説明

デジタル制御発振回路、周波数シンセサイザ、それを用いた無線通信機器及びその制御方法

【課題】周波数が直線的に変化する範囲が広く且つ占有面積が小さいデジタル発振回路を実現できるようにする。
【解決手段】デジタル制御発振回路10は、複数の第1の可変容量素子からなる第1の容量素子群14及び複数の第2の可変容量素子からなる第2の容量素子群14を含む可変容量部12を有し、可変容量部12の容量値に対応した発振周波数の信号を生成する発振部を備えている。第1の可変容量素子の第1の容量変化量は、第2の可変容量素子の第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であり、第2の可変容量素子の個数は、2以上の整数値から1を減じた値以上である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積回路に用いるデジタル制御発振回路、周波数シンセサイザ、それを用いた無線通信機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細化、高速化に伴い、発振回路をアナログ電圧ではなく、デジタル値により制御するデジタル制御発振(DCO)回路を用いた周波数シンセサイザが検討されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0003】
図19は従来のDCO回路の一例を示している。図19に示すように、従来のDCO回路は、インダクタ201と可変容量部202とを有している。インダクタ201と可変容量部202とはLCタンク回路を形成し、インダクタ201のインダクタンスと可変容量部202の容量値とに応じた周波数の信号を発振する。
【0004】
可変容量部202は、それぞれが複数のバラクタ素子からなる容量素子群203〜205を有している。各バラクタ素子は、容量値が低い低容量状態と容量値が高い高容量状態との間を容量値が変化する可変容量素子である。従って、各容量素子群に制御信号を与えてバラクタ素子の容量値を低容量状態から高容量状態にすることにより可変容量部202の容量値が変化する。
【0005】
また、単位制御信号あたりの周波数の変化量、つまり1個の可変容量素子の容量値を低容量状態から高容量状態に切り換えた際の周波数の変化量は、容量素子群ごとに異なっており、例えば、容量素子群203では3MHz変化し、容量素子群204では320KHz変化し、容量素子群205では10KHz変化する。これにより、各容量素子群は図20に示すように異なる発振周波数範囲をカバーする。また、各容量素子群がカバーする発振周波数範囲は互いにオーバーラップしている。従って、DCO回路112の発振周波数を、細かいステップで変化させることも、大きく変化させることも可能である。
【特許文献1】特開2002−33660号公報
【特許文献2】米国特許6734741号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のデジタル制御発振回路には、以下のような問題がある。広範囲な変調を行う場合には、量子化ノイズの増大を抑えるために、広範囲な周波数可変を行うと共に、最小周波数変化をできるだけ小さくし且つ変化量が一定となるようにする必要がある。
【0007】
量子化ノイズの増大を押さえるためには、単位制御信号に対する周波数変化を一定に維持しなければならない。このため、広帯域に変調する場合には最小周波数変化量、すなわち可変容量部の最小容量変化値を一定に維持しながら制御ビット数を増やす必要がある。
【0008】
従来のDCO回路は、可変容量部が3つの容量素子群からなり広範囲な周波数可変が可能である。しかし、各容量素子群を操作した際の発振周波数の変化は互いに独立である。このため、広範囲に変調を行うためには、容量素子群205に含まれるバラクタ素子の数を増やし、周波数を直線的に変化させることができる範囲を広く確保する必要がある。、例えば発振周波数を直線的に64ステップ変化させようとすると容量素子群205には少なくとも63個のバラクタ素子が必要となる。このため、可変容量部の占有面積ひいてはDCO回路の占有面積が増大してしまうという問題がある。また、容量素子群205に含まれるバラクタ素子を1個ずつ制御するためには64本の制御線が必要となる。制御線の占有面積がさらに増大すると共に、面積の増大によって寄生容量がさらに増加してしまう。
【0009】
このように単位容量を小さくしたまま制御ビット数を増やしていくと、容量素子の占有面積及び制御線の占有面積が増大する。また面積の増大に伴い寄生容量も増加する。寄生容量の増加は、発振周波数の可変範囲を狭くする原因となるという問題がある。
【0010】
本発明は、前記従来の問題を解決し、発振周波数が直線的に変化する範囲が広く且つ占有面積が小さいデジタル発振回路を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明はデジタル制御発振回路を、複数の可変容量素子からなる容量素子群を2つ以上有し且つ一の容量素子群に含まれる可変容量素子の容量変化量は、他の容量素子群に含まれる可変容量素子の容量変化量の整数倍である構成とする。
【0012】
具体的に、本発明に係るデジタル制御発振回路は、第1の容量状態と該第1の容量状態よりも容量値が大きい第2の容量状態とを切り換え可能な複数の第1の可変容量素子からなる第1の容量素子群及び第3の容量状態と該第3の容量状態よりも容量値が大きい第4の容量状態とを切り換え可能な複数の第2の可変容量素子からなる第2の容量素子群を含む可変容量部を有し、可変容量部の容量値に対応した発振周波数の信号を生成する発振部を備え、第2の容量状態と第1の容量状態との容量値の差である第1の容量変化量は、第4の容量状態と第3の容量状態との容量値の差である第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であり、第2の可変容量素子の個数は、2以上の整数値から1を減じた値以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明のデジタル制御発振回路によれば、第1の可変容量素子の第1の容量変化量は、第2の可変容量素子の第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であるため、第2の可変容量素子による発振周波数の制御と、第1の可変容量素子による発振周波数の制御とをリニアにつなぐことができる。従って、1ステップあたりの容量変化を常に一定にすることができる。従って、可変容量部の容量値を広い範囲で線形性を確保しつつ変化させることができる。また、第2の可変容量素子のみを用いる場合と比べて、可変容量素子の数を減らすことができ、可変容量部の占有面積を低減することができる。
【0014】
本発明のデジタル制御発振回路において可変容量部は、第5の容量状態と該第5の容量状態よりも容量値が大きい第6の容量状態とを切り換え可能な複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、第6の容量状態と第5の容量状態との容量値の差である第3の容量変化量は、第2の容量変化量と等しく、第3の容量素子群は、ΣΔ変調により制御することが好ましい。
【0015】
本発明のデジタル制御発振回路において可変容量部は、発振周波数を粗調整するための、粗調整用容量素子群を有していることが好ましい。
【0016】
本発明に係る周波数シンセサイザは、それぞれが第1の容量状態と該第1の容量状態よりも容量値が大きい第2の容量状態とを有する複数の第1の可変容量素子からなる第1の容量素子群及びそれぞれが第3の容量状態と該第3の容量状態よりも容量値が大きい第4の容量状態とを有する複数の第2の可変容量素子からなる第2の容量素子群を含む可変容量部を有し、可変容量部の容量値に対応した発振周波数の信号を生成するデジタル制御発振部と、各第1の可変容量素子に対して第1の容量状態と第2の容量状態とを切り換え、各第2の可変容量素子に対して第3の容量状態と第4の容量状態とを切り換えることにより可変容量部の容量値を制御して、発振周波数を制御する発振周波数制御部とを備え、第2の容量状態と第1の容量状態との容量値の差である第1の容量変化量は、第4の容量状態と第3の容量状態との容量値の差である第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であり、第2の可変容量素子の個数は、2以上の整数値から1を減じた値以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明の周波数シンセサイザによれば、第1の可変容量素子の第1の容量変化量は、第2の可変容量素子の第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であるため、第2の可変容量素子による発振周波数の制御と、第1の可変容量素子による発振周波数の制御とをリニアにつなぐことができる。従って、広い周波数範囲にわたって、可変容量部の容量値を直線的に変化させることができる。また、第2の可変容量素子のみを用いる場合と比べて、可変容量素子の数を減らすことができ、可変容量部の占有面積を低減することができる。
