説明

ナビゲーションシステム、音声データ配信方法、経路探索サーバおよび端末装置

【課題】 リルート処理が発生しても通信負荷を増大することなくまた、記憶容量の制約があっても効率的にリルート処理による経路案内、音声データを扱うことができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 ナビゲーションシステム10は、音声データを単位音声データに分割し、識別符号を対応付けて蓄積した音声データベース318を備え、端末装置20にデータを配信する際に音声データを付加する場合は、配信データに識別符号を付加する。更に、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段213と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段316と、差分検出手段224とを備え、差分検出手段224はリルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、その差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索し、地図、案内経路を表示手段に表示するするとともに、交差点などのガイダンスポイントにおいて音声出力によるガイダンスを行うナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置および音声ダウンロード方法に関するものである。
本発明は、特に、上記のようなナビゲーションシステムにおいて、ガイダンスのための音声データを単位音声データごとに識別符号を付して蓄積し、ガイダンスポイントを設定した案内経路データに識別符号を付してダウンロードし、リルート処理による案内経路データ再配信の際は、変化した案内経路に相当する差分のみをダウンロードするように構成したナビゲーションシステム、音声データ配信方法、経路探索サーバおよび端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、見知らぬ土地において目的地となる場所を訪れる場合、地図帳等を頼りに当該地図に描かれた交通機関、道路やランドマーク及び住所を確認しながら到達していた。また、カーナビゲーションシステム(以後単にカーナビと言う)を搭載した自動車においては、該カーナビを起動して目的地を入力することによりナビゲーションシステムからモニタ画面に表示される案内や音声出力される案内(ナビゲーション情報)を得ながら目的地に到達していた。
【0003】
上記カーナビは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用したものであり、地球上を周回している複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナで受信し、該GPS信号に含まれる衛星位置や時計情報等を解析して位置の特定化を行うものである。該複数のGPS衛星の個数は少なくとも4個以上必要である。GPSの単独測位精度は一般的に10m強であるが、DGPS(Differential GPS:ディファレンシャルGPS)を採用することにより5m以下に向上する。特に、現在は一部の携帯電話にしか搭載されていない測位ユニット、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して測位するGPS受信機などの搭載が、第三世代と称される携帯電話では全ての機種に搭載されるような趨勢にある。
【0004】
このような測位機能を有する端末装置の利用技術としては、種々の分野の技術が提案されており、例えば、自動車用のナビゲーション装置(カーナビ)を発展させ、携帯電話を端末として地図・経路情報を経路探索サーバ(サーバ)から配信する歩行者用の通信型ナビゲーションシステムが提案されている。
【0005】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、自動車の運転者のみならず携帯電話ユーザに対して現在位置から目的地までの経路案内を提供する通信ナビゲーションシステムが実用化されている。
【0006】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を経路探索サーバに送り、経路探索サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0007】
経路探索サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、経路探索サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0008】
上記のようなナビゲーションシステムにおいて、経路探索サーバが端末装置に配信する案内経路は利用者がたどるべきノード番号、リンク番号を順に並べたデータとなる。交差点のノードなど利用者が右左折すべき場所になった時に曲がるべき方向を案内するため、当該ノードにガイダンスポイントを設定し、そのガイダンスポイントで音声や表示により利用者に案内を出力するようにしたナビゲーションシステムも知られている。例えば、ガイダンスポイントの手前で「この先、200m〇〇丁目交差点です。交差点を左折して下さい」などのガイダンスデータをガイダンスポイントごとに案内経路とともに端末装置に配信する。端末装置では、案内経路を走行して行くとガイダンスポイントごとに前述のようなガイダンスが出力され利用者は経路進行の案内を受けることができる。
【0009】
このようなナビゲーションシステムは、下記の特許文献2(特開2003−177029号公報)に開示されている。特許文献2に開示されたナビゲーションシステムは、インターネット上に設けられた音声案内支援装置からユーザが希望する声質を有する音声データ群を一つ又は複数組通信部により受信し音声データ取得処理部により音声データ記憶部に追加するように構成されている。ユーザは、全メッセージに対して一括して又は各メッセージごとに、音声データ記憶部に記憶された異なる声質の音声データ群のうち所望する声質を指定することができ、指定された声質は、各メッセージに対応して音声データ記憶部に記憶される。音声案内部は、操作部に対する操作が音声案内を連動する操作であるとき、あるいは車載用ナビゲーション装置で実行されている特定の処理により音声案内が要求されたとき、案内対象のメッセージに対して事前に登録された声質で音声出力する。
【0010】
すなわち、特許文献2に開示されたナビゲーションシステムは、音声案内の音声データを単位音声データごとに、異なる話者が発生した音声データで蓄積しておき、利用者が好みの話者の音声を指定することにより、利用者ごとに好みの音声案内を提供するように構成したものである。
【0011】
GPS受信機を用いて測位した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理や地図上の最も近い道路上に補正するマップマッチング処理が行われる。また、案内経路データに交差点などのガイダンスポイントが設定され、そのガイダンスポイントにおけるガイダンスとして音声ガイド(例えば、「この先、200m交差点です。左折して下さい」などの音声メッセージ)のデータが付加されている場合は、スピーカを介して音声メッセージを再生出力してユーザをガイドする。
【0012】
ところで、車載用のナビゲーション装置においては、移動速度が早く、運転操作を伴っているため、案内経路を走行中に案内経路上のガイダンスポイントで正しくガイダンスどおりの行動をとれないことがある。例えば、右折のガイダンスが行われたノード(ガイダンスポイント)の手前のノードで右折をしてしまったり、ガイダンスポイントを見過ごして通過してしまうこともある。ガイダンスポイントを見過ごして通過してしまった場合には、運転者の心理としては案内された経路に戻ろうとする意識が働き、通過したガイダンスポイントの先にある交差点ノードでガイダンスに従って右折をして案内経路に戻る運転操作を行ったりする。
【0013】
このような状態になると車両が案内経路からはずれた(逸脱した)ことになり、目的地までの最適経路を新たに探索して案内する必要が生じる。このため一般的な車載用ナビゲーション装置においては、車両が案内経路から逸脱したことを検出すると、車両の現在位置(案内経路でない道路を走行している現在の車両位置)を出発点とし、当初の目的地までの最適経路を再探索する機能を有している。この再探索の処理をリルート処理と称している。歩行者用のナビゲーションにおいても歩行者が案内経路を間違えた場合には同様にリルート処理が必要になる。
【0014】
