説明

ドアロック制御システム、ドアロック制御方法及びプログラム

【課題】ドアの開放時の安全性を高くすることができるようにする。
【解決手段】車両のドアをロック及びアンロックするためのドアロック装置44と、自車位置を検出する現在地検出部と、地図データ及び地図データに対応付けられた治安情報が記録されたデータ記録部と、前記現在地検出部によって検出された自車位置を読み込み、自車位置における治安状態を判定する治安状態判定処理手段と、前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態を設定する機能設定処理手段とを有する。治安状態に応じてアンロックを規制する機能規制状態が設定されるので、ドアの開放時の安全性を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアロック制御システム、ドアロック制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、乗車したり降車したりするために複数のドアが開閉自在に配設される。そして、運転者がドアの鍵穴にキーを挿入して回動させることによって、ドアロック装置を作動させ、各ドアをロック及びアンロック(解除)することができるようになっている。
【0003】
また、遠隔操作でドアロック装置を作動させることを可能にしたキーレスエントリーシステムにおいては、遠隔操作用のキー、すなわち、遠隔操作キーに、ロックボタン及びアンロックボタンが備えられ、遠隔操作キーを操作してロックボタンを押下すると各ドアがロックされ、アンロックボタンを押下すると各ドアがアンロックされるようになっている。さらに、前記キーレスエントリーシステムにおいては、ロックボタン及びアンロックボタンを押下することなく、ドアロック装置を作動させることを可能にしたものが提供されている。この種のキーレスエントリーシステムにおいては、遠隔操作キーを保持して車両に近づき、ドアのレバー等にタッチするだけで各ドアがロック及びアンロックされる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−54487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のドアロック装置においては、すべてのドアがロック及びアンロックされるので、例えば、治安の悪い地域でドアをアンロックして乗車しようとする場合、運転席側のドアを開き、乗車しようとしている間に、他のドアが開かれ、車内に置いてあった物が奪われたり、運転者に危害が加えられたりすることがある。したがって、ドアの開放時の安全性が低くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のドアロック装置の問題点を解決して、ドアの開放時の安全性を高くすることができるドアロック制御システム、ドアロック制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のドアロック制御システムにおいては、車両のドアをロック及びアンロックするためのドアロック装置と、自車位置を検出する現在地検出部と、地図データ及び地図データに対応付けられた治安情報が記録されたデータ記録部と、前記現在地検出部によって検出された自車位置を読み込み、前記データ記録部に記録された治安情報に基づいて、自車位置における治安状態を判定する治安状態判定処理手段と、前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態を設定する機能設定処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、データ記録部に記録された治安情報に基づいて自車位置における治安状態が判定され、前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態が設定されるので、ドアの開放時の安全性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、ドアロック制御システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【0010】
図において、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、43はドア開閉システム、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記ナビゲーション装置14、ドア開閉システム43、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0011】
前記ナビゲーション装置14は、自車位置及び自車方位を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に対して通知を行うための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に対して通知を行うための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には、車速を検出する車速検出部としての車速センサ41が接続される。なお、本実施の形態においては、GPSセンサ15によって自車方位を検出するようになっているが、方位検出部としての図示されない方位センサを独立させて配設し、該方位センサによって自車方位を検出することもできる。また、前記GPSセンサ15は、併せて時刻を検出する。
【0012】
前記データ記録部16には、例えば、地図データ、統計データ、走行履歴データ、運転者が登録した地点を表す登録地点データ、所定の情報を音声出力部37によって出力するための音声データ、治安情報等の各種のデータが記録され、該地図データには、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、交差点に関する交差点データ、施設に関する施設データ等が含まれる。各データは、データ記録部16に配設されたデータベースに記録される。また、前記治安情報は地図データと対応付けて記録される。
【0013】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。