【0018】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、発振周波数制御部は、第2の容量状態とする第1の可変容量素子を選択する第1の容量素子選択回路と、第4の状態とする第2の可変容量素子を選択する第2の容量素子選択回路と、基準周波数信号を発生する基準周波数信号生成部と、デジタル制御発振部の出力に基づいて比較信号を生成する比較信号生成部と、基準周波数信号と比較信号との位相及び周波数の少なくとも一方を比較して差分信号を出力する信号比較部と、差分信号に基づいて第1の容量素子選択回路及び第2の容量素子選択回路を制御する多ビットのデジタル制御信号を生成するループゲイン調整部とを有し、デジタル制御信号は、第2の容量素子群の容量値を制御する下位ビット信号と、第1の容量素子群の容量値を制御する上位ビット信号とを含み、第1の容量素子選択回路は、上位ビット信号に対応する第1の可変容量素子を第2の容量状態とし、第2の容量素子選択回路は、下位ビット信号に対応する第2の可変容量素子を第4の容量状態とすることが好ましい。このような構成とすることにより、フェーズドロックループによる正確な発振周波数の制御が可能となる。
【0019】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、第1の容量素子選択回路は、上位ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第1のエンコーダであり、第2の容量素子選択回路は、下位ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第2のエンコーダであることが好ましい。
【0020】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、デジタル制御信号は、可変容量部の容量値を第2の容量変化量よりも細かく変化させるための分数部ビット信号を含み、発振周波数制御部は、分数部ビット信号をΣΔ変調するΣΔ変調部と、ΣΔ変調された分数部ビット信号と下位ビット信号とを加算する加算器と有していることが好ましい。このような構成とすることにより、第2の容量素子群を分数部のデータによりΣΔ変調してコントロールすることができる。
【0021】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、発振周波数制御部は、切換クロックを生成する切換クロック部を有し、第1の容量素子選択回路は、第2の容量状態とする第1の可変容量素子の組み合わせを切換クロックに基づいて切り換え、第2の容量素子選択回路は、第4の容量状態とする第2の可変容量素子の組み合わせを切換クロックに基づいて切り換えることが好ましい。このような構成とすることにより、第1の容量素子群及び第2の容量素子群をダイナミックエレメントマッチングにより制御することができ、直線性をさらに向上させることができる。
【0022】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、可変容量部は、複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、デジタル制御信号は、第3の容量素子群を制御する分数部ビット信号を含み、発振周波数制御部は、分数部ビット信号をΣΔ変調するΣΔ変調部と、ΣΔ変調された分数部ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第3の容量素子選択回路とを有していることが好ましい。
【0023】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、第2の可変容量素子の個数は、2以上の整数値の2倍から1を減じた値以上であり、発振周波数制御部は、上位ビット信号から1を減算する減算回路と、下位ビット信号に2以上の整数値を加算する加算回路と、減算回路及び加算回路の駆動状態を切り換える演算回路制御部とを有し、演算回路制御部は、少なくとも上位ビット信号が1より大きい場合に、減算回路及び加算回路を動作状態とすることが好ましい。このような構成とすることにより、第1の容量変化と第2の容量変化との間にずれがある場合においても、容量変化の直線性を確保することができる。
【0024】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、第3の可変容量素子の個数は、2以上の整数値の2倍から1を減じた値以上であり、発振周波数制御部は、上位ビット信号から1を減算する減算回路と、ΣΔ変調された分数部ビット信号に2以上の整数値を加算する加算回路と、減算回路及び加算回路の駆動状態を切り換える演算回路制御部とを有し、演算回路制御部は、デジタル制御データに基づいて、減算回路及び加算回路を動作状態とすることが好ましい。
【0025】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、演算回路制御部は、下位ビット信号に基づいて、減算回路及び加算回路を動作状態とする期間を制御することが好ましい。
【0026】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、演算回路制御部は、ΣΔ変調部と同期して減算回路及び加算回路を動作状態とする期間を制御することが好ましい。
【0027】
この場合において、2以上の整数値をm、下位ビット信号の値をk、減算回路及び加算回路を動作状態とする期間をTon、減算回路及び加算回路を停止状態とする期間をToffとすると、Ton:Toff=k:m−kであることが好ましい。
【0028】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、各第1の可変容量素子と、第2の可変容量素子とは互いに物理的構造が異なっていてもよい。
【0029】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、各第1の可変容量素子は、配線間容量素子とスイッチとを含み、各第2の可変容量素子は、MOSバラクタ素子であってもよい。
【0030】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、発振周波数制御部は、デジタル制御データの値を可変容量部の容量値に基づいて補正する制御データ補正回路を有していることが好ましい。
【0031】
この場合において、制御データ補正回路は、デジタル制御データの単位変化量あたりの発振周波数の変化量が一定となるようにデジタル制御データを補正してもよい。また、デジタル制御データは、基準となる周波数におけるデジタル制御データの単位変化量あたりの前記周波数の変化量である制御感度に基づいて生成され、制御データ補正回路は、デジタル制御データに発振周波数と基準となる周波数との比率に応じた係数を乗算して、デジタル制御データを補正してもよい。
【0032】
本発明の周波数シンセサイザにおいて第2の可変容量素子の個数は、2以上の整数値から1を減じた数であることが好ましい。
【0033】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、可変容量部は、周波数を粗調整する粗調整用容量素子群を有していることが好ましい。
【0034】
本発明の周波数シンセサイザにおいて、可変容量部は、周波数のチャネルを調整するチャネル調整用容量素子群を有していることが好ましい。
【0035】
本発明に係る無線通信器は、本発明に係る周波数シンセサイザを有する受信回路及び送信回路の少なくとも一方を備えている。
【0036】
本発明に係るデジタル制御発振回路の制御方法は、第1の容量変化量を有する複数の第1の可変容量素子を含む第1の容量素子群と、第1の容量変化量を2以上の整数値で除した第2の容量変化量を有する複数の第2の可変容量素子を含む第2の容量素子群とを有する可変容量部を備えたデジタル制御発振回路の発振周波数の制御方法を対象とし、第1の容量素子群を制御する上位ビットのデータと、第2の容量素子群を制御する下位ビットのデータとを含む多ビットのデジタル制御データを生成するステップ(a)と、デジタル制御データに基づいて第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子を選択することにより、発振周波数をデジタル制御データに対応した周波数とするステップ(b)とを備え、ステップ(b)は、上位ビットのデータに対応した第1の可変容量素子の容量値を第1の容量状態から第2の容量変化量分変化した第2の容量状態にするステップ(b1)と、下位ビットのデータに対応した第1の可変容量素子の容量値を第3の容量状態から第2の容量変化量分変化した第4の容量状態にするステップ(b2)とを含むことを特徴とする。
【0037】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法は、上位ビットのデータに対応する個数の第1の可変容量素子をオン状態とするステップと、下位ビットのデータに対応する個数の第2の可変容量素子をオン状態とするステップとにより、発振周波数をデジタル制御データに対応した周波数としている。このため、可変容量部の容量値が、上位ビットのデータに応じて第1の容量変化量分だけ変化し、下位ビットのデータに応じて第2の容量変化量分だけ変化する。また、第1の容量変化量が第2の容量変化量の整数倍である。従って、可変容量部の容量値を、デジタル制御データのデータに対応して直線的に変化させることが可能である。
【0038】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、デジタル制御データは、分数部ビットのデータを含み、ステップ(b)は、分数部ビットのデータをΣΔ変調するステップ(b3)と、ステップ(b2)よりも前に、ΣΔ変調した分数部ビットのデータを、下位ビットのデータに加算するステップ(b4)とを含むことが好ましい。