リルート処理を行うナビゲーション装置は、例えば、下記の特許文献3(特開平10−153446号公報)に開示されている。この特許文献3に開示されたナビゲーション装置は、誘導経路から逸脱した場合に未通過である誘導経路上に戻るように経路の再計算を行なうリルート探索機能を有するナビゲーション装置において、探索終了点として次の立ち寄り点もしくは目的地を設定する工程と、探索開始点から探索終了点までの探索を行なう工程と、探索計算中に未通過誘導経路を発見したら探索を終了させる工程と、探索計算中に未通過誘導経路を発見できず、探索終了点までの探索を行なったら探索作業を終了する工程とからなるものである。
【0015】
すなわち、このナビゲーション装置は、誘導経路から逸脱した地点から、目的地までのリルート処理を行う際に、リルートする経路に車両が未通過の誘導経路が発見されたらリルート探索を終了し、未通過の誘導経路を発見せずに目的地までの経路を探索したらリルート処理を終了することにより、未通過の誘導経路に戻ることなくリルート処理するようにしたものであり、案内経路から一定の距離だけ逸脱したらリルートを開始するようにしている。
【0016】
ところで、車両が案内経路からはずれる場合としては、前述のようにガイダンスポイントでガイダンスどおりの行動がとれずに案内経路から逸脱するケースだけでなく、運転者の意志により案内経路をはずれるケースもある。例えば、案内経路からはずれたレストランやショッピングセンターなどに立ち寄って食事をしたり買い物をしたりするケース、あるいは、高速道路を走行中にサービスエリアに立ち寄るケースなどである。一般的には高速道路のサービスエリア内の道路ネットワークは探索用の道路ネットワークデータには組み込まれておらず、サービスエリアに立ち寄ると案内経路からはずれたと判断される場合も生ずる。
【0017】
下記の特許文献4(特開平10−281796)には、サービスエリアへの立ち寄りの場合にリルート処理を禁止するように構成した経路探索装置が開示されている。この特許文献4に開示された経路探索装置は、情報記憶部に記録された道路データと、測定された自車両の現在位置とを比較するマッチング演算を行う。マッチング演算の結果、自車両が存在すると認識された道路と、過去に走行してきた道路(走行軌跡)とを比較する。一致すれば、カウント値を1カウントアップし、そうでなければ、カウント値をクリアする。このカウント値の大小によってリルート許可フラグをセットまたはクリアし、このリルート許可フラグの状態によりリルートを行うか否か決定するように構成したものである。
【0018】
リルート処理の結果、新たな案内経路が探索されると、案内経路にガイダンスポイントを設定し、そのガイダンスポイントで音声や表示により利用者に案内を出力するようにしたナビゲーションシステムにおいてはそれらの音声データやガイダンスのデータを再度端末装置に配信することになる。
【0019】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2003−177029号公報(図1、図13)
【特許文献3】特開平10−153446号公報(図1、図2、段落[0006]、[0012])
【特許文献4】特開平10−281796号公報(図1、図7、段落[0011]、[0087]〜[0088])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
一般に通信型のナビゲーションシステムにおいて、音声案内のガイダンスに必要となる音声データは端末装置側に蓄積しておく場合と、案内経路とともにその都度サーバから端末装置にダウンロードする構成がある。車載用のナビゲーション装置のように端末側に音声合成機能が付加されていたり、容量の大きなハードディスクなどの記憶装置を搭載している場合は音声データを端末装置に蓄積し、必要な音声データを再生するように構成することができる。
【0021】
このようなシステムにおいて携帯電話を端末装置として使用する場合、上記特許文献2のように音声案内支援装置からユーザが希望する声質を有する音声データ群を一つ又は複数組通信部により受信し音声データ取得処理部により音声データ記憶部に追加する構成をとると、ダウンロードした音声データを端末装置に蓄積しておくには記憶装置の容量が不足するという問題点が生じる。
【0022】
また、端末装置側である携帯電話においてはコスト面や装置の物理的大きさなどの制約から音声変換や音声合成装置などの機能を端末装置に搭載するには制約がある。このため、音声案内支援装置などのサーバが端末装置に提供する音声データはデジタル音声データでなくアナログ音声データになる。このため、案内経路とともにその都度サーバ側から必要な音声データをダウンロードする構成ではネットワークの通信負荷が大きくなるという問題点が生じる。
【0023】
特に、高速に移動する自動車や電車などに乗車して携帯電話を端末装置として使用する場合には、通信条件が悪いとデータの配信途中で通信が中断されることもあり、必要な配信データの受信に影響するという問題点もある。
【0024】
そして、リルート処理が発生した場合には、ガイダンスのための音声データを含め、再探索した新たな案内経路に関するデータを再度端末装置に配信(ダウンロード)する必要があり、ネットワークの通信負荷が更に増大するという問題点が生じる。
【0025】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を進めた結果、サーバ側にガイダンスのための音声データを単位音声データごとに識別符号を付して蓄積した音声データベースを備え、ガイダンスポイントを設定した案内経路データに識別符号を付して端末装置にダウンロード(配信)する。そして、端末装置が必要になる都度、識別符号によりサーバに該当する単位音声データの配信要求を行うようにし、リルート処理が発生した場合には、リルート処理による案内経路データ再配信の際に、変化した案内経路に相当する差分のみを置換して記憶するように構成すれば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0026】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、携帯電話などの端末装置を利用するナビゲーションシステムにおいて、リルート処理が発生しても通信負荷を増大することなくまた、記憶容量の制約があっても効率的にリルート処理による経路案内、音声データを扱うことができるナビゲーションシステム、音声データ配信方法、経路探索サーバおよび端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、端末装置から要求されたデータを配信する際に音声データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信し、出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路データを端末装置に配信する経路探索サーバを含むナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーションシステムは、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段は前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求するように構成したことを特徴とする。
【0029】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置から要求された配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする。
【0030】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、音声データ要求手段は音声出力が必要になると前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除することを特徴とする。
【0032】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求することを特徴とする。
【0033】
また、本願の請求項7にかかる発明は、
端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、端末装置から要求されたデータを配信する際に音声データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信し、出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路データを端末装置に配信する経路探索サーバを含むナビゲーションシステムにおける音声データ配信方法であって、
前記ナビゲーションシステムは、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段が前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出する第1のステップと、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換する第2のステップと、を有することを特徴とする。
