説明

ディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】 ディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えることを特徴とするディスプレイ装置及びその製造方法。これにより、基板と複数の導電体を備える電極層との結合力が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及びその製造方法に係り、より詳細には、基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えて、基板と複数の導電体を有する電極層との結合力が改善されたディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術によって印刷されたバス及びアドレス電極は、金属ナノ粒子を含むインクを利用して印刷される。例えば、以下の特許文献1及び2には、銀ナノ粒子、界面活性剤及び有機金属の分散物を備える銀ナノインクが開示されている。
【0003】
以下の特許文献3には、グルーブがガラスでミリングまたはエッチングされ、そのグルーブとアドレス電極がインクジェット印刷を利用して印刷される平板モニタスクリーンの製造方法が開示されている。
【0004】
微細金属線をガラスまたはITO(Indium Tin Oxide)基板上にインクジェット印刷技術を利用して印刷するための他の手法は、基板を事前処理して基板と金属インクとの接触角を30°ないし60°の範囲に属させる方式で処理することである。このように処理すれば、インクが基板上に無制限に広がることを防止できる(特許文献4参照)。このような場合に、プラズマを利用した表面処理が用いられる。一般的に、20゜ないし60゜の接触角は、CF、CまたはCを利用したプラズマフッ素化によって得られる。この方法の短所は、基板上に印刷及び焼結されたインクの粘性または結合力が非常に低いという点である。
【特許文献1】欧州特許出願公開1349135号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開20040043691号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開20040038616号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開20030083203号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、基板と、複数の導電体を有する電極層と、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層とを備えて、基板と複数の導電体を含む電極層との結合力が改善されたディスプレイ装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来技術の問題点を解決するために、本発明は、基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えるディスプレイ装置であり、基板と金属インクとの接触角が30゜ないし60゜の範囲に属し、同時に前記複数の導電体(電気的に導体である金属線)とガラスまたはITO、すなわち、基板間に改善された結合力を持つディスプレイ装置を説明及び提供することである。本発明によって、前記導電体が分離される現象及び/または前記導電体の損傷が防止でき、ガラスまたはITO基板上にインクジェット方式で印刷される導電体の解像度を向上できる。特に、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、PDP)のためのバス及びアドレス電極は、基板上に高いレベルの接着力及び高解像度を持つように、インクジェット印刷方式を利用してPDPに印刷できる。また、前記ディスプレイ装置の製造方法が本発明によって説明及び提供されるが、それによれば、電気的に導体である金属線(すなわち、電極層をなす導電体)とガラスまたはITO基板との結合力が改善される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるディスプレイ装置は、基板と、複数の導電体を有する電極層との間にシラン誘導体層を備えているので、これにより、前記基板と電極層との結合力が改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するために、本発明の望ましい実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載された内容を参照する。
【0009】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を説明することにより、本発明を詳細に説明する。各図面において、同じ参照符号は同じ部材を表す。
【0010】