【0014】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索経路の案内、すなわち、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。
【0015】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、ナビゲーション装置14において各種の機能を実現させるためのものであり、ナビゲーション装置14とは独立させて配設されたリモコン、キーボード、マウス等のほかに、ナビゲーション装置14の筐(きょう)体等に部品による操作要素としてのスイッチ、ボタン、キー、ダイヤル等が形成される。また、前記表示部35としてはディスプレイが使用される。本実施の形態においては、操作部34及び表示部35として、操作部の機能を併せて有するタッチパネルを使用することができ、該タッチパネルにおいては、画面に画像による操作要素としてのキー、スイッチ、ボタン等が表示され、キー、スイッチ、ボタン等をタッチすることによって、所定の入力操作を行うことができる。
【0016】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から各種の情報が音声で出力される。
【0017】
前記通信部38は、情報提供者としてのVICS(登録商標)センタ等の図示されない道路交通情報センタから送られた交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、ラジオ局を介してラジオ放送、例えば、FM多重放送を受信するためのラジオ受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。なお、前記通信部38は、前記情報センタ51から交通情報、一般情報等の各種の情報を受信することもできる。そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。さらに、情報センタ51は、複数の車両(自車又は他車)から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【0018】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによって、コンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて各種の処理を行う。また、データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0019】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0020】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない初期化処理手段は、初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0021】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。
【0022】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0023】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地及び探索データに基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。この場合、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0024】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。この場合、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0025】
また、前記表示処理手段は、通信部38を介して交通情報を受信すると、交通情報を交通状況指標としての渋滞帯に変換し、該渋滞帯を前記地図画面上の道路に沿って表示する。この場合、前記渋滞帯は、渋滞の始点から終点まで延在させて表示され、かつ、渋滞の度合いに応じて渋滞帯の色が、赤、橙(だいだい)、緑等に変更される。このようにして、運転者は、車両を走行させる予定の経路、探索経路等における道路の渋滞状況を知ることができる。
【0026】
ところで、車両においては、乗車したり降車したりするために複数のドアが開閉自在に配設される。本実施の形態においては、フロント右ドア71、フロント左ドア72、リヤ右ドア73、リヤ左ドア74及びバックドア75の5個のドアが配設される。なお、右ハンドル車においては、フロント右ドア71側に運転席が、左ハンドル車においては、フロント左ドア72側に運転席に配設されるが、本実施の形態においては、フロント右ドア71側に運転席が配設されることとする。また、前記フロント右ドア71の外側、及び必要に応じてフロント左ドア72の外側のレバーの近傍に、図示されない鍵穴が形成される。
【0027】
そして、各ドアをロック及びアンロックすることができるように、前記ドア開閉システム43が配設される。該ドア開閉システム43は、ドアロック装置44、並びにドアロック装置44を作動させるために配設された第1の操作部材としてのキー46及び第2の操作部材としての操作ボタン47を備える。
【0028】
前記キー46は、車外において手動操作によって操作することができるように、図示されない鍵部を備える。また、前記ドアロック装置44は、遠隔操作信号を受信するための受信部65、及び前記遠隔操作信号に基づいて作動させられ、各ドアをロック及びアンロックするためのドアロック作動部66を備える。したがって、運転者が、車外で前記鍵穴に鍵部を挿入し、キー46を回動させることによって、前記ドアロック作動部66を作動させることができる。そして、ドアロック作動部66が作動させられると、各ドアに配設されたドアロック用の駆動部としての図示されないドアロックモータが駆動され、図示されないロック機構が動作させられ、ドアがロック及びアンロックされる。
【0029】