【0034】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる音声データ配信方法において、
前記音声データ配信方法は、更に、
前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信する第3のステップと、
前記端末装置が配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求する第4のステップと、を有することを特徴とする。
【0035】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項8にかかる音声データ配信方法において、
前記第3のステップにおいて、前記端末装置から要求された配信データは、経路探索条件に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする。
【0036】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる音声データ配信方法において、
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、
前記第3のステップにおいて、経路探索サーバは前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0037】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項8にかかる音声データ配信方法において、
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、
前記第4のステップは、音声出力が必要になると音声データ要求手段が前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除する処理を含むことを特徴とする。
【0038】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかる音声データ配信方法において、
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、
前記第4のステップは、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求する処理を含むことを特徴とする。
【0039】
また、本願の請求項13にかかる発明は、
経路探索サーバから配信された単位音声データの識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求し、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段を備え、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を要求する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信することを特徴とする。
【0040】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる経路探索サーバにおいて、
前記端末装置から要求される配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする。
【0041】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項14にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0042】
また、本願の請求項16にかかる発明は、
出発地と目的地を含む経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路を端末装置に配信する経路探索サーバであって、端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段は前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換することを特徴とする。
【0043】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項16にかかる端末装置において、
前記端末装置は配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求するように構成したことを特徴とする。
【0044】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項17にかかる端末装置において、
前記端末装置が要求する配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする。
【0045】
本願の請求項19にかかる発明は、請求項17にかかる端末装置において、
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、音声データ要求手段は音声出力が必要になると前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除することを特徴とする。
【0046】
本願の請求項20にかかる発明は、請求項19にかかる端末装置において、
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求することを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーションシステムは、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段は前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換する。
従って、リルート処理により得た新たな案内経路データの全てを記憶することなく、差分のみ置換して記憶するので容量の小さな記憶装置であっても容易に案内経路データを記憶することができるようになる。
【0048】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、端末装置は配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求する。
従って、端末装置は、配信されるすべての単位音声データの識別IDを一時記憶しておき、音声出力が必要になった時点で必要になる単位音声データの識別IDにより該当する単位音声データそのものの配信を受けて再生出力するから、ネットワークの通信負荷を増大させることがない。また、記憶容量が小さい記憶装置であっても配信データを記憶することができ、記憶容量不足を生じる恐れがない。
【0049】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、端末装置から要求された配信データは、経路探索条件に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号である。
従って、端末装置は、配信されるすべての単位音声データの識別IDを一時記憶しておき、当該ガイダンスポイントに接近しガイダンスの出力が必要になった時点で必要になる識別IDにより単位音声データの配信要求し、単位音声データそのもののダウンロードを行い再生出力するから、通信量を増大させることなく案内経路データの配信が可能になる。また、端末装置の記憶容量が小さいものであっても単位音声データを記憶することができ、記憶容量不足を生じる恐れがない。
【0050】
請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかるナビゲーションシステムにおいて、経路探索サーバは、経路探索条件に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、前記案内経路データを前記端末装置に配信する。
従って、端末装置は、配信されるすべての単位音声データの識別IDを一時記憶しておき、当該ガイダンスポイントに接近しガイダンスの出力が必要になった時点で必要になる識別IDにより単位音声データの配信要求し、単位音声データそのものをダウンロードして再生出力するから、通信量を増大させることなく案内経路データの配信が可能になる。また、端末装置の記憶容量が小さいものであっても単位音声データを記憶することができ、記憶容量不足を生じる恐れがない。
【0051】
請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、音声データ要求手段は音声出力が必要になると前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除する。