【0039】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、、可変容量部は、第2の容量変化量を有する複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、デジタル制御データは、分数部ビットのデータを含み、ステップ(b)は、分数部ビットのデータをΣΔ変調するステップ(b5)と、ΣΔ変調した分数部ビットのデータに対応した第3の可変容量素子を第5の容量状態から第2の容量変化量分変化した第6の容量状態にするステップ(b6)とを含むことが好ましい。
【0040】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、上位ビットのデータから1を減算し且つ下位ビットのデータに2以上の整数値を加算するステップ(c)をさらに備え、ステップ(c)はステップ(b)よりも前に選択的に実行されることが好ましい。
【0041】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、上位ビットのデータから1を減算し且つ分数部ビットのデータに2以上の整数値を加算するステップ(d)をさらに備え、ステップ(d)はステップ(b)よりも前に選択的に実行されることが好ましい。
【0042】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、デジタル制御データに基づいてステップ(d)の実行を選択するステップ(e)をさらに備えていることが好ましい。
【0043】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、ステップ(e)は、下位ビットのデータの値に基づいてステップ(d)の実行を選択することが好ましい。
【0044】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、ステップ(e)は、ステップ(d)がΣΔ変調と同期して行われるようにステップ(d)の実行を選択することが好ましい。
【0045】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、ステップ(e)は、2以上の整数値をm、下位ビット信号の値をk、ステップ(d)の実行を選択する期間をTon、ステップ(d)を実行しない期間をToffとすると、Ton:Toff=k:m−kとなるようにステップ(d)の実行を選択することが好ましい。
【0046】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、ステップ(a)は、基準となる基準信号を生成するステップ(a1)と、デジタル制御発振回路の出力信号に基づいて比較信号を生成するステップ(a2)と、基準信号と比較信号とを比較してずれを検出するステップ(a3)と、検出したずれに基づいてデジタル制御データを生成するステップ(a4)とを含むことが好ましい。
【0047】
本発明のデジタル制御発振回路の制御方法において、ステップ(a)は、発振周波数を第1の周波数とする場合のデジタル制御データと、発振周波数を第2の周波数とする場合のデジタル制御データの変化量に基づいて、第1の周波数の近傍におけるデジタル制御データの単位変化量あたりの発振周波数の変化量である制御感度を算出するステップ(a5)と、
発振周波数を第3の周波数とするデジタル制御データを、制御感度及び第1の周波数と第3の周波数との比率に応じた係数を用いて算出するステップ(a6)とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係るデジタル制御発振回路及びその制御方法は、周波数が直線的に変化する範囲が広く且つ占有面積が小さいデジタル発振回路を実現でき、周波数シンセサイザ及びそれを用いた無線通信機器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は第1の実施形態に係る周波数シンセサイザの回路構成を示している。図1に示すように本実施形態の周波数シンセサイザは、デジタル制御発振(DCO)回路10の発振周波数を発振周波数制御部20によりループ制御するフェーズドロックループ(PLL)回路である
DCO回路10は、インダクタ11と可変容量部12と負性抵抗生成部13と出力アンプ19とを有するLC発振回路であり、可変容量部12の容量値を変化させることにより、発振周波数を変化させることができる。
【0050】
可変容量部12は、第1の容量素子群14と第2の容量素子群15とを有している。第1の容量素子群14は、印加する電圧によって第1の容量状態(低容量状態)と第1の容量状態よりも容量値が大きい第2の容量状態(高容量状態)との間で容量値が変化する複数の第1の可変容量素子により構成されている。第2の容量素子群15は、印加する電圧によって第3の容量状態(低容量状態)と第3の容量状態よりも容量値が大きい第4の容量状態(高容量状態)との間で容量値が変化する複数の第2の可変容量素子により構成されている。従って、第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子を低容量状態から高容量状態又は高容量状態から低容量状態に変化させることにより、第1の容量素子群14の容量値及び第2の容量素子群15の容量値を変化させることができる。
【0051】
各第1の可変容量素子及び各第2の可変容量素子の容量状態の切り換えは、発振周波数制御部20により行う。DCO回路10の出力は、比較信号生成部36において分周及び積分等の処理が行われて、比較信号に変換される。比較信号は、信号比較部34において基準信号と比較される。基準信号は、例えば基準信号作成部35に入力された周波数選局データと参照周波数信号とから生成される。信号比較部34は、比較信号と基準信号との位相、周波数又は位相と周波数との両方を比較し、そのずれに応じた比較結果を出力する。比較結果は、ループゲイン調整部33により、適切なループゲインに調整されると共に、多ビットのデジタル制御データとして出力される。
【0052】
多ビットのデジタル制御データは、分数部を表す桁(ビット)と、整数部を表す桁とを含んでいる。分数部を表す桁の桁数は、必要とする発振周波数の分解能に応じて決定すればよい。整数部は、さらに上位ビットと下位ビットに分割されている。上位ビット及び下位ビットの桁数は、第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子の個数に応じて決定すればよい。
【0053】
整数部上位ビットのデータは、第1の容量素子選択回路21に入力される。整数部下位ビットのデータは、加算器39によりΣΔ変調部37によりΣΔ変調された分数部ビットのデータが加算され、第2の容量素子選択回路22に入力される。ΣΔ変調部37は、DCO回路10の出力からディザリングクロック発生部38により生成されたディザリングクロックにより制御される。
【0054】
本実施形態の第1の容量素子選択回路21及び第2の容量素子選択回路22はエンコーダであり、入力されたデジタル制御データをサーモメータコードにそれぞれ変換して、対応する第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子をそれぞれ選択して高容量状態とする。これにより、可変容量部12の容量値が変化し、DCO回路10の発振周波数が変化する。
【0055】
信号比較部34において比較信号と基準信号とのずれがなくなるようにDCO回路10の発振周波数を制御することにより、必要とする発振周波数の信号を安定して生成することができる。
【0056】
以下に、第1の実施形態に係る周波数シンセサイザの動作についてさらに詳細に説明する。説明を簡略化するため、以下においては、第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子の個数はそれぞれ7個とし、整数部上位ビット、整数部下位ビット及び分数部のビット数はそれぞれ3ビットであるとする。
【0057】
図2は、可変容量部12の回路構成を示している。第1の容量素子群14と第2の容量素子群15とが並列に接続されている。第1の容量素子群14は、それぞれが2個のバラクタから形成された7個の第1の可変容量素子14a〜14gが並列に接続されている。第2の容量素子群15は、それぞれが2個のバラクタから形成された7個の第2の可変容量素子15a〜15gが並列に接続されている。
【0058】
第1の容量素子群14の第1の可変容量素子14a〜14gは、それぞれ選択信号線OTW_C11〜OTW_C17により第1の容量素子選択回路21と接続されている。第2の容量素子群15の第2の可変容量素子15a〜15gは、それぞれ選択信号線OTW_C21〜OTW_C27により第2の容量素子選択回路22と接続されている。
【0059】
図3(a)及び(b)は、それぞれ第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子の容量値と選択信号線の電圧との関係を示している。第1の可変容量素子は、選択信号線に印加された電圧がVLの際には高容量状態となり容量値がCH1となり、選択信号線に印加された電圧がVHの際には低容量状態となり容量値はCL1となる。従って、選択信号線に印加する電圧をVLからVHに変化させた際の容量値の変化量はCH1−CL1=ΔC1となる。一方、第2の可変容量素子は、選択信号線に印加された電圧がVLの際には高容量状態となり容量値がCH2となり、選択信号線に印加された電圧がVHの際には低容量状態となり容量値はCL2となる。従って、選択信号線に印加する電圧をVLからVHに変化させた際の容量値の変化量はCH2−CL2=ΔC2となる。また、ΔC1はΔC2の8倍となるように設定されている。
【0060】
