説明

チャックテーブル

【課題】ウエーハの直径に数mmの誤差があっても吸引領域にウエーハを確実に吸引保持することができるチャックテーブルを提供する。
【解決手段】ウエーハを保持するチャックテーブルであって、多孔性部材によって円盤状に形成された主吸引保持部材と吸引保持部材の外周に隔壁を介して配設されウエーハの大きさの誤差を調整するための環状の補助吸引保持部材とからなる吸着チャックと、吸着チャックを嵌合する円形状の凹部を上面に備えた枠体とを具備し、枠体の底壁には主吸引保持部材に対応する位置に主吸引通路が設けられているとともに、環状の補助吸引保持部材に対応する位置に補助吸引通路が設けられており、補助吸引通路は盲栓が着脱可能に装着できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体ウエーハ等のウエーハを研削する研削装置等の加工装置に装備されウエーハを保持するためのチャックテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって多数の矩形領域を区画し、該矩形領域の各々にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように多数のデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って分割することにより、個々のデバイスを形成する。デバイスの小型化および軽量化を図るために、通常、半導体ウエーハをストリートに沿って切断して個々のデバイスに分割するのに先立って、半導体ウエーハの裏面を研削して所定の厚さに形成している。
【0003】
半導体ウエーハの裏面を研削する研削装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持されたウエーハを研削する研削手段と、を具備している。このような研削装置においては、小径(例えば直径が200mm)のウエーハと大径(例えば直径が300mm)のウエーハを選択的に加工することができるように構成されたチャックテーブルを装備しているものがある。このチャックテーブルは、小径のウエーハを吸引保持する円形状の第1の保持領域と、該第1の保持領域を囲繞して設けられ大径のウエーハの外周部を吸引保持する環状の第2の保持領域を備えている。このように構成されたチャックテーブルは、第1の保持領域と第2の保持領域が連通する吸引手段を制御することによって第1の保持領域だけに負圧を作用せしめる形態と、第1の保持領域および第2の保持領域に負圧を作用せしめる形態とを選択するようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、ウエーハの直径は規格化されているもののインゴットメーカーによって直径に数mmの誤差があり、ウエーハを保持する吸引保持部の大きさとウエーハの大きさが一致しない場合がある。ウエーハを保持する吸引保持部がウエーハより大きいと、吸引保持部の外周部から研削屑を吸引して吸引保持部に目詰まりが生ずる。一方、ウエーハを保持する吸引保持部がウエーハより小さいと、ウエーハの外周部の吸引保持が不十分となり、加工時にウエーハにバタツキが生じて欠けが発生するという問題がある。
また、ウエーハを薄く研削すると、ウエーハの外周に形成された面取り部がナイフエッジになり危険であるとともに欠けが生じることから、ウエーハを研削する前に外周部を1〜2mm除去する技術が提案されているが、この場合にも同様の問題が生ずる。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、ウエーハの直径に数mmの誤差があっても吸引領域にウエーハを確実に吸引保持することができるチャックテーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハを保持するチャックテーブルであって、
多孔性部材によって円盤状に形成された主吸引保持部材と該吸引保持部材の外周に隔壁を介して配設されウエーハの大きさの誤差を調整するための環状の補助吸引保持部材とからなる吸着チャックと、該吸着チャックを嵌合する円形状の嵌合凹部を上面に備えた枠体とを具備し、
該枠体の該嵌合凹部を形成する底壁には、該主吸引保持部材に対応する位置に主吸引通路が設けられているとともに、該環状の補助吸引保持部材に対応する位置に補助吸引通路が設けられており、
該補助吸引通路は、盲栓が着脱可能に装着できるように構成されている、
ことを特徴とするチャックテーブルが提供される。
【0008】
上記環状の補助吸引保持部材は隔壁を介して複数配設されており、上記補助吸引通路は複数の環状の補助吸引保持部材にそれぞれ対応して設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるチャックテーブルは、円盤状に形成された主吸引保持部材と該吸引保持部材の外周に隔壁を介して配設されウエーハの大きさの誤差を調整するための環状の補助吸引保持部材とからなる吸着チャックと、該吸着チャックを嵌合する円形状の嵌合凹部を上面に備えた枠体とを具備し、枠体の嵌合凹部を形成する底壁には主吸引保持部材に対応する位置に主吸引通路が設けられているとともに、環状の補助吸引保持部材に対応する位置に補助吸引通路が設けられており、補助吸引通路は盲栓が着脱可能に装着できるように構成されているので、補助吸引通路に盲栓をすることによって吸着チャックにおける吸引領域を調整することができる。従って、ウエーハの大きさに対応してチャックテーブルを構成する吸着チャックにおける吸引領域を調整することにより、ウエーハが吸着チャックにおける吸引領域からはみ出したり、ウエーハの外周が吸引領域の外周より内側に位置することはない。このため、ウエーハが吸着チャックにおける吸引領域からはみ出すことによりウエーハの外周部の吸引保持が不十分となり、加工時にウエーハにバタツキが生じて欠けが発生するという問題を解消することができる。また、ウエーハの外周が吸着チャックにおける吸引領域の外周より内側に位置することもないので、吸着チャックが研削屑を吸引して目詰まりが生ずることもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従って構成されたチャックテーブルが装備された研削装置の斜視図。