前述されたような本発明の目的は、基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えるディスプレイ装置を提供することにより達成される。また、基板を準備する工程と、前記基板上部にシラン誘導体層を形成する工程と、前記シラン誘導体層の上部に複数の導電体を有する電極層を形成する工程と、を含むディスプレイ装置の製造方法を提供することにより達成される。本発明の提案される実施形態は従属項に含まれる。
【0011】
本発明の特徴的な長所は、例えば、バスまたはアドレス電極のような導電体が、例えば、ガラス基板またはITOによってコーティングされた基板上に高い結合力で備えられうるという点である。このような方式により、特に線形導電体(電気的に導体である金属線(例えば、バス電極及びアドレス電極))の解像度が高くなるため、結果的にディスプレイ装置の解像度が高くなる。さらに、前記導電体が分離される現象または導電体の損傷(製品の欠陥の原因となって、結果的に生産性を低下させる)が防止される。このような目的で、本発明によるディスプレイ装置では、シラン誘導体層が基本基板と複数の導電体を有する電極層との間に備えられている。前記シラン誘導体層(以下、基板と電極層との間に備えられるという側面で、中間層という)は、望ましい表面特性を持つ薄層を形成するプラズマ重合反応及び/または適当な溶液からの蒸着過程を利用して形成できる。
【0012】
本発明によるディスプレイ装置のうち、基板と、シラン誘導体層及び複数の導電体を有する電極層とを備えた領域を概略的に示す断面図を図1に示す。
【0013】
図1によれば、本発明によるディスプレイ装置は、基板1を備えている。前記基板とは、ディスプレイ装置のうち、電極層が形成される領域を備えた支持体を示すものであり、例えば、ディスプレイ装置がPDPであり、形成しようとする電極層がアドレス電極である場合、前記基板とは、ガラスなどからなる背面基板を意味する。前記基板1は、製作しようとするディスプレイ装置の種類によって相異なるものであり、前記基板1が示すところは、当業者には容易に認識可能なものである。
【0014】
本発明の望ましい一実施形態で、基板1は、ガラス基板またはITOによってコーティングされた基板である。
【0015】
前記基板1の上部にはシラン誘導体層2が備えられている。本発明によるシラン誘導体層2は、基本基板1上に高い接着力で付着されなければならない。このような結果は、シラン誘導体層2をなす物質のうち相応する反応基を利用するか、及び/または正イオン基を利用して達成できる。さらに、本発明によるシラン誘導体層と、複数の導電体を有する電極層3の導電体との間に高い接着力が保証されなければならない。前記複数の導電体を有する電極層3の導電体は、前記シラン誘導体層2の上部に形成され、含金属溶液または含金属懸濁液をインクジェット印刷して形成されることが望ましい。前記導電体とシラン誘導体層2との間の接着力を保証するために、本発明によれば、相応する化学的固定基が、接着効果を向上させるために、シラン誘導体層をなす物質中に付着されることが提案される。蒸着金属(独:abzuscheidendem metall)として銀が使われる場合、チオール基、二硫化基はもとより硫化ジアルキル基のような硫黄を含む構造成分、またはアミン基のような窒素を含む構造成分が使われることが望ましい。また、カルボキシレートはもとよりエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなキレート基も適して使用することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、望ましくは、シラン誘導体層2は、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシリザンから製造されるか、ジメチルジエトキシシラン、トリメトキシ−プロピルシラン、ビス−テトラメチルアンモニウムシロキサノレート、3−メルカプトプロピル−トリメトキシルシラン、ビス(3−トリメトキシシリル)プロピル−エチレンジアミン、3−(トリメトキシシリル)プロピル−ジエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピル−エチレンジアミンテトラアセト酸及びそれらの塩からなる群から選択された一つまたは二つ以上の混合物から製造されることが望ましい。
【0017】
本発明の望ましい他の実施形態で、前記混合物は、二酸化硅素粒子、珪酸塩及び懸濁重合体から形成された群から選択された一つ以上の添加剤を含むことが望ましい。
【0018】
本発明の望ましい他の実施形態で、懸濁重合体はポリジメチルシロキサンを含む。シラン誘導体からなるシラン誘導体層は、プラズマ重合作用またはプラズマ蒸着作用(独:plasmaabscheidung)(例えば、プラズマ強化化学気相蒸着法(PECVD、Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)である)、スピンコーティング法、スプレー塗布法またはスクリーンプリンティング法のような方法を利用して形成できる。プラズマ重合方法、スピンコーティング法またはスプレー法を利用する場合のシラン誘導体層2の厚さは1nmないし50nmであり、スクリーンプリンティング法を利用する場合には、50nmないし10μmに達する。
