説明

ナビゲーション装置、地図表示方法

【課題】地図情報をサウスアップ表示するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置100において、主制御部102は、ユーザ操作解析部106を介して、表示モードをサウスアップ表示に変更するユーザ操作を受け付けた場合、表示処理部104を介して地図をサウスアップ表示する。また、主制御部102は、ノース/サウスアップ切替判定部112により、車両が、南極点を上側とする地図を使用する国や地域に入ったと判定された場合、もしくは、赤道を通過して南半球に入ったと判定された場合などに、表示処理部104を介して地図をサウスアップ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載するナビゲーション装置に関し、特に、地図画面の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに地図、現在地、経路などの情報を表示することによりユーザの経路誘導を行うナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置では、北がディスプレイの上側になるように地図情報が表示される(ノースアップ表示)。または、車両の進行方向がディスプレイの上側になるように地図情報が表示される(ヘディングアップ表示)。また、ノースアップ表示やヘディングアップ表示は、ユーザの操作により切り替えられる。例えば、特許文献1には、ノースアップまたはヘディングアップ表示を行うナビゲーション装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−241173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、南半球の特定の国や地域においては、その国や地域の公的な取り決めや慣習により、南極点を上側として作成された地図が使用されている場合がある。
【0005】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、ヘディングアップ表示の場合を除いて、ノースアップ表示を基本としている。すなわち、南極点がディスプレイの上側になるように地図情報を表示(サウスアップ表示)することができない。そのため、上述のような南半球の国や地域において、ノースアップ表示によりナビゲーション装置を使用した場合、ユーザにとって違和感があり、不便であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、地図情報をサウスアップ表示するナビゲーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、地図情報をディスプレイに表示して経路誘導を行うナビゲーション装置であって、ディスプレイの上側を南とするサウスアップ表示を行う表示処理手段を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記のナビゲーション装置であって、表示モード(ノース/サウスアップ表示)を切り替えるか否かを判定する切替判定手段を有し、前記表示処理手段は、前記切替判定手段により表示モードを切り替えると判定された場合に、表示モードを切り替えるように構成してもよい。
【0009】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記切替判定手段は、自車両が位置する国について予め定められた表示モードと、設定されている表示モードとを比較し、表示モードが異なる場合に、表示モードを切り替えると判定するように構成してもよい。
【0010】
また、上記のナビゲーション装置であって、前記切替判定手段は、ユーザ操作により表示モードの指定を受け付け、指定された表示モードと、設定されている表示モードが異なる場合に、表示モードを切り替えると判定するように構成してもよい。
【0011】
また、地図情報をディスプレイに表示して経路誘導を行うナビゲーション装置における地図表示方法であって、前記ナビゲーション装置は、ディスプレイの上側を南とするサウスアップ表示を行う表示処理ステップを行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態が適用された、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0014】
ナビゲーション装置100は、車両などに搭載され、地図情報、経路情報、渋滞情報などの交通情報を表示してユーザを誘導するナビゲーション処理を行うための装置である。もちろん、ナビゲーション装置100は、車両に備え付けられたものでなくてもよく、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)などであってもよい。また、車内LAN(Local Area Network)、CAN(Controller Area Network)などの車内通信回線を介して他の車載機器やセンサなどの車両機器と通信を行ってもよい。
【0015】
ナビゲーション装置100は、制御装置1と、ディスプレイ2と、入力装置3と、音声入出力装置4と、記憶装置5と、各種センサ6と、GPS(Global Positioning System)受信装置7と、FM多重放送・ビーコン受信装置8と、通信装置9とを有する。もちろん、ナビゲーション装置100の構成は、上記に限られず、例えば、地上デジタル放送用のチューナーを備えていてもよい。
【0016】
