説明

ドライブ記録装置およびドライブ記録方法

【課題】事故発生時のドライブ情報とそれ以外のドライブ情報とを容易に識別することができるドライブ記録装置及びドライブ記録方法を提供する。
【解決手段】車両に搭載されている加速度センサから加速度を取得する加速度取得手段と、前記車両の周辺状況を含むドライブ情報を取得するドライブ情報取得手段と、閾値以上の加速度が取得されると、前記ドライブ情報及び前記車両の走行履歴の少なくともいずれか一方に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定する判定手段と、事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報を記録媒体に記録する記録手段と、を備えるドライブ記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブ記録装置およびドライブ記録方法に関し、特にドライブ情報の分別に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、衝突事故が発生したときに衝突前後の車両の挙動やドライバの操作等の情報を記録するドライブレコーダが知られている(例えば特許文献1)。一般的にドライブレコーダでは、加速度センサが用いられ、車両に加わった衝撃の大きさが検知される。加速度が予め決められた閾値以上であると、事故が発生したとして前述のようなドライブ情報がメモリに記録される。ドライブ情報は所定件数分メモリに記録できるようになっているものが多い。メモリに記録されたこれらのドライブ情報は、運転履歴や事故原因の解析等に用いられる。
しかしながら従来のように、単に予め決められた閾値以上の加速度が検知されたときドライブ情報が記録される方式であると、例えば車両が道路上の段差を通過しただけでも衝撃が検知されてドライブ情報が記録されることがあった。そのため、運転履歴を解析する際に、このような事故ではない場面でのドライブ情報と、本当に事故が発生した場面でのドライブ情報とを分別する作業に手間がかかるという問題があった。事故ではない場面でドライブ情報が記録されることを防ぐために、事故による衝撃であると判定するための加速度の閾値を上げることも考えられるが、そうすると今度は、軽微な接触事故が発生した場面でドライブ情報が記録されないという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−291673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、事故発生時のドライブ情報とそれ以外のドライブ情報とを容易に識別することができるドライブ記録装置及びドライブ記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのドライブ記録装置は、車両に搭載されている加速度センサから加速度を取得する加速度取得手段と、前記車両の周辺状況を含むドライブ情報を取得するドライブ情報取得手段と、閾値以上の加速度が取得されると、前記ドライブ情報及び前記車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定する判定手段と、事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報を記録媒体に記録する記録手段と、を備える。
このドライブ記録装置によると、ドライブ情報及び車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるか否かが判定され、事故発生に起因すると判定された加速度に対応するドライブ情報が、記録媒体に記録される。そのため、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定され、対応するドライブ情報が記録媒体に記録される場合と比較して、このドライブ記録装置は、事故発生に起因する加速度を精度良く判別し、対応するドライブ情報を記録媒体に記録することができる。
【0006】
(2)上記目的を達成するためのドライブ記録装置において、前記ドライブ情報は、前記車両の走行速度を含んでもよい。前記判定手段は、前記加速度と前記走行速度との関係に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定してもよい。
このドライブ記録装置によると、加速度と走行速度との関係に基づいて、閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるか否かが判定される。例えば、路面上の同一の凹凸を時速100kmで通過する場合と時速20kmで通過する場合とでは、検出される加速度は前者の方が後者より大きい。一方、例えば時速20kmで走行中に、時速100kmで凹凸を通過したときのような大きな加速度が検出された場合は、車両は凹凸を通過したのではなく、衝突事故に巻き込まれた可能性が高いことが考えられる。このように加速度と走行速度との関係に基づいて判定されることにより、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定される場合と比較して、このドライブ記録装置は、事故発生に起因する加速度を精度良く判別することができる。
