ワード線及び各ディジット線は、メモリセルと接続され、
前記メモリセルは、キャパシタとトランジスタとから成る
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記ディジット線は、前記メモリセルと関連するトランジスタのドレイン側と接続される
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項14】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記ワード線は、前記メモリセルと関連するトランジスタのゲート側と接続される
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項15】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記W単分子層は、10オングストローム未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項16】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記B単分子層は、10オングストローム未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項17】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記バルクW層は、500Å未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項18】
請求項12に記載のメモリデバイスにおいて、
前記バルクW層は、1000Åと6000Åの間の幅の粒子を有する、粒状構造を有する
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項19】
メモリデバイスであって、
ワード線によってつながれた行と、ビット線によってつながれた列と、に配置されたメモリセルのアレイであって、
前記ディジット線は、タングステン単分子層、ホウ素単分子層、及び、バルクタングステン層と、から形成される、というメモリセルのアレイと、
前記メモリセルのアレイを制御し、且つ、前記メモリセルのアレイへアクセスするための回路と、を含む
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
前記回路は、前記メモリセルのアレイにアクセスするための、行デコーダ及び列デコーダによって、受信され且つデコードされるアドレス信号を有する
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項21】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
追加の回路は、マルチプルメモリデバイス全域のアクセスを制御するための、メモリコントローラを含む
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項22】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
前記W単分子層は、10Å未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項23】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
前記B単分子層は、10Å未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項24】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
前記バルクW層は、500Å未満の厚さである
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項25】
請求項19に記載のメモリデバイスにおいて、
前記バルクW層は、1000Åと6000Åの間の幅の粒子を有する、粒状構造を有する
ことを特徴とするメモリデバイス。
【請求項26】
ディジット線を動作する方法であって、
ワード線と、窒化タングステン(WN)基板上のタングステン(W)単分子層、前記W単分子層上のホウ素(B)単分子層、及び、前記B単分子層上のバルクW層から形成されたディジット線との交点にあるメモリセルをアドレス指定することと、
センス増幅器を使用して前記ディジット線を読み取ることと、
前記メモリセルから読み取られた状態をリフレッシュするためのリフレッシュ動作の一環として、前記ディジット線にポテンシャルを供給することと、を含む
ことを特徴とするディジット線を動作する方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記リフレッシュ動作は、1ナノ秒から100ナノ秒毎に1回の割合で、前記メモリセルの状態を書き改めること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、
前記方法は、Bの後にWFのH還元が続く一サイクルを使用して、前記W単分子層を形成すること、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法において、
前記W単分子層は、10Å未満の厚さである
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項26に記載の方法において、
前記B単分子層は、10Å未満の厚さである
ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法において、
前記バルクW層は、500Å未満の厚さである
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項26に記載の方法において、
前記バルクW層は、1000Åから6000Åの幅の粒子を有する、粒状構造を有する
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−526441(P2010−526441A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506330(P2010−506330)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005681
【国際公開番号】WO2008/137070
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】