このような構成とすることにより可変容量部12の容量値は、ΔC2ずつ64ステップ変化させることができる。変化量がΔC2である第2の可変容量素子だけでΔC2ずつの64ステップの変化を実現しようとすると、第2の可変容量素子が63個必要となる。しかし、本実施形態のように、変化量がΔC2の第2の可変容量素子と変化量が8×ΔC2の第1の可変容量素子とを用いた場合には、7個の第2の可変容量素子と7個の第1の可変容量素子とにより実現することができる。
【0061】
具体的な第1の容量素子群14及び第2の容量素子群15の基板上におけるレイアウトパターンをそれぞれ図4及び図5に示す。図5(a)及び(b)に示すように、第2の容量素子群15は、互いにp型領域である素子分離領域61により分離された7個の第2の可変容量素子15a〜15gにより構成されている。各第2の可変容量素子は、ゲート領域Gと、ゲート領域Gの両側にそれぞれ形成されたn型のソースドレイン拡散領域SDと、ソースドレイン拡散層SDを囲むn型のバックゲート拡散領域BGとを有している。なお、図5において(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のVb−Vb線における断面構成を示している。
【0062】
一方、第1の容量素子群14は、図4(a)及び(b)に示すように、互いに素子分離領域により分離された7個の第1の可変容量素子14a〜14gにより形成されている。なお、図4において(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIVb−IVb線における断面構成を示している。各第1の可変容量素子は、8つのゲート領域Gと、各ゲート領域Gの両側にそれぞれ形成されたn型のソースドレイン拡散領域SDと、ソースドレイン領域SDを囲むn型のバックゲート拡散領域BGとを有している。各第1の可変容量素子は、第2の可変容量素子を8個並列に接続したものと等価であり、第1の可変容量素子の容量値は第2の可変容量素子の8倍となる。しかし、第1の可変容量素子の基板上における占有面積は、第2の可変容量素子の2倍〜4倍程度となる。
【0063】
従って、7個の第2の可変容量素子と7個の第1の可変容量素子の占有面積は、64個の第2の可変容量素子の占有面積の50%以下となる。また、引き出し用の配線の数を減らすことができるため、配線領域の面積も縮小することができる。さらに、面積を小さくすることにより、ソースドレイン領域の引き出し配線の寄生容量を低減することができる。ソースドレイン領域の引き出し配線の寄生容量が大きくなると、容量値の変化量がΔC2からずれるため、可変容量部12の容量変化の線形性を維持できなくなる。従って、本実施形態のように、第1の可変容量素子と第2の可変容量素子とを設け、ΔC1をΔC2の整数倍とすることにより、可変容量部12の占有面積が小さくなるだけでなく、可変容量部12の容量変化の線形性をより向上させることが可能となる。
【0064】
なお、図2における第1の可変容量素子14a〜14g及び第2の可変容量素子15a〜15gのそれぞれに含まれる左右の素子を、各々素子分離領域61の内側の領域に一体化して形成してもよい。この場合でも先に述べたような面積削減効果が得られる。
【0065】
図6はループゲイン調整部33が出力するデジタル制御データが第1の容量素子選択回路21及び第2の容量素子選択回路22により第1の容量素子群14及び第2の容量素子群15を選択するサーモメータコードに変換する変換方法を説明している。第1の可変容量素子が7個であり、整数部上位ビットが3ビット、第2の可変容量素子が7個であり、整数部下位ビットが3ビット、分数部が3ビットであるとして説明を行う。
【0066】
今、ループゲイン調整部33が出力するデジタル制御データがバイナリコードの101101000であるとすると、整数部上位ビットがバイナリコードの101、整数部下位ビットがバイナリコードの101、分数部がバイナリコードの000である。これは、十進数の45.0であり、第2の可変容量素子45個分を高容量状態としなければならないことを意味している。
【0067】
整数部上位ビットは、第1の容量素子選択回路21にそのまま入力されサーモメータコードに変換される。このため、第1の容量素子選択回路21はバイナリコードの101が入力され、サーモメータコードの0011111を出力する。これにより、選択信号線OTW_C11〜選択信号線OTW_C15がVHとなり、選択信号線OTW_C16及び選択信号線OTW_C17がVLとなる。従って、第1の可変容量素子14a〜14eが低容量状態となり、それぞれの容量値はCL1となる。また、第1の可変容量素子14f及び14gは高容量状態となり、それぞれの容量値はCH1となる。
【0068】
今、分数部のデータは0であるため、無視すると、整数部下位ビットのバイナリコード101が第2の容量素子選択回路22に入力され、サーモメータコードの0011111が出力される。これにより、選択信号線OTW_C21〜選択信号線OTW_C25がVHとなり、選択信号線OTW_C26及び選択信号線OTW_C27がVLとなる。従って、第2の可変容量素子15a〜15eが低容量状態となり、それぞれの容量値はCL2となる。また、第2の可変容量素子15f及び15gは高容量状態となり、それぞれの容量値はCH2となる。
【0069】
本実施形態においては、第1の可変容量素子の容量値の変化量ΔC1は第2の可変容量素子の容量値の変化量ΔC2の8倍である。従って、5個の第1の可変容量素子と5個の第2の可変容量素子とが高容量状態となることによる容量値の変化は、5×8+5=45個の第2の可変容量素子が高容量状態になる場合の容量値の変化と等しい。
【0070】
デジタル制御データが1大きくなり、バイナリコードが101110000となると、第1の容量素子選択回路21の出力は変化せず、第2の容量素子選択回路22が出力するサーモメータコードは0111111となる。これにより、5個の第1の可変容量素子と、6個の第2の可変容量素子が高容量状態となる。従って、可変容量部12の容量値はΔC2だけ変化する。また、デジタル制御データが8大きくなり、バイナリコードが100101000となると、第2の容量素子選択回路22の出力は変化せず、第1の容量素子選択回路21が出力するサーモメータコードは0001111となる。これにより、4個の第1の可変容量素子と、5個の第2の可変容量素子が高容量状態となる。従って、可変容量部12の容量値はΔC1=8×ΔC2だけ変化する。このように、可変容量部12の容量値は、ΔC2ずつ64ステップ変化させることができる。
【0071】
本実施形態の周波数シンセサイザでは、デジタル制御データに分数部を設けている。分数部のデータに基づいてΣΔ変調により第2の容量素子群15を制御するすれば、各ステップをさらに分割し、解像度を高めることが可能である。例えば、デジタル制御データのバイナリコードが101101101である場合には、分数部は十進数の0.625であり、第2の可変容量素子が5.625個選択されればよい。分数部のデータは、ΣΔ変調部37においてノイズシェイピングされた後、加算器39により整数部下位ビットのデータに加算される。これにより、第2の容量素子選択回路22には、平均値が5.625となるように例えば十進数の5、4、6、7、4、7、7、5、・・・に対応する一群のバイナリコードが、時分割されて入力される。このため、第2の容量素子選択回路22は、入力されたデータに従い、サーモメータコードの0011111、0001111、0111111、1111111、0001111、1111111、1111111、0011111、・・・を生成する。これにより、平均して5.625個の第2の可変容量素子が選択され、高容量状態となる。この場合、第2の容量素子群15は、クロックにより離散的に変化するデータにより制御される。
【0072】
本実施形態においては、ΣΔ変調した後の分数部のデータを、整数部下位ビットのデータと加算している。しかし、図7に示すように、第3の容量素子群16及び第3の容量素子選択回路23を設け、分数部のデータにより選択するようにしてもよい。第3の容量素子群16は、第5の容量状態(低容量状態)と第5の容量状態よりも容量値が高い第6の容量状態(高容量状態)との間で容量値が変化する第3の可変容量素子により構成すればよい。なお、第3の可変容量素子の容量変化量と第2の可変容量素子の容量変化量は同一とすればよい。第3の容量素子群16を形成することにより可変容量部12の占有面積は増加する。しかし、整数部下位ビットと分数部とを分離することにより、ΣΔ変調部を高速動作させる部分が第3の容量素子群16に限定され回路設計が容易となる。
【0073】
また、DCO回路10の発振周波数を大きく変化させる必要がある場合には、図8に示すように可変容量部12に粗調整用容量素子群17を設ければよい。さらに、図9に示すように粗調整用容量素子群17とチャネル調整用容量素子群18とを設けてもよい。
【0074】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図10は第2の実施形態に係る周波数シンセサイザの回路構成を示している。図10において図9と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
【0075】
可変容量部12の容量値は直線的に変化することが望ましい。このため、例えばOTW_C21〜OTW_C27までの選択信号線の電圧を順にVLからVHとすると、第2の容量素子群15の容量値は正確にΔC2ずつ変化することが望ましい。しかし、第2の可変容量素子のばらつきを完全になくすことは不可能である。従って、例えば、図2の回路において、第2の可変容量素子15aを選択した場合と、第2の可変容量素子15bを選択した場合とでは、容量値の変化にずれが生じる。