【図2】本発明に従って構成されたチャックテーブルを備えたチャックテーブル機構の斜視図。
【図3】図2に示すチャックテーブル機構を構成する支持基台とチャックテーブルとを分解して示す斜視図。
【図4】図2に示すチャックテーブルを構成する枠体と吸着チャックとを分解して示す斜視図。
【図5】本発明に従って構成されたチャックテーブルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成されたチャックテーブルの好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成されたチャックテーブルを装備した研削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における研削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板21が立設されている。この静止支持板21の内側面には、上下方向に延びる2対の案内レール22、22および23、23が設けられている。一方の案内レール22、22には粗研削手段としての粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール23、23には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に装着されている。
【0013】
粗研削ユニット3は、ユニットハウジング31と、該ユニットハウジング31の下端に回転自在に装着されたホイールマウント32に装着された粗研削ホイール33と、該ユニットハウジング31の上端に装着されホイールマウント32を矢印32aで示す方向に回転せしめる電動モータ34と、ユニットハウジング31を装着した移動基台35とを具備している。
【0014】
上記移動基台35には被案内レール351、351が設けられており、この被案内レール351、351を上記静止支持板21に設けられた案内レール22、22に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における粗研削ユニット3は、上記移動基台35を案内レール22、22に沿って移動させ研削ホイール33を研削送りする研削送り手段36を具備している。研削送り手段36は、上記静止支持板21に案内レール22、22と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド361と、該雄ねじロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362と、上記移動基台35に装着され雄ねじロッド361と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ362によって雄ねじロッド361を正転および逆転駆動することにより、粗研削ユニット3を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0015】
上記仕上げ研削ユニット4も粗研削ユニット3と同様に構成されており、ユニットハウジング41と、該ユニットハウジング41の下端に回転自在に装着されたホイールマウント42に装着された研削ホイール43と、該ユニットハウジング41の上端に装着されホイールマウント42を矢印42aで示す方向に回転せしめる電動モータ44と、ユニットハウジング41を装着した移動基台45とを具備している。
【0016】
上記移動基台45には被案内レール451、451が設けられており、この被案内レール451、451を上記静止支持板21に設けられた案内レール23、23に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における仕上げ研削ユニット4は、上記移動基台45を案内レール23、23に沿って移動させ研削ホイール43を研削送りする送り手段46を具備している。送り手段46は、上記静止支持板21に案内レール23、23と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド461と、該雄ねじロッド461を回転駆動するためのパルスモータ462と、上記移動基台45に装着され雄ねじロッド461と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ462によって雄ねじロッド461を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット4を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0017】
図示の実施形態における研削装置は、上記静止支持板21の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル5を具備している。このターンテーブル5は、比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回動機構によって矢印5aで示す方向に適宜回動せしめられる。ターンテーブル5には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の位相角をもって3個のチャックテーブル機構6が水平面内で回転可能に配置されている。このように構成された3個のチャックテーブル機構6は、図示しない回転駆動手段によって矢印6aで示す方向に回転せしめられるようになっている。上記ターンテーブル5に配設された3個のチャックテーブル機構6は、ターンテーブル5が適宜回動することにより被加工物搬入・搬出域A、粗研削域B、および仕上げ研削域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。