制御装置1は、上記の各装置を制御し、様々な処理を行う中心的ユニットである。制御装置1は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)11と、実行するプログラムや必要なデータを格納するRAM(Random Access Memory)12やROM(Read Only Memory)13などのメモリと、他の装置と通信を制御するためのインタフェース(I/F)14とを備えている。
【0017】
制御装置1は、例えば、各種センサ6やGPS受信装置7から出力される情報を用いて現在地を算出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報51を記憶装置5から読み出す。また、読み出した地図情報51をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ表示する。また、地図情報51を用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を算出して、ディスプレイ2へ表示する。また、音声入出力装置4のスピーカ42介してユーザを誘導するための音声を出力する。また、入力装置3やマイクロフォン41を介してユーザの要求を受け付け、要求に対応する処理を実行する。また、FM多重放送・ビーコン受信装置8や通信装置9を介して、情報センターから交通情報などを受信してディスプレイ2へ表示する。
【0018】
ディスプレイ2は、制御装置1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0019】
入力装置3は、ユーザの指示をユーザの操作により受け付けるためのユニットである。入力装置3は、タッチ入力検出装置31と、ダイヤルスイッチ、ジョイスティック、キーボードなどのハードスイッチ(図示しない)で構成される。タッチ入力検出装置31は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透過するいわゆるタッチパネルである。タッチ入力検出装置31は、ユーザのタッチ操作を検出し、タッチ位置とともに制御装置1に出力する。タッチ入力検出装置31は、例えば、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。ダイヤルスイッチは、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、制御装置1に出力する。
【0020】
音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42とを備える。マイクロフォン41は、ユーザその他の搭乗者の発した音声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得して制御装置1に出力する。スピーカ42は、制御装置1で生成したユーザへのメッセージを音声に変換して出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。ただし、一体の筐体に収納されていてもよい。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0021】
記憶装置5は、制御装置1が各種処理を実行するために必要な、プログラムやデータ(図示せず)、ナビゲーション処理に使用される地図情報51、音声認識に使用される音声辞書(図示せず)などを格納する。これらの情報は、制御装置1のCPU11によってRAM12上に読み出されて使用される。記憶装置5は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD-ROMなどにより構成される。
【0022】
図2を参照して、地図情報51について説明する。
【0023】
本図に示すように、地図情報51は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)5110ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ5120を含んでいる。リンクデータ5120は、リンクの識別コード(リンクID)5121ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報5122、リンクを含む道路の種別情報5123、リンクの長さを示すリンク長情報5124、リンク旅行時間5125、2つのノードにそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)5126、リンクに含まれる車線の数を示す車線数5127などを含んでいる。リンクの道路種別には、有料道路か否かの情報が格納されている。
【0024】
また、地図情報51は、国境、所定の地域の境界、赤道などの座標情報や、国に関する国情報を含んでいる(図示しない)。国情報には、地図情報に含まれる各国の座標情報や、使用言語、使用されている地図の表示モード(サウスアップ、ノースアップ)などが含まれる。もちろん、地図情報の構成は上記に限られない。
【0025】
図1に戻って、各種センサ6は、車両の現在位置の算出するためのデータを収集する装置であり、例えば、車速センサ、ジャイロセンサ、加速度センサなどからなる。収集されたデータは、制御装置1に送られて、ナビゲーション処理に使用される。もちろん、各種センサ6は、車内LANやCANを介してナビゲーション装置100と接続されていてもよい。
【0026】
GPS受信装置7は、GPS衛星からの信号を受信して、車両の現在位置を示す位置情報を生成するための装置である。生成された位置情報は、制御装置1に送られて、ナビゲーション処理に使用される。
【0027】
FM多重放送・ビーコン受信装置8は、交通情報配信センタなどから送られてくる交通情報を、FM多重放送電波や、道路上に設置された電波ビーコンや光ビーコンなど(いずれも図示せず)を介して受信するための装置である。受信された交通情報は、制御装置1に送られて交通情報の表示に使用される。