【0076】
本実施形態の発振周波数制御部20は、図10に示すように第1の容量素子選択回路及び第2の容量素子選択回路が単なるエンコーダではなく、切換クロック部41により駆動される第1の容量素子選択切換回路24及び第2の容量素子選択切換回路25となっている。
【0077】
第1の容量素子選択切換回路24及び第2の容量素子選択切換回路25は、切換クロック部41から供給される切換クロックに同期して、異なる選択制御線を選択するようにコード変換を行うダイナミックエレメントマッチングを行う。
【0078】
例えば、第1の容量素子選択切換回路24にバイナリコードの011が入力されると、制御線OTW_C11〜OTW_C17のうちのいずれか3本の電圧をVHにする複数のコードを時分割して出力する。つまり、切換クロックに基づいて異なる組み合わせの第1の可変容量素子が選択されて高容量状態となる。これにより、個々の第1の可変容量素子のばらつきは平均化される。
【0079】
また、第2の容量素子選択切換回路25も同様に時分割してコードを出力するため、第2の可変容量素子のばらつきも平均化される。これにより、可変容量部12の容量値の変化の直線性が向上する。
【0080】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図11は第3の実施形態に係る周波数シンセサイザの回路構成を示している。図11において図10と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
【0081】
図11に示すように本実施形態の発振周波数制御部20は、デジタル制御データの整数部上位ビットのデータから減算を行う減算回路43と、整数部下位ビットのデータに加算を行う加算回路44と、減算回路43及び加算回路44を制御する演算回路制御部45とを有している。
【0082】
可変容量部12の容量値の変化の直線性を確保するためには、第1の可変容量素子の容量値の変化量ΔC1は、第2の可変容量素子の容量値の変化量ΔC2の正確に8倍である必要がある。しかし、第2の実施形態において述べた個々の可変容量素子のばらつきとは別に、容量素子群の間でレイアウトの違いによる微小変動が発生しΔC1が正確にΔC2の8倍にならないおそれがある。
【0083】
例えば、ΔC2が規定値よりも5%大きくなった場合を考える。この場合に第2の可変容量素子の容量値の変化量の規定値をaとすると、ΔC2は1.05aとなりΔC1は8aとなる。今、デジタル制御データが000111000から001000000に変化する場合の容量値の変化量は、8a−7×1.05a=0.65aとなり、可変容量部12の容量値の変化の直線性が低下してしまう。
【0084】
本実施形態の周波数シンセサイザは、15個の第2の可変容量素子により第2の容量素子群15を形成している。また、演算回路制御部45は、デジタル制御データの整数部上位ビットのデータがバイナリデータの001よりも大きい場合には、減算回路43及び加算回路44をオン状態とする。これにより整数部上位ビットのデータから1が減算され、整数部下位ビットのデータはバイナリデータの1000が加算される。従って、デジタル制御データがバイナリコードの001101000の場合には、整数部上位ビットのバイナリコードは000、整数部下位ビットのバイナリコードは1101となる。
【0085】
これにより、第1の容量素子選択切換回路24が出力するサーモメータコードは0000000となり、第2の容量素子選択切換回路25が出力するサーモメータコードは001111111111111となる。
【0086】
このような構成とすることにより、ΔC1がΔC2の正確に8倍でない場合であっても、可変容量部12の容量値の変化が直線性を示す範囲を広く確保することができる。
【0087】
図11の回路は、可変容量部12が優れた直線性を示す範囲を広げることができるが、第1の可変容量素子が高容量状態に切り替わる場合において、直線性が低下してしまう。第1の可変容量素子が高容量状態に切り替わる場合においても、直線性が低下することを防ぐために、図12に示す周波数シンセサイザは、演算回路制御部45をデジタル制御データの整数部下位ビットのデータに基づいて制御している。これにより、減算回路43及び加算回路44のオン状態とオフ状態とを時分割により切り換えている。
【0088】
減算回路43及び加算回路44がオフ状態の時間をToff、オン状態の時間をTon、整数部下位ビットのデータの値をkとすると、Toff:Ton=k:m−kとすればよい。ただし、mはΔC1の規定値とΔC2の規定値との比であり、本実施形態においては8である。
【0089】
このようにすることにより、例えば、デジタル制御データのバイナリコードが001000000から001001000に変化した場合の可変容量部12の容量値の変化は、k=1であるから、((8a×1+1.05a×1)×1+(1.05a×9)×7)/8−1.05a×8=1aとなり、変化量は完全に規定値aとなる。
【0090】
このように、デジタル制御データのバイナリコードが001000000以上の場合には、1ステップごとに可変容量部12の容量値が変化する量を規定値aとすることができる。従って、可変容量部12の容量変化の直線性を大きく改善することができる。
【0091】
このように、減算回路43及び加算回路44のオフ状態とオン状態とを時分割で切り換えることにより、第1の可変容量素子の容量値の変化量ΔC1が第2の可変容量素子の容量値の変化量ΔC2の8倍でない場合にも、可変容量部12の容量値の変化は良好な直線性を示す。このため、第1の可変容量素子と第2の可変容量素子及び第3の可変容量素子とを異なるデバイスにより構成することが可能となる。
【0092】
例えば、第2の可変容量素子及び第3の可変容量素子にはバラクタ素子等の容量密度が低い可変容量素子を用い、第1の可変容量素子に配線容量等の容量密度が高い可変容量素子を用いることができる。大きな容量変化が必要な第1の可変容量素子を容量密度が高い可変容量素子とすることにより、可変容量部12の占有面積を小さくすることができる。
【0093】
(第3の実施形態の第1変形例)
以下に、本発明の第3の実施形態の第1変形例について図面を参照して説明する。図13は本変形例に係る周波数シンセサイザの回路構成を示している。図13において図12と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
【0094】
図13に示すように本変形例の周波数シンセサイザは、ΣΔ変調された後の分数部のデータに対して加算を行っている。この場合には、第3の容量素子群16に含まれる第3の可変容量素子の数を15個とする。
【0095】
第2の容量素子群15ではなく、第3の容量素子群16に対して加算を行うことにより、高速動作する部分を減らすことができるので、消費電流の減少を図ることができる。また演算回路制御部45の制御クロックをΣΔ変調部37のクロックと同期することも可能である。
【0096】
また、分数部のデータに対して加算を行う場合にも、図14に示すように演算回路制御部45をデジタル制御データの整数部下位ビットのデータに基づいて制御することが可能である。これにより、減算回路43及び加算回路44のオン状態とオフ状態とを時分割により切り換えることができ、可変容量部12の容量変化の直線性をさらに向上させることができる。
【0097】
(第3の実施形態の第2変形例)
以下に、本発明の第3の実施形態の第2変形例について説明する。DCO回路10の発振周波数fは1/(2π√(LC)となる。Lはインダクタ11のインダクタンス、Cは可変容量部12の容量値である。従って、可変容量部12の容量値を直線的に変化させても、DCO回路10の発振周波数fを完全に直線的に変化させることができない。
【0098】
しかし、図12に示す周波数シンセサイザにおいて、Ton:Toffの割合をステップごとに変更することにより、ステップごとに可変容量部12の容量値の変化を微調整することが可能となる。これにより、DCO回路10の発振周波数fを直線的に変化させることができる。
【0099】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図15は第4の実施形態に係る周波数シンセサイザの回路構成を示している。図15において図7と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
【0100】
図15に示すように本実施形態の発振周波数制御部20は、DCO回路10の発振周波数fが直線的に変化するようにデジタル制御データを補正する制御データ補正回路51を有している。
【0101】
DCO回路10のデジタル制御データの単位変化量あたりの発振周波数の変化量である制御感度Kdcoは、デジタル制御データがWo1の場合の発振周波数をf1、デジタル制御データがΔWo大きいWo1’の場合の発振周波数をf1’とすると、Kdco=(f1’−f1)/ΔWoとなる。従って、デジタル制御データがWo2の場合の発振周波数f2は、Kdoc×Wo2+f0(但し、f0はWo=0の場合の発振周波数)となる。
【0102】
しかし、DCO回路10の発振周波数fは、インダクタ11のインダクタンスをL、可変容量部12の容量値をCとすると、1/(2π√(LC)となる。従って、f2とf1との差が大きくなると、発振周波数にずれが生じてしまう。
【0103】
このため、本実施形態の発振周波数制御部20は、制御データ補正回路51により補正を行い、補正後のデジタル制御データを用いてDCO回路10を制御している。この場合の補正は以下のようにすればよい。
【0104】
DLC回路の周波数fは、式(1)により表される。
【0105】
【数1】