【0018】
上記チャックテーブル機構6について、図2乃至図5を参照して説明する。
図示の実施形態におけるチャックテーブル機構6は、図2および図3に示すように支持基台61と、該支持基台61の上面に配設されるチャックテーブル62とからなっている。支持基台61は、ステンレス鋼等の金属材によって形成されており、図3に示すように上面に負圧室となる円形状の凹部611が形成され、該円形状の凹部611を囲繞する環状支持部612を備えている。上記負圧室となる円形状の凹部611を形成する底壁613の中央部には吸引通路614が設けられており、該吸引通路614が図示しない吸引手段に接続されている。従って、図示しない吸引手段が作動することにより、吸引通路614を介して負圧室となる円形状の凹部611に負圧が作用せしめられる。また、円形状の凹部611を形成する底壁613には、吸引通路612の周りに上記環状支持部612の上面と同一高さを有する4個の補助支持部615が設けられている。なお、上記環状支持部612には、4個の雌ねじ穴616が形成されている。
【0019】
チャックテーブル62は、図3および図4に示すように円盤状の吸着チャック63と、該吸着チャック63を支持する円形状の枠体64とからなっている。チャックテーブル62を構成する吸着チャック63は、ポーラスセラミック材等の多孔性部材によって円盤状に形成された主吸引保持部材631と、該主吸引保持部材631の外周に配設され後述するウエーハの大きさの誤差を調整するための環状の補助吸引保持部材632とからなっている。吸着チャック63を構成する主吸引保持部材631の直径は、規格化されているウエーハの直径より6mm程度小さい値即ち規格化されたウエーハのうち最も小さい直径に対応した値に設定されている。吸着チャック63を構成する環状の補助吸引保持部材632は、図示の実施形態においては3個の環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cからなり、それぞれ主吸引保持部材631と同様にポーラスセラミック材等の多孔性部材によって形成されている。この3個の環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cは、それぞれ接着剤からなる隔壁膜633によって通気性が遮断されている。なお、3個の環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cは、幅が2〜3mmに設定されている。このように構成された吸着チャック63は、外周面(環状の補助吸引保持部材632cの外周面)および下面の一部がボンド剤を介して枠体64に装着される。
【0020】
チャックテーブル62を構成する枠体64は、ステンレス鋼等の金属材によって円形状に形成されており、図4に示すように上面に上記吸着チャック63が嵌合する円形状の嵌合凹部641が形成され、該円形状の嵌合凹部641を囲繞する環状の取り付け部642を備えている。なお、枠体64の外径は上記支持基台61の外径と同一に形成されており、円形状の嵌合凹部641の内径は上記支持基台61に設けられた円形状の凹部611の内径と同一に形成されている。このように形成された枠体64の円形状の嵌合凹部641を形成する底壁643には、図4および図5の(a)(b)(c)に示すように上記吸着チャック63が嵌合された状態において主吸引保持部材631に対応する位置に開口する複数の主吸引通路644が設けられているとともに、環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cにそれぞれ対応する位置に開口する補助吸引通路645a、645b、645cが設けられている。この補助吸引通路645a、645b、645cには雌ねじが形成されており、下面側には補助吸引通路645a、645b、645cをそれぞれ囲繞する円形の凹部646a、646b、646cが形成されている。このように形成された補助吸引通路645a、645b、645cには、それぞれ盲栓となるボルト65が着脱可能に装着するようになっている。なお、上記円形の凹部646a、646b、646cは、盲栓となるボルト65の頭部が収容される大きさに設定されている。従って、ボルト65が補助吸引通路645a、645b、645cに形成された雌ねじ螺合すると、頭部が円形の凹部646a、646b、646cに収容される。なお、盲栓となるボルト65には、シール650を装着することが望ましい。
【0021】
例えば、補助吸引通路645a、645b、645cのいずれにも盲栓となるボルト65を装着すれば、補助吸引通路645a、645b、645cの連通が遮断され環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cには負圧が作用しない。従って、吸着チャック63に負圧が作用する吸引領域は主吸引保持部材631だけとなる。また、補助吸引通路645cと645bに盲栓となるボルト65を装着すれば、補助吸引通路645cおよび645bの連通が遮断され補助吸引通路645aを介して環状の補助吸引保持部材632aに負圧を作用することができる。この場合、吸着チャック63に負圧が作用する吸引領域は主吸引保持部材631と環状の補助吸引保持部材632aとなる。また、補助吸引通路645cに盲栓となるボルト65を装着すれば、補助吸引通路645cの連通が遮断され補助吸引通路645aおよび645bを介して環状の補助吸引保持部材632aおよび632bに負圧を作用することができる。この場合、吸着チャック63に負圧が作用する吸引領域は主吸引保持部材631と環状の補助吸引保持部材632aおよび632bとなる。一方、補助吸引通路645a、645b、645cのいずれにもに盲栓となるボルト65を装着しなければ、補助吸引通路645a、645b、645cを介して環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cに負圧を作用することができる。従って、吸着チャック63に負圧が作用する吸引領域は主吸引保持部材631と環状の補助吸引保持部材632a、632b、632cとなる。