従って、端末装置は、配信されるすべての単位音声データの識別IDを一時記憶しておき、当該ガイダンスポイントに接近しガイダンスの出力が必要になった時点で必要になる識別符号により単位音声データの配信要求し、単位音声データそのものをダウンロードして再生出力し、その後、識別符号とダウンロードした単位音声データを削除するものであるから、ネットワークの通信負荷を増大させることがなく、少ない容量の記憶装置を使用していても音声ガイダンスを行うことができるようになる。
【0052】
請求項6にかかる発明においては、請求項5にかかるナビゲーションシステムにおいて、端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求する。
従って、端末装置は、一連のナビゲーション(出発地から目的地までの案内)が終了するまでの間、既にダウンロードして端末装置に保存してある単位音声データは再度経路探索サーバに配信要求する必要がなくなり、ネットワークの通信負荷を更に軽減することができるようになる。
【0053】
また、請求項7ないし請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項6にかかるナビゲーションシステムにおける音声データ配信方法を提供することができるようになる。
【0054】
また、請求項13ないし請求項15にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項3、請求項4にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになり、請求項16ないし請求項18、請求項19、請求項20にかかる発明においては、それぞれ、請求項1ないし請求項3、請求項5、請求項6にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施例においては、携帯電話機を端末装置とし、経路探索および経路案内を音声ガイダンスにより行うナビゲーションシステムを具体例として説明するが、本発明はこのような実施例に限ることなく、他の携帯型電子機器を端末として使用するナビゲーションシステムあるいは車載用の移動端末を利用した通信型のナビゲーションシステムにも適用可能である。本明細書においては、これらの端末装置を総称して端末装置ということとする。
【実施例1】
【0056】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、図1に示すように、インターネットなどのネットワーク12を介して接続される携帯端末20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。経路探索サーバ30は端末装置20から要求された経路探索条件(出発地、目的地)をもとに最適経路を探索する。そして探索した案内経路と交差点などに設定したガイダンスポイントにおける音声ガイダンスを端末装置20に提供するため、音声データを蓄積した音声データのデータベース(DB)318を備えている。
【0057】
音声データ(DB)318に蓄積された音声データは、図2に示すように、ガイダンスポイントにおいてガイダンスする音声データ(話者が発生した音声を録音したアナログ音声データ)を単位音声データに分解し、単位音声データごとに識別ID(識別符号)を付してデータ名とともに蓄積されている。例えば「この先200m、〇〇通り、△丁目交差点、右折して下さい」というガイダンスは識別ID[0001]、[0008]、[0006]、[0002]で特定される単位音声データをこの順に再生することによって行うことができる。
【0058】
経路探索サーバ30は端末装置20に地図データ、案内経路データを配信する際、案内経路の交差点などガイダンスを行うガイダンスポイントを設定し、各ガイダンスポイントごとに、そのガイダンスポイントにおいてガイダンスとして出力する音声データを配信する際、音声データそのものでなく単位音声データごとの識別ID(識別符号)を配信する。
【0059】
端末装置20は案内経路のデータとともに配信されるすべての単位音声データの識別IDを一時記憶しておき、当該ガイダンスポイントに接近しガイダンスの出力が必要になった時点で必要になる識別IDを経路探索サーバ30に送って該当する単位音声データの配信要求を行い、単位音声データそのもののダウンロードを行い、その音声データを再生する。従って、案内経路データ配信の際には音声データそのものを配信せず識別IDを配信するだけであるからネットワークの通信負荷を増大させることがない。
【0060】
また、出発地から目的地までの案内経路が長く、ガイダンスポイントが多数あっても、ガイダンスポイントごとに音声データの識別IDが配信されるだけであるから、通信量を増大させることなく配信可能であり、端末装置20の記憶容量が小さいものであっても十分に記憶しておけるデータ量である。そして、ある音声データはあるガイダンスポイントに接近した時のみ必要になるものであるから、ガイダンスポイントに接近して必要になった時点で識別IDを特定して音声データそのものを経路探索サーバ30からダウンロードして使用し、ガイダンスが終了したら識別IDとダウンロードした単位音声データを破棄(削除)していけば少ない容量の記憶装置を使用していても音声ガイダンスを行うことができる。
【0061】
端末装置20においてリルート処理が必要になり、経路探索サーバ30が目的地までの新たな経路を再探索し、その案内経路、ガイダンスポイント、音声ガイダンスのための単位音声データの識別IDを含む案内経路データを作成するが、目的地までの案内経路は一般的に長く、リルートが発生した近辺の案内経路が新たな経路になり、その先の案内経路はリルート前に探索した案内経路と一致する場合が多い。
【0062】
従って、リルート処理により探索された新たな案内経路のデータ(案内経路、ガイダンスポイント、ガイダンスデータ(単位音声データの識別ID))を再度経路探索サーバ30から端末装置20に配信し、端末装置20側では、当初の案内経路のデータと比較して差分を検出し、変更のあった新たな案内経路のデータ部分を配信データ記憶手段上で置換することにより、容易にリルート後の新たな案内経路にそったガイダンスを提供することができる。ここでいう置換とは、新たな案内経路データにより不要になった当初の案内経路データの部分(差分)を当初の案内経路データから削除し、新たな案内経路データの差分を記憶する処理をいう。んんつ
【0063】
経路探索サーバ30は、制御手段311、通信手段312、配信データ編集手段313、案内経路データ作成手段314、地図データ(DB)315、経路探索手段316、探索用ネットワークデータ317、前述の音声データ(DB)318を備えて構成されている。
【0064】
探索用ネットワークデータ317は自動車による経路探索のための道路ネットワークデータ317Aと、歩行者用の経路探索のため歩行者ネットワークデータ317Bを備えている。道路ネットワークデータ317Aには歩行者専用道路や公園内など車両進入禁止区域の道路データは含まれておらず、歩行者ネットワークデータ317Bには高速道路など歩行者通行禁止の道路データは含まれていない。探索用ネットワークデータ317のデータ構成については後述する。
【0065】
制御手段311は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段312は、ネットワーク12を介して端末装置20と通信するためのインターフェースである。経路探索手段316は端末装置20から送信された経路探索条件に従って探索用ネットワークデータ317を参照して最適経路を探索する。
【0066】
案内経路データ作成手段314は経路探索の結果得られた案内経路にガイダンスポイントを設定し、音声データ(DB)318を参照して、音声各ガイダンスポイントにおけるガイダンスを構成する単位音声データの識別IDを抽出し、案内データとして作成する。案内経路データ作成手段314により作成された案内経路、ガイダンスのデータは地図データ(DB)315から取得した地図データとともに配信データ編集手段313により端末装置20に配信するためのデータに編集され、通信手段312を介して端末装置20に配信される。また、リルートによる再探索が行われた場合も同様に新たな案内経路について案内経路データを作成する。
【0067】
歩行者あるいは自動車による経路を探索するための道路ネットワークデータ317A、歩行者ネットワークデータ317Bは、以下のように構成されている。例えば、道路が図3に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータと構成される。
【0068】