【0019】
本発明によるディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、有機電界発光ディスプレイ(Organic Light−Emitting Display:OLED)またはPDPでありうる。このような装置は、シラン誘導体層が複数の導電体を有する電極層と基本基板との間に備えられているということを特徴とする。望ましくは、前記複数の導電体を有する電極層3は、ディスプレイ装置のアドレス電極またはバス電極を形成する。
【0020】
本発明によるディスプレイ装置(例えば、LCD、OLEDまたはPDP)は、基本基板及び電極層(複数の導電体からなる)を備え、シラン誘導体層は、前記電極層と基本基板との間に備えられている。
【0021】
図2は、前述したような本発明によるディスプレイ装置の一具現例であり、有機電界発光ディスプレイの一具現例であるアクティブマトリックス型の有機電界発光ディスプレイのうち有機電界発光素子が形成された領域の断面図を概略的に示すものである。特に、図2には、キャパシタ50、駆動TFT(Thin Film Transistor)40及び有機電界発光素子60が図示されている。
【0022】
図2を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機電界発光ディスプレイには基板81が設けられている。前記基板81は、透明な素材、例えば、ガラスまたはプラスチック材で形成できる。前記基板81上には、全体的にバッファ層82が形成されている。
前記バッファ層82の上面には、所定パターンで配列された活性層44が形成されている。前記活性層44は、ゲート絶縁膜83によって埋め込まれている。前記活性層44は、p型またはn型の半導体からなる。
【0023】
前記ゲート絶縁膜83の上面には、前記活性層44と対応する所に駆動TFT40のゲート電極42が形成されている。前記ゲート電極42は、中間絶縁膜84によって埋め込まれている。前記中間絶縁膜84が形成された後、ドライエッチングなどのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜83と中間絶縁膜84とをエッチングしてコンタクトホール83a、84aを形成させて、前記活性層44の一部を露出させている。
【0024】
前記活性層44の露出された部分は、コンタクトホール83a、84aを通じて活性層44の両側において所定のパターンで形成された駆動TFT40のソース電極41と、ドレイン電極43とそれぞれ連結されている。前記ソース電極41とドレイン電極43とは、保護膜85によって埋め込まれている。前記保護膜85が形成された後には、エッチング工程を通じて前記ドレイン電極43の一部が露出されている。
【0025】
前記保護膜85は、絶縁体で形成され、酸化ケイ素や窒化ケイ素のような無機膜、またはアクリル、BCB(benzocyclobutene)のような有機膜で形成できる。また、前記保護膜85の上には、保護膜85の平坦化のために別途の絶縁膜をさらに形成することもできる。
【0026】
一方、前記有機電界発光素子60は電流の流れによって、赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであり、駆動TFT40のドレイン電極43に連結された画素電極である第1電極61と、全体画素を覆うように備えられた対向電極である第2電極62、及びそれら第1電極61と第2電極62との間に配置されて発光する有機発光層63で構成されている。前記有機発光層63は、画素定義膜86に沿って形成できる。前記画素定義膜86は、シリコン酸化物、シリコン窒化物のような絶縁性無機物または絶縁性有機物として多様に備えられている。
【0027】
前記有機発光層63は、低分子または高分子有機物が使用できるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成でき、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして、多様に適用可能である。それら低分子有機物は、真空蒸着の方法で形成できる。
【0028】
高分子有機物の場合には、おおよそHTL及びEMLを備えた構造を持つことができ、この時、前記HTLとしてPEDOTを使用し、EMLとしてPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、それをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。前記のような有機発光層63は、必ずしもそれに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用できるということはいうまでもない。
【0029】