【0022】
このように構成された枠体64の環状の取り付け部642には、図3および図4に示すように上記支持基台61の環状支持部612に設けられた4個の雌ねじ穴616と対応する位置に4個のボルト挿通穴647が形成されている。そして、4個のボルト挿通穴647に締結ボルト66を挿通し、支持基台61の環状支持部612に設けられた4個の雌ねじ穴616に螺合することにより、図2に示すように支持基台61の上面にチャックテーブル62が装着される。このようにして支持基台61の上面に装着されたチャックテーブル62は、枠体64の円形状の嵌合凹部641を形成する底壁643に設けられた複数の主吸引通路644および盲栓となるボルト65が装着されていない補助吸引通路645a、645b、645cが支持基台61の上面に設けられた負圧室となる円形状の凹部611と連通せしめられる。従って、図示しない吸引手段を作動することにより、上述したように設定された吸引領域に負圧が作用せしめられる。
【0023】
図1に戻って説明を続けると、図示の研削装置は、被加工物搬入・搬出域Aに対して一方側に配設され研削加工前の被加工物である半導体ウエーハをストックする第1のカセット7と、被加工物搬入・搬出域Aに対して他方側に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハをストックする第2のカセット8と、第1のカセット7と被加工物搬入・搬出域Aとの間に配設され被加工物の中心合わせを行う中心合わせ手段9と、被加工物搬入・搬出域Aと第2のカセット8との間に配設されたスピンナー洗浄手段11と、第1のカセット7内に収納された被加工物である半導体ウエーハを中心合わせ手段9に搬出するとともにスピンナー洗浄手段11で洗浄された半導体ウエーハを第2のカセット8に搬送する被加工物搬送手段12と、中心合わせ手段9上に載置され中心合わせされた半導体ウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル機構6のチャックテーブル62上に搬送する被加工物搬入手段13と、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル機構6のチャックテーブル62上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハをスピンナー洗浄手段11に搬送する被加工物搬出手段14を具備している。なお、上記第1のカセット7には、半導体ウエーハWの表面に保護テープTが貼着された状態で複数枚収容される。このとき、半導体ウエーハWは、裏面を上側にして収容される。
【0024】
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
カセット7に収容された研削加工前の半導体ウエーハWを研削するに際しては、カセット7に収容された半導体ウエーハWの大きさを確認し、半導体ウエーハWの大きさに対応してチャックテーブル62を構成する吸着チャック63における吸引領域を設定し、上述したようにチャックテーブル62を構成する枠体64に形成された補助吸引通路645a、645b、645cの連通を遮断する位置を選定して、選定した補助吸引通路に盲栓となるボルト65を装着する。なお、カセット7に収容された半導体ウエーハWのロッドは、直径が同一に形成されている。
【0025】
上述したようにカセット7に収容された研削加工前の半導体ウエーハWの大きさに対応してチャックテーブル62を構成する吸着チャック63における吸引領域を設定したならば、先ず被加工物搬送手段12を作動してカセット7に収容された研削加工前の半導体ウエーハWを中心合わせ手段9に搬送する。中心合わせ手段9に搬送された半導体ウエーハWは、ここで中心合わせされる。中心合わせ手段9で中心合わせされた半導体ウエーハWは、被加工物搬入手段13の旋回動作によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル機構6のチャックテーブル62を構成する吸着チャック63上に載置される。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハWを保護テープTを介して吸着チャック63上に吸引保持する。このとき、半導体ウエーハWの大きさに対応してチャックテーブル62を構成する吸着チャック63における吸引領域が設定されているので、半導体ウエーハWが吸着チャック63における吸引領域からはみ出したり、半導体ウエーハWの外周が吸引領域の外周より内側に位置することはない。このようにして、吸着チャック63上に半導体ウエーハWを吸引保持したならば、図示しない回動駆動機構によってターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハWを載置したチャックテーブル6を粗研削域Bに位置付ける。
【0026】