すなわち、図3において、○印、◎印がノードを示し、◎印は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図3では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0069】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図3において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0070】
図3ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至る可能な経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。従って、探索された案内経路は利用者を案内(誘導)するノードおよび/またはリンクの順として表現される。
【0071】
図4は、経路探索サーバ30によって探索された案内経路の一例を示す模式図である。図4において、出発地(スタート)から目的地(ゴール)までの経路はノードN1、ノードN2、ノードN3、ノードN4の順にリンクをたどる経路として表現される。交差点ノードにおいては直進や右左折の別を音声で案内するため、ガイダンスポイントが設定され、ガイダンスポイントにおけるガイダンスを単位音声データの識別IDが対応付けられて端末装置20に配信される。
【0072】
図5は、経路探索サーバ30から配信された図4の案内経路データ(ガイダンスポイント、単位音声データの識別IDを含む)の一例を示す図である。例えば、図5に示すようにノードN1、ノードN2、ノードN4は交差点でありガイダンスポイントが設定され、ノードN3は右折路でありガイダンスの必要がなくガイダンスポイントは設定されていない。
【0073】
ノードN1においては単位音声データの識別ID[0001、0008、0006、0002]が図5の順で対応付けられている。同様にノードN2においては、単位音声データの識別ID[0001、0009、0007、0003]が図5の順で対応付けられ、ノードN4においては、単位音声データの識別ID[0001、0010、0005、0003]が図5の順で対応付けられている。
【0074】
ノードN1のガイダンスを識別ID[0001、0008、0006、0002]に該当する単位音声データを経路探索サーバ30からダウンロードして再生すると「この先200m、〇〇通り、△丁目交差点、右折して下さい」というガイダンスが音声出力される(図2参照)。同様にノードN2のガイダンスを識別IDに該当する単位音声データを経路探索サーバ30からダウンロードして再生すると「この先200m、△通り、□丁目交差点、左折して下さい」というガイダンスが音声出力され、ノードN4のガイダンスを識別IDに該当する単位音声データを経路探索サーバ30からダウンロードして再生すると「この先200m、□通り、〇〇××丁目交差点、右折して下さい」というガイダンスが音声出力される。
【0075】
一方、端末装置20は、図1に示されるように、制御手段211、GPS受信機などからなる測位手段212、マッチング処理手段213、リルート要否判定手段214、経路探索要求手段215、音声データ要求手段216、音声データ記憶手段217、通信手段218、配信データ記憶手段219、音声再生手段220、スピーカなどからなる音声出力手段221、液晶表示パネルなどからなる表示手段222、操作・入力手段223、差分検出手段224などを備えて構成されている。
【0076】
マッチング処理手段213は測位手段212が測位した現在位置(緯度・経度)を道路または経路にマッチング処理して測位誤差を補正する。リルート要否判定手段214はマッチング処理手段213による補正の距離が所定値内にあるかを判定し、所定の距離範囲を超えていると、案内経路から逸脱したものと判断しリルート処理要と判定し、経路探索サーバ30にリルート処理要求を送信する。
【0077】
経路探索サーバ30から配信された案内経路データは、配信データ記憶手段219に一時記憶される。リルート処理要求の結果、経路探索サーバ30から配信される新たな案内経路のデータは、差分検出手段224により当初配信された案内経路データと比較してその差分を特定し、配信データ記憶手段219に一時記憶していた当初の案内経路データから不要になった部分を削除し、差分のデータを記憶する置換処理が行われる。この詳細については図面を参照して後述する。
【0078】
制御手段211は、図示してはいないがRAM、ROMを有するマイクロプロセッサ(CPU)を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・入力手段223は、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなる操作・入力手段ためのものであり、出力手段である表示手段222に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して種々の入力操作を行うものである。従って、表示手段222は操作・入力手段223の一部としても機能する。通信手段218は、ネットワーク12を介して経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースである。
【0079】
測位手段212はGPS受信機によりGPS衛星信号を受信し、端末装置20の現在位置(緯度・経度)を測位する。また、加速度センサ、地磁気センサなどを備えることにより自律航法によって端末装置20の現在位置を測位することができ、GPS受信機がGPS衛星信号から測位できない場合に、これに代わって現在位置を測位することができる。
【0080】
利用者が経路探索サーバ30に経路探索を依頼しようとする場合、操作・入力手段223を操作し、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示手段222に表示して、出発地や目的地、移動手段(徒歩や自動車)、出発予定時刻や到着希望時刻などの経路探索条件の入力を行う。出発地として現在位置を選択すると測位手段212が測位した現在位置が出発地として使用される。
【0081】
経路探索要求手段215は、入力された経路探索条件を経路探索サーバ30に送信するデータに編集し、通信手段218を介して経路探索サーバ30に送信する。経路探索サーバ30から配信された案内経路、地図、ガイダンスデータなどの配信データは配信データ記憶手段219に一時記憶される。これらの配信データは必要に応じて配信データ記憶手段219から読み出され、表示手段222に表示される。表示に際しては、測位手段212が測位した現在位置が地図上に案内経路などとともに現在位置マークとして重ね合わせて表示される。
【0082】
経路探索サーバ30から配信される案内経路データは配信データ記憶手段219に一時記憶される。利用者が案内経路を進みガイダンスポイントが設定されたノードに接近すると、音声データ要求手段216はそのガイダンスポイントが設定されたノードにおける識別IDを経路探索サーバ30に送信し、該当する単位音声データの配信(ダウンロード)を要求する。経路探索サーバ30は要求された単位音声データを識別IDに基づいて音声データ(DB)318から読み出して端末装置20に配信する。
【0083】
端末装置20は、経路探索サーバ30から配信された単位音声データを受信すると、音声データ記憶手段217に記憶し、識別IDの順に音声再生手段220で再生し音声出力手段221で出力する。例えば前述のノードN1におけるガイダンスは、識別ID[0001、0008、0006、0002]であるから(図5、図2参照)、「この先200m、〇〇通り、△丁目交差点、右折して下さい」というガイダンスが音声出力手段221から出力される。
【0084】
案内経路を進行し、不要になった単位音声データは音声データ記憶手段217から削除し、ガイダンスポイントが設定された新たなノードに接近したら、前述と同様に音声データ要求手段216から識別IDに基づいて経路探索サーバ30に単位音声データの配信要求を行い、そのノードで必要になる単位音声データをダウンロードする。この手順を繰り返すことにより、案内経路に関連する全ての音声データを一度にダウンロードするのに比べ、通信負荷を大幅に小さくすることができる。
【0085】
また、案内経路データに付加されるガイダンスのデータは識別IDで配信、記憶されるから通信負荷は小さく、また配信データを記憶する記憶装置の容量は小さいものですむ。音声データ要求手段216が経路探索サーバ30に要求してダウンロードした単位音声データはあるノードで必要なデータのみであるから、音声データ記憶手段217は小さな記憶容量の記憶装置ですむ。
【0086】
リルート要求を経路探索サーバ30に送信した場合、経路探索サーバ30からは前述したようにリルート処理による再探索結果で得られた新たな案内経路データが端末装置20に配信される。図4に示した案内経路が当初の経路探索によるものであり、経路探索サーバ30がリルート要求に従って再探索した案内が図6に示すように、出発地(スタート)から、ノードN5、ノードN3、ノードN4を通って目的地(ゴール)に至る経路であったとすると、図7の符号Sで示す部分がルート処理野結果、探索された新たな案内経路(図6参照)により不要になる当初の案内経路(図4参照)の部分になる。