前記第1電極61は、アノード電極の機能を行い、前記第2電極62は、カソード電極の機能を行えるが、もちろん、それら第1電極61と第2電極62との極性は逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62はあらゆる画素を覆うように形成できる。
【0030】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極として備えることができるが、透明電極として使われる時にはITO、IZO、ZnO、またはInが用いられ、反射型電極として使われる時にはAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びそれらの化合物で反射層を形成した後、その上に、ITO、IZO、ZnO、またはInで透明電極層を形成できる。
【0031】
本発明の第2電極62は、有機発光層63のうちEMLに容易に電子を供給できるように仕事関数の低い物質を使用する。その具体的な例には、Li、Ca、Al、AgまたはMgなどがあるが、これに限定されるものではない。前記金属のうち2つ以上を同時に使用することもできる。特に、前記第2電極62が透明電極として使われる場合、第2電極62はカソード電極として使われるので、前記物質からなる薄膜上に、ITO、IZO、ZnO、またはInなどで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0032】
前記第2電極62と前記画素定義膜86との間には、本発明によるシラン誘導体層65が備えられている。前記シラン誘導体層65に関する詳細な説明は、前述した通りである。シラン誘導体層65は、画素定義膜86の上部に備えられて、第2電極62と画素定義膜86との結合力を高める役割を行う。
【0033】
OLEDにおいて、図2では、シラン誘導体層65が第2電極62と画素定義膜86との間に介在される場合を例としたが、これに限定されるものではない。例えば、本発明によるシラン誘導体層は、保護膜85と第1電極61との間に介在されてそれら間の結合力を高めるか、ゲート電極42とゲート絶縁膜83との間に記載されてそれら間の結合力を高めるか、または、ソース電極42及びドレイン電極43と中間絶縁膜84との間に介在されて、それら間の結合力を高めるなど、多様な変形例が可能である。このような変形例は、OLED及び本発明を理解する当業者に容易に認識可能なものであり、本発明の範囲に属するものである。
【0034】
図3は、前述したような本発明によるディスプレイ装置の一具現例であり、PDPの部分切開分離斜視図を概略的に示すものである。
【0035】
図3のPDPは、大きく分けて、上板210とそれと平行に結合される下板220とを備えているが、上板210に備えられた前面基板211と下板220に備えられた背面基板221との間には、隔壁224によって複数の放電セル226及び非放電領域が区画されている。放電セル226は放電領域を形成し、隔壁224は、放電セル226間の光学的クロストークを防止する機能を行う。
【0036】
上板210の前面基板211には、維持電極対214が配置されている。前面基板211を通じて放電セル226で形成された可視光線が透過されるために、前面基板211は、ガラスを主材料とした透明な材料で形成されている。
【0037】
維持電極対214は、維持放電を引き起こすために前面基板211の背面に形成された1対の維持電極を意味し、前面基板211には、そのような維持電極対214が所定の間隔で平行に配列されている。この維持電極対214は、それぞれX電極212及びY電極213を備えている。本実施形態では、維持電極対214が前面基板211の背面に配置されているが、維持電極対の配置位置はそれに限定されない。例えば、維持電極対214は、前面基板211の背面から所定の間隔で離隔されて配置することができる。但し、維持電極対は、前面基板211から同じレベルに配置されることが望ましい。
【0038】
X電極212とY電極213とは、所定の間隔で離隔されて、x方向に互いに平行に放電セル226を横切って延びている。X電極212とY電極213とは、金属材質からなり、狭い幅で形成されている。このようなX電極212及びY電極213は、Ag、AlまたはCuのような金属を利用して断層構造で形成されているが、Cr/Al/Crなどの多層構造を持つように形成されることもできる。また、X電極212とY電極213とは、それぞれ透明電極212b、213b及びバス電極212a、213aを備えている。前記透明電極212b、213bは、例えば、ITO、IZO、Inなどからなり、前記バス電極212a、213aは、例えば、Al、Ag、Mgなどの金属材質からなるが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記透明電極212bと前記バス電極212a及び前記透明電極213bと前記バス電極213aとの間には、それぞれ本発明によるシラン誘導体層227’が備えられている。前記シラン誘導体層227’についての詳細な説明は、前述した通りである。シラン誘導体層227’によって、前記透明電極212b、213bと前記バス電極212a、213aとの結合力が向上できる。
【0040】