【0007】
(3)上記目的を達成するためのドライブ記録装置において、前記ドライブ情報は、前記車両の進行方向の路面の画像を含んでもよい。前記判定手段は、前記画像の解析によって前記路面に凹凸が検出されると、前記画像に基づいて前記凹凸を通過する際に前記車両に加わる予測加速度を導出し、前記加速度が前記予測加速度とほぼ等しい場合、前記加速度は事故発生に起因しないと判定してもよい。
例えば車両前方の路面に凹凸があり、その凹凸に車両が接近している状況で、閾値以上の加速度が取得されると、それは事故発生に起因するものではない可能性がある。このドライブ記録装置によると、車両の進行方向の路面の画像が解析され、路面に凹凸が検出されると、凹凸を通過する際に車両に加わる予測加速度が導出される。そして、閾値以上の加速度が予測加速度とほぼ等しい場合、閾値以上の加速度であっても事故発生に起因しないと判定される。そのため、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定される場合と比較して、このドライブ記録装置は、事故発生に起因する加速度を精度良く判別することができる。
【0008】
(4)上記目的を達成するためのドライブ記録装置は、前記車両の走行位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備えてもよい。前記走行履歴情報は、前記加速度に対応する前記位置情報を含んでもよい。前記記録手段は、前記加速度に対応する前記位置情報を記録してもよい。前記判定手段は、今回、閾値以上の加速度が取得された走行位置と同一の位置で既にN回以上、閾値以上の加速度が取得されている場合、今回取得された前記加速度は事故発生に起因しないと判定してもよい。
同一地点で既に複数回、閾値以上の加速度が検出されている場合、その地点で複数回事故が発生している可能性よりも、その地点の路面に定常的に存在しているスピードバンプ等の段差を車両が通過している可能性の方が高いことが考えられる。このドライブ記録装置によると、車両の走行位置を示す位置情報と、走行履歴情報とに基づいて、事故発生に起因するものであるか否かが判定される。そのため、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定される場合と比較して、このドライブ記録装置は、事故発生に起因する加速度を精度よく判別することができる。
【0009】
(5)上記目的を達成するためのドライブ記録装置において、前記記録手段は、事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報と、事故発生に起因しないと判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報と、を区別して前記記録媒体に記録してもよい。
このドライブ記録装置によると、事故発生に起因すると判定された加速度に対応するドライブ情報と、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報とが、区別され記録媒体に記録される。そのため、記録媒体に記録されたこれら複数のドライブ情報を基に運転履歴や事故原因の解析を行う際、事故発生時のドライブ情報と事故発生時ではないドライブ情報とを、ユーザは容易に識別することができる。また、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報も破棄されずに記録媒体に記録されるので、事故発生に起因しないと誤判定されたことによって、対応するドライブ情報を解析できなくなる事態を防ぐことができる。
【0010】
(6)上記目的を達成するためのドライブ記録方法は、車両に搭載されている加速度センサから加速度を取得し、前記車両の周辺状況を含むドライブ情報を取得し、閾値以上の加速度が取得されると、前記ドライブ情報及び前記車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定し、事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報を記録媒体に記録する、ことを含む。
このドライブ記録方法によると、ドライブ情報及び車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるか否かが判定され、事故発生に起因すると判定された加速度に対応するドライブ情報が、記録媒体に記録される。そのため、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定され、対応するドライブ情報が記録媒体に記録される場合と比較して、このドライブ記録装置は、事故発生に起因する加速度を精度良く判別し、対応するドライブ情報を記録媒体に記録することができる。