【0028】
通信装置9は、例えば、一般的な携帯電話で構成され、交通情報配信センタなど送られてくる交通情報を、携帯電話回線および基地局を介して受信するための装置である。また、車両が収集した交通情報などを交通情報配信センタに送信する。
【0029】
次に、図3を参照して、ナビゲーション装置100の機能構成について説明する。
【0030】
本図に示すように、ナビゲーション装置100は、主制御部102と、表示処理部104と、ユーザ操作解析部106と、現在地算出部108と、経路算出部110と、ノース/サウスアップ切替判定部112とを備える。これらの機能部は、制御装置1のCPU11が、記憶装置5やROM12から、プログラムやプログラムの実行に必要なデータをRAM13上にロードし、プログラムを実行することにより構築される。
【0031】
主制御部102は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、主制御部102は、ナビゲーション装置100の本来の基本動作であるナビゲーション処理(例えば、地図情報の表示、交通情報の表示、現在位置の表示、経路の表示、経路誘導等)を実施する。具体的には、現在地算出部108が算出した現在地周辺の地図情報を記憶装置5から読み出す。そして、読み出した地図情報に現在地情報を重ねて表示するように表示処理部104に指示する。また、経路算出部110が算出した経路情報がある場合は、その経路を表示するように表示処理部104に指示する。また、スピーカ42を用いてユーザを案内する音声を出力する。また、ユーザ操作解析部106を介して受け付けたユーザの操作に対応する処理を行う。
【0032】
表示処理部104は、他の機能部の指示を受け付け、ディスプレイ2に画面を表示させるための描画コマンドを生成して出力する。例えば、指定されたスケール、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、経由地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、ユーザの指示を受け付けるためのメニュー項目や、操作ボタンなどの画像を描画するように描画コマンドを生成する。
【0033】
ユーザ操作解析部106は、入力装置3を介して入力されたユーザの操作を受け付け、その操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。また、マイクロフォン41を介して入力された音声から、音声認識により対応する操作内容を解析して、その操作内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。例えば、ユーザが推奨経路の探索を要求したときは、目的地の設定を受け付けるための地図情報やダイアログ、ウインドウなどを表示する処理を、主制御部102に要求する。
【0034】
現在地算出部108は、所定の間隔毎(例えば、所定距離毎、所定時間毎)に、各種センサ6とGPS受信装置7とから出力される情報を用いて現在地を算出する。算出された現在地情報は、主制御部102、経路算出部110などに送られてそれらの処理に使用される。
【0035】
経路算出部110は、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路の探索を行う。具体的には、まず、現在地算出部108が算出した現在地と、入力装置3やマイクロフォン41を介して入力された目的地を取得する。また、地図情報51を記憶装置5から読み出す。そして、ダイクストラ法等を用いて、2地点(現在地と目的地)間を結ぶ経路を、所定の地点(ノード)を結ぶ道路(リンク)をリンクコスト(例えば、距離や旅行時間)に換算して、経路上の総コストが他の経路に対して最少となる経路を探索する。FM多重放送・ビーコン受信装置8や通信装置9を介して取得した交通情報を用いて最適な経路を探索するようにしてもよい。
【0036】
ノース/サウスアップ切替判定部112は、ノースアップとサウスアップを相互に切り替えるための所定の条件が成立したか否かを判定する。また、切替条件が成立したと判定した場合、ノースアップもしくはサウスアップにより地図を表示するように、主制御部102に要求する。
【0037】
次に、上述のハードウェアおよび機能部により実現される特徴的な処理について、図4〜6を参照して説明する。
【0038】
まず、地図の表示モード(ヘディングアップ、ノースアップ、サウスアップ、ノース/サウスアップ自動切替)を、ユーザの操作により変更する処理について、図4を参照して説明する。図4は、ユーザの操作により地図の表示モードが変更される場合のUI(User Interface)画面の遷移例を示す図である。
【0039】
ナビゲーション装置100の起動後、ディスプレイ2には図4(A)に示すような画面が表示される。ここでは、デフォルトの表示モードとしてノースアップ表示が設定されているものとする。もちろん、デフォルトの表示モードとして、他の表示モードが設定されていてもよいし、ナビゲーション装置100の電源がOFFにされた時点で設定されていた表示モードが設定されていてもよい。具体的には、主制御部102は、現在地算出部108から現在地情報を取得し、その現在地周辺の地図情報を記憶装置5から読み出す。また、経路算出部110から経路情報や目的地情報を取得する。そして、読み出した地図情報に現在地情報と、経路情報と、目的地情報とを重ねて、ノースアップ表示により、すなわち、ディスプレイ2の上側が北となるように表示するように表示処理部104に指示する。このようにして、ディスプレイ2には、地図202と、現在地マーク204と、経路情報206と、目的地マーク208とが表示される。ノースアップ表示が設定されている場合は、方位マークを表示するようにしてもよい。ここでは、北(N)がディスプレイ2の上側を指すように、方位マーク212が表示される。