維持電極対214が備えられた前面基板211には、維持電極対214を埋め込むように第1誘電体層215が形成されている。第1誘電体層215は、隣接したX電極212とY電極213とが互いに通電されることと、正イオンまたは電子がX電極212及びY電極213に直接衝突してX電極212及びY電極213を損傷させることを防止するとともに、電荷を誘導できる誘電体として形成されており、このような誘電体としてはPbO、B、SiOなどがある。
【0041】
また、第1誘電体層215の背面には、通常MgOからなる保護層216が形成されている。このような保護層216は、放電時に正イオンと電子とが第1誘電体層215に衝突して、第1誘電体層215が損傷することを防止し、透光性が良く、放電時に2次電子を多く放出する。特に、MgO層216は、主にスパッタリング、電子ビーム蒸着法などを利用して薄膜で形成される。
【0042】
前面基板211の維持電極対214が配置された面に対向する背面基板221の前面には、アドレス電極222が配置されている。アドレス電極222は、各放電セル226でX電極212及びY電極213と交差するように、放電セル226を横切って延びている。このようなアドレス電極222は、放電セル226の中央部分に対向する背面基板221の上に配置されることが望ましい。
【0043】
アドレス電極222は、X電極212とY電極213との間の維持放電をさらに容易にするためのアドレス放電を引き起こすためのものであり、より具体的には、維持放電を引き起こすための電圧を低める役割を行う。前記アドレス電極222は、Ag、Ma、Alのような多様な金属材質からなることができる。
【0044】
前記アドレス電極222と前記背面基板221との間には、本発明によるシラン誘導体層227が備えられている。前記シラン誘導体層227に関する詳細な説明は、前述した通りである。シラン誘導体層227によって、アドレス電極222と背面基板221との結合力が向上できる。
【0045】
アドレス電極222が備えられた背面基板221には、アドレス電極222を埋め込むように第2誘電体層223が形成されている。第2誘電体層223は、放電時に正イオンまたは電子がアドレス電極222に衝突して、アドレス電極222を損傷させることを防止しつつも電荷を誘導できる誘電体で形成されるが、このような誘電体としては、PbO、B、SiOなどがある。
【0046】
放電セル226を区画する隔壁224間の第2誘電体層223の前面と、隔壁224の側面とには、赤色発光、緑色発光、青色発光蛍光体層225が形成されている。このような蛍光体層225は、紫外線を受けて可視光線を発生させる成分を持つが、赤色放電セルに形成された赤色発光蛍光体層はY(V,P)O:Euのような蛍光体を備え、緑色放電セルに形成された緑色発光蛍光体層は、ZnSiO:Mnのような蛍光体を備え、青色放電セルに形成された青色発光蛍光体層は、BAM:Euのような蛍光体を備えている。
【0047】
また、前記放電セル226には、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)などが混合された放電ガスが満たされ、前記のように放電ガスが満たされた状態で、前面基板及び背面基板211、221の最端部に形成されたフリットガラスのような密封部材により、前面基板211と背面基板221とが互いに封合されて結合される。
【0048】
本発明によるPDPを、図3を参照して説明したが、多様な変形例が可能であり、これは本発明の範囲に属する。
【0049】
前述したように本発明によるディスプレイ装置の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上部にシラン誘導体層を形成する工程と、前記シラン誘導体層の上部に複数の導電体を有する電極層を形成する工程と、を含む。前記ディスプレイ装置の製造方法は、複数の導電体を含む電極層を形成する前に、基板上にシラン誘導体層を形成する工程を含むことを特徴とする。すなわち、前記シラン誘導体層を形成した後、ディスプレイ装置に備えられる複数の導電体を有する電極層を形成する。
【0050】
本発明によるディスプレイ装置の製造方法の一具現例は、図4Aないし図4Cを参照する。
【0051】
まず、図4Aのように、基板11を準備する。この時、基板とは、前述したような意味の基板であり、例えば、前記基板11は、ガラス基板またはITOでコーティングされた基板を用いることができる。必要な場合、前記基板を洗浄する工程をさらに含むことができる。
【0052】
次いで、図4Bのように、基板11の上部にシラン誘導体層12を形成する。
【0053】