【0011】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。また、本発明は装置の発明として特定できるだけでなく、プログラムの発明としても、そのプログラムを記録した記録媒体の発明としても、方法の発明としても特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の複数の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係るドライブ記録装置1の構成を示すブロック図である。ドライブ記録装置1は、自動車、オートバイ等の車両に搭載され、事故発生時などに車両の周辺映像や車両の挙動、ドライバの操作内容などの情報(以下、ドライブ情報という)を記録する装置である。ドライブ記録装置1によって記録されたそれらのドライブ情報は、運転履歴や事故原因の解析などに用いられる。本実施形態のドライブ記録装置1は、目的地までの推奨経路や自車の走行地点を案内するナビゲーション装置2と殆どのハードウェアを共有している。ドライブ記録装置1は、ナビゲーション装置2と独立したハードウェアで構成されてもよい。
【0013】
加速度取得手段としての加速度センサ10は、車両に加わる加速度を検出する。車両の進行方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサ、車両の幅方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサ、車両の回転方向に加わる加速度を検出するヨーレートセンサ等で構成される。
ドライブ情報取得手段としてのカメラユニット38は、ルームミラー裏等に取り付けられ、車両前方の信号、標識、路面などの画像を録画する。カメラユニット38は、広角レンズを用いると、車両の周辺状況をより広範囲に録画することができる。車両後方を写すカメラをさらに備えて、車両周辺の画像を死角なく撮影できる構成であってもよい。
【0014】
位置情報取得手段としてのHDD(Hard Disk Device)56には、地図データやドライブ記録装置1及びナビゲーション装置2を制御するための各種のプログラムやデータが格納されている。地図データは、グラフ形式で地図をディジタル表現した情報で構成され、自車位置の検出、推奨経路の探索及び表示に用いられる。地図データでは、交差点、曲がり点、行き止まり点などはノードであり、道路はノードとノードを結ぶリンクとして定義されている。また各リンクには距離、制限速度、レーン数、幅員、コーナーの半径等が属性情報として定義されている。
【0015】
位置情報取得手段としての方位センサ32は、推測航法に用いる地磁気センサ、左右車輪速度差センサ、振動ジャイロセンサ、ガスレートジャイロセンサ、光ファイバジャイロセンサ等で構成されている。
【0016】
位置情報取得手段としてのGPSユニット34は、衛星航法に用いる3個又は4個の衛星から送られてくる軌道データを受信するアンテナ、自車の現在位置の緯度経度データや現在時刻を出力するためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成される。
【0017】
位置情報取得手段としての車速センサ36は、自律航法に用いられ、スピードメータに使用される車速センサである。車速を時間で積分することにより、走行距離が求まる。車速センサ36は、車輪回転速度を用いた車速センサの他、電波や超音波を用いたドップラ対地車速センサ、光と空間フィルタを用いた対地車速センサ等で構成されてもよい。
【0018】
CPU50は、各種の制御プログラムを実行することにより、ドライブ記録装置1及びナビゲーション装置2の各部を制御する。また、CPU50は、後述するドライブ記録処理を含む各種の制御プログラムを実行することにより、請求項に記載の加速度取得手段、ドライブ情報取得手段、判定手段、記録手段及び位置情報取得手段として機能する。
【0019】
RAM52は、CPU50で処理されるデータやプログラムを一時的に格納する揮発性記憶媒体である。
フラッシュメモリ54は、CPU50で実行されるプログラムを格納している不揮発性記憶媒体である。CPU50で実行されるプログラムはHDD56に格納されていてもよい。各種のプログラムや地図データなどは所定のサーバからのネットワークを介したダウンロード、図示しないリムーバブルメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からの読み出し等によってもHDD56またはフラッシュメモリ54に格納することができる。
【0020】
リムーバブルメモリ40は、請求項に記載の記録媒体に相当し、ドライブ情報が記録される。衝撃を受けても破損しにくいことを考慮してメモリカードが用いられるが、ドライブ情報はHDD56に記録されてもよい。
【0021】
操作ユニット58は、各種の指示や情報をユーザが入力するための、タッチスイッチ、リモートコントローラ等で構成される。音声入力を可能にするための音声認識装置や、ICカードや磁気カードに記録されたデータを読み取るための読取装置を備えてもよい。
ディスプレイ60は、地図や各種の情報を表示するために用いるLCD(Liquid Crystal Display)、HUD(Head Up Display)等で構成される。
スピーカ62は、車両の走行経路、走行状態を案内する音声出力、及び各種警告を報知する音声出力に用いられる。スピーカ62はオーディオスピーカと共用してもよいし、ナビゲーション専用のものを設けてもよい。
以上、ナビゲーション装置2の構成を説明した。
【0022】