【0106】
式(1)から式(2)が導かれる。
【0107】
【数2】

【0108】
ここで、ディジタル制御データの変化ΔWに対する周波数の変化Δfは、式(3)により表される。
【0109】
【数3】

【0110】
従って、f=f1である場合に容量値がΔC変化した場合の周波数の変化を示す制御感度Kdco1は、式(4)により表される。
【0111】
【数4】

【0112】
また、f=f2の場合における制御感度Kdco2は、式(5)により表される。
【0113】
【数5】

【0114】
改めて任意の周波数fにおける十分小さいデータの変化dxに対する周波数の変化を考えると、式(6)にように表すことができる。
【0115】
【数6】

【0116】
さらに、式(6)から式(7)が導かれる。
【0117】
【数7】

【0118】
式(7)を変形すると式(8)が得られる。任意の周波数fに対してディジタル制御データの変化量ΔWは、式(8)を満たすようにすればよい。
【0119】
【数8】

【0120】
式(8)をさらに近似し簡略化すると式(9)のように表すことができる。
【0121】
【数9】

【0122】
一方、補正をしない場合には任意の周波数fとするディジタル制御データの変化量ΔWは、式(10)から
【0123】
【数10】

【0124】
式(11)のように導かれる。
【0125】
【数11】

【0126】
つまり、基準となる周波数f1において制御感度Kdco1を測定した場合、正確に目標とする周波数fにするためのデジタル制御データの変化量ΔWcを求めるための補正係数αaは、式(12)を満たすようにすればよい。
【0127】
【数12】

【0128】
従って、式(13)に示すように、補正係数αaは、基準となる周波数f1と目標とする周波数fとの比率に応じた係数となる。
【0129】
【数13】

【0130】
また、式(9)に示したような、近似の補正を行う場合の補正係数αbは、式(14)を満たすようにすればよく、式(15)のように導かれる。
【0131】
【数14】