望ましくは、シラン誘導体層12は、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシラザンから製造できる。本発明のさらに他の実施形態で、シラン誘導体層12は、ジメチルジエトキシシラン、トリメトキシ−プロピルシラン、ビス−テトラメチルアンモニウムシロキサノレート、3−メルカプトプロピル−トリメトキシルシラン、ビス(3−トリメトキシリル)プロピル−エチレンジアミン、3−(トリメトキシシリル)プロピル−ジエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピル−エチレンジアミンテトラアセト酸及びそれらの塩からなる群から選択された一つまたは二つ以上の混合物で製造されることが望ましい。前記混合物は、二酸化硅素粒子、珪酸塩及び懸濁重合体からなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含むことが望ましい。懸濁重合体として、ポリジメチルシロキサンが使われることが望ましい。シラン誘導体を含むシラン誘導体層12は、電気的に非絶縁体であるが、電極層をなす導電体の縦軸を横切る方向には、少なくとも電気的に絶縁であることが望ましい。このような特性は、シラン誘導体層12を単分子層に相応する薄い層厚に形成することによって達成できる。本発明によれば、シラン誘導体層12は、Si−O結合、Si−N結合、Si−P結合、Si−C結合、Si−H結合及びSi−Si結合からなる群から選択された一つ以上の結合を持つ。
【0054】
次いで、図4Cに示すように、シラン誘導体層12の上部に複数の導電体を有する電極層13を形成する。前記導電体は、複数の金属線または金属を含む線であり、銀または他の金属粒子を含む線によって形成される。前記導電体は、インクジェット印刷技術を利用して形成される。このような目的のために、望ましくは、前記導電体をなす物質の粒子、例えば、銀粒子などを含むインクで線分を形成させる方法で、一滴ずつシラン誘導体層12を備える基板11上に印刷される。細線を具現するために、小さなインク滴の体積を形成するプリントヘッドが使われることが望ましい。細線及び細線によって得られる高解像度の導電体は、シラン誘導体層12を基板11に形成するように、基板11を事前処理することによって具現できる。表面エネルギーにおいて、例えば、プラズマ処理法(例えば、PECVDのような)によって印刷されたインクに対する最大限大きい接触角を獲得させる方法でシラン誘導体層12は形成される。このような方法では、インクの無制限拡散が予防される。
【0055】
また、同じ基板領域に数回印刷することもやはり可能である。数回印刷することにより、それぞれの金属線(すなわち、電極層13をなす導電体)の層厚をさらに厚くすることができる。
【0056】
複数の導電体からなる電極層のうち導電体(例えば、銀(Ag)からなる)の最大導電性は、熱処理工程を行うことによって得られる。前記熱処理工程は、100℃ないし300℃の温度で5分ないし30分間行うことが望ましい。前記熱処理工程中、複数の導電体からなる電極層13のうち導電体をなす粒子(例えば、Ag粒子)の焼結が行われる。前記方法を利用すれば、複数の導電体からなる電極層13のうち導電体をなす粒子(例えば、Ag粒子)を含むインクとして、1(Ohm/cm)未満の線抵抗を得られる。
【0057】
前述したようなディスプレイ装置の製造方法において、前記ディスプレイ装置は、LCD、OLEDまたはPDPであるが、本発明によるディスプレイ装置の製造方法は、前述したように基板、シラン誘導体層及び複数の導電体を有する電極層の形成工程を含むことができる。
【0058】
例えば、OLED製造方法において、図2を参照すれば、画素定義膜86の上部にシラン誘導体層65を前述したように形成した後、前記シラン誘導体層65の上部に第2電極62を形成する工程を含む。その他にも、ゲート絶縁膜83の上部にシラン誘導体層を形成した後、ゲート電極42を形成する工程、中間絶縁膜83の上部にシラン誘導体層を形成した後、ソース電極41及びドレイン電極43を形成する工程、及び保護膜85の上部にシラン誘導体層を形成した後に第1電極61を形成する工程のうち一つ以上をさらに含むことができる。前記ゲート電極42、ソース電極41、ドレイン電極43、第1電極61、第2電極62は、例えば、インクジェットプリント法を利用して形成できる。以後、多様な後続工程が進む。前記多様な後続工程は、公知のあらゆるOLED製造方法(例えば、大韓民国特許公開番号第2004−39789号明細書、第2002−78535号明細書及び第2002−71660号明細書など)を参照し、それは本願発明に引用して適用できる。
【0059】
例えば、OLEDの場合に、前記基板、シラン誘導体層及び複数の導電体を有する電極層の形成後、有機発光層が形成できる。
【0060】
他の例として、PDPの製造方法において、図3を参照すれば、背面基板221の上部にシラン誘導体層227を形成した後、前記シラン誘導体層227の上部にアドレス電極222を形成する工程、及び透明電極212b、213bの上部にシラン誘導体層227’を形成した後、前記シラン誘導体層227’の上部にバス電極212a、213aをそれぞれ形成する工程のうち一つ以上をさらに含むことができる。前記アドレス電極222、前記バス電極212a、213aは、例えば、インクジェットプリント法を利用して形成できる。以後、多様な後続工程が進む。前記多様な後続工程は、公知のあらゆるPDP製造方法(例えば、大韓民国特許登録番号第0453891号明細書、第0445031号明細書及び第0441517号明細書など)を参照し、それは、本願発明に引用して適用できる。