また、前記キー46は、キーレスエントリーシステムにおいて、遠隔操作キーとして使用し、車外で遠隔操作によって操作することもできる。そのために、前記キー46は、第1の操作要素としてのロックボタンb1、第2の操作要素としてのアンロックボタンb2、及び各ドアをロック及びアンロックするための遠隔操作信号を発生させ、ドアロック装置44に送信するための発信部48を備える。
【0030】
したがって、運転者が、車外でロックボタンb1を押下すると、発信部48は遠隔操作信号を発生させ、ドアロック装置44に送信し、ドアロック装置44において、受信部65は遠隔操作信号を受信し、ドアロック作動部66は遠隔操作信号に従って各ドアをロックする。また、運転者が、車外でアンロックボタンb2を押下すると、発信部48は遠隔操作信号を発生させ、ドアロック装置44に送信し、ドアロック装置44において、受信部65は遠隔操作信号を受信し、ドアロック作動部66は遠隔操作信号に従って各ドアをアンロックする。この場合、ドア開閉システム43によってキーレスエントリーシステムが構成される。
【0031】
さらに、該キーレスエントリーシステムにおいて、ロックボタンb1及びアンロックボタンb2を押下することなく、ドアロック作動部66を作動させることもできる。その場合、キー46において、発信部48は常時遠隔操作信号を発生させ、ドアロック装置44において、受信部65が、車両の近傍から遠隔操作信号を受信し、ドアロック作動部66に送ると、該ドアロック作動部66はドアをロック及びアンロックするための作動待機状態に置かれる。そして、例えば、運転者が、キー46を保持し、車外における車両の近傍で、ドアの第3の操作部材としてのレバー等にタッチすると、作動待機状態が解除され、ドアロック作動部66が作動させられ、各ドアをロック及びアンロックする。
【0032】
また、前記操作ボタン47は、車内において操作することができるようになっていて、そのために、車内の所定の箇所、本実施の形態においては、前記フロント右ドア71の内側に配設され、運転者が押下することによって、ドアロック作動部66を作動させ、各ドアをロック及びアンロックすることができる。
【0033】
ところで、運転者が車外で前記鍵穴に鍵部を挿入し、キー46を回動させることによって、前記ドアロック作動部66を作動させたり、キーレスエントリーシステムにおいて、キー46のアンロックボタンb2を押下してドアロック作動部66を作動させたり、車外の車両の近傍でドアのレバー等にタッチしてドアロック作動部66を作動させたりして、運転者がドアのアンロック操作をしたときに、すべてのドアがアンロックされるようになっていると、治安の悪い地域でドアをアンロックした後、運転席側のフロント右ドア71を開き、乗車しようとしている間に、他のフロント左ドア72、リヤ右ドア73、リヤ左ドア74又はバックドア75ドアが開かれ、車内に置いてあった物が奪われたり、運転者に危害が加えられたりすることがある。
【0034】
そこで、本実施の形態においては、治安の悪い地域でドアのアンロックの機能が規制されるようになっている。そのために、CPU31の図示されない機能規制処理手段は、機能規制処理を行う。
【0035】
図2は本発明の実施の形態における機能規制処理手段の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、機能規制処理手段の自車位置取得条件判定処理手段は、自車位置取得条件判定処理を行い、所定の自車位置取得条件が成立したかどうかを、イグニッションスイッチがオフにされたかどうかによって判断する。イグニッションスイッチがオフにされ、自車位置情報取得条件が成立すると、前記機能規制処理手段の自車位置取得処理手段は、自車位置取得処理を行い、GPSセンサ15(図1)から自車位置を読み込むことによって取得する。
【0037】
本実施の形態においては、自車位置取得条件は、イグニッションスイッチがオフにされた場合に成立するように設定されているが、パーキングレンジが選択された場合、各ドアがロックされた場合等に成立するように設定することができる。
【0038】
次に、自車位置取得条件が成立すると、前記機能規制処理手段の治安情報取得処理手段は、治安情報取得処理を行い、データ記録部16から治安情報を参照することによって取得し、前記機能規制処理手段の治安状態判定処理手段は、治安状態判定処理を行い、取得された治安情報に基づいて、自車位置における治安状態を、自車位置が含まれる地域の治安が悪いかどうかで判定する。
【0039】
前記データ記録部16において、治安状態は地図データと対応させて、各地域ごと、例えば、行政区画ごとに治安が良いか悪いかが設定され、記録される。なお、行政区画は、例えば、日本の場合、都、道、府、県、市、区、町、村、郡等から成り、アメリカ合衆国の場合、州、郡、市、町、村等から成る。本実施の形態において、治安情報は、行政区画ごとに記録されるようになっているが、国ごとに記録したり、国土地理院で規定しているメッシュのような地図データ上の区画領域ごとに記録したり、地図データ上の道路ごとに記録したりすることができる。また、治安情報を、必要に応じて変更したり、地点を登録する際に、地点と対応させて治安情報を記録したりすることができる。本実施の形態において、前記治安情報取得処理手段は、データ記録部16から治安情報を参照することによって取得するようにしているが、情報センタ51から治安情報を参照することによって取得することもできる。
【0040】
続いて、前記機能規制処理手段の機能設定処理手段は、機能設定処理を行い、自車位置における治安が悪い場合、ドアロック装置44に、フロント右ドア71以外のドアのアンロックを規制するための機能規制信号を送り、自車位置における治安が悪くない場合、ドアロック装置44に、すべてのドアのアンロックを許容するための機能許容信号を送る。なお、前記機能規制信号及び機能許容信号は、それぞれ別の信号として発生させたり、一つの信号をハイレベル又はローレベルにすることによって発生させたりすることができる。また、自宅においては、治安が悪い地域であってもすべてのドアのアンロックを許容することができる。
【0041】
そして、前記ドアロック装置44において前記機能規制信号を受信すると、機能設定処理手段は、ドアロック装置44に機能規制状態を設定する。該機能規制状態が設定されると、運転者がドアのアンロック操作をした場合、ドアロック作動部66はフロント右ドア71だけをアンロックし、フロント右ドア71以外の各ドアをロックされた状態に維持する。また、前記ドアロック装置44において機能許容信号を受信すると、機能設定処理手段は、ドアロック装置44に機能許容状態を設定する。該機能許容状態が設定されると、運転者がドアのアンロック操作をした場合、ドアロック作動部66はすべてのドアをアンロックする。