図1は、ドライブ記録処理の流れを示すフローチャートである。このドライブ記録処理は、例えばドライバによって操作ユニット58を介して記録開始指示が入力されると起動される。
【0023】
ステップS100では、閾値以上の加速度が検出されたか判定される。具体的には例えば、図3に示すように、加速度センサ10から順次加速度が取得され、取得された加速度が閾値以上であるか判定される。閾値以上の加速度が取得されるとステップS102の処理に進行する。
【0024】
ステップS102では、ステップS100で閾値以上であると判定された加速度は、車速に対して突出して大きいか判定される。具体的には、車速センサ36から車速が取得され、加速度がその車速に対して突出して大きい場合は、事故である可能性が高いとして、ステップS110の処理に移行し、加速度が車速に対して突出して大きくはない場合は、ステップS104の処理に移行する。
【0025】
例えば、路面上の同一の凹凸を時速100kmで通過する場合と時速20kmで通過する場合とでは、検出される加速度は前者の方が後者より大きい。一方、例えば時速20kmで走行中に、時速100kmで凹凸を通過したときのような大きな加速度が検出された場合は、車両は凹凸を通過したのではなく、衝突事故に巻き込まれた可能性が高いことが考えられる。このように加速度と走行速度との関係に基づいて判定されることにより、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因するものであると判定される場合と比較して、事故発生に起因する加速度を精度良く判別することができる。
【0026】
ステップS104では、進行方向の路面に凹凸が検出されているか判定される。後述する車両周辺画像処理において凹凸が検出されている場合、ステップS105の処理に移行する。凹凸が検出されていない場合は、ステップS106の処理に移行する。
【0027】
図4は、車両周辺画像処理の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、ドライブ記録処理と並行して実行されている。本実施形態では、カメラユニット38によって、例えば1秒当たり30フレーム分の画像が撮影され、現在から遡って直前30秒間分のフレーム画像が常にRAM52に保持される。
ステップS200では、カメラユニット38からRAM52にフレーム画像が取得される。
【0028】
ステップS202では、各フレーム画像から進行方向路面の凹凸の有無、凹凸の大きさ、凹凸への接近速度等が解析され、凹凸通過時の予測加速度が求められる。具体的には例えば、解析された凹凸の大きさや、凹凸への接近速度等に基づいて、凹凸を通過する際に車両に加わる予測加速度が導出される。凹凸への接近速度は車速センサ36から取得されてもよい。凹凸が検出されると、例えば車両がその凹凸を通過するまでの間、ドライブ記録処理から参照可能なようにその凹凸に関するこれらの情報がRAM52に保持される。
ステップS204では、所定時間以前のフレーム画像が破棄される。具体的には、現在から遡って30秒以上過去の画像がRAM52から破棄される。
以上、車両周辺画像処理について説明した。
【0029】
ドライブ記録処理の説明に戻る。
ステップS105では、凹凸通過時の予測加速度と、実際に検出された加速度とがほぼ等しいか判定される。導出された予測加速度と実際に今回検出された閾値以上の加速度とがほぼ等しい場合は、ステップS112の処理に移行する。予測加速度と実際に検出された加速度とが大きく異なる場合、例えば実際に検出された加速度が予測加速度より大きい場合は、ステップS110の処理に移行する。
【0030】
このように、例えば車両前方の路面に凹凸があり、その凹凸に車両が接近している状況で、閾値以上の加速度が取得されると、それは事故発生に起因するものではない可能性がある。本実施形態では、車両の進行方向の路面の画像が解析され、路面に凹凸が検出された場合は、凹凸通過時の予測加速度と実際に検出された加速度とを比較して、今回実際に検出された閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるかが判定される。そのため、従来のように加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因すると判定される場合と比較して、事故発生に起因する加速度を精度良く判別することができる。
【0031】
ステップS106では、車両の位置情報が取得される。具体的には、GPSユニット34から取得された車両の現在位置を表す緯度経度データと、方位センサ32から入力される進行方位と、車速センサ36等から算出された走行距離とから自車位置が検出される。検出された自車位置と、地図データにおける自車位置とのずれをマッチングした結果から、地点情報や走行道路が導き出される。位置情報は、例えば図5に示すように、地点情報、走行道路のリンク番号、進行方向、走行レーンとして管理される。進行方向は例えば地点情報の変位によって求められ、走行レーンは例えばカメラユニット38からの画像を解析することによって求められる。位置情報は、地図データにおける道路データのデータ構造に応じて適宜設計が変更されてよい。
【0032】