【0087】
ここで、ノードN2は当初の案内経路(図4参照)では左折でありガイダンスポイントが設定されているが、リルート後の案内経路(図6、図7参照)ではノードN5とノードN3の間であるから直進になっており、ガイダンスポイントを設定しない。このため、リルート後の変更のあった経路はノードN5(ガイダンスポイントが設定されたノード)の前後のリンクであり、このノードN5からノードN3と両ノード間を結ぶリンクが当初の案内経路のデータとの差分になる(図6、図7参照)。
【0088】
差分検出手段224は、上述した差分を検出し、差分に該当する案内経路データを特定する。そしてその差分に基づき、当初の案内経路データとして配信を受けていたノードN1とノードN2、ノードN2とノードN3と、それぞれのノード間リンクの案内データが不要となるから、配信データ記憶手段219に記憶していた当初の案内経路のデータからこれを削除し、代わりに差分として受信したノードN5からノードN3と両ノード間を結ぶリンクを対象とした案内経路データ(ガイダンスポイント、単位音声データの識別IDを含む)を記憶する置換処理を行う。
【0089】
次に、以上説明したナビゲーションシステム10の動作手順について図8、図9に示すフローチャートを参照して説明する。図8は通常処理における動作手順を示すフローチャートであり、図8Aは経路探索サーバ30の動作手順を示すフローチャート、図8Bは端末装置20の動作手順を示すフローチャートである。図9はリルート処理における端末装置20の動作手順を示すフローチャートである。
【0090】
図8Aに示すように、経路探索サーバ30はステップS10の処理において端末装置20から経路探索要求を受信すると、ステップS11の処理において経路探索手段316が経路探索条件に従って探索用ネットワークデータ317を参照して案内経路を探索する。最適な案内経路が探索されると、ステップS12の処理において案内経路データ作成手段314がガイダンスポイントを設定する。
【0091】
次に、ステップS13の処理において案内経路データ作成手段314は、音声データ(DB)318を参照して当該ガイダンスポイントでガイダンスする内容に合致した単位音声データの識別IDを抽出し、ステップS14の処理において案内経路のデータにガイダンスポイント、および単位音声データの識別IDを付加して案内経路データを作成する。作成された案内経路データは、ステップS15の処理において配信データ編集手段313により端末装置20に配信するデータに編集され端末装置20に配信される。
【0092】
端末装置20は、図8Bに示すようにステップS20の処理において経路探索サーバ30に経路探索要求を送信し、ステップS21の処理において経路探索サーバ30から案内経路データを受信すると配信データ記憶手段219にこれを一時記憶する。ステップS22の処理において音声案内があるノード、すなわち、ガイダンスポイントが設定されたノードに接近するとステップS23の処理に進み、音声データ要求手段216は当該ガイダンスポイントに付加された単位音声データの識別IDを用いて経路探索サーバ30に該当する単位音声データの配信を要求する。
【0093】
ステップS22の処理において、音声案内(ガイダンスポイント設定)がないノードの場合はステップS28の処理に進む。ステップS28の処理では経路案内が終了したか(目的地に到達しナビゲーションが終了したか)否かが判別される。なお、図8Bのフローチャートにおいて、ステップS22からステップS27の処理は1つのガイダンスポイントにおいて複数の単位音声データの識別IDが対応付けられている場合、識別IDごとに繰り返される処理である。
【0094】
要求した単位音声データをステップS24の処理において経路探索サーバ30から受信すると、ステップS25の処理において音声データ記憶手段217に記憶する。そして、ステップS26の処理において順次単位音声データを音声再生手段220、音声出力手段221により音声出力し、音声出力が終了するとステップS27の処理において単位音声データは音声データ記憶手段217から削除される。
【0095】
ステップS28の処理においては経路案内が終了したか(目的地に到達しナビゲーションが終了したか)否かが判別され、終了していなければステップS22の処理に戻りステップS28までの処理が繰り返される。
【0096】
次に端末装置20においてリルート要求が発生した場合の端末装置20の動作手順を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップS30の処理において測位手段212が現在位置を測位し、ステップS31の処理においてマッチング処理手段213がマッチング処理を行う。ステップS32の処理においてリルート要否判定手段214はマッチング処理の結果、所定の距離範囲を超えた場合、道路または案内経路から逸脱したものと判断してリルート処理を要すると判定し、ステップS33の処理において経路探索サーバ30にリルート要求を送信する。リルート処理要求には測位手段212が測位した現在位置(緯度・経度)がリルート処理における出発地の条件として付加される。
【0097】
経路探索サーバ30は端末装置20からリルート処理要求を受信すると経路探索手段316は、測位手段212が測位した現在位置(緯度・経度)を出発地として当初の目的地までの最適経路を探索し、得られた新たな案内経路について案内経路データを作成して端末装置20に配信する。
【0098】
端末装置20はステップS34の処理において経路探索サーバ30から前述のようにして再探索した案内経路データを受信すると、ステップS35の処理において差分検出手段224は、配信データ記憶手段219に記憶されている当初配信された案内経路データと、新たに配信された案内経路データとを比較してその差分を特定し、ステップS36の処理において配信データ記憶手段219に一時記憶していた当初の案内経路データから不要になった部分を削除し、ステップS37の処理において差分の案内経路データを記憶する置換処理が行われる。
【0099】
このステップS37の処理の後は、図8のフローチャートで説明した経路案内の手順(ステップS22〜ステップS27の処理が行われ、ステップS37の処理において経路案内が終了したかが判定される。経路案内が終了していなければ、ステップS30の現在位置測位の処理に戻り、経路案内が終了していれば処理を終了する。
【実施例2】
【0100】
図10は、本発明の実施例2にかかるナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。図10に示すナビゲーションシステム10において、図1に示すナビゲーションシステム10と同一の構成要素は同一の参照符号を付している。説明の重複を避けるためこれら同一の参照符号の構成要素に関する説明は省略する。
【0101】
実施例1においては、識別IDによって端末装置20にダウンロードした単位音声データは出力が終了する都度音声データ記憶手段217から削除される態様を説明したが、目的地までの一連のナビゲーションが終了するまで音声データ記憶手段217に単位音声データを保持しておき、既にダウンロードし保存してある識別IDと同じ識別IDの音声データは経路探索サーバ30からダウンロードせず、音声データ記憶手段217に保存された単位音声データを使用することもできる。
【0102】
このような制御を行うため、図10に示すナビゲーションシステム10においては端末装置20が実施例1の構成に加えて更に音声データ管理手段225を備えている。音声データ管理手段225には図11に示すように、既にダウンロード済で音声データ記憶手段217に保存してある単位音声データの識別IDが記憶されている。図11においてN1、N2、N4は図4に示す案内経路のノードを示している。識別IDは各ノードN1、N2、N4で必要になる単位音声データを示している。図11の例は図5に示したガイダンスと同じである。図11の( )内の識別IDは他の手前のノードで使用した単位音声データと同じであり、経路探索サーバ30からダウンロード済で音声データ記憶手段217に保存してある単位音声データを使用することができる。
【0103】
すなわち、ノードN1において識別ID[0001、0008、0006、0002]の単位音声データがダウンロード済で音声データ記憶手段217に保存してあるので、ノードN2においては、識別ID[0001]の単位音声データは音声データ記憶手段217のデータを使用することができ、経路探索サーバ30から再度ダウンロードする必要はない。同様にノードN4における識別ID[0001、0003]の単位音声データは手前のノードにおいてダウンロード済であるので経路探索サーバ30から再度ダウンロードする必要はない。このように音声データ要求手段216が経路探索サーバ30に音声データのダウンロード要求を行う際に、音声データ管理手段225に記憶されている識別ID(図11)を参照し、既にダウンロードしてある識別IDを除き、新たに必要になる識別IDのみについて音声データ要求を行えばよいことになる。