【0061】
本発明は、図面に少なくとも一部分が図示された実施例に基づいて、後述するように詳細に説明される。
【0062】
(実施例)
本実施例は、基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えたプラズマディスプレイの製造方法の一具現例に関する。プラズマディスプレイのためのバス及びアドレス電極の製造過程は、2つの相異なる基板上で行われるが、この基板は、ガラス基板(アドレス電極の場合)及びITOコーティングされたガラス基板(バス電極の場合)である。その中でも、PDPのアドレス電極の製作過程を例示したものとして、図4Aないし図4Cを参照する。
【0063】
まず、ガラスからなる洗浄された基本基板を最初の基板として準備した。
【0064】
洗浄された基本基板にHMDSO(hexamethyldisiloxane)を利用したプラズマ重合処理を行い、5nmの層厚を持つシラン誘導体層を形成した。前記シラン誘導体層上で銀インク滴の接触角は約30゜を示した。プラズマ重合処理は、HMDSOを利用したPECVD処理を利用した。この時、プラズマ重合処理のためのパラメータは、表1の通りである。
【0065】
【表1】

【0066】
銀インクとしては、有機溶媒中の銀ナノ粒子(直径が約7nmの粒子)の分散物を準備した。前記はインクを、前記基板上に形成されたシラン誘導体層上に印刷した。この時、圧電印刷ヘッドを利用して印刷した後、乾燥させて100μmの線幅を持つアドレス電極を形成した。
【0067】
これと類似した方法で、銀インクが印刷された基板を250℃の温度に露出させて熱処理した。前記熱処理工程を通じて銀ナノ粒子を焼結させて、電気的に導電性を帯びて2μm以上の層厚を有するアドレス電極を得た。
【0068】
本発明は、図面に示された実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できる。
【0069】
したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によるディスプレイ装置及びその製造方法を利用すれば、基板と電極層との結合力が向上した高性能ディスプレイ装置を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明によるディスプレイ装置の一具現例であり、基板及び電極層が備えられた領域を簡略に示す図面である。
【図2】本発明によるディスプレイ装置の一具現例であり、有機電界発光ディスプレイの一具現例を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明によるディスプレイ装置の一具現例であり、PDPの一具現例を概略的に示す部分分離切開斜視図である。
【図4A】本発明によるディスプレイ装置の製造方法の一具現例を説明する図面である。
【図4B】本発明によるディスプレイ装置の製造方法の一具現例を説明する図面である。
【図4C】本発明によるディスプレイ装置の製造方法の一具現例を説明する図面である。
【符号の説明】
【0072】
1 基板
2 シラン誘導体層
3 複数の導電体を備える電極層
61 第1電極
62 第2電極
212a、213a バス電極
222 アドレス電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、複数の導電体を有する電極層とを備え、前記基板と前記電極層との間にシラン誘導体層を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記基板は、ガラス基板またはITOでコーティングされた基板であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記シラン誘導体層は、Si−O結合、Si−N結合、Si−P結合、Si−C結合、Si−H結合及びSi−Si結合からなる群から選択された一つ以上の結合を持つことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記シラン誘導体層は、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシラザンから製造されたことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記シラン誘導体層は、ジメチルジエトキシシラン、トリメトキシ−プロピルシラン、ビス−テトラメチルアンモニウムシロキサノレート、3−メルカプトプロピル−トリメトキシルシラン、ビス(3−トリメトキシシリル)プロピル−エチレンジアミン、3−(トリメトキシシリル)プロピル−ジエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピル−エチレンジアミンテトラアセト酸及びそれらの塩からなる群から選択された一つまたは二つ以上の混合物から製造されたことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記混合物は、二酸化硅素粒子、珪酸塩