【0040】
入力装置3やマイクロフォン41を介して、ユーザにより地図の表示モードを設定するための操作がされると、ディスプレイ2には図4(B)に示すようなUI画面が表示される。具体的には、ユーザ操作解析部106からの要求を受け付けて、主制御部102は、ディスプレイ2に設定画面220を表示する。設定画面220は、設定対象項目である表示モードごとに、いずれか一つを指定するためのラジオボタンが対応付けられている。もちろん、設定画面220の構成は上記に限られない。
【0041】
上記の設定画面220が表示された状態で、入力装置3やマイクロフォン41を介して、ユーザによりいずれかの表示モードが指定されると、主制御部102は、読み出した地図情報に現在地情報と、経路情報と、目的地情報とを重ねて、指定された表示モードにより、表示するように表示処理部104に指示する。図4(C)は、表示モードがサウスアップに設定された場合を示している。本図に示すように、ディスプレイ2の上側を南として、地図202、現在地マーク204、経路情報206、目的地マーク208が表示される。また、南(S)がディスプレイ2の上側を指すように、方位マーク212が表示される。
【0042】
以上のようにして、ユーザの操作により地図の表示モードが切り替えられる。
【0043】
次に、ユーザの操作により「ノース/サウスアップ自動切替」が設定された場合の動作について、図5、図6を参照して説明する。
【0044】
図5は、ノース/サウスアップ自動切替を行う処理の流れを示すフロー図である。本フローは、ユーザの操作により「ノース/サウスアップ自動切替」が設定された場合に開始される。
【0045】
本フローが開始されると、ノース/サウスアップ切替判定部112は、ノース/サウスアップ切替条件が成立するか否かを所定の間隔(一定距離、もしくは、一定時間)ごとに監視する(S100)。そして、ノース/サウスアップ切替条件が成立したと判定した場合(S100でYES)のみ、S120に進む。ここで、ノース/サウスアップ切替条件として、以下の(1)〜(3)がある。
【0046】
(1)車両の現在地が国境を通過した場合:係る場合、車両が、ノースアップ表示を標準とする国からサウスアップ表示を標準とする国に入った場合や、その逆の場合に、切替条件が成立したと判定される。具体的には、まず、ノース/サウスアップ切替判定部112は、現在地算出部108から現在地を取得し、また、現在地周辺の地図情報を記憶装置5から読み出す。そして、現在地が位置する国の国情報を用いて、その国の表示モードを取得する。設定されている表示モードと、取得した表示モードが異なる場合は、切替条件が成立したと判定する。
【0047】
(2)車両の現在地が赤道を通過した場合:係る場合、車両が、北半球から赤道を超えて南半球に入った場合や、その逆の場合に、切替条件が成立したと判定される。具体的には、まず、ノース/サウスアップ切替判定部112は、現在地算出部108から現在地を取得し、また、赤道の座標情報を記憶装置5から読み出す。そして、現在地と赤道の座標情報を用いて、現在地が北半球に位置するか南半球に位置するかを判断する。設定されている表示モード(北半球の場合は、ノースアップ表示、南半球の場合は、サウスアップ表示)と、現在地に対応する表示モードが異なる場合は、切替条件が成立したと判定する。
【0048】
(3)設定言語が変更された場合:係る場合、ユーザの操作によりナビゲーション装置100で使用される言語(例えば、メニューや、地図上の建造物や道路など名称の表示に使用される言語)が変更されたことにより、変更前に設定されていた言語を使用する国が標準とする表示モードと、変更後の言語を使用する国が標準とする表示モードが異なる場合に、切替条件が成立したと判定される。具体的には、まず、入力装置3やマイクロフォン41を介して、ユーザ操作による設定言語の変更を検出すると、ノース/サウスアップ切替判定部112は、地図情報を記憶装置5から読み出す。そして、国情報を用いて、新たに設定された言語を使用する国の表示モードを取得する。設定されている表示モードと、取得した表示モードが異なる場合は、切替条件が成立したと判定する。
【0049】
以上の(1)〜(3)のノース/サウスアップ切替条件は、ユーザが選択して設定するようにしてもよい。以下、切替条件(1)を例に挙げて説明する。
【0050】
ノース/サウスアップ切替条件が成立したと判定された場合(S100でYES)、主制御部102は、表示モードが切り替えられる旨をユーザに提示し、ユーザの操作を促す(S120)。具体的には、図6(A)から(B)の遷移に示すように、現在地が国境210を通過すると、主制御部102は、ディスプレイ2にダイアログ214を表示する。なお、図6(A)(B)は、ノースアップ表示となっている。ダイアログ214は、例えば、「X国に入国しました。X国の標準表示(サウスアップ)に切り替えますか?」など、ユーザに表示モードの切り替えを知らせるメッセージ215と、表示モードの切り替えを実行するためのボタン216と、表示モードの切り替えを中止するためのボタン217から構成される。主制御部102は、S120を実行後、S140に進む。
【0051】
S140において、主制御部102は、入力装置3やマイクロフォン41を介して、ボタン216もしくはボタン217の操作があったか否かを判定する。ボタン216の操作があったと判定した場合(S140でYES)、S160に進む。一方、ボタン217の操作があったと判定した場合(S140でNO)、S100に戻る。
【0052】