【0104】
図12は、本実施例2における端末装置20の動作手順を示すフローチャートである。ステップS50の処理において経路探索サーバ30に経路探索要求を送信し、ステップS51の処理において経路探索サーバ30から案内経路データを受信すると配信データ記憶手段219にこれを一時記憶する。ステップS52の処理において音声案内があるノード、すなわち、ガイダンスポイントが設定されたノードに接近するとステップS53の処理に進み、音声データ要求手段216は当該ガイダンスポイントに付加された単位音声データの識別IDを用いて経路探索サーバ30に該当する単位音声データの配信を要求する。
【0105】
ステップS52の処理において、音声案内(ガイダンスポイント設定)がないノードの場合はステップS58の処理に進む。ステップS58の処理では経路案内が終了したか(目的地に到達しナビゲーションが終了したか)否かが判別される。なお、図12のフローチャートにおいて、ステップS52からステップS57の処理は1つのガイダンスポイントにおいて複数の単位音声データの識別IDが対応付けられている場合、識別IDごとに繰り返される処理である。
【0106】
次にステップS53の処理において、ガイダンスポイントに対応付けられている識別IDについて音声データ管理手段225に記憶された識別ID(既に該当する単位音声データをダウンロード済の識別ID)を参照し、音声データ記憶手段217に保存済か否かを判別する。音声データ記憶手段217に保存していない識別IDについてはステップS54で音声データ要求手段216が経路探索サーバ30に該当する単位音声の配信要求を行う。音声データ記憶手段217に保存済みであればステップS57の音声出力処理に進む。この時音声出力は音声データ記憶手段217に記憶、保存された単位音声データを使用する。
【0107】
要求した単位音声データをステップS55の処理において経路探索サーバ30から受信すると、ステップS56の処理において音声データ記憶手段217に記憶するとともに音声データ管理手段225に識別IDを追加する。そして、ステップS57の処理において順次単位音声データを音声再生手段220、音声出力手段221により音声出力し、ステップS58の処理では経路案内が終了したか(目的地に到達しナビゲーションが終了したか)否かが判別される。
【0108】
ステップS58の処理においてナビゲーションが終了していない場合は、ステップS52の処理に戻りステップS57までの処理を繰り返し行う。ステップS58の処理においてナビゲーションが終了した場合にはステップS59の処理において音声データ記憶手段217および音声データ管理手段225に記憶された単位音声データと識別IDを削除して処理を終了する。
【0109】
このようにナビゲーションシステム10を構成すれば、一連のナビゲーション(出発地から目的地までの案内)が終了するまでの間、既にダウンロードして端末装置20に保存してある単位音声データは再度経路探索サーバ30に配信要求する必要がなくなり、更に通信負荷を軽減することができる。
【0110】
なお、上記実施例2において、経路探索サーバ30からダウンロードした単位音声データは、ナビゲーションが終了した時点で端末装置20から削除する例を説明したが、車載用ナビゲーションシステムである程度の記憶装置容量が確保できる場合には、一定量の単位音声データを保存しておき、必要に応じて保存した単位音声データを利用するように構成することもできる。
【0111】
なお、上記実施例1、2においては、音声データとして案内経路に設定したガイダンスポイントにおけるガイダンス(音声案内)を配信する例を説明したが、本発明はこれに限ることなく、ナビゲーションシステムが提供する他のサービス、例えば、ホテルやレストランなどの興味対象場所の検索、案内サービスにおいて、検索結果を端末装置に配信する際、音声による案内を付加して配信する場合など、サーバが端末装置に音声データを配信する場合に一般的に適用可能である。
【0112】
また、音声ガイダンスの単位音声データは、定型のガイダンス、例えば、ガイダンスポイントである交差点までの距離(この先200m)、あるいは、直進や右左折のガイダンスなどと、道路名、交差点名やランドマーク名のように案内経路によって不定型のガイダンスの組み合わせになる。不定型のガイダンスは一定の期間が経過すると地図データの追加、更新とともに追加、更新される。
【0113】
本実施例1、2においては、上記定型、不定型の単位音声データ全てを対象として本発明を適用したい例を説明したが、本発明はこれに限ることなく、定型の単位音声データは端末装置に識別IDとともに一括ダウンロードしておき、不定型の単位音声データを対象に本発明による配信方法を適用することもできる。このように不定型の単位音声データを対象に本発明による配信方法を適用することにより更に通信負荷を軽減することができるようになる。
【0114】
また、上記の実施例1、2においてはリルート処理による新たな案内経路データと当初の案内経路データの差分を端末装置20側で掲出する例を説明したが、これを経路探索サーバ30側で行う構成とすることもできる。その場合、端末装置20には差分検出手段224を設けず、経路探索サーバ30側に差分検出手段を設け、経路探索サーバ30からリルート処理の結果得られた新たな案内経路データのうち、差分に相当する部分の案内経路データのみを端末装置20に配信し、端末装置20はこの差分データに基づいて当初の案内経路データの不要部分を差分データで置換する処理を行うように構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、音声ガイダンスなどの音声データを単位データに分割し、それぞれに識別ID付しておき、当初識別IDをダウンロードし、音声出力が必要になる都度識別IDをもとに音声データそのものをダウンロードし、不要になったら削除するものであるから、通信負荷を軽減することができる。更にリルート処理が発生した場合に、当初の案内経路データと再探索の結果により得られた新たな案内経路の差分のみの案内経路データを配信するものであるから、更に通信負荷を軽減することができるようになり、通信型の車載用ナビゲーションシステム、携帯電話を用いた歩行者ナビゲーションシステムに用いるのに好適である。また、通信パケットの料金が安価になり特に携帯電話を用いたナビゲーションシステムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2はガイダンスのための音声データを蓄積した音声データベース(DB)のデータ構成を示す図である。
【図3】経路探索のための道路ネットワークの構成を説明する模式図である。
【図4】案内経路の一例を示す模式図である。
【図5】図4の案内経路におけるガイダンスデータ(音声データ)の一例を示す図である。
【図6】リルート処理により探索された新たな案内経路の一例を示す図である。
【図7】図4の当初の案内経路と図6のリルート後の案内経路の差分を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムの通常時の動作手順を示すフローチャートである。図8Aは経路探索サーバ30の動作手順を示すフローチャート、図8Bは端末装置20の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステムのリルート処理時の端末装置における動作手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例2にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図11】図10のナビゲーションシステムにおいて音声データ管理手段に記憶されるデータの構成を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例2にかかるナビゲーションシステムにおける端末装置の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
211・・・制御手段
212・・・測位手段
213・・・マッチング処理手段
214・・・リルート要否判定手段
215・・・経路探索要求手段
216・・・音声データ要求手段
217・・・音声データ記憶手段
218・・・通信手段
219・・・配信データ記憶手段
220・・・音声再生手段
221・・・音声出力手段
222・・・表示手段
223・・・操作・入力手段
224・・・差分検出手段
30・・・・経路探索サーバ
311・・・制御手段
312・・・通信手段
313・・・配信データ編集手段
314・・・案内経路データ作成手段
315・・・地図データ(DB)
316・・・経路探索手段