【0042】
このように、本実施の形態においては、例えば、自車位置における治安が悪い地域でドアをアンロックして乗車しようとする場合、フロント右ドア71以外の各ドアはロックされた状態に維持されるので、運転者がフロント右ドア71を開き、乗車しようとしている間に、他の各ドアが開かれることがなくなる。したがって、ドアの開放時の安全性を高くすることができる。
【0043】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 イグニッションスイッチがオフにされるのを待機する。イグニッションスイッチがオフにされた場合はステップS2に進む。
ステップS2 自車位置を読み込む。
ステップS3 治安情報取得処理を行う。
ステップS4 治安状態判定処理を行う。
ステップS5 機能設定処理を行い、処理を終了する。
【0044】
本実施の形態においては、機能規制状態が設定され、運転者がドアのアンロック操作をした場合、ドアロック作動部66はフロント右ドア71だけをアンロックし、フロント右ドア71以外の各ドアをロックされた状態に維持するようになっているが、機能規制状態が設定された場合に、遠隔操作による各ドアのアンロックを規制し、手動操作による各ドアのアンロックを許容することができる。
【0045】
なお、遠隔操作による各ドアのアンロックを規制するだけでなく、手動操作によるフロント右ドア71以外の各ドアのアンロックを規制することができる。
【0046】
また、本実施の形態において、治安状態判定処理手段は、自車位置における治安状態を、治安が悪いかどうかで判定するようになっているが、治安状態を複数のレベルで判定することができる。その場合、機能設定処理手段は、治安状態のレベルに応じて、機能規制状態の設定を異ならせることができる。例えば、治安状態が極めて悪く、レベルが最も低い場合に、遠隔操作による各ドアのアンロックを規制し、かつ、手動操作によるフロント右ドア71以外の各ドアのアンロックを規制し、レベルが次に低い場合に、遠隔操作及び手動操作によるフロント右ドア71以外の各ドアのアンロックを規制し、レベルが次に低い場合に、遠隔操作によるフロント右ドア71以外の各ドアのアンロックを規制し、かつ、手動操作による各ドアのアンロックを許容することができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における機能規制処理手段の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
17 ナビゲーション処理部
31、54 CPU
43 ドア開閉システム
44 ドアロック装置
46 キー
47 操作ボタン
51 情報センタ
53 サーバ
63 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをロック及びアンロックするためのドアロック装置と、自車位置を検出する現在地検出部と、地図データ及び地図データに対応付けられた治安情報が記録されたデータ記録部と、前記現在地検出部によって検出された自車位置を読み込み、前記データ記録部に記録された治安情報に基づいて、自車位置における治安状態を判定する治安状態判定処理手段と、前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態を設定する機能設定処理手段とを有することを特徴とするドアロック制御システム。
【請求項2】
前記自車位置を取得するための自車位置取得条件が成立したかどうかを判断する自車位置取得条件判断処理手段を有するとともに、前記治安状態判定処理手段は、前記自車位置取得条件が成立したときの自車位置を読み込み、該自車位置における治安状態を判定する請求項1に記載のドアロック制御システム。
【請求項3】
前記自車位置取得条件判定処理手段は、車両のイグニッションスイッチがオフにされた場合に自車位置取得条件が成立したと判断する請求項1又は2に記載のドアロック制御システム。
【請求項4】
前記機能設定処理手段は、運転席のドア以外のドアのアンロックを規制する機能規制状態を設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載のドアロック制御システム。
【請求項5】
前記機能設定処理手段は、遠隔操作によるドアのアンロックを規制する機能規制状態を設定する請求項1に記載のドアロック制御システム。
【請求項6】
車両のドアをロック及びアンロックするためのドアロック装置、自車位置を検出する現在地検出部、並びに地図データ及び地図データに対応付けられた治安情報が記録されたデータ記録部を備えたドアロック制御システムのドアロック制御方法において、前記現在地検出部によって検出された自車位置を読み込み、前記データ記録部に記録された治安情報に基づいて、自車位置における治安状態を判定し、前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態を設定することを特徴とするドアロック制御方法。
【請求項7】
車両のドアをロック及びアンロックするためのドアロック装置、自車位置を検出する現在地検出部、並びに地図データ及び地図データに対応付けられた治安情報が記録されたデータ記録部を備えたドアロック制御システムにおいて、コンピュータを、前記現在地検出部によって検出された自車位置を読み込み、前記データ記録部に記録された治安情報に基づいて、自車位置における治安状態を判定する治安状態判定処理手段、及び前記自車位置における治安状態に応じて、操作部材によってドアのアンロック操作を行ったときのアンロックを規制する機能規制状態を設定する機能設定処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−235873(P2009−235873A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86486(P2008−86486)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】