【0132】
【数15】

【0133】
この場合には、基準となる周波数f1と目的とする周波数fとの単純な比により補正でき、容易に線形性を改善できる。
【0134】
第4の実施形態において、第1の実施形態の周波数シンセサイザに制御データ補正回路51を設ける例を示したが、他の実施形態の周波数シンセサイザに制御データ補正回路51を設けてもよい。
【0135】
第1、第2及び第4の実施形態において、第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子をそれぞれ7個設け、ΔC1をΔC2の8倍とする例を示した。第1の可変容量素子の個数をi個(iは1以上の整数)、第2の可変容量素子の個数をj個(jは1以上の整数)とした場合には、第1の可変容量素子の容量値の変化量ΔC1を、第2の可変容量素子の容量値の変化量ΔC2の(j+1)倍とすればよい。この場合には、可変容量部12の容量値をi個の第1の可変容量素子とj個の第2の可変容量素子とにより、(i+1)×(j+1)ステップ変化させることができる。この場合においても、各ステップにおける容量値の変化量はそれぞれΔC2となり、可変容量部12の容量値を直線的に変化させることが可能となる。
【0136】
また、第3の実施形態及びその変形例においては、第1の可変容量素子の個数をi個、第2の可変容量素子の個数を少なくとも2j+1個とし、第1の可変容量素子の容量値の変化量ΔC1を、第2の可変容量素子の容量値の変化量ΔC2の(j+1)倍とすればよい。
【0137】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。図16は第5の実施形態に係る通信機器の回路構成を示している。
【0138】
図16に示すように、本実施形態の通信機器はアンテナ71で受信した信号を、受信回路70の増幅回路72において増幅した後、周波数変換回路73において、周波数シンセサイザ74において生成した局部発振信号を用いて受信ベースバンド信号へと変換する。
【0139】
周波数シンセサイザ74に、第1の実施形態に係る周波数シンセサイザを用いることにより、DCO回路の可変容量部における差分容量値の線形性を上位ビットと下位ビットとの間でも維持することができる。また、省面積で寄生容量を減らすことにより広範囲な周波数可変に適した通信機器を構成することができる。
【0140】
なお、第1の実施形態に係る周波数シンセサイザに代えて他の実施形態及び変形例に係る周波数シンセサイザを用いてもよい。
【0141】
(第6の実施形態)
以下に、本発明の第6の実施形態について図面を参照して説明する。図17は第6の実施形態に係る通信機器の回路構成を示している。
【0142】
図17に示すように、本実施形態の通信機器は周波数変換回路83において送信ベースバンド信号を、送信回路80の周波数シンセサイザ84において発生した局部発振信号を用いて送信信号へと変換し、増幅回路82において増幅した後、アンテナ81から送信する。
【0143】
周波数シンセサイザ84に、第1の実施形態の周波数シンセサイザを用いることにより、DCO回路の可変容量部における差分容量値の線形性を上位ビットと下位ビットとの間でも維持することができる。また、省面積で寄生容量を減らすことにより広範囲な周波数可変に適した通信機器を構成することができる。
【0144】
また、図18に示すように、周波数シンセサイザ84を変調回路として用いてもよい。この場合にはDCO回路の線形性を向上することができるため、精度の高い変調を可能とする送信器を実現できる。
【0145】
なお、第1の実施形態に係る周波数シンセサイザに代えて他の実施形態及び変形例に係る周波数シンセサイザを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明に係るデジタル制御発振回路及びその制御方法は、周波数が直線的に変化する範囲が広く且つ占有面積が小さいデジタル発振回路及びその制御方法を実現でき、半導体集積回路に用いるデジタル制御発振回路、周波数シンセサイザ、それを用いた無線通信機器及びその制御方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数シンセサイザを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデジタル制御発振回路に用いる可変容量部の回路構成を示す回路図である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るデジタル制御発振器に用いる第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子の容量値と選択信号線の電圧との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図4】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るデジタル制御発振回路に用いる第1の可変容量素子を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIVb−IVb線における断面図である。
【図5】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るデジタル制御発振回路に用いる第2の可変容量素子を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVb−Vb線における断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る周波数シンセサイザにおける発振周波数制御部の一部を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る周波数シンセサイザの変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る周波数シンセサイザの変形例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る周波数シンセサイザの変形例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る周波数シンセサイザを示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る周波数シンセサイザを示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る周波数シンセサイザの変形例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の第1変形例に係る周波数シンセサイザを示すブロック図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の第1変形例に係る周波数シンセサイザの変形例を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る周波数シンセサイザを示すブロック図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る無線通信器を示すブロック図である。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る無線通信器を示すブロック図である。
【図18】本発明の第6の実施形態に係る無線通信器の変形例を示すブロック図である。
【図19】従来例に係るデジタル制御発振器を示すブロック図である。
【図20】従来例に係るデジタル制御発振器における各容量素子群と制御周波数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0148】
10 デジタル制御発振回路
11 インダクタ
12 可変容量部
13 負性抵抗生成部
14 第1の容量素子群
14a 第1の可変容量素子
14b 第1の可変容量素子
14c 第1の可変容量素子
14d 第1の可変容量素子
14e 第1の可変容量素子
14f 第1の可変容量素子
14g 第1の可変容量素子
15 第2の容量素子群
15a 第2の可変容量素子
15b 第2の可変容量素子
15c 第2の可変容量素子
15d 第2の可変容量素子
15e 第2の可変容量素子
15f 第2の可変容量素子
15g 第2の可変容量素子
16 第3の容量素子群
17 粗調整用容量素子群
18 チャネル調整用容量素子群
19 出力アンプ
20 発振周波数制御部
21 第1の容量素子選択回路
22 第2の容量素子選択回路
23 第3の容量素子選択回路
24 第1の容量素子選択切換回路
25 第2の容量素子選択切換回路
33 ループゲイン調整部
34 信号比較部
35 基準信号作成部
36 比較信号生成部
37 ΣΔ変調部
38 ディザリングクロック発生部
39 加算器
41 切換クロック部
43 減算回路
44 加算回路
45 演算回路制御部
51 制御データ補正回路
61 素子分離領域
70 受信回路
71 アンテナ
72 増幅回路
73 周波数変換回路
74 周波数シンセサイザ
80 送信回路
81 アンテナ
82 増幅回路
83 周波数変換回路
84 周波数シンセサイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容量状態と該第1の容量状態よりも容量値が大きい第2の容量状態とを切り換え可能な複数の第1の可変容量素子からなる第1の容量素子群及び第3の容量状態と該第3の容量状態よりも容量値が大きい第4の容量状態とを切り換え可能な複数の第2の可変容量素子からなる第2の容量素子群を含む可変容量部を有し、前記可変容量部の容量値に対応した発振周波数の信号を生成する発振部を備え、
前記第2の容量状態と前記第1の容量状態との容量値の差である第1の容量変化量は、前記第4の容量状態と前記第3の容量状態との容量値の差である第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であり、
前記第2の可変容量素子の個数は、前記2以上の整数値から1を減じた値以上であることを特徴とするデジタル制御発振回路。
【請求項2】
前記可変容量部は、第5の容量状態と該第5の容量状態よりも容量値が大きい第6の容量状態とを切り換え可能な複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、
前記第6の容量状態と前記第5の容量状態との容量値の差である第3の容量変化量は、前記第2の容量変化量と等しく、
前記第3の容量素子群は、ΣΔ変調により制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタル制御発振回路。
【請求項3】
前記可変容量部は、前記発振周波数を粗調整するための、粗調整用容量素子群を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル制御発振回路。
【請求項4】
それぞれが第1の容量状態と該第1の容量状態よりも容量値が大きい第2の容量状態とを有する複数の第1の可変容量素子からなる第1の容量素子群及びそれぞれが第3の容量状態と該第3の容量状態よりも容量値が大きい第4の容量状態とを有する複数の第2の可変容量素子からなる第2の容量素子群を含む可変容量部を有し、前記可変容量部の容量値に対応した発振周波数の信号を生成するデジタル制御発振部と、
前記各第1の可変容量素子に対して前記第1の容量状態と前記第2の容量状態とを切り換え、前記各第2の可変容量素子に対して前記第3の容量状態と前記第4の容量状態とを切り換えることにより前記可変容量部の容量値を制御して、前記発振周波数を制御する発振周波数制御部とを備え、
前記第2の容量状態と前記第1の容量状態との容量値の差である第1の容量変化量は、前記第4の容量状態と前記第3の容量状態との容量値の差である第2の容量変化量に2以上の整数値を乗じた値であり、
前記第2の可変容量素子の個数は、前記2以上の整数値から1を減じた値以上であることを特徴とする周波数シンセサイザ。
【請求項5】
前記発振周波数制御部は、
前記第2の容量状態とする前記第1の可変容量素子を選択する第1の容量素子選択回路と、
前記第4の状態とする前記第2の可変容量素子を選択する第2の容量素子選択回路と、
基準周波数信号を発生する基準周波数信号生成部と、
前記デジタル制御発振部の出力に基づいて比較信号を生成する比較信号生成部と、
前記基準周波数信号と前記比較信号との位相及び周波数の少なくとも一方を比較して差分信号を出力する信号比較部と、
前記差分信号に基づいて前記第1の容量素子選択回路及び第2の容量素子選択回路を制御する多ビットのデジタル制御信号を生成するループゲイン調整部とを有し、
前記デジタル制御信号は、前記第2の容量素子群の容量値を制御する下位ビット信号と、前記第1の容量素子群の容量値を制御する上位ビット信号とを含み、
前記第1の容量素子選択回路は、前記上位ビット信号に対応する前記第1の可変容量素子を前記第2の容量状態とし、