ステップS108では、同一位置で既にN回以上、閾値以上の加速度が検出されているか判定される。具体的には例えば、本実施形態では、閾値以上の加速度が検出された位置の位置情報と検出回数とが図5に示すような管理テーブルによって管理され、この管理テーブルの同一位置情報の地点での閾値以上の加速度の検出回数が参照され、判定される。検出回数は、例えばステップS110又はS112の処理においてカウントアップされる。既にN回以上検出されていると判定されると、ステップS112の処理に移行する。N回未満しか検出されていないと判定されると、ステップS110の処理に移行する。
【0033】
同一地点で既に複数回、閾値以上の加速度が検出されている場合、その地点で複数回事故が発生している可能性よりも、その地点の路面に定常的に存在しているスピードバンプ等の段差を車両が通過している可能性の方が高いことが考えられる。本実施形態では、車両が閾値以上の加速度を検出した走行位置を示す位置情報を含む走行履歴情報に基づいて、閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるかが判定される。そのため、加速度が閾値以上であるという条件のみに基づいてその加速度が事故発生に起因するものであると判定される場合と比較して、事故発生に起因する加速度を精度よく判別することができる。
【0034】
ステップS110では、リムーバブルメモリ40の事故フォルダにドライブ情報が記録される。ドライブ情報は、例えば事故フォルダ内の、閾値以上の加速度の検出毎に作成されたサブフォルダ内に記録される。対応する位置情報及び検出回数もそのサブフォルダ内に記録されてもよい。また、ステップS110では、前述の管理テーブルが更新される。本実施形態では、事故フォルダ内に記録されるドライブ情報は、事故発生に起因すると判定された、閾値以上の加速度と、その加速度に対応する瞬間の前後15秒間の車両前方の画像である。
【0035】
ステップS112では、リムーバブルメモリ40の非事故フォルダにドライブ情報が記録される。ドライブ情報は、例えば事故フォルダ内の、閾値以上の加速度の検出毎に作成されたサブフォルダ内に記録される。対応する位置情報及び検出回数もそのサブフォルダ内に記録されてもよい。また、ステップS112では、前述の管理テーブルが更新される。本実施形態では、非事故フォルダに記録されるドライブ情報は、事故発生に起因しないと判定された、閾値以上の加速度と、その加速度に対応する瞬間の前後15秒間の車両前方の画像である。
【0036】
このように、本実施形態では、事故発生に起因すると判定された加速度に対応するドライブ情報と、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報とが、異なるフォルダに振り分けて記録されるので、ユーザはそれらを容易に識別することができる。また、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報も破棄されずにリムーバブルメモリ40に記録されるので、事故発生に起因しないと誤判定されたことによって、対応するドライブ情報を解析できなくなる事態を防ぐことができる。
【0037】
ドライブ情報として、上記の他にも、衝撃検出日時や、衝突前後数秒間分の加速度、車速、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作記録などが記録されてもよい。その場合、画像と同様に、RAM52に所定時間分の加速度、車速、アクセル、ブレーキ、アクセル操作記録などが逐次保持される。
尚、このドライブ記録処理が終了した後、再びステップS100の処理に戻ってドライブ記録処理を繰り返してもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、ドライブ情報及び車両の走行履歴情報に基づいて、閾値以上の加速度が事故発生に起因するものであるか否かが判定される。そして、事故発生に起因すると判定された加速度に対応するドライブ情報と事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報とが、区別されリムーバブルメモリ40に記録される。そのため、リムーバブルメモリ40に記録されたこれら複数のドライブ情報を基に運転履歴や事故原因の解析を行う際、事故発生時のドライブ情報と事故発生時ではないドライブ情報とを、ユーザは容易に識別することができる。
【0039】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば、車速と加速度との関係、及び進行方向の画像解析結果、及び走行履歴情報の少なくともいずれか一つに基づいて事故発生に起因するものか否かが判定されてもよい。その他のドライブ情報と走行履歴情報に基づいて判定されてもよい。また、上記の実施形態において、加速度の閾値は、車速によって可変に設定されてもよい。
【0040】