317・・・探索用ネットワークデータ
317A・・道路ネットワークデータ
317B・・歩行者ネットワークデータ
318・・・音声データ(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、端末装置から要求されたデータを配信する際に音声データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信し、出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路データを端末装置に配信する経路探索サーバを含むナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーションシステムは、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段は前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記端末装置は配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記端末装置から要求された配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、音声データ要求手段は音声出力が必要になると前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、端末装置から要求されたデータを配信する際に音声データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信し、出発地と目的地を含む経路探索条件に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路データを端末装置に配信する経路探索サーバを含むナビゲーションシステムにおける音声データ配信方法であって、
前記ナビゲーションシステムは、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段が前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出する第1のステップと、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換する第2のステップと、を有することを特徴とする音声データ配信方法。
【請求項8】
前記音声データ配信方法は、更に、
前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信する第3のステップと、
前記端末装置が配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求する第4のステップと、を有することを特徴とする請求項7に記載の音声データ配信方法。
【請求項9】
前記第3のステップにおいて、前記端末装置から要求された配信データは、経路探索条件に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする請求項8に記載音声データ配信方法。
【請求項10】
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、
前記第3のステップにおいて、経路探索サーバは前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする請求項9に記載の音声データ配信方法。
【請求項11】
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、
前記第4のステップは、音声出力が必要になると音声データ要求手段が前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除する処理を含むことを特徴とする請求項8に記載の音声データ配信方法。
【請求項12】
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、
前記第4のステップは、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求する処理を含むことを特徴とする請求項11に記載の音声データ配信方法。
【請求項13】
経路探索サーバから配信された単位音声データの識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求し、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段を備え、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を要求する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項14】
前記端末装置から要求される配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする請求項13に記載の経路探索サーバ。
【請求項15】
前記経路探索サーバは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路上にガイダンスポイントを設定し、案内経路のデータとともに当該ガイダンスポイントごとにガイダンスを音声データとして付加して前記端末装置に配信する際、単位音声データの識別符号を付加する案内経路データ作成手段を備え、前記案内経路データを前記端末装置に配信することを特徴とする請求項14に記載の経路探索サーバ。
【請求項16】
出発地と目的地を含む経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索用ネットワークデータを参照して前記出発地から目的地までの案内経路を経路探索手段が探索して案内経路を端末装置に配信する経路探索サーバであって、端末装置に配信する音声データを単位音声データに分割し、単位音声データごとに識別符号を対応付けて蓄積した音声データベースを備え、前記端末装置から要求されたデータを配信する際に音声案内データを付加する必要がある場合、前記配信データに識別符号を付加して端末装置に配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、測位した現在位置の誤差を道路または経路にマッチング処理して補正するマッチング処理手段と、前記誤差が所定の範囲を超えた場合にリルート処理を行う経路探索手段と、差分検出手段と、を備え、
前記差分検出手段は前記リルート処理により探索された案内経路とリルート処理前に探索された案内経路との差分を検出し、差分検出手段により特定されたリルート処理による案内経路データの差分をリルート処理前に探索された案内経路データと置換することを特徴とする端末装置。
【請求項17】
前記端末装置は配信された識別符号を記憶し、音声出力が必要になった際に当該識別符号に基づいて前記経路探索サーバに該当する単位音声データの配信を要求するように構成したことを特徴とする請求項16に記載の端末装置。
【請求項18】
前記端末装置が要求する配信データは、経路探索条件またはリルート処理要求に基づいて探索した案内経路のデータであり、前記単位音声データは案内経路上に設定したガイダンスポイントにおける単位音声データに該当する識別符号であることを特徴とする請求項17に記載の端末装置。
【請求項19】
前記端末装置は、経路探索サーバから配信された配信データを記憶する配信データ記憶手段と、音声データ要求手段と、音声データ記憶手段と、音声出力手段と、を備え、音声データ要求手段は音声出力が必要になると前記配信データ記憶手段に記憶された識別符号に基づいて前記経路探索サーバに単位音声データを要求し、経路探索サーバから配信された単位音声データを音声データ記憶手段に記憶し、音声出力手段により当該単位音声データを出力し、その後、出力を完了した単位音声データを削除することを特徴とする請求項17に記載の端末装置。
【請求項20】
前記端末装置は更に経路探索サーバからダウンロードして音声データ記憶手段に保存している単位音声データの識別符号を記憶する音声データ管理手段を備え、音声データ要求手段が経路探索サーバに音声データを要求する際、前記音声データ管理手段に記憶された識別符号を参照し、音声データ記憶手段に保存されていてない識別符号に該当する単位音声データの配信を前記経路探索サーバに要求することを特徴とする請求項19に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−47114(P2007−47114A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234329(P2005−234329)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】