前記第2の容量素子選択回路は、前記下位ビット信号に対応する前記第2の可変容量素子を前記第4の容量状態とすることを特徴とする請求項4に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項6】
前記第1の容量素子選択回路は、前記上位ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第1のエンコーダであり、
前記第2の容量素子選択回路は、前記下位ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第2のエンコーダであることを特徴とする請求項5に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項7】
前記発振周波数制御部は、切換クロックを生成する切換クロック部を有し、
前記第1の容量素子選択回路は、前記第2の容量状態とする前記第1の可変容量素子の組み合わせを前記切換クロックに基づいて切り換え、
前記第2の容量素子選択回路は、前記第4の容量状態とする前記第2の可変容量素子の組み合わせを前記切換クロックに基づいて切り換えることを特徴とする請求項5に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項8】
前記デジタル制御信号は、前記可変容量部の容量値を前記第2の容量変化量よりも細かく変化させるための分数部ビット信号を含み、
前記発振周波数制御部は、前記分数部ビット信号をΣΔ変調するΣΔ変調部と、前記ΣΔ変調された前記分数部ビット信号と前記下位ビット信号とを加算する加算器と有していることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項9】
前記可変容量部は、複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、
前記デジタル制御信号は、前記第3の容量素子群を制御する分数部ビット信号を含み、
前記発振周波数制御部は、前記分数部ビット信号をΣΔ変調するΣΔ変調部と、前記ΣΔ変調された前記分数部ビット信号を対応するサーモメータコードに変換する第3の容量素子選択回路とを有していることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項10】
前記第2の可変容量素子の個数は、前記2以上の整数値の2倍から1を減じた値以上であり、
前記発振周波数制御部は、
前記上位ビット信号から1を減算する減算回路と、
前記下位ビット信号に前記2以上の整数値を加算する加算回路と、
前記減算回路及び前記加算回路の駆動状態を切り換える演算回路制御部とを有し、
前記演算回路制御部は、少なくとも前記上位ビット信号が1より大きい場合に、前記減算回路及び加算回路を動作状態とすることを特徴とする請求項8又は9に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項11】
前記第3の可変容量素子の個数は、前記2以上の整数値の2倍から1を減じた値以上であり、
前記発振周波数制御部は、
前記上位ビット信号から1を減算する減算回路と、
ΣΔ変調された前記分数部ビット信号に前記2以上の整数値を加算する加算回路と、
前記減算回路及び前記加算回路の駆動状態を切り換える演算回路制御部とを有し、
前記演算回路制御部は、前記デジタル制御データに基づいて、前記減算回路及び加算回路を動作状態とすることを特徴とする請求項9に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項12】
前記演算回路制御部は、前記下位ビット信号に基づいて、前記減算回路及び加算回路を動作状態とする期間を制御することを特徴とする請求項10又は11に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項13】
前記演算回路制御部は、前記ΣΔ変調部と同期して前記減算回路及び加算回路を動作状態とする期間を制御することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項14】
前記2以上の整数値をm、前記下位ビット信号の値をk、前記減算回路及び加算回路を動作状態とする期間をTon、前記減算回路及び加算回路を停止状態とする期間をToffとすると、
off:Ton=k:m−k
であることを特徴とする請求項13に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項15】
前記各第1の可変容量素子と、前記第2の可変容量素子とは互いに物理的構造が異なることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項16】
前記各第1の可変容量素子は、配線間容量素子とスイッチとを含み、
前記各第2の可変容量素子は、MOSバラクタ素子であることを特徴とする請求項15に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項17】
前記発振周波数制御部は、前記デジタル制御データの値を前記可変容量部の容量値に基づいて補正する制御データ補正回路を有していることを特徴とする請求項5から16のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項18】
前記制御データ補正回路は、前記デジタル制御データの単位変化量あたりの前記発振周波数の変化量が一定となるように前記デジタル制御データを補正することを特徴とする請求項17に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項19】
前記デジタル制御データは、基準となる周波数における前記デジタル制御データの単位変化量あたりの前記発振周波数の変化量である制御感度に基づいて生成され、
前記制御データ補正回路は、前記デジタル制御データに前記発振周波数と前記基準となる周波数との比率に応じた係数を乗算して、前記デジタル制御データを補正することを特徴とする請求項17に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項20】
前記第2の可変容量素子の個数は、前記2以上の整数値から1を減じた数であることを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項21】
前記可変容量部は、前記周波数を粗調整する粗調整用容量素子群を有していることを特徴とする請求項4から20のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項22】
前記可変容量部は、前記周波数のチャネルを調整するチャネル調整用容量素子群を有していることを特徴とする請求項21に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項23】
請求項4から22のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザを有する受信回路及び請求項4から20のいずれか1項に記載の周波数シンセサイザを有する送信回路の少なくとも一方を備えた無線通信機器。
【請求項24】
第1の容量変化量を有する複数の第1の可変容量素子を含む第1の容量素子群と、前記第1の容量変化量を2以上の整数値で除した第2の容量変化量を有する複数の第2の可変容量素子を含む第2の容量素子群とを有する可変容量部を備えたデジタル制御発振回路の発振周波数の制御方法であって、
前記第1の容量素子群を制御する上位ビットのデータと、前記第2の容量素子群を制御する下位ビットのデータとを含む多ビットのデジタル制御データを生成するステップ(a)と、
前記デジタル制御データに基づいて前記第1の可変容量素子及び第2の可変容量素子を選択することにより、前記発振周波数を前記デジタル制御データに対応した周波数とするステップ(b)とを備え、
前記ステップ(b)は、
前記上位ビットのデータに対応した前記第1の可変容量素子の容量値を第1の容量状態から前記第1の容量変化量分変化した第2の容量状態にするステップ(b1)と、
前記下位ビットのデータに対応した前記第2の可変容量素子の容量値を第3の容量状態から前記第2の容量変化量分変化した第4の容量状態にするステップ(b2)とを含むことを特徴とするデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項25】
前記デジタル制御データは、分数部ビットのデータを含み、
前記ステップ(b)は、
前記分数部ビットのデータをΣΔ変調するステップ(b3)と、
ステップ(b2)よりも前に、ΣΔ変調した前記分数部ビットのデータを、前記下位ビットのデータに加算するステップ(b4)とを含むことを特徴とする請求項24に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項26】
前記可変容量部は、前記第2の容量変化量を有する複数の第3の可変容量素子を含む第3の容量素子群を有し、
前記デジタル制御データは、分数部ビットのデータを含み、
前記ステップ(b)は、
前記分数部ビットのデータをΣΔ変調するステップ(b5)と、
ΣΔ変調した前記分数部ビットのデータに対応した前記第3の可変容量素子を第5の容量状態から前記第2の容量変化量分変化した第6の容量状態にするステップ(b6)とを含むことを特徴とする請求項24に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項27】
前記上位ビットのデータから1を減算し且つ前記下位ビットのデータに前記2以上の整数値を加算するステップ(c)をさらに備え、
前記ステップ(c)は前記ステップ(b)よりも前に選択的に実行されることを特徴とする請求項24から26のいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項28】
前記上位ビットのデータから1を減算し且つ前記分数部ビットのデータに前記2以上の整数値を加算するステップ(d)をさらに備え、
前記ステップ(d)は前記ステップ(b)よりも前に選択的に実行されることを特徴とする請求項24から26のいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項29】
前記デジタル制御データに基づいて前記ステップ(d)の実行を選択するステップ(e)をさらに備えていることを特徴とする請求項28に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項30】
前記ステップ(e)は、前記下位ビットのデータの値に基づいて前記ステップ(d)の実行を選択することを特徴とする請求項29に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項31】
前記ステップ(e)は、前記ステップ(d)が前記ΣΔ変調と同期して行われるように前記ステップ(d)の実行を選択することを特徴とする請求項29又は30に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項32】
前記ステップ(e)は、
前記2以上の整数値をm、前記下位ビット信号の値をk、前記ステップ(d)の実行を選択する期間をTon、前記ステップ(d)を実行しない期間をToffとすると、
off:Ton=k:m−k
となるように前記ステップ(d)の実行を選択することを特徴とする請求項29から31のいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項33】
前記ステップ(a)は、
基準となる基準信号を生成するステップ(a1)と、
前記デジタル制御発振回路の出力信号に基づいて比較信号を生成するステップ(a2)と、
前記基準信号と比較信号とを比較してずれを検出するステップ(a3)と、
検出した前記ずれに基づいて前記デジタル制御データを生成するステップ(a4)とを含むことを特徴とする請求項24から32のいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。
【請求項34】
前記ステップ(a)は、
前記発振周波数を第1の周波数とする場合の前記デジタル制御データと、前記発振周波数を第2の周波数とする場合の前記デジタル制御データの変化量に基づいて、前記第1の周波数の近傍における前記デジタル制御データの単位変化量あたりの前記発振周波数の変化量である制御感度を算出するステップ(a5)と、
前記発振周波数を第3の周波数とする前記デジタル制御データを、前記制御感度及び前記第1の周波数と第3の周波数との比率に応じた係数を用いて算出するステップ(a6)とを含むことを特徴とする請求項24から33のいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−10599(P2009−10599A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169135(P2007−169135)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】