尚、事故フォルダと非事故フォルダの2つに振り分けて記録する以外にも、明らかに事故であるか明らかに事故でないか、のどちらともいえないグレーなドライブ情報をさらに別のフォルダに分けて記録するなどしてもよい。また、異なるフォルダに振り分けて記録する以外にも、ファイル名によって事故発生に起因するドライブ情報とそれ以外を識別できるようにしたり、ドライブ情報のインデックス表等を作成して識別可能なようにドライブ情報を管理するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、事故発生に起因する加速度に対応するドライブ情報と、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報と、を区別してリムーバブルメモリ40に両方とも記録する構成を説明したが、事故発生に起因しないと判定された加速度に対応するドライブ情報は、リムーバブルメモリ40に記録しない構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係るドライブ記録処理を示すフローチャート。
【図2】本発明の第1実施形態に係るドライブ記録装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る模式図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両周辺画像処理を示すフローチャート。
【図5】本発明の第1実施形態に係る模式図。
【符号の説明】
【0042】
1:ドライブ記録装置、2:ナビゲーション装置、10:加速度センサ(加速度取得手段)、32:方位センサ(位置情報取得手段)、34:GPSユニット(位置情報取得手段)、36:車速センサ(位置情報取得手段)、38:カメラユニット(ドライブ情報取得手段)、40:リムーバブルメモリ(記録媒体)、50:CPU(加速度取得手段、ドライブ情報取得手段、判定手段、記録手段及び位置情報取得手段)、52:RAM、54:フラッシュメモリ、56:HDD(位置情報取得手段)、58:操作ユニット、60:ディスプレイ、62:スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている加速度センサから加速度を取得する加速度取得手段と、
前記車両の周辺状況を含むドライブ情報を取得するドライブ情報取得手段と、
閾値以上の加速度が取得されると、前記ドライブ情報及び前記車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定する判定手段と、
事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報を記録媒体に記録する記録手段と、
を備えるドライブ記録装置。
【請求項2】
前記ドライブ情報は、前記車両の走行速度を含み、
前記判定手段は、前記加速度と前記走行速度との関係に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定する、
請求項1に記載のドライブ記録装置。
【請求項3】
前記ドライブ情報は、前記車両の進行方向の路面の画像を含み、
前記判定手段は、前記画像の解析によって前記路面に凹凸が検出されると、前記画像に基づいて前記凹凸を通過する際に前記車両に加わる予測加速度を導出し、前記加速度が前記予測加速度とほぼ等しい場合、前記加速度は事故発生に起因しないと判定する、
請求項1又は2に記載のドライブ記録装置。
【請求項4】
前記車両の走行位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記走行履歴情報は、前記加速度に対応する前記位置情報を含み、
前記記録手段は、前記加速度に対応する前記位置情報を記録し、
前記判定手段は、今回、閾値以上の加速度が取得された走行位置と同一の位置で既にN回以上、閾値以上の加速度が取得されている場合、今回取得された前記加速度は事故発生に起因しないと判定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のドライブ記録装置。
【請求項5】
前記記録手段は、事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報と、事故発生に起因しないと判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報と、を区別して前記記録媒体に記録する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のドライブ記録装置。
【請求項6】
車両に搭載されている加速度センサから加速度を取得し、
前記車両の周辺状況を含むドライブ情報を取得し、
閾値以上の加速度が取得されると、前記ドライブ情報及び前記車両の走行履歴情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記加速度が事故発生に起因するか否かを判定し、
事故発生に起因すると判定された前記加速度に対応する前記ドライブ情報を記録媒体に記録する、
ことを含むドライブ記録方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−2910(P2008−2910A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171828(P2006−171828)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】