半導体ウエーハWを吸引保持したチャックテーブル6は、粗研削加工域Bに位置付けられると図示しない回転駆動機構によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。一方、粗研削ユニット3の研削ホイール33は、矢印32aで示す方向に回転せしめられつつ研削送り手段36によって所定量下降する。この結果、チャックテーブル62上の半導体ウエーハWの裏面(上面)に粗研削加工が施される。このとき、半導体ウエーハWは上述したようにチャックテーブル62を構成する吸着チャック63における吸引領域からはみ出したり外周が吸引領域の外周より内側に位置することなく設定された吸引領域に吸引保持されているので、バタツキが生じることがなく欠けの発生を防止できるとともに、吸着チャック63が研削屑を吸引して目詰まりが生ずることもない。なお、この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル機構6のチャックテーブル62上には、上述したように研削加工前の半導体ウエーハWが載置される。そして、チャックテーブル62上に載置された半導体ウエーハWは、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル62上に吸引保持される。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、粗研削加工された半導体ウエーハWを保持しているチャックテーブル62を仕上げ研削加工域Cに位置付け、研削加工前の半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル62を粗研削加工域Bに位置付ける。
【0027】
このようにして、粗研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル62上に保持された粗研削加工前の半導体ウエーハWの裏面(上面)には粗研削ユニット3によって粗研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル62上に保持され粗研削加工された半導体ウエーハWの裏面(上面)には仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が施される。この仕上げ研削加工においても、半導体ウエーハWは上述したようにチャックテーブル62を構成する吸着チャック63における吸引領域からはみ出したり外周が吸引領域の外周より内側に位置することなく設定された吸引領域に吸引保持されているので、バタツキが生じることがなく欠けの発生を防止できるとともに、吸着チャック63が研削屑を吸引して目詰まりが生ずることもない。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、仕上げ研削加工された半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル62を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。なお、粗研削加工域Bにおいて粗研削加工された半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル62は仕上げ研削加工域Cに、被加工物搬入・搬出域Aにおいて研削加工前の半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル62は粗研削加工域Bにそれぞれ移動せしめられる。
【0028】
上述したように、粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル62は、ここで仕上げ研削加工された半導体ウエーハWの吸引保持を解除する。次に、被加工物搬出手段14を作動して、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル62に載置されている研削加工後の半導体ウエーハWをスピンナー洗浄手段11に搬送する。スピンナー洗浄手段11に搬送された半導体ウエーハWは、ここで研削屑が洗浄除去されるとともに、スピン乾燥される。このようにして洗浄およびスピン乾燥された半導体ウエーハWは、被加工物搬送手段12によって第2のカセット8に搬送され収納される。
【符号の説明】
【0029】
2:装置ハウジング
3:粗研削ユニット
33:粗研削ホイール
36:研削送り手段
4:仕上げ研削ユニット
43:仕上げ研削ホイール
46:研削送り手段
5:ターンテーブル
6:チャックテーブル機構
61:支持基
62:チャックテーブル
63:吸着チャック
631:主吸引保持部材
632:補助吸引保持部材
64:チャックテーブルの枠体
645a、645b、645c:補助吸引通路
65:盲栓となるボルト
7:第1のカセット
8:第2のカセット
9:中心合わせ手段
11:スピンナー洗浄手段
12:被加工物搬送手段
13:被加工物搬入手段
14:被加工物搬出手段
W:半導体ウエーハ
T:保護テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを保持するチャックテーブルであって、
多孔性部材によって円盤状に形成された主吸引保持部材と該吸引保持部材の外周に隔壁を介して配設されウエーハの大きさの誤差を調整するための環状の補助吸引保持部材とからなる吸着チャックと、該吸着チャックを嵌合する円形状の凹部を上面に備えた枠体とを具備し、
該枠体の底壁には、該主吸引保持部材に対応する位置に主吸引通路が設けられているとともに、該環状の補助吸引保持部材に対応する位置に補助吸引通路が設けられており、
該補助吸引通路は、盲栓が着脱可能に装着できるように構成されている、
ことを特徴とするチャックテーブル。
【請求項2】
該環状の補助吸引保持部材は隔壁を介して複数配設されており、該補助吸引通路は複数の環状の補助吸引保持部材にそれぞれ対応して設けられている、請求項1記載のチャックテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−33640(P2012−33640A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170972(P2010−170972)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】