S160において、主制御部102は、表示モードをノースアップからサウスアップへ、もしくは、サウスアップからノースアップへ切り替える。具体的には、主制御部102は、読み出した地図情報に現在地情報と、経路情報と、目的地情報とを重ねて、新たに設定された表示モードにより、表示するように表示処理部104に指示する。図6(C)は、表示モードがサウスアップに設定された場合を示している。本図に示すように、ディスプレイ2の上側を南として、地図202、現在地マーク204、経路情報206、目的地マーク208が表示される。また、南(S)がディスプレイ2の上側を指すように、方位マーク212が表示される。
【0053】
以上のようにして、ノース/サウスアップ表示の自動切替が実行される。なお、上記のフローでは、表示モードが切り替えられる旨を表示し(S120)、表示モードの切り替えを実行するユーザの操作があったか否かを判定(S140)しているが、これらの処理を省略して、ユーザの指示によらずに自動的に表示モードを切り替えるようにしてもよい。また、切替条件(1)の場合と同様に、切替条件(2)(3)の場合にも、表示モードが切り替えられる旨を表示してもよい。また、国境や赤道を超えた場合に、スピーカ42を介して、その旨を音声でユーザに知らせるようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本実施形態によれば、ユーザ操作により、若しくは、自動的に、地図情報がサウスアップ表示される。すなわち、南極点を上側として作成された地図が使用されている国や地域において、ユーザは、ナビゲーション装置の地図表示や経路誘導に違和感を感じることなく、安心して運転をすることができる。また、表示モードの自動切替おいて、ユーザ操作がない限り切り替えを行わないように構成することにより、ノースもしくはサウスアップ表示に慣れていないユーザの負担を軽減することができる。さらに、ノースアップ、サウスアップ、ヘディングアップの表示モードで地図表示を行えるため、販売国や地域ごとにナビゲーション装置の表示機能を作り変える必要がなくなり、製造コストを軽減することができる。
【0055】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図2】地図情報の構成を説明するための図。
【図3】ナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図。
【図4】ユーザの操作により地図の表示モードが変更される場合のUI画面の遷移例を示す図。
【図5】ノース/サウスアップ自動切替を行う処理の流れを示すフロー図。
【図6】自動切替により地図の表示モードが変更される場合のUI画面の遷移例を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1…制御装置、2…ディスプレイ、3…入力装置、4…音声入出力装置、5…記憶装置、6…各種センサ、7…GPS受信装置、8…FM多重放送・ビーコン受信装置、9…通信装置、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…インタフェース、31…タッチ入力検出装置、41…マイクロフォン、42…スピーカ、51…地図情報、100…ナビゲーション装置、102…主制御部、104…表示処理部、106…ユーザ操作解析部、108…現在地算出部、110…経路算出部、112…ノース/サウスアップ切替判定部、202…地図、204…現在地マーク、206…経路情報、208…目的地マーク、210…国境、212…方位マーク、214…ダイアログ、215…メッセージ、216…ボタン、217…ボタン、220…設定画面、5110…メッシュID、5120…リンクデータ、5121…リンクID、5122…座標情報、5123…種別情報、5124…リンク長情報、5125…リンク旅行時間、5126…接続リンクID、5127…車線数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報をディスプレイに表示して経路誘導を行うナビゲーション装置であって、
ディスプレイの上側を南とするサウスアップ表示を行う表示処理手段を有すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
表示モード(ノース/サウスアップ表示)を切り替えるか否かを判定する切替判定手段を有し、
前記表示処理手段は、
前記切替判定手段により表示モードを切り替えると判定された場合に、表示モードを切り替えること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記切替判定手段は、
自車両が位置する国について予め定められた表示モードと、設定されている表示モードとを比較し、表示モードが異なる場合に、表示モードを切り替えると判定すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置であって、
前記切替判定手段は、
ユーザ操作により表示モードの指定を受け付け、指定された表示モードと、設定されている表示モードが異なる場合に、表示モードを切り替えると判定すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
地図情報をディスプレイに表示して経路誘導を行うナビゲーション装置における地図表示方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
ディスプレイの上側を南とするサウスアップ表示を行う表示処理ステップを行うこと、
を特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−38823(P2010−38823A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204352(P2008−204352)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】