、及び懸濁重合体からなる群から選択された一つ以上の添加剤を備えることを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記懸濁重合体は、ポリジメチルシロキサンを備えることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記シラン誘導体層の厚さは、1nmないし50nmであることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記シラン誘導体層の厚さは、50nmないし10μmであることを特徴とする請求項6または7に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイまたはプラズマディスプレイであることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記複数の導電体は、アドレス電極またはバス電極であることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
基板を準備する工程と、
前記基板上部にシラン誘導体層を形成する工程と、
前記シラン誘導体層の上部に複数の導電体を有する電極層を形成する工程と、を含むことを特徴とするディスプレイ装置の製造方法。
【請求項13】
前記シラン誘導体層は、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシラザンから製造されることを特徴とする請求項12に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項14】
前記シラン誘導体層は、ジメチルジエトキシシラン、トリメトキシ−プロピルシラン、ビス−テトラメチルアンモニウムシロキサノレート、3−メルカプトプロピル−トリメトキシルシラン、ビス(3−トリメトキシシリル)プロピル−エチレンジアミン、3−(トリメトキシシリル)プロピル−ジエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピル−エチレンジアミンテトラアセト酸及びそれらの塩からなる群から選択された一つまたは二つ以上の混合物から製造されることを特徴とする請求項12に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項15】
前記混合物は、二酸化硅素粒子、珪酸塩及び懸濁重合体からなる群から選択された一つ以上の添加剤を備えることを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記懸濁重合体は、ポリジメチルシロキサンを備えることを特徴とする請求項15に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記シラン誘導体層の形成工程は、プラズマ重合法またはプラズマ蒸着法を利用して行うことを特徴とする請求項13に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記プラズマ重合法またはプラズマ蒸着法は、プラズマ強化化学気相蒸着法によって行うことを特徴とする請求項17に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記シラン誘導体層の形成工程は、スピンコーティング法、スプレー法またはスクリーン印刷法を利用して行うことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記複数の導電体を有する電極層の形成工程は、含金属溶液または含金属懸濁液をインクジェット方式で印刷することにより行うことを特徴とする請求項12ないし19のうちいずれか1項に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記複数の導電体を有する電極層の形成後、前記シラン誘導体層を100℃ないし300℃の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項22】
前記熱処理工程は5分ないし30分間行うことを特徴とする請求項21に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項23】
前記ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイまたはプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする請求項12ないし19のうちいずれか1項に記載のディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2006−39550(P2006−39550A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210423(P